【がっこうぐらし!】慈「めぐねえハーレム?」【安価】 その2 (804)


 めぐねえにもし主人公補正があったら――というお話。
 その他にも色々ついてますけど

 2スレ目でござい

 注意
 R-18、ふたなり要素(めぐねえのみ)あり、オリキャラ要素あり、オリジナル展開主体、キャラ崩壊

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444491858


 あの日のことを私ははっきりと覚えている。

 約一週間前。
 私達の日常は崩壊した。
 突如学校を、街を襲った異変。
 次々感染する脅威。
 みるみるうちに私達の目に写る景色は瓦解し、崩れきった。

 ――でも、終わりじゃない。
 黄昏の時。巡ヶ丘は確かに終わりへと近づいている。

 ――けれど諦めることなんかできない。
 私たちは生きていて、夢があるから。

 きっと、やるべきことは変わらないのだ。
 事件があった後も、その前も。
 ただ生きて、生きて、自分の足跡を遺す。


 おそらく人が起こした事件。
 真相を知った私は、頼もしい生徒達と仲間と共に生き残ることを誓う。

 学校に街に、まだまだ生存者はいるだろう。
 助けられる人はみんな、助けておきたい。
 そのためにも、私たちはまだ身体を張る必要があるだろう。

 ……ハーレム云々はまぁ、どうでもいいというか。

 ――とにかく、生存者は助けようと思う。
 私が私として生きた証を残すために。私の生徒達を卒業まで見送るために。


 聞こえてきた音に目を覚まして部屋から出ると、みんなが休憩室で何かの準備をしていた。

悠里「あれはそっちで、あ、天子先生それはこっちに」

天子「はいはいー」

胡桃「ゆきはこれ運んで、テーブルの上に広げといてくれ」

由紀「うん。それくらいなら……」

 追加用だろう。
 机やテーブルを運んでいる胡桃ちゃんと栗宮さん。
 そして元からあったテーブルの上に缶詰をいくつか置いて、飲み物と紙コップを用意する由紀ちゃん。

慈「おはよう」

 ドアをちょこっと開けて様子を見ていた私。
 なんとなく彼女達が何をしようとしているのか分かり、思わず苦笑。
 そんなことをしている状況でもないのだけど、まぁ大切なことだ。
 現状を受け入れて嘆くだけでは気が滅入ってしまう。

由紀「あ、めぐねえ。休めた?」

慈「ええ。ゆっくりできたような気がするわ」

 心配そうな顔をする由紀ちゃんへ、笑顔で答える。
 部屋に入り、ドアを閉じる。

慈「――で、これは二人の歓迎会かしら?」

胡桃「あはは……見て分かるよな」

天子「まぁ分かりますよねぇ」

悠里「楽しい方がいいかと思ったんだけど……駄目だった?」

 ――意外だ。悠里ちゃんが発案者だとは。
 いやいいんだけど、むしろ嬉しくはあるんだけど。

慈「いいのよ。私もそっちの方が好きだから」

悠里「……うん。ありがとう、めぐねえ」

 それほど責めてるつもりはないんだけど、私が言うと悠里ちゃんが心底ホッとした様子で胸をなでおろした。
 悠里ちゃん……かわいい。

天子「節度はわきまえてますから、大丈夫ですよ」

慈「ええ。――ところで、あの二人は?」

 部屋を見回してもあの二人はいない。
 シャワーに案内して……えっと、それからは分からないんだけど、どうしたのかしら?

胡桃「ああ、あの二人なら……」チラッ

悠里「今着替えてるわ」

慈「そう。着替えがあったの?」

由紀「教室にあった体操服をあげたけど……」

 体操服か。それなら、大丈夫だろう。
 彼女達は服を洗える状況にあったか分からないし、正当な判断だろう。
 でも、

慈「でもあの二人を――」

天子「単独行動させるのは危険、ということですよね」

 私が言おうとしていたことをそのまま栗宮さんが繋ぐ。
 満面の笑みでニコニコとしながら言われると、ちょっと驚いてしまう。

天子「大丈夫ですよ。あの子達、そういう子ではないと思います」

慈「……そうね」

天子「あの子達が悪い子なら、ハシゴ前で登るか登らないか揉めたりもしないですし」

胡桃「だよな。あれは心臓に悪かった」

 ――そうよね。
 あの時二人は誰かを助けようと命がけで行動していて……それだけでも信用には値するだろう。

慈「……そうね。ちょっと神経質になっていたかしら」

 彼女達は人だから、余計に警戒してしまうのだろう。
 人は色々考えてしまうから。

???「出たよー」

 ガラッとドアが開く。
 休憩室から更衣室へと続くドア。そこから件の二人が出てくる。
 一目でシャワー上がりだと分かる見た目の彼女達。体操服を着た彼女らは、元気よく休憩室に。

???「あれ? 歓迎会かな? やー、嬉しいなー」

 目ざとく気づき、ニコニコと笑いながら元気な少女は言うと、テーブルに近づく。
 その斜め後ろで外国人らしい女の子がおどおどしながら、周りを見ているのだけど……改めて、この二人ってどういう組み合わせなのだろう。

【ちょっと更新少なめだけれど今日は落ちで】


 さて、準備も終わり主役もやって来た。
 私たちは席に座り、ささやかながら歓迎会を兼ねた夕食を始める。
 缶詰と野菜、そしてパン。ジュース数本。
 これがどれほどの贅沢かは分からないけど……まぁ、上等だろう。

???「ふんふん、なるほど。ゆきにくるみにりーさん、天子先生にめぐねえと」

慈「できれば、佐倉先生か、慈先生で……」

???「よろしく……みんな」

 まず、私達が自己紹介。
 これまでの経緯を語り、各々自分のことを紹介する。
 ――で、何故かめぐねえの呼称が定着してしまった。
 どうしてだろうと思うけど、最近自分でも訂正することがなかったから、今更なのかもしれない。
 苦笑し、ため息。複雑な気分でいる私の斜め前。いつもの如くニコニコと笑っている栗宮さんが口を開いた。

天子「では、次はお二人の番ですね」

???「うん。名乗られたら返さないとね。ほら、イリス」

 椅子から立つ二人。
 まず、明るい女の子から自己紹介。

智夏「須戸部智夏。14歳。中学二年。色々頑張っていこうと思ってるから、よろしく!」

 ウインクし、ガッツポーズを作る女の子。
 智夏……ちゃんって呼ぶべきだろうか。
 呼ばないとみんなに何か言われちゃいそうだし。
 校庭では武器を使っていたし、彼女は戦えるのかもしれない。
 で、二人目。

イリシスシア「エバンス・イリシスシア。そこからしたは、おなじ」

 名前だけやけにいい発音だったけど……そういうことよね。
 下は同じというのは、多分14歳で中学生ということか。
 智夏ちゃんと同い年。ひょっとしたら事件の前から友達なのかも。

 中学生二人。
 戦闘面ではちょっと不安だけど、なんにしても人数が増えるのはいいことだ。
 できることが増えるのだから。デメリットも増えるけど。

胡桃「これで7人か」

悠里「賑やかになるわね」

智夏「んー、賑やかにしちゃうよ。静かなの苦手だからね!」

由紀「あはは……」

 でも、こうして誰かを助けて仲良くすることは決して損などではないだろう。
 明るく話す智夏ちゃん。
 校庭での第一印象は凛とした、かっこいい感じの女の子だった彼女。
 今はニコニコと笑っていて、ムードメーカー……といった感じか。
 隣のイリシスシア――イリスちゃんは若干暗い顔をしている。
 見知らない人がいる場所にいきなり入りこんだんだし、緊張しているのかもしれない。不安だって感じて当然だ。
 先生として、子供達のことはしっかりサポートしてあげないといけないわよね。

智夏「にしてもここ、電気も使えるし水も使えるみたいだし、どうなってんの?」

慈「ああ、それはね……」

 これから、私たちはどうするべきだろうか。
 頭の隅で漠然と考えながら、私は仲間たちとの食事を楽しんだ。

【――と、申し訳ないですが一旦落ち】
【寝てなければ11時半くらいから更新予定】

【寝はしなかったけれど悪酔いでダウン。できたら朝に更新】

【またもや遅れましたが、更新します】

 何事もなく、ゆったりと時間が過ぎていく。
 新入りの二人も問題なく溶け込めているみたいだ。
 意外にイリスちゃんが積極的にみんなとコミュニケーションをとっているし、智夏ちゃんは言わずもがな。
 大丈夫だろう。

慈「……よしと」

 ノートに昨日のこと、今日のことをしっかり記載。
 新しく入った二人のことも書いておく。
 記録が一段落つくと私はペンを置き、伸びをする。
 ――まだ、時間はある。
 食糧の問題もあるし、やることがあるなら早めにやったほうがいいだろう。
 さてと、どうしようか?



 夜コマンド
 1・夜食作り【資源200消費】
 2・会話 【生徒らと会話。好感度が変動】
 3・トレーニング 【自分を鍛える。各種パラを選択し、コンマ判定】
 4・探索 【朝~夕方コマンドと同じ。敵は少なめ】

 ↓2

ksk

【1・夜食作り】


慈「……そうね」

 あれこれ考えていると、ふと感じた感覚。
 お腹が空いた。
 昨日からずっと気を張っていたし、そのせいなのかもしれない。
 幸いまだ食べ物はあるし、ちょっとくらい大丈夫だろう。

慈「さてと……」

 椅子から立ち、小さな台所を見る。
 ――そういえば、イリスちゃんは料理が得意とか言っていたような。
 前回の失敗もあるし、頼ってみてもいいかもしれない。


 ↓1 料理の出来コンマ判定
    (イリスのスキルを使用するか否か、書き込んでください)

使う

【ごちゃごちゃなってしまいましたが、>>31採用】
【イリスのスキル使用 資源500消費】

【コンマ 52 + スキル補正20 = 72  結果:良】

 ――頼った方がいいわよね。
 私、すごい失敗してたし……。

慈「イリスちゃん。いいかしら?」

 由紀ちゃんと話していたイリスちゃんに声をかける。
 二人はそれなりに気が合うようで、楽しげだ。
 由紀ちゃんは事件にショックを受けていたし、こうして話し相手が増えることは嬉しい。

イリス「めぐねえ……どうしたの?」

 会話を中断し、こちらを見るイリスちゃん。
 そしてやはりめぐねえと。

慈「ちょっと、手伝ってほしいことがあって……いいかしら?」

イリス「てつだい? いいよ」

由紀「めぐねえなんかするの? 私も手伝う?」

慈「大丈夫よ、由紀ちゃん。ちょっと料理するだけだから」

 小首を傾げ、優しい言葉をかけてくれる由紀ちゃん。
 私が料理と口にすると、彼女は苦い顔をした。

由紀「あー……めぐねえ、前事故起こしたからね。だからイリスちゃんを――」

慈「い、イリスちゃん! さぁ、行きましょう」

イリス「え? じこ? えっ?」

 目をぱちくりさせているイリスちゃんを半ば強引に連れて行く。
 まさかあの一件、事故扱いされているとは。
 いやまぁ、いきなりカレーかけられるのは事故以外のなにものでもないのだけど。

【ちょこちょこミスるので、台本の名前もイリスで固定】


 今回の夜食の材料はパンと缶詰そして野菜。
 歓迎会ということで張り切って開けすぎたらしい。
 冷蔵庫にしまってはあるけど、電源が切れる可能性も否定できない。
 できるだけ使いきったほうがいいだろう。

慈「ということで、お手伝いよろしくね? イリスちゃん」

イリス「ん。がんばる」コクリ

 静かながら張り切った様子のイリスちゃん。
 さて、料理が得意な彼女がいるし、今回は美味しそうなものができるといいけど……。


イリス「できた」

 約十分後。料理が完成した。
 料理名は名付けるならばコーンビーフサンド。
 余った丸型のパンを切り、そこにコーンビーフと野菜を挟んだシンプルな品だ。
 見た目は勿論、においもいい。これなら味も、期待がもてるだろう。
 ――すごい。イリスちゃんがいることで、ここまで明確に差が出るとは。

慈「ありがとう、イリスちゃん。助かったわ」

イリス「すきだから、だいじょぶ」

 グッとサムズアップ。頼もしい子だ。
 ――さて、ちょうど3つできたんだけど、私とイリスちゃんの他に、誰か呼ぼうか。


 ↓1 誰を呼ぶ?(対象:現在加入している仲間)

ナイスファンブル(白目)

【智夏 コンマ66 ファンブルでござい】
【スキル使用したので、一人だけ食べられることにしましょうか】
【今後もこういう感じで。スキル使用しなかったら全部ぶちまけで】


慈「智夏ちゃんも呼ぼうかしら……」

 彼女も怪我してたり、色々大変だっただろう。
 ここは労をねぎらう意味で呼ぶべきだ。

慈「ちょっと智夏ちゃん呼んでくるわね」

 イリスちゃんに言って、私は休憩室を出た。


 ↓1 誰に食べさせる? (対象:慈、イリス、智夏)

当初目標は(多分)達成したとはいえ
二人の好感度は下がりそうだな

【めぐねえ】

 智夏ちゃんを呼んできた。
 新入りの二人を加えて、これから楽しい夜食タイム……と思ったのだけど。

慈「あの……なんで一つしかないのかしら?」

 私と智夏ちゃんが休憩室に戻ると、サンドは一つしかなかった。

イリス「あ、あの……みんなが、たべた……」

 問いかけると、おろおろとイリスちゃんが言う。

智夏「食べた? ちょっと待ってねめぐねえ。詳しく聞いてみるから」

慈「え、ええ」

 一体どうしたというのだろうか。
 気になるけど……ここは智夏ちゃんに任せておくとしよう。
 少し待つと話が終わったようで、二人が私へと顔を向けた。

智夏「由紀と悠里、胡桃に天子先生――他の人達が持っていったみたいだね。イリスが何か言う間もなかったみたい」

イリス「ご、ごめんなさい……」

慈「え、ええ。いいのよ気にしなくて。しょうがないことよ」

 今回ばかりは誰も責められないわよね……うん。
 美味しそうだったし、食べたくなるのも分かる。イリスちゃんの気持ちも分かるし。

【食べた対象外の四人が回復はしません。ファンブルなので】


智夏「んじゃ、とりあえずイリスかめぐねえ、食べなよ」

 イリスちゃんと智夏ちゃん。
 二人に二等分が妥当だろう、なんてことを思っていると智夏ちゃんがそんなことを言う。

慈「えっ? でも智夏ちゃんが食べた方が――」

イリス「めぐねえ、たべたほうがいい」

慈「え? あの、でもイリスちゃん頑張ってたわよね?」

 ススッとイリスちゃんが私の方へと皿を寄せる。
 まるで私一人が食べた方がいいと言わんばかりに。

智夏「めぐねえに食べて欲しいみたいだよ」

イリス「まもれなかったから」

智夏「はは、大袈裟だけどね。まぁ、うちは気にしないから。久しぶりに主食とおかずを食べられたし」

 言って、智夏ちゃんは頭の後ろで腕を組み欠伸。
 イリスちゃんは真剣な表情でジッと私を見ている。
 ――食べない、のも失礼よね、こうなったら。

慈「え、ええ。じゃあいただくわ」

 申し訳ないけど、ここは食べておくことにしよう。
 私は恐る恐る手を伸ばし、それを食べた。

もひとつ質問 3人で分けるってことは出来ないの?
料理的に包丁で三つに分ければまだ食べられそうなんだけど

【良心的すぎるとファンブルが霞むので、そこら辺はやめときます】
【最初は料理全部駄目にしようかとも思ってたくらいですし。今後他のファンブルクリティカルは>>1の匙加減で変化します】

慈「いただきます……」

 一口。かじってみる。
 パンの柔らかい食感の中にある、しゃきっとした歯ごたえ。
 生のレタスと、コーンビーフと共に軽く炒めてある玉ねぎ。
 醤油とコーンビーフの風味の中に微かに感じるわさびの味。
 洋風の料理ながら、味は和風。わさび醤油のステーキを、付け合せの野菜と食べているような多彩でまとまりがついた味。
 ――美味しい。すごく凝った味だ。

慈「……ふぅ、ごちそうさまでした」

 あっという間に私は完食した。
 手を合わせ、満足気に息を吐く。ホッと、人心地ついたような感覚だ。

二人『……』ジーッ

 これで、二人にも食べさせられていたら……言うことなしなのに。
 食べ物を譲ってくれた二人に感謝すると同時に、いつか恩返ししようと誓うのだった。



【佐倉慈の体力が全快しました】
【耐性が30回復しました】


【ここで一度落ちます】

おつーー

【好感度下げ忘れました】
【それぞれ3下がります】

【一日経過 八日目へ】

【スキル 良回復、園芸の知識、医術の心得が発動しました】


『変化したステータス』

【佐倉 慈】
 体力 100/100
 耐性 80/100
 精神 110/110
 力  39
 速さ 20
 賢さ 40
 技術 50

 『スキル』
 良回復 一日のはじまりに体力を10回復

 『持ち物』
 鉄杭(力に補正+5)
 スマホ、車のキー

【共通ステータス】
『資源』 1800
『消費量』 700 
『生産』 600



【好感度一覧】
由紀 43  「いい先生、だよね」
胡桃 51  「笑顔がかわいいな」
悠里 55  「色々見てて不安……」
天子 35  「いい同僚です」
智夏 30  「まだよく分かんない」
イリス 31 「悪い人、じゃない」

 八日目。
 いよいよ一週間を突破した。
 これからを考えるとちょっと不安だけど……まだ充分やっていける範疇だ。

慈「――今日も、新しいことはさっぱりかしら」

 朝食後。
 恒例の作戦会議をしてみるも、みんなから新しい話が出ることはなかった。
 今は出ている話をこなしていくことしかないのだろう。

イリス「……ん」

 今朝はこれで解散にしておこうか。
 そう思った瞬間、イリスちゃんが静かに手を挙げた。

慈「? どうしたの? イリスちゃん」

イリス「うらない、できる」

 占い? 首をかしげる面々へ、イリスちゃんはカードを取り出す。

胡桃「なんだそれ? トランプ?」

イリス「タロット!」

悠里「タロット……ファンタジーね」

イリス「だいじょぶ。こうかはいいから、やったほうがいいとおもう」

 結果は保証するから、やってほしいということかしら。
 占い……智夏ちゃんがすごい楽しそうな顔をしているのが気になるけど、やってみてもいいかもしれない。


【朝~夕方コマンド、夜コマンドに占いが追加されました】
【今後のヒント、尋ねたいこと、その他諸々……色々問うことができます】
【ただし代償はあり。重要な事柄は次回コンマ判定に悪影響が】
【時間経過はありません】


