八幡「やはり俺の嗜虐心は間違っている」結衣「しがくしん?」 (632)


 人生にはまるで、誂えたようなキッカケが訪れる時がある。

 それは、進学を決める時であったり、彼女を作る時であったり、挫折する時であったり……。


 ボッチ界の正統王子であるこの比企谷八幡にもキッカケはある。


 まぁこの場合はキッカケというより、強制スイッチに近かったが。

 一言でいうと、兄妹喧嘩だ。

 小町との些細な喧嘩。立場の弱い兄がたまに起こす反逆。

 ほとんどの場合は小町大明神に勝てるはずもなく屈伏してしまう。



 ――だが、この時ばかりは違ったのだ。


 
 

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八幡「だから俺じゃねーって」

小町「そんな訳ないもん! ゴミィちゃんしか小町のプリンに触れる人……いないもん!」



 喧嘩の原因は、まぁ、そんな感じだ。

 兄妹戦争の代名詞『プリン抗争』である。

 どちらかが買った、もしくは保存しておいたプリンを反対の兄妹が食べるだけの単純なものだが、ほとんどの場合は長期的な冷戦に発展する。


 なぜプリン抗争は長引くのか。


 それは所有権の証明の難しさにある。


小町「ここに置いてたカスタードプリンがなくなってるもん!」


 顔を真っ赤にして、プリンがそこにあったと訴える小町。


八幡「見てねーよ、んなもん。勘違いじゃねぇのか?」


 俺はすかさず小町の発言が証明不可であることを提唱する。


小町「………うぅ…」グルルルル


 常々思う。

 人はなぜこんなにもプリンのことで熱くなれるのか。

 瞳を潤ませ、口を富士山のように萎ませる小町。



 ――間違いはここから始まる。



八幡「………っ」ドキッ




 ―――可愛い。



小町「へっ?」ドキッ///

八幡「………っ」ハッ

八幡(な、何言ってんだ俺!?)アセアセ



 確かに世界で一番可愛いとはいえ実の妹に対して、あんな突発的に本音を漏らしてしまうなんて。



小町「い、今……何て言ったのゴミィちゃん!」ガシッ///



 プリン抗争を終結させる方法を一つ発見した。

 世の中の不毛な争いを続けている兄弟共、よく聞くが良い。

 それは、相手を可愛いと言うことなんて言える訳ねーだろ馬鹿か。



八幡「い、いや、よく覚えてねーなぁ……」



 あれ。

 俺、何でこんなにキョドってんの。

 まるで好きな人に間違えて好きってことを伝えた時みたいだ。その時はゴミ虫を見る目で通報されたけど。



小町「あ、あのねっ、小町的には今の発言ポイント高いから……その…」



 伏し目がちにチラチラとこちらの様子を覗う小町。あれ、こんな可愛い生き物新種じゃね。



小町「もう一回言って! お兄ちゃん!!」



 その目はキラキラと輝いていて、頬は紅潮し、口元は緩んでいた。

 俺はその眩しい宝石のような笑顔から目をそむけることができず、口の端が上昇しようとするのを抑えながら、極力声に感情を乗せず答える。



八幡「お、おぅ……かわぃ…な」

小町「………」



 分かっている。ああ、分かっているさ。

 人は感情によってトーンや口調が変わる。

 飲み会でイケメンが隣にいる時と俺がいる時では、声優の声と母親の声くらい違うだろう。


 今のは明らかに照れた声だ。しかも、兄妹としてではなく……いや、例え自分の心の中でもこれだけは言えない。


 とにかく、そんな声を兄弟姉妹から言われた日には、男側ならまだしも女側からしたら一生口を聞きたくなくなるほどの衝撃だろう。

 特にこの比企谷八幡から異性として見られてると知れば、いくら天使で無垢な小町でもきっと……。



八幡「………!?」チラッ



 以前、シェルブリッドの平塚先生に衝撃のファーストブリッドをくらったことがある。その時は内臓と言う内臓が一気に引っ越しを開始したくらいの痛みと衝撃だった。


 だが、この瞬間の俺はまるで抹殺のラストブリッドを受けたような、世界の破滅と再生を味わったような、そんなヤックデカルチャーが待っていたのである。


 




小町「……はぅ//// ぽいんとたかすぎだよぉ///」ウルウル



 両手で目を隠し、指と指の隙間から潤んだ瞳をこちらへ向ける。

 いつもの大地をしっかりと踏みしめた足は、ふにゃりと内股になって微かに震えている。

 元気と愛嬌に溢れたハキハキした口調も、ゆるふわ系も顔負けのふにゃふにゃした口調になっている。どこのくおーえるですか?

 とにかく、目の前にいる妹日本代表がいつの間にか恋人にしたい女の子代表に昇格していたのである。



八幡「こ、小町……?」



 RPGをしている時、敵と遭遇してたまに不意打ちのため逃げられない戦いがあった。

 俺はそれに対してリアリティを感じなかった。逃げられないほどの不意打ちってことはそれもう殺されてるでしょ。と、思うからだ。


 しかし、この時の八幡は完全に、



 不意打ちのため微動だにできない!



 状態だった。





小町「あ、あぅ……ちょ、ちょっとダメ、こっちみるなぁ///」


 両手で俺の目線を遮りながら、後ずさりをする小町。

 これはどんなご褒美ですか神様。

 漫画の中でしか存在しないと思っていた天使が、ここにいる。


八幡「お、おい、落ち着け小町……」


 この時。


 もし、もしも俺が小町に対して何のアプローチをとらなければ、他の兄妹より少しだけ仲の良い――そんな最高の関係を築けたかもしれない。


 だが、違う世界線で青春ラブコメを間違えまくっているこの死んだ魚のような眼をした男は、


 比企谷八幡は、




 やはり、選択肢を間違えるのである。




八幡「……もっと、可愛い顔を見せてくれ…」




 小町はさらに蕩けた顔でこちらを茫然と眺めていた。



し-ぎゃく【嗜虐】


人や動物に対して苦痛を与えることを好むこと。むごたらしい行為を好む性癖。


goo辞書より。




小町「な、何を言ってるのかなぁゴミィちゃん」アハハ



 少し冷静になったのか、小町は笑って誤魔化そうとしている。

 だが、すでに俺と言う平野に咲いた一輪の性癖は、今まで溜めこんできたストレスと鬱憤を糧にどんどんと成長をしていた。



八幡「なぁ、小町……」



 俺は、癖になっている(なんてことはない)音を殺して歩く特技(実際には思い切り音は鳴っている)で、一気に小町との距離をつめる。

 小町は俺の動きに驚いてはいないが呆気にとられた感じで茫然としていた。……いや、どこか“この先を期待している”?



小町「あ、あはは/// ……きょ、今日のお兄ちゃんならきっと友達百人できると思うよぉ///」



 人は知らない間に経験値を貯めている。

 俺がぼっちで磨き続けた他人を眺めるスキルは見事上級スキルに昇華していた。

 小町の視線の動き、身体の動き、口元の歪み、震え、表情筋、ありとあらゆる部分から感情を解析することができるようになっていたのだ。



 後は勇気だけだ。



八幡「俺は、友達百人より――」



 小町の顎に手を当て、クイと持ち上げる。彼女の恥辱的に感じているような、それでいて嬉しすぎて泣き出しそうな顔がはっきりと見て取れた。

 知りたい。小町の全てを。

 分かりたい。小町の心を。


 そんな建前も、押し寄せる本音にあっという間に潰されてしまった。



八幡(ああ、俺は……)




 小町の心を犯したいんだ。




八幡「お前の可愛い顔をもっと知りたいよ、小町」

今日はここまで!

この後、小町ルートを突き進むか、学校に行くか迷ってるので決まったら投下します!

おやすみなさい!

最初は隼人君だと思ってましたが、動機づけも兼ねて小町から行きます!
でも、皆が涎たらして期待してるエログロはないかと(エロは多少……ふんだんにある?)



 この気持ちを言葉にするなら何だろう。


 興奮?

 いや、確かに興奮はしている。……が、ただ単純に性欲のみから来ている訳ではないことは、八幡の大神宮がお祭りを始めていないことから分かる。

 
 高揚?

 いやいや、そんな修行のような、己を高めるような行為ではない。もっと下劣で低俗な自分の中に巣食う暗い感情に餌をやるような……。



八幡(ああ、これだ。〝破壊衝動”)



 俺は、それを満たそうというのだ。

 小町の戸惑いつつも幸せに満ちたこの表情を。

 もう今後二度と俺に向けて、そんな照れた顔を見せてくれる女性は現れないのが分かっているのに。


 〝どうしても壊したくなる”


 今ここで押し倒しても、それは満たされない。

 たとえ、性器をぐちゃぐちゃに犯したところでお互い何かしらの得るものを得て終わってしまう。



 違う。そうじゃない。



 たった今、比企谷八幡を支配している願望はもっと貪欲で純粋だ。

 もしも、もしも嫌がる小町を押し倒して胸を揉んだとして、太ももを撫でたとして、秘部の吸い込まれるような感触(想像)を体験したとして、


 小町と俺に兄妹以上の、重い関係ができてしまうことは絶対にあってはならないのだ。


八幡「小町、髪の毛撫でて良いか?」


 時に身体は心を凌駕する(フル勃起)。




小町「えっ、あ、うん……///」



 何だろう。違和感。何だろう。虚無感。

 ああ、そうだ。

 今の小町の反応は、まるで恋愛ゲームの超ハイスペックリア充主人公を前にした雌豚のようなんだ。

 基本的に自分には優しくしてくれる。甘やかしてくれる。王子様のように優しく包み込んでくれると信じて疑わない恋する少女のそれなんだ。


 全く、甘ったるいのはMAXコーヒーだけにして欲しいぜ。俺は砂糖抜きどころか抽出されてしまったスーパーエリートブラックコーヒーだぜ? そんなのは期待するだけ無駄だ。



八幡「お前の、髪、すごく綺麗だな」



 あれ。

 俺の中にまだこんなにも甘味が残ってたのか。


 右手は小町の左ほほを爪の甲で撫でるように、ゆっくりと側頭部へ移動していく。


 小町は両目を閉じて、俺の動きに合わせて口をだらしなく開いたり閉じたりしている。その顔はまさに恍惚と言った感じだ。下賤ながらあそこはもう濡れてるんだろうなぁとか想像してしまう。

 やはり俺の息子は変わらずフル勃起だ。



 だが、身体が喜びの唄を謳えば謳うほど、心はどんどん萎んでいく。



 それは、運動でシミュレーションに対してパフォーマンスが追いつかなかった時のような、夏休みの宿題で一日のノルマに到達しなかったのにゲームをしてしまった時のような、己に対する強い罪悪感と虚無感に似ていた。



八幡「小町……」



 時に罪悪感は人を間違いへといざなう。

 俺の心臓は張り裂けそうな勢いで脈を打っていたが、それでもその先に進みたいという開拓精神は勇敢にも兄妹の一線を軽く越えてしまうのである。



八幡「……抱きしめても、良いか?」



 ガールフレンド(間違い)がテストオープンしたようです。



 ここで、人間が動物よりも優れている点をあげよう。

 それはシミュレーションの多様性と速度である。



 特に自身に苦い思い出がある場合、この場合で言えば告白して翌日には全校生徒に知れ渡っていたという八幡エピソードを持つ俺の脳は小町の反応をすごい勢いでシミュレートするのである。


小町『はぁ? ごみぃちゃんキモイんだけど』

小町『いやっ、こないでっ』

小町『サイテー!』

小町『……ごめんね』


 最後が最もきつい。というか死ねる。

 小町の優しさと本当に無理なんだという結果が俺を殺してくれるだろう。

 おそらく十数の結果はシミュレートしたと思うが、そのどれもがバッドエンドなのは比企谷八幡という人間が慎重で控えめな性格だからだ。決して今までの人生で成功経験がないから、ではないぞ良い子の諸君。



小町「うれしい」



 ほらな。

 恨めしい。なんて聞きなれた言葉だ。

 結局のところ俺なんて人間は誰からも好かれないし、求められないし、笑えないのである。

 今後どんな出来事があろうとも、俺は俺の恋愛能力を信じないし、一生一人で生きて―――え?



八幡「え、今……え?」

小町「もうっ、二回言わせるのは反則でポイント没収だよゴミぃちゃん!」カァ///



 全身で可愛いを表現している小町は、とうとう表現力においても可愛いの壁をぶち抜いたようだ。

 はぁはぁ。

 ダメだ。ダメダメ。たとえ自分が童貞だからって処女の女の子の初エッチを無茶苦茶にしていい権利はあるか?

 落ち着け、俺。

 ちゃんとリードするんだ。

 男だろ。

 うわ、なんだこれ、思考がまったく定まらない。

 どくんどくんどくん。

 何の脈動だよ。まだ出てねーよ。



 



八幡「こ、小町……好きだ」ハァハァ

小町「………」コクリ///



 いいのか。

 いいんだな。

 触るぞ。撫でるぞ。楽しむぞこの野郎。いや、この天使様。



 ゆっくりと、その柔らかさを確認する。

 まずは腕。


小町「にゃはは、くすぐったいよお兄ちゃん」エヘヘ///


 二の腕とおっぱいの感触は同じだという俗説があるが、もしそれが本当なら、たった今俺は小町のおっぱいの硬さを知ったこととなる。


八幡「お前のおっぱいって思ったより硬いんだな」

小町「へっ……」


 しまった。

 あまりにもの感動に、つい、つい言ってしまった。


八幡「あ、いやっ、ちが――」

小町「……確認、してみる?」

八幡「ふぇっ!?」カァ///

小町「……いいよ。お兄ちゃんになら…」モジモジ///


 こうして、家族の団欒を演出するリビングで、俺は節操もなく小町の胸に両手を当てたのである。


八幡「おまっ、着けて!?」

小町「ふぅっ、んっ///」ビクッ


 いきなり訪れた小さくて硬い粒のような感触。上級者はこれの為に生きるというが、なるほど、女性が最後の最後まで隠しているその部分を見ることなく確かめる行為は確かに興奮を更なる高みへ押し上げてくれるな。




小町「いやぁ……/// だって……その…」モジモジ///


 はっきりと言わない。

 それが男の妄想力を何倍にも引き上げる。

 なぜブラジャーを着用していないか。

 暑いから。

 痛いから。

 洗っててないから。

 変態だから。

 おい、八幡。お前この期に及んでマイナス思考全開ですか。


八幡「お、俺のために?」


 俺の為にブラジャーを着用しないというのも変な話だ。何で俺がノーブラ趣味だって知ってるんだこいつ。

小町「……ねぇ、お兄ちゃん…」ハァハァ///


 人生というものにはキッカケがある。

 先ほど強制スイッチを押され、こんな展開になった俺には更なるスイッチが待っていたのである。


小町「にゃんで……抱きしめて…くれないのかなぁ……」モジモジ


 ポチッ。

 ここで、比企谷八幡というアイデンティティは一つの完成を迎えた。


八幡「抱きしめて欲しいのか?」ニヤニヤ


 その形は、やはり歪んでいるのである。

いったんここまで!

ちょっと地の文がしつこいかな。

もしかしたらすぐ再開するかもしれませんが、離れます!では!

今電車の中で読んでたけどマスクって最高だな
つけてなかったら気味悪がられてた所だわ

>>24
こっからが最も気持ち良い(悪い)所です!

時間出来たので続きー



小町「………」モジモジ///


 葛藤。

 それは、イエスとノーのガチンコ勝負ではない。

 自分と折り合いをつけるための時間。

 どうすれば本心を正当化できるか、どうすれば自分の中の少数派を押さえつけることができるか試行錯誤する時間。


 その会議の時間は人それぞれだが、小町の場合は普段が(考えなしに)テキパキと物事を決めるタイプなので、逆にこういう場合は時間がかかるのだろう。


小町「………」チラッチラッ///


 しかも、その会議において普段発揮されない女の部分――いわゆる女々しい部分が主導権を握るのである。


八幡(あー、俺から誘えってことか……)


 今までの俺なら、やれやれと言った表情で内心ハッピーフェスティバルの癖に「しょうがねぇなぁ」と言った具合に妹を甘やかすのだが……。


八幡「なんだ、したくないのか、それじゃあな」


 と、横の扉からリビングを出たのである。

 「あ」という、消え入りそうな声は俺の中にある支配欲を存分に満たしてくれた。

 小町の中で今、俺という存在があふれかえっていると思うと、自然と笑みがこぼれてくる。


 事態はどんどん悪化しているというに。


 



 コンコン。


 何度目のノックだろう。

 二回目はコンココン、四回目はココンコンコンコンココンだったから、五回目か。

 定期的に訪れる怪現象も、発生源が小町ならハッピータイムに変わる。

 だけど、まだ反応はしない。

 小町。

 お前が俺の妹だというのなら、その先を、相手の求めているものをはっきりと提示してくれるはずだ。




 ――ン、ショ。



 
八幡(何の声だ?)


 俺が求めているもの、それは手紙やらラインやらの〝物的証拠”。

 たとえ、ここでドアを開けて小町とイチャラブタイムを楽しんだところで、それは一時の快楽的行動。

 プリン抗争のように、冷静になった小町にすっとぼけられたら終わりなのだ。


 それは、自分に自信がないことの現れ。


 小町が俺なんかを好きになってくれる〝はず”がないというマイナス方向の確信。


 しかし、この時ばかりはゴミィちゃんも小町の行動に思わず飛び上がったのである。





 ―――そう、ご想像の通りドアの隙間から押し入れられたのは、〝脱ぎたてのタンクトップ”だ。




 



 これから、タンクトップ突撃作戦の有用性について数レスに及んで説明を始めるわけだが、って数レスって何言ってんだ俺。

 その前に、疑問を一つ解消しよう。


 〝なぜ脱ぎたてだと分かったか”だ。


 先ほどの服だったから。違う。

 小町がそう言ったから。違う。

 真実はいつも一つ。



八幡(温かい……)スリスリ



 ゴミィちゃんは、どこまでいってもゴミィちゃんなのだ。

 そして、ここからタンクトップ突撃作戦について、ゆっくりと論じていくこととしよう。

 幸い小町は大きなミス―――タンクトップを俺が取ったかどうか確認することを怠ったからだ。

 俺なら、シャツの端だけ残しておく。



 鯛を釣るために必要な物はエビでも高級なエサでもなく―――釣り針と糸だ。



 だから、小町は今頃きっと悶々としているだろう。

 小町の考えている通り、お兄ちゃんはタンクトップに顔を埋めているというにな!!


 

続きを行きたいですが、忙しくなったので一旦離れます。

小町編はこんな感じで地の文主体ですが、「」の前の名前と「」の後の効果音的な擬音は入れていくことをご了承下さい。


 それでは、お悩みの読者のためにこの駆け引き研究会会長比企谷教授が説明してしんぜよう。こらそこ、教授は駆け引きする場面に遭遇しないとか言わない泣いちゃうから。そもそも読者って誰だ。


 まず、普通の人間、そうだな……葉山グループのテンション高い奴らならこう答えるだろう。


「つーか、パンツっしょ(笑)」


 留年確定。いや、退学だ。お前らみたいなリア充に駆け引きなぞいらん。押しに弱いビッチと付き合ってろ……由比ヶ浜以外のな。

 話はそれたが、パンツはダメでタンクトップが素晴らしい理由を述べる。



 まずは“耐性”だ。



 小町のパンツはそれはそれは優れている。どのくらい優れているかと言うと、視覚聴覚触覚味覚嗅覚……なんと五感全てでよい刺激を与えるではないか。世に言うクンカクンカは小町のパンツを嗅ぐ時に使うものなのだろう。

 だが、認めたくないが、人は……飽きてしまう生き物なのだ。



八幡「小町! 俺はお前のパンツを一生大切に育てられるぞ!!」



 ――ガタガタッ!


 しまった。どうやら小町は俺の微かな動きすら察知しようと壁に張り付いていたらしい。……まぁ、どうせ持ってくるつもりだったんだろうがな。



 つい自分を言い聞かせるために叫んでしまったが、それでもやはりいつか心は満たされなくなってしまうだろう。

 それは人間が愛ゆえに強く求めてしまう生き物だからだ。


 いきなりパンツを渡すことは究極的に言えば、「私を抱いて」の行動表現なのだ。きっと俺は小町を抱いてしまう。


 だが、勢いに任せて小町を抱いて、抱いて、抱いて、抱いたところで何が生まれるのか。いや、何も生まれない。

 ただただ、比企谷家の兄と妹の間に“耐性”ができてしまうだけだ。

 そして、いずれパンツを渡されても俺は「自分で洗ったら?」と言ってしまうだろう。その時のために俺は枕元へ拳銃を仕込んでおくことにしよう。



 次に“処女性”だ。


 何も言っていない俺に対してパンツを渡す。

 俺は喜ぶか喜ばないか小町には分からないはずだ。



 なら何故パンツを渡す?



 何故比企谷八幡がパンツを求めていると知っている?

 俺はパンツコレクターなのか。いいや違う。

 俺はパンツ職人なのか。パンツの作り方すら知らない。



 つまり、男にパンツを渡すと言うことは、“男がパンツで喜ぶということを知っている”ということである。



 そうだ。さっきのミスを挽回しておくことにしよう。

 小町の部屋に向かって、叫ぶ。


八幡「男にパンツ見せる女なんてただのビッチだよなーーーー!」



<エッチョッウワッ!!



 どてん、という振動が微かながら響く。

 どうやら、片足を上げた状態で転倒したようだな。何をしていたのやら、にやにや。



 話は戻るが、処女性の低さは致命傷を招くことがある。

 由比ヶ浜なら何も問題はない。男子の前で平気で裸になるような女だ(比企谷イメージ)。

 だが、例えば雪ノ下ならどうだ。

 あの女が人前でパンツになる。しかもまるで嬉しそうな顔で。



 あれ、問題ない……?



 それなら戸塚彩加ならどうだ。



八幡(裏声)「八幡、チンコ見せ合いしようぜ」



 うわぁああああ!! 俺の天使ぃいいいいいい!!




 ……さて、すっきりしたところで話を再開する。


 雪ノ下なら悪くはなかったが、小町がダメな理由。


 それは、“妹属性”と“天真爛漫”さにある。


 あくまで一般論だが、妹は兄の前でも平気で下着姿になる場合が多い。

 だがそれは、あくまで家族を異性として見ていないからだ。

 そんな奴にいきなりパンツを渡されて「好きです」なんて言われたらどう思う世の中の兄よ。


「は? 何? 勝手にプリン食べただけだろ?」


 なんて思うだろ。そこに愛情なんて感じない。ただただ裏を疑うだけである。

 さらに、先ほど言った処女性を失うことは兄妹感での恋愛において大きな障害となる。

 なぜなら、男は綺麗なものを汚すことに快感を覚えるからである。これ重要ね。

 使い古された妹などリスクしかない。例え小町が最高の天使でも、100人の男を受け入れた後ではさすがに魅力を感じない。そんな俺を殴ってやりたいが、感じないのだ。


 さらに天真爛漫な小町の性格が俺の妄想に拍車をかける。


 内向的な妹が相手なら、「お、おい、いきなりこんなことしてどうしたんだ!?」と驚くところが、

 外向的な小町が相手なら、「お前、外でもそういうことやってんの。うわ、引くわ」となってしまうのである。



八幡「でも、どんな小町でも俺愛してるからー(音量調整)」


<モモモ、モウイッカイイッテ!!


 え、また扉の方に戻ってる。はえーなあいつ。

 まぁ、以上の点において、“いきなりパンツ”はダメなのである。



 ふわー、小町のランニングまじ甘い匂いする。なにこれやめらんね。



 



 では逆に、タンクトップの有効性について述べる。


 まずは“将来性”だ。


 将来性と言ってもタンクトップはパンツにならない。もちろん小町にもならないしお金にも……お金にはなるか。絶対嫌だけど。

 何かと言うと、タンクトップの次があるということだ。

 パンツの後は小町本人。つまりゴールだ。しかし、タンクトップの次はスカートやパンツが待っているんじゃないかという期待感が押し寄せてくるのである。


 先ほどと一見矛盾するように感じるが、小町みたいな計算高い妹がタンクトップで終わる訳がないと思うのは道理だろう。
(処女性に関してはあくまで行動の“結果”であり、この計算高いと言うのは一緒に過ごした“過程”から来るイメージである。つまり計算高い=処女性がないということではないのだ。もちろん、こちらが要求した訳でもないのにスカートやパンツを差し出せば計算高いビッチに認定されるため小町にとってもリスクが高い行動ではあったのだが)


 もしかしたらパンツを用意してくれているのではないか、それがなかったとしても要求すれば脱いでくれるんじゃないかという妄想が止まらなくなってしまう。



八幡「小町ぃいい! 俺は白以外認めないぞぉおおお! もしくは縞模様だぁあ!!!」



 再びどたんという音が響く。

 どんな色だったのかは気になるが、急いで白か縞模様を用意してくれていると思うと、大好きが天に上るようだ。



 俺はいつまでこの話を続ける気なのだろう。もう少し続くけど。



 




 最後に、これは狙ったのかどうか分からないが、今にして思えば今回のMVPだとさえ思えてくる効果がある。



 それは“さっき胸を揉んだ服”であるということだ。

 想像して欲しい。

 このタンクトップの裏、ひっくり返して匂いを嗅いでみる。うん、洗剤の良い匂いだ。



 この部位は小町のぽっちが当たっていた場所である。



 小町のぽっち=極上のピンクであることは確定しているのだが、それがここと触れていたのである。

 これには八幡祭りも打ち上げ花火タイムだ。

 ちょっと膨れてるように見えるのは気のせいだろうか。外側から素早くこすってみる。もしかして小町あえいでないかな。



 もしブラジャーを着けていたとしても、上半身の大部分を直接覆っていた布だ。これを抱きしめることは小町を抱きしめることと同意義である。同意義ではないけど。




 八幡教授の講座が終わったタイミングで、再びノックの音が響いた。



<コンコンコンコン



 ……あれ、なんだろうこのリズム。

 こんこんこんこん。

 どこかで聞いたことがあるような……。

 こんこんこんこん。



 あ。



 だ・い・す・き。

 全く聞いたことはなかったが、きっとそれだ。

 俺は、ドアノブに手をかける。しかし、それを下ろしたりはしない。



八幡「小町、ドアノブに手を当てて」



 さぁて、八幡祭りは始まったばかりだ!




小町「持ったよー」


 扉一枚向こうで小町の声が聞こえる。

 今すぐ大好きだよと言ってやっても良いが、それではただのイチャラブだ。

 今の俺にそんなものは必要ない。



 小町には一生忘れられない最高の時間を与えたい。



 その考えは処女ハンターが処女を狙う動機に近いが、俺の場合はもっと挑戦的だ。



八幡(小町の心を一生支配するような……)



 多くの人間には理解してもらえないかもしれない。

 だが、俺の中に巣食ったドロドロした想いは、小町の透き通った誰も触れたことのない部位を荒々しく侵し尽くしたいと考えていたのである。



八幡「小町、兄ちゃんの事が異性として好きなら開けてくれ」



 舞台が第二段階へと移行した瞬間だった。


キリが良いのでいったん離れます!

もう少しだけお互いが触れあえない状況が続きますが、このssは基本的にはイチャラブss(の予定)なので、お預けのまま邪魔が入って終わるなんてことはありません。不安になっている方は安心してください! では!

寝ようと思ったら寝れん状況になったので続きいきます!




小町「えっ」



 一瞬、動きかけたドアノブがぴたりと止まる。もちろん、俺が動かないように押さえてたこともあるが、小町の中で一気に葛藤が膨れ上がったのもでかい。



八幡「………」



 俺は、黙る。ただひたすらに。

 それは、獲物を狩る肉食動物のように、ジッとチャンスを待ち続けるのである。


小町「や、やだなぁ。いきなりそんなこと言われたら小町困っちゃうよー」


 声の震えからして困るってレベルではないと思うが。

 それにしても、肉食動物というのはいかに楽な立場にあるのか分かるな。


 例えるなら、小町の立っているのはサバンナにある豊富な餌場。もしくはオアシスと言ってもいい。

 そこで草食動物小町は餌を美味しそうにもふもふもふもふ食べている。……うぁ、可愛いすぎ…。

 ここからは葛藤との勝負だ。

 美味しい餌をこのまま食べ続けるか。

 それとも肉食動物を恐れてその場を逃げ出すか。

 だが、現状肉食動物が視えない状態で何の根拠もなく逃げ出すことなんてできない。


 だから、きっかけを求める。


 彼ら草食動物が広範囲を見るために目を横につけ、いつもキョロキョロと周囲を見回す理由は天敵である肉食動物から逃げるためではない。



 ―――きっかけが欲しいのだ。



小町「な、なーんも言ってくれないのは小町的にポイント低いなぁあははー」


 ほーら、草食動物小町がひんひんときっかけを欲しがっている。

 だがしかし、肉食動物八幡に隙はないのだった。




八幡「……好きだ。小町」



 ―――グイィイイ!!


 ドアノブが一気に引き下ろされそうになる。



八幡(くっ、俺の反射神経なめんなよっ)グググッ


小町「お兄ちゃん!? 何で開けてくれないの!?」ドンドンドン


 罠にかかった草食動物に―――逃げる術はない。



小町「好き! 私も好きだからお兄ちゃん!」グイグイ


 今、小町はどんな表情をしているんだろう。

 にやけてるのかな。泣いてるのかな。必死なのかな。

 想像するだけで全身が熱くなる。



八幡「それは、異性としてか?」



 ぴたり、とドアノブの動きが止む。

 俺は安心して手を放す。なぜなら次に開くのは“小町が認めた時”なのだから。



小町「ね、ねぇ、そのことについては中で話がしたいなーなんて」



 小町はあくまでも、許しを得てから入りたい。だが、俺は許可を下ろさない。



八幡「小町のタンクトップ」



 少しだけ間を空ける。五秒か十秒程度。

 それだけで、小町は様々な思考を巡らせるだろう。

 俺は小町の妄想の中で“最も求めている”であろう言葉を渡す。



八幡「……俺の中で小町が……お前がいっぱいになった……」



 がちゃり。


 自動ドアでない限り、ドアノブが下りた理由は一つ。









 瞳を潤ませた小町が、くしゃくしゃの顔で笑っていた。



「お兄ちゃん、小町は……小町は…





 八幡のことが異性として、好きです」





 カチッ。

 また一つ、比企谷八幡のスイッチが強制的にオンになった。





八幡「え、マジで?」





 無表情で、感情を殺して言えただろうか。

 キョトンとした表情の小町が、今までの人生で一番―――可愛かった。







小町「え、な、なんで……」ウルウル



 小町の目がまたたく間に涙を溜めこむ。

 その表情だけでご飯三杯はいけるが、俺に必要なのはただ単純なイジメではない。



八幡「俺……小町の言葉……冗談だと思ってた…」ハハ…



 まるで信じられないといった表情を演出する。

 小町の顔にみるみる絶望の色が宿っていく。



小町「……から…か…ったの?」



 小町はプルプルと小刻みに震え、視線を下に落とす。


 ぽたり。


八幡「!!」ゾクッ


 全身に鳥肌が立った。

 俺は今、小町の全てを支配している。

 小町が今、マイナス方向へ思考を走らせていることさえ、俺に用意された道なのだ。


小町「ひどい……よ…」ポロポロ


 もうダメだ。耐えられない。

 いますぐ抱きしめてこの想い伝えたい。

 世界で一番愛してるのはお前だよ、と。そう言ってやりたい。


 だけど、まだ、もう……少し―――、




八幡「冗談だと思ったから俺から言おうと思ってたのに!!!」






 

 あーあ、言っちゃった。

 まぁ、俺だって性癖より理性が勝つこともあるよね。ていうか理性だけで生きて来た訳だし。



八幡「好きだ小町! 愛してる!!」



 ぎゅっと抱き寄せる。



小町「ふぇあっ!?」カァ///



 すごく、柔らかくて、甘い匂いのする俺のだけの小町が両目を見開いて状況を飲み込めずにいる。


 俺のフルバーニアがおへそ辺りに当たってたけど、そんなのどうでもよかった。


 禁断の果実をもぎ取った瞬間だった。




小町「お、お兄ちゃん?」オロオロ



 普段クールが代名詞の俺がこんなにもテンションをあげていることは、小町にとって驚き以外の何物でもなかったようだ。



八幡「あ、ああ、すまん。危うくテンション上げ過ぎてキスするところだった」



 もちろん嘘だ。芯は冷え切っていて思考はクリアだ。



小町「ちゅ、ちゅー!?」カァ///



 わざわざ言い直す所がすごく可愛い。よし、そこをいじろう。



八幡「なんで言い直したの?」

小町「も、もうっ、どっちでもいいでしょっ///」



 小町はギューーーッと俺の背中を掴んだ。脂肪の少ない俺の背中はけっこう痛い。



八幡「ねぇ、なんで?」

小町「………///」モジモジ



 あー、すげぇ良い匂い。おへそに当ててる俺のメガ粒子砲が発射されそうだわ。



小町「……ゴミィちゃんに可愛く思われたかったから…///」モジモジ

八幡「そんなに可愛いのに?」

小町「バカっ///」カプッ



 おいおい、この天使、俺の鎖骨をハムハムしやがったよハムハム。可愛いにもほどがあるだろ。



小町「うーーーっ……」ハムハム///

八幡「………」



 うーん、このままうなじの観賞会も良いが、それじゃあ俺が責められっぱなしだな。



八幡「いただきます」

小町「えっ……ひゃっ///」ビクッ



 生まれて初めての首筋は、今まで食べたどんな魚よりも美味しかった。






八幡「はむっ……ちゅっ、じゅるっ」



 やべ、とまらね。あんだけこの行動は性欲と関係ないって言ってたのに。



小町「ふぁ……ら、らめだよはちまん///」

八幡「何でいきなり呼び捨てなの?」

小町「だ、だってぇ///」モジモジ

八幡「だってって、お兄ちゃんにもゴミィちゃんにもはちまんの文字がないよな。それなのに、何であんな本能のままに出て来たの?」

小町「そ、それは……///」



 顔を真っ赤にする小町。ほんの少し小町の匂いが強くなった気がする。



八幡「もしかして、俺の名前呼んだことあるの?」

小町「っ/////」ビクッ



 ギューーーッと俺の身体を締め付ける小町。胸元に顔をうずめ、グリグリと動かす。



八幡「なぁ、もう一回呼んでくれよ」ペロッ

小町「ふぁっ///」ビクンッ


 小町が俺に全身の体重を預けてきた。さっきからおっぱいに手が当たっているが、お互い気にもならない。はぁ~、もっとモミモミしたいよぉおおおおお! ……落ち着け俺、小町の中で俺以外どうでもいいくらい支配してやるんだろ。


八幡「はやく」カプッ

小町「そ、そんなことされちゃ/// 小町言えないよぉ///」

八幡「………」サッ

小町「ふぇ?」


 俺は急いで小町から距離をとり、椅子に座る。


八幡「ほら、離れたぞ。言ってくれよ」


 小町の寂しそうな表情、寂しそうな身体は、今までのどんな女優より艶めかしかった。



小町「……は、はちまん…」モジモジ///

八幡「おう」

小町「……八幡…」エヘヘ///

八幡「ん」



 俺は両手を広げ、小町を迎え入れる体勢をとる。



小町「八幡♪」ニシシッ



 小町は俺に抱きつくより名前で呼ぶことに気を良くしたのか、とても楽しそうに何度も何度も名前で呼んだ。



小町「はーちまんっ♪」

八幡「おう」クンククンカ

小町「はちゃっ!?」ハッ///



 ここで取り出すはタンクトップである。

 小町が嬉しそうな恥ずかしそうな何とも言えない表情で立ちつくしている。



八幡「やっぱ本物の方がいいな」ボソッ



 ギリギリ聞こえる声を出した。もちろん小町には十分聞こえる声で。



小町「く、くさいよぉ……///」

八幡「ふーん、くせっ」ポイッ

小町「にゃーーっ!!」コラーッ



 怒った表情(もちろん目はにやけているのを隠せていない)で飛び込んでくる小町。マジ可愛い。



八幡「………くんくん」

小町「だ、だめっ/// ダメだよ八幡っ///」

八幡「くせっ」

小町「………」プクーッ

八幡「俺だけが好きな、俺だけの知ってる小町の匂い」クンクン

小町「……バカ…」ギューッ


 まぁ、最初の試合にしては上出来と言ったところか。

 その後、しばらく抱き合ったまま何も喋らず、ご飯の時間まで温度を共有していた。


 これからのことを考えると、夜の一人プレイがいつもより激しかった。

 翌日学校だと思うと、賢者タイムが恐ろしく長く感じたのだった。



八幡の嗜虐レベルが1上がった!


小町との関係が【背徳的】になった!


続きは夜になると思います! では!

ただいもー。

次からは学校編になりまする。

誰から攻略するかは決めてないけど……




 あの日、小町に強制スイッチを押されて以来、俺の世界は変わった。

 以前まで、カーストなどというカテゴリで分けていた人間達が、全員豚に見えて来たのである。

 小町に対して存在していた愛情がない分、その嗜虐心は容赦なく牙を剥いていた。



戸部「隼人君マジかっけー」



 その性癖はもちろん男に対しても向いている、いや剥いている。

 特にカースト上位の人間達が小動物のように萎縮してしまう様を想像すると、自然と笑みがこぼれてくる。



結衣「………」ジーッ



 おいおい、お前に用はねーんだよビッチ。

 小町は愛があったから相手したが、基本的に俺の嗜虐心の対象相手は俺に対して敵意がある方が良い。

 舗装された山道なんかに興味はない。あるのは荒れた獣道をありとあらゆる兵器をもって悠々自適に登ること。



三浦「結衣さぁ、さっきからヒキオ見すぎじゃね?」

結衣「そそそ、そんなことはないしっ」



 由比ヶ浜が可愛い事はこの際認める。今の俺にとってそんなことはどうでも良いから。

 だが、俺の心はゆっくりと三浦の方向へ動いて行き―――、止まる。



葉山「優美子、今日放課後どうする?」



 葉山隼人。

 やはりまずはてめーからだ。


 俺は寝たふりをするように机へと突っ伏し、肩を震わせた。


 笑いを堪えるのは難しいもんだ。


 




 葉山隼人をターゲットにして一週間が過ぎた。

 ぼっちのポジションを不動のものとしたせいか、なかなかうまい事アクションがとれない。


 そんな邪な考えで学業をこなしていたせいか、平塚先生から呼び出しを食らった。


平塚「比企谷。お前、これなんだ」パシパシ

八幡「えっと、俺の将来の予定っすけど」


 課題の内容は大まかな人生プラン。多くの生徒が大学へ行ってどこぞの企業へ就職などとテンプレ回答をするのだろう。それを指導しないのは生活指導の教員として怠慢だと思いますが、平塚先生。

 もちろん、今殴られても面白くも気持ち良くもないので言わない。

 だが、いつでもカウンターを食らわせてやるために、俺の中で理屈をこねあげる。


 大学へ行って企業に就職すると言う人生プラン。

 それは本当にプランなのか。

 否。

 本当に狙っている企業があるならその企業名を書くべきだし、その企業へ行くべきにはどこの大学へ行って、そのためにはこれくらいの勉強をするべきだ、と、それくらい計画してやっと人生プランの入口に立ったのではないか。


平塚「比企谷。お前、主夫ってなんだ主夫って」

八幡「先生知らないんですか? あなたが将来作るべき形ですよ」


 と、そこまで言ってしまったと後悔する。

 なぜここでわざわざ殴られる理由を作った。

 ただでさえアラサーの独身を相手に、結婚話はタブーだと言うのに……。



 しかし、彼女の反応は意外なものだった。



 



平塚「お、お前/// そ、そういう意味だったのかっ!?」カァ///


 は?

 何言ってんのこの行き遅れ。


平塚「だ、だが、君と私は教師と生徒と言う関係であるからして、例えそのような気持ちがあっても私は絶対に答えることはできない/// だから、その、嬉しいが……すまん」


 ドクン。


 あれ……なんだこの気持ち。


 似ている。


 あの、思春期特有の……年上の女性に憧れるような……、




 年上の泣き顔を見て、興奮するような感情に。




 やはり俺の思春期も歪んでいるのであった。まる。



八幡「お、おお、俺っ、ほ、本気だったのに!!」ガタッ



 前哨戦だ。軽く遊んでやるよ、静。



 



 職員室に呼びだしたのがまずかったな、静。


平塚「お、落ち着け比企谷。ここはちょっとまずい」ボソボソ


 かなーり落ち着いてますが、平塚先生。

 心臓が張り裂けそうなのはあなたじゃないですかね。


 幸い昼休みも終わりに近づいていたため、教師の数は少ない。それでも数人の教師がチラチラとこっちの様子を見ている。あ、もちろん幸いなのは平塚先生にとってだけど。


八幡「だって! こんなにも俺の事を考えてくれるのはあなただけじゃないですか!」


 勢いよく立ちあがり、大きな手振りで平塚先生の活躍を訴える。

 聞く人が聞けば美談だが、下衆な人間が聞けば変に捉えるだろう。


平塚「そ、それはお前が生徒だからだっ」アセアセ///


 顔を赤く染めて言っても説得力ないですよ先生。

 でも、気付かなかったな。この人、こんな可愛く笑うんだ。

 この場合の可愛くとは顔の造りではなく、嗜虐心をそそると言う意味だが。


八幡「慕っているんですよ! 平塚先生!!」ニヤニヤ


 気づけ。

 俺の表情に何一つ心がこもっていないことを。



 あなたを苛めるためだけに演技していることを。



 今、俺の心はあなたでいっぱいですよ、静。



平塚「………///」カァ///


 は?

 いやいやいや。

 この人って、マジで公私混同する人なの?

