少年「ボクは、君を守りたいんです」(217)

飽きるまで続けます




 軍事国家アレフガルド 城の地下宝物庫



国王「ここに置かれておるのが、我が国に伝わる秘宝」

国王「勇者のみが真の力を発揮できるとされている……ロトの剣、ロトの盾、そして、ロトの鎧」


国王「かつての勇者は、これを身に付けて魔王を倒したと言う」

少年「そうですか」



国王「うむ。勇者が装備すれば羽のように軽く、勇者以外が装備すれば鉛のように重く、動く事すらままならんのだ」

少年「言い伝えですよね?」


国王「そうだが、実際に如何な豪傑をもってしても、これを使いこなせた者はおらん」

少年「それを、ボクに?」



国王「普通の者では、鎧を装備するのも二人がかりでな……役に立たんのよ」

国王「であれば、魔王の復活した今、勇者に使って貰うのが一番と言うもんじゃろ?」ニヤリ


少年「……」

少年「そうですか。では、有り難く使わせて貰います」



少年「……」チラッ

少年(最初は、剣でも持ってみようかな?)スッ


少年「っ!?」ビクッ

国王「ん? 如何なされたかな?」



少年「いえ、やっぱり要らないです……」

少年(剣に触ろうとしたら、手が焼けそうなぐらい熱くなった。なんで?)


国王「ほお、伝説の装備を不要と申すか? 若いのに頼もしい勇者じゃ」

国王「兵達よ、秘宝を宝物庫の奥へ戻せ」チラッ



兵「はっ!!」

兵「よしっお前ら、せーので運ぶぞ? せーーのっ!!」グイッ


少年「……」

少年(普通の兵士でも、持って運ぶ事はできるんだ? なのにボクは、触る事すらできない)



国王「しかし今は不要でも、必要となった時には自ずと力になるだろう」

国王「これも言い伝えになるが、『勇者が危機に陥った時、その勇者の前に現れた』と有る」


少年「つまりボクがピンチの時に、剣や鎧や盾が駆け付けて助けてくれると?」

国王「あくまでも、言い伝え……じゃがの」



少年「……」

少年(そうは、感じられなかったけどね)


国王「それで勇者よ、学園生活の方はどうじゃ?」

少年「お陰様で、特に困る事も無いです」ペコリ



国王「だがのぉ……わざわざ身分を隠し、未熟な学生から仲間を探さんでも、この国の手練れなら幾らでもあてがうぞ?」

少年「いえ、足りない経験はこれから積めば良いし、完成された人よりも、育てがいが有る方が楽しいんで」


国王「そうか……長い旅になるじゃろて、お主の考えに任せよう」

少年「はい。自由にさせてくれて、助かります」コクリ



国王「……」

国王「あー」


国王「それで、じゃが……」

少年「分かってます。ボクに、何かお願いが有るんですよね?」



国王「我が国は近々、隣国と戦を控えておってな?」

国王「それで勇者には、魔王討伐後……我が国に着いて頂きたい」


国王「ああ、無論!! 名前だけで結構!!」アセアセ


国王「魔王を倒した勇者がこちらに居ると、そう伝わるだけでも隣国には脅威となるじゃろう」



国王「だから是非、勇者には魔王を倒して貰い、名を上げて貰ってだな……」

少年「……」


少年「分かりました。勝手にどうぞ」

少年(救えない……まだ魔王が居るのに、もう人間同士で争う事を考えるなんて)



少年「では……」ペコリ

国王「うむ。旅立ちの際にはまた顔を出すが良い。土産を渡そう」


少年「……」タッ

少年(まぁ、どうでもいいか……)



少年(人間同士の戦いで滅びようがどうしようが、そんなの勇者の仕事じゃないし)

少年(けど、今は凄く楽しい気分なんだ……こんなに楽しいのは、産まれて初めてかも知れない)


少年「ふふっ、くくっ、あははははははははははっ♪」

少年(ホント、笑いが止まらないよ……)クスッ





 ── アレフガルド ──



 世界でも有数の軍事国家。

 アレフガルド出身者は、男女問わず十八歳になるまで魔法や剣術を習得する為の教育プログラムが組まれており、臨時には兵に加わって国を守る。

 工業や商業が盛んな他、武器職人にも恵まれ、多くの冒険者はこの国で装備を整えて行く。

 かつての勇者ロトが、魔王を討伐した際の武具を封印した場所としても有名。



第四話

少年「ボクは、君を守りたいんです」

と、言うおはなし


休憩




 アレフガルド 巨大学園の教室 


教師「返却したテスト用紙を良く確認しろ」

教師「評価がE+以下は追試するからな?」


女騎士「くっ……」ジィーッ

少年「どうだったの?」ヒョコッ



女騎士「ひゃっ!?」ビクッ

女騎士「みっ、見るなバカ!!」サッ


少年「もしかして、追試とか?」

女騎士「うっ……いや、そうじゃないんだが、ギリギリでな」



少年「そっか……なら、放課後は遊べるねっ」ニコリ

女騎士「んっ!?」ドキッ


女騎士「だ、駄目だ駄目だ!! ギリギリだと言ったろ?」

女騎士「しばらくは、図書館で勉学に励まねば」プイッ



少年「……」

少年「こっち向いて?」クイッ


女騎士「うぅっ……」

少年「女騎士の分からない所は、ボクが教えてあげるよ? だったら良いでしょ?」



女騎士「だが、年下のお前に教わりっぱなしでは、私のプライドが……」

女騎士「それに、一人では何も出来ないと、皆から笑われてしまう」


少年「笑わないよ。ボクは笑わない。他の誰にも、笑わせない」

女騎士(ぐっ、ヤバいっ……)キュン



女騎士「しっ、しかしだなっ!!」

少年「ボクは、君を守りたいんです」ニコリ


女騎士「っ……」

女騎士「う、うぅっ、うあぁぁっ……」ドキドキドキドキッ

申し訳ない



少年「……」

女騎士「……」


女騎士「あは、は。そう言えば、なぜお前はそんなに頭が良いんだ?」アセアセ

少年「たくさん、勉強したんで」



女騎士「そうかっ、凄いなお前はっ、うんうん!!」

少年(そんな訳ないでしょ? ボクは13歳で、そっちは18歳。どれだけ離れてると思ってるの?)


少年(出来てるのは、テストの答えを知ってるからだよ……)

少年(勉強なんか、やりたくてもやれなかった。ずっと、ブタの相手だからね)

>>23
気にしないでOK



少年(でも……)

女騎士「……」


女騎士「それに比べ、私は弱くなってしまった……」

女騎士「お前がこのクラスに転入してから、たった一月だぞ?」



女騎士「子供の頃から剣術を磨く事だけに明け暮れて、それすらも上手く行かなくてなって……」

女騎士「気付けば、この歳で親友と呼べる者さえ居なかった」


女騎士「それなのにっ、お前が現れてから……」

少年(貴女の不器用な生き方は、嫌いじゃないです)



教師「よし、全員テスト用紙を確認したな? 早いが、今日はこれで解散とする」

教師「だからと言って気を抜くなよ? 明日からは予定通り、調査を兼ねた実地試験だ」


教師「各班ごとに前以て指定していた場所へ赴き、そこの調査、そして何かトラブルが有れば、出来る限り対処しろ」

教師「期間は五日を予定しているが、五日そこへ滞在しろとは言わん。レポートまで全て終わったら、残りの日時は休暇とする」ニヤリ



女騎士「……」

少年「……」


教師「それぞれ現地集合なり、集まって行くなり話し合え。いちいち教室なんぞへ来るなよ?」

教師「以上!! 我がクラス30名、解散!!」



女騎士「サー!! アレフガルドの為に!!」バッ

少年「為に」


女騎士「……」

少年「……」



少年「それで、今日はどこで遊びましょうか?」チラッ

女騎士「はぁっ……あのなぁ、聞いていただろ?」


女騎士「私達の班は、私と、お前と、貴族の三人」

女騎士「これから、最後の打ち合わせをしないと」



少年「打ち合わせって、もう済んでるじゃないですか」

少年「それにほらっ、貴族さんも……」チラッ


貴族「チッ、帰るぞお前ら!!」

生徒「ま、待ってくださいよ貴族さーん!!」タタッ



少年「ね?」

女騎士「アイツ……おい、帰るなっ!!」


少年「待って!!」ガシッ

女騎士「っ……」



少年「恥ずかしいんですよ」

女騎士「恥ずかしい? 誰が、誰に?」


少年「貴族さんが、君に」

女騎士「……」



女騎士「いやいや、ないない。それは無いっ」ブンブン

女騎士「アイツは昔からイタズラや嫌がらせばかりするし、顔を会わせれば悪態を……」


少年「それは、好きだからですよ。男の子は、好きな人に素直じゃないらしいですから」ニコリ

女騎士「う……いやいや、やっぱりないっ。それにアイツは、男の子って歳でもないぞ!?」



少年「そうですか? ボクから見たら、男の子ですけどね」

少年(貴族だけど、まだ子供。自由に使わせて貰えるお金は少ないみたいだし)


