結衣「あかりに死にたいと思わせてやる」 (28)

今回地の文はありません。
次から始まります。

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「すっかり暗くなっちゃったな」

「そうだねぇ、もう冬真っ盛りって感じだね」

「だね、ちょっと前まで秋だったのに」

「今年の秋は短かったねぇ」

「うん。そう言えば秋と言えば読書だよね」

「あかりは本を読むよりおいしいものをいっぱい食べたいなぁ」

「はは、あかりは相変わらずだね」


「そんなあかりでも夏目漱石っていう人は知ってるよね?」

「うん、知ってるよ。坊ちゃんや猫さんの人だよね」

「うーん…まあそうだけどなんか違うような気がするなあ」

「まあいいや、ところであかり、あそこでお団子売ってるみたいだよ」

「どこどこ?あ、ホントだぁ珍しいねお団子なんて」

「あかりの頭にもくっついてるじゃないか」

「これは違うよ!」


「ごめんごめん、奢るから機嫌なおして?」

「えっ悪いよ結衣ちゃん、あかりお金持ってるのに」

「いいからいいから。すみません、お団子二つくださ…えっこれってお汁粉にもできるんですか?じゃあお汁粉二つでお願いします」

「ありがとう結衣ちゃん」

「どういたしまして、あかり」

「あったかいね」

「うん」

きたい


「なぁ、あかり」

「なあに?」

「空見てごらん」

「わあ、お星様が綺麗だねぇ」

「うん、それに月も綺麗だ」

「そうだねぇ、まんまるだね」


「あのさ、あかり」

「月が、綺麗だね」

虐めかとおもったけどこの流れはもしや…?


「あかり知ってるよ、お月様って近くで見るとぼこぼこがいっぱいあるんだよね?」

「うん。それでも綺麗だよ」

「うさぎさんもいないんだよね?」

「うん、いないね。それでも綺麗だよ」

「どうしてぼこぼこでうさぎさんもいないお月様が好きなの?」

「私はずっと見てたから」

「影に隠れて見えない時も」

「今日みたいに眩しいくらい光り輝いてる時も」

「ずっとずっと見てたんだよ」

「じゃああの時なんでアッカリーンなんて言ったの?」

「うっ」

「えへへ、もう怒ってないよ」

「やっぱ怒ってたのか。それで、どこまで話したかな」

「結衣ちゃんがお月様のことずっと見てたっていうところだよぉ」


「ああそうだ、とにかく私は月が好きなんだよ」

「そっかぁ、結衣ちゃんは本当にお月様が好きなんだね」

「うん、大好きだよ。」



「じゃあ…あかりは、死んでもいいかなぁ」



「…あかりって結構本読むだろ」

「暇なときにたまに読むぐらいだよぉ」


「嘘つけ」

「結衣ちゃん寒いの?耳真っ赤だよぉ」

「うるさいほっといて」

「拗ねた結衣ちゃんもあかりは大好きだよ」

「私も…あかりが好きだよ」

「結衣ちゃん」

「昔からあかりのこと見ててくれたんだね」

「ありがとう、結衣ちゃん」

「愛してるよ」


一旦おわりです。
百合姫cm見ていてもたってもいられなくなった。
また書き溜めして投下していきますのでよろしければもう少々お付き合い下さい。

過去最高のタイトル詐欺だった。
乙だ。

すごくいい

>>12
これからやろきっと

百合心中ですね分かります


「結衣ちゃん」

「本当に行っちゃうの?」

「またあかりを一人ぼっちにしちゃうんだね」

「ちなつちゃんがいるだろって…?ちなつちゃんは結衣ちゃんの代わりじゃないよぉ」

「ねえ、もう結衣ちゃんには会えなくなっちゃうの?」


「もう結衣ちゃんは抱きしめてくれないの?」

「もう結衣ちゃんはキスしてくれないの?」

「もう結衣ちゃんは、月が綺麗なことを忘れちゃったの?」

「ねえ、答えてよ」

「…あかりの答えは変わってないよ」

「でも、最期は結衣ちゃんの腕の中で死にたいな」

「だから、その日まで」


「毎日あかりと一緒に、月を見てください。」



「あの時、あかりからプロポーズされるとは思わなかったな」

「だって結衣、私に黙って遠くの高校に進学しようとしてたじゃない」

「あのままだと色々半端でだらだら過ごしちゃいそうだったからね」

「結衣なりのケジメってやつかしら」

「まあそんなところだね」

「あかりも、成長したよね」

「一人称を変えて、勉強も私と同じところに行けるよう毎日遅くまで頑張ったそうじゃないか」

「当たり前じゃない、結衣に追いつくために頑張ったのよ」


「ふふ、しゃべり方や雰囲気までもうすっかり大人だね」

「もう私達大学生よ?流石に大人びてくるわよ」

「さて、あかり」

「私に殺される心の準備はできたかな?」


「ええ、できてるわ」

「ずっと待ってたのよ、あなたの腕の中で死ぬことを」

「そっか、待たせてごめんね」


「こほん、赤座あかりさん」



「目をつぶって、手を出してください」



「ふふ、急に改まっちゃって…こうでいいかしら?」

「ええ、もう少し待ってくださいね」

「終わりましたよ、さあ目を開けて」


「…この指輪って」

「赤座あかりさん」

「はい…っ」



「私に、毎日オムライスを作らせてもらえませんか?」


「あ、あんな美味しいものを毎日なんて、お代が…っ掛かってしまうわ…っ」


「お代は貴女のおはよう、で十分ですよ」


「…ふふっ、殺されちゃった」

「は、恥ずかしかった…暑い暑い…」

「見事な殺し文句だったわよ、結衣」

「当たり前だ、今までずっと考えて練習までしたんだから」

「そうね、素敵な殺し屋のせいで赤座あかりは死んじゃいました」

「おまけに、あんな小さなお願い事まで覚えててくれたなんて」

「私の腕の中で死にたかったんだろ?忘れるもんか」

「そうね、希望通り赤座あかりの最期は、船見結衣の腕の中だったわ」

「…これからは、船見あかりとして生きていくのね」


「怖いか、あかり?」

「いいえ、貴女と一緒なら何も怖くないわ」

「そっか、そうだあかり、空を見てごらん」


「月が、とても綺麗だよ」


「ええ、私が死にたいと思うほどにね」


おしまい

あかりは大きくなったらあかねさんみたいになると思うんだ。
短い間でしたがお付き合い下さりありがとうございました。

過去作
結衣「明日があるさ」
結衣「明日があるさ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448628272/)
よかったらこっちも見てやってください。

乙乙

乙ですわ


毎日オムライスはきついなって思いました

乙です

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