 俺けっこう尊敬してましたよ。



八幡「あの……俺、外の空気が吸いたいです」



 ほら、喰いつけよ雌豚。

 俺はあなたが教師として俺を心配してくれてると思ってたのに。

 まさか見返りを要求していたとは驚きだ。



平塚「そ、そうだな。よしっ、ちょっと外へ行こう!」クルッ///



 そんな簡単に決めて良いのか静。

 ここにいる人たちは俺の手の位置を凝視しているぞ。




 腰の位置に置かれた俺の右手を。




 もちろん、触れてはいないけど。

 



 中庭。いや、ダメだ。今後の展開を考えると、なるべく教師と生徒の噂なんて立って欲しくない。馬鹿な奴はそれの一点張りで勝負しようとするだろう。そうなったら、めんどくさい。


平塚「こ、校舎裏……」ゴクリ///


 何想像してんだよこの人。頭に花が咲いてんじゃねぇのか。

 多くのプランが頭に浮かんでは消えて行く。

 ほら先生。俺はこんなにプランを立てるのが上手なんですよ。


 もちろん、そのどれもがあなたを泣かせる(良い意味でも悪い意味でも)ためのものですが。


 そうだな。

 これから先、俺は獣道を歩むのだから、覚悟が必要か。

 よし、引き返せないと覚悟を決めるための相手としては十分だな平塚静。


平塚「あ、あのな、比企た―――」グイッ


 例えあなたが俺を暴力で支配しようとも。

 例え俺があなたに対して怯えた態度をとってきたとしても。


 ―――ちゅ。


平塚「へ?」キョトン


 男の腕力に勝てると、本当にそう思っていましたか。


八幡「可愛いな、静」グイッ


 右手で平塚先生の後頭部を掴み、無理やり唇を奪う。


平塚「んっ!?///」


 今度は何が起きたか分かったのか、両目を見開いて顔を真っ赤にする。

 早く振りほどけよ。

 俺はあんたとラブコメがしたい訳じゃないんだ。



 ―――苛めたいんだよ、静お嬢様。



平塚「や、やめろっ///」バッ



 よしよし、それで良い。




平塚「お、お前、分かってるのか!? ここは学校だぞ!!」ハァハァ///



 欲情した女の顔で言われても説得力ないですが。

 肩を小刻みに震わせて、両目には涙を溜めて。

 手は力み過ぎてグーのまま震えてるし。


 なんか思春期の処女みたいだなこの人。



八幡「そ、そうですよね……。ごご、ごめんなさいっ!」バッ



 俺はすかさず土下座をした。

 思い切りおでこを地面に擦りつけ、人が気付かない程度に叫ぶ。



平塚「お、おい、そんなことを望んではいない……」オロオロ



 プライドを持って人生を歩んできた人間にとって土下座をある種の神聖視している節があるが、俺にとって何のことはないただの行動だ。自尊心が傷つくことなど一つもない。



八幡「で、でも、俺っ、先生に好きな人がいることも確かめずにっ」



 ここで優秀な嗜虐愛好家の皆さんならお気づきだろう。

 相手を苛めることにおいて一番重要なことは、そう―――相手に言葉で好意を伝えないと言うことだ。


 何が本気かも言っていないし、慕っていると言っても異性としてとは明言していない。


平塚「わ、分かったから顔を上げろ」グイッ



 ―――ちゅっ。



平塚「ふぁっ///」



 乙女の声が口から洩れる。ちょっとタバコ臭いのが嫌いだな。

 だが、それも嗜虐心には勝てない。

 俺は土下座から顔をあげた体勢のまま、平塚先生の身体を引っ張り込む。



 そして、容赦なく口の中を犯しにかかる。



平塚「んっ/// はむっ……じゅっ…んお、ぃ……///」グイグイ


 先ほどよりも弱い力で俺を押す。

 だが、俺は痣になるほど平塚先生の肩を強く握る。


平塚「んんっ/// ふぁっ/// やぇろっ///」トローン


 彼女から力がどんどん抜けて行く。

 ここで握る力を抜けば、おそらくこの痴女教師は抱きついてくるだろう。

 だが、それでは意味がない。俺はさらに手の力を強める。


平塚「んっ!? ふぁ、ふぁちふぁんっ!?」ギュッ


 両目をつぶるほどの痛みが彼女を襲ったのだろう。両目からは涙がこぼれていた。

 そろそろか。


八幡「す、すみませんっ」パッ


 顔と手を離す。

 一瞬安堵した平塚先生の顔を確認すると、すかさず――。


平塚「……へっ?」ギュッ


 強く、抱きしめた。


八幡「……良い匂いだ」


 もちろん、そんなわけはない。煙草の臭いに今すぐ離れたいくらいだ。

 だが、彼女にはあまりに効果的だったのか、


平塚「………///」ポーッ


 固まって動かなくなった。


 ―――きーん、こーん……。


 五分前のチャイムが鳴る。例え、滅多に使われない教室の裏とは言え、誰が来るとも限らない。


八幡「お、俺……、本気で主夫になりますから!」ダッ


 嘘偽りはありません。



 小町の主夫に俺はなる!!



 なんか背中越しに甘い吐息が聞こえたような気がしたが、無視することにした。




八幡「………」



 授業の内容が頭に入ってこない。

 とても、とても楽しい時間だった。

 例え万人に受けなかったとしても、犯罪だと罵られたとしても、


 ぼっち比企谷八幡にとって、これは一つの人と人との関わりなのである。




 この時の俺は気付いてなかった。




 とある視線が、由比ヶ浜ではない視線がこちらを向いていたことに。

 近い将来、その視線の主に俺の人生は握られてしまうことに。


 放課後、俺は再び平塚先生に呼び出しを食らった。

 最初は冷静になった彼女に昼休みのことについて説教されるか、続きを迫られるかと思っていたが、職員室へ呼びだしたことからその考えは否定した。



 だが、それ以上にめんどくさいこととなった。



八幡「え、俺が部活に?」

平塚「そうだ。拒否はさせん」ゴゴゴゴゴ



 鬼気迫る顔ですごむ平塚先生。

 集団行動は極力避けたいが、この人をもっと征服してやりたいという願望もある。

 そもそも、彼女は選択肢など用意してくれていない。あるのはイエスorイエスの枕だ。


八幡「……静がそういうなら…」ボソリ


 なるべく耳元へ近づけて、俺は言った。


平塚「………よし///」コクン


 小町との時間が減るのは嫌だが仕方ない。

 俺は彼女に連れられるまま、空き教室へと向かった。




八幡「………」



 教室の中心に凛と咲く一輪の花。

 絵画のような神秘性を醸し出しているその女生徒は、無表情のまま口を開く。



雪乃「ノックをしてくださいと言ったはずですが」

平塚「ああ、すまんすまん。それよりも、新入部員だ」



 教師に対してこの態度。不良学生か。

 自分のことは棚に上げて、俺は彼女の評価を落とす。


 雪ノ下雪乃。


 そう、俺のようなぼっちでも知っている有名人。

 まぁ詳しい説明は別の世界線の俺に頼むとして、彼女は俺の方を見向きもせず、


雪乃「お断りします」


 と、一刀両断した。


 とくんとくん。


 少しずつ八幡の心臓が高鳴っていく。

 だが、相手が相手だからか、まだまだ様子見をしようとしている自分に嫌気がさした。


 



平塚「よし、後の説明は頼むぞ雪ノ下」


 雪ノ下の意思は無視をして、平塚先生は教室を後にした。

 完全に逃げるタイミングを見失った俺は、その場に立ちつくしたまま、雪ノ下の透き通るような肌をただただ見つめることしかできなかった。



雪乃「……座ったらどうなのかしら」



 どうやら、部員としては認めないまでも、人間としては認めてくれるらしい。

 俺は近くにあった椅子を引いてくると、ゆっくりと座った。



八幡「……で、これ何の部活なんだ?」



 おそらく、小町との関係を間違えるまでの俺なら、この女に対して一歩引いたまま言われるがままにされていただろう。

 だが、今の俺は本当に狂っているのか、それとも馬鹿なのか分からないが、



 この女の泣き顔を想像してフル勃起していたのである。



 神様、俺、節操無いみたいです。




雪乃「それじゃあ、一つ、ゲームをしましょうか」

八幡「えっ、別にしたくないけど」



 沈黙。



 しばらく、空気が停滞する。

 由比ヶ浜なら「えー、なんでそんなこと言うのー!?」とベタベタ触ってくるだろうし、

 三浦なら「うるさい黙ってやれ」と女王様のご命令が飛ぶだろう。

 だが、雪ノ下雪乃は無言を貫く。



 俺にはその心が理解できる。



 こちらは譲歩してやった。

 後はお前が妥協するまでこちらは動かない、と。



 俺は、沸々と湧きあがる衝動を抑えながら、一手繰り出す。



 それは、将棋や囲碁で例えるなら悪手。

 だが、比企谷八幡の人生においてそれは“本気の一手”なのである。




八幡「は~、おっぱい揉みてぇ~」



 ぼっちにプライドなし。八幡にモラルなし。

ちょっとコンビニ行ってきます!
ここからは対雪ノ下戦です!(イチャラブはまだないよ!)



雪乃「………」


 ふん、分かるぞ雪ノ下雪乃。

 お前は今、葛藤している。



 この男に言いたい放題言われて立ち去るのか、それとも目の前の変態を屈服させるのか、を。



 普通の女子なら、俺を変態だと罵って逃げるか通報するだろう。

 だが、この女は違う。

 俺の中の冴えたことのない勘がそう囁いているのだ。



雪乃「あ……あまりに下衆過ぎて言葉を失ってしまったわ」



 時として、言葉はナイフのような切れ味を発揮すると道徳の時間に教わったものだが、たしかにそれはその通りだ。

 雪ノ下雪乃が振り下ろしたナイフは俺の心臓に突き刺さって、爆発した。



八幡「ふ……ふざけんなっ」



 それじゃあ、まるで、“普通の女”みてーじゃねぇか!



八幡「お前はっ、雪ノ下雪乃はちげーだろ! どんな存在でもぶった切るような、そんな研ぎ澄まされた刀のような女だろうが!」



 何でこんなに熱くなってんだ俺。

 まるで、これじゃあ……こいつという存在に憧れていて、それを打ち砕かれたみたいじゃねぇか。


雪乃「………」


 雪ノ下雪乃はしばらく沈黙した後、先ほどまでと全く表情を変えず口を開いた。




雪乃「どうかしら。“欲しいモノを貰えなかった気持ち”は」




 そう、雪ノ下雪乃は今の俺じゃ太刀打ちできないほど――強かったのだ。





三浦「あれ? ヒキオじゃん」


 絶望のビリーと化した俺の目の前に現れたのは、雪ノ下雪乃に負けずとも劣らない女王――三浦優美子だった。


八幡「………」


 いつもなら俺の食指には引っかからず無視していた所だ。三浦優美子はいつか屈服させる予定だが、葉山隼人の後にするつもりだったからだ。


八幡「………」ホロリ


 だが、無理やりキスされた被害者が泥水で口を啜るように、犯された処女が指で精子をかきだすように、



 比企谷八幡は手ごろな女を求めたのである。



三浦「は、はぁ!? なんでいきなり泣きだしてんの!?



 あまりに唐突だったのだろう。いつもなら「キモっ」とか「ウザっ」とか悪態ついて立ち去るはずの女王が、オロオロと心配していた。




八幡「何でだろうな……一緒に探してくれるか?」




 アイデンティティとはサヨナラだ。

 ぼっち八幡は今、雑食の獣へと歪んだのだ。




三浦「な、何をいきなり訳わかんないしっ///」プイッ




 今なら分かる、三浦優美子の魅力。

 それは“頂点ゆえのレアリティ”。

 彼女がどれだけ自由に動こうと、許される。それは彼女が頂点であり、咎める術を下々の民が知らないからだ。



 だから、だからこそ“隙は多い”。



八幡「俺さ、“本当の”三浦をもっと見たい」



 過去の自分が見たら発狂して穴を掘って餓死するような恥ずかしい言動も、今の俺なら言えた。


 その形は以前より酷く歪んでいたが。



 



三浦「それで、何でラブホに来てんの?」ジトーッ


 ここで、少し過去にさかのぼってみよう。小町の時に話したパンツ理論である。

 そこでは処女性について話をしたと思う。それを思い出して欲しい。



 それでは質問。



 三浦優美子に処女性はあるでしょうか。

 答え、皆無である。

 男を千人斬りしてても驚けないような、そんなビッチの品格もまた兼ね備えていた。


 だが、俺は思う。


 このプライドの塊のような女が、その辺の男に対して簡単に股を開くだろうか、と。




 答え。




八幡「え、通り道だったけど、ここラブホって言う場所なのか?」

三浦「」カオマッカ///




 処女である(確信)。



八幡「お前、すげーな。高校生でラブホの場所分かるなんて」


 ああ、心が癒されていく。

 雪ノ下雪乃にズタズタに引き裂かれた心が少しずつ形を取り戻していく。


三浦「そ、そんなん常識っしょ///」フンッ

八幡「……やだな」

三浦「へ?」




八幡「三浦がそんなとこに行くの……やだな///」プイッ




 誰だお前。

 誰よりも人の表情について客観的に見て来た俺は、逆に言えば効果的な表情づくりのエキスパートでもある。




三浦「な、なんか今日のヒキオ変だしっ」///


 顔を赤くして、挙動不審なお前の方が変だし。あ、口調が移った。


八幡「そりゃあ、お前みたいな学校一の美人と一緒にいられたら、変にもなるだろ」


三浦「あ、あう///」パクパク


 単純。

 三浦優美子は美に対して強い執着を抱いている。

 それは体育の後は必ず化粧タイムをとるところからも明らかだ。

 そんな女王より美しさにおいて上位にいる人間がいる。


 もう一人の女王雪ノ下雪乃である。


 つまり、ただ誉めるだけでは、三浦優美子の中ではただのお世辞でしかない。

 頂点に立ち続ける女は、自分が最も求めているモノに置いて負けている。しかも相手はそれにあまり興味がない。


 だから、俺はあえて三浦を一番だと認める。実際あいつより三浦の方が美人だし(負け惜しみ)。


八幡「お前が一番だよ、“優美子”」


 三浦優美子の心が―――少しずつ解け始めた。




 翌日、登校した俺に待っていたのは、“最初の目的を果たす”チャンスである。


戸部「だ、だからわざとじゃねーっすよ」

先輩「うるせぇ! お前調子に乗り過ぎなんだよっ!」

葉山「せ、先輩っ。こいつのこと許してやってください!」


 事情はよく分からんが、チャラ男が調子乗って三年を怒らせたのだろう。

 葉山隼人のカリスマ性は女性か、同い年以下の男にしか通じない。

 なぜなら、男は年上の男に憧れるものであり、年下は年上を敬うモノだと思っているからである。


先輩「おめーには関係ねーだろ。しゃしゃってくんなよ」


 相手はどこの組の人ですか。高校三年生にしてはいささか迫力がありすぎやしませんかねぇ。


戸部「ほ、本当に申し訳ありませんでした!」

先輩「あ? 急にしおらしくなったからって許すと思ってんの?」

戸部「………」プルプル

葉山「い、いいかげ―――」


 例えば、だが。

 俺が世界を救う勇者だったとしよう。似合わないとか役者不足とか言うのやめて。

 そんな俺が魔王を相手に苦戦していたとする。


 そこへ颯爽と現れる村人A! その手にはクワが握られている。


 だれしもが彼の死を確信していた。

 だが、なんということでしょう、村人Aは魔王を一刀両断したのである。クワで。


 彼を称賛する人々。湧きあがる世界。平和な国。


 ……一方、勇者は帰りに道具屋でロープを買ったのでした。ちゃんちゃん。



八幡(つまり、この場合……勇者葉山隼人の最も求めていない展開は……)



 村人Aの出現である。



八幡「先輩、俺のクラスメイトを苛めるのはやめてもらえますかねぇ」



 俺の中に恐怖の二文字は、なかった。


戸部「ひ、ヒキタニ君……」

葉山「………」


 葉山隼人の絶句顔。それだけでご飯三杯行けたが、これからもっともっとあいつの色んな顔を見えるかと思うと、心の息子がフル勃起していた。……けして身体は反応していない。


先輩「お前、そんなひょろっちぃ身体のくせに、俺に喧嘩売るの?」


 おお怖い怖い。

 人を殺す勢いでメンチを切る先輩。

 だが、その心は透けて見える。


八幡「ねぇ先輩」

先輩「あ?」



八幡「進路、ダメにされたいの?」ボソッ



先輩「」


 勝利の瞬間である。


 綺麗に履かれた上履き。

 着崩して見えるがアイロンのかかった服。

 何より校則通りの髪形。


 どう考えてもこの人真面目な人でしょ。


八幡「それじゃあ行きましょうか」グイッ


 思い切り腕を掴んで引っ張ってやる。


先輩「お、おい、やめろよっ」アセアセ


 言葉では抵抗するものの、その身体は震えで全く力が入っていない。


八幡「え、何言ってんるんすか? 今更引くんですか?」


 ざわざわ、ギャラリーがどんどん増えている。ほとんどが野次馬だが、先輩にとっては自分の進路を脅かす存在に思えただろう。


先輩「ちっ、こ、今度から気をつけろよ!」


 捨て台詞を吐いて去ろうとしたので、俺は掴んでいる腕を離さずむしろ引き寄せてやった。


先輩「うわっ」ヨロッ

八幡「………」

先輩「な、なんだよっ」


 最後の最後までプライドを保とうと凄む先輩。

 どこまでいっても小動物である。



八幡「俺のクラスメイトに謝ってもらえますかねぇ」



 もちろん、俺は彼らをクラスメイトだなんて思ったことは一度もない。

 だが、畑は耕さなければ作物は育たない。

 フラグは建てないとイベントは起きない。


 この後、葉山隼人と“遊ぶ”ためには、どうしても避けては通れない道なのである。



八幡「お願いします。“大人の先輩”に妥協して欲しいっす」ペコリ

戸部「ひ、ヒキタニ君……」ウルウル


 勘違いするな。

 お前は獲物認定もされていないバクテリアだ。視界にも入らない。

 俺の目的はあくまでも、


葉山「………」


 リア充界の王子様だ。



先輩「お、俺も言いすぎたよ。悪かったな……」

戸部「い、いえっ、本当にすみませんでした!」

葉山「……すみませんでした」



 三人が謝りあって、この場が平和に収まる。

 だが、彼らがいくら言葉で謝ろうとも、頭を下げているのは比企谷八幡ただ一人なのである。



八幡「………」クルッ



 十分耕せたので、俺は立ち去ることとする。

 もちろん、すぐに立ち去らせてもらえるとは思えないが。



葉山「ヒキタニ君」

八幡「誰だよそれ」

葉山「……ありがとう」



 手に取るように分かる不満顔。

 結局リア充にも心の琴線は存在するし、それは案外簡単に届くのである。




 教室にたどり着くと、案の定歓声が上がる。



「お前、凄い奴だったんだな」

「見直したぜ!」

「隼人君でも無理だったのに!」

「もっと早く知ってれば!」



 様々な賞賛が俺を迎え入れる。

 もちろん悪い気はしない。

 しないが、一片たりとも嬉しくはない。

 そんな上辺だけの言葉は、恥辱と葛藤から絞り出される嗚咽には足元にも及ばないのである。



葉山「ヒキタニ君、もし良ければさっきの理由を聞かせてくれないかな」

八幡(やっぱそう来るか。単純な奴)

葉山「君はそんなキャラじゃないはずだ。どうしてあんなことをしたんだ」



 真剣な葉山に周囲の人間は温度差を感じていることだろう。

 俺はもちろん真剣に葉山の正面に立っているが、真剣に殴り合う気はない。



八幡「クラスメイトを助けるのに、理由がいるのか」



 おお、と歓声が上がる。ハリボテ共が。



葉山「そうか、僕は君のことを誤解していたみたいだ」スッ



 右手を差し出す葉山隼人。

 それを掴めば友情が成立する。

 底辺ぼっちだった俺がトップカーストの葉山隼人と仲良くなる。それはサクセスストーリーに似た爽快さがあるんだろうな。


海老名「ハヤ×ハチ! ハヤ×ハチキタコレ!!」ブシャァッ!!



 落ち着け海老名。

 お前の求めるモノはこの先にあるんだよ。



 海老名を視界の端に入れながら、俺は葉山の右手に向かって―――お尻を差し出した。



八幡「ヒンヒン! ヒンヒン!!」



 世界が凍りついた瞬間である。
 



 クラスメイト達が全員固まっている中、俺は葉山隼人の右手にケツを当てる。


 ハニ○・ポッターには、自ら求めるなんて豚としての自覚が足りないと怒られるかもしれないが、俺の目的は豚になることではない。葉山隼人と言う人間で遊ぶことである。

 その前にあの大人気ssのファンに殺されそうだが(ご機嫌取り)。



葉山「何を言っているんだ……比企谷君…」プルプル



 人は己の理解の範疇を超える出来事があった時、震えるものだ。それはリア充とて例外ではない。

 それでも、俺と対等に接しようとするその姿は称賛に値するが、あいにく俺にとって葉山隼人獲物でしかないし、そんな上っ面だけのクソみたいな対応は要らないのである。



八幡「お前、なんで今まで“わざと名字間違えてた”の?」



 ざわ。

 クラス中の人間が葉山隼人に視線を集める。



葉山「そ、それは……」



 葉山の顔が青ざめて行く。

 それはそうだろう。今までだれもが咎めなかった葉山隼人の悪行(程度はしれてる)を指摘したのである。変態が。



八幡「はっ、どうせ俺の事を見下してたんだろ。楽しかったか?」



 第三者視点で見れば、虐められっ子の反逆に見えるだろうが、もっと歪んでいる。




 これは、葉山隼人処刑ゲームなのだ。






葉山「……気にしてたなら謝るよ。すまない」


 謝罪の言葉を述べる葉山。いつもならすぐに非を認める聖人君子としてあがめられる所だが、今回ばかりはそうはいかなかった。


八幡「いや、その前に俺の行動を咎めろよ」


 ぷっ、と生徒の一人が笑った。


結衣「あ……」


 お前かビッチ。ほんと、笑いの沸点も低いのな。まぁ今回は良い仕事をしたが。


葉山「/////」


 リア充の顔面が真っ赤に染まる。


海老名「ぷっしゃぁああ! なんという! なんという!!」ハァハァハァ///


 遠くで海老名がヘブン状態になっていた。が、今はそんなことにかまっている暇はない。


八幡「もしかしてお前……興奮したのか?」

葉山「は、はぁ!?」カァ///


 もちろん、図星からの赤面ではないと分かっている。体験したことあるものなら分かるだろうが、一度赤面してしまうとしばらくの間赤面しやすくなってしまう。ただそれだけの話だ。



 だが、第三者はそうは受け取らない。



 ざわざわ。各所で悪意のあるヒソヒソ話が始まる。

 なんという結果。

 お尻を差し出した俺よりも、差し出された葉山の方がダメージがでかいのである。



 それでも、ほぼ自爆と言う形でなければダメージを与えられそうにないことは、葉山隼人と言う人間の完璧性を物語っていたのだが。



 屋上に呼び出された俺は、成すがままについていった。


 呼びだしたのは、女王三浦優美子。


三浦「なんであんなことしたし」ギロッ


 その表情は怒りで満ちている。

 どうやら、俺好みに育っているようだ。なによりなにより。


八幡「……わりぃ…」


 本当は「お前には関係ないだろ」と跳ねのけたいが、三浦の人間性はそれを許さない。

 だから、俺は引く。


三浦「……もしかして、さ、ヒキオ」


 怒りの表情に同情の色が混ざった時、俺は本当に三浦優美子と言う人間が好きになった気がした。


三浦「………辛いことがあっ――」


 力いっぱい抱きしめた。


八幡「……言わないでくれ。“優美子”」


 なるべく消え入りそうな声で、名前を呼ぶ。


三浦「……やっぱよえーし」ナデナデ


 頭を撫でるな。主導権握られているみたいで腹立たしい。


八幡「なぁ優美子、




 今日、俺の家で相談受けてくれないか?」




 それは、挑戦状と言う名の罠。

 女王優美子を陥れるための、狡猾な、釣針と糸。



 もちろん俺はフル勃起していた。



 

いったんここまで!

ハーレム設定ではないので、小町の時のような爽快さがないことをご了承ください!

ハーレム設定にしようかな……




三浦「お邪魔しまーす」



 流石の女王も、他人の家では萎縮してしまうのか、少し控え目な声を出した。

 放課後、平塚先生を苛めて帰ろうかと思っていた矢先に三浦に腕を引っ張られ、家に行くぞと脅されたのだから仕方ない。というか俺が言いだしたことなのだから自業自得だ。



八幡「可愛い妹しかいないが、まぁゆっくりしていってくれ」



 正直八幡君に女神三浦様がくれたのは、



三浦「………」プクーッ



 女王様の嫉妬だった。


 平塚先生辺りから俺はありえないと思うことをやめた。


 だから、三浦も俺の女関係に嫉妬するし、平塚先生も俺のことが好きなのだ。


 しかし雪ノ下雪乃が俺と関係を深めることはありえない。絶対に。



小町「にゃっはろーーーっ///」ダダダッ



 スポブラにスパッツという、絶対に人前に出てはいけない格好で俺に突進してきた小町。



八幡「おいおい、天使かお前は」



 両脇に容赦なく手を突っ込んで、小町を持ち上げ回転する。



小町「にゃははっ、おにぃちゃんポイントたかーい♪」



 もちろんさりげなく胸は揉んでいる。

 乳首辺りに触れるたびに小町の目じりがピクリと反応してエロい。



三浦「……つーか、あんたら血繋がってんだよね?」

八幡「当たり前だろ」

小町「おやおやー、私のお兄ちゃんを奪おうとする美人さんは誰かなー?」ジーッ

三浦「三浦優美子です。比企谷君とはクラスメイトでお世話になっています」ペコリ

八幡「何にも世話なんてしてねーよ」

小町「ふーん、ほうほう、やっぱゴミィちゃんは綺麗で気の強い女の人が好きなんだねー」ウンウン

八幡「は? ねーよ」

三浦「今、誰の事想像したし」ジトーッ

八幡「うっ……」



八幡「オレンジジュースで良いか?」

三浦「何でもいいし。それよりはよ悩み言えし」

八幡「まぁまぁ、せっかく俺の夢が叶ったんだ。ゆっくりしていけよ」ヨイショ

三浦「夢?」



八幡「ああ、世界一美人な三浦と部屋でイチャラブすること」



三浦「………はぁ!?」カァ///

八幡「オレンジジュースとってくる」ガチャリ




八幡「作戦開始」ヘッ






 俺は、冷蔵庫のあるキッチンへは向かわず、小町の部屋へと入る。


八幡「どうだ、角度はばっちしか」

小町「ばっちしだよゴミィちゃん♪」


 小町は自分のスマホをこちらに見せた。画面には三浦がキョロキョロと俺の部屋を見渡している。


 そう、今俺と小町のスマホはテレビ電話状態で繋がっているのである。


 もちろん、盗撮なんて犯罪めいたことが目的ではない。


 俺の性癖はあくまで人間の心を屈服させることであり、性欲を満たすことではないからだ。だから小町とは一回しかしてない。


三浦『イチャラブってあいつ……何考えてるし…』


 頬を赤く染めて三浦はブツブツと独り言をつぶやいている。


小町「可愛いね、三浦さん!」

八幡「ああ、小町の次にな」ナデナデ

小町「へへーっ、すりすり~♪」

八幡「お、おい、声が聞こえたらまずいだろっ」

小町「そうだった」テヘッ


 三浦を映している目的は一つ。

 あいつが俺の部屋を物色し始めたタイミングで部屋に入るためである。


三浦『………』ソワソワ

小町「そわそわし始めたよお兄ちゃん!」

八幡「まだまて、あいつは肉食動物だ。勘の鋭さは俺の比じゃない」

小町「お兄ちゃんそれ自信満々に言っちゃいけない奴だよ……」



三浦『………』ノビーッ


八幡「そろそろか」

小町「えっ?」

八幡「あいつは気の長い方じゃない。このまま行けば飽きて帰ってしまう」

小町「うぅ……」

八幡「じゃ、行ってくるわ」スクッ



 俺はオレンジジュースを二つ持って部屋を出る。

 小町の寂しそうな視線を背中に感じつつ、足で扉を閉める。



 彼女は気付いていない。



 俺の本当の標的は小町であるということに。




八幡「わりぃな、ちょっと手間取った」

三浦「おせーし」

八幡「精子?」

三浦「はぁ!?///」

八幡「何で顔を赤らめてるんだ?」

三浦「べ、別にっ」プイッ///

八幡「ほれ」

三浦「ん」ゴクリ

八幡「で、何の話だっけ」

三浦「あんたがあーしに話があるんでしょ!」

八幡「ああ、そうだった。優美子の目があまりに綺麗過ぎて忘れてた」

三浦「さ、さっきからなんなん!? あーしのこと馬鹿にしてるし!」

八幡「どこら辺が?」

三浦「誉めすぎなんだよ!」

八幡「んじゃ誉めるのやめるわ」

三浦「……えっ」

八幡「で、聞いてくれるか」

三浦「う、うん……」

八幡「俺、実は……葉山の事が好きなんだよね」

三浦「…………は?」

八幡「あいつって良い身体してるじゃねぇか。……すごく…興奮するんだ」

三浦「ちょ、ちょっと待てし。あんた本気で言ってんの?」



 心の底から引いてる表情が俺の嗜虐心を強くそそる。

 三浦優美子の中で、勝手に気付きあげた俺の自分に憧れているという構図はもろくも崩れ去り、なんということかハヤ×ハチが現実になろうとしているのだ。



三浦「お、男同士なんてキモいし!」

八幡「ダメか?」

三浦「だめに決まってんじゃん!」

八幡「あいつのチンポあんなに美味そうなのにか?」

三浦「えっ?」


 結局のところ、人間とは下品なトークが好きなのだ。

 急に出た八幡葉山隼人のチンポを見たことがある説に喰いつく三浦。見たことある訳ねーだろ。


八幡「……すごく、大きくて……それでいて綺麗で…」

三浦「へ、へぇ……」ゴクリ


 元々三浦は葉山に憧れている節を感じていたが、これで確信が持てた。

 三浦優美子は少なくとも最近まで葉山隼人に異性としての魅力を感じていたのである。


八幡「俺のより一回りくらい大きいかも……」

三浦「ヒキオの小さいんだ」アハハ

八幡「確認するか?」

三浦「き、キモい事言うなし!」カァ///


 三浦の視線は俺の身体、特に下半身中心に泳ぎ始めた。分かりやすい奴。



八幡「でもさぁ、自信ないからやっぱ無理っ///」


 むりやり顔に力を入れて頬を赤くし、照れてるようにそっぽを向く。

 肉食動物は往々にしてチャンスに深追いする性質がある。それは強ければ強いほど顕著だ。

 その結果、崖から落ちたり追いかけていた仲間から反撃に遭うことなどが多々ある。


三浦「へぇ、なんかそんな風に言われたら見てみたくなってきたし」ニマァ///


 今まで散々美人だのスタイルが良いだの弄られてきた仕返しとばかりに、弱気になった俺を攻め立てる三浦。



 だが、八幡地獄はそんなに甘くはなかった。



八幡「三浦になら……良いか」



 そして、俺はズボンとパンツを同時に脱ぐ。

 ぽろん、と、八幡の性器が露わになったのである。



三浦「!?」ジーッ///



 大きさが意外だったのか、三浦は俺の下半身にくぎづけだった。

 エロい漫画に出てくる「大きい……」というのは大抵勃起している性器の事を指すのであり、萎んでいるときの大きさや形は案外女の子は平気だったりする。



三浦「案外大きくないんな///」

八幡「……触ってみるか?」



 俺はさらに無防備な草食動物を演出する。

 もちろん、これに三浦が食いつかないはずもなく、



三浦「う、うん……///」



 ゆっくりと手を伸ばし、その細身の指で俺の性器に触れた。

 ひんやりとした指が俺に快感を与える。



八幡「んっ……」

三浦「………」ニマァ///


 もちろん、今の声は演技なのだが、処女の三浦は自分のテクで相手が気持ち良くなったと勘違いした。


三浦「なぁヒキオ……」モジモジ

八幡「何?」


三浦「ほ、本当に隼人のこと好きなん?」

八幡「………」

三浦「い、いや、最初は引いたけど、よく考えたらそれって失礼っつーか、好きにルールなんてねーし、あーしは別に良いと思う」アワアワ///



 性器を握ったまま何を言ってるんだこの女。

 それでも、普段気の強い女がしどろもどろになる所は十分興奮するし、三浦もうすうす感じているだろうが俺の性器はだんだんと凶悪さを増していた。



八幡「優美子……本当はな、



 お前が好きなんだ」



 そそり立つ性器を握ったまま、三浦優美子はしばし放心状態となる。



おはようそしておやすみなさい。では。

結局本命は小町なんだよな?

こんばんちわ!

>>124
基本的にこの八幡は好きでは動いてません!
今のところ小町にのみ愛情があるためそういう風にみえるかも

刺されたりの修羅場は作るかどうか迷ってます!

続きー



三浦「す、好きって……じゃあ何であんなこと言ったし」ニギニギ///


 おい、それは握力を鍛える道具じゃない、握り過ぎだ、潰れる……。


八幡「そうだったそうだった、悪い、間違えた」ハァハァ…


 このハァハァは興奮してじゃない。痛みを忘れるための腹式呼吸だ。ひっひっふーだ。


三浦「ぁあん? どういうことだし」ギューッ

八幡「くっ!」バッ


 自発的に襲わせたかったが仕方ない。俺もこの年でタマナシにはなりたくないからな。


三浦「きゃっ///」ドサッ


 もつれるように倒れるが、俺は冷静に三浦の胸と下半身に手を当てる。

 そう言えば、小町ので初めて知ったが、パンツ越しの性器って柔らかいのな。どうでもいいか。


八幡「いててて……」


 青春ラブコメの主人公がトラブルで倒れた時のような反応をとる。今はまだ三浦にわざとだとばれたくない。


三浦「……ヒ、ヒキオ///」モジモジ


 俺の手をどかそうと太ももをモゾモゾと動かす三浦。中途半端な動きが自身の秘部に刺激を与えていることに気付くと、両目をギュッと閉じて「ゃ……んっ///」と声を漏らした。

 少し、意外だった。

 三浦ほどの女王なら「OH、YES!」くらい言ってもおかしくないと思ってたが……まぁ、処女じゃ仕方ないか。今後「OH、YES!」と言わせるようにして英語の授業中に言わせてやろう。


八幡「ん……どうした?」

三浦「あ/// え、えっと……///」プイッ///

 こういうときは思い切り白々しく反応するのが吉だ。

 もしこの後、三浦があそこを触られていることを指摘すれば、先ほどの声は俺が触ったからだと言っているようなものだ。つまり「気持ち良かった」と自ら認めてしまうのだ。


 俺は、逃げ場をなくすためにさらにとぼける。


八幡「もしかして、さっきの声……」

三浦「い、言うなし!」ベシッ
 



 いきなりだがここで一句。


 嫌ならば

 本気でどかせ

 ビッチ共


 先ほどからこの体勢のままお互いジッと動かない状況が続いていた。

 俺は秘部に手が当たっていると気付かないふりをして三浦の顔を見つめる。


三浦「あ、あーしにこんなことしてどうなるか分かってるんでしょうねっ」ジッ///


 その声に迫力はない。むしろ、とろとろに蕩けた甘ったるい声に近付きつつある。


八幡(そろそろかな……)バッ

三浦「えっ……?」


 俺はおもむろに立ち上がると、猛ダッシュで隣の部屋に向かう。



<ヘッ!? ダ、ダメダメダメッ



 なんか扉の向こうから焦っている声が聞こえるが無視だ。



 ―――がちゃり!



 壊す勢いでドアを開けると、そこには―――、









 膝辺りまでパンツをずらし、秘部に両手を当てる妹の姿が―――あった。









小町「っ////////」ウルウルウル///




 あの太陽から生まれて来たような、影が一切ない小町が、

 恥辱と後悔に塗れ、俺にこれ以上見るなと懇願するような哀願するような表情で見つめていた。



 下半身丸出しの俺は、今すぐ小町に飛びつきたくなった。

 が、それは性欲だ。俺の求めるものではない。

 この物語は、比企谷八幡の間違っている青春ラブコメは、そんな野生動物のような理性のかけらもない行動をとっていくものではない。


 俺が俺として生きて来た、他人の誰からも認められず目を背けられ続けた結果の塊のような物語。


 俺は必死に性欲を抑え、そしてシャッターボタンを押さえた。


 ――カシャリ。


 そして、俺は小町の反応を待たずに部屋へと戻る。

 俺と小町はもはや一心同体だ。あいつが今、どれだけ可愛い顔で後悔しているかなど想像に容易い。



 それよりも今は―――三浦優美子。

 いきなり置き去りにされて放心状態であろう彼女を、迎えに行くことが使命である。



八幡「優美……子?」



 人生に予想外の出来事はつきものだ。

 惚れた女が親友と付き合ったり、

 宝くじが当たった次の日に事故で死んだり、

 隕石が頭に当たっても生きていたり、


 そんな“ありえないことが起きる”のが人生だ。


 だから、俺は取り乱したりしない。





 三浦優美子が膝の部分までパンツをずらして両手を秘部に当てていたとしても、俺は取り乱したりしない。




三浦「あ……ちょ、え、ま、待つ…し/////」オロオロ

八幡「………」カシャカシャカシャカシャカシャッ!!

三浦「うぇええ!? や、やめぇ///」イヤイヤ

八幡「………」カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!

三浦「ひ、ヒキオ!」カァ///



 俺は、取り乱したりしない。



八幡「そのまま」


 なるべく低い声を演出する。


三浦「な、なん――」

八幡「優美子、そのまま」ニコッ


 屈託のない笑顔という仮面をつけて、俺は三浦に近づく。


三浦「……う、うん…///」


 秘部を晒したまま、三浦は恥ずかしそうに両手で顔を隠した。なにこのAV。





 正直言って、迷った。



 クラスのいや学年の頂点三浦優美子を制圧すること。



 それはぼっち界の悲願ではないのか。

 クラスですら友達のいない俺が、誰もが認める女“三浦優美子の処女を奪う”。しかも同意の上に。


 革命である。


 ……だが待て、しばし。

 俺は今、こいつを女としてでも人間としてでもなく、“学校での価値”で抱こうとしている。

 それは有象無象どもと同じ考え。


 吐き気がする。


八幡「………」ウッ…

三浦「どしたん?」オロオロ


 三浦は優しく声をかけてくれるが、それが余計に俺の状態を悪化させる。

 お前はその程度の人間だったのか。

 普段周りを見下しながらも、結局のところ根源では一緒。

 なら、立場が同じなら友達のいないお前は―――“あいつら以下”ではないのか。


八幡「……三浦…」

三浦「?」

八幡「すまん……俺、



 お前の事、人気があるから抱こうとしてた」



 本音が漏れた。

良いところですが一旦離れます! ごめんちゃい!

ただいま。このくらいなら言わんでもよかったな。

ちょっとCM的に別視点。




 あの日以来、私の中で燻っていたモノが燃え盛ってやまない。

 ファーストキスだったということを打ち明けたら、あいつは喜んでくれるだろうか。んな訳ないか。

「すみません、替え玉ください」

 だが、世の男子は女子の処女性を重要視するとも聞いたことがある。

 例えばこのラーメン。

 今、私は替え玉を頼んだ。つまり、この汁は使い古しだ。

 目の前のこの汁と頼んだばかりの新品の汁があったとする。

 誰の目から見ても、新品の汁が飲みたいのは明らかだ。

「はふっ……ずるっ…ずるっ…」

 つまり、男子は少なくとも中古よりは新品の方を求める。そうだ、そうに違いない。



 ふと、視線をあげるとテレビで芸能人がトークバトルをしていた。普段はそんな大衆論議に興味など示さないが、その内容が“ファーストキスの価値”というものだったので、見ざるを得なかった。




 


「マツコさんはファーストキスとかどうだったんですか?」

「何、それはこの格好になってからってこと!? それとも、生まれてからってこと!?」

「なぁにをそんな怒ってんですか! ただ聞いただけじゃないですかっ!」

「そういうアンタはどうなのよっ! どうせ白い雲のようにファーストキスを失ったんでしょ!」

「ちょっとそういうのやめてくださいよっ」

「まぁでもそうね。男ってファーストキスより処女の方が好きじゃない?」

「あんたゴールデンww 分かってますかwww」

「いーじゃないっ、あんた何に遠慮してんのよっ」

「も、もういいです、それでマツコさんの処女はいつ奪われたんですか?」

「はぁ~~~?」



 テレビの中では何度も笑いが起きていた。

 だが、私の中ではいらだちが募るばかり。


(早く結論を言えっ!)


 ラーメンをすすりながら、テレビに視線を向けるその様は、おおよそ処女を気にできる立場にはなかったが、それでも私の中に咲いた小さな恋心は平塚静をとことん乙女にしていくようだった。


「とにかくね、世の中のアラサー? 婚活女子? そいつらには言ってやりたいね」

「何をですかマツコさん」




「お前らは売れ残ってんだ。変に処女とかファーストキスとか自分の価値を高めようとしないで、土下座してでも結婚してもらえっ」






―――バキッ!



 おっと、割りばしが折れてしまった。最近のは脆いんだな。


「おいあれ、片手で割ったぞ」

「……くっ、俺両手でも割れないぞ」

「そりゃそうだろ、これプラスチックの端だぞ?」


 聞こえない。ああ、聞こえない。


 あのテレビ出てる自分の管理もできてない癖に人に文句を言うデブはいつか抹殺するとして、


「土下座か……」


 参考にできることはしておく。それが平塚静の生き方だ。


「ゴムに穴を空けて……いや、なしで良いか」


 この気持ちなんだろう。



 私、とっても乙女っ★




CM「平塚静の夜」 完




三浦「人気どういうことだし」


 ゆみこのにらめつける! こうかばつぐんだ!


八幡「………」

三浦「……本気で言ってんの?」


 ここで、三浦に少しでも良い想いをさせてやるなら、「綺麗」「スタイルが良い」「可愛い」“部分”でも興奮したとフォローを入れるべきだろう。

 だが、俺はそんな傷のなめ合いみたいなプレイは望んではいない。


八幡「……ああ、そうだな。あと一つ」

三浦「………」ピクッ


 三浦の目に希望が宿る。

 だが、俺は希望を与えるジャンヌダルクにはなれない。男だしな。



八幡「お前が嫌がってる振りをしてる時の顔、かなり興奮した」



 ――パシンッ!



 ジンジンと右頬に痛みが走る。



三浦「サイッテー」ポロポロ



 怒りに起こした行動だが、心は哀しみで満ちている。


 俺は、そんな三浦優美子を心から愛でたいと思った。



 いそいそと下着を履いて出て行こうとする三浦に俺は語りかける

八幡「……俺、お前と接して、人生で初めて楽しいって思えたよ」ボソリ

三浦「………っ」

 そして、三浦優美子は去った。




 賢者タイムに似た虚無感が、俺を放心状態にさせた。




 続く。



八幡の嗜虐レベルが1上がった!

小町との関係が【主従関係】になった!

平塚に【ストーカーの素養】が目覚めた!

三浦との関係が【冷戦状態】になった!



次の相手を誰にするか決めるまで少し離れます!

戸塚かなぁとは思ってますが。なので、すぐ始めるかもしれませんし後になるかもしれません!



 三浦が帰った日の夜、俺は小町の部屋に訪れていた。


八幡「………」

小町「………」チラッチラッ


 チラチラとこちらを見てくる小町。

 だが、俺は何も答えない。

 小町は椅子に、俺は小町のベッドの上に転んでいる。


八幡「………」スッスッ


 俺は小町の部屋で、三浦の写真を観賞していた。正面のアングルはパンツの向こうに秘部が見え隠れしてエロい。

 横からはめくれ上がったスカートから健康的な太ももがある。テニスをしていただけあって、そこらへんの痩せれば綺麗と思ってる女子とは一線を画すエロさだ。


小町「……ゴ…お兄ちゃんさっきから何見てるの?」


 小町の中で、俺は今逆らってはいけない存在になっているようだ。うんうん、従順なペットっていうのも悪くはないな。


八幡「ん? オナニーシーン」

小町「なっっ!?////」ビクッ


 予想通りのくせに。

 小町が顔をひくつかせながら、こちらに目で抗議してくる。


八幡「安心しろ、お前のやつじゃないから」

小町「えっ……」


 今回の俺の目標、小町に「私のオナニーでオナニーして!」と言わせること。




小町「へ、へぇ~、お兄ちゃんって私以外の写真持ってるんだぁ、ポイントひくーい」ムスッ


 あの小町がこんな雌豚のような嫉妬に満ちた表情をするなんて。

 俺の性癖のために少しずつ壊されていく小町を見ていると、俺は彼女を一生かけて面倒見ようとさえ思える。


八幡「ああ、だから気にすんな」


 あくまでそっけなく。小町には興味ないよと言わんばかりに。


小町「ち、ちなみに誰なのかなぁ~。エッチな女優さん?」


 こっちに来て確かめれば良いのに、どこかでまだ自分の写真を見ていると信じたいのだろう。


八幡「ん? 今日来てただろ、あいつの」

小町「ふぇ!?」ガタッ


 驚くことじゃねぇだろ。さっきまで俺と三浦が絡みあってたの見てたくせに。


八幡「なぁ、オナニーしていいか?」


 許可をとるまでもなく、俺は下半身をあらわにする。小町の匂いで俺のエクスカリバーは最強状態だ。


小町「だ、だめだよっ///」


 ブンブンと両手を振って止めてくる小町。その心を問いたいところだが……いま大事なのはそれじゃない。


八幡「そうか、悪かったな」ムクッ


 下半身を露出したまま、俺は自分の部屋へ帰る振りをする。

 小町はしまった、という顔をして慌てて口を開く。


小町「あ、う、ううんっ、ここでしても良いよ!」


 オナニーを自分の部屋で許可する妹なんて、この世界に小町くらいじゃないのか?


