先生「一年生の皆さん、入学おめでとうございます。今日を楽しみにしていた人も多い事でしょう」
先生「今日は自身の生涯のパートナーとなるドラゴンを召喚し、魔法の契約を結ぶ日です。例えば……」
カエン「ゴォオッ!!」
先生「先生のパートナーであるカエンドラゴンは、『自然創設系』と呼ばれる種族になります。自然の中にあるものを具現化したり、その力を高めたりする種族です」
先生「当然魔法も撃てます。それっ!」
カエン「ガァアッ」ボォオッ
先生「簡単なものなら一瞬で燃やせるでしょうね。それくらいドラゴンの力は強力なのです」
カエン「フシュウゥウ―――」
生徒「すっげーーー……!!」
先生「そこ、静かに。カエンは3mと大きいですが、ドラゴンの大きさは様々。もっと大きいのも居れば、掌サイズの小さいドラゴンも先生は見た事があります」
先生「ドラゴンの性質は皆違いますが、子のドラゴンは親のパートナーであるドラゴンと似た性質を持つことが多いです。性質によって、種類はある程度分けられますがね」
生徒「先生、早くドラゴン召喚したいです!!」
生徒「僕も!!」
生徒「私も!!」
先生「これ、私語は……、いえ、いいでしょう。召喚しながらの説明の方が覚えますかね」
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先生「陣の前で、ドラゴンと共に叶えたい願いを言うのです」
生徒「えーと……『我、龍を友とする者なり。誰よりも速く飛べる友を求む』」ヴォン
エーラ「ピぃいいイイイッ!!」
先生「……珍しい種が早速出ましたね、『能力系』のエーラドラゴンです。他のドラゴンより翼が大きく、速く飛べます」
生徒「『我、龍を友とする者なり。美しく歌う友を求む』」ヴォン
メロディア「クゥ――――ッ!!」
先生「『能力系』メロディアドラゴン。美しい声は攻撃にも防御にも、楽しみにも」
生徒「『我、龍を友とする者なり。何物にも動じぬ友を求む』」ヴォン
ゴーレム「ヴォロロロロ……」
先生「『自然創設系』ゴーレムドラゴン。土や岩を媒介として魔法を使う種です」
生徒「……創造する友を求む』」
テクノ「キコゴゴオオオオ……」
先生「ほう、金属から機械を構築できるテクノドラゴン。このように人間の文化と融合した種を『機神系』と言います」
生徒「先生、ドラゴンの種類は全部でいくつですか?」
先生「6つです。自然界の者を操る『自然創設』、龍本来の能力を強化する『能力』、人間の文化と融合した『機神』、記憶や精神に介入できる『古代』、戦う事や、戦うための武器に特化した『戦場』、どこにも属さない『絶』。『絶系』なんて、歴史でも数体しか確認されてませんがね」
生徒「あ、俺知ってるよ!サ」
先生「口にしてはいけません。災いが降りかかります」
生徒「っ……」
先生「それでは皆さん召喚を終え……おや?最後の一人ですか」
ぼっち「……はい」
先生「それではこちらに来て、召喚を行ってください。願いを言えばいいのですよ」
ぼっち「はい……」
生徒(あいつかー、どうせロクなの召喚しないだろうな)
生徒(人間の性質に比例するからな……ミミズみたいなのがでるぞ、きっと)
ぼっち「『我、龍を友とする者なり。……』」
先生「?」
ぼっち「……友を求む』」ヴォン
??「ぴゅーいっぴゅーいっ!」
ぼっち「……え?」
先生「え?」
??「ぴゅーいっぴゅーいっ!」
ぼっち「先生、このドラゴンは何系で何て名前ですか……?」
先生「……すみませんが、この場では分かりませんね。文献にないです」
先生(外見は白を基調として、羽毛にも見える鱗はグリフォンドラゴンを彷彿とさせるが……にしては大きさが小さすぎる。体長は50cm程度……か。胸に光ってるペンダント状の物体は何だ?)
先生(明らかにどの種とも違うが……まさか絶系か? しかし人類史で最も優秀な魔導士でさえ、召喚は極めて困難とされているあの絶系をこの子が?……有り得るのか?)
ぼっち「あの……」
先生「後で調べた資料を送ります。すみません、今は本当に……先生も見た事がないのです……」
生徒(ちんちくりんなドラゴンが出てきたな……強そうには見えないけど)
生徒(見た目可愛くないか? 強そうには見えないけど)
先生「では今日はここまで!各自進級試験に向けて、ドラゴンとの対話を深めておくように!各々のドラゴンと共に家に帰りなさい!」
生徒「はーい」ゾロゾロ
ぼっち「……ふふ」
ぼっち「よろしくね」
??「ぴゅーいっ!」
ぼっち「……ただいま」
薄暗い部屋には誰もいない。
??「ぴゅーいっ」
ぼっち「今日から僕とお前の部屋になるね。よろしく」
??「ぴゅーいっ!」
ぼっち「ねえ……! あ、そっか、お前の名前が分からないんだ」
??「ぴい?」
ぼっち「いや、名前なんて何でもいいか。やっとできた友達なんだ。よろしく……」
??「……?」
ぼっち「あはは、やっぱり名前がないと呼びづらいね。そうだな……『イル』、おいで」
イル「ぴゅーい!」
翌日。
今日は魔法の授業。
一年生はドラゴンと共に行う魔法の基礎から学びます。
先生「良いですか皆さん!魔法は人一人、ドラゴン一体で行うべきものではありません!では秀才さん、何故ドラゴンと魔法を行うのですか?」
秀才「はい先生、人間には魔法を放出する器官が備わっておらず、ドラゴンには魔法を構築する器官が存在しないからです」
先生「その通り! 更に言えば、野生のドラゴンの魔法は基本的に『撃ち止め』です。一発放てばそれでおしまい。歴史に名を遺すドラゴンなら一撃必殺にもなるでしょうが、普通のドラゴンにそのような威力を出せる魔法は放てません」
先生「ではハゲ、魔法を構築する器官とはどこでしょう?」
ハゲ「肝臓っす!」
先生「……ぼっち、代わりに答えなさい」
ぼっち「……あの、えと、魔臓……だと、思い、ます」
先生「その通り。魔法は魔臓で立ち上げから構築までを行います。故に魔臓の存在しないドラゴンという生物は、魔法を構築することが出来ません」
ハゲ「なー先生!なんでドラゴンには魔臓がねーの?」
先生「性格には、戦場系と絶系以外のドラゴンには魔臓がありません。彼らは身体が非常に丈夫である為、人間のように魔力によって身体機能を維持する必要がありません。むしろ溜まった魔力は体内で暴発する恐れがあるため、魔力を『火』や『水』や『音』、『念動力』などに変換して撃ち出す機能が備わっているのです」
先生「要するに、ドラゴン単体で放つ火炎や水流は魔法ではなく、魔力放出だという事です。また人間単体で魔法を行おうとするとどうなりますか、美少女?」
美少女「んーと、魔力枯渇!」
先生「正解です。身体機能維持に使っている魔力を魔法に回そうとするため、魔力枯渇が起きて自滅します」
先生「……では」
ここまでは基礎とも言えない当たり前の事実だ。
頬杖をついている生徒も居た。
先生「ドラゴンの魔力と放出器官を借りて、人間が魔法を行使する仕組みは分かりましたね?」
生徒「「「はーい」」」
先生「赤目、ドラゴンと人間が魔法を使用する一番の危険を答えなさい」
赤目「……アンシンクロ」
先生「そうですね」
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