METHOD_NOZOLANTA/.【ラブライブ!×ヒュムノス歌詞】 (113)

投稿6回目です! 書き貯めてます
ラブライブ!はアニメ全話を1回しか見たことがないためキャラの口調が違ったりするかもしれませんがご理解ください 主要キャラは「のぞえり」です!
内容はアルトネリコの「METHOD_IMPLANTA/.」の歌詞をほぼそのまま使い、主要人物をのぞえりにして台詞などを加えました! あくまで「歌詞」に加えただけなんでMETHOD_IMPLANTA/.やアルトネリコを知らない人でも一応は見られる内容となっているとは思います!
前回の応援コメントも本当にありがたかったです! 他の5作もラブライブ!×ヒュムノス歌詞です
なお、のぞえりは輪廻転生しているので過去作のsalavec nozolancaの2人とは名前姿は一緒のまったくの別人となります

それでは拙い書き方かもしれませんがお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446642508

眩しい陽光が世界を覆い満たした…

瑞々しき朝の訪れを祝福するかの様に…

長く擬った悲しみを癒すかの様に…

千と一つの実に贖罪と希望を託し…

ノゾランカは謳い願う その涙溢るるままに…

ノゾミ「これで…完成やね…」
パサッ…

花を散じ 朱に染めた指で…



エリ「本当にいいの…?そんな、棘だらけの蔓で作った冠なんて…とても痛そうよ…?」

ノゾミ「うん、この茨の冠はウチへのささやかな戒め…贖罪のしるしやから…」


エリ「でもっ…手もそんなに血が滲んで…」


ノゾミ「ありがとな、でもウチはこれを被る…いや、被らなければいけないんよ…」

額を飾る 棘を編んで…

エリ「……」



エリ「わかった…じゃあ一つだけ私のお願いを聞いて?」

ノゾミ「ん、ええよ…」




エリ「ノゾミが作ったその冠は私に頂戴…」

ノゾミ「え?」




エリ「そして…私が作った茨の冠を貴女へ被せるわ…」
スッ

ノゾミ「!」

ノゾミ「エリち…その冠は…それにその血だらけの手…」

エリ「貴女が冠を作っている時に私もこっそり作っておいたのよ」

エリ「私は思ったの、その冠を貴女だけが被ること…それはさせてはいけないって…」



エリ「だって…それだとノゾミ一人が罪を背負うことになるじゃない…」

ノゾミ「考えすぎやって…それに、今の状況を作ったのは他でも無いウチただ一人…」

ノゾミ「一人で背負うのは当然のことや…」


エリ「それは違うわっ!貴女は今までの旅を通して…人の優しさや温もりを知ったじゃない!」

エリ「そしてその優しさを通して…思い直してっ…今ここで謳うのでしょうっ!?1001個目の実を紡ぐためにっ!!」



エリ「今まで旅をしてきた仲じゃない…私にも貴方の贖罪を手伝わせてよ…」ニコッ



ノゾミ「エリち…」グスッ…


ノゾミ「じゃあ…お言葉に甘えるね…?」ニコッ

エリ「ええ!任せてっ!」ニコッ


スッ… スッ…  

ノゾミ「……」
 
ファサッ… ファサッ…




エリ「これでいいのよね…」

ノゾミ「エリち、ありがとな…」

エリ「何言ってるのよ、私とノゾミの仲でしょ?」クスッ

私はいま 贖罪のしるし
茨の蔓の冠 戴く…

ノゾミ「……」

ノゾミ「今からウチは謳う…だからエリちはここから離れて…」

ギュッ

ノゾミ「!」



エリ「こんなに血だらけで震えてる手…離せるわけないじゃない…」クスッ

エリ「私がずっと隣にいて手を繋いでおいてあげる…」

エリ「だから…思いっきり謳いなさい!」

ノゾミ「エリちっ…」グスッ…




ノゾミ「ありがとうっ…」ポロポロ…

頬伝い落ちる 雫
渇いた大地に 染みて…

~~~~~~~~~~

生命の芽 潤すよう…

ノゾミ「♪~」(エリちがいたからウチは変われた…変わることができた…)

ノゾミ「♪~」(自分のしてきたことが、どれほど身勝手なことで残酷な過ちかを…知ることができた…)

ノゾミ「♪~」(だからウチは謳う、自分自身の贖罪のために…人々の希望のために…そして…)

雨となりて 注ぎたい…

エリ「……」
ギュッ
ノゾミ「♪~」(エリちのために…)

あなたに…

~~~~~~~~~~

この胸の中 溢るる…

パアァァァァァ…

エリ「!」
ノゾミ「♪~」(!)


エリ「町全体に…光が…!」

光 舞い降りる…

ノゾミ「♪~」(お願いします…神樹インプランタ…今一度この町に希望をっ…奇跡をっ!)

祈りの種は 耀う…


エリ「大丈夫よ…私がついてるわ…」

ギュッ…

ノゾミ「♪~」(お願いっ!奇跡よ…起きてっ!)


奇蹟に芽吹く…

パッ…

エリ、ノゾミ「!!!!」




エリ「やった…」


エリ「やったわよ!!!ノゾミッ!!!実が…実が成ったわっ!!!」
ダキッ…
ノゾミ「うんっ…!!!ゔんっ…!!!」グスッ…
ダキッ…

~~~~~~~~~~
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄

ザッザッザッ…


エリ『この街に帰ってくるのも随分と久しぶりね、アリサ元気にしてたかしら?』

エリ『あの子のことだから、きっと私の顔を見たら飛び付いてくるでしょうね…』クスッ


エリ『ノゾミも元気かしら…私のこと覚えてなかったりしてないわよね…』ドヨーン…

ザッザッザッ…



エリ『……』

ザッザッザッ…



エリ『それにしても…』




シーーーーン…

エリ『朝時だって言うのに誰もいないなんて…この街、こんな寂れてたかしら?』

エリ(8年も前のことだし…街が寂れるのは珍しくないことだけど…)


エリ(私は寂しい…)グスン

ザッザッザッ…




エリ『!?』

エリ『ひ…人が倒れてるっ!』

ダッダッダッ!


エリ『だっ、大丈夫で…』
グイッ… 
エリ『!!!?』






エリ『あ…アリサッ!!?』

アリサ『』

エリ『いったいどうしたのっ!?体の具合でも悪いのっ!?』

ピタッ


エリ『!!!!』(体が…冷たいっ!?)

エリ『だ…だっ、誰かっ…!!』
バッ



『』

エリ『!!!!』

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…

『』

ザッザッザッ…

『』

ザッザッザッ…


エリ(やっぱり…よく見て周ればアリサだけじゃない…)


ピタッ…


エリ『町の人、全員が死んでる…』




エリ(いや…死んでるとは違う…『時が止まっている』…状態に近いと思ったほうが良さそうね…)

ザッザッザッ…

エリ(街にあるカレンダーは全てある日で止まっていた…それでいて皆の体が腐っていない…)

エリ(どうりでアリサが歳の割に幼いと思ったわ…)

ザッザッザッ…


エリ(死んでいないとなれば、まだ助かる方法はある筈…よね…)

ザッザッザッ…

エリ(でもいったい…)

ピタッ…


『』

『』

『』


エリ『いったいこの町はどうしてしまったと言うの…?』

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…

エリ(私の記憶が確かなら…この街の中心には、神樹インプランタとそれを祀っている教会があったはず…)

ザッザッザッ…


エリ(人々の思いや願いを叶えてくれると謂われていた神樹…)

ザッザッザッ…


エリ(もしかしたら手がかりがつかめるかもしれない…)

ピタッ…





エリ『…と、思って来てみたけれど…』



ザワァァァアアアア…




エリ(8年前とあまり変わってない気がするわね…)

エリ(枯れてるわけでも、実がついてるわけでもなく…ただただ風で葉っぱが靡いて…)




エリ『!?』


エリ『葉っぱが…靡いてる…?』

エリ(時間が止まっているのに葉が靡くことなんてあるの?人は冷たかったのに?)

エリ(…と言うことはやっぱり、インプランタに関係があるから動ける…とか?)

エリ(いや…そもそも人間以外はちゃんと時間が進んでるのかしら?)

エリ『うーん…よくわからな
カーン…カーン…カーン…

エリ『!?』

エリ(これは教会の鐘の音!?どうしてっ!?)

バッ



エリ『!!!』

エリ『鐘のところに誰か…あの人は…ノゾミッ!?』

エリ(あれはノゾミ…よね?何か様子がおかしいけど…)


エリ(なにはともあれ「生きて」いてくれて良かった…)

エリ『行ってみましょう!』


ザッザッザッ…

~~~~~~~~~~
ゴーン…ゴーン…

エリ『鐘の音が近くなってきたわね…』

タッタッタッ…

エリ『この階段を登った先の鐘堂にノゾミがいるはず…』

タッタッタッ…

エリ(ノゾミは何故動けるのかしら…神子としての力…?)

