恭子「末原裁判」咲「脳内会議」 (48)


咲「寄りかかる」恭子「寄り添ってる、やろ?」より前の話です

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咲から返信がこない
うちなんか気に障るようなこといったっけ……

追撃するべきなんか……いやでもなー
しつこいって思われたりしたら嫌やしなぁ


開廷!ターン!


末原裁判官「ではこれより宮永咲(被告)からの返信がない理由について審議を始めます」
末原裁判官「原告側どうぞ」

末原検察官「これまで被告は短いながらも返信してくれてはいた」
末原検察官「しかし原告が送信してからもう一時間以上経っている」
末原検察官「これはもう返信する気が無いのでは?」


末原弁護人「異議あり!」

末原裁判官「弁護人どうぞ」

末原弁護人「一時間と言えば待っている側からすれば長いけど、何かしているとすぐに経ってしまうんやない?」
末原弁護人「例えば夕飯とか風呂とか課題とか」


末原裁判官「なるほど、それはありえそうですね」

末原検察官「しかし、それならその前に一言あってもいいのではないか」

末原弁護人「いや、ほら、突発的な事かもしれんし……電話がかかってきたとか……」
末原弁護人「被告はもともと返信が早い方やないし」
末原弁護人「それに先のやり取りで機嫌を損ねるような表現はなかったハズや」


末原裁判官「確かに当たり障りのないやり取りのようでしたね」

末原検察官「だが、その内容の無いやり取りに被告が意味を見出せなくなったともとれるのでは」

末原弁護人「……それはありえるかも」
末原弁護人「でももっと単純に寝落ちとかあるんちゃう?」


末原裁判官「この時間にですか?まだ22時過ぎですよ」

末原検察官「その可能性はあるかもしれない」
末原検察官「こちらは生活習慣までは把握していないが、被告のことだし」

末原弁護人「せやろ?せやろー?」

末原裁判官「うーん。分かりました」


末原裁判官「では判決!」

末原裁判官「弁護人の意見は推測の域を出ませんが充分ありえる話です」
末原裁判官「また被告が原告との会話で気分を害したという証拠もない」

末原裁判官「よって無罪!」

末原裁判官「何かほかに重要な用事が出来たのかもしれませんしね」
末原裁判官「下手に動くより向こうの出方を窺いましょう」


閉廷!ターン!

・・・・・・・・・・

その日の内に返ってこんってこともままあることやしな
一、二時間程度で狼狽えてちゃあかんわ


後日……

やっぱ咲の声が聞きたくなって……

恭子「今大丈夫か?」

咲『はい。この前はメール、すみません』

恭子「ええよええよ。なんかあったん?」

咲『お風呂に入ってそのまま……』

うち当たっとったやん!


咲『メールってちょっと苦手で』

恭子「打つのが?」

咲『それもあるんですけど』

咲『打ったのを見直してると、助詞が多いなとか思ってしまうんです』

恭子「助詞?」


咲『一文に[の]が三回も出てきてる。読みづらいかな、とか』

咲『それで削ったり消して、書き直したりしてるうちに面倒になっちゃって……』

恭子「分からんくもないけど、メールなんやし添削せんでも勝手にこっちで補完するで」

咲『メールだから残っちゃうじゃないですか』

メールで揚げ足とったりはせんやろ
いや……これは性格的なもんか


恭子「確かに読みやすい方がいいとは思うけどな」

咲『でもそれで返さなかったら本末転倒ですよね……』

恭子「まぁ急いで返信せんでもええよ。メールってお互いが暇な時に返せるってのが利点やしな」

咲『ごめんなさい』


恭子「ええって。それなら今度から何かあったら電話にしよか」

咲『すいません』

恭子「何回謝っとんねん!もうええから、な」

咲『はい。ありがとうございます』

恭子「ん」


咲『あ、あと末原さん』

恭子「なんや?」

咲『今日のお昼ごはんがどうだったとか、正直返答に困るんですけど……』

恭子「……」

そっちは当たらんでええんやけど……


恭子「すみませんでした」

咲『いや、いいんですけど、純粋にどう返せばいいのか分からなくて』

恭子「そんなもん適当に『良かったですね』とか『こっちは何々でした』とかでええやん」

何が悲しくて自分宛てメールのカンペ作らなあかんのや……

咲『そうですか……』


恭子「いや分かるで。そのやり取りが無駄やし不毛やってことも」

恭子「でもその無駄を楽しみたいねん!」

恭子「今日は咲何しとったんかな?とか思うやん!そんくらいええやん!」

咲『そんなに興奮しないで下さい。無駄とは言ってないでしょう』

咲『私も末原さんの事もっと知りたいですし』

咲『ただちょっと煩わしいと思うことも無きにしも非ずだな~って』

恭子「……」


咲『末原さんがじゃないですよ。メールがですからね』

恭子「……確かに私も面倒になってきたらスタンプ貼り付けるだけで送ることもあるけど」

咲『スタンプ……?』

恭子「絵文字みたいなもんや」

咲『ああ、ラインのやつですか』

そういえば咲から連絡くれたことってほとんどないな

いやほとんどって言うか……いつもうちからやない?