八幡「そうか、んじゃ遠慮なく」


 と、俺は下半身に手を当てる。まぁ、本当にする訳じゃないので、どちらかというと左手は添えるだけでスマホを見る方に集中した。


小町「………」


 そして、やはり獲物は何度も罠に引っ掛かる。




小町「さ、さっきから見てるのも、三浦って人?」


 オナニー中に話しかけるなんてオナニストの風上にもおけないな。後で手とり足とり教えてやろう……女性のオナニーってどうやるんだ。


八幡「優美子……」ハァハァ


 俺が名前を呼んだ瞬間、小町の表情がこわばった。

 どうやら本当の小町はかなり嫉妬深いらしい。今後の活動のためにも、今ここでお兄ちゃんには逆らえないことを教え込んでおかないと。


小町「やっぱ、ダメっ! 許可できない!」バッ


 予想通りスマホを抑えに来る小町。

 俺は、驚いた振りをして小町に画面が見えるように体勢を変える。


小町「あっ///」




 そう、現在の画面は“小町のオナニーシーン”である。




小町「にゃ、にゃめぇええ!」ガバッ///



 その行動に下心はないのか、と問いただしたいところだが、いましたいのはセックスではない。屈服だ。

 小町が俺に対して完全な敗北を認めること。

 そして、ただ単純な男女愛だけでなく、こういう刺激に対しても快感を覚えることを教え込むこと。


 俺は小町を無視して画面を三浦に変える。


小町「……あ///」


 母親と自分以外の女性の秘部に頬を染める小町。それもそうだろう、優美子の下半身は小町と違って、綺麗に整えられていたからだ。俺はパイパンだと思っていたが。



八幡「……んで、どうすれば良いんだ? やめればいいのか?」



 俺は小町の乳首をいじりたい衝動に駆られたが、必死に我慢した。小町は複雑そうな顔で答える。



小町「あの……うーん、と。……この人のでするのはダメ…かなぁ///」エヘヘ



 やはり天使。

 今すぐ抱きしめて、俺の中の子孫繁栄本能をぶちかましてやりたいところだが、それは前述したとおり俺の生き方を否定する行為だ。


 だから俺は、徹底的に小町を苛めぬくのである。



八幡「ふーん、でも俺あと小町の写真しかないんだけど?」



 小町の【自主規制】が映った写真しか、と付け加える。

 小町の顔が嬉しいやら哀しいやら怒ってるやらよく分からん絶妙な表情になる。すごいそそる。



小町「……しかた…ないから…いいよ///」

八幡「あ?」

小町「仕方ないから! 小町の写真でしていいよ!!」ハァハァ///



 どうやら、小町と俺のプレイは相当相性が良いらしい。とことん思い通りに動いてくれる。対極に位置するのがあの忌々しい冷徹女だ。

 嫌なことを思い出した。忘れよう。


八幡「俺、別に仕方なくでやりたくないんだけど?」

小町「あう……」


 ダメだ。あいつのことを思い出すとまた尖ってしまう。

 暴れる俺の怒りを抑えながら、小町に対して口を開く。


八幡「じゃ、帰るわ」


 もちろん帰れないことは分かっている。

 小町が俺を抱きしめて離さなかった。


小町「やだ」


 まったく、可愛い天使さんだこと。



八幡「んじゃ、どうしろと」

小町「な、無しで良いじゃん」

八幡「俺そんな妄想力ねーし」


 あるけど、妄想界の総合商社並みにあるけど。


小町「じゃあ……ごにょごにょ///」


 あ、こいつはっきりとごにょごにょって言いやがった。計算して天然になれるタイプだっ。


八幡「はっきり言ってくんねーと」

小町「……使って///」

八幡「え、なんだって?」


小町「小町の写真を使って!」カオマッカ///


八幡「使うって何に?」

小町「あっ/////」


 ほんと、性癖をオナニーで例えるなら、俺が性器で小町が右手だわ。俺の気持ち良くなる部分を本能的に分かってやがる。


八幡「はっきり言ってくれないと、分からない」

小町「あ、あうぅ……///」モジモジ


 こら、俺の上でモジモジするな。おっぱいの感触で射精してしまうだろ。


小町「ひ、ひとりえ「オナニー」

小町「ふぇ!?」

八幡「それオナニーって言うんだぞ。良かったな、また一つ知識を得て」

小町「小町には必要ない知識だよっ///」


 ほんと、面白い。



八幡「ほら、もう一回ちゃんと言ってくれ」

小町「……わ、私の写真で……おな…して…///」モゴモゴ


 口ごもって言う方が可愛いってこと分かってんのかな。マジで魔性だわ。


八幡「私の写真ってどれのことだ。プリクラか?」

小町「違うよっ、小町のおな……っ///」ハッ


 この物語で訓練された兵士たちには分かってるかもしれないが、調教には飴と鞭が必要である。

 だが、俺の目的は調教ではなく征服。敵に与える飴などないのである。

 もちろん、必要投資と言うモノはある。それが今から言う“ご褒美”と言う名の幻想だ。


八幡「もし小町がちゃんと言えたら……今日も愛してやる」


 首筋を舐めるように呟く。小町は「ふぁぁ///」と気持ちよさそうな声をあげた。こいつ全身性感帯か?


小町「………」モジモジ///


 俺は人が葛藤している時間が一番好きだ。

 葛藤すると言うのは自分との妥協点を模索する行為、つまり100%以下にする行為なのだ。

 例えば、試算。

 自分がこれだけの行動をとればこれだけの見返りがあるという計算。

 これには100%以上がある。

 もちろん、葛藤より試算の方が安定して狙い通りの結果を得られるだろう。なぜなら試算の多くは希望的観測が混ざっており、ただの夢なのである。(これは思春期の恋愛話であり、社会人としての仕事上のそれの話ではない)


 葛藤は人間の本心しかない。綺麗汚いは別にしても、丸裸の感情だ。


 だから俺は、眉をひそめてブツブツと葛藤している小町を見て、



 フル勃起するのである。まる。



 



 翌日、気まずそうにこちらをチラチラとみてくる三浦を無視して一日を過ごすと、放課後にまたもや平塚先生に呼びだされる。


平塚「八幡、今日も部活に行くぞ」


 いつの間に名前呼びを許可したんですかねぇ。


八幡「性の部活動ですか?」

平塚「……は、はぁ!? ななな、何言ってるんだお前っ」アセアセ


 ……ん?

 なんだこの違和感。

 今までなら顔を赤くして慌ててる所なのに、なんでただ単に慌ててるんだ。

 まぁ、この人も大人だし、色んな経験を積んできたんだろう。

 俺はこんな重要な出来事を歯牙にもかけず、これからの事ばかり考えてたのである。



 いつだってあいつのことを考えると行動を間違えるのだ。



平塚「雪ノ下ーいるかー」

雪乃「先生、入る前にノックをしてくださ―――」



 目が合う。

 雪ノ下雪乃と目が合うと、今までに経験したことのない感情が押し寄せてくる。



八幡「………」

雪乃「誰かと思えば、負け犬じゃない」



 ぐっ……こいつ…。




平塚「負け犬?」

八幡「こっちの話です」

雪乃「分かりました。彼の入部を認めます」

八幡「はぁ? 誰がいつ―――」



 俺は言葉を失った。

 目の前の人生最大の壁、敵、悪魔が笑っていたからではない。

 教室に入る爽やかな風が彼女の髪をかきわけ、隙間からのぞく澄んだ瞳が俺の心に突き刺さったからではない。



 雪ノ下雪乃が笑っていたという事実。



 このタイミングで笑うと言うことは、負け犬だと罵った上で入部を認めると言うことは、




 ―――俺に対して勝利宣言をしたということである。




八幡「……よろしくお願いします」


 認めよう。

 俺は事実を事実として客観的にとらえられる人間だ。

 お前が俺の中に巣食う“本質”を見抜き、把握し、鮮やかに一蹴した。


 俺はお前に負けたんだ雪ノ下雪乃。


雪乃「あら、死んだ魚のような目をしていると思っていたのだけれど、どうやら“本当に死んだ”みたいね」


 ぐっ……。

 完全降伏状態の俺をなおも殺しにかかるか雪ノ下雪乃。

 だが、今は受け入れよう。

 その全てを。

 だが、それは俺の中で一切消化しない。

 心の中に溜めこんで溜めこんで、いつかそっくりそのまま返してやる。



八幡「それで、これは何の部活なんだ?」

雪乃「あなたが一生人に与えないことをする部活よ」



 やはり、間違ってもこの女と心を通わせることはない。







雪乃「ご奉仕部よ」





八幡「ご奉仕部……って、なんじゃそりゃ」

雪乃「あら、どうせあなたがいくら考えたって世の中のシステムのことなんて何一つ分からないんだからさっさと聞けばいいじゃい」

八幡「ぐっ……お前…」

平塚(なんかちょっと仲良いのがムカつくが)

平塚「それじゃあ、私は行くから後は頼むぞ」

雪乃「はい」

八幡「………」



 ご奉仕部ってなんだ……。

 ボランティア部とは違うのか……?


 想像してみる。


 ご奉仕という言葉を言うのは、たった一つ。

 メイドが「ご奉仕するニャン♪」と言うときである。



八幡「まさか、お前……学校にメイド喫茶を…?」

雪乃「あなた……101回死んで100回生まれ変わった方が良いんじゃないかしら」

八幡「おい、それ俺死んでるじゃねぇか」

雪乃「あら、算数くらいはできるのね」

八幡「………」


八幡「ご奉仕なんてメイドくらいしかいわねーだろ。しかも二次元に限る」

雪乃「二次元に限るのはあなたの変態的行動だけよ」

八幡「くそっ、否定できない」

雪乃「否定しなさいよ、名前を言ってはいけないあの人より危険よ」

八幡「……エリートってことか」

雪乃「隔離するしかないってことよ」

八幡「………」

雪乃「ご奉仕部はご奉仕部よ。それ以外に何があるの」

八幡「ここ以外にご奉仕部なんてねーよ」

雪乃「あら、あなた世界全国の部活動を調べて回ったのかしら」

八幡「常識的に考えれば分かるだろうが……」

雪乃「……あなたに常識を語られたくないのだけど」

八幡「………」


 あれ、何これ。

 レベル1の状態で魔王と戦わされて、しかも毎ターンザオリクかけられるような……。


雪乃「不毛な会話を続ける意味はないから説明するわ」

八幡「さっさとしとけよ」

雪乃「ご奉仕部とは……」






雪乃「ご奉仕する部活よ」キリッ

八幡「だから分かんねーよバカ」パシンッ







八幡「あ……」


 しまった。

 頭を叩いてしまった。

 呆気にとられた雪ノ下がこちらを見つめてくる。


八幡「……そ、その…」


 何ていう。

 謝罪か。土下座か。今すぐ逃げるか。



 だが、雪ノ下の反応はやはり俺の理解の枠組みを超えていた。




雪乃「………///」ポーッ




 背中の穴と言う穴から汗がわき出す。

 やばいやばいやばい、なんだこれ、なんだこれ、何が起きたんだ!?


 俺の中の危険警報がどんどん大きくなっていく。



八幡「ゆ、雪ノ下……?」ドキドキドキ

雪乃「………」



雪乃「ふふ……ふふふ、よくぞ見抜いたわね比企谷君」

八幡「いや、その……な、何も見抜いて―――」




雪乃「私はドMよ」




八幡「」


 悪夢だった。


ちょっと一時間ほど離れます!では!




 例えよう。


 俺の趣味が狩りだっとする。


 長年培った経験と知識で、今回の獲物は虎を狩ることにした。


 予約の日は三日後の朝だ。


 俺は今まで訓練した射撃技術、気配を悟られないための息遣い、生き物殺すための度胸、その全てにおいて条件を満たしていると自負していた。


 毎晩想像した。


 虎は素早い。正面から撃っても気配を悟られたら避けられるかもしれない。

 やはり側面を狙うべきだ。

 だが、やはり狩りを楽しむなら頭を狙いたい。


 そうこう考えてるうちにあっという間に狩りの朝だ。


 うん、天候にも恵まれ、絶好の狩り日和だ。


 俺は、自前の猟銃を持って、車へと乗り込む。


 すると、今回のツアーを仕切ってくれている男性が俺を呼びとめる。


「車なんて必要ないよ。はい」


 目の前にいたのは虎。



 殺されたがりの、虎。




 




雪乃「ご奉仕部とは、人が嫌がるような仕事を無理やりさせられる部活よ」



八幡「うっせーブス」バシッ

雪乃「んっ/// な、なかなかやるじゃない///」ハァハァ


 男子生徒が夢にまで見た雪ノ下雪乃のエロい顔。

 それを見ている俺は全く持って不幸だった。


 俺は、目の前で腰を振っている雌豚に餌を与えることに喜びを感じたりはしない。


八幡「まぁいいや。それで、今までに受けた依頼は?」

雪乃「掃除当番の代わりだったり、書類作成だったり、トイレ掃除だったり、不良の呼び出しを代わりに行くことだったりいろいろよ」

八幡「おまっ、最後のだけ次元がちげーだろ」

雪乃「そう? 彼らに乱暴されるとドキドキしたわ」ハァハァ///

八幡(こいつ……生粋のMだ)

雪乃「結局、私が怖気づいて黙っていると、何故か皆去っていったわ」

八幡「そりゃ、普段のお前は怒ってるようで怖いからな」

雪乃「もっと罵って……」ハァハァ///

八幡「断る!!」

雪乃「ぁあん/// ご放置部///」

八幡(お、俺はこんな奴に脅威を感じたり、復讐を誓ったりしていたのかぁああ!)


 結局、俺は自分の造った雪乃像に敗れ、本物の雪乃に粉々にされたのである。





八幡「………」カシャカシャ



雪乃「はぁはぁ……さ、流石は変態会の王子様ね。こんな教室でパンツをずらさせた上に性器を写真に残すなんて」ハァハァ///



八幡「は? 別にお前の写真なんてすぐ消すつーの」バシッ

雪乃「ひぐっ/// ふ、太もも!?///」ビクンッ

八幡(悔しいが小町とはまた別の意味で相性が良い。こいつの喜ぶことを俺は分かってしまう……)

八幡「後ろを向いて壁に両手をあてろ」

雪乃「……は、はぃ…///」スッ

雪乃(も、もしかしてこんな所で私は犯されちゃうのかしら。生で彼の白濁を受け止めて、受精に喜びを感じちゃうのかしらっ///)ハァハァ

八幡「スカートをたくしあげて、ケツをこっちに向けろ」

雪乃「んっ///」クイッ///

八幡「………」カシャカシャ

八幡(おいおい、垂れてきてるじゃねぇか)

雪乃「ど……うしたの/// ま……た、放置プレイなのかしら…///」ハァハァ

八幡「だってさぁ、




 さっきから沢山の男がお前のケツ見て抜いてるぞ?」




雪乃「!?」ビクンッ///


 これで分かる。

 雪ノ下雪乃が生粋のマゾヒストなのかどうか。

 もしここで「いやぁ!!」とスカートを隠したのなら、こいつは偽マゾヒストだ。羞恥に快感を覚えないクズだ。

 俺の予想では本物のマゾヒストなら、何人いるのか、これ以上何もしないのかなど先を期待させるような言葉を吐くはずだ。



 しかし、いつだって俺の予想は間違うのである。



 



雪乃「おしっこ……出そうだわ」ハァハァ///

八幡「」







 ああ、こいつは本物だ。



 俺は確信する。

 雪ノ下雪乃は生粋のマゾだ。

 将来確実にAV女優になるくらいの変態だ。



 沢山の男が自分のケツを見ているのに、小便するだと!? まぁ実際にはいないんだけど。



 小学生のころに無理やり性器を見られたことのある俺ですら引くわ。いやマジで。


雪乃「い、良いかしら」ハァハァ///

八幡「………」


 考えろ八幡。

 こいつが生粋のマゾヒストであることは分かった。



 じゃあ俺は?



 俺は自分でドSだと思ったことはないし、今までやってきたプレイもサドとは違う。

 だが、ここであいつに対して引いたままというのは、いささか失礼な気がする。

 俺は俺のことを変態だと自覚しているし、これからもその道を歩み続ける。小町のような理解者を得たし、責め手はこれからも道具を見つけて行くだろう。


 しかし、雪ノ下雪乃にそれはいない。


 彼女のクールさが、神々しさが、天から授かった才能がそれを引き離す。

 とても寂しい奴だ、俺は自分事を棚に上げてそう思った。

 だから、正々堂々真っすぐと、雪ノ下雪乃と戦うことにする。



八幡「さっさとしろよ、途中で飲むからな」

雪乃「!!」ゾクゾクゾクゥ///



 たらり。

 黄色い液体が雪ノ下の白い太ももを伝って流れ始めた。





 普通、SMプレイと言えばおしっこをかける側がSでかけられる側がMであると思うだろう。


 だが考えて欲しい。自分がその立場だったら?


 飲む方は飲み物が汚水であると言うこと以外何も変わらない。

 飲ませる方は下半身を丸出しにして、自分の汚水を見られ、飲まれる。


 飲む方が自発的な場合、往々にして立場は逆転するのである。



雪乃「あふぅ……ん///」

八幡「………」



 なんて、飲むはずがないだろう。俺にそういう趣味はない。

 じんわり液体が床に広がっていく。雪ノ下の匂いが広がり、自然と下半身が膨らむ。

 俺は雪ノ下の髪の毛を乱暴に掴むと、こちらへ引き寄せた。



雪乃「んっ///」

八幡「……教室で小便するなんて、きたねー女」ボソッ


 最後に左耳を強めに噛む。

 雪ノ下が後ろ手に俺の服を掴んだ。もしかしてこいつイッてねーか?


八幡「それそのまま放置な」

雪乃「舐めろとは言わないのね」ハァハァ///

八幡「いつでもお前の欲しいモノが貰えると思うな」

雪乃「はぁはぁ……/// あなた、やっぱり変態ね……///」


 それは、おそらく俺が雪ノ下の性器を目の前にしながら何もしないことを指しているんだろう。

 確かにお前は魅力的な肉体を持っている。顔も最高クラスだし、スタイルも良い。胸が小ぶりなのは残念だが、その分揉みがいのありそうな尻でカバーしている。

 だが、俺は絶対にこいつに手を出したりしない。今は。

 雪ノ下雪乃の身体に触れる時、



 それは、雪ノ下雪乃が比企谷八幡に心から屈服した時である。



 

このまま行くとまずい方向になるので、最近妹の様子がちょっとおかしいんだがを見て落ち着いてきます。

では!


 その日、雪ノ下雪乃と通じ合ったようで、すれ違った日。

 帰り道、駅前で由比ヶ浜結衣が俺に声をかけて来た。



結衣「やっはろー、ヒッキー何してんの?」

八幡「なんだビッチか……」

結衣「ビッチ言うなしっ」



 やっぱり由比ヶ浜の反応は面白くない。

 反射のような単純なツッコミ。

 自分勝手な解釈。


 何一つとして魅力を感じない。ああ感じないな。



結衣「ふぇ!? ちょ、ちょっとヒッキー!? 近くない!?」



 あ、しまった。つい小町との距離になってしまった。



八幡「あ、わりぃ間違えた」

結衣「……あ…」シュン…



 ほらな。自分が寂しいからって露骨に寂しそうな顔をする。

 俺はそんな単純な思考で生きてこられたことに対して腹が立つ。



八幡「それじゃ、俺行くわ」

結衣「あ、……う、うん…」


 それでも、


 それでも今の人間関係の中で、予測通りの人間、由比ヶ浜結衣という存在はとても安心できた。




 “自分の予測は間違えること”を知っている癖に。




 



 一方、葉山隼人は自宅にいた。


葉山「………」



 茫然と、ただ壁を見つめている。

 何も考えず、ただ、ただ壁を見つめている。




 無数に張られた比企谷八幡の写真を、見つめている。





葉山「八幡……お前の尻…最高……」ハァハァ…





 



 prrrr



葉山「ちっ、ビッチからか」

葉山『ん? どうした優美子』

三浦『隼人ぉ……』

葉山(ちっ、こいつ本当にベタベタしやがって)

葉山『ん、なんか元気ないね。心配だな』

三浦『……ぐすっ、聞いて…くれる?』

葉山(あー、女のクソみてーな相談受けたくねーなー)

葉山『ああ、言ってみな、優美子(爽やかボイス)』

三浦『ヒキオが頭から離れないのぉ……(甘い声)』

葉山『』ピッ


葉山「………」ガタガタ


prrrrrr


葉山「………」ガタガタ


prrrrrr


葉山「な、なんてこった(放心)」



葉山『ひ、ヒキタニ君に何かさせられたのか?』

三浦『うん……パンツ脱がされた(すっとぼけ)』

葉山『なっ!? 羨ましい!!』

三浦『ふぇ!?』

葉山『しまった!』

三浦『そ、そんな……隼人のお願いならあーし…』

葉山『………』

三浦『ねぇ聞いてる?』

葉山『ああ、それで、無理やり脱がされたのか?』

葉山(もし同意の元だったら、優美子、お前でも……)ギリッ



三浦『本当は私から脱いだし……』



葉山「」バキッ



葉山「心の底から……羨ましい…」ガクッ

翌日。


葉山(だが、きっかけはできた。これで八幡に話しかけられる……)

八幡「………」スタスタスタ

戸部「おっ、変態くーん」

八幡「………」ジトッ

戸部「ひゅーこえー」

大和「あいつ……前より迫力あるな」

葉山「………」

戸部「隼人君どしたん?」




葉山「ちょっと屋上来いよ、ヒキタニ」ゴゴゴゴゴ




海老名「ぶはっ!」

三浦「ちょっと!?」

海老名「は、はは、ハヤ×ハチが、ハヤハチが現実に……」アハ、アハハ…

三浦「………」チラッ

三浦(ヒキオ……あんたの思い通りにはいかないんだからね…)モジモジ




屋上



葉山「ヒキタニ! 俺の尻を思い切り打ってくれ!」プリンッ

八幡「死ねっ!」ドカッ

葉山「ぐはっ! 蹴りとは分かっている!!」ドサッ


八幡「お前……本当に葉山隼人か?」

葉山「……くっ、君のイメージを崩してしまったならすまない、裸で詫びよう」

八幡「キモい、やめろ」

葉山「その蔑んだ目! 最高だ!!」ハァハァ

八幡(雪ノ下雪乃とは種類の違うマゾヒスト……)

葉山「……三浦」

八幡「?」

葉山「三浦優美子の下半身を見たそうだね」

八幡「あ? どうした、お前も見たかったのか?」

葉山「ふざけるな!」

八幡「っ!」ビクッ

八幡(くそっ、どうしてもこいつには本能的にビビってしまう……)




葉山「僕は見せたかったんだ! 間違えないでくれ!」




八幡「」

葉山「ヒキタニ……いや、八幡」

八幡「勝手に名前を呼ぶな」

葉山「僕は今まで君が想像もしないような恵まれた生き方をしてきた!」

八幡「あそ、興味ねーよ」

葉山「だが、そのどれもが僕の上辺だけの部分で得ることができた! 一度だって満たされたことがないんだ!」

八幡「ふーん、おめでとさん」クルッ

葉山「君は“他人を満たすことができる”」

八幡「誤解だ」スタスタスタ

八幡(本当に誤解だ。俺は自分を満たすことしか考えてねーよ)



葉山「僕は、君に出会うために生まれて来たのかもしれない」



八幡「俺はお前と一生話さないために生まれて来たのかもな」


 がちゃり。


八幡「うぉおおおお! こえぇえええええ!!」ダダダダッ

八幡(なんだあいつ!? ホモか!? ホモだったのか?!)ダダダッ

三浦「………」キョロキョロ

八幡「げっ、三浦?」ダダダッ

三浦「へっ!?」



―――どんっ!



八幡「てて……」

三浦「………」モジモジ///


八幡「わりぃ、ちょっとスカート入るぞ」ガバッ

三浦「ちょっ、何するしてるし!?///」

三浦(人のスカートの中に……ぁっ、当たってるし///)モジモジ




葉山「……優美子」ハァハァ




三浦「隼人? どうしたし?」

葉山「ヒキタニ君どこへいったか分かるかな?」

三浦「……し、しらねーし///」プイッ

葉山「……そうか」チラッ

葉山(君は今……僕を必要としていないようだね…)

葉山「ちょっとトイレに……」

葉山(でもいつか、君は僕を求める)




葉山「だって僕は……君のことを愛してるからね」ボソッ




八幡(あー聞こえない聞こえないクンカクンカスーハースーハー)

三浦「んっ///」ビクッ

三浦(ひ、ヒキオっ///)

戸塚「あ、三浦さん、……って、あ、頭突っ込まれてるよ!?」ビクッ

三浦「あ」

八幡「こいつミニスカートだった……」



戸塚「あれ? 比企谷くん!?」ビクッ



八幡「と、戸塚!!」フガフガ

三浦「んっ///」ビクビク

八幡(俺の絶対領域に変態行為を見られた!!)バッ



戸塚「あ……あのね……ごめんっ!」ダッ



八幡「……さらば、俺のベストプレイス……」

三浦「つーか、あーしのこと無視すんの?」

八幡「………」

三浦「来いっ」グイッ

八幡「………」ズルズル



 最近、あまりに人間関係がごちゃごちゃしていて目的を見失いがちだが、俺の目的は『嗜虐心を満たす』ということである。

 嗜虐という言葉通りではないが、俺は順調に様々な人間を屈服させ、恥辱と屈辱の目を見て来た。



 それのツケが回ってきたということだろうか。


三浦「……んっ、ちゅばっ…あむっ」ジュプジュプ

八幡「………っ」クッ…


 屈辱と恥辱にまみれているのは俺の方だ。

 下半身を露出し、それを良いように弄ばれている。


三浦「もう絶対に許してやんねーし」シュシュッ

八幡「お、おい、それ以上は出る……」クッ

三浦「ふーん」パッ

八幡「………?」

三浦「じゃあな、ヒキオ」テクテクテク

八幡「……何だったんだ…」


 それから毎日、三浦は昼休みに俺を拉致した。

 その度に射精寸前で三浦は帰っていく。

 俺の身体は三浦に管理されていた。



小町「ねぇお兄ちゃん、何で最近してくれないの?」

八幡「……してるじゃねぇか」

小町「これじゃあオナニーと変わんないよ!」

八幡「小町もだいぶ変態的になってきたな」

小町「だ、誰のせいだよゴミィちゃん! ポイントマイナス!」プクーッ

八幡「総ポイントは?」

小町「……無限大だよ///」モジモジ

八幡「はいはい」ナデナデ

八幡(そろそろ一段階上げるか)




 俺は、三浦に弄られるようになってから、まだ一度も射精をしていない。

 それは、“あの程度”の人間に負けないという決意の現れであり、俺自身が楽しんでいるということもあった。


 初めてできた“敵”。


 俺は三浦優美子を屈服させるために、自身の快楽を我慢する。三浦は俺を屈服させるために、自身の快楽を我慢する。

 

 お互いがお互いの事想い、我慢し、耐える。



 これが比企谷八幡の求める、理想形の一つだった。


あかん。ここからはどうしても18禁を軽く超えるレベルに発展してしまう。

と言う訳で、一旦置いて戸塚祭りへ移動します。


 昼休みに敵と戦って、放課後は変態の相手。

 いつの間にか比企谷八幡の学生生活は三流ラノベに負けないそれになってしまった。


雪乃「……ふ、んっ/// そ、そうよっ/// 悪くないわっ///」ビクビク


 一応、依頼人が来た時のために、見た目上問題がある行為は行っていない。

 今日は雪ノ下が買ってきた震えるおもちゃを全身の感覚が鋭敏な場所へセロテープで張り付けただけだ。

 もちろん、張り付けるのも俺の役目だったが、まさかノーブラで登校してたとは驚きだ。ノーパンの日もあるらしい。


八幡「………」ハァ…


 こいつはどんなタイミングだろうと喜ぶ。

 俺はこいつが喜ばないタイミングを探すが、探せば探すほど向こうにとっては予想外の刺激となり喜ばれる。

 八方ふさがりとはまさにこのことだった。



雪乃「ね、ねぇ比企谷様……キスをしましょう」ハァハァ



 俺はよく雪ノ下にキスをせがまれる。



八幡「ぜってー嫌だ」



 世の男子全員から批判を浴びると思うが、俺は一度も雪ノ下とキスをしていない。

 なぜなら、雪ノ下の快楽は“自分を汚す”ことであり、俺とキスをしたいというこはつまりそういうことなのだ。



雪乃「はぁはぁ……んっ///」ビクッ



 くそっ、どんなタイミングならこいつを嫌がらせることができるんだよ。

 そんな健全な学生生活とは正反対の思考をしていると、



―――ガラッ!



 俺が参加して、初めての依頼人がやってきた。



戸塚「えへへ……ここがご奉仕部ですか?」ニコッ



 俺のベストプレイスが、自らやってきたのだ。

ちょっと過激になり過ぎた展開を抑えるために、マケン姫とのうりんを見てきます!

後、息抜きに似たようなss書いてきます! では!

それじゃあ、


☆――――――☆


ここより、過激な描写を含む場合があります。

健全なss読者はそっと画面を小さくして、ばれないように見ましょう。



☆――――――☆




 戸塚彩加。

 俺が嗜虐心に目覚める以前、たまに話しかけてくる天使のような存在だった。

 クラスでは目立たない方だったので、その容姿の完璧さはあまり知られていない。

 だが、彼の真骨頂はその女性のような柔らかい雰囲気にあり、俺は彼を眺めては「女の子だったら良いのに」と欲情していたのである。



戸塚「………」ドキドキドキ



 その戸塚彩加が、天使が目の前にいるのである。

 俺はそっとスイッチを押した。


 ――ぶぶぶ。


 携帯のバイブレーションに似た音が微かに聞こえた。


雪乃「んっ///」モジッ


 雪ノ下は両目をギュッとつぶって、スカートを手で押さえた。

 そうだ、俺はこれが見たかったのだ。

 やっぱり戸塚は俺の天使だ。心からそう思います。


戸塚「ど、どうしたの?」オロオロ


 状況が掴めず慌てる戸塚。そりゃあそうだろう。

 どこの女子高生が放課後、部活動中にバイブレーションを身体のいたるところに仕込んでるっていうんだ。


八幡「あー……気にしなくていいぞ。それより、依頼か?」


 天使の依頼ってどんなのだろう。

 トイレに一人で行けないとかかな。よし、俺がちゃんとついていってズボンを下ろしてやろう……って、何でここで葉山を思い出すんだくそっ……。



戸塚「あ、うんっ、お願いしたいことがあって!」


 戸塚がジッと俺の方を見つめてくる。

 なんでこいつデフォで上目づかいなの。男を誘うために生まれて来たの?


八幡「雪ノ下、お前部長だろ、しっかりしろよ」


 と、スイッチを再び起動する。しかも今度は威力をマックスで。


雪乃「……ふぐぅ…ん///」ビクンビクン


 必死に声を殺すも、漏れてしまう雪ノ下に俺はすごく欲情した。やっぱり葛藤って良い。


戸塚「あ、あの、やっぱり雪ノ下さん体調悪そうだし、今日は……」

雪乃「いいえ、大丈夫よ」キリッ

八幡(こいつすげーな。今もバイブ動いてんだぞ……)


 雪ノ下の精神力に感動しつつも、戸塚の依頼も気になる。

 俺は、戸塚をジッと見つめると、彼は恥ずかしそうに、


戸塚「そ、そんな見つめられたら恥ずかしいよ///」テレテレ


 なにこの天使。抱きしめて良いの?


雪乃「……もっと…」ハァハァ


 なにこの堕天使。欲情してんの?



 このスレは新ジャンル【葛藤萌え】です。【葛藤プレイ】でもあります。

 これからも様々な人間の葛藤に興奮していきましょう。


 そして、これから先はエロしかありません。


 エロが苦手な方は、目をつぶってスクロールしましょう。


 ここで、もう少し戸塚について話しておく。

 そもそも、戸塚彩加はいわゆる美少年であることは周知の事実だが、実はテニス部員なのである。

 テニスと言えば、さわやかなイメージとは対照的に男子テニスは力と力のぶつかり合い。

 つまり、戸塚は相手をぶっ飛ばすくらいの気持ちを持ってスポーツしているのである。


 俺はいつも想像していた。


 あの気弱そうな戸塚が、虫を殺すのも躊躇いそうな戸塚が、狡猾に残虐に非道に相手を打ち負かそうとしている様を。


戸塚「どうしたの比企谷くん?」

雪乃「そうよ、さっきからなんでスイッチを押さないのよ。あなたの指は何のためについてるの?」

八幡「あ、ああ、すまん」ポチッ

雪乃「んっ(はぁと)///」

戸塚「えっ///」ドキッ

八幡「お前……もう隠す気ねーだろ」

雪乃「そ、それで戸塚君。依頼は何かしら」

戸塚「あ、あのね……平塚先生にここはご奉仕部だって聞いて、嫌がる仕事を引き受けてくれるって聞いて……その…」モジモジ///


 うわぁ、モジモジ戸塚なんて天使が機関銃持ってるようなもんだぞ。もはや兵器だ兵器。


 なんて、考えていると、戸塚彩加天使は機関銃どころか超電磁砲をぶちかますのである。


 





戸塚「僕の童貞を奪って欲しいんだ!!」ハァハァ///






 ニュートンはリンゴの落ちる様からヒントを得て万有引力の法則を考えたらしい。

 それは、本当に何気ない日常のワンシーン。

 つまり、人は誰でもニュートンになれる可能性を持っていると言うことである。



 それで、えーっと、何の話だっけ?



雪乃「私に童貞を奪って欲しいと言う訳?」ジトーッ

戸塚「えぇ!? ゆゆ、雪ノ下さんが奪ってくれるのっ!?」カァ///

雪乃「それは不可能ね。私は誰かに頼まれて股を開くほど安くないの」



 嘘つけ。無理やりじゃないのが嫌なだけだろ。

 下半身洪水女は放っておくとして、俺は戸塚の言葉の本意を探る。



八幡「えっと、戸塚が言ってるのは、セックスがしたいということか?」

戸塚「う……うん///」コクリ

雪乃「学校でセックスがしたいなんてあなた正気?」ジトーッ

八幡「お前が言うなし」ポチッ

雪乃「ぁんっ///」ビクッ

戸塚「ひっ!?」ビクッ

八幡「それで、一応念のために聞くが、


 女とセックスがしたいんだよな?」


戸塚「あ、当たり前だよぉっ」

八幡「そ、そうか、すまん」

雪乃「何? あなたそういう趣味があったの? こうふ……軽蔑するわ」

八幡(興奮するわって言いかけただろお前……)



 俺は動揺していた。


 妹と一線を越え、トップカーストの女王にフェラされ、トップカーストの王様に告白され、学年一の美少女と変態行為をした。比企谷八幡という人間が全く持ってまともな人生を歩んでいないことは分かる。


 だが、戸塚彩加は違うはずだ。

 少なくとも他人とセックスの話をしないし、ましてや童貞を奪ってなんて言わないはずだ。


戸塚「僕は、早く女の人のあそこを貫きたいんだっ」ハァハァ///


 悪夢だ。


雪乃「………」ドキドキ

雪乃(今の言い方ならあげてもいいかも……)


 今の言い方ならセックスもやぶさかじゃないとか思ってんだろうなこの女。


八幡「戸塚は誰か好きな奴がいるのか?」

戸塚「………」フルフル

八幡「あ、あのな、俺が言うのもなんだけど、そういうのは好きな奴とだな……」

戸塚「でも僕は、僕はもう我慢できないんだよ比企谷君!」ハァハァ

八幡「お、おう……」


 負けた。

 戸塚彩加に勢いで負けた。


雪乃「……な、なら――」


 立候補しそうになっている雪ノ下を制止し、俺は考えを巡らせる。

 戸塚彩加の願いを叶えるのは簡単だ。雪ノ下かビッチをぶつければいい。


 だが、それでこの部活は良いのか?


 相手が欲しがるものをただ与えて、それで終わりなのか?

 なぜか納得がいかなかった。


 ご奉仕部。


 無理やり入部させられたこの部活に、俺は何か意味を見出そうとしてるのだろうか。

 


 その日は、考えておくと無理やり納得をさせて話を終わらせた。

 雪ノ下は私が解決するわ、とどう考えても実力行使だろって顔してたので、


八幡「もし、お前がセックスしたら俺が考えている最高のプレイは墓場まで持っていくからな」


 と、言うととても嬉しそうな顔で、


雪乃「仕方ないからノーパンで待っててあげるわよっ///」


 と意味のわからんツンデレで返されたので、無視しておいた。



 そして、帰り道。



 またしてもややこしい人物と出会うのである。


 



平塚「は、八幡っ」


 よし、無視だ。

 アラサーの癖に森ガールのようなゆるふわ系の服を着たサイコパスの相手なんかしてられるか。


 俺は目を合わせないように下を向きながら通り過ぎようとしたが、腕を掴まれ、


平塚「さっ、行こっ☆」


 と、目から星と言うか妖怪でも飛び出しそうなウィンクを食らわされたので、俺はもうこれは逃げられないと悟るのである。



 そして、着いたのが、


八幡「ここどこですか?」

平塚「私のうちだ」

八幡「」


 全国の警察様、拉致監禁されそうです助けてください。




平塚「どうした? 遠慮するな」


 いや、遠慮と言うか恐怖で微動だにできないだけなんですが。……なんて言えない。


八幡「そ、その格好どうしたんですか?」


 少しでも話題をそらしてここから立ち去りたい俺は、最も触れてはいけない部分に触れてしまった。


平塚「ん? いまどきの高校生はこういうのが好きなんだろう?」

八幡「な、何で高校生の好みに合わせる必要があるんだ、このバ―――」



 ぞくり。


 全身が命の危険を悟り、逃げろと命令する。

 だが、扉を開くのに数秒、あの化物が飛びかかってくる方が早いのである。



平塚「さぁ、奥へどうぞ」



 どくんどくん。

 心臓が逃げろと太鼓を鳴らす。

 靴を脱いだらおしまいだ。

 エヴァ初号機だってこいつにだけはATフィールド全開だろう。


 いや、ここで誤解は解いておくべきだが、平塚静のゆるふわファッションは意外にも似合っている。

 実際、ナチュラルメイクの彼女は美人だし可愛い。

 それでも俺が彼女にちかづくことを躊躇う理由は、その右手で持っている薬局の袋だった。


 四角くて、中身が視えないように包装されてて、歩くたびにカシャカシャ言うそれ。


 戸塚よ。お前と気が合う人物がここいるぞ。


平塚「は・い・れ」ニコッ


 俺は睨まれた蛙のようにすぐさま靴を脱いだのだった。


八幡「お、お邪魔します……」

平塚「んっ///」チュッ

八幡「!?」


 しまった。

 もっと深く用心すべきだった。

 乾いた舌が俺の口内を犯し、潤いを得ていく。緊張してたんだなこの人。

 舌と舌のざらつきがこすれ合うたびに、平塚静は俺に胸をこすりつけた。

 この前は気持ち悪かった煙草の臭いが消えており、代わりにシャンプーの甘い香りが俺を興奮へといざなう。


平塚「ふぁ/// じゅるっ/// んっむっ///」レロレロ


 俺の髪をぐしゃぐしゃと掴みながら、本能の赴くままに舌と舌との絡み合いはヒートアップしていく。

 俺は完全に雰囲気にのまれていて、つい両手が平塚先生の胸へと向かおうとしたのを必死に我慢する。


 これじゃあ、完全に犯されてるのは俺じゃねぇか!


 そう思った瞬間、俺の中でスイッチがオンに切り替わる。




 そして、俺は思い切り―――乳首を捻った。




平塚「ひぐっ!?」ビクンッ



 甘い声が一気に消え失せ、ただ単純に痛みによる叫びが部屋に響く。

 あれ、なんだこれ……楽しい、のか?



平塚「は、八幡……いきなり何をするんだ…」ハァハァ///


 ディープキスの余熱と、痛みの余韻で顔がぐしゃぐしゃになる平塚先生。




 とても、可愛いと思った。




 



八幡「ふーん、無理やり襲えば何とかなると思ったんですか?」グイッ


 俺は静の顎を無理やり持ちあげると、ペッと唾を吐きかける。


平塚「なっ!? お前っ!?」


 力では勝てると思ったのだろうか、突如激高した静が立ち上がろうとするが、俺は思い切り腕を捻りあげ身体を床へ叩きつける。


平塚「ぎゃっ!?」


 おおよそ女性らしからぬ声が漏れた。だが、俺はその声で酷く興奮した。……酷く。


八幡「なぁ静。俺の事好きなのか?」ハァハァ


 背中の上に膝で体重を乗せる。静はうめき声をあげたが、俺はそのままの姿勢でゆるふわスカートに手を突っ込んだ。


平塚「なっ、や、やめろっ!」


 期待していたのは静の方だろ。

 俺は、無理やりパンツをずらすと、ケツの穴に思い切り指を突っ込む。


平塚「やっ/// そ、そこはっ」ジタバタ


 今までの主義には反するが、状況によってしかたないこともある。



 ここで、断っておくが、俺は酷く冷静だったのだ。……酷く。



八幡「なぁ静。



 今すぐ謝るなら引き返せるけど?」



 この時、俺は何故か静の姿に雪ノ下雪乃を重ねていた。



雪乃『……犯して、比企谷君……』ハァハァ///



 なんて……酷い日だ。






平塚「私は……ぐすっ、君を信じあぐっ!?」ビクッ



 第二関節まで入れる。体勢はもう完全に抱きついていた。勃起した下半身は静の太ももに当たってビクンビクンと脈動している。



八幡「俺の話……聞いてくれないんですか?」



 俺は、自分の行動に嫌気がさしていた。

 これじゃあ、葛藤もくそもない。ただただ、俺が導いているだけじゃないか。

 そんなのは興奮しない。身体はビンビンに興奮しているが、心はどんどん萎んでいく。



平塚「わ、わかったっ! 謝る! 謝るから!」

八幡「……それじゃあ、



 このまま、セックスしますね」



 えっ、と静は声を漏らした。それは予想外だったのだろう。良い悪いは別にして。



八幡「ずらすから」



 ずりっ、と一気に引き下ろす。パンツだけは何故黒のティーバックみたいなきわどい奴を履いてるんだこの人……。

 年の割に綺麗なお尻が露わになる。

 うつぶせのまま静は両手で顔を隠した。



八幡「嬉しいって言って」ボソリ




 たぷん、と重力に従う胸を手で持ち上げながら、俺は静に自分から言うように促す。

 早く自分を取り戻さないと、一生戻れない気がしたから。


平塚「はぁはぁ/// う、うれしいです///」コクコク


 素直に言うことを聞いたので、俺は優しく胸を揉んでやる。


平塚「ふ、ぅん///」


 四つん這いの体勢で甘い声を漏らす静は完全に雌豚だ。

 俺は雌豚を調教する趣味はない。


 だから、選択肢を与える。


八幡「静」

平塚「?」




八幡「おしっこしてみようか」




 どうやら少しばかり怒りが残っていたようだ。

 この傲慢で自分勝手な女のプライドを粉々にしたい。

 俺は心からそう思っていた。





 その瞬間、携帯が鳴った。



 とても、大きな音だった。




 



 またたく間に熱が冷めていく。

 平塚先生もまた、落ち着いたのかいつもの表情に戻っていた。


八幡「……ちょっと出ますね」


 俺は部屋から立ち去る。

 そして、スマホの画面を見ると【三浦優美子】と表示されていた。……いつの間に登録したんだこいつ。


八幡「はい」

三浦『あ、ヒキオ。今すぐ来い』

八幡「は?」

三浦『校門の前でいいや。あーしはもういるから』ピッ


 俺は、茫然と立ち尽くす。

 これは救いだったのか、それとも……。


 部屋に戻ると、平塚先生がいそいそとパンツをはいていた。


八幡「平塚……先生…」


 俺は自分でも酷く狼狽した声をだしていると思った。

 それは彼女も感じ取ったのだろう。


平塚「……すまん」


 と、一言告げると、俺が帰るまで一言も口を開くことはなかった。



 玄関の扉をゆっくりと閉め、俺は大きく息を吐き出した。



 それは安堵の溜息か、それとも後悔の落胆か。


 だが、俺の中に巣くう闇。その大きさを垣間見たことで、恐怖を抱いたこと。それは事実である。



 俺はもう一度深呼吸すると、全力で学校に向かった。



 季節は夏、酷く……熱い夏だった。

今日はここまでにします!

