八幡「学内裁判?」 (146)

注意書き
・初めてなので文章にかなりつたい部分がございます

・原作未読でアニメのみです、
また物語が裁判という形なので都合上ある程度、設定を変えてあるところがございます。

それでも良いという方は見てみてください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445791021

12月上旬 奉仕部部室

修学旅行のあの出来事以来奉仕部はギクシャクしてしまっていた。あのときの俺はあの手段での解決が誰も傷つかないと信じていた。だが由比ヶ浜の気遣う視線や雪ノ下のあのセリフがずっと心に残っている。
うまく言葉に出来ないがモヤモヤしたものが渦巻いている、それはあいつらも一緒のようでその空気が今の部室の息苦しさを作っていた。
今日は誰も一度も挨拶以外で口を開いていなかった。

陽乃「やっはろー」

雪乃「ね、姉さん……何のようかしら…」

突然の訪問者が雪ノ下に挨拶以外で口を開かせた。てかこの人いつも厄介事しか運んでこないんだよなぁ

陽乃「なぁにぃ~比企谷君?お姉さんが来たからって嬉しそうな顔しちゃって」

八幡「ども(してねーよ)」

陽乃「んもぅ、そっけないんだから~ヶ浜ちゃんもやっはろー」

由比ヶ浜「こ、こんにちは…」

雪乃「姉さん、何の用なの?」

陽乃「雪乃ちゃん的には何となく遊びに来ちゃダメなのかな~?」

雪乃「姉さんは部外者なのだから当然でしょう」

陽乃「部外者なんてひどーい、でも今回はそうも言ってられないよ?そろそろ…」

雪ノ下さんがそういいかけるといきなり部室に平塚先生が入ってきた。
この人もいつも厄介事運んでくんだよなぁ

静「諸君、全員いるかね?」

雪乃「先生、ですからノックを…」

静「すまん、急ぎなんだ…これを…ん?陽乃来てたのか…」

陽乃「やっはろー静ちゃん」

静「こいつらに話がある。すまないが外してくれないか?」

陽乃「やーん、仲間外れなんて悲しいなぁ…でも静ちゃんの話ってこれじゃないのかなー?」

雪ノ下さんが一枚の封筒を鞄から取り出した。なんだ?全然話が見えてこないんだが?八幡困っちゃう

静「なっ…お前のとこにもきていたのか…中身は…」

陽乃「そうだよ、告発状だよ」

被せるように雪ノ下さんが言った。ん?告発状?絶対厄介事じゃねーか…

静「そうか、なら仕方がない…実は今日ある告発状が奉仕部当てに届いた」

陽乃「静ちゃん中身見せた方が早いよ~」

静「うむ、それもそうだな…君たち これを見てくれたまえ」

そう言いながら平塚先生は白い封筒を差し出してきた。奉仕部メンバーも身を寄せ会う…何こいつら良い匂いすんだけど…

由比ヶ浜「ヒッキーなんかイヤらしい…」

雪乃「最低ね」

八幡「う、うるせ…いいから告発状を見ようぜ」

告発状には…ん?やけに文字が直線だな…定規文字か?書いてる内容は…

『学祭の実行委員長をしていた相模南は予算をごまかして自分の物にしている

事実を明らかにし彼女を公の場で謝罪させろ』

陽乃「これとおんなじ物がお姉さんの所に届いたの」

雪乃「先生これは…」

静「あぁ、たぶんデマカセだ。誰かがイタズラ目的で書いたものだろう…だが万が一と言う事もある、奉仕部も学祭には大いに関与していたし、雪ノ下、君が実質予算を管理していた様な物だ。だから……」

雪乃「はい、そんなことはありえません…自由に出来る予算もほとんどありませんでしたし…それに…」

雪ノ下は続きを言わなかったが相模南に雪ノ下や他の委員の目を盗んで予算を誤魔化すのは無理だろう。
だが問題はどこの誰かがこんなものを送ってきたのかだ

八幡「雪ノ下さん、何でこれがあなたのもとに届くんですか?心当たりは?」

陽乃「ないねぇ~…でも強いて言うならその場にいた唯一の部外者だからじゃないかな?」

由比ヶ浜「んん?つまりどういう事?陽乃さんが部外者だとどうなるの?ヒッキー」

アホの子由比ヶ浜には理解できないらしい。それはな…

静「おそらく…隠蔽…無かったことにされないようにと言うことかもしれん…」

ここで一つの疑問が新たに沸く、当事者なら誰にでもデマカセと分かるような告発状を何故わざわざ送ってきたのか

静「今日私がここに来た理由はこれの調査を依頼するためだ…本来なら私がするべきだが学祭の仕切りは実質君達がしていたようなものだしその方が早いと思ったからだ。その上でこれをどうするかをじっくり判断したい…」

なるほどな、これでようやく合点がいった……ってやっぱり厄介事じゃねーか

陽乃「静ちゃーん そんな悠長な事も言ってられないと思うけどなぁ…だってこれが届いたのは私たちだけとは限らないし…それに…」

私が隠蔽なんてさせないから と彼女は言った

静「何?…どういう事だ?」

陽乃「どういう事って言葉通りの意味だよ 私は事実にしろデマカセにしろ明らかにするべきだと思うなぁ」

静「だから内部調査でそれをするといっているだろう」

陽乃「公の場でだよ、静ちゃん」

あの後雪ノ下さんは色々やることがあるからと早々に帰っていった。公の場で明らかにするという言葉に平塚先生は不安そうな顔で思案していたが俺達の前ではなにも言わず、後で資料を持ってくると去っていった。
調査の結果、やはりおおまかの数字の辻褄は合っていた。一部生徒の伝票の切り忘れなどで不透明な部分はあったが誤差の範囲だった。

数日後 教室

これから先生あの告発状をどうするのかと言う不安はあったが俺はいつもと何も変わらず登校していた

戸塚「おはよう!八幡!」

八幡「おはようマイエンジェル(おはよ戸塚)」

戸塚「もう八幡!そんなこと言わないでよ」

逆ゥ!俺、心と台詞が逆ゥ!と自分で自分にツッコミをいれてると教室の空気がいつもと違うのに気付いた
何かそわそわしているような、面白がっているような空気だ…あれ?この空気俺が好きな女子に告白したのがみんなにバレてた時に似てるな…

八幡「今日なにかあったのか?」

戸塚「え?八幡知らないの?……でも…」

なんだ?なんだ?俺のマイエンジェルが不安がっている……その不安俺がぶっ飛ばしてやる…喧嘩 カブトムシより弱いけど…

戸塚「噂がたってるんだよ…」

八幡「噂?」

戸塚「相模さんが予算を誤魔化していたって…」


雪ノ下さんの言う通り告発状は複数枚あった、いや数十枚あった。
学祭の委員全員に届けられていたといった方が正解か…平塚先生にそいつら全員に口止めは無理だろう、噂はあっという間に飛び火を繰り返し今や学校中に知れわたる事となった。
ゆっくりと判断を下す暇は無かったのだ…相模南は噂や後ろ口に耐えきれる忍耐はなかった。彼女は不登校になっていた…って俺ボッチだから誰も教えてくれなかった…

奉仕部 部室

八幡「雪ノ下、由比ヶ浜、お前ら知ってたのか?」

由比ヶ浜「うん、薄々は……ってかヒッキー!私たちさがみんと同じクラスじゃんっ!」

雪乃「同じクラスでも教えてくれる人がいないんじゃないかしら」

八幡「うるせーよ マイエンジェルが教えてくれたんだよ」


八幡「それよりも雪ノ下、お前の姉さんの言う通りになっちまったな」

雪乃「そうね、姉さんが何かすると思ったけどそれよりもすぐに噂が広がったみたいね」

由比ヶ浜「先生これからどうするつもりなんだろ…さがみんも学校にこなくなっちゃったし…」

告発状もあるしなと……実際問題かなり大事になりすぎてしまっている…このままだとほんとにヤバイ事になる…

陽乃「やっはろー!みんな揃ってるー?」

何でこの人はこんなに元気に入ってこれるんですかねぇ(困惑)
おっと平塚先生も一緒か…

静「諸君、せっかく調べてくれたのにすまない…」

由比ヶ浜「先生……」

雪乃「仕方ないでしょう、あそこまで告発状が多いかったのでは…」

陽乃「仕方なくなんてないよ雪乃ちゃん」

小さな子供が間違えたことを言ってしまってそれを直すかの如く優しい笑みをたたえて彼女は笑った
まぁこういうときにこの人がこういう笑顔するってことは何か企んでるだけどな

陽乃「あの時に私は充分そういう可能性があったのは示唆したし、それに悠長な対応したのは静ちゃんだよ」

詭弁だな、いくら平塚先生が優秀な先生だったとしてもあそこまでの告発状を防ぎ、デマカセであることを公表する場をすぐに用意するのは無理だろう
平塚先生もそれを言えばいいのに責任感からか黙っている

八幡「最初から炎上させることが目的で仕掛けたのかもしれないですね…告発者は」

陽乃「おー!やっるー!比企谷君!相変わらず鋭いね~お姉さんもそう思ってた所だよ…」

だけどと彼女は言う

陽乃「ここまで燃え上がったら学外に広がるのも時間の問題だね~誰かが火消しをしないと大変な事になるかもよ~」

面白いオモチャを見付けた子供のように無邪気に笑う
やっぱりこの人は好きになれない

雪乃「姉さん、ここに来たってことは理由が有るのでしょう?」

陽乃「ピンポーン!雪乃ちゃん大正解!実はグッドアイデアを持ってきたんだよねー」

陽乃「学内裁判を開くの」

陽乃「学内裁判を開いて傍聴人がいる前で無実を証明するの。そうすれば公の場で無実ってことがわかるし根も葉もない噂ってことで一件落着!」

この人は簡単そうに言うけど誰が相模南の無実を証明するというのだ
第一、学校側がそんなこと認めないだろう

静「駄目だ、もし仮に証明出来なかったり傍聴人が納得しなければ相模が晒し者になってしまう リスクが有りすぎる」

ほらな、思った通りだ

陽乃「静ちゃんは学内裁判を開くしかないと思うけどなー」

静「何?どういう事だ?」

陽乃「私知ってるんだよねー これが静ちゃんの責任だって事」

雪乃「それは違うわ姉さん、先生は出来る限りの対処はしていたわ」

陽乃「黙りなさい雪乃ちゃん?静ちゃんはねー本来ならば学祭のときに相模南を監督するべきだったんだよ」

由比ヶ浜と傍観を決め込むしかなかった俺だがこの時に充分に危険な空気を感知していた…やっぱりロクなこと企んでなかったしなこの人…

陽乃「相模南が実行委員長にも関わらず遊び呆けてる時に静ちゃんは本気で注意するべきだったんだよ、それをしなかったばかりに私の可愛い妹である雪乃ちゃんは寝込んじゃうし」

