岡崎泰葉「コタツのある旅館」 (82)

楓「ここなんかはどうでしょう?ご要望にぴったりだと思いますが…」

P「ふむふむ…。近場だし、良さそうですね」

楓「はい。それに、なんと言ってもここの地酒が絶品で。頼んでおけば夕食にも付けてくれるんですよ」

P「ほー。それは楽しみだ。………ところで、ですね?」

楓「?」

P「他が居ないのに何でわざわざ真横に入ってきてるんですか?狭いし」

楓「ふふっ。どきがムネムネしますか?」

P「今の一言で台無しですがね」

楓「あらあら」

P「それにそろそろ…」

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ガチャ

泰葉「ただ今戻りまし……た…!?」

杏「疲れたー。プロデューサー、飴くれー……ん?」

イヴ「うふふ。楽しかったです〜♪……あら?」

P「おう、お帰り」

楓「お帰りなさい、泰葉ちゃん、杏ちゃん、イヴちゃん」

泰葉「う………う………う……」

P「ん?どうした?泰葉?」

泰葉「浮…気…!?」ポロッ

P「はぁ!?」

杏「イヴ!証拠写真!」

イヴ「は〜い!…えっと…泰葉さ〜ん」

泰葉「ここを押して起動して、こっちがシャッターで…」

イヴ「ふんふん」

P「………」

杏「………」

イヴ「いきますよ〜」カシャ

楓「ぴーす♪」ブイ

P「えーっと…」

泰葉「ふええぇぇぇん」メソメソ

P「泰葉!?」

楓「ふふっ」

泰葉「ひどいです、Pさん。頑張ってお仕事をして帰ってみれば、楓さんと…」モゾモゾ

イヴ「今年のPさんはプレゼントおあずけですね〜。はぁ〜。あったか〜い」ゴソゴソ

杏「まさかプロデューサーにそんな甲斐性があったなんてねー。杏ちゃんびっくり」ゴロン

P「杏、せめて上着は脱ぎなさい」

杏「えー…」

楓「ふふふのふ。バレちゃいましたね、プロデューサー♪」

P「あなたがややこしい場所に入ってるからでしょう」ペチン

楓「ふにゃっ」

泰葉「でぃ………」

P「今度はなんだ?」

泰葉「でぃーぶい!?」

泰葉「くすん。私と言うものがありながら。あの日のキスは嘘だったんですね…」オチャ

杏「ズズッ……ほぅっ…。せめてさぁ、バレないようにやりなよ。なんでよりによってここでやっちゃうかなあ」

P「だから無実だってば…。あと泰葉、あまり言いふらさないで…」ズズッ

イヴ「なんでしたっけ〜?けんたいき?…あ、ブリッツェン、おみかん〜」

ブリッツェン「ブモ〜」

楓「まったく。プロデューサー、浮気はダメですよ?」メッ

P「このタイミングで貴方がそれを言いますか?」

泰葉「実家に帰らせてもらいます!」ミカンムキムキ

P「最近日が暮れるの早いから気をつけてな」

泰葉「あとはえっと…」モグモグ

楓「泰葉ちゃん、泥棒猫がまだだよ?」

泰葉「それがありましたね。…この泥棒猫っ!」ビシッ

楓「ふふっ。取られる貴女が間抜けなのよ」オホホノホ

泰葉「Pさん。私とこの人、どちらを取るんですか!?」

P「ほら、ハンガー」

杏「んもー。仕方ないなぁ…」ヌギッ

楓「…あ、泰葉ちゃん、このみかん美味しいしね」モキュモキュ

泰葉「キャシーさんの折り紙つきですから」フフッ

泰葉「はふぅ…」

P「あ、満足した?」

泰葉「はい。それで何してらしたんですか?」

杏「ホントに浮気?」

イヴ「めっ、ですよ〜」

P「だから違うって。相談に乗ってもらってたんだよ」

杏「相談?」

楓「ええ。静かで景気のいい旅館はどこが良いかな、って」

P「最近泰葉には色々無理させたからな。ご褒美も兼ねてどうかと思って」

泰葉「新婚旅行ですか!?」ガタッ

P「違います」

杏「そうだね。婚前旅行だね」フヒヒ