こういうの要らんねんけどね。やっぱり起きちゃうんだよね。

続きは甘めに三浦タイムと行きます!ご期待を!


後、上条さんの方もよろしくね!では!

おはようござます!
平塚先生をストーカー予備軍キャラにしてしまったせいで、由比ヶ浜さんのポジが奪われてしまった……

ということで、あーしさんに呼び出しくらったところから続き行きますー



 ぐちゃぐちゃにかき回されたプリンのような思考を保ちつつ、学校の前にたどりつくとそこには両手で鞄を持った清楚な女学生……清楚とは見た目からは言いにくいが、少なくとも処女がそこにいた。


三浦「おーい、ヒキオー」ブンブン


 嫌な予感がした。

 機嫌の良い時のジャイアンほど信用してはならない。日本国民なら誰しもが知っていることだ。


八幡「なんだいジャイコ」

三浦「は? どう考えてもドラミちゃんだし」


 あんな雪だるまみたいな体型でもいいのか、女の感性は相変わらずわからん。


八幡「で、何の用なんだ? もしかしてカツアゲか?」

三浦「だからジャイアン違うし」


 ジャイコからジャイアンになってるじゃねーか自覚あんのか……?

 三浦は少し言葉に迷った後、にっこりと笑って言った。


三浦「デートの時間ってやつ?」ニコッ


 世の中の男性が羨む出来事であるにもかかわらず、俺には嫌な予感しかしなかった。



 だが、相変わらず予想や予感は外れるのである。




 


 あーし様とのデートは本当に良い意味での健全なデートだった。

 商店街を手を繋いでぶらつき(恋人繋ぎな所は気になったが)、ゲーセンで遊び、カラオケで歌い、景色の良い丘の上の公園まで散歩する。

 これが正しい高校生の付き合いというやつか。恐れ入ったぜ。健全過ぎて俺の中のカオナシが消えていきそうだ。


三浦「ねぇヒキオ」


 公園のベンチに腰かけても、俺たちは手を繋いだままだった。自分でも意外だったが、こいつの細くてしなやかな指に触れているのは案外悪くない。


八幡「ん? お金ならあんまりないぞ」

三浦「あーしが援助交際してるとでも思ってるん?」ジトーッ

八幡「失言でした……」

三浦「ヒキオ……最近、どう?」


 よく分からない。

 質問の意図がどこにあるのか。

 毎日昼休みに俺の息子の管理をしているお前が言うセリフか。

 とも思ったが、三浦の真剣な……というより思い詰めた顔を見て、俺はおどけるのをやめて真剣に答えた。


八幡「……充実…してるっちゃしてるのかもな」


 忙しい、ただそれだけの意味で言えば充実している。

 心が満たされているかどうかは別として。


三浦「そっか……」


 なんだよ勝手に納得しやがって。

 と、思いきや、それは振りだったようで、


三浦「ヒキオ……いや、八幡君」


 八幡君。

 なんだかそのひどく滑稽に聞こえる呼び方をされた俺は不覚にも顔を赤らめてしまった。


八幡「お、おう///」




三浦「あーしと……付き合ってください」







 それは、温泉だと思って飛び込んだら冷水だったような、砂糖だと思ってたら塩だったような、そんな衝撃。


 三浦優美子の告白。


 いや、告白自体は想定外ではない。現に今こうして手を繋いでデートしていたのだから。

 だが、なぜこのタイミングなのか。

 あの昼休みの行動に意味はなかったのか。


 わからない。


 ぐちゃぐちゃの思考がさらにかき乱され、黒く濁っていく。


八幡「な……んで?」


 声を出すのが精いっぱいだった。

 三浦は、そんな俺の状態を察したのか、少し顔をしかめたが、それでも自分の始めた行為を完遂させたいのか、話を始めた。


三浦「いや、そんな意味なんてないし。ただ……あーしは八幡君の事が好きになった。つきあって欲しい。ただ、それだけ」



 ただ、それだけ。



 本当に単純な好意。

 俺にはそれがあまりに透き通りすぎて〝あるのかないのか”わからない。

 手を伸ばしても掴めないし、温度も感じない。



 答えに迷っていると(イエスノーの意味ではなく)、三浦は今までで一番乙女チックな顔で俺を見つめてきた。

 そして――、



 公園から坂を下りる途中、三浦は「おんぶしろし」とよく分からない言語を繰り出した。

 おんぶしろし。

 昆布だしみたいだな、と言ったら坂道の途中にも関わらず俺の背中に飛び乗ってくる三浦。


三浦「あれ? 案外よろけないんだ」

八幡「鍛えてるからな」


 我ながら全く信憑性のない情報を提示しながら、俺は一歩一歩気を付けて歩く。

 三浦はそんな俺の努力をよそに、首筋に噛みついたり、耳たぶを触ったりやりたい放題だ。


三浦「意外かもしんねーけど、あーしって付き合うの初めてなんだ」

八幡「……意外だよ」


 そう答えると、三浦は俺の口内に指を侵入させてきた。何こいつ天然エロなの?

 俺がちょっと強め(歯形が着くくらい)に噛みついてやると、少し嬉しそうに、


三浦「こら八幡君っ」


 と、頭を軽くたたいた。何この可愛い生き物。


八幡「君付けなんてむず痒いからやめてくれ」


 今までの人生で俺の下の名前を君付けする奴なんて、苛める奴か苛める奴か苛める奴しかいなかった。

 だから、条件反射的にあんまりいい思いはできない。


三浦「ふーん、じゃあ〝ハッチ”」

八幡「八幡でお願いします。ヒキオでもいいぞ」

三浦「……ダーリン♪」ギューッ


 やれやれ。

 これはこれは、大変な夏がやってきたようだ。





小町「えっ、じゃあ断ったの?」



 意外そうな顔をする小町。なんだ、兄はモテなさすぎて断る権利がないのか?


八幡「何か問題があるか?」

小町「いや、別に小町はないけど……」


 それじゃあ、と、小町は俺の隣に視線を移し、


小町「何で三浦先輩がここに座ってるのかなゴミィちゃん」


 と、俺の隣でニコニコと笑っている三浦優美子のことを言及してきた。

 そう、俺は告白を断ったのだ。


 断ったと言っても、正確には保留に近い。


 三浦の好意は意外にもうれしかったし、このまま付き合いたいという気持ちもあった。

 だが、それをするには少し汚れすぎているのだ。

 俺の中に巣食う闇をどうにかしない限り、きっと三浦を幸せにはできない。

 おそらくもっと滅茶苦茶な説明だったと思うが、三浦はちゃんと俺の話を聞いてくれた上で「わかった」と納得してくれた。


三浦「あーしは断られたけど、振られた訳じゃないから」


 女王の品格とでも言おうか、明らかに無茶苦茶な理論だが、なぜかそれが正しいように聞こえる。

 小町も納得してしまったのか、それ以上何も言おうとはしなかった。


 そして、ここから俺にとって甘美で未知な体験が始まるのだった。


 そう、三浦優美子の処女を奪う時間である。


 いつだったか、三浦優美子が肉体的にも優れている説明をしたと思うが、裸を見て改めて思う。


八幡「エロ過ぎ……」


 そう、エロ過ぎなのだ。

 隅々まで一切の汚れ――産毛やにきび、傷を許さないその身体は、一つの美として完成されていた。

 さらに言えば、彼女の身体はまだ男を知らないのである。


三浦「正直すぎだし///」


 照れながらも、その裸体を隠すことをしないのは、三浦優美子という人間がいかに俺に対して真摯にまっすぐ向き合おうとしているかわかる。


八幡「三浦、本当なら付き合ってからってのが正しいとは思うが……」


 我ながら、今更過ぎる発言だとは思うが、三浦を見ているとすごく……青春している気がするのだ。健全な男の子でいたくなる。


三浦「うん、でも別にいいよ。後で付き合うし」


 その表情に陰りはない。心の底からそう信じているのだろう。

 俺は一生その顔を誰かに向けることはできないだろう。

 心から相手に対して自分を預ける。それはとても勇気のいる事だ。

 俺にはその勇気が……ない。


三浦「ほら、おいで」


 まるで母親のように両手を広げて俺を呼ぶ三浦。

 俺は照れを隠しながら、ゆっくりと三浦の身体にもたれかかる。

 すごくいい匂いがした。


 あまりに良い雰囲気過ぎて、勃起しているかどうか分からなかった。



 



 首筋から肩にかけてゆっくりと撫でると、「んっ///」と両目をつぶって俺の服を掴んだ。


三浦「八幡だけ服着ててずりーし///」ハァハァ


 冷えるから、と冷房をつけなかったせいで、三浦の身体からじんわりと汗が浮いてきていた。

 俺はそれをかすめ取るように撫でると、指からぽたりと彼女の太ももに落ちた。


三浦「汚いからやめろってば///」


 その表情に不満げな様子は一切なく、女の子はこういう行為に弱いのかと勉強させられる。


八幡「綺麗だ」


 首筋の汗を舐めると、はっきりと味はわからないが、自分の下半身が一気に爆発しそうなほど膨張したのを感じた。


三浦「八幡って、ほんとエロいよね…///」ハァハァ


 どう考えてもエロ代表だろって恍惚の表情を浮かべる女王の言葉は流して、俺はそのハリのある乳房に両手を沈ませた。

 
 ふわり。


 その表現が一番しっくりくる。

 太ももの健康的な返しとは別の弾力。

 一度触れれば二度と話したくないようなマシュマロの感触。


三浦「んっ///」


 柔らかい胸の先にある小さな硬い突起物。

 それが何とも言えないアクセントを呼び、俺はすでに三浦の胸の虜だった。


 まるで、赤子のようにしばらくの間、三浦の胸を揉み続けた。


 耐えかねた三浦に唇を奪われるまで。



三浦「んっ/// はむっ///」ジュルッ///


 舌と舌が触れ合うたび、涎が溢れて太ももを濡らす。

 俺の手は相変わらず胸を責めていたが、自然に下腹部から性器の方へとスライドさせていった。

 小町に感じたぽっこりとした下腹部はなく、いつのまにか秘部の周囲にある陰毛へと到達していた。


三浦「八幡……あ、あーし初めてだから……、変だったら…ごめんな」ギュッ///


 可愛い。

 俺だってそんなに知ってるわけじゃないと言ったら怒られそうなのでやめておく。



 ぬぷり。



 予想外にも簡単に滑り込んで性器の中へと到達してしまった。


三浦「んっ、はぁっ///」ビクンッ


 始めては痛いと聞くが、三浦の声にそれはなく、あまりにも甘い声が部屋に響いた。

 どうせなら、こっちで今すぐ貫きたいが、俺はいまだに迷っていた。


 三浦を幸せにしたい。


 その気持ちのせいで、これ以上の行為に進めなかった。





 ―――そんな言い訳をしている自分を見て、闇は下卑た笑い声をあげた。




 



 脈拍が一気に速まる。

 どくんどくんと、心臓が生き急いでいる。


 分かっている。


 俺が求めているもの。

 それがこれでないことぐらい。

 健全で健康的な性行為。

 愛と愛との確かめ合い。優しいふれあい。


 透き通った水。


 生きられない。

 俺は、そんな世界では生きられない動物だ。


 だが、努力をすれば何とかなるのでは?

 努力をして我慢をして他人の為に生き抜けば、それはそれは素晴らしい人生なのでは?


 折り合いをつけて、妥協して、見切りをつけて、


 それが人間ってものじゃないのか?


 



 比企谷八幡は、青春ラブコメを間違えないで生きられるんじゃないのか?





八幡「……三浦」


 やめろ。


三浦「うん……///」コクリ


 それは駄目だ。


八幡「あのさ」


 おい。


三浦「……優しく、しろし///」


 頼む。


八幡「それじゃあ」


 頼むよ。





八幡「俺の布団におしっこしてよ」





 やはり俺は、自らの意思で間違えるのである。


ちょっち休憩。

どんどん変態ssになっていく(すっとぼけ)

ありがとうございます!
ここからの展開は、裸におしっこという実像ではなく、裸で布団におしっこをかけるかかけないかの偶像(葛藤)を楽しんで頂きたいです。

では、軽く続きー



三浦「………」


 どうやら、三浦もある程度予測していたのだろう。

 性器に人差し指を突っ込まれた状態で、布団におしっこをするように指示を出されながらも、怒ることなく考えてくれていた。


八幡「………」クイッ

三浦「んっ///」ビクッ


 思考を停止することだけはつまらないので、定期的に刺激を与えて、思考を巡らせる。


八幡「三浦、可愛いよ」


 突起物を撫でるたびに、三浦は甘い声をあげるが、その思考は葛藤の中にあり、快楽が邪魔とさえ感じているようだった。

 快楽を邪魔と感じる。

 その人間の欲望を否定するような事象。それこそが俺が求めているものであり、三浦優美子にその素養があることはもはや分かりきった事だった。


三浦「はちま……んっ/// ……はぁはぁ/// あん…たは、んっ/// その……セックスよりも…そういうのが……好き…なん?」ハァハァ///


 正直に答えてもいいが、俺に好意を抱いている以上、三浦は俺の求めるように行動するはずだ。



 それじゃあ意味がない。



八幡「優美子、〝お前が選択するんだ”」



 少なくとも今、俺はフル勃起していた。



三浦「……本当にするけど…後悔しない?」ジッ


 確認するなんて、本当に俺の求めているもの分かってんのか。


八幡「えっ、本当にするの?」


 俺はとぼける。三浦は「あんたがしろって言ったし!」と憤慨したが、俺はちょっと強めにこっちへ抱き寄せ、言った。


八幡「優美子、じゃあお前は俺が〝優美子がしたいって言ったからセックスした”って言って納得できるのか?」


 俺は三浦の返事を聞かず、しばらくの間彼女の口内を犯す。

 三浦は俺の唾液を移されることに興奮するらしく、少しだけ唾液を与えると、もっとくれと言わんばかりに舌を入れ返してくる。

 その間、なぜか足をもぞもぞと動かしているので、再び性器の中へ指を入れると、なるほどさっきよりスムーズに入る。

 どうやら、人間は身体全体で子作りの準備を進めていくらしい。


八幡「……もう聞かないか?」チュプッ


 唾液が糸を引いて、三浦の顔に落ちる。

 テラテラと光る三浦の頬は、もはや健全な女子高生とは言えない妖艶さを醸していた。


三浦「……うん、あーしが悪かったよ///」


 どうやら言われたからセックスのたとえ話が相当こたえたらしく、何も言わずに俺のベッドへ腰かけた。


三浦「あ、あのさ……、体勢はどうすれば良いん?」


 洋式のトイレしか体験したことのない世代だ。ヤンキー座りでおしっこなんて考えられないのだろう。

 どっちみち、そんなおしっこをする姿勢なんて取らせないが。


八幡「そりゃ、そのままの姿勢で、だろ」

三浦「……え?」


 両足をピッタリ閉じて、ベッドに腰掛けた状態。

 腰を浮かせることもなく、そのまま解放する。


 俺に葛藤している姿を見せてくれ、三浦優美子。


 


 三浦がベッドに腰掛けて数十秒が経った。

 それはあまりにも長いご褒美の時間。


 人間は長い時間をかけて、自分の意思で排尿のコントロールを覚える。

 その後は、身体がタイミングを覚える。この場所で、この状態ならしていいと。

 そうするうちにコントロールに制限ができる。


 それが理性だ。


 人前ではしない。パンツを履いてしない。トイレ以外の場所ではしない。

 そこまで成長すると、もはやトイレ以外の場所で排尿する方が難しくなる。


 三浦は、出せない自分と、出したくない自分、そして出さなければいけないという混沌とした葛藤で、幼児がおしっこを我慢するような表情をしていた。それも、裸で、好きな人の部屋で、好きな人のベッドの上で。


三浦「………ぁ、でる…」ブルッ


 女子でもおしっこする時は震えるんだな。

 排尿が始まった感動よりも、無駄に増えた知識に対する感想の方が先に来る。


 ――ぴちゃっ。


 顔に温かい物がかかる。

 三浦はハッとした表情で股を閉じて両手で秘部を抑えた。

 俺は、それを無理やり引きはがすことはせず、ただ一言、


八幡「優美子」


 と、声を掛けると、三浦は俺の求めるものを察したのか、その手をどけ股を開いた。

 放物線は綺麗な弧を描き、俺の顔や服にかかる。


三浦「んっ/// だ……めぇ///」ポロポロ


 どうやら、排尿の快感と好きな人に自分の汚物をかけるという背徳的な行為で、思考の〝たが”が外れてしまったようだ。

 涙を流しながら笑みを浮かべ、顔を赤くしながら息を荒くしている。


 自分でも驚いたが、気付いたら俺は……自分の性器をしごいていたのである。


 ここに、一つの形が完成した気が……した。



 


 もちろん、普通の性行為もちゃんとした。

 俺ばかり気持ちよくなるんだったら、それは自慰行為で済ませればいい。

 お互いがお互いを想い、考え行動する。

 だからこそ、俺はこの行為を続けようと思うのである。


三浦「……ほんと腹立つし」

八幡「何が?」

三浦「……エッチより、あんたにおしっこかけた時の方が気持ちよかったなんて…」ムスッ

八幡「お前、それ正直すぎんだろ……」

三浦「〝ヒキオ”」

八幡「ん?」



三浦「あーしを目覚めさせた責任、とってもらうからね」ニッ



 熱い夏。

 三浦優美子の笑顔は、俺を満たしてくれた。



一応区切りです。

☆現在の八幡の評価☆(ランキング順)

一位:三浦
二位:小町
三位:戸塚
最下位:雪乃


圏外:平塚、葉山


変態すぎるし下げ進行で行こうかな……

了解っ

後は、今後の展開(予定)。

戸塚の童貞卒業(テニスの奴の代わり)
雌豚の姉登場(はるのん登場フラグ折れてるので)
性の野外授業(林間学校の代わり)
川崎性のスカラシップ(塾の奴の代わり)
ビッチ祭(祭の代わり)

くらいまではやりたいと思っている。

それでも、1スレは超えるんじゃないかと心配。

続きは夜から行きます。では。

小学生にエッチなイタズラする八幡がみたいな

>>260 それはさすがにww代わりにアラサーにエッチなイタズラされる男子高校生はいかがですか?

やっはろー、葛藤萌えだよっ☆

7時から続きいけたらいきますー。

実は一人だけすごくまともな人間がいるんだけど、めんどくさいから出さないかも……

ごめんねてました。

続き―


 夜。

 寝苦しい夏だと言うのに、全身を汗でびちょびちょにしながら小町は俺の横で寝ていた。

 俺は小町の汗ばんだパジャマの匂いを嗅ぎながら、この数週間の出来事を振り返る。


 例えるならそう、移民船に乗ったゴキブリのような数週間だった。



 自身では何も変えず、変わらずにいたはずが、環境の激変により気付いたら生態系ごと変化させらていた。

 さらに言えば、今まで忌み嫌われていた存在だったのに、そこでは貴重な生物として大事にされるような、そんな“求めていない変化”までついてくる。


 人は、満たされれば満たされるほど、自由を失っていく。


 閑話休題。


 問題は山積みだ。

 まず、平塚先生。

 これには本当にまいった。

 まさか、あの人があんなに激変してしまうなんて。

 あれだけ強い悪意を受けたのだから、俺への熱は冷めてしまったとは思うが、それでも人の気持ちなんて分からない。

 次に会った時は、いつも通り接しようと思う。俺はあなたに何の興味も抱いてないし、これから先何もないことを示すために。


小町「むにゃむにゃ」ギューッ


 小町の汗って何でこんなに甘いの?



 次に戸塚彩加。


 あの天使の処遇には頭を抱えざるを得ない。

 単純に考えれば、雪ノ下雪乃に無理やりセックスさせれば済む話なのだが……。


 おい、待て。


 俺は、何を悩んでいる?

 雪ノ下雪乃の処女について気にする必要があるのか?


 分からない。


 どうして自分がこんなにもあいつを気にするのか。

 どうしてあいつの生き方を肯定してやれないのか。



 本当に……これだけは謎だ。



 由比ヶ浜結衣なら戸塚を貰ってくれるだろうか。



 それから葉山隼人にも困っている。


 当初はあいつが苦しむ顔を見てやろうと言う気持ちだったが、まさか“ゲイ”だったとは……。

 いや、まだゲイと決まった訳じゃない。もしそうならもっと噂があってもいいはずだ。


 だが、もしゲイでなかったとすると、事態はさらに深刻になる。


 それはつまり、“葉山隼人は比企谷八幡病”であるということだ。

 他の男を差し出しても、女を差し出しても、彼の心も身体も満たされることはない。

 俺を得ない限り、彼が納得する道はないのだ。



 そして、自慢ではないが、俺はあいつに腕力で勝てる気がしない。



 スタンガンくらい常備しておいても良いかもしれないな。



平塚『んっ/// やめっ、ろっ///』



 不意に、静が凌辱されている場面を妄想してしまった。

 平塚先生に対して行ったこと。あれは、言い訳の仕様もなく“強姦”だ。


 こちら主体の傲慢なプレイ。


 相手の方が弱者だと分かっての、愚者の祭り。

 俺は世界中の人間に間違っていると言われたとしても、自分の行いを卑怯だと思ったことはない。


 だが、あの時の行為は、平塚静を襲った行為は、間違いなく卑怯な行いだったと思っている。


 やば、勃起してきた。


小町「んん/// ゴミィちゃん当たってるよぉ///」ナデナデ

八幡「おい、撫でるな。俺のグングニルに貫かれたいのか?」

小町「ゴミィちゃんキモい」zzz


 くそ、寝ぼけてる小町は天使を通り越して女神だ。



 こう考えると、三浦優美子と雪ノ下雪乃は十分に変態側の人間(三浦には申し訳ないと思っている)だが、その存在自体は扱いやすい。

 特に、雪ノ下雪乃なんて行動原理が“自身へのマゾ行為”なのだから、ある意味で純粋と言える。

 ただ、これ以上SMな関係を続けていると、いつか退学沙汰になりそうなので、十分に気をつけておこう。



 うん……なんだか、眠くなってきた。



 小町の口内を軽く犯し、扇風機のタイマーをセットした頃には、すでに意識は泥濘に浸っていた。




 その日の夢は、とても穏やかな夢だったように思う。



結衣「ふぇ!? お、おお、屋上に!?」


 昼休み、三浦の熱烈な視線を流しつつ由比ヶ浜に話しかけた俺は、なんとか屋上へ連れて行くことに成功した。

 由比ヶ浜は少し嬉しそうな、それでいて緊張した面持ちで俺の後ろを歩く。

 
 由比ヶ浜結衣。通称ビッチ(俺の中で)。


 他人との協調性に全てを捧げる主体性0のふわふわ女。

 自身の考えなど何一つ持たず、作り笑いと「へぇうんそうなんだ」の何一つ具体性のない返事を使いこなす。


 俺は由比ヶ浜結衣が苦手だ。


 多くの人間に同調して赤く染まった彼女は俺の青い色に戸惑う。

 必死に青くしようとするが、色は混ざり合って紫や緑に変色し、余計に俺を狼狽させる。

 顔は可愛いし、声も嫌いじゃない。

 というか由比ヶ浜結衣という存在自体、別に嫌いじゃない。


 だが、由比ヶ浜結衣というパーソナリティは―――すごく嫌いだった。


結衣「え、えーっと、きゅ、急に呼びだしてどうしたのかなぁ?///」アハハ

八幡「あのさ……」


 ああ、そうだ。早く終わらせてしまおう。

「戸塚とセックスしてやってくんね?」「うん、いいよー^^」

 それでこの依頼は終わりだ。

 だから、さっさと言ってしまおう。



八幡「由比ヶ浜……あのさ、戸塚とセックスしてやってくんね?」



 はい、お返事をどうぞ、ビッチさん。



結衣「………」



 どうした? お前の好きなセックスだぞ。おーい。


 
 そして、俺はこの数週間でもっとも大変な数日を迎えるのである。



 




結衣「………」ツーッ




 えっ?


八幡「お、おい……どうしたんだ?」


 おかしい。

 こいつは主体性のない女だ。

 雰囲気に飲まれ、嫌なことも断れない優柔不断の代名詞だ。


 その女が、涙を流している。


結衣「……うぁ…ぁぁあああん!!」ポロポロ


 その場に崩れ落ち、大粒の涙を流す。

 何がいけなかった。

 俺は急いで由比ヶ浜の前に座り、




 追い打ちをかけるのである。






八幡「どうした? 戸塚の事、嫌いだったか?」


 あの天使の事を嫌う人間がいるだろうか。


結衣「………」ブンブン


 だよな。安心。


八幡「じゃあ、えっと……どうして泣いてるんだ?」


 今思えば、酷く滑稽な喜劇だ。

 どうしてこの時の俺は由比ヶ浜結衣という人間を勝手にきめてしまったのか。


結衣「ぅぁあああああああん!!」ポロポロ


 どうしてこの時の俺は戸塚の件を焦ってしまったのか。


八幡「由比ヶ浜! 言ってくれねーと分かんねーよ!」





 どうしてこの時の俺は、“人の気持ちを把握できている”と調子に乗っていたのか。





結衣「………」ダッ

八幡「お、おいっ!」


 その日、由比ヶ浜は早退した。

 しかし、修羅場は放課後に訪れる。



三浦「八幡!」グイッ


 HRが終わり、生徒達が教室に出て行く中、三浦は一目散に俺のところまで来て、胸倉をつかんだ。


八幡「ぐっ……ん、だよ…」


 帰ろうとしていた生徒達は、興味深そうにこちらを見ていたが、三浦の人睨みで散っていった。


三浦「……なんで結衣にあんなこと言ったし」


 そりゃそうか。由比ヶ浜と三浦は仲良いもんな。


八幡「……由比ヶ浜なら…慣れてるとおもっ―――」



 ―――パシンッ!!


三浦「……はぁはぁ…」ポロポロ

八幡「………」


 痛みは熱に変わり、熱は鼓動を速める。

 俺は、ぐちゃぐちゃに崩れ落ちる思考を止めることができず、ただ茫然と三浦の綺麗な涙を見つめていた。


三浦「結衣は!!」


 そして、俺は知らされる。


三浦「あの子は!!」


 比企谷八幡一生の不覚。死んで詫びるべき失態。




三浦「最近まで赤ちゃんはサンタが運んでくるって思ってたくらい純粋な女の子なんだよ!!」




 俺は天井を見上げた。

 そこには無数の穴が空いていた。

 その意図は分からないが、

 今まで天井に穴が空いているなんて、考えたこともなかったのである。






 孤高の女王雪ノ下雪乃がマゾヒストで、

 主体性0のビッチが純粋なお嬢様。




 分からん。




 だけど、そんな馬鹿な俺が今、由比ヶ浜結衣の家の前にいるのは、何かの悪夢だろうか。


三浦「あーしはあんたがそんなんなのを知ってるから、関係を変えたりはしないけど、結衣には土下座しろし」ゴゴゴゴゴ


 女帝三浦優美子。


八幡「優美子……愛してるぞ」

三浦「死ね」ドカッ

八幡「おぶっ」


――ぴんぽーん。


八幡「しまった!」


 まだ、全然心の準備ができていないのに!

 冷や汗が止まってくれない。

 心臓が張り裂けそうなほど暴れている。


結衣『はい……』

三浦「結衣、あーしだけど」

結衣『ゆ、優美子!? どど、どうしたの!?』

三浦「クズを連れて来たから、入れて」

結衣『クズ……?』

三浦「良いから開けて」

結衣『う、うん……』ガチャッ


 目を真っ赤にして、髪の毛ボサボサの由比ヶ浜が玄関から出て来た。

 その顔を見て、やはり不覚にもフル勃起してしまう俺は、


 今後一切二度と彼女に近づかない方がいいのではないかと思うがそうもいかないのである。


結衣「ひ、ヒッキー……」



 ものすごく気まずそうな顔で、こちらを見てくる由比ヶ浜。

 だが、その顔に何故か嫌悪の色は見えず、むしろ自分が申し訳ないと思っている節さえありそうだった。


 俺は考える。そして、口を開く。


八幡「悪い、優美子。お前どっかのファミレスで待ってろ」


 唐突な命令に、三浦も由比ヶ浜も驚いていた。まぁ、具体的に命令するのは初めてに近いからな。


三浦「はちま――」


 三浦は言い返そうとするも、やめた。

 その表情を見て、俺は三浦優美子と言う人間がいかに比企谷八幡を愛し、理解しようとし、理解できているのかが分かった。



 俺は、この長い長い間違えた物語の中で、たった一度だけ、この時最初で最後の言葉を発するのである。




八幡「……ありがとう」




 三浦の表情からはすっかり怒気は消え、心なしか嬉しそうにこの場を去った。


結衣「あ、あのねヒッキー……私…」モジモジ

八幡「?」



結衣「せ、せ、せっくすっていうの、したくないのっ///」



 少し、惚れてしまった。



ちょっと風呂入ってきます!

もう少し由比ヶ浜との話が続きます(エロはないです)。

ただいま。

なんかPが流行ってるからP着けてみた。

Pはもちろんペニスとかプレイとかの略だよ(にっこり)


文化祭編を一つの終わりに頑張ってて、すごく良い感じなんだけど、そこまでに行くのに一冊の本が書けそう……


では、続きー。



八幡「セックスって何か知ってるか?」


 どうやら、俺の嗜虐心がうずいてきたようだ。

 由比ヶ浜は俺の直接的な問いに戸惑い頬を赤く染めながら答えた。


結衣「………えっちなこと…」


 うん、今すぐ下半身露出したい。

 そんな邪なことを考えていると、由比ヶ浜は俺の手を掴んで、


結衣「ヒッキー! 私、そういうの好きな人とするべきだと思う!」ムギュッ


 由比ヶ浜は俺の手を胸の方に引っ張る。うわすげ、何この弾力。


八幡「何でだ? お前にセックスの何が分かる?」


 スポーツ選手なら誰もが一度は思ったことがあるはずだが、


“やったことのない人物に語られるほど腹立つことはない”。


 セックスも然り。想像と妄想だけで語られても、何の根拠も説得力もないのである。


結衣「だって……その…あのね……///」モジモジ


 だが、時として、人は奇跡を起こす。




結衣「だって……結婚する時、初めての方が……良いと思うから…///」エヘヘ




 なんという説得力。

 応用で、初めての相手と結婚と言うのもあるが、それと同等の威力をはなたれて、俺は大ダメージを受けた。





八幡「……由比ヶ浜…は、好きな奴とかいるのか?」



 もはや、ただの恋愛トークである。



結衣「………」チラッ///



 うん、俺はやっぱり今日死ぬべきだ。

 え、マジで俺ですか?



八幡「あ、あのさ……でも俺…




 三浦とセックスしちゃった」テヘッ




結衣「」



 由比ヶ浜のショック顔。もちろん写真に収めました。



結衣「ひひひ、ヒッキー優美子のこと好きなん!?」アワワ///


 急に元気になる由比ヶ浜。うんうん、お前はそれでこそ由比ヶ浜だ。


八幡「いや、色々あって」

結衣「じゃあ、好きじゃないん!?」

八幡「どうだろ」

結衣「うぅ……ずるい…」

八幡「ずるい?」

結衣「あ、あわわ、こっちの話っ///」ブンブンブン


 可愛い。

 今まで変人と変態しか相手にしなかったせいか、由比ヶ浜の純粋さが際立って見える。


八幡「なぁ由比ヶ浜」

結衣「なな、なにヒッキー!?」

結衣(私ともえっちなことしてくれるのかなぁ……あぁ、でもそれなら結婚を前提にして欲しいっ///)



八幡「俺、妹ともセックスした」



結衣「」


 すごい。

 由比ヶ浜結衣という存在はダイヤの原石だったのだ。

 俺の嗜虐心を満たす至高の存在。


八幡「それから……」

結衣「まだあるのっ!?」ガーンッ

八幡「いや、後は秘密だ」

結衣「あ、あう……き、気になるし…///」モジモジ

八幡「気になるのか?」グイッ

結衣「ぁ///」


 由比ヶ浜は照れながらも俺から離れようとせず、照れくさそうにうつむく。




八幡「良い匂い」クンクン

結衣「だだだ、ダメだよっ!」ズボッ


 鼻の穴に人差し指を突っ込む由比ヶ浜。痛いんですが。

 でも、人の鼻の穴に平気で指を突っ込むのは、凄いと思う。例え相手が好きだったとしても。


 由比ヶ浜結衣は染められた赤などではなかった。


 透明。


 何者の色にも染まるが、何者も残すことのできない透明なのだ。


八幡「今、親いるの?」

結衣「い、いるよっ/// だだ、だからそのっ///」


 離れて欲しいけど、離れたくない。

 その葛藤は俺を存分に満たしてくれた。


八幡「なぁ、結衣」ボソッ

結衣「っ!?」カァ///


 耳まで真っ赤にして目をそらす由比ヶ浜。

 俺は由比ヶ浜の耳に歯が触れるほど近づいて、囁くように言葉を紡ぐ。



八幡「俺は、結衣とエッチしたくなったかも」ボソッ



 俺は反応を見ずに振り返り、立ち去った。


 明日からの由比ヶ浜が楽しみだ。


 その後、ファミレスに行くと三浦に根掘り葉掘り聞かれ、殴られ、泣かれ、抱かれた。



 上手くいった後ほど苦労する人生だと知っていた癖に。



 



 翌日、由比ヶ浜の視線をなるべく拾い続けた俺は、三浦に殺されかけたが、なんとか放課後を迎えることができた。


 ご奉仕部の教室に入ると、雪ノ下が物欲しそうな顔でこちらを見ていたので、おもむろに首元から服の中に手を突っ込んで突起物を強く摘んでやった。


雪乃「ひぐっ!?///」ビクンッ


 痛みからか喜びからか知らないが、飛び跳ねるほど反応した雪ノ下はしばらく放心状態で、俺は今後の展開を考えることに集中できた。

 とにかく、戸塚彩加の願いを叶えなければならない。

 なぜなら、俺はその場に立ち会わせてもらうつもりでいるからだ。


 戸惑う二人。しかし、セックスの快楽には勝てず、俺の前でだらしなく喘ぎ続ける。


 最高じゃないか。

 ならば、戸塚の相手はマゾの雪ノ下よりも、恥辱と屈辱に耐えられない人材の方が良い。


 そう考えていると、我にかえった雪ノ下が一言、


雪乃「ご主人様、今日は私の買い物に付き合っていただけないかしら」


 と、訳の分からんプレイを始めたので無視していると、


雪乃「どうかこの通りです」


 スカートをめくり、純白のショーツを見せる雪ノ下。そのパンツは凄く湿っていた。


八幡「お前……ド変態だな」

雪乃「顔がにやけてるわよ」


 時折見せるサディズムは何なんだ。

 その答えを俺は、すぐに知ることとなる。


 




陽乃「へぇ♪ これが今のご主人様なんだぁ♪」グリグリ

雪乃「……ぐっ…ふぅ///」キッ



 郊外のマーケットプレイスで、雪ノ下雪乃の姉、雪ノ下陽乃は颯爽と現れた。

 雪ノ下雪乃が完璧な容姿なら、雪ノ下陽乃は誰もが見惚れる容姿。明るい表情、抜群のスタイル、どれをとっても一級品だ。


 陽乃は雪ノ下の足をヒールでグリグリと踏んでいた。


 そして、その悪意に満ちた笑顔を見て、俺は確信する。



“この人は生粋のサディストである”と。




 ここで、俺の性癖と陽乃の性癖の違いについて話しておくが、俺に他人を痛めつけて喜ぶ嗜好は一切ない。

 痛みによって引き出される感情、そこに共感できる部分はあるが、選択の余地をなくすほどの痛みを与えて何が楽しいのかとさえ思う。


陽乃「相変わらず雪乃ちゃんは変態だねー♪」ニャハハ

雪乃「相変わらず姉さんは変態ね」ハァハァ///


 二人は対極にいながら、よく似ていた。


陽乃「ねぇねぇ雪乃ちゃん♪」グイッ

八幡「へ?」


 突然俺の手を掴むと、陽乃はにっこりと笑った。


陽乃「この子、貰っていい?」

雪乃「えっ」


 そういうと、陽乃は俺の手を上にあげて、


陽乃「この人、痴漢でーーーーす!!」


 と、叫んだ。



 ヤジ馬どもは、すぐに集まった。



 


通行人「大丈夫ですか?」グイッ

八幡「ぐっ……」

陽乃「やぁーん♪ 怖かったー♪」


 屈強な男に地面へと叩きつけられた俺は、締め上げられる腕の痛みに耐えるしかなかった。


雪乃「姉さん! ふざけないで!!」


 雪ノ下が必死に何とかしようとするも、MがSに勝てるはずもなく、


陽乃「お兄さん、この子がカッコ良いお兄さんの事好きになっちゃったみたい」

通行人「えっ///」

雪乃「姉さん!?」カァ///


 あっという間に黙らされるのである。



陽乃「雪乃ちゃん、この助けてくれたお兄さんにお礼しなさい」

通行人「……い、いや、俺は…///」

雪乃「………」


陽乃「雪乃」ギロッ


雪乃「!!」ビクッ///



雪乃「……あり…がとうございます」ペコリ



 俺は……地面の冷たさを感じながらも、心の中はマグマのように煮えたぎっていた。


 雪ノ下雪乃を凌辱する権利は、お前にない雪ノ下陽乃。

 
 しかし、陽乃は俺のそんな怒りを見抜いてか、とんでもない事を言い出すのだった。



陽乃「え、雪乃ちゃん、この人にお礼のチューがしたいの!?」



 ギャラリーから歓声が上がる。


通行人「え、いや、そんな……///」


 俺は、今すぐこいつを殺して雪ノ下陽乃に殴りかかりたかったが、微動だにできなかった。


雪乃「……そ、れは…」ドキドキドキドキ


 雪ノ下雪乃は興奮していた。

 雪ノ下陽乃も興奮していた。

 比企谷八幡もまた、興奮していた。





陽乃「あ、お兄さん、ちょっと待ってね」


 と、陽乃は通行人に待つように言うと、俺の前へしゃがむ。黒のエロいパンツが見えるが何一つ興奮しない。


通行人「あ、危ないですよ」


 通行人はもはや英雄気取りなのか、俺が一歩も動けないように体勢を動かす。


陽乃「ねぇ、君、反省してる?」ニコニコ


 悪意しかない、純粋な笑顔。


八幡「……してますね」ニヤァ


 ああ、してるさ。

 お前みたいな女狐を前に油断したことをな。


陽乃「ふーん、そうなんだぁ、じゃあ、



 今すぐ、私の奴隷になるって約束してくれたら雪乃ちゃんの処女は守ってあげる♪」ニコッ



八幡「……は…?」


 井の中の蛙大海を知らず。

 世間知らずを指す有名な言葉だが、俺は酷く嫌いだった。


 大海を知らないって、海で生きられない蛙がなんで知る必要があるんだよ。


 だが、この時ばかりはその言葉を真摯に受け止めなかったことを後悔する。




 時として大海は、井戸の中にまで押し寄せるのだ。




 決断の時が、迫っていた。



陽乃「キスはもう、遅いけどね」ボソッ


 そう言うと、陽乃は立ち上がり、雪乃に向かって命令する。


陽乃「雪乃、“チューしなさい”」


 冷静に聞けばあまりにもおかしい台詞。

 雪ノ下雪乃がキスをしたかったのではなかったのか。

 だが、通行人も男。雪ノ下のような美人とキスできるなら、多少の“誤差”など気にしないのである。


雪乃「……は、ぃ///」モジモジ


 雪乃は嬉しそうにうなずく。

 それを見て、なお一層喜ぶ通行人だが、雪乃の心がお前に一切向いていないことを今すぐ教えたかった。

 だが、俺が一言でも余計なことを言えば、雪ノ下雪乃の処女は無残にも散る。


 陽乃の下卑た視線は、そう強く語っていた。


 そして、雪ノ下雪乃が通行人の首へ両手をかけた時、



 比企谷八幡は試された。



 


八幡「雪ノ下雪乃!!」

雪乃「っ!!」ビクッ

陽乃「………」ニコニコ

通行人「お前っ!」ガッ

八幡「ぐっ……雪ノ下雪乃。お前は俺の女だ。だから――、




 俺の為だけに死ね」ギロッ




 闇がじわじわと溢れだす。

 雪ノ下陽乃を凌辱するビジョン。

 雪ノ下雪乃を通行人から離す一方で、俺はそのことばかりを考えていた。



雪乃「……は、い///」スッ


 通行人から手を離すと、雪乃はにっこりと笑って、


雪乃「ご主人様から離れなさい、勘違いの出しゃばり男さん」ニコッ

通行人「」


 ここに、また一つの形が完成した。




通行人「本当にすみません」


 何度も何度も謝り倒す通行人。

 俺は、そんなことはどうでも良いので、分かったからどっか行けと言った。彼は基本良い人なのだろう、猛ダッシュで退散した。


陽乃「いやぁー、面白かったよー♪」ニャハハ


 マーケットプレイスの休憩所に三人で並ぶ。順番は雪ノ下、俺、陽乃の順だ。


陽乃「痛かった? ねぇ痛かった?」


 満面の笑みで俺の肩を叩く陽乃。

 その表情に罪悪感は一切存在しない。


八幡「はぁ、そうですね……」グイッ

陽乃「へ?」


 そこに罪悪感があれば、もっと優しく痛めつけてやったのに。



 ―――ガリッ。



陽乃「っ!!?」ジタバタ



 下の唇を噛まれた痛みで、陽乃は強く暴れた。

 俺は、強く抱きしめ、続けざまに二度、三度、唇に噛みつく。

 もちろん、引きちぎったりはしない。痛みを感じてなおかつ怪我をしない最高点の威力で噛む。



雪乃「比企谷君!」



 それは嫉妬か、不安か。

 雪ノ下が制止するも、俺はそのまま血で汚れた陽乃の口内をぐちゃぐちゃにかき回す。

 この時ばかりは、小町や三浦でディープキスのテクを磨いておいて良かったと思う。



八幡「………」ジュプッ

陽乃「んっ/// はむっ///」ハァハァ///


 痛みと快楽に我を忘れた陽乃は、成すがままに身を委ねた。



 俺は見抜いていた。

 パンツを見せたあの瞬間、彼女は俺に挑発をした。


 それは、雪ノ下雪乃が俺に悪態をついた時と同じ。


 ――虐めて欲しいサインだったのだ。



 そう、雪ノ下陽乃の本質もまた、

 “生粋のマゾヒスト”だったのである。



陽乃「……はぁはぁ…」ングッ

八幡「………」

陽乃「んにゃー……やっぱ君、最高だね♪」



 何がやっぱりなのか知らないが、あんたとは今後一切かかわりたくない。

 そう伝えると、陽乃は嬉しそうに、



陽乃「逃げられると思ってるのかにゃ?」テヘッ



 そうおどける彼女の目は、絶対に獲物を離さないという欲望が溢れだしていた。



陽乃「ま、今日のところは帰るけどねぇ♪」



 一生帰ってください。

 その言葉に陽乃は嬉しそうに、



陽乃「一生つきまとってあげるから」ニコッ



 と、今までで最も恐ろしい言葉を残して去ったのだった。



雪乃「比企谷君。今日はごめんなさい」

八幡「………」



雪乃「姉さんがまさか私と同じだったなんて……」

八幡「姉妹そろって変態とは恐れ入ったよ……」

雪乃「……照れるわ///」

八幡「一度病院言った方が良いんじゃないか?」



 その後、大人のおもちゃを買った雪ノ下雪乃は、嬉しそうに帰宅した。


 雪ノ下陽乃。


 この厄介極まりない人物が、まさか平塚先生と知り合いだなんて、この時の俺は想像だにしなかったのである。




陽乃「……ふふっ、雪乃ちゃんにはもったいないなー♪」




 

やっぱ好み分かれるし、下げ進行の方がいいのかな?



