魔王「ものども!であえー!であえー!」(61)

側近「四天王のおひとり。毒の王、薬師よ。勇者がこの城まで参りました。ご出陣を。」

側近「……毒の王?」

側近「…………薬師さん!」

側近「……あのー。」

側近「薬師さーん?出番ですよー。」

側近「返事くらいしてください」

薬師「えー。だめだめだめ。だってそとさむいじゃん。」

側近「いえあの、あなた様は魔王様の四天王に名を連ねる毒物のエキスパートですよね?」

側近「仕事してください。」

薬師「お給金分の仕事はしてるよ?

薬師「だってほらあれ。毒沼にちゃんと毎朝毒流してるじゃん。勇者に地味にダメージ与えてんじゃん。」

側近「魔物も地味にダメージ受けてますけれど。あと先日、魔王様も落ちられて、ダメージをお受けでしたけれど。」

薬師「魔王様ったらうっかりさんだ。」

側近「うっかりさん、じゃありませんよ。3回も変身されるくらいのダメージだったんですからね?」

薬師「でも魔王様って、タンスの角に足をぶつけても変身しちゃうくらいメンタル弱いじゃん。

薬師「変身なんて珍しくないじゃん。」

側近「ま、魔王様を愚弄することは許しませんよ!」

薬師「側近だって、この前魔王様を変身させてたよね?第二形態に。」

側近「あっ、あれは!魔王様がピーマンを召し上がらないからです!」

薬師「魔王様、ピーマン咀嚼しながら点滅してたよ?コアを露出するくらいの苦痛だったみたいだよ。」

側近「好き嫌いなさると大きくなれないんですから!」

薬師「食べなくても、大きくなれると思うけどなあ。」

薬師「変身を繰り返すとキモチ、大きくなったように見えるじゃん。魔王様。」

薬師「最終形態は誰も見たことないけど、もしかしたら大きいかもしれないじゃん。」

側近「そっ……そうですね。気長に待ちます。」

側近「ところで……」

剣士「……」

側近「その人間はなんですか?」

薬師「ああこれ?傀儡。剣士ちゃん。」

剣士「ぬしさま。ご用件をどうぞ。」

薬師「勇者と同じ故郷の人間のメスなんだけどさー。勇者の後を追って、この城まできたらしいんだよね。」

側近「で、あなたに見つかって薬漬けにされて洗脳された、と。お可哀想に。」

薬師「最初は強情だったけど、今は何でも言うこときくよ。」

側近「傀儡、というからには、やはり勇者と戦わせたり、人間を襲わせたりなさるのですか?」

薬師「え?なんで?」

側近「え?」

薬師「だからなんで?」

側近「でしたら何のための傀儡の術……はっ!?」

側近「やっ、やだ……薬師さんったら思いのままになる人間の娘に、そっ、そんないやらしい!」

側近「確かにこの娘は、なかなか、いえかなりの上玉……。

側近「薬師さんも男の子だったんですね////」

薬師「もしもーし?戻って来いよー。」

側近「っ!?個人の嗜好には口を出す気はありませんが、だ、だめですよお城の中では!風紀が乱れますからね!」

薬師「えーと。期待させて悪いんだけど。」

薬師「ちょっと剣士ちゃん。」

剣士「はい、ぬしさま。」

薬師「はいこれ。」

剣士「はい。ぬしさま。」

側近「……なにをなさっているのです?」

薬師「見ての通り。蜜柑むいてもらってる。」

側近「白いスジのところまで……。」

薬師「あと、蟹とかもほぐしてくれるし、魚の小骨も取ってくれるよ。ねー。」

剣士「はい、ぬしさまのご命令とあらばなんなりと。」

側近「人間を薬漬けにして調教して、命じるのがよりによってそれ……?」

薬師「ほかにもあるよ。」

薬師「固くて開けられない瓶の蓋を開けさせたり、玉ねぎの微塵切りを代わりにさせたり。」