少年(お金をたくさん持ってるなら……)

少年(ボクが、楽しませてあげるんだけどね)クスッ



少年「それにまぁ……こんな話をしたら、貴女も今は顔を合わせづらいんじゃないですか?」

女騎士「たし、かに。意識しないと言えば嘘になるが……では、出発の確認だけしよう」


少年「はい」コクリ

女騎士「明日の朝、校舎前に集合。然る後、お前のルーラでジパングへ飛ぶ」



女騎士「調査するのはジパングの南部。ヒミコと言う女帝が束ねる国」

女騎士「の、更に南端。凄まじい速度で過疎化が進んでいると噂される街だ」


女騎士「私達はそこへ赴き、過疎化の原因を探る」

女騎士「そして、私達で対処出来そうなら、対処する」



少年「学生三人で、何を対処出来るって言うんですかね……」

女騎士「それは、そうだが」


女騎士「……」

女騎士「あっ、それとだな? 私の呼び方を何とかしろっ!!」ビシッ


おやすみ



少年「呼び方?」

女騎士「貴女とか、君とか、女騎士さんとか、なんで呼ぶ度に変わるんだ?」


少年「ああ……」

少年「反応を見てたんです。どう呼ばれるのが、嬉しいのかなって」ニコリ



女騎士「ん……くっ、どれでも同じだから、ど、ど、どれか一つにしてくれっ」プイッ

少年「それは無理です」


女騎士「っ、どうしてだ?」

少年「もう少ししたら、また……呼び方を変えるんで」クスッ




 翌日 ジパング南部



少年「……」

女騎士「なんだ、コレは……」


貴族「おいおい。『焦土』じゃねぇか!!」

貴族「おいお前っ、本当に目的の場所へ飛んだんだろうな!?」ギロッ



少年「そうですけど?」

貴族「だったら、なんで黒く焼けた地面しか見えないんだよ!?」


少年「さぁ?」

少年「ここには、ヤマタノオロチってドラゴンが住んでたらしいんで、そのドラゴンの炎に焼かれたんじゃないですか?」



女騎士「ドラゴン、か……」

貴族「チッ、試験はどうすんだよクソ!!」


少年「どうせ、近い将来に潰れそうなとこだったし」

少年「それが、少し早まっただけだよ……」クスッ



女騎士「……」

女騎士「よく、知ってるな?」


貴族「あ?」

女騎士「お前じゃない」



少年「……」

少年(失敗だね……女騎士と出会って、浮かれ過ぎてた? はぁっ。しょーがないなー)


女騎士「……」

貴族「……」




少年「あ」

少年「言い忘れてました」



少年「ボク」

少年「勇者なんで」ニコリ



貴族「はい?」

女騎士「はい?」


少年「旅をしていれば、ここの噂話だって聞きますよ。それで知ったんです」

女騎士「ちょっ、ちょっと待って欲しい!!」アセアセ



女騎士「本当に、勇者、なのか?」

少年「はい」コクリ


貴族「嘘を言うんじゃねぇ!!」

少年「ウソじゃないです」



少年「歳の離れた奴が急に転入してくるとか、不思議に思いませんでした?」

女騎士「それは……」


少年「ねっ?」

貴族「いや、けどさ? なんの為にだよ?」



少年「仲間を探してました。将来有望な人は居ないかなと」

少年「見付かれば、旅立つ時に仲間へ誘うつもりでした」


貴族「えっ、いや、そうじゃなくて、なんだ、あれだ」

少年「なんですか?」



貴族「仲間を探して旅立つってよ、何年後の話なんだ?」

少年「は?」


女騎士「恐らくは、魔王が復活した時にすぐ旅立てるよう、仲間を鍛えて置きたいのでは?」

少年「は?」



貴族「勇者ってのは、魔王が居なくても旅をして……」

少年「……」


少年「いますよ?」

少年「魔王は、とっくに復活しています」



女騎士「魔王が……復活してる!?」ビクッ

少年「て言うか、なんで知らないんですか?」


貴族「チッ。んな事を言われてもよ、教えられなきゃわかんねって」

少年「教えられてないんですか?」



貴族「……」

女騎士「ああ」コクリ


少年「そうですか」

少年(学生だから、知らされてないとか? なに、ボクより歳上なんだよね?)



女騎士「だが、残念だ……」

女騎士「魔王が復活した時、勇者に選ばれるのは私だと思っていたからな」


少年「何故ですか?」

女騎士「私の父方の祖先が、勇者だったらしい。私は、その血を受け継いでいるんだ」グッ



少年「……」

女騎士「だが結局、魔王が復活しても、私は勇者の力に目覚めなかった」


女騎士「私の修練が足りなかったのか、または……そもそも祖先が勇者と言うのがデタラメだったのか」

女騎士「ともかく、お前も知っての通り、剣術も魔法も中途半端な落ちこぼれさ私は」



貴族「使える魔法は、幾つ有るんだ?」

女騎士「くっ……ホイミと、メラ」


貴族「いや、笑えないんだけどよ? マジか?」

女騎士「くっ……」プルプル



少年(なるほど。父親の祖先は勇者か……)

少年(でも、勇者の力に目覚めなくたって、悲しむ事は無いよ?)



少年(代わりに、弟のボクが、勇者になったからね……)

