【ミリマス】P「次の公演での漫才の事なんだけど」 茜「はいはい」 (27)

茜「プロちゃん、茜ちゃんはもう運命から逃げる事はできないんだね」

P「往生際がいいじゃないか。もはやこの劇場に茜の漫才は欠かせないからな」

茜「で、麗花ちゃんは?」

P「そろそろ復帰してくれるかと思ってたんだけどな」

 麗花『今はアンダースローでスライダーを投げる練習で忙しいので、漫才はまたの機会でお願いします』

P「という事らしい」

茜「何すばるんに張り合おうとしてんのあの人は。で、今度の相方は誰?」

P「今回は劇場で希望者を募ってみたんだが思いの外集まってな」

茜「一度劇場の意識改革をした方がいいんじゃないかなそれ」

P「まあいいじゃないか。そこで、今回は公正に希望者の中からジャンケンで勝った者にやってもらう事になった。おーい、入ってくれ」

桃子「入るよ」ガチャッ

茜「君はもっと賢い子だと思っていたんだがね」」

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P「じゃ、後は二人でよろしく」バタン

茜「えーと……どうしちゃったの桃子ちゃん?」

桃子「何?桃子が漫才やっちゃダメ?」

茜「いや、ダメって言うか……正直、桃子ちゃんには冷ややかな目で見られてると思ってました!」

桃子「別に……劇場のために頑張ってやってくれてる事だし」

茜「え、あ、うん、そうだね!茜ちゃん献身的だからね!で、桃子ちゃんは何で漫才やろうと思ったの?」

桃子「……千早さんや瑞希さんが漫才をやると表現の幅が広がるって言ってたから。それだけだよ」

茜「うーん、効能についてはちょっと保証しかねるけどねー。まあ、前向きなチャレンジ精神は実に結構!やるからには全力を尽くそう!」

桃子「桃子が隣に立つんだからね!今までで一番いい漫才にするよ」

茜「で、桃子ちゃんはやりたいネタの方向性とかある?」

桃子「リズムネタとか、一発屋っぽいネタは嫌だよ」

茜「それじゃあ桃子ちゃんもオーソドックスな方が良さそうかな」

桃子「いくつか『こういうのが好き』っていうの探してきたから。とりあえず見てみて」

茜「何……だと……?ここまで準備のいい相方は初めてだよ桃子ちゃん」

桃子「そんな……このくらい普通だよ」

――――
――

P「うんうん、いい感じじゃないか。桃子の」

 桃子『勝つ……絶対、勝つ……!』ブツブツ

P「ってジャンケンの時の気迫には少し驚いたが、さすがのプロ意識だな!」

――数分後――

桃子「ふふっ……他はこれとか。ツッコミのキレが大事な奴だからしっかり見てね。ふふふっ……」

茜(ムムッ!素直に笑ってる桃子ちゃんかわええのう……!)

――――
――

P(かわええのう……!)

