八幡「俺は雪ノ下を選んだ」 (179)


八幡(人生は苦いよな…)

八幡(俺がガムシロップ入れるのもそれが関係してたりするよ?いや、ほんと)

八幡(現実は苦いから、せめて空想の世界は甘くっていう言葉もあるけど)


いろは「先輩、ここの問題ってこうですよね?」

八幡「ん~そうだな、それであってる」

いろは「やった!これで完了~~!」

八幡「というか、なんで奉仕部の部室で、お前に勉強教えてんの?」

いろは「わたしに聞かないでくださいよ」

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いろは「疲れましたね先輩、わたしにお茶淹れてくれてもいいですよ?」

八幡「なにこの女王様…」スタスタ

いろは「とかなんとか言って、やってくれるんですね」

八幡「お前、うるさいし」

いろは「人を犬みたいに言わないでください」

八幡(確かに、犬みたいなところもあるかな…)


いろは「ところで、雪ノ下先輩たち来ないんですか?」

八幡「雪ノ下は今日は家の用事で休みだ」

いろは「へ~詳しいですね~」

八幡「いや、さっき連絡しただけだけどね」

いろは「連絡取り合ってるなんて、恋人同士なだけありますねっ」

八幡「ここで言うか?それを…」

いろは「それで…結衣先輩は?」

八幡「いや、聞いてないけど、来るんじゃないのか?」


いろは「来てくれるんですか?」

八幡「さあ…」


いろは「そんな無責任な」

八幡「しょうがないだろ」

いろは「先輩が選んだんでしょ」

八幡「そうだけどな…」


八幡(俺は…雪ノ下と付き合い始めた)

八幡(彼女を選んだことになるのかね)

いろは「一か月もかけるとか、先輩へたれですよ~」

八幡「慣れて無さ過ぎたんだよこういうのに…」


いろは「まあ、それはあるでしょうけど」

八幡「それに…」

いろは「でも意外だったかも」

八幡「意外?」

いろは「先輩、答え出さないんじゃないかって思ってましたし」

八幡「…それも考えてたけど」

いろは「3人なんとなく平行線で卒業までって感じですか」

八幡「そういうことだな」

いろは「でも、答え出したじゃないですか」


いろは「ちょっと男らしいなって思いましたよ」

八幡「それはどうも」

いろは「む、あまり嬉しそうじゃないですね」

八幡「まあ、そりゃな…」

いろは「ダメですよ…そういう後ろ向きなこと考えちゃ」

八幡「……」


ガラガラ

結衣「や、やっはろ~~っ!」

いろは「あ、結衣先輩、やっはろ~~ですっ!」

八幡「お、おう…」

ゲシ

八幡(いてっ…!蹴られた…)

いろは「…」

八幡(睨まれてるし…)

八幡「よう、由比ヶ浜」(これでいいのか?)


結衣「う、うん…ヒッキーも…こんにちは…」

八幡(気まずいままじゃん…)

結衣「えっと、ゆきのんは…?」

八幡「用事で今日は来れないって言ってたぞ」

結衣「あ、そ、そうなんだ…」


八幡(安心したような表情だな…)

八幡(やっぱり気まずいか)

結衣「いろはちゃんと勉強してたんだ」

八幡「おう、まあな」

いろは「わたしも来年は受験生なんで」


八幡「俺たち、今が受験生だからね?」

結衣「でも、教えてあげた方が、自分も修得するって言うしさ」

八幡(由比ヶ浜が賢いこと言ってる)

いろは「そうですよ、先輩。わたしに教えるのは先輩のためなんです」


八幡「屁理屈だよねそれ……」


結衣「ここ、最近は勉強部屋になってるよね」

八幡「依頼も来ないっていうか、そもそも受験だしな」


いろは「引退…ですか」

八幡「まだ5月だし、早いかもしれんけど」

いろは「先輩たちいなくなったら、奉仕部って消えちゃうんですよね…」

八幡「小町に入ってもらうか?幽霊部員でもいいから…なんつて」

いろは「いいじゃないですか~」

八幡「おいおい、冗談だっての」

結衣「……」


いろは「結衣先輩…?」

結衣「え?うん、聞いてるよ?」

八幡(やっぱり、微妙な空気か…)

