みんな「「「「「「「「「「「「始球式ぃ?」」」」」」」」」」」」
P「あぁそうだ! 野球の試合が始まる前に、芸能人や著名人なんかがマウンドからボールを投げるオープニング・セレモニーだな」
春香「えっと、私達の誰かが投げるって事でしょうか?」
P「いやいや、だったらみんなに集まってもらった意味が無いだろう? 全員だよ」
みんな「「「「「「「「「「「「えぇ~!?」」」」」」」」」」」」
響「で、でも、マウンドに12人も立てないんじゃないか?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449672129
P「はっはっは、何も一試合で全員が投げる訳じゃない」
真「ど、どういう事ですか?」
P「幸いな事に、プロ野球のチームは12球団ある。そして、765プロアイドルも12人」
雪歩「ま、まさか……!」
P「そう! 12球団のホームゲームで順番に始球式をやってもらう!」
律子「と、言うわけで。今日から始球式までの間、みんなには仕事の傍ら、みっちり投球練習してもらうわよ」
伊織「待ちなさいよ!!」
P「ん、どうした伊織?」
伊織「私達はアイドルなのよ!? どうして投球練習なんかしなくちゃいけないのよ!」
あずさ「確かに……」
律子「伊織」
伊織「な、なによ……?」
律子「765プロではあんただけ始球式のマウンドに立ってるわよね」
伊織「え、えぇ、そうよ」
律子「あの時のあんたの投球、覚えてる?」
伊織「う……」
亜美「あ~、確かぜんぜん届いてなかったよね」
あずさ「で、でも、女の子なんだしそのくらい普通じゃないかしら?」
律子「ダメよ!」
P「別に何キロ出せとかって話じゃない。最低限、キャッチャーまで届くようにって所までは練習してもらう」
伊織「だからアイドルなんだから届かなくてもいいじゃないの!!」
律子「竜宮小町は全員特訓が必要として、残りのメンバーは任せましたよ、プロデューサー」
P「おぅ、任せとけ!」
伊織「人の話聞きなさいよ!!!」
あずさ「だ、大丈夫かしら……?」
亜美「ん~、でもなんか楽しそーだYO!」
律子「さて、それじゃあ竜宮はお先に失礼します。さ、行くわよ」
伊織「気が重いわ……」
ぞろぞろ
がちゃ、ばたん
P「さて、俺達も行くか」
貴音「行く、とは?」
P「決まってるだろ? 練習だ」
雪歩「で、でも……私上手く投げられるかどうか……」
P「大丈夫だ、今日は試しに投げて、そのあとしばらくはボールを投げたりしないから」
真美「え?」
P「ボールは、ただ腕の力だけで投げるんじゃない。下半身をしっかり鍛えて安定させてはじめて良い球が投げられるんだ」
千早「はぁ……」
P「という訳で、早速公園に行くぞ!」
ぞろぞろ
がちゃ、ばたん
――――公園
P「よし、準備はいいか?」
みんな「「「「「「「「「は~い!」」」」」」」」」
P「大体このくらいがマウンドからキャッチャーまでの距離だ、平面だから少し長めに距離を取ってるけどな」
春香「意外と距離があるんだね~」
やよい「テレビで見るとそんなに無いように見えますけど、結構離れてるんですよ~!」
P「それじゃあ一人ずつ行ってみよう、まずは春香!」
春香「は、はい!」
真「春香! 頑張って!」
春香「え、えっと確かテレビとかではこうやって振りかぶって……って、ひゃあ!?」
どんがらがっしゃーん
ふわ~ん
てんってんってん、ころころころ……
P「大丈夫か!? 春香!」
春香「うぅ、やっちゃった……」
P「転んだせいか、半分くらいの所で止まっちゃったな」