泰葉「あ、そちらでしたね」ポン

P「だから違いますって」

杏「まあ、確かに運動会からこっち泰葉引っ張りだこだったもんね」

泰葉「ふふっ。私はずっと楽しんでただけだったんですが…」

P「それでも、芝居の主役とソロライブが重なったのは大変だっただろ」

イヴ「うふふ。ソロライブの時は、私泣いちゃいました〜」

P「…俺も泣いた。また年末にかけて忙しくなるからな。その前に、と思って」

泰葉「ありがとうございます」エヘヘ

杏「いいなー。杏も何かご褒美が欲しいなー」

イヴ「泰葉さん、楽しんできてくださいね〜」

P「え?なに?お前ら行かないの?」

杏・イヴ「えっ!?」

杏「まさかの!?」

イヴ「行ってもいいんですか〜?」

P「どうせ付いてくるだろうからと思ったんだけど…。じゃあいいや」

杏「行く!」

イヴ「行きます〜!」

泰葉「流石Pさんですね」

イヴ「ああ、でもブリッツェンはどうなんでしょうか〜…」

杏「あー。流石にねー」

楓「なるほど。ブリッツェンの為だったんですね」ナットク

イヴ「ふあ?」

P「楓さんにな、野湯の多い場所ってのも教えて貰ったから」

イヴ「おおーっ!」

ブリッツェン「ブモン♪」

P「旅館には入れないから、向こうでは別行動になっちゃうけど…」

ブリッツェン「ブモモッ!」

イヴ「喜んで〜。だそうです〜」

P「そりゃ良かった」

楓「ふふ。無駄にならずにすみましたね」

泰葉「楓さん、ありがとうございます」ペコリ

イヴ「ございます〜」ペコリ

楓「いえいえ。ちなみにプロデューサー、私お土産には樽をお願いします」

P「樽?」

楓「はい♪」

P「はあ…。まあ、わかりました…」

杏「温泉回だー!」

イヴ「だ〜?」

泰葉「ふふっ。今から楽しみですね」

イヴ「はい〜。温泉♪温泉♪」

杏「杏達はともかく、プロデューサーよく休み取れたね」

P「まあな。無理矢理有給ぶち込んだ」

杏「うわあ…」

P「ま、杏も精々英気を養えよ。今年はこれが最後の休みになるだろうし」

杏「は!?」

P「去年に続き今年も杏サンタには各所を回ってもらう予定だから」

杏「 」パクパク

P「いやー。売れっ子は大変だなー」

ーin旅館ー


P「とうちゃーく」

杏「………寒っ!」

泰葉「今夜は雪かも知れませんね…」ハァー

イヴ「すっかり冬って感じですね〜」

杏「うー…。プロデューサー、早く旅館入ろうよ…」

P「ん。車停めてくるから先に入ってな。ブリッツェンは待機」

泰葉「はい」

ブリッツェン「ブモ!」

泰葉「ブリッツェン、今夜は一晩外ですけど大丈夫ですか?」

ブリッツェン「ブモブモ」

イヴ「温泉もあるし、地元はもっと寒かったですからぁ。平気だそうですよ〜」

杏「二人ともはやくー」

泰葉「は〜い♪」

杏「ほーん。良い雰囲気の場所だね」

泰葉「さすがは楓さんオススメですね」

イヴ「くんくん…うふふ。いかにも温泉宿な良い匂いです〜」

P「気に入ってくれたみたいだな。宿帳書いてくるから適当にしてて」

泰葉「あ、出来れば私の苗字はPさんので…」

P「書きません」

杏「いいじゃん。時間の問題なんだし」

P「あのなぁ…。ほら、館内図でも見とけ」

泰葉「はぁい」

イヴ「泰葉さん、杏さん!露天風呂がありますよ〜!」

泰葉「混浴ですか!?」

杏「この寒いのにわざわざ外で入らなくても…」

P「おまたせー」

泰葉「Pさん、大変です!」

P「どうした?忘れ物か?」

泰葉「ここの露天風呂、男女別だそうです!」

P「…………そうか」

泰葉「せっかくPさんの背中を流そうと思ってたんですが…」ショボン

P「……イヴ。この辺の野湯の地図貰ったからブリッツェンに渡してきて」