 水をのんびり飲みながら考える。
 新しく仲間が加わって、街に行けることも分かった。
 これから行動の範囲が広がっていく……だろうか。
 街には学校以上の奴らがいるだろうし、少しでもなにかミスすればどうなるか……。
 そこは、考えない方がいいのだろうか。

慈「はぁ……安全なんてないのよね」

 そう考えると精神的に辛いものがあるわよね。
 いち早く、少しでも安心できる環境を整えないと。



 朝~夕方コマンド(とりあえずコマンドだけ選んで、その後メンバーやら詳細を決定します)
 1・開発【選択不可】
 2・提案
 3・授業
 4・探索
 5・占い

 ↓1

【5 占い】

慈「……聞いておこうかしら」

 占いの程度は分からない。
 でも、これからを進むためには少しでも情報があったほうがいいだろう。

慈「――なにを聞こうかしら」

 肝心なのは占ってもらう内容だ。
 なにを彼女に問いかけるとしようか。


 ↓2 占ってもらう内容

【これからすぐにやるべきこと  代償はなし】

慈「――ということなんだけど、どうかしら?」

慈「これからすぐにやるべきこと……占える?」

 休憩室の長テーブル。
 向かい合わせに座り、対面のイリスちゃんへ問いかける。

イリス「だいじょうぶ。いける」

 急に呼ばれたにも係わらず、彼女はやる気満々。
 タロットカードをテーブルの上に並べ、一枚手に取った。

イリス「けっか……でた」

智夏「ふんふん、なるほど。そゆことね」

慈(い、いつの間に……)

 気づかない間に彼女の隣にいた智夏ちゃんが、イリスちゃんに耳打ちされ、こくこくと何度か頷く。

智夏「結果はこうだね」


【すぐにやるべきことは部を作ること】
【そのためには出てきたイベントをこなしていくこと】
【やりたいことがある場合は、提案するのが吉】
【条件を満たしていれば、手に入れたいもの、目的だけでもイベントが発生します】

慈「……うーん、部ってなにかしら?」

智夏「さぁ? そこら辺は曖昧だから」

イリス「あたるもはっけあたらぬもはっけ」

智夏「それ流派ちがくない?」

 ……結局、やるべきことは沢山あるということだろうか。
 まぁ収穫はちょっとあったかしら。


 朝~夕方コマンド(とりあえずコマンドだけ選んで、その後メンバーやら詳細を決定します)
 1・開発【選択不可】
 2・提案
 3・授業
 4・探索
 5・占い

 ↓1

【2 提案】

慈「何か考えた方がいいかしら……」

 やるべきことは沢山ある。
 でも、まだやるあきことはあるだろう。
 占ってくれたイリスちゃん、智夏ちゃんにお礼を言って、私は座ったまま思考をはじめた。
 私達がなにをするべきか……。


 ↓1 提案する内容

【今日は落ちます】
【安価はここから↓1で】

【占いに従って部活を作ってみる】

慈「部……って部活かしら」

 ふっと、頭に浮かぶ。
 イリスちゃんの占い。部を作るのがすぐにやるべきこと……だとか。
 でも部を作るといっても、一体何部を作るべきなのだろうか。

慈「うーん……」

 思いつかない。
 部を作ることは頭に入れておくとして、今は他にやれることがあるだろう。
 それをこなしていけば、追々何か思いつくかもしれない。
 まず教材を揃えて、それから授業してみるのもいいかも。


【フラグ『部活を作ろう』が明確化しました。
 内容:『部を作ろうと思うが、いまいちアイディアが思いつかない。とりあえず学校らしいことをしてみよう。まずは教材の確保。それから授業の実践』】


【このように提案で、何をすればその目的が果たせるのかフラグが明確化する場合もあります】
【複数のイベントをこなすことで起こるイベントの条件だったり、キャラの個別イベントが関係していたり――条件は様々】
【明確化の場合は目的を果たすまでの過程が表示されるのみなので、探索で実行することはできません。条件をよく覚えておきましょう】



 ↓2 他に提案することはある?

【足の確保】

慈「街に出掛けるなら……メンバーは多めの方がいいわよね」

 それに移動手段は多い方がいい。
 使える乗り物をできるだけ確保しておいて、保持しておけば……それは生存率を高めることにも直結するだろう。

慈「……そうね。後でみんなに話しておこうかしら」


【イベント『移動手段』が発生しました。
 内容:『街の探索を本格的に行うならば、移動手段は重要になる。来るべき時に備え、準備をしておこう』】


 ↓2 他に提案はある?

【モールから必要な道具の調達】

慈「……色々必要よね」

 街に出られるなら、色々お店を探索してみるのもいいかもしれない。
 小さいお店だともう何も残っていないかもしれないし……モールとかどうだろう?
 ひょっとしたら、誰かいる可能性だってある。

慈「――よし」

 危険は勿論あるだろう。でも、承知の上だ。
 色々得られるだろうし、行く価値はある。
 これも、後でみんなに伝えておこう。


【イベント『モールへ』が発生しました。
 内容:『街を探索できるならば、モールへ行く価値はあるだろう。生存者がいる可能性もある。準備を整えて向かおう』】


 ↓2 他に提案はある?


【今日はここで落ちます】

【敵の特性や行動パターンの分析】

慈「大切なことよね。大変そうだけど……」

 でも、それでも、やる価値はある。
 敵を知ることは大きなメリットをもたらすだろう。

慈「……うーん、栗宮さんに聞いてみようかしら」

 出会ってから何日か経ったし、何か新しいことが分かっているかもしれない。
 あの人、ぼんやりしてて基本抜けてるし……聞いておかないと。


【フラグ『天子先生の講座』が明確化しました。
 内容:『敵を知ることは重要。ということで天子先生に色々教えてもらおう。けどまだ今は情報不足かも』】


 ↓1 他になにか提案はある? この一回で驚異的に他のコマンドに移ります

【新しいトレーニングの開発】

慈「新しいトレーニング……なにかあるかしら」

 自分に力がないのは分かっている。
 今は手先がちょっと器用なだけで、特にこれといって特徴がない。
 これから修羅場を越えようというのなら、もっと力をつけるべきだろう。
 ――でも。

慈「なにをすればいいか分からないわ……」


【フラグ『トレーニングメニュー』が明確化しました。
 内容:『戦うために、危機から逃れるために、効率的なトレーニングメニューを考案しよう。詳しそうな人に聞くのがいいかも』】

慈「――大体、こんな感じかしら」

 やるべきことは沢山ある、ということだろう。
 早速思いついたことを皆に伝えておこう。
 ――ということで、これからの時間、なにをしようか。



朝~夕方コマンド(とりあえずコマンドだけ選んで、その後メンバーやら詳細を決定します)
 1・開発【選択不可】
 2・提案
 3・授業
 4・探索
 5・占い

 ↓1

【4 探索】

 現在発生中のイベント


 【イベント『購買部』
 内容:『休憩室にある食糧だけでは心もとない。危険だが2階の購買部に行く必要性も出てくるだろう』】

 【イベント『教材確保』
 内容:『授業をはじめることにした。今のままでもいいけど、やっぱりするなら効率的な方がいい。2階の図書館で教材を探そう』】

【イベント『移動手段』
 内容:『街の探索を本格的に行うならば、移動手段は重要になる。来るべき時に備え、準備をしておこう』】

【イベント『モールへ』
 内容:『街を探索できるならば、モールへ行く価値はあるだろう。生存者がいる可能性もある。準備を整えて向かおう』】

 【イベント『安全圏内の探索』
 内容:『安全を確保した場所の探索を行います』】


 進行するイベント、及び参加メンバー
 ↓1

【イベント『移動手段』 メンバー:胡桃、智夏】

慈「――と、いうことで」

 朝の会議からちょっとして。
 提案も含めて今日の予定を話す。
 今日やろうと決めたことは、移動手段の模索。
 なにかいいものが見つかれば、街だけでなく学校内もある程度安全に移動することができるかもしれない。
 その分、維持の手間がかかるのだが……そこは致し方無い。

慈「今日は移動のための乗り物を探そうと思うの」

 全員が揃った休憩室。
 私が提案すると、みんなは難しそうな顔をした。

胡桃「それって、校舎の外に出るってことだよな」

イリス「もしかして、まちに……?」

智夏「災害時は鍵をさしっぱなしに……っていう決まりだしね。あるかも」

由紀「災害なのかな?」

悠里「うーん……学校にもあるんじゃないんですか? 天子先生の車とか」

天子「私はー……苦手なので通勤には乗ってません」

 あれこれと話しはじめるみんな。
 大人二人と子供五人。私の車は使っている状態で、栗宮さんは車に乗らない。
 とくれば、車の情報がさっぱりになるのは当然のこと。

慈「これは……難航するかも」

 私も無論、さっぱりだ。
 心当たりがあるとすれば、

天子「職員室に車の鍵とかありませんかね?」

 職員室。
 学校、職員の車などについて。
 大きい学校だし、確か遠足用のバスとか、部活用のマイクロバスだとか、確か野菜を運んだりするためのトラックみたいな車もあったような。
 でもあくまで心当たり。なにがどこにあるか、どうなっているのか。そこまでは分からない。

悠里「……じゃあ、とりあえず学校を探索してみたほうがいいかもしれないわね」

由紀「うん。そっちのほうが安全だしね」

智夏「うんうん。うちも賛成。無駄に街に出るとやけどするぜ」

胡桃「何キャラだよ……。まぁでも、近くで済ませられるなら、それがいいな」

慈「――そうね。学校で移動手段を探す。それで決めましょう」

 街で車に乗って移動手段を探す……それも勿論いいだろうけど、胡桃ちゃんの言う通り。
 近場で済ませられるならばそれに越したことはない。
 今はまだ準備が整っていない状態なのだ。
 そんな状態で街に突っ込めば、どうなるか……。

天子「了解です。どこを探します?」

 ひとまずの方向性は決まった。
 でも、まだまだ具体性に欠ける。
 学校にあるであろう移動手段。どこを探すのが、一番効率的だろうか。


 1・職員室
 2・大人らしき奴の死体を漁る
 3・駐車場を探す

 ↓1

【大人らしき奴の死体を漁る】


由紀「……いいのかな」

 私が思いついたことを口にすると、由紀ちゃんが思い切り拒絶反応を示した。
 ……普通の反応よね。

天子「やってみましょうか。死体から調査は基本です」

 この人が普通ではないだけで。

胡桃「けどさ、大人の奴なんていたっけ?」

悠里「確かいたような気がするわ。でも――」

 悠里ちゃんの視線が廊下のドアへと視線を向ける。

慈「……窓の外に投げ捨てたわね」

 初日。休憩室にいた奴らは全員投げ捨ててしまった。
 その中には大人と思われる人もいたような気がする。

智夏「まぁ、見つかるかもしれないし、探してみる?」

イリス「ちゃれんじ、せいしん……」

慈「……」

 自分が提案したことながら、これでいいのだろうかと不安になってしまう。
 でも、三階にはまだ処理していない死体もある。
 まだチャンスはあるだろう。

慈「じゃ、胡桃ちゃん、智夏ちゃん、話した通り私達三人で探しに行くわよ」

 話はまとまった。
 希望はちょっと薄いけど、安全な圏内の探索だ。
 じっくり探索を進めようとしよう。



 ↓1  『コンマで判定。今まで倒した奴らの死体を調査。安全確保で戦闘なしのため精度低め』

 1~30 バイク
 31~60 普通車
 71~80 マイクロバス的な
 91~99、00、クリティカル 高性能なもの
 ファンブル 朝~夕コマンド時間経過

【コンマ:96 高性能なもの】

 三人で三階を探索。
 大人の亡骸を優先して探し、ようやく一体、発見する。
 シャツを着た大人の職員らしき人物。
 彼は……私の先輩で、とあるクラスの担当だった男教師だ。
 倒した時は気づかなかったけど、彼も犠牲に……。

慈「……」

胡桃「めぐねえ……大丈夫か?」

 彼の死体を前に、沈黙。
 それで大体察しがついてしまったようで、胡桃ちゃんが心配そうな声を出す。

智夏「嫌ならうち達がやるけど?」

慈「……大丈夫。心配させちゃったわね」

胡桃「辛かったら変わるからな?」

慈「――ええ」

 心配かけちゃったかしら。
 でも、大丈夫だとは言っているものの、辛いのは確かなこと。
 きつかったら、遠慮無く頼ることにしよう。
 死体の前でしゃがみ込み、私は彼のポケットを漁る。
 血となにかで湿ったような、気色の悪い感触。けれどもう動かないと分かっているお陰か、それほど抵抗感はなかった。

慈「……あ」

 服を探っていると、何か固い感触を手が捉える。
 これは……金属?
 期待を抱きつつ手に当たったそれをポケットから出せば――

慈「的中ね」

 それは車らしきものの鍵だった。
 どんな車なのかは分からない。でも、今は鍵があって、彼が職員であるという時点で期待が持てるだろう。
 鍵を回収。それを二人に見せると、私は言う。

慈「駐車場に向かいましょう」

 できれば、これがいい車の鍵であればいいのだが……。


【今日はここで落ちます】


 三階から下へ向かうことに。
 外は昼だからか、奴らの数が多い。
 教室の窓から見える奴らの数は、戦って処理できる数ではない。
 そんな中を通っていくのは骨が折れるけれど、やるしかないだろう。

胡桃「これはしんどいな……めぐねえ、どうやって通る?」

智夏「走っちゃえば?」

慈「うーん……ちょっと待って」

 行くしかない。でもここを何の考えもなしに突っ走るのはあまりにも危険だ。
 時間を改めるのも選択肢の内の一つ。
 私は足が遅いし、二人に走ってついていくのも大変だろう。
 ここは……。


 1・自分だけ自転車で移動
 2・こそこそと物陰を移動
 3・また今度実行しよう

 ↓1

【2 こそこそと物陰を移動】
【『コンマ42』  各キャラの技術値で判定。胡桃のみ不可。正解補正はなし。残りの二人は判定に成功しているため総合して――結果:良】


慈「見つからないように、こっそりと行きましょう」

 アグレッシブな考えも頭に浮かんだけど、これが安定だろう。
 私が言うと二人とも頷く。
 ――さて、あとは実行するだけ。行くとしよう。
 外の様子を確認。こちらを見ている奴が少ないのを目視すると、私はハシゴから下へと降りた。
 できるだけ音を立てないように、でも見つからないように素早く。
 地面に降りると、周りを確認して植木の陰に。他の二人が降りてくるのを待つ。

慈(よし……うまくできた)

 私ができたなら、二人もきっと。私より全然身体能力高いし。
 ドキドキしながら二人を待っていると、ふと私の横、ちょっと遠くにぽつんと置いてある車が見えた。
 私の車だ。学校に帰ってくる時に無理したからか、へこんでいたり、血が付いてたり……すっかり映画の小道具の仲間入りしてしまっている。
 嗚呼……大学時代の私のバイト代と、ローン……。悲しくなってくる。


【ちょっと落ちます】


智夏「お待たせっ。ちょっと遅れちゃった?」

胡桃「待ち合わせみたいに来るな」

 最後の智夏ちゃんもやって来て全員集合。
 胡桃ちゃんのツッコミを聞きつつ、私は視線を横に。
 彼女達が来るまでに大体の道筋は考えておいた。
 幸いにも隠れられる場所はあるし、陽動のための道具が尽きることはない。その辺りの石とか投げればいいだけだし。

慈「それじゃ、ここから行くわよ」

智夏「んー、了解」

胡桃「ゆっくりだったよな。隠れながら、陽動して」

慈「ええ。見つからないことを第一に――」

智夏「あ。あの車、随分ボロくなったね。乗れるの? 誰の?」

慈「……」

胡桃「やめてさしあげろ」

 だ、大丈夫。みんなのためなら車くらいえんやこら。
 高かったのにだとか、張り切るんじゃなかったとか、考えてないわよ。ええ。

慈「それじゃ行くわよ」グスッ

胡桃・智夏(涙目になっとる)

 悲しいものを見るような目をされたけど、気にせず進行。
 まず駐車場までの道を確認。石を投げて隠れる物へ視線を向けていない状況を作り出す。
 周囲の安全を確かめ、後ろの二人に合図を出してから物陰から出る。

慈(順調、ね……)

 物陰から物陰へ。その移動を繰り返し、駐車場に近づいていく。
 珍しくミスもなくすんなりと進んでいき――そして到着。

胡桃「よし」

慈「やっと一息……」

智夏「――あ、まずいよ」

 車の影に隠れてようやく一息、といったところで智夏ちゃんが身構える。
 私達の近く。横のフェンスに奴がいた。
 顔はこっちに向いている。戦う……しかない状況だ。
 追われながら鍵の車を探すことはできるだけ避けておきたい。

慈「……」

 敵は一体。
 これなら、なんとか……。

 1・二人に任せる
 2・カウンター狙い
 3・行動する、指示を出す(対象:慈、胡桃、智夏)

 ↓1

【1・二人に任せる】
【『コンマ 39』
 『胡桃 力 60』 結果:優
 『智夏 力 50』 結果:良】

 ここは、任せるべき。

慈「二人とも」

胡桃「ああ、任せとけ」

智夏「静かに、決めよっか」

 指示を出した直後、二人が走りだす。
 胡桃ちゃんを先頭に、その後ろを智夏ちゃんが。
 接近。奴が無造作に伸ばした手を、胡桃ちゃんはシャベルで弾いた。

智夏「――シッ」

 そこへ迫る智夏ちゃん。弾かれた右手側、奴の横で立ち止まり、逆手に持った鉄パイプを後ろへ振り向く動作と共に軽く跳躍し、切り上げるようにして奴の後頭部へ振るう。
 それと同時、胡桃ちゃんがシャベルを上から下へ奴の頭目掛けて降ろした。
 前から後ろ。互いの武器で文字通り挟み打ち。容赦無い攻撃である。

胡桃「……よし」

智夏「コンビネーションばっちりだね」ニコッ

 その場で膝をつき、倒れる奴。
 返り血を拭い、二人は私のそばへと戻ってくる。
 ……本当、頼もしい。
 胡桃ちゃんはともかく、智夏ちゃんまでこんな動きができるとは。


【精神値減少】
  
慈 110 → 105
胡桃 80 → 75
智夏 100 → 95


【智夏の精神回復忘れておりました】

智夏「よっし。これで車見つけるだけだね」

胡桃「そこが問題でもあるけどな……」

慈「でも進歩はしているわ」

胡桃「だな。――で、どう? めぐねえ」

慈「ちょっと待って」

 鍵をポケットから取り出す。
 まず間違いないのは車のキーだということ。
 で、他に予想できることは……。


 1・キャンピングカー?
 2・バスとか?
 3・高級車?

