ほむら「まどかが苛められてる」 (371)

男「学校来んなよ、ブス」

女「きゃはは、髪の毛切ってイメチェンしちゃおうよ」

まどか「...」

さやか「...まどか」

まどか「...さやか...ちゃん...」

さやか「...こっち、見んじゃないわよ」

さやか「私まで同類だと思われるでしょ?きゃはははは!!」

和子「はいはい皆さん、ホームルーム始まりますよ」

和子「...お願いだから、私のいないところでしてくださいね」

「はーい」

まどか「...」






ほむら「...」

ほむら「...?」

ほむら「...!?」

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ほむら(...え?どうして?)

ほむら(...どうしてまどかがいじめられてるの?)

ほむら(...私に対するドッキリ?)

ほむら(...いえ...私はまだ転校してきたばかり...そんな事ありえないわよ)

ほむら(...ちょっと待って)

ほむら(...今までのループで一番頭が回らないわ)

和子「さ、暁美さん、いらっしゃい」

ほむら(...とりあえず、様子を見ましょう)

スタスタ

「わ、綺麗な髪」

「お前とは大違いだな、鹿目」グイッ

まどか「...痛...いよ...」

ほむら「...」

ほむら(...落ち着くのよ暁美ほむら、今こいつを殺した所で私の正体がバレるだけ)

ほむら(...)ピキピキ

和子「...暁美さん...?」

ほむら「...暁美ほむらです、よろしく」

「声も綺麗!」

ほむら(...そう言いつつ、まどかの髪の毛からは手を話さないのね、こいつら)

ほむら(...先生は何をしてるの...!?)

和子「...」カタカタ

ほむら(...こいつ...)

ほむら(...落ち着きなさい、私)

ほむら(何か理由があるに違いないわ、ええ、そうよ)





「...暁美さんってどこの学校いってたの!??」

ほむら「...ミッション系よ」

「わー!凄い!」

まどか「...」ポツン

ほむら「...あの...」

「何何!?聞きたい事があるなら聞いてよ!」

ほむら「...あの人は...」

仁美「...あぁ、鹿目さんですの」

仁美「彼女のことは気にしなくてよろしいですわ、居ないので」

ほむら「...え?」

さやか「転校生ー、理解が遅いなぁ!にしし!」

さやか「居ないんだよ、い、な、い」

仁美「鹿目まどかさんは、この教室にはいらっしゃいません」ニコッ

ほむら「...あぁ」

ほむら(...ダメだ、親友であるはずの2人もこの有様)

ほむら(...殺してやろうかしら)

ガタン!

スタスタ

「え?」

ほむら「体調が悪いんだけれど」

ほむら「連れていってもらえる?保健室」

まどか「...え?」

ほむら「あなたに言ってるのよ」

まどか「...」

ほむら「...?」

まどか「...私は、いい...よ」

ほむら「...は?」

まどか「...そ、それより...皆と話してきてよ...」

ほむら「...」

ほむら「...」ガシッ!

まどか「...へ!?」

ほむら「いいから付いてきなさいと言ってるのよ!」

まどか「わ、ちょ!」

ガラッ!



「転校生こえー」

「早くも目をつけられたね、あのピンク頭」

「転校生さん、美人だなあ、ほんと大違い!」



ほむら(...聞こえてるのよ!クズ共!)

ほむら「...どういう事?」

まどか「...なに、が?」

ほむら「...何じゃない!どうしてあなたは黙っているの!?」

まどか「...」

ほむら「あんな目に遭って黙っているなんておかしいわ!」

まどか「...そんなの、変だよ」

まどか「...私は、あなたの事知らないのに...」

ほむら「...っ!」

ほむら(...そう、私があなたを思えば思うほど、私達にはズレが生まれる)

ほむら(...それはどう仕様もないこと、だってあなたは私を知らないんだもの...!)

ほむら(...でも!だからって!)

ほむら「...こんなの、あんまりじゃない」

まどか「...?...???」

ほむら(...ここで声を荒らげても、彼女を不安にさせるだけ)

ほむら「...」

ほむら「...いえ、ごめんなさい」

まどか「...」

ほむら「...あんな露骨に...少し、驚いたものだから」

まどか「...」

まどか「...あ、そんな事より、体調大丈夫?」

まどか「...早く保健室に行こう?」

ほむら「...えぇ、そうね」

保健室

まどか「...えへへ、ごめんね、驚かせちゃって」

ほむら「...」

まどか「...いつもだから、気にしないで」

ほむら「...」

ほむら「...鹿目...まどか」

まどか「...ん?」

ほむら「...あなたは...自分の人生が...尊いと思う?」

ほむら「...家族や...」

ほむら「...家族を、大切にしてる?」

まどか「...」

まどか「...うん、大切だよ」

まどか「...私は、私の身の回りの人、誰が居なくなっても、悲しいよ」

ほむら「...」

ほむら「...」

まどか「じゃ、私は行くね!」

ほむら「...えぇ」

ほむら「...」

ほむら(...訳が、分からないわ)

ほむら(...まどかには、別に苛められる理由なんて見当たらない)

ほむら(...今回も、至って普通のまどかだ)

ほむら(...だったら、どうして...)

ほむら(...どうして、彼女の周りだけ、こうも違っているの?)

ほむら「...考え事も、させてくれないのね」

ほむら「...出ていきなさい...!」

「やあ」

「僕は君と契約した覚えはないんだけどな」

ほむら「...出ていけって言ってるのよ...!」




ほむら「...インキュベーター...!!」

QB「そんなに邪険にしないでおくれよ」

QB「僕の記録にも残っていない、魔法少女がいるなんてね」

QB「抜け道はあるだろうけど、僕と契約を交わしていない魔法少女なんて前代未聞だ」

QB「君は、何者だい?」

QB「どうして僕らの名前を知っているんだい?」

ほむら「...そんな事はどうだっていい...!」

ほむら「...出ていきなさい...!」

QB「そうもいかないよ、やっと希望が見えたんだから」

ほむら「...!」ギリッ

ほむら「あなた達のように...!奇跡を餌にして人の不幸をあざ笑う奴らに、希望の何がわかるのよ!!」

QB「...」

ほむら「...これが最後の忠告よ、出ていきなさい」

QB「やれやれ、話もできないなんてね」スッ

ほむら「...はぁ...はぁ...」



ほむら「...ん...」

ほむら「...1時間くらい、寝てしまったかしら」

ほむら「...転校初日から、相対というのも印象悪いわよね」

ほむら「...戻ろう」







さやか「ほらぁ!!」ガスッ!

まどか「...」

さやか「何とかいいなよ、まどかぁ!!!」

ほむら「...な...」

さやか「何?あんた声も出せないの?」

まどか「...」

まどか「...痛いよ...さやかちゃん」

さやか「...そういう態度がムカつくんだよねー」

さやか「...痛いならさぁ!痛いなりに喚いてみなよ!!」ベリッ!!

まどか「...っ!!!!!」

まどか「あぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」

「ひゅー、爪」

「やるなぁ、さやか」

さやか「へっへーん、見てなよ、もっと面白いことしてあげるからさ」

ほむら「...何て...事...を...」

まどか「...」チラッ

ほむら「...!」

まどか「...」ニコッ

ほむら「...!!!!!」

ほむら(あぁ、もうダメだ)

ほむら(...まだ、耐えられる、そう思っていたけど)

ほむら(ダメだわ、やっぱり)

ほむら(殺す)

ほむら(まどかを虐めてる奴ら、全員)

ほむら(殺して、やる)

ほむら「...」チャキッ





「何してるお前ら、席につけ席に」

さやか「...ちっ」

「おーい、美樹、入って早々舌打ちは先生傷つくなぁ、ははは」

「よーし、授業始めるぞー、昨日の続きな」

ほむら(...あぁ、そうか)

ほむら(...「まどか」は、居ないんだ)

ほむら(...この教室に「まどか」なんて居なくて、居るのは)

ほむら(皆の遊び道具の、鹿目まどかが居るんだ)

まどか「...」ポタポタ

ほむら「...」ギリッ!!!!!!

「2人一組で英文読み合いな」

さやか「仁美ー、やろー」

仁美「えぇ」

「...ん?どうした?鹿目、ペアが居ないのか?」

まどか「...」

「しょうがない奴だな、廊下で読んでろ」

まどか「...」

まどか「...はい」

クスクス

「馬鹿みたい、早く死んじゃえばいいのに」

「ほんとあいつ惨めだよな」





ほむら「いえ」

「ん?どうした...えーと」

ほむら「...転校生の、暁美ほむら、です」

「お、そうか、どうした?」

ほむら「ペアなら、居ます」

まどか「...え?」

ほむら「...さ、まどか」

ほむら「...まずは、男の人の会話からよ」

まどか「...暁美さん...?」

ほむら「...ほむらで構わないわ」

ほむら「さ、どうぞ」

まどか「でも...えっと...その...」

ほむら「...早く」

まどか「...う、うん...!」

まどか「~~~」

ほむら「...~~~」



「何あれ?」

「転校生もあぶれてて仕方なかったんだろ」

「暁美さん、かわいそー」


さやか「...」

放課後

さやか「...ねぇ、転校生」

ほむら「何かしら?」

さやか「どういうつもり?」

ほむら「...質問の意味がわからないわ」

さやか「...」ムカッ

さやか「どうしてまどかなんかに構ってんの?」

ほむら「...」

さやか「見ててわかんない?あいつはさ、いじめられてんの!」

さやか「空気読みなさいよ!」

ほむら「...」

ザワザワ

「おいどうした、喧嘩か?」

「あー、英語の時の」

「さやかちゃん、怒ってるねー」

ほむら「...」

ほむら「...空気、空気ね」

ほむら「...ふふ」

さやか「...何笑ってんのよ!」

ほむら「...おかしいのよ、ちゃんちゃらおかしいの」

ほむら「どうして私が貴方達のような低俗な人間の真似をしなきゃならないの?」

さやか「...なっ...!」

ほむら「馬鹿にしないでくれる?美樹さん」

さやか「はあ?あんたいきなりうちのクラスにきて正義の味方になったつもり?」

ほむら「いいえ、正義の、ではないわ」

ほむら「...」

ほむら「...そうよね、こんなあなたなら最早救おうとする価値もない」

さやか「...はぁ?」

ほむら「私が、あなたを厄介者扱いしながら、それでもその身を案じていたのは」

ほむら「あなたがまどかの親友で、そして」

ほむら「誰よりも真っ直ぐな心を持っていたからよ」

「おいおい、何言ってんだ?」

「もしかして電波?」

ほむら「そんなあなたならいざ知らず、今の最底辺で人間として醜いあなたなんて死んで当然」

ほむら「精精遂げられない思いとともに絶望しなさい」

ほむら「ひとつ言っておくけど、彼のバイオリンに、あなたは必要ないわ」

さやか「なっ!」

「...バイオリン...?」

「もしかして上條?」

ほむら「もう良いかしら?ゴミと言葉を交わすと疲れるのよ」

さやか「...この...!」

ほむら「さ、行きましょう、まどか」

まどか「へっ!?」

ほむら「ふふ、帰りにCDショップでも寄りましょう」

ほむら「あなたのオススメ、聞きたいわ?」ニコッ

まどか「...」

まどか「う、うん...!」パァッ!



ガラッ!

「おいおい、言い負けてんじゃん、美樹の奴」

「つーかなに?あいつ上條好きなの?」

さやか「うるさいっ!!!」ガシャァン!!

さやか「...許さない許さない許さない...!」

さやか「...あの転校生...!そして、まどか...!」

さやか「...絶対に許さない...!!!」

ほむら「...」

ほむら(...そう言えば、ここ最近音楽を聞くことなんてほとんど無かったわね)

ほむら(まどかを連れ出すために適当なことを言ったけれど)

ほむら(本当に息抜きとして聞くのもいいかしら...)

まどか「...ね、ねぇ」

ほむら「え?」

まどか「...ど、どうしてあんな事を...」

ほむら「...」

まどか「あ、あんな事言ったら...!暁美さんまで...!」

ほむら「ほむら」

まどか「...!」

ほむら「何度も言わせないでちょうだい」

ほむら「ほむらでいいと言っているの」

まどか「...ほむら、ちゃん...」

ほむら「何?」

まどか「...どうして、私を庇うような...」

ほむら「...私が、見ていられなかったからよ」

まどか「...」

ほむら「私は別に苛められてもいいのよ」

ほむら「...だけど、あなたは、ダメなのよ」

まどか「...」

まどか「...ふふ」

まどか「...訳、わかんないよ」

ほむら「...」

まどか「...突然転向してきた人が、私を庇うなんて」

まどか「...頭がどうにかなっちゃいそう」

ほむら「...そう」

まどか「...」

まどか「...私はどうしたらいいの?」

ほむら「...」

ほむら「...どうしたら?」

ほむら「...そんなもの、あなたが思うように毎日を生きればいいわ」

ほむら「あなたがあなたの欲求に従って、思うがまましたいことをすればいいわ」

まどか「...」

ほむら「...それが出来るように、私が見ててあげるから」

まどか「...じゃあ」

ほむら「...?」

まどか「...私が、ほむらちゃんと...お友達になりたいって...言うのは...」

ほむら「...!」

まどか「...ダメ、だよね...迷惑、かかるし...」

ほむら「...」

ほむら「...ふふ」

ほむら「...ダメなわけがないじゃない」

ほむら「...いいわ、まどか...友達になってあげる」

まどか「...!」

ほむら「...いえ、こんな言い方、ダメよね」

ほむら「...まどか」

まどか「...は、はいっ!」

ほむら「...あなたさえ良ければ、私と...」

ほむら「...友達になってください...」

まどか「...」

まどか「...」ポロポロ

ほむら「...っ!?」

まどか「...ひっぐ...!うぇ...!うぇええええええん...!!」

ほむら「ま、まどか!?」

まどか「わだでだとだだよー!」

ほむら「お、落ち着いて...!」

まどか「...ひっ...!ぐすっ...!」

ほむら「...もう」ナデナデ

まどか「...寂しかったよぉ...!」

ほむら「...うん」

まどか「...辛かったよぉ...!!」

ほむら「...うん」

まどか「...ひっく...!うぇっ...!」

ほむら「...大丈夫、もう、大丈夫だから...」ナデナデ

ほむら「...あなたは私が守るから」

まどか「...うん...!」






ほむら(そういう訳で我が家)

ほむら(...正直、考える事は前回のループの5割増しくらいになったけれど)

ほむら(...とりあえず、どうにかなったわ)

ほむら(...)

ほむら(...まどかの現状も考えたいところだけど)

ほむら(...)ピクッ

ほむら(...鬱陶しい魔女の事から、考えた方が良いわよね)チャキッ

ほむら「...全く、どこにでも現れるんだから」ガチャッ




使い魔「...」

ほむら「...気付いていないわね」

ほむら「...さて、とりあえず...」チャキッ

ドガドガドガドガ!!!

ほむら「...」

使い魔「キー!」バサッ!バサッ!

ほむら「え!?」

ほむら(外した...?)





「おいおいコラコラ」

「使い魔を狩ってる馬鹿がまだいんのかよ」

「あんたさてはルーキーだな?」

ほむら「...」

ほむら(...出た...)