春香「どうしてこうなっちゃうんだろ……?」
P「まぁ、最初だしこんなもんだろ。次、千早」
千早「はい」
やよい「頑張ってください、千早さん!」
千早「ありがとう、高槻さん(可愛い)」
真美「ファイトだよ! 千早おねーちゃん!」
千早「えぇ。えっと、こうかしら?」
ふわ~ん
ぽてっぽてっころろろ……
P「う~む、見事な女の子投げだ、全く届いていない」
千早「くっ……」
P「これは結構大変かもしれん。次、美希!…………美希?」
美希「むにゃむにゃ、太陽はとってもあかるのに、どうしてこんなにねむいの」
P「美希が眠いのはいつもだろ、起きろ」
美希「あふぅ、仕方ないの。ボール投げたらいいの?」
P「あぁ」
雪歩「美希ちゃん、頑張って!」
美希「あはっ、ミキの想い、受け取ってね、ハニー」
ぴゅ~ん
てんってんってん、ころころころ……
P「うん、なかなかいいフォームだ。あともうちょっとで届きそうだな」
美希「む~、届くと思ったのに……。こんなのってないの……」
P「美希は大丈夫そうだな。じゃあ次貴音!」
貴音「は、はい……」
P「ん? いやに元気ないな。大丈夫か?」
貴音「わたくし、ぼぉるを投げたことがありません故……」
P「マジか……」
貴音「ですが。みなの真似をして、投げてみます!」
P「お、おう」
響「頑張れ貴音!」
貴音「えいっ」
ぽろっ、ころころころ……
P「…」
貴音「…」
P「え~っと、まず右手と右足一緒に出ちゃってるから、そこから直していこうな……」
貴音「はい……」
P「前途多難だ……次、やよい!」
やよい「は、はい!」
P「まぁやよいは趣味野球だし大丈夫だろ」
春香「頑張れ、やよい!」
やよい「うっ……うー!」
しゅっ
ぽすっ
P「おっ、山なりの軌道だけどちゃんと届いてるな。よし、やよいは問題なしだ!」
やよい「うっうー! やりました~!」
P「うん、じゃあ次、真美」
真美「んっふっふ~、何だか届きそうな気がするYO」
貴音「頑張るのですよ、真美」
真美「いっくよ~ん、それっ」
ぴゅ~、てんってんってん、ころころころ
P「あ~、うん、まずはまっすぐ投げる所からな」
真美「うあうあ~! 何で~!? まっすぐ投げたつもりなのに~!」
P「慣れてないと中々まっすぐ遠くには投げられないものだよ。次、雪歩!」
雪歩「ふぇ!? は、ははははい!!」
真「雪歩、落ち着いて投げれば大丈夫だよ!」
雪歩「う、うん……ありがとう真ちゃん」
P「力まず自然体でな、よしこい!」
雪歩「うぅ……やぁ!」
しゅっ
ぱすっ
P「お、届いたし結構な速さあったぞ」
千早「凄いのね、萩原さん」
真美「ビックリだYO!」
雪歩「いや、きっとまぐれで……」
真「そんなこと無いよ! 間違いなく、雪歩自身の実力だよ」
雪歩「真ちゃん……えへへ、ありがとう」
P「散々地面掘ってるから腕の筋肉は結構発達してそうだし、納得の結果だな。よし、次は響だ」
響「へっへ~ん、自分こういうの結構得意だぞ」
美希「響~頑張るの~。あふぅ……」
響「いっくぞ~。うりゃあ!」
ぴゅ~!
がさがさっ
響「うぎゃーーー!! すっぽぬけてプロデューサーを通り越しちゃったぞー!」
P「あ~、まぁ落ち着いて投げれば大丈夫だろう。距離は出てるし、後はコントロールの問題かな」
響「うぅぅ……こんなはずじゃ……」
P「さて、最後だ。待たせたな、真」
真「はい!」
P「本気で来い……!」
雪歩「真ちゃん、頑張って……!」
真「行きますよ……! だぁぁぁぁぁ!!」
びゅん!
ばしーん!