 ↓2

【高級車?】

慈「なんか、高級そうよね……」

胡桃「抽象的だな……」

慈「め、メーカーは見たことがあるような。多分間違ってないわ」

 あんまり車には詳しくないんだけど……自信はそれなりにある。
 苦笑する二人へ、鍵のエンブレムを見せる。

胡桃「これなら、入る時みたような気がするな」

智夏「入る時? あ。あの目立つやつ?」

 するとピンとくるものがあったようで、二人とも反応を示す。
 ちらっと見たレベルのものを覚えられている二人の記憶力が羨ましい。

慈「そんなものあった?」

胡桃「あったあった。多分あれだ」

 胡桃ちゃんが車の後ろから顔をちょこんと出して、ある方向を指差す。
 私も彼女を真似し、顔を出して見ると――確かに、あれだ。あれしかない。
 色はシルバー。大きさは結構なもので、窓からうっすらと見える座席は三列あるような。
 六人、もしくは七人……?
 実用性も兼ねている有り難いタイプだ。

智夏「わぁ、すごいね。早速乗ってみようか」

 そうしよう。頷くと私たちは周囲を確認し、こそこそと車へと向かっていった。


【車の知識ないので、わりかし適当であります】


 車内へ。
 予想が的中していたお陰であっさりと入ることができた。
 窓の外に近づいてくる奴らは見えない。
 じっくり車内を観察することができるだろう。

慈「すごいわね……こんなの、お店でしか見たことないわよ」

 値段的には私の車も結構なものなんだけど、結構ノリというか一目惚れで勢いで決めたし……。
 こうして大きくて立派な車、というのに乗るのは初だ。

智夏「うへー……柔らかそうなシートに冷蔵庫、ハンドル……」

胡桃「めぐねえの車とは方向性が違うな。かっこいい感じだ」

慈「まぁ……今の私の車もかっこいいんじゃない? 映画に出そう。それも戦い終わりの終盤らへんに。うふふ」

胡桃「めぐねえ、悲しくなるから」

智夏「これならある程度寝泊まりもできるね。さ、運転行こうか」

 胡桃ちゃん、智夏ちゃんが座席に座る。
 私が、これを運転……。ぶつけたりしないようにしないと。ただでさえ拝借してる立場なんだから。

慈「まだ使えるように……」

 小さく呟き、キーを挿す。
 するとすぐにエンジンがかかった。
 異常は見当たらない。これなら、いけるだろう。

慈「ひとまず、私の車の横に」

 アクセル。車を走らせ、駐車場を出る。
 慣れない車。その運転は緊張感、そして高揚感を私にもたらした。
 こうしていつもより上の視点から運転するのは、中々に気分がいい。
 外に奴らがいなければ、鼻歌でも歌っていたところだろう。

慈「けど車の運転、誰に任せようかしら……」

 二台の車を運用するなら、私一人ではなくもう一人運転手を決めた方が効率的だろう。
 それを誰にしようか。
 あれこれと考えながら私は、車を走らせた。



【イベント『移動手段』 のクリア条件を達成しました】
【高級車が利用可能になりました。街へ出る際のメンバー上限が増えました】
【上限は11人。ただし留守番として学校に残る仲間が一人必要です】
【ただし、移動の時だけでどこかを探索するときは今まで通り三人固定で】


由紀「あれが新しい車?」

悠里「立派な車ね……あれなら、移動も便利になるわね」

イリス「にもつも、たくさんはいる」

天子「便利ですねー」

 休憩室。そのカーテンをちょこっと捲り、外を見る留守番メンバー。
 新しい車にはしゃいでいる様子。
 まぁ、あの車はテンション上がるわよね。乗ったらもっと盛り上がること間違い無しだ。

慈「これで、移動に関して心配はなくなったわね」

胡桃「だな。すんなりいけたし、幸先いいな」

 このまま順調に進んでくれるといいけど……まだまだ課題はあるし、気は抜けないわよね。

慈(できることは進めておこうかしら……)

 夜の予定……なにをしようか?


 夜コマンド
 1・夜食作り【資源200消費】
 2・会話 【生徒らと会話。好感度が変動】
 3・トレーニング 【自分を鍛える。各種パラを選択し、コンマ判定】
 4・探索 【朝~夕方コマンドと同じ。敵は少なめ】

 ↓2

【4 探索】

 現在発生中のイベント


 【イベント『購買部』
 内容:『休憩室にある食糧だけでは心もとない。危険だが2階の購買部に行く必要性も出てくるだろう』】

 【イベント『教材確保』
 内容:『授業をはじめることにした。今のままでもいいけど、やっぱりするなら効率的な方がいい。2階の図書館で教材を探そう』】

 【イベント『モールへ』
 内容:『街を探索できるならば、モールへ行く価値はあるだろう。生存者がいる可能性もある。準備を整えて向かおう』】

 【イベント『安全圏内の探索』
 内容:『安全を確保した場所の探索を行います』】


 進行するイベント、及び参加メンバー
 ↓1


【今日はここまでで、落ちます】

【イベント 『教材確保』 メンバー:胡桃、智夏】

 ――行くべき、か。

慈「そうね」

 授業の準備。
 それと生存者の確保。
 どちらもやらなければならないことだ。

慈「図書館なら、すぐに行けそうな気がするし」

 昼に何体か倒したし、ひょっとしたら夜ならばすんなり通過できるかもしれない。

慈「行こうかしら」

 決断すると、私は椅子から立ち上がった。


胡桃「図書館だな、分かった」

智夏「授業の準備……大切だけど、したくないよね。でも大切で――なんて、世知辛い」

 二人に声をかけ、みんなに探索する旨を伝えて、三階。
 休憩室から階段のある廊下の端へと向かい、私たちは武器を抜いた。

慈「多分、この時間帯ならそれなりに楽に突破できると思うけど……油断はしないようにね」

胡桃「めぐねえこそ」

 真面目に言うと、胡桃ちゃんがにっこりと笑いながら言う。
 う……そうよね、私の方が不安よね。

智夏「んじゃ、めぐねえ先頭で、張り切っていこうか」

慈「え、ええ。行くわよ」

 気をつけておかないと。
 苦笑し、顔を引き締める。
 夜の校内。奴らがうごめく中へ。私たちはゆっくりと階段を降りていった。


智夏「二体……かな?」

 階段を降りて廊下。そこをちょっと進んで、左方向を顔だけ出して様子を窺う。
 図書館に向かうための最短の道。
 そこにはドアがいくつかあって、近くから順番に購買部のバックヤードと男子トイレ、女子トイレと続き、それらの向かい側に図書館の扉がある。

慈「倒していきましょうか」

 倒して進む他に道はないだろう。今後のためにも。

胡桃「それしかないな」

智夏「うん、いっちゃおっか」

 我らが戦闘メンバーも満場一致で賛成。
 今現在、私たちは奴らにバレていない状況だ。
 でも全員こっちを見ていないというわけでもない。
 こっそり始末するにしても、絶対に一体にはバレてしまうだろう。
 でも、近くには二体しかいないし……選択肢の幅は広い。


 1・陽動して背後を狙う
 2・真正面から突っ込む
 3・行動する、指示する(対象:慈、胡桃、智夏)

 ↓1

【『慈 技術 50』 『胡桃 技術 20』 『智夏 技術 60』 『コンマ25』 結果:優】


慈「これを……」

 杭を準備。
 それを軽く投げ、廊下の突き当りまで勢いよく投げる。
 壁に当たり、音を立てる杭。
 こちらを見ていた奴の一体は、音がした方向へ顔を向ける。

胡桃「任せとけ……!」

智夏「ま、楽勝だよね」

 そこへ、素早く駆けていく二人。
 足音にこちらを向く前に、二人はそれぞれ一体ずつを始末。
 一撃を後頭部にくらわせ、側頭部へ追撃。そして倒れたところにとどめ。
 おそろしいくらい頭部を集中狙い。これが人間相手なら……うん。

智夏「血で汚れてきちゃったね」

胡桃「服も身体も洗わないとな」

 あっさりと二体撃破。いい調子だ。
 ホッと安心するも、目の前の二人を見ると手放しには喜べない。
 ……年頃の女の子が血で汚れるべきではないだろう。

慈「すぐに終わらせましょう」

 杭を回収。
 安全を確認すると、私は図書館のドアに手をかけた。

慈「……あら?」

 すぐに開こうとする――が、開かない。
 鍵が閉まっているのだろう。がたがたと、少しドアが動くけれどそれ以上は進まない。
 この金属音……塞いでいるわけではないようだ。

胡桃「めぐねえ、どうした?」

智夏「鍵?」

慈「みたい。どうしようかしら」

 鍵がかかっている以上、他の出入り口を探るべきなんだろうけど……。
 他のドアもそうなると――上からハシゴを使う手段しか使えない。
 危険でしかないし……できれば、他の手を、

???『誰?』

 なんて、考えていると声が聞こえる。
 私は驚きに目を見開いた。今の声、聞こえたのはドアの向こうからだ。
 まさか、生存者……?


 1・「佐倉慈。この学校の教師だけど……」
 2・「あなたこそ誰?」
 3・「最近暴れてた人だけど……」

 ↓1

【3 最近暴れてた人だけど……】

???『え゛っ!?』

 素直に言うと、中からなんか鈍い声が。

胡桃「おいめぐねえ」

智夏「おうおう、ストレートにいっちゃいますな」

慈「だってこれが一番正しい気がするし」

 仕方ないこととはいえ、最近すさまじい勢いで暴れてたし。

???『……他にも誰かいるの?』

 ごにょごにょと話していると、その声が聞こえたようで反応を見せる。

胡桃「ああ。私と――」

智夏「もう一人。私がいるよ」

???『……そっか、ちょっと待って』

 ちょっとの間を空けて、ドアからカチャカチャと音が。
 開けてくれるらしい。

慈「――え!? ちょ、ちょっと待って」

???『なにか?』

慈「開けちゃっていいの? 暴れてたけど……」

???『平気。女の子だけなら安心できるし……それに、普通ならこんなところ入る必要ないし』

慈「そうだけど、自分が女の子だということを自覚して……」

???『大丈夫だと確信した』ガチャガチャ

慈「あれ!?」

 必死に冷静になるよう語るも、止まる気はないようだ。
 呆気にとられる私の前、ドアががらっと開く。

 現れたのは、眼鏡をかけた小柄な女の子。
 大人しそうな、クールな印象の子だ。

???『……』

 現れた彼女は私のことをしげしげと観察し、口を開いた。


 ↓1 コンマ判定で初期好感度決定(クリティカル、ファンブル関係なし)
    キャラの設定が多少変化します

【基本、バレていない状態は技術判定……ということにしたいです。前は力判定もあるかも】
【先ほどの選択肢は好感度にプラス補正がかかるかも――というもの】

【初期好感度 20 「人は見かけによらない……」】


 何故だろう。
 私を見る彼女は、自分の身体を抱くようにしてぺこりと頭を下げる。

???「北条 鈴美。よろしく」

 多分……二年生? リボンから見るに。
 私のことは知らないようだ。私も、彼女のことは知らない。
 だからかしら? すごい警戒されてるように見えるのは。

胡桃「よろしく。ここは鈴美一人か?」

鈴美「ん」コクリ

智夏「そか。んじゃ――うち達のとこに来る?」

鈴美「あなたたちの?」

慈「そうね。今から説明してもいいかしら?」

 とりあえず、安全らしい図書館で話を、と思い一歩。踏み込むと同時に鈴美ちゃんが一歩後ずさり。

慈「――」

 ほぼ初対面なのだ。状況が状況なだけに仕方がない。
 と分かっていても、ショックである。他の二人と普通に話す鈴美ちゃんを見ているとなおのこと。

智夏「めぐねえ警戒されてんね」

慈「ホント、素直よね、智夏ちゃん」

胡桃「めぐねえもだけどな」

 否定できない。
 流れるようにそんなやり取りをしている私達を、鈴美ちゃんはぽかんとした顔で見ていた。


【イベント『教材確保』 のクリア条件を達成しました】
【北条鈴美が合流しました】
【教材  『基礎体力の基本』、『ポジティブ思考法』、『精神修行』、『トレーニングの基本』、『瞬発力とは』、『頭の回転力』、『指先のトレーニング』、『薄い本』をそれぞれ一冊手に入れました】
【授業の効果に常時プラス2されるようになりました】


【教えて! りーさん! のコーナー】

悠里「久々のコーナね。今回は授業について説明するわ」

慈「2スレ目でもやっぱりこうなのね……ええ、分かっていたわ」

悠里「授業。好感度やステが変化と説明があったけれど、その詳細については語っていなかったわね」


【授業では授業を行うキャラを決定。それから科目を選びます】
【体育、図工、保健、その他勉学――その他勉学は基本賢さを上げるための科目。ただしキャラの好みにより科目によって好感度の変化に差があります】
【科目を選んだ後は、教材の選択です。教材はなんでもどの科目でも選択可能です。何が上がるかは大体名前で察しがつくかと】
【組み合わせによって効果が上昇したりもします】
【教材は使い捨てです。物語の中には存在はしますが】


【薄い本はR-18イベントのアイテム。教材選択で選択するとイベント発生。現在は胡桃、悠里が対象として選択可。好感度に変化あり。という点から、使用条件は分かるかと】
【なぜ図書館にあったのかは……不明。思春期だから?】
【他にもこういったアイテムは追加予定】



【そしてステについて追加・変更です】
【もう言った可能性も】


【各キャラのステは80が限界】
【70から上、71~80はコンマがその数を超えていると問答無用で不可判定になります】
【確率をとるか、安定をとるか、判断は皆様にお任せ】
【そのラインを超えそうなときは、多数決で維持か超えるか決定】


慈「他キャラの育成も本格的にできる、ということね」

悠里「好きなキャラを育てるもよし、戦力の補強を真面目に図るもよし、そこは正真正銘自由ね」

悠里「中にはスキルを習得できる本もあるらしいわ」


【安全圏内の探索、その自由探索の中に本、スキル本が追加されました】

慈「これで、先生らしいことができるわね……よかった」




[今日はここまでで]

【開発は自分も考えてました】
【ので、技術系のオリキャラを募集しようと思ってましたが――今からします】
【子供大人どちらでも、原作オリキャラとの関係は度がすぎてなければOK。条件は前と同じでございます】
【二人か一人で】


 教材を胡桃ちゃん、智夏ちゃんに運ぶのを手伝ってもらい、休憩室に。
 図書館で合流したことをみんなに説明。その後はいつものようにシャワーと着替えを勧め、自己紹介してもらう流れになった。

慈「……」

 で、休憩室である。

由紀「めぐねえ、どうしたの?」

悠里「すごい落ち込んでる感じだけど……」

 私は落ち込んでいた。
 みんなに心配されるくらいにわかりやすく。

慈「な、なんでもないわよ。気にしないで――」

智夏「鈴美ちゃんに警戒されちゃったからねー」

胡桃「あたしたちよりはっきり警戒されてたな」

慈「うぐっ!」

 なんとか心配かけないように否定しようとすると、二人から思わぬ暴露が。
 北条鈴美ちゃん。彼女に初対面から拒絶に近い反応をされて、気にしない人が果たしているだろうか。

イリス「めぐねえ、なにかした?」

天子「それで嫌われたってなにをしたんでしょうか」

胡桃「何もしてないな」

智夏「それに嫌われたって。せっかくオブラートに包んだのにひどいや」

慈「二人とも否定ありがとう。だけどそれが逆に傷つくんだけど」

 なにもしてないのに嫌われたのよね。私の第一印象って。
 いやまぁ、暴れてたとか言うからだろうけど。


悠里「珍しいわね。めぐねえが初対面で嫌われるなんて」

由紀「めぐねえ、優しそうで綺麗でかわいいのに」

悠里「ねえ」

 べた褒めもべた褒めで恥ずかしいから複雑というか。

慈「――き、嫌われた云々はともかく、教材が手に入ったから本格的に授業ができると思うわ」コホン

胡桃「授業……今後のためにやっとかないとなー」

天子「そうですね。私も頭の体操しておくべきですねぇ。めぐねえ、お願いします」

慈「栗宮さんも参加するのね……」

 大人の授業も……これは本腰いれておかないと。笑われないように。
 大人の授業……うん。

鈴美「……ふぅ。人心地つきました」

 いかんことを考えていると、ガラッとドアの音。
 見れば心なしかすっきりした顔の鈴美ちゃんが。
 体操着姿で、湯上がりな感じがちょっと色っぽい。
 彼女は私達の視線に気づくとぺこりと頭を下げ、会釈。
 真顔のまま口元を微かにひくひくとさせ――ため息。素早く歩いて空いている席に座る。

鈴美「――で、自己紹介かしら?」

 髪を一度撫で、彼女は言う。
 図書館では警戒していた様子ばかりを見ていたけど、意外と堂々とした口調だ。

慈「そうね。よろしく」

 私達と行動をともにすると決めてくれた彼女とこれから仲良くするためにも、お互いのことを少しでも知らないと。
 私は頷き、笑顔を見せた。

 『ステータスです』


【北条 鈴美】
 体力 80/80
 耐性 60/60
 精神 100/100
 力  30
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 30

 『スキル』
 集中力 探索パーティー参加時全員のファンブル効果を無効 。精神ダメージがある判定の際、奇数だとダメージ無効
 収集家 探索のパーティーに参加時発動。判定がクリティカルの際、教材かスキル本を入手