少年(安心して? おねぇちゃん……)クスッ


おやすみ



少年「とにかく、今は情報が足りないですね。近くの街へ行きましょう」

少年「この辺りは船着き場しか無いですし」


貴族「近くの街ったって、どこだよ? 知ってんのか?」

少年「知らないです」フルフル



少年「だから……」

少年「ピオリム!! ピオリム!! ピオリム!!」シュイン


少年「地道に走るしかないよ。取り敢えず北へ。ボク、野宿とかしたくないんで」

女騎士「……」ジィーッ



女騎士「あのっ」

少年「……」


女騎士「お前は、さ?」

少年「なに?」チラッ



女騎士「やっ、やっぱりいい!!」フイッ

少年「そうですか」


少年「じゃあ、走りましょう」

少年「だいぶ魔法を重ね掛けしたから、夜までは動きが早くなってる筈なんで」




 その夜 ジパングの田舎街 宿の一室



少年「はぁっ、いいお風呂だったなぁ……」フキフキ

少年「ここ暑いし、寝るのは裸でも良いよね?」



 トントンッ

女騎士「女騎士だ。部屋に入っても大丈夫だろうか?」

少年「どうぞ」



女騎士「失礼す……」ガチャッ

女騎士「る」ピタッ


少年「なんですか?」

女騎士「だ、だっ、大丈夫じゃないだろ!! 服を着ろ服をっ!!」アセアセ



少年「はぁ、ボクは気にしませんけど?」

女騎士「私が気にするんだ!!」


少年「寝る時は裸で寝たいんです」

女騎士「頼む……ベッドのシーツでいいから、巻いて隠してくれ」



少年「そうですか、分かりました」シュルッ

少年「はい、どうぞ」


女騎士「おっ、出来たか……」チラッ

女騎士「って出来てないだろっ!! 胸じゃなくて、腰に巻け!!」プイッ



少年「ムリです。じゃあ、こっちを向かないしか無いですね」

少年「少し距離を取って、ベッドに腰掛けてください。ボクもそうするんで」


女騎士「くっ……」

女騎士「ええい、仕方ない!!」ボフッ



少年「シーツ取りますよ?」

女騎士「そっちは見ない、好きにしろっ」


少年「好きにします」パサッ

女騎士「くっ……」



少年「……」

女騎士「……」


少年「それで、どうしたんですか?」

女騎士「うむ」



女騎士「っ……」グッ

女騎士「私を、勇者の仲間にして欲しいのだ!!」


少年「……」

少年「どうして?」



女騎士「私の祖先が勇者だって話はしただろ?」

少年「はい」


女騎士「だからなのだろうか……」

女騎士「父も、そして私も、人々を守りたいと、常にそう考えていた。それが夢だった」



女騎士「魔王が復活した時、勇者として旅立つのは、父か私だと思っていたんだ」

少年「……」


女騎士「しかし、お前が現れて、夢は潰えた……」

女騎士「しかし、しかしっ!! それでも私は、人々を守りたい!! 平和を守りたい!!」



女騎士「私が未熟だと言うのは、私自身が一番良く分かってる!!」ギリッ

女騎士「それでも私はっ……くっ、どうしてこんな想いを抱くのかと考えた」


女騎士「きっと、勇者の血が流れているからだろう」

女騎士「人々を守りたいと心から思うし、平和に暮らす皆の笑顔は、私に取って最高の幸せだ!!」



少年「……」

少年「ダメですね」


女騎士「っ!?」ビクッ

女騎士「それは、私が弱いからだろうか?」



少年「なんでもかんでも、勇者の血のせいにしないでください」

女騎士「うぐっ……」


少年「それに、平和になったら、どうしますか?」

女騎士「平和に、なったら?」



少年「はい」コクリ

少年「魔王も居ない、争いもない、皆が笑顔の世界。それが実現したら、君はどうするつもりですか?」


女騎士「そう、なったら……」

女騎士「そうなったら、私も幸せになりたい」



女騎士「勇者の幸せじゃなくて……」

女騎士「女の……うぐぐぐっ、あーーーーーーーっ!!!」スタッ


女騎士「なんだ? なんなんだお前は!?」

女騎士「ずっと一緒に居て、ずっと優しくされたらっ、そんなのホレるに決まってるだろバカ!!」



少年「ふふっ」クスッ

少年「すみません。実は、一目見た時から、下心いっぱいで近付きました」


女騎士「くっ、歳上をからかうなっ!! そっち向くぞ? いっかい本気で怒らせろ!!」クルッ

女騎士「だいたい、お前は最初から……さい、しょ、か、ら……」ピタッ



少年「……」

女騎士「……」


少年「なに?」

女騎士「その体、どうしたんだ?」



少年「ああ、『文字』が読めるんですか?」

少年「この太ももの内側に書かれてるのが、どこかの国の言葉で、『性処理器具』って意味らしいです」


女騎士「書かれた、じゃないだろそれは!? 刺繍でもないな?」

少年「はい、ナイフで文字を刻まれました。処置が遅れたので、たぶん一生消えませんね」



女騎士「どうして……」フルフル

少年「ボク、捨て子だったんで。色々やらされて来た結果としか」


少年「あっ、やらされてたのは昔ですよ? 今は自分からお客さんを取りますし、この傷を見て興奮してくれる人も多いし」

少年「傷が出来た当時は痛くて泣いてましたが、それも……」



女騎士「もういい!!」タッ

女騎士「もう、いいっ……」ギュウッ


少年「……」

女騎士「私は人々を守りたいと言ったが、その人々の中には、お前も入っているんだ!!」



少年「ボクより弱いのに?」

女騎士「それでも、お前を守りたい!!」ギュウゥッ


少年「どうして?」

女騎士「好きなんだっ!!」ウルウル



少年「……」

女騎士「すき、に、なってしまったんだ……」


女騎士「この先なにが有っても、お前を守りたいっ!!」

少年「そうですか」



少年「女騎士さんは、ボクの、味方で居てくれますか?」

女騎士「ああっ!!」コクリ


少年「ボクを、裏切りませんか?」

女騎士「絶対に裏切らない!!」



少年「……」

少年「そう、ですか」



少年(もう……良いかな。女騎士さんが傍に居てくれるなら)

少年(ボクを捨てた両親に復讐とか、もう……ヤメても、良いかな)



少年(お姉ちゃんが一緒なら、お姉ちゃんが守ってくれるなら……)

少年(そうだ、許そう。一言、一言だけ「ごめん」って謝ってくれたら、ボクを捨てたこと、許そう)


少年(魔王を倒したら、両親とも一緒に暮らすんだ)

少年(だから、許す……)



少年「分かりました」

女騎士「っ!?」


少年「ボクを、守ってね?」ニコリ

女騎士「うんっ、うんっ!!」コクコク



少年「……」

女騎士「……」ギュウッ


少年「どうしたんですか? そろそろ部屋に戻って、休んだ方が良いですよ?」

女騎士「……」



女騎士「私を」

女騎士「はしたない女だと、軽蔑しないで欲しい」ボソッ


少年「……」

女騎士「愛しさが溢れだしそうなんだ。お前を愛したいし、お前に……愛されたい」ウルウル



少年「経験は有りますか?」

女騎士「……」フルフル


少年「後悔、しませんか?」

女騎士「こんな気持ちは、初めてなんだ……」



女騎士「お前と、セックスしたい」

少年「……」


女騎士「お前の、赤ちゃんが欲しい……」ギュウッ

少年「そうですか」



少年「目を、つむってください」

女騎士「え? あ、ああ……」スゥッ


少年「……」

少年「んっ」チュッ



女騎士「んむっ!?」ビクッ

少年「っ、はぁっ……貴女に、勇者の加護が有らん事を」ニコリ


少年「目、開けても良いですよ?」

女騎士「ううっ……恥ずかしくて開けれないんだバカ!!」



少年「……」

少年「女騎士さんを、ボクの仲間に選びます」


少年「だから、セックスは魔王を倒してからにしましょう」

少年「旅は長くなるかも知れないし、万が一にも妊娠しちゃったら旅が大変だし」



女騎士「……」

女騎士「そう、だな……」パチッ


女騎士「魔王を倒したら、私と子作りしよう!!」

少年「ふふっ、はい」クスッ



女騎士「でも、一緒に寝るぐらいなら構わないだろうか?」モジモジ

少年「……」ピクッ


女騎士「どうした?」

少年「……」




少年「あ」

少年「言い忘れてましたけど」


少年「ボク、女騎士さんの弟なんで」

少年「よろしく、おねぇちゃん♪」ペコリ



女騎士「……」ピタッ

女騎士「……」


女騎士「……」

女騎士「冗談は……」



少年「冗談じゃないですよ?」

女騎士「……」


女騎士「そんなこと、急に言われても困る……」

女騎士「お前を好きになっちゃったんぞ!? それなのに、今さら、弟でしたとか、言われてもっ」



女騎士(そう言えば、最初に会った時から馴れ馴れしく接して来て)

女騎士(だが、不快に感じなかった。年下だし、弟みたいな奴だなって思ったけど……)


女騎士「なんで、私が姉だと知っていながらっ!!」

少年「……」



少年「ボク、お姉ちゃんの事を聞いたりしませんでしたよね?」

女騎士「へっ?」


少年「ボクからお姉ちゃんに、兄弟は居るの? とか。どの辺りに住んでるの? とか。両親は何をしてるの? とか」

少年「普通、好意を持っていたなら、相手の事を知りたいし、知りたいなら質問します」



少年「でも、ボクはそう言った質問はしませんでした」

女騎士「……」


少年「お楽しみは、取って置きたかったんですよ」クスッ

少年「ボクが捨て子だって話はしましたよね?」



少年「なら、ボクを捨てたのは、お姉ちゃんの両親……」

女騎士「う、嘘だっ!! 二人とも凄く優しかったし、それにやはり、お前が弟だとも信じられん!!」フルフル


女騎士「だいたい、母親の腹が膨らんだ姿なんて……」

女騎士「っ、いや、でもしかしっ!?」ピクッ



女騎士「母親は、普通じゃなかったからな……」

少年「普通じゃない?」


女騎士「私の母親は、サキュバスだ。むろん、普段は人間の姿をしているがな」

少年「ふっ、ああ、なるほど……ボクは随分と、ソッチの血を受け継いじゃったみたいですね?」クスッ



女騎士「もしサキュバスが妊娠した場合、人間のように腹が膨れないとしたら、確かに見分けが付かない」ギリッ

女騎士「しかし、しかしだ!! 産まれた子供を捨てるような母親じゃないんだ!!」


少年「……」

少年「安心してください。もう、両親に復讐する気は無いんで」



女騎士「そう、なのか?」

少年「はい。それに弟としての証明なら、ボクが勇者で有ること自体が……」


少年「……」

少年「あ、待ってください」



少年「お姉ちゃんは、弟が居る事すら、知らなかったんですよね?」

女騎士「ああ。だからこうして驚いてるし、未だに信じられない」


少年「もう一人子供が居たとか、そんな感じの事も、言ってませんでしたか?」

女騎士「聞いてないな」



少年「……」

少年「子供の頃、家庭が経済的に苦しかった、とかは?」


女騎士「それもないな」

女騎士「むしろ、裕福な方だったと思うぞ?」



少年「誰かが復讐しに来るかも知れないと、恐怖で体を震わせたりとかは?」

女騎士「有る訳ないだろう? 二人とも、いつも笑顔だったぞ?」


少年「そうだっ、誰かの幸せを願って、たまに神様とかへ祈ってたとかはっ!?」

女騎士「サキュバスが神に祈るか? 食事の前に手を合わせてたくらいだな」



少年「……」

少年「じゃあ、なんでボクは捨てられたの?」


少年「お前らが勝手にセックスして、ボクを作ったクセに……」ボソッ

少年「どんな理由で、ボクを捨てたの?」



少年「ふふっ」

少年「あははははははははははははははははは♪」


女騎士「お、おい、しっかりしろ!!」

女騎士「ホントなんだ!! 私はずっと両親を見て来たが、おかしな所なんて無かった!!」



少年(ボクを捨てた事を、悪びれてもいない)