「食物連鎖って知ってる?」

「強いやつが食って、弱いやつが食われるんだ」

「使い魔が人間を食って、魔法少女のあたし達が育った使い魔を狩る」

「そうでもしねーと、あたし達が生きて行けねーじゃん」

「心配すんなって、魔法少女ってのは多分、見殺しにした奴より救った人間の方が多いからさ」

ほむら「...佐倉...杏子...」

杏子「...」

杏子「...何もんだ?お前...」

ほむら「...」

杏子「何であたしの名前を知ってる?」

ほむら「...さあ」

杏子「...」

ほむら「...ここはあなたの縄張りじゃないでしょう?」

ほむら「...どうしてここにいるの?」

杏子「はは、QBに言われたからさ」

杏子「ここはいい狩場だってな」

ほむら「...」

杏子「どうやら本当らしい、そこここに使い魔の反応がありやがる」

杏子「こりゃ多過ぎだな」

ほむら「...」

杏子「多過ぎるんだったら分けてくれてもいいじゃんよ」

ほむら「...私は構わないわ」

杏子「...ふーん、その様子だとマミの奴はまだ生きてんのか」

杏子「あんな甘ちゃんとっくに死んだと思ってたけどなぁ」

ほむら「...」

杏子「それにしてもおかしな奴だな、お前」

杏子「現代武器って、ははは」

ほむら「...あなたには関係ないでしょう」

杏子「ま、そーだな」

ほむら(...QBに...呼ばれた?)

ほむら(...確かに魔法少女である彼女はQBにとって利用価値のある存在)

ほむら(...だからと言って何故ここに呼ぶ必要が...)

ほむら(...彼女は巴マミと接触すれば大抵喧嘩する)

ほむら(...最悪の場合、魔女を生むことなく死に至る)

ほむら(...2人の過去を知らないまでも、心情の違いを鑑みれば騒動は明らか)

ほむら(...何を、考えているの?インキュベーター...)

杏子「何黙ってんだよ」

ほむら「..いえ、何でもないわ」

杏子「そうか、よし、行くか」

ほむら「え?」

杏子「おいおい、でけー反応があるだろ?」

ほむら「...!」

杏子「何だよ、気が付いてなかったのか、黙っていけば良かったぜ」

ほむら「...」

杏子「もたついてるとグリーフシードはあたしのもんだぞ!」ダッ!

ほむら「...」

ほむら(彼女に任せてもいいけど、ワルプルギスについても1度は話をしておくべきね)ダッ!

魔女「ーーーーーー!!!」

杏子「ふーん、大物じゃねーか」

魔女「...ーーーーーー!!!」

ほむら「...」

杏子「不気味な音を出しやがる」

杏子「...おらぁっ!!!」ガァン!!!

魔女「キャァァァァァァァァァァ!!」

杏子「耳障りなんだよ!!」ズバァン!!

ほむら「...」

QB「やあ」スッ

ほむら「...」

ほむら「佐倉杏子をこの街に呼び込んで、あなた何のつもりなの?」

QB「何のつもり、か」

QB「そうだね、君になら...」

QB「...しまった」

ほむら「...?」

QB「...まどかが、巻き込まれてる...!」

ほむら「...なっ!」

QB「全く...!ここで彼女に死んでもらうわけには行かないのに...!」

ほむら「...」バシュッ

QB「...!」

ほむら「...あなたが接触する必要は無いわ」

ほむら「私が行くから消えなさい」

QB「...そっか、分かったよ」

ほむら「...」ダッ!

ほむら「...まどか、待ってて...!」

使い魔「キャァァァァァァァァァァ!」

まどか「...ひっ...!」

まどか「...な、何なの!こ、来ないでよぉ!」

使い魔「...キャァァァァァァァァァァ...!!!」

まどか「...ひい...!!」

ドガドガドガドガ!!!

まどか「...」

まどか「...」

まどか「...え?」

ほむら「...もう...ついさっき別れたばかりじゃない...」

まどか「...ほむら...ちゃん...?」

ほむら(...知られたくはなかったけれど...仕方が無いわ)

まどか「そ、その格好は...!」

ほむら「...後で話すわ」ダッ!

杏子「...しぶっ...といなっ!このっ!」ズバァン!!

杏子「...ちっ、刃が通りゃしねー」

ドガドガドガドガ!!!

杏子「...お」

ほむら「...加勢するわ」

杏子「へー、銃弾くらいになると効くんだな」

ほむら「...」

杏子「あいつ、お前の友達か?」

ほむら「...え?」

杏子「ほら、あの小動物みたいな」

ほむら(...あなたも人のこと言えないわ)

ほむら「...えぇ、そうよ」

杏子「...そっか!」ドガァ!!!

杏子「...なか、なかっ...!骨があるじゃねーか!」ズバァン!!

ほむら「...え?」

杏子「あいつ、怪我も顧みずにガキを助けてたぜ」

ほむら「...」

杏子「...魔法少女でもねーのにっ!くそっ!」

杏子「...すげえな!オラっ!!」ズバァン!!

ほむら「...そうね」

ほむら(やっぱり、あなたはあなたよ、まどか)

ほむら「...そろそろ片付けましょう」

杏子「だな!」




ほむら「たぁぁぁぁぁ!!!!」

杏子「らぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

魔女「...ァ...ァ...!」

サァァァァ...

まどか「...あれ?景色が...」

ほむら「...ふう」

まどか「ほ、ほむらちゃん!」タッ

ほむら「...あら、まどか」

まどか「...怪我はない!?」

ほむら「無いわよ」

まどか「...良かったぁ...」

杏子「おい、ピンク頭」

まどか「...え?わ、私?」

杏子「お前しかいねぇだろ」

まどか「...な、なぁに?」

杏子「...さっき見てたぜ、お前、ガキを助けてろ?」

まどか「...あの...その...」

杏子「...」

杏子「...へへ、やるじゃねーか、名前は?」

まどか「...えっと...ま、まどか」

まどか「...鹿目...まどか...」

杏子「...よし、まどか、食うかい?」

まどか「...あ、ありがとう...?」

まどか「...」ポリポリポリ

まどか「...」ポリポリポリ

まどか「...」ゴクン

まどか「...って、そうじゃないよ!」

まどか「あ、あの化物は、な、何なの!」

まどか「...ほむらちゃん達は...何なの...!?」

杏子「...んー」

ほむら「...」

杏子「...あたし説明苦手なんだよなー...」

QB「それなら僕が説明するよ」

ほむら「...!」

杏子「お、QB」

まどか「...ね、猫が...喋った...?」

QB「ひどいなぁ、猫じゃないよ」

QB「彼女達は、僕と契約を交わした魔法少女さ」

まどか「...魔法少女...?」

QB「そうだよ、願いをひとつ叶える代わりに、魔法少女は魔女を倒す使命を追う」

ほむら「...」

ほむら(...こいつを殺さなかったのは...間違いだったわね)

ほむら(...今のまどかなら...叶えたい願い事なんて...すぐに思いつく...!)

まどか「...ね、願いって...何でも...?」

QB「...」

QB「...そうだよ、何でもさ」

まどか「そ、それって...!」

QB「だけど残念だったね、君はその素質がない」

ほむら「...」

ほむら「...は?」

QB「...魔法少女の素質は背負った因果が関係してる、君ではとても魔法少女になることなんて出来ない」

ほむら(...何を、言ってるの?)

ほむら(...こいつは...一体...!)

杏子「はぁ?おいおい話が違うじゃねーか」

杏子「お前が見えたのなら素質があるって聞いたぞあたしは」

QB「もちろんそうさ」

QB「...だけど時折、素質が全くないのに僕の姿が見える人間がいる」

QB「鹿目まどかは、そう言う人間だ」

まどか「...そっか...」

まどか「...」

杏子「...お、おいおい気を落とすなっての!」

杏子「...ほ、ほれ!これやるからよ!」

まどか「...ありがとう...」

QB「そう言えば杏子、よく来てくれたね」

杏子「...ん?あぁ、まぁな」

杏子「...ここなら...魔女を狩ってるだけで充分生きていける」

杏子「...つーか、ちょっとバカバカしくなっちまったよ、はは」

QB「何がだい?」

杏子「いやそりゃもちろんな?生きていくためには犠牲が必要だ」

杏子「あたしにとってそれはあたし以外の人間だった、今もそれは変わっちゃいねー」

杏子「...んだけどよ...」

杏子「...なーんか、こいつのあんな姿見たら、あたしの方が馬鹿っぽくてさ」

まどか「え、えぇ?」

杏子「...自分を顧みず、誰かを助けることが出来る奴、だよ」ペシッ

まどか「あう...!」

杏子「...ガラじゃねーのは分かってるけどさ、時にはそれもいいかなってよ」

QB「...そうか、それは...君にとってもいい事だと思うよ、佐倉杏子」

杏子「...ぷっ...!らしくねーじゃんか、QB!」

まどか「...さ、佐倉...さん...!」

杏子「杏子でいいよ、何だ?」

まどか「...その、あの...!」

杏子「...」

まどか「...わ、私と...お、お...」

杏子「...」

杏子「...おう...これからよろしくな、まどか!」ニカッ!

まどか「...う、うん!!」



まどか「...えへ、えへへへ...」

ほむら「...ど、どうしたの?」

まどか「...ううん...何でもない...!」

まどか「...えへへ」

ほむら「...」

まどか「き」

ほむら「き?」

まどか「...今日で...お友達が二人も増えちゃった...!」

ほむら「...」

まどか「...えへへ、今日はとってもいい日だなぁ...」

ほむら「...ふふ、そうね」

まどか「...えへへ」

ほむら「...でもまどか」

まどか「え?」

ほむら「あんまり無茶なことをしてはダメよ」

ほむら「...あなたは女の子なんだから...」

まどか「...それを言ったらほむらちゃんもだよー」

ほむら「わ、私はいいのよ」

まどか「...えへへ」

ほむら「...」

ほむら(...あの場で言及はしなかったけれど)

ほむら(あの時、QBは明らかに嘘をついていた)

ほむら(...まどかに素質がない?いいえ、そんなはずが無いわ)

ほむら(...無いのなら、私は「ここ」には居ないもの)

まどか「...っつ...」

ほむら「...まどか?」

まどか「...え?」

ほむら「...どうしたの?お腹でも...痛いの?」

まどか「う、うん...そうかも...」

ほむら「...今日はいろんな事が起こりすぎたわ、早く帰って寝なさい」

まどか「...うん」

ほむら「...送るわ」

まどか「い、いいよぉ!」

ほむら「...そ、そう?」

まどか「...うん、私は大丈夫」

ほむら「...分かったわ」

ほむら「...また、明日」

まどか「うん、また明日!」






QB「やれやれ」

QB「危なかったね、何とか誤魔化すことが出来たようだ」

QB「いや、それにしても暁美ほむら」

QB「イレギュラーである彼女を軸に仮説を立ててみたけれど、やはり佐倉杏子も同じようだ」

QB「これなら大丈夫かもしれないね」

QB「...それにしても、酷い音だなぁ」


ゴンッ!ゴンッ!


まどか「痛いよぉ!ママァ!!」

詢子「...あぁ!?出来損ないが一端の口聞いてんじゃねぇ!」ガスッ

まどか「...ぐえっ...!」

詢子「この泥棒猫がよぉ!」ガスッ

まどか「...やめてよ...!ママ...!」

詢子「あんたの母親じゃねぇって何度言ったら分かるんだ!!」ボゴッ!!

詢子「おらっ!おらっ!」

まどか「...うっ...うおぇえええ...!」ビシャビシャ

詢子「...ったく、ゴミが」ペッ

詢子「掃除しときなよ、少しでも汚れてたら殺すから」

まどか「...はい...ママ」

詢子「...」ガスッ

まどか「...ぐぅ...詢子...さん...」

詢子「...はぁ...目立たない様に殴るのも疲れるわー」


バタン

まどか「...」

まどか「...我慢...我慢...」

まどか「...明日になれば...ほむらちゃんが...」

まどか「...うっ...!」

まどか「...っ...!」

まどか(...泣いちゃ...ダメ...!)

まどか(...泣いたら...止まらないから...)

まどか(...泣いて...たまるもんか...!)


コンコン



まどか「ひっ!」

知久「やぁ、まどか」

まどか「...パパ...」

知久「あったかいココア、飲むかい?」

まどか「...」

知久「...ごめんよ、詢子さんを止めることが出来なくて...」

まどか「...そんな事、無いよ...」

知久「...まどか」ナデナデ

まどか「...!」

知久「...大丈夫...僕だけは」

知久「...僕だけは...君の味方だから」

まどか「...」

知久「怯えないでいいよ、ね?」

まどか「...」








知久「...じゃあ、脱ごうか」

まどか「...」

まどか「...パパ...やだよぅ...そんな所...」

知久「あはは、大丈夫だよ」

知久「もうとっくに僕の形だろう?」

まどか「...」

知久「さ、こういう時はなんて言うんだっけ?」

まどか「...」

まどか「...」

まどか「...もうこんな...」

知久「ん?」

まどか「...っ」

まどか「...どうか」

まどか「...いやらしい私に...」

まどか「...パパのを...下さい」

知久「...」

知久「...っふ...」

知久「...ふふふ、あははははは...!!!」

まどか「...っ!!痛...!!!!!」

知久「僕はね!まどか!」ギシッギシッ

知久「君が好きで好きでたまらないんだよ!」ギシッ

知久「君が生まれて育ったとき僕は何をしたと思う!?」

知久「思わず神様に感謝してしまったよ!」

知久「余りの可愛さにね!あははははは!!!」ギシッギシッ!!

まどか「いっ...ぎぁっ...!痛...!!」

知久「...あぁ...!もっとだ...!もっと...その豊かな表情を僕に見せてくれ...!」

知久「まどか!まどか!まどかっ!!!」ギシッギシッギシッ!!

まどか「...ああぁ...!!」

知久「ははははは!ははははははははははははは!!!!!!」






知久「...じゃ、まどか」

知久「ま た 明 日 」

バタン

まどか「...」

まどか「...」

まどか「...」

まどか「...素質があったら...」ゴロン

まどか「...良かったのに...」

まどか「...別に...皆を恨んでるわけじゃない...」

まどか「...ただ、前みたいに...」

まどか「...普通に...なれたらいいのにな...」

まどか「...助けてよ...誰か」

まどか「...助けてよ...助けてよ...助けてよ...助けてよ...助けてよ...」

まどか「...助けてよ...」




ほむら「...寝坊だなんて」タッタッタ

ほむら「...いろいろ考え事をしていたせいね」

ほむら「...それにしても、杏子があんなことを言うなんて以外だったわね」

ほむら「...いえ」

ほむら「...元々、心の優しい人だものね」

杏子「そーかい」

ほむら「」ズシャア

杏子「うーわー、派手にコケたな」ケタケタ

ほむら「あ、あなた...!」

杏子「んだよ、日中暇なんだよ」

ほむら「...」

ほむら「...あなた、本当に居座るつもり?」

杏子「...ダメか?」

ほむら「...いえ...」

杏子「そーいや、まどかは?」

ほむら「...」

杏子「へへへ、ついでにまどかの顔も拝んで...」

ほむら「止めなさい」

杏子「な、何だよ...」

ほむら「...止めて」

杏子「そ、そんな言わなくてもいいじゃねーか!わ、私たちは友達なんだぞ!仲いいんだぞぅ!」

ほむら「...お願い」

ほむら「...まどかのことを思うなら、止めて欲しい」

杏子「...」

杏子「...分かったよ」

杏子「...はー、じゃあどうすっかな...」

ほむら「...はい」チャリン

杏子「んお?」

ほむら「私の家の鍵よ」

杏子「...盗めって事か?」

ほむら「バカ言わないで、住んでいいって言ってるの」

杏子「...へ?」

ほむら「...貴方みたいな狂犬、見張っとかないと危ないでしょう」

杏子「だとコラ!」

ほむら「...冗談よ」

ほむら「...代わりと言ってはなんだけど...まどかを、守ってあげて」

杏子「はは、あたりめーだろ」

ほむら「...」

杏子「...お前もな」

ほむら「...えぇ」

杏子「いや、ちげーよ」

ほむら「...?」

杏子「...あんたも守るぜ、ほむら」

ほむら「...ふふ、そう」

ほむら「じゃあ私はこっちだからついて来ないでね」

杏子「容赦ねーなおい!」

ほむら「ふふふ」

杏子「ったく」

ほむら(...そりゃそうよね)

ほむら(...あんな姿のまどか...杏子にはとても見せられない)

ほむら(...まどか、またいじめられてないわよね?)