タッタッタッ…

エリ(いえ…そんなこと考えてる場合じゃない、急ぎましょう…)

~~~~~~~~~~
ゴーン ゴーン

エリ(着いた…)

エリ(さて…ノゾミはどこにっ…)
チラッ

エリ『いたっ!』

ゴーン…ゴーン…

タッタッタッ…


エリ『ねぇ!ノゾミ!』
ガシッ



ノゾミ『……!』ビクッ

エリ『この街はいったいどうしちゃったの!?なんで皆、時間が止まってるみたいに動かないのっ!?』



ノゾミ『ッ…』ビクッ

エリ『あ、あぁ…ごめんなさい、いきなりで驚いたわよね…』
パッ

ノゾミ『別に…気にしないで…』

エリ『それにしても、ノゾミが無事で良かったわ…』

ノゾミ『……』

エリ『……』

エリ(ノゾミってこんなに大人しかったかしら…)

エリ(まぁ…時間は人を変えるって言うものね…)


エリ(でもまずは、アリサを…皆を救う方法の手がかりが欲しい…)

エリ『ノゾミはこの街がどうしてこうなってしまったのか知ってる…?』

ノゾミ『うん…知ってる…』

エリ『ほ、ほんとっ!?』

エリ『教えて!もしかしたら皆を救うヒントになるかもっ!』

ノゾミ『そう…この街がこうなった原因はね…』





ノゾミ『全部私…』


エリ『え…?』

ノゾミ『聞こえなかった?全部…私がやったんだよ…』

エリ『う、嘘…でしょ…?』




ノゾミ『本当だよ…私が…皆を永遠の夢の中へ導いたんだよ…』

エリ『ど…どうしてそんなことっ…!!』


ノゾミ『争わなくって済むから…苦しまなくって済むから…』ニコッ…




刻を忘却せし廃墟の街に立ち

少女ノゾランカは エリへと囁いた…




ノゾミ『人は生命在る限り醜いものばかり産み落とす…』


ノゾミ『だからこうやって恐れや不幸の無い永遠の世界を創りあげた…』






ノゾミ『此処こそが楽園…人の目指すべき唯一の希望の地…』



エリ『そんな…そんなのって絶対におかしいッッ!!!』


ノゾミ『おかしくない…私は見てきた…人の強欲さ…汚さを…!』


エリ『どうしてそこまで人を嫌うのっ!?何が貴女をそうさせたのっ!?』

エリ『私に教えてっ!貴女の身に起きたことをっ!!』ジッ

ノゾミ『……』



ノゾミ『貴女も知っているとは思うけど…私はこの街の神子だった…』

ノゾミ『そんな私には使命があってね…』

ノゾミ『ある年齢を迎えた時に、教会の聖堂で1000日間謳わなければいけないことを幼い頃から、ずっと言われていたんだよ…』 

ノゾミ『聖堂で1日中謳えば1個だけインプランタに実がつく…樹に繋がれている状態で1000個実らせることができれば、この世界は永久の繁栄が約束される…と』

ノゾミ『私は当然のように受け入れた…』

ノゾミ『それが私の使命…生まれてきた意味だったから…』

ノゾミ『そして聖堂で謳う日に、インプランタの前で私は皆にお願いをした…決して木の実は取らないでください…って』

ノゾミ『それから、私は聖堂に籠り…謳った…1000日間ずっっっと…』

ノゾミ『すごく…辛かった…外は勿論のこと、聖堂からも出ることができなかったからね…』

ノゾミ『規則的な食事…お風呂代わりの濡れたタオル…簡易的なトイレ…それらを持ってきてくれる人とも一切関わってはいけない状況…』

ノゾミ『そして何より辛かったのが…外がどうなっているのか一切分からなかったこと…』

ノゾミ『昼や夜かは勿論…本当に実が成っているのかすらも私には分からなかった…伝えられなかった…』

ノゾミ『狂ってしまいそうなこんな環境でも私は謳った…必死に…この世界のために…』

ノゾミ『時には泣くこともあった…食事が3日間喉を通らなくなった時も…もう使用済みの簡易トイレで吐いたことすらあった…』

ノゾミ『それでも…ひたすらに謳った…』

ノゾミ『そんな地獄のような苦しみを味わいながら…1000日が過ぎていった…』

ノゾミ『私は朧気な意識のまま、ふらつく足を運んでインプランタへと向かった…』

ノゾミ『幸福となった世界の証を…すぐにでもこの目で確かめたかったから…』


ノゾミ『そして…インプランタに着いた私は笑った…』


ノゾミ『でも…』




ノゾミ『笑ったのは永久の繁栄が約束されてたからじゃない…』




ノゾミ『実が1個しか成っていなかったから私は笑ったんだよ』 



ノゾミ『ねぇ…貴女は蜘蛛の糸のお話を知ってる?』

ノゾミ『地獄に落ちた罪人達が…たった1本の蜘蛛の糸にすがって…極楽へと目指す場面があるでしょ?』


ノゾミ『まさしくそれだった…1本の樹にたくさんの人達がよじ登って…皆が最後の木の実を取ろうと必死になっていた…』


ノゾミ『人を蹴り落としていた人もいた…蹴られて落ちた人は動かなくなっていたね…』



ノゾミ『なんで皆がそこまで木の実に執着してたのかって…?』



ノゾミ『よく考えてみて…小さな木の実1000個で世界の繁栄が約束されるんだよ…?』

ノゾミ『そう…1個だけでも十分な力がある…人ひとりの簡単な願いだったらなんでも叶うくらいには…』

ノゾミ『誰が最初かは分からない…最初は興味本意で登って取ってしまっただけかもしれない…そしてたまたま願い事が叶ってしまったのかもしれない…』

ノゾミ『でもきっと…それが噂になって広まっていったんだろうね…』

ノゾミ『皆が皆、木の実を求めるようになっていった…』


ノゾミ『それでも…それでも誰かのための願いとかだったのなら私は許せた…』

ノゾミ『例えば病気のお母さんを治したいとか…ご飯を食べれてない子に恵んであげる為とかなら…私はまた聖堂に籠ったかもしれない…』

ノゾミ『でも現実はそんなに綺麗なものじゃなかった…』

ノゾミ『堕落した街になっていた…私利私欲の豪邸…お酒に溺れている人達…』


ノゾミ『そんな呆気に取られていた私の目の前に…最後の木の実が落ちてきたの…』

ノゾミ『1000日謳って聖堂から出てきた私に、初めて向けられた言葉が…』



『お前は早く1001個目の実を紡ぎやがれっ!!そしてその実はこっちへよこせっ!!!』


ノゾミ『私は最後の力を振り絞って走った…最後の木の実を握り締めて…』

ノゾミ『そして、枯れ木が1本だけある丘に辿り着いた…』

ノゾミ『不思議だった…泣く気力も無いくらいに疲れていた筈なのに…涙だけは止まらなかった…』

ノゾミ『人を信じた私が間違っていたのか…人間という存在が間違っていたのか…』

ノゾミ『人は何で裏切り…堕落していくのか…それはきっと…』

ノゾミ『「人は「死」を恐れているから…」』



ノゾミ『「だったら「死」の無い世界で永遠を過ごせばいい…」』



ノゾミ『悟ったの…本当の理想郷ってそういうことなんだ…って』

ノゾミ『私は…皆に気づかれないように教会へ戻って…街が見渡せる鐘堂…ここへ向かった…』

ノゾミ『そして私は、持っていた実に今までの全ての想いを込めて、こう願ったの…』




ノゾミ『「どうか生も死もない世界で、この地に安息を…」』


ノゾミ『ってね…』

ノゾミ『これが今まで起きたことの全て…』


エリ『……』

テク…テク…

ピタッ…

ノゾミ『どう…?私のしたことが気に入らない…?それで私を殴る…?』

ノゾミ『でも何度殴られようとも私はもう実を紡がな…

ギュッ…

ノゾミ『!?』




エリ『辛かったわね…』グスッ


ノゾミ『どう…して…』

エリ『ノゾミッ…お願いっ!』


エリはノゾランカを 掻き抱き こう告げた…



エリ『どうか人間の愚かしい部分にのみ 囚われないでっ…!』


ノゾミ『!』

エリ『ノゾミの話を聞けば人間が嫌になるのは当たり前…私だってそんなことになれば絶対に絶望するわっ…』


エリ『それでもっ…人間にも善い心があるのっ…!』

エリ『だからっ!私と共に旅に赴きましょうっ!!』

ノゾミ『な…なにを言って…』

エリ『私は…貴女が1000もの悪意と欲望をその目にしたことが悲しいっ…』

エリ『貴女に1001の人間の美しい心を示したいっ!そして触れあってほしく想う!』

ノゾミ『人間の善い…心…?』

ガシッ
ノゾミ『!』

エリ『さぁ…来るのよノゾミ、貴女が1000の業を見てしまったのなら私が貴女に1001の愛を見せてあげるからっ!』

ノゾミ『ちょっ…』

エリ『あと!その言葉使いはノゾミらしくないじゃない!昔みたいに気楽に喋ってよ!』

ノゾミ『まっ…』

エリ『さぁ行くわよ!!きっとハラショーな旅になるに違いないわっ!!』