少年(ボクの無事を、祈ってもいない)


少年(ボクの復讐を、恐れてもいない)

少年(ボクの存在を、認めてもいない)



少年「……」

少年(ただただ、無関心……)


少年「なんだよそれ?」

少年(ボクに対する感情が、何一つ無い!!!)ギリッ



少年(ぐっ、でもっ……)

少年(許す。許したい……たった一言、一言だけで良いから、謝ってさえくれれば、それだけでボクの中で決着をつける)


少年「……」

少年「お姉ちゃん。帰ったら、両親に会わせて」



女騎士「……」

女騎士「それは無理だ。二人は、あの街には居ない」


少年「居るよっ!! ボクは感じるんだ!! 必ずあの街のどこかに二人は居る!!」キッ

女騎士「っ……」



女騎士「……」

女騎士「ああ、アレフガルドに、二人は居る」


少年「やっぱり居るんじゃないか嘘付き!!」

女騎士「二人とも、墓の中にな?」



少年「……」

少年「は?」


女騎士「二年前に、揃って事故で死んだよ。だから、二人には会わせられないが、二人が入ってる墓なら案内できる」

女騎士「それでも疑うなら、墓を掘り返して見るか?」



少年「……」

少年「日記とかは?」


女騎士「さぁな。もし書いてたとしても、私には見つからないよう、どこかに隠してたんじゃないか?」

少年「ならこうしよう。家に行く。日記を探す。それに、ボクへの謝罪とか書いて有るかも知れないし」



女騎士「くっ、しっかりしろ!!」バチーン

少年「っ……」ヒリヒリ


女騎士「いったいどうしたんだ!? 冷静になれ!!」

少年「……」



少年「ボクの両親はね? 何の感情も、何の関心も、抱いてなかった」

少年「好きでも、嫌いでも、無事を祈っても、復讐を恐れてもいない。ボクと言う存在を放棄した、完全な無関心」


少年「ねぇ、お姉ちゃん? 壊れそうなんだ……ボクを、守ってよ」ギュッ

女騎士「それは……」





 ドゴオオオオオオオン!!!


少年「っ!?」

女騎士「なんだっ、外から馬鹿デカい音がしたぞ!? それに、この揺れっ……」


少年「行くよっ!!」ダッ

女騎士「ま、待てっ!!」ダッ




  同街 街の広場



盗賊「巨大な三つ首の蛇、ハイドラ……ここまで追って来やがったか!?」タタッ

賢者「どうするんですか!? やはりルーラで」タタッ


盗賊「アホか!? ルーラなんかで飛んだら、せっかくハイドラの巣からパクった『卵』が割れちまうじゃねぇか!!」

賢者「しかし、それではこの街に被害が!?」



盗賊「ハイドラの卵が大金で売れるっつったのはお前だぞ!?」

賢者「そんな事は、分かってますよ!!」


盗賊「だったら、アイツのスタミナが尽きるまで走り続けんだ!! 補助魔法を掛け続けろ!!」タタッ

賢者「貴方こそ、その卵を落とさないでくださいよっ!!」タタッ


おやすみ

死んでいた…?どうなるというんだ…(エロはまだかの)