ほむら(...もしそうだったら、今度からはずっと傍にいよう)








杏子「なんてな」

杏子「約束は破るためにあるんだぜ、にしし」コソコソ

ガラッ

ほむら(...あれ?)
 
ほむら(...まどかは...休み...?)

ニヤニヤニヤニヤ

ほむら「...いえ」

ほむら「...違うようね」ギリッ

ほむら(...眠気に甘えた自分に腹が立つ...!)

さやか「や、転校生」ニヤニヤ

仁美「おはようございます、ほむらさん」

ほむら「...まどかは?」

さやか「さあー」

仁美「皆目見当つきませんわ」

さやか「ねーねー、仁美」

仁美「なんでしょうさやかさん?」

さやか「さっき男子トイレで何か聞こえなかった?」

仁美「あらあら、もしかして乱暴な殿方がなにかに及んでいるのでしょうか」

ほむら「!!!!!」

ほむら「...このっ...クズっ!!!」ダッ!

さやか「あっはっはははは!!」

仁美「...」クスクス

「なーおい、まどかって知ってるか?」

「あー、いじめられっ子の」

「あいつなんでもフェラとかすげー上手いらしいぞ」

「は?」

「仕込まれたレベルでな」

「なんで知ってんの?」

「さっき聞いた」




ほむら「...っ!!」

ほむら「...やっていい事と...悪い事があるでしょうに...!!」

ほむら「...まどか...!まどか...!」




杏子「にしし、忍び込み成功」

杏子「にしてもでけー学校だな」

杏子「こんなんじゃまどかがどこにいるかわかんねー」

杏子「...」

「んー!んー!」

「おい!抑えつけろ!」

杏子「...あ?」

杏子「...んだこりゃあ...」

「バカ!大きな声出すなよ!」

「んー!んー!!!」

杏子「...あぁ?」

「うわ!こいつまだうっすらとしか生えてねーじゃん!」

「マジかよ、お前そういうの好きだろ?」

「バカいうなって!」

「...おい、鹿目」

「...」

「これ、どうすればいいか、分かるよな?」

「...分かん...ない」

「...ちっ」バキッ!

「...っ!」

「分かるよな?」

「...」

「...んっ...」

「...んっ...んぅ...」

「うわ、マジでやってるよ!」

「こいつ、意外に上手くね?」





杏子「...はぁ?」

杏子「...おいおい、何の冗談だ?」

「ちょ、俺も!」

「こいつマジでうめーな、誰なに仕込まれてんじゃね?」

「ははは、この年でそれはヤベーだろ」

「おい、鹿目」

「この事誰かに言ってみろ」

「さやかのやつが今度は爪じゃ済まさねーってさ」

「...ひっ...!」



  


杏子「どういう意味だそりゃあ!!!!!!!」ガシャァン!!

「!?」

まどか「...あ...」

杏子「まど、か...!」

「な、なんだコイツ!?」

「こ、このドアこいつがぶっ壊したのか...!?」

まどか「き、杏...子...ちゃん...」

杏子「...まどか...?おま...」

まどか「...で」

杏子「...は?」

まどか「...いで」

まどか「...見ないで...!」ポロポロ

杏子「...」プツン





杏子「...」バシュッ

杏子「...待ってろ、まどか」

杏子「...こいつら全員ぶっ殺して、撒いてやる」

「な、何だ!?」

「服が...!」

「いきなり出てきて...ぎゃぶっ!」ゴキッ!

杏子「...黙れよ」

杏子「まどか、今助ける」

杏子「...あぁ、そうか」

杏子「...ほむらが見せたくなかった奴って、これか」

まどか「...うっ...!ひっ...!」ポロポロ

杏子「バカ野郎」

杏子「こんなの見たところでお前に対する評価が変わる訳ねーのにな」ニコッ

まどか「...うっ...ううぅ...!」

杏子「きたねぇ手でまどかに触んじゃねぇ!!!!」ズバァン!!

「...ぐぉっ...!!」

杏子「殺す殺す!誰だ!関わったヤツ全員ぶっ殺してやる!!」

ほむら「き、杏子!!」ガシッ!

杏子「あぁ!?」

杏子「離せコラァ!!!」

ほむら「お、落ち着きなさい!」

ほむら「...こんな事をしても...!」

杏子「なんでテメーはこうなんねぇんだよ!」

杏子「まどかの奴泣いてやがった!泣いてやがったんだぞ!」

杏子「こんな優しいやつの涙に釣り合うのはこのクソ共の死くらいだろうが!」

ほむら「...杏子...」

杏子「離せ!全員殺してやる!」

杏子「てめぇら!ぶっ殺して...!!」トンッ!

ほむら「...」

まどか「...ほむら...ちゃん...」

ほむら「...まどか...」

ほむら「...遅れて...ごめんなさい」

ほむら「...ごめんなさい...!」ポロポロ

まどか「...ううん、大丈夫だよ...」

まどか「...ほむらちゃん達まで...こうならなくて良かった」ニコッ

ほむら「...!!」


「何だ!?凄い音がしたぞ!」

「先生!こっちです!」

ほむら「...!」

まどか「...!」

ほむら「...まどか、手を握って...」

まどか「...え?」

ほむら「...早く!」

まどか「...う、うん...!」ギュッ

カチッ

ほむら「...私の魔法よ、あまり長くは持たないわ...急ぐわよ」

まどか「...うん」

まどか(...暖かい...)

まどか(...暖かいな...)

ほむほーむ

杏子「...はぁっ!!!」ガバッ!

杏子「...どこだ!!」

ほむら「...落ち着きなさい...ここはもう私の家よ...」

杏子「...てめぇ...あたしを...!」

ほむら「...あぁするしか方法が無かったの」

杏子「だからって!」

ほむら「...あなたが人目について生きていけなくなることを、まどかが望むと思う?」

杏子「...!」

ほむら「...ここまで怒ってくれる友達なら...なおさらよ...」

杏子「...」

杏子「...クソっ!」

杏子「...まどかは?」

ほむら「...寝てるわ」

杏子「...そうか」

ほむら「...ねぇ」

杏子「あ?」

ほむら「...あなた、彼女の裸を見たんでしょ?」

杏子「...」

ほむら「...私もちらっとだけど、見えたわ」

杏子「...」

ほむら「...何よ...!あの傷...!あの痣...!」

杏子「...」

ほむら「...あんなの...!学校だけでつくものじゃない..!気が付かないことがおかしい...!」

ほむら「...彼女の家族は...!何を見ているの!?」

杏子「...」

杏子「...そうか」

杏子「...そういう事、なんだな」

ほむら「...どうして...!どうして彼女を取り巻く環境は...!」

ほむら「...ここまで彼女に対して辛く当たるの!?」

ほむら「...あんなにもっ!心優しい子なのに!」

杏子「...」



「それはね」

「この世界がそう出来てるからさ」



ほむら「...やっぱり、お前の仕業なのね...!」

ほむら「...インキュベーターァァァーーー!!!!」

杏子「...QB...が?インキュベーター...って...なんだよ?」

QB「...否定はしないよ、ほむら」

ほむら「...この、彼女に対する残酷な仕打ちも!全てあなたの手のひらの上で!」

ほむら「そして、そしてっ...!」

QB「そうだとも言えるし、そうでないとも言える」

QB「インキュベーターはね、とてつもない資質を持った鹿目まどかからどうにかしてエネルギーを得るために」

QB「わざわざ連れてきたのさ」

杏子「な、にを...言ってやがる...?」

杏子「...連れてきた?何がだ?」

QB「もちろん、君たちの敵と言ったら一つしかないよね」

QB「魔女、さ」

QB「苦労したんだと思うよ」

QB「負の念を持った人間を見つけて誘導することで、その魔女を誘導して」

QB「さらには標的まで絞り込ませた」

QB「...この上ない最上の結果のためにね」

ほむら「...お前は...!お前は...!」

QB「そうして辛い現実の中彼女が契約すれば、目的の半分は達成だ」

QB「もしかしたら契約直後に魔女になってしまうことさえ有りえる」

QB「すごく効率的だよ」

杏子「...魔女に...なる?」

杏子「お、おいおい」

杏子「そ、それじゃまるで...魔女すらお前達が作ってるみたいじゃねーか...!」

ほむら「...その通りよ」

ほむら「...こいつらの目的は」

ほむら「魔法少女が絶望に落ちて、魔女になる時のエネルギー」

ほむら「それを利用した宇宙の延命よ...」

ほむら「...だから、まどかは選ばれた」

ほむら「最強の魔法少女はいずれ、最悪の魔女になる、最高のエネルギーを生むんでしょう!!?」

QB「...」

QB「...その通りだ」

QB「この街はね、二人とも」

QB「街ひとつ丸々飲み込むくらいの大きさの結界に覆われている」

QB「しかも驚いた事に、街一つ完璧に再現する用意周到さ」

QB「...誰もここが結界だとは気が付けない」

QB「...言ってしまえば、鹿目まどか専用の...捕獲器さ」

ほむら「...」バァン!!!

QB「...」

ほむら「...今打たなかったのは、まだ、聞きたいことがあるからよ」

ほむら「...どうして、杏子を呼んだの?」

ほむら「...それは、あなた達が不利になるだけじゃないの?」

QB「...」

QB「...ここからは、僕の話だ」

杏子「...お前の?」

QB「...彼女は、彼女以外の人間すべてから虐げられてきた」

QB「...この魔女は狡猾でね、催眠洗脳、精神汚染なんかも使える」

QB「あのマミでさえ、鹿目まどかを一目見た時、殺意を覚えたくらいだ」

杏子「...マミ...が...」

QB「...じゃあ、なんで君達ふたりが、無事でいられたと思う?」

QB「マミと同じ魔法少女である君たちはには何故、聞かなかったと思う?」

杏子「...それ、は...」

ほむら「...」

ほむら「...街の外から来た魔法少女だから...」

QB「...そう」

QB「この魔女の魔法には一つだけ弱点があってね」

QB「上書きできない」

QB「もっと言えば、拠点として根を張ったその結界内に元からいた生物にしか魔法を使えない」

QB「魔法を新たにかける場合、一旦魔法を解かなければならないんだ」

QB「...この魔女の本体を見た事があるかい?」

ほむら「...無いわね」

QB「それはね、その本体は身を隠しているからさ、自分の魔法でね」

QB「魔法をかけ直すとなると、隙が生まれてしまう、姿が見えてしまうんだ」

杏子「...なるほどな」

QB「...僕はそこに目をつけた」

QB「それなら、街の外から魔法少女を呼べばいい」

QB「暁美ほむら、君をイレギュラーと呼んだのは契約に関することだけじゃない」

QB「君はこの街で唯一、まどかに危害を加えなかった人間なんだ」

杏子「...?」

杏子「...でもそれだとお前の目的とは合わなくねーか?」

杏子「お前は、まどかを...その...魔女にしたいんだろ?」

杏子「...それだとまるで、お前がこの街の魔女を倒してくれって言ってるようにしか...」

QB「...」

QB「...その魔女の魔法が、僕に影響を及ぼさなかった訳じゃないよ」

杏子「...?」

QB「少なかったけれど確かに及ぼした」

QB「汚染まではされなかったものの、精神疾患くらいは患った」

ほむら「...!まさか...!」

QB「...はじめに出会った時、僕は君のことを希望と呼んだね」

QB「...それはね、比喩でも皮肉でも決してない」

QB「...文字通り、鹿目まどかに対しての希望だったんだ」

QB「...驚いたよ、教室で彼女を一目見て」

QB「...蔑むどころか、あんなに嬉しそうな顔をする君に」

ほむら「...お前は...」

QB「...あはは」

QB「...」

QB「...彼女は僕から見ても、健気だった」

QB「...誰一人恨むこともしないで」

QB「...ただあるがままを受け入れて」

QB「絶対にこないであろう理想に手を伸ばし続けた」

ほむら「...」

QB「...それは、僕の心を動かすには十分過ぎるほどだった」

杏子「...」

QB「話が長くなったね」

ほむら「...」

杏子「...」










QB「彼女を助けて欲しい」

QB「精神疾患を患って総体から個体として切り離された僕は彼女を助けたいと思った」

QB「彼女の悪夢を、荒らしてあげて欲しい」

QB「罪を忘れた訳じゃない」

QB「彼女の日常を、取り戻して欲しいんだ...!」

ほむら「...」

杏子「...」




「「勿論!」」







杏子「なぁ、ほむら!」タッタッタ

ほむら「...何!?」タッタッタ

杏子「...本体を倒すって言ってもよ、どこにいるんだ?」

ほむら「分からないからこうして探してるんでしょう!」

杏子「...つってもよ、あたしは未だにこの街が結界だってことも信じられねーぞ」

ほむら「...」

ほむら「...考えましょう」

杏子「ん?」

ほむら「...あなたがその魔女の立場だったらどうする?」

杏子「...」

杏子「とりあえず、ずっと標的を見とく」

ほむら「...そうね」

ほむら「...もし何かが原因で標的が死んでしまったら、また新たに探さないといけないものね...!」

ほむら「...私も、絶対に...目を離さない...」

杏子「...見とく、ね」

杏子「つーことはつまりまどかの近くにいる奴ってことか?」

ほむら「...さぁ、だけどそんな適当な予想でまどかの近くの人間を攻撃なんか出来ないわ」

杏子「...だよな」

ほむら「...くっ...暗くなってきたわ...!」

杏子「...ふいー、薄暗くなって来たか...」

ほむら「...」

ほむら「...待って」

杏子「...あん?」

ほむら「...まどかの近くにいるというのは」

ほむら「...有り得ないんじゃないかしら」

杏子「あ?何で?」

ほむら「...だって、まどかの近くには...誰もいなかったのよ?」

ほむら「...友達も、家族も...」

杏子「...」

杏子「するってーの何だ?」

杏子「まさかまどかの中にでもいるってか?」

ほむら「...ねぇ」

ほむら「...魔女が根を張るということはつまり、魔力の消費を抑えているのよね?」

杏子「かもな、んなでけー結界なら相当燃費悪いだろうしな」

ほむら「...動かないもの...?」

杏子「はぁ?動かないでどうやって監視し続けるんだよ?」

ほむら「...本体の大きな移動すらも躊躇うくらいの燃費の悪さ...」

杏子「...?」

ほむら「...!」

ほむら「ねぇ、昨日の夜は、晴れていたかしら」

杏子「...要領を得ねぇ」

杏子「晴れてたよ、ずっと月明かりが差し込むくらい...!」

ほむら「...そう」

ほむら「...おかしいのよ、だって」

ほむら「...余りにも同じ過ぎる...!」

ほむら「...私は昨日も今日も、満月しか見ていない...!」

ほむら「...雲も、全くなかった...」

杏子「...」

ほむら「...魔女が活発化する時間帯は...」

杏子「...夜」

ほむら「...」

杏子「...試す価値はあるな」

杏子「でもどうやるんだ?」

ほむら「...」

QB「方法ならあるよ」

杏子「QB...」

ほむら「...」

QB「簡単さ、2人分の魔力を最大まで練り上げて槍を投擲すればいい」

杏子「そんなもん...コントロールが...」

QB「大丈夫さ、君達ならできるよ」

QB「僕は信じてる」

ほむら「...あなたからそんな言葉が聞けるなんてね...」

QB「変かな?」

ほむら「...いいえ」

ギュイイイイイイイ!!!!