~~~~~~~~~

テクテクテク…

エリ『さて…どこかの村に着いたわね…』

ノゾミ『他の街…というか村なんて来るの初めて…や』

エリ『緑が多くて、それでいて適度に発展している…広場も賑わっているし…良い村じゃない!』キラキラ…

ノゾミ『でもどうせ、此所の人達もわた…ウチを襲った人のような心を持ってるよ…』

エリ『そーんなこと言わないのっ!』

タッタッタッ…


エリ『ほらほら見て見て!噴水があるわ!すっごい綺麗よ!』

ノゾミ『そ、そんなにはしゃいだら誰かにぶつか…』




???『ウミちゃん早く早く~』
タッタッタッ…

ウミ『ホノカ!余所見して走ると誰かにぶつかってしまいま



ドンッ…

ノゾミ、ウミ『………』


エリ『ご、ごめんなさい!はしゃぎすぎてしまったわ…』

ホノカ『あ!こ、こちらこそ余所見していてごめんなさいっ!』

タッタッタッ…

ウミ『こらっ!ホノカッ!』

ホノカ『ひっ…!』

ウミ『貴方はどうして毎回せわしないのですかっ!』

ウミ『いつもいつも…怪我してからでは遅いのですよっ!?』

ホノカ『う、ウミちゃん…2人とも見てるから…』オドオド

ウミ『ふむ、わかりました…帰ってからですね?』ニッコリ

ホノカ『そ、そんなぁ…』ヘタッ…



エリ、ノゾミ『……』ボーゼン

ウミ『あ、申し訳ありません…ホノカがとんだご迷惑を…』

エリ『え、あぁ…私も悪かったから……それにしても随分と仲が良さそうね…』

バッ

ホノカ『そりゃそうだよ!ホノカ達は結婚してるし!』



エリ『は?』

ノゾミ『結婚…って女の子同士でできるものなの…?』

ウミ『他の街や村のことは知りませんが、この村では許されてますね…』

エリ『ハラショー…』

ホノカ『貴女達はっ!?見たところ、旅でここに来たみたいだけどっ!?』

エリ『えぇそうよ、ちょっと2人で世界を周ってみようと思ってね…』

ノゾミ『ウチ…は連れてこられただけ…やけど…』

ホノカ『へぇ~!!いいなぁ…楽しそうだよねぇ…旅って!』キラキラ…


ホノカ『!』ハッ!



ホノカ『そうだ!ねぇウミちゃ『ダメです』
ホノカ『まだ何も言ってないよっ!?』

ウミ『ホノカのことです、どうせ「私達も一緒に旅に出ようよ!」とでも言うのでしょう?』

ホノカ『うぐっ…バレてる…流石ウミちゃん…』

ウミ『ホノカが分かりやすすぎるんですよ…』ハァ…

エリ『別にいいんじゃない?旅をしていると視野が広がるわよ?』

ウミ『それはそうかもしれませんが…』

ノゾミ『まぁ…ホノカちゃんと旅に出ると危険なことにも首つっこみそう…やしね…』

ウミ『そうなんですよ!』

ホノカ『二人してひっどーい!』

エリ『まぁ…それはあるわね…』



ホノカ『うぅ…酷いよぉ…』

ウミ『……』

ウミ『ま、まぁホノカが危険に遇っても私が救ってみせますよ…///』

ホノカ『う、ウミちゃん…///』



エリ、ノゾミ(ナンダコレ…)


ホノカ『あ、そうだ!こんなところで立ち話もなんだし…ホノカ達の家においでよっ!』

ホノカ『旅の話とかも聞きたいし!今晩泊めてあげるからさっ!』(そうすれば旅のお話も聞けるし、お説教も避けられるし最高だねっ!)

エリ『あら、泊めてもらっていいの?』

ウミ『ホノカ、そんないきなり…2人ともご迷惑でしょう?』

エリ『いえ…二人が良いのなら是非泊めてほしいわね…』

ホノカ『ほんと!?やったー!』

ウミ『まったくホノカは…わかりました、では我が家に案内しますね?』ニコッ 

テク…テク…テク…

~~~~~~~~~~

ノゾミ『へぇー…じゃあ、ウミちゃんは今まで2回ホノカちゃんを救ったんだ…やね…』

ホノカ『そうだよ!ほんとウミちゃんには感謝してもしきれないよ~!』

エリ『ププッ…それにしても、何よ「そのだうみ役」って…演劇じゃないんだから…プッ…』プルプル…





エリ『あーはっはっはっ!!!!』バンバン

ウミ『エリッ!笑いすぎですっ!』プンプン

エリ『あはっ…ごめんっごめんっ!』

ウミ『まったく…』



ノゾミ『でも…山登ったり、森に迷ったり大変だったでしょ…?よく頑張れたね…』

ウミ『えぇ…頑張れたのは全てホノカのおかげですよ…』

ホノカ『へ?私なんもしてないよ?』


ウミ『いえ、ホノカが私を想ってくれていたので「謳う丘」も「黒き石の宮」も辿り着くことができたんです』ニコッ




エリ『愛の力ってやつね…』


ノゾミ『愛の力…か…』ボソッ…

チラッ
ウミ『おや、もうこんな時間ですか…そろそろ晩ご飯の準備にかかりましょうかね…』

エリ(結局、私達の旅の話ではなくウミ達のお話を聞いてたわね…まぁここが2人で来た初めての村だけど…)

エリ『あ、私達も手伝うわよ?』

ホノカ『ホノカも手伝うよー!』

ウミ『いえ、お客人に手伝わせる訳にはいきませんよ、ホノカも気持ちだけ受け取っておきます』ニコッ

ウミ『先にお風呂にでも入ってきてください』

エリ『そう、じゃあ楽しみにしてるわね!』

ホノカ(ホノカにも手伝わせないってことは今日は炒飯と餃子だね)

~~~~~~~~~

ガチャッ… バタン…

ポフッ…

エリ『ふぅ…たくさん食べたわね…』

ノゾミ『あんな美味しい炒飯と餃子食べたの初めてや…』

エリ『あれならお店開いても繁盛するわね絶対!』

エリ『でもお店開かれたりしたら…ずっとこの村にいたくなっちゃうわよね…』ウムム…

ノゾミ『……』



エリ『ねぇ…ノゾミ…』

ノゾミ『どうしたの…エリち…』



エリ『さっきのウミとホノカの話を聞いてどう思った?』

ノゾミ『!』

ノゾミ『そう…やね…』

ノゾミ『愛の力…なんて馬鹿馬鹿しいと思ってたけど…ああいう娘達もいるんやなぁ…と』

ノゾミ『でもまぁ…2人みたいな人なんて中々いないだろうし…ウチがしてきたことは、まだ間違ってないと思ってる…』

エリ『ふーん…』ニヤニヤ…

ノゾミ『な、なんでニヤついて…』

エリ『いや、なんでもないわ!』


エリ『あと、この旅で初めて私の名前を呼んでくれたわねっ!ノゾミ弁はまだ不自然だけどっ!』

ノゾミ『ノゾミ弁って…『はーい!聞こえませーん!寝るわよー!』パチッ…
ノゾミ『えぇ…』


ポフッ…

エリ(私がニヤついてた理由はノゾミが言った『まだ間違ってない』のところ…)

エリ(『まだ』…それは『いつか』が来ると心の奥底では思ってる表れ…)

エリ(ノゾミは優しい…だから気づいてない…自分が…無意識に助けを…求めている…ことに…)

エリ(大丈夫…きっと…ノゾ…ミ…なら…)