戸塚「もう我慢できないよ!」


 放課後、ご奉仕部の教室にいると、戸塚は急に入ってきてエロい顔でそう言った。


八幡「………お、おう…」

雪乃「それなら……」

八幡「落ち着け」


 俺は、結論を出していた。

 多くの人間を巻き込み、かき乱し、混乱させた俺に出来ること。

 それは、



八幡「戸塚、お前は童貞を卒業したいんだな」

戸塚「うんっ///」ニコッ

八幡「よし、分かった。ラブホに行こう」

戸塚「えっ?」




八幡「俺が、お前を大人にしてやる」




 究極の選択だった。




戸塚「ちょ、ちょっと待ってよ比企谷君!」アセアセ


雪乃「そうよ、それは卑怯だわ」


 両者の思惑は違いながらも、想いは同じ。

 だが、俺にはもうこれしかなかった。


八幡「ダメだ。ご奉仕部に依頼した以上、遂行するのが俺の仕事だ」


 グイ、と戸塚の手を引っ張る。


戸塚「あっ///」ストッ


 俺の胸に収まると、案外居心地が良かったのか、戸塚は抵抗せずにこっちを見上げ、


戸塚「優しく……してくれる?」ウルウル///


 と、涙目で言ったので、俺はもっと強く抱きしめた。


八幡「ああ、俺に任せろ」


 と言っても、お前らの想像通りなら優しくするのはそっちだろ。

 と、心の中でツッコミを入れたが、言葉にすることはなかった。




 冷静に考えて欲しい。

 男同士でセックスする訳ないだろ、と。




 



小町「へー、それでゴミィちゃんのお尻の穴は見たんだ?」

八幡「ああ、俺はもっと早く諦めてくれると思ってたんだが……」

小町「もしその人がそれでも良いやって思ったらどうするつもりだったの?」

八幡「……その時は…」

小町「その時は?」




八幡「俺が青春ラブコメを間違えただけだろ」




続く。

今日はここまでにします!

おやすみなさい!

それじゃあ上げでいこうかと。

今後の予定

→性の野外授業(林間学校の代わり)

性のスカラシップ(スカラシップの奴の代わり)

浴衣プレイ(祭の奴の代わり)


でいこうと思う。それが終わったら、最終章である文化祭に移行する予定で。

ちょっと小学生と葛藤は相性が悪い(本編で少しだけ描写として説明する)ので、代わりに息抜き回にします。

しかし葉山さんが暴走しないか心配だ・・・

では、続きー



 小学生は最高だぜ!



三浦「マジきもいんだけど……」

八幡「うっせーな……」



 葉山グループに誘われて(というより三浦にこの前の借りを返せと脅されて)、キャンプに参加した俺は、隣でやっている林間学校の小学生たちを見て、思わず感想を漏らしてしまった。



葉山「ははは、八幡は最高だね」

八幡(名前で呼ぶなし……)

戸塚「比企谷君!」

八幡「お、おう……」

戸塚「ぼ、僕も名前で呼んでいいかな?」モジモジ///

八幡「お、おう……」

戸塚「やったっ♪」ニコッ



 これでケツを見せた仲じゃなければ、鼻血を出して喜んでいた。

 キャンプに参加したのは葉山グループの男子、三浦、海老名、由比ヶ浜、雪ノ下、そして俺と戸塚だ。

 なぜか俺だけテントの部屋割りを発表されるのが遅かったのは、罠だったのだろう。

 三つあるテントのうち、一つは男子グループ、一つは女子グループ、そして一つは八幡グループだ。


 なんだ八幡グループって。会社を建てた覚えなんてないおz。


三浦「そりゃ、あんたはご奉仕部なんだから、あーしたちにご奉仕しないと」


 と、無邪気な笑顔を見せる三浦をしり目に、俺は参加を断った小町の意図を探っていた。


小町「にゃー、小町いけないんだよねー」アハハ




 お兄ちゃん大好きっ小町なら、泣いてでもついてくると思っていたが……。


小町「まぁ小町は1人暮らし気分を堪能するよー」アハハー


 お兄ちゃん心配っ!


海老名「比企谷君何を言ってるの?」

八幡「あ、いや、その……」

海老名「! もしかして葉山君の事を!? ハヤハチ!? いやハチハヤなの!?」


 顔を真っ赤にして悶える海老名。俺は彼女が由比ヶ浜とはちがう意味で苦手だ。

 言わば、同類項の人間。妄想と現実の狭間(少し妄想寄り)の人間。

 自分の信念に生き、信条に従う。


 つまり、基本的に〝揺るがない人間”なのだ。


三浦「だから自重しろし……」


 海老名を抑えながら、三浦はパーカーの胸元をチラリと下げる。

 そこには黒の水着らしき布があった。


八幡(楽しみにしとけってことね……)


 あれだけのプレイをした関係で今更水着を楽しめるのかと内心ツッコんだが、今日は三浦へ借りを返す日なので嘘でも感動することにしようと思う。




 恋愛ゲームでキャンプイベントと言えば、必ずあるのが遭難だ。

 これはある意味で遭難が先に来て、そのための手段としてキャンプイベントがあるくらいに必然的だ。

 だから、


葉山「八幡、一緒に山登りしようか」ハヤマスマイル


 二つ返事でお断りしたし、


戸塚「八幡っ、僕、森を歩いてみたい!」トツカスマイルッ


 少し迷ったがやはり断った。


 最近、二人の視線が強くて授業中に悪夢を見ることがあるが、特に戸塚はあの一件以来距離が近すぎると思う。

 それでも、当初の脱童貞への強迫観念は消えたみたいだが。


 とりあえず、元ぼっちの名にかけて昼寝でもしようと思っていると、


海老名「ひ、比企谷君っ!」


 と、少し照れた様子で海老名が声をかけてきたので聞いてやることにした。



 そして、俺は何度目かの間違いを犯すのである。



海老名「い、一緒に散歩しない!?」アセアセ

八幡(海老名と間違いが起こるってことはないか……)



 むしろイベントが一つ潰せるなら好都合だ。

 ……と、思ってた時期が僕にもありました。



八幡「いいよ」

海老名「……ありがとっ!」ニコッ



 そして、〝二人の仲が急接近!? 遭難デート!!”(仮)が始まるのである。



 森の中に入ると、案外悪くない。

 外の強い日差しを木々が遮断し、ひんやりとまではいかないが清涼感がある。


海老名「ねぇ、私も八幡って呼んでいいかな?」


 いきなりですね。


八幡「好きにしたらいいと思う」


 というより極めてどうでもいい。海老名に名前を呼ばれる機会なんてそうそうないだろうし。


海老名「えへへ……うれしいな」

八幡「海老名は……」

海老名「姫菜」

八幡「?」

海老名「私だけ名前って変でしょ?」

八幡「お、おう……」


 え、なにこの甘い雰囲気、デートなの? これデートなの?


八幡「ひ、姫菜……」

海老名「うん、どうしたの八幡」ニコッ


 三浦がいつも言っている。

 海老名は黙ってれば可愛いんだから。

 うん、納得。




八幡「姫菜はどうして俺を誘ったんだ?」


 どう考えてもそこは葉山だろ。まぁ、真の葉山を知れば死んでも近づきたくないが。


海老名「うん……どうしてだろうね…」


 少し、表情が暗くなる。

 罰ゲームならいつでも帰っていただいてけっこうなのだが、葉山と三浦がいる時点でそれはなさそうだが……。


海老名「たぶん……楽…だからかな」

八幡「それは、俺みたいな小さい存在が横にいても気にならないって意味か?」


 なんだかこういうマイナス思考からずいぶん離れていたように感じる。やはりしっくりくるな。


海老名「う、ううんっ、違うのっ!!」


 ぶんぶん首を横に振って、否定する海老名。

 そして、少しはにかみながら爆弾発言を投下する。




海老名「私……レズなんだ」エヘヘ///




 その瞬間、森の主が叫びをあげたような……気はしなかった。



八幡「れ……ず?」


 それはあれだよな。いわゆる同性愛者ってことだよな。


海老名「うん、私、女の子が大好きなのっ」キラキラキラ


 なんでこう……俺の周囲は…。


海老名「だからね、女の子が近くにいると……襲いたいのを我慢するので疲れちゃうんだ」アハハ


 あはは、じゃねーだろこいつ。それ末期というか病気だぞ。

 葉山隼人でも、あれ以来襲ってはこないぞ。


八幡「聞きたくないが……誰を狙ってるんだ?」

海老名「もちろん、



 雪ノ下さんだよ♪」



 もちろんの意味は1%たりとも理解できないが、それでも海老名の顔には一片の迷いもないように見える。

 この女、生粋のレズである。



八幡「だから男同士のも?」

海老名「うん、同性愛自体に興味があるの」


 当然でしょ、と言いたげな海老名に俺は狼狽した。

 だが、同時に安心もしていた。

 レズなら自分に矛が向くことはない。


 そう、過信していた。


海老名「あれ? あの子……」


 と、海老名が前方を指差す。

 ちょっとレズな上に霊感強いとか勘弁してほしいのですが……。


鶴見「………」キョロキョロ


 さっきの林間学校に来ていた小学生の一人だろうか、黒髪ロングの可愛らしい少女がきょろきょろと周りを見渡している。


海老名「かわいい……」ボソッ

八幡「………」

 
 今までなら、何とも思わなかった言葉が、今では生々しく恐ろしい言葉に聞こえる。


鶴見「………!」タタタッ


 少女はこっちの存在に気づき、走って近づいてくる。

 このお姉さんがアリジゴクの主だとも知らずに。


 



八幡「迷った?」


 海老名に頭を撫でられながら、少女はコクリとうなずいた。

 聞けば、数人で森を散策してたら、急にいなくなったらしい。


海老名「それは大変だねぇ、寂しいでしょぉ~」ナデナデナデ///


 海老名の目は犯罪者のそれと似ていた。


鶴見「………別に」


 鶴見は視線を落とし、少し震えていた。

 俺は、すぐに気付く。


八幡「ああ、〝置いて行かれた”のか」


 鶴見は少し悔しそうに、肯定した。

 木々の間から見える空はどんよりと曇っている。


 気分爽快とはとても言えなかった。



八幡「やべーな……」


 どしゃ振りの雨。

 一際大きな木の下で雨粒からはしのげているが、濡れた身体はどんどんと熱を奪っていく。


鶴見「………」カタカタ


 小学生にとってそれはすごく負担な事で、歯をカチカチと鳴らしながら、少女は必死に寒さと戦っている。


八幡「………」ヌギッ

海老名「ほぇ!?」


 俺は虫対策用に着てきた長袖のシャツを脱いだ。……そんなマジマジと裸を見るな二人とも、興奮するだろうが。


八幡「少女、名前は……?」

鶴見「鶴見……留美」


 いきなりの奇行に戸惑っているのか、少し冷たい視線を送る鶴見に俺は、




八幡「よし、鶴見、脱げ」




 海老名の鼻から赤い筋が一本、垂れた。



鶴見「は? ……変態なの?」


 まるで犯罪者を見るような視線。あ、なんか目覚めそう。

 だが、時間が経てば経つほど、こいつの体力は減っていく。


八幡「ああ、変態で良いよ。良いから脱げ」


 と、命令する。

 ここに来てやっと海老名も気づいたのか、シャツを脱いで水を絞る。

 水玉模様のブラジャー……隆起の少ない身体。三浦の裸を見ているせいか、正直あまり興奮しない。


鶴見「……分かった」


 鶴見は観念して服を脱いだ。

 ブラジャーをしていないせいで、まだ膨らみ始めの胸と小さな突起物がすぐに視界に飛び込んできた。


海老名「………///」ハァハァ


 おいおい、こいつの方が危険じゃねーか。

 鶴見に服を着せ、俺と海老名は上半身裸のまま、しばらく雨が止むのを待った。


 だが、雨は止むどころか勢いを増し、時折雷鳴がとどろくほど天候は悪化していた。


 気が付いたら、俺は鶴見を抱きしめながら座っていた。小学生の身体は少し硬い。



海老名「はぁはぁ、は、八幡っ、いつでも代わるからねっ」ハァハァ///


 こいつだけ熱を増してねーか?

 一線を越えかねない海老名を無視しつつ、俺は鶴見の身体を擦ってやる。

 小町よりも小さい女の子に興奮するはずもなく、それを察した鶴見は俺に体を預けた。


鶴見「八幡、これ見られたら捕まっちゃうね」ハァハァ


 小学生に生意気言われてもまったく気にならないが、こいつの強がりが痛々しくて、俺は強く抱き寄せてやった。


鶴見「……ふぁ///」


 小学六年生と言えば、もう大人の身体にカテゴリしてもおかしくない。

 どうやら、知らない男に抱かれ優しくされた興奮のせいだろう、少しずつ体温が上昇していた。

 キスの一つでもしたら、復活するだろうか。


海老名「八幡、私……みんなの所に行ってみる」


 突如、海老名がそう言いだしたので、それなら俺が行くと言ったが、彼女は明るく笑いながら、


海老名「そんなの鶴見ちゃんの貞操が危険だよ」アハハ


 と笑った。

 海老名の性癖を知らない鶴見はきょとんとしていたが、俺は仕方なく彼女の提案を受け入れる。

 というのも、海老名の身体もまた冷えはじめていたからだ。

 このまま縮こまっていても、全員の体力が尽きてしまうだけだ。

 それならいっそ海老名は走らせた方が良い。


 素人の考えなのは明白だが、下手に悩んで停滞するより良いと思った。


海老名「それじゃ、行ってきます」


 一応、自分のシャツを着て走り出す海老名。

 取り残された俺たちは、しばし沈黙が続いた。




鶴見「ねぇ八幡」

八幡「ん?」


 突如、話しかける鶴見。その声は消え入りそうなほどか細い。


鶴見「エッチってしたことある?」


 小学生の口からエッチという単語が出てくると、本能的に興奮してしまうのはなぜだ。

 それは、昔考察した処女性に関わっているだろう。

 純真無垢な白い存在が、少しずつ黒に侵食されていく様、そこに人間は興奮してしまうのである。


八幡「ねーよ」


 俺はとっさに嘘を吐いた。

 どっちみち得のない質問なら、嘘を吐いた方が有利である。

 何に対して有利なのかは自分でもわからないが、とにかく俺は童貞であると嘘を吐いた。


 すると、


鶴見「エッチ、する?」


 その表情は女のそれであり、不覚にも俺は少し興奮してしまったのである。



八幡「誰がするか、あほ」


 子供に興味もねーよ、と言うと、鶴見は悔しそうな顔で、


鶴見「だって好きな人もできないまま死にたくないもん!」


 と叫んだ。


八幡「こんなところで誰が死ぬんだ。すぐに助けが来るっつーの」


 実は今回選んだ場所はかなり田舎で、しかもこの森は滅多に人が入らないらしく、あながち死の可能性が0ではないのも確かだった。


鶴見「八幡は童貞でもいいの?」


 最近の小学生はどれだけませてるんだ、と思ったが、俺が小学六年生のころにはすでにエロ本に興味を抱いていたのでバカにはできなかった。


八幡「揉む胸もない女で童貞卒業しても意味ねーよ」

鶴見「はぁ!?」


 怒りの形相で振り向く鶴見。

 俺はそれを受け止めるほど青春してはいなかったので、適当に流していると、突然、


鶴見「じゃあ、チューして」


 と、またもや意味不明な発言を始めたので、俺は適当に流すことにする。


八幡「お前からなら勝手にし――」


 最後まで言えず、塞がれた口は半開きのまま舌の侵入を許した。

 小学生に口を犯されたのだ。



 もちろん、フル勃起していた。




 



 それでも、小学六年生の、ましてや処女のキスなどお遊びのようなもので、ただ舌を出し入れするだけだった。

 俺はしばらくの間、鶴見の好きにさせる。


鶴見「んっ、んっ……」チュプチュプ


 どこで覚えたのか、少しわざとらしい声を漏らしながら、必死に俺の身体をまさぐる鶴見。

 俺は、ゆっくりと芽生え始めた嗜虐心を抑えながら、鶴見が飽きるのを待つ。

 だが、鶴見は初めての不貞行為に興奮を覚えたのか、行動はエスカレートしていく。

 そして、俺の下半身に手を伸ばした瞬間、


鶴見「んっ!?」ビクッ///


 俺は、初めて鶴見に反撃を加えたのである。


 こちらから身体を動かすことはせず、ただ相手の舌の出し入れに合わせて舌を軽く歯で挟んでやる。

 それだけで鶴見の身体はビクンと跳ねた。


鶴見「今の、何?」ハァハァ///


 俺は、さぁ、と答える。

 好奇心旺盛な年頃の彼女は、もう一度今の快楽を味わいたいと、同じ行動をしようとするが、俺は口を強く閉じて舌の侵入を許さない。


鶴見「なん……でぇ?」ハァハァ///


 その表情はもはや早熟の〝女”であり、無意識にだとは思うが下半身を俺の太ももに擦りつけるように前後に動かしていた。


八幡「気持ちいいってのはな、〝相手に許可を貰って初めて体験できるんだ”。そんな無条件に手に入ると思うな」


 これは男女平等にいえる事なのだが、需要と供給のバランスからどうしても男が女に許可を求める場合が多い。


鶴見「どうすればいいの?」


 小学生は素直である。

 だから、葛藤が少ない。答えを簡単に相手に求めるのだ。

 背負っているものもないため、打算や試算の必要もない。


 俺は目の前の小学生に対して、性癖という観点からは何も生むことができないと結論付けた。


 だから、育ててみることにする。



八幡「俺の首筋を噛み千切ってみるんだ」



 とても楽しい時間が、始まる気がした。



鶴見「え、首筋を……?」オロオロ


 そんな話、少女漫画でもドラマでも聞いたことがない、と言った表情で鶴見は俺を見上げた。

 当たり前だ。これが通過儀礼だったら世の男性の半分以上死んでるわ。


 葛藤を生み出せなければ、葛藤を与えればいい。


 小学生にエロいワードを言わせたところで、意味も分からない彼女は素直に言うだろう。そこに興奮を覚える奴もいるのだろうが、俺からしたらそれならどんなワードでも一緒だろ、と思った。


八幡「どうした? 早くしろよ」


 俺は頭を横に傾けて鶴見を待つ。


鶴見「……行くよ?」


 これは同意の質問じゃなく、促してほしいという懇願だ。

 そんなのに応えるほど俺は丁寧じゃない。


八幡「言っとくが、中途半端にやると相手を傷つけるだけだからな」

鶴見「っ!?」ドキッ


 逃げ道を減らす。

 もちろん小学生相手に逃げ道をなくすほど鬼畜でもないので、〝やらない”という選択肢だけは残しておいてやった。


鶴見「………」モジモジ


 続きをしたいが、他人を傷つける事への恐怖が強い、と言った感じか。

 正直、自分で葛藤を与えても結果が見えているし面白くないと思ったが、そうでもなかった。


 鶴見留美は間違いなく〝俺の事”を考えて、悩んでいるのだ。


 とても、興奮する。



 結局、歯形が残る程度の痛みで、求めていた結果まではいかなかった。


鶴見「………」


 自身でも納得してしまったのだろう、しばらくの間は何もせずただ黙っていた。

 少し同情してしまった俺は、優しく頭を撫でる。

 つまり、俺は鶴見留美を性癖の対象から外すことにしたのだ。


 雪ノ下雪乃なら躊躇なく噛み千切っただろう。

 三浦優美子なら問答無用で押し倒してきただろう。

 
 だが、この少女は違う。

 〝可愛いくらいに普通の”変態性のない少女なのだ。


 しかし、最後に俺はミスをする。


八幡「一度……だけだぞ」


 性欲に負けてしまったのだ。



 結局、通り雨は過ぎ去り、海老名が帰ってくる前に俺たちは出発した。

 鶴見はまるで恋人気取りで俺の腕に両腕を絡ませる。


鶴見「八幡♪」ギューッ


 俺はバカだ。


八幡「………」


 分かりきっていただろ。


鶴見「ねぇ、今度はもっとエッチな事、するよね?」


 ただ少しばかり鶴見の口内を俺で満たしただけで、


鶴見「ねぇってば」


 小学生ならセックスをした後くらいの昂揚感を得ることぐらい。


八幡「いや、もう会えないだろ」


 というより会いたくない。察してくれ。


鶴見「八幡はどこに住んでるの?」


 俺は適当に……いや、海老名が口を滑らせる可能性が高い。

 ここは北海道と沖縄くらいの距離があると信じて正直に言う。


鶴見「うそっ、隣町!」


 ……死ね俺っ!


海老名「八幡!!」

葉山「八幡!」

戸塚「八幡!」


 うわぁ、同性愛者が三人並んでこっちに走ってくる。巨人並みに怖い……。


 鶴見に無理やり連絡先を書かされた俺は、向こうの引率者からお礼を言われ(逆に土下座するべきは俺だが)、そのまま別れた。

 海老名はだいぶ彷徨った後、俺を探していた葉山に見つけて貰ったらしい。それはつまり俺が海老名を見つけたということか。違うか。


戸塚「八幡、次は僕とも散歩してよね」ギューッ


 と、左腕をつかむ戸塚。


葉山「いいや戸塚君、僕が先に予約しているんだ」


 と、右側を歩く葉山。


海老名「………」


 すると、少し前を歩いていた海老名が急に振り返り、

 
 ―――ちゅっ。


戸塚「」

葉山「」

八幡「え……なん…で?」


 わからない。

 お前は同性愛者じゃなかったのか?


 視線から俺の疑問を察したのか、海老名は満面の笑みで、



海老名「好きな人は別腹なのだ」ニコッ



 と、爆弾発言を投下して走り去った。

 その後、戸塚と葉山の質問攻めにあったが、何一つ記憶に残らなかった。いや残さなかった。まる。



鶴見「八幡と結婚かぁ///」ウフフ///

由香達((何あれ怖い……))




ちょっと区切り。……あれ? 小学生とのプレイはないって……あれ…?

少し離れます!



三浦「どう? あーしの水着姿」クネッ

八幡「ああ、すげーかわいー(棒)」

三浦「バカハチ!」バシャッ

八幡「ぶふぇっ!」

雪乃「比企谷君、そんなオオサンショウウオみたいな顔してたら不快だわ」

雪乃(私を見て、今タオルの下は何も着けていないのよ///)

八幡「どっかいけ変態」

雪乃「っ///」ビクンビクン

雪乃(はぁはぁ……こ、言葉攻めだけでイッてしまったわ……)ハァハァ///

結衣「………///」モジモジ

八幡(パレオにシャツで木の陰に隠れて出てこないってどんだけ純情なんだよ!)

戸塚「ねぇねぇはちま~ん♪」

八幡「お、おぉ……///」

八幡(なんでこいつパレオなの? なんでシャツ胸の下あたりでくくっておっぱいみたいな膨らみ作ってんの?)ドキドキ

海老名「………(ユキハチヒメ……良い!)」ハァハァ///



 とても楽しい午後を過ごした(棒)。


 夜中、なんだか寝苦しーなぁって思って、目を覚ますとああテントだからか、と納得をしたは良いものの、体が動かない。

 おかしーなーおかしーなーって眼球だけをぎょろぎょろと動かしても、何の進展もないのであれこれはおかしいぞと気づく。

 急に、耳元に生暖かい風が吹くわけですな。ふわぁっと。

 驚いて声をあげようとすると、何かに圧迫されて息ができない。すごく柔らかい二つの何かに挟まれて、殺されるぅううっともがこうにも両腕は完全に固定されて微動だにできないですわ。

 もうこうなったらタスケテクレータスケテクレーって願うしかない。


 すると、急にスーッと下半身にも風が流れるんですよ。テントは確実に閉めたはずなのに。


 一か八かもう一度寝てみようと目を閉じると、


 ハチマンハチマンとどこからか私を呼ぶ声が聞こえてくるので寝られない。


 もう認めるしかないんですよ。




八幡「お前ら、頼むから出てってくれ」


三浦「やだ」

雪乃「はぁはぁ///」スリスリ

海老名「男女のもつれ合う匂い///」ハァハァ

葉山「そうだ、テントで男女が一緒に寝るなんて不謹慎だ」

戸塚「ぼぼ、僕はいいよねっ八幡っ」


八幡「……お前ら幽霊よりこえーよ…」


テントの外


結衣「あぅぅ……一人で置いてかないでぇ…」プルプル

結衣(誰かおしっこついてきてぇええ///)



 そんなこんなで、まぁそれなりにやっている中、実家の方では台風が停滞していた。


小町「………」ゴゴゴゴゴ

平塚「………」ゴゴゴゴゴ


 これは、俺の知らない物語。


 二人だけの胸ポケットの中の戦争。





 おにぃちゃんが旅行に出かける数日前、私は平塚と名乗るおにぃちゃんの担当教師からの電話に出ていた。と、言っても、この時の私はこの電話の主が教師だなんて知らなかったし、向こうも私が妹だと知らなかった。


 なぜなら、これはおにぃちゃんのスマホだったから。


小町「あなた、誰ですか」


 聞く限り、大人の人だと思う。

 スマホの画面には〝雌豚二号”と表示されていたので、お兄ちゃんのお気に入りなのはわかるけど、夏休みの(おにぃちゃんとの)貴重な時間を小町から奪うなんて許せない。


平塚『急な電話を申し訳ありません。私は現在比企谷君と交際を続けさせてもらってる者なのですが』


 はい嘘確定。

 ゴミぃちゃんは恋人作らないって言ってたんだから。

 小町を騙そうとするなんて悪い人。


小町「八幡なら今シャワーを浴びてますけど」


 これは嘘ではない。

 お風呂に入ってる間におにぃちゃんのスマホチェックをするのが小町の日課なのだから。


平塚『比企谷君はいますか』


 やっぱり大人だ。不都合なことは無視して自分の意見ばかり押し付ける。

 小町は大人が嫌い。

 きっと大人はおにぃちゃんとの関係を不健全だっていうから。


小町「八幡は私のモノです。今後一切かけてこないでください」


 一方的に切ろうとする小町に、向こうは言ってはならない一言を言った。


平塚『……遊びの女か、まったく八幡は…』


 そして、小町はこの性悪女を呼び出したのだった。



平塚「そんな不健全な関係を認めるわけにはいかない」


 上から目線の決めつけ発言。

 小町の神経を逆なでする大人。


小町「教師と生徒の関係の方がよっぽど不健全だと思います」


 小町の正論に、平塚という女性はぐっと表情を歪ませた。

 結局のところ、向こうは圧倒的に不利なのだ。

 すっとぼければ何のお咎めもない小町に対して、向こうは失う物が多すぎる。


 それでも、ここに来たということは、本物の愛だということだろうか。


小町「大体あなた何歳ですか。おにぃちゃんはまだ高校生ですよ」


平塚「ぐっ……に、二十代後半だ…」


 余裕のない発言。

 どうやらこれはストーカーの可能性がありますね。


小町「それで、おにぃちゃんと付き合ってるというのは事実なんですか?」

平塚「ああ、それは本当だ」

小町「証拠はあるんですか?」

平塚「……ない」


 どうやら、小町の勝利は揺るがないみたいだよおにぃちゃん。



小町「おにぃちゃんはおばさんにも教師にも興味がありません! 小町みたいな若い子が好みなんです!」

平塚「それは違う! 八幡は私を愛してくれた! 私に本性も見せてくれた! それは愛があるからだ!」


 本性?

 小町の中で何かのスイッチが入る。


小町「本性ってどんな本性ですか?」

平塚「……君には言えない」


 まるで子供には分からないからと言いたげな、一方的な押し付け。

 これだから大人は嫌いだ。


小町「もしかして、お兄ちゃんにいじめられました?」

平塚「……っ」ピクッ


 まぁそれしかないと思うけど。


小町「おにぃちゃん、そういうところあるからなー。仲良くなったら全然違うんですけどね」アハハ

平塚「………」


 勝った。勝ったよおにぃちゃん。


 内心怖かったけど、やっぱり小町が一番おにぃちゃんにふさわしい!


平塚「……ふふ」



 えっ?



平塚「どうやら君は、勘違いしてるらしい」

小町「……どういうことですか」


 悔しいけど、この瞬間の平塚先生の目は、〝おにぃちゃんが私を見る時の目に似ていた”。


平塚「八幡のあれは、苛めるとかそういう単純なものではない」

小町「……分かってます」

平塚「いいや、分かってない。分かっていたら、〝セックスした”ことを駆け引きのカードにしたりはしない」

小町「………意味が分かりません」

平塚「あいつにとってセックスなどただの行為なのだよ」

小町「行為?」

平塚「ああ、君も女性なら分かるだろう。手を繋ぐこと、抱きしめる事、キスをする事、どれも行為自体に意味があるのではない。〝心を通わせる事”に意味があるのだ」

小町「!!」

平塚「どうやら、君は八幡を身体で縛りつけようとしているようだが、



 そんなのは無意味だ」



小町「………」


 核心を突かれていた。

 小町にとって、おにぃちゃんとのセックスは人生で一番大切な事。

 だけど、おにぃちゃんにとって小町とのセックスは、〝ただの行為”。


 私は、それをドヤ顔で見せつけたのだ。


 この人は……強い。



小町「でも羨ましいでしょ?」

平塚「羨ましぃいいいいいい!!」ウワァアアアン


 結局、この人は片思いを拗らせた恋する乙女だった。

 教師と生徒、大人と子供、そんなのは関係なく、ただただ〝実らない恋”を追いかける少女。

 私は、さっきまでこの人を大人だと決めつけて壁を作って溝を掘った自分を恥じた。



 だってこの人は―――片思いの同志なのだから。



小町「じゃあこうしましょう♪ 静ちゃんがおにぃちゃんと結婚する。小町も同棲する。子供は1人ずつ」

平塚「ああ、ああっ! それがいいっ!!」パァ///


 時に人は運命の出会いを果たす。

 小町にとってはこの人がそう。


 おにぃちゃんと一生を過ごすための、運命の人。


 

キリがいいので人物紹介

☆メイン(順番に意味はない)☆

◆主人公◆

・嗜虐心に目覚めた八幡

◆変態女性たち◆

・マゾヒスト雪乃

・純情結衣

・本妻(自称)優美子

・ストーカー平塚

・ヤンデレ小町

・バイ姫菜

・おませ鶴見

・ラスボス陽乃

◇ホモ達◇

・葉山

・戸塚


■今後控えているメンバーたち■

・あざとい沙希(予定)

・鬼畜相模(予定)

・痴女めぐり(予定)

安価って訳じゃないけど、どのキャラが人気なのか知りたいので、多数決で一番多いキャラのメイン話を作ります。

予定のキャラは今回は外して下さい。

五時くらいまでで、一番レスの多いキャラをメインにします。(最大20レス)

では、おねがいします!

ただいまー

まぁ雪乃さんとあーしさんやね!

相模ん屈服は男の憧れだぜ! でも物語の進行上重要な役目があるのでまだ先ですー。

それでは、続きー。と思ったけど忙しいので続きは12時過ぎてになりますー。

あーしさんが好きな方はガイルとダンロンのクロスを読みましょう!では!

ただいまー。

コンビニ行ってから続きいきますのでもうすこしおまちをー



 夏休みも終わりに近づき、小町がやたらと外出してることは気になったが、それ以上に毎日かかってくる三浦からのデートの誘いを断りきれなくなった俺は、郊外のショッピングモールに来ていた。

 雪ノ下と行った場所はあまりに思い出したくない出来事があったので、別の場所にした。


三浦「~~~♪」ギューッ


 恋人繋ぎであるく俺達はすれ違う人達から好奇の目で見られた。


八幡「俺達のルックスが違いすぎて、変な目で見られてるな」


 と、言うと三浦は俺の手を握りつぶす勢いで力を入れ、


三浦「八幡でも八幡の悪口は許さないし」ギロッ


 この人はとてもいい奥さんになりそうですね。

 そういうと、顔を真っ赤にして、


三浦「あ、あーしまだ料理下手くそだしっ///」


 と、訳分からんこと言いだしたので軽く流しておいた。



 12時集合だったこともあり、昼食にドムの木だったかオシャレなオムライス屋さんに入る。

 店員の明るいもてなしに視線をそらしつつ、奥の二人席に座った。


 どれが美味しいとか分からないので、三浦のと同じのを頼もうと思っていたのに、


三浦「あーし、これ頼むからこれ以外の奴にしろし」


 仕方なく一番左上にあったオムライスを頼むと、三浦は不満げに


三浦「えー、ドリアにしろし」


 わがままか。


三浦「冗談冗談」アハハ


 リア充爆発しろとか思っていたけど、これはこれでなかなか楽しい……のか?


 店員に注文を済ませ、手持無沙汰になっていると、三浦が、


三浦「なぁ、八幡のプレイってあるじゃん?」


 と、おおよそ公共の場で言ってはならない発言を始めた。


八幡「八幡プレイってお前……」

三浦「だ、だってあーしそういうのなんて言うか分かんないし///」モゴモゴ

八幡「名前なんてねーよ……まぁ、そうだな、強いて言うなら……」


 焦らしプレイ?

 いや、違うな。即決させる時もあるし。

 嗜虐プレイと言うには痛めつけてる感が足りない。

 となると、こう呼ぶしかない。



八幡「“葛藤萌え”?」

三浦「かっとうもえ?」



 そして俺は、生まれて初めて人に性癖をレクチャーするのである。



八幡「簡単に言うなら、我慢プレイに似てるな」


 おい、何言ってるんだ俺。


三浦「我慢プレイ?」

八幡「ああ、例えばトイレを我慢させたり」

三浦「変態……」ジトーッ

八幡「じゃあ、この話は終わりだな」

三浦「う、嘘だしっ、続けろし!」アセアセ///


 実際、三浦が彼女だったら幸せなんだろうと思う。

 だが、俺は彼女を作るにはいささか狂いすぎている。

 最終的に刺されて死ぬのがお似合いだろう。


八幡「あの時、三浦は何を考えていた?」

三浦「………///」モジモジ


 三浦は考えている。

 だが、この時点で葛藤萌えは始まっているのだ。


三浦「……八幡が…飲むのかなって///」モジモジ

八幡「変態」

三浦「う、うるせーし! 八幡のバカっ!」カオマッカ///



店員「お、お客様! 申し訳ありませんがもう少し声のトーンを……」アセアセ



二人「「ごめんなさい……」」


八幡「まぁ、この時点で俺は三浦に葛藤萌えしてる訳なのだが」

三浦「えっ///」


 萌えられた。

 その事実が嬉しいのか、三浦の表情が緩む。


八幡「お前、何であの時のことって特定してんの?」

三浦「……あ…///」

八幡「そんなに良い思い出だったのか?」

三浦「ち、ちげーしっ、八幡がトイレの話をするからっ///」

八幡「まぁこれは葛藤萌えと関係ないけど、その後、口にすることを悩んだだろ?」

三浦「う、うん……」

八幡「何故だ?」

三浦「……恥ずかしいし///」

八幡「恥ずかしいし?」

三浦「でも……正直に言った方が八幡は喜ぶかなって…///」モジモジ

八幡「言いたくない、でも言いたい。そうやって悩んでいるのを見るのが葛藤萌えだ」

三浦「………」


 理解を得られなかったかな?


三浦「八幡、あーしのことそんな目で見てたんだ。少し嬉しいかも」

八幡「えっ」

三浦「い、いや、だってそれって、あーしの“内面”を可愛いって思ってくれたってことじゃん?」


 どきっ。

 不覚にも、俺は感動した。

 この性癖の真理をあっさりと見抜いた三浦は、それだけ人の事を内面で評価しているからだ。


八幡「優美子」チョイチョイ

三浦「?」スッ


 俺が優美子と呼ぶと、三浦は嬉しそうな顔をする。

 顔を近づけた三浦の耳元で俺は囁く。


八幡「俺は、優美子の内面が好きなんだ」ボソリ


 殴られた。

 でも、にやける三浦を見て、俺もにやけた。


 温かい料理が運ばれてくる。


 



八幡「でも、葛藤の中でも良い葛藤と悪い葛藤がある」

三浦「?」

八幡「強迫的な葛藤は、とてもじゃないが好きになれない」

三浦「どういう意味だし?」



 俺は、店員に心で土下座をしながら、ひとすくいだけ料理を机の上に置く。もちろん後で食べるためにナプキンの上に。



三浦「何してんの?」

八幡「優美子、それ食え」

三浦「は?」


 女王の表情で、俺を睨めつける。

 だが、三浦の内面を知っている俺は、少し語気を強めて、


八幡「今すぐ食え。じゃないと俺達の関係は終わりだ」


 と、命令すると三浦は本当に嫌そうな顔をしたが、しぶしぶナプキンの上にある料理を食べようとするので、


八幡「ああ、すまん。良いよ。俺が食べるから」


 ナプキンをとって料理を口に運ぶ。ようやく意図に気付いたのか、三浦は少し怒った表情で、


三浦「今の、別に言葉で説明しても良かったんじゃない?」


 まぁ、その通りだ。

 だが、習うより慣れろ。知識より経験だと説明すると、


三浦「……確かに、良い気持ちじゃない」

八幡「だけど、世の中の人間にはそれを見て楽しいと思う奴もいる」


 それが、イジメだ。

 そう思ってしまう原因は様々あるが、結局のところストレス解消が根源に来ていると思う。


 つまり、ストレスがなければしなくてもいいプレイなのだ。


 



八幡「後、パワーバランスの崩れた葛藤も好きじゃない」

三浦「???」

八幡「一億円やるから変顔を写メでネットに流していいか?」

三浦「うっ……」

八幡「崩れてるだろ? 試算も打算もできない突拍子もない葛藤は、見てて全然可愛くない」

三浦「難しいんだ……」

八幡「だからこそ、相手をよく理解する必要がある」

三浦「良い葛藤って言うのは?」



八幡「優美子、あーんしてくれないか?」



三浦「ぇっ///」ドキッ



 俺は口を軽く開き、三浦をジッと見つめる。

 三浦は少し照れながらも、オムライスをすくって俺の口元へ運んだ。



八幡「うん、うまいな」

三浦「これが……良い葛藤?」モジモジ///



 俺は頷き、自分の料理を三浦の口に運んだ。

 三浦は嬉しそうに食べて、飲み込んだ所で俺は説明を再開する。





八幡「良い葛藤って言うのは、相手が喜べる選択肢を与えることだ」


 つまり、相手が嬉しそうに悩んでいる姿は可愛いと言うことだ。


三浦「で、でもっ、この前のはあーし嫌だったしっ///」



八幡「本当にそうか?」ジッ



三浦「………」


 沈黙の肯定。

 あの時、俺の布団の上でおしっこしろと言われた三浦は、まるで言いつけを破る子供のような無邪気な顔をしていた。


八幡「だけど、ここで漏らせって言ったら、嫌な気持ちになるだろ?」

三浦「絶対無理だし」

八幡「でも、自分のことを好きだったらやれって命令する人間がいる」

三浦「何でだし……」

八幡「愛を確かめたいんだろ」

三浦「愛……」

八幡「自分に自信がないか、相手が気持ちを伝えなかったか、いずれにせよ不安なんだ。だから確かめる」

三浦「なんか……悔しいけど納得したかも…」

八幡「でもそれって相手の気持ちを無視してるだろ? だから俺は好きじゃない」

三浦「……やっぱ難しいかも…」

八幡「それじゃあ、実際にやってみるか」

三浦「えっ?」

八幡「どうせ俺の家に来るつもりだっただろ?」



 そして、葛藤萌え教室が始まる。



 



 家に帰り、俺の部屋へ入る三浦。

 その顔は少し緊張……というか考え込んでいた。


八幡「別に死ぬわけじゃないんだからそんな緊張するなよ」

三浦「でも……八幡のこともっと知りたいし…」ブツブツ


 何この一途な生き物。可愛すぎんだろ。


八幡「何でも命令しろ。多少間違ってても、お前が気持ちいいんならそれはそれで良いから」

三浦「………」


 しばらくの沈黙を経て、三浦が出した答えは、



三浦「あ、あーしのこといっぱいキスしろ……///」



 まぁ大方予想通りだったが、その可愛さは想定以上だろ……。





三浦「んっ/// い、ぃ…///」チュプッ


 そう言えば三浦とのキスはずいぶん久しぶりのように感じる。

 三浦もそうだったのだろう、いきなり舌を絡めると、自分の唾液を流し込んできた。

 俺はそれを受け取ると、しばらく絡みあう舌の潤滑油代わりにして、最終的には三浦の口元から流れ落ちた。


三浦「ゃ……めぇ///」ギューッ


 興奮が絶頂に達したのか、三浦は俺を押し倒そうとしたが、今はそういう時間ではないので俺は唇を甘く挟んでキスを継続させる。

 そう、俺は三浦がやめろというまでキスを続けるつもりだった。

 お互いの吐息がぶつかり、舌と舌は一体化したように感じる。

 どれだけ経っただろう、俺がやめる気がない事を悟り、それは自分がそう命令したからだと気付いた三浦は自分から顔を放した。



三浦「い、いじわるっ///」モジモジ

八幡「お前は俺の身体が目的か? プレイが目的か?」

三浦「うぅ……///」

八幡「まぁこれも葛藤萌えの一つだけどな」ハハハ


 



三浦「全裸になれ……」カァ///


 全裸か……戸塚にケツの穴まで見られた俺に恥ずかしいモノはないが、一応演技しておいてやるか。


八幡「こ、ここでか?」カァ///


 俺の演技が完璧だったのか、恥ずかしがる俺を見て三浦は嬉しそうな顔を見せ、


三浦「早くっ!」


 と急かした。

 それじゃあ、葛藤萌えする時間が減るだろ。と思ったが、まぁそれも一つの形ではあるので、俺は言われるがままに服に手をかける。

 そして、俺が三浦にされたら興奮してしまう台詞を言う。


八幡「……あ、あっちで脱いでもいいか?」


 我ながら気持ち悪い。

 だが、三浦は嗜虐心をそそられたのだろう。というか元々そういうキャラだったし、嬉しそうに、


三浦「だ・め♪ ここで脱ぐし」


 と、満面の笑みで言った。

 俺は、なるべく恥ずかしそうに服を脱ぎ、全裸になった。すぐに布団で身体を隠して処女性を演出する。


三浦「……うぅ…悔しいくらいに理解しちゃったし///」

八幡「お前は元々そういうキャラだっただろ」

三浦「……否定できないし」



 次は俺の番だった。


三浦「お、おしっこはもうしないし///」


 お前、それ遠回しにしたいって言ってるのか?