杏子「あたしに任せろ、地力ならあたしの方がある」

ほむら「ええ」

杏子「...うお...他人の魔力が流れ込むって...変な感じだな...」

ほむら「...」

杏子「...」

ほむら「...行ける?」

杏子「...あぁ...!」




QB(僕はね、思うんだよ)

QB(この結果は、鹿目まどか、君が君だったからこそ、得られたんじゃないかってね)

QB(君が君じゃなかったらこうはならなかった)

QB(君の心が、彼女達を動かしたんだと思うよ)

QB(...これを奇跡と呼ぶのが君たちだったね)

QB(なるほど、確かに僕らの紛い物より、遥かに奇跡らしいや)




杏子「突き破れぇええええええ!!!!」

バギッ!!

バギバギバギバギバギ!!!





魔女「アアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

杏子「...出た...!」

ほむら「...あれが...!」

QB「幻覚結界を破壊した!今だよ!」

魔女「...アアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」ギュルギュル!!!

バゴォン!!

ほむら「なっ...!」

杏子「...この野郎...!!」

まどか「...」

魔女「ケタケタケタケタケタケタケタ」

杏子「...生意気に...人質ってか...!」

ほむら「...まどか...!」

杏子「...また潜り込むぞ!」

ほむら「...まどか!!!」

まどか「...」

まどか「...んぅ...」

まどか「...ほむら...ちゃん...?」

まどか「...」

まどか「...え、ええぇ!?」

まどか「なななな、何ここ...?」

まどか「...た、高い...よぉ...!!」

ほむら「...まどか...!」

まどか「ほむらちゃん!!!??」

ほむら「...くっ...」

杏子「...飛び降りてくれれば難なく受け止められるが...」

ほむら「...」

QB「...まどかには難しいかもね」

ほむら「...まどかっ!!」

まどか「...?」

ほむら「そこから飛び降りて!!」

まどか「ええっ!?」

まどか「む、無理だよぉ!...ぺ、ぺしゃんこになっちゃう...!」

ほむら「...お願い...!」

まどか「...」

まどか「わ、わか...」




また裏切られるぞ

まどか「...!」

お前はまた同じ過ちを犯すのか?

あれだけ大切だった皆に裏切られて

それでもまだこいつを信用できるのか

まどか「...ほむらちゃんたちは...違うもん...」

そうかな?

信じてたヤツに、またいじめられたいか?

まどか「...っ」

お前はどこにもいないんだよ

まどか「...私は...」

教室にも、家にも、果ては世界にも

「鹿目まどか」という人間は存在しない

するのは、ただの玩具だ

まどか「存在しない...」

そうだ




まどか「...ただの...」

まどか「...玩具...」









ほむら「まどか!!!」

杏子「...まどか!!!!」

ほむら「私達は!」

杏子「あんたは!!」


「「ここにいるっ!!!!!!!」」

まどか「...!!!」




トンッ!

杏子「そらきたぁぁぁぁぁ!!!」

ほむら「頼むわよ...!杏子...!」

ほむら「...化け物...!魔女...!」

QB「...どうやってあの魔女を倒すつもりだい?」

ほむら「...槍で止めをさせるとは思っていないわ...!」

ほむら「...まどかが私たちを信じて飛んでくれたことで...!」

ほむら「...槍に括りつけた爆弾で、爆殺することが出来るのよ!!」ポチッ!!!



ドガァァァァァン!!!!




魔女「...アアアアアアアアアアアアアア...!」

魔女「...ァァァ...ァァァ...」

パキパキパキパキパキ

バリンッ





杏子「...結界が...」

ほむら「...崩れていく...」

QB「...良くやってくれたね」

QB「...やっぱり君たちは素晴らしいよ」

ほむら「...まどかは?」

杏子「...気絶してる」

QB「...これで目的は果たしたよ」

杏子「...ん?どこ行くんだ?」

QB「...」

杏子「...おい!」

QB「総体から切り離された個体の僕は」

QB「...この体が最後の体だ」

QB「...そして、あまり寿命も長くない」

QB「ふふ、まどかに猫って言われたけど」

QB「死に際を見られたくないんじゃ、本当に猫みたいだ」

杏子「...お前...」

ほむら「...礼は言わないわよ」

QB「...勿論さ、僕が招いたことだからね」

QB「...さて、僕がいなくなった事によって、また後任がここへ来る」

QB「その個体は多分、今まで通りまどかを狙ってくるよ」

QB「...精精、気を付けることだね」

QB「...じゃあ」




まどか「...待って」

QB「...起きたんだ」

まどか「...ありがとう、QB」ニコッ

QB「...」

QB「...はは」

QB「...こんな機能、付いてないんだけどな」ポロポロ





ほむら(...そうして、あの魔女を倒した私たちは)

ほむら(...無事に帰りついた)

ほむら(とは言っても3人とも疲れていたから私の家だったんだけれど)

ほむら(...あのいじめを、もう見なくて済むのは、嬉しい)

ほむら(...でも、私にはまだ考える事がある)

ほむら(...ワルプルギスの夜)

ほむら(...あの史上最悪の魔女を倒して、ようやく私は前へ進めるのだ)





まどか「な、なんとか間に合ったね...!」

ほむら「ふふ、えぇ、そうね」

ほむら(...私はようやくスタート地点だけれど)

ほむら(...でも、少なくとも)

ほむら(...これでまどかは、先へ進むことが出来そうだ)




まどか「...すぅ...はぁ...」

ほむら「原因の魔女は倒したから大丈夫よ」

まどか「...あ...えへへ」

ほむら「...昨日まどかが事の全てを聞きたがるもんだから...ふあぁ...」

まどか「...よし、行くよ」ガラッ!




さやか「おっ、まどか、おはよー!」

まどか「...」

さやか「どうしたどうしたー?もしかしてさやかちゃんが可愛すぎて声を失ったかー?」

まどか「お、おはよう、さやかちゃん...!」

さやか「おう!転校生もおはよ!」

ほむら「...おはよう」

ほむら(...ワルプルギスの夜)

ほむら(...私は、未だにあいつに勝てる気がしない)

ほむら(...だけど、もしそうだとしても)

ほむら(...まどかが諦めなかったように、挫けなかったように)

ほむら(...諦めなければ、奇跡は起こるんだという事を、教えてくれたから...)

ほむら(...私は、まだ、手を伸ばせる)

ほむら(...ここからは、私の戦いだ...!)





まどか「...えへへ」

ほむら「...良かったわね、まどか」

まどか「うん!」

「よーし、教科書を開けー、読み合いするぞ」

まどか「...次は英語だっけ」ゴソゴソ

ほむら「忘れたの?」

まどか「...うーん...何かに引っかかって...」

まどか「よし、取れ...」

まどか「...た...?」ボタボタボタボタ







ほむら(彼女の机に入っていたのは、大量のカミソリ)

ほむら(悪夢はまだ、終わってはいなかった)

ほむら(一つだけ言うのなら)

ほむら(...あの魔法は、魔女が死んでも消えなかったという事だ)







さやか「あっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!」





まどか「...い」

まどか「...嫌ぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!!」

ここまで







ほむほーむ

杏子「...何か食いもんねーかな」

杏子「...あの野郎、いつも何食ってやがんだ?」

杏子「ぱさぱさの板切れしかねーぞ...」

杏子「...ん?」


ガチャ

杏子「...よう、久々だな」

杏子「まだ甘い事抜かしてんのか?」

杏子「学校サボるなんてらしくねーじゃねーか、マミ」

マミ「...佐倉...さん」

杏子「...」

マミ「...どうして、あなたが...」

杏子「さぁな」

杏子「...ところで、調子はどうだい?」

マミ「...えぇ、大丈夫よ」

杏子「...?」

杏子「...いつになく静かだな」

マミ「...その様子だと、違うようね」

杏子「...は?」

マミ「...あなたの魔法かなにかだと思っていたけれど...」

杏子「...なんだ何だ?どうした?」

マミ「...」

マミ「...あなた...ここ数カ月の...記憶がある?」

杏子「...」

杏子(...何だって?何言ってやがる...こいつは...)

マミ「...気が付いたら...家具の配置が微妙に違ってた」

マミ「...ソウルジェムも、少しだけ色がくすんでいた」

マミ「...あなた、何か知ってるの?」

マミ「...周りの人に聞いてみても、記憶が無いのは私だけなのよ」

杏子「...」

杏子(...なるほど、洗脳とかって言ってたが、どっちかっつーと操作に近いのな)

杏子(...まどかに関わろうと、関わるまいと、か)

杏子(...ん?)

杏子(...こいつ、だけ...?)

マミ「...?」

杏子「...お前だけ...なのか?」

杏子「...おまえだけ記憶がないのか!?」

マミ「...!?...え、えぇ...」

杏子「...くそっ...!」

マミ「どこに行くの!?」

杏子(...なんだよそれ!こいつだけ記憶が無いってことは...つまり...!)

杏子(...ふざけんな...!そんな事って...!)

杏子(もしかして...あいつはまだ、標的なんじゃねーのかよ!)

杏子「悪い!マミ!ちょっと待っててくれ!」

マミ「...」

マミ「...何なのよ...もう...」

杏子「...くそっ!くそっ!!」ダダダダ





さやか「あー、久々に気分いいわぁー」

ほむら「...大丈夫?まどか」

まどか「...ひっぐ...ぐすっ...」

さやか「まどかぁ、聞かなかった?今度は爪じゃ済まさないって」

まどか「...ざやが...ちゃん...」

ほむら「...」グイッ

まどか「...」

ほむら「...帰るわよ、まどか」

まどか「...え?」

さやか「そう簡単に返すと思ってんの?」

さやか「あんたも標的だよ、てんこ」ドゴォ!!!!

ほむら「...どきなさい」

まどか「ほ、ほむら...ちゃ...」

ほむら「行くわよ、まどか」

まどか「...うううぅ...痛いよぉ...」

まどか「...どうして...?」

まどか「...もう...終わったんじゃないの?」

ほむら「...魔法は消えてはいなかった」

ほむら「...彼女達を解放するには、あまりにも長くあの魔女の魔力下に居すぎた」

ほむら「...文字通り...根付いてしまった」

まどか「...そ、んな...!」

ほむら「...大丈夫...大丈夫よ...」

ほむら「...私だけは何があっても...あなたの味方で居続けるから...!」

杏子「...ほむら!」

ほむら「...杏子」

杏子「...まどかは!?」

ほむら「...」

まどか「...うっ...ううぅ...ぐすっ...」

杏子「...まど、か...」

まどか「...ひっぐ...ひっく...ぐすっ...」

杏子「...」

杏子「...もういい」

杏子「...分かった」

杏子「...辛かったな、まどか」

杏子「...大丈夫...あたしが」

杏子「...あたしがそいつらを殺してくるから」

杏子「...だからお前は笑っててくれ」ニコッ

ほむら「...杏子!」

杏子「止めんな」

杏子「...もういいんだよ、もう」

杏子「...結局あたしたちじゃ、何も出来なかった」

杏子「...まどかにとって、この街はもう敵だ」

杏子「...だったら、あたしは」

杏子「...まどかの味方のあたしは...」

杏子「...この街をぶっ壊すしか...」シュルルル

杏子「!?」

マミ「...話はよく分からないけど、そんな事はさせないわよ」

杏子「...マミ...!!!!」

ほむら「...巴...マミ...」

まどか「ひっ...!!!」

マミ「...」

マミ「...あなたは...?」

ほむら「...!」

ほむら「...あなた...!彼女を見て何も思わないの...!?」

マミ「...?えぇ...」

杏子「...マミだけが、例外だ」

杏子「...魔法少女は、魔法さえ消えれば、その後影響は受けねぇ」

杏子「...そういう事なんだろ」

ほむら「...そう」

マミ「...大丈夫...?」

まどか「...やだ...来ないで...」

マミ「...えっと」スッ

まどか「...来ないで!!!」

マミ「...」ビクッ

まどか「...もうやだよ」

まどか「...もう、分かんないよ」

まどか「...私は...」

ほむら「...」

まどか「...何も悪いことなんか...してないのに...!」

ほむら「...まどか」

まどか「...みんな...みんな」

まどか「...私を虐めた人たちみんな...!同じ目に合えばいいのに!!!!」

ほむら「...っ」

杏子「...」

マミ「...」




まどか「もう...嫌だよぉ...」




杏子「...」

ほむら「...」

マミ「...」

杏子「...まどかは?」

ほむら「...寝室から出てこないわ」

杏子「...そっか」

杏子「...あいつ、ずっと我慢してたんだ」

ほむら「...当たり前よ」

ほむら「あんな...辛い...!」

杏子「...なんて言えばいいのか...分かんねぇよ」

杏子「...あたしは、どうすりゃいい」

杏子「...あの魔女を倒せば、まどかは普通に生きていけると思ってた」

杏子「...でも、その方法が無いんだろ?」

杏子「まどかを本当に救う方法は、無いんだろ?」

ほむら「...」

マミ「...ねぇ、貴方達何を言ってるの?」

マミ「...彼女は、見たところとてつもない素質を秘めているようだけど...」

マミ「...それに関係しているの?」

ほむら「...そうね」

ほむら「...教えるわ」

マミ「...そんな、事が...」

ほむら「...あなたのここ数カ月の記憶がない理由も...分かるわね?」

杏子「...」

杏子『...何でマミに魔女化のことを伏せてんだ?』

ほむら『...マミと付き合いの長いあなたなら予想はつくでしょう』

マミ「...そんな、酷すぎるわよ...」

マミ「...余りにも...」

ほむら「...この街から出ていくのは簡単よ」

ほむら「...彼女がそれを望むなら、私は手を貸す」

ほむら「...だけど、この街は...」

ほむら「...いくらひどい仕打ちを受けても...あの子が生きてきた町なのよ」

ほむら「...数ヶ月に及ぶ、彼女に対しての様々な暴力に、彼女が耐えることが出来たのは」

ほむら「...それ以前の大切な思い出があったから」

杏子「...だったら...なおさら残酷じゃねぇか...」

ほむら「...そうね」

マミ「...魔女に標的にされた...たったそれだけの事で...こんな事になるなんて」

杏子「...」

マミ「...決めたわ」

マミ「私も手伝う」

杏子「...はぁ!?」

マミ「...私もあなた達を手伝うわ」

杏子「あ、甘い事言ってんじゃねぇ!あんたあの現場を見たことあんのか!?」

杏子「...とても耐えられるもんじゃ...!」

マミ「...佐倉さん」

マミ「...あなた、変わったわ」

杏子「...はぁ?」

マミ「...確かに芯の...優しい心根の部分は変わってはいないけれど」

マミ「...あなたは、人の為に何かをしようとはしなかった」

杏子「...言ってる意味がわかんねーな」

マミ「そう?じゃあ丁寧に教えてあげる」

マミ「...あなたを変えた、彼女達と、話してみたい」

杏子「...!」

マミ「暁美ほむらさんと、鹿目まどかさんと」

マミ「私は、語り合いたい」

マミ「...これまでのこと、そして、これからのこと」

杏子「...ば、ばっかじゃねーの...」

マミ「馬鹿でも構わないわ」

マミ「私は、貴方達と、お友達になりたい」ニコッ

ほむら「...」

ほむら「...その言葉を、まどかにも言ってあげて」

マミ「えぇ...」

杏子「...」





まどか「...もうやだよ」

まどか「...嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ...」

まどか「...私は、悪くない...!何もしてない...!」ガタガタ

しょうがないさ、この世界は君みたいな優しい心の持ち主ほど

被害を被るように出来てるからね

まどか「...方法はないの...!?私...ずっとこのままなの!?」

そうだね

死ねば助かるんじゃないかな?

