貝木泥舟「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」 (96)

俺は金が好きだ

なぜかと言えば、金はすべての代わりになるからだ。
ありとあらゆるものの代用品になる、オールマイティーカードだからだ。

物も買える、命も買える、人も買える、心も買える、
幸せも買える、夢も買える

とても大切なもので、そしてその上で、
かけがえのないものではないから、好きだ

この世は金が全てだ。俺は金のためなら死ねる


平塚「おい貝木、これはなんだ?」

貝木「授業で出された課題を書き上げただけだが?」

平塚「私は何故こんな巫山戯た作文になったのかと聞いているんだ」

平塚「なんだこれ…どうしてこうなった?」

貝木「巫山戯た作文?俺は至極当然の事を書いただけだ」

貝木「何にしても金は必要であるし大切だろう?」

貝木「今お前がここに居ることができるのも金の力あっての事なのだから」

貝木「俺の作文を否定する事、それ即ち自らの存在の否定と同義だ」

平塚「小僧…屁理屈を言うな…」

貝木「小僧…?いや…お前の年齢からすれば俺を小僧と言っても不思議ではないか」

平塚「その口を今すぐ閉じろ、でないと鉄拳制裁を下すことになる」

貝木「そう怒るな、皺がまた一つ増えてしまうぞ?平塚ァ」

平塚「減らず口を…なぁ貝木、君に友達はいるか?」

貝木「友情は人をダメにするからな、だから友達は作らない」

平塚「それはいないのと同じだよ……まぁいい少しついてきたまえ」

―――

雪乃「…平塚先生、入る時はノックをお願いしたはずですが?」

平塚「すまない雪ノ下、だが君はノックをしても返事をした試しが無いじゃないか」

雪乃「返事をする間もなく先生が入ってくるんですよ…」

雪乃「それでそこの不吉な感じの方は?」

平塚「彼は入部希望者だ」

平塚「おい貝木、自己紹介をしてやれ」

貝木「俺は入部を希望した覚えは無いんだが……」

雪乃「あら?自己紹介もしてくれないのかしら?」

雪乃「自己紹介なんてその辺の小学生でも熟すわよ?」

貝木「……俺の名は貝木という」

雪乃「カイキ?」

貝木「貝塚の貝に、枯れ木の木と書いて貝木だ」

雪乃「丁寧な自己紹介を有り難う貝木君」ニッコリ

雪乃「私は雪ノ下雪乃、漢字は……」

貝木「そこまで説明しなくてもいい」

貝木「その名は良く知っている名前だ」

雪乃「そう……手間が省けたわね」

平塚「よし!両者の自己紹介も終わった所で本題へと入ろうじゃないか!」

ご飯落ち

平塚「まず貝木、君にはここでの部活動を命じる」

平塚「勿論、異論反論抗議口答えは一切無しだわかってるな?」

貝木「あぁ…わかった」

貝木「(俺はわかったと返答しただけだ)」

貝木「(機械的に、それこそ俺の発した一言に心は一つも篭っていない)」

貝木「(つまりは部活動に準じるかどうかそれは別問題だと言うことだ)」

平塚「そして雪ノ下、君には彼の更生を依頼する」

平塚「彼を見てもわかると思うが…いや見なくてもわかるか」

平塚「彼は腐った根性の持ち主であり守銭奴で友達0の憐れむべき人間だ」


平塚「もう一度言うが君には彼の更生を依頼する」

平塚「引き受けてくれるな?」

雪乃「先生からの依頼なので無碍にはできませんし」

雪乃「承ります」

平塚「そうかそれは良かった!では後の事は頼んだぞ雪ノ下!」ガララ

貝木「…………」

雪乃「…………」

雪乃「はぁ……そんな所に立ってないで座ったらどうなのかしら?」

貝木「そうさせて貰おう」ガタンッ

貝木「それにしても全く状況が掴めない…まずここは何部何だ?」

雪乃「何部なのか当ててみたらどう?」

貝木「ふむ……別にいいがそれだけではつまらないな」

貝木「勝った方が負けた方に一回だけ命令できる権利を賭けるのはどうだ?」

雪乃「いいわよ?その代わり回答権は一回だけとするわ」

貝木「わかった…ではここが何部か当ててやろう」

貝木「ここは奉仕部だ、どうだ?正解か?」

雪乃「っ!?」

雪乃「なんで…わかったの?教えて貰えるかしら?」

貝木「簡単な事だ」

貝木「この教室に入る時入り口の奉仕部と書かれている表札を見かけたからだ」

貝木「あんな物、見まいとしても嫌にでも目につく」

雪乃「じゃあ貴方は最初から知っている上で何部かどうか聞いてきたって言うこと…?」

貝木「そうだぁ」

雪乃「会って間もない人間相手に嘘をついて恥ずかしくないの?」

貝木「そもそもお前が親切に真摯に向き合って俺に何部なのか答えていればこうはならなかったはずだ」

貝木「容易に賭けに乗ってしまったことも悪手…まず人の言葉を信じるな、疑え」

