ニート「今日初めてTRPGとやらをやった」 (21)

俺、ニート
友達S、ニート
今日使った物、ノートと手帳 http://i.imgur.com/ORKC2DY.jpg

ニート「へえ、今日はマーニーやるんだ」 バサ

母「ねえ、ちょっと醤油取って」

ニート「うん」 コト

母「ありがと  ねえ、食べながら新聞読むのやめなさい」

ニート「はーい」 バサ

母「で、バイトは決まったの」

ニート「え」
 

 
母「昨日の夜、言ってたでしょ」

ニート「昨日? 夜?」

母「バイト決まったの、って聞いたら、明日の朝教えるーって言って寝たじゃない」

ニート「ああ……」

母「決まったの?」

ニート「電話しようと思って……」

母「思って?」

ニート「ちょっと、時間帯的に、忙しいかなって」

母「あのねぇ、何時でもいいから、日が昇ってるうちに掛けなさいよ」

ニート「はい……」

母「はあ……」

ニート「ごちそうさま…」 カチャ

母「またタウンワーク貰って帰ろうか?」

ニート「うーん……ネットで探してみる」

母「そう……」

 スタ… スタ…

 ガチャ 

   バタン

ニート「ふう……」 ゴロ…

ニート「……」

ニート「今日こそ……今日こそ電話しなきゃ…」
 

 
ニート「でもまだ9時……お店も忙しいかもしれない……」

ニート「10時ぐらいなら一息ついてるかな…」

ニート「1時間、暇をつぶしてから掛けよう…それがいい、うん」

ニート「…漫画でも読むか…」 ゴソ…


 12:00

ニート「ゲラゲラゲラ」

ニート「磯兵衛おもしれぇ」 ゲラゲラ

 ピンポーン

ニート「?」

   パタパタパタ

 「あら、いらっしゃい」

 「上にいるわよ」

ニート「!」

 「ニート! Sくんよー!」

ニート「こっち上げてー!」

 「上がってちょうだい?」

   「ありがとうございます」

 トン、トン、トン、トン

   ガチャ

S「おっす」

ニート「お。 おはよ」
 
S「もう昼だぞ?」

ニート「えっ、マジ?」
 

 
S「起きたばっかって感じだな」

ニート「一応朝起きたんだけどな…」

S「マジ? 超偉いじゃん」

ニート「Sはいつ起きたの?」

S「さっき。」

ニート「起きてすぐ動けるなんて凄いね…」

S「遊びならいくらでも動けるわー」

ニート「ふーん…」
 

 
S「何読んでんの」

ニート「磯兵衛」

S「あーあれね。 おもろいの?」

ニート「割と」

S「貸して貸して」

ニート「はい」

 1時間後

S「ゲラゲラゲラ」

S「飽きた」 ポイ

ニート「ええ……」

S「なあ、遊ぼうぜ」

ニート「遊ぶって…? うちゲームないよ」

S「じゃあバドミントンやろうぜ 百均で買って」

ニート「外やだぁ……」

S「あン? じゃあ何する?」

ニート「何しよう…」

S「トランプでもすっか」

ニート「散々やってもう飽きたよ……勝てないし……」
 

 
S「んー」

S「あ。 あれやろう、アレ」

ニート「アレ?」

S「TRPG」

ニート「ティーアール……? 何それ?」

S「知らん」

ニート「は?」

S「なんかユーチューブで見た」

ニート「Youtubeで? ゲーム?」

S「なんかなー、人が話してゲームするんだよ、なんか」

ニート「さっぱり分からん」
 

 
S「まあいいや、やってみようぜ」

ニート「どうやってやんの」

S「ええっと、何かな、GM、ゲームマスターっての決めるんだよ」

ニート「ゲームマスター」

S「仕切りだよ、仕切り。 じゃあ俺がGMやるわ」

ニート「うん……」

S「えっとな、モンスターが現れた! 倒せ!」

ニート「……は?」

S「倒せ!」

ニート「え? は?」
  

 
S「何か倒す方法とか言えよ」

ニート「……ビーム撃つとか?」

S「いや無理だろ」

ニート「……は?」

S「だってお前ビーム撃てないじゃん」

ニート「ちょ、ちょっと待って。 俺が戦うの?」

S「そ。 お前が戦うの」

ニート「いやいやいや、無理に決まってんじゃん てか何、これ。 ゲームとして楽しい?」

S「おっかしいな。 なんか違ぇな」

ニート「大体モンスターって何」

S「んー、なんか犬みたいな…」

ニート「犬?」

S「犬」

ニート「……なんかこう、後から後から情報が出て来て意味が分からんのだが…」

S「確かにそうだな  そういや何か本みたいなの使ってたな」

S「なあ、白紙か何かある?」

ニート「自由帳なら」

S「それでいい、貸して」
 

  
ニート「えーと……」 ガサゴソ

ニート「あった、はい」 パサッ

S「ん」 ヒョイ

  カキカキカキカキ

S「えっとな、犬みたいな奴で、キバとかツメとか鋭くて、凶暴な奴、普通の犬よりデカい、と」

ニート「何だよそれめっちゃ強そうじゃん」
 
S「そこを何とかするのがお前の役目だろ」

ニート「知らねぇよ! 大体急にモンスター出て来るって何だよ! 俺どこに居んだよ!」

S「あ、そっか。 場所も決めねぇとな」

ニート「原っぱとか?」

S「んー、なんかつまんねぇな」

ニート「つまんねぇって……」

S「そうだ、この町にしようぜ、この町」

ニート「ええ?」