八幡「今日は雪ノ下もいないし、早めに閉めてどっか行くか?」

結衣「え?」

いろは「お~、先輩太っ腹です~!」

八幡「別に奢るとは言ってないけどな」

いろは「先輩、かっこ悪いですよ」


結衣「えっと…これから?」

八幡「ああ、大分早いけど、別に大丈夫だろ」

結衣「あ、でも今日は優美子と約束があるから」

八幡「三浦とか」

結衣「うん、ごめんね?」


八幡「いや、いいけど」


ガラ

三浦「結衣~いる~?」

結衣「あ、優美子」

三浦「どうなん?いつごろから行けんの?」

結衣「え~っと…」

八幡「すぐ行ってきたらどうだ?」

結衣「え、いいかな?」

八幡「戸締りくらいしかすることないしな」

結衣「ごめんね、じゃあ行ってくるね」

スタスタ


いろは「なんか、先輩優しくないですか~」

八幡「はあ?」

いろは「心の余裕が感じられますよ」


八幡「そんなことねぇよ」

いろは「雪ノ下さんゲットしたのは大きいですね」

八幡「違うっての」

喫茶店

三浦「結衣」

結衣「え、なに?」


三浦「あのさ、元気出しなよ」

結衣「え、なに言ってんの?優美子…あたし元気じゃん」

三浦「…」

結衣「元気…だよ…」

三浦「全然見えないっての、下手な演技もそこまで行くと大したもんだし」

結衣「元気だよ…ホントに」

三浦「無理すんなっての、特にあーしの前で」

結衣「……優美子」


三浦「核心つくようで悪いけどさ」

結衣「うん…」

三浦「ヒキオと雪ノ下さんが付き合い始めたからだよね?元気ないの」

結衣「…それは…」

三浦「答えて」

結衣「…うん、そうなるかな」


三浦「やっぱりそっか」

結衣「あははは、きっぱりと振られちゃったよ~」

三浦「そんな、元気に言えることじゃないんでしょ」

結衣「あ、あはははは…」

三浦「あーしとしてはどうなるのかなって思ってたけど」

結衣「優美子も、思ってたんだ…」

三浦「ヒキオのことだから、なにもせずに終わるとも思ってたけど」

三浦「大胆に動いたね、あいつも…ホント」


結衣「…」

結衣「…どうして、あたしじゃなくて、ゆきのんだったのかな…」

結衣「あたし、結構がんばってアプローチしてたんだけどな…」

結衣「……うっ…」

三浦「結衣…あんたそんなに、ヒキオのこと…」


結衣「ごめん…変なところ見せて…」

三浦「謝んなくていいっての」

結衣「……」

三浦「結衣さ、気持ちは察するけど…」

結衣「うん…」


三浦「気分変えるのも重要だと思うんだよね」

結衣「そうだけど……」

三浦「あんたと付き合いたいって奴いんだけどさ」

結衣「え~~?なにそれ…」

三浦「まあ、あんたも顔見知りとは思うけどさ」


三浦「試しにって言ったら変だけど、付き合ってみたら?」

結衣「優美子…そんなの…」

三浦「悔やんでも、ヒキオ戻って来ないし」

結衣「それは…そうだけど…さ…」

三浦「それに…あんたのそういう表情、あーしも見たくないんだ」

三浦「辛そうだもん」


結衣「優美子……」

三浦「結衣は付き合ってないからわからないかもだけど」

三浦「結構付き合うのって軽いもんだよ」

結衣「そうかな…」

三浦「まあ、雪ノ下さんがどうかはわかんないけど」


三浦「とにかく会ってみるだけでも、変わってくると思うよ?どう?」

結衣「……うん、そうだね…わかった」


いろは「先輩、今日はごちそうさまでしたっ!」

八幡「一色…食べ過ぎ…奢りだからって…」

いろは「先輩の器の大きさには脱帽ですっ!」


八幡「絶対褒めてないだろ」

いろは「まあ、いいじゃないですか。これから雪ノ下先輩に似たようなことするんですよ?」

八幡「それは…そうかな」

いろは「こういうのも練習ですって」


八幡「なんか都合のいい解釈だな」

いろは「それはいいんです。問題はちゃんと雪ノ下先輩と楽しんで付き合ってくださいよ?」

八幡「どういう意味だよ…?」

いろは「ホントにわかってないんですか?」


八幡「…」


いろは「中途半端に付き合っちゃうとか…一番駄目ですからね?」

八幡「…」

いろは「先輩はもう答え出したんですから」

八幡「わかってるっての…」

いろは「恋愛初心者の先輩には周りに気を遣う余裕なんかないはずです」


八幡「恋愛初心者って…合ってるが…」

いろは「わたしが言いたいのはそのくらいです、今のところ」

八幡「なんでお前がそんなこと言うんだよ…これ3人の問題だぞ?」


いろは「そんなことないです」

八幡「ん?」

いろは「なんでもありません、先輩はこういう時はバカですから…」


八幡「…?」

いろは「もう帰りましょうか、先輩っ」

八幡「…そうだな」

いろは「こんなところ、雪ノ下先輩に見られたら大変ですし」

八幡「そういうこと言うなよ…怖いからね」

いろは「どこかで見てるかもしれないですよ?」

八幡「いや、家の用事って言ってたし」

いろは「ああ、雪ノ下先輩の家系凄いですもんね」

いろは「侯爵?王族?」

八幡「そんな天皇家じゃねぇよ…上流階級かもしれんけど」


いろは「ノリ悪いです先輩~」

八幡「俺は陽乃さんの方が怖いんだけどね…」

いろは「あ~なるほど~」


いろは「それじゃあ、先輩。こっちなんでもう行きますね」

八幡「おう」

いろは「それじゃ、また明日!」

翌日

スタスタスタスタ


八幡「眠い…このまま帰って寝てしまいたい」

雪乃「なにを言ってるのかしら、あなたは…朝から」

八幡「雪ノ下…」

雪乃「おはよう、朝から陰鬱な顔をしてるわね」

八幡「相変わらず、毒舌が冴えわたっているようで…」


雪乃「私は、あなたのそんな陰鬱な表情も嫌いじゃないけれど」

八幡「……」


雪乃「な、なんとか言って…黙るのはズルいわよ…」

八幡「先に行く」スタスタ

雪乃「ちょ、比企谷くん…!私の努力を笑いものにする気かしら?」スタスタ


八幡「う、うるせ…」

雪乃「……!」


八幡(雪ノ下の顔、まともに見れん…)

教室


戸塚「八幡」

八幡「戸塚…おはよう」


戸塚「うん、おはよう」

八幡(よし、今日も一日がんばれるな)


戸塚「でもさ、朝、雪ノ下さんとはあんなだったのに…僕には普通に挨拶とか」

戸塚「順序が違うよ」


八幡「…見てたのか?」

戸塚「うん、まあね。たまたまなんだけど」

八幡(なんか……布団ないですかね…もだえ苦しみたい…)


戸塚「二人の貴重なやり取り見れたし、おもしろかったけどさ」

八幡「いや、おもしろくねぇから…」

戸部「隼人君~今日はカラオケ行くっしょ?」

葉山「ああ、構わないけど、最近よく行くな」

戸部「ほら、なんての?嵌り時期ってあるじゃん?あれあれ」


葉山「嵌り時期?そんな言葉あるのか?」


三浦「結衣~~」

結衣「なに…」

三浦「ほれほれ」ツンツン

結衣「きゃあっ、なに急に~~!」

三浦「元気だしなよ、元気」

結衣「う、うん」

ワイワイ

八幡「…」ジー

戸塚「どうしたの?八幡…」

八幡「いや…」

八幡(由比ヶ浜の奴……どうなんだろうな)


八幡(一色にも注意されたな…俺には余裕ないしな)


-------------------------------------

奉仕部

雪乃「比企谷くん、お茶はいるかしら?」

八幡「ん、ああ」

雪乃「じゃあ、淹れるわね」


雪乃「ところで、由比ヶ浜さんは?」

八幡「……さあ…」

雪乃「一緒には来ていないの?」

八幡「来てない」

雪乃「以前は一緒に来ていたことも多かったのに」

八幡「あのな…」


雪乃「…」

八幡「俺たちの関係も変わっただろ…」

雪乃「ええ…」

八幡「全く、以前と同じってわけには…いかないだろ」

雪乃「そうね…そうかもしれないわ」

八幡「…」

雪乃「でも…やはり寂しいわね…」

八幡「雪ノ下にとって、由比ヶ浜は特別か?」

雪乃「それはもちろんよ」

雪乃「あなたも同じでしょう?」

八幡「そうだな…」

雪乃「3人で、この1年頑張ってきたんだから…」

雪乃「それは、この先を考えても、かけがえのない財産になると思うわ」


八幡「なら……やめるか?」

雪乃「…え?」

八幡「元の関係に戻るか?由比ヶ浜にもそう伝えるか?」


雪乃「…」

八幡「お前が、辛いんなら…」


雪乃「嫌よ」

八幡「…」

雪乃「あなたを誰にも渡す気はないわ」

八幡「雪ノ下…」


雪乃「…比企谷くん」


八幡「なんだ…て、んっ」

雪乃「んっ…チュ…」

八幡「む…むぐ……」


八幡(…雪ノ下って…こんな積極的だったの…?)