P「……っ!」
やよい「はわっ! すっごく速いです!」
真「ふぅ~」
P「あ~、手ぇ痛ってぇ」
真「どうでした!?」
P「文句無しだよバカヤロウ」
真「へへ~、や~りぃ!」
美希「真クンすごいの!」
春香「カッコイイよ真!」
P「さて、とりあえず全員投げたな、春香と千早、真美、貴音は、走りこみとキャッチボールからスタートだ」
千早「はい」
真美「なんだか初歩中の初歩って感じだね~」
春香「仕方ないよ、私なんて転んじゃったし……」
貴音「わたくしなど、ぼぉるを投げたことすら……」
P「んで、美希とやよい、それに雪歩、この三人はしばらく走りこみとスクワット、あとはシャドーピッチングなんかもやるといい」
雪歩「シャドーピッチング?」
美希「なにそれ?」
やよい「ボールを使わないで、タオルを使って投げる動作をすることです~」
P「さすがやよいだな。その通りだ。一般的に、スピードを上げたりとかが目的じゃなくて、感覚を掴むためのものだな」
美希「ふ~ん、何か面白そうだね」
雪歩「それなら私にもできそうですぅ」
P「このチームはやよいがリードしてくれ」
やよい「うっうー! わかりました~!」
P「最後、響と真だけど。ここは特になし!」
真「えぇ!?」
響「そんなぁ!」
P「いや、真は言わずもがなだけど、響だっていい線行ってたぞ」
響「そ、そうかな……?」
P「あぁ、ちょっとスッポ抜けただけで、ちゃんとコントロールできたら真にだって引けをとらないぞ」
響「そ、そっか……。ふふん! まぁ、自分完璧だからな!」
真「ふんだ! ボクだって敗けないからね!」
P「そうだ、そうやってお互い切磋琢磨しあってくれ。時には春香達の面倒も見てやってほしい」
真「はい! わかりました!」
響「完璧な自分におまかせさー!」
P「よ~し、それじゃあ今日は走りこみして終了だ!」
みんな「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」
――――時は流れて
律子「さぁ、やってまいりました765プロ12試合連続始球式。本日はここ、札幌ドームからお届けします
実況はわたくし、秋月律子でお届けします」
P「秋月さん、よろしくお願いします」
律子「よろしくお願いします。さて、この765プロ12連戦とも言うべき始球式ですが、本日の始球式を務めるのは誰でしょうか?」
P「記念すべき最初の試合ですから、トップバッター、もといトップピッチャーを努められるのは水瀬伊織選手しかいないでしょう」
律子「そこは先発投手で良かったんじゃないですかね? まぁいいです。水瀬投手は私が手塩にかけて育成しましたから」
P「これは期待できますね」
律子「あの子は練習して、ミットに届くようにはなったんですがいまいち球速が伸びなかったんです」
P「ほぅ」
律子「そこで気づいたんですが、もしかしたらこの子は変化球型の投手なんじゃないかと」
P「なるほど」
律子「試しにいくつか変化球を教えたんですがメキメキ吸収してくれて、今では4つの変化球を使い分けできるほどになりましたよ」
P「素晴らしい!」
律子「さぁ、マウンドにその水瀬投手が姿を現しました」
P「ホームの日本ハムファイターズのユニフォームに身を包んでいます」
律子「マウンド上の水瀬、おおきく振りかぶって……投げました」
びゅっ
ばしっ
P「バッター空振り!」
律子「ちょっとコース甘かったけど、振ってくれて助かりましたね」
P「始球式ですからね」
律子「そうですね」
P「いやしかしすごい変化球ですね、胸元をえぐるようなスライダーでしたよ」
律子「練習ではもう少し変化にキレがあったので、本人は悔しがってるんじゃないでしょうか」
P「アイドルなんだからキャッチャーに届かなくてもいい、と言っていた水瀬選手とは思えませんね」
律子「歓声とどよめきを背に水瀬投手がマウンドを降ります」
P「初戦は大勝利と言っても過言ではないでしょう」
律子「それでは次の試合でお会いしましょう」
P「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式、2試合目の今日は宮城球場にやってまいりました」
P「本日始球式を務めるのは765プロが誇る天才、星井美希選手です」
律子「何でもそつなくこなす娘ですから、投球にも非常に期待が持てますね」