 でもまぁ、三浦に足りないもの。それは、圧倒的な勢いだ。

 遠慮するということは、相手の心を理解できないと言うこと。


 だから俺は、自信たっぷりに命令するのである。




八幡「優美子、オナニーしてみようか」




 無論、フル勃起していた。

 



三浦「ほ、本当にするん?」モジモジ///


 何度も確認をとってくる三浦、後で説明しようと思っていたが、俺は口を開く。


八幡「優美子、葛藤萌えを楽しむ時に一番邪魔なのはなんだと思う?」

三浦「………何?」

八幡「楽しむ側の人間の存在が目の前にいることだ」

三浦「どういうことだし?」

八幡「人間ってのは相手に依存する。目の前にいればなおのこと主導権を渡したがる」


 そう、人は、特に日本人は“命令されること”に快感を覚える生き物なのだ。


八幡「だから、俺に聞いても無駄だ。自分で決めろ」


 ただし、と俺は付け加える。


八幡「自分の気持ちを伝えたり、相手に感想を聞くのは良いと思う。お互いの気持ちを確かめられるからな」

三浦「う、うん……」スルッ


 三浦はパンツを脱ぐ。


八幡「えっ?」



 俺は悔しいが三浦に一本取られた。



 クマさんパンツだった。



 



三浦「それを嗅ぎながら見ろし」ハァハァ///


 どうやら、三浦はまた一つ進化したらしい。

 俺は、まだ温かいクマさんパンツを顔に近づけ、匂いを確かめる。

 おそらく無臭、いや洗剤の香りだけなのだが、シチュエーションと少し黄ばんだように見えるそのパンツを鼻に当てると、下半身が大きく脈動した。


八幡「優美子……わりぃ、俺もしていいか…」ハァハァ///


 もちろん、別にしなくても良いのだが、三浦を育てるためにわざと言う。

 予想通り三浦はいじわるな笑みを浮かべ、俺の頬に手を当てると、


三浦「“ヒキオ”は見てるだけ(はぁと)」ハァハァ///


 どうやら興奮すると俺が優美子と呼ぶようにヒキオと呼んでしまうようだ。


 そして、三浦はベッドに腰かけると、シャツの中に手を入れ、ゆっくりと胸を揉み、反対の手をスカートの中に入れた。


 その動きはぎこちなく、やはり最近まで処女でしかもオナニーと言うモノ自体をあまりしたことがないようだった。


三浦「……んっ///」ビクッ


 時折俺の存在を確かめるように動く視線は艶めかしく、俺の性行為をしたいという感情を刺激する。

 しばらく、三浦の我慢できずに漏れる声と、ぴちゃぴちゃという音だけが部屋に存在していた。

 



 結局、我慢できなくなった俺達は三回ほどセックスをした。いつもより激しかったように思える。


三浦「……これが…八幡の世界…」

八幡「何それ、厨二病?」

三浦「あーし……悔しいけど目覚めたかも…」

八幡「目覚められても困るんだけどな。俺は葛藤萌えする方の人間だし」

三浦「あれ? 今のってあーしがこれからも必要ってこと?」ギュー///

八幡「……う、うるせーし…」

三浦「八幡」

八幡「ん?」



三浦「あーしのこと、もっともっと可愛がってね?」



 これが、千葉県民の真の実力だと言うのか。



 三浦番外編 完。


ちょっと風呂行ってきます。

戻ってきたら、雪乃番外編です。では。

美琴ちゃんの画像見てたらこんな時間になったので、少しだけ上条さんの方を更新して寝ます!

明日は雪乃番外編と川崎さん(間に小学生挟むかも)までいけたらいいな! おやすみなさい!





 冷たい肌は熱くさえ感じる。






鶴見「んっ///」チュパァ…


 夏休み、我が比企谷家に訪問した回数が圧倒的に多いのは鶴見留美だ。

 小学生でボッチだと本当に何もすることがないらしい。ゲームも興味がないらしく、午前中には俺の部屋でゴロゴロしている。

 鶴見の両親は俺に感謝状を贈ってくるほど喜んでいるとのことだ。おいおい、何されてるのかしらねーだろ。

 だが、俺は鶴見の訪問を受け入れた。小学生の未成熟な肉体を楽しみたいから、という理由では決してない。


 鶴見留美は俺と違い、受け入れられる素養はあるのだ。


 つまり、ボッチである必要はない。本人も本来ボッチではいたくない。

 その彼女が周りから拒絶されているという事実は、俺の胸に突き刺さるものがあった。


 だから、受け入れると同時に、〝鍛える”。


鶴見「携帯鳴ってるよ?」


 鶴見の指摘で、未登録の着信音に気付く。どうやら自分に酔っていたらしい。


 通話をオンにした瞬間、耳に飛び込んできた明るい声。


 一瞬で目が覚める。


陽乃「にゃははー、元気してたかなー?」



 俺は、今すぐ通話をオフにしたい衝動に駆られたが、前回の件もあるので何とか耐えた。



陽乃「ねぇねぇ、今私どんな格好してるかわかる?」


 雪ノ下陽乃。

 雪ノ下雪乃の姉にして、雪ノ下家の最終兵器。


 その激流のようなマゾヒスト振りは、周囲を大きく削ぎ落とす。


 俺は彼女という存在に恐怖しか抱かない。

 雪ノ下陽乃は己の欲を満たすためなら、平気で他人を破壊する。

 雪ノ下雪乃はある意味その被害者なのかもしれない。


八幡「さぁ」


 俺は最低限の言葉で答える。

 この女狐のことだ。会話を録音してるだろう。どんな脅しをかけられるかわからない。


陽乃「男10人に輪姦されてるだけどぉ///」ハァハァ


 輪姦って言うなし。林間学校言ったばかりの鶴見で変な妄想するだろ。


八幡「それはおめでとうございます。切っても良いですか?」




陽乃「ふぅん、そういうこと言うんだ」



 と、意味深な言葉。

 この人は俺よりも些細な会話すら快楽に変える。

 きっと選択を間違えれば俺は簡単に飲み込まれるだろう。



八幡「いえ、ちょっと忙しいので」

陽乃「女の〝子”と遊ぶことが?」


 心臓を直接つかまれた気がした。


八幡「え、ええ、これでも学生なので」


 声の震えを抑えられない。

 おそらく陽乃は何の意味もなく女の子の「子」の字にアクセントを置いただろう。

 しかし、それは俺が口ごもった所為で意味を持った。


陽乃「ふふ、どんくらい若い子と遊んでるんだろうなぁ」


 雪ノ下陽乃は例えるなら蜘蛛。

 油断していると、蜘蛛の巣にかかったことすら気づかない。




八幡「それで、本当に何の用なんですか?」


 俺は、鶴見に絶対に喋るなとジェスチャーで念を押す。

 雰囲気で察したのか、鶴見はコクコクと頷いた。


陽乃「あのね、市内の●●ホテル知ってる?」

八幡「はい」


 ホテル、という単語の時点で嫌な予感しかしない。

 そして、こういう時だけ予感は当たるのである。


陽乃「雪乃ちゃんを裸で待機させてるから、行ってあげてくれないかなぁ」


 雪ノ下陽乃は抉った心臓をちゃんと踏み潰す人だ。


陽乃「なんなら、



 隣にいる小学生も一緒に連れて行って良いから」



 きっと、俺はすでに蜘蛛の糸にかかっていて、しかも両手足は自由に動かせているようで操られているのだ。

 鶴見の参加だけは拒否して(もちろん肯定しないように一人で行くと言ったが)、俺は市内のホテルへと向かった。


 



 フロントで雪ノ下の名前を告げると、受付は慌てて受話器をとり、奥の方から黒服の偉そうな人が出てきた。

 そして、何やらよく分からない歓迎の言葉を受け取った俺は、ぐんぐんと上昇するエレベーターに乗って、


 最上階へと到達した。


 どうやらビップルームかスイートルームかしらんが、このホテルでもっとも高価な部屋らしく、俺は足を踏み入れた瞬間カーペットってこんなに柔らかいのかと驚く。

 一番奥の豪華な扉の前に立ち、インターホンを押す。

 すると、扉の鍵がかちゃりと開いた。

 俺は恐る恐る中に入って後悔する。



 全裸の雪乃がいきなり俺を抱きしめてきたからだ。





雪乃「ふにゃぁ/// ひきがやくぅん///」ギューッ


 悪夢だ。

 あの雪ノ下雪乃がまるで酔ったみたいに顔を真っ赤にして、興奮して、俺に抱きついてきている。

 
八幡「……お前、酔ってるのか?」

雪乃「ゆきのちゃん酔ってませんけどぉ?///」フラフラ


 裸でふらつく雪乃。その動きはまさに千鳥足。

 部屋に漂うアルコール臭からからして、酒を飲んでいることは間違いなかった。


八幡「何してんだよ雪ノ下……」


 俺は、怒りを通り越して情けなくなった。

 かつては心の底から負けを認めた相手。実はド変態で負けたと思っていたらまったく戦ってもいなかった相手。

 己の信念のためには真っ直ぐであり続けた雪ノ下雪乃。


雪乃「ねぇねぇひきがやくん」


 そんな雪ノ下雪乃が、


雪乃「……えっちなこと、しよっ」ニコッ


 〝壊された”。



八幡「良いから服を着てくれ雪ノ下」


 俺はベッドの上に散らかっている雪乃の制服を指差す。


雪乃「いやっ」プクーッ


 頬を膨らませ、そっぽを向く彼女は、俺の知っている雪ノ下雪乃じゃない。

 俺は考える。雪ノ下雪乃が服を着るためにどうすればいいのか。


 雪ノ下雪乃はマゾヒストである。

 行動はすべて被虐的でなければならない。

 だから、服を着る行為が被虐に繋がるようにする。


八幡「下着だけ残して、着ろ」


 全裸よりも恥ずかしいと思える状態を提示する。

 そうすれば目の前の雌豚は喜んで服を着るはず。

 下着を着用していないという事実は遺憾だが、まぁ見た目には問題ない。



 だが、雪ノ下家の人間はいつも俺の予想を覆す。



雪乃「いやっ」プクーッ



 彼女は拒否したのである。



 ぐにゃり、と体が床に沈んでいくような感覚が襲った。

 あの雪ノ下雪乃が被虐行為を拒否した?

 なぜ?

 答えの出ない疑問を追いかけていると、またしても着信音が響いた。


陽乃「やっほー、楽しんでるー?」


 まるで、〝監視していた”かのようなタイミング。


八幡「どういうことですか」

陽乃「んー? 何がー?」

八幡「雪ノ下です。あれじゃあまるで……」


 まるで、〝普通の酔った女”。

 あそこまで泥酔すれば本性が露わになるはず。


 ――本性が……普通?



陽乃「……やっぱり、雪乃ちゃんは…」ボソッ



 そうつぶやく陽乃の声はどこか寂しげで……。



陽乃「うん、ごめん比企谷君。彼女の事優しく介抱してあげてくれないかな」



 突然のキャラ変更に俺は戸惑う。



陽乃「なんだったら、中出ししても良いからさ。責任はこっちでとるから、ねっ」



 ねっ、じゃねーだろ。

 それでも俺は陽乃に任せるよりはマシかと、引き受けた。


 ある意味で、こっからが地獄の始まりだった。



 



雪乃「抱いて、比企谷君」


 少し落ち着いた雪ノ下は、むしろさっきより性質が悪くなっていた。


八幡「は? お前正気か?」


雪乃「私は至って平気よ。だから、いつものように私を満たしてちょうだい」ハァハァ


 痴女乃下の復活である。


八幡「……分かったよ」


 と、俺は全裸の雪ノ下に四つん這いにさせる。紅潮した雪ノ下がうれしそうにこちらを見てきたので、


 ――パチンッ!


雪乃「ひぐっ!?」ビクッ///


 思い切り臀部をひっぱたいてやった。


八幡「よし、そのまま放尿しろ」


 右手で雪乃の重力に引っ張られている小ぶりな胸を揉みながら、耳元で命令する。


雪乃「で、できないわ……///」ハァハァ


 やはり、おかしい。

 いつもなら喜んで了承する雪ノ下が、喜びながらも拒否をしている。

 俺は右手を下半身にずらし、秘部を優しくなでる。


雪乃「んっ……///」ピクッ


 快感が雪ノ下の顔を緩ませる。

 俺は、秘部にある突起物に軽く触れながら、もう一度命令をする。


八幡「……ここで、おしっこをするんだ」


 先ほどと何が違ったのか、雪ノ下はコクリとうなずくと、下半身に力を込めた。

 そして、顔を緩ませた雪ノ下の秘部から、


 温かい液体が流れ落ちた。





雪乃「……ら…め/// 見ちゃ…///」


 雪ノ下は今までになく恥ずかしそうにこちらを見てくる。


八幡「そういわれても俺の腕につたってるから、すでに意味ないんだけど」


 そう、幸い半袖のシャツだったから服にかかってはいないが、秘部に触れていた俺の腕は雪ノ下の液体でびちゃびちゃだった。


雪乃「……ゃぁ///」ブルブル


 放尿の快感と、それを他人にかけている罪悪感から、雪ノ下は軽く〝イッた”ようだ。

 雪ノ下の温かさを感じながら、俺は一つの仮説を立てる。



〝雪ノ下雪乃はマゾではない”?



 もちろん、人間はいろんな面を持って生きている。

 自分を痛めつける喜びも、他人を痛めつける喜びも、優しくする喜びもされる喜びも、人間は持つことができる。

 だが、俺の知っている雪ノ下は被虐的な行為に病的な快感を持っていたはずだ。

 クラスメイトの前でバイブの刺激でイッたり、教室で放尿したり、初対面の男性と無理やりキスされそうになったり。


 その雪ノ下雪乃の本性が、〝普通の女の子”である可能性が出てきたのだ。


 



八幡「このまま触っててやるから、自分で腰を振って気持ちよくなれ」


 俺は突起物を触ったまま腕を固定する。雪ノ下は「はぃ」と弱弱しく返事すると、ゆっくりと腰を振り始めた。

 俺の腕が雪ノ下の重みを感じるたびに、彼女は快楽に負け喘ぎ声を漏らす。


雪ノ下「んっ、あっ/// そこっ///」クチュクチュ


 時折、性器の入口に指が入り、液体の卑猥な音が部屋に響く。

 だんだんと腰をフルスピードと威力が増してくる。俺は性器に思い切り指を突っ込んでやりたかったが、我慢した。

 そして、考察に戻る。


 雪ノ下陽乃。

 あれは生粋の変態だ。本性がどっちにあるにせよ、まともではない。

 だが、雪ノ下雪乃が〝彼女を真似しているだけ”だったとしたら?

 妹として模範としていた姉があれなら、例え二番煎じでも相当のクオリティになるはず。

 そのうち、自分もまた〝そういう人間だ”と思い込むようになれば、ここに1人の変態が誕生する。


 だが、それはしょせん精巧に作られた〝ハリボテ”なのだ。


 その本性は普通の女子高生であり、誰かに愛されたい、優しくされたい、楽しみたいだけの快楽主義なのである。


雪ノ下「い……くっ…」ビクンビクンッ///


 身体を大きく震わせて、雪ノ下はその場にへたり込む。自分が放尿した後だが、体に力が入らないらしい。



 俺は、うつぶせになる雪ノ下を反転させる。


雪乃「……ぇ?」ハァハァ///


 戸惑う雪ノ下。

 そして、俺は自分の性器を取り出すと、






 ―――欲望のままに、貫いた。





 



雪乃「最低だわ、比企谷君。確認もとらないなんて」


 彼女の中に自身の欲望をぶちまけた罪悪感からか、俺は雪ノ下の言葉を甘んじて受けた。


八幡「……本当のお前を知って、やりたくなったんだよ」

雪乃「………最低だわ」


 最低だと言い続ける雪ノ下は俺の腕をつかんで離さない。

 どうやら、自身でもハリボテの性癖に気付いたらしい。


雪乃「私は……姉さんの真似をしたかっただけなのかしら…」

八幡「さぁ…どうだろうな」


 もしそうだとしても、今まで行ったすべての行為をお前は喜んでやっていたし、少なくともまともじゃない。

 そう告げると、雪ノ下はうれしそうに、


雪乃「なら、これからも私を苛め続けてくれるかしら」


 と、俺の首筋を甘噛みしながら聞いた。

 俺は、豪華な天井を眺めながら一言、


八幡「ご奉仕部、だからな」


 と答えた。


 夏休みももう終わる。


 俺たちは、歪んだ形で成長していく。



 雪ノ下番外編 完




番外編はここまで!

この後は性のスカラシップだよ!(時系列的に少しおかしいのは目をつむろう)

早く相模んを苛めたい!

では、続きは夕方になるかも!!

最近稀にみる傑作だわこれ
はるのんは余裕無くなるくらい徹底的にへし折って下さい

官能小説が読みたくなるな
>>1さんのオススメはあるかい?

>>434 ありがとうございます! 痴女姉は文化祭でどうするかですね!

>>435 官能小説一冊たりとも読んだことないです! おすすめの小説は星新一です!

>>438
八幡「やはり俺の学級裁判は間違っている」苗木「それは違うよ!」

>>439 これもあるんかと思って調べたwww

ダンロンクロスの読み返すと失敗は八幡が殴る前に優美子をもう少し土下座寸前まで追い込ませた方が盛り上がったなぁ。読者受けのために銀髪さんを犠牲者にしたのは反省してます。

ご飯食べて続きいけたらいきますー。

もっともっと皆で変態になろう(提案)



 二学期が始まった。

 
 俺こと比企谷八幡はこの二学期に人生最大の恥辱と屈辱に塗れるのだが、

 そんなことはさておいて、小学生の時間である。


鶴見「………」


 これは、後に鶴見から聞いた話だ。

 二学期が始まって、憂鬱な彼女に待っていた現実。


 クラスメイトの明確な無視。


 今まで灰色だったものが明確に黒くなったことに気付いた瞬間だ。

 それでも、鶴見は気にしなかった。

 無視された方が気が楽だ。後ろでクスクスと声が聞こえても別に気にもならない。


 だけど、イジメとは相手が反応して初めて成立するもの。

 だから、反応のないイジメは加熱していくのだった。


有香「鶴見さーん」


 一学期は留美ちゃんって呼んでたくせに、鶴見は不機嫌そうに振り向く。



 ――バシャッ。



 何これ?

 液体。臭い。



 こうして、鶴見は怒りの表情を見せながら俺に語った。



 甘美で妖艶な、小学生の復讐を。



森ちゃん「もう有香ひどいよー、私の机に花瓶の水かかったじゃーん」


 私にかかったの……花瓶の水?

 それなのに、心配するのは机?


有香「ごめんごめん、でも、あいつがあそこにいたからかかったんでしょ?」


 は?

 人間がそんな早く避けられると思ってんの?

 ていうか避けたらあんたらの大好きなA君の机にかかっちゃうじゃん。


仁美「ねぇ鶴見さぁん、謝ってよー」


 ちょっと待て。

 私が謝る? 誰に?


鶴見「いみが……ゎかんない」


 しまった。上ずった。

 相手は私の焦りを感じてニヤニヤと笑う。



 落ち着け、私。



 私にあってこの人たちにないモノ。


鶴見「………」ジーッ

ヨッコ「何あれキモい」

有香「こっち見んなキモい」


 見えてくる。

 彼女たちの“底”。



 八幡、私―――悪い子になっちゃったみたい。



 そして復讐が始まる。

 


 最初のターゲットは有香。

 有香はグループで一番発言力があり行動力がある。

 つまりリーダー的存在だ。


有香「こんな所に呼びだして何?」


 体育館倉庫という特殊な環境下。

 それでも有香が一人で来たのは、それだけ私の事を見下していたからだろう。


 都合が良い。


鶴見「えっと……あんた、名前なんだっけ?」


 試合開始直後のローリングソバット。

 必死に考えて、機会を探って、優越感に浸っていた対象が自分の事を何も覚えていない。


有香「てめぇ!」カァ///


 顔を真っ赤にしてこちらに掴みかかってくる。



 なるほど、八幡の言ってた通り感情に支配されている人間は扱いやすい。

 ガッと、私の服を掴む有香。引っ張り倒そうと言うのか。

 案外力が強い、きっと抵抗すれば体力の差で負けてしまう。


 だから私は――、



有香「んーっ!?」ビクッ


 有香の後頭部を抱え、思い切りキスをする。

 あまりに予想外の出来事に、有香は瞳孔を開いて固まっている。


 だが、それでは意味がない。


 私は有香を抱き寄せ、頬と頬をくっつける。

 次第に有香の意識が引き戻され、顔が紅潮していく。へぇ、可愛いじゃん。


有香「な、なにすんだよっ///」ハァハァ


 ごしごしと袖で口を拭く有香。

 私は、その隙をついてマットの上に押し倒す。


鶴見「……ねぇ、あんた…今からすることに抵抗したら、




 殺すからね」ニコッ




 脅すのは一度だけ。

 八幡はそう言った。

 別に理由がある訳じゃない。何度も脅した方が効果的だろうし、確実性もある。


 だけど……


八幡『それじゃ、つまらないだろ』


 悔しいけど、私は八幡で満たされた。

 口の中から、性器、生き方や信条まで。


 だから、負けられない。


鶴見「気持ち良く、してあげるね」ニコッ


 怯える有香のスカートの中へ手を入れ、



 優しく秘部を撫でる。



 小学生の甘い吐息が漏れた。



有香「んっ/// なにこれぇ///」ビクッビクッ


 表現力の乏しい、ただの喘ぎ声。

 それがだんだんと大人に近づいていく。自分の中に潜む淫らな本性。


鶴見「ねぇ、有香……///」ハァハァ


 名前を呼ばれて、より一層表情が蕩ける有香。ふふ、可愛い。


鶴見「もっと、もっと気持ちいい事、したい?」


 ここからが、復讐だ。

 私は、ポケットに仕込んでいた録音機のスイッチをオンにする。


有香「ど、どうするの……///」ハァハァ


 不安げな声とは裏腹に、彼女の目はそれを求めている。

 だから、見せる。

 ギリギリで手の届かない位置。

 自らがリスクをもって手を伸ばさないと取れない絶妙なポジション。




鶴見「有香を気持ち良くして、ご主人様って言いなさい」ハァハァ///




 八幡のバカ。

 私をこんなに変態にした罪、重いからね。




 休日。


八幡「それで、鶴見ハーレムを完成させたのか?」

鶴見「へへ、今では女子全員が私の僕だよ」ニコッ

八幡「ほどほどにしとけよ。敵ってのはどこに潜んでいるかわからねーからな」

鶴見「……八幡?」

八幡「ん?」



鶴見「なんか……あった?」



八幡「……っ、ねーよ」



 どうしよう。

 八幡の顔、絶対なんかあった。

 でも、私は小学生だし、八幡に迷惑かけてばっかだし、何もできない。

 悔しい。

 私にできる事って何だろう。

 お金?

 そんなのないし、八幡が望んでいるとは思えない。

 身体?

 腹立つけど、八幡を性的に満たす人間はたくさんいる。


鶴見「………」ムゥ…

八幡「どうしたんだ?」

鶴見「……ごめん」ポロポロ

八幡「ほぇ!?」



鶴見「ごめん……私、わかんないよぉ」ポロポロ


 八幡の痛みも苦しみも、何も分からない。

 攻め手になって初めて分かった苦しみ。

 それは、理解者の苦悩。

 相手を知ること、理解すること、分かること。

 だけど、こっちのことは何一つ理解してもらえない。


 有香もユッコも森ちゃんも。


 自分の淫らな部分を理解してくれた私に好意は寄せてくれているけど、理解はしてくれていない。

 それはとても寂しい事だった。


八幡「よく分からんが」チュッ

鶴見「ふぁっ///」ビクッ


 何、するんだよぉ……。

 私は今、センチメンタルなんだよぉ……。


八幡「鶴見、



 お前は可愛い。それで充分だろ」チュプッ・・・



鶴見「なっ、ななっ///」カァ



 ずるいずるいずるい!!

 なんでこのタイミングで言うの!?



 絶対好きになっちゃうじゃん!!



 ……もう好きだけど。




 鶴見番外編 完


 ちょっと物語の進行上鶴見ちゃんは当分出てきそうにないので番外編ぶち込みました。

 今度こそさっきー登場です(予定)

 ちょっと最近妹の様子が変見てくるので離れます! 



 鶴見が鶴見王国を築いている間、その参謀(勝手に任命された)こと俺も一つの戦いに巻き込まれていた。



 ――比企谷八幡と平塚静が付き合っているらしい。



 どこから流れた噂か分からないが、クラスメイトどころか全校生徒が一度は耳にしているらしい。

 それでも、「比企谷って誰?」の方が先に来たため、あまり盛り上がらずに燻った状態でいるのが救いだ。



平塚「私はかまわんぞ」



 放課後、ご奉仕部の教室で平塚先生はそう言った。

 ふざけるな。あんたの気持ちなんか聞いちゃいない。


雪乃「っ!///」ビクンビクン


 バイブのスイッチをオンオフしながら言えた立場ではないと思うが、本当にふざけている。


八幡「生徒の将来が心配じゃないんですかねぇ」


 そう言うと、平塚は嬉しそうに、


平塚「心配するな。お前の将来は私が引き受ける」


 こいつは……。


雪乃「……んっ///」ビクッ


 こいつも……。




 それからしばらくの間、休憩時間に俺を拝見するツアーというものが流行った。


 まぁ、(黙っていれば)美人で、しかも男勝りで明るい教師である平塚静は学校一の人気教師であったし、男子の嫉妬と女子の興味が集中したのだろう。


 俺を見てガッカリして帰るのは本当にストレスだったが。


三浦「なぁ八幡、あーしと付き合えばいいじゃん」モジモジ///


 腹立つ。


八幡「お前が、本当の気持ちを言うまで考えてもやらん」フンッ

三浦「あう……」シュン…


 腹立つ。


葉山「八幡! このぼ「断る」


 腹立つ腹立つ腹立つ。


 HRの終わり、俺は教壇に立つ平塚の所へと行く。おぉ、というざわめきにも腹が立ったが、それ以上に嬉しそうな顔をする平塚に腹が立った。



八幡「こんのメスブ―――」ドサッ



 天井?

 なぜ?

 痛み。

 殴られた?



平塚「比企谷。言っていい事と悪い事……分かるな?」ゴゴゴゴゴ



 くそ、こいつこういう時だけっ!



 と、天井を仰いでいた俺の視線に青の縞模様が飛びこむ。



??「あ、めまいが」ドサッ

八幡「えっ?」




 天空からヒロインが降ってくるように。


 空から落し物があるように。


 往々にして王道。



八幡「むがっ!?」




 ―――パンツが、落ちて来た。












平塚「おい、川崎、大丈夫か」


 お、おい、俺の心配しろ。なんかエロい匂いで肺がいっぱいに……ってなんか息できないんですけど…。


川崎「あ、はい、もう少しだけこのままで」


 このままってお前、じゃあなんで太ももの力強めてんの? 鼻先がプニプニしてしかもちょっとおしっこの匂いがするんですけど。


八幡「………」ジタバタ


 ちょ、マジで。これが安楽死なのか、エロで頭を満たされながら逝くとか俺らしいじゃねぇか。


川崎「ん……あれ、何これ?」サッ


八幡「………」ハァハァ


川崎「………かぁ」モジモジ


 今こいつ自分でカァって言わなかったか。カァはssを読む人しか分からない擬音語だろ。ここのクラスメイトが知ってる訳ねーだろって何言ってんだ俺。


八幡「し、死ぬかと思った」

川崎「ちょっとそこの君」


 無表情で俺の胸元を指さすロングヘアーの女。


八幡「?」

川崎「責任とってよねー(棒読み)」


 くそ、何のジャンルだこいつ。クーデレでもヤンデレでもない。

 ……あ、分かった。




 あざとい(下手)だ。





 



 ちりも積もれば山となる。


川崎「はむっ、はむっ」パクパク


 ファーストフードの一番安いメニューであるハンバーガーも、10個目となればそれはもはや高級品だ。

 川崎沙希と名乗るクラスメイトは、パンツを見て匂いを嗅いだ罰だと言って俺に飯を奢れと要求してきた。


八幡「それで、何で俺だったの?」


 お前ほどのルックスなら、他にいくらでも奢ってくれる男子はいるだろうに。


川崎「んー、かっこいいからかなー(棒読み)」


 うそつけ。

 全く気持ちのこもっていない台詞。

 感情が全く見えない無表情。


 すごく、魅力的だと思った。



川崎『私にこんな顔させたの、八幡が初めてだよぉ///』ハァハァ



川崎「何? なんかついてる?」


八幡「はっ……」


 何を想像してるんだ俺は。


川崎「ねぇ、えーっと……」

八幡「比企谷八幡」

川崎「うん、えっと……」

八幡「おい」

川崎「えへへ(棒読み)」

八幡(案外無表情ぶりっこが可愛いのがムカつく)

川崎「あのね、君」





川崎「私と、付き合ってよ」





 俺は、シェイクを地面に落とした。



 川崎沙希は続けてこう言った。


川崎「あんたって、自分のこと好きじゃないだろ?」



 は?



八幡「いや待て、俺は俺が大好きだが」



 というより自分以外に自分を愛してくれる人間なんていない。そう信じて生きてきたからな。



川崎「ふーん、私は自分の事が大嫌い」

八幡「何でだ?」

川崎「だって、貧乏だから」

八幡「は?」


 それはどちらかというと外的要因だろう。自分を好きかどうかとは関係ない。


川崎「ああ、そういう意味じゃない。



“貧乏の両親を恨んでしまう自分”が嫌いなんだ」



 ああ、そういうことか。



八幡「だから俺と付き合いたい。ってそりゃ金目的じゃねーか」

川崎「そうだよ」ニコッ

八幡「っ///」



 ダメだ。こいつは苦手だ。

 こいつの笑顔は作り物。そこに気持ちは一つたりとも含まれていない。

 だから、惹かれる。


 いやがおうにも気がつかされる。


 俺と川崎の人間性の相性が、最高に良いということを。





八幡「おしっこ飲ませてくれるか?」





 川崎はぽとりとハンバーガーを落とす。11個目のことだった。



 俺は、川崎沙希を試す。徹底的に。


川崎「………」


 無表情だから、読めない。

 これが葛藤なのか、ただ単純に思考を停止しているのか、を。


 ゆっくりと視線をこちらへ移し、やはり無表情で口を開く。



川崎「おしっこだけで良いのかい?」



 威風堂々。

 俺は、少し引いた自分を恥じた。

 そして、心臓の鼓動がどんどん速くなっていくのを感じる。


八幡「………」


 俺はもう一度彼女を見つめる。

 無表情。……いや、


川崎「………」ハァハァ///


 ほんの少しだけだが、興奮している。


 そりゃそうだ。感情のない人間なんていない。


八幡「……そうだな」


 川崎の顎を手に取る。それでも、彼女の表情は“ほぼ”無表情だ。

 シェイクを少し口に含み、そして、


川崎「んっ!?」ビクッ///


 それを、川崎に押し流す。

 冷たい液体が、二人の舌の上で温かく溶けていった。



 俺は思う。



 相変わらず展開が早い、と。



 川崎は俺の事を実は前から知っていたらしい。

 昔の俺だったら、話しかけることはなかったそうだ。


川崎「最近のあんた、すごく魅力的だよ。気付かなかったかい」


 相変わらず感情のない声と表情だが、だんだんと理解してくる。

 この女、自分の本心を完全に切り離している。

 言わば、ゲームをしているようなものだ。

 自分という存在がここには存在しない。


 だから、いきなり変態的な言葉をかけられても、引かない。


“最初からそこにいないのだから”。



川崎「で、結局あんたは私と付き合うのかい?」


 付き合えば何でもさせてあげるよ。川崎は言う。

 俺は、しばらく彼女の言葉を咀嚼し、思考する。



 川崎沙希という人間は精神的にも肉体的にも屈服させる魅力に溢れている。

 その強固な城壁のような精神を瓦解させる楽しみ。

 由比ヶ浜に劣らない巨乳とそれでも痩せていると思ってしまうようなスレンダーな身体。

 それを好きにできる。


 俺の葛藤を見抜いたのか、川崎は抑揚のない声で、


川崎「お試し期間だよ」グイッ


 と、俺の服を引き込み、そして、


八幡「んっ///」チュプッ


 川崎の柔らかい舌が、ゆっくりと侵入してきた。




 ぎこちない舌の動き、時折当ててくる歯、川崎のキスはとても下手だ。

 だが、必死に俺の動きに合わせてくる。

 まるで、恋愛ゲームの攻略対象のように、俺を主体に行動してくれた。


 それは、とても気持ちいい事。


川崎「……へへ、こんなところで、しちゃったね(棒読み)」

八幡「なぁ、お前なんでそんなゲームみたいな台詞ばっかなんだ?」

川崎「弟が好きだから。そういうの」

八幡「あ、そ」

川崎「帰りたくないな。まだ」クリクリ

八幡「感情のこもってないヒロインだこと」

川崎「でも……きっと好きになる」ニッ

八幡「っ……///」ドキッ


 俺は川崎の笑顔を見ると何も考えられなくなる。

 

 考えなきゃいけないことは、山積みなのに。



 



 家に帰ると、小町が制服のままリビングにいた。


八幡「どうした小町」

小町「……うん」


 煮え切らない声。

 俺は、隣に座る。すると、しばらく考え込んだ小町はギュッと俺の腕を掴んだ。


小町「ねぇハチ君」ウルウル///

八幡「な、何?」


 ハチ君って……でも、悪くはない。


小町「告白されちゃったぁ……」


 うん、良くもない。



八幡「どんな奴?」


 俺は、小町の身体を引き寄せ、首筋を舐める。小町はんっ、という声と共に身体を反らした。


小町「や……いてる?」ハァハァ///


 嬉しそうに、小町は言った。

 妬いている。

 まぁそれに近い。


 正確に言えば“腹が立っている”、だ。


八幡「“俺の”小町を葛藤させて良いのは俺だけだ」チュプッ

小町「んっ/// はぁっ、ちゅぷっ、い、いまのぉ/// ぽいんとたかすぎだよぉ……///」ギューッ///


 俺は小町の胸とお尻を揉みながら、口内を欲望のままに犯す。

 しばらくちゅぷちゅぷという淫らな音がリビングに響き、そしてぐったりと小町はソファーに寝転んだ。


 とても、エロい。


小町「あのね、別にその子の事で悩んでる訳じゃないんだ」ハァハァ///


 息を切らしながら、小町は言った。


小町「小町はね、もうすでに心も体もハチ君でいっぱいになっちゃったから、もう普通の将来じゃ満たされない。それはハチ君も分かってるよね」


 俺は、躊躇ないながらも、頷いた。

 認めたくはない。……だが、事実だ。


小町「だから、大志君のあの真っすぐな目を見たらさ、私……ハチ君に迷惑かけてるんじゃないかって」ポロポロ


 ああ、やっぱりか。

 小町は俺の人生を心配してくれているのだ。

 普通じゃない妹に愛されている兄の将来を、憂いているのだ。



小町「んっ、ら、らめっ/// ぁんっ///」ビクッ///


 無駄な脂肪が一切ない、しかし健康的な小町の身体を突きながら、俺は思う。



 “どこで間違った”、と。



 元々は小町とのプリン戦争が原因だ。アレがなければ俺は自分の性癖に気付かず、ただ単純に青春ラブコメを間違っていただろう。

 だが、気付いてしまった。

 俺は、俺の欲望に忠実な人間だと。


 そして、間違えた。


小町「んんっ/// 激しいよっ!?」ビクンッ///


 小町が声を上げるたび、身体をくねらせるたびに、俺の性器はその欲望を吐き出そうと大きく脈動する。



 この世界一可愛い少女にも、普通の人生はあったのだろうか。



 そして、俺は果てた(もちろん避妊はばっちし)。



八幡「なぁ小町」

小町「なにハチ君」



八幡「こ、断われよ……」



小町「………へ?」



 何を言ってるんだ俺は。

 これじゃあ、本当にただの青春ラブコメじゃないか。

 甘く酸っぱい恋愛模様。



小町「ぷっ、あははー、ハチ君馬鹿だなー」ギューッ

八幡「は?」

小町「そんなん、即答で断ってるよー」

八幡「そ、そうだったのか?」

小町「うん、だって小町は」チュッ




小町「小町はハチ君のモノだから、ね(はぁと)」ニコッ






 翌日、教室に入った俺を待っていたのは、三浦でも戸塚でも由比ヶ浜でも葉山でもなく、



川崎「おはよーだーりん(棒読み)」ギューッ



 ツインテール川崎だった。

 教室にざわめきが起きる。


 川崎は俺の胸にスリスリと顔をこすりつけた後、


川崎「寂しかったんだぞ」


 と、無表情のまま言った。

 俺は、腹に当たるおっぱいの感触に興奮しながら、突き刺さる視線に恐怖した。


八幡「な、何言ってんだ川崎」

川崎「何って、……本音?」


 話が通じない。

 それはそうだ。彼女はあくまでもゲームの攻略対象のような存在。

 本音を切り離しているから恥も外聞もない。

 ただただ、主人公役の俺と恋愛ゲームを楽しんでいるだけなのだ。


平塚「くぉら、朝っぱらから羨ましいもん見せつけるんじゃねぇ」ゴスッ


 出席簿で脳天を叩かれた俺は、痛みに耐えつつも席へとつく。


相模「ね、ねぇあんた、……えっと」

八幡「あ?」

相模「本当に平塚先生と付き合ってんの?」


 腹が立つ。


八幡「ああ、そうかもな。でも、俺がどうしようが、お前らには関係ねーだろ」

相模「まぁそうだね」


 えっと、誰だっけこいつ。

 まぁいいや。

 どうせ噂なんて長続きするわけがない。


相模「関係……ね」ニマァ


 



雪乃「ねぇご主人様」

八幡「だからご主人様言うなし」

雪乃「私、もう耐えられそうにないわ」

八幡「ふーん、それで?」

雪乃「おねがい。あなたの欲望のままに、貫いて欲しいの」

八幡「……お前なぁ、その場合は普通、聞き手に妄想させておいて実は全く別物でしたーってのがデフォだぞ」

雪乃「我慢できないの」


 俺の下半身をさすりながら、雪ノ下は物欲しそうな声で俺を誘惑する。


八幡「お前、マゾ失格」ポチッ

雪乃「ひぐっ!?」ビリビリ


 少し弱めのスタンガン。

 一応身体に害はないらしいが、自分で一回試した時は大と小が同時に漏れるかと思った。


雪乃「ふぁぁ///」ジワァ

八幡「お前っ、俺のズボン!?」


 そう、教室のカーテンを閉め切っていた俺達は、今いわゆる駅弁状態で座っていた。

 だから、雪ノ下が漏らせば、必然俺の下半身に液体が移る。


雪乃「ら、らめ……匂い嗅がないでぇ///」チュプチュプ


 そう言いながら俺の口を犯す雪ノ下。

 腹が立った俺は、パンツの隙間からするりと指を入れる。


 くちゅ。


雪乃「ぁんっ///」ビクッ


 身体を大きくそらし、雪ノ下は快楽におぼれた。

 俺は素早く指を抜くと、ズボンとパンツを脱いだ。やはりビチョビチョだった。


雪乃「……い、入れてくれるの?」ハァハァ


 雪ノ下は俺の事を理解しているようでしていない。

 俺がそんな素直に要求を飲むはずがないのに。


八幡「雪ノ下……」





八幡「俺のおしっこを飲むんだ」





 こうして俺は、また一つ階段を上ってしまう。

 雪ノ下の顔がとてつもなく緩む。

 やっぱこいつはマゾの素養があると思った。




 二つ返事で了承したので、俺はやっぱりやめておくことにした。

 そもそも、そんな趣味はないし、自分のおしっこで汚れた雪ノ下の口など二度と触れたくない。


 でも、それならどうして、


雪ノ下「んっ……んっ」ジュプッジュプッ


 雪ノ下は俺の下半身付近で顔を動かしているのだろうか。


 押し寄せる快感に思考を停滞させてしまう。


 その瞬間、



――ガラッ!



八幡「えっ?」


 確かに、鍵は閉めていたはずなのに。


川崎「やっほー、沙希だよ(棒読み)」


 雪ノ下は嬉しそうに勢いを増した。お前……。



川崎「じゃ、約束通り」


 と、川崎は迷うことなくパンツを脱ぐと、俺の鼻に押し付けた。

 そして、ドカッというか、ぬちゃっというか、彼女の性器が俺の口に触れる。


雪乃「んっ……んっ///」ジュプジュプ


 雪ノ下はキスで鍛えた舌使いを存分に発揮し、俺に射精するように促す。


川崎「……ぁ、ん…」プルっ


 川崎の顔が少し赤くなる。


 恥ずかしい?


 と、疑問に思ったのもつかの間、俺の中に流れてくる温かい液体。


八幡「んっ、ぐっ」ゴクッ


 生まれて初めて飲むそれは、想像していたよりずっとただの水だった。

 それ自体を美味しいとはとても言えないが、恥ずかしそうに顔をゆがめる川崎の顔を見て、俺は興奮の絶頂に至る。


 ちゅぷっ。


川崎「っ!?」ビクッ///


 流れ出す快感と、侵入する異物の快感に溺れる川崎。


八幡「くっ……」

雪乃「………んぐっ」


 こうして、俺達三人は果てた。

 だが、俺はぐったりと横たえる川崎沙希を見て思う。



 “何が目的なのだ”、と。



 

しまった。夜中の雰囲気に負けて、直接そういうシーンを入れまくってしまった。反省。

今日はここまでにします!

明日というか今日はお昼過ぎから更新するかも!では!

八幡が雪ノ下と海老名にレズるように命令して、苛める展開はよ

おはようございますー。

今日最終章まで行けたらいいと思ってます。

では、続きー。>>480海老名がこの後出てくるかどうかも…(小声)



川崎「あんたに小町って妹いるでしょ」


 川崎はすぐに本心を吐いた。

 というより最初から隠す気はなかったのだろう。


川崎「うちの弟が小町ちゃんに惚れててねー。だから先に私があんたを手に入れようとしたって訳」


 訳が分からん。


八幡「それは競争という意味か?」


 姉弟で兄妹争奪戦。それなら分からんが分かる。


川崎「いいや、弟が小町ちゃんを手に入れるために、あたしがあんたを手に入れるって訳」


 意味不明。

 謎理論。


八幡「どう生きたら、そんな思考になるんだよ」


川崎「良いよ隠さないでも、だってあんたら、




 兄妹の一線、越えちゃってるんだろう?」




 雪ノ下は黙ってお掃除○○○を続けていた。



八幡「な、何を証拠に……」


川崎「ああ、うちの弟、けっこう犯罪っぽいことできるからさー、あんたんち盗聴してたの」


 は?


八幡「お、おい……冗談じゃねぇぞ」


 思考が停止する。

 盗聴?

 全て聞かれていた?

 小町と俺の関係が筒抜け?