雪乃「それは私が勝手に…」

陽乃「黙りなさい、もちろん相模南がそういう人物って事を生活指導担当だから把握してるはずだよね それに…彼女が学祭の途中に自分の責務を投げ出して逃げたときも追いかけることはしなかったよね?」

雪ノ下陽乃の猛威はまだ終わらない

陽乃「その時解決してくれたのは比企谷君だよね?でもやり方を間違えた 彼は高校生だから間違いもするでしょう…それが原因で、自分でしたことと言えばそれまでだけど彼が嫌われ者になったとき静ちゃんはどうしてたの?」

陽乃「まさか本人に優しい言葉をかけて終わりじゃないよねー?みんなに誤解を解いてまわってあげた?これはね…問題が浮き上がってないだけで大変なことだよ」

平塚先生の表情は下を向いていて良く分からない…由比ヶ浜は不安そうにキョロキョロしている

陽乃「比企谷君が不登校になったり自殺したらその時は誰の責任になったんだろうね?…」

もう見てられねぇ、そろそろ助け船を出すか

八幡「勝手に人を死人にするのは止めてください」

陽乃「ふふ ごめんねー、もし裁判を開かなければこの事も大いに問題になっちゃうことを知ってて欲しかったんだよ」

問題になっちゃう?あんたがするんだろうが!
それにどうしてここまで裁判を開きたがる?十中八九 裏があるんだろうが…

陽乃「静ちゃん分かった?学校側に話通してくれるよね?」

そこにいつもの頼もしい平塚教諭の姿は無かった
先生は自分が脅されてるのに本当に申し訳なさそうに俺たちを見ていた
そんな表情は止めてくださいよ…

雪乃「姉さん、誰が無実を証明するの?…裁判だから…そうね…検事役と弁護人役は?」

陽乃「あはは!そんなの決まってるじゃん!君達だよ」

ここで俺達に爆弾がまわってきた
しかし彼女の勢いまだまだ終わらなかった

陽乃「まぁ正確には雪乃ちゃんが検事で比企谷君が弁護人かなー」

八幡「俺がそんな面倒なことすると思いますか?雪ノ下さん」

雪乃「私も奉仕部部長としてそんなこと了承するわけにはいきません」

陽乃「そう言うと思った!ほんと思った通りの事しか言わないんだから雪乃ちゃんはー」

陽乃「雪乃ちゃんは実行委員長に判をもらって渡した資料をその後そっくりそのまま入れ替えられたとかおもわないのかなぁー?」

領収書があるからもちろん違うことはわかる、それに相模に雪ノ下を出し抜けるわけがないその旨を雪ノ下さんに言う

陽乃「領収書を水増ししたかも知れないしそれに雪乃ちゃん自身が杜撰な仕事をしたかも知れないよ?倒れたんでしょう?」

痛いところをねちねち攻める天才だなこの人は

陽乃「お姉さんは優しいから雪乃ちゃんにちゃんとした理由をあげちゃうね! あの時の借りを返しなさい」

雪ノ下は姉との確執がある、そしておそらくこのままこの話に乗らざるを得なくなるだろう

陽乃「学内裁判の検事役として出て無実を証明しなさい
まさかあの時の借りは無かったことにしないよね?」

暗にそれは自身の正しさを証明して見せろということが含まれていた
これで雪ノ下雪乃は降りれなくなってしまった

八幡「雪ノ下さん、妹さんは良いとしてどうやって俺を法廷に立たせるつもりですか?」

陽乃「むしろ立たなくて良いのかな?比企谷君?君はいつも奉仕部の案件を解決に導いて来たんだよね?やり方は誉められたものじゃないけどね…あっ!お姉さんは面白いと思ってるからね!」

それでフォローのつもりなんですかねぇ

八幡「話がよく見えないんですけど?」

陽乃「雪乃ちゃんもガ浜ちゃんも君のやり方には否定的だよね…自分達は何も出来ないくせに…比企谷君も自分の正しさを証明してみたくない?」

そんな安い挑発に誰が乗るか…俺と言いつつ俺が嫌がるのをわかっててさりげなくこいつらを攻撃する

勢いで投稿しているがこんなんでいいんだろうか?酷評でもリアクションあればありがたいんでお願いします

陽乃「お姉さん知ってるんだよ~?勝負してるんだよね?雪乃ちゃんと」

雪ノ下が驚いた顔でこっちを見る…しゃべってねーよ俺は!

八幡「だから…俺に立てと?…立ちませんよ」

雪乃「いえ、立ちなさい比企谷君」

八幡「あぁだから立たねーって……今なんていった?」

雪乃「目だけじゃなくて物わかりも悪いのね、立ちなさいと言ったのよ比企谷君」

八幡「勝負なんて関係なくそんな面倒なことしたくねーよ」

陽乃「奉仕部で立たなければ学祭の中心部で大いに関与があった君達はどうなるのかなー?まだそういう噂はないようだけどいつか出てくるかもねー」

この悪魔は噂をたてるつもりなのだ
例えば相模と奉仕部はグルと言えば雪ノ下と相模はお互いに金を分けたとなるし俺と相模のいざこざはそうだな…狂言ともなるかもしれない
俺達が相模南のいや…俺達自身の無実を早急に証明し知らしめなければ今度の被害者はおれだけではすまなくなる
奉仕部の命運はこいつの手のひらだ

八幡「出ますよ……」

陽乃「それも言うと思ってたよ比企谷君」

次の日 奉仕部 部室

あの魔王の策略で学内裁判は決行されることになった。学校には内容を伏せて学内活動の一つとして平塚先生が通したことがその日の朝に本人から俺達に知らされた
そして例の魔王は今日も奉仕部に来ていた

陽乃「それじゃあ裁判の細かいルールを発表していくねー!」

レクリエーションでもしてるつもりなのか実に楽しんでいる
いつか痛い目を見てもらいたい…

陽乃「まず判事は私!君達の勝負も私が見届けてあげるからね~」

八幡「判事と検事が肉親だなんて決議に偏りが出来ませんか?(味方なんてするわけないんだろうけどな)」

陽乃「そんなことないって分かってるのに聞くなんて君も疑り深いね~まぁ傍聴人もいるしねーその程度は解決済みだよ」

陽乃「まず傍聴人は告発状の届いた他の委員全員と学祭に中心で関与があった者…みんな興味津々だからすぐいっぱいになると思うけどね~」

陽乃「そして判事は裁判の仕切りだけ、決議の判断は陪審員の人にしてもらいまーす」

>>17
しまった文字抜けてしまった
正。おもしろいよ!はるのんがいい感じ!八陽になるとうれしいな

八幡「ギャラリーはともかく納得のいく陪審員がすぐ集まるとは思いませんが…」

陽乃「残念~それがもういるんだよねぇ~入ってきてー!」

そう言うと奉仕部の部室に三人入ってきた。葉山隼人、城廻めぐり、川なんとかさん
どういう組み合わせだ?

雪乃「一応理由を聞こうかしら」

陽乃「隼人は部外者という立場で君達を見ていたからだよ、そして被告の相模、弁護人とクラスメイト…当時の状況をよく知っているしどんな人物かも知っている」

葉山「よろしく、ヒキタニ君に雪ノ下さん」

陽乃「めぐりは関係者で同じく君達を見ていたから、その上当時の生徒会長だから…んーまぁ文字通り生徒の代表かな」

雪乃「待って姉さん、城廻さんは比企谷君に対して良い印象を持っていないわまぁ彼が大抵の人に持たれてないけど」

なんで俺まで爆撃リベレートされんの?辛すぎて泣けるんだけど?帰ってプリキュア見て癒されなきゃ

陽乃「誤解は解いたからね~いちいち説明してあげて」

めぐり「ごめんね、比企谷君…はるさんから色々聞いて当時の事が分かったの」

八幡「いえ、慣れてますんで。けど雪ノ下さん、二人とも判事の知り合いじゃないですか息がかかってないとは言い切れませんよね?」

陽乃「だから完璧な部外者の川崎さんがいるじゃない?今回の裁判は陪審員が一人でも反対すれば決議のやり直しだよ~安心した?」

八幡「わかりました。川崎、お前なんで?」

川崎「あんたには色々世話になったから けどその事で決議は左右しないから」

陽乃「うん!頼もしいね!お姉さん感心感心」

両人文句がなければこれで決定しますと
笑顔で言った
ちょっと準備が良すぎやしませんかねぇ

由比ヶ浜「あの…私はどうすれば……」

陽乃「あぁいたんだガ浜ちゃん!」

うちのアホの子をいじめるのは見過ごせないぞ!主に部長が

雪乃「ちょっと姉さん」

陽乃「そうだ!検事の助手って事で!」

八幡「ちょっと待ってください!そこからまず偏ってるじゃないですか!(由比ヶ浜が大した戦力になるとは思えんが)」

陽乃「この二人は君のやり方の否定派だから、それに事あるたびにボッチを誇りに思ってる君らしくもないねー?」

八幡「なら良いです、けどここから後にに助手をつけるのはアリですか?」

陽乃「出来たらね(笑) あと勝負はどちらが先に裁判で相模さんを無実を証明出来るか」

陽乃「お互いに障害は設けてあるよ
、雪乃ちゃん検事だから自分の仕事を全面に出して証明するのは出来ない。比企谷君は相模さんと仲良くないことかな」

最悪だろうか、どう弁護するかもまとまるかどうか…いやそもそもまず相模南は法廷に立てるのだろうか?