少年「ボミオス」

盗賊「ぐおっ!? とっ、と……」ガクンッ


盗賊「な、何をしやがんだ!? もう少しで転ぶところだったろうが!!」クルッ

少年「何をしてるって、その質問、そのまま返します」



賢者「見て分からないのですか!? 魔物から逃げてるんですよ!!」

少年「そうですか……」


貴族「おいお前、何やってやがる!! 民家をブッ壊しながら、化け物がこっちへ向かって来てるぞ!?」タタッ

貴族「勇者なんだろ? アイツを倒せねぇのかよ!?」



少年「……」

貴族「おいっ!!」キッ


盗賊「賢者」チラッ

賢者「はい。ピオリム!!」



少年「ボミオス」

賢者「ぐっ!? なぜ、邪魔を……」ガクッ




 グオオオオオオオオオオ──。




少年「あの子、悲しい声で鳴いてますよ?」

少年「貴方達が、何かしたんじゃないんですか?」



盗賊「……」

賢者「……」


少年「行きましょう」

少年「ボクが、なんとかしてみます」



賢者「っ……」

盗賊「本当かっ!? へへっ、助かるぜ」


貴族「チッ。方法は有るのかよ?」

少年「まぁ」




 同街 街の入り口近く



女騎士「街の皆は奥へ逃げろっ!! 早くっ!!」タタッ

ハイドラ「グオオオオオオオオオオ!!!」ゴゴゴゴゴッ


女騎士「くっ、デカい……しかし、ここで私まで逃げては!! せめて、民達が逃げる時間を稼ぐ!!!」

女騎士「父さん……そして私に流れる勇者の血よ、力を貸してくれ!! この破邪の剣で、必ず人々を守る!!」ジャキッ



女騎士「よし、やってやる!!」

少年「やらないでください」


女騎士「……」

女騎士「来るのが遅いっ!!」チラッ



少年「何をしてるんですか?」

女騎士「知れた事!! アイツを倒し、人々を守る!!」


少年「貴女じゃ勝てませんよ」

女騎士「勝てる可能性が0.1%しか無くとも、その0.1%の可能性を信じて戦う……それが勇者だ!!」



女騎士「人々を守る為、平和を守る為っ、ここで勇気を出して立ち向かえなくてどうする!?」

女騎士「勇気こそが勇者の証!! 私は決して逃げない!!」


少年「……」

少年「どうやら、ボクは勘違いしていたようですね……」



少年「ボクがなんとかします。貴女は後ろに下がってください」タッ

女騎士「待てっ、理由はなんだ!?」


少年「弱いからに決まってるじゃないですか」

少年「ボクは、君を守りたいんです」クスッ



女騎士「くっ……」

女騎士「分かった、頼む」スッ


少年「……」

少年「さて」



少年「すぅーーっ」

少年「はぁーーっ」


少年「……」

少年「止まって、ハイドラ!!!」バッ




女騎士「っ!?」ビクッ

貴族「バカか!? 両手を広げて突っ立ってるだけだぞアレ!?」


賢者「それ以前に、魔物に人の言葉など分かる筈がありません!!」

盗賊「轢き殺されるだけだっての!! やっぱ逃げるか?」



ハイドラ「グオオオオオオオオオオ!!!」ゴゴゴゴゴッ

少年「止まって……」


ハイドラ「……」

少年「……」ジィーッ



ハイドラ「キュルルゥゥゥッ……」ピタッ

少年「ありがとう、ハイドラ」ニコリ


女騎士「……」

貴族「嘘だろオイ!? 勇者の前で止まった」



盗賊「今だっ、動きが止まってる隙に、その化け物を殺せ!!」

賢者「そちらのお二人も、この街を守る為に協力頂けませんか?」チラッ


貴族「はぁ? なんで俺が」

女騎士「……」




ハイドラ「……」

少年「ふむふむ、なるほど……」


少年「逃げてたそっちの二人!!」クルッ

盗賊「あん?」



少年「ハイドラは、二人を差し出せば、この街から去ると言っています」

賢者「っ!?」ビクッ


盗賊「なっ!? 俺達に死ねって言うのかよ!!」

少年「この街を守る為に、協力頂けませんか?」クスッ



少年「それに、死ぬとは決まって無いです。貴方達がハイドラと戦って勝てば良いんですよ」

少年「ただその戦いに、この街を、ボクの仲間を、巻き込まないでください」


盗賊「ぐうっ……」ギリッ

盗賊「なぁ、アンタ勇者なんだろ? なんとかならねぇのかよ!?」



賢者「……」

賢者「待ってください!! その魔物が、我々を寄越せと言っていると、どうして分かるんですか!?」


少年「なんとなく、ですけど?」

賢者「なんとなく?」



少年「言葉は通じなくとも、相手に理解して貰いたいと思って伝え、理解したいと思って聞けば、なんとなく分かります」

少年「それを抜きにしても、喜怒哀楽ぐらいは簡単に察せますよ」


賢者「余りにも雑な……」

盗賊「言葉が通じるんだったら、俺達を助けるように言えよ勇者!!」



少年「……」

少年「ねぇ、ハイドラ?」チラッ


少年「敵意無しで、君を理解したいと思って近付いた人間は、どれだけ居たのかな? 姿形が、違うだけなのにね?」ナデナデ

ハイドラ「キュルルゥゥゥッ……」



少年「……」

ハイドラ「……」


少年「そっか……」

少年「そこの二人、卵をっ!! 卵を返してください!!!」



女騎士「卵?」チラッ

盗賊「……」


少年「有りますよね?」

盗賊「ああ」コクリ



盗賊「だが、コイツは渡せねぇ!! これが有ればな、大量の漢方薬ができる!! たくさんの人を救えるんだぞ!?」

女騎士「人を救う為、だったのか……」


少年「売れば大金になるからでしょ?」

少年「別に、取りたければ取ればいい。だけど、さっきも言ったよね? それに他人を巻き込まないで」



女騎士「しかしなっ、これは人を救う為にやった事なんだぞ!?」

少年「その卵で、何人を救えるか知らないけど、回りを見なよ?」


少年「どれだけの家が壊れたの? どれだけ被害が出たの?」

女騎士「それは……」ギリッ



少年「また、だんまり?」

女騎士「それはっ、私が、勇者が守ればいい!! 人に仇なす魔物が襲って来たのなら、私達が迎え撃てばいい!!」


女騎士「違うかっ!!?」

少年「……」



少年「このハイドラは、復活した魔王が送り込んだモンスターじゃないよ?」

少年「巨大な三つ首の蛇……そう言う生物なんだ。昔から山奥で暮らして、水辺の近くで一生を終える」


少年「人を襲う事なんて無い。今回みたいに、卵を奪われたりしなければね?」


少年「このハイドラと、身勝手な理由で卵を奪ったその二人、どっちが悪者だと思う?」

女騎士「っ、私、は……」


少年「ほらっ、早く卵を返して。これが、ハイドラからの恩情だって分かるよね?」

少年「最後のチャンスだよっ!! ここまで卵を持って来て!!」



盗賊「……」

賢者「命には変えられません。卵は……」


盗賊「そうだな、卵は返す。アレをやってな」チラッ

賢者「アレ、ですね?」コクリ



盗賊「分かった勇者!! 卵を今からそっちへ持って行く!!」タタッ

貴族「ふぅっ。これで解決か」


少年「よかったねハイドラ?」ニコリ

ハイドラ「キュルルゥゥゥッ……」



盗賊「持って来たぞ? どこに置けばいい?」

少年「それじゃ、ハイドラの目の前に置いて。そっとね?」


盗賊「そっと、だな?」スッ

盗賊「そっと、そっと……置いたぜ?」ゴトッ



賢者「……」

賢者「バイキルト!! スカラ!! ピオリム!! フバーハ!!」バッ


少年「えっ!?」ビクッ

盗賊「ひゃっはぁぁぁっ!! こんだけ近付きゃあ、ブレスも吹けねぇだろっ!!?」ダッ



盗賊(急所は、三ツ又に別れた首の根元!! そこを、この毒針で……)キランッ

盗賊「突くッ!!!」ドスッッ


ハイドラ「ゲギャッ!!?」ビクンッ

盗賊「即死だろ化け物?」ニヤリ



ハイドラ「……」

ハイドラ「……」ドサァァッ


盗賊「よっ」スタッ

盗賊「へへっ、ブッ殺してやったぜ!!」



賢者「やりましたね」ニコリ

貴族「おっしゃ!! 助かったぁ」


少年「ハイドラ……」

盗賊「これでしばらく遊んで暮らせるぜ!! あんがとよ勇者!!」




少年「……」

少年「……か、な」ブルッ





少年「愚かなっ、人間どもがぁぁぁぁぁぁぁァッ!!!」ギリィッ

少年「凍てつく波動ぉッ!!!」バッ

>>90
エロはラストに入るよ、たぶん

休憩



盗賊「ぐあっ!?」ドテッ

盗賊「な、なんだ……補助魔法が消えたぞ!?」


少年「……」

少年「選べ」



少年「左手、右手、左足、右足。どれか一本だけ残しててあげるよ」クスッ

少年「さぁ、選べ……」


盗賊「えっ、え、あの……俺は人間だぜ? なんで勇者が俺を?」アセアセ

少年「人間じゃない、悪人だよ。悪人には、罰を与えないと」



少年「そっちの悪人も同罪だよ? 選んでてね?」

賢者「ぐっ……」ブルッ


少年「もしルーラで逃げても、必ず捕まえるから」

盗賊「頼むっ、助けてくれ!!」



少年「剣で斬り落とされるのと、魔物で切り飛ばされるの、どっちがいいですか?」ニコリ

盗賊「もうしない、助けてくれよっ!!!」


女騎士「ヤメろっ!!」タタッ

少年「……」



女騎士「罪を犯しても、人は罪を償えるんだ!!」

女騎士「手足を切り飛ばしたら、それも出来なくなる!!」


少年「……」

少年「まぁ、魔物を街へ連れて来て、幾らか建物が破壊されて」



少年「法廷で裁かれれば、何年牢屋に入るの? どれだけ賠償金を払うの?」

女騎士「詳しくは分からないが、軽くは無いだろう……それが、償いだ」


少年「いいや、その法廷でまた言うね。『この卵一つで、大量の漢方薬ができる。たくさんの人を救える』って」

少年「君みたいに、そうなのかと、人々の事を考えての行動だったのかと、頷いて騙されるだけだよ」



少年「だから、罪に問われない……」

少年「賠償だって、卵を売却した金でお釣りが来るんじゃない?」



少年「コイツらみたいな奴はね? 頭は下げてても、心の中じゃ舌を出してるんだ」

少年「そして、また繰り返す……」



盗賊「もうしねぇって!! 本当だ!!」

少年「ボクの心に、全く響いて来ないね」


女騎士「くっ、ヤメろと言っている!!」ジャキッ

少年「……」



少年「おねえ、ちゃん?」

少年「どうして、ボクに剣を向けるの?」


女騎士「お前こそ、どうして信じてやれない? 本気で反省してるかも知れないだろ!?」キッ

少年「そいつらが反省してるから? ハイドラは殺されてるんだよ!?」



少年「例えば親が殺されて、殺した犯人が反省してるって言えば許す!?」

女騎士「っ、人と魔物は違うっ!!」


少年「同じだよっ!! それに魔物じゃない。ハイドラだ!!」

少年「ハイドラは、誰が守ってあげれば良かったの?」



少年「ああ、分かった……」

少年「人々を守りたい、平和な世界にしたいって、力も無いのにフワフワした事ばっかり言うなって思ってたけど」


少年「お姉ちゃんが守りたいのは、人々だけ。お姉ちゃんが築きたいのは、人々だけの平和なんだ」

女騎士「っ!? そんな、事はっ……」ビクッ



少年「だいたい、国同士が争う戦の道具として育てられてるのに」

少年「何も疑問を持たず、勇者になりたいな……なんて夢ばかり語ってるから、いつまでも経っても弱いままなんだよ!!」


女騎士「それでも……それでもっ、この気持ちは本物だっ!!」

女騎士「アレフガルドを侮辱するのも止せ!!」




少年「お姉ちゃん……」

女騎士「私を、姉と呼ぶなっ!!」ギロッ


少年「……」

少年「そうですか」



少年「貴女が守りたいと言った人々の中に、ボクは……入ってなかったんだね?」

少年「嘘つき」ボソッ


少年「もういいや。そこを退いて。二度と悪さが出来ないように、ソイツらの手足をバラすから」

女騎士「退かない!!」フルフル



女騎士(私にも、勇者の血は流れてるんだ……)