雪乃「ん…」

八幡「むむ…」

八幡(人間って優先順位があるよな…絶対…)

八幡(雪ノ下って、その優先に忠実そうだ…)

八幡「な、なあ…雪ノ下…」

雪乃「…なに?」

八幡「キス…長くないっすか…?」

雪乃「いいじゃない少しくらい…誰も見ていないわ」

八幡「そういう言葉が、いちいち…」

雪乃「理性はどうしたの?あなた…」

八幡「いやいや、雪ノ下に言われたくないぞ…」


ガラガラ


結衣「やっはろ~~!」

雪乃「…!」

八幡「由比ヶ浜…よ、よう…」

結衣「あれ…?どうしたの…?」

雪乃「いえ…なんでもないわ」

結衣「…そう?」


八幡(あぶねぇ…もう少し近づいてたら、バレテたか…離れてて良かった…)

雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん」

結衣「うんっ」


雪乃「紅茶はいるかしら?」

結衣「あ、もらえる?ありがとう」

八幡(元気に見えるな?それとも、まだ無理してるか?)


雪乃「…それじゃあ、勉強をしましょうか」

八幡「依頼来ないしな」

雪乃「もう、3年になったもの。引退のようなものだから、来ないのも無理はないわ」

八幡「もう奉仕部の活動は終了か…」

雪乃「私としては残念ね」


八幡「そうか?」

雪乃「あなたの活躍が見れなくなるから」

八幡「な…」

雪乃「あなたは、依頼の時は人が変わったように頼りがいがあったわよ」

八幡「それ…やっぱり毒舌ですよね?」

雪乃「どうかしら?」


結衣「……」

結衣「えっと…あのさ」

雪乃「由比ヶ浜さん?どうしたの?」


結衣「今から、勉強するってなってるけど…」

雪乃「ええ」

結衣「今日もちょっと、予定があってさ。とりあえず顔出しただけなんだ」

八幡「三浦と約束か?」


結衣「ううん、男子と約束…男子と」

八幡「……」

結衣「……」チラ

雪乃「男子?葉山君かしら?」

結衣「ううん、違うよ」

八幡「なら、戸部とその周辺じゃなさそうだしな」

結衣「ヒッキー、ひどいよ…確かに違うけどさ…」

結衣「隣のクラスの子なんだけどさ」

八幡「知らない奴か」

結衣「ヒッキー達も顔くらいは見てるかもだけど」

雪乃「その人と、出かける用があるのね」


結衣「うん…だから、ごめんね?」

八幡「それなら仕方ないか」

雪乃「行ってらっしゃい、気を付けてね」


結衣「…ヒッキー…」

八幡「なんだ…?」

結衣「…なんでもない、行ってくるねっ!」

今日はここまでですかね

ガラガラ

雪乃「…」

八幡「俺たちだけで、勉強するか」

雪乃「ええ、そうしましょう」

ーーーーーーーー

八幡「もうこんな時間か…」

雪乃「それなりに問題はこなしたわね」

雪乃「あなたはやはり数学が問題ね」

八幡「わかってるっての…」

雪乃「わかってるなら、少しは克服しないと駄目でしょう」

八幡「一応やってるけどね」

雪乃「おそらく量の問題ね、国語は大丈夫だから数学に回せばいいのよ」

八幡「苦痛だな、それ…」

雪乃「今度、私のマンションで勉強しましょうか」

八幡「えっ?雪ノ下のか?」

雪乃「数学を教えるわ」

八幡「お、おう…それはありがたいけど…」

雪乃「どうかしたの?」

八幡「いや、なんでも…」

雪乃「??」

八幡(俺は理性の怪物…理性の怪物…)

ガラガラ

いろは「いや~~遅れちゃいました🎵」

雪乃「あら一色さん、こんにちは」

いろは「雪ノ下先輩、こんにちはです、先輩も」

八幡「オッス」


いろは「なにしてたんですか?こんな密室で二人で~?」

八幡「なにその台詞…」

雪乃「勉強していただけよ」

八幡「お前も真面目に返すなよ」

いろは「何となく帰るところみたいですし、御飯食べに行きません?」

いろは「先輩のおごりで」

八幡「おい、さらっと言うな」


雪乃「それはともかくとして、食べに行きましょうか」

いろは「やったやった❗」

八幡「雪ノ下も柔軟だな」

雪乃「人とお付き合いする以上、そういうのも重要でしょう」

八幡「…かもな」

雪乃「あなたも柔軟になった方がいいわね」

その頃 繁華街

男「御飯も食べたし、カラオケでも行く?」

結衣「う~ん、どうしよっか…カラオケでもいいけど…」

男「あまり気分乗らない?」

結衣「あ、ご、ごめん…そんなことないんだけど…」

男「いいよ、由比ヶ浜さん、気にしなくて」

男「俺も無理に誘ったのが悪いし」

結衣「そ、そんなことないよ、楽しかったし❗」

男「本当に?」

結衣「うん」

男「なら良かったよ」

男「三浦さんからの紹介だし、歪だけどさ…」

結衣「うん…」

男「俺と付き合ってくれないかな?」

結衣「…」

男「俺、君のこと前から気になっててさ…だから……」

結衣「あの…」

結衣「考えさせてくれないかな…」

男「それは、もちろんいいよ」

男「何度か話したけど、友達って仲でもなかったし」

男「いきなり、彼女になってくれじゃ、戸惑うよね」

結衣「ごめんね?出来るだけ早く答えるから…」

男「ああ、じゃあ今日はもう帰ろうか」

結衣「うん、そうしよ」

男「送って行くよ」

結衣「ありがとう」

結衣(やっぱり付き合ってって言われたか)

結衣(ヒッキー…あたしどうしたらいいかな…)