S「えっとな、ちょっと書き足すから待ってろ」

 『朝起きると誰もいなくなっていた。 外に出ても人っ子一人いない。 
  あなたは原因を探るために沈黙の町を彷徨い始めた…』 カキカキ

S「どうよ」

ニート「あー、大分状況が掴めてきた。 謎だらけだけど」
 
S「うん。 俺もよく分かってねぇからな」

ニート「……大丈夫なのかそれ?」

S「だいじょーぶだいじょーぶ まーかせて」
 

 
ニート「てか何この犬、あれなの、バイオハザード的な犬なの?」

S「バイオ?」

ニート「それともオカルト的な魔犬なの?」

S「オカルト?」

ニート「……」

S「あー、うん……バイオカルトみたいな、そんな感じそんな感じ」

ニート「お前何も考えてなかっただろ」

S「いいからいいから。 えーと、お前はパジャマのまんま、履物は…サンダルだと流石に可哀想だからスニーカーにしてやる」 カリカリ

ニート「ちょ、ちょっと待てよ! パジャマにスニーカーで犬の怪物に立ち向かえと!?」

S「えーと、お前は町を彷徨い歩いてて、不幸にも犬に遭遇してしまう、と」 カリカリ

───

男「何でだよ……何で誰もいねぇんだ……?」 キョロキョロ

男「…気味が悪い……」

 トコ… トコ… トコ…
 

 
男「おーい! 誰か! 誰かいませんかー?」

 シーン…

男「……誰も…いないのか…」

男「…」 ブルッ
 
 ……ガサ

男「!」

男(今……確かに音が聞こえた……)

男(風の音…? いや……確かに、何か…)

男「…」 ダッ!

 タッタッタッタッ

男「確かこっちから…」 バッ


   ゴソ…ガサゴソ… ゴソゴソ…


男(! 誰かがうずくまってる! 子供、か…?)
 

 
男「あ、あの! ねえ! そこの……」

  ノソ…  クルッ

犬「……」 ググ…

男(犬……!?)
 
───

ニート「犬、でいいの?」

S「あー、なんか名前付けるか。 うーん……『キラードッグ』でどうよ」

ニート「ダs……いいと思うよ」

───

キラードッグ「グルルルルル…」

男「う、うわっ!!? 犬… デ、デカ…」

 音の正体は、巨大な犬の化け物だった。
 赤い眼が爛々と輝き、巨大な口からはみ出た牙から緑の涎が滴っている。
 
キラードッグ「グルルルァァァ!!!!」

 咆哮。
 明確な敵意。
 貴方は思わず身を固くした。
 そして悟った。 平和的な解決は望めない、と。

───

S「エンカウント。 はい」

ニート「はい、て」
 
S「どうする? 倒す?」

ニート「ムリムリ無理。 逃げるっしょ」

S「逃げる、かぁ……しかし逃げるっつって簡単に逃げられたら面白くねぇな……」

S「あ、そうだ。 サイコロある? サイコロ」

ニート「サイコロかぁ……持ってないなぁ……」
 

 
S「前麻雀やった時のは?」

ニート「あれお前のじゃん。 お前んちだろ。 取ってくれば?」

S「やだ、めんどい」

ニート「……」

S「あ、そうだ。 エンピツある?」

ニート「エンピツ… 下にあると思う」

S「取ってきて!」

ニート「うん……」

 ガチャ

 トン、トン、トン…

母「…」 ジュージュー

母「あら、ご飯まだよ。 もうちょっと待ってね」

ニート「あ、ううん…エンピツ取りに来た」

母「エンピツ?」

ニート「うん、ある?」

母「文房具入れた缶カンあるでしょ? あの中にいっぱいあるわよ」

ニート「ありがとー」

母「あ、電話は?」

ニート「ギクッ」

ニート「メモするのにエンピツの方が書きやすいと思って……」

母「ああ、そう」 ジュージュー

ニート「……」
 

 
 ゴソゴソ カチャカチャ

ニート「……」

 トン、トン、トン

   ガチャ

ニート「取ってきた」 ジャラ…

S「おう。 短い奴一本ちょうだい」

ニート「うん」

S「あと、マジックペン借りるぞ」 ヒョイ

 キュッキュッ

S「はい、エンピツサイコロ完成」 コロ…

ニート「これでどうすんの?」
 

 
S「えーと、コレで逃げれるかどうか決めようぜ」

ニート「どういうこと?」

S「んー、奇数が出たら逃げられる、偶数が出たらやられる、みたいな」

ニート「あー…… 待って、やられるって、死なない?」

S「死ぬだろなぁ、パジャマだし」

ニート「……」

───

キラードッグ「グルルル……グガアァァァ!!」

 キラードッグは牙を剥き出し吠えると、貴方に向かって襲いかかってきた!

男「うおっ!?」

───

ニート「頼むっ!」

 コロッ…
 

 
 コロ… コロ…

ニート「……」

 コロ…

   3

ニート「いよしッ!」

S「ち」

ニート「ん?」

S「何でもない」

───

男「う、うわっ!?」 ズルッ ドサッ

キラードッグ「グルルァァッ!!」 ガブッ ガキン!

 貴方は驚きの余り尻もちをついてしまった。
 しかしそれが幸いにもキラードッグの鋭い牙を逃れる助けとなった。

男「ひ、ひィッ!」

 貴方は慌てて立ち上がると、駆け出した。
 助けの無いこの町では走ることしか出来なかったから。 

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