貝木「今回の件からお前が得るべき教訓は…」

貝木「人を見たら詐欺師と思えということだ」

雪乃「……貴方は根本から終わっているみたいね」

雪乃「平塚先生に頼まれた以上責任を果たすわ」

雪乃「貴方のその捻くれた性格を矯正してあげる」

貝木「捻くれた性格?心外だ」

貝木「俺の心が傷ついてしまったではないかどうしてくれる?」

雪乃「また抜け抜けと嘘を…貴方は呼吸をする様に嘘をつく人間なのね」

貝木「あーそうだそうだ俺は呼吸をする様に嘘をつく人間だよ雪ノ下」

貝木「だがなぁ…程度はあれ嘘をつかない人間がどこにいる?」

貝木「そんな人間、俺は今まで一度も見たことがないぞ」

雪乃「…貴方が孤立しているのもその捻くれた感性が原因だとはっきりわかるわ」

貝木「俺は友達を作らないだけだ」

貝木「本気を出せば友達100人なんぞ余裕だ」

雪乃「また戯れ言を……!!」

また明日にでもぼちぼち書いていきます
ほな

平塚「邪魔するぞ?」ガラ

雪乃「平塚先生ノックを……!」

平塚「すまないすまない」

平塚「それにしても雪ノ下、彼の更生に手こずっているようだな?」

雪乃「本人が問題を自覚していない所為です」

貝木「俺は元からこういう人間だ、だから俺は悪くない」

雪乃「貴方のそれは逃避と同じよ……」

貝木「逃げる事の何が悪い?この世にある殆どの問題は逃げることで解決するだろう?」

雪乃「それじゃあ……悩みは解決しないし…誰も救われないじゃないっ!」

平塚「二人共少々落ち着きたまえ」

平塚「今回はお開きとして明日仕切り直しとしようじゃないか!」

雪乃「先生がそう仰るなら……」

―――

貝木「……」ガララ

雪乃「こんにちは貝木君、まさか来るとは思わなかったわ」

貝木「ノックをしろとは言わないんだな…お前は平塚が嫌いなのか?」

貝木「俺から見てもあいつは教師として有能な部類に入ると思うのだが」

貝木「(――女性としては低能で、既に終わっているのは間違いない)」

雪乃「貴方に一般常識やマナーを期待してないだけよ」

貝木「おいおい俺を見くびってもらったら困るぞ…俺は常識ある人間だと自分で思ってる」

雪乃「貴方それ神様に誓って言える?」

貝木「神様でも何でも構わないぞ?何ならお前に誓って言ってもいい」

雪乃「はぁ……もういいわ」

雪乃「それよりもどうして奉仕部に来たのかしら?」

雪乃「もしかして貴方マゾヒスト?罵られるのが好きなの?」

貝木「平塚に言われたから来ただけだ」

貝木「それと、人を勝手に変態に仕立て上げるんじゃ無い」

雪乃「ならストーカー?」

貝木「…どうして俺がお前に好意を抱いている前提で話が進んでいるんだ」

雪乃「違うの?」

貝木「違う…お前に好意を抱くくらいなら俺は金を抱いていたい」

貝木「なあ雪ノ下、何故好意を抱いていると思った?」

雪乃「…私って昔から可愛かったから…」

雪乃「近づいてくる男子は大抵私に好意を寄せてきたの、だからよ」

貝木「過去の経験則に俺を当てはめた訳か」

貝木「けれども…お前を好きになる奴がいるんだなぁ?」

貝木「物珍しい、者珍しいと言うべきか」

貝木「不自然極まりないと言っても過言ではない」

雪乃「あら?誰からも好かれない可哀想な日陰者が嫉妬しているようね?」

雪乃「でも…好かれない人間の方が余っ程良いかもしれないわ…」

貝木「中々面白いことを言うじゃないか?それはどういう意味だ?」

雪乃「小学校の頃、上履きを60回ほど盗まれたことがあったの」

雪乃「内50回ほど女子に盗まれた…」

雪乃「おかげで毎日上履きを持って帰る羽目になったわ…」

貝木「大変だったんだなぁ」

貝木「(俺はそんな心にもないことを言って適当に合わせる)」

貝木「(何せ一度も経験した事がないのだから共感も何もない)」

貝木「(人は自らの目で見た物しか、経験した事しか理解できない生き物だ)」

貝木「(それは俺も例外ではない)」


雪乃「えぇ大変よ?だって私可愛いから」

雪乃「でも仕方ない事なのよ…人は皆完璧では無いから…」

雪乃「弱くて醜くて…すぐに嫉妬し蹴落として…嘲笑う」

雪乃「この世界は不思議な事に優秀な人間ほど生きづらいのよ」

貝木「――――出る杭は打たれる、か」

貝木「でも、出過ぎた杭は案外打たれないものなんだぜ?」

トントン

貝木「っと…来客のようだな」

貝木「正直者で真面目な俺は邪魔にならない為にも黙っておくことにするかぁ」

貝木「(勿論俺にとっての邪魔は、奉仕部以下含め雪ノ下雪乃であると付け加えておこう)」

また一時間後くらいに投下します

これ原作をなぞる感じで進めていくの?
それともどこかでオリジナルに入る?