川崎「ああ、そう言えば、小学生と三浦さんとひら「お、落ち着け川崎!」


 本当に落ち着いてくれ。


八幡「い、今も盗聴は続いてるのか?」

川崎「さぁ、あたしは聞いたことないし。全部弟情報」


 ダメだ。

 今すぐ通報しなきゃ。


川崎「ああ、もし通報とか考えてるんならやめた方がいいよ」

八幡「えっ……」




川崎「なんかあんたが通報したらネットにばら撒くって言ってたから」



 ラスボスの前には必ず勇者を試す中ボスがいる。


 川崎大志はまさにそう言ったレベルの“厄介な敵”だった。




川崎「だから、まずはあたしがあんたを手に入れろって弟が」


 どうやら、川崎も脅されているようだ。

 俺は念のために確認をとる。


八幡「お前は脅されてるのか? 襲われたり……したのか?」

雪乃「お、襲われる?」ハァハァ///


 川崎は少しだけ間を空けて、笑顔で答える。


川崎「大志はロリコンだから。でも、小町ちゃんが手に入らなければ、



 強姦されて殺されるかもね」ハハハ



 なんだこれ。

 この数カ月、日本の高校生の中でもトップクラスの数奇な運命だと思っていたが、


 こいつの弟はその枠をとっくに跳びこしてるじゃねぇか。



八幡「お前は……そんな弟と一緒に暮らしてて、大丈夫なのか?」



 トイレや風呂を盗撮されたり、そんなことは……、



川崎「いや、それはないよ。あたしんち貧乏だって言ったでしょ? 無駄なことをするほど大志も馬鹿じゃない」



 は?

 俺の家を盗聴することの方が十分無駄だろ。



八幡「……くそ、どうすれば…」

雪乃「比企谷君、私に良い考えがあるわ」

八幡「えっ?」



 そう言いながら、ノーパンお漏らし雪ノ下は立ち上がり、凛とした表情で言った。



雪乃「ご奉仕部の出番よ」ニコッ



 その笑顔はどんな状況をも吹き飛ばす、不思議なパワーがあった。



八幡「………」

雪乃「………」

川崎「………」


 大志を呼びだしてから数十分。

 俺達はファミレスの席に座っていた。

 どうして六人席の片側に俺を挟んで座るんだこの二人。


八幡「雪ノ下はまぁ分かる。だが、川崎、お前は別に俺の事が好きじゃなかったんだろう?」


 弟に命令されたから。

 だったら無理する必要はない、平和な人間世界へ帰れ川崎。こっちは阿鼻叫喚の地獄絵図だ。


川崎「は? 何言ってんの? あたしは前からあんたを知ってるって言ったでしょ」

八幡「お、おう……」



川崎「ひ、一目ぼれってやつだよーー(棒読み)」



 相変わらずあざとい(下手)は不思議な魅力があるな。



――ガーーッ。



 扉が開き、俺は思わず立ち上がった。



八幡「こまっ……」



 俺がこれから討伐するべき対象の川崎大志は、


 俺の世界一大切で可愛い比企谷小町を連れてやってきたのである。



大志「お兄さん、初めまして」ニコッ



 けっこうイケメンである。



 俺は川崎に言って、小町を俺の横、大志と川崎で座ってもらった。


小町「やー、お兄ちゃんは相変わらず甘えんぼだねー」ナデナデ


 どんっ、と机を叩く音が響く。


大志「お、お兄さん……そういうの見せつけるために呼んだんだったら……僕は…僕は……」プルプル


 こ、こえー、こいつマジもんだ。


八幡「違う。俺と雪ノ下はお前の悩みを解決するために来たんだ」

大志「雪ノ下……? あんた、“まだ他に女”が?」ギロッ


 それに関しては睨まれても文句を言えない。


八幡「俺のことは良い。お前は俺達ご奉仕部に依頼するんだ」

大志「は? 何を? 小町ちゃんと付き合いたいですってお願いするのか?」


 おいおい、お前小町と付き合いたい割に家族である俺をずいぶんな扱いするな。

 と、思っていると、外面雪ノ下が口を開く。


雪乃「あなた、本当に小町ちゃんと交際を申し込む気あるのかしら」


 どんっ、と再び机を叩く大志。


大志「ふ、ふざけないでください。僕は本気だ」プルプル


 なんだこいつ、もう薬やってるとしか思えないぞ。

 だが、雪ノ下はそんな圧力は一切無視して口を開いた。




雪ノ下「あなた、生意気だわ」




 ――ビシャ。


 大志の水が雪ノ下の顔にかかった。


雪乃「……本当に、生意気ね」ファサッ


 よく嬉しそうな顔を隠したな。後で誉めてやろう雪ノ下。




川崎「大志!」


大志「……ふんっ」


小町「やー……今日の大志君不機嫌だねー」


 おいおい、ウチの箱入り妹は世間知らずか?

 こういうのは不機嫌とは言わん。キチガ○って言うんだ。


雪乃「良いの、それよりも言葉を訂正する気はないわ」


 と、雪ノ下は続ける。


雪乃「あなた、小町ちゃんと付き合いたい割に、そのご家族である比企谷君に対してその態度、全く覚悟が見えてこないわ」

大志「……俺は小町ちゃんと付き合いたいだけだ」


 おいおい、振られた癖に本人を前にそんな駄々こねるとはどんなメンタルだこいつ……。


雪乃「小町ちゃんの事を本当に好いているなら、小町ちゃんの気持ちを考えるべきだわ」

大志「小町ちゃんの……気持ち?」

雪乃「ええ、あなたと自分の兄が喧嘩しているのに、気持ち良く付き合えるかしら」

大志「………」

雪乃「それに、盗聴するなんてフェアじゃないわ」

大志「なっ!?」

八幡「ゆ、雪ノ下?」

小町「とう……ちょう?」



 俺は、気付くべきだった。

 雪ノ下雪乃の作ったご奉仕部は、言わば依頼人の依頼を“解決”するもの。

 方法手段は問わない。

 例えるならそう、害虫を駆除するために家を燃やすような、神のような所業。



 雪ノ下雪乃は間違いなく、ご奉仕部部長だった。



 



小町「うぅ……ひどいよぉ…」エグッエグッ


 号泣している小町を撫でながら、俺は大志に現実を突き付ける。


八幡「お前のしたことは間違いなく犯罪だ。だが、それ以上に妹を傷付けた。



 俺はお前に小町をやることは、一生ない」



 小町はギューッと俺の腹を抱きかかえる。お前、今、にやけてるだろ。


大志「………」プルプル

川崎「大志、あんたも良く頑張ったよ。だから、もう諦めな?」


 優しくなだめる川崎。

 だが、俺はこの後の“最悪の展開”を予想してスマホを操作する。

 最終兵器の出番だ。


大志「……分かり、ました」コクリ


 川崎の表情が少し綻んだ。

 どうやら、彼女も思いつめられていたらしい。

 そりゃそうか、弟がストーカーで盗聴してるなんて普通だったら耐えられないもんな。


大志「一緒に、俺の部屋まで来てもらえますか? 目の前でデータを消すので」


 俺は、頷く。

 大志はこの場にいる全員についてきて欲しいと言った。

 小町も不安だったのと、興味があるのとで了承した。


 俺は小町を止めなかった。


 この中ボスの思惑が予想通りなら、小町を道具に使ってでも時間を稼ぐ必要があるからだ。



 そして、中ボスの城へとやってきた。

 その部屋は正統派ストーカー部屋。



 小町の写真で溢れていた。



 


 お昼ご飯を食べる小町。

 授業を受ける小町。

 体育で頑張る小町。

 暑そうに制服をパタパタさせる小町。



八幡「………」ボーッ///

雪乃「ロリガヤ君、見惚れてる場合じゃないわよ」

八幡「み、見惚れてなんかない」

小町「……うぅ…恥ずかしいよぉ…」


 照れる小町。

 その姿は葛藤している時の小町と同等の可愛さがあった。


川崎「あたしもこの部屋に入るのは初めてだったけど、なるほど、あたしも八幡の「やめろ」


 この弟にしてこの姉あり、いや逆か。

 俺は、なるべくパソコンのデータの消去は後回しにするように促す。


八幡「まずはこの写真を処分だ。小町が嫌がってるからな」

小町「あ、う、うん……」

小町(ハチ君にならもっと見て欲しいんだけどな…)


 とか思ってるんだろう。

 だが、俺は断固として写真の処分から始めさせた。


 俺達は一切手伝わない。


 大志も、俺たちに触れて欲しくはないのか、黙々と作業を続けた。


 あっという間に写真は集まり、それを俺は受け取る。


大志「お兄さんにプレゼントします」


 おい。

 受け取っちゃうぞこの野郎。


雪乃「後で私の裸写真もいっぱいあげるから」ボソリ


 いらん。……いらん。



大志「それじゃあ、データを消去しますね」


 大志の顔が少し綻んだ気がした。多くの人間が気付かない微妙な変化。

 俺は気付いた。

 その表情は、罠にかける軍師の顔。


八幡「まぁまて、その前にお前の部屋を全て探らせてもらう」

大志「……どうぞ」

八幡「ああ、そうそう、電源は点けておいてくれ。終わったらすぐ帰りたいし」

大志「……はい」ニヤリ


 俺達は部屋を探った。

 押入れ、布団の下、机の中。

 驚くほどに物が少ない。

 だが、それはそれで予想通りだ。


八幡「………」


 俺は、ちらりと自分のスマホの画面を見る。


【70% 残りおおよそ10分】


 あまり、良い状況ではなかった。



大志「僕達は貧乏ですからね、そんな探って楽しいモノなんてないですよ」


 大志の発言に川崎が同調した。


八幡「なら、どうやってそのパソコンや盗聴機器を手に入れたんだよ」

大志「そんなことどうだっていいじゃないですか」


 大志はパソコンのキーボードを軽快に叩き始める。

 まずい。

 そして――こういう時に限って予想は当たるのである。




大志「さて、ここに一つのフォルダがあります」




 指さしたのは、誰でも一度は見たことあるであろう黄土色のフォルダ。


大志「フォルダ名は“比企谷家の秘密”」ニヤリ


 小町の表情がこわばる。

 そう、あれが盗聴のデータであることは分かっている。

 こいつがやろうとしているのは、


大志「日本中に、あんたの恥をばら撒かれたくなければ、



 俺の奴隷になれ、比企谷兄妹」ニマァ



 ラスボスは、勇者に選択権を与える。

 中ボスは、“勇者を手に入れたがる”。





八幡「誰が、お前の言うことなんて聞くか」


 内心焦る。

 俺自身の性癖がいくらばれようと、何の痛みもない。

 むしろ、俺の素晴らしい性癖を日本中に布教すれば……三日で滅びそうだな日本。


大志「ふーん、じゃあ小町ちゃんは?」


小町「えっ!?」ビクッ


大志「小町ちゃんは、お兄さんが捕まっても良いの?」


 しまった。

 俺そう言えば小学生に手を出してたんだった。


大志「ねぇ、どうだろう小町ちゃん。お兄ちゃんがいなくなって君は耐えられるのかい?」

小町「………」プルプル


 小町は“俺の嫌いな葛藤”で肩を震わせている。

 予め筋道を決められた葛藤。

 本人の意思を無視して、こうするのが当たり前だと答えを用意する卑怯な行為。



 だが、すまん、耐えてくれ小町。



小町「小町……は、ハチ君がいなくなるの……嫌」プルプル



 もはや恥も外聞を捨てて、本音を語る小町。

 俺のスマホが振動する。


【95% 後3分】


 大丈夫。

 耐えられる。

 小町、一度は屈したっていい。

 最後は勇者が、俺が中ボスを倒してやる。


小町「でも、小町はハチ君以外の人に、




 心をあげる気はないから」




 あれ、俺……泣いてる?



大志「………」プルプル


小町「ごめんねハチ君。ちゃんと留置場にご飯届けるからね」


 おい、そんな難しい言葉いつ覚えた。


雪乃「どうやら、あなたの目論見はうまくいかなかったみたいだけど、どうするのかしら?」ファサッ

川崎「大志……」


 残り一分。

 大丈夫。このまま刺激せず、会話を続けて―――、


大志「あはは、あははははは!!」


 突如、笑いだす大志。

 そして、壊れた笑顔で俺たちに矛を突きたてる。


大志「それじゃあお望み通り壊してやるよ比企谷兄妹! 俺という存在を一生心に刻んで生きるがいい!!」


 カチャカチャと、キーボードをたたく大志。

 まずい。

 時間がない。


 ここで、俺ができること。


 それは―――、“狂った正義”。


八幡「小町」

小町「え?」





八幡「ここで、今からおしっこするんだ」





 大志の手が、止まった。


 



小町「え……こ、ここで…?」

八幡「ああ、今すぐ。パンツ履いたままで」

大志「!」ピクッ


 分かるぞ大志。

 お前は小町の“外面”を求めている。

 小町の笑顔、小町の仕草、小町の見た目。

 だが、そんなのは小町の魅力の一割にも満たないぞ。


小町「……あ、う、うぅ…///」モジモジ


 小町の真骨頂、それは――、


小町「小町……恥ずかしぃよぉ///」モジモジ



 普段、活発な小町の本性――臆病で照れ屋さんなところだ。



大志「あ……う…」ハァハァ///



 大志、お前は今初めて“本当の小町”を見た。

 そこから本当の愛が始まるんだ。




八幡「川崎大志」




 だが、今回は諦めてもらう。



 ――ケケケケケケケケ!!



大志「!?」ビクッ


 画面上に甲冑を着たピエロが現れる。





八幡「チェックメイトだ」





 そして、パソコンが音を立てて――暗転した。


 とある場所。


材木座「ふーっ、相棒も無茶な注文をしてくれた」

材木座「だが、スーパーハッカー材木座義輝にかかれば、まぁ訳もない仕事だったな」ハハハ


店員「お客様、他のお客様にご迷惑になりますので」


材木座「ケプコンケプコン! 以後気をつける!」

店員「かしこまりました」ペコリ

材木座「ふー、興奮して思わず声が大きくなってしまった」


材木座(しかし、このコンピューター……“どこかに管理されていた”?)


材木座「ふふ、ふふふ、ふははは! 面白い! 面白いぞ!!」

材木座(この材木座義輝! 敵が巨大であれば巨大であるほど盛り上がる!!)


店員「お客様、申し訳ありませんが他のお客様の迷惑になりますので退店してもらえますか?」

材木座「」




大志「なに……が…?」


 茫然とする大志。

 全てを失う覚悟で戦いを挑んだ結果、横から刺されたんだから当然か。

 だが、俺は勇者といっても守る勇者だ。攻める勇者じゃない。


 手段や目的は問わないんだ。


 材木座に借りができたのは癪だが、あのコンピューター変態は今頃興奮しているだろう。

 敵は巨大であれば巨大であるほど楽しむ奴だからな。



八幡「わりぃな。俺はお前みたいな“操り人形”に負けるつもりはねーんだ」

大志「なんで!?」

八幡「何で分かったかって?」


 嫌でも分かる。

 貧乏な家に高価なパソコン。

 他人の家に盗聴器を仕掛けられる“力”。


 俺は、スマホを取り出して、登録していない番号へかける。


 そして、ラスボスは現れる。







陽乃「ひゃっはろーーー♪ 勝ったみたいだね勇者君♪」






 陽気なラスボスの登場である。



八幡「どうしてこんなことをした」

陽乃『えー? だってその子……えっと、名前分からないけど、男の子が小町ちゃん欲しいって言うから』


 電話越しからも伝わる明確な悪意。


八幡「どこで知り合ったんだ?」

陽乃『んー、君たちの交友関係なんて、“全て筒抜け”と思った方がいいよー』アハハ


 さすがラスボス。

 自分がやってることに何の罪悪感も抱かない。

 己こそ正義。

 雪ノ下陽乃はどこまでも自分に正直な人間だった。


八幡「目的はなんだ」


 それが一番謎だから、一番恐ろしい。

 大志は小町を手に入れるため。

 川崎は弟のため(自分のためでもあった)。

 雪ノ下は己の欲望のため。


 俺と関わってくる人間は皆、目的があった。


 だが、この女は分からない。

 最初は雪ノ下を苛めるためかと思ったが、今回の件に雪ノ下は全く関わりがない。

 俺が目的にしてはずいぶんと回りくどい。



陽乃『やだなー♪ そんなの決まってるじゃない♪』


 そして、ラスボスはラスボスらしく、誰にも理解できない超理論を展開する。





陽乃『八幡君を不幸のどん底に叩きこんでぶっ壊したいからだよー』




 気付いたら、俺はスマホを落としていた。

 ラスボスは、やはり、ラスボスだった。




 家に帰ると、俺も小町も玄関に座り込んだ。


 ダメだ。一歩も動けそうにない。


小町「……えぐっ、ひっく」ギューッ


 泣きじゃくる小町をなだめながら、俺は無理やり脳に思考させる。


 雪ノ下陽乃は俺を壊すことが目的である。

 ならば、それはもう95%完成しているじゃないか。

 後は自身の手で積み上げた土台を崩すだけ。



 ――なのに、なぜそれをしない?



 俺には分からない。


八幡「何がしたいんだ……」


陽乃「んー? だから言ったじゃん。



 君をぶっ壊したいって」ガッ



八幡「え……ぐっ!?」ドサッ



 後頭部に強い衝撃が走る。

 踏まれた? 誰に?


陽乃「久しぶりだねー八幡君♪」グリグリ


 容赦のない力。


八幡「ぐっ、あ!?」バッ


 無理やり横に避けるも、続けざまに―――強烈な痛みが顔面を襲った。


小町「ハチ君!!?」

陽乃「いやー、蹴られるのって痛いんだよねー知ってる知ってる♪」


 鼻で息ができない。血が噴き出している。

 ラスボスは居城で勇者が来るのを待っていろよ!!


陽乃「八幡君が恋しくて来ちゃった♪」


 



陽乃「いやー、ほんと君は最高だねー♪」ゴスッ


八幡「ぐっ、あっ!?」


 執拗に顔を蹴られる。

 おそらく折れているであろう鼻に何度も何度も痛みが重なる。


八幡「……や、やめ…」

陽乃「え、なになに?」


 ……あほか比企谷八幡。


八幡「くっ」グイッ

陽乃「きゃっ♪」ドサッ


八幡「………っ!」ゴスッ


陽乃「ぐふぁっ!?」ゴホッ


 容赦するな。

 こいつはそういうことをして勝てる相手じゃない。


八幡「………っ!」ギリッ


 乳首も引きちぎれ。


陽乃「ぁんっ♪///」ビクンッ


 容赦なく犯せ。


 ――ビリッ!


陽乃「ぁああんっ、小町ちゃんの前でセックスするのぉ!?」ハァハァ

小町「………」カタカタ

八幡「うるせぇ、お前に主導権はねーよ」グイッ


 尻の穴に容赦なく指を突っ込む。


陽乃「はぁんっ!?」ビクッ


 全身が硬直する陽乃。

 俺は自身の闇を余すことなく解放して、目の前の女を蹂躙することに集中した。



陽乃「ひっ/// ぐっ/// ぁんっ!!」


八幡「………」ハァハァ


 何度も何度も突き上げる。

 前も後ろも、口も鼻も、全てを犯し尽くす。

 だが、攻めれば攻めるほど、俺は狼狽していく。



 なんだこれ?



 今までは、身体を重ねれば相手の気持ちが視えて来た。

 

 だが、目の前でよがり狂う女のことが“何一つ見えてこない”。


陽乃「な、中に出してぇ(はぁと)」ギューッ


 まるで“普通の女”のように抱きついてくる陽乃。

 それでも、俺は全身にナイフを突き付けられたような緊張感に襲われていた。


八幡(どうする……どうすれば解決するんだ…?)


 分からない。

 そんな俺の葛藤に気付いたのか、陽乃は満面の笑みで、




陽乃「そんなに苦しんでどうしたのかな?



 大丈夫だよ、“誰も犯したり壊したりしないから”」



 全身が粟立つ。

 と、同時に、俺は陽乃の中に欲望をぶちまけた。

 ……いや、“搾り取られた”。


 血だらけの玄関で、血だらけの二人。


 ラスボスとの戦いは、壮絶な幕開けとなった。




陽乃「いやー、楽しかったよー♪」


 うなだれる俺達をしり目にボロボロの服のまま陽乃は笑った。


陽乃「ああ、その怪我の治療費、雪乃ちゃんに請求しておいてね。すぐ支払うから」


 まるで、デートでもした後のような爽快感。

 なんなんだよこいつ。


八幡「これで終わり……って訳じゃねぇんだろ」


陽乃「にゃはー♪ どうだろうねー」


 くっ、どこまでも人の事を馬鹿にする。


陽乃「ああ、でも安心して、


 “私が直接手を下すことはもうない”から」


八幡「……どういう意味だ」


陽乃「私はね、手に入る物に興味はないの」


 そして、少しさみしそうに口を開く。


陽乃「だから、あなたを屈服させる手は使いたくないの。あなたになら分かるでしょ?」


 ……散々言ってきたことだからな。

 俺は無言のまま頷く。


陽乃「ねー♪ だからね、壊すことにしたの」


 無邪気な笑みで破壊を楽しむ魔王。





陽乃「勇者を殺すのは民衆。昔っから決まってるでしょ?」ニコッ





 俺とこの人は似ている。

 だが、その形は、彼女の心は、歪すぎて全く理解できなかった。



 陽乃が家から出て行き、静寂だけが残った。



 俺は小町を抱きしめて、自分が震えているのに初めて気づく。

 ただただあの女が、怖かったのだ。

ここから最終章になるので、少し休憩します!

ちょっとテンション下がる展開すぎたので、もしかしたら番外編入れるかも!では!



☆メイン(順番に意味はない)☆

◆主人公◆

・嗜虐心に目覚めた八幡

◆変態女性たち◆

・マゾヒスト(仮)雪乃

・純情結衣

・良妻優美子

・暗躍平塚

・一途小町

・バイ姫菜

・鶴見帝国

・あざとい(下手)川崎

・ラスボス最強暗黒神陽乃(体内に勇者の種を吸収)

◇ホモ達◇

・葉山

・戸塚

☆その他☆

・ストーカー大志

・下僕有香達

・スーパーハカー材木座


■今後控えているメンバーたち■

・鬼畜相模(予定)

・めぐり(変更)


ちょっと、番外編入れようかね。

次のレスの下一桁(上から順に)がメイン


適当にレス頼むべ! エロエロだべ!

なんかもう俺にとってこのssが一日の楽しみになって気がするよww

>>516 あざます!

八幡を入れるとあーし様だし、入れないと平塚先生だな。


それじゃ、ちょっと考えて、続きいきますー。



 二学期もしばらく平穏に過ごし、鼻の痛みも消えて来た頃、ご奉仕部で雪ノ下は申し訳なさそうに言った。


雪乃「本当にごめんなさい比企谷君。私が代わりに蹴られていれば……」

八幡「それ蹴られたいだけだろ」

雪乃「そんなことないわ。……でも安心して、姉さんは海外に行ったから」

八幡「えっ?」

雪乃「……安心はできないかも。これを聞いたら」


 と、雪乃はスマホをいじると、録音を再生した。


陽乃『やっほー、陽乃だよ♪ あなたは私がいたら不安で実力を発揮できないと思うから、私は海外に行きます。だから安心して八幡無双しちゃってよ! それに、ウチの会社も一切関与しないから』


 やっぱり今まで関与してたのかよ。


雪乃「あの姉さんがあっさり引く訳ないから、自分に代わる何かを用意しているはず……」

八幡「考えたくもねーよ」


 あれからずっと小町は一人で眠れねーんだ。

 まぁ、怯える小町を抱き枕に寝るのは男冥利に尽きるが。


雪乃「私としても、あなたがいなくなるのは辛いから一生懸命ご奉仕するわ」ギュッ


 ギュッ、じゃねーだろ。


八幡「そりゃあお前の快楽のためだろ。ご奉仕とは言わない」

雪乃「あら、時代は変わるのよ」

八幡「うるせーよ」チュプッ

雪乃「んっ///」ビクッ


 ……また、履いてないのか。


※平塚てんてーは最終章で存分に出番があるのであーし様にします!



三浦「………」モジモジ

八幡「え、ど、どど、どうしたそれ?」


 天下御免の金髪頭。泣く子も黙る内ロール。



 そんな三浦優美子の特徴がきれいさっぱりなくなっていたのである。



三浦「……か、可愛い?」モジモジ


 黒髪ストレートの三浦は、どこかコスプレのような雰囲気で、俺は思わず、


八幡「ニチケイトのコスプレかな?」


 と、オタク全開の発言をしてしまったのである。綺羅星!


三浦「は? よくわかんねーけど感想聞いてるし!」

八幡「………」


 もちろん、可愛い。

 前の煌びやかな三浦も好きだが、こう言った正統派ヒロイン三浦も悪くない。


 俺はグイと抱き寄せると、首筋を舐める。


 つーっと舌が首筋を這い、三浦は快感に耐えかね俺に抱きつく。



八幡「これが答え///」プイッ


三浦「ずりーしっ///」プクーッ



 やばい可愛いエッチしたい。




 三浦は俺の部屋へ直行したいと言った。

 まぁ最近一緒にいる時間もなかったから、寂しかったんだろう。

 俺はいつもよりゆっくりと回り道をしながら帰っていると殴られた。


 部屋に入った瞬間、俺は三浦の重みを全身で感じた。


三浦「ハチっ!」ギュー///


 え、なに? 俺をハチって呼ぶの流行ってんの?

 俺忠犬にはなれないけど? どっちかというと裏切り犬だけど?


三浦「あーし可愛い? ねぇあーし可愛い?」グリグリ


 頭を押し付けてくる三浦。

 俺は胸を揉みながら「あー可愛い可愛い」と言ったら殴られた。

 今日の三浦は暴力的だ。


八幡「それで、どうして黒髪にしたんだ?」

三浦「……八幡って雪ノ下のこと好きじゃん?」


 は?

 こいつ何言ってんの?


八幡「お、おおお、俺がいつ、いつそんなこととと」


 あれ?

 まともに答えられない。




 俺、雪ノ下雪乃のこと、好きだったの?





 



三浦「昔のあーしなら雪ノ下に嫉妬して、敵視して、ハチに怒ったと思う」


 まぁ、女帝三浦ならそうだろうな。


三浦「でも、そんなことハチが求めてないこと分かってる。ハチにねだっても振り向いてはくれないって」

八幡「………」



三浦「だから、あんた好みの女になることにした!」



 そう語る三浦の目には、迷いが一切なかった。

 正直、良い女過ぎて困る。……困る。



三浦「でも、雪ノ下の中身なんてわかんねーし、だから見た目からって……」

八幡「それで黒髪に」

三浦「……なのにハチってばあんまり嬉しそうじゃないし」シュン…


 そりゃそうだろ。


八幡「だって、俺、



 前の髪形のお前に興奮して毎日抜いてたもん」



 もちろん、半分以上は嘘だが、それでも三浦は顔を真っ赤にして、



三浦「ま、マジ?」プルプル///



 相変わらず三浦は可愛い。

 そして、いつも通り変態行為が始まる。



八幡「布団はマーキングしただろ?」

三浦「マーキング言うなし!」

八幡「そうだな、次は……!」


 俺は、思いつく。

 ただ恥ずかしいだけじゃダメだ。

 本人がやるかやらないかで葛藤してしまうような行為を与えないと。



八幡「家庭教師プレイだな」



三浦「な、何それっ///」プイッ



 まぁまぁそんなに喜ぶな三浦。



 そして、家庭教師(おしっこ)プレイが始まる。


 



三浦「ハチ「先生」


 勉強机の椅子に三浦を座らせ、俺はエロ本を読ませる。もちろん、ダッシュで買いに行った『黒ギャル100選』である。

 後ろから見ると、背中まで伸びた黒い髪が処女性を引き立てる。


三浦「せ、先生///」モジモジ


八幡「ん? どうした?」


三浦「こ、この子とかエロいと思います///」ユビサシ


 そのギャルは、いわゆるM字開脚で性器を広げている。秘部の毛は剃っており、でもそれに気づかないくらい肌が綺麗だった。


八幡「ふーん、じゃあ、その格好をしてみるか」グイッ

三浦「へっ!? きゃっ///」


 俺は三浦を抱きかかえると、ベッド上に連れて行く。

 そして、少し粗っぽくパンツを剥ぎ取ると、三浦にM字開脚するように命じる。


三浦「………///」モジモジ


 アヒル座りでこっちを見上げる三浦。

 良い。すごく良い。

 俺の下半身が勃起していることに気付いた三浦は、少しばかり嬉しそうな顔をして、そのまま中腰になり、そしてM字開脚をした。


 三浦は秘部の周りの毛は少しばかり残している。

 俺は下からのぞき込むと、影であまり見えなかったので命令した。


八幡「そのままスカートをあげて」


 三浦は恥ずかしそうにゆっくりとスカートをたくしあげる。

 ピンク色の、卑猥な部分が露わになった。




 もちろん俺は、フル勃起していた。




  



三浦「こ、このままおしっこするん?」プルプル


 まぁそれも悪くない。


八幡「は? 何言ってんの? 部屋でおしっことか変態なの?」


 俺の冷静なツッコミに三浦は顔を真っ赤にしながら枕を投げつけた。


三浦「バカっ/// 死ねっ///」ハァハァ

八幡「おい、教師にそんな口を聞くなんてお前、……罰が必要だな」

三浦「……うっ///」プイッ


 そんなこと知ったことか、とそっぽを向く三浦。

 だが、俺の方がそんなこと知ったことか。


八幡「パンツ履いて」

三浦「……ん」イソイソ


 パンツを履くとは思わなかったのだろう、意外そうな顔をする三浦。


 もう一度椅子に戻り、性の授業を再開する。


三浦「……ぇ、こんな格好もするん?///」


 ペラペラと雑誌をめくる三浦。ギャルが黒ギャルのエロ本を読む。……うん、悪くない。

 俺は、三浦の背後に立ち、耳元で囁いた。




八幡「おしっこの時間だよ」




 三浦は、小さくコクリと頷き、そして、プルプルと震え始めた。


 やっぱり期待してたのか、こいつ。





三浦「………んっ…」ピクッ


 どうやらそろそろ出るみたいだ。

 すかさず俺は三浦の胸を揉みしだいた。


三浦「ぁんっ!?」ビクッ///


 突然のことに驚く三浦。

 乱暴にブラジャーをずらし、小さくて可愛い突起物を優しく撫でる。


三浦「は、ハチぃ/// そんなんしたらできないよぉ///」ハァハァ


 おしっこしたい衝動と、性的なことをしたい衝動。

 さらに首筋を舐めて興奮を誘う。


三浦「んっ/// ら、めっ///」ビクッ


 どうすれば良いか分からず、ただただ俺に身を委ねる三浦。

 すかさず俺は耳元で囁く。


八幡「どうした? 教師に言われたこともできないなんて、悪い生徒だな」ボソッ

三浦「んっな……こと言われ…んっ/// たってぇ…///」モジモジ


 仕方ないな、と俺は少し離れる。

 三浦はどうすればいいか迷った挙句、机の上に肘を置いて、ぎゅっと身体に力を入れた。



三浦「……ふぁぁ///」プルプル



 スカートとパンツで確かめることはできないが、


 その顔だけで俺は射精できそうだった。



 



 三浦が避けると、そこには色の濃くなった椅子が残った。


三浦「見ちゃダメだし!!」バッ///


 俺に抱きついて、視界を外そうとする三浦。

 びちゃり、と三浦の濡れたスカートが俺の身体に張り付く。


三浦「あ……」カァ///


 しまった、と顔を真っ赤にする三浦だが、俺はそのまま三浦を抱きかかえベッドに押し倒した。


八幡「優美子、可愛いよ」チュッ


三浦「……変態のくせに…どうしてそんな可愛いんだよぉ///」


 おいおい、今こいつなんて言った?


八幡「か、可愛い?」


 クレオパトラもびっくりだよ。


三浦「うん、ハチは可愛い。それがあーしがハチのことが大好きな理由だよ」


 なんか恥ずかしい。

 恥ずかしいが……嬉しかった。



 その日はとうとう小町も参加しての三人プレイだったが、割愛する。




 



 文化祭が目と鼻の先に近づいたある日、俺は見知らぬ男子生徒から声をかけられた。


生徒「八股先輩! 尊敬してるっす!」


 ……は?


八幡「えっと、なんだその伝説の武器みたいな名前は……」


 八股ってオロチかなんかか?


生徒「何言ってんすかー、同時に八人も攻略するなんてすげーっすね」


 八人……八人?


八幡「おいおい、俺は一人たりとも付き合ってねーよ」


生徒「え、マジすか? ならなおのことすげー!」


 よく分からない。

 よく分からないが……悪寒がした。



 そして、そういう時ほど予感は当たるのである。




 






 最終章 そして彼は伝説となる(喜劇)






 最終章にいきたいんですが、二時間ほど用事ができたので、離れます!

 いちおう“はちまた”先輩と噂されてます!

 “やまた”先輩と呼んでくれても良いです!


 めぐり先輩の扱いについて悩む……では!


はー、やっぱあーしさんはええわあ

いろはすは出ないの?
まぁそれは置いといて(((ノ´ー`)ノ
NTRはないよね?

ゆいゆいの出番が少ない気がします。

最終章…だと?
ば、ばかな!このssは3スレくらい行くと思ってたのに!

>>533 僕も三浦優美子ちゃん!

>>534 >>1がアニメのみなのでいろはすさんがわからねーっす。NTR展開……>>1はすっきりが好きなので(意味深)

>>536 すみません。次はもっと出します。

>>537 今までやった安価スレ5スレ分くらいの体力を使いました。



では、続きー


 カラオケルーム。

 それは不思議な空間。

 教室以上に密室度が高く、教室以上に密着度が高い。


 最近では一人カラオケなどというぼっち御用達の制度があるらしいが、俺が向かったのはどちらかというと大き目の部屋。


 ゆっくり開けると、最近流行りの女性の曲が流れていた。

 うん、可愛い声だ。歌ってるのは誰だ?



結衣「きゃっ、ヒッキー!?」キィィィンッ



 マイクを握った由比ヶ浜が驚きの声をあげる。

 ハウリングも混ざって超音波並みの衝撃が耳に響いた。



八幡「お、音量下げろ!」



 俺は一番手前にいた三浦に命令する。

 三浦が音量を下げると、俺は全員を一瞥した。


 三浦優美子

 由比ヶ浜結衣

 平塚静

 鶴見留美

 雪ノ下雪乃

 海老名姫菜

 川崎沙希

 そして、比企谷小町。


 いわゆる今巷で噂になっている比企谷八股の毒牙にかかった女たちが、ここに集まっていたのである。



 うん、ちょっと臭いことは黙っておこう。




 


結衣「あ、次平塚先生だよー」

平塚「うむ、そうか」

小町「静ちゃんの歌誰も知らないからなー」

平塚「それは喧嘩を売ってるのか?」

鶴見「……ごめんなさい」シュン

雪乃「先生、小学生の女の子の気持ちも考えてあげてください」

平塚「す、すまん……」

川崎「ていうか、もう始めたら良いんじゃない?」

三浦「そだなー、で、ハチはどこに座るの?」



八幡「えっ?」



八人「………」ジーッ


 おいおい、これは究極のロシアンルーレットじゃねぇか。

 どこに座っても爆弾。

 どこに座っても罰ゲーム。



 散々迷った俺は、




八幡「ここに立ってるわ」




 全員がため息を吐いた。




平塚「まぁいい。本題に入ろう」


 平塚先生の言葉で全員が頷く。

 何これエヴァの偉い人の集まり?


平塚「君たちの中には聞いたことがあるだろう。“八股大明神”というそこの女たらしのあだ名を」


 え、何それ進化してない?


雪乃「ご主人様にふさわしいあだ名だわ」

結衣「えっ、雪ノ下さんご主人様って呼んでるの!?」ハワワ///

三浦「結衣ー、何で顔赤くなってるし」ニシシ

結衣「え、あ、ち、違うよっ!」オロオロ

鶴見「私は鶴見国王って呼ばれてるよっ」

川崎「へー、カッコ良いじゃん」

鶴見「えへへ///」


 話が進まない。

 女は三人でかしましいのに、ここには八人いる。

 どう考えても非効率な会議だった。



平塚「この際、彼が犯した罪に関しては目をつぶろう」

八幡「え、俺犯罪者だったの?」

平塚「こんな小学生に手を出して……」

鶴見「私は八幡の彼女だもん!」

八幡「えっ?」

平塚「うむ、なら良い」

三浦「ハ~チ~? あんた彼女は造らないって言ったっしょ~?」ゴゴゴゴゴ

八幡「ご、誤解だっ」

川崎「えっ、あたしと付き合ってるじゃん(棒)」

三浦「んぁ!?」ギロッ

八幡「うわー、今すぐ死にてー」


小町「皆落ち着いてよ!!」バンッ


 小町の叫びと共に、場が静まりかえった。


小町「こんなんじゃ……あの人の思惑通りだよ…」カタカタ


 小町は知っている。

 今回の事件も、あの人が関わっていることを。

 俺は知っている。


 雪ノ下陽乃は、ラスボスは、



 “勇者の近くに切り札を投下した”ことを。





平塚「……すまん、話を戻そう」


 と、平塚先生は外面モードで話を始めた。


平塚「今回の噂の問題点は三つ、


なぜ“こんなにも早く”、


なぜ“こんなにも正確に”、


なぜ“こんなにも広範囲に広まった”のかということだ」



 そう、これは明らかに人為的だ。

 もちろん、それの理由に“雪ノ下陽乃”を出せば話は終わる。

 だが、それは間接的であり、“実行犯”がいるはずなのである。



三浦「あーしの学校外の友人はそんな噂聞いたことないし、やっぱ学校内の人間が犯人ぽくね?」

雪乃「そうね。八股君のことなんて学校外の人間が噂しても何の得もないものね」

八幡「さりげに八股君言うなし……」

小町「正確さ、という点はおそらく



 お兄ちゃんがどこかのタイミングでボロを出したんだと思います」



 おいおい、信頼ないな。

 ゴミィちゃんはそんな簡単に……ボロ出しまくりだわ。



平塚「まぁしかし、今回はその件を解決するために呼んだ訳じゃない」

雪乃「………」




平塚「当分の間、比企谷と接触することを禁止する」




 全員、納得いかないながらも、頷いた。


 八股同盟が結成した瞬間である。



 



 その後、最後だということで、全員とキスさせられた俺は(あれ? なんで由比ヶ浜まで?)、一人で街を歩いていた。


 今回の件、あのラスボスが関わっていて、果たして俺に勝てるのだろうか。


 あの人とセックスをした時に気付いた。


“あれは自分以外の全ての痛みを気にしない”人間だ。


 気にしないと理解できないは別物で、あの人は俺以上に他人を理解している。

 雪ノ下が姉を追いかけてああいう人間性を得たこと、

 大志がストーカー気質であったこと、

 俺がどの程度まで怒らせれば、ああいう行動に出るかということ。



 怖い。



 あの人は人間の姿をした化物だ。

 他人の痛みを、弱みを糧に生きる、サキュバスのような存在だ。


 そんな風に考え込んでいると、目の前に現れたのは、



葉山「八幡……」



 正直、無視しようかと思いました。




 葉山の誘いに乗って、ほいほい丘の上の公園まで突いていった……いやついて行った俺。

 もちろん、葉山に貞操を奪われないように雪ノ下を苛める用のスタンガンは用意してある。


葉山「……大変そうだね」

八幡「おかげさまでな」

葉山「僕も君の気持ちが分かるよ」


 モテるからか。ふざけんなし。俺は誰ひとりとも付き合っちゃいねーよ。

 と、心の中で悪態をついていると、葉山は震えながら言った。


葉山「僕も……あの人の怖さは知っている」


 え?


葉山「雪ノ下陽乃の……彼女の恐ろしさを…」カタカタ


 そして、俺は葉山がゲイになった過程を聞くこととなる。




 葉山の親は雪ノ下の父親の会社の顧問弁護士をしているらしく、彼自身遊び相手として雪ノ下姉妹に何度も遊ばれたらしい。


 何度も……遊ばれた。


 その言葉の重みは俺が良く知っている。


葉山「ふ、ふふ……女の子なんてね、実際汚いものさ。雪ノ下陽乃が女性の頂点なら、僕は女性そのものを拒絶してみせる」カタカタ


 トラウマを思い出したのか支離滅裂な言動を始めた葉山に蹴りを一発食らわせ、正気を取り戻させると、俺は尋ねた。


八幡「今回の噂はお前が?」


 と、聞くと、葉山は今まで見せたことない怒りの表情で否定した。


葉山「ふざけないでくれ!」


 怒りの表情もイケメンだから困る。


葉山「僕は、彼女に便乗して君を手に入れようなんて汚い人間じゃない!」


 いや、まてそれ十分問題発言だから。


葉山「僕はまっすぐ正面から君を手に入れて見せる!!」



 夕日に当てられてキラキラと輝く葉山隼人。

 俺はその青春真っ盛りの生き生きとした表情を見て、うわぁ殴りてぇと思ったが、喜ばれても面倒なのでやめておいた。



 最後に葉山は言った。



葉山「今回の件、僕の方でも動いてみるよ」



 まぁ、勝手に動くなら構わんが、借りを作ったとは思わんからな。

 そう言うと葉山は爽やかな笑顔で、



葉山「一度くらい、恋人繋ぎしてくれてもいいだろ」ニコッ



 ……本当にイケメンだから困る。……困る。




 翌日から、俺は誰とも喋らず、触れず、真っすぐ帰宅した。

 相変わらず八股拝見ツアーはあったが、そろそろ全員見終わったのか、以前ほどの頻度ではなかった。



 昼休み、俺は一人で屋上へ行くと、後ろから、



相模「ねぇ比企谷君、一緒についていっても良い?」



 と、えーっと、誰だっけ……クラスメイトが話しかけて来た。

 俺は、さびしかったのだろうか、それとも警戒したのだろうか、彼女の申し出を了承した。



 屋上に上がると、強い風が吹いた。彼女の短いスカートが棚引き、そして可愛いピンクのパンツが見えた。



相模「……比企谷君のエッチ///」



 なんか逆に新鮮だった。

 彼女の名前は相模というらしい、短髪で劣化三浦といったところか。

 それから数日、相模との昼食は続いた。


相模「比企谷君がモテるの分かるわー」


 と、誉めてくるので、


八幡「は? 相模の方がモテるだろ」


 と切り返すと、嫌み言うなし、と俺に向けてベーと舌をだして笑った。


 可愛いな、そう思った。



 ある日、相模が文化祭実行委員になってくれないかと切りだしてきた。

 俺は面倒だから嫌だと答えたが、進路のためにやりたい相模は不安だから一緒にやってくれと何度も頼んでくるので、ついに了承した。


 そして、文化祭実行委員になって初めての会議が始まった。



めぐり「えーっと、誰か委員長に……」


相模「はいっ、ウチやります!」


 は?

 こいつどこまでアクティブなの?

 そんなにまでして指定公推薦受けたいの?