薬師「剣士だけあって、刃物の扱いはプロフェッショナルなんだ。」

側近「うわあ才能の無駄遣い。」

薬師「もう、暖房の効いた部屋から離れなくて済む……。」

側近「だめなひとだー。」

薬師「ところでさ。側近だって、こんなところで油売ってていいの?」

側近「だって」

側近「……聞こえます?外の音。」

薬師「あー。派手だね。」

側近「あんな魔物の、同属の断末魔が連続で響くところなんか戻れませんよ!」

薬師「うわあ。側近も俺のこと言えないじゃん。」

側近「とりあえず、薬師さんに勇者の相手をしていただいて、わたくしは魔王様と脱出する時間を稼ごうと」

薬師「えー。ありえなーい。」

側近「だって四天王のお三方がすでに勇者の手にかかったんですよ!」

側近「単なる秘書のわたくしが太刀打ちできる相手なわけないじゃないですか!」

薬師「やだやだやだ。体育会系のあの三人が勝てない相手に俺だって勝てるわけないだろ。体弱いんだぞ俺は。」

側近「だって薬師さん、搦手とか得意じゃないですか。」

側近「ねちねちねちねちと戦うのに時間かけるじゃないですかー。」

薬師「いや必死なんだって。他の四天王みたいに体力ないし。」

薬師「っていうか、辞退したんだよ四天王。肩書つくと残業代でないし。あ、剣士ちゃん、お茶淹れてくれる?」

剣士「かしこまりました、ぬしさま。」

薬師「でも前職の地の四天王がああいう倒れ方をしたじゃん。」

薬師「呪われた役職とか言って誰も尽きたがらないし。仕方ないから引き受けたの。」

側近「あれは悲惨でしたね……。まさか、死霊術師が飼いゾンビに手を噛まれるなんて……。」

薬師「なにが、って勇者関係ないとこが一番悲惨。」

側近「ミイラ取りがミイラに、というか、ゾンビ使いがゾンビになって脳を腐らせてしまったのですものね。」

剣士「お茶がはいりました、ぬしさま。」

薬師「ありがとう剣士ちゃん。じゃ、ついでにお茶菓子も買ってきてよ人間の街で。」

剣士「お任せくださいぬしさま。ぬしさまのために、特別美味しいのを探して購って参ります。」

側近「……逃げちゃいません?」

薬師「いやあ。深いところまで侵蝕してるから大丈夫。いつも戻ってくるし。」

側近「はあ……。」

薬師「しかし……どうしようか。どんどん悲鳴と爆音が近づいてくるねえ。」

側近「がたがたぶるぶる」

薬師「人間の勇者って怖いよね。」

側近「なんで薬師さんはそんなに落ち着いてるんですか?」

薬師「いや、部屋の前にさ、罠をしかけてるんだよね。」

薬師「剣士ちゃん以外の人間が踏むと、世界の果てに転送させるやつ。身ひとつで。裸一貫になって。」

側近「うわ。外道ですね。」

薬師「一応、高位魔族の端くれだからさ。その程度の小細工はお茶の子さいさい。」

側近「よっ!mr.鬼畜!悪の中の悪!」

薬師「やんややんや」

側近「え?否定しないんだ……」

薬師「しかしあれだね。剣士ちゃん遅いね。」

側近「他の魔物に食べられちゃった、とか……」

薬師「それはないね。口にいれると苦くて吐き出す薬品塗ってあるし。」

側近「子供の誤飲防止みたいな対策ですね。」

薬師「俺が捕まえたんだから、彼女に何かするのは俺だけ。」

側近「さすがのわたくしもドン引きです。」

薬師「あー……賢者亭のお菓子、今食べたいんだけどなー。遅いから、帰ったらお仕置きだなー。」

側近「人間の菓子屋ですよねそれ。まさか薬師さんが人間の殲滅に反対した理由って。」

薬師「あの味は、なかなか魔族には出せないからねー。あと食材作ってんのも人間だしー。」