P「フォーム自体は良かったので、長所を伸ばして、そこに修正を加えるだけでした」
律子「なるほど」
P「球威があるわけではありませんが、アイドルとして及第点の投球を見せてくれるでしょう」
律子「さぁその星井投手がマウンドに上がります」
P「ファンの声援に応えてますね」
律子「こういったファンサービスの良さもまた、彼女の魅力の一つでしょう」
P「星井選手ファンサービスを終えて、目を閉じています」
律子「集中しているのが伝わってきますね」
P「一つ大きく呼吸をしてから、振りかぶって……投げた!」
しゅっ
ぱしっ
律子「空振り!」
P「やはり球威はありませんが、気迫で押し切った感じですね。振ってくれて助かりました」
律子「始球式ですからね」
P「さぁ再び声援に答えながら、星井選手マウンドを後にします」
律子「今日もいい投球をお見せできたのでは無いでしょうか」
P「それではまたお会いしましょう」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんにちは、765プロ12試合連続始球式3試合目の今日は神宮球場からお届けします」
P「本日の投手は、765プロのムードメーカー双海真美選手です」
律子「練習ではどんな感じでした?」
P「まだ幼いので、ギリギリまで調整して、何とかミットに収まるようにはなりました」
律子「なるほど、亜美もそんな感じです」
P「ただ将来的に化ける可能性は大いにありますので、今後に期待が持てますね」
律子「本日はデーゲームですが、お客さんも結構入ってますね」
P「真美選手ファンが足を運んでくれてるんでしょう、事務所的にもありがたいことです」
律子「さぁ、双海真美投手がグラウンドに姿を現しました」
P「いつにもまして気合に満ちている表情をしてますね」
律子「これは投球に期待できそうですね」
P「無事ミットに収まるよう願います」
律子「さぁ、マウンドに上がった双海真美投手。一度深呼吸をしてから振りかぶって……投げた!」
ふわー
ぽすっ
P「ゆるい軌道のボールは、少し右に逸れたが何とかキャッチャーがキャッチ」
律子「流石はプロですね」
P「本人は苦笑い」
律子「しかし始球式らしい始球式になりました」
P「そうですね、それではまたお会いしましょう」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式4試合目の今日は、ナゴヤドームにやってまいりました」
P「マウンドの上には既に、中日のユニフォーム姿の双海亜美選手の姿があります」
律子「前回の真美投手のように、なんとかミットに収まるようにしか出来なかったのが
プロデューサーとして力不足を感じます」
P「とはいえ最年少ですから、今後に期待しましょう」
律子「そうですね」
P「さぁ、マウンド上の双海亜美選手、もう投げるモーションに入ってますね」
律子「大きく振りかぶって……あ~っとこれは蜘蛛の糸だ!」
P「ダウンタウンの松本人志さんがやってましたね」
律子「こういった小ネタを入れてくる辺り、竜宮小町プロデューサーとして鼻が高いです」
P「足りない実力はネタで補う、いい心がけですね」
律子「さぁ、こんどこそ振りかぶって……投げました!」
P「ゆるい軌道のボールは左に少し流れたが、無事にミットに収まりました」
律子「調整した甲斐があります」
P「姉妹揃って始球式らしい始球式になりました」
律子「仲の良さが伺えますね」
P「それではこの辺で失礼します」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式5試合目の今日は京セラドームにやってまいりました」
P「本日の始球式を務めるのは、歌姫、如月千早選手です」
律子「ここで千早投手ですか」
P「千早選手、最初はまるっきりダメだったのですが、歌よりも投球練習に力を入れてしまい、メキメキ上達しました」
律子「ストイックな所ありますからね」
P「もういいから歌に力入れてくれと頼むほどでした」
律子「悪影響がなければいいですね」
P「さぁ千早選手がリリーフカーに乗ってグラウンドに入ってきました」
律子「ゆっくりと、しかし確かな足取りでマウンドへ上がります」
P「自信たっぷりと言った感じですね」
律子「表情にも余裕が感じられます」
P「精神統一は充分、後は投げるだけ」
律子「おおきく振りかぶって……投げました!」
びゅん!