ーーーーーーーーーーーー

数日経過

三浦「あいつと結構うまくいってるって?」

結衣「ど、どうなのかな…」

三浦「あれから毎日遊んでるんでしょ?」

結衣「うん、まあ…」

三浦「もう付き合ってるも同然じゃん」

結衣「でもまだだよ…」

三浦「保留中なんだ…うわ、生殺しだし…」

結衣「生殺しって…そんなの…」

三浦「結衣みたいなナイスバディ、なかなかいないし」

三浦「早く食べたいって思ってるかもよ」

結衣「優美子…怒るよ…」

三浦「ちょっとは元気になってるじゃん」

結衣「え?あ…そうかな」

三浦「やっぱさ、落ち込んでてもつまらないでしょ」

結衣「それは、ちょっと思ってた」

三浦「なんかもう、答えきまってるじゃん」

三浦「早くOK出したら?」

結衣「考えてみる」

ーーーーーーーーーー

スタスタ

結衣「ちょっと元気出てきてるかな、あたし…」

結衣「…」

八幡【ごめん、由比ヶ浜…俺は雪ノ下と付き合うことにしたんだ…】

結衣「あ…」

結衣「ゆきのんと…ヒッキーだ…」

結衣「ごはん食べてる…」


雪乃「どうしてこんなところで食べているの?」

八幡「ぼっちだからな」

雪乃「絶対違うでしょう」

八幡「昔の癖みたいなもんだよ」

雪乃「誰か呼ぼうとは考えないの?」

八幡「一色呼んでもいいのか?」

雪乃「私が怒るわね」

八幡「怖いですよ、雪ノ下さん…」

八幡「じゃあ戸塚とか…」

雪乃「微妙に怒りたいけれど、まあいいわ」


八幡「じゃあ今度から、戸塚呼ぶ」

雪乃「その必要はないわ」

八幡「え?」

雪乃「わ、私がいてあげるから…」

八幡「それ、言いたかっただけですよね…回りくどい」

雪乃「しょうがないでしょう…慣れてないのよ」


結衣「…………」

結衣「仲良いよねって…当たり前か」

結衣「……っ❗」

タタタタ

また時間おいて書きます

学校の隅


男「えっ?いいの!?」

結衣「う、うん…その…よろしくね?」


男「…こ、こちらこそよろしく…お願いします」

結衣「は、はい…」

男「ありがとう……えっと、結衣?」

結衣「ええっ?」

男「だ、ダメかな?か、彼氏になるわけだし」

結衣「そ、そうだよね…普通かな?」

男「ああ、じゃあよろしくねっ」

結衣「うん、よろしく…」


結衣「………」

奉仕部


雪乃「ここの問題はこうね」

八幡「えっと、正解みたいだ」

雪乃「そう、じゃあ少し休憩しましょうか」

八幡「ん、そうだな」

カタン


雪乃「それなりに順調に行ってるわね」

八幡「まだ5月だし、こんなにやる必要あるかって時期だしな」

雪乃「早めにやるに越したことはないわ、特にあなたの理数系は」

八幡「はい…」

雪乃「今度の休みに、マンションで数学を徹底的にやるわよ」

八幡「徹底的に…」

雪乃「なぜそこで挙動不審になるの?少し不気味なのだけれど…」


八幡「なんでも…ていうか、俺のメンタル考えてね?」

雪乃「最近、こういう毒舌もなかったでしょう?だからよ」

八幡「まあ、それは…」


雪乃「こ、恋人になったものね……」

八幡「…」

雪乃「…」

八幡(…て、照れくさいですよ、雪ノ下さん…こういう時どうすればいいんだ?)

八幡(素数だ!素数を数えればいいんだっ!)

八幡(2,4,6,8、…いやこれはただの偶数だ!て、なにやってんの俺…どこの神父だよ)


雪乃「ねえ、比企谷くん」

八幡「な、なんだ…」

雪乃「恋人らしいことというのはどういうことを言うのかしら?」


八幡「どういうことって言われてもな…学校ではできないことだろ…」

雪乃「そうね、キスでも学校で見られたら問題になるわ」

八幡「ここ進学校だしね…」

雪乃「それなら…私の部屋なら大丈夫かしら?」

八幡「え…なに言ってんの?雪ノ下さん?」


雪乃「あくまでも、例えばの話よ…例えばの」

八幡「例えばね…ですよね…」


雪乃「そんなに例えばの話でもないのだけど…」


八幡「…」

八幡(雪ノ下が近い…)

雪乃「これくらいならいいでしょう」ギュ

八幡(手握ってきたし…)

八幡「積極的だな…おい」

雪乃「あなたが消極的過ぎるのよ」

八幡「雪ノ下…」

雪乃「私はまだ信じられないわ…」

八幡「なにを?」

雪乃「あなたが私を選んだこと」


八幡「いやいや、事実だし…」

雪乃「由比ヶ浜さんを選ぶんじゃないかって不安だったわ」

八幡「…悪い、大分またせたな…」

雪乃「そうよ、だから…」

八幡「いや、でも大丈夫だろ?こうやって付き合ってるんだし」

雪乃「そうだけれど…やはり不安はあるわ」


ガラ

結衣「や、やっはろ…」

八幡「お、おう…由比ヶ浜…」

雪乃「ごきげんよう、由比ヶ浜さん」

結衣「……手」


八幡「え、あ…」

雪乃「あ…」パッ


結衣「…」

結衣「しょうがないよね…」

ガタ

結衣「は~~疲れたよ~」

八幡「どっか行ってたのか?遅かったな」

結衣「ごめん、ちょっと話こんじゃってさ~」


雪乃「例の男の人かしら?」

八幡「なんか、最近よく会ってるって聞くな」

結衣「うん、それでさ…」

八幡「?」

雪乃「?」


結衣「つ、付き合うことになりました~~っ」

雪乃「あら、おめでとう…と言えばいいのかしら?」

結衣「うん、そだよ~~ありがとう~!」


結衣「…」チラ

八幡「……」

八幡「よかったな、由比ヶ浜」

結衣「……」

結衣「うん…ありがと…ヒッキー…」

雪乃「どういった人なの?」

結衣「まだわからないけどさ、背も高いし優しいし、気を遣ってくれるし、二枚目かな?」

雪乃「あら、すごいわね」


八幡「なんか俺と正反対のような奴だな…」

結衣「…そんなことないよ…」

八幡「ん?」

結衣「ううん、なんでも」

雪乃「……」


雪乃「でも、私も嬉しく思うわ…その…」

結衣「ゆきのん?」

雪乃「あまり、私が言えることではないけど…」

結衣「やだな~、あたしに気遣わないでよっ」

結衣「ゆきのんはさっきみたいに、ヒッキーとイチャイチャしててよねっ」

雪乃「由比ヶ浜さん」


八幡「おいおい…恥ずかしいこと言うな…イチャイチャとか」

結衣「事実じゃん、思いっきりしてたじゃんっ!」

八幡「うう…」

雪乃「あ…」


結衣「えっと、それでさ…今日、早く帰ってもいいかな?待たせてて…」

雪乃「え?それはいいけど」


結衣「うん、ごめんね!それじゃあっ」

結衣「ヒッキー……」

結衣「よ、よし…!…あ、あたしもがんばらないと…!」

結衣「よし、行け、結衣!」


----------------------------------------


男「あ、もういいのか?」

結衣「うん、奉仕部は大丈夫だよっ!帰ろうかっ」

男「奉仕部か…」

結衣「ん?なに~?」

男「なんでもないよ、じゃあ行こう」

結衣「うんっ!」

男「コンビニで買い物してくるからさ、少し外で待っててくれる」

結衣「ん、わかった」

男「じゃあ」ウィーン


結衣(ゆきのんとヒッキー…今頃どうしてるんだろ…)

結衣「やっぱり色々してるよね…恋人だもんね」

結衣「…でも、ヒッキー…」

結衣(ああ、ダメだあたし…こんなの彼にも申し訳ないよ…)