イヴ「は〜い♪ふわぁ。いっぱいありますね〜」ウズウズ

P「くれぐれもイヴは行かないように」

イヴ「はうぅっ」

杏「旅館ので我慢しようよ…」

イヴ「そうします〜」

P「じゃ、これがお前らの部屋の鍵な」

泰葉「?…Pさんは?」

P「流石に同じ部屋ってワケにはいかないだろ。三人部屋で頼んだから」

泰葉「私は一向に構いませんよ?むしろばっちこいです」

杏「杏も。いざとなれば耳栓するから安心して」

P「何を心配してるのか知らないけど、そう言う訳にはいきません。料理はそっちに運んでもらうからそれで我慢しなさい」

泰葉「むぅ…。お風呂もお布団も別だなんて…」

杏「せっかくの婚前旅行なのに」

P「だから違うってば」

P「じゃあ荷物置いたら行くから」

泰葉「また後で…」

杏「ういー」

イヴ「どんなお部屋なんでしょうね〜」

P「…………泰葉はあっち」

泰葉「?」クビカシゲ

P「そんな何言ってんのって顔してもダメ」

泰葉「お邪魔はしませんよ?」

P「しなくてもダメだってば」

泰葉「尽くしますよ?」

P「ああ、もう…」

杏「おっ。なかなか立派な部屋じゃん」

イヴ「杏さん!コタツがありますよ〜♪」

杏「気が利いてるね。やっぱこれだよねー」ゴソッ

イヴ「うふふ。急にいつもの感じになっちゃいますね〜」モゾッ

杏・イヴ「!!!」

泰葉「くすん。追い出されちゃいました…」トボトボ

杏「や、泰葉!泰葉!」

泰葉「?…どうしたんですか?…あ、コタツです♪」

杏「そうだけど!ほら、入って入って!」

イヴ「泰葉さん、凄いですよコレ〜」

泰葉「はい…?」モゾッ

泰葉「……!?」

P「お邪魔ー。どうだー?良い部屋だろ?」

泰葉「あっ♪いらっしゃいまし」

杏「プロデューサー知ってたの?これ」

P「これ?コタツがどうかしたのか?」

イヴ「こんなコタツもあったんですね〜」

P「…?………おお!掘りゴタツになってんのか」

杏「ね。杏初めて入ったよ」

イヴ「椅子みたいに座れるから、足の位置を気にしなくても良いんですね〜。素敵です〜」

P「あー。確かにこれは楽だわ…」

泰葉「そちらは違ったんですか?」

P「どうだろ。コタツはあったけど荷物だけ置いてこっち来たし…」

泰葉「…あっ!Pさん!Pさん!」

P「だめ」

泰葉「むー。まだ何も言ってませんよ?」

杏「亭主関白はんたーい」

イヴ「はんたーい?」

P「はぁ…。どうせ事務所に掘りゴタツを、とか言うんだろ」

泰葉「どうして分かったんですか!?Pさんエスパー?」

P「泰葉の言いそうな事くらいわかるようになってきたよ…」

杏「おっ。惚気かな?」

泰葉「ふふっ。そうだったんですね♪」

P「どうしてそうなる…」

イヴ「ふわぁ〜」

杏「お。あくび」

泰葉「朝早かったですからね。温泉に行く前に少しお昼寝しますか?」

イヴ「温泉…行きたいれふ…ふみゅぅ…」ウトッ

P「時間はあるから焦らなくてもいいよ」

イヴ「ふあい…」フワー

杏「あー。でもアレだね。寝るには適してないね、掘りゴタツ…」

泰葉「完璧と思われた掘りゴタツにそんな弱点が…!」

イヴ「………すぴー」クウクウ

杏「でもさー」

P「ん?」

杏「結局どこに行ってもやってる事変わらないよね。コタツに入ってダラダラするだけって」

泰葉「ふふっ。確かにそうかも知れませんね」クスクス

イヴ「…すや〜」

P「まあ、いいんじゃないか?それが一番リラックス出来る空間って事なんだろうし」

杏「珍しいじゃん。いつもは勿体無いとか言って色々やろうとするのに」

P「今回はのんびりする為に来てるからな。無理に何かする必要もないだろ。こういうのは記憶に残らないくらいのが丁度良いんだよ」