 他にやる奴もいなかったので、相模はすぐに実行委員長となった。


 めぐり先輩の推薦で、なぜか実行委員に参加していた雪ノ下が副委員長となり、今年の文化祭は幕を開く。





 ―――悪魔の文化祭が、幕を開く。





 



 実際、相模は文化祭実行委員長としてよくやっていた。


 慣れないながらも、雪ノ下と一緒に案件を捌く日々。


 俺も庶務として日々デスクワークに追われ、クラスの出し物がお化け屋敷に決まったことも後から聞いたほどだった。


 ある日、いつものように相模と昼食をとっていると、彼女は照れくさそうにお礼を言った。



相模「ありがとう比企谷君。ウチ、一人じゃ絶対にここまでできなかった」



 はにかむ相模。

 なんだ、推薦だなんだと言いながら、普通に青春しているだけか。

 そう安堵すると、相模は俺の膝の上に手を当て、そして、



相模「だから、これは……お礼」チュッ



 と、唇を重ねた。

 今までとは違う、青春の味だった。






相模「ちょ/// マジ聞いてねーし/// どんだけキス上手いん!?」カァ///


 しまった。

 つい調子に乗ってキスだけでこいつをイカせてしまった。

 まぁめちゃくちゃ可愛かったけど。


八幡「いや……別に、さくらんぼで練習とかしてねーし」


 と言うと、相模は笑いながら、


相模「んじゃ、サクランボでちょうちょ結び作る感じでベロチューして」


 と、唇を重ねて来た。



 もう一回イカせると、ちょっと強めにお腹を殴られた。



 なんだ……この青春…。

 



 文化祭の作業も七割が終了し、実行委員の人達も終わりが見えて安心していた頃、噂がもう消えたと判断した平塚が、また皆を呼びだした。


 今度もカラオケルームで、一応別々に入り全員が集まった所で話は始まった。


平塚「そろそろ、交代で比企谷パワーを補給する頃だと思う」


 一同が頷く。なんだ比企谷パワーって。


三浦「あーしもう我慢できないし!」

鶴見「私も!」

結衣「わ、私は別に……」モゴモゴ

雪乃「私はご主人様と毎日作業できているから問題ないわ」

川崎「それ、委員会が一緒ってだけじゃん……」

小町「小町は毎晩一緒に寝てるけどね」エヘヘ

海老名「は、八幡君と一緒に……ぶはっ!?」///



 なぜだか嬉しかった。

 皆の笑顔が見ることができたからだろうか。

 俺は、マイクを手にとって、



八幡「えー、皆さまよろしいですか」



 と、よく頑張ったなと労おうとした瞬間、



――バァンッ!



 勢いよく扉が開いて入ってきたのは、



相模「………」ニヤニヤ



 相模と、二人の女子生徒だった。




八幡「相模……?」


相模「いやー、やーっと尻尾掴んだよー。最近全然動きなくて困っちゃってたんだー」


 意味が分からない。

 尻尾? 動き?

 こいつは俺と一緒に昼食を食って、委員会に出て、少し青春して……それだけだったはず。


相模「ねぇ、比企谷、これ知ってる?」


 と、机の上に出した一枚の写真。



八幡「なっ!?」



 それは、俺が小町以外に欲望をぶちまけた最初の行為。




 平塚静を校舎裏で襲っている写真だった。




平塚「………」

相模「ふふっ、意外そうな顔だねー。もしかして、八股の噂とか最近のことだと思ってた?」キャハハ



 相模は本当に嬉しそうに笑いながら、ネタばらしを始めた。



 



 元々は、この写真で俺と平塚先生を脅すつもりでいたらしい。


相模「けどー、これだけじゃ証拠になんないしー、逃げられたらつまんないじゃん?」


 相模は続ける。俺にはその顔が、悪魔に見えた。


相模「だから、しばらくの間は比企谷のこと見張ってたんだけどー、次優美子にも手を出してるし」アハハ


三浦「相模ぃ……」ギリッ


相模「あ? そんな立場にあると思ってんの?」


――バシャッ。


三浦「………」ポチャポチャ

雪乃「………」ガタッ

八幡「雪ノ下、落ち着け」

雪乃「………」ハァハァ///

八幡(本当に落ち着け)



相模「それでぇ、ウチ考えたんだぁ。こいつを使って面白い事できないかって」



 そして、悪魔は俺に近づいた。

 狡猾に、人間の皮をかぶって。



相模「比企谷ってば案外すぐに心を開いてくれたね。なんでだろーねー」ニヤニヤ



 一生の不覚だ。



相模「それは、アンタ達女子がこいつを堕落させたお・か・げ♪」ギャハハッ



 女子達の顔に怒りが見えた。

 だが、俺は視線で抑える。

 こいつの目的が分からない以上、動く訳にはいかない。



相模「本当は文化祭の準備が五割くらいできた段階で会いたかったんだけど、今まで尻尾を見せなかったから不安になってたよー。ま、全員集まったのは好都合だけど」


 何が言いたい。

 相模は陽乃ほど破天荒な人間ではない。

 目的は手に届く範囲。心じゃない、実物のはずだ。


 なんだ?


相模「さぁ、取引しましょう比企谷君」


 そして、相模は笑いながら、





相模「アンタ達にやってもらうのは風俗モドキ」





 俺達の心にナイフを突き立てた。





相模「その名も、



 “手コ喫茶”よ」




 俺の手からこぼれたマイクが地面にぶつかり、不快な音が部屋を駆け巡った。

 



 てこきっさ。


 たぶん、普通の人が聞いても良く分からないと思う。

 事実、俺でさえ何度か脳内でリプレイして、気付いた。



 テコキする喫茶。



 つまり、手で男性の性器をしごく喫茶店ということだ。


女性達「………」キョトン



 いや、そうだろうな。



雪乃「そそ、そんなの、ダメよ、悪いわ、よし、私一人でやりますやらせ――」

八幡「頼む、黙っててくれ雪ノ下」



 一人例外がいたか。



相模「拒否権なんて無いわよ。まぁ、安心して。顔は相手にばれないし、手もちゃんとゴム手袋するから」



 ケタケタと笑いながら、説明を続ける相模。


 どうやら、クラスの出し物がお化け屋敷だったのも計画の一つだったらしい。


 暗闇のお化け屋敷、その一角に少しだけスペースを作る。


 そこに、ここにいる女性を座らせ、訪れた客にテコキする。


 なるほど、最低だな。



平塚「そんなもの、私が許すとでも――」

相模「もし平塚先生がこの件で動けば、


 この写真と一緒に、脅されたって教育委員会に訴えますから」ニヤニヤ



 こいつは……すごいな。

 ここまで計画をして、それを実行する勇気と行動力。

 俺は正直感動していた。


 もちろん、俺の嫌いな葛藤の部類ではあるものの、この流れは一種の芸術的センスを感じる。


 相模南。

 彼女もラスボスの手前の階段からいける裏ボスにふさわしい存在だった。



 相模達が帰った後、俺達は誰も喋ることができなかった。


 訪れる男の性器をしごき、射精を促し、お金を貰う。


 それは、女子生徒にとって、青春の三年間を汚す最も下劣な行為。


 誰ひとりとして、そんなものしたくはない(変態は除く)。



八幡「……くそっ」



 俺は強く後悔した。

 なぜあんなにも簡単に人を信じたのか。

 なぜあんなにも無防備に懐へ入れたのか。



 なぜあんなにも……可愛いと思ってしまったのか。



 その日は、そのまま解散となった。




 文化祭もいよいよ前日に控えた夜。


 俺達は学校に泊まり込みで作業に追われていた。


 なぜなら、“手コ喫茶”のブースはこの時しか作れないから。



雪乃「もっと、こうしましょう」



 なぜかやる気満々な雪ノ下は放っておいて、俺は由比ヶ浜に謝罪した。

 こいつは俺と最も関わりのない人間。

 まだ男を知らないと言っても過言じゃないくらいの純粋な女の子。


結衣「……ちょっとだけ、外に来てもらっても良い?」


 俺は頷き、中庭へと出る。


結衣「あのね、入学式の事覚えてる?」


 俺は、首を横に振った。


 なぜなら俺は、その当日、車にひかれて病院に搬送されていたからだ。




結衣「あの時、助けてくれた犬。……私の犬だったんだ」


 なんという偶然。

 だけど、別にまぁ今更言うことではない。

 俺はお前の犬でもワイルドハーフでも助けたと思うよ。

 そう告げると、由比ヶ浜は笑いながら、


結衣「でも、惚れるのにこれ以上の出来事ってないでしょ」


 と、言って、俺の方をジッと見つめた。




結衣「好きです。比企谷君」




 俺は、心臓を掴まれたように鼓動が速くなり、にやける顔を必死に抑えながら、頷いた。




結衣「えへへ、言っちゃった///」モジモジ




 とても可愛かった。

 可愛かったからこそ……悔んだ。


 時刻は、夜中の三時を過ぎようとしていた。



 



 由比ヶ浜に告白されて頭がいっぱいになった俺を空き教室に連れ込んだのは、海老名姫菜だった。


八幡「え、えっと、何?」


海老名「あのねー八幡。私になんか言うことないのかな? かな?」


 どこのヤンデレさんですか?


八幡「な、なんかあったっけ……」




海老名「私も八股の一人なのに、全然デートとかしてないんですけどっ!」ハァハァ///




 そして、海老名は俺に抱きついた。


海老名「八幡、好き! 大好き!!」

八幡「お、おい……お前、雪ノ下のことが…」

海老名「うん、好きだよ。だから八幡を手に入れれば必然的に雪乃ちゃんも手に入るじゃん」ハァハァ///


 さすが海老名。狡猾だった。


海老名「処女の私にとってやっぱ辛いけど、これも経験だね。頑張るよ」ニコッ


 俺は……何をしているんだ。

 彼女たちを巻き込んだのは紛れもなく俺だ。


 その俺が、何一つ傷つかず、彼女たちにしりぬぐいをさせる。


八幡「……バカ、だよなぁ」


 しかし、今回ばかりは解決策が見つからなかった。


 



 教室の手前で、平塚先生が俺を拉致した。


 そして、屋上へと連行された俺は、平塚先生の熱いキスを受け止め、しばし淫らな時間を過ごす。


平塚「はぁはぁ/// んっ、はぁっ、ちゅっ///」


 平塚静の口内にタバコ臭さは全くない。

 あるのは青春の甘酸っぱい、それでいて病みつきになる味。

 気付いたら俺の方から攻めて、そして、平塚静はペタンとへたりこんだ。


平塚「はぁはぁ……成長しすぎだろ…///」


 なんだか照れくさい。


平塚「比企谷……いや、八幡」


 わざわざ、名前を言い直した平塚先生を見て、俺は悟った。


 それは、覚悟。


 だが、それを認めるわけにはいかない。


八幡「ダメだ。それだけはダメだ」


 今回の件を収める最も有効な手段。

 それは、平塚静の辞任。


 罰せられる者がいなくなれば、まぁ小学生に手を出したことを咎められるにせよ、罪に問われる者は誰ひとりとしていない。

 しかし、それは言わば“敗北宣言”。


 
平塚「だが、私は決めたよ、比企谷八幡」



 そして、平塚静は俺の予想を上回る世界を見せる。









平塚「結婚しよう、八幡」








 一方、ラスボスの正当な駒である城廻めぐりは、混乱していた。


めぐり「あるぇ? なんで八幡君大変なことになってんのぉ?」オロオロ


 陽乃のプランでは、文化祭で雪ノ下雪乃を全裸にし、その原因に比企谷八幡を置くはずだったのだが。


めぐり「……ま、いっか」


 陽乃誤算は三つ。


 一つは、相模の存在。

 一つは、自身で状況を確認できなかったこと。


 そして、


めぐり「私は普通の女子高生だもんねぇ♪」ウフフ


 城廻めぐりが存外馬鹿だったということ。



 文化祭が、始まる。



 



 朝、寝不足でうとうとしている俺達を前に爽やかな笑顔で現れた悪魔。


相模「やっほー、元気にやってるー?」


八幡「おかげさまで、な」


 お前のせいで俺はこの二学期も雑用に告白に電話にカラオケに忙しかったんだぞ。

 という恨みの視線を送ったが、見事に無視された。


相模「ねぇ比企谷」グイッ


 俺の肩を掴み、引き寄せ、そして相模は囁く。


相模「彼女が蹂躙されてるの見て興奮したら、ウチが抜いてあげるからね」


 最低だ。

 だが、何故だか俺は、こいつに対して陽乃の時のような恐怖は感じなかった。

 
八幡「相模……お前、“何に怒ってるんだ”?」


 その瞬間、相模の顔は真っ赤になり、俺の頬を思い切り打った。

 俺は、頬の痛みを感じながら、



 この文化祭の勝利を確信した。



 



 完成版手コ喫茶のシステムはこうだ。


 まず、男子生徒は立ち小便をするように、穴のあいた壁の前に立つ。

 テコキをする女子は、その穴から手を出して、性器を掴み上下手を動かす。

 もちろんローション等で相手に痛みを与えないようにする。


 一回3000円。


 男子生徒の心をくすぐる、良心的な値段だ。


 実際、男子生徒の一部に広まったこの噂は、圧倒的な支持率を得ていた。

 なぜなら、八股先輩は現実にいるし、彼の下僕は彼に逆らえないらしいからだ。

 本当の八幡先輩はむしろ彼女たちの尻に敷かれているが、もう弁明の時間はない。



相模「ふぅん、案外良い出来ね。後、最初の数人はウチの知り合いだから、絶対に粗相のないようにお願いね」


 おいおい、こいつ知り合いに紹介って怖くねーのか?

 と、想像して、それが嘘だとすぐに気付く。

 相模なりの駆け引きなのだろう。

 だが、それが俺を冷静に、且つ狡猾にしていく。



 今の俺は言わば特攻隊員。



 玉砕覚悟の、最強兵士だ!



 ………玉砕必死だが。



めぐり「えっ、あなたが挨拶をするの!?」


 俺は、めぐり先輩に謝り倒し、相模の後に挨拶をする時間を頂けるように説得した。

 めぐり先輩はしばらく考え込み、そして、


めぐり「それじゃあ今度デートしてくれるなら良いよ」


 と、素っ頓狂なことを言いだしたので、とりあえず了承した。


 ……この後の展開を考えると少し足が震えた。


 だが、俺は俺の大切なものを守るために、自分を犠牲にすることもいとわない。



 そして、相模の当たり障りのないスピーチが終わった。



相模(これでいよいよ……あいつらの…)フフッ


めぐり「ここで、とある生徒から皆さんへ重大な発表があります!」


相模「えっ?」

相模(そんなの……聞いて…)

相模「なっ!?」



めぐり「比企谷八幡と平塚静先生です、拍手ーーーー!」



 うぉおおおお、という歓声が体育館に響き渡った。

 俺は不本意ながら拝見ツアーで有名人だし、平塚静は学校一の人気教師だ。



 そして、後に“総武八股伝説”と語られるスピーチ……いや、



 婚約発表会が、始まる。



相模「な、何よこれ……」


 会場は拍手喝さい、感動で溢れていた。

 なぜなら、八幡という人間はずっと苛められ、苦しみ、死を覚悟するような可愛そうな生徒であり、

 平塚静はそんな彼を二年間支え続けて来た女神のような存在(設定)だったから。


八幡『静の声、言葉、優しさ、僕は……まだ…っ…』


 わざとらしく言葉を詰まらせると、「頑張れー」と応援の声があがる。


八幡『まだ……生きても…良いんだって……そう思え、たんです』ポロポロ


 この頃には、当初ひっこめーと叫んでいたヤンキーも泣きながら「おめでどぉおお」と拍手を送っていた。



 そして、比企谷八幡と平塚静は、学校公認のカップルとなったのだ。



 もちろん、皆には事前に伝えている。

 何人かは納得しなかったが、卒業後に破棄すれば誰も覚えていないと説得した。

 二人ほど処女を奪うことで納得してもらった。何そのご褒美取引。




相模「う、うそよ……こんなの…」カタカタ


八幡「嘘じゃねーよ。相模」


 俺は、相模の腕を強引に掴む。


相模「きゃっ、や、やめろ!」


 ぐいぐいと引きはがそうとするが、俺は強く握って離さない。

 しばらくして、諦めた相模は、こちらを睨めつけながら言った。


相模「ふん、もうしなくていいんだから、よかったじゃない!」


 と、見当違いなことを言うので、俺は抱き寄せて耳元でささやく。


八幡「ただで終わると……思ってるのか?」


 青ざめる相模。




 手コ喫茶のオープンである。





 



相模「な、何で目隠しまで!?」


 手コ喫茶のブースへ連れて来た俺は、相模の視界を奪った。

 そして、説明を始める。


八幡「パワーアップさせたんだよ。だって、手だけじゃ男の可能性もあると思われたらまずいじゃん?」

相模「えっ……」

八幡「だから、キスもオッケーにした」

相模「い、いやっ、そんな知らない奴となんて……」


 俺は、ため息交じりに呟く。


八幡「誰だよ、知らない奴のちんぽをテコキさせようとした馬鹿は」

相模「だ、だからって」

八幡「やめるか? 良いんだぞ。俺達は」


 と、逃げ道を与える。


 雪ノ下陽乃、お前のようにはならない。


 俺は、相手を“縛らず”、“与えず”、“追い込まず”に葛藤させて見せる!



八幡「お前は責任も取れず、少女のように泣きじゃくりながら、“三浦”達に負けるんだ」

相模「………っ」ピクッ


 三浦、というワードで相模の顔がこわばる。
 

 相模南が怖くなかった理由。


 それは、彼女が“嫉妬”で動くただの“女”だったからである。



 



八幡「どうする? 三浦は別に好きにしたらいいと言っていたが」

相模「………」プルプル

八幡「俺も同意見だ。お前は“ただの女”だし、無理する必要はない」

相模「……ウチは…」



 ――やる。



 目隠しをしたまま、箱の中に入る相模。


 そして、一人目の客が……入った。





 見えない。

 怖い。

 本当にウチ、男の人のあそこを触るの?

 まだ誰のも見たことないのに?

 好きな人の触る前に、こんな汚れるの?



『おねがいしまーす』



 ボイスチェンジャーで、声を分からなくした。

 その方が、おっさんの可能性があった方が、怖いと思ったウチのバカ。


 でも、やらなきゃウチの負け。


 それに怒った人が訴えたら……。


「い、いきます……」ヌチャッ


 最初だし、よく分からないから多めにローションを使おう。


 べちゃり。


 んっ、すごい……硬い。

 でも、見えないせいかそれほど、怖くないかも。


『前後に動かして』


「は、はい」


 両手で性器を持つ。

 そう言えば、けっこう大きい穴だったからこれって射精したらウチの顔にかかるんじゃない?


『くっ、気持ち……良い』


 ……うぅ…気持ち悪いよぉ…。




『あ、くっ……逝くっ!』ビュッ


 ピチャッ。


『あ、ごめんね。顔にかかっちゃった』


 え?

 顔にかかった?

 なんで顔が……見えてんの?


『つ、次は俺、お願いしまーす』


 も、もう次!?


『は、はやくっ』


 やばい……おかしくなりそう。

 ウチ、馬鹿だ。


『ぐっ、出るっ!』ビュッ


 あぐっ!?

 く、口に入った!?

 やだ……ねばねばする……。



『おねがいしま……って、え? 口でもしてくれんの?』



 え?

 いや、嫌に決まってんじゃん!


『うわ、こんな可愛い子にしてもらえるなんて嬉しい!』


 ………。

 い、一度……だけなら。


 んぐっ、あむっ、じゅぷっ。

『くっ……いい、よ』

 後頭部を掴まれ、前後に動かされながら、ウチは自分のやってきたことを思い出していた。

 青春の一ページを犠牲にして、他人の粗を探す日々。

 なんだこれ、自業自得じゃん。


『ねぇ、ちょっと水飲んでうがいしてよ』


 ほんと、私、何でこんなことを……。


『今から、キスするよ』


 もう……どうでもいい。


「好きに……して」

『ああ、好きにするよ』チュッ

「んっ///」チュプッ


 口内に入ってくる柔らかい舌。

 ねっとりと下の歯を舐めとり、そのままウチの舌に触れる。

 最初は撫でるようにウチの舌を挑発して、ひっこめる。

 次に来る時は大量の唾液がウチの口内を犯す。

 でも、ウチの頭はぽーっとして、何も考えらんない。

 向こうの舌がウチの口内を暴れまわり、ひっこめた瞬間、


「んっ/// らめぇはちまぁん///」チュプッ


 あ、ウチ今……八幡って言っちゃった。


 このキスの上手な人を、八幡と勘違いした?


 ウチ……三浦に嫉妬してたんじゃないの?



 もしかして……八幡に関わる全ての女に嫉妬してたの?






 しばらくして、ウチは気付く。


「ねぇ、……何でアンタが参加してんのかなぁ…」プルプル


 そして、目隠しを外す。


「比企谷八まんっ///」チュプッ


 先ほどまでとは違う、荒々しいキスが始まった。

 視界には、八幡の顔。

 精子と八幡の匂いに頭がどうにかなりそう。


八幡「はぁはぁ……」チュプッ


 一方的なキスは終わり、八幡は私を自分の口内にエスコートした。

 八幡の口に舌を入れると、彼は自分の歯をなぞるように舌でウチの舌を促す。

 一周すると、彼の唾液がウチの舌を伝って、喉に入る。

 悔しいから唾液を送り返すと、八幡は気持ちよさそうに目を閉じる。


 なにこれ可愛い。


 本当に、本当に認めたくないけど、



 ウチ、八幡の虜になったみたい。




 



 屋上で待っていると、口を洗った相模がこちらへと歩いてきた。


八幡「よぉ、楽しかったか?」


 俺は、射精のしすぎであまり下半身を動かしたくなかったので、座ったまま相模の方を見た。


相模「全部アンタだったの?」

八幡「当たり前だろ。


 俺のモンを他の奴にやるかよ」


相模「………っ///」ドキッ


 こいつ単純だな。


相模「……許して、くれるの?」


 俺の身体にもたれかかりながら言う台詞か。勃起したら痛いんで良い匂い止めてください。お願いします。


八幡「許すも何も、始まってすらいねーよ」


 そう相模はまだ、青春の一ページをめくってすらいない。




 これから先、一生宝にしたくなる青春の一ページを。





 エピローグ1 勇者と魔王


「じゃーん、帰国したよーん」

「ママー、パパと会えるー?」

「あったりまえじゃーん♪」



 この日のために我慢して我慢して我慢し抜いたんんだから!

 自分の子供を見て、動揺する八幡の顔。

 見たい。見た過ぎる!


 すぐにタクシーを走らせ、現在八幡が住んでる住宅へ向かう。


 結構広い家。前の家とは違うわね。


「おいおい、俺の休みくらい休ませろ」


 その声! 八幡!!


「見てみて、あの人が……」


 え?


「ねぇハチ! この子も一緒に連れて行って!」

「パパー」ギューッ

「優美子は?」

「あーしは結衣と家の掃除。雪乃は子供連れてどっか行ったわよ」

「ふーん、沙希と一緒かな」


 何これ。

 ハーレムエンドもびっくりの大家族。

 私の努力は……?


「ママー、ねぇパパはー?」


 ふ、ふふ……。

 魔王は勇者を一生待たないといけない。

 でも、勇者はいつでも勇者を辞められる。


「う……ぁ……あぁぁあ」ポロポロ

「ママ? ママ!?」


 信じていたのに!

 私は! あなたと!



「ねぇ、あそこで泣いてる人誰ー?」

「……!」

「綺麗な人ー」

「……あの人は…魔王だよ」

「まおう?」

「ああ、勇者の存在を信じて信じて……自分が魔族であることすら忘れた……可愛そうな人」

「ふーん、よくわかんない」

「気にするな。さ、小町が待ってるから早く行こう」

「うんっ♪ 美味しいもん食べるんだ!」

「ああ、そうだな」



 あなたは自分に正直すぎた。

 だから、最後の最後まで愚かに、一途に、俺を信じ抜いた。

 でも、それは俺じゃなくて、俺で作った“ただの理想”。


 だから、俺からあんたへできる唯一のプレイ。


 もう二度と人生を交わらない。



「さようなら魔王。孤独な人よ」



 これから先も二度と会わないよう祈って。




エピローグ2 めぐり合わせ


めぐり「いやー、文化祭で婚約発表なんて前代未聞だよー」

八幡「それを知ってて、どうしてデートなんてしてるんですか?」

めぐり「だって、あれ、うそでしょ?」

八幡「うぐっ」

めぐり「嘘に協力してあげたんだから、ね」ニコッ

八幡「けっこうえげつないんですね」

めぐり「そうかなー。あ、でも、


 おしっこプレイとか興味はあるかな」


八幡「えっ」


 その後、陽乃さんの手先だったことを知った俺は最終的にめぐりも抱くのだが、それはもう少し後のお話。


今日はここまでにします!

一応本編は終了してますが、エピローグがもう少し残ってます!

後、誰をメインヒロインにして終わるかはまだ決めてません!

では、おやすみなさい!

おはようございます!

たしかに魔王の子供はかわいそうですね、裏エンドを考えておきます。

とりあえずはそれぞれとのエピローグをいきます!

エピローグ3 海老名の憂鬱


海老名「はぁ……」

海老名(八幡君とエッチしたけど……)

海老名「依存症になるくらい気持ち良かった……」

海老名「私だけ、見た目も存在も全て普通だからなー」

海老名(このままいったらきっと八幡君は私の存在なんて忘れちゃう!!)

八幡「………」

海老名「で、でも、スタイルも良くないし、八幡君にどうやったら振り向いてもらえるんだろう……」アワワ

八幡「………」

海老名「こうなったら、私もベニパンでたいこ「おい」ビシッ

海老名「はうっ///」イタイ…

八幡「お前が言うとリアルなんだよ」

海老名「だ、だってぇ……」ウルウル

八幡「なんか悩んでんのか?」

海老名「………」

八幡「珍しいな。勢いだけが取り柄なのに」

海老名「酷いっ」

八幡「良いじゃねぇか。



 取り柄がなくても人に好かれるって凄いことだろ」ニコッ



海老名「………っ///」ドキッ

八幡「じゃあなー」

海老名「……ずるい」ハァ…


 その後、一番に妊娠して比企谷大家族を作るきっかけになった海老名さんでした。


八幡が雪ノ下と海老名にレズるように命令して、苛める展開はよ

 エピローグ4 川崎よ永遠に


川崎「なぁ大志」

大志「ん?」

川崎「もう、小町ちゃんのことは諦めたの?」

大志「ああ、今は姉系だな」

川崎「えっ」ゾクッ

大志「嘘だよ。俺付き合ってる人いるし」

川崎「そうなんだ」

大志「姉ちゃんの方が大変だろ。あんな変態好きになって、



 変なキャラまで造ってさ」



川崎「そーーーなんだよぉおおお」ウワァアアン

大志「姉ちゃん本当は感情表現豊かな癖に、なんで無表情キャラ作った訳?」

川崎「だってぇ、世の中の人は皆長門が好きなんでしょ?」

大志(どこ情報だ……)

大志「まぁ、それでも、きっとあれだ。


 あいつは姉ちゃんを大切にしてくれるよ」


川崎「ああ、分かってるよ」

大志「でもまぁ、貧乏からは抜け出せないけどな」アハハ

川崎「違いない」アハハ




 その後、趣味が高じてファッションデザイナーになった川崎は、比企谷大家族の稼ぎ頭となる。



>>590 エピローグが終わったらねwww

エピローグ5 一周遅れ(鶴見留美)


 文化祭が終わり、俺は鶴見と動物園に来ていた。

 鶴見は精一杯のおしゃれをしてきていてとても可愛らしい。


鶴見「ねぇねぇ八幡! キリンだよキリン!」

八幡「あーはいはい、首長い首長い」

鶴見「もー、感受性の弱い彼氏だなー」

八幡「へーへー、俺はもう何度も動物園に来てんだよ」

鶴見「………」


 こうしてみるとあれだな。

 引率の先生。

 まぁ、誰だって一度は教師を夢見るよな。

 俺はクソガキと関わりたいだなんて一度たりとも思わなかったけど、なるほど鶴見みたいな生徒を育てるのも悪くない。


鶴見「……うぅ…」ポロポロ


 は?

 なんで泣きだしてんのこの人。


八幡「ど、どうした?」

鶴見「うわぁああああん」ギューッ


 お、おい、これじゃあ俺……ヤバい人じゃねぇか。




 人の少ないベンチに腰掛け、俺は鶴見の頭を撫でた。


鶴見「……ごめん」


 大人ぶりたいのだろう。

 思いのたけをぶつけず、謝りに徹する。

 それは、辛い事。

 俺は辛いことが嫌いだ。


八幡「お前が、本当に俺の事が好きならな、留美」

鶴見「あ……名前…」ドキッ



八幡「裸のお前を見せてみろ」



鶴見「あ、……うん。脱ぐね」ヌギヌギ



 おいぃいいい!



鶴見「え、違った?」キョトン



 やだ、この子の将来超心配。



鶴見「私だけ、八幡と一緒の時間を過ごせない……」ポロポロ


 要約すると、小学生の自分は高校生の俺たちに取り残されてる気がして寂しい、と。


鶴見「八幡たちが文化祭で戦ってる中、私は家にいた。一人だけ取り残されて……辛かった」


八幡「………」


鶴見「それで、私が高校生になって文化祭をしても、八幡達はもう大人だし、きっと感動を共有できない」ポロポロ




鶴見「切ないよぉ、八幡」ギューッ




八幡「……そうだな。俺達が並んで走ることは無理かもな」

鶴見「………っ」

八幡「だがな留美」ナデナデ




八幡「流行には飽きが来る。その時にお前が主役になれるんだぜ」チュッ




鶴見「ふぁ///」ドキッ


 後日、小学校。


有香「留美様ー、今日は遊ばないんですかぁ」ギューッ

鶴見「………」

仁美「えぇ、寂しいですー」

鶴見「あの……さ、みんな」

生徒達「?」




鶴見「普通の青春、してみよっか」ニコッ




 私はきっと、八幡の彼女たちの中で一番後ろを走り続ける。

 皆の背中を追い続けて追い続けて追いつけないだろう。

 それでも私は走り続ける。



 だって、私は八幡が好きだから。




 一周遅れになる度に、八幡が優しく頭を撫でてくれるから。




鶴見「八幡! 大好き!」



 エピローグ6 正統派ヒロインの品格


結衣「ねぇハチ君」

八幡「お前までそれか……」

結衣「だって、可愛いじゃんハチ君」ニコニコ

八幡「なぁ、結衣ってずっと俺の事好きだったんだろ?」

結衣「う、うん……恥ずかしいな」テヘヘ///



八幡「優美子とそういうことしてたの知って、なんて思ったの?」



結衣「……うっ…」ドキッ

八幡「………」ニヤニヤ

結衣「そ、それは……」

八幡「それは?」



結衣「普通に……嫌だけど…好きだから……///」モジモジ



八幡「すまん」ドゲザ

結衣「ふぇ!?」

八幡「お前の事好きすぎて、ついいじわるしてしまった」

結衣「す、好きって……」アウアウ///

八幡「ああ、好きだ結衣!」ギューッ

結衣「あう……///」プシューッ

八幡「さて、冗談はこのくらいにして、と」

結衣「冗談なの!?」ガーン

八幡「はは、嘘だよ」ニコッ




 その後も、由比ヶ浜とは主人公とヒロインのような一線の上を綱渡りするような関係でいた。

 海老名の妊娠が発覚して一度は離れたが、比企谷大家族の計画を聞いて戻ってくる。

 思えば、一番初めに好きになってくれた由比ヶ浜が一番最後に俺とセックスしたのは何かの運命だろう。


 正統派ヒロイン由比ヶ浜結衣。


 おっぱいのでかさが正統派だと思いました。

 
 エピローグ7 雪ノ下雪乃


雪乃「今、なんて言ったの?」

八幡「………」ポリポリ///

雪乃「も、もう一度言いなさいよ。なんなら私をめちゃくちゃにした後でも良いわ」ハァハァ///

八幡「しねーよ。でも何度でも言ってやる。



 俺は、雪ノ下雪乃が好きだ」



雪乃「ふぇ!? な、何を急に///」オロオロ

八幡「いや、他の奴らはこう言ったら殴られるかもしれないけど、なし崩し的に好きになった感があるんだが、お前だけはどうやら出会ったその瞬間から好きになってたみたいだ」

雪乃「そそ、それって、あのいわゆる……」オロオロ///


八幡「一目惚れ……って奴だな」


雪乃「………」ポーッ///

八幡「雪ノ下?」



雪乃「八幡、痴漢プレイをしましょう」ハァハァ///

八幡「断る」

雪乃「だめ、もう我慢できないの」ハァハァハァ///



 雪ノ下雪乃は嬉しい事があると変態プレイを要求する。

 それは、照れ隠しなのか、本心なのか分からないが、可愛い。


 俺が一目惚れした相手。


 ド変態の可愛い彼女。


雪乃「あぁあああんっ///」ビクビク

八幡(こんな奴だと知ってれば好きにならなかったのに……)クチュクチュ


 エピローグ8 平塚静


八幡「え、マジで結婚するんですか?」


 大学3年生の夏、平塚静は俺のアパートまで乗り込んで、婚姻届を突き付けて来た。


平塚「私ももう30代だ。頼む、責任をとってくれ」


 この人はほんと自分に正直だなぁ。


八幡「いや、別に良いですけど……」

平塚「ほんとか!?」



八幡「海老名って覚えてます?」



平塚「ああ、眼鏡の子だな」

八幡「姫菜、妊娠したんです」エヘヘ

平塚「」


平塚「に、ににに、妊娠!?」アワワ

八幡「ええ、対抗した優美子と毎日セックスしてるのであいつも妊娠の時が近いかと」

平塚「」

八幡「まぁ、沙希がいないと出来ないことだったけど、



俺達一緒に暮らすんです」



平塚「」

八幡「法律とかその辺は置いておいて、とりあえず雪ノ下も一緒です。留美に関しては卒業まで保留にしてますが」

平塚「………」

八幡「だから、誰と結婚するかなんて些細なことなんです。静は一番年上だし、皆も納得すると思う」

平塚「………」プルプル

八幡「静?」



平塚「……惚れたが…負け……か」



 こうして、唯一名字を変えたのが平塚静――いや、比企谷静だ。

 静は結婚後も働き続け、高齢出産となったが無事可愛い男の子が生まれた。


 晩年、静は語る。


「私の人生プランは間違っていた」


 と。

 その顔はとても幸せに満ちていた。

 


 エピローグ9 良妻賢母


三浦「おーい、皆飯できたぞー」

子供たち「わーい」ドタドタドタ

三浦「ほら、落とすなよ」

子供たち「はーい」

八幡「優美子、いつもありがとな」

三浦「何言ってんだ。あいつらは全員あーしの子供だよ」

八幡「………」

三浦「……早く欲しいな」グスッ

八幡「頑張るから……」ナデナデ

三浦「皆できてるんだからアンタのせいじゃない。あーしに原因があるよ」

八幡「……まぁ焦ることねーよ」チュッ

三浦「うん……」



 数年後。



三浦「まじ可愛すぎっしょ!」ギューッ

赤ちゃん「んぎゃぁ」

三浦「なぁなぁハチ! 一番可愛くね!?」

八幡「そういうこと言うなし」ベシッ

三浦「てへへ/// だって、可愛いんだもん///」

八幡「……ああ、可愛いな」

三浦「仲良くできるかなぁ。可愛いから苛められないかなぁ」オロオロ

八幡「おいおい、親バカかよ」

三浦「悪い?」ギロッ

八幡「いえ……全く」

三浦「えへへぇ」ニヘラ///

八幡(可愛すぎるだろ……)


八幡「なぁ優美子」

三浦「ん?」

八幡「俺さ……あの…お前に……」ポリポリ

三浦「それ以上言うなし」

八幡「えっ?」

三浦「ハチ、あれから誰にも一度もお礼言ってないっしょ」

八幡「……ああ」



三浦「あの時のハチの言葉。一生の宝なんだからこれ以上言うなし」ニシシ///



八幡「優美子ぉ!」チュッチュ

三浦「や、やめろ、ここ病院だっての」アセアセ///




 三浦優美子。

 俺が一番愛した人。

 俺の事を、最も理解してくれた人。



 エピローグ10 葛藤


小町「………うぅ…」


 俺と小町は悩んでいた。

 兄妹で子供を作ること。

 それは俺達のエゴに他ならない。

 愛の形が欲しいだけ。


 子供の方は、一生傷を背負わなければならない。


八幡「……小町…」ギュッ

小町「ハチ君……切ないよぉ…」ギューッ


 比企谷家にメンバーが増えて行くたびに、小町の心は萎んでいく。

 俺はそれに耐えられなかった。


八幡「小町……俺はもう…」

小町「……ダメ」ギュッ

八幡「……小町…」

小町「あはは、ごめんね。いつもいつも小町が泣き虫だから」グスッ

八幡「んなことねーよ」ギューッ

小町「……ハチ君、愛してる」ギュッ

八幡「ああ」ギュッ



 結局、俺と小町は子供を作らなかった。

 それは、二人が心から愛し合った証。


 俺が初めて自分の性癖をぶつけた相手。


 俺の性癖を初めて受け入れてくれた相手。

 雪ノ下雪乃に惚れ、

 三浦優美子を愛し、

 皆と子供を作ったが、


 俺はもう一度人生を歩めるなら、


 比企谷小町と共に歩みたい。


 ……できることなら血のつながらない兄妹として。



 エピローグ1-2 もうひとつの可能性


八幡「正座」

陽乃「あ、いや、でも」

八幡「正座!」

陽乃「あう……」スッ


子供「ママ何で座ってるのー?」


三浦「アンタはこっち来るし」ヒョイ

八幡「……どこ行ってたんだよ」

陽乃「……アメリカ」

八幡「なんで」

陽乃「……八幡君に中絶しろって言われると思って」

八幡「なんで」

陽乃「……うぅ、八幡君の意地悪……」

八幡「な・ん・で?」



陽乃「人を好きになったのは初めてで、どうすればいいか分からなかったからだよぉおおおお!」カァ////



八幡「まったく」ギュッ

陽乃「ふぁ……///」ポロポロ

八幡「あんたほど不器用な人、見たことねーよ」ナデナデ

陽乃「う、うるさい……」ポロポロ


八幡「魔王とか呼んでごめん」

陽乃「ううん、ちょっと楽しかった……」

八幡「これから先、陽乃の性癖を満たせないと思うけど良い?」

陽乃「うん……八幡君がいてくれれば、良い」

八幡「可愛いな。陽乃」チュッ

陽乃「あう……///」

八幡「さ、皆に挨拶しなきゃな」

陽乃「う、うん……」




 雪ノ下陽乃は不器用だ。

 不器用すぎて周囲を傷付けてしまった。

 だけど、傷はいつか癒える。


 傷付けた心の傷は……なかなか癒えない。


 だからこそ俺は、雪ノ下陽乃を許そうと思う。

 だって彼女は、不器用と性癖を取り除けば、


陽乃「八幡君! 大好きだぞぉ♪」ニヘヘ


 とても、可愛い人なのだから。


 ラストエピローグ 比企谷八幡


とある屋台。


八幡「はぁ……」

材木座「相棒、ため息とは珍しい」

八幡「毎日毎日身体を求められて、正直もたねーよ」

材木座「それは羨ましい」

八幡「何言ってんだよ。お前ほど充実してる人生はねーだろ」

材木座「日本からも世界に通用するコンピューター会社を建てる。それが我の夢だったからな!」

八幡「今やシェア80%だもんな、YOSHITERU13」

材木座「……なぁ相棒、我と一緒に働く気はないか」

八幡「………」

材木座「我はずっと世界と戦い続け、心を許せる相手が相棒以外にいない。だから――」

八幡「わりぃな材木座」

材木座「………」




八幡「俺の夢は専業主夫なんだよ。今も、昔もな」ニコッ




本当の本当に終わり。

一応終わりです。

番外編で>>590の要望である姫菜×雪乃の話やろうと思いますが、ちょっと休憩します!では!

僕はあーしちゃん!


 一度だけ。

 人生で一度だけ後悔したことがある。


姫菜「んっ/// ゆ、ゆきのぉ///」ペロペロ

雪乃「はぅんっ/// も、もっと!」ハァハァ///


 泥酔した俺は、ついうっかり海老名が雪ノ下に惚れていることを喋ってしまった。

 すると、同じく酔っぱらっていた二人が何やら良い感じになる。

 俺は、嗜虐心にかられ、二人に性行為をするように命じる。


 もちろん、俺はレズプレイなど無知識だったので、せいぜい触りあうくらいだろうと思っていた。


 すると、雪ノ下は、なにやら黒くて腰につける性器のようなものを持ってきた。

 おいおい、そんなものがこの家にあること自体不快なんだが……。


姫菜「わ、私に着けさせてっ///」ハァハァ

雪乃「ええ、もちろんよ姫菜さん」クイッ///


 性器を広げる雪乃。いつでも準備は万端だと言っているようだ。

 慌ててその俺のより大きな道具を腰に巻く姫菜。


姫菜「……夢みたい…」チュッ

雪乃「いいえ、現実よ」ギューッ

姫菜「入れても……良い?」


 雪乃は答えなかった。

 あくまで挿入は自分の意思。


 姫菜は少しの間思考する。


 そして、



雪乃「んんっ///」ギューッ


 姫菜の欲望が雪乃を貫き、雪乃は快楽におぼれた。

 しばらくの間、姫菜と雪乃が触れあう音と喘ぎ声が部屋に響く。


姫菜「ゆ、雪乃っ、好きっ///」パンパンッ

雪乃「も、もっと激しくっ///」ンッンッ






八幡「………」


 自己嫌悪。

 どうして二人を性行為させたのか。


姫菜「好き、雪乃」チュッチュ

雪乃「私もよ、姫菜」チュッチュ


 これはウォールマリアの崩壊だ。

 進撃の姫菜(レズ)が最終的に全員食ってしまう(性的な意味で)かもしれない。


 それでも幸せそうな姫菜を見ると、


 俺も幸せになってしまうの不思議。



姫菜「次は八幡を貫きましょうか」ヌフフ

八幡「」


 本当の本当の本当に終わり!!


 それでは、嗜虐八幡もここまでにしようと思います。


 八幡シリーズ三作目。次回はマギとでもクロスしようかな。


 では、HTML化申請出してきますー。

 ここまで読んでくれてありがとですー!

お疲れナス。とあるスレも頼むぞ

>>615 了解ですー!

乙!
そのクロスやら他のスレやらが落ち着いてからでもいいので海老名さんヒロインで一つお願いしますw

いろはすの霊圧が存在しない!!

葉山さんのその後は?

陽乃に救いがあってよかった..

さがみんどこいった?

マギいいね!

これ3つめなのか
前2つのタイトル教えてもらえないか?

めぐりんどしたよ?

>>618 アニメのみだから海老名さんあんましらねーんすorz

>>619 ssで出てくるいろはすならできる!

>>620 葉山さんはいろはすとなんかあったんじゃないですかねぇ(すっとぼけ)

>>621 結局一番八幡の事好きだったというね!

>>622 相模んはどうだろ。元気だと思います!

>>623 でも全然違うのするかも!

>>624 最初のは諸事情で自分でググってください! ダンガンロンパと俺ガイルのクロスssです!

2作目
エヴァと俺ガイルのクロス
八幡「やはり俺のシンクロ率は間違っている」アスカ「は?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389882643/)

>>625 めぐりんは可愛いおばあちゃんになったそうです!

乙でした
今日もおいしくいただきました
ところで戸塚は?

>>628 天使は次スレでヒロインなので

次スレ↓

俺の先輩は間違っている
八幡「やはり俺の先輩たちは間違っている」雪乃「あなたを後輩にした覚えはないわ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390994740/)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月28日 (火) 20:19:58   ID: 2gyfEyt7

エロすぎだろ……正直たまらん

2 :  SS好きの774さん   2014年06月11日 (水) 00:14:14   ID: 6sxfwpxh

ウホッ

3 :  SS好きの774さん   2014年07月28日 (月) 11:31:17   ID: pJyadZqb

ウホッじゃねーよwww

4 :  SS好きの774さん   2014年08月04日 (月) 00:55:29   ID: lmxFsHwq

ワイ、困惑(五点ぽちー)

5 :  SS好きの774さん   2016年05月29日 (日) 08:58:09   ID: XrF22bK6

ハニー・ポ○ター好きな時点で共感した。

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