ばしっ
P「速い!」
律子「スピードは……なんと100キロ出てます!」
P「また上がってるな。こっそり練習してましたね、こりゃ」
律子「会場がざわついてますね」
P「そら(アイドルが100キロだしたら)そう(ざわつきもする)よ」
律子「本人は優雅にリリーフカーで帰っていきます」
P「後で問い詰めるとして、今回はこの辺で」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式6試合目の今日は甲子園球場に来ています」
P「本日の始球式は銀髪の女王、四条貴音選手が務めます」
律子「貴音投手はどんな感じですか?」
P「それが、投球練習には姿を現さなかったんですよね」
律子「ほう?」
P「来るように言っても、自分に合った投げ方を見つけたので心配いらないとしか」
律子「貴音投手らしいですが、心配ですね」
P「しっかりしているように見えて、抜けてる所ありますからね」
律子「さぁそんな心配を他所に、銀髪の女王、四条貴音投手が入場してきました」
P「ライブ以外では珍しいパンツルックです」
律子「自分に合った投球とは一体どんな投球なのか、非常に楽しみです」
P「おぉっとぉ!? 右手を振りかぶって右足を上げているぞ!? しかもグローブを着けていない! これは一体……?」
律子「ピンと伸ばした右足を曲げ、左足を方へ動かし腰のひねりを加えた!?」
P「それに合わせて右手を下げ、左手を上げ、曲げた足を再び伸ばして、右手のボールを左手の方に投げた!?」
律子「あぁっと! 高く上げた右足で踏み込み、左手で受けたボールをバレーボールのスパイクよろしく投げたァァ!!!」
P「ボ、ボールはすごい速さで飛んで行く!!」
ギュン!!
ボグッ!!
律子「あぁ!? ぼ、ボールが地面にめり込んでいるぅぅぅ!!」
P「一体この魔球はなんなんだ!」
律子「今入ってきた情報によりますと、本人はこの魔球を空愛投法と呼んでいるそうです」
P「空愛投法……ダサいから英語にしてスカイラブ投法と呼びましょう」
律子「そうですね。ただ……」
P「えぇ……」
二人「「ボークなんだよなぁ……」」
P「……それではこの辺で」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんにちは、765プロ12試合連続始球式7試合目の今日は福岡ドームからお送りします」
P「本日始球式を務めるのは萩原雪歩選手です」
律子「雪歩投手は練習ではどうだったんですか?」
P「雪歩選手はですね、普段穴を掘って腕と足腰が鍛えられてましたから、あとはフォームチェックくらいでしたね」
律子「ものすごい女の子投げが似合いそうです」
P「無論最初はそうでしたけど、肘から出してしなりを活かすとか教えたらあっという間に飲み込んでいきましたよ」
律子「元々素質もあったんでしょうか」
P「さぁ、雪歩選手がマウンドに上がります」
律子「緊張してるんでしょうか、表情が硬いですね」
P「一発勝負ですからね」
律子「でも、こういう時こそ実力をいかんなく発揮してくれる爆発力を持ってますから」
P「そうですね、逆境に強い。選手、特にピッチャーには大事なスキルでしょう」
律子「アイドルですけどね」
P「目を閉じて深く深呼吸を……3回しました」
律子「どんな球を投げるのか、会場も静まり返っています」
P「振りかぶって……投げた」
しゅっ
すぱんっ
律子「気持ちのいい投球でしたね」
P「スピードは……80キロ!」
律子「素晴らしい結果だと思います」
P「練習の時より出てますね」
律子「やはり本番に強い、そう感じさせる内容だったのでは無いでしょうか」
P「そうですね。それでは今回はこの辺で」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式8試合目の今日はマツダスタジアムに来ております」
P「本日始球式を務めますのは、765プロきっての野球好き、高槻やよい選手です」
律子「プロフィールにも『趣味:野球』とはっきり書いてありますからね」
P「そうですね、実際かなり詳しいですから」