まどか「...っ!」

まどか「...死...ぬ...」

まどか「...それは、嫌だよ」

へぇ、君はこの現実が嫌なのに、今ある中で1番簡単な選択をしないんだね

まどか「...」

だけど、君は運がいい

まどか「...え?」





「君には、願いを叶えるチャンスがある」

「もし、その魂を差し出して、この地獄のような現実から抜け出したいのなら」

「例え、いずれは魔女になってしまうとしても、それでも叶えたいのなら」

「僕は叶えてあげられる」

まどか「...Q...B...」







QB「だからまどか」

QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

学校

ほむら「...」スタスタ

杏子「...」

杏子「...まどか、置いて来ちまったな」

ほむら「...いいのよ、たまには休まないと」

杏子「...お前は平気か?」

ほむら「あらあら、随分と弱く見られたものね?」

杏子「...何かあったらすぐに呼べ、約束だぞ」

ほむら「...ふふ」

ほむら「えぇ、そうね、約束よ」

さやか「あっれぇ?転校生?」

さやか「今日はあいつと一緒じゃないの?」

ほむら「...」

さやか「...無視すんなよ!」ビシャァ!!!

ほむら「...」ポタポタ

ほむら「...ふふ」ファサッ

ほむら「...まどかが居ないから、今度は私?」

ほむら「安い人間ね?美樹さやか」

さやか「...」プチッ

さやか「...そうやってさぁ、上から目線で物言うの、止めときなよ」

さやか「...ふふ、その顔、見られなくしてあげる」

ほむら「...」

「おら、動くなよ」ガシッ

「きゃはは、怖くてブルってる~?」

ほむら「...」

さやか「...怖い?あはははは!なにか言う事は...!」

ほむら「...ペッ」

さやか「...」

ほむら「...あなたってホント、愚かだわ?」クスクス

バキィッ!!!!


さやか「やってくれんじゃん!根暗がさぁ!!!」

ほむら「...」

さやか「...よ~し、あんたが泣いて謝るまで人間サンドバックだ」

さやか「...いや、泣き喚いても止めないかなぁ」バキィッ!!!!

さやか「ほっんっとっ!ムカつくなぁ!!」ドゴッ!バキッ!!

ほむら「...」

さやか「...いつもいつもあんなやつの味方でさぁ!」バキッ!!

さやか「分かんないの?あいつはさ、いじめられてるんだよ!」

さやか「死んだ方がいいんだよ!」バキィッ!!!!

さやか「...っはあ...はあっ...!」

さやか「ふふふ、美人な顔が台無しだね」

ほむら「...」

ほむら「...終わり...?」

さやか「...あ?」

ほむら「...こんなくだらない事で私を屈服させることができると思ってるの?」

ほむら「やるなら、殺してみなさいよ、この意気地なし」

さやか「...」ブチッ!!!

さやか「上等だよ!この女ぁ!!!」ガシッ!!!

ほむら「...つっ...!」

さやか「もういい、あんたの顔グチャグチャにするまで止めないから」

さやか「このぉっ!!」グンッ!!

ほむら「...いっ...!!」ブチブチブチブチ

さやか「所々髪の毛引きちぎって斑ハゲにしてやるよ!!あはははははははははは!!!!!!!!!」

まどか「...もう」タッタッタッ

まどか「...酷いよ...二人しておいていくなんて...」

まどか「...大丈夫」

まどか「...ほむらちゃんと、杏子ちゃんが居れば...私は」

まどか「...魔法少女にならなくたって...生きていけ...!」

ガシャァァァァン!!!!

まどか「ひゃ!?」

まどか「...何の...音...?」





「あはははははははははは!!!!綺麗な髪の毛が台無しだね!転校生!!!!」

「どう?女として生きていきたいなら、ここらで謝り時かもよ?」

「あっははははははははははははははははは!!!!」


まどか「...何、これ...?」

まどか「...髪の毛...?」

まどか「...お、おかしいよ」

まどか「...この、量...」

まどか「...でも、これって...!!」

ガラッ!!

さやか「ほらほら!!!もう無い方が多いじゃん!!!はははははははははは!!!!」

ほむら「...」

まどか「...」

まどか「...誰...?」

ほむら「...ま、どか...」

まどか「...嘘、だよね?」

まどか「...ほむ、ら...ちゃ...」

ほむら「...」

さやか「まどかおっそーい」

さやか「これ、なんだと思う?」パラパラ

まどか「...これ...」

さやか「あいつの、か、み、の、け」

さやか「...ぷっ...あっははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!」






まどか「...」

まどか「...もう、ダメだ」

まどか(自分自身に起こることなら何でも耐えられるって、そう思ってた)

まどか(どんなに辛い状況でも、前を向くことだけは止めなかった)

まどか(私は、自分だけには負けないように精一杯生きてた)

まどか(...だけど、もう、ダメだよ)

まどか(これは)

まどか(許されない)

さやか「聞こえてる~?」

さやか「あんたに植毛してやるよ!これぇ!!!!」





まどか「...QB」

QB「...やあ」

ほむら「...まど...か...!それは...ダメ...!!」

さやか「...何こいつ?ペット?」

まどか「...」

まどか「殺せる力が欲しい」

QB「...僕の聞き違いかな」

まどか「...私の大切なお友達を、こんなふうにした」

まどか「...ううん、ゴメン...もう止められない」

まどか「...私をいじめてきた人間全てを!!殺せる力が欲しい!!!!!」

まどか「復讐してやる!!!」

QB「そうかい...それは君の魂を差し出すに足るものかい?」

まどか「...魂でも何でも、差し出すよ」

まどか「だから、私に!!!」


ほむら「ダメェェェーーーーーー!!!!」









「私を、いじめてきた人間全てに、私以上の地獄を教えてあげてよ」










グチャッ!!!!









「私を、いじめてきた人間全てに、私以上の地獄を教えてあげてられる力を頂戴」










グチャッ!!!!





ほむら「...あ、あ...」

まどか「...Q...B...?」

さやか「なななな、何なのよ...!あんた...!」

ほむら「...き...こ...」ガクッ

杏子「...あぶねーな、バカ野郎」

まどか「...杏子...ちゃん...どうして」

杏子「こいつを殺すしかお前の契約を止める方法がなかった」

まどか「...どうして...邪魔するの?」

杏子「...バカ野郎...まどか...」コツン

杏子「...辛い時は、頼れよ...」

杏子「...そんな、下らない願いなんて叶えるな」

杏子「...お前は、もっと、優しいだろ?」

杏子「...頼むから、馬鹿なこと考えないでくれよ」ポロポロ

まどか「...」

さやか「あ、あんた...!」

杏子「黙れ」

杏子「お前は口を開くな」ズバァッ!!!

さやか「...あ、え...?」ドサッ

まどか「...杏子...ちゃん」

杏子「...大丈夫、傷は浅いよ」

杏子「...帰ろう、まどか」

杏子「...そいつも大丈夫さ」

杏子「魔力を使えば、傷は治る」

まどか「...ほむらちゃん...」

ほむら「...」

まどか「...ほむらちゃん...ほむらちゃん...ほむらちゃん...!!」ギュッ

杏子「...」




マミ「...あ...」

杏子「...よう」

杏子「...今帰ったぜ、マミ」

マミ「...!ひ、酷いキズ...!」

杏子「手当してやってくれよ...こいつ、もうソウルジェムも真っ黒なんだ」

マミ「...えぇ...」

杏子「...はは、抜け目ねぇな、QBの奴...」

杏子「...ちょっと、あたしも疲れた」

杏子「...寝てくる」

マミ「...」




「おいおい聞いたか?」

「うんうん、知ってる」

「学校に不審者が侵入でしょ?」

「それにさやかちゃんが斬られたって...」

「物騒だなあ」

「さやかちゃん、無事かな?」

「さあ」 






さやか「...許さない許さない許さない」

さやか「...何なのよ...あいつ...!」

さやか「何なのよ...!何なのよ...!」

QB「知りたいかい?」

さやか「っ!?」

QB「知りたいなら教えようか?」

さやか「あん、た...さっき死んだはずじゃ」

QB「うん、さっきの固体はね、だけど僕達インキュベーターに明確な死は存在しない」

QB「絶対にありえないけど、強いて挙げるなら種の絶滅かな」

さやか「...さっきの、あいつは何?」

QB「...佐倉杏子かい?」

さやか「あの赤い髪の毛の奴しかいないでしょ!!」

さやか「何も無いところから...槍を出して...意味わかんない...!」

QB「それはね、彼女が人知を超えた力を持つ、魔法少女だからさ」

さやか「...はぁ?」

さやか「...馬鹿馬鹿しい...魔法なんてあるわけが...」

QB「ふうん、僕達のような小動物が人間の言葉を喋ることは有り得るのに?」

さやか「...」

QB「彼女達はね、その願いと引換に、魔法という力を授かった存在なのさ」

さやか「はぁ?引換になってないじゃん、それ」

QB「言葉が足りなかったね、魔法という力を駆使して魔女を倒す使命を負う、という事が対価だよ」

さやか「...」

QB「僕の言葉を信じるかい?」

さやか「...」

さやか「...それで?」

QB「...え?」

さやか「あんたはわざわざ私にそれを教えるために来たっての?」

QB「随分荒んでるね」

さやか「...」

QB「君さえ良ければ、魔法少女にならないかなと思っただけさ」

さやか「...は?」

QB「君は僕が見えているんだ、素質としては充分だよ」

さやか「...私も...あいつみたいになれるってこと...?」

QB「君さえ望めばね」

さやか「...」

さやか「...くひっ...はははは」

さやか「...それってさぁ、どんな願い事でも叶えられるの?」

QB「願い事に関しては、僕達は口出ししないよ、助言はするけどね」

さやか「...あはは」

QB「...?」

素質あってそれが低くても願い事次第では強くなれるし(ほむらがいい例)このさやかの願い事次第では杏子やほむらがヤバイな

あ、でもほむらは停止能力あるし…でも多少ラグあるからそこを反逆さやかみたいに剣で押さえられたら詰むか?

さすがにこのさやかには恭介の腕を治すなんて願いは頭の隅にもないだろう

さやか「だったら、私に教えなさいよ」

QB「...?」

さやか「「まどか」についての事を全部教えなさい!」

QB「...そんなことが君の望みなのかい?」

さやか「ふっ、あははは!そんなこと!?」

さやか「あいつが隠してること、何もかも全て私が握ってやるんだよ!」

QB「...」

QB「彼女が憎いなら、魔法の力で殺せばいいじゃないか、魔法を使えば完全犯罪なんて...」

さやか「分かってないなぁ、あんた」

さやか「自分が殺されるって分かってる奴を殺して何が面白いのよ」

さやか「サイッコーにむかつく奴をじわじわ追い詰めて、勝手に死んでいく姿を見るのが楽しいんじゃない!!」

QB「...なるほどね」

QB「僕には、感情なんてないけれど」

QB「人間の価値観で言えば、君は最低だ」

さやか「最低で構わないっての!」

さやか「さぁ!叶えるの!?叶えないの!?」

さやか「いいや、叶えろよ!インキュベーター!!!!」

QB「...」

QB(...とてつもない素質を持つ鹿目まどかが契約せずに死んでしまう)

QB(そんな危険性が少しだけ増えてしまったけれど、まぁ些細なことだ)

QB(...それに、彼女が魔法少女になる事には大きな意味がある)

QB(...まどかのことをすべて知りたいか)

QB(...それをすべて知った時、君はどうするんだろうね、美樹さやか)

QB(見ててあげるよ、それが僕らの役目だからね)



QB「契約は、成立したよ」

さやか「...」

さやか「...あ、れ...?」

さやか「...私、何して...?」

QB(その状況だと、当然そうなるよね)

さやか「...え...あんた...何...?」

QB「...僕は、QB」

QB「...君はたった今、僕と契約をして、魔法少女になったんだ」

さやか「...」

さやか「...思い出せない」

QB(記憶の混乱、まぁあのマミでさえ見られたんだからね)

さやか「何...魔法少女...?」

QB「ふう、君は忘れてしまったのか」

QB「じゃあ、教えてあげるよ」

QB「君の願い事は「鹿目まどか」についての全てを知ることだ」





さやか「まど、か...?」

さやか「...は?...え...?」

痛いならさぁ!痛いなりに喚いてみなよ!






さやか「...何が...何で?」

さやか「...これは...私...?」

QB「間違いなく君だよ」

QB「頭でも打ったのかい?記憶が喪失しているようだけど」

さやか「あ、あんた...何言ってんの?」

さやか「...わ、私が...まどかにそんな事するわけが...」




さやかのやつが今度は爪では済まさねーってさ




さやか「...うぐっ...!!」

さやか「...おえええええええっ...!!!」ビシャビシャ!!

このまま魔法少女になったので今までのことは覚えてません!なので許してください!じゃ済まないしどんな展開になるか楽しみだ

さやか「...意味わかんない...!だって私は...まどかの...」

QB「まどかの、何だい?」




あっははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!




さやか「イヤッ...!!イヤッ...!!いやぁっ!!!!」

QB(かなり都合のいい展開だ、これで彼女のエネルギーは回収できたと言っても過言じゃない)

さやか「いやぁぁぁぁぁぁああああーーーっ!!!」

さすがとしか言えない有能ぷり

杏子「...」

ほむら「...」

マミ「...」

ほむら「...あ、その...マミ...」

マミ「なぁに?」

ほむら「...ありがとう」

マミ「...」

マミ「いいわよ、別に」

マミ「...元に戻ってよかったわ、綺麗な髪の毛だもの」ニコッ

ほむら「...」

杏子「...おい、ほむら」

ほむら「...」

杏子「...なんで、約束を破りやがった」

ほむら「...」

ほむら「...それ、は...」

杏子「...言ったよな?やべぇ時は呼べって」

マミ「...佐倉さん...暁美さんにも...」

杏子「事情があるからなんだってんだよ」

杏子「...お前は、まどかに同じ事をされて平気なのかよ」

ほむら「...」

杏子「...巻き込みたくないとか、迷惑をかけたくないとか、そんなこといちいち考えんな」

杏子「...されて嫌な事なら...二度とすんな」

ほむら「...」

杏子「二度とすんなっ!!!」

ほむら「...ごめん...なさい...」

杏子「...グスッ...」

マミ「...あら?」

マミ「...変な気配...」

ほむら「...え?」

マミ「...この街に魔法少女は3人しかいないのよね?」

杏子「...?あぁ...」

マミ「...だとしたら、この反応は...魔法少女ではないってこと?」

マミ「...新手の魔女?」

ほむら「...!!」

杏子「...いや、違う」

杏子「...この反応は...魔法少女だ、魔女じゃ、ねぇ...」

ほむら「...」

ほむら「...美樹...さやか...!」

杏子「...美樹...?」

ほむら「...かなり、厄介ね」

ほむら「...もし、マミが正気に戻った原因が魔法少女であるということではないとしたら...」

ほむら「...もし、さやかがあのさやかのまま、魔法少女になったとしたら...!」

杏子「誰だよ...そいつ!」

ほむら「...あなたが切った女の子よ...」

杏子「...!!!!」

ほむら「...まどかが、危ない...!」

杏子「...くそっ...!!」

さやか「...」

さやか(...まどかの、家...)