杏「そんなもんかね」

P「そんなもんだ。むしろ杏からそんな台詞が聞けるとは思わなかった」

杏「………なんだよー」

P「明日は雪かもな」

泰葉「ふふっ。そうかもしれませんね」クスクス

杏「泰葉まで!?」

P「ほらほら、有意義に過ごしたい杏さんは館内を散策してきてもいいんだぞ?」

杏「あー、もー!知らない!杏も寝るから風呂行くようになったら起こせ!」ムスッ

P「杏?」

杏「ぐー…」

P「……やり過ぎたか?」

泰葉「杏さんも照れくさくなったんですよ」フフッ

P「相変わらず素直じゃない奴」

杏「ぐ…ぐー」

イヴ「ふわ〜…」クシクシ

P「お。起きた?」

イヴ「ふぁい」ムニャムニャ

泰葉「ふふっ。今温かいお茶淹れますね」

イヴ「ん〜…」

杏「………」ムクッ

P「こっちも起きたか」

杏「…ん。泰葉、杏にもお茶…」

泰葉「はい。ただ今♪」

イヴ「ふぅ〜…ズズッ…ほぅ…」ポヤー

杏「んー。やっぱり体勢変わらないのはちょっと辛いかも…」ズズッ

P「そもそもコタツで寝るなと…」

P「じゃあ風呂行くか?」

泰葉「そうですね」

イヴ「おんせん!」

杏「覗くなよ」

P「誰がお前の貧相な体に興味を持つか」

泰葉「……ちんちくりん…」ペター

P「や、泰葉の事じゃないからな!?」

泰葉「はっ!揉まれたら大きくなると聞きました…!」

P「迷信です!」

泰葉「Pさん!」

P「やめなさいって…」

P「じゃあ、また後でな」

泰葉「はい。ふふっ。他に誰もいなければ呼びましょうか?」

P「お願いだからやめて…」

イヴ「皆でお風呂なんて久しぶりです〜」

杏「普段は精々二人が精一杯だからね」

泰葉「将来は大きめのお風呂が欲しいですね」

P「話が見えないなー…」

泰葉「やっぱり親子三人で入りたいですし」

杏「だって」

P「何故こっちにふる」

イヴ「ふわぁ!もうここからいい匂いがしてます〜♪」

杏「硫黄の匂い、ちょっと苦手…」

泰葉「誰もいないですね…」キョロキョロ

杏「杏達の貸し切り状態みたいで良いじゃん」

イヴ「ゆっくり出来ちゃいそうですね〜」

泰葉「ふふっ。本当にPさん呼んじゃいますか?」

杏「ふひひ。多分来ないだろうけどね。ま、寒いしさっさと入ろ」

泰葉「はい。流しっこしましょうね」

イヴ「はい〜♪」

杏「っと。その前に…」

泰葉「?」

杏「キング・クリムゾン!!!」

杏「さて、行くか」

泰葉「何ですか、今の?」

杏「ん?いわゆる一つのお約束?」

泰葉「はあ…?」

イヴ「ふわあぁ!広いです〜!」

泰葉「本当だ。立派なお風呂ですね」

杏「……寒っ!冷静に考えたらさあ。何故わざわざ真冬に裸で外に出ないといけないのか」

イヴ「うふふ。この寒さも温泉の醍醐味ですよぉ♪お湯に入ると溶けちゃいそうになりますから〜」

杏「あー…イヴには悪いけど、杏は一生理解出来なくていいや…はよ入ろ…」

泰葉「あっ。杏さん。せめてかけ湯をしてからっ」

杏「あ゛ーーー…しみるー…」フハー

泰葉「気持ちいいですねぇ…」チャプン

イヴ「はい〜…」ポー

杏「ヤバい。これ一度入ったら出られないパターンだ…」

泰葉「ううっ…。確かにここからまた脱衣所に行くのは辛いかも知れません…」

イヴ「湯気凄いです〜」

杏「あー。それはホラ、円盤になったら消えるから…」

泰葉「円盤?」

杏「こっちの話こっちの話」

杏「はー…。でもこの分じゃ明日は本当に雪かもねー…」

泰葉「そうなったら今年初雪ですね」

イヴ「うふふ。いよいよ冬本番、って感じですね〜」

杏「雪とか面倒なだけなんだけどなぁ…」

泰葉「…?お二人共雪国の出身ですし、慣れてそうですけれど…」

杏「あのね、慣れてるのと好きなのは違うんだよ?」