 『持ち物』
 スペアの眼鏡、猫のボールペン、ブックマーク


鈴美「北条鈴美。巡ヶ丘学院高校の二年生。それ以外は特に語ることもない、普通の生徒よ」

 まず自己紹介。
 鈴美ちゃんは座ったまま、淡々とした口調で語る。
 ゴゴゴゴゴなんて効果音が聞こえてきそうな仏頂面で。

由紀「そ、そうなんだ……」

 由紀ちゃん、ちょっと怯え気味。

鈴美「そういえばここは、どうなっているの? 電気は図書館の照明で分かっていたけど、まさか水道も大丈夫なんて」

 コップに入ったミルクティーを飲み、ホッと一息。
 とっても静かだけど、驚いているらしい。

悠里「色々対策されていたみたいね。不自然なくらいに」

慈「……」

 不自然、ではなくおそらくこうなることへの安全策――といったところだろう。
 マニュアルを読んだ大人は分かっているのだけど……言えないわよね。

天子「まぁあって有り難いじゃないですか。あるものは有効活用ですよ」

イリス「……おいしい」

 ミルクティーを飲み、頷き合う栗宮さんとイリスちゃん。
 栗宮さん、それとなくフォローしてくれているのだろうか。

天子「そのままずっとのんびりのほほんが最高ですよねー」

 ……だろうか。


智夏「ねね、鈴美ちゃん。ちょっと質問いい?」

 栗宮さんにジト目を向けていると。智夏ちゃんが手を挙げる。
 元気よく、興味津々と言った様子で、彼女は率直に、

智夏「図書館でどう生活してたの?」

 問いかけた。
 女の子にこの質問……遠慮というか、容赦がない。
 これで悪気がないのだから悪質というか。

鈴美「……別に。私は普通に暮らしていたけど。様子を窺って、図書館の外に出る必要はあったけれど」

鈴美「でもシャワーは流石になかったから、体臭が気になっていたわ」

 そしてこの問いに生真面目に答えてくれる彼女は、いい人なのだろうと思う。

鈴美「バックヤードもあったし……特に困らなかったわ」

胡桃「バックヤード……色々ありそうだよな」

慈「そうね。食糧もあるだろうし、助かるわ」

 バックヤード……あそこまでの敵は排除したし、これからちょこちょこお世話になるだろう。
 それでも、この人数となるとちょっと不安だけど。


【資源にプラス1500されました】

【一日経過しました】

九日目

【佐倉 慈】
 体力 100/100
 耐性 80/100
 精神 110/110
 力  39
 速さ 20
 賢さ 40
 技術 50

 『スキル』
 良回復 一日のはじまりに体力を10回復

 『持ち物』
 鉄杭(力に補正+5)
 スマホ、車のキー


 【丈槍 由紀】
 体力 80/80
 耐性 50/50
 精神 30/30
 力  10
 速さ 20
 賢さ 10
 技術 20

 『スキル』
 庇う 味方が死亡するダメージを受けそうな時、自分がそのダメージを受ける

 『持ち物』
 ホイッスル



 【恵飛須沢 胡桃】
 体力 120/120
 耐性 90/100
 精神 80/80
 力  60
 速さ 60
 賢さ 20
 技術 20

 『スキル』
 シャベル愛好家 シャベルが関わるあらゆる判定にプラス補正

 『持ち物』
 シャベル(力に補正+10)

 【若狭 悠里】
 体力 90/90
 耐性 80/80
 精神 70/70
 力  20
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 60

 『スキル』
 園芸の知識 一日最後の判定のコンマが3、5の時資源に+300

 『持ち物』
 なし 


 【栗宮 天子】
 体力 70/70
 耐性 80/80
 精神 130/130
 力  30
 速さ 10
 賢さ 60
 技術 70

 『スキル』
 医術の心得 一日の終り、体力が一番すくないキャラを体力の1/3回復

 『持ち物』
 モップ(力に補正+5)
 救急箱 

 【須戸部 智夏】
 体力 50/50
 耐性 110/120
 精神 100/100
 力  50
 速さ 50
 賢さ 20
 技術 60

 『スキル』
 隠密行動 隠密行動をとるコンマ判定の際、プラス補正
 病気がち 精神が半分以下になると各ステがマイナス10(体力、耐性、精神をのぞく)

 『持ち物』
 鉄パイプ(力に補正+10)
 食糧、ライト、常備薬、ロープ、家族の写真、スマホ


 【エバンス・イリシスシア】
 体力 60/60
 耐性 70/70
 精神 90/90
 力  20
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 50

 『スキル』
 料理上手 夜食コマンドの際、追加で資源300を消費することで、判定にプラス20の追加効果
      使用するとめぐねえ、選んだ一人、そしてエバンスにも夜食効果が適用される。

 占い コンマ判定の安価の際、その数が奇数だった時、次の選択肢にヒントが表示される。

 『持ち物』
 タロットカード、食糧


【北条 鈴美】
 体力 80/80
 耐性 60/60
 精神 100/100
 力  30
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 30

 『スキル』
 集中力 探索パーティー参加時全員のファンブル効果を無効 。精神ダメージがある判定の際、奇数だとダメージ無効
 収集家 探索のパーティーに参加時発動。判定がクリティカルの際、教材かスキル本を入手

 『持ち物』
 スペアの眼鏡、猫のボールペン、ブックマーク



【共通ステータス】
『資源』 3100
『消費量』 800 
『生産』 600



【好感度一覧】
由紀 43  「いい先生、だよね」
胡桃 51  「笑顔がかわいいな」
悠里 55  「色々見てて不安……」
天子 35  「いい同僚です」
智夏 30  「まだよく分かんない」
イリス 31 「悪い人、じゃない」
鈴美 20  「人は見かけによらない……」



 九日目。
 新しい仲間を迎えて、朝がやってきた。
 現在は順風満帆といったところだ。
 この調子でガンガンといい方へ進めていければいいけど……。


鈴美「――はい」

 朝の作戦会議。
 あれこれと状況を整理していると、鈴美ちゃんが不意に手を挙げた。

鈴美「これって……意見を言ってもいいのよね?」

胡桃「おう。思ったこと、自由に言っても構わないぜ」

 こくり、と胡桃ちゃんの言葉に頷くみんな。
 最近はみんなから提案もなかったし、彼女がなにか意見を言ってくれるならば有り難い。

鈴美「みんなは戦っているのよね。だったら、もっと武器らしい武器も必要だと思うわ」

胡桃「ん?」ガタッ

由紀「シャベルのことは言ってないと思う」

悠里(シャベルは別に武器じゃないんだけど……)

鈴美「――ゴホン。智夏ちゃんや胡桃ちゃんはともかく、めぐねえや、天子先生の武器――武器を持ってない人の戦力不足は否定できないですから」

 確かに。
 彼女の言葉を否定する人はいなかった。
 シャベルや鉄パイプは武器としても有用だろう。でも、丸杭やモップは武器とは言い難い。
 それに武器を持っていない、という仲間の存在も気がかりだ。
 いざというときに身を護るものがないと困ることになるだろう。

鈴美「だから、武器がありそうな……部室のある棟を目指すのはどうかしら」

悠里「そうね……これからを考えると、確かに」

慈「この学校は色々部活もあるし……武器になるものもあるかも」

 ホント、この学校は色々してるから……。
 部室棟を捜索。――実行しても損はないわね。



【イベント『武器を探そう』が発生しました。
 内容:『戦いに備えて準備をしよう。部室棟なら、色々あるだろう』】



 朝~夕方コマンド(とりあえずコマンドだけ選んで、その後メンバーやら詳細を決定します)
 1・開発【選択不可】
 2・提案
 3・授業
 4・探索
 5・占い

 ↓1



【今日は落ちます】

酉間違えてるかもしれませんが>>1です

刀は採用しようとは思ってませんでしたので、大丈夫です。今の段階だとあれですし。

とりあえず、一人目二人目のキャラ採用で、何でも修理のキャラも書き込んでくれれば採用します。面白そうなので。ID変わってると本人の確認はできないですが。

それと、特に一人目のキャラがそうなのですが、情報が少ない場合は>>1があれこれ付け足します。キャラとの関係とか、性格とか長所短所だとか、口調とか。
なので、もっと細かく指定しても構いません。ダメなものがあったらそこだけ削除して採用しますので

【まさかこんなにくると思ってなかったですが、とりあえず技術系のオリキャラ、ここまで出た全員やってみます】

【更新ペースはゲームしたり寝たりを優先して、遅いですが、まぁこの目標のままやってみようと思ってます】


【3 授業】

 授業をしてみよう。
 せっかく教材も手に入ったのだし、一度やってみてどんな感じなのか確かめるのもいいだろう。

慈「初めてだし緊張するわね……」

 まず、決めるのは誰と授業をするのかということ。
 それから教科、使用する教材。
 さて、どうしようか。


 ・授業を行うキャラ (対象:由紀、胡桃、悠里、天子、智夏、イリス、鈴美)

 ・勉強する教科 (対象:体育、図工、保健、その他科目)
       体育は体力、耐性、精神、力、速さのいずれか 図工は技術 保健は好感度上昇高め その他科目は賢さ上昇。体育の場合は上げるステを後々選択

 ・使用する教材 『基礎体力の基本』、『ポジティブ思考法』、『精神修行』、『トレーニングの基本』、『瞬発力とは』、『頭の回転力』、『指先のトレーニング』、『薄い本』、もしくは使用しない


 ↓2  3つの項目に答えて書き込み

【キャラ:智夏 科目:体育 教材:基礎体力の基本】

慈「……うーん、と」

 授業でも、状況が状況だ。
 これからのことを考えて、行ったほうがいいだろう。
 となれば、戦力となっている仲間の強化を試みるのが当然のこと。

慈「智夏ちゃんかしら」

 ふっと頭に浮かんだのは智夏ちゃんのこと。
 彼女はしっかりした武器を持っているし、身体能力だって悪くはない。
 けれど病気がちで、年齢相応に体力が弱い……のだとか。栗宮さんが言っていたような。
 もしそうなら前で戦うのは不安だし……鍛えておいて損はないだろう。

慈「よし、さっそく」

 初めての授業が担当科目外なのは不安だけど、とりあえずやってみよう。


 ということで空き教室。
 ちょこちょこと掃除を行ってきたおかげで事故当初の凄惨とした様子はなく、今はいたって普通な風景だ。
 窓が少し割れていたりするのだけど、そこは仕方ない。

智夏「――で、めぐねえの初めての授業にうちが選ばれたってことだね」

慈「ええ。授業が初めてっていうわけでもないけど、そうね」

 机と椅子を端にやっておき、室内に二人きり。
 準備体操をしながら話す。

智夏「ま、授業、体育は別にいいんだけどさ」

 言って、智夏ちゃんが視線を下へ。私の身体を見る。

智夏「めぐねえまで体育着着るのはどうなの?」

慈「一応運動するから着てみたんだけど……だめかしら?」

智夏「いや、だめじゃないんだけど、大人の体育着姿って思ったよりいかがわしいなと」

 い、いかがわしい……。
 いい意味なのか、悪い意味なのか……。
 今度はジャージくらいにしておこうかしら。

智夏「まぁそれはいいや。今日の授業はなにするの?」

慈「えっ? あ、そうね……」

 智夏ちゃんと体育の授業。
 体育といってもやれることは沢山で、半日でその全てをできるとは思っていない。
 何をするのか、選ぶべきだろう。


 ↓1 なにをする?
    体力:廊下往復 耐性:イメージトレーニング 精神:精神集中 力:素振り 速さ:ダッシュ

【体力:廊下往復】

慈「じゃあ廊下の往復、やってみましょう」

智夏「往復……退屈そうだねぇ」

 体操を終え、教室を出る。
 廊下には誰もいない。走っても事故をおこすことはないだろうし、グラウンドが使えない今、走るならばここがうってつけだろう。

智夏「体力には自信ないんだけど、やるだけやろっか」

 智夏ちゃんはいつも通りな感じ。特に嫌という感じでもない。

 それから私は教材を見つつ指示、時折一緒に走りサポート。
 智夏ちゃんは精一杯走り――体育の時間を過ごした。

 結果は良い方だろう。
 すぐへばってしまう智夏ちゃんだったけど、最後の方はそれなりに走れるようになっていたような気がする。


【智夏の好感度が3上がりました】
【授業の効果(2+3) + 教材の効果(5) = 10 智夏の体力の最大値が10上がりました】
【※ 体力、耐性、精神の3つと、力、速さ、賢さ、技術の4つの上がり幅は異なります】


 授業終了後。休憩も兼ねて智夏ちゃんとコミュニケーションを試みる。
 正直、彼女のことはよく知らないし、これから苦楽を共にするするのだ。ちょっとでも多くお互いを知るべきだろう。

慈「お疲れ様。どう? 久しぶりでしょ? 授業なんて」

 空き教室。他に誰もいない教室の真ん中で座り、のんびり水を飲んでお話。
 こうしていると、外のことなんてないかのような穏やかさである。

智夏「うん。授業というか、トレーニングみたいな感じだったけど。楽しかったかな」

 こくりと頷く智夏ちゃん。
 いつもみたいに笑顔を浮かべた彼女は水を一口飲み、こちらを見る。

智夏「めぐねえって本当に先生だったんだね」

慈「え? ええ、そうだけど。そう見えない?」

智夏「はは、それもあるけど、なんか信じられないなぁって」

 それもあるのね。若干ショック。

慈「ええと――信じられないって?」

智夏「先生がっていうか、大人が子供を――生存者を集めて生活しようとしているってこと」

智夏「普通なら、自分たちのことで精一杯なのにさ。お節介というか、なんていうか」

智夏「それに先生と生徒ってそれほど仲いいイメージでもなかったし」

 なるほど、そういう意味か。
 確かに私達のしようとしていることは危険きわまりないし、異常だ。
 でも、間違っているとも思わない。

【授業の効果は固定です。元々の授業の効果が3で、図書館イベントをクリアした時の常時プラス分が2です。
    順番的に書くのが逆でしたが、まぁそこはお気になさらず】


慈「確かにお節介かもしれないわね」

慈「でも、それも私達のためになると思うから」

智夏「うち達の?」

慈「ええ。こんな時だからこそ、目標とかやるべきこととか、人らしいこと――って言うのかしら。そういうのが大切だと思うの」

 私が言うと、智夏ちゃんは頷いた後目を伏せた。
 どうしたのだろうか。気に障ることでも――

智夏「そっか。めぐねえは優しいね」

 なんて心配した直後に、すぐ私へ視線を戻し彼女は笑う。
 気のせい、だったかしら。

智夏「――さてっと。じゃあみんなのとこに戻ろっか」

 ぽかんとしている私の前、智夏ちゃんが立ち上がる。
 さっぱりとした様子で彼女は一歩踏み出し、そして立ち止まる。

慈「……智夏ちゃん?」

 彼女につられるようにして立ち上がった私へ、智夏ちゃんは前を向いたまま静かに言う。

智夏「ね、めぐねえ。ちょっとお願いがあるんだけど」

 私に背を向けてそう口にした彼女は何故だろう、いつもと少し雰囲気が違うように感じられた。


【イベント『ちょっとしたお願い』が発生しました。
 内容:『智夏ちゃんからの依頼。内容は不明だけど……何なのだろうか。
       ※条件あり  時刻夜限定 メンバー固定:慈、智夏』】


【一旦落ちです。寝なければ、一旦】



慈「……いい感じね」

 お昼過ぎ。
 職員室の中で、私はのんびりと考えていた。
 授業。
 やる前は不安が多くあったけれど、実行後は確かな手応えがあった。

慈「目標、やるべきこと……」

 やっぱりそれは大切なのだ。
 人が人でなくなっている世界で、人らしくあるために。

慈「そうとなると、もっと形から入りたいわよね……楽だし」

 ――組織名? それとも、もっと明確な目標を?

慈「うーん……」

 額に手を当てて唸る。
 いざイチから作るとなると、どんなことでも難しいものである。

悠里「あ、めぐねえ。ここにいたのね」

 ガラッとドアが開き、顔を出したのは悠里ちゃん。
 いいタイミングだ。誰かの知恵を借りたくなったところだったのだ。
 中に入ってきた彼女へと手招き。すぐ近くの椅子を私の隣へ。
 きょとんとした顔で着席した悠里ちゃんに、私は自分の考えていることを話した。

【いい忘れてましたが、オリキャラ募集は再びここで中断で】


悠里「……形から?」

慈「ええ。今は生きるために、他の人を助けるために色々してるけど、曖昧なのは否定できないし……なにかないかしら?」

 思い切り悠里ちゃんに頼る私。
 悠里ちゃんは文句も、戸惑った様子もなく思考。
 口の横に指を当て、小首をかしげる。

悠里「それじゃあ、部活はどう?」

 部活。考えもしなかった。

慈「部活ね……学校だし、ぴったりね」

悠里「ええ。私たちはここで暮らしていて、授業を、行事をこなしている……」

慈「ちょっとは気が楽になるような気もするわね」

悠里「どうせなら、楽しく生活していきたいから。どうかしら?」

慈「……いいと思う。みんな不安だろうし、楽しいこともないと」

 今後を乗り越えるためにも、精神的な面も大切にしておきたい。
 あんなことが起きたのだから、みんな参っているだろうし。
 部活……いいアイデアだ。
 私たちはここで引きこもっているわけではなく、生きている。
 そう――学校で、暮らしているのだ。

慈「学園生活部……」

悠里「? ……部活の名前?」

慈「――ええ。どう? 『学園生活部』」

悠里「学園生活部……いいと思うわ」

 二人で笑い合う。
 こんな状況で、部活動の話。
 きっと私たちはおかしな人なのだろう。
 でも多分、誰よりも人らしい日常を過ごしている。

 これからもずっと、こんなふうに過ごしていければ。
 なにもなかった、あの平和な日々のように生活できれば。

 私は、そんな有り得ない想いをこの時、抱いていたのだ。


【朝~夕方コマンドが生活部コマンドとなりました】
【各キャライベントの一部ロックが解除されました】


慈「――ということで、学園生活部を作ることにしたんだけど、どうかしら?」

 それから、休憩室。
 いつもみたいにみんなを集めて、私は生活部のことを発表。
 みんなは不意をつかれたみたいな顔をしていたけど――

胡桃「うん、いいと思う」

天子「ですねぇ」

智夏「せっかく学校なんだしね」

イリス「……」コクリ

鈴美「そうね。そういうのも大切よね」

 すぐに賛成してくれた。
 意外だ。こんな非常時になに考えてんだ、なんて言われる想像もしていたんだけど。

胡桃「となれば、顧問はめぐねえで部長はりーさんだな」

悠里「そうね。顧問はめぐねえしか居な――部長?」

慈「あ、そうよね。それも決めておかないと」

 顧問はまぁ、栗宮さんはのほほんとしてるし、私でいいとして……部長か。部長も確かに悠里ちゃんで即決ね。
 しっかりしてるし、大人っぽいし、落ち着いている。

慈「私は顧問でいいけど……悠里ちゃん、頼めるかしら?」

悠里「え、ええ。めぐねえが言うなら」

 若干戸惑っている様子だけど、悠里ちゃんは頷いてくれる。
 みんなの同意も得られたし、これで学園生活部を――

慈「あれ? 由紀ちゃんは?」

 と、喜びかけたところで欠員に気づく。
 休憩室に由紀ちゃんがいない。

胡桃「あー……ゆきは、確か」

 私が言うと、胡桃ちゃんは彼女の行方を知っているのかバツが悪そうな顔をする。
 頬を人差し指で掻き、彼女は言葉を一度区切ってから続けた。

胡桃「教室にいるんじゃないかな?」

 教室に? 一人で?
 どういうことなのだろう?