さやか「...ここに、まどかはいる...」

QB「君はその記憶を信じないつもりかい?」

さやか「...当たり前でしょ...!まどかが私の知らない転校生の家にいる訳ない...!」

さやか「まどかは、自分の家に...!」


ガチャ

 
詢子「...おう、さやかちゃん、どうした?」ニコッ

さやか「...」ドクンッ

さやか「...あ、あの...」

詢子「うん?」

さやか「...その...!」

さやか(...声が震える...)

さやか(...目が泳ぐ...)

さやか(...そんなはずない...!私は...!!)

さやか「...まどかは、居ますか...?」

詢子「...」

詢子「...あー」
 





詢子「悪い、どこか行ったっきり帰ってこないんだわ」

さやか「...っ...」

さやか「...いつ、帰ってきますか?」

詢子「...さぁ、分かんない」

さやか「...そ、それは...」

詢子「ん?」

さやか「...「今日は」...っていう意味ですよね...!?」

詢子「...」

詢子「...ぷっ...あはは、マジな顔しちゃってまぁ」

さやか「...!」



詢子「あいつなら、三日前か四日前から見てないよ」

さやか「...」ズキィッ!!!

さやか「...はぁっ...はぁっ...はぁっ...!!!」

詢子「そもそもさー、私あいつ嫌いなんだよね」

詢子「娘と思ったことなんか、1度もなあさ」

詢子「あ、タツヤは違うけどね」

さやか(...嘘だ...)

さやか(...嘘だ嘘だ...嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ...嘘だ!!!)


ダッ!


詢子「お、おい、さやかちゃん!?」

さやか(有り得ない!有り得ない...!!!!)

さやか(こんな記憶...嘘だ!!!)

さやか(...こんな...現実嘘だ!!!)

さやか「わ、私は...!まどかを傷つけてなんかいない!」

さやか「だ、だって...!まどかは私の親友で...!」

さやか「帰り道には、一緒にアイスを食べたり...!CDショップに行ったり...!」

さやか「...私の悩み事や、あいつの悩み事を聞きあったり...!」

さやか「...それで、それで...!!」

QB「誰に言っているんだい?」

さやか「...っ!!」

詢子「娘と思ったことなんか、1度もなあさ」
詢子「あ、タツヤは違うけどね」

この世界ではタツヤは女の子の可能性があるのか

QB「いいや、違うね」

QB「君は、言い聞かせてるんだ」

QB「信じられないから、そんな自分が」

QB「だけど、心のどこかで、彼女を傷つけたのは自分だという確信があるから」

QB「君は自分に言い聞かせたんだ」

さやか「...」

さやか「...私は、本当に...」

さやか「...まどかを、あそこまで...!」

QB「標的を仕留めるには、まず近しい立場の者を引き入れればいい」

QB「あの魔女なりの、策だったんだ」

QB「不運だね、君はまどかに近すぎた余り、まどかをあれ程まで傷つけてしまった」

QB「近しいものに裏切られた時の絶望は、想像を絶するらしいからね」

さやか「...」

タッタッタッ

さやか「...」

さやか「...あんた...」

さやか「...暁美、ほむら...」

ほむら「...はぁっ...はぁっ...!!」



これ、なんだと思う?

あいつの、か、み、の、け


さやか「...そっか」

さやか「...私、あんたにも...酷いことしたんだ...」

さやか「...うぐっ...おぇえ...!」

ほむら「...」

さやか「なるほど...殺しに来たってわけ...?」

ほむら「...」

さやか「そりゃ、そうだよね」

さやか「...もう分かってる、これは、私が本当にやったこと」

さやか「手のひらだったとは言え、踊ったのは私」

さやか「...あははは、あはははは」ポロポロ

ほむら「...」

さやか「...なんで、そんな顔するのよ...」

さやか「...知ってる?私ってば、まどかをもっと深い絶望に落とすために」

さやか「まどかの全てを知りたいって願ったんだって」

さやか「...きっと、それが私の本質なんだよ」

さやか「...いや、そうじゃないのかもね...でも、もう、分かんない...」

ほむら「...」

さやか「...殺しなさいよ...!私を...殺し...!」


コロッ


ほむら「...使いなさい」

さやか「...は?」

ほむら「...それを使って、ソウルジェムを浄化しないと...あなたは死んでしまう」

ほむら「...今更嘘をついて、あなたを騙そうなんてしないわ」

ほむら「...浄化しないと...本当に死ぬわよ」

さやか「...だからっ...!死にたいって言ってるのよ...!」

さやか「私は、死にたいのよ...!!」

ほむら「...」

さやか「...あれだけ酷いことをした私に生きる価値なんてない!」

さやか「まどかも...!それを望んでる...!」

ほむら「...あなたは契約によってまどかのすべてを知ったんでしょう!?」

さやか「...っ!」

ほむら「だったら...!分かるはずでしょ!」

ほむら「...まどかは今でも...あなたの帰りを待っている...!」

ほむら「...それが分かっていながら...殺してだなんて...!」

ほむら「貴方はどこまで彼女を傷つければ気が済むの!?」

さやか「...」

ほむら「まどかについて全て知っているなら、それについても知ってるでしょう...!」

ほむら「...魔女の卵...グリーフシード...それを使わないと...あなたは...!」

さやか「...馬鹿」

さやか「...馬鹿だよ...まどかも、あんたも...」

ほむら「...」

さやか「...何だって...こんな私を信じるの...?」

ほむら「...あなたが、美樹さやかだからよ」

さやか「...」

さやか「...そっか」

さやか「...まどかは、許してくれるかな」

ほむら「...そんなこと知らないわ、あなたが決めることよ」

さやか「...そっか、そっか...」ヒョイ

ほむら「...」












さやか「でも、これは受け取れない」ヒュッ

ほむら「...っ!?」

さやか「まどかは私をきっと許してくれる」

さやか「...最低な私でも、受け入れてくれる」

さやか「でも、それじゃダメなんだ」

ほむら「...あなたっ...まさか...!」

さやか「踊らされていたとはいえ、あいつの人生を踏みにじったのは、私」

さやか「だったら、私も...」

さやか「...残りの人生、残りの全てをかけてまで償わないと...割に合わない」ニコッ

ほむら「それ以上呪わないでっ!ソウルジェムが...!!!」

さやか「私を糧にして」

さやか「まどかの大切な友達であるあんた達の、糧にして」ピキピキ

ほむら「さや...!」



ビキビキビキビキビキ

パリンッ






オクタヴィア「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

ほむら「...美樹っ...さやか...!!」

オクタヴィア「...オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

ほむら「...馬鹿...馬鹿...!!」

オクタヴィア「...オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

ほむら「...」

ほむら「...お前は...」

ほむら「...お前は、断じてさやかじゃない」

ほむら「...お前は...「あの」さやかよ」

ほむら「...馬鹿ね」

ほむら「...不器用過ぎるわよ...!」

オクタヴィア「アアアアアアアアアア!!!!」

ほむら「あああああああああああ!!!」ズガズガズガズガ!!!

ほむら(ねぇ、知ってるかしら)

ほむら(...あの子はね、寝ている時、何時だってあなたの名前を呼んでいた)

ほむら(私でもなく、杏子でもなく、たった1人、あなたの名前を呼んでいた)

ほむら(羨ましかったわよ、でもそれ以上に、悲しかった)

ほむら(呼べば呼ぶほど、その名前は自分自身を傷つけた人間を指しているという事を、思い出してしまうだろうから)

ほむら(あなたは、どうかしら?)





「私も、悲しいよ」




ほむら「...」

ほむら「そうよね」



ボカァァァァン!!

オクタヴィア「...アアアア...アアアア...」




コーン...





ほむら「...」

ほむら「...」ヒョイ

ほむら「...聞こえる?さやか...」ギュッ

ほむら「...私が、あの子を守るから」

ほむら「...きっと、ワルプルギスの夜を超えてみせるから」

ほむら「...だから、安心して、眠りなさい」ニコッ







杏子「...」

マミ「...」

マミ「...魔法少女は、魔女になるのね」

杏子「...あぁ」

マミ「...私達は、QBに利用されていたに過ぎないのね」

杏子「...だな」

マミ「...」

杏子「だけど」

杏子「...そんなこと、気にもしないで、前を向くやつがいる」

杏子「自分にとっての世界すべてに裏切られても、諦めなかった奴がいる」

マミ「...」

杏子「...あたし達が、諦められるわけがねーよな?」

マミ「...そうね」

杏子「...マミ、やるぞ」

マミ「...」

杏子「...この世には、救いがあるって事を、あのクソインキュベーターに見せてやろう」

マミ「...えぇ...!」






杏子「諦めない限り、この世に希望は残ってるんだ!!」





QB「へぇ、なるほど」

QB「暁美ほむらが、美樹さやかに手を差しのべるとは思っていなかったな」

QB「人間というのは本当、理解に苦しむよ」

QB「だけど、そうか」

QB「これがあるから、君たちの生み出すエネルギーは膨大なんだね」

QB「分かったよ」

QB「よく、分かったよ」




QB「立ち直らせるわけには行かないんだ、まどかを」

QB「彼女は絶望の中で、魔法少女になって」

QB「世界を呪いながら死んでいくべきだ」

QB「この世に希望はあるよ、でもね」

QB「行き着く先は、絶望だけさ」

上條ちゃう上条だぞ
仁美はさやかに変わるまどか虐めの主犯になりそう

ほむほーむ


ほむら「...」

ほむら「...はっ」

まどか「えへへ、おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「...おはよう、まどか」

まどか「...昨日もずいぶん遅かったね?何してたの?」

ほむら「...ふふ、色々、よ」

ほむら(...美樹さやかが行方不明になってから、1週間)

ほむら(...結局私たちを取り巻く環境に変化はなかったけれど)

ほむら(...それでも、美樹さやかの最後をまどかに伝えて)

ほむら(...まどかは、少しだけ、変わった)




杏子「おいおい、あたし達も居るんだぞ」

マミ「...本当に、この熱さには参った物ねえ」  

まどか「ふ、二人とも...!」

ほむら(それがどのような変化かは、わざわざ述べる必要も無い)

まどか「...ほむらちゃん...?」

ほむら「え?」

まどか「ボーッとしないでよぉ」

ほむら「わ、悪かったわ」

杏子「...にしても、恐ろしいくらいQBからの接触がねぇな」

マミ「そうねぇ...あ、紅茶飲む人ー」

杏子「おーう」

まどか「はーい」

ほむら「...頂くわ」

マミ「ふふ、待っててね」

杏子「...また、腕上げたな」

ほむら「...」

まどか「美味しいですよ、マミさん!」

マミ「ふふ、そう?」

まどか「ええ!毎日でも飲みたいくらいです!」

杏子「毎日飲んでるだろ」

まどか「あ...えへへ...」

ほむら「ふふ」

マミ「もう、鹿目さんたら」

杏子「へへ」

ほむら「...」クスッ




ほむら(...束の間の幸せだけれど)

ほむら(...だけど、もう少しだけ、続いて欲しい)

ほむら(...大好きよ、まどか)ニコッ

まどか「...!」

まどか「そ、そんなに見つめないでよ...!ほむらちゃん...!」

ほむら「ふふふ」

ーーーーーー

まどか「...起きてよぉ...!起きてよぉ...!ほむらちゃん!!!」

まどか「...杏子ちゃん...!!マミさん...!!」

まどか「...どうして...どうして...皆起きないの...!?」

QB「起きたくないからさ」

QB「幸せな夢を見ているあいだは、誰だって、邪魔をされたくないだろう?」

まどか「...QB...!...やっぱり...!あなたの仕業なんだね...!」キッ

QB「彼女達のソウルジェムを外界から遮断した」

QB「これでもう外界へ魔力を放出することも出来ない」

QB「微量な魔力の消費は、魔法少女にとって新陳代謝のようなものだからね」

QB「異常を感じたソウルジェムは自らの身を守るため、魔法少女の体全体を睡眠時の様な状態へ半ば無理やり移行させる」

QB「勿論、魔力を抑え込むというこの技術も完璧ではない」

QB「だけど、ここで彼女達に幸せな夢を見せることが出来たなら」

QB「...辛い現実を生きている彼女達はきっと、気が付けない」

QB「それがまやかしであると言う可能性に」

QB「結果としてソウルジェムは見事に騙され続け、この様に身動きひとつ取れない状況に陥る」

QB「さぁ、見せてもらうよ」

QB「二週間後に来る、最悪の結末を、君1人でどうやって回避するのかをね、鹿目まどか」

まどか「...っ!」

QB「仕方が無いだろう?君が絶望しなかったんだから」

QB「さぁ、そろそろおしまいにしよう」

まどか「...起きてっ...!起きてよっ!...」



まどか「...ほむらちゃん...!!!!」

ここまで


まどかが苛められるシーンが好きなヤツ
残念だけどここからはあんまりそんなシーンはない


次で最後にしたいです
お疲れ様でした

おつん、虐待とか虐めとか嫌いだけどまどかの場合だとなんかゾクゾクする

知久さんの場合は色んな意味でしにたくなるよな
愛娘にしかも中学校1年生に欲情してたわけだし

まどか「...」

まどか「...ほむらちゃんたち...大丈夫かな」

QB「だから大丈夫だって言ってるじゃないか」

QB「彼女達は、今のところ命の危険性はないよ」

まどか「...あなたが、言うの?」

QB「僕の言葉が信用出来ないのかい?」

まどか「...着いて、来ないで」

QB「...やれやれ」

QB「君1人で、耐えられるのかい?」

まどか「...今までだって...耐えてきたもん」

QB「...ふうん」

まどか「...」

ガラッ

まどか「...」スタスタ

まどか「...」

まどか「...つっ...」

仁美「...」クスクス

まどか「...」

仁美「あらまどかさん、手を怪我しているようですね?」

まどか「...」

仁美「私が、巻いて差し上げますわよ、絆創膏」

まどか「...」

仁美「...ほらっ...!」グイッ

まどか「...きゃっ...!」

仁美「人の好意は素直に受け取るのが普通ではなくて?」ギリギリ...!

まどか「...っ...」

まどか「...仁美ちゃん」

仁美「...何でしょう」

まどか「...ふふ」

仁美「...」

まどか「...さやかちゃんは、きっと私を苛めることが、気持ちよかったんだと思う」

仁美「...は?何を...」

まどか「...みんな私をいじめるけれど、理由は人それぞれだった」

仁美「...」

まどか「...私が怖いんでしょ?」

仁美「...」ピクッ

まどか「...どれだけ苛められても、泣き喚いても、それでも学校に来る私が、怖かったんでしょ?」

仁美「...何を...!」

まどか「...残念だけど、私は来るのを止めないよ」

まどか「...これからも、何ら変わることなく、来続ける」

仁美「...上っ等ですわ...!この女...!」

バキッ!

まどか「...ぐえっ...!」

仁美「よりにもよって志筑家の跡取りである私に向かって...良くもそんな口を...!」ギリギリ

まどか「...ぁ...かはっ...えぇ...!」

仁美「...」ズボッ

まどか「...うぇっ!!!!」

「...ひえー」

「人の口ってあんなに深くまで入るんだ」

「仁美ちゃんも良くやるよ、あれじゃ手が気持ち悪いでしょ」

仁美「よよ、よ、よりにもよって...!人間の中でも最底辺の、あ、あ、あなたが...!」グチュグチュ

まどか「あがっ...!!ごえぇ...!!!」

仁美「誰に向かって、その口を開いて居るのでしょう!」

まどか「...~~~!!」ガクガク

仁美「...」ズボッ

仁美「...後悔させますわ、まどかさん」

仁美「失神なんかじゃ済ませません、あなたの心をへし折ってあげますわよ」

まどか「...」ビクッ!ビクビクッ!!