イヴ「私は雪好きですよ?」

杏「イヴの所と比べたらアレだけど…。杏はない方が良いなぁ。あっても年一でいいや…」

泰葉「ふぅ…。ちょっと暑くなってきました…」チャプ

泰葉「はぁ……」

杏「………」ジー

泰葉「…?どうかしましたか?」

杏「いや…。改めて見ると泰葉って肌綺麗だよね」

泰葉「ふえっ!?」

杏「細いなりにそれなりにあるし、柔らかそうだし…。ふとももとか特に…」

泰葉「あ、あの…。杏さん?」モジモジ

杏「むむむ…。これがプロデューサーのものになるのか…。許せん!」ガバッ

泰葉「いや…。えっ?…ひゃっ!」

杏「ここか!ここがええのんか!?」

泰葉「やっ!ちょっ…!んん……っ!」

杏「ほほう?泰葉って意外と…!」

泰葉「いっ、意外となんですか?…やあっ……っ!?」

杏「ほ〜れ!ほ〜れ!」

泰葉「だめで……あ、杏さん…そろそろ……んっ!お、お願いですから…あっ…」

杏「ここかぁっ!」

泰葉「ふわっ!そ、そこ…は…!……〜〜〜〜〜っ!!!!」

杏「ふっ…みっしょんこんぷりーと」

泰葉「はぁ…はぁ…はぁ…」クタッ

イヴ「ふや〜〜〜」ポケー

杏「あー疲れた」

泰葉「うぅ…杏さんひどいです…」

杏「まあ、プロデューサーには内緒にしといてあげるから。泰葉の弱い所」

泰葉「あ、当たり前ですっ!…もう。いたずらがすぎますよ?」

杏「あはは。ごめんごめん。…さて、いい加減熱くなってきたし、上がろうかな…」

泰葉「そ、そうですね…。私もこれ以上は…」

杏「イヴはどうする?」

イヴ「………ふあ?…あ。私はもう少し入ってますぅ」

杏「ん」

泰葉「のぼせないように気を付けてくださいね」

イヴ「は〜い」

P「良い湯だった〜……あれ?泰葉だけか?」

泰葉「あ、Pさん。おかえりなさい。イヴさんはまだお風呂で、杏さんはレア物を見付けたー、とか言ってましたが…」

P「ふーん。夕飯までまだ時間あるし大丈夫か」

泰葉「そう…ですね…」

P「?……泰葉どうかした?なんか顔が赤いけど…」

泰葉「そ、そうですか!?ちょっと長く入り過ぎたでしょうか…」

P「ふむ…」

泰葉「あ、あの…そうじっと見られると…」

P「いや、髪を上げた泰葉ってあまり見ないな、と思ってさ」

泰葉「ああ…そう…ですね…」

泰葉「ふふっ。色っぽいですか?」

P「………そうだな。……なあ、泰葉」

泰葉「はい?」

P「今回四人で来たワケだけど、泰葉は二人の方が良かったりしたか?」

泰葉「…………」ンー

泰葉「そうですね。…勿論Pさんと二人きりでの旅行も魅力的ですけれど、今はまだ皆で一緒に色々したいな、とも思います」

P「そうか…」

泰葉「それに……二人での旅行はこれから先沢山出来ますから…ね」

P「……いずれ、な」

泰葉「ふふっ。はい♪」

泰葉「そうだ。Pさんこの後やる事ありますか?」

P「いや。だらだらしようと思ってただけだけど?」

泰葉「よければ、一緒にお土産を見に行きませんか?」

P「今から?帰りで良くないか?」

泰葉「沢山あるので、今のうちに選んでおきたくて…。それに、Pさんも何か頼まれてましたよね?」

P「あー、そういや楓さんに頼まれてたんだった…」

泰葉「樽、でしたっけ?」

P「ああ。何の事かは分からないけど…。よし、行くか」

泰葉「はい♪」

P「ほー。色々あるんだな…」

泰葉「温泉卵に温泉饅頭に…温泉煎餅!?」

P「買うの?」

泰葉「勿論です♪」ドサッ

P「俺はどうしようかな…。って数多くない?」

泰葉「そうですか?…えっと、桃華ちゃんに薫ちゃんに悠貴さんに清美さんに乃々さんに…」ユビオリ

P「なるほど。……大変だな」ナデリ

泰葉「ふわっ。…はい。大変なんです♪」