 何があったのだろうか。
 胡桃ちゃんはなにやら言い難そうにしていたし、一度休憩室での話し合いを中断して、私は教室に向かうことにした。
 彼女が言い淀んでいたということは何かあるのだろう。
 なので私は一人で教室に向かうことにしたのだけど……ちょっと不安だ。

慈「なにもないといいけど」

 一人で教室で寝ているだとか、物思いに耽っているとか。
 そういう感じだと嬉しいのだけど。

慈「……」

 胡桃ちゃんが教えてくれた件の教室に。
 そこは二年生の教室で、私と智夏ちゃんが午前中使っていた教室とは違う場所だ。
 一応そこも綺麗に掃除してあるのだけど……。
 緊張しながら、閉じてあるドアの窓から様子を窺う。

由紀『うっ、ひっく……ぐす』

 そこには、泣いている由紀ちゃんが。
 椅子に座り、静かに、たった一人で彼女は泣いている。
 今まで、私は一度しか彼女が泣いている姿を見たことがなかった。
 でも、由紀ちゃんはこれまでこんなふうに何度も涙を流していたのかもしれない。
 私がそれを見ていなかっただけで。

慈「……」

 ――行こう。
 泣いている彼女を見て、私は思う。
 みんなが楽しく、いつもみたいに生活できるように――私は部を作ろうと思ったのだ。
 なら……。

慈「由紀ちゃん」

 教室へ入る。
 ドアを開いて閉じて、声をかけながら彼女の近くに。
 それでも、彼女が泣き止む気配はない。私に気づいている様子もない。

慈「……」

 どれほどの不安と悲しみを由紀ちゃんは感じたのだろう。
 考えると、胸が苦しくなる。
 彼女が座っている椅子の背もたれに手をつき、私は再度声をかけた。

慈「……由紀ちゃん」

由紀「……」グスッヒック

 それでも返事はない。
 今にもなくなってしまいそうな小さな背中。自然と私は彼女の肩に手を置いて、耳元へと口を近づけた。

慈「ねえ、由紀ちゃん」

由紀「……」

 しゃっくりが止まり、由紀ちゃんが目をこすっていた手をゆっくりと下ろす。
 ここまで近づいて、やっと気づいてくれたみたい。

由紀「めぐ、ねえ……?」

慈「由紀ちゃん。先生ね、悠里ちゃんと決めたの。部活動を作ろうって」

由紀「部活動? なんで、そんなもの……」

慈「みんなで少しでも、楽しく過ごしていきたいから」

慈「学校で暮らして、みんなと過ごして――何もなかったみたいに日常を取り戻して……」

慈「だから由紀ちゃん、泣くことはないのよ」

由紀「……本当に?」

 静かに、問いかける。
 間近で見る彼女の目。すがるような、壊れてしまいそうなほどか弱い意志。

 ――なにか、間違っている。
 頭に響く私の声。警鐘を鳴らすそれを、私は聞こえないフリをした。

慈「ええ。学園生活部はこのためにあるから」

由紀「学園生活部……?」

慈「ええ。私たちはこの学校で暮らしていて、いつもどおりに授業を受けて、放課後はみんなで集まって――」

 きっと、これでいい。
 彼女の笑顔を取り戻すには、これがいい。
 私は由紀ちゃんの目を見つめながら、自分に言い聞かせるように、頭の中で唱え続けた。


【丈槍由紀のステータスが変化しました】

 【丈槍 由紀】
 体力 80/80
 耐性 100/100
 精神 5/5
 力  20
 速さ 60
 賢さ 10
 技術 40

 『スキル』
 庇う 味方が死亡するダメージを受けそうな時、自分がそのダメージを受ける
 不認識 人間、かれらへの一切の攻撃行為を行うことができない

 『持ち物』
 ホイッスル



【今回はここまで】

【その辺りは追々分かるようになります】
【オリジナルなので色々原作と矛盾が出るでしょうが、まぁお楽しみに】


 夜。

由紀「うん、美味しい! やっぱりりーさんのご飯は美味しいね」

 私たちは戸惑っていた。
 朝の授業から部活動のこと――そして由紀ちゃんのこと。
 私が由紀ちゃんを宥めてから、彼女は泣き疲れたのか眠り……で、現在。夕食の時間である。
 異変から何日もの間、由紀ちゃんは意気消沈していた。
 けど、今はどうだ。夕食をもりもりと食べて、眩しい笑顔を見せている。
 彼女の笑顔は好きだ。でも、それでもいきなりすぎる。

悠里「え、ええ。ありがとう由紀ちゃん」

智夏「……」モグモグ

 みんなは困惑しているし、あの智夏ちゃんすら黙っている。
 ――ど、どうしよう。どう考えても私が関係しているんだけど……。

由紀「……? めぐねえ、どうしたの?」

 みんな何かしらのリアクションをしているのだけど、真っ先に由紀ちゃんが私に目を向ける。
 なんでかしら。ものすごい焦ってるように見えたり?
 できるだけ視線を逸らさないようにして、私は考える。
 由紀ちゃんは、無理をしているのかもしれない。
 私のことを気遣ってできるだけ明るく振舞っているのかも。
 それに、笑顔。私は由紀ちゃんの、いつもみたいな笑顔が見たくて……。

慈「なんでもないわ」

 由紀ちゃんが笑っていてくれるなら、私は。
 みんなの、特に胡桃ちゃんの視線が気になるけど、私は追求はしなかった。

 ――それでいいの?

 自分の声に、私は答えた。

 ――これでいいのよ。
 由紀ちゃんが笑顔で、明るく、楽しく過ごしてくれれば、それで。


 夜コマンド
 1・夜食作り【資源200消費】
 2・会話 【生徒らと会話。好感度が変動】
 3・トレーニング 【自分を鍛える。各種パラを選択し、コンマ判定】
 4・探索 【朝~夕方コマンドと同じ。敵は少なめ】
 5・占い

 ↓2

【2 会話】

 誰かと、話してみようか。
 夕食後。私はのんびりと考えてみた。

慈「色々あったし……いいわよね」

 やることはまだまだあるけど、たまにはいいだろう。
 みんなとのコミュニケーションも時には大切なことだ。
 ――で、問題は誰と話すかということだけど。

 ↓1 誰と話す?(対象:現在の仲間)

【イベントはこれまでのイベント通り探索でござい】


【智夏】

慈「智夏ちゃんと話してみようかしら……」

 なんとなく、私は思った。
 このタイミングで智夏ちゃんと話す。
 本当に直感的な考えだけど、まぁコミュニケーションも大切だろう。

慈「――さてと、行ってみようかしら」

 由紀ちゃんもそうだけど、智夏ちゃんも色々と気になる。
 お茶の入ったカップの中身を飲み干すと、私は智夏ちゃんを探しに休憩室を出た。

慈「……えっと」

 休憩室を出て、左右の部屋を見ながら廊下を少し歩く。
 時々教室や部屋に誰かがいるのは見えるものの、智夏ちゃんの姿は見えない。

慈「あそこかしら……」

 これだけ探してもいないのだ。
 多分、あそこしかないだろう。
 三階の探索を打ち切ると、私は屋上への階段を上がっていった。



智夏「あ、めぐねえ。どしたん?」

 すると、さも当然のように智夏ちゃんがそこにいた。
 やってきた私を見て、屋上の柵に手をかけていた彼女は振り返る。
 そしていつものようにさっぱりとした笑顔を浮かべた。


 1・「私に頼むことなんかあるの?」
 2・「由紀ちゃん、どうしたのかしら?」
 3・「笑顔、、無理ない?」


 ↓1

【3 「笑顔、無理ない?」】


智夏「……」

 私がなんとなしに言った言葉。
 それを聞いた瞬間、智夏ちゃんが一瞬真顔になった。

智夏「なんのことかな? めぐねえ、疲れてんじゃない?」

慈「……そう、なのかしら?」

智夏「そうそう。無理して笑顔なんていいことないじゃない」

 パッと笑顔に変わる智夏ちゃんの表情。
 あまりにも素早くて、真顔に変わったことなんて気のせいだなんて感じてしまう。

慈「そ、そうね」

智夏「もー、めぐねえは本当面白い先生なんだから」

慈「あはは……」

 気のせい……だったのかしら?
 でも、無理をしているような気もしたんだけど……。

智夏「ほら、うちの笑顔に無理なんてないでしょ?」

 だけど……追求する気にはなれない。
 そこまでの仲ではないだろうし、なにより彼女が苛立っているような気がするから。
 ――言うことを間違ったような、そんな気がする。


【智夏の好感度が1上がりました】

【今日はここまででー】
【落ちます】

【会話は二回くらいできるようにしますか】
【今回ちょっとした会話で終わったのは、選択肢を失敗しただけですが】


慈「怒らせちゃったような気がする……」

 生徒会室。
 布団を敷きながら、私は考える。
 智夏ちゃんの笑顔が気になったから言ってみたんだけど、間違ったような気がしてならない。

慈(いきなり笑顔を無理してる……なんて言われたら気になるわよね)

 気をつけよう。

慈「さて、と。まだ時間はあるわよね」

 寝る支度はしたし、他になにかする時間もまだある。
 といっても、探索とか夜食とか、そういうことをする時間はないだろう。
 できても、会話。

慈(誰と話そうかしら)

 智夏ちゃんとは、今日はやめておこう。
 時間をあけることも大切だ。


 ↓1 誰と話す?(対象:智夏以外の仲間)

【自分の場合は再安価、つまり対象外です】


【由紀】

慈「……」

 由紀ちゃんと話をしよう。
 彼女の様子が気にかかるし、状態を確認しておかないと。
 ただ無理しているだけかもしれないし、その他の理由かもしれない。 

慈(私の責任かもしれないし……)

 とにかく、話してみよう。
 できるだけ失礼なことは言わないように。うん。
 私は決めると、生徒会室を出ていった。



慈「由紀ちゃん」

 休憩室。
 そこへ入ると、栗宮さんと話している由紀ちゃんがいた。
 何を話しているのかは分からないけど、部屋に入ってきた私を見て、栗宮さんは彼女との会話を切り上げた。
 意味深な目配せをして。
 気を遣わせちゃったかしら。

由紀「あ、めぐねえ。どうしたの?」

 声をかけると由紀ちゃんはすぐ気がつく。
 そして眩しい笑顔を私に向けてくれる。――前までは考えられなかったことだ。

慈「ちょっと、お話いいかしら?」

由紀「うん。めぐねえだったらいつでも大歓迎だよ」

 彼女の隣に座る。
 にこにこと笑う由紀ちゃん。
 彼女の笑顔は智夏ちゃんとはまったく違う。無理なんてなくて、本当に楽しそうで――。
 なにを、話そうか。


 1・「勉強しっかりしてる?」
 2・「お家のこと、心配ね」
 3・「あんまり夜更かししちゃだめよ」

 ↓1

【1・「勉強しっかりしてる?」】

由紀「――えっ!? そ、そういう話なんだ」

 私が問うと、由紀ちゃんは見るからに焦った様子を見せる。

由紀「しっかりしてるよ。読書だってしてるし。……マンガだけど」

慈(……)

 なんとなく、分かってしまった。
 勉強しているか。この問いでこのリアクションはおかしい。

慈(由紀ちゃん……)

由紀「えっと……明日からは勉強するからっ。ごめんなさいっ」ペコリ

慈「あ、違うのよ。ちょっとぼんやりしただけで」

由紀「そうなの? 急に黙るから、びっくりしちゃったよ」

 あははと楽しげに笑う由紀ちゃん。
 張っている気が思わずゆるんでしまいそうな、ほんわかとした雰囲気である。

 
 1・「今から勉強してみる?」
 2・「明るくなって安心したわ」
 3・「小説も読まないと」

 ↓1

【1・「今から勉強してみる?」】

由紀「今から? でも、もう夜だよね」

慈「ええ。だから、ちょっとだけど」

 何故だろう。
 気づいたらそんなことを言っている私がいた。
 戸惑った様子を見せている由紀ちゃん。
 突拍子もない提案だけど、彼女は悩んでくれているらしい。

由紀「勉強はあんまりしたくないけど――」

由紀「でもめぐねえの個人授業なんてめったにないよね。うん! 私頑張るよ!」

 そして予想外に提案を受けて入れてくれた。
 目を輝かせて、由紀ちゃんは力強く頷く。

慈「勉強、あんまりしたくないのね」

由紀「う゛っ! めぐねえがいるなら、話は別だよ」

慈「ふふ、ならこれから頑張らないと。私も学校にお泊りだから」

 くすっと笑う。すると由紀ちゃんもまた、嬉しそうに笑った。
 由紀ちゃんと二人で笑い合う。こんな時がすぐくるなんて……信じられないことだ。
 色々不安があるけど……問題がないなら、干渉することもないのかしら。
 私は笑顔を浮かべながら、暢気に考えた。


【由紀の好感度が4上がりました。
     追加で特別なイベントです】


 生徒会室。
 休憩室を出て由紀ちゃんと布団の上で、問題集を一緒に読む。
 時々問題を出して、由紀ちゃんに答えてもらって、正解とやり方を説明する。
 国語じゃないから専門外だけど、それなりにできるものだ。

由紀「全然できなかった……」

慈「まだまだ勉強が必要ね」

由紀「うん。頑張るよ、めぐねえ」

 で、簡単な勉強を終えて。
 問題集を閉じ、布団の枕元に置いておくと由紀ちゃんが欠伸をもらした。

由紀「ふぁ……もう寝る時間だね」

慈「そうね。もういい時間かしら」

 あんまり電力を使うわけにもいかないし、そろそろ大人しくしておかないと。

慈「由紀ちゃん、そろそろみんなも寝るだろうから――」

由紀「ねえ、めぐねえ。一緒に寝てもいい?」

慈「――」

由紀「めぐねえ? なんで目逸らすの?」

 ど、どうしようかしら?
 彼女の様子は心配だけど、だからといって一緒に寝るのはちょっと危ない。私の体調というか、近況というか。色々あるから。

慈「えっと、ね。由紀ちゃん――」


 1・今回はご遠慮
 2・受け入れる

 ↓1

【こういう選択肢はこのタイミングで書いていいのか、否かの意思確認であって――後はご察しを】


【2・受け入れる】


慈「……いいわよ。今日は一緒に寝ましょ」

 大丈夫よ。悠里ちゃんの時は破壊力があったから。
 由紀ちゃんは大丈夫。
 根拠がまったくない考えで私は由紀ちゃんのお願いに頷く。

由紀「本当にっ? じゃありーさんに話してくる!」

慈「ちょっ! 大丈夫だから、ほら、お布団に入って?」

 悠里ちゃん、胡桃ちゃんに知られたら絶対に勘違いされる。
 咄嗟に手を伸ばし、由紀ちゃんを引き止める。

由紀「ほんと? 心配しないかな?」

慈「ええ、大丈夫だから」

 内心冷や汗だらだらでコクコクと何度も頷く。
 まぁ、授業するとは言ってあるし、休憩室に帰ってこない時点で大体の察しはついてしまうのだが――人間、問題を先延ばしにしてしまうものである。

由紀「そっか。めぐねえと一緒ならいいのかな」

 由紀ちゃんが布団に入ってくれて、ホッと一安心。
 ちょっとだけ猶予ができただけなのだが、何もなければいいのだ。何もなければ。

 帽子を脱いだジャージ姿の由紀ちゃんは、いつもの小動物的な雰囲気が増しているように見えた。
 こうして見ると、本当に高校三年生なのかと思ってしまうほどのあどけなさである。
 子供っぽいといえばそうなのだけど、純粋に可愛らしい女の子で――

由紀「めぐねえ?」

 きょとんとした顔で首をかしげられると、きゅんとしてしまう。
 なんだろう……犬? 本当、かわいい。時折頭を撫でたくなる衝動に駆られるくらいだ。
 普段は我慢しているけど、今は私と由紀ちゃん以外に誰もいない。

慈「なんでもないわよ。……」

 微笑。周囲を見回して確認すると、私は掛け布団から顔をだす由紀ちゃんの頭を撫でた。
 さらさらとした髪の感触。くすぐったそうに由紀ちゃんは目を細める。

由紀「ん、どうしたの?」

慈「ちょっと、撫でたくなって」

 なでなでと、手を動かす。
 こうしていると自分が癒やされるのを感じた。
 今までこうしたいと思ったからだろうか。

由紀「ふふ、めぐねえは甘えん坊だね」

慈「そうかもしれないわね」

由紀「たっぷり甘えていいよ。めぐねえにはいつもお世話になってるから」

 ふふんと得意げな顔をする由紀ちゃん。
 ――やっぱり、違う。
 彼女はこうあろうとして、明るくなったわけではないのだ。
 胸が苦しくなる。でも、私は彼女の変化を好ましく思ってもいる。
 由紀ちゃんが笑って、少しでも楽しく過ごせるなら。それがたとえ逃避であっても、無駄ではないだろう。

慈「……」

 自嘲。
 私はなんて、自分勝手なことを考えているのだろう。
 由紀ちゃんのことを逃避しているだなんて思って……自分のことは棚に上げて。

由紀「めぐねえ」

 手を止めてぼんやり考えていると、そっと私の頬に指が添えられる。
 気づかないうちに由紀ちゃんが起き上がっていた。
 撫でられていた時の笑顔はどこにやら。私のことを心配そうにジッと見つめている。

由紀「めぐねえ、怖そうな顔してる」

慈「怖そうな……?」

由紀「うん」

 そんな顔をしただろうか。いや、したのかもしれない。
 自分の表情なんて気にかけていなかったから。

慈「ごめんなさい。心配させちゃったわね」

由紀「ううん。どうしたの? 私の髪ががさがさしてたとか……」

 私の頬から手を離して、自分の髪を確認する由紀ちゃん。
 その仕草はやっぱり以前の彼女より子供っぽくて……。

慈「――っ」

 口を開くけど、何も言葉は出ない。
 自分が何を言いたいのか、何をしたいのか、頭が混乱してうまく分からない。
 言葉に詰まる私の前。由紀ちゃんは不意に私のことを抱きしめた。

慈「……由紀ちゃん?」

由紀「めぐねえ、怖いなら――甘えてもいいんだよ?」

 優しい由紀ちゃんの香り。同じ高さの目線。
 間近で感じる彼女は大人びて思えて……純粋な優しさが苦しかった。

 そうなるなんて思いもしなかった。
 でも私は今の由紀ちゃんを嬉しく思ったりもした。
 そんな私に、彼女に優しくしてもらう資格なんてあるのだろうか。

由紀「めぐねえ優しいから、色々無理しちゃいそうだし……」

 違う。私は……。

慈「なら」

 怖い。その言葉が的を射ていたことが、今なら分かる。
 優しくされるのが、そんな彼女の気持ちを裏切るのが私は怖い。
 ならば、その優しさに甘えてしまう前に彼女と離れれば――

慈「――甘えさせてもらうわ」

 臆病な結論。
 私は片手を彼女の背中に回し、空いている片手で彼女の胸に触れた。
 服の上だけど、ほんの少し柔らかい感触がするような気がする。

由紀「……め、めぐねえ?」

慈「駄目かしら? 私、由紀ちゃんとこうしたくて」

 なにをされているのか分からない。そんな、困惑したような由紀ちゃんの声。
 私はぐいっと背中に回した手で、由紀ちゃんを自分へ寄せる。そして耳元で囁いた。
 できるだけ抵抗ができるように。由紀ちゃんが私から離れるように、自分勝手に。

由紀「え? ええっ!?」

 流石に意味を察したらしい。
 由紀ちゃんが顔を赤くさせ、視線を泳がせた。
 恥ずかしそうに彼女は顔ごと私から目を逸らし、ぽつりともらす。

由紀「――えっと、ふ、不束者だけど」

 ――あれ?