女騎士(どうか、どうか私に立ち向かう勇気をっ)


少年「……」

女騎士「私が、守るんだああああああああああ!!!」





 ── その強き思い、確かに届いた ──


 ── 覚醒を待っていたぞ、現代の勇者よ ──


 ── 今こそ、私の力を貸そう ──


 ── この、勇者ロトの力を!! ──




 ピカァァァッ

女騎士「……」

少年「……」


女騎士(今、一瞬だけ、体が光に包まれて、声が聞こえた)チラッ

女騎士「私の装備が、変わった、のか?」



少年「ロト……」

女騎士(左手にはロトの盾。右手にはロトの剣。そして、ロトの鎧)


女騎士「スゴい……体に力が溢れて来る。とてつもなくレベルアップしているのを、肌で感じるぞ!!」グッ

女騎士「今なら、どんな魔法だって使えそうだ!!」



少年「救えない……」

少年「ラリホー」


女騎士「へっ?」

女騎士「……」ドサァッ



少年「ほら、出て来なよロト」

女騎士「……」


女騎士『……』ピクッ

女騎士『お前と会うのは、二度目だな。偽物の勇者』スクッ



少年「やっぱり、表に出て来れるんだ? 眠ってる人の意識を乗っ取るとか、モンスターじゃないの?」

女騎士『……』


少年「まぁ、だと思ったからさ……」

女騎士『……』



少年「ロト、ここで成仏させてあげるよ」

女騎士『愚かな』


少年「その盾を、その剣を、その鎧を、全部……砕いてやる」ニヤリ

女騎士『そうか……ならばその邪悪、ここで討たねばなるまい!!』


※注意※
エロは、女騎士が無理やりフタナリ化させられちゃうんで、
苦手な人はエロに入ったら飛ばしてね


おやすみ



女騎士『……』クルッ

貴族「お?」


女騎士『私は勇者ロト。私が皆を助けよう』ニコリ

盗賊「ほ、本当か!?」



女騎士『そして、あの者は……』スッ

少年「……」


女騎士『人に仇なす邪悪!! あの者を討ちたいのだが、私に協力してくれないか?』

賢者「おおっ、勇者様の頼みと有れば!!」コクリ



盗賊「へへっ、助かるなら手を貸すぜ!!」スクッ

貴族「いや、俺は……足手まといになるし」


女騎士『心配は無用』

女騎士『スクルト!! バイキルト!! ピオリム!!』バッ



賢者「これはっ、私の魔法とはケタが違う!! 凄まじい上昇率だ!!」

貴族「力が湧いてきやがる……スゲェ!!」グッ


女騎士『この女騎士が最初に持っていた破邪の剣だ。君が使いなさい』スッ

貴族「分かったぜ!!」パシッ



盗賊「でもよ、またさっきみたいに……」

女騎士『補助魔法を解除すり技は、このロトの盾で防ぐ』スチャッ


少年「……」

女騎士『さて』チラッ



女騎士『臨時では有るが、これで四人』

女騎士『勇者パーティーの結成と言った所か?』ニヤリ


少年「……」

少年「もう、準備は良いかい? さぁ……掛かっておいでよ!!」クイッ

>>137
×女騎士『補助魔法を解除すり技は、このロトの盾で防ぐ』
○女騎士『補助魔法を解除する技は、このロトの盾で防ぐ』



貴族「最初は俺が行くぜ!!」ジャキッ

少年「……」


貴族「急に転入して来たと思ったら、女騎士とベタベタ引っ付きやがって……」

少年「何もしない。何も伝えない。何も行動を起こさない。それなのに、自分へ好意が向かないからいつもイライラしてるんでしょ?」クスッ



貴族「ぐっ、うるせぇ!! でやぁぁぁっ!!」ダッ

女騎士『っ!? 待ちなさい!!』


少年「貴族? 君は、ボクと戦う資格すら無いよ」

少年「一足先に、自分の国へ帰るんだね……バシルーラ!!!」バッ



貴族「なっ!?」ビクッ

貴族「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」ギュオオン


少年「……」

女騎士『……』



少年「モシャス」

神父「フフッ……さぁ、神に祈りなさい」シュン


女騎士『盗賊さん、でしたか? 貴方は、剣も使えますか?』チラッ

盗賊「ああ、見ての通り、鉄の剣しか持ってねぇけどな」ジャキッ



女騎士『ただの人相手、それで充分。二人で左右から掛かりましょう。賢者さんは攻撃魔法で援護を』

賢者「はい!!」コクリ


女騎士『では……』

盗賊「……」ザッ



女騎士『ゴーッ!!』ダッ

盗賊「あいよぉぉぉっ!!」ダッ


賢者「解き砕け、破魔の閃光……」

賢者「イオナズンッ!!!」バッ



女騎士(イオナズン!?)ビクッ

女騎士(そんな広範囲魔法では、接近する我々にまでダメージが及ぶと、なぜ考えられない!?)


女騎士『盗賊さん、斬りかかるのは、魔法が落ちてからタイミングを合わせて!!』チラッ

盗賊「おうっ!!」





 ドゴォォォォォォン!!!!

賢者「ははっ、やった!!」ニヤリ

賢者「一撃で倒し……」



神父「遅いですねぇ」スタッ

賢者(っ!? 声がっ、背中からっ!!?)ビクッ



神父「これで、お別れです!!」ガシィッ

賢者「グエェェッ!!?」


賢者「あがっ、がっ……」

賢者(首を、掴まれた!? なんと言う力っ、このままでは、握り潰され)ジタバタ



神父「フンッ!!」メキメキッ

賢者「ッッーーーーーーーー!!?」ビクンッ


賢者「あ……」

賢者「……」ガクッ



神父「……」ブンッ

賢者「……」ドサァァッ


神父「声帯は潰しました。もう二度と魔法を唱える事は出来ないでしょう」

盗賊「賢者っ!? テメェ!!!」ギリッ



女騎士『……』

神父「……」


神父「モシャス」

剣士「よっ、と」シュン



剣士「次は、どっちだい?」ジャキッ

女騎士(剣を逆手で握り直した?)


