雪女「あの……マジ寒いんで、入れてもらえないっすか……?」 (15)

※昔書いたものをリライト
※亀更新

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男「は……?いや、おまえ誰?やだよ知らねえ奴家に上げるとか」

雪女「いや、ホントお願いします……」

男「それにしても寒そうな格好してんなー、何それ、コスプレ?」

雪女「え、と……これは、制服?そう学生服です!」

男「いや、この真冬にそんな寒そうな着物制服にしてるとかどこの南国だよ」

雪女「えっ?……そりゃ、校舎内はそりゃもう暖房ガンガンなんですよ……?」

男「何で語尾に疑問符付いてんだよ、怪しさMAXじゃねえか」

雪女「……うう」

男「はい、さっさと帰んなさい。親御さん、きっと今頃探してんぞ?」

雪女「あ、それは大丈夫っす。自分、親とか居ないんで」ヘラヘラ

男(やべ、悪い事言っちまったかな……)

雪女「ぶっちゃけ帰る家も、ないっちゃないんですわ」ニマー

男(重い……ってかうさん臭え……)

雪女「自分、結構美人だし、もし入れてくれたら美味しい思いできるかもしれないっすよ?」ニヤー

男「は、美人……?どこ?」キョロキョロ

雪女「うっわぁ、容赦ないっすね……」

男「うるせー、俺はN○Kの集金と宗教勧誘には容赦ない男なんだよ」

雪女「あの、本当マジで何もしないんで……さっきちょだけ、さきっちょだけだから!」ガタガタ

男「うわ、やめろ近所迷惑だっつの!」

雪女「あのぅ、冗談抜きにマジ寒いんすよ……。ほら、私の鼻水とか!見てほら、凍ってる!」

男「それが自称美人のセリフかよ……」

雪女「うっわあーあったけー、文明の利器サイコー!コタツはやっぱ日本人の心ですねー」

男(玄関先で騒がれても面倒だし、入れたはいいものの……)

雪女「……♪」ヌクヌク

男「あのさぁ、家の事情とかそういうのは大体察するけどさ、お前自分の体はもっと大切にしろよ。
もしお前がこんなことしてるって知ったら、天国のとーちゃんかーちゃん泣くぞ?」

女「?」

男「…………」

雪女「あのー、もしかして私の事、体売る前提のと勘違いしてませんか?」

男「ばっ……お前、んなわけねーだろうがこのブス!」

雪女「ああー、なんかごめんなさい……。私そーゆー気ないんすよ。
えっと、そのその気にさせちゃいましたかね?……ご期待に添えず、すみません」

男「いや、いいよ……ってか、何で俺が振られたみたいな事になってんだ……」

雪女「あははー少なからず下心があったからですよ、きっとー」ヘラヘラ

男(疲れる……)

雪女「そーいえば、あなたお名前なんておっしゃるんですか?」

男「ああ、男っていうんだ。お前は?」

雪女「はい!自分、雪お……ゴホン、女って言います!男さん、これから宜しくお願いします!」

男「……これからって、何だお前、まさか家に居座る気?」

雪女「ええ」ムシャムシャパリポリ

男「勝手にコタツの上のハッピーターン食ってんじゃねえよ」

あれから何度も追い出そうとしたが、今度は逆に悲鳴をあげるとかで脅されて、
俺は仕事疲れもあり、今日のところは追い出すことを諦めた。

男「もう時間も時間だから飯作るけど、お前夜飯は食ったの?」

雪女「いーえー……」ピコピコ チュドーン 

男(滅茶苦茶くつろいでやがる……)

雪女「はっ!まさか私の分も作ってくれるんですか!?」

男「まあ、な。成り行きとはいえ家に上げちまったからにはお前、客だし」

雪女「いよっしゃー!晩飯ゲットー!!!あの、私、肉食いたいです!肉!」

男「え……肉?肉つったら、ハンバーグとか?」

男(冷蔵庫に丁度材料が……)

雪女「イエス!分かってらっしゃる!寒いんでここは煮込みハンバーグがいいですねー」

男「まためんどくさいもんを……」

トントントン……

男(つか……誰かの為に料理作るなんてずげえ久しぶりだな)