男2「ねえねえ、君さ~」

男3「おお、すげぇ可愛い…」

結衣「え…?あたし?」

男2「今ひとり?」

男3「だったら、飯でも食べに行かないかい?そこのドンキーでも…」

結衣「え~?ドンキー?」

結衣(ナンパだよね…?ていうかドンキーって…)

結衣(ナンパして誘うようなお店じゃないと思うんだけど…)

結衣「ご、ごめんなさい…ひとりじゃなくて」

男2「え、マジかよ、残念…じゃあせめてメアド交換だけでも…!」

結衣「…」

男3「断られたら諦めろって言ってるだろ…ごめんね、不快な思いさせて」

結衣「あ、いえ…」


男「なにやってんだ!」

結衣「えっ?」

男2「ん、連れ?」

結衣「はい…彼氏…」

男3「そういうことか…」

ドカッ

男3「ぐわっ…!」

結衣「あっ!」

男「平気かっ?結衣っ!」


男2「おまえ…いきなり殴るとか…なに考えて…がっ!」

男「暴漢がなに言ってやがるっ!」

ドカッ ドカッ

男「このっ!しね、しねっ!」


男2「ああ…」

男3「ごほ……!」


結衣「あ…ああ…」


「え、なに?喧嘩~?」

「うそ、まじかよ…!」

男「はあはあ……」

結衣「こ、こっち来て…!」タタタタ


戸部「うわ…」

葉山「結衣と…もう一人は」

戸部「ちょ、隼人くん…あれやばくない~?」

葉山「ああ…」

結衣「はあはあ……」

男「はあはあ…」

結衣「どうしてあんなこと…」


男「君を助けたんじゃないか、結衣」

結衣「ただ、ナンパされただけだよ?あそこまでしなくても…」

男「傍から見たら、絡まれえるように見えた」

結衣「でも、すぐ引き下がったし、そんな悪い人でもなかったし…」

男「君を助けたんじゃないか…」


結衣「で、でもさ…話くらいは聞いた方が…」

男「そんな余裕なかった!大好きな彼女が危険にさらされてたのに…!」

結衣「…!」ビクッ

結衣「えっ……そ、そうなんだ…」


男「それじゃダメかな?俺君のことちゃんと守るよ?」

結衣「あ、う、うん…ありがとう…」

男「結衣…」


結衣(なんだろう……少し、こわい…手が震えてる…)