仁美「...チッ!」





QB「...やあ、お帰り」

まどか「...」

QB「ひどい有様だね、よっぽどこっぴどくやられたようだ」

QB「...僕には理解出来ないね、手を伸ばせば届く距離に希望があるのに」

まどか「...」

まどか「...私は、強くなるの」

QB「...?」

まどか「...どれだけ苛められても、それに耐えてみせる、ほむらちゃんたちが目を覚ました時に安心してもらえるように...」

まどか「...私は、屈しない...」ガタガタ

QB「...」

QB(...そんな君を忘れてこの3人は甘い夢の中で現を抜かしてる)

QB(全く、本当に愚かだよ、君は)

QB(どうせどう足掻いたところで、君の人生は標的にされた時に終わっていたって言うのにさ)

ーーーーー

ほむら「...とうとう」

ほむら「...とうとうワルプルギスの夜を乗り越えたのね...?」

杏子「あぁ...そうみたいだな」

マミ「余裕の勝利って訳ではないけどね」

ほむら「...やった...?」

ほむら「...本当に、私はもう...繰り返さないで済むの?」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「...ま、どか...」

まどか「...頑張ったね」ギュッ

ほむら「...!」

ほむら「...うぅ、うううううう...うううううううう!!!」ギュゥゥゥ

ほむら(...暖かい、まどかは、ここにいる)

ほむら(魔法少女でも魔女でもなくて、死体でもない)

ほむら(...生きているまどかが、ここにいる...!!!)

まどか「...ありがとう、大好きだよ、ほむらちゃん」

ほむら「...うん、私もだよ」

ほむら「...あなたが、大好き」

杏子「...ったく、終わって早々これかよ」

マミ「...もう慣れたものだわ」

杏子「...なあ、マミ」

マミ「...なぁに?」

杏子「あたし、もう少しだけ頑張ってみるよ」

マミ「...?」

杏子「...あんたの隣で、もう一度だけ、人間として生きてみるから」

杏子「...その...」

マミ「...ふふ、いいわよ」

マミ「...お帰り、杏子」

杏子「...ただいま...マミ...さん...!」





ほむら(やったんだ)

ほむら(...ついに私たちはワルプルギスの夜を乗り越えた!)

ほむら(長い間願い続けていた奇跡が、やっと...やっと...!!)




「それが君にとっての、奇跡かい」

ほむら「...っ!?」

「やれやれ、何をしているのかと思ったら」

ほむら「...誰...?」

まどか「...ほむら、ちゃん...?」

「こんな下らない子供だましに引っ掛かるなんて、愚かもいいところじゃないか、暁美ほむら」

ほむら「...っ!」

ほむら「...誰なのよ...!お前は...一体...!」

杏子「...おいほむら...どうした?」

マミ「...暁美...さん?」

「僕らの奇跡を否定したのは、他でもない君たちじゃないか」

「君は、頭の中でしか再生出来ない幻惑を奇跡と呼ぶのかい?」

ほむら「...幻惑...?」

「気が付いてるはずだ、君なら」

「気が付きたくないだけなんだろう?だって、これがたとえ君の中だけで起こっている出来事だったとしても」

「それが立証出来ないのであれば、現実と大差ないからね」

ほむら「...」

「こんな物が君の望んだ奇跡だというのなら、僕は軽蔑する」

「こんな安い奇跡に、価値なんてない」

ほむら「...」

「そんな当たり前のことは、君たちが教えてくれたんだよ」

ほむら「...おま、えは...!」

ーーーーー

QB「...システムエラー...?」

QB「...いや、違う」

QB「...中核が、乗っ取られてる...?」

まどか(...ほむらちゃんから...光が...?)

「やあ」

QB「...」

「有り得ない、君達ならそう言うだろうね」

QB「...」

「一つだけ教えてあげるよ、君達は精神疾患にかかった個体の意識を、デリートではなく、リセットして使いまわしているようだけど」

「僕には、効かなかったみたいだ」

QB「...それこそ、有り得ない」

QB「...確かに精神疾患にかかった個体の意識は、それまでの情報の確保のために捕縛される」

QB「...リセットなんて生易しいものじゃない」

QB「...特に、感情という不安定なものをもった君が総体に戻ったのなら...」

QB「...無数にある個体の意識に押し潰される...!」

「推測だろ?絶対じゃない」

QB「...」

QB「...そうか、君は」

QB「...とっくに、そして」

QB「...僕らの想定以上に、故障していたんだね」

「はは」

「この感覚を、故障と呼ぶ君たちは、いつか彼女達に負ける日が来る」

「圧倒的な科学力を持ってしても、いつか必ず追い抜かれる」

QB「...」

「まどかばかりに目がいって、注意して見てなかったね」

「今度は、きちんと僕を消した方がいい」

QB「...」

「起きて、ほむら」

「そんなふうに都合のいい奇跡があったなら」

「少女は奇跡を望まない、魔法少女は生まれない」

「起きて、もう一度だけ君の目的を再確認するんだ...!ほむら...!!」



ーーーーー

ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら「...馬鹿ね、全く」

ほむら「...悪役のくせに、格好つけているんじゃないわよ」

ーーーーー




ほむら「...はぁっ...!!はぁっ...!はぁっ...」ガバッ!! 

ほむら「...はっ...はっ...」

ほむら「...まど、か...」

ほむら「...まどかっ!!」

まどか「...」

杏子「...うおっ...!!」ガバッ!!

マミ「...今のが...夢」

ほむら「...ごめん、なさい、まどか...」

まどか「...何言ってるの...!」

ほむら「...」

まどか「...さ、3人とも...疲れて寝てただけじゃない...!」

まどか「...ち、ちゃんと...待つことくらい...出来るんだからぁ...!!」ポロポロ

まどか「...ぐすっ...ひっく...うぇええ...!!」

ほむら「...」

ほむら「...そうね」ナデナデ

ほむら「...ありがとう、まどか、待っててくれて」

まどか「...うん...!うん...!」

ほむら「...」クルッ

ほむら「お前達は、どうしても、まどかを魔法少女にしたいようね」

QB「そうだね、それが僕らの目的だから」

QB「そして君に、まどかの願いを否定する権利はないよ」

ほむら「...そうかもね」

ほむら(...今までのまどかならいざ知らず、今回のまどかの願いを否定なんて出来ない)

ほむら「...けれど、お前の思うようにはさせない」

ほむら「まどかは」

ほむら「まどかは、幸せになる」

ほむら「そこをどきなさい、インキュベーター」

ほむら「そこにあなたは、要らないわ」

QB「...やれやれ」スッ





杏子「しかしさ、何であいつ私達まで眠らせたんだ?」

ほむら「...あいつは、まどかの支えを無くすために私たちを眠らせたわけではないわ」

ほむら「いえ、もちろんそれでまどかが絶望に落ちれば、それでも良かったんでしょうけど」

ほむら「...むしろ、あいつらの目的はその先」

ほむら「...この1ヶ月の最後を魔法少女無しで迎える事なのよ」

杏子「...?」

マミ「...?」

ほむら「もうすぐここに、ワルプルギスの夜がやって来る」

ほむら「最悪の魔女にして、災厄の使い、スーパーセルに揶揄される程の超弩級の絶望がやって来るのよ」

杏子「...!」

マミ「...ワルプルギスの夜...!!」

ほむら「...」

杏子「...なるほどな、あたし達が動けねぇってことは」

マミ「...鹿目さんの選択の余地を与えない」

マミ「...無理矢理にでも契約しようってことだったのね」

ほむら「...そうよ」

ほむら「...」

ほむら「...私と一緒に、戦って欲しい」

マミ「...」

杏子「...」

ほむら「...あいつには、文字通り敵がいない」

ほむら「...敵を敵と思わないからこそ、ワルプルギスの夜の進路に変更はない」

ほむら「...だから、逃げれば...」

ほむら「...この街から出ていけば...死ぬ事は...」

杏子「何言ってやがる」

マミ「何言ってるの」

杏子「あたしも戦うさ、ここはもう無関係の街じゃねえ」

マミ「たまには先輩を頼ってくれてもいいじゃない」

ほむら「...」

杏子「なんつー顔してんだよ、ほむら」

ほむら「...ごめんなさい...結局私も...あいつと何も変わらない」

ほむら「...結局...自分の目的のために...!あなた達を...」

マミ「仲間でしょ?」

杏子「利用くらいしてみろよ」





杏子「見せてやろうぜ、あいつに」

マミ「奇跡は、必ず起こるということをね」

ちょっと用事が入りました 
というかオリ設定もりもりのこんなSS見てくれてありがとう




QB「絶望と希望というものはよく似ている」

QB「彼女達は、希望を持って魔法少女として生きている」

QB「魔女は、絶望を振りまく概念として存在している」

QB「君たちの言う本当の奇跡が、本当にあるとするなら、絶望もまた然りだよ」

QB「本当の絶望を見るといい」




ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」



QB「長い歴史の中で育った呪いの集合体」

QB「圧倒的な力を前に、それでも抵抗を続けるのなら、それはそれで」

QB「僕らが観察する意味がある」

まどか「...」

まどか「...3人は...勝てる?」

QB「さあ」

QB「これまでの長い歴史であれに勝てた魔法少女はいない」

QB「でも、君は信じているんだろう?」

QB「3人が、この魔女に勝つことが出来るという未来を」

QB「安心してね、鹿目まどか」

QB「僕はいつでも、君のそばにいるよ」

まどか「...」






杏子「...笑えるでかさだな」

マミ「...ここで食い止めないと...見滝原が...!」

ほむら「...行くわよ...!」




杏子「オラぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」ズガァン!!!

マミ「ティロフィナーレ!!」

ほむら「...たぁぁぁぁぁ!!!」ズガズガズガ!!

ビュオオオオオ


杏子「...はは!ビクともしねぇ!」

マミ「...このっ...!」

ほむら「...攻撃の手を休めないで...!」

ほむら「あいつはまだ、私たちを敵とすら思っていない...!」

ワルプルギスの夜「アハハ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」ズガァン!!!

マミ「...っがっ..!」

マミ(...嘘、でしょ...?)

杏子(...進むだけで...この猛威)

杏子「...間違いねぇ...バケもんだ...!!」

ほむら(...やっぱり、正攻法は通用しない)

ほむら(...時間を止めて三人同時に攻撃を仕掛けないと、ダメージは与えられない...!!)

カチッ


ほむら「...」ギュッ

杏子「...くそおおおっ...!って、あれ?」

杏子「...止まってる...勝った?」

ほむら「勝ってないわよ」

杏子「...あぁ、なるほど、あんたの魔法か」

ほむら「...」ギュッ

マミ「...くっ...!...って、あら?」

マミ「...止まってる...?もしかして、勝った?」

ほむら「勝ってないわよ!」

マミ「...」ビクッ

ほむら「...私が時間を止めて、あいつの近くまで移動する」

ほむら「...私の魔力が尽きるまで、同時攻撃を繰り返すわ」

杏子「...わかった」

マミ「...えぇ」



カチッ

杏子「うおらぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

マミ「ティロフィナーレ!!」

ほむら「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

ズガァン!!!

ワルプルギスの夜「...アアアアアア...アアア...」

杏子「...!」

マミ「...やっ...!」

ほむら「...いいえ...!」




ワルプルギスの夜「...アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」グルン!!

ドゴォン!!

杏子「...うおおおっ!」

マミ「きゃああああ!」

ほむら「...くっ!」

QB「...」

QB「...ワルプルギスの夜が彼女達を敵と認識した」

まどか「...!」

QB「うん、だけどただの魔法少女三人にしては良くやった方じゃないかな」

QB「その点に関してだけは、認めるよ」

QB「ワルプルギスの夜に対して敵と認識されるほどのダメージを与える」

QB「まぁ、もっとも」

QB「そんな事が君達のいう奇跡だというのなら」

QB「そんな安い奇跡に価値を見出そうとすることも無駄だ、と僕らは断言するけどね」

まどか「...っ...!」

ズガァン!!!

杏子「...がっ...!!」

杏子(...やべぇ...マジでやべぇ...!)

マミ(...今までが、本気じゃなかったという事...!?)

ほむら「...この...っ...!」

ほむら「...」

ほむら「...っ...!」ポロポロ

ほむら(...どうして...)

ほむら(...どうしていつも勝てないの...?)

ほむら(...私は何も、無理な事を願っているわけじゃない...!)

ほむら(...ただ、まどかと...)

ほむら(...みんなと一緒に...!)









ほむら「...生きていたい、だけなのに」

杏子「...ほむらぁっ!!!!!」

ほむら「...あ」

ズドォォォォン!!!

ほむら「...あ、ぁ...」

杏子「...ほむら!」

マミ「暁美さん!」

ほむら「...あ、ぐ...」

杏子「喋んな!今治してやるから!」

杏子「...っ!」ガキィン!

杏子(...くそっ!治癒魔法を使う暇もねぇ...!)

マミ「...しっかりして!気を強く持って!」

マミ(...余りにも傷が深すぎる...!これじゃあ自己修復したとしても...魔力が...!)

ほむら「...あ、ああぁ...」

ほむら「...あああぁ...!」

ほむら「...まど、か...」









まどか「...」

まどか「...」グッ

まどか「QB」

QB「なんだい?」

まどか「...」

QB「どうしたんだい?」

まどか「...もういい」

まどか「...私と、契約して」

QB「...」

QB(いくら彼女と言えど、ワルプルギスの夜を倒すために魔法を使えば)

QB(まだ成り立てで、1か0の調節しか出来ないのなら)

QB(...彼女は一瞬で魔力を使い果たしてしまう)

QB「...もちろんだよ」

まどか「...」

まどか「...だけど、勘違いしないでね」

QB「?」

まどか「私は、絶望するつもりなんて、無いから!」パァァァ!

QB「...君は何を願う?何を望むんだい?」





まどか「あの魔女を消す、力が欲しい」



ドウッ!!!

ワルプルギスの夜「...アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

ワルプルギスの夜「...」グルン!!

杏子「...何だ...あの光...!」

マミ「...綺麗」

ほむら「...あ、あああ...!!」

ほむら(...あの、光は...間違いない...!あれは...!!)

杏子「...ほむら...!今治してやるから...!」

マミ「...落ち着いて!暁美さん...!」

ほむら「...あ、ぁ...」

ほむら(...結局、また無駄足だったっていうの?)

ほむら(私が、何を望んでも、まどかを助けることなんて出来ないって)

ほむら(...そういう事なの?)

ほむら(...こんな事なら...)

ほむら(...もういっそ...!!)


ジワジワ

ジワジワ


杏子「...なっ...」

マミ「...ソウルジェムが...!」









まどか「...絶望しないで、ほむらちゃん」

ほむら「...ま...ど...か...」

まどか「...約束破っちゃって、ごめん」

まどか「...嘘ついて、ごめん」

まどか「...悲しい思いをさせて、ごめん」

ほむら「...」

まどか「...もう、良いんだよ」

まどか「...私の覚悟が足りなかった」

まどか「...私は、私の意志で」

まどか「...あなた達を、守りたい」ニコッ

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

マミ「...ワルプルギスの夜が地面に...?」

杏子「...まどかを、マジの強敵って認めたってことか」

まどか「...行くよ」ギリギリ

ほむら「...」

ほむら(...こちらこそ、謝るべきよ)

ほむら(...でも、そう)

ほむら(...何かを決めたあなたを止めるなんて...)