エリ『Zzz…』

~~~~~~~~~
コケコッコー!


エリ『お世話になったわね』

ノゾミ『おじゃましました…』

ホノカ『全然気にしなくていいよ!またよかったら泊まりに来てね!』

ウミ『えぇ…私も楽しかったです、良かったらまたいらしてください…』


エリ『えぇ…ありがとう』


ウミ『それと…エリ…』ボソッ…

エリ『ん?』



ウミ『きっとノゾミを救ってあげてくださいね』ボソッ

エリ『!』

エリ『ウミ…貴女知って…』ボソッ

ウミ『いえ…ですがノゾミの表情を見ていれば、なんとなくわかりますよ…』ボソッ



ウミ『私達の友達を…お願いします』ボソッ

エリ『えぇ!』ニコッ

ホノカ『ウミちゃんにエリちゃん、何話してんのー?』

ウミ『いえ、何でもありませんよ』ニコッ


エリ『じゃあ行きましょうか!それじゃまた!』

ノゾミ『そうやね…バイバイ…』

ザッザッザッ…



ホノカ『エリちゃん、ノゾミちゃんバイバーイ!!また遊びに来てねぇー!!』手ブンブン

ウミ『旅は大変だと思いますが気をつけてくださいね!お二人のご無事を祈っています!』

ザッザッザッ…

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…


エリ『面白い娘達だったわね…』クスッ…

ノゾミ『そうやねぇ…』



エリ『あら、ちょっと寂しそうじゃない?』

ノゾミ『そんなこと…ない…』

エリ『大丈夫…旅をしていれば今回みたいに素晴らしい出会いがきっと何度もあるわ…』

エリ『世界って…人間って結構面白いでしょ?』ニコッ


ノゾミ『……』

エリ『さて!次はどこに行き着くのかしらね!』

ザッザッザッ…

~~~~~~~~~

ザッ…ザッ……ザッ…



ノゾミ『……』ゴホッ…


エリ『の、ノゾミ…大丈夫…?』ハァハァ…


ノゾミ『え、エリちこそ…顔赤いで…』ズズッ…

エリ『私はだ…だいじょ…じょ…』

エリ『は、は…』





エリ『ブェックションッッ!!!』

ノゾミ『……』ズズッ…



エリ『は、はやぐ行きまじょう…次のまぢへ…医者をざがしに…』ズルッ…

ザッ…ザッ……ザッ…

エリ『!』ハァハァ…


エリ『か、看板があるわよっ…!』ゴホッ…

ノゾミ『ほんと…や…』ゴホッゴホッ



ガシッ

エリ『なになに…「右の道真っ直ぐ、エナ国のエリーニャ」…!』ハァハァ…

エリ『や、やったわよ!ノゾミ!街が…医者がいるわよっ!…多分…』ハァハァ…




ノゾミ『も、もう…無理や…』

バタッ…


ノゾミ『』ハナミズタラーン
エリ『ノゾミィィィイイイ!!!!!』ガシッ





???『騒がしいわねぇ…なーにやってんのよ』

エリ『えっ…!?』バッ

テクテクテク…

スッ…

???『この娘の症状は…なるほど…ただの風邪だけど疲労と重なって気を失っちゃった感じね……ん?』チラッ

???『あら、あんたも風邪?2人揃って風邪なんてツいてないわね~』

エリ『あ、あなたは…』ハァハァ…



ニコ『私の名前はニコ、エリーニャの名医、マキ先生の助し…右腕よ!』

エリ『い…医者…?助かっ…た…?』ハァハァ…

ニコ『ほら、ぼさっとしてないでそこの紫髪の女の子をニコの背中に乗せなさい、病院までおぶっていってあげるから!』

エリ『え…で…でも、貴方体が…小さい…』ハァハァ…

ニコ『ぬわぁんですってぇ!?ニコだってマキちゃんの右腕!このくらい楽勝よっ!』

エリ『わ…わかったわ…』ハァハァ…

ドサッ…



ムニュッ…

ニコ『!!!??』



ニコ(ニコの背中に2つの大きな膨らみが…ニコには無い2つの大きな膨らみが…)ピクッピクッ

ニコ(それに…こっちの金髪も…)ピクッピクッ

エリ『?』ゲホッゲホッ…
ポヨンポヨン



ニコ(私は前世でいったい何をしたのかしら?親でも殺したのかな?国でも滅ぼしたのかな?)イライラ…

ニコ(何なのよっ!!!この理不尽はッッ!!!)ムカムカ

ニコ『あんたらっ!!!!!』

エリ『は、はいっ!?』ビクッ



ニコ『二人纏めて背負ってあげるわよっ!!!』

エリ『え、でも…』ハァハァ…

ニコ『う、うるさいうるさいうるさーーーーい!!!!!』

ニコ『あんたらは黙って背負われてなさーーい!!!』 

~~~~~~~~~



???『…で、途中で倒れて3人纏めてここに運ばれてきたと…』スッ…


ニコ『う…面目ないニコ…』

???『患者を運ぼうとして倒れたんでしょ?まぁニコちゃんらしいと言うかなんというか…』

ニコ『うぅ…それで二人は…?』

???『薬を打って、今はぐっすり眠ってもらってるわ…じきに目が覚めるでしょう…』

ニコ『良かった…』ホッ…

???『それで…薬草は?』ニコッ



ニコ『え?』

???『いや、あそこまで行かせたのはそのためでしょう?』

ニコ『あは、ははは』メソラシ


???『忘れてたのね…』

ニコ『ごめんなさい…マキちゃん…』シュン…




マキ『べ、別に怒ってはないわ、患者をつれてくるのに必死だったのでしょう?ただ持っているか聞いただけ…』

ニコ『じゃあ今からっ!』


マキ『いえ、ニコちゃんはここに居て…私は少し出掛けてくるから…』

ニコ『そう、わかったわ…』

マキ『じゃあよろしくね…』

ガチャッ…

バタン…

ニコ『……』