側近「うわあ。」

薬師「あ。ちょうど、帰ってきたみたいだ。」

薬師「でも俺この部屋のこの暖房器具の前から動きたくないなー。」

側近「もう!いいですわたくしが迎えてきます。」

薬師「よろしくー。」

側近「おかえりなさー……!?」

勇者「全員両手を頭の後ろで組んで両膝を床について。一切の抵抗は無駄だと思っていい。」

側近「勇者!?魔王様の喉元に剣など突きつけて、なんのつもりです!」

魔王「頼む言う通りにしてくれ!」

勇者「でなければ、君たちの大事な魔王様の頭と胴体がサヨナラすることになる。」

側近「ひっ……」

薬師「うわー。ゆうしゃだー。もーだめだー。おしまいだー。ぱたり。」

側近「ちょっ……何を死んだフリなど……。」

側近「罠は!罠はなぜ発動しなかったのです!?」

魔王「転送装置か?吾が解除しておいた。また迷子になってはかなわぬからな。」

側近「だめじゃないですか!だめじゃないですか!」

勇者「この城は制圧した。あとは君たちだけ。」

魔王「薬師!なぜお前の部屋まで来るのに配下はひとりもいない!おかげでここまで勇者とふたりっきりだぞ!

魔王「怖くてちょっと変身しちゃったんだからな!?死んだフリなど無駄だ!答えよ!」

薬師「……俺の部下は勇者との交戦を避けるため、業務命令で南の島に研修旅行中でーす。」

側近「逃がしたのですか!逃がしたんですね!?なぜわたくしを参加させてくださらなかったのです!」

薬師「いや……秘書課は部署が違うから社内規定で稟議書書いて決裁回さないといけないし……」

魔王「そんな決済申請書回ってきてもサインなんかするかー!」

側近「うう……勇者こわいよう……逃げ出したいよう……」

魔王「おまえたち……もう少し吾を助けてみようかなー、っていう気概をみせよ!他の四天王のように!」

薬師「助けようとした他の三人はちなみにどうなったんですかー」

勇者「魔王直属の三戦士はなかなか強かったけど、勝てない相手ではなかったよ。」

魔王「みんな倒された。ぐすん。」

薬師「あ、じゃあ無理です。」

薬師「武官が負ける相手に文官の俺が勝てるわけねえです。」

魔王「諦めたらそこで試合終了だよ!もっと熱くなれよ!」

薬師「むりむりむり。だって何千年も在り続けたじゃないですか。もー充分じゃないですか。諦めましょう。」

勇者「なんなんだよ君たち。なんなんだよ。」

勇者「魔王が迷子になってるわ、魔王が毒沼で溺れてるわ、今日はまともに戦える魔物がいると思ったのに!」

勇者「その横で魔王が腰抜かしててあっさり捕まるわ、生き残りの君たちはすぐ降参するわ!」

勇者「この城に来る度にモチベーションが低くなるこっちの気持ちにもなってみろよ!」

魔王「貴様ら人間が、急に貴様のような刺客を送りつけてきたのであろ!?」

薬師「刺客じゃなくて勇者ですよ勇者。」

魔王「同じことだ!ここ何百年もずーっとスルーだったのに!なぜ吾が位を継いだ途端だ!?ばーかばーか!」

勇者「あのさ、自覚ないみたいだけど、人間にとって魔物ってのは脅威なの。」

勇者「何百年も、君を倒せる勇者の力を持つ人間は生まれなかったけど、やっと僕が君の討伐任務を受けたの。」

魔王「そっ……そんなの理不尽だ!」

勇者「君の仲間は、理不尽に人を襲って食べちゃうのもいるんだけど。」

魔王「吾はそんなもの喰わぬし!そういう輩だけ罰せばよかろ?」

勇者「魔王の君さえ倒しておけば、魔物はみんなまとめて一緒くたに駆逐できるんだって。」

魔王「うー……。」

勇者「で、ここ最近何度かこの城まで君を倒そうって来てるのに!