八幡「相模は法廷に立つんですか?知らないかもしれませんが彼女は今学校に……」

陽乃「あはは!もちろん知ってるよ、これは様々な奉仕部案件を解決してきた有能な比企谷君へのハンデかな
もちろん、立たなくても裁判はするよ?被告人不在は不利だよね」

>>19 ありがとう!


三艇身リードどころの騒ぎじゃないんですが、それは

雪乃「姉さんそれはこちらが有利すぎるわ!」

陽乃「これで負けたら恥だね雪乃ちゃん」

雪乃「なっ……」

八幡「もういい雪ノ下、俺はこの条件を飲む」

この人に意見すればどんな噂を立てられるかどうか分からない、下手な刺激は避けたい。それに雪ノ下に先に無実を証明させれば事は済む、罰ゲーム緩いのにしてくれよ?雪ノ下
すると突然、雪ノ下さんが顔を寄せてきた
ん?何?て、照れるんですけど?

陽乃「わざと負けたり…いや君が勝たなければ奉仕部に不利な噂を流すよ」ボソッ

この糞女…どこまで腐ってやがる…
負けるわけにはいかなくなった
逃げ道も潰された

由比ヶ浜「何々?なんなの?ヒッキー」

八幡「なんでもねーよ(ただの大ピンチだよ)」

陽乃「学内でする特別な裁判だから臨機応変にしたいんだよねーだから何かあればその度に弁護側検事側判事で相談して決めます…良いよね?」

雪乃「分かったわ…」

八幡「はい」

陽乃「物証は調書をまとめてその都度提出しなさい、証人は誰がくるか何人いるかを裁判が始まる前にお互いに明らかにすること…ここは公平にね」

八幡「裁判はいつからですか?」

陽乃「再来週、だからお互いに冬休み前の授業の短縮期間のこの一週間に準備して冬休みの最初の三日で決めます、決まらなければ予備日として二日設けています」

げげっ!冬休みの貴重な三日間が……雪ノ下さん冬休みの方が休み短いの知ってるでしょう?

陽乃「はいそこ嫌な顔しなーい!んーとまぁとりあえずこれで解散!」

比企谷家

絶望的に面倒なことになった
奉仕部の命運は俺が勝つことにかかっている…しかも倒すべき相手は奉仕部メンバーのあいつら…いやそれよりもまず被告人さえ立ってない法廷で俺に何が出来る?今回は自分を犠牲にしても乗り切れないことだけは漠然として分かっていた…
ダメだ!考えがまとまらない…修学旅行の後のこれで俺達には誤魔化せないほどのヒビが……

小町「お兄ちゃーん!どうしたの?いつもより目が死んでるよ?」

八幡「あぁ小町か…いや何でもない…」

小町「何でも無いことないでしょ?小町は大好きなお兄ちゃんが心配なんだよ!あっ!今の小町的にポイント高い!」

八幡「……」

小町「……本当に何かあったの?」

俺は最近あった事を小町に全部話してしまった
自分だけじゃ抱えきれなかったのかもしれない、傷付くのが自分だけなら話さなかったも知れない
俺は怖かった、二人がどうなるのか
謂われもない噂にさらされてきてどんな扱いを受けるか
噂に振り回されてきた自分には痛いほど良く分かる

小町「きっと…二人はずっとその気持ちだったんだよ…」

八幡「…」

小町「二人だけじゃないよ…もちろん小町も…お兄ちゃんがどんどん自分に不利なことをする度に不安になってた」

八幡「すまん…」

小町「もういい加減に自覚してよ!小町は怒ってるんだからね!お兄ちゃんにはもうボッチっ言い続けるのは無理だよ!…お兄ちゃんのこと心配する人はもう他には居なかったの?」

八幡「…」

小町「昔と違ってどんなことになってもお兄ちゃんを信じて味方してくれる人はいるはずだよ…たまにはカッコいいとこ見せてよねお兄ちゃん」

八幡「ありがとな小町…」

俺もいい加減変わってみるか……他人のための非生産的な自己犠牲じゃなくてもっと他の何か…他ならぬあいつらのためにも自分自身のためにも…
戦ってみるか…

翌日 奉仕部

雪乃「しばらくは部活はお休みにします」

由比ヶ浜「うん…」

八幡「あぁ……あと奉仕部の部室はお前らが使え、俺は平塚先生に空き教室を使っていいと許可を貰ってきた」

雪乃「えらく準備が良いのね」

八幡「お前の姉さんほどじゃねーよ、これから俺達は敵同士になる…だが…」

由比ヶ浜「もう!ヒッキー!そんなこと言わなくても!分かってるよ」

雪乃「ええ、また三人で…」

八幡「あぁ……じゃあ俺いくわ、待たせてる天使がいるんでね」

由比ヶ浜「ヒッキーきもーい!」

雪乃「相変わらずね」クスッ

修学旅行からはじめていつもの空気に戻った気がした

教室

八幡「お前らにどうしても頼みたいことがある!」

戸塚「何?八幡 僕に出来ることなら」

材木座「うむ!この剣豪将軍にできぬ…」

八幡「材木座うるさい」

材木座「…」

俺はこの二人に今までの経緯を話した。
理由は伏せたが絶対に勝たなければならないことも

八幡「頼む…一人じゃ絶対に勝てない…力を貸してくれ…」

戸塚「はじめて八幡から頼ってもらえたきがする……ふふ何だか嬉しいや!なら僕は弁護人助手だね!」

八幡「ありがとう戸塚(やっぱ天使……)」

材木座「八幡やらせてください」

八幡「材木座もありがとな、お前には裁判に提出する調所を作ってもらいたい。何だかんだ最初の頃より文章書けるようになってきてるからな」

材木座「承ったっ!」

さて仲間は揃った…あとはとりあえず被告人に話をつけにいくか……

短縮授業中なのでいつもより早く学校を出ることになった俺と天使は早速相模宅に行くことにした。ちなみに住所は平塚先生が教えてくれた、プライバシーの問題もあるが彼女にはもうそのことを考える余裕すら難しいようだった。
いつもカッコよくて勇ましかっただけにその姿を見ていられなくて俺はすぐに俺達に当てられた教室から出てしまった。
材木座はそこで平塚先生から渡された資料を参考に調書の書き方を勉強するように頼んだ……まぁぶっちゃけ俺だけでもお腹いっぱいなのに相模にこれ以上の……なんでもない……頼んだぞ材木座!


相模宅

戸塚「それじゃあ押すよ?八幡」

八幡「あぁ、頼む」

ピンポーン

相模母「はーい、あら貴方たち総武高の?」

戸塚「はい、お休みしている南さんにプリントを届けに来ました。今南さんにお会いすることは出来ますか?」

弁護人の俺がなぜ一言も口を聞かないか?言わなくてもわかるな?…ツッコミが居ないと自虐も痛いな…

相模母「それがもうずっと部屋から出てこなくて…貴方たち何か理由を知らないかしら?先生方に聞いても濁されるばかりで……」

どうやらまだなぜ自分の娘が引きこもってるいるか知らないらしい…だがこの先生達のその場しのぎも時間の問題だろう。時間が立てばたつほど問題は取り返しがつかなくなる…

相模母「それに……あの子にお客さんが来たのは今日が初めてなの、学校で友達とケンカしちゃったのかしら?…」

戸塚「え、あ、……」

戸塚は実際の問題を知っているからこそ言葉に詰まってしまった。天使のような慈愛に満ちた心だからこそ相模の友人が…取り巻きか?が一回も来ていないこと、親が何も知らずにこどもの心配しているさまに戸惑ってしまった

八幡「実は俺達は学校で生徒の学園生活を円滑に進めるべくそのお手伝いを部活動としてさせてもらっています!南さんとお話しすることで何か分かることがあるかもしれません…任せてもらえませんか?」

無愛想で卑屈を自負する俺らしくない発言に自分が一番ビックリした…
え?誰だ?俺か?これ?

相模母「あら、そうなの……お願いしてみようかしら」

一瞬、逡巡するような表情を見せたが特に考えることもなくOKを出した。この適当な感じ…文化祭での相模を思い出した、自分では何も考えずあっさり他人の意見に従う…人任せにする……
血は薄めることは出来ないな

戸塚「ビックリしたよ!あんなにペラペラ喋る八幡初めて見た気がするよ」ボソッ

相模母が部屋に案内しているときにこそっと天使が耳に息を吹き掛けてきた…くすぐったいぞっ!このっこのっ……

八幡「今回はそれだけ本気なんだ」ボソッ

自分でも戸惑ったが俺も饒舌に嘘をつけるようになったのかもな
キャラ的に無理はあるがそれに負けてられないくらい決意もかたい。

戸塚「相模さーん、クラスメイトの戸塚彩加です。プリントを届けに来ました」コンコン

返事はない。
相模の母親には原因はどうあれ親には聞かれたくこと、話しにくいことが……(以下略)
俺は饒舌になったんだ、ここには俺と天使と扉一枚隔てて相模南だけだ。

戸塚「寝てるのかな?」

困った天使も可愛い

戸塚「相模さーん」コンコン

しかし尚も返事がない。
ちょっと荒療治だがやるしかねーか

八幡「おい!相模!大事な話がある、このままだと…」

言い終わる前に相模南が帰って!と叫んだ。
慌てた母親も飛んでくる

南「帰って!比企谷ぃっ!!!またうちにっ……ひどいこと……アァ……」

金切り声とはまさにこの事だ。最後の方は息が続かなかったのだろう、発声できていなかった
長い間人と喋ってなかったらなるなる……夏休みとかな…ん?……通常授業中もか……

相模母「貴方たち!南ちゃんに何かしたのっ!?」

おっと……風向きが……
ヤバイ気配がプンプンする……

相模母「出ていって!じゃないと……」

言い終わる前に俺達は退散した

近くの公園

俺達は全速力で走って逃げてきたがほぼ帰宅部(奉仕部)の俺と比べてマイエンジェル戸塚は息一つ乱していなかった。
公園のベンチでダウンしていると戸塚がマックスコーヒーを頬にあててくれた
ここから俺と彼女?のラブストーリーが……落ち着け俺、戸塚は男だ。しかもこれはラブストーリーじゃないぞサスペンスだ