~~~~~~~~~~


幼エリ『あなた、毎日毎日インプランタの前で何やってるの?』

幼ノゾミ『ん?祈っとるんよ』

幼エリ『祈ったところでお腹がいっぱいになるわけじゃないのに…よくやるわね』


幼ノゾミ『ふふっ…ウチは神子さんやからね…毎日こうやって祈っとるんよ』ギュッ…

幼エリ『ふーん…で、何を祈ってるのよ?』

幼ノゾミ『この街が…皆がずっと幸せでありますようにって…』

幼ノゾミ『そして…使命のためだけに生まれてきたようなウチでも…』



幼ノゾミ『お友達ができますようにって…』

幼エリ『ふーん…』


幼ノゾミ『……』ギュッ

幼エリ『……』


スッ

幼ノゾミ『?』

幼エリ『……』



幼エリ『……』ギュッ

幼ノゾミ『!』

幼エリ『これからはわたしも祈るわ…』

幼エリ『世界の幸せもだけど…その…』



幼エリ『あなたの友達になれますようにって…』


幼ノゾミ『!』パァァ



幼ノゾミ『あ、ありがとう…』

幼エリ『そう言えば名前を言ってなかったわね…』


幼エリ『わたしの名前はエリよっ!!』

幼エリ『あなたの名前は…ってわたしは知ってるわ、あなたはこの街では有名だもの…』

幼ノゾミ『ううん…ウチも言いたい…ウチの名前は…

~~~~~~~~~~


エリ『!』バッ


エリ『ここはっ!?』
バッバッ


ノゾミ『……』スゥスゥ…

エリ『ノゾッ…』

エリ(そう言えば、ニコに助けてもらったんだっけ…)

エリ(…ってことは、ここは病院ね…)



エリ『助かったぁ…』

エリ(それにしても随分と懐かしい夢を見たものね…私とノゾミが初めて言葉を交わした時の…)


エリ(でも、その数年後に私は旅立ってしまった…そのことでノゾミは私を恨んでいたのかしら…)

ガチャ…


ニコ『あら、お目覚めのようね…』

バタン…

エリ『あ、ニコ…』

ニコ『ほら温かいお茶よ、よかったら飲みなさい、ほんとは私のだけど!』
コトッ

エリ『えぇ…ありがとう…』


ズズッ…
エリ『熱っ…!?』ビクッ

ニコ『当たり前じゃない…』

ニコ『ところでエリ、あんた達どうしてこの街に向かってたの?』

エリ『私達は旅をしていて偶々ここまで流れ着いたの…』


エリ『って…私、名前言ったっけ?』

ニコ『ん?あぁ…廊下にも聞こえるくらいの声で「私の名前はエリよっ!!」って自己紹介してくれてたわよ…』クスクス…

エリ『あ、アハハハ…///』



ニコ『でもこんな時に知らずにエリーニャに来たり、2人同時に風邪ひいたり…あんたら何か憑いてるんじゃない?』




エリ『こんな時…?』

コンコン…

ガチャ…

エリ、ニコ『!』

マキ『あら、起きてたのね…元気そうで良かったわ』

バタン…

エリ『あ、貴女は…』



ニコ『お帰り!マキちゃん!』


マキ『ただいま、ニコちゃん…それと患者さんの前ではマキ先生と呼んでって…』

ニコ『ごめんね!マキ先生!』

マキ『マッタクー…』



エリ(この娘がマキ…ご年配の方だと思ってたんだけど…私達と歳は近そうね…)

マキ『ごめんなさいね、ニコちゃんがうるさかったでしょう?』フゥ…

ニコ『なっ!?』 

エリ『いえ、別にそこまでうるさくはなかったわ』

ニコ『ちょっ!「そこまで」って少しうるさいと思ってたんじゃない!』


ニコ『ニコはぁ…宇宙ナンバーワンドクタ『う…うぅん…ここは…?』


エリ『ノゾミ!気がついたのねっ!』

ニコ『奇跡的なタイミングにこぉ…』

ノゾミ『エリ…ち?この人達は…?ここは…いったい…?』

マキ『ここは私の…マキの病院、貴女達が道で倒れているところを、私の助手…ニコちゃんが見つけて連れてきてくれたのよ』

ニコ『ふっふーん…感謝しなさい!』

マキ(途中で倒れたくせに偉そうね…)


ノゾミ『ん、ありがとう…』


ニコ『ちょっ…なんか…素直に誉められると調子狂うわね///』

エリ(普段どれだけ誉められてないのよ…)

エリ『それよりも…』



エリ『さっき、「こんな時」って言ってたけどどういう意味なの?』

ニコ『あぁ…それは…』



マキ『…つい最近まで、ここら辺は戦争をしていたの…』

エリ『戦…争…』

ノゾミ『……』ギュッ…


マキ『そう、隣の国のルク国とね』

マキ『まぁ…戦争はちゃんと終わったわ…もっとも、どちらの国の勝利とか敗北とかは無かったけど…』

エリ『そう…それは良かったというかなんというか…』

マキ『でも最近、国境に近いルク国のプクラで、疫病が流行り始めているのよ…それも放っておけば死んでしまうような…』

ニコ『戦争の後は食糧があまり供給されなくなるからね、免疫力が低下しちゃって病気になっちゃうのも仕方ないけど…』



マキ『そして、さっきプクラの街が見える丘まで私は行ってきた…』

エリ、ノゾミ『!』

マキ『私達の国の人達は皆、他人事のように見てたわね…まぁこちらの国も大変だし仕方ないけれど…』


マキ『中にはその不幸を笑っている人もいたわ…』


エリ(戦いの終わりをもってしても、人々の憎しみは終わらないのね…)

ノゾミ『ッ…』  



ノゾミ(やっぱり無理なんや…人が病気で苦しんでるのに笑っている人がいるなんて…)



ノゾミ(やっぱ人間は愚『ま、私はプクラの人達を救いに行くつもりなんだけどね』


ノゾミ、ニコ『!?』


マキ『ん?どうしたの?』

ニコ『ま、マキちゃん…今なんて…?』

マキ『?私はプクラの人達を救いに行くと言っただけだけど?』カミノケクルクル

ニコ『な…なんでわざわざ、この前まで敵国だったところまで行って治療しに行かなくちゃいけないのよ!』

ニコ『死んじゃうかもしれないじゃない!』


マキ『ニコちゃん…』ジッ

ニコ『な…なによ…』

マキ『戦争はもう終わったの…私は医者、人を救うことを使命として生まれてきた者よ?』


マキ『愛する全ての人々を救うことが、私に与えられた役目なの』


ノゾミ『!』

ノゾミ(人を救う使命…与えられた…役目…)


エリ『……』



マキ『じゃあ人とは誰のこと?エナ国民のこと?いえ、それは違うわ…』



マキ『それは生きとし生ける者…全ての生命のことよ、隣の国に困った人がいるのに、ニコちゃんは偉い人の線引きがあるだけ、という理由で行かないの?』


マキ『いえ…違うわね…元からこの祝福された大地の上に、境界線なんて存在しないのよ』

ニコ『で、でも…私達は敵だったし…プクラの人達はニコ達を快く受け入れてはくれない…』


エリ(確かに…元敵国の医者なんて怪しがるに決まってるわよね…)

ノゾミ『……』




マキ『敵と味方って何かしら…?』


ニコ、エリ、ノゾミ『!』

マキ『あっちの国で私自身を、敵と見るほど恨んでる人なんているのかしらね?』



マキ『私は、今プクラで病に伏せてる人を一度たりとも憎んだことは無いわ、それ以外に何が私と彼らを隔てると言うの?』

ニコ『……』



マキ『ニコちゃん…宇宙ナンバーワンドクターになる夢は…信念はどこへ行ったの?』

ニコ『!』



ニコ(そ、そうよっ…!!私はマキちゃんの、この信念に感動して弟子入りさせてもらったんじゃないっ!!)

ニコ(国境を越えて、流行病の危険も顧みずに治療しに行くマキちゃん…)



ニコ(それはまさに、私自らが理想とする彼女の姿じゃないっ!!!)

ニコ『フッ…』

ニコ『えぇ!!!行ってあげるわよ!!!この宇宙ナンバーワンドクターのニコちゃんがプクラの皆に癒しを届けちゃうんだからっ!!!にっこにっこにー!!!』



マキ『ヴェエエ…ナニソレ…イミワカンナイ…』

ニコ『なんでよっ!!!』



エリ(マキ…貴女はすごいわ…)

エリ(見ず知らずの他人のために命を賭して救いに行くなんて…普通の人じゃ到底無理…)

エリ(それにニコも…死ぬかもしれない恐怖を信念でねじ曲げてしまうなんて…心の底からマキを尊敬してるのね…)


エリ(そしてこの出会いも、ノゾミには良い刺激になったんじゃないかしら…)



ノゾミ『………』



~~~~~~~~~

エリ『今回は本当に助かったわ…ありがとう、マキ、ニコ…』

ノゾミ『ほんと…ありがとな…』

マキ『別に大したことはしてないわ、風邪薬打って寝てもらっただけ…』


エリ『いえ、それもだけど…それだけじゃないのよ』フフッ…

マキ『?』

ニコ『ふんっ!ニコは感謝されて当然だから素直に聞いといてあげるわっ!』



ノゾミ『ありがとな、ニコっち』ニコッ

エリ『!』(ノゾミが笑った…!)

ニコ『な、ななな…だからなんであんたはそんな素直なのよ///』テレテレ

マキ『ニコちゃんはいい加減に慣れなさいよ…』ハァ…

ザッザッザッ…

エリ『それじゃあ!またいつか!』手フリフリ

ノゾミ『またね』手フリフリ

ザッザッザッ

マキ『えぇ!またいつか!』ニコッ

ニコ『今度会うときはスーパードクターになってるから覚えておきなさいよぉ!!!』手ブンブン

~~~~~~~~~~
ザッザッザッ…

ノゾミ『……』

エリ『……』


ノゾミ『凄い人達だったね…』

エリ『えぇ…そうね…』

ノゾミ『マキちゃんは自分の命を顧みないで人を救う信念を持っていて…』

ノゾミ『それに感化されたニコっちがサポートして医者を目指している…』

ノゾミ『ほんま凄いなぁ…』


エリ(ノゾミも1000日間、他人のために謳ってたんだから似たようなものだと思うけど…)


エリ(でもマキとニコ…2人が一緒にいればどんな困難でも乗り越えていくのでしょうね)


エリ(…私も8年前、旅に出ずノゾミと手を取り合っていたら、ノゾミは絶望せずに済んだのかしら…)


エリ(分からない…)

ノゾミ『エリち…?』


エリ『え?あぁ…ごめんなさい、少しボーっとしてたわ…』

ノゾミ『大丈夫…?風邪治ってないんかな?』

エリ『いや、風邪は完璧に治ったわ!さ、次の街に行きましょう!』

ノゾミ『う、うん…そうやね』

ザッザッザッ…

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…

ピタッ…

エリ『ん?あそこに誰か座ってるわね…』

???『……』ウーン…

ノゾミ『そうやね、なんか悩んでるみたいや…』

エリ『声かけてみましょう!』

ザッザッザッ…

エリ『あの…どうかしたの?』


???『ん…?あなたは…?』チラッ


エリ『私はエリ、こっちはパートナーのノゾミよ!』

ノゾミ『こんにちは…』(いつの間にパートナーになったんやろ…)



コトリ『こんにちはっ!私の名前はコトリですっ!』

エリ(ん?コトリ?どこかで聞いたことあるような…)

エリ(………?)



エリ(ま、いっか)

エリ『それでコトリ、貴女随分と渋そ~うな顔してたわよ?』

コトリ『あははは…そんな顔しちゃってたんだ…』

エリ『何か悩んでるなら私達に相談してみない?』

コトリ『でも…初めて会った人に相談するようなことじゃないんだよ~…』


エリ『私は別に気にしないわ…だって…』




エリ『私はコトリを一度たりとも憎んだことが無いから!それ以外に何が私とコトリを隔てると言うのっ!?』ドヤァ




コトリ『???』

エリ『……』



ノゾミ(あちゃ~…マキちゃんの真似しといて失敗しとる…これはポンコツやなぁ…)


エリ『ま、まぁいいから話してみて…』メソラシ

コトリ『ふぇっ!?あっ、うん…』


コトリ『実はね…