【ということで今日はここまで】
【イベントのシーンを書き溜めたら、一気に更新します。ので、何日か空くかも】

そういやあ気になったんだけど
設定時に天子先生のように面識があるような内容だったら好感度ある程度固定されて
明らかに初対面の場合はコンマで好感度が決定するのかな?

>>368
 ですね。設定が明確に初対面だったら判定が発生します。
 なのでみーくんはめぐねえ誰それ的な感じだったので初期好感度決定。圭のみに判定

>>368
 条件さえそろっていれば提案で。
 オリキャラがいるので、提案せずともいずれ行けますが



 本編はお約束で、ここ二日間眠ってしまったのでまだかかりそうです

慈「あ、あの由紀ちゃん? こう言うのはなんだけど……意味分かってるかしら?」

由紀「一応分かってるよ。私だって高校生だもん」

慈「そ、そう……」

 てっきり知らないというか、知っていても受け入れてくれるとは思ってもなかった。

由紀「女の子同士でもできるんでしょ? 恥ずかしいけど……めぐねえなら」モジモジ

慈「え、ええ……アリガトウ」

由紀「なんで棒読みなの!?」

 だってこれ、私が迫ったみたいなんだもん……なんて言えず。
 っていうか、え? これもうする流れなのかしら?

由紀「……」

 ああぁ……そうジッと期待してるような緊張しているみたいな目をされると……。
 ……いいのよね? 先生としては論外だけど、でももう我慢できそうにない。

慈「――それじゃあ、始めるわね」

由紀「……」コクリ

 言うと、静かに首を縦に振る由紀ちゃん。
 顔を真っ赤にさせて、私の腕の中で縮こまる由紀ちゃんはすごく可愛らしい。
 彼女を私の手で……ちょっと前までは考えもしなかったこと。
 でも今の私は、あまり躊躇う気持ちがなかった。
 悠里ちゃんと胡桃ちゃんにあんなことして何を今更と思っているのもあるけど、由紀ちゃんがいいと言っているのだ。
 我慢する必要がない――むしろ、我慢できる気がしない。
 彼女に触れてみたい。それは結構前から思っていたことなのかもしれない。

慈「……」

 まず、口づけを。
 抱きしめた手はそのまま、私の腕に身体を委ねる彼女の顔へ唇を近づける。
 きゅっと目を閉じる由紀ちゃん。ふっと小さく笑い、私も目を閉じた。
 由紀ちゃんの唇と私の唇がふれあう。
 柔らかく、悠里ちゃんとはまた違う心地いい感触。いつも身近で感じていた由紀ちゃんのにおいが鼻に入る。
 あの由紀ちゃんと、ちょっと勉強が苦手な、子供っぽい、けれど優しい彼女と――

由紀「ん、めぐねえ……」

 ――吐息がすぐ目の前から。
 私の名前を呼び、彼女の手が私の腕の袖をちょこんと掴む。
 なんてことはない声、仕草の筈なのに私はひどく興奮してしまう。

慈「――苦しかったらごめんね」

 短くキスを交わし、ぼそっともらす。
 空いていた手を彼女の頭の後ろへ。再度唇を重ねると、私はちょっと乱暴に舌を口内へと侵入させた。

由紀「ふぁっ!? ん、ぷぁ、んん――ふぅ、ぁ」

 驚いたように声を上げ、目を開き身体を後ろへ反らせる彼女。
 けれど私は離そうとはせず、頭を押さえた手で寄せ由紀ちゃんの舌を絡めとる。
 時折くぐもって聞こえる、由紀ちゃんの声。小さな水音に混ざって聞こえるそれに、私の吐息も混ざる。
 声も唇も舌も、混ざり合うような淫靡な感覚。
 最初は抵抗していた由紀ちゃんだけど、段々と大人しく。舌を伸ばしたまま従順に、時折身体をぴくんと震えさせる。
 夢中になって私は由紀ちゃんを貪り、唾液が彼女の口から流れることも気にせず続ける。

由紀「ちゅ――ふぁっ、う……はぁ」 

 流石に続けすぎたと思ったのはいつだろうか。
 ゆっくり唇を離すと、私たちは互いに乱れた呼吸を繰り返し、見つめ合う。
 明るい彼女の目が今は潤み、色気を感じられる呆けた表情をしている。

慈「っ……」

 私は唾液をのみこみ、彼女を布団に押し倒す。
 それからジャージの下、体操服、下着を脱がしていく。
 身体を撫でるように、手で優しく愛撫しながら丁寧に。できるだけ彼女を怖がらせるようなことはしたくなかった。
 やらかい肌。すべすべとしたそれを撫でると、由紀ちゃんがぴくっと反応する。

由紀「あっ、めぐねえ、くすぐったいよ――っ」

 布団を握り、身体を小さくよじらせる。
 ちょっとは感じてくれているのだろうか。彼女は脚を擦り合わせ、その脚はかすかに濡れていた。
 一応年齢は……大丈夫だろうし。分かってはいたけど、こうして実際目の前にするとちょっと安心。

慈「……気持ちよくはないかしら?」

 上のジャージも脱がし、体操服を捲りブラジャーを上にずらす。
 小さめの膨らみ、既に立っている突起が露わとなる。
 そういえば電気消してなかったわね。暗い中で見るのとはまた違う感覚だ。
 誰か来そうというか、いそうで落ち着かないけど、これもまた。
 暢気に考え、私は彼女の胸を揉む。サイズはそれほどではないように見えたけど、身体が細いからか触ってみるとそれなりに大きいように思えた。
 伝わる感触も、ちょうど手に収まるくらいでちょうどいい。

由紀「ぁ、ん――わから、んぅっ……ない」

 ――かわいい。
 私の服へ手を伸ばし、ちょこんと掴む由紀ちゃん。
 私が思うままに胸を揉み、突起を吸ったりしていると彼女は喘ぎ、その声に恥ずかしそうに目を逸らす。
 女性の胸に触れたことは何度かあるけど、やはりこうした羞恥があるかどうかでは天と地ほどの差がある。

慈「――それなら、先生もう少し頑張ろうかしら」

 ここまで来てやめる気にはなれない。
 開き直り精神で、私は彼女の脚の間に座る。

慈「さて……」

由紀「め、めぐねえ?」

 若干震えた彼女の声。
 不安そうだけど、嫌そうではない。大丈夫だと小さく呟き、私は彼女の閉じた脚を手で開かせる。
 すると目に入る綺麗な割れ目。濡れているそこへ手をやると、胸とはまた違う柔らかさが。
 ちょっとぷっくらしていて、温かい。両手の指で軽く開くように触ると、由紀ちゃんが甘い吐息を吐いた。

由紀「んっ、そこは――っ、あれっ? め、めぐねえ!?」

 私の行動に、由紀ちゃんが大きな声を出して驚く。
 指先で少しだけ触った後、私は彼女の秘所へ顔を近づけていた。
 ……確か、こういうやり方もあるのよね。
 間近で感じる彼女のにおい。お風呂あがりだからだろうか、石鹸みたいなにおいに混ざって甘い香りが。

慈「綺麗ね、由紀ちゃんのここ」

由紀「めぐねえ、におい、嗅がないで……」

 徐々に小さくなっていく彼女の声。
 ちらりと見れば、涙目で私のことを見つめる由紀ちゃんがいた。
 ――何故だろうか。すごく犯罪っぽい……。でも興奮してしまう辺り、私は変になりかけている気がしてならない。

慈「いいにおいよ。舐めても、美味しそう……」

 まず、外側。割れ目に沿って舌先を少し立たせ舐める。
 トロッとした愛液、体温、吸い付くような肌。目の前の光景に加え、いやらしいと言うしかない感覚。
 自分が由紀ちゃんの大事なところを舐めているのだという実感が、興奮をあおる。
 味はそれほどないが、由紀ちゃんの声に身体――いや、全てのせいでやみつきになりそうだ。

由紀「ひぁっ! めぐ、ね――あぁっ! な、なんか――おかしく、な、あんっ!」

慈「ん、ちゅ……じゅる、はぁ」

由紀「ひう、あうぅっ! そ、それ、やめ――っ!」

 ただ舐めるだけでは足りない。
 私は口をつけ、中へと舌をいれる。段々と溢れてくる蜜を吸い、それを舌で掬うように動かす。
 わざと由紀ちゃんの耳に、音がしっかり届くようにして。
 最初は私の頭の上に手を置いて、離そうとしていた彼女だけど、今はその余裕もないらしい。
 悲鳴のような声を出し、手で布団をしっかり握りしめている。
 その表情はキスの時よりも蕩けきっていて、跳ねる身体と共に彼女が絶頂へと近づいていることを示していた。

慈「どう? これなら――ちゅ、じゅる……気持ちいい?」

 そんな彼女の顔を見ていると、もっといじめたくなってしまう。
 口を少し離して、どんどん蜜があふれてくるそこを指と舌で弄りつつ声をかける。
 気持ちがいいことは見ていれば私でも分かる。けれど彼女は初めての経験――なのだろう。おかしく、なんて言っていたし。
 問いかけたのは単に彼女が話そうと恥ずかしがりながら、感じる姿を見たかった――もうこれ私手遅れな気が。

由紀「んあぁ! わ、分からな――ひあっ! 頭が、ふわふわ、してっ」

 喘ぎながら、答えようとしてくれる由紀ちゃん。絶頂が近いようで反応が一層強くなる。
 まだ彼女はなにか言おうとしていたけど、私が我慢できなくなってしまった。
 指をクリトリスへ。舌を中に入れると、私は彼女をいかせようとスパートをかけていく。

由紀「――ん、あうううぅっ!」

 直後、由紀ちゃんが達する。
 喋ろうと口を開いていた最中なせいで、声がすごく大きい。
 彼女の身体が強張り、まるで電流でも走ったかのように身体を弓なりに。
 彼女の表情をしっかり見ようと、私が秘所から顔をちょっと離したその時、顔に何かがかかる。
 
慈「これは……」

 ひょっとして、潮吹き……なのかしら?
 由紀ちゃんが、私で……。すごく、ぐっとくる。
 指で軽く拭い、なんとなくそれを口へ。味はさっぱり分からなかったけど、何故か達成感に似た感覚があった。

慈「由紀ちゃん、大丈夫?」

由紀「はぁ……はぇ? あ、めぐねえ?」

 ぼんやりとした表情で、肩で息をしながらこちらを見る由紀ちゃん。
 私の言葉に反応するのにも、若干の時間がかかっている。

由紀「だ、大丈夫……ちょっと待って」

 ちょっとしてから息を整え、ゆっくりと身体を起こす由紀ちゃん。
 それから自分の身体を見下ろし……顔を真っ赤にさせる。

由紀「う、わ……これ、私のだよね?」

慈「ええ。とってもかわいかったわ」

由紀「……うう。めぐねえってテクニシャンなんだね」

 テクニシャン……なのだろうか。そう言われると嬉しいけど。

由紀「でも私も負けないよっ。めぐねえのことも気持ちよくするんだから」

慈「え? ひゃっ」

 急にしゃきっとした顔をする由紀ちゃん。
 彼女は私に飛びつくようにして押し倒してくる。
 その瞬間、私は思い出した。
 ――まずい。由紀ちゃんには話していなかった。私の身体のこと。
 つい由紀ちゃんの可愛さに忘れていたけど、まず真っ先に言わないといけないことで、彼女に新たなトラウマを植え付けかねない――

由紀「えへへ、お返しして――え?」

慈(お、遅かった――!)

 頭の中であれこれ考えている内にワイシャツを捲られ、下着を脱がされていた。
 隠すものがなくなり、由紀ちゃんの前で立つそれ。
 私の興奮を表しているかのようにガチガチに固く、先端は微妙に濡れている。
 由紀ちゃんは驚いた様子で目を見張りジッと見つめ、ふいっと顔を横にずらし私へと視線を向けた。
 終わった……由紀ちゃんに引かれる。絶対に。
 スローモーションに感じられる数秒。由紀ちゃんが口を開く。

由紀「め、めぐねえって……男の子だったの?」カタカタ

慈「違うわ」

 思わず素で答えてしまった。

紀「そ、そうだよね……おっぱい大きいし。でも、これがあるってことは……え? ええっ?」

慈「あ、あの……私の、体質みたいなもので。女の子なんだけど、生まれつきそうなの」

 自分の勃起したそれを挟んで、教え子と会話……私は何をしているんだろう。
 そんな状況でも立ったままなのだから、私って。

由紀「生まれつきなの? そうなんだ……」ジーッ

慈「嫌だったら、やめても――ひうっ!」

 これはやめても、由紀ちゃんが逃げ出しても仕方ない。そう思っていたのだけど――由紀ちゃんは私のものに手を添え、軽く擦りはじめた。

由紀「私は、めぐねえとしたいんだから……大丈夫。気にしてないよ」

慈「いいの? 気持ち悪かったり、したら、ふぅっ」

由紀「フフフ。めぐねえ、説得力がないよ」

 私の反応を見て、にやにやと笑う由紀ちゃん。
 手で擦られる――というより、男性器にくる刺激全般的に私はまだ慣れていないようだ。
 由紀ちゃんの小さな手で軽く扱かれても、それだけで声がもれてしまう。

慈「あぁ、う……っ」

由紀「えっと……めぐねえ、これでいいのかな?」

慈「ええ、っ。できれば、舐めたり、咥えたり……」

由紀「舐めても大丈夫なの? ……ん」

 きょとんと首をかしげる由紀ちゃん。
 ちょっと戸惑う様子を見せるも、彼女はすぐ私のそれに顔を近づけ、舌を這わせる。
 手よりもはるかに柔らかい、湿ったそれが私のペニスに触れる。
 根元からゆっくり、先端に。滴る先走りを舐めとり、由紀ちゃんは私の顔を見ると得意気に笑う。そして、再度また下から。

慈「ふぁ、ぁ……」

 ぞくぞくと背筋が震えた。
 由紀ちゃんが私のものを舐めている。直接的な快感も大きいけれど、支配欲が満たされる快楽もまた大きい。

慈「上手ね、由紀ちゃん――あんっ、はぁ」

由紀「ちゅ……めぐねえ、えっちな顔してる……」

 小さな音を立てて飴でも舐めるように舌を動かす由紀ちゃん。
 幼く見える彼女がこんなことをしているという光景は、破壊力が高い。彼女が私を慕ってくれる生徒だということも、また。

由紀「できるか分からないけど……」

 嬉しそうな顔をした彼女は一度口を離すと、小さく呟いて顔の位置を上に。
 私のそれの先端に口を近づけ、思い切った様子で咥えた。

慈「ん――んああっ」

 由紀ちゃんの口内に先端がふくまれる。
 その刺激は思ったよりも強い。中に挿れるのとは似ているけど違う。
 自分が動いて得る快楽とは全然種類が異なるような気がした。力が抜けてしまい、いつイッてしまうか自分でもわからなくなってしまう。

由紀「ん、んふ……じゅる、ぷぁ……っ」

慈「くぁっ――由紀、ちゃ……それ、っ、刺激が……」

 動きにすごく容赦がないし。
 飲み込めず、自然と唾液が出てしまうのだろう。由紀ちゃんが動くたびにじゅぷじゅぷと卑猥な音が立つ。
 頭を動かしながら、くわえきれない根元に近い部分は手で扱く。
 上手いのか下手なのか世間的な評価は分からない。でも私からしたら彼女も充分テクニシャンだ。
 休もうにも主導権は相手にあるため、絶えずやってくる快感に頭が真っ白になりかける。

由紀「ふぃいよ。いふでも――ん、んっ」

 いつでもいいと言っているのだろう。
 上目遣いに私の顔を見ながらもごもごと言い、彼女は止まることなく動きを続行。

慈「あっ、もう、もう、だめ――っ、ん、あぁっ!」

 どんどんと迫る射精感。
 もう自分の表情や行動を気にかける余裕もない。
 私は自分の本能のまま、由紀ちゃんへと白濁を放った。

由紀「――んっ!? ぷぁっ、んぐ――んぶっ」

 一気に開放される快感。
 勢いよく出された精液に驚くも、彼女はなんとそれを飲もうとする。
 が、全ては飲み込めず――口を離し、残りを顔に浴びることに。

由紀「……めぐねえ」

慈「ご、ごめんなさい……」

 息も絶え絶えに、絶頂の余韻で頭がうまく働かないながらも、謝らねばならないことはすぐ理解した。
 べったりを顔に付着していて、前髪にまでかかってしまっている。
 その姿はとても扇情的ではあるのだけど、それよりも申し訳無さが勝っていた。

由紀「いいんだよ? いいんだけど……なんか、負けた気が」

慈「あはは……」

 勝ち負け云々があるかは分からないけど、お返ししようと口でしたところに、思い切りかけられたら、確かに敗北感はあるだろう。
 苦笑する私。由紀ちゃんは頬を膨らませて不満気な顔をし、そしてクスッと笑うと私のモノに再度舌を這わせた。

由紀「いいにおいじゃないし、美味しくもない……むむ」

 などと呟きつつ、私の男性器を綺麗にしてくれる由紀ちゃん。
 今日はここまででやめておこうとも思っていたのだけど――その刺激にまた硬さを取り戻してしまう。

由紀「ん、めぐねえ。これ大きいままだけど……これが普通?」

慈「い、いいえ。また大きくなっちゃったみたい……」

 正直、またイッてしまうかと思ったくらいだ。
 申し訳なく答える私。すると自分の口元を舌なめずりし、由紀ちゃんは控え目に言った。

由紀「じゃあ……続き、する?」

 なにするのか分からないけど。
 そんな、言葉の続きを口にする彼女を私は押し倒す。
 上目遣いに続きをするか、なんて言われたら絶賛ぐらついている私の理性はもたない。

慈「いい、かしら? 我慢できなくて……」

由紀「うん。いいよめぐねえ。でも優しくしてね?」

 ああぁ……! 由紀ちゃんが本当に可愛くて、愛らしくて、愛おしくて、おかしくなってしまいそうだ。
 顔を赤らめ、小さく頷く彼女。今すぐ抱きしめて無茶苦茶にしたくなる欲求を抑え、私は彼女の濡れている割れ目へ男性器の先端をあてがった。