戸塚「はい!弁護人!」

八幡「おぉ、サンキューな」

戸塚「でも……どうする?八幡」

明るい笑顔を曇らせて戸塚が言った。
分かっていたことだが大ピンチだ、相模南が裁判について知ってるかさえ分からなかった。このままじゃ本当に被告人不在のまま裁判の日を迎えることになるかもしれない…そうなるとあいつらは……
ダメだ……焦って思考が纏まらない…

八幡「ちょっと考えさせてくれ」

戸塚「親御さんにちゃんと事情を話して見るのはどうかな?」

八幡「ダメだ、今度の問題は大きくなりすぎているし……これ以上は……」

平塚先生も俺達奉仕部もという言葉は寸前で飲み込んだ

八幡「親がもし噂の方を信じたら今度こそ相模は出てこれなくなる……」

戸塚「でも事情を話さないと裁判まで引っ張ってくるのは難しいと思う……」

相模の友人に説得を頼むか?……いやこうなるまで来なかったあいつらが来ても相模自身は余計に疑心暗鬼になる……
くそっ……時間もない……証拠集めにすら手が届かないなんて……

男「おーい!君たちー」

知らない男が声をかけてきた

その男は相模の父親だった。俺達は気が付かなかったが近くの部屋で話を聞いていたらしい……当たり前か、娘の心配は…娘を溺愛する父ならうちにもいる。

相模父「君は比企谷君といったね?」

八幡「はい、そうですが…」

相模父「南にしようとしていた大事な話とはなんだい?」

頭の中の危険信号がけたたましく鳴った。このままだとまずい…

八幡「実は卒業文集が早い時期に……」

相模父「嘘だね、あまり大人をなめない方がいい。実は私は記者をしていてね…人が嘘をついてるのは何となくわかるのさ」

言葉もでなかった。雪ノ下陽乃が大人を丸め込んでいるのを見て自分も出来ると思い上がっていたのだろうか……いやここで終わったら…

相模父「裁判だろ?」

戸塚「知っているんですかっ?」

マイエンジェル!そんな風に馬鹿正直に反応したら……

相模父「やはり本当だったんだね」

ほらな
戸塚はしまったと顔をしてから俺を見る…終わったな

相模父「娘を法廷に立たせて君たちの手伝いをさせてもらえないだろうか?」

八幡「なっ!?」

相模父「私はね今回の事を学校を通さずに色々なツテから聞いて回ったんだよ、まぁ学校から外には漏れ出てないだけで隠蔽は不可能なほど広がってるからね」

相模父は続ける

相模父「そうしたら…お恥ずかしい話だが自分の娘の情けない話を知ったよ。文化祭での事もね?でもどうやら嫌われているのは君らしい……すぐに興味を引かれたよ」

彼は世間話でもするかのように話す。
だか時間は…

相模父「あぁすまないね、でも比企谷君?そのすぐに顔に出る癖を治さないと裁判は不利だよ、弁護人助手もね」

え?俺顔に出てたのか……通りでみんな色々察しが良い訳だな小町とか小町な

相模父「明日娘を学校に行かせるよ、どこに行かせれば良いかは知っているから。あとこれが私の連絡先だ」

とスッと名刺を渡してくるので受け取った。それとと彼は言う

相模父「総武高の大きなスキャンダルにならないように私も気を配るので安心したまえ」

八幡「そんな……何から何まで……どうしてそんなに協力的なんですか?」

相模父「これは南自身が成長する大きなチャンスだからだ、人任せではなくて自分の口で無実を証明するね。父親として教えることは出来なかったがせめてそのチャンスは与えたかった…」

相模父「だから君たちには協力的なんだ、特に比企谷君…娘は君に対して失礼だったかもしれないがお願いしてもいいかな?」

八幡「はい」
今さら相模にどう思われようと関係ない、俺は自分が守りたいもののために動いてるだけだ……それはこの人も……


相模父は帰っていった
そして俺達も今日できることは思い付く分の事はしたので解散した。
明日からは相模の証言を元に証拠固めだ。

翌日 弁護人準備室

昨日、相模父が娘を学校に行かせるようにすると言っていたが教室にいるときには彼女の姿は見えなかった。もらった名刺に電話しようかと戸塚と迷っていると
彼女は来た。

南「……」ガラッ

戸塚「あっ!……相模さん」

八幡「……」

南「ウチは……ん……」

と言いかけると相模は黙ってしまった。
しかたねーなこいつは

八幡「おい!相模!お前裁判で無実を証明して疑ってきたやつらに勝ちたくねーのか?」

戸塚「ちよっ!八幡」

南「……」

八幡「少しは惨めな気持ちも分かったか?学校の誰一人味方になってくれなくて辛かったろ?だがそれもお前の責任だ…」

誤解しないでいただきたいが俺は彼女にただケンカを売っている訳ではない

南「比企谷……そんなことしなくてもウチは法廷に立つよ」

戸塚「相模さん…」

南「昨日お父さんに怒られて初めて自分の馬鹿な振る舞いに気付けた……だから今回、誰も味方してくれなくて良かっただって…」

続きは言わなかったが、味方されたれまたその他人に任せて気づかなかったから……かな?

八幡「そうか……なら単刀直入に聞く…お前は予算を横領したか?」

南「してないっ!……」

八幡「なら安心しろ…俺がお前を信じてくれなかったやつらに勝たせてやる」

戸塚「八幡!僕もいるよ!」

八幡「あぁ!すまねーな」

南「……二人ともありがとう…」



材木座「八幡~拙者もいるんだけど?~」


相模は最初長い間喋ってなかったからゆっくりとしたペースだったが次第に元のお喋りを取り戻しどんどん裁判に役に立ちそうな話をしてくれた。彼女も自分の無実に真剣なのだろう、材木座もせっせっとメモを取っている。
すると判事から呼び声がかかった。

奉仕部(検事準備室)

陽乃「やっはろー!みんないるー?」

奉仕部には雪ノ下と色んな資料を見て唸っている由比ヶ浜がいた。話とか資料が見えては不公平なので俺は彼女らと口を聞かず壁にもたれ掛かっていた

陽乃「うんうん!みんないるねっ!偉いっ」

雪乃「姉さん……私たちを集めて何のようかしら?」

陽乃「うーん、裁判の進行に偏りが出ないようにお互いの経過報告かなー」

この女が双方の控え室に顔を出せば済む話なのに集めたってことは…この人いつも裏だらけだな…

陽乃「はーい、まずは検事側!雪乃ちゃんたちは何をしてるのかな?」

雪乃「検察内容に抵触するから深くは発言しませんが横領を立証する証拠を集めているわ」

雪乃「そちらの弁護人は……助手もいないのかしら?」

由比ヶ浜「ちょっとゆきのん!」

違うんだよ由比ヶ浜、これはあいつなりのジャブってか心配のつもりなんだよ

八幡「余計なお世話だ。弁護人助手も調書を書いてくれる書記もいる。」

由比ヶ浜「ヒッキー……」

雪ノ下も声には出さないが安心した表情を見せた……がすぐに身分を思い出し元のポーカーフェイスに戻った

陽乃「雪乃ちゃーん?すました顔してるけど実際比企谷君の方が優勢だよー?」

雪乃「どういうことかしら?……」

陽乃「はい、検事。それは弁護人が法廷に被告人を立たせることが出来るようになったからです」

と判事らしくないのにおどけて見せた

由比ヶ浜「ヒッキー!やるじゃんっ!」

陽乃「検事助手がそんな風に余裕で大丈夫かなー?」

由比ヶ浜「……」

間髪いれずにうちのアホの子に冷水を浴びせるのやめてくれませんかねぇ

雪乃「それが弁護側の有利にどう働くのかしら?」

陽乃「検察側を裁判当日まで被告人との接触を禁じます」

ほらな?……だがな俺も大体分かってきたぜ?

八幡「判事、それだと素人の裁判です。うまいこと進まなくなると思いますよ?」

陽乃「それは私が調書を見て判断するから安心してください比企谷弁護人♪」

陽乃「それに……あれだけ不利だった比企谷君がちょっと優勢になったからってその都度ハンデをつけるのは雪乃ちゃんが負けたときにねー」

そんな分かりやすい挑発に乗りはしないだろうが…

雪乃「心配されなくてもそこの男に負けるつもりは毛頭ないわ…これで終わりなら二人とも帰ってちょうだい」

八幡「おいっ!雪ノ下!」

陽乃「ん?なーにー?」

八幡「あんたじゃないですよ!……裁判は公平にするんじゃないのか?」

雪乃「これ以上貴方に負けたくないから……」ボソッ

陽乃「はーい!以上で経過報告を終わりにしまーす!」

八幡「ちょっと!雪ノ下さん!」

経過報告の後、颯爽と出ていった判事を追いかける

陽乃「お義姉さんか判事って言ってくれないと返事してあげないよ~?」

八幡「では判事、あなたは雪ノ下雪乃を焚き付けて本気にさせるためだけに経過報告を開きましたね?」

陽乃「もうっ!釣れないねー比企谷君は…まぁご明察かなー」

陽乃「だって私は君達が本気で戦ってどちらが勝つか見てみたいもーん」

この人は……どこまで……
いやこれじゃあ駄目だ…顔に出すな俺…

八幡「良いでしょう、このまま本気であなたの手のひらで踊ってあげます。……だが人をオモチャにしたツケはいつか必ず払ってもらう」

って俺のバカっ!……抑えようとしたけどやっぱり一朝一夕じゃ無理だったぜ小町…

陽乃「おぉこわ……まっ!それじゃあ当日まで頑張ってちょうだいねー!」

これで俺は雪ノ下姉妹に宣戦布告をすることになっちまった……俺大丈夫かな?
それに雪ノ下も今回の勝負に思ったよりも何かを本気でかけてきている。何かは分かるようで分からないが