~~~~~~~~~~


エリ『なるほど…2つの国の戦争を止める方法を考えていたのね…』


コトリ『そうなの…ヴィネル国と琉王国はどっちもコトリの…思い出のある国だから…』

ノゾミ『でも…コトリちゃん一人でどうにかできる問題ちゃうやん…』

コトリ『それはそうなんだけど…』

エリ『信仰してる宗教は一緒…でも人種と文化が違って、どちらが正しい神の血筋かで戦争をしている…』

エリ『人の平等を唱えている宗教を両国共取り入れてる筈なのに、そのせいで戦争なんて皮肉なものね…』



コトリ『うーん…結局は宗教なんてそんなものなのかもね…』

コトリ『自分に自信が持てるようになりたいから、とかで宗教に入る人もいるし…皆自分とは違う人が怖いのかも…』


ノゾミ『まぁ…争うのは心が弱いからや…だから人は、いつだって争うんよ…』

エリ『ノゾミ…』シュン…

コトリ『……』シュン…



ノゾミ『で…でも…皆が皆、心が弱いわけちゃう…コトリちゃんみたいに誰かのために動ける、強い人もおるんやから…』


エリ『ノゾミッ…!』パァァ




コトリ(私はそんな強くないと思うけどなぁ…)

コトリ『そうだよね…でも、心が弱い人が女王様だと大変なんだよ…』



コトリ『コトリが最初に説得しに行った女王様はヴィネル国の女王様だったんだけど…』

コトリ『髪を見せつけられてこう言われたんだ…』


『この光輝く、とってもハラショーな黄金の髪を持つ私達こそ太陽神様の子孫よっ!!』

『琉王国の民は紫の髪を持っているわ…それは即ち魔王の手下っ!私達を支配して常闇の力を手にしようとしているに違いないっ!そんな怖…恐ろしいこと絶対に認められないわぁ!』ビシッ

コトリ『って…』


ノゾミ『……』

エリ『……』


ノゾミ『あれ?どこかで聞いたことあるセリフが…』

エリ『そうかしら?少なくとも私の記憶にはないわね…』

エリ『認められないわぁ…とか使ったことないし?』



コトリ『それで…次の琉王国の女王様のところへ行った時は…』

コトリ『肌を見せられて、こう言われたの…』


『ウチの肌を見てみぃ!この黄金の肌こそ太陽神様の御加護を受けている証拠や!ウチらは太陽の子孫として常に共におるんや!』

『ヴィネルの国の民は白い肌やろ?それって、もしかして幽霊とちゃうん?なら、ウチらのスピリチュアルパワーと太陽光を持って彼女らを除霊せんといかんなぁ!』ビシッ

コトリ『って…』


エリ『……』

ノゾミ『……』

エリ『あら?その言葉使いどっかで聞いたことがあるわね?』

ノゾミ『え?そうかな?私は聞いたこと無いけど?』

ノゾミ『第一、私は肌白いし?』




エリ『……』

ノゾミ『……』

コトリ『……』(え、何この空気…)



エリ『ま、まぁ…多分…その国はほっておいても大丈夫なんじゃない?』
ノゾミ『う、うん…ウチもそう思う…』

コトリ『!?』

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…

エリ『なんか悪いわね…偉そうに啖呵切っといて、参考になりそうな意見言えなくて…』

コトリ『いえいえ!どっちもポンコツ王女だから気にしなくていいってコトリも気づけましたから!』ニコッ

ノゾミ『コトリちゃん、意外と毒舌なんやね…』

エリ『もっと賢そうで威厳がありそうな王女様とかだったら何とかしなければいけないのかもだけど…』

ノゾミ『まぁ…死者0人の戦争って完全にじゃれてるだけやろうしね…』


コトリ『それじゃあ、話聞いてくれてありがとね~!エリちゃん!ノゾミちゃん!』

ザッザッザッ

エリ『いえいえ、困った時はお互い様よっ!それじゃあ、またね!』

ノゾミ『次、困る時があったら王女様関連やろうなぁ…またね~…』

ザッザッザッ…

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…


エリ『そう言えば思い出したんだけど…』

ノゾミ『ん…?』

エリ『コトリって、ウミ達の話にでてきた娘と似てない?』

ノゾミ『……』


ノゾミ『え?エリち、今頃気づいたん?』

エリ『貴女…気づいていたのなら教えてよ…』

ノゾミ『まぁ…ウミちゃんの話にでてきたコトリちゃんは倒されたんやろ?だったら他人のそら似や、きっと』

エリ『新しい神様に生まれ変わって降りてきてたのかもよ?なーんて』

ノゾミ『うーん…どうなんやろなぁ…』

ノゾミ『でも、もしかしたら…』



ノゾミ『コトリちゃんは2つの国の戦争を見かねて地上に舞い降りた、新しい太陽神様なのかも…』

エリ『プッ…』

エリ『あははっ!あんな可愛い神様がいるのなら神様に祈るのも存外悪くないわねっ!』クスクス…

エリ『しかも死者が出てない戦争のために降りてくるって…太陽神様もポンコツじゃない!ププッ…』

ノゾミ(エリちがポンコツ言うんか…)



ノゾミ(うーん…でも、あの話してる時の感覚は普通の人間相手しとる時とは、なーんか違う気がしたんよなぁ…)

ノゾミ(もしかしたら本当に…)







コトリ『ハックチュンッッ!!』

~~~~~~~~~~


ザッザッザッ…


ピタッ…

エリ『ここは…右ね…』

ノゾミ『いいや、左や…カードがウチにそう告げとるんや…』ピラッ

エリ『ちょっ!さっきからコトリからお礼に貰ったカードで決めないでよ!しかも外れてるじゃない!』

ノゾミ『でも…実際問題どうするんよ、かれこれこの森に迷ってから2時間は経ってると思うで?』



エリ『ぐぬぬ…』

ノゾミ『確かにウチも、さっきの街のお花屋さんが言っていたダイアンサスの花は見てみたいと思ったけど…』



エリ『まさか…この森の最深部にしか咲いて無いとでも言うの…?』


ガサガサッ
エリ『…とりあえず、ここらで一休憩入れましょうか…』

ノゾミ『そうやね…』

スッ…



サァァァァアアア…

エリ『あぁ…風が…木漏れ日が…最高に気持ちいいわぁ…』フゥ…

ノゾミ『そうやなぁ~…』フゥ…




ボトッ… ボトッ…

エリ、ノゾミ『ん?』


エリ『…何か落ちてきたわね…』

ザッ…ザッ…

ヒョイ…
ノゾミ『これは…リンゴやね…しかもちょうど2個…』


エリ『グッドタイミング!良い感じにお腹も空いてたし、せっかくなので戴きましょう!』パシッ


シャクッ…

エリ『!?』

エリ『ノゾミッ!このリンゴとっても甘くて美味しいわよっ!言っちゃ悪いけどお店とかのよりずっと!』



ノゾミ(周りにリンゴの木は無いんやけどな…まぁ毒とかはなさそうやし大丈夫だとは思うんやけど…)

ノゾミ(今の風に乗せられてきたわけでもなさそうやし…不思議やな…)


シャクッ…

ノゾミ『!?』

ノゾミ『うっま…なんやこれ…』





コソコソ…

???『あ、ちゃんと食べてくれてるにゃ!』

???2『ふふっ…良かったね』ニコッ