――当日・舞台袖――

茜「さあ、いよいよ本番だよ!桃子ちゃん、緊張してない?」

桃子「舞台には少し緊張してるくらいがちょうどいいんだよ。茜さんの方こそちゃんと緊張してる?」

茜「もちろん!茜ちゃんはステージに立てばいつだってベストコンディションだからね!」

桃子「ふーん……ならいいんだけど」

茜「……この前ね、事務所の入り口で雪歩ちゃんに会ったの」

桃子「急に何?」

茜「何してんのかと思って聞いたらさ」

 雪歩『じ、事務所の中に大きな犬がいて入れないんですぅ……ほら、あれ!』

茜「って指差す方見ると確かに何かモサモサ動いてるから確かめに行くじゃん?」

桃子「……うん」

茜「ロコちゃんの後ろ髪」

桃子「ふっ……ふふっ……!」

茜「気張るのも大事だけど、ステージを楽しむのも忘れちゃいけないよ?」

桃子「うん……そうだね!」


風花『続いては、茜ちゃんと桃子ちゃんの漫才です!』

育『桃子ちゃんと茜ちゃん、全然練習見せてくれなかったからわたしも楽しみ!』

翼『それじゃ、そろそろ行っちゃう~?』

風花『「ニャンニャン・ドリ~ミンッ」のお二人です、どうぞ!』

イズガンガンガンガンガンガンガンガンガーン オオッ オオッ

茜「はいどーもー!ニャンニャン・ドリ~ミンッでーす!」

桃子「ねえ茜さん。最近ちょっと調子に乗ってるんじゃない?」

茜「いきなり何!?そんな事ないよー?確かに茜ちゃんはいつも絶好調で可愛いけど、調子に乗った事なんか一度もないからね!」

桃子「じゃあ、何でこの前ネタ番組を蹴っておきながら歌番組に出演してたの?」

茜「アイドルだからだよ!茜ちゃん決して芸人ではないから!」

桃子「ふーん……そういう事言うんだ。茜さんにはガッカリだよ」

茜「何に失望されたの!?真っ当な事しか言ってないのに!」

桃子「そうだ!桃子が茜さんにツッコミ修業をつけてあげるよ!」

茜「何で!?話の流れが全く掴めない!」

桃子「茜さんに芸人としての自覚を取り戻させてあげないと」

茜「だから芸人じゃないって!桃子ちゃんの中で茜ちゃんはどういう認識なの!?」

桃子「ツッコミ芸人」

茜「言い切った!言い切ったよこの子!」

桃子「これから桃子がボケ倒すから、ツッコミ損ねたら1回につきプリン3年お預けね」

茜「1ミスが重い!最初のミスだけで高校生の間プリンとおさらばじゃん!」

桃子「じゃあ、まずは桃子が赤ちゃんの頃の逸話からいくよ」

茜「逸話!?桃子ちゃん逸話残ってんの!?」

桃子「そもそも桃子は馬小屋でお母さんの右脇から生まれたらしいんだけど」

茜「混ざってる!キリストとブッダ混ざってる!」

桃子「第一声は『待ち侘びたぞポッター』」

茜「例のあの人!?桃子ちゃん闇の帝王だったの!?」

桃子「両親が山口百恵ちゃんのファンだったため1文字貰って『桃子』になった」

茜「字が違う!本当にファンだったの!?」

桃子「粗相をする前に必ずおむつを脱いだ」

茜「大迷惑!おむつに仕事させてあげて!」

桃子「金属バットで頭を叩かれると泣き止んだ」

茜「そりゃそうだよ!むしろよく生きてたね!」

桃子「離乳食は紙粘土」

茜「紙粘土!?『食』ですらないじゃん!」

桃子「2歳の誕生日以前の写真は一切ない」

茜「重い!よくわからないけど重さしか感じないよ!」

桃子「第1ステージはここまでだよ。あと7ステージ頑張ってね」

茜「あと7回もこんなのやるの!?ボケられるこっちの身にもなってよ!」

桃子「次は桃子が琥珀だった時の話をしようかな」

茜「子役でしょ!桃子ちゃん太古の昔に生きてたわけじゃないでしょ!」

桃子「あの日はね、ドラマの撮影で北半球にいたんだけど」

茜「スケール!位置情報0に等しいよ!」

桃子「耐え難い大腸の苦しみから解放されるためにお花を摘みに行ったの」

茜「お腹が痛くなってトイレ行っただけでしょ!さも大事みたいな言い回ししなくていいよ!」

桃子「それでね、用を済ませて手を洗う時にふと鏡を見たら……なんと、髪の長い私のマネージャーが映ってたの!」

茜「普通だよ!マネージャーもトイレに来ただけでしょ!」

桃子「私慌てて個室の中に隠れたんだけど……そのマネージャー、私のいる個室のドアをドンドン叩くの」

茜「何で隠れたの!?何かやましい事でもあったの!?」

桃子「その上『周防さん!開けてください!他の個室が埋まってるんです!周防さん!』って言葉巧みに私をおびき出そうとしてきて……」

茜「切羽詰ってるんだよ!知り合いなんだから察してあげてよ!」

桃子「暫くすると『周防さん……ヒグッ……お願いです……お願いだから開けて……!』って泣き落としにかかってくるの」

茜「開けてあげて!マネージャーさん人として尊厳を保てるかどうかの瀬戸際にいる!」

桃子「ようやく音がしなくなってドアを開けたら……そのマネージャーがさっきまでいたであろう場所に水溜りが」

茜「はい消えたー!今マネージャーさんの尊厳消えたよ!」