裁判当日 弁護人控え室

短縮授業を終えて裁判まではあっという間だった。俺達弁護側はあれからどうにか形にまでは持っていくことが出来た……俺一人じゃ到底出来なかったことだ。戸塚はもちろん材木座…それに相模にも感謝している。……小町に言われなかったら一生気づかなかったかもな
経過報告はあの一度きりだったが判事が毎日きて調書を確認していたので問題はないのだろう、材木座が書けてないときに雪ノ下さんの笑顔の重圧が半端じゃなくて激ヤセしたけどな材木座


戸塚「それじゃいこうか弁護人」

八幡「ああっ……その前に戸塚……」

戸塚「待って八幡、その言葉は全部終わってから受けとるよ」

この短期間で俺と戸塚は何も言わなくても通じるくらい仲良くなった
これも俺が求めている物の一つの形なのかもしれない…

八幡「分かった、最後までよろしくお願いします弁護人助手」

戸塚「うんっ!」

女なら…いや誰でも恋に落とせてしまいそうな良い笑顔だったとだけ言っておこう。

体育館

どうやら会場は新しい生徒会長が判事に重圧をかけられ運動部を引っ張ってきて用意させた物らしい。本人は他校とやるクリスマス会なんかより面白いと息巻いてたそうだが…
机に弁護側とある方の椅子を見つけたのでそちらに座る。ふと視線をあげると検事側ももう来ていたようだ。いつになく真剣な由比ヶ浜とどことなくかげりがある雪ノ下を見つけた……雪ノ下の様子が気になるがこちらもそんなに余裕はない。
向こうは綺麗にファイリングされたバインダーを持っているようだったがこっちはクリアファイルにバラバラにまとめてある…整理してなかったわけじゃないがいつの間にかこうなってた

陽乃「はーい、静粛に」

と言いながら判事は入ってきた
傍聴席にいた委員会のやつらも静かになる……ん?あそこにいる大人は相模父と平塚先生か?……先生は立場がないのか顔を伏せている、相模父は俺と目が合うとさりげなく手をあげたので俺も会釈する

陽乃「それでは傍聴席に向けてこの学内裁判について説明をさせていただきます、この学内裁判の目的は真実を明らかにすることです。ですからどのような結果になっても誰も罰する権利を持ちません」

傍聴席は聞き入っている

陽乃「三名の陪審員はこれからの審理に予断と偏見をもたず耳を傾け合理的、客観的に判断を下す義務があります。既にこの事については三名とも深く理解しています」

陽乃「また裁判を邪魔するものがあれば判事の権限の下、即刻退廷してもらいます。そしてこの裁判は学内で学生がする裁判です、不足の事態があれば判事検事弁護人で話し合い、臨機応変に対応していきます」

戸塚と目が合う、俺も頷く
向こうの席で由比ヶ浜が雪ノ下の肩を叩き雪ノ下は目を閉じている
さぁいよいよだ…

陽乃「それでは開廷します」

陽乃「それではまず検事から事件の概要を説明してください」

雪乃「はい、この事件は文化祭で被告人である相模南さんが予算を横領したという告発文が届いたことから始まりました。よって争点は相模南さんが横領したかの事実についてになります」

陽乃「被告人に確認します、あなたは相模南さんで間違いありませんね?」

南「……は、はい……あっあのウチは……」

陽乃「静粛に、判事の許可なく発言することは許しません。わかりましたね?」

南「は、はい……」

黙ってうつむく相模
誰にでもタメ口をきく雪ノ下さんが敬語を使っているとなんだか怖いんですけど…

陽乃「被告人、あなたには黙秘権があります。答えたくないことがあれば答える必要はありません…最後に、あなたにはこの事件について意見を述べることが出来ます。何かありますか?」

南「ウチは……横領なんてしていません」

傍聴席からクスクス笑うような声が聞こえた

陽乃「静粛に、次はないよ」

凍るような笑みをたたえて彼女は言った
一人の少女の言葉に傍聴席は静になった。雪ノ下陽乃のこの学校での影響力の大きさに改めて戦慄した……おっかねーんだよなぁいちいち

陽乃「では、まず検察から冒頭陳述を始めてください」

雪乃「最初の証拠品として事件の発端となった告発文を提出します。またこの告発文は確認できるだけで数十枚ほどありますがここで提出する告発文は奉仕部宛に届けられた一枚のみを便宜上告発文代表として提出します」

検事助手の由比ヶ浜が判事の雪ノ下さんに告発文とそれについての調書の紙を渡す

陽乃「確認しました」

雪乃「判事、本来の裁判と違い学内裁判なので自由が効くはずです。この後すぐに被告人質問をしてもよろしいでしょうか?」

陽乃「弁護人」

判事が確認の意を求めてこちらを見る
まぁここで順番は入れ換えられても不利にはならないか……戸塚にも確認する
アイコンタクトで大丈夫そうだとそう言うと戸塚も真剣な目で頷く

八幡「はい、かまいません」

雪乃「では、……相模南さん、今から被告人質問をを行います。先ほど判事が説明した通りあなたには黙秘権が認められています…リラックスして答えてください」

南「……はい」

雪乃「何度も繰り返すようになってすみませんがこの告発文は真実ですか?」ニコッ

雪ノ下がリラックスさせようと微笑みながら聞いた……その顔はもっと違うときに見たかったね
そしてこの笑顔は被告人の動揺を誘う罠だ……だがこちらに有利な手札を切ってないわけがないだろ

南「いいえ、違います。私は横領なんてしていません。」

今までのおどおどした頼りげのない姿と一転して毅然として答える相模
こっちはずっと被告人といたんだ、裁判で傍聴席に向けての芝居の稽古くらいつけてるさ

戸塚「相模さん…あの分だと大丈夫そうだね」ボソッ

八幡「あぁ」ボソッ

さぁ動揺を誘えないと分かったら氷の女王はどうしかけてくるかね…

雪乃「そうですか、続けて質問です。この告発文に心当たりはありますか?」

南「ウチ…わ、私の所には届いていません」

芝居にボロが出ないように意識してるあまりちょっとおかしくなっちまってるな
それに相模は大勢の前で話すのはトラウマがある…
安心して見れると思ったが目が離せない

雪乃「いえ、そういう意味ではありません。」ニコ

雪乃「あなたを貶めようとこんな告発文に書いてくるような人間に心当たりがありませんかと聞いたのです」

南「こ、心当たりはありません」

これも想定内の質問だ

雪乃「この告発文は直線文字で書かれているので誰が書いたものか、送ったものかはわかりません……しかし数十枚もあると相当な物だと思いませんか?」

南「……何がですか?」

雪乃「あなたへの恨みです。」

傍聴席が少しざわつくが思い出したかのようにすぐにおさまる

雪乃「あなたの文化祭での振る舞いを見ればあなたへの恨みを募らせる人はいると思うのだけれど」

南「……」

八幡「判事!検事は陪審員に被告人の悪印象を誘発しています」

陽乃「そうね、異議を認めます。検事は質問を変えるように」

おっとアブねぇ…この勝負は陪審員三人を納得させる事だ。俺は相模の無実、雪ノ下は有罪から攻めて無罪を示す。
雪ノ下はこのまま相模を告発文が送られてしまってもしかたのない性格だと陪審員に思わせるつもりだったのだ、だがその武器は……

雪乃「わかりました、では質問です。横領をしていないと言いましたがあなたはそれを確認できるほど文化祭に関わっていましたか?」

南「……どう意味ですか?」

雪乃「言葉通りの意味です、判事。ここで一人証人を召喚したいのだけれど?」

陽乃「何故でしょうか?」

雪乃「この先に行くにあたって横領の有無を示す重要な証言をしてもらうためです」

陽乃「良いでしょう。証人は入ってきてください」

そうすると少し緊張したような、だがどこか面白がっているような女子が体育館に入ってきて証人席にたった
雪ノ下、由比ヶ浜、検事側の始めての証人だ。その女子は確か相模の取り巻きで名前は……ゆっこ……だったか?

雪乃「証人に質問を始めます、あなたはそこにいる被告人 相模南さんと友人でしょうか?」

ゆっこ「はい」

雪乃「普段から一緒にいると言うことですね?文化祭開催前の時からそうでしたか?」

ゆっこ「はい…」フフ

どうやら芝居をつけてきたのはこちらだけではないらしいな
だが雪ノ下、ここからどうするつもりだ?

雪乃「文化祭の準備期間も一緒にいたと言うことはあなたは委員でもしていたのでしょうか?」

ゆっこ「いいえ」

雪乃「それではあなたは委員でもないのにずっと文化祭の準備に取り組んでいたことになりますね?」

ゆっこ「いいえ、違います」

雪乃「どういうことでしょうか?」

白々しく雪ノ下が質問する

ゆっこ「相模さんと私は文化祭の準備に参加していませんでした。途中で委員長の判を他人に渡すなんてこともありました」

雪乃「つまり相模さんは横領左右できる立場にはあったが場所にはいなかったというこでしょうか?」

八幡「判事!検事は誘導しています」

陽乃「異議を却下します」

くそっ……このまま雪ノ下ペースで進んだらあいつが先にゴールしちまう……

雪乃「陪審員の皆さん、この事をよく記憶しておいてください。文化祭で横領の可能性はあったが相模さんは関係のない可能性が出てきました」

以上で証人質問を終わりますと彼女は締めた、やっぱり雪ノ下は手強い……横領の可能性を残して検事としての形は崩さずその上で相模の無実を証明してきた。
横領の有無は俺達に証明させるつもりだろう。両方もちろんないのだからこれで王手だ…が、彼女が勝てば…
戸塚も不安そうに見てくる

陽乃「では次に弁護人、反論があれば証拠を提出してください」

八幡「はい(焦るな……まずはペース をこちらに引き込む…)」

八幡「その前にひとつ良いでしょうか?」

陽乃「どうぞ」

八幡「弁護側から少し認識の違いを指摘させていただきます。事件と言う言葉にはかなり語弊があります」

八幡「そもそも先程雪ノ下検事が指摘した通り告発文が誰が出したかを知ることは出来ません…つまり誰にでも出せたと言うことです。その証拠に文化祭の宣伝のためネットはおろか地域の広報紙にまで委員長の相模さんの名前は載っています」