勇者「もうちょっと真面目に魔王らしい応対してよ!」

魔王「魔王らしいってなんだ!背景エフェクトか!経費の関係で無理だ!」

薬師「あー……態度の問題だと思いますよ魔王様。例えばこんな風に。」

側近「さすが薬師さん!とんだ屑野郎ですね!あなたの命令でお菓子買って帰って来た剣士を速攻で人質にとるなんて!」

剣士「ぬしさま……」

薬師「とりあえず、うちの王様を離してもらおうかな。そうすれば、君のご同郷のこの子に傷をつけなくて済むんだけど。」

勇者「……へえ。」

魔王「よくやった!褒めて遣わす!さ、勇者!吾から聖剣を離すのだ!でなければ、あの女の命はないぞ!」

勇者「それでこそ魔族だ。君の方が、魔王に向いてるんじゃない?」

魔王「ねえなにゆえ力を籠める。ちょっと剣食い込んでおるのだが。切れる。これ絶対ちょっと切れておる。」

薬師「いやあ。トップに立つと責任を負わなきゃいけないし。責任のない立場で好き勝手やる方が向いてるんだよね、俺。」

側近「おろおろおろおろ」

勇者「そんな脅しに乗らないから勇者、なんてやってられるんだよね。」

魔王「ひっ」

薬師「そう。残念だ。……じゃ、剣士ちゃん。自刃して。」

剣士「はい、ぬしさま。」

魔王「うわあああ!いやああああ!」

勇者「……いやあの。」

薬師「一番先に顔覆ってショックで変身するのやめてくれませんかね魔王様。剣士ちゃん、止まって。」

剣士「はい、ぬしさま。」

魔王「薬師!血とか!吾がダメなのしっておろう!痴れ者め!貴様も貴様だ勇者!同族が!目の前で意に沿わぬ自害などしようとしているのだぞ!止めろ!」

勇者「正義の前の犠牲だ。仕方ない。」

魔王「馬ッ鹿じゃなかろか!貴様には情というものがないのか!?」

勇者「そんなもの、持ち続けてたらこんなにヒトや魔物の血を浴びてレベルなんて上げてられない。その女の子をけしかけても無駄だ。」

勇者「どんな理由があったにせよ魔族側について、人類の代表者に攻撃を加えてくるなら僕は斬らなきゃいけないし。」

側近「勇者も薬師さんに負けず劣らずゲスいです魔王様!」

魔王「……ううー。ううー。」

ちょっとヤボ用を

なんで、魔王がピュアなんだよ。

支援するわ。これ。

戻りましたので再開します。

>>26 の誤字に気がつきました。決裁申請書。

>>38
恐縮です。

薬師「んー。困ったねえ。じゃー、当初の計画通りこれでいってみよーか。」

勇者「……ぐっ!?」

側近「勇者の腕が緩んだ!いまだわ!魔王様!」

魔王「そっきーん!吾はこわかったぞー!」

側近「ああ良かった魔王様!勇者の魔の手から良くぞお離れになりました!よしよし。」

勇者「なにを……」

薬師「良かった。やっと効いてきたね。催淫効果のある香さ。」

薬師「俺や側近みたいな人間からみて異形のタイプには全然なんともないけど、あんたや魔王様みたいな人型には結構効くだろ。」

薬師「ちなみに剣士ちゃんは俺がやりすぎちゃったせいで耐性ついちゃってもー効かないんだけど。」

勇者「ぐ、頭に靄が……このための時間稼ぎか。」

側近「ちょっ……魔王様までぐったりなさっているではありませんか!」

魔王「なん……だ……これは……からだが……あつい……」

薬師「魔王様には、お世継ぎをお産みいただかなければいけないし。勇者の子なら、さぞや強い子供が産まれるだろうね。」

勇者「くそ……」

薬師「人間は生かさず殺さずうまくコントロールするのがいちばんさ。」

薬師「増えすぎるとこうやって勇者なんかを送り込んでくるけど、滅しちゃったら今度はつまらないしね。」

薬師「さ、魔王様。お膳立てはすみました。勇者とお楽しみくださいな。」

側近「ひあああ////」

薬師「指の間からしっかり見ようとしてるじゃないか。」

魔王「ゆ、勇者ぁ……」

勇者「く、くるな魔王!」

魔王「吾は、その、人間から見たら醜いか?」

勇者「っ……なんで普通の女の子みたいな……耐えろ僕!見た目は美女かもしれないが、あれは魔王だぞ!」

魔王「勇者……っ」

勇者「さ、触るな……!」

魔王「吾も抗えぬのだ……ぁ」

魔王「すまぬ……勇者。こんな、はしたない……」

勇者「近寄るな!」

魔王「よいな。これは吾の意志ではないぞ。ここに漂う香が」