雪乃「一言二言が余計なのよ貴方は…」

雪乃「どうぞ、入っていいわよ」

由比ヶ浜「し、失礼しまーす……」

由比ヶ浜「平塚先生に言われて来たんですけど…」

由比ヶ浜「って何でカッキーがこんなとこにいんの!?」

貝木「(誰だぁこいつは……馴れ馴れしい)」

貝木「俺がここの部員だからだ…」

貝木「それと…今度カッキーと言ったらぶっ飛ばすからな」

由比ヶ浜「えっ……ご、ごめんカッキー……」

貝木「……」

雪乃「貴方2年F組の由比ヶ浜結衣さんね?兎に角まずは座って頂戴」

由比ヶ浜「私の事知ってるんだ…」

貝木「雪ノ下の事だ、大方全校生徒を覚えているんじゃないか?」

雪乃「そんな事は無いわよ?だって貴方の名前は知らなかったのだから」

貝木「俺の名を知らなかったのは単なるリサーチ不足が原因だろう」

貝木「対して俺は全校生徒の名前を言えるぞ?優秀なお前と違って」

雪乃「つまらない嘘をつくのは辞めなさい」

雪乃「それにリサーチ不足というより私の心の弱さの問題よ」

雪乃「貴方の存在から目を背けてしまった私の脆弱な心がいけないのよ」ニッコリ

由比ヶ浜「な、なんか楽しそうな部活だね!」

貝木「…今の光景が楽しそうに見えるならお前にオススメの眼科を紹介するぞ?」

貝木「大丈夫だ、問題はない…頭の悪さも治せるからなぁ」

貝木「だが紹介料は貰う、金を払え」

由比ヶ浜「私最近目も悪くなったし頭も痛いんだよねー」

由比ヶ浜「って私の事バカにすんなし!」プンスコ

雪乃「きっちりとお金だけは取るのね…本当に意地汚い人だわ」

貝木「ただ働きは割に合わないからな」

貝木「それより由比ヶ浜だったか?何か相談事があって奉仕部にわざわざ足を運んだんだろう?」

貝木「飽くまで奉仕部の部員としての活動を遂行するという意味でお前の話を聞いてやる」

貝木「但し相談に乗るかどうかはわからないが」

由比ヶ浜「あ、ちょっとカッキーには相談しにくいなーって」

貝木「(始めての奉仕活動は意外な事に戦力外通告を受け失敗――)」

貝木「ならば俺は戦力にすらならないだろうなぁ」

貝木「…あぁ悲しい、心が張り裂けそうだ」

貝木「でもそんな事を言っても仕方が無いので…負け犬のように」

貝木「無様に言い訳呟きながら俺は退散させて頂こう」

貝木「(ヘヘっ…よし勝った…)」

雪乃「そのまま家に帰るつもりでしょう?逃さないわよ」

雪乃「後で呼んであげるから部室の外で待ってなさい」

貝木「わかった…部室の外で待っておくとする」

貝木「(と言うのも嘘である)」

貝木「(さてさて…鞄を持って口煩い邪魔者と馬鹿を後ろに見ながら優雅に帰路へと着かせてもらおうか)」

雪乃「鞄は置いて行きなさいよ?」

――――

貝木「クッキー?」

雪乃「手作りクッキーを食べて欲しい相手がいるそうなの」

雪乃「でも自身が無いからクッキー作りを手伝って欲しいというのが彼女の依頼」

貝木「そんなの友達に押し付けて、馬鹿みたいに和気藹々とした雰囲気の中でやれば良い話だ」

雪乃「友達のいない貴方が言うと説得力が微塵も感じられないわね」

由比ヶ浜「カッキー酷すぎ!」

由比ヶ浜「でも友達にあんま知られたくないし…」

由比ヶ浜「こんな本気っぽい雰囲気合わないから……」

貝木「自分の気持ちを――――真実をひた隠しにして」

貝木「気持ちとすれ違う言葉で話さなければ、つまり語らなければ」

貝木「付き合うこともできない友達とやらは実に不便だな」