ほむら(...どんな時だって、無理よ)ニコッ


まどか「...いっけぇぇぇぇぇーーーー!!!!」ドシュウッ!!!

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」











女の子「...うぇぇ...!」

まどか「...!!!!」

ズドォォォォン!!!

まどか「...」

杏子「...は...?」

マミ「...発射後に...軌道をずらした...?」

杏子「...な、何してんだ...?何してんだよ、まどか!!!」

まどか「...うぐぅっ...!!」ジワジワ





QB「うん、確かにここでワルプルギスの夜を倒させるのも悪くは無い」

QB「だけどね、僕としてはまだまだこの超弩級魔女を利用していたいんだ」

女の子「...お人形さん...?」

QB「だから、君1人だけ、魔女になっておくれよ」

杏子「...てめぇ...!!」

マミ「...この...外道...!」

女の子「...ねぇ、お人形さん...!」

女の子「本当にここに、お父さんと...お母さんが居るの...?」

QB「ああ、ごめん」

QB「道案内を間違っちゃったみたいだ」






まどか「...ああ...もう...」

まどか「...失敗、しちゃっ、た...」ジワジワ

ほむら「まどかぁぁぁぁぁー!!!!!!」

ほむら(...ダメだ...!)

ほむら(...失った魔力が多すぎる...!)

ほむら(...これじゃあ...!)

まどか「...ご、めん...ほむらちゃん...」

まどか「...結局...何も...守れなかった」

ほむら「...黙って...!...黙りなさい...!」

QB「最後の最後で、君の性が出たね、まどか」

QB「その行為は咄嗟のものだったとはいえ、褒められたものじゃない」

QB「数万人の命と、たった一つの命が釣り合うわけないだろう?」

杏子「黙れぇ!!!!」ズガァン!!!

杏子「てめぇが、まどかを否定すんじゃねぇよ!!」

QB「何で?事実を言った迄じゃないか」

QB「まどかが、きちんと命を数として捉えていれば、こんな事にはならなかった」

QB「こんな、魔力すべてを込めた一撃を明後日の方へ打ち込むなんて事にはね」

QB「まぁ、それでもこの魔女に対して、ある程度の効果はあったみたいだ」

QB「凄まじい衝撃だね、まどかの全力は」

マミ「...酷い...あんまりよ...!!」





ほむら(...まどか...!まどか...!死なないで...!まどか...!)

ほむら(...誰でもいい!)

ほむら(誰でもいいから、彼女を助けてよ!!)



コロン

ほむら「...人魚の魔女の...グリーフ...シード...」

ほむら「...っ!」コツン!

ジワジワ

QB「...無駄だよ」

QB「普通のグリーフシード一つで汚れを取り去ることが出来るほど、彼女の魔力量は少なくない」

QB「それは至って無駄な行為だ」

ほむら(...助けて)

ほむら(...腐っても、死んでも、いじめても)

ほむら(あなたは彼女の親友なんでしょう!?)

ほむら(何とかしてよ!)

ほむら(まどかを、助けてよ!!)








まどか「...あれ?」

さやか「...よっ」

まどか「...どうして、さやかちゃんが...?」

まどか「...ここは、どこ...?」

さやか「...」

まどか「...さやか、ちゃん?」

さやか「...まどか」

まどか「...?」

さやか「...私、あんたと何を話していいのか分かんないよ」

まどか「...」

さやか「...全部全部...思い出したんだ」

まどか「...」

さやか「あんたに言ったこと、して来たこと」

さやか「...全部、さ」

まどか「...」

まどか「で、でもそれは...さやかちゃんのせいじゃ...!」

さやか「...そうだけど...!それでも、やってしまったことに変わりはない!」

さやか「私は、あんたをいじめた」

さやか「...心を壊そうとした...!殺そうとした...!」

さやか「...その事実が、私には許せない...!!」

さやか「...もう、どうしたら、あんたに償えるか...!!」

さやか「分かんないよ...!!まどかぁ...!!!」




まどか「さやかちゃんは、悪くない」

さやか「っ...!!!!」

まどか「確かに辛かったけど」

まどか「...死にたくなることも、あったけど」

まどか「...その日々に耐えることが出来たのもまた、さやかちゃんの、そしてほむらちゃんたちのお陰」

さやか「...」

まどか「...私は、さやかちゃんといる時が一番楽しかったよ」ニコッ

さやか「...どうして...」

さやか「...私は、どうすればいいの...!?」

さやか「...何をすれば、いいのよぉおおぉ...!!!」




まどか「...だったら」

まどか「ごめんって」

まどか「1度だけ、そう謝ってくれたら、いいよ」

さやか「...そんな事で...許されるわけが...!」

まどか「許すよ、さやかちゃん」

さやか「...」

さやか「...ごめん、まどか」

まどか「うん、良いよ」

さやか「...」

まどか「...ぷっ」

まどか「...あははは...!」

まどか「...そんな顔しないでよ」

さやか「...」

まどか「...そっか、さやかちゃんがいるってことは」

まどか「...私、死んじゃったんだね?」

さやか「...死んでは、いないよ」

さやか「...だけど、もうすぐ...」

まどか「...そっかぁ...」

まどか「...」

まどか「...」

さやか「...だけど、希望はあるよ」

まどか「...え?」

さやか「...だって、あんたの願いはまだ叶っちゃいないから」

まどか「...ううん、叶ったよ」

まどか「...だって、一回打っただけでソウルジェム濁るくらいの力なんだよ?」

さやか「違うよ、まどか」

さやか「それはあんたのもともとの素質」

さやか「願いは関係ない」

まどか「じ、じゃあ...」

さやか「...ふふ」

さやか「...「倒す」じゃなくて、「消す」って願ったのは、ラッキーだったね」

パァァァ!

まどか「...青い矢と、白い矢...?」

さやか「よく聞いてね、まどか」

さやか「何がきっかけにせよ、何かがきっかけであの魔女は生まれた」

さやか「それは覆せない事実なんだ」

さやか「そして、そいつを倒すんじゃなくて消すって願ったってことは」

さやか「...因果律に対して、叛逆することになる」

さやか「...名前を付けるなら、そうだね、因果の矢かな」

さやか「...この矢は、極小範囲で、世界改変を行うことが出来る矢なんだよ」

まどか「...!?」

まどか「ど、どうして、さやかちゃんがそんなこと知ってるの...!?」

さやか「...」

さやか「さぁね」

さやか「ただ、もしQBの言うことが本当なら」

さやか「...私の願いの結果かな」

まどか「...」

さやか「...その矢を持って、まどか」

さやか「...あんたはまだ、死んじゃいない」

さやか「...あんたの願いはまだ、叶っちゃいない」

さやか「...あいつが、生まれる原因を書き換えて、生まれたという結果を消す」

さやか「...あんたには、それが出来る力がある」

まどか「...2本あるんだけど...」

さやか「...今のあんたには、まだ2本しか使えない」

さやか「もう1本は、そうだね」

さやか「あんたの好きなように、使いなよ」ニコッ





まどか「...まだ、だ...!!」

まどか「...まだ私は...諦めちゃいない!!!」

QB「...馬鹿な」

QB「あそこまで濁りきったソウルジェムが持ちこたえることなんて、有り得ない!」

QB「鹿目まどか...!君は...一体!」

まどか「...」バシュッ

杏子「...青い矢...?」

マミ「...どこを、狙って...」

まどか「...」ギリギリ...!

まどか「...ふふ、有り得ない?」

まどか「...だけどこれが、あなたが安いと呼んだ...奇跡でしょ...!!」

まどか「...貫け...!因果の矢!!!」ドシュウッ!!











まどか「もう今度こそ、あなたの思い通りにはさせない!!!」ドシュウッ!!!

まどか「いけぇぇぇーー!!!!」








さやか(ワルプルギスの夜の、因果を書き換えて、1ヶ月)

さやか(...誰も死ぬ事はなく)

さやか(そして皆は、全てを忘れた)

さやか(いや、違う)

さやか(正確には、無かったことになった)

さやか(...願いで、そして、魔法少女のお陰で覚えている私と)

さやか(そもそも、魔法にかかっていなかった3人)

さやか(...今挙げたのを除いて、まどかのあの数ヶ月の地獄は、皆の記憶から消え去った)

さやか(...それが、まどかが二本目に込めた、願い)





さやか「...ま、私まで生き返ったのは...びっくりしたけどね」

まどか「どうしたの?さやかちゃん」ヒョコッ

さやか「いんや、なんでもー」





さやか(そして、ワルプルギスの夜から1ヶ月が経ったということは)

さやか(...ほむらが、居なくなってからも、同等の時間が経ったということ)

まどか「...今日こそは、見つかるかな」

さやか「...どうかな」

さやか(確証があるわけじゃない、直感だけど)

さやか(多分ほむらは、もう居ない)

さやか(きっと、見つからない)

まどか「...鍵、持ってきっぱなしだよ」

さやか「...ん?それほむらんちの?」

まどか「えへへ、うん」

さやか「...」

まどか「...」

さやか「...行ってみよっか」

まどか「...うん」

ガチャッ

まどか「...お邪魔、します」

さやか「...お邪魔します」

杏子「何だ?お前らも来たのか?」

マミ「あらあら、奇遇ねぇ」

さやか「うっ...」

さやか(記憶がないとはいえ、まどかを通して私は全部知っている)

さやか(...あの時の後ろめたさが、ずっと...残ってる)

杏子「...なんだよ、まだ気にしてんのか」

杏子「...まどかが、許したんだろ?...じゃあそれでいいじゃねぇか」

さやか「う、うん」

杏子「そもそも馬鹿なんだからあんまり深く考えんなって」

さやか「な、何だと!」

まどか「...マミさん」

マミ「...え?」

まどか「...ほむらちゃん、居ましたか?」

マミ「...」フルフル

まどか「...」

マミ「...代わりと言っちゃなんだけど」ピラッ

さやか「...これは...」

杏子「...さーな」

まどか「...手紙...?」

マミ「...あなたが、来るまで読まないようにしようと思って」

マミ「はい、どうぞ」

まどか「...」ピラッ





「4人へ

まどかを助けてくれてありがとう

だけど、今回、私は目的を果たすことが出来なかった───」

ほむら(まどかを助けてくれてありがとう)

ほむら(だけど、今回、私は目的を果たすことが出来なかった)

ほむら(けれど、希望は見えた)

ほむら(諦めなければ必ず、どこかに希望が残っているんだと、そう思えた)

ほむら(私はまた、目的を果たすために)

ほむら(あなた達の元を去っていくけれど)

ほむら(...心配しないで頂戴)

ほむら(私は確かに、生きているから)

ほむら(絶対に、どこかで生きているから)

ほむら(私もあなた達を忘れない)

ほむら(だからあなた達もどうか無事で───)

「────どうか無事で、強くこの世界を生きて下さい

 一緒に過ごせて幸せでした

    暁美 ほむら    」



まどか「...っ」

マミ「...」

杏子「...な、んだよ...それ...!」

杏子「...どうして...別れの言葉一つ...!!」

マミ「...佐倉さん」

杏子「...!」

まどか「...」ポタッ...ポタッ...

まどか「...ほむら...ちゃん...」

さやか「...」

さやか「...つっ...!」ズキッ

杏子「...どうした、さやか」

さやか「...あ」

マミ「...?」

さやか「...まどか、変身、出来る?」

まどか「...え?」

さやか「...多分、まどかはまた矢を作ることが出来る」

さやか(...あの矢ができる条件)

さやか(...それは)

さやか(...)

まどか「...」バシュッ

パァァァ!

まどか「...」

杏子「...こりゃあ...」

マミ「...紫色の...矢...?」

さやか「...これを使えば」

まどか「...ううん、いいの」

まどか「...ほむらちゃんの、決意を無駄に、出来ないよ」

さやか「...違うよ」

さやか「...確かにあの時のこの矢は、因果を書き換えることが出来るけど」

さやか「...多分、ほむらの因果を書き換えることは出来ない」

さやか「...この矢はもう、あの時ほどの力を持っていないから」

杏子「...じゃあ...!」

さやか「...だけど、届く」

まどか「...!!!」

さやか「...この矢はきっと、ほむらに届く」

さやか「...あんたの思いごと、届く!!」

まどか「...っ!!」





さやか「最後くらい言ってやりなよ」

さやか「...私は、あんたのこと何でも知ってんだからさ」ニコッ






ほむら(...)

ほむら(...また、同じ天井)

ほむら(...そう、戻って来たのね)

ほむら(...諦めなければ必ず、どこかに希望は残っている、か)

ほむら(...)

ほむら(...でも、本当にその時が来るまで、私は)

ほむら(...私は、諦めずにいられるのかな)

ほむら(...やっぱり、辛いよ)

ほむら(...怖いよ、まどか)






パァァァ!

ほむら「...っ!?」

「おい待てよ!こいつには言いたいことが...!」

「待ちなさいっての!」

「...あー、コホン...暁美さん?」

「...あなた、かっこ良かったわ」

「また、何時でも来てね」

ほむら「...これは...!」

ほむら「...有り得な...!」

ほむら(...因果も...時間軸も超えて...)

ほむら(ここまで、来たというの?)

「コラァ!!てめぇ!!どうしていきなり居なくなったんだ!」

「...寂しいだろうが...!!バカ野郎...!」

ほむら「...」

「ほむら」

「私はもう、まどかを悲しませたりしない」

「だから、あんたも元気でね」

ほむら「...あなた達って...」

ほむら「...本当に...本当に...」

「...ほむらちゃん...?」

「...えへへ、沢山言いたいけど、言ったら止まらなくなりそうだから...」

「...」





「大好きだよ、ほむらちゃん!」

ほむら「...お節介...!なんだから...!!!」




ほむら(大丈夫)

ほむら(私はまだ頑張れる)

ほむら(私はまだ諦めない)

ほむら(必ずあなたを救うその日まで)

ほむら(私は絶対に、諦めたりしない)

ほむら(絶望と、地獄に最後まで抗ったあなたのことを)

ほむら(忘れたりしない)

ほむら(私も大好きよ、まどか)

ほむら(だから、どうか)

ほむら(幸せになって頂戴)






さやか「...」

杏子「届いた、かな」

マミ「...」

さやか「...届いたよ、きっと」

さやか「元気でね、ほむら」

まどか「...ほむらちゃん、本当に...本当にありがとう」

まどか「そして」









まどか「さようなら」ニコッ

まどか「この思いよ!どこかにいるほむらちゃんに届け!」
ほむら「ぐぁぁぁ!!」ドスッ!


お疲れ様でした
何も言うことは無い
どうでもいいけどこのQBまどかと契約したいがために無茶苦茶しすぎだね
見てくれてありがとう
いいクリスマスを過ごしてね

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月21日 (月) 01:01:23   ID: UlVJFbCl

不覚にもまどかの『許すよ』って所で泣いてしまった。
原作とは違うさやかの葛藤とかきゅーべーの策略とか、鬱も死ネタ(生き返ってるから実質的にどーかは分からんけど)も挟んであり、程よくダークでハッピーに近いループエンドなのかな、と思う。個人的にはこれの続きみたいな感じでほむらがこの時間軸に戻ってくる話が読みたい

2 :  SS好きの774さん   2016年10月30日 (日) 22:55:27   ID: fXxROW3G

これがもう一年も前に作られな話なのか……
1よ、良いssをありがとう

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