由紀「……っ」

慈「挿れるわね。痛いかもしれないけど――」

 準備は大丈夫。本人の許可も得ているし、遠慮することはない。
 形だけの確認をし、答えを聞かずに私は中へと男性器を挿れていく。
 愛液と中の感触。すぐ押し出されてしまうのでは、なんて思ってしまう締め付けの強さで、先端を挿れただけなのに変な声が出てしまいそうだ。

由紀「ぁ――っ、めぐねえ、近くに……」

慈「ええ、分かったわ……んっ」

 苦しそうな声をもらし、両手を広げる由紀ちゃん。
 白濁に濡れ、乱れた服装で――カメラがあれば迷いなく撮っているだろう。
 互いに抱きしめ合い、密着。身体を押さえるようにして、挿入したものを奥へと進めていく。

由紀「いっ――!? ぁ、めぐねえ……っ!」

 と、由紀ちゃんが不意に痛がる素振りを見せた。
 あまり私に感覚はなかったけど、膜を破いたのだろうか。
 腰を止め、私は彼女の頭を撫でる。苦しげに呼吸をする由紀ちゃんが、できるだけ痛い思いをしないよう動かずに。

慈「大丈夫? 無理しなくていいからね?」

 彼女をあやすように言葉をかける。
 徐々に由紀ちゃんは落ち着きを取り戻し、私の身体に回した手にかかる力も弱まった。

由紀「――も、もう、大丈夫だよ。ごめんね、めぐねえ」

慈「謝らなくていいのよ。こういうのは、自分のペースでいいんだから」

 なんて言うほど経験ないけど。でも、謝るのは違うだろう。

慈「――でも、そろそろ我慢できないから動くわね」

由紀「ふふっ、うん」

慈「……格好つかないわね」

 苦笑。彼女の言葉に甘え、更に奥まで。
 狭く締め付ける由紀ちゃんの中を進み、そして止まる。
 全部入りきっていないけど、ここまでみたいだ。
 ――小さいけど、だからこそ締め付けが強い。
 さっき出したばかりなのに、もう余裕がないのが分かる。

慈「動く、わね」

 コクリ、と由紀ちゃんが頷く。
 息をできるだけ整え、私は腰を引く。挿れる時は押し出されそうに感じていたのに、いざ腰を動かそうとすると中に吸い付かれるような感覚が強まる。
 柔らかいものに、全体を強く締め付けられるような快楽。我を忘れてしまいそうだ。

由紀「んぁっ、あ――っ、ん、激し、いっ」

慈「はぁ――ぁ、由紀ちゃんの中、すごくいいわ――っ」

由紀「ひぁっ! めぐねえ、めぐねえっ」

 由紀ちゃんの泣くような声に、結合部から聞こえる水音。
 生理的な涙、唾液と精液。私が彼女をこんなふうに汚したのだ。
 明るい笑顔を浮かべ、めぐねえと私を慕ってくれる生徒を、こんな蕩けた表情に――

慈「……っ」

 由紀ちゃんをぎゅっと抱きしめる。
 もうあまり痛みはないのか、奥を突く度に由紀ちゃんが反応し、甘い声を出す。
 中の締め付けはゆるまず、むしろ私が動くと更に強まったような気がする。
 もっと。もっと。私は自然と動きを速め、ピストンを激しくする。
 卑猥な音が大きくなり、由紀ちゃんの声もまた大きくなっていく。

由紀「あっ、あっ、もう、頭――まっしろ、に……っ!」

 もう、限界だ。
 腰を引き、中へ。奥を突くと私はそのまま中へ精液を注ぐ。

由紀「――あ、ひあぁっ!」

 次いで、達する由紀ちゃん。
 脚で私の身体を固定するようにして、私のことを強く抱きしめる。
 その動きに連動するように、中もまた私のものを逃さないようにとするかのように締め付けてくる。
 絶頂し、射精の最中に与えられる刺激。意識が遠のくかと思うくらい、強烈だ。

慈「はあぁ……っ、ぁん」

 精液が出される度に身体が震える。
 女の子の中に出す。その感覚は虜になってしまいそうなほど、心地いい。
 目の前を見れば、由紀ちゃんの恍惚としたような表情が。
 由紀ちゃんと、私とで汚れた彼女。その姿はとても綺麗で、愛おしく見えた。

慈「……やっちゃったわね。思い切り」

 ――と同時に、中出しの幸福感を味わっていた私の頭を、ちょっと冷静にさせた。
 服、どうしようかしら。なんて、現実的な思考を取り戻させるくらいには。
 ……私、ワイシャツ着たままだったのよね。

 さて。
 応急処置として身体をタオルで拭いておき、汚れた服は脱いで放置。
 後のことは朝、また考えよう――ということで、二人で布団に入る。裸で。

由紀「えへへ……しちゃったね、めぐねえ」

慈「――ええ」

 上機嫌そうな由紀ちゃんが、私の腕に抱きつき、にっこりと笑う。
 彼女がさっきまであんなことを――なんて頭に邪な考えが浮かんでしまうが、精神集中。
 また身体が反応してしまうのを見られるのは、ちょっと情けない。

慈「……でも、良かったの? 我ながらその、流れ的な感じは否めないんだけど」

由紀「いいの」

 私の肩に頬を当て、彼女は断言する。

由紀「私ね、嬉しかったんだ」

由紀「今までよりめぐねえにずっと近くて、なんだか、護られてるような気がして」

由紀「――すごく幸せっ」

慈「……」

 ――前の彼女はこう言ってくれただろうか。
 私は彼女の弱味につけこんだだけではないだろうか。

 頭に響く声。返答はない。否定はできない。

 でも、彼女のために少しでも役立てるなら、束の間でも幸せを与えられるなら――

 なんて、由紀ちゃんの頭を撫でながら、私は言い訳を無意味に呟いた。
 誰にも聞こえない、私の心の中で。



【今日はここまで】
【何日もかかってしまいましたが、次回から通常のコマンド――に移れると思います】

【ちょこっと続き――ということで、最初の一度だけコンマ判定】

慈「……」

 朝だ。
 鳥の声が聞こえ、カーテンからは眩しい太陽の光が差し込んでいるのを感じる。
 早く起きて後始末しておかないと……大変なことになってしまうだろう。
 私は――


 ↓1 コンマ0,1~2で???
    3で由紀
    5~9で何事もない

【9 なにもなし】

 目を開くと、寝る前とおんなじ光景が。
 裸の私に裸の由紀ちゃん。……嗚呼、夢みたい。でも夢じゃない。すごく嬉しいけど、その半面罪悪感が。

慈「はぁ……とりあえず、由紀ちゃん」

 罪悪感が強いけど、私が望んだこと。
 私は小さくため息を吐くと、気持ちを入れ替えて由紀ちゃんを起こした。
 ひとまずこっそり更衣室に行かないと。

 シャワーと簡単な洗濯に着替え、それらをぱぱっと済ませて由紀ちゃんを休憩室の布団に戻らせる。

慈「これでよし」

 全てを終わらせ、私はホッと息を吐いた。
 今回は誰にもバレずに済みそうだ。
 休憩室のドアを出て、伸び。すぐ近くの生徒会室へ向かう。

慈「もう一眠りし――」

天子「おはようございます」

慈「――て!?」

 その途中、突然横からかかる声。私は飛び跳ねた。
 横を見れば、そこには笑顔を浮かべた栗宮さんが。し、心臓に悪い……。

慈「く、栗宮さん……。おはよう、どうしたのかしら?」

天子「物音がしましたので。慈さんかと思いまして」

慈「そ、そう」

 朝、のことよね。うん。

天子「慈さん、由紀ちゃんはどうでした?」

慈「どう? どうって……どういう?」

天子「様子です。みんな不審に思ってたじゃないですか」

 そ、そういうことよね。うん。
 ――栗宮さん、のほほんとした口調で意味深なことを言うから怖いのよね。

慈「様子……そうね。大体、分かったような気がするけど」

 頭を真面目モードに切り替え。
 由紀ちゃんと話していて分かったけど、彼女は――

慈「何もなかった、と思っているのかしら」

天子「まあ、大雑把に言えばそうですね」

 細めていた目をスッと開き、栗宮さんは頷く。

天子「昨晩彼女と話をしましたが、由紀ちゃんは危うい状態にいると思います」

慈「危うい? 思い込みなら、それほどでもないと思うけれど」

天子「思い込みではなく、当然のことだと認識しているとしたら……どうなると思います?」

 認識。分かってはいたことだ。
 認めたくはなかったけど――そういうことだとしか思えない。

天子「自分は学園生活部の部員。学校で生活していて、今も日常を過ごしている……そう記憶している」

慈「――ええ」

 昨日の由紀ちゃんに演技の類いの気配は感じられなかった。
 由紀ちゃんが誰かに、それも仲間の全員に嘘をついて演じ抜くなんて技量はない。
 彼女の記憶が都合のいいように、傷つかないように改竄されているのだろう。
 栗宮さんの言葉に、私は頷いた。

天子「多分、今の彼女は奴らと対峙した時、まともに動けなくなると思います」

天子「精神的に大きなダメージを負うこともあるかと」

慈「そうね。気をつけておかないと」

 そうでなくとも辛い思いをしてきたのだ。
 これ以上、そういう思いはできるだけさせたくないものだ。
 由紀ちゃんを贔屓するわけではないけど、死人を出すわけにはいかないし。

天子「――はい。特に慈さんには頑張ってもらいたいです」

天子「由紀ちゃんは学園生活部に、めぐねえに頼ってるみたいですから」

慈「……ええ」

 頷く。
 学園生活部に、めぐねえ。どっちも私。私が大きく関係している。
 暗に、責任を求められているような気がした。
 ――由紀ちゃんのこと、しっかり護らないと。
 私がこうなることを望んだことは、否定できないのだ。

天子「では、そういうことで」

慈「ええ、ありがとう栗宮さん」

 手をひらっと挙げて、栗宮さんは去っていく。
 いつもののほほんとした雰囲気に戻って。

慈「……」

 私に、私の作った学園生活部に頼っている。
 分かっていた。
 私のせいであることは分かっていたのだ。
 否定はしていない。認めている。
 でも、なんでだろう。
 私は、なんでこんなにも迷っているのだろう。
 みんなを護る。それは前から覚悟していたことなのに、なんで、私は。

慈「……」

 分からない。疑問にすらなっていなかった。
 何に迷っているのか、何が不安なのか、それを解決するためには何をすればいいのか。
 全てが、ただ曖昧だった。



【今日はここまで】

【好感度アップ忘れておりました】
【由紀の好感度が8アップで】


十日目

【佐倉 慈】
 体力 100/100
 耐性 80/100
 精神 110/110
 力  39
 速さ 20
 賢さ 40
 技術 50

 『スキル』
 良回復 一日のはじまりに体力を10回復

 『持ち物』
 鉄杭(力に補正+5)
 スマホ、車のキー

 【丈槍 由紀】
 体力 80/80
 耐性 100/100
 精神 5/5
 力  20
 速さ 60
 賢さ 10
 技術 40

 『スキル』
 庇う 味方が死亡するダメージを受けそうな時、自分がそのダメージを受ける
 不認識 人間、かれらへの一切の攻撃行為を行うことができない

 『持ち物』
 ホイッスル


 【恵飛須沢 胡桃】
 体力 120/120
 耐性 90/100
 精神 80/80
 力  60
 速さ 60
 賢さ 20
 技術 20

 『スキル』
 シャベル愛好家 シャベルが関わるあらゆる判定にプラス補正

 『持ち物』
 シャベル(力に補正+10)

 【若狭 悠里】
 体力 90/90
 耐性 80/80
 精神 70/70
 力  20
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 60

 『スキル』
 園芸の知識 一日最後の判定のコンマが3、5の時資源に+300

 『持ち物』
 なし 

【栗宮 天子】
 体力 70/70
 耐性 80/80
 精神 130/130
 力  30
 速さ 10
 賢さ 60
 技術 70

 『スキル』
 医術の心得 一日の終り、体力が一番すくないキャラを体力の1/3回復

 『持ち物』
 モップ(力に補正+5)
 救急箱

 【須戸部 智夏】
 体力 60/60
 耐性 110/120
 精神 100/100
 力  50
 速さ 50
 賢さ 20
 技術 60

 『スキル』
 隠密行動 隠密行動をとるコンマ判定の際、プラス補正
 病気がち 精神が半分以下になると各ステがマイナス10(体力、耐性、精神をのぞく)

 『持ち物』
 鉄パイプ(力に補正+10)
 食糧、ライト、常備薬、ロープ、家族の写真、スマホ


 【エバンス・イリシスシア】
 体力 60/60
 耐性 70/70
 精神 90/90
 力  20
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 50

 『スキル』
 料理上手 夜食コマンドの際、追加で資源300を消費することで、判定にプラス20の追加効果
      使用するとめぐねえ、選んだ一人、そしてエバンスにも夜食効果が適用される。

 占い コンマ判定の安価の際、その数が奇数だった時、次の選択肢にヒントが表示される。

 『持ち物』
 タロットカード、食糧


 【北条 鈴美】
 体力 80/80
 耐性 60/60
 精神 100/100
 力  30
 速さ 20
 賢さ 60
 技術 30

 『スキル』
 集中力 探索パーティー参加時全員のファンブル効果を無効 。精神ダメージがある判定の際、奇数だとダメージ無効
 収集家 探索のパーティーに参加時発動。判定がクリティカルの際、教材かスキル本を入手

 『持ち物』
 スペアの眼鏡、猫のボールペン、ブックマーク



【共通ステータス】
『資源』 2900
『消費量』 800 
『生産』 600



【好感度一覧】
由紀 55  「仲良くなれたかな」
胡桃 51  「笑顔がかわいいな」
悠里 55  「色々見てて不安……」
天子 35  「いい同僚です」
智夏 34  「まだよく分かんないかな」
イリス 31 「悪い人、じゃない」

【十日目】

 一時間程度の仮眠を終えて、微かに聞こえる物音に目を覚ます。
 みんな起きはじめたようだ。

慈「……」

 身体を起こし、小さく欠伸。
 さてと、起きなくちゃ。

慈「――そういえば」

 テーブルの上に置いた鏡を覗き込み、ふと思う。
 由紀ちゃんとああいう関係になったこと、悠里ちゃんや胡桃ちゃんに言っておいた方がいいのかしら。
 多分、由紀ちゃんが朝帰りしていたことは気づいているだろうし。
 それに隠していてまた見つかって怒られるのは嫌だ。
 ……でも、あんまりおおやけにするべきじゃないわよね。

慈「どうしようかしら」

 
 1・素直に話す
 2・内緒にしとく

 ↓1

【2 内緒にしとく】

慈(話せないわよね……)

 素直に話した方が怒られそうだ。
 発覚するまでできるだけ内緒にしておくとしよう。

慈「よし、と」

 髪を結び、生徒会室から出て行く。
 今日も何もなければいいのだけれど……。


 生活部コマンド(とりあえずコマンドだけ選んで、その後メンバーやら詳細を決定します)
 1・開発【選択不可】
 2・提案
 3・授業
 4・探索
 5・占い

 ↓1

【4 探索】

 現在発生中のイベント


 【イベント『購買部』
 内容:『休憩室にある食糧だけでは心もとない。危険だが2階の購買部に行く必要性も出てくるだろう』】

 【イベント『モールへ』
 内容:『街を探索できるならば、モールへ行く価値はあるだろう。生存者がいる可能性もある。準備を整えて向かおう』】

 【イベント『武器を探そう』
 内容:『戦いに備えて準備をしよう。部室棟なら、色々あるだろう』】

 【イベント『ちょっとしたお願い』
 内容:『智夏ちゃんからの依頼。内容は不明だけど……何なのだろうか。
       ※条件あり  時刻夜限定 メンバー固定:慈、智夏』】

 【イベント『安全圏内の探索』
 内容:『安全を確保した場所の探索を行います』】


 進行するイベント、及び参加メンバー
 ↓1

武器を探そう
智夏
くるみ

【安価下で、>>444採用】

【イベント:『武器を探そう』 メンバー:智夏、胡桃】


慈(武器……大切よね)

 朝食後。
 みんなが解散し、自由な時間をすごしはじめる中、私は休憩室でじっくりと考える。
 今日の午前中は武器を探すのもいいのかもしれない、と。
 これから街に出るならば戦う機会も増えるだろうし、今のままの武器では心もとない。
 準備できる内に準備した方がいいだろう。
 学校ならばある程度、武器のありそうな目星はつくのだし。

慈「みんなに話そうかしら」

由紀「めぐねえ、今日やること決まった?」

 思考をやめると同時に由紀ちゃんから声がかかる。
 私のすぐ隣に由紀ちゃんが座っていた。いつの間に……。

慈「ええ。今日は……」

由紀「……?」

 言葉を急に止める私へ、由紀ちゃんがきょとんとした顔を向ける。
 まずい。由紀ちゃんに武器探しのことをなんて言おうかしら。
 学校で暮らす、女の子だけ、宿泊――そうだ。

慈「えっと……不審者の対策のために、護身用の武器を集めようと思って」

 我ながら苦しいけど、どうだろう。

由紀「え? でも危ないよ?」

 当然ながら疑われた。というか、何言ってんの的な目で見られた。
 確かに平和時にそんなことを言われたら、私も色々疑う。心配もするだろう。
 でも真面目な提案にこう、純粋な人間性の心配をされると中々堪えるものだ。

慈「そ、そのぅ……女の子ばかりだからいざというとき、ね?」

由紀「めぐねえ、そういうのは警備の人に任せて――」

慈「みんなのこと、由紀ちゃんのこと護りたいの。駄目?」

由紀「う゛。めぐねえ、その仕草は反則……っ」

 両手を合わせて、首をかしげる。
 すると由紀ちゃんは顔を私からそむけ、大袈裟なリアクション。
 ほんのりと赤くなりながら私に視線を戻すと、渋々といった様子で首を縦に振った。