P「俺はとりあえず社長とちひろさんだけで良いかなー…と、楓さん」

泰葉「?…珍しいですね。いつもは全員に、って言いそうなんですが…」

P「………まあな…」

P「俺はどうしようかなー…」

泰葉「ふんふん………!Pさん!Pさん!」グイー

P「ん?どうした?」

泰葉「これ買いませんか?買いましょう!」

P「……夫婦湯呑?」

泰葉「はい!」

P「………………」ンー

泰葉「…ダメですか?」ウワメズカイ

P「はぁ…。事務所では使わないんなら良いけど…」

泰葉「ええっ!?それじゃあお揃いの意味が…」

P「ウチで使えば良いだろ。よく来るし」

泰葉「はいっ♪」

泰葉「あ。楓さんが言ってた樽ってこれじゃないですか?」

P「おっ、あった?…………は?」

『地酒(樽)・1斗〜』

P「……斗?」

泰葉「鏡開きの時なんかによく見るやつですね」

P「えー…マジで?よりによって何要求してんだよ、あの25歳児…」

泰葉「あの、少し出しましょうか…?」

P「いや、大丈夫。むしろどうやって持って帰るかの方が問題かも…」

泰葉「えっと…あ、無料配送もやってるそうですよ」

P「……ああ、一定以上買えば無料になるのか。泰葉のも一緒に送っとく?」

泰葉「では、折角なので…」

P「はいよ」

P「まったく…。予想外の出費になった…」

泰葉「あはは…」

P「それだけ気に入ってるって事だろうし、夕食に期待しておくか」

泰葉「良ければお酌しましょうか?」 

P「むう…。魅力的な誘いだけど…」

泰葉「決まりですね♪お任せください」

P「…今日くらいは良いか。…じゃ、そろそろ良い時間だし杏とイヴ回収しに行こう」

泰葉「はい。多分杏さんはゲームコーナーにいると思いますよ」

P「イヴは…まだ風呂入ってそうだな…」

杏「くのっ!…ここだ!…っ!あーーっ!」

P「杏ー、そろそろ飯の時間だぞ〜」

杏「あっ、プロデューサー良い所に!ちょっと両替してきて!」ヒグチ

P「両替って…どんだけやってんだよ…」

杏「もうちょっとなんだよ!あと一息でクリア出来そうなのに、そのあと一息がさぁ!」

P「そんなに難しいのか?」

杏「くそぅ。レトロゲーと思って甘く見てた…。やっぱり紗南ちゃんに聞くか…」

P「…程々にしとけよ」

杏「クリアしたらねー」

P「普段はぐうたらしてるクセにこう言う時だけは元気だよな…」

杏「プロデューサー、りょーがえー!」

P「はいはい…」

イヴ「堪能しました〜♪」

P「…まだ入ってたのか」

泰葉「ふふっ。ご飯の後でまた行きますか?」

イヴ「良いですね〜」

P「おう。まだ入るのか…」

杏「いよっし!クリアー!」

P「こっちも終わったみたいだな」

杏「ふう…。手強い相手だった…」

泰葉「ご苦労さまです」

杏「うむ。くるしゅうない」

P「何様だよ」

杏「で、プロデューサー夕飯は?」

P「部屋に運んでもらってるから行ったらあるはず」

泰葉「楽しみですね♪」

イヴ「ね〜♪」

杏「おー。思った以上に豪華じゃん」

イヴ「見た事ないのが沢山あります〜」

泰葉「食べきれるかちょっと心配ですね…」

P「まあゆっくり食べればいいさ」

杏「むむっ。プロデューサーの席だけ何かある!?」

P「楓さんオススメの地酒を頼んでたんだよ。お前らにはまだ早い」

杏「何だ酒か。じゃあいいや」

泰葉「ふふっ。お酌は任せてください♪」

杏「ほほう」ニヤニヤ

P「なんだよ?」

杏「べっつにぃ?さ、食べよ食べよ」

P「おっ。確かに旨いな、コレ…」クピッ

杏「何かウチの大人組見てたらちょっと抵抗あるんだよねー……うまうま」

P「あの人達は参考にするな。まあ、大人になったら正しい酒の飲み方教えてやるよ」