律子「投球にも期待が持てそうですね。練習では如何でした?」
P「やよい選手はやはり基礎ができてましたから、何か教えるというよりも、美希選手や雪歩選手の面倒を見てもらってました」
律子「人に教える事で、より自分の理解を深められる、それがいい結果に繋がる、と?」
P「流石ですね。その通りです」
律子「私も765のプロデューサーですから。おっと、やよい投手がグラウンドに入ってきました」
P「今日も元気いっぱいですね」
律子「赤い帽子にツインテールが映えますね」
P「今元気よくお辞儀しました」
律子「おおきく振りかぶって……投げました!」
しゅっ
ぱすっ
P「綺麗なフォームですね」
律子「フォロースルーまでお手本のような動作でした」
P「しっかりとど真ん中に収まりましたね」
律子「スピードは70キロくらいですかね?」
P「そうですね、68キロだそうです」
律子「立派な成績です」
P「今後に期待が持てそうな結果ですね」
律子「アイドルです」
P「それでは今回はこの辺で」
律子「さようなら」
――――別の日
律子「みなさんこんにちは、765プロ12試合連続始球式9試合目の今日は横浜スタジアムにやってまいりました」
P「ここからはラストスパートで関東4球場を回ります」
律子「スパートに相応しい投球を見せてくれる事でしょう」
P「本日の始球式努めますのは、765プロ最強の刺客、三浦あずさ選手です」
律子「本日は特別に、ベイスターズの三浦投手が765プロの三浦投手の球を受けます」
P「ダブル三浦の共演ですね」
律子「迷子防止のため、リリーフカーでマウンドまで運びます」
P「職員がマウンドの上まで案内しています」
律子「ここまでしないとすぐ迷子になりますからね」
P「練習でのあずさ選手はどうだったんですか?」
律子「亜美投手よりも手がかかりましたね」
P「というと?」
律子「迷子になるんですよ」
P「あずさ選手が?」
律子「ボールが」
P「ボール」
律子「私に向かって投げてるのに、てんで関係ない所に転がってますからね」
P「ただの暴投なのでは?」
律子「そうだったらいいんですけどね、100メートルくらい離れた場所に転がってたこともあるので、暴投とは考えにくいですね」
P「なにそれこわい」
律子「えぇ、ですのでとりあえずアンビバレンスボールと名づけました」
P「どうして名付けてしまったのか。それはさておき投げるようです」
律子「前かがみの姿勢から……世の男性諸氏へのサービスですね」
P「ありがとうございます!!」
律子「今振りかぶって、投げました!」
フッ
P「あぁっと! ボールが消えた! これは……」
律子「出ました、アンビバレンスボール」
P「一体ボールはどこへ……?」
律子「バッターが振ってくれて助かりましたね」
P「始球式ですからね」
律子「ボールはどこへ消えたのか」
P「我々で探して、後日弊社ホームページにてお知らせいたします」
律子「それでは探してまいります」
P「ごきげんよう」
――――別の日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式10試合目の今日は、千葉マリンスタジアムにやってまいりました」
P「本日の始球式を務めるのは、765プロの切り札、我那覇響選手です」
律子「ヤーマンアローハ!」
P「どうしました秋月さん」
律子「なんくるありません」
P「あると思います」
律子「響投手はどんな投球を?」
P「そのままいくんですね」
律子「性格的には直球勝負を好みそうですけど」
P「えぇ、勿論そうです。ですが少し力みやすく、少し安定感に欠けるようにも感じますね」
律子「なるほど」
P「ですが響選手はダンスをやってますから、ここ一番でキメてくれるでしょう」
律子「関係性がよく分かりませんが」
P「さぁ、グラウンドに響選手が姿を現しました」
律子「ユニフォームのシャツの裾を結んで、へそ出しルックでの登場です」
P「元気よくグラウンドを走ってマウンドに登りました」
律子「ウォームアップは充分といった感じでしょうか」
P「ロジンバックをマウンドに落とした」
律子「おおきく振りかぶって……投げました!」
びゅん!
バシィー!