その証拠と材木座が用意した調書を戸塚が判事に渡しにいく

陽乃「はい、確認しました」

よし!巻き返すならここだ

八幡「ここにいる全ての皆さんにいえることがあります。これは告発状という誰にでも出来たイタズラが不幸にも事件と言う言葉で肥大かしてしまったに過ぎません、つまり空想です」

八幡「判事も検事も事件と言う言葉にのぼせあがってるのではありませんか?」

雪乃「ちょっと……」

陽乃「法廷に不適切な発言は慎みなさい」

ピシャリと撥ね付けられてしまったが、これでいきすぎた雪ノ下の先行を少しでも食い止めたはすだ……だがこんなのはその場しのぎにしかならない

八幡「もし仮に横領なんてものが存在するのならば雪ノ下検事が一番密接に関わっているはずです。何故なら委員長の判を渡されたのは他ならぬ彼女だからです」

陪審員の川崎は知らなかったのか驚いた顔をした。傍聴席も若干のざわめきを見せた……

八幡「検事側で横領の可能性を示唆した証言がでましたが雪ノ下検事が一番怪しくはありませんか?」

雪乃「判事!弁護人は憶測で物を喋っています!」

陽乃「異議を認めます」

由比ヶ浜も怒ったような悲しんでるような目で俺を見てくる……すまんが二人とも…これも勝つためなんだ
雪ノ下への嫌疑は俺が責任を持って晴らす
戸塚とは打ち合わせをしていたが出来ればここからは攻めたくなかった、戸塚は顔を伏せている

八幡「判事、一度陪審員の皆さんには客観的に判断してもらうために時間を開けることを提案します」

陽乃「検事」

雪乃「か、かまいません」

雪ノ下には自分が予算を動かしていただけに自分の無実は急には証明しづらい…
そのカードはこちら側なら使えるがな

陽乃「一日目の裁判はこれにて閉廷いたします、続きはまた明日14時開廷ととなります」

弁護人控え室

戸塚「結局こうなっちゃったね」

八幡「あぁ、あいつには一度でも疑いがかかるようなマネはしたくはなかったが」

だが自分で横領の可能性を示す横領犯などどこにいる?雪ノ下の疑いはすぐにとける。その上こちらには雪ノ下が使えない予算と領収証の証拠品がある

戸塚「一瞬ヒヤッとしたけどこれでこちらが有利になったね」

弁護の最初にイタズラと宣言したから、
この予算、領収証を出せば一気に相模の無実と雪ノ下の無実を証明できるが時間をあけたのはこれが陪審員への印象戦だからだ
あのまま一気に証拠品を突きつけていれば全体的に嘘臭くなってしまう、それに彼ら自身にも整理する時間は必要だ…

陪審員控え室

めぐり「解散する前にあたしたち陪審員で事件について考えてみない?」

葉山「そうですね」

川崎「かまわないよ」

めぐり「比企谷君は事件とはいえないと言ってたけどやっぱり便利だから…事件って使うね」

葉山「そう、それなんだ!」

川崎めぐり「?」

葉山「川崎さん、相模さんは文化祭の締めの挨拶で失敗したことは覚えてるかい?」

川崎「あぁ、まぁ聞けたもんじゃなかったね」

葉山「つまりこういうことを言うのはなんだが証人の発言にあった通り相模さんはほとんど文化祭には関わらず遊び歩いていたんだ」

葉山「しかも告発状は数十枚全て委員に届けられている……だから全員がおもしろがって噂した」

川崎「つまりああなったのは身から出た錆ってことかい?」

めぐり「……」

葉山「そういう見方も出来ると言いたかったんだ」

めぐり「明日の裁判はこのままどう進むんだろうね?」

川崎「今日はあたしには雪ノ下が優勢に見えたけどね…あいつはなんからしくなかった…」

葉山「雪乃ちゃ……雪ノ下検事が横領に関して一番怪しいと言っても彼自身がそんなはずはないと知っているからね。なにか策があってなんだろう」

検事控え室(奉仕部部室)

由比ヶ浜「ゆきのん……どうするの?」

雪乃「由比ヶ浜さん…よく聞いてちょうだい」

雪乃「彼は明日領収証と予算を証拠品にして使ってくるつもりよ、このままだと彼に負けてしまうわ…」

由比ヶ浜「ゆきのん…負けてもヒッキーもそんな無茶な命令はしてこないよ」

雪乃「そういう問題じゃないのよこれは、これは私たち二人の問題よ…」

由比ヶ浜「…どういうこと?」

雪乃「主義主張の問題よ、私たちは三人で奉仕部だけれど解決したり傷つくのはいつも彼一人……今している文化祭の時もそう、修学旅行のときもそう……彼を止めることはできなかった…」

由比ヶ浜「……」

雪乃「私たちがこの裁判に勝つことで初めて彼のやり方について意見できるのよ…今までは何を言っても解決した彼への当て付けにしかなってなかったもの…」グスッ

由比ヶ浜「ゆきのんっ!」ダキッ

雪乃「だから勝つためにはなんでもするわ……協力してちょうだい」

体育館 裁判二日目


陽乃「それでは定刻となりましたので開廷します」

先手必勝
雪ノ下、悪いが勝たせてもらうぞ

八幡「判事!横領に関しての重要な証拠を提出させてもらいます」

陽乃「はい、どう…」

と判事が言い終わる前に雪ノ下が待ったをかけた

雪乃「横領を認めます。」

一瞬、会場が静かになったあと傍聴席から騒然とした

陽乃「静粛に」

なんだと?……どういうことだ?…横領なんて存在しないと奉仕部全員で確認しただろうが!何をいっている?

陽乃「検事、横領を認めるとはどういうことですか?」

雪乃「言葉通り私が横領しました。」

八幡「横領なんてありえないだろうがっ!雪ノ下ぁ!」

思わず立ち上がって叫んでいた

陽乃「静粛にしなさい比企谷弁護人」

戸塚に押さえられ席に座る
なんだ?……あの雪ノ下雪乃がまた嘘をついている?……何故?
由比ヶ浜に動揺している姿は見られなかった…知っていたのか?由比ヶ浜?

戸塚「弁護人!」ボソッ

八幡「……」

戸塚「八幡!」ボソッ

八幡「あっ……あぁ」

戸塚に肩を揺すられるまで呼び掛けに気がつかなった

戸塚「向こうがいくら意表をついてきた作戦をしてきてもこっちには証拠品があるよ…」

八幡「そ、そうだな…」

八幡「判事!横領が存在しない証拠を提案します」

戸塚に予算と領収証を持たせて雪ノ下さんに渡すようにお願いする
戸塚は駆け足で判事の元へ向かう

陽乃「確認しました、ですがこれで領収証は全てですか?」

八幡「はい」

陽乃「一部不透明な部分がありますが予算とは大体合っていますね……」

雪乃「その一部不透明な部分は私が横領しました」

八幡「!?」

由比ヶ浜「判事!検事助手から提案があります!この時点で雪ノ下検事の続行は無理だと思われます!……何故なら彼女は横領犯であることを認めたから」

由比ヶ浜「検事助手である私が検事として雪ノ下雪乃の証人尋問を執り行うことを提案します」

何をバカな事を言ってる?由比ヶ浜
お前は……自分の友達を犯罪者と言っているのと一緒だぞ!知っているはずだろうそうじゃないことなんて!

八幡「休廷だ!その事について話し合いをしたい」

陽乃「一時休廷とします」

奉仕部部室

八幡「どういうことだっ!由比ヶ浜!」

陽乃「まぁまぁ落ち着きなよー比企谷君」

由比ヶ浜「あたしならずっと雪ノ下検事の側にいて証拠を見ていたから…あたし以外に検事に適任はいないと思うよヒッキー」

八幡「そういうことじゃない、横領なんてないのは知っているだろ?」

由比ヶ浜「ゆきのんは横領を認めてたじゃん」

陽乃「確かに現時点では証明は出来ないよね、どちらにせよ」

八幡「そもそも検事が途中で代わるなんて認められるはずがないだろ」

由比ヶ浜「どうして?」

分かっていてやってるのか、分かってなくてやってるのか

八幡「そんなの普通の裁判なら絶対にありえないことだからだ」

陽乃「ふふ……あはははっ!こんな裁判元々普通なんかじゃないじゃない」

陽乃「それに…傍聴席にはたくさんのギャラリーがいるんだよ。こんなとこで終わったら雪乃ちゃんはおろか相模さんは学校に通う間汚名をずうっと背負うことになるよ」

由比ヶ浜「やろうよヒッキー…それともあたしたちに負けるのが怖いの?」

安い挑発だ、今まで散々他人がかかる様を見てきた…堪えろ…

八幡「らちがあきませんね…このまま話し合っても平行線です。三人の陪審員に決めてもらいましょう」

あのまともな三人なら間違った答えなんて出ようはずがないだろう…

もしかして作者さんって前に援交ネタ書いた人かな?

ちょっとわからないんだけど、なんで雪ノ下も相模の無実を証明しようとしたんだ?

検事と弁護人両方が無実を証明するなら裁判なりたたなくない?

相模が横領したかどうかの裁判じゃないの?