盗賊「ぐっ、死ねおやぁぁぁぁぁっ!!」ダッ

剣士「盗賊が剣士に、剣技で勝負を挑むか」ニヤリ



剣士「残念だが、俺とお前じゃあ、違い過ぎるな……」スッ

盗賊「何が違うってんだよぉ!!」ブォンッ




剣士「『格』だ、あほんだら」

剣士「ストラァァッシュ!!!」ブォンッ



盗賊「ぎっ!!?」ザシュッ

剣士「……」


盗賊「ぐあっ、あ、あっ、俺の、お゙れの右腕があああああああああ!!?」ガクガク

剣士「他の手足も切り落とされたくなければ、ここから急いで去りな。さっさと傷口を治療しないと、大変な事になるぜ?」ニヤリ




盗賊「ひっ、ひいいいいいいいい!!」タタッ

女騎士『……』


剣士「モシャス」

少年「……」シュン



女騎士『ふむ。臨時のパーティーでは、こんなものか』

女騎士『かつての仲間達には遠く及ばぬ……』


少年「……」

少年「古いんですよ貴方は」



女騎士『古い?』

少年「その装備も、考え方も、バトルセンスも、なにもかも、古いです」


少年「ロトの鎧だって? どれだけ昔に作られたんですかそれ?」クスッ

少年「当時は最高峰だったかも知れないけど、素材の加工方法だって、職人の技術だって、当時とは比べ物にならないぐらい進歩しているんだ」



少年「そんなオンボロを、何年も人間に守らせ、無理やり引き継がせて勇者にして……どうしたいの!?」

少年「現代の勇者で在るボクから、正式にお願いするよ」


女騎士『……』

少年「貴方の力には頼らない。むしろ邪魔だ。だから、早く成仏してください」ペコリ



女騎士『私を、愚弄するか?』

少年「真実です」


女騎士『そうか……確かに、お前の言う事も一理在る。神の加護を受け、魔王を斬った剣とは言え、古いと言われれば古い』

女騎士『だが、私の力は剣だけでは無いぞ? 武具の進歩は認めたとしても……しかし魔法はどうかな?』



おやすみ





女騎士『分かり易く、メラ系で勝負しようか?』スッ

少年「いいですけど」スッ


女騎士『私とお前、例え同じ魔法を放ったとしても……魔力の高さ、許容量共に絶対値が格段に違う』

女騎士『そう、思わないか?』



少年『思いますね』コクリ

女騎士『魔力とは、在る意味で筋力と同意味。己の鍛練と経験を礎とした集大成』


女騎士『トレーニング方法は伝えられても、鍛えた魔力そのものは後世に伝えられない。そう、思わないか?』

少年「そう、思いますね」コクリ



女騎士『そして……』

女騎士『はあああああああああああああ!!!』カッ


女騎士『この勇者、過酷な鍛練と過酷な戦いの果てに、最強の魔力を手にしたと自負している』

女騎士『幾ら時代が違えど、子供などに負けるか』




少年「そう、思います。貴方は、ボクよりもずっと魔力が高い」

少年「でもっ……」


少年「こおおおおおおおおおおおおおおお!!!」カッ

少年「それがどうしたって言うの!?」



少年「短く、一言で、簡潔に述べてあげるよ」クスッ

少年「勇者ロト……」



少年「言い訳が出来ないように全力を出せ!!」

女騎士『フッ。この力の前に下れっ!!』




女騎士『メラ……』

少年「メラ……」



女騎士『ゾーマッ!!!』バッ

少年「ガイアァァァッ!!!」バッ

てすと

アレ?やっぱり反映されてない…

まぁいいや、書き直し。ついでに休憩





 ドゴォォォォォン!!!


少年「……」

女騎士(全ての魔力を注いだ魔法同士がぶつかった……しかしっ)ギリッ


女騎士(私の放ったメラゾーマが、飲み込まれて行く!? 負けると言うのか!?)

女騎士(それに、メラガイアー? そんな魔法はっ、知ら……)




女騎士『ぐああああああああああ!!?』ゴォォッ

少年「例えボクの二倍大きい魔力を持っていようと、ボクは貴方の三倍強い魔法を使える。それだけです」


女騎士『っ……』ガクンッ

女騎士『成る程、人はここまで成長していたか。できる事なら、その魔法も覚えたいものだ』



少年「駄目ですよ。そしたら、貴方に勝てなくなっちゃいます」

女騎士『フッ、そうか……』ニコリ


女騎士『では、この装備も進歩した現代には不要だな……』バキバキバキッ

女騎士『私が、連れて逝くとしよう』パリーンッ




少年(ロトの装備が砕けた……)

少年「ロトさん。ずっと、ずっと、長い間、世界を見守ってくれてありがとうございました」ペコリ


少年「例えボクが魔王に負けても、途切れる事の無い勇者の血が、いつか必ず魔王を倒します」

少年「だからロトさんは、もう休んでください。戦いで磨り減り、疲れ切ったその魂に……どうか救済を」



女騎士『……』

女騎士『そうだな。次に産まれて来る時は……争いなど無い、武器を持つ必要も無い』


女騎士『そんな世界に、産まれたいものだ』

少年「……」




女騎士『最後に、偽者と言ってすまなかった』

少年「いえ」フルフル



女騎士『この体は返そう。少年よ………………じゃあなっ。世界を頼むぜっ!!』ニコッ

少年「はいっ」コクリ



女騎士『……』

女騎士「……」


女騎士「……」バタッ

少年「ふぅっ」



少年「とは言ったけど、それとこれとは別問題なんで」

少年「ふふっ、どこで……イジメよっかなぁ♪」クスッ


少年「うーーん。ルーラ分の魔力は残ってるね。よしっ、決めた!!」

少年「ルーラッ!!!」



※ラスト注意書き

上でも書いたけど、女騎士が強制フタナリ化させられちゃうので、苦手な人は飛ばすかブラバで自衛してね。




  繁華街の裏通り 風俗店の一室



娼婦「これでオッケー?」

少年「はい、頼んだのは全て揃ってます」コクリ


娼婦「ベッドに裸で寝てる彼女でしょ? 本気でやるの?」

少年「そうですね……」



娼婦「ふふっ、愉しそうねぇ」クスッ

少年「交ぜませんよ?」


娼婦「はいはいっ、お姉さんは客の相手をして来ますよーだ。また、後でねー?」ガチャッ

少年「はい。色々と、ありがとうございました」ペコリ



少年「……」

少年「……」チラッ


女騎士「すぅーっ、すぅーっ……んん、むにゃむにゃ」

女騎士「くーっ、くーっ」




少年「さて、そろそろ起きて貰わないと」タッ

少年「女騎士さんが、呼吸するタイミングに合わせて」


少年「すぅっ、はぁぁぁぁっ……」

少年(やけつくいき)



少年「……」

女騎士「んっ……」ピクッ


少年「いい加減、起きてください」ペチペチッ

女騎士「うっ? うぅっ、あぁ……」パチッ



女騎士「ん……」

女騎士「んんっ!?」キョロキョロキョロキョロ


女騎士「どこだここは!? と言うか、お前も私も裸じゃないかぁっ!!?」ビクッ

少年「おはよう、おねえちゃん」ニコリ



女騎士「くっ、私を姉と……」

少年「呼びますよ? 少なくとも、この部屋に居る限りは呼びます」


女騎士「だったら、こんな部屋すぐにっ!!」

女騎士「あ、あれっ? すぐにっ、すぐ、に……うぐぐっ」プルプル



少年「首から下、痺れて動かないでしょ?」クスッ

女騎士「……」


女騎士「私を、どうするつもりだ?」キッ

少年「おねえちゃん で 遊ぼうかなぁって」



女騎士「くっ……」

少年「ボク、普通じゃない力をたくさん使えるんだ」


少年「なんでかなって……それをずっと疑問に思ってたんだけど、おねえちゃんが解決してくれた」

女騎士「私が?」



少年「母親、淫魔のサキュバスなんでしょ?」

女騎士「……」


少年「だから、その淫魔の力を魅せてあげるよ。おねえちゃんが、ボクを弟だって認めるまでね?」ニコリ

女騎士「っ!?」ビクッ



少年「立ったままじゃ疲れるから、横に座るよ?」ギシッ

女騎士「勝手にしろ……」プイッ


少年「おっぱい、触るね?」スッ

女騎士「っ……」



少年「えい」フニッ

女騎士「ははっ、不快感しかないなっ!!」


少年「そっか……なら、感度を上げちゃおう」

少年「まずは、十倍……から」クスッ



おやすみ

できれば明日か明後日で終わらせたい



少年「アップ」パチン

女騎士「っ!?」


女騎士(指を鳴らした? それが一体なんだと……)