由比ヶ浜「で、でもさぁ…最近皆やってないって言うし…」

雪乃「その周囲に合わせようとするの辞めてくれないかしら?」

雪乃「酷く不愉快だわ」

由比ヶ浜「……か……かっこいい……!」

貝木「……」

雪乃「えっ…!?貴方話を聞いていたの?結構キツイこと言ったつもりだけど…」

由比ヶ浜「うん!言葉は酷かった!でも本音で話してるって感じがしたの!」

由比ヶ浜「カッキーの言葉もそうだった!」

貝木「俺の言っていたことは嘘だったかもしれないぞ?」

貝木「(俺にかもしれないを追求すればキリがないかもしれないがなぁ…)」

由比ヶ浜「別に嘘でも真でもいいよ!私がそう思ったから…じゃダメ?」

貝木「(……由比ヶ浜結衣の様な人間は初めてだ)」

貝木「(どうしてこうも前向きに……ポジティブに物事を捉えられるのか)」

貝木「(――興味深い、素直にそう思う)」

貝木「……取り敢えず一度作ってみればいいんじゃねえの?」

貝木「不運な事に雪ノ下雪乃もいるんだ」

貝木「一緒に作ればそれなりの物が出来上がるだろう」

由比ヶ浜「うん!」

――――

貝木「なんだぁ?これはぁ?」

由比ヶ浜「クッキーだよ!」

貝木「…化学兵器の開発、生産及び使用は条約で禁止されているので」

貝木「この忌々しくそこはかとなく不吉な感じを漂わせている汚物は」

貝木「早く廃棄するべきだと思うのですがぁ?」

由比ヶ浜「なんで急に敬語!?それに失礼すぎだし!」

由比ヶ浜「これ私が作ったクッキーだよ!?」

雪乃「味見しなさい貝木君」

貝木「よせ、話し合おう…俺は苦くて不味そうな食べ物は嫌いだ」

貝木「(他人の苦虫を噛み潰したような顔は好きだ…大好物と言ってもいい)」

トイレ行く
おっきい方

雪乃「どうしてここまで失敗するのかしら…」

貝木「もしかしてお前はうまいクッキーを作りたいのか?」

貝木「だとしたら見当違いだ…」

貝木「他人に上げるクッキーなんぞ美味しくなくても良い」

貝木「むしろ味の悪い方が適している」

雪乃「それはどういう事かしら?」

貝木「男なんて皆単純で下らない単細胞生物なのさ」

貝木「可愛い女の子が自分の為に作ってくれた手作りのクッキー」

貝木「味の不味さもインパクトがあっていいじゃないか」

貝木「他とは違った味のある手作りクッキーを演出できる」

貝木「だからまぁ…そんな物以上に心が揺らぐものなんて金ぐらいしか無いのさ」

由比ヶ浜「最低ー!!けどカッキーも揺らぐの?」

貝木「あぁ揺らぐとも…何せ他人から無償で、無料で物を貰えるのだからなぁ」

貝木「ただより高い物はない」

由比ヶ浜「ふぅーん…そういうものなんだ…」

雪乃「で?由比ヶ浜さんはどうするの?」

由比ヶ浜「うーん…自分なりのやり方でためしてみることにするよ!」

由比ヶ浜「ありがとうね、雪ノ下さん!」

――――

あっただより高いものはないって使い方間違ってる

――――

雪乃「本当に良かったのかしらね…先週の由比ヶ浜さんの依頼…」

貝木「別に良かったんじゃないか?」

雪乃「…私は、限界まで挑戦するべきだったと思うのよ」

雪乃「それが最終的には由比ヶ浜さんの為になるんじゃないかと…」

貝木「めでたい奴だな雪ノ下雪乃」

貝木「良い事を教えてやる…努力は人を裏切らないが夢を裏切る事はあるんだぜ」

雪乃「え?」

貝木「夢なんて所詮、幾ら努力した所で実らない方が多い」

貝木「ただ、そこに努力したと言う事実が…そう、真実があれば慰めにもなるだろう」