奉仕部部室

あの後すぐに陪審員控え室にいる三人を呼ぶために雪ノ下さんが葉山に連絡をした。すると彼らから話し合う時間をくれと言われ奉仕部部室で待つこととなった。
時間がたつにつれイライラが募ってくる…ダメだ…向こうペースにのせられる顔に出すな…

葉山「陪審員代表として結論から言わせて貰おう、由比ヶ浜が検事として参加することを認めます」

八幡「なっ!?」

由比ヶ浜と雪ノ下さんはほらねと顔をしている

八幡「か、川崎!お前も認めたのか?」

川崎「あぁ…あたしは全くの部外者だからこそ言えることがある。」

川崎「参加した人からしたら雪ノ下や相模が横領なんてしてないのは共通認識のようだけどあたしからしたらどちらもその可能性はあるように見える」

雪ノ下雪乃が本当に横領した可能性
相模南が俺達弁護側に嘘をついて横領に関わっている可能性
本当に二人とも両手離しで信頼できるのだろうか?…

めぐり「一応あたしからも理由を話させてもらうね……元生徒会長としてこのまま真実をなぁなぁに出来ないと思うから」

陽乃「まぁとりあえず陪審員全員がヶ浜ちゃんの検事就任に異論はないみたいねー」

ならばと彼女は言う

陽乃「すぐに休廷をといて裁判の続きをしたいんだけど…出来るかな?ヶ浜ちゃん?」

由比ヶ浜「……はいっ!」


体育館

戸塚「どうなったの?八幡?」

八幡「由比ヶ浜が検事になった…そして今から雪ノ下の証人尋問だ…」

戸塚「え!?あんな意見がまかり通ったの?」

八幡「あぁ…反対は俺一人だった…」

なんなんだこの出来すぎ感…おそらくは準備の良さからずっと気になっていたが雪ノ下陽乃はこの件で裏で糸を引いてるのはまず間違いない。だが証拠もないのに告発状はあなたが出しましたね?とは言えないから決定的なボロが出るまで待っていた。
裁判を起こすまでの暗躍も疑問に残る点はたくさんある…なぜ一介の卒業生がここまで出来る?…
こんだけ大騒ぎしているのに何故どこも記事になっていない?…相模父が気を配ると言っていたが彼には相当大きなコネクションがあるのか?……

陽乃「お待たせいたしまた。では、由比ヶ浜結衣さんを検事として迎え裁判を再開します……開廷します。」

>>82 別の人ですね、私自身はss書くの初めてですんで

>>84 最初に告発文が届いた時点で奉仕部は相模が無実だと考えていましたが陽乃にふっかけられて先に無実を証明するという勝負になっていました
それぞれの不利な条件も書いています

由比ヶ浜「それでは雪ノ下雪乃さん…今から証人尋問を行います」

雪乃「はい」

由比ヶ浜「答えたくないことがあれば黙秘してもかまいません…それはあなたも分かっていますね?」

雪乃「はい」

由比ヶ浜「横領したと言いましたが具体的にはどういう意味ですか?」

雪乃「文化祭の準備期間、私は相模さんの代わりに予算管理や作業全体の監督をしていました…その事については陪審員の城廻さん、葉山さん、傍聴席の方も知っていると思います」

雪乃「そして…予算を動かしているうちに一部生徒の領収証の切り忘れがありました……これを利用すれば私に金銭が入ると魔が差しました。幸運なことに委員長の判を持っていましたし」

やめろ……聞きたくない……あの誰よりも不正を嫌う雪ノ下雪乃がこんな嘘をついている所なんてみたくない…
それは由比ヶ浜も同じようで眉間に皺がよっていた

雪乃「微々たる額でしたが私が倒れてまでこんな苦労しているのに報酬がないことは耐えられませんでした」

傍聴席がざわめき出す

陽乃「静粛に」

由比ヶ浜「それでは次の質問です…」

あぁ…ようやく本当の意味で分かったよ……自分の大切な人が他人のための非生産的な自己犠牲をするのを見てる気持ちが、俺にとってそれは一番手っ取り早い解決法だったが影響なんて全然考えてなかったんだな…
そして俺はまた雪ノ下雪乃という人物が分からなくなった…由比ヶ浜結衣もだ
この二人はそれを分からせるために勝ちにきたのか?…なら効果テキメンだ。俺の敗けでいい、もう二度とそんなマネはしない…だからもう…やめてくれ

川崎「判事!ちょっと陪審員からも質問いいかい?」

川崎が突然挙手して判事に意見を求めた
他の二人が驚いてるということは川崎の独断らしい

陽乃「えぇ、どうぞ」

川崎「雪ノ下さん、あんたが委員会全員にあの告発状を送ったのかい?」

雪乃「告発状については知りません、そもそも自分から問題になるような真似はしません」

なんだ……今の……猛烈に……引っ掛かりを覚えた……が……何か分からない…

由比ヶ浜「以上で証人尋問を終わります」

陽乃「陪審員の皆さんは今回の発言をよく考えてみてください、明日結論を聞きその上で判決を言い渡します」

陽乃「閉廷します」

弁護人控え室

八幡「完全にやられた…」

戸塚「雪ノ下さんがまさか自分から罪を被りにくるなんて予想もつかないよ…」

いつも正しくて誰よりも理想に近づけようとしている彼女が……彼女だからこそ使えた誰にも使えない最悪の一手

八幡「裁判は雪ノ下が罪をかぶったから相模は関係なくなった……いくら本当の裁判じゃないからって…横領なんて認めたらただではすまないだろうが……」

南「ちょっと待って……比企谷…」

南「もうこれで弁護側は負けたってこと?諦めるの?」

戸塚「相模さん…見てたと思うけどこの裁判で雪ノ下さんの無実を証明するのはもう無理だよ…」

八幡「お前は晴れて無実だよ、良かったな相模…」

南「ウチは……まだツケを払ってない…」

八幡「どういうことだ?」

南「文化祭の時に奉仕部のあんたたちにも…参加した委員会のみんなにも迷惑かけた……ウチ…誰にも責任を取ってない…」

戸塚「そうかもしれないけど…もう相模さんを責める人なんて……」

南「そういう問題じゃない……自分自身が納得いかないよ…ウチは自分の意思で無実をみんなに分かって欲しいから…この裁判に出た。衆目の目に晒されるのもチャンスだと思った…」

だから、彼女は言った

南「こんな納得のいかない裁判……ウチは嫌だ…」

閃いた……まだ武器が残ってるじゃないかっ!

八幡「普通の裁判ならもう負けかもな……だがこれは学生がする裁判で陪審員も学生だ…まだ勝つ見込みはある…」

戸塚「それってどういうこと?」

南「ほんとにっ!?」

八幡「だがこのやり方は相模、お前が傷つくし……」

被せて彼女が叫ぶ

南「それでもっ!ウチは…自分がした責任を取ってそれで横領なんてしてないって証明したい!」

八幡「ならまず明日の裁判で……」

自分の描写不足のせいでちょっと分かりにくくなっているようなので捕捉させてもらいます。
ご指摘のあったとおり学生のする疑似裁判と考えてもらえばありがたいです。

勝負に関してですがアニメで雪乃と八幡が勝った方が何でも言うことを聞くというシーンを見てこいつらが裁判で口喧嘩したら面白くねーかな?と思い書こうと思いました
ですが描写が下手なせいでちょっと無理がある感じになってるかもしれませんが生暖かく見守ってください

裁判 最終日

陽乃「開廷します」

いよいよ最後の裁判が始まった…
ここまで一緒に戦ってくれた戸塚と目が合う、あぁ大丈夫だ絶対勝って見せる…

陽乃「では、由比ヶ浜検事。最後の意見陳述をしてください」

由比ヶ浜「はい」

由比ヶ浜「事の発端は文化祭準備期間に雪ノ下雪乃さんが文化祭予算を横領したことから始まります…そして誰かのイタズラか真意は不明ですが送られてきた告発状が原因で相模南さんが疑われ噂になってしまいました。その真実を明らかにするためにこの裁判が開かれました」

由比ヶ浜「そして裁判を進めるなかで雪ノ下雪乃さんが自白をしたことでこの横領事件が本当の意味で白日の元に晒されました……学生がする裁判なのでここで彼女に対して罰を要求することはできませんので検事としての最終論告をこれで終了します」