雪女「できましたー?」ヒョコ

男「うひゃあ!?」ドサッ

雪女「……どうしたんです、そんなあからさまに避けて、尻もちまでついて。
もしかして私、息とか臭かったですか?」クンクン

男「あ、え……と」

男(……あえて意識はしてなかったけど、至近距離で見るとやっぱりとんでもない美人なんだよな、この女)

雪女「何です?」ツルペターン

男(……胸は無いけど)

男「いや、ちょっと集中してたんだ。てか危ないから包丁持ってる奴に後ろから近づくなよ。あと息も、ちょっと臭い」

雪女「嘘!?」

男「買い置きの歯ブラシやるから磨いて来い。今すぐに」

雪女「正直かつ残酷かつ親切だ!?」

男(まあ、嘘だけど)

ショコシャコシャコ……タタタタタタ

雪女「すっきりさっぱりです」ハァー

男「うわ、やめろミント臭い!!」

雪女「そんな悪口初めて聞きました」ニヤニヤ

男「もう出来てるから……味わって食べろ。なかなかの味になった」フフン

雪女「それは楽しみです!でもちょっと冷めてから——」

男「出来たてが旨いんだろうが」スプーンズイッ

雪女「あっ、あっ……ムグッ……ゴホッゴホッ!」

雪女「熱っ、熱いっ、口がー」

男「猫舌かよ、ほら水」

雪女「……ゴクゴクゴク、はぁー」

男「大丈夫か?」

雪女「っ!大丈夫じゃないですよ、雪女にこんな熱いもの——!」

男「ん?」キョトン

雪女「あ、あははー、この歳でみっともないっすねー」アセッ

男「……?そうだな」

男「朝なわけだが……」

雪女「あい……」

男「出てってくれないか?」

雪女「あの、これには深い事情が——」

男「お前ぐらいの歳で寝小便垂れる奴を俺は初めて見たよ!
なんなんだこれ、こっちまでよく分かんない申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいだよ!?」

雪女(だって暖かいご飯とお風呂で、暖かかったんですもん。そりゃあ雪女ですし、溶けますよ。でも——)

男「紳士ぶってベット貸したのが間違いだった。畳に——いや、ベランダに放り投げておくべきだった。いや、そもそも部屋に入れたことからして間違いだった。ああー、もう俺の人生間違いだらけだ!どうしてくれる!?くぁwせdrftgyふじこlp」

雪女(本当の事情は話せないし、言い分が段々悪質クレーマーみたいになってきてるし、とりあえずは男さんの鎮火を待とう)

雪女「…………」ポン

男「?」

雪女「男、少し、頭冷やそうか」

男「ああ!?冷やすのはおめーじゃボケェ!!」

雪女(言ってみたかっただけなのに……)

ベットってなんだよ

会社

男「——ってなことがあってさ」

同僚「いやあ、そんなエロゲみたいな事が本当にあるんだねえ」

男「嫌な例えするなよ、つか例えいくら美人でも、リアルに自分の布団に小便ひっかけられたら千年の恋も冷めるわ」

同僚「ううーん、どうだろうね。僕だったら、別に愛があれば許せるかなあ」

男「愛って……寒い事言うなよ。どうやったら素性不明の家出娘にそんな感情持てるんだよ」

同僚「でも——男くんとしては良かったんじゃないの?愛が無くても一応ヤレたんだしさ」

男「……は?」キョトン

同僚「え?まさか——やってないの?うはwウケるwwwww——ヘブシッ!」

男「悪い、殴りたくなった」

同僚「うぇwうぇww相変わらずピュアwww真面目w馬鹿ww」ヨロヨロ

男「うるせえって。大体、あの歳で家出とか、そうとう根性要んだろ。
あいつにはそれだけの事情があるってことでさ。
……そういう弱ってる奴の心情につけ込むみたいなやり方、俺……嫌いだ」

同僚(…………)

同僚「またーwそういう事言っちゃってーwwwでもだから僕、男くんの事好きなんだなwww」スリスリ

男「ひぃ、やめろキモイ!」

>>10
×ベット○ベッド

今日はここまで
続きはまた

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