それから数日経過 学校


三浦「結衣~」

結衣「え、なに優美子?」


三浦「えい」ツン

結衣「ちょ、最近優美子キャラ違う…」


戸部「…ねね、隼人くん~」

葉山「ん、なんだ?」

戸部「前のあれさ…大丈夫なんかな?」

葉山「そうだな…」

葉山「表沙汰になってないのは運がいいな…」

戸部「すぐ逃げたから、特定されてないんかな?」

葉山「あの後も、警察は来なかったし、呼んでないんだろうな誰も」


戸部「ちょ、ヒヤヒヤもんだよ…本当に…」

葉山「あの二人もそのまま起き上がって去っていったし…」


葉山「そもそも、この学校はああいう騒ぎを嫌うだろうしね」


葉山「バレたらまずかったな、彼はもちろん結衣も」

三浦「で、どうなん?あいつとはうまくいってんの?」

結衣「えっと…まあ、そうだね」


三浦「どしたん?結衣…?」

結衣「ん?大丈夫だよ、うまくいってるよっ!」

結衣「ちょっと…嫉妬深いけど…」

三浦「ああ~まあ、嫉妬って結衣のこと愛してるってことだし~」

結衣「うん……」


葉山「結衣…大丈夫かい?」

結衣「えっ?なにが?だ、大丈夫だよ…あははっ!」

結衣「あ~~!やっとヒッキーのこと忘れられそうだよ…!」

三浦「そうそう、いつまでも、悩んでても仕方ないから、他の男に行くのがいいって」

結衣「あはは~~だよね~」

三浦「広い世界出れてるじゃん、結衣」


葉山「…だといいんだが…あれは…」

戸部「隼人くん…」

三浦「ん~~?」

---------------------------------------

それからしばらく経過

奉仕部

結衣「この前もさ~彼、あたしの為に身を張って守ってくれたんだよっ」

雪乃「あら、すごいわね、その彼は」

八幡「肩ぶつかって…因縁がどうたらって…昭和かよ」

結衣「彼、強いからさ~複数人でも勝てるんだっ」

八幡「…」

雪乃「でも、不思議ね。肩が当たるだけで、普通そこまで揉めるもの?」


結衣「それは…あたしに色目使ったのも理由らしいけど…」

八幡「…」

結衣「ヒッキー?」

八幡「危険だな、少し…いくら私服でも、喧嘩とか」

結衣「喧嘩じゃないよ、守ってくれたんだもんっ」

八幡「守ってるか…」

結衣「ヒッキー、自分じゃできないからって、嫉妬してない?」

八幡「してねぇよ…」

八幡「……」クイ

雪乃「……?」


八幡「…」チラ

雪乃「……」


雪乃「今日はこの辺りで終わりましょうか」

結衣「え…でも、まだ時間じゃなくない?」

八幡「あんまり依頼も来ないしな…それがいいだろ」

結衣「え…うん、わかった…」

雪乃「由比ヶ浜さん、髪伸ばしてるの?」

結衣「え…うん、彼がその方が好きみたいで」

雪乃「そう…似合いそうね」

結衣「ありがと、ゆきのん」

八幡「今日って三浦と飯なんだろ?」

結衣「うん、そうだよ」

八幡「なら、安心か」


結衣「なんか言った?」

八幡「いや、なんでも…」


結衣「じゃあ、また明日ねっ」

雪乃「ええ、明日」

八幡「おう」


雪乃「帰りましょうか」

八幡「おう…」

雪乃「なんだか、冴えない表情ね」

雪乃「由比ヶ浜さんに彼氏ができて落ち込んでるのかしら?」

八幡「まあ、少し落ち込んだな…あいつ俺のこと好きだったわけだし」

八幡「まさか、こんなに早く見切りつけられるとは思ってなかった…」


雪乃「え…」

雪乃「ほ、本当なの…それは…」

八幡「いや、冗談だっての…包丁持ち出しそうな顔やめてね?」

雪乃「どうして持ってるのを知ってるの?金属探知機かしら?」

八幡「へ?」

雪乃「冗談よ」

八幡「怖すぎますよ…」

雪乃「あなたの方がひどいわ…私の心をもてあそんで…」

八幡「雪ノ下、嫉妬深いのかよ…」

雪乃「あ、あたりまえでしょう…」

八幡「そうか…」


雪乃「あなたはどうなの?例えば…」

雪乃「私が葉山くんと部室で会っていたとしたら…」


八幡「…」

八幡「すごい嫉妬しますね」

雪乃「…なら、いいのよ」

八幡「その後、雪ノ下のマンションに行くかな」

雪乃「バカね…私と葉山くんなんてありえないわよ」

八幡「わかってるっての」

八幡「ところで…由比ヶ浜だけど」

雪乃「ええ」


八幡「様子がおかしいな」

雪乃「そうね、まず外見が濃くなってるわ」

八幡「化粧変えたのか…」

雪乃「髪も伸ばしているし、彼氏の趣味に合わせてるんでしょうね」


八幡「表情も…なんか変だったな」

雪乃「そうかしら?」

八幡「取り繕ってる感じは変わってない…うまくいってるとはとても思えないぞ」

雪乃「よく見ているわね比企谷君、美人には弱いものね、男は」

八幡「そ、そういうんじゃなくてだな…」

雪乃「知らないわ、全く」

スタバ

結衣「優美子とここ来るのも久しぶりだね~」

三浦「そうだっけ?そうかも」


結衣「それでさ、話ってなにかな?」

三浦「まあ、あいつのことだけど…」


結衣「あ、うん…」

三浦「落ち込んでるし」

結衣「そ、そんなこと……」

三浦「あいつってさ…優しい?」

結衣「え?うん、優しいよ」

三浦「一緒にいて楽しい?」

結衣「うん、ボウリングも歌もうまいしさ…飽きないかな」

三浦「格好いいと思う?」

結衣「うん…守ってくれるしさ…格好いいと思うよ」


三浦「あんたって、そうやってステータスで決める奴だっけ?」

結衣「へ?」

三浦「ま、いいや」

結衣「優美子…?」

三浦「ちょっと噂聞いたんだけどさ」

結衣「うん…」

三浦「あいつ、結構嫉妬深くて有名みたいだね」

結衣「それは…いいことって優美子も言ってたじゃん」


三浦「でもさ、手が出やすいって聞いた」

結衣「…」

三浦「主に相手に…」

結衣「…」

三浦「暴力受けてるとは言わないけどさ…」


結衣「う、受けてなんかないよ…」

三浦「手がアザになってるじゃん」

結衣「……!」

結衣「これは…」

三浦「手、強く握られてることあるんじゃない?」

三浦「そうやって「好き」って言われたり、相手殴ったときの理由話したり…」


結衣「そんなこと……」

三浦「結衣…」

結衣「優美子はさ…隼人くんがいるでしょ…」

三浦「いや、付き合ってないし」

結衣「それでも…あ、あたしさ…今、彼しかいないから…」

三浦「結衣…あんた…」


結衣「彼がいない状態だと…奉仕部に行けないもん…」

三浦「結衣…」

結衣「奉仕部…大好きだったのにさ…その…ほら…」

結衣「あたしが好きだった人とられちゃうしさ…」


三浦「……」

結衣「それで…あたしの前で仲良く……するし…」

三浦「…もう、言わなくてもいいよ」

結衣「だからさ…彼に必要とされるっていうか…仲良くするのは…たのしいんだ」

結衣「ちょっと、気が晴れるし……ヒッキーそれ見て、嫉妬して…」

結衣「ゆきのんとの仲…悪くならないかな…とか考えたり…楽しいよ…」

三浦「あんた…ごめん…その、あんな奴紹介して…」

結衣「別に優美子は悪くないよ…」

三浦「ふう、あ~やっぱり、軽く洗脳みたいになってる」


雪乃「そう…」ガタ

八幡「後は俺がやる…」ガタ


結衣「へっ?…ゆきのん…ヒッキー…!」

八幡「悪い…その…なんていうか…」

雪乃「配慮に欠ける行動は本当に申し訳なく思うわ…由比ヶ浜さん…」


結衣「え…え…?」

~回想~

奉仕部


三浦「依頼したいことあんだけど…」

八幡「なんだよ急に…久しぶりだな」

三浦「だから依頼」

八幡「わかったっての…」

雪乃「どういう内容かしら?」


三浦「結衣のこと」

八幡「由比ヶ浜か」

三浦「結衣が彼氏できて付き合ってるのは知ってると思うけど」


雪乃「そうね、ここで話すことは彼氏のことが多いわ」

三浦「こいつがけっこう問題ある奴で…」