由比ヶ浜はずっと眉間に皺をよせた辛そうな表情だったがスラスラと意見陳述を言ってのけた
これで検察側…由比ヶ浜結衣と雪ノ下雪乃の弾はうち終わった

陽乃「では、比企谷弁護人。最終弁論を行ってください」

八幡「はい、その前に幾つか被告人相模南さんに質問をしていいしょうか?」

陽乃「検事」

由比ヶ浜「かっ……かまいません」

完全におわったと思って油断してたな由比ヶ浜…

八幡「では相模さん…いくつか質問をさせて貰います。答えたくなければ黙秘してもかまいませんがなるべく答えてください」

南「……はい。」

八幡「最初の質問です。何度も聞いた質問ですがあなたは横領しましたか?またはそれに関与しましたか?」

南「いいえ、していません」

八幡「次の質問です、しかし被告人は横領の罪を問われこの法廷に立っています…何故こんな目にあったと思いますか?」

南「そ、それは……告発状が送られてきたから」

八幡「それは告発状が送られてきたから嵌められたということですか?」

南「はっ、はい……デタラメな告発状がウチを犯人だって……」

八幡「では、なぜ告発状が送られてきたと思いますか?」

八幡「質問の意味がわかりませんか?なぜこんな回りくどい告発状を数十枚を作り告発者は嘘をついたのでしょう?」

南「そんなのっ……本人にしか分からないじゃないっ!」

八幡「何故自分がこんな風に嵌められるのか犯人の動機について全くもって心当たりはありませんか?」

南「……」

八幡「陪審員の皆さんは被告人がこの質問に答えなかったことをよく記憶してください。」

八幡「ここからの質問は文化祭当時の相模さんの様子についての質問です。数が多いので端的にはいかいいえで答えてください」

南「……」

八幡「返事をしてください、被告人」

南「は、はい」

八幡「あなたは文化祭委員長にも関わらずほとんど参加していなかったそうですが事実ですか?」

南「……はい」

八幡「実行委員長になって何も行動せずすぐに奉仕部に援助してもらうよう依頼しましたか?」

南「はい……比企谷もいたじゃないの」

八幡「はい かいいえ のみで答えてください。次の質問です、委員が頑張っているなかその目の前で一人友達とカラオケに行く約束をしましたか?」

南「……」

八幡「ちょっとペースが予定より早く進委員長がろくに進行状況んでいるからっても確認せず全員に帰投命令を出したのは本当ですか?」

南「……」

八幡「その皺寄せが一部の委員に来てもあなたは文化祭の作業に参加しなかったと聞いていますが事実ですか?」

南「……はい」

八幡「その結果一人の生徒が過労で倒れたことはしっていましたか?」

南「……」

八幡「ほとんど参加してこなかった文化祭の締めの挨拶も放棄して屋上に逃げましたか?」

南「……はい」

八幡「投票結果を持っていながら本来の規定時間には顔を見せなかったのは本当ですか?」

南「……」

八幡「これだけの事があってまだ自分に告発状を送られた動機がわかりませんか?」

南「……」グスッ

八幡「文化祭に参加していた委員だけではなく……締めの挨拶を見ていた生徒全員があなたに対して不信感を持つとは思いませんか?」

南「……思います……」ズズッ

八幡「皺寄せの来た一部の生徒から恨まれてるとは思いませんか?」

南「……」

八幡「被告人は人に恨まれるという事について考えたことがありますか?」

南「……いいえ」

八幡「この学校だけでもあなたには相当に不信感を募らせていたとは思いませんか?」

南「……」

八幡「最後の質問です。誰にでも告発状を送る機会がありました、差出人は誰であろうと関係なくあなたはそうなるべくしてなったとは思いませんか?」

南「……」

八幡「被告人はこの質問は答えませんでした。陪審員の皆さんはよくこの事の意味を考えて見てください。これで最終弁論を終わります。」

弁護人控え室
戸塚「お疲れさま」

八幡「あぁ…」

戸塚「相模さんも……」

相模「……グスッ……エグ……」

最終弁論が終わった後、陪審員の話し合いの時間が設けられその後すぐに休廷となった
いや最終弁論とは名ばかりだな……あれはただの責めの尋問だ。雪ノ下が検事の時に最初にしようとした作戦…結局は自分が使うことになるとはな…だがこれで相模は誰にでもその嘘の告発状を出されてもしかたのない人物だと最後の最後で印象をつけれた……打てる作戦はすべて打った
証拠もへったくれもないが学生のする裁判……判断するのも学生の印象、それが鬼とでるか蛇とでるか

戸塚「比企谷弁護人、時間だよ」

八幡「あぁ、そうだな……いくか」

戸塚「ほら!相模さんも」

南「……うん」グスッ

裁判もこれで終わる

体育館 最終判決

陽乃「では、陪審員の方から最終的な意見をどうぞ」

葉山「はい、では俺の方から陪審員代表として話させていただきます。三人の意見は幸運なことに同じでした…」

葉山「まず俺達学生の身分では公的な機関とは違い証拠品をもってのみでは真実を明らかにすることは出来ません、またその必要もありません」

葉山隼人は傍聴席に向けて語り出す

葉山「そしてこの裁判は本来行われているものから大きくかけ離れてしまっていますが…それは学生の俺達には大した問題ではありません」

葉山「結論を言わせてもらいます、被告人相模南さんは無実だと俺達陪審員全員は考えています。理由は最終弁論を鑑みれば明らかだと思います」

本来なら被告人の名誉を守るのが弁護人の仕事だが、今回は逆に被告人の不名誉な人となりを公の場で認めさせたのだからな……その分の印象の強さは織り込み済みだ
相模南自身も認めた反省すべき点
本当の意味での名誉を守った……のか?……それは自惚れ過ぎだな

葉山「そしてこの問題は相模南さんの横領の真偽です、告発状の差出人や雪ノ下雪乃さんが本当に横領したのか?彼女の自白のみでは真実はわかりません…」

葉山「今回の出来事は被告人の人となりが引き起こした問題が不幸な形で大事になってしまった……これが俺達陪審員の見解です。以上です。」

陽乃「はい、ありがとうございました……判決を言い渡します。」

陽乃「被告人相模南は無罪です、これで閉廷させていただきます」

傍聴席からは声はなかった…納得したってことかな?…
だが疑問に残る点はたくさんある。ここでは誤魔化せても俺はそうはいかないぞ雪ノ下陽乃…

弁護人控え室

八幡「ありがとう…戸塚、材木座…お前らのおかげでこの裁判に勝つことが出来た」

戸塚「僕は八幡と一緒に戦えて…楽しかったよっ!」

材木座「……痩せたから……結果的に良かったかも…」

材木座は激ヤセしたあとその厨二病が出来なくなるほど折れていた

八幡「相模も法廷では悪かったな……」

相模「それはウチが自分で決めたことだから……謝らないで」

八幡「このまま打ち上げといきたいが俺はすることがある……すまんな」

俺はたくさん残った疑問を解決するためある女に会いにいった

弁護人控え室

戸塚「あっ!八幡!」

八幡「おう…」

戸塚「もうやることは終わったの?比企谷弁護人?」

八幡「まあな、もう弁護人じゃねーよ」


プルルルルルル

なんだ?電話か?

相模「あっ!ウチだ……ごめんごめん……」

裁判終わってすぐの電話だと?……相模に対するイタズラじゃなきゃいいが…

相模「もしもし……お父さん?……何?……比企谷?すぐそばにいるけど」

相模「比企谷、お父さんが至急変われって」

比企谷「おぉ……」

相模父「比企谷君っ!すまないっ!大変なことになった!……あの事が記事になった!早すぎるがもうでているらしいっ!」

俺達は佳境に立たされた

次からが最終の種明かしです
今日の夜に出来たらまとめて投稿します

奉仕部部室 数ヵ月後の日曜日

八幡「やっと捕まってくれましたね、雪ノ下さん」

陽乃「うん……本当はすぐにでも話したかったんだけどね」

そう語る彼女の右目は眼帯が当てられていた、覆われている部分のしたからでもその大きな紫色のアザは確認できた……
そして理由はあえて聞かない
今、奉仕部部室には雪ノ下陽乃と俺の二人だけである

八幡「裁判を裏で糸を引いていてのはもしかなしなくてもあなたですよね?」

陽乃「うん、まぁあれだけ準備がよくちゃ分かって当然だったしね…でも告発状を送ったのは……」

八幡「葉山隼人ですね?」

陽乃「半分正解で半分はずれ……正しくは葉山家」

八幡「その理由をもちろん教えてくれますね?」

陽乃「こうなったら全部話すしかないかー……」

そして雪ノ下陽乃は語り出す、今回の出来事の裏側を…

陽乃「比企谷君は私の父親が県議会議員ということは覚えてる?」

八幡「はい、たしか建設会社の社長も……」

陽乃「今はどちらかというと……県議会議員の方が重要かな……その彼が今度の国会の議員に推薦されることが裏側で決まったの」

陽乃「その条件が推薦者の息子たちと雪ノ下家の両娘の婚約」

八幡「それって…」

陽乃「そう、政略結婚だよ」

八幡「それがどう今までに関わってくるんですか?」

陽乃「結論から言わせてもらうと自分の人生で好きでもない人と結婚するのは死んでも嫌だった……だから私は猛反発したけど、逃げたりとかそんな生ぬるい事が通用する家ではなかったの…」

陽乃「そして…葉山家は県議会議員である雪ノ下家に自分の息子を嫁がせて太いパイプを作るつもりだったの」

八幡「だから婚約を破談にするため大きなスキャンダルが必要だったと?」

陽乃「そう、雪ノ下家は大抵のことは揉み消せるくらい大きな権力を持ってるからね?君も分かるでしょ?」

途端に思い出される、雪ノ下雪乃の嘘と事故の記憶

陽乃「葉山家もうちの顧問弁護士だからそれなりの権力を持っていたし総武校に多額の寄付金をしていた、だから私は彼らと結託して衆目があつまる茶番の裁判を開くことが出来たの」

陽乃「それは期待以上の効果だったわ…だって雪乃ちゃんがデタラメな横領を認めるんですもの…焚き付ければ証拠捏造ぐらいはすると思ってたけどそれ以上とはね……よほどあなたのこと本気だったみたいね」

陽乃「あ、でも雪乃ちゃんは婚約のことは知らなかったよ……これは誓って本当。……今度はこっちから比企谷君に質問してもいいかな?」

八幡「……どうぞ」

陽乃「どうして告発状を送ったのが葉山隼人って思ったの?」

八幡「最初は検討もつきませんでしたが二日目の裁判の時に川崎の発言に妙な引っ掛かりを覚えたんです、何故か彼女は委員全員に告発状が届いた事を知っていた」

八幡「告発状が複数枚あったことは確かに噂になっていましたがそれが委員全員に送られたと言うことは事実調査をした平塚先生と奉仕部だけが知ってる情報でした……あと犯人も」

陽乃「なるほどねーやっぱり鋭いねー君は……最初も炎上目的って言われてドキッとしたもん」

八幡「でもね雪ノ下さん……ここまで大勢の人を巻き込んだやり方なんて……」

陽乃「待って!比企谷君……あたしはそんな説教なんて聞く気はないよ…覚えておきなさい比企谷八幡……本気になった相手に正論なんて通じない」

八幡「そんなエゴを聞いてこっちがはいそうですかと引き下がると本当に思ってるのか?いつか痛い目に……」

陽乃「痛い目ならもうあった」

笑いながら右目を差す
国会進出が破談になった父親に殴られたりでもしたんだろう

陽乃「奉仕部はどうなったの?勝ったのは比企谷君でしょ?」

八幡「雪ノ下に二度とそんな事はするなと約束させました(由比ヶ浜にもな……もちろん俺もしないからと……)」

陽乃「ふーん、そっかー」

八幡「これからあなたはどうすはつもりですか?」

陽乃「とりあえず婚約を破談にすることは出来たから束の間の平和だよ……まず相模さんにはああなって当然だと思うから謝罪はしないわ……雪乃ちゃんも彼女のせいで倒れたようなもんだし…」

けどと彼女は言う…

陽乃「たくさん迷惑をかけたあなたにまず一番最初に謝罪したかったの……本当にごめんなさい……」

あの雪ノ下陽乃が俺に頭を下げた…
衝撃だったけど心はどこかこうなることを予期していた……
俺は彼女を…………


~完~

がっかりした人ごめんなさい
ssを書くことの難しさを痛感しました。自分のなかでこうしたいんだけどなぁという思いがあるんですけどなかなかうまく形になりませんでしたすみません

みなさんのお叱りの声を元にまた懲りずに書くかもしれませんがそのときはまたお願いします。お目汚し失礼しました

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