少年「今度は優しく、指先でなぞってあげる」ツーッ



女騎士「ひぃっ!?」ピクンッ

少年「あはっ、おねえちゃんの声……可愛いなぁ」ナデナデ


女騎士「んんっ!? んっ、んんっ……くすぐったい、だけだ、バァーカ」ニヤリ

少年「……」



女騎士「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

女騎士(くっ、軽く触れられただけなのにっ、息がっ、乱れるっ!!)ギリッ


少年「ふぅん、くすぐったいだけかぁ……じゃあ、百倍にしよう」ニコリ

女騎士「はっ?」



少年「アップ」パチン

女騎士「ヤっ、ヤメてくれっ!!!」


少年「ふふっ、ヤメてくれー、だって」クスッ

少年「ここまで感度を上げちゃうとね? 日常生活もまともにおくれなくなるんだよ?」



少年「ほらっ」フニッ

女騎士「きひぃぃぃぃぃっ!?」ビクンッ


少年「おっぱいのどこを撫でられても、気持ちいいでしょ?」ナデナデ

女騎士「うあ、ぁっ、あ、あっ……」



少年「特に、ピンク色のここ……ピンて立ってる♪ 可愛いね?」

女騎士「や、だ。たのむっ、うぅっ……ヤメ、て」フルフル


少年「……」

少年「ふっ……」ゾクゾクッ



少年「もう、騎士なんかできないよ? 服が擦れただけでイッちゃうんだから」

少年「おねえちゃんの将来は、ボクみたいに、裸で体を売るしか無いんだ」クスッ


女騎士「っ、ぐっ、いや、だぁ……」フルフルフルフル

少年「そんなに首を横に振っちゃって、そんなにイヤなんだね? そんなに、ボクの生き方が、嫌いなんだね?」



少年「残念だけど、でも、少しだけ……愛おしいよ」スッ

少年「んっ、ちゅうっ」チュッ


女騎士「いぎっ!? うああっ……私の、おっぱいっ、かってに吸うなぁぁぁぁっ!!」ビクビクッ

少年「ぢゅっ、ぢゅるっ、ぢゅるちゅっ……」チュパチュパ



女騎士「んんんっ!! ううううううううう!!! くっ、ぜったい、許さないっ!!」ギロッ

少年「……」チラッ


少年「っ、ぷはぁっ……ふふっ、だから?」

少年「おねえちゃんがボクを弟だって認めるまで、ずーーーーーっと、続けるよ?」



少年「弟くん、て……呼んで欲しいな」ニコリ

女騎士「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、ん……誰が、呼ぶかっ!!」



少年「呼べっ!!!」ムニュッ

女騎士「ん゙ん゙んんんんんんんっ!!?」ビクビクッ



少年「……」

少年「言っとくけど、感度を上げたのは胸だけじゃないよ?」


女騎士「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

女騎士「へっ?」



少年「例えば、おヘソとか」ツーッ

女騎士「んぐっ!?」ピクッ


少年「そして、その下も……」

少年「あれっ?」



少年「……」

少年「ふふっ」クスッ


少年「ボク、見ただけで分かるんだけど、おねえちゃんさぁ?」

女騎士「なん、だ……」



少年「オナニー、大好きでしょ?」

女騎士「っ!?」プイッ


少年「あははははっ、その反応、分かり易いなぁ」

少年「クリトリス弄るの、気持ちよくて止められないんだ?」



女騎士「くっ、うぅっ……」

少年「そうだっ。オナニー好きなおねえちゃんが、もっとオナニーしやすくなるように」


女騎士「おいっ、なにをっ!?」アセアセ

少年「おねえちゃんのクリトリス……男の人のおちんぽに、変えてあげるね?」クスッ





女騎士「……」

女騎士「おちん……」


女騎士「っ!? やっ、ヤメろ!! ヤメろぉぉぉぉっ!!!」フルフルフルフル

少年「やっぱり、大きめの方が良いよねぇ♪」



女騎士「ひくっ、ぐすっ……おね、がい、ゆるしてっ」ポロポロッ

少年「……」


少年「おねえちゃん……」

少年「すぐ、大きくしてあげるから」クリッ クリクリッ



女騎士「ひっ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

少年「ね? もう硬くなって来た♪ 指先で触ってるけど、すごい弾力だよ?」コリコリ クリクリ


女騎士「あ゙あ゙っ、ゔあ゙ああああっ、わたひのっ、クリトリスがぁっ……」ピクピクッ

少年「おっきくなぁれ、おっきくなぁれー」スリスリ ナデナデ



女騎士「おっきくなるなっ!! ぐすっ、おっきくなるなぁっ!!」ムクムクッ

少年「そんなこと言ったってダメダメっ。もうボクのより大きいもん」


少年「おねえちゃんのクリトリス、簡単に扱けるよほらっ?」シコシコシコシコ

女騎士「んぎぃぃっ!? っ、あっ、あっ!! うわああああああん!!!」ビュルビュルビュルッ



少年「……」ネチョッ

少年「うっわ、はっやーーい」クスッ


女騎士「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」ピクッピクッ

女騎士「うぐっ、うぅっ……くっ、殺せ」



少年「どうして?」スリスリ コスコス

女騎士「んんっ!? だって、だってぇっ、こんな体じゃあ!!」ポロポロッ


少年「……」シコシコシコシコ

女騎士「いぎぃぃっ!!?」ビュクビュクッ



少年「ふふっ」

少年「んっ……にがぁい♪」チュッ


少年「まぁ、後で感度は戻してあげるよ」

女騎士「っ、コレも戻せっ!!」ビンビンッ



少年「あ」

少年「言い忘れてました」



少年「それ、射精しちゃうと『根付く』んで」

女騎士「はへっ?」



少年「二回も出しちゃったし、もう戻らないです」ニコリ

女騎士「うそ、だ……」


少年「恨むなら、堪え性が無くて早漏な、自分のおちんぽを恨んでね?」

女騎士「うそだぁっ……」ポロポロポロポロッ



少年「……」

少年「ふっ」ゾクゾクッ


少年「おねえちゃんの泣き顔を見てたら、久し振りに……」

少年「興奮してきちゃった」ピンッ



女騎士「……」

女騎士「ぐすっ、もう、好きにしろ」


少年「うんっ」グイッ

少年「おねえちゃんのナカに、ボクの、挿れるねっ?」



少年(どうせ、すぐイッちゃうと思うけど)

少年「いくよ?」ピトッ


女騎士「……」コクリ

少年「フッ!!」ズンッ




 ぢゅぶぶぶぶぶぶぶっ!!!


女騎士「ん゙んーーーーーーーっ!!?」ギュッ

少年(あれ? ボクの背中に、手が回されて来た? まだ痺れたままだと思ったけど……ああ、そっか)


少年「これからのおねえちゃんに、アドバイスするとね? イク時は、イクって声に出した方が気持ちいいよ?」

女騎士「はぁっ、はぁっ、んっ……イ、ク?」

てす


おっふ、またか…

休憩。今日中に終わらせたい



少年「そっ。動くよ?」

女騎士「あ、まってくれ……私、処女、だったんだからっ、ゆっくり」


少年「なに言ってるの? 痛いのも、気持ちよくなってるクセにっ、このっ!!」ズチュッ ズチュッ

女騎士「ふぎぃっ!? だって、らってぇっ!! わたひのっ、おまんこ、おまんこっ!!」ギュウッ




少年「ナカで擦られてるとこがっ、ひだひだがっ、全部クリトリスになったみたいに感じるんでしょ!?」グチュッ グチュッ グチュッ

女騎士「ふんん!! うああっ、あああっ!! ダメぇ、イクの止まんないぃ!!」ビクッ ビクッ



少年「はぁっ、はぁっ、おねえちゃん、おねえちゃん!!」パンパンパンパンッ

女騎士「いくっ、いぐっ、おまんこイクっ、おまんこイクッ、おちんぽもイクゥッ!!!」




少年「ぐぅっ!?」ドプドプドプッ

女騎士「ゔあ゙あああああああああああああ!!」ビュルビュルビュルッ



少年「ん……」ブルッ

女騎士「は、ぁ、ぁっ、あっ、ああっ……」



少年「ふぅぅっ」ヌポッ

女騎士「あがっ、っ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」ピクッ ピクッ


少年「……」

少年(用意して貰った道具、結局使わなかったなぁ)



少年(それに、最後まで弟とは呼んでくれなかったし)

女騎士「うっ、うぅっ……」ガクッ


少年「あれ? 気絶しちゃったの?」

少年「そっか……」クスッ



少年「……」

少年「……」


少年「おねえちゃん」

少年「ゴメンね?」ボソッ



少年「でも、どうせ大人になったら、この体になってたから……」

少年「少し早く目覚めさせちゃったけど、おねえちゃんも、サキュバスの血を受け継いでるんだしね」


少年「母親からは説明を受けてなかったみたいだったし、いずれ変わる体を見てショックを受けるよりは」

少年「ボクにされたと思って恨んでくれた方が、良かったかなって……」ナデナデ




少年「……」

少年「それじゃボク、行くね?」


少年「さっさと魔王を倒して、人々を守り、平和な世界を作らないと。そうでしょ? おねえちゃん」ニコリ

少年「戻って来たら、今度は……弟くんて、呼んで欲しいな」





 ── その半年後 ──



 勇者に選ばれた少年は、魔王の居る城へと辿り着く。

 そして、激しい戦いの末……勇者は消え、魔王は残った。


 更にその一年半後。次こそは魔王を討つべく、新たな勇者が旅立ちの日を迎える。




 アレフガルド 墓地



女騎士「……」

女騎士「父さん、母さん、行ってきます」


僧侶「挨拶は、お済みになられましたでしょうか?」チラッ

女騎士「ああ」コクリ



女騎士(おぼろ気ながらに覚えている……勇者ロトを圧倒したアイツ。そのアイツが敗れた魔王。私に、勝てるのか?)

女騎士(いや、勝つしかない!!)グッ


僧侶「そうですか……わたくしは宿に戻りますが、勇者様は?」

女騎士「ん? 旅の資金が心許ないからな。私は、もう少し……オヤジ相手に稼いで来るとするよ」クスッ



おわり

第一部と言うか、少年編と言うか、弟編は、これで終わり。一区切り。

もし続きを書くときは、
女騎士「○○」みたいなタイトルでスレを立てます。

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