魔王「吾にこう、させるのだ。」

勇者「!」

魔王「とうとう、手を、握ってしまったな。////」

魔王「さあ。こうなっては仕方ない。一緒に赤ちゃんの来るのを待とう。」

勇者「……」

勇者「…………」

勇者「………………は?」

薬師「うん、あれ?」

勇者「…………」

側近「魔王様、なぜ勇者の隣にお座りになって、何もなさらなくなってしまったのでしょう?」

薬師「おかしいな。」

側近「魔王様は一体何をお待ちなのでしょう。」

魔王「男女が手を握ってしまったんだ。もうこうなっては、成り行きに任せるしかあるまいよ。」

薬師「えーと。魔王様?」

側近「魔王様、やや子はどう授かるか、ご存知ですか……?」

魔王「ば!ばかにするでない!そのくらい知っておるわ!」

薬師「……ちなみに説明していただけます?」

側近「へ、変態!薬師さんの変態!」

魔王「男女が手を握るとだな、空を巡回しておる天界の偵察機が天界に通達し、遣いの『コウノトリ』を使ってキャベツ畑に」

薬師「ストーップストーップ。もういいです。勇者、ちょっとタンマ。剣士ちゃん、勇者を第三応接室へ。」

剣士「はい、ぬしさま。」

薬師「魔王様にはちょっと視聴覚ルームでお話があります。」

魔王「……???うん?うん。」

側近「わ、わたくしはどうすれば!」

薬師「午後半休もらえば?申請はあとでいいから。」

側近「あ、そうしますそうしますー。」

薬師「ごめんね勇者。ちょっとだけ時間もらうねー。」

勇者「は……?」

勇者「……。」

剣士「お茶をどうぞ。」

勇者「飲むわけないだろ。」

剣士「さようでございますか。」

勇者「……」

剣士「……」

勇者「……『浄化』」

勇者「……よし、混乱状態は解除されたな。」

剣士「さようでございますか。」

勇者「……パーティ全体に対して魔法だから、君にも効いてるはずなんだけど。」

剣士「わたしは……今がしあわせでござりますので。」

勇者「……やっぱり、もう正気なんだ。」

剣士「こんなことを申すのですから、正気ではないのでしょうね。」

剣士「しかし、あの方が今わたしに優しいのは事実でござります。」

勇者「酷いこと、されたような話だったけど。さっきだって、奴は君に」

剣士「それも快楽に変わりますれば。」

勇者「僕と敵対しても?」

剣士「致し方なきことかと。」

勇者「ここで僕が君を斬ると言っても?」

剣士「わたしも剣士でござりますので、抵抗はさせていただきます。」

勇者「いや、やめておこう。剣は抜かなくていい。」

剣士「安心いたしました。」

勇者「魔族との戦いの前に無駄な戦闘で体力減らすのもね。」

剣士「……さようでござりますか。」

勇者「それにしても、人類に対する裏切りだよ」

剣士「今のわたしの天秤が、あの方側に傾いているだけのことでござります。」

勇者「……理解できないや」

剣士「魔族に与えられた悦びに抗えぬ愚かな女と思し召しくださりませ。」

剣士「おや。ぬしさまのお戻りのようです。わたしがもう自我を取り戻しているのはどうか内密に。」

勇者「異常性癖め」

剣士「ふふ……」

魔王「できるわけないだろ!できるわけないだろ!////」

薬師「世の中の男女はみなああやって」

魔王「おしべとめしべをあんな……!////」

薬師「あー……勇者。ごめんね。おまたせー。」

勇者「……」

魔王「おい何を剣など構えている。」

薬師「怒らせたかな。ちょっと時間かかっちゃったしなー。」

魔王「わー!魔王のテーマ流れちゃった!あんなもの見た後で戦闘とかそんな気分じゃないのに!」

勇者「……」

勇者「……疲れた。出直すわ。」

魔王「ほっ……」

薬師「なんかごめんねー。今度はちゃんと魔王様の性教育もできてるからさ」

勇者「なにやってんの……」

魔王「今度くる時はちゃんとアポをとるのだぞ!また必ずくるのだぞ!ちゃんと綺麗にして迎える準備をしておくからな!」

勇者「何の準備だよ!?」

魔王「こんな……真っ黒の衣装じゃなくて、純白の////」

勇者「」


<おしまい>

以上、おそまつさまでした。

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