~~~~~~~~~~~

エリ『で…結局どっちの道にするのよ…』

ノゾミ『どうせまた迷うんや…なら、いっそこれで…』

サッ



エリ『木の枝なんて拾って何をするつもり…』

ノゾミ『ふっふっふっ…この枝にウチのスピリチュアルパワーを込めたんよ…』

エリ『へぇ…それで?』





ノゾミ『そしてこの道の分かれ目に…立てるっ!』

グサッ…




パタッ…

ノゾミ『よし!エリち、左に行くで!』

エリ『って…ただの棒倒しじゃない!期待して損したわよっ!』

エリ『でもまぁ…無駄な口論で時間を費やすよりかはいいかもね…』

ザッザッザッ…




コソコソ…

???『そうそう、そっちが正解の道だにゃ!』

???2(本当に魔翌力注がれてた気が…本人は気づいてなさそうだったけど…)

~~~~~~~~~~

グサッ…  パタッ…
ザッザッザッ…

グサッ…  パタッ…
ザッザッザッ…

グサッ…  パタッ…
ザッザッザッ…



ザッザッザッ…

ピタッ…



ザワァァァァアアア…



エリ『ま、まさか……』

ノゾミ『本当に着くなんて…』

ノゾミ『それにしても…』

ザワァァァァアアア…



エリ、ノゾミ『は、ハラショー…』



スッ…

エリ、ノゾミ『!』




???2『私達の育てたダイアンサス…気に入ってくれましたか?』ニコッ

???『ま、この花を見れば誰だって気に入るよね!』ニコッ


ノゾミ『あ…貴女達は…』

エリ(橙色の髪の娘には猫耳と尻尾がついてるわね…)


リン『こんにちは!私はリン!この森を護っているネコ族だにゃ!』

ハナヨ『こんにちは…私はこの森の妖精ハナヨワールです…ハナヨって呼んでください…』

エリ(森の…妖精…!?妖精って実在したのね…)

ノゾミ(大人しそうな雰囲気がまさしく森の妖精って感じの娘やな…リンちゃんは語尾も猫なんやね)



エリ『こんにちは、私はエリ、そしてパートナーのノゾミよ!』

ノゾミ『こんにちは、リンちゃん、ハナヨちゃん』



エリ『それにしても…このいっぱいのダイアンサスの花…ハナヨ達が育てたって本当なの?』

リン『うんっ!このダイアンサスの花はリンの…リンと、かよちんの思い出の花なんだにゃ!』

エリ『かよちん…?』

ハナヨ『あ、ハナヨのことです』 

エリ(何故、かよちんなのかしら…)


ノゾミ『思い出の花…?』

リン『そうだよ!実はね…

~~~~~~~~~~

エリ『へぇ~…リンのおばあ様がこの森にねぇ…』 


ハナヨ『そうなの!その時から私はこのお花が大好きなんだよっ!』

ノゾミ『でも…森を燃やされるなんて、酷いことされたんやね…』

ハナヨ『うん…その時は私もすごくショックだったよ…でもね…』




ハナヨ『それ以上に私の元からリンちゃんが離れていっちゃった時の方が辛かった…』



ノゾミ『……』

リン『かよちんが悲しそうにしてたから色んなところに行って探してきたんだよ!』

エリ『でも…ハナヨに拒絶されたのに、よく探しに行こうと思ったわね…』


リン『かよちんの本音はそう思ってないってリンはわかってたからね』

リン『かよちんからの拒絶の言葉よりも、かよちんの悲しそうな顔の方がリンには辛かったんだにゃ…』

ノゾミ『リンちゃんは優しい娘なんやなぁ…』


ハナヨ『そうなんです!!リンちゃんは可愛くて優しい娘なんですっ!!』
グイッ
エリ『ふぇっ!?ぞ、存じ上げておりますっ!?』

リン『か、かよちん…///』

ノゾミ『そっか…このダイアンサスの花を見ることができたのは2人のおかげなんやね』ニコッ

エリ『そうね…今の今まで頑張ってきてくれてたんだものね…何かお礼でもしましょうか…』

ハナヨ『そそそ、そんなお礼だなんて!ハナヨが好きでやってきたことだから!』

リン『かよちん、こういう時は素直に受け取っておくのが礼儀って、前におばあちゃんが言ってたにゃ』

エリ『リンの言う通りよ、人の厚意は素直に受け取りなさい!』

ノゾミ(それエリちが言うことちゃうんやけどなぁ…)


ハナヨ『そ、それじゃあ…お願いがあるんですけど…』

エリ『ええ!何かしら!』


ハナヨ『えっと…それは…

~~~~~~~~~~

白き脚で 泥土を踏みしめ
翼は終に 穢るるとも…

チャポン…チャポン…

ノゾミ『よいしょっ…と』

エリ『ノゾミ~、そっち終わった~?』

チャポン…

ノゾミ『うーん…あと少しやね』

エリ『まさか…お礼として、お米の苗植えをやることになるなんてね…』クスッ

ノゾミ『ふふっ…手と足が泥だらけや…』

エリ『ノゾミに至っては顔も泥だらけよ?』フフッ


ノゾミ『ははっ、それは気づかんかったわ』

エリ『それに…すっっごい腰が疲れるのね、普段食べているお米にももっと感謝しなくちゃ!』

ノゾミ『ふふっ…そうやね…』


エリ『でも、こういうのもいいわね…』

ノゾミ『うん…』




ノゾミ(ウチは今…とても幸せや…)



ノゾミ(そしてそれは今まで旅をして出会ってきた人達もきっと同じ…)

ノゾミ(もし、ウミちゃんやホノカちゃんみたいな一途な愛を持った人…)

ノゾミ(マキちゃんやニコっちみたいな、人を助けることに信念を持っている人…)

ノゾミ(コトリちゃんみたいに戦争を止めさせようと必死になっている人…)

ノゾミ(リンちゃんやハナヨちゃんみたいに思い出の花を頑張って護ろうとしている人…)


ノゾミ(「あの街」に今まで会った娘達のような…善い心を持った人がいたのだとしたら…)




ノゾミ(ウチは…)



ノゾミ(ウチは…とんでもないことをしてしまったんやな…)

ノゾミ(そしてそれはきっと謝って許されるようなことではない…)

ノゾミ(…もう一度「あの街」へ戻ってウチ自身の気持ちを確認しないと…)

ノゾミ(そしたら…今度は…今度こそはっ…)


私はただ 生命果つるまで
明日を信じて…


ノゾミ『なぁ…エリち…』

ポチャン…
エリ『ん?どうしたの?』



ノゾミ『ウチ…戻りたい…もう1度「あの街」にっ…』グスッ…

エリ『!!』
バッ

彼方へ 羽ばたく…


エリ『そう…じゃあ、ハナヨとリンのお礼が終わったら帰りましょうか?』ニコッ

ノゾミ『うっ…ゔんっ!』ポロポロ…


贖いは いつか旅の

全て 終えるその日に…

~~~~~~~~~~

ハナヨ『あれ?もう行っちゃうの?』

エリ『ええ…たった今、旅の最終地点が見つかったから…』ニコッ

リン『え~!もっと遊びたかったのに残念だにゃ~』

ノゾミ『ごめんね、リンちゃん』



ハナヨ『あ!じゃあ田植えのお礼もしたいし、お食事してからじゃダメかな?』

エリ『お食事?』

ハナヨ『はい!この森で取れた果物とか野菜がいっぱいあるんです!それに去年、リンちゃんといっしょに収穫したお米も!』
グイッ
エリ『そ、そう…じゃあお食事してから行きましょうか…』オドッ…