P「これにはバッター驚いたか、見逃しのストライクです」
律子「ホントに直球勝負、それもど真ん中ですよ」
P「それだけ自信があったんでしょう、球速は?」
律子「おぉ、133キロ出てますよ」
P「アイドルって一体何なんでしょう」
律子「世の中には大木を切り倒したり、崖登るアイドルもいますから」
P「ヒェッ」
律子「我那覇投手が元気よくグラウンドを後にします」
P「ヤーマンアロハの謎は後日弊社ホームページにて発表」
律子「されません」
――――別の日
律子「みなさんこんにちは、765プロ12試合連続始球式11試合目の今日は、西武ドームからお届けします」
P「思い出しますね、あの夏を」
律子「えぇ、みんな輝いてましたね」
P「あの思い出の球場で、今日はあの日とは違った輝きを放ってもらいましょう。真打ち登場、菊地真選手です」
律子「聞くまでも無いとは思いますが、真投手の投球は?」
P「言うまでもないとは思いますが、かなりの物です」
律子「やはりそうでしたか」
P「えぇ、響選手と合わせて、教えることは何もありませんでしたね」
律子「そんなにですか」
P「はい、しっかりと腕のしなりも使えてますし、グラブの抱え込みもできてましたから」
律子「これは期待できますね」
P「今もブルペンで投げ込んでいるという情報が」
律子「しっかり肩を作ってから挑もうという精神は素晴らしいですね」
P「アイドルなんですけどね」
律子「おっと、肩を作り終えたのでしょうか、真投手がベンチからゆっくりとマウンドを目指します」
P「右腕を回しながら歩く様はまさにプロ」
律子「さぁ、一球勝負。どんな投球を見せてくれるのでしょうか」
P「今マウンドを登りました」
律子「対するバッターも表情が真剣です」
P「始球式でこの雰囲気出されたら、選手としては溜まったもんじゃないですね」
律子「マウンド上の真投手、おおきく振りかぶって……投げた!」
びゅおん!
バシィー!
律子「空振り!」
P「今本気で振りにいってましたね」
律子「球はど真ん中のストレート」
P「球速なんと138キロ!」
律子「マウンド上では真投手が喜びを爆発させています」
P「それとは対照的に会場は静まり返っています」
律子「あまりの出来事に開いた口がふさがらないと言ったところでしょうか」
P「我々もこの仕事がなければそうなっていたでしょう」
律子「大事になる前に撤収しましょう」
P「そうですね。それではまたお会いしましょう」
律子「さようなら」
――――最終日
律子「みなさんこんばんは、765プロ12試合連続始球式、最終日を迎えた今日は東京ドームからお送りします」
P「ドームですよ! ドーム!」
律子「プロデューサー?」
P「もうお分かりですね? トリを務めるのは765プロの大黒柱、天海春香選手です」
律子「響、真両投手の後なので少し不安が残りますが、大丈夫ですか?」
P「安心してください。春香選手なりに、いつも筋は通してくる。そうでしょ?」
律子「伊織投手に怒られてください」
P「早速春香選手が入場してきました」
律子「全方向に手を振りながら、楽しそうに歩いています」
P「まるでアイドルですね」
律子「アイドルです」
P「さぁ、ファンサービスを終えてマウンドに登った春香投手」
律子「元気よくお辞儀をして、投球に入ります」
P「春香投手の投球は可もなく不可もなくなんですが、実は化ける時があるんです」
律子「化ける?」
P「今日それがお見せできれば良いんですが、さて」
律子「投げるようです。振りかぶって……あっ、コケた!?」
P「やった!」
律子「プロデューサー?」
バシィィィィィン!!!!
律子「!?」
P「化けましたね」
律子「一体何が……?」
P「説明しましょう。春香投手は可もなく不可もない投球なんですが、投げる時に転ぶと、超スローボールか速球かのどちらかになります」
律子「そうなんですか!?」
P「ただ、惜しむらくは本人にどちらを投げるかの選択は出来ないらしく、全くのランダムなんですよ」
律子「とんだギャンブルですね」
P「いやしかし今日の大舞台でお見せできて良かったです」
律子「春香投手は恥ずかしそうにグラウンドを後にしていきました」
P「いやぁ、無事12連戦終わりましたね」
律子「そうですね、お互いお疲れ様でした」
P「それでは皆さん、また会う日まで」
律子「さようなら」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
P「みんな、始球式お疲れ様! 今度はサッカーの始球式だ!」
みんな「「「「「「「「「「「「いいかげんにしろ!!!!!!」」」」」」」」」」」」
終わりです。
野球の知識は全くありません。
それではこの辺で。
さようなら。
このSSまとめへのコメント
※53
だろうな
プロの選手がど真ん中の138キロの直球を
「本気」で振りに言って空振りするなんてまずありえないもの