恭子「咲もなんかあったらいつでも連絡してくれていいからな。電話でもメールでも」

咲『はい』

恭子「あ、なんもなくてもしてくれてええで」

咲『……はぁ』


恭子「……じゃあ、またな」

咲『はい』

恭子「……」

咲『……』

ポチッ

……咲はいっつもうちが切るのを待っとるな

どうせ可愛い理由じゃないんやろうけど。
電話は掛けた方が切るのがマナーとか、先に切るのは失礼とか思ってそうや


……うちががっつき過ぎなんか?


開廷!ターン!


末原裁判官「ではこれより宮永咲(被告)の方から連絡くれない問題について審議を始めます」
末原裁判官「原告側どうぞ」

末原検察官「被告は原告に対して話すことは何もないということでは」


末原弁護人「いやいやいや!」

末原裁判官「弁護人どうぞ」

末原弁護人「連絡したら返してくれるし、電話でも色々話すやん!」

末原検察官「しかし被告からの連絡がないことは事実」


末原弁護人「それは……原告が頻繁に連絡してくれるから、自分からする必要を感じてないんとちゃう?」

末原検察官「その可能性も考えられます」
末原検察官「が、原告から連絡しないと音信不通のまま季節が過ぎる可能性の方が高い……」

末原弁護人「そんなことは……」


末原裁判官「では一度連絡しないで待ってみますか」

末原検察官「そんな勇気ある?自然消滅……なんて事になったら目も当てられない」

末原裁判官「……」

末原弁護人「……」

末原裁判官「……そうですね。そんな人を試すようなことをしてはいけませんね」

末原弁護人「……」

末原裁判官「……」

末原検察官「……」


末原裁判官「べ、弁護人、弁護!弁護!」

末原弁護人「えーと……携帯買ったばっかりやし、慣れてない、とか?」

末原検察官「……それに元々人付き合いに対してそこまでマメじゃない所は見受けられますね」

末原裁判官「うんうん。そうですね」


末原検察官「でも……いつもの会話でもちょっと軽くあしらわれてる感が……」

末原弁護人「それはほら……気恥ずかしいんとちゃう?」

末原検察官「打ち筋に反して実生活では器用そうではない……かな……」
末原検察官「あえてそうしてる節も見受けられる……かも……」

末原裁判官「なるほど」

末原弁護人「そこがまたいいんやけどな」

末原検察官「確かに」


末原裁判官「では判決!」
末原裁判官「両者の意見を考慮し……」

末原裁判官「問題なし!」


閉廷!ターン!

・・・・・・・・・・

そんなもん気にしとったらなんも出来んくなるわ


洋榎「ほー」

恭子「!?」

洋榎「うちにはすぐ有罪判決下す癖に宮永には随分甘いんやなー」

恭子「いや、ほら日本は裁判になった時点で99%は有罪やし……」

洋榎「残りの1%は宮永で占められとるってか」


由子「宮永さんが係わると途端に自分にも甘くなるのよー」

恭子「そんなことないやろ」

由子「裁判は公正に行われなければならないのよー」

洋榎「これが本当の判官贔屓ってか」

恭子「いや上手ないし、意味ちゃうし」


恭子「ってか何でうちの脳内覗かれてるんや」

恭子「どういう状況?これ」

洋榎「ボケには突っ込まなあかんやろ」

洋榎「わざわざ来てやったんや感謝しーや」

恭子「ボケてないわ!」

由子「色ボケしてるのよー」


恭子「いや……そんなことは」

洋榎「反論できひんのかい」

洋榎「まぁええわ。うちら突っ込んだから帰るわ」

恭子「えぇ……」


由子「ふふっ。洋榎なりに心配してるのよー」

恭子「アレでか」

由子「でも、あんまり浮かれとったらあかんよ」

由子「ちゃんと見ててあげなきゃ」

恭子「……大丈夫やって。ありがとうな」

あいつはちょいちょいフラフラっとどっか行きよるからな
物理的にも精神的にも

自分を見失っているうちに咲まで見失うとか笑い話にもならん


私と咲の気持ちでつり合いが取れてないのは分かっとる
でもそれは誰だってそうで当たり前のことやし、これからどうとでもなることや

だから焦っちゃあかん
この気持ちを今全部ぶつけると
咲は受け止めきれんやろうし、引いてまうかもしれん

いや、咲ならさらりと躱す可能性も……


……ま、長期戦は望むところや
気長にやろか




>>12

読点を打つ所おかしかったです。すいません

咲『それで削ったり消して、書き直したりしてるうちに面倒になっちゃって……』

咲『それで削ったり、消して書き直したりしてるうちに面倒になっちゃって……』

ひきだしにテラニウムと似てるノリがよかったホンワカ出来たわ

>>38
まさか分かって下さる方がいらっしゃるとは……
元ネタは九井諒子さんの代理裁判です
おもしろいですよね

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