ノゾミ『そうやね』クスッ…

~~~~~~~~~~

カチャカチャ…

エリ『お米だけでモグモグ…こんな美味しいモグモグなんて…ゴクン…どんな作り方と炊き方してるのかしら…』

ノゾミ『エリち…ちゃんと飲み込んでから話そうよ…』

ハナヨ『ふふっ…リンちゃんとハナヨの特製だからね!』

リン『これだけは誰にも教えられないにゃ!』


コロッ…


ノゾミ『ん?このリンゴは…』

リン『あー!実はそれ、リンが育てたリンゴなんだよ!』


エリ『え?そうなの?』

リン『うん!リンも自分だけの手で、何か育ててみたいと思ってたんだにゃ!』

ハナヨ『美味しいリンゴを育てるんだーって意気込んでたもんね?』クスッ



ノゾミ(なるほど…休憩してた時に落ちてきたリンゴはリンちゃんのだったんやね…)クスッ

ノゾミ『ありがとな、リンちゃん!』

リン『?どういたしましてにゃ?』

モグモグ…ゴクン…
エリ『……ん?あれは?』

テクテクテク…

ヒョイッ

エリ(これは…木彫りのマイク…かしら?どうしてこんなところに…)


ハナヨ『ん?どうした…の…』
チラッ

ハナヨ『ピャアアアアア!!?///』

パシッ!

エリ『ちょっ!?どうしたの!?』



テクテクテク…

リン『かよちんはアイドルが好きだから、たまにここで歌ってるんだにゃ』

ノゾミ『へぇ~、そうなんや』



ハナヨ『リンちゃん!?』

リン『別に恥ずかしがることじゃないよ~』

エリ『でもなんでアイドル?この森から出ないのでしょう?』

ハナヨ『う、うん…ハナヨは森から出られないんだけど…』

リン『ここは街と違って誰もいないでしょ?だからたまに、森の浅いところまで来て歌とか踊りの練習をする娘達がいるんだにゃ、街からかなり遠い筈なのに…』

ハナヨ『うん…それにリンちゃんが街へ買い物しに出掛けた時に、アイドルの雑誌とか買ってきてくれて…そういうので興味を持ったんだ…』


エリ『なるほど…それで木彫りのマイクね…』

ノゾミ『まぁ、ここは練習で歌うには最適な場所やもんな』

ハナヨ『この前も人気アイドルグループのA-RISEが練習に来てたんだよ!』

リン(リン知ってるよ…おでこの子が迷子になって泣いてたこと…)ゲスガオ



エリ『歌…か…』




エリ『そう言えばノゾミ…貴方…小さい頃、歌うの好きだったわよね?』



ノゾミ『え…』

ハナヨ『そ、そうなの!?』

リン『ノゾミちゃんの歌聴いてみたいにゃ~』


ノゾミ『え、えりち!ウチはもう…』


エリ『ノゾミ…貴方はこれから「あの街」へ帰るのでしょう?』

ノゾミ『そ、そうやけど…でも今歌う必要は…』



エリ『確かに、貴女が今歌う必要は無いかもしれない…でも…』


エリ『私は、今ここで貴女の歌を聴きたいの…この旅を通して感じた貴女の想いを、私も知りたいから…』

ノゾミ『!!』

ノゾミ(エリち…)



ノゾミ『わかった…ウチ…歌ってみる…』

エリ『ノゾミッ…!ありがとうっ!』ギュッ…



リン『なーんか蚊帳の外だにゃ』ボソッ

ハナヨ『リンちゃん、シッ』ボソッ

タッタッタッ
エリ『ごめん、待たせたわね!』

ハナヨ『あっ大丈夫だよ、気にしてないから!』

リン『それにしても楽しみだにゃ~』


ノゾミ『そ、それじゃあ歌います…曲名は…』



ノゾミ『「光の中に」』



エリ、ハナヨ、リン『……』ジッ…

ノゾミ『ねぇ…貴女は私の手を取り…』
(エリち…ありがとう、ウチを旅に連れていってくれて…)

ノゾミ『共に歩もうと言った…』
(エリちが旅に誘ってくれなかったらウチはこの世界を…たくさんの想い達を知ることはなかったんやろね…)

ノゾミ『ひとり過ごした孤独な時…』
(ひとりぼっちだったウチにも、たくさんの友達ができた…)

ノゾミ『やっと終わりを告げるの…』
(ウチはもう孤独なんかじゃない…)

ノゾミ『私は今…貴女に出会って生きる喜びを知った…』
(エリちに出会ってから、ウチは久しぶりに喜んで笑った…絶望の乾いた笑いじゃなく…普通に笑うことができた…)

ノゾミ『かけがえのない、ただひとりのために生きてゆく~』
(様々場所へ行って様々な想いを見てきた…楽しいことがたくさんあった…そして辛い想いもした…)


ノゾミ『信じたいの…選んだこの道…険しくても正しかったと~』
(だとしても…ウチは信じたい…今まで見てきた皆の想いを…エリちの想いを!)


ノゾミ『愛する人と同じ時間を刻んでゆくの…』
(エリちと一緒に…!)

はてなき願い 謳おう…
想い 重ね合う…

ガシッ…

ノゾミ『!』

エリ『ありがとうノゾミ…』



エリ『貴女の想いは流石に全部とは言えないけど…私に伝わったわ…』ニコッ

繋いだ指は 幾重の
花びらのように…

ノゾミ『エリ…ち…』グスッ

この胸の中 溢るる
光 降り注げ…

ハナヨ『熱い想いが籠ってた歌だったね…』

リン『リン達にはよくわからないけど…』



リン『でも、二人とも幸せそうだにゃ』ニコッ

ハナヨ『そうだねっ』ニコッ


願いの木々はいつしか
空へと届く…

エリ『それじゃあ…行きましょうか…!「あの街」へっ!』

ノゾミ『うんっ…!』

~~~~~~~~~

千の悲痛な記憶を癒すため…

二人は世界を巡り歩く…

旅路で彼女が瞳にしたものは…


人の温もり 人の心


千と一もの善き記憶に
身の内癒えし ノゾランカ…

丸い月の輝く夜半に 再び彼の地を赴いた…

~~~~~~~~~~

ザッザッザッ…

ノゾミ『遂に…ここまで帰ってきたんやね…』

エリ『えぇ…そして、この丘から街が見える筈よ…もうすっかり暗くなってしまったけど…』


エリ『さぁノゾミ…ここから街を見てみなさい…』

ザッザッザッ…

ノゾミ(ここの丘は以前ウチが追われて逃げてきた場所やね…)

ピタッ…

ノゾミ(この丘から見える景色は…いったいどんな…)チラッ


ノゾミ「!!!!!」

ノゾミ(街がある筈なのに…夜なのに灯り一つ見えない…)


ノゾミ(なんて冷たい世界なんだろう…こんなんじゃ何一つ希望を見いだすことなんてできるわけない…)


ノゾミ(こんな街…この世界に存在してはいけない…ここは…此所はっ…!!!)



冷たく幽けき死者の街に立ち
嘆き慄いたノゾランカ…




ノゾミ『此所は只の死せる都…楽園などでは無かった…』


ガクッ…

エリ『ノゾミッッ!!!!』
ギュッ
ノゾミ『エリち…ウチは、ウチはっ!!皆に酷いことをしてしまったっっ!!!』ポロポロ…

ノゾミ『永遠に覚めない夢なんて死んでるのと同じ…いやっ死ぬより辛いことっ…!!』ポロポロ…

ノゾミ『自分一人だけの世界でいったい何ができると…何が生まれると言うんやっ!!!!』ポロポロ…

エリ『ノゾミッ…!』
ギュウゥゥ…
ノゾミ『エリちっ…ウチはっ…ウチはっ…』ポロポロ…


ノゾミ(ウチは紡がないといけない…そしてウチはその実に想いを託す…)

ノゾミ(託す想いは、贖罪…そして…これからの希望…)



そして涙溢るるままに
強き願いを抱いた…





ノゾミ『ウチは紡ぎたい…1001個目の実を…』ポロポロ…



これにてMETHOD_NOZOLANTA/.は完結です!

今回の登場キャラの「ほのうみ」と「りんぱな」は過去作の
exec_UMISTASYA/.(ほのうみ)
Afezera UMISTASYA.(ほのうみ)
ハナヨワールの森(りんぱな)
の事後のお話として書かせてもらいました!

「にこまき」と「ことり」の設定や台詞などにつきましては
にこまきはヒュムノスの
「EXEC_VISIONDANCE_PLUGINs/.」の歌詞と詩の想いを

ことりはヒュムノスの
「EXEC_EP=NOVA/.」の詩の想いを
加えたり、参考にしました!
 
ノゾミの過去回想はヒュムノスの「EXEC_HAIBANATION/.」の詩の想いを参考に

ノゾミの旅の想いを乗せた歌はヒュムノスの「光の中に」の歌詞1番を使いました!


※本来「EXEC_VISIONDANCE_PLUGINs/.」はプクラに着いた後のお話になっています、ですのでプクラや「にこまき」がその後どうなったのかは、歌詞や詩の想いを最後まで見て戴ければ…と思っています

このssでヒュムノスに少しでも興味を持って戴ければ幸いです…ありがとうございました

でも何だかんだ言って書き終わるまで待ってくれてますよね、ツンデレさんですか?

すみません、ジャスラックというものを今初めて知りました教えていただきありがとうございます!
ですが毎度毎度荒らしコメントでは無くに普通に書いてくださればよかったんですが…

ですがちゃんとした理由がありますので
削除依頼はしっかり出します!
ご指摘ありがとうございました!

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