泰葉「私の初めて…は、Pさんとですね」

P「酒、な……」

イヴ「このお肉おいひいれす〜」ムグムグ

泰葉「確かに…。牛肉とも違いますし…」モグ

P「えーと…鹿肉だって。何でもこの辺の山に生息してるらしいぞ」

杏「へー……鹿肉…ブリッツェン大丈夫かな…」ボソッ

イヴ「ブリッツェン!?」

P「こらこらこら、不安になるような事を言うな!」

イヴ「わわわ、私ちょっとブリッツェンの様子を見に…っ!」

P「どこに居るかもわからないだろうが!多分大丈夫だから!杏も余計な事言わない!」

杏「てへ☆」ペロ

杏「って言うかイヴの小脇に抱えられた桶は一体…」

イヴ「あっ…」サッ

P「……イヴ。行かない、って言ったよな?」

イヴ「ふえぇ…」

泰葉「計画失敗しちゃいましたね」

イヴ「もう少しだったんですが〜…」

P「そもそも念のためブリッツェンにはGPS持たせてるし……うん。問題なさそうだから安心しなさい」

杏「いつの間に…」

P「一晩とはいえ山の中に放逐するワケだからな。帰りに間に合わなかったら大変だし」

泰葉「ふふっ。流石はPさんです」

P「何故かまゆが大量に持ってたからひとつ借りた」

杏「まゆちゃん、GPS…あっ」

イヴ「?……あっ、このお魚美味しいです〜♪」

P「当の飼い主?はこんなんだけど」

イヴ「ふえ?」

杏「温泉>ブリッツェンだからね…」

P「ふぅ…美味かった。…自分用にも1瓶買って帰ろうかな…」

イヴ「うふふ。お腹いっぱいです〜」

泰葉「ちょっと食べ過ぎました…」

杏「予は満足じゃー…泰葉、デザートある?」

P「おまっ…」

泰葉「ふふっ。売店に温泉煎餅なるものがありましたので、買ってみました」

杏「温泉煎餅?…へー」

P「あれ?全部送らなかったの?」

泰葉「はい。これは部屋用に、と思いまして」

イヴ「これも美味しいです〜♪」バリバリ

杏「んむ。美味いけどなにが違うのかと問われたら…」ボリボリ

P「んー……確かに。まあ、土産なんてそんなもんだろうけど…」バリボリ

P「はー…しっかし、たまにはぼーっとする時間も必要だな、やっぱり…」

泰葉「Pさん、いつも働き詰めですから。たまには休まなきゃ体壊しちゃいますよ」

杏「そうそう。ちゃんと杏ちゃんってお手本があるんだからさ」

P「お前は反面教師の見本みたいな奴だろうが。いつもコタツでだらだらしやがって」

杏「ふふん。駄菓子菓子、今年の杏は公然とコタツでだらける権利を得ているのさ♪」

P「は?」

杏「だって、見事『コタツの似合う17歳』に選ばれたからね」

泰葉「そういえばそうでしたね。おめでとうございます♪」

P「コタツじゃなくて冬の似合う、な」

杏「似たようなもんだって」

杏「ところでさぁ…」

P「ん?」

杏「杏ときらりは分かるんだけど菜々さんって…」

P「それ以上はいけない」

泰葉「菜々さん、そろそろまたゲストにお呼びしましょうか…」フム

杏「ああ、いいね。最近奈緒が小慣れてきて面白みがなくなってきてるし」

P「手配は任せろ」

杏「…プロデューサー、これに関しては無駄にノリ良いよね」

P「そろそろイヴも忙しくなるし、奈緒と菜々さんをいっぺんに呼ぶのもありか?」

泰葉「もうすぐイヴさんの日ですもんね」

P「…………?…イヴ?」

イヴ「く〜…」スヤスヤ

杏「寝てる…」

P「静かだと思ったら…」

泰葉「ふふっ。最近忙しそうにしてましたから」

杏「あー。次のイベントでもリーダー役なんだっけか」

P「ああ。イヴにしても色々疲れてたのかね…」

杏「杏もろとも休みを増やしてあげると良いよ」

P「そうだな。杏は無理だけどイヴは調整してみるか」

杏「不公平だっ!」ダン!