桃子「次の日から、急に担当のマネージャーが変更されたのと何か関係があるのかな……」

茜「大アリだよ!そりゃもう一緒に仕事はできないよ!」

桃子「はい、これで第7ステージはおしまい。最終ステージはもっとレベルを上げていくからね」

茜「すっ飛ばした!第2から第6一気にすっ飛ばした!」

桃子「これは桃子がまだアイドルだった頃のお話なんだけどね」

茜「今もアイドルだよね!?いつの視点で話してるの!?」

桃子「あの日桃子は、裸足でリフティングしながら夜道を歩いてたんだ……」

茜「どこのサッカー少年!?桃子ちゃんそんなスポーティーなキャラじゃないでしょ!」

桃子「そしたら、どこからともなく笑い声が聞こえてきたの。『グスグス、グスグス』って……」

茜「笑ってないよ!思いっ切り泣いてるよそれ!」

桃子「桃子怖くなっちゃって……それで、カルロスにボールを預けて逃げ出したの」

茜「誰!?いつからいたの!?っていうかリフティングの設定続いてたんだ!」

桃子「そしたら、誰かが『ダッダッダッダッ』って叫びながら追いかけて来て!」

茜「足音じゃなくて!?わざわざ口で言ってたの!?」

桃子「このままじゃ追いつかれちゃう……そう思って、咄嗟の判断でポストに逃げ込んだの」

茜「ぽ…………ポスト!?ポスト!?!?ポストのどこにどうやって逃げ込んだのさ!」

桃子「でも向こうもすぐには諦めてくれなくて……『ヒタ……ヒタ……』って言いながら桃子の事探してるみたいなの」

茜「だから何で口に出ちゃうの!?黙って歩けよ!」

桃子「そしたら一瞬足音が止まった後、だんだん足音が桃子の方に近づいて来て……桃子、すっかり心臓が張り裂けちゃって」

茜「張り裂けてたら今ここにいないからね!?張り裂けそうになったんだよね!?」

桃子「そしたら急に音がしなくなって……恐る恐る靴を履いて目を開けたら……」

茜「今靴履くの!?そう言えば裸足だったっけ!」

桃子「『もう怖い奴はいないよ、モモコ』ってカルロスが」

茜「カルロスイケメン!カルロス超イケメンだった!」

桃子「これで修業はおしまいだよ。茜さん、どうだった?」

茜「なんていうか、こう……麗花ちゃんとの時ですらここまで絶え間なくツッコミをした事はなかったかな」

桃子「でも、そのお陰で初心に帰れたんじゃない?」

茜「そうだね……茜ちゃん、どういう気持ちでこのマイクの前に立ってたのか、やっと思い出せたよ」

桃子「それじゃあ今後の抱負を一言!」

茜「M-1目指して頑張ります!って違うわ!もういいよ!」

茜・桃子「「どうもありがとうございましたー!」」


パチパチパチパチパチ

――楽屋――

茜「いやーお疲れ桃子ちゃん!最高の舞台だったね!」

桃子「何言ってるの?茜さんリフティングのところ台本とちょっと違ったでしょ。あと始まってちょっとのとこで噛んでた」

茜「ぐぬぬ……手厳しいよ桃子ちゃーん!お客さんが笑ってくれたんだからそれでいーじゃん!」

桃子「そういう甘い考えじゃダメだよ。桃子も何箇所か滑舌怪しかったし……だから、次」

茜「え?」

桃子「次やる時は、もっと完璧にするからね!覚悟してよ、茜さん?」

茜「……くぅ~っ!桃子ちゃん可愛いなあコイツぅー!」ナデナデ

桃子「ちょっ、茜さんやめて!」

茜「はい」ピタッ

桃子「…………」

茜「…………」

桃子「……やっぱり、もう少しだけ続けて」ポスッ

茜「仰せのままに~♪」ナデナデ

桃子「ん……」



スースー

――後日――

P「茜。桃子とのコンビ、すごく良かったぞ!」ナデナデナデナデ

茜「そりゃーこの茜ちゃんが桃子ちゃんと組んで面白くないわけがないからね!」

P「今回のでまた新たなファン層も増えたし、どんどん挑戦を重ねて行こうな!」

茜「プロちゃん、茜ちゃん今日はこれまでコンビ組んだ皆とカラオケ行く事になってるからプロちゃん痛い痛いそれ千切れる千切れる」

P「次の公演での漫才なんだが――――」


おわり

お粗末様でした
ももあか漫才でした
またももあかで書くかもしれないし他の相方で書くかもしれないです

よろしければ前作も

【ミリマス】P「次の公演での漫才の事なんだけど」 茜「え?」
【ミリマス】P「次の公演での漫才の事なんだけど」 茜「え?」 - SSまとめ速報
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【ミリマス】P「次の公演での漫才の事なんだけど」茜「また?」
【ミリマス】P「次の公演での漫才の事なんだけど」茜「また?」 - SSまとめ速報
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あと、誰の漫才が見たいとか要望あったら参考にするかもしれないです

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