三浦「あーしが、ヒキオ忘れさせる為に紹介したんだけど…」

八幡「睨まないでくれませんか…?」

三浦「とにかく、協力してほしいんよ。多分あーしじゃ無理だから…」


回想終わり

結衣「…」

八幡「…」

雪乃「……」


八幡「えっとな…由比ヶ浜…」

結衣「うん、なに?」

八幡「…その、悪い…振ってしまって」

結衣「それは…仕方ないよ…」

八幡「由比ヶ浜のことは好きだったけど……」

結衣「うん…」

雪乃「…」

八幡「雪ノ下の方がもっと好きだった…」

結衣「…うん、わかってた…」

八幡「だから…俺は雪ノ下を選んだ」

八幡「ただ、それだけ…ほかに何もない…単純なもんだ」

雪乃「比企谷くん…」

結衣「そうだよね、単純だよね…ヒッキーにとっては…」

八幡「聞いてくれ…」


結衣「なに?」

八幡「戻ってきてくれないか?奉仕部に」

結衣「えっ…?」

八幡「頼む…!」


結衣「それ、変だよ……だって…今日も行ってるし…最近はよく行ってる…」

八幡「お前じゃないだろ」

八幡「以前のお前に、戻ってきてほしい…」

八幡「俺が…振る前の由比ヶ浜に…」

結衣「意味わかんないし…」

八幡「表情が違いすぎる…」


結衣「…」

八幡「能面みたいだろ…それに」

八幡「化粧も変わってるし…髪型も違う…お前じゃない」

結衣「なにそれ…自分の好みの格好で来いってこと?…彼氏でもないのに…!」


八幡「……」

結衣「勝手過ぎるよ、そんなの…!」

八幡「そうだな…勝手だ…」

結衣「元々、ヒッキーがあたし振ったのが原因じゃん…」

結衣「その後、いっぱいゆきのんとイチャついてさ…」

結衣「部室でも…!キスしてたのも知ってるんだよ…!?」

八幡「知ってたのか…」

雪乃「……!」


結衣「あんなところに…もう居られないよ…」

雪乃「由比ヶ浜さん…あの…でもあの彼氏は…」

結衣「ゆきのんは、黙って…!あたしから、ヒッキー奪って楽しくしてるんだから…!」

雪乃「……!」

結衣「どうせ、今のあたしが惨めに見えるんでしょ…」

雪乃「そんなことは…」

結衣「彼は、あたしの今の居場所なの…」

八幡「居場所…か」

結衣「好きって言ってくれたし…デートは得意だし…」

結衣「ちょっと問題もあるけど…」

結衣「嫉妬深いのは悪いことじゃないし…」

八幡「……」


結衣「あとは……エッチすれば、きっと…もっと深い絆ができる…」

八幡「…」

三浦「結衣…あんた、あんな奴に…!」

結衣「みんなにも迷惑かからなくなるし」

雪乃「え?」

結衣「…」

八幡「…そうかもな」

結衣「…納得したんだ?」


八幡「まあ、そうだな」

結衣「じゃあ、あたしもう行くね…」ガタ


雪乃「あ…!」


ウィ~~~ン


三浦「…ヒキオ…どういうつもりだし」

八幡「とりあえず話はしただろ、あれ以上彼氏を悪く言っても無駄だよ」

雪乃「では…どうするの…?」


三浦「まさか…ほっとくとか言わないよね?」

八幡「三浦、次の休み彼氏と出かけるんだろ?」

三浦「そうらしいけど」

八幡「場所もわかる?」

三浦「まあ、大体は。いつものところを回るみたいだし」

雪乃「どうするの?」


八幡「強行手段しかないかな」

三浦「強行手段って…まさか…」

雪乃「本気なの?」

八幡「由比ヶ浜の様子もそうだけど…このままじゃ由比ヶ浜自身捕まりかねない」

八幡「もう、時間がないだろ」


三浦「…隼人たち呼んでおく」

八幡「頼む、後は…まあ、目撃者も多いだろうしな…」

そして…次の休み


ショッピングモール


八幡「ここのどこかにいんのかね…」

三浦「おそらくだけど…」

雪乃「どうやって見つけるの?」


三浦「それは簡単」ピッ

プルルルルルル

結衣『はい、優美子?』

三浦「あ~あんさ、遊び行かない?」

結衣『ごめん、前に行ったけど、彼氏とデートだし…』

三浦「どこにいんの?」

結衣『よく行くあのカフェだけど…』

三浦「そっか残念、じゃあまたね~」

ピッ

三浦「2階の端っこ」

八幡「さすがあーしさん」

結衣「ふう」ピッ

男「友達かな?」

結衣「あ、うん…そうだよ」


男「本当に?」

結衣「うん、優美子だし」

男「なら、いいけど…もう出ようか」

結衣「そうだね」


ガ~~~~~~


男「そういえばさ、結衣」

結衣「なに?」

男「奉仕部だけど……」

結衣「奉仕部がどうしたの?」

男「もう行くのやめたらどうかな?」

結衣「ええ?そんな…どうしたの?」


男「辛いだろう?」

結衣「あ…」

男「そんなところ行かなくていいじゃないか」

結衣「それは…あたしが決めることだし…部員だし」

男「…」

結衣「あっ…」

ガシ

結衣「い、痛い…!」

男「まさかとは思うけど…あの男に未練でもあるのか?なあ?」

男「引きこもりみたいな名前してるあの男だよっ」

結衣「いたっ…!…ヒッキーは引きこもりなんかじゃないし…」

男「はあ?引きこもりだろ…あんなモヤシ」

結衣「いくらなんでもひどいよっ!謝って!」


男「結衣…!」グイ

結衣「いた…いたい…!」


八幡「てか、なんだよこのドラマみたいな状況…」

結衣「へ…?ヒッキー!?」

八幡「おう、由比ヶ浜。偶然だな、そいつが彼氏か」

男「お前か、モヤシっ!」

八幡「こんな奴、正反対でもなんでもねぇよ…別人じゃねぇか…一緒にすんなよ…」

男「おいっ」


八幡「とりあえず、由比ヶ浜離せよ、痛がってるじゃん」

男「……」パッ

結衣「いたた…!…ヒッキー…」

八幡「なんか色々悪いな、由比ヶ浜…こんな暴力受けてるとか気づかなかった」

結衣「そんな…」

男「は?暴力?なに言ってんだこいつ?気持ち悪いなっ」

八幡「ただ、俺が言えるのは一つだから…」

八幡「戻ってきてほしいなって」

結衣「ヒッキー…」

八幡「あと、こんなバカな彼氏はお父さん、認めんからなっ」

結衣「お、お父さんって…」

男「おまえさ、立場わかってんの?」

八幡「なにがだよ…?」

男「お前、今から結衣の前でぼこぼこにするからな?」

男「惨めに死ねよ、このモヤシがっ。結衣の目を覚まさせる糧にでもなっとけよ」

八幡「あ~、どうしようか…ここまでとは思わなかった」

男「しねっ!」

バコッ ドカッ

八幡「あが…っ!!」

ドサっ

男「んだよ、軽すぎだろ!なに食ってんだよ!」ドカドカ

八幡(やば……!死ぬ…マジで…予定まで行くまでに…!)

結衣「ヒッキー!」

男「座ってろ!」

結衣「…!」ビクビク

男「いい子だな、結衣」

八幡「そうやって、罵倒でも支配してんのか…」

男「なんだよ?当たり前だろ、俺は、結衣愛してるからな?」


八幡(そんなもん愛じゃねえ!って叫びたいけど…痛すぎる…折れてるかも…)

八幡「由比ヶ浜…」

結衣「ヒッキー…」

八幡「言え…言って…」

結衣「え…?え…?」

男「あ?なに言ってんの?こいつ」

八幡「言ってくれ…」


結衣「ヒッキー……戻りたいよ…あたし…!」

八幡「…」ニヤ

男「あ?結衣が戻るところは、俺だろ?」

男「あんな部活に戻って何になるんだよ」


八幡(さて…やるか…いけるかな…痛すぎる…)


八幡「………」ボソボソボソ

男「ボソボソ何言ってんだ?気持ち悪いな…?」

八幡「…」グス ボソボソ」

男「うわ…こいつ泣いてるじゃねぇか…気持ちわり…」

結衣「ヒッキー…?」

男「結衣もこんな、泣く男の何がいいんだよ…」


八幡「ボソボソ」


男「聞こえねえっての…なんて言ってんだ?あ?」グイ

男「おら、もう一回言ってみろよ…お?」


ドンッ


男「あ……か……!」

八幡「首が開いてるぜって言ったんだよ…」

男「あ……かは……!!」ドサッ

八幡(喉笛に思いっきり打撃と…息できなくなりますね、はい)