貝木「自分の心に蓋をして、自分の気持ちに嘘をつく事ができる」

貝木「つまり今回の件からお前が得るべき教訓は……」

貝木「努力とは自分を慰める為の道具でしか無い――ということだ」

雪乃「甘すぎるわね…気持ち悪い」

トントンッ

由比ヶ浜「やっはろー!!」

貝木「帰れぇ」

由比ヶ浜「何でだし!?」

雪乃「由比ヶ浜さん何か用かしら?」

由比ヶ浜「えっと…この間のお礼って言うか」

由比ヶ浜「クッキー作ってきたから一緒に食べよ?ゆきのん!」

雪乃「ゆきのん!?」

貝木「(こうして――――虚実入り交じる描写、有る事無い事織り交ぜて)」

貝木「(奉仕部のまちがった青春が始まる)」

俺ガイル第一話の内容はこれにて終了です
次から第二話の内容になっていきます、多分vsあーしさん

>>42
基本は俺ガイルの原作をなぞる形でちょくちょくオリジナルを挟もうかと思ってます

また明日か明後日にでも
ほな

動物は基本群れるものである。
これは野生動物に限ったことではない。人間も同じだ。
しかし俺に言わせれば、どうして安易に群れるのか、徒労を組むのかが謎で仕方が無い。正にどうかしている。
もっとも謎は謎でしかなく、俺が全く理解できないわけではないと、付け加えておくことを忘れる俺でもないが。

少数が多数を支配するという諺がある。
例えば100人の集団があったとしよう。
その中の51人が肯定派なら否定派より多数となり制することができる。
肯定派の中にも派閥が存在して、51人の中の26人が一つの派閥に属すれば残りの人数より多数となり制することができる。
実質26人で100人の集団の実権を握る事ができるのだ。
集団心理にまんまと陥った善良で、疑うことに臆病な者の成れの果て。

ミルが満足した愚か者であるより不満足なソクラテスである方を選んだように。
人間が群れなければ生きていけないと言うのなら、俺は人間でなくてもいい。
俺なんて奴がいればだが。

――――

平塚「なんで生物のレポートで民主社会の倫理を展開している…」

貝木「平塚は現国担当だったはずだ」

貝木「どうしてそのレポートを持っている?」

平塚「私は生活指導も兼任している…故に生物の先生に丸投げされたんだ」

平塚「で?これのどこが動物の生態なんだ?」

貝木「俺の観察と考察から導き出した結論だ」

貝木「それとも、元旦の初詣で命よりも大切な金を」

貝木「まるでゴミか何かのように手荒く放り投げる人間達の生態でも書けと言うのか?」

平塚「君は本当に捻くれ者だな…呆れて物も言えないよ」

貝木「それは嘘だな」

貝木「本当に呆れてしまったって奴は目もくれず無視するもんだぜ」


平塚「……ところで君から見て雪ノ下はどう映る?」

貝木「脆いだな」

貝木「雪ノ下雪乃は真っ直ぐ純粋で嘘偽り無い嘘みたいな正しさを持ち合わせている」

貝木「正しすぎると言うべきか…だから脆い、付け入る隙が有り余る」

貝木「何せ正しすぎると言うことは悪を知らなさすぎると言うことでもあるからな」

貝木「無智の智ならぬ無智の無智、だ」

平塚「そうか…非常に優秀な生徒ではあるんだが…」

平塚「ただ世の中が優しくなくて正しくないからな、さぞ生きづらいだろう」

貝木「…俺もこの世を生きやすいなんて思ったこと一度もないさ」

――――

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