泰葉「杏さん?」シー

杏「あう…」

P「よっ、と…」

泰葉「あら?」

P「じゃ、俺ももう寝るかな…」

杏「もう?早くない?」

P「たまには日付が変わる前に寝たいんだよ」

泰葉「ふふっ。ゆっくりしましょうね♪」

杏「おやす〜」

P「………泰葉はこっち」

泰葉「むう…。一緒のお布団で寝たいだけですよ…?」

P「だからダメだってば…」

杏「我慢できずに手を出しかねないから?」

P「そうそう…って杏ぅ!」

杏「うひゃひゃ」

泰葉「ばっちこいです!」フンス

P「お願いだから…」

泰葉「ふう…」

杏「どうする?早いけど杏達ももう寝る?」

泰葉「そうですね…」

イヴ「んむ〜…」ムクッ

杏「あ、起きた?」

イヴ「……………ふぁい…」クシクシ

泰葉「お茶淹れますね〜♪」

杏「っても、杏達ももう寝ようかって言ってたんだけど…イヴはどうする?」

イヴ「ん〜……私はもう一回お風呂入ってきまふ〜…」

泰葉「今からですか?」

イヴ「うふふ。夜の温泉もまたオツなものなんですよ〜」

杏「風邪ひかないように気をつけて」

イヴ「は〜い♪」

イヴ「ふあ〜…あったか〜い」チャプン

イヴ「本当、今日は一段と冷えます〜…」

イヴ「………ん〜」キョロキョロ

イヴ「誰もいませんか〜?」キョロキョロ

イヴ「うふふ♪ブリッツェ〜ン」

ブリッツェン「ブモッ!」ガサガサ

イヴ「あっ…シーッ!」

ブリッツェン「ブモッ…」

イヴ「えへへ。内緒だからね〜?」

ブリッツェン「ブモモン♪」

イヴ「うん。ブリッツェンはどんな所に入ったの?」

ブリッツェン「ブモ、ブモモ、ブモー」

イヴ「へ〜。いいなぁ」

ブリッツェン「ブモ?」

イヴ「う〜ん。Pさんに止められちゃったからぁ、我慢する〜…」

ブリッツェン「ブモブモ」

イヴ「あら?」

ブリッツェン「?」

イヴ「見てみて、ブリッツェン。雪だよ〜♪」

ブリッツェン「ブモー…」

イヴ「うふふ。積もるかなぁ。明日が楽しみだね〜」

ブリッツェン「ブフー」

イヴ「そうだねぇ。今年もホワイトクリスマスになると良いね〜」

ブリッツェン「ブモ」

イヴ「こ〜んなに良い場所に連れてきて貰えたんだし、今年もいっぱい頑張らなきゃ〜♪」

ブリッツェン「ブモン♪」

イヴ「うん。アイドルもサンタも、両方とも〜」

〜翌朝〜


泰葉「ん………」モゾッ

泰葉「……寒い…」ムクッ

泰葉「…………」ボーッ

泰葉「……………」キョロキョロ

杏「くかー…」

イヴ「すやー…」

泰葉「…………?…………ああ」

泰葉「…………ふふっ」

泰葉「……はぁ…寒い…」ハァー

泰葉「ん〜……?」ノソノソ

泰葉「あ……!」

泰葉「ふふっ♪」

泰葉「雪、凄い…一晩でこんなに積もるんだ…」

「あれ?」

泰葉「?」

P「泰葉?」

泰葉「あっ♪Pさんおはようございます」

P「おはよう。早いな」

泰葉「はい。寒くて起きちゃいました」

P「確かに。俺もそれで起きたクチだしな」

泰葉「綺麗ですよね。一面真っ白で…」

P「冬はつとめて、とはよく言ったもんだ」

泰葉「雪の振りたるは言うべきにもあらず、ですっけ?」

P「そうそう」

杏「はぁー…帰りたくない…」

イヴ「うふふ。た〜っぷりリフレッシュ出来ました〜♪」

泰葉「また皆で来ましょうね」

イヴ「ね〜♪」

ブリッツェン「ブモー!」

イヴ「あっ、ブリッツェン〜!」

杏「おお。ブリッツェンもどことなくふわふわしてる」

イヴ「これで今年のクリスマスも頑張れますぅ!」

杏「あああ。忘れてたのに…。忘れたかったのに…」

泰葉「ふふっ。暖かいお鍋作って待ってますからね」

イヴ「わ〜い!」

杏「杏は仕事なしの鍋だけが良いなぁ…」

杏「……?」

イヴ「どうしました?」

杏「いや、プロデューサー静かじゃん。いつもならもっと絡んでくるのに」

泰葉「今朝は普通でしたが…。具合悪いんですか?」

P「…………お前ら、遺書は書いたか?」

杏「は?」

イヴ「衣装?」

P「自慢じゃないが、雪道運転は数える程しかしてない上にここまでの雪ははじめてだ…」

杏「なっ!?」

P「今までの人生に悔いはないな!」ヒャッハー

杏「嫌だ!杏はまだ不労所得の甘い汁を吸ってないのに!」

泰葉「Pさんとなら何処まででも…」

イヴ「何だか楽しそうですね〜」

ブリッツェン「ブモー……」



サイキック!おしまい!

おまけ


奈緒「で、無事に帰って来られたんだ」

杏「何度か地獄は見たけどねー」トオイメ

泰葉「ふふっ。こちらお土産です」ガサッ

奈緒「なんだこれ?温泉…煎餅?」

杏「意外と美味かったよ」

泰葉「留守の間何か変わったことはありましたか?」

奈緒「んー…ちひろさんが忙しそうにしてたくらいで……あ、何故か愛海が血の涙流しながら悔しそうにしてたっけ…」

泰葉「愛海さんが?」

イヴ「なんでしょうか〜?」

杏「さあ?」

奈緒「まあ、このコタツに誰もいないってのはちょっと違和感があったな」

泰葉「ふふっ。すっかり事務所のお馴染みって感じですね」

イヴ「嬉しいです〜♪」

杏「んじゃあそろそろやりますか」

泰葉「オープニングは十分撮れましたね」

奈緒「ああ、やっぱりやるんだ…」

杏「むう…最近の奈緒は慣れすぎて面白みがなくなってきた」

奈緒「そりゃこう何度もやられてたらな」

イヴ「うふふ。すっかり準レギュラーですね〜」

奈緒「もう普通に呼んでくれたほうがありがたいんだけどなぁ…」

泰葉「そこはこの番組のポリシーですから」

奈緒「ああ、そう…」

以上、読んでくださった方ありがとうございました!
いつも通りのぐだぐだでお送りしました。来年も続くかは未定…
え?イベント?爆死だよ☆

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