八幡「えっと、あとは…怒りをかかとに集中させてと…」


結衣「ヒッキー…あ…」


八幡「あと、お前クビだわ…学校も…」

男「あ…か…!?」

ボギャ

戸部「うわ~~~!痛そう…」

葉山「喉笛はきついな…あそこは体格差を逆転できる場所だ」

葉山「さらにかかとでの踏みつけ…これをされたらひとたまりもない」


戸部「でも、回数多くね?」

葉山「切れてるな比企谷、多分顔に出さないタイプだ。相手が死にかねない、止めに行こうか」


ダダダダダ


ドカドカドカドカドカッ

八幡「…」

男「ぎゃ…ぎゃあ…!待って…!」

葉山「そこまでだ、比企谷…!」ガシ

八幡「葉山…ゲホ」

葉山「君もボロボロだな…これ以上はマズイ…やめるんだ」

八幡「……」

葉山「君の計算通りになった、目撃者も多い、もう十分だろ?」

八幡「あと任せていいか……思った以上に…殴られた…」


葉山「そこ計算違いだったんだな。任せてくれ」

結衣「……」


戸部「隼人くん、優美子から…」

葉山「なんて?」

戸部「もう、警察呼ばれてるみたいだわ」

葉山「まあ、大丈夫だとは思うけど…」


八幡「…由比ヶ浜…」

結衣「ひ、ヒッキー……!」

すいません、ちょっと時間置きます

八幡「すまん、格好悪かったな…勝てなかったし」

結衣「か、格好よかったし❗最高だったし」

八幡「そんな必死になんなよ…」

結衣「だ、だってさ…だって…だって…」

八幡「由比ヶ浜」

結衣「え…」

八幡「戻ってきてくれるか?」

結衣「ひ、ヒッキー…❗」ポロポロ

結衣「う、うぐ…」ポロポロ

八幡「…そんな大泣きすんなよ…格好悪いぞ」

結衣「…ご、ごめんね…ごめんなさい…❗」ポロポロ

八幡「いや…悪いのこっちだしね…」

結衣「そんなことないよー…うぐ…あ、あたしが…」

八幡「ま、誰が悪いかなんていいんじゃね…」

八幡(終わりよければ全て良し…偉い人の言葉だしな)

三浦「あんな表情のヒキオ、初めて見た…」

雪乃「私もよ」

三浦「へー、結衣のこと大切に思ってるんじゃない?」

雪乃「そ、そうね…いいことじゃない…」

三浦「雪ノ下さんのそんな表情も初めて見た」

雪乃「うう…」

ーーーーーーーーーーーー

八幡(それからしばらくして…)

八幡(警察介入で俺もあいつも病院送りになった)

八幡(俺は肋骨骨折、相手は鼻の骨が骨折、打撲多数)

八幡(まあ、正当防衛で、こっちは完全に被害者で終わった)


八幡(あの男は傷害等で罪に問われ…当然退学)

八幡(俺たちは…オトガメが凄かった…平塚姐さんの、おっと先生の)

八幡(色々聞かれた…あの事件の経緯や由比ヶ浜のこと)

八幡(さらに部室で、雪ノ下と淫行してないかとか…)

八幡(気持ちはわかるけど、先生。最後の関係ないよね?)

八幡(由比ヶ浜のこと…特にあの男が他の人間に暴力を振るった現場にいたことは黙秘した)


八幡(警察来ない事件だし、平気だよな、多分)

八幡(色々聞かれた…あの事件の経緯や由比ヶ浜のこと)

八幡(さらに部室で、雪ノ下と淫行してないかとか…)

八幡(気持ちはわかるけど、先生。最後の関係ないよね?)

八幡(由比ヶ浜のこと…特にあの男が他の人間に暴力を振るった現場にいたことは黙秘した)


八幡(警察来ない事件だし、平気だよな、多分)

八幡(協力者の葉山と戸部にはお礼を言って)

八幡(あーしさんからはお礼を言われた)

八幡(ちょっと怖かったけど、依頼達成したし、よしとしよう)

八幡(それから…)


雪乃「さて、勉強をしましょうか」

八幡「そうだな…ゴタゴタがあったし…」

結衣「なんだか…久しぶりな気がする…」

八幡「毎日来てたのにな」

結衣「でもさ、こんなに落ちついて来れたのは…久しぶり」

八幡「そうか…」

結衣「うん…」

雪乃「それで考えたのだけど、由比ヶ浜さん」

結衣「え?なにを?」


雪乃「奉仕部では極力自重することにしたわ」

八幡「できる限り、お前に心労かけないように配慮して…」

結衣「あ~違うよヒッキー、ゆきのん」

雪乃「え?」

八幡「なにが?」

結衣「直接的なイチャイチャだけじゃないの」

結衣「二人の何気ない会話、そこにデートのことが入ってる」

結衣「紅茶を渡す時の優しいしぐさ…二人だけの目配せ、全部だよ」

結衣「それ全部自重できる?」


八幡「む、難しいな…」

雪乃「た、確かに難しいわ…」

結衣「だよね?だから、気にしないで?」

結衣「いつも通りの3人じゃないと意味ないよね?」

結衣「あたしはその為に戻ってきたんだよ?」

八幡「由比ヶ浜…」

雪乃「由比ヶ浜さん…」

八幡「でも由比ヶ浜…大丈夫か?」

結衣「ん~ヒッキーは心配性だから、彼氏作ろうかな?」

八幡「マジか」

結衣「絶対優美子から紹介してもらわないけど…」

雪乃「その方がいいわね」

結衣「うんっ」

雪乃「それじゃあ数学から始めましょうか」

八幡「いきなりか……」

雪乃「ええ」

八幡「肋骨が痛むな…痛む痛む」

結衣「あ、そうだ❗大丈夫なの?」

八幡「痛む痛む」

雪乃「なにを言ってるの、良好って聞いたわよ」

八幡「ちっ」

結衣「な~んだ」

雪乃「馬鹿なこと言ってないで始めるわよ」

八幡「はいはい」

結衣「は~い、あ、そうだヒッキー」

八幡「なに?」

結衣「あたしまだ処女だからね」

八幡「な、なに言い出すんだよ急に…」

結衣「ヒッキー、顔真っ赤だよ❗」

雪乃「比企谷くん…なにを動揺しているの?」

八幡「絶対違うだろ…わかるだろ」

雪乃「全く…私のマンションでゆっくり聞く必要があるわね」

結衣「むむ…ゆきのん」

雪乃「どうかしたの?」

結衣「べっつに」

八幡(戻ってきた奉仕部の日常…か)

八幡(完全に戻ったかはおいといて…)

八幡(もう壊したくないな…今ならそう思える)

八幡(俺ってこんな臭いやつだっけ?)

雪乃「比企谷くん」

結衣「ヒッキー」

八幡「おう」


おしまい

終わりました、ありがとうございましたー

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年10月27日 (火) 13:06:00   ID: 6IyAQExQ

続き、待ってます

2 :  SS好きの774さん   2015年10月31日 (土) 22:46:22   ID: Ipe-RFnW

面白いです。続きお願いします

3 :  SS好きの774さん   2015年11月04日 (水) 00:02:25   ID: NxMwb-AY

お疲れ様でした

4 :  SS好きの774さん   2016年01月04日 (月) 16:10:26   ID: vx-vr3sr

いいね(*´∀`*)

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