由紀「護身用だよ?」

 護身用……その範囲がどの程度かは分からないけど、今回の探索に彼女を加える気はない。
 いざとなれば内緒に武器を持ち帰ることだってできるだろう。

慈「ええ。護身用。それじゃ由紀ちゃん、みんな呼んできてもらえるかしら?」

由紀「りょーかいっ。ちょっと待っててねめぐねえ」

 ボールを投げられた犬みたいにはしゃいで、由紀ちゃんが走っていく。
 元気になった……わよね。



【一旦落ちます】

【遅くなりました。夜寝てただけなので、特に問題はありません
【鈴美の好感度は次回から追加しておきます】
【複数人のシーンは条件次第であります】


 そしてみんなが集まった。
 休憩室。いつもの食事をしているテーブルは会議の場に。

鈴美「――そう。早速武器を探すのね」

天子「今の戦力だと頼りないですからね。当然の選択だとも言えます」

 彼女らの言葉に頷く面々。
 みんな、反論はないようだ。

由紀「生活部に戦力って必要なのかな?」

 一人、違う反応を見せている子もいるけれど。

胡桃「まぁ、必要じゃない場面も多い――」

鈴美「必要です。これから先を進むためにも」キッパリ

悠里「じ、自衛も大変だから、頑張らないといけないわね。ほどほどに」

智夏「だねー。鈴美ちゃんバイオレンスなんだから」

鈴美「なっ、バイオレンスじゃ――あ」

 ムッとした顔で反論しようとして、口を閉じる鈴美ちゃん。
 ……まだみんな、由紀ちゃんのことに慣れていないようだ。
 気遣い方も傍から見ればあやしすぎる。

慈「ととと、というわけで、武器を探すために私と胡桃ちゃん、智夏ちゃんで部室棟を捜索するわねっ」

 私も人のことを言えないのだけれど。


イリス「ぶしつとう……?」

慈「部活動の部屋、部室がある棟のことよ。スポーツとか色々あるから、ここよりも物資は多いと思うの」

イリス「なら、いったほうが」

智夏「うん。大きい学校だし。――で、どうやって行くの?」

慈「そ、それは……」

 ハッと気付かされる。
 部室棟に行く。それは決めたのだが――

由紀「決めてないの?」

 行き方まではさっぱり決めてない。

胡桃「だと思った。せっかくみんながいるんだし、決めるか」

悠里「めぐねえの考え任せだと無茶しそうだし……」

鈴美(暴れるってことかしら)

慈「ご、ごめんなさい……」

 こればかりは反論できない。
 二階も確保していない状況なのだ。それで部室棟に向かうのだから、それ相応の策を講じるのが当然。
 なにも考えていないなんて、いいお笑いだ。

鈴美「それで、どういう手段で向かうのかしら」

 車に徒歩、自転車――今使える手段はそれくらいか。
 無難なところで車か徒歩。自転車もありといえばありだけど、それで三人移動するのは辛い。
 さて、どうしようか。


 1・はしごで下に降りて徒歩
 2・車に乗って移動
 3・自転車と徒歩で移動

 ↓1

【3 自転車と徒歩で移動】

慈「――っていうのはどうかしら?」

 私と智夏ちゃんが自転車で移動。
 胡桃ちゃんは徒歩で移動して、それぞれ部室棟を目指す。
 で、胡桃ちゃんが来るまでの間に私と智夏ちゃんが偵察、と。

鈴美「なるほど……悪くはないわ」

悠里「そうね。でも、心配なのは」

 ちらりとみんなの視線が一人に向かう。
 その対象は、胡桃ちゃん。

胡桃「――え? あたしか?」

 当の胡桃ちゃんが私のことをじーっと見ていたけど。
 でも、みんなが今心配しているのは単独行動することになった胡桃ちゃんだ。

智夏「一人行動になるじゃん。心配するでしょ、そりゃ」

胡桃「あ、ああ。そういえば」

イリス「わりとよゆう……?」

由紀「くるみちゃんなら、助っ人要求からも余裕で逃げきれるよね」

胡桃「まぁな」

 胡桃ちゃんが得意気に笑う。
 助っ人要求――っていうのは、グラウンドにいる奴らのことか。
 確かに陸上部の胡桃ちゃんなら、一人で走った方が安全なのかもしれない。
 車はできるだけ温存しておきたい。
 ここは胡桃ちゃんの身体能力に期待するのが一番か……。

慈(結局、頼る面が多いわね)

 護るなんて実現するのはまだまだ先のことのようだ。
 小さく嘆息。ポケットに入れた杭に触れ、私は思う。

 ――でも、この探索で強い武器を手に入れることができるなら。
 私も少しは活躍できるのかもしれない。





慈「ここまでは順調ね」

 当然といえば当然だけどホッと安心だ。
 会議を終えてはしごから下へ。校舎前のコンクリートに足を付け、私はホッと息を吐く。
 朝。まだまだ奴らが多い時間だ。グラウンドには奴らが彷徨っており、私達のちょっと近くにも数体いる。
 物陰に隠れていなければ、すぐに集まってきてしまうだろう。

胡桃「相変わらず多いな……」

智夏「生徒さんがいっぱいですこと。みんな学校好きだよね」

 はしごから降り、二人は私の傍へ。
 一緒に植え込みの影に隠れ、様子を窺う。
 気づいている様子の奴らはいない。スタートとしては理想的だ。

慈「それじゃ、作戦通りに進もうと思うけど……いいかしら?」

胡桃「ああ。あたしもだけど、二人も気をつけてな」

 こくりと頷き、笑顔を見せる胡桃ちゃん。
 その表情には恐怖というものがなかった。失敗する、なんてことは考えてなさそうだ。

智夏「ん、うちの自転車テクに任せといて」

慈「多分、こっちには心配ないわよ」

 イリスちゃんにすごく心配されたけど、私が声を出さなければ問題はないだろう。
 ……ちょっと不安。


 ↓1 慈、智夏ペアの進行判定(二人の技術値平均との差で被害増減)

 ↓2 胡桃の進行判定(速さステで通常判定)

【慈、智夏 『技術平均値 55』 『コンマ 87』  結果:不可】
【胡桃 『速さ 60』 『コンマ 46』  結果:良】


慈「……智夏ちゃん」

 胡桃ちゃんと分かれて数十分。
 私と智夏ちゃんは部室棟に到着した。

慈「すごい、危ない運転するわよね」

智夏「ごめんごめん。新しい場所だったから慣れなくて」

 ――無事とは決して言えない状態で。
 転ぶのはまだいいけど、一回二回、奴らへと突っ込んでいったことは危険としか言い様がない。
 声を出すまいと耐えていたのに、悲鳴を上げてしまうほどである。

慈「まぁ、智夏に任せたのは私だし文句は言わないけど」

 でも私と智夏、二人が怪我をしてしまったことは否めない。
 智夏ちゃんもそうだけど、私ができることも少しはあったのではないのだろうか。

智夏「あはは、だねー。うちが全部悪いってわけでもないし」

 ――なんて思うのは、自意識過剰なのだろうか。
 けらけらと笑う智夏ちゃんを見て、私は額に手を当てた。


【佐倉慈】
 体力 100 → 70
 精神 110 → 90

【須戸部智夏】
 体力 60 → 40
 精神 100 → 80


【今日はここまで】

 でも奴らの中を歩きで移動するよりは被害が少ないだろう。
 部室棟までは校舎外か、一階の渡り廊下を使う必要がある。どのルートを通るにしても危険は避けられないのだ。
 むしろ自転車で正解。被害が少ないほうだろう。

慈「さて……無事ここまで来れたけど、どうしよう」

 部室棟前。自転車を静かに倒しておき、私は考える。
 部室棟。その名の通りここは部活動の準備を行ったり、文化系の部活動を行う場所でもある。
 学校で感染が起こったのは放課後。ここにいる奴らの人数は多いだろう。
 ドアが開いていたりすれば、帰ったりしているかもしれないが。

智夏「偵察、だよね。どうする? 中に入ってみる? 危ないけど」

慈「……」

 ひょっとしたら、学校よりも危険な可能性も。
 ――選択肢は色々ある。
 その中から、何を選ぼうか。


 1・智夏に偵察を依頼
 2・窓から、無人の部屋に侵入
 3・正面入口を観察

 ↓1

【1 智夏に偵察を依頼】
【『智夏 技術 60』 『コンマ 61』 結果:良】

 頼むのが一番か。
 私がいないほうが動きやすいだろう。

慈「智夏ちゃん、中の偵察をお願いできる?」

智夏「うち? うん、大丈夫大丈夫」

 私が言うと彼女はにっこりと笑って頷く。
 こんな状況なのに、あんまり緊張感がない子だ。
 でも何故か頼り甲斐があるように見えるから不思議よね。

智夏「危なかったら戻ってくる。なにかあったら覚えとく。ま、パパッと行ってくるよ」

 リュックから鉄パイプを取り出し彼女はサムズアップ。
 窓から部屋の中を注意深く窺うと、窓枠に足をかけ割れた部分から中へ入っていく。

慈「ええ。行ってらっしゃい。お願いね」

 先生として情けないけど――迷惑をかけるよりはいいだろう。
 私が声をかけると、智夏ちゃんは手をひらっと挙げ、表情を変える。真剣な目をして、彼女はゆっくりと部屋のドアから出て行った。
 ……大丈夫そうね。

慈「――ここで待つのも大変よね」

 物陰に隠れて、胡桃ちゃんが来ないか時々様子を窺う。
 人じゃないものの声が時折聞こえるこの場所で、ただジッとしている。
 こうしていると仲間の大切さがよく分かった。


 ↓1 コンマでイベント判定(1~3で会話 4~7で智夏視点 8~9で智夏視点その2 0で智夏視点その3)

【1が武器手がかり、3が技術者とコンタクトでございます】


【9 智夏視点その2】

 どこに行こうか。
 廊下に出た私は、左右を確認。
 奴らの姿はやっぱり多い。ユニフォームを着た者、制服の者、一人でどうにかするには手を焼く人数だ。
 ここはすり抜けていくのが一番だけど――袋小路にならないように目的地はしっかり決めておかないと。

智夏「ま、鍵はあんまり閉まってないだろうし……」

 とりあえず、それは見つかったら考えるようにしよう。
 何か考えていると咄嗟の時の判断が遅くなることもあるし。
 まぁ簡単に言えば向いていないのだ。考えるのは。

智夏「……」

 すっとドアから身体を出す。
 奴が背中を向けている隙にこっそりと、他の奴らの視界に入らないよう移動しながら、姿を隠すように奴らの身体を私との間に挟むようにする。
 奴ら同士では反応しないし、音を立てずに私の姿が見つからなければどうということはない。
 これが運次第ですごく神経を使うんだけど、今回はうまくいってくれた。
 するすると間を進んでいき、見つかったりもしたけど距離が開いているから問題はない。

智夏(一人だとこれができるからいいよねぇ)

 歩くことしばらく。
 ドアに適当に入り、私は開けた場所に出た。
 そこは弓道場のようだった。ドアから入った先は木の床が広がっており、右方向には的。
 血溜まりがあったりもしたけど、中々にいい雰囲気だ。

智夏「ここなら武器もあるかな」

 今日の目的は武器を探すこと。
 弓とかでも大丈夫……だろう。

智夏「よっし、うち一人で決まりかな」

 めぐねえの出番はなしだね。
 ほくそ笑み、背後のドアをしっかり閉じておく。
 弓道場に奴らの気配はなかった。

【更新少ないですが今日はここまででー】

智夏「さってと、どこから調べようかな」

 武器を探すなら、倉庫的な場所から、というのが王道だろう。
 周囲を警戒しつつ探索。ちょっとして、奥の方にドアを見つける。
 和風な弓道場によく似合った、横開きのスライド式な木製のドア――扉だ。
 ここしかないか。扉を開いてすぐ攻撃ができるよう、パイプを構えておく。

智夏(なにもいないように)

 がらっと勢いよく開く。
 直後奴らが襲ってくる、なんてことはなく扉の音が止むと周囲には静寂が戻った。

智夏「……」

 おそらく、倉庫。
 それと部室も兼ねているのだろう。棚やロッカーがあり、長椅子などもあった。
 弓道らしくそれらも和風で、落ち着いた作り……なのだけど、様子がおかしい。
 まずロッカー。鍵は壊れていて、ほとんどが半開き。どうやら全てを乱暴に開けたようで、壊れっぷりがすごい。
 そして棚。弓道に使うのであろう道具が綺麗に整理され、並べられている。
 一見すると火事場泥棒でもやって来たかのような、必要な物がありそうな場所だけを狙った荒らされっぷりだが――部屋自体は綺麗なのだ。
 ロッカーを壊したなら、その破片などが散らばっていてもおかしくはない。

智夏「なにこれ」

 不可解な光景に呆然としていると、私のすぐ横から小さな物音が聞こえた。

智夏「――うん?」

 部屋の様子から、奴らがいる可能性は低い。
 けれど身体は自然と自衛のための動きを取った。出てきた扉の外へ、一歩後ろに下がる。そして数歩下がり、パイプを構える。

???「――あたっ!?」

 すると拍子抜けしてしまいそうな暢気な声と共に、女の子がドアの前に倒れた。
 攻撃しようとして倒れるって、結構鈍くさい。

智夏「えっと、初めましてかな?」

 とりあえず、人間相手ならば友好的にしなくては。
 振り上げていたパイプを下ろし、私はコミュニケーションを試みる。

???「あ……。あれでは、ないのですね」

 髪の長い、大人しそうな女の子は私を見て、ホッと息を吐く。
 女の子というよりは、女の人、といった印象の女性だ。
 大人っぽくて身長が高く、スタイルが――悠里並にすごい。
 もう少し身なりがよければ、立派な大人のレディとなんら遜色のない大人な雰囲気をもっている。

智夏「うん。しっかり生きてるよ。そっちもみたいだね」

???「は、はい。なんとか、ですけれど」

 倒れこんだ女性は床に手をついて、身体を起こすとそのまま地べたに座る。
 まるでスローモーション映像みたいに鈍重な動作で。
 ――言葉通りなんとか、なのだろう。

智夏「大丈夫? ギリギリそうに見えるけど」

???「大丈夫ですわ。ちょっとくらくらしますけど」

智夏「大丈夫じゃないよね」

 割りと強がる人だ。
 空腹だろうか。
 うーん、ここはめぐねえのところに連れて行くのが一番かなぁ。でもどうやって行こうか。
 顎に指を当て、思考。食糧は持っているけど、これは私が見つけた物。もしもの時の物だ。おいそれとあげられるものではない。

???「あの」

 考えていると、彼女が口を開く。
 おずおずと若干の申し訳無ささを滲ませ、彼女は私を見上げながら問いかけた。

???「見たところ、どこか拠点があるようですが私もそこに連れて行ってはもらえないでしょうか?」

 私の見た目や様子で分かったのだろう。生活が保証される場所があるのだと。
 でもそれを見ず知らずの私にストレートに言うとは、よっぽど切羽詰っているのだろう。

智夏「うんいいよ。流石に見捨てられないしね」

 ……何回か人を見捨たことはあるけど。

???「本当ですか!? よかった……」

智夏「女の子がそんな格好なのはあれだし、お腹も空いてるでしょ?」

???「そ、そうですわね……においもひどいですし」

 すんすんと制服の袖をかぎ、顔を赤くさせる。
 一週間弱とはいえ、この場所で生活するのは大変だっただろう。

智夏「そういえばトイレとかどうしたの?」

???「袋に入れて、埋め――って、何訊くんですか!」

智夏「いやぁ、純粋な疑問で」

 なるほど、そういう手段もあるのか。校舎外に続いている弓道場ならではだね。
 ――思ったよりも、みんなサバイバルな状況にいるんだと実感する。やっぱり助けてあげないとね。

智夏「じゃ、君を連れてくことは決まったけど――名前、教えてもらっていい?」

智夏「うちは須戸部智夏」

???「赤井桜ですわ。これからよろしくお願いします」

 丁寧に言って、彼女は頭を下げる。釣られて私も下げる。
 赤井桜……二年生、だろうか。鈴美と同じ色のリボンをしている。
 高校二年生でこの容姿……おそろしいっ。

智夏「さて。じゃ、外を経由して仲間と合流しよっか」

桜「ええ。――あ、その前に少々、ええと、お願いを言ってもよろしいでしょうか?」

 立ち上がろうとしてよろけ、扉に寄りかかりながら彼女は恥ずかしそうに言う。

智夏「いいよ。言うだけなんだよね?」

桜「い、いじわる……」

智夏「冗談冗談。無理じゃないものはするから。さ、言って?」

 目をうるませる彼女へ、私は笑顔で催促。
 お願い、か。なんだろう。まぁ十中八九うまく動けないだとか、お腹がすいただとか、そんなところだろうけど――

桜「空腹でうまく動かなくて……助けていただけませんか?」

智夏「わかった、うちに任せて」

 私は力強く頷いた。
 リュックから携帯食糧を取り出し、休憩室で入れておいたペットボトルの水を差し出す。

桜「え……あれっ? 肩を貸していただければ――」

智夏「さぁ、食べて。これでちょっとは動けるでしょ。自分で食べられる?」

桜「は、はい……ありがたくいただきます」

 ぽかんとする彼女にそれを渡し、ちょっと待つことに。
 かりかりとハムスターみたいに一心不乱にかじりつき、水を頬張る桜。
 そんな彼女を見ていると、私は面白くなってしまう。

智夏(うちって、こんな『助けて』で変わったっけ……?)

 たった一言でこれなのだから、彼女の反応も尤もというか。

【視点:佐倉慈】


慈「遅いわね……」

胡桃「だな……」

 あれから何十分か経った、と思う。
 胡桃ちゃんも無傷でやって来て、後は偵察に行った智夏ちゃんが戻ってくるのを待つだけなのだが――帰ってくる気配がなかった。
 心配だけどここを動くわけにもいかない。この状況で入れ違いは危険すぎる。
 結果、動けず物陰で待つことに。

胡桃「智夏だから心配はないと思うけど――新しい場所だからな。心配だ」

慈「そうよね。――あと少ししたら、中の様子を見てみましょうか」

胡桃「いいのか? 智夏が戻ってきたら、智夏が一人で待つことになるけど」

慈「で、でも今智夏ちゃんは一人で、危ないところにいるのよね? 見捨てられないわ。今すぐ――」

胡桃「落ち着けめぐねえ。それと行かせたのはめぐねえだ」

 そうよね。何言ってるんだろう、私。
 落ち着かないと……。深呼吸。吸って吐いて……よし。

智夏「やあやあ、お待たせ」

慈「智夏ちゃん!」

胡桃「飛び出そうとするのはやめようなー」ガシッ

 全然落ち着かなかった。

 胡桃ちゃんに止められ、踏みとどまる。
 あ、危ない……もっと冷静にならないと。
 こちらへと小走りで向かってくる智夏ちゃん。私は今すぐに駆け出したくなる気持ちを押し殺し、彼女の方を見る。
 ――あれ? 誰か連れて来てないかしら?
 黒髪の子で、これまた綺麗な……。弓と矢筒を持っているのが気になるけど。

智夏「さ、ここへどうぞ」

???「は、はい」

 そして智夏ちゃんがイキイキしてる。
 手を繋いで私達の傍へ到着した二人。智夏ちゃんはエスコートでもするかのように言って、女の子の手を離す。
 ……イリスちゃんとだいぶ扱いが違うような気がするが、どうしたのだろう。

胡桃「おっ、新しい仲間か?」

智夏「うん。赤井桜。弓道部の生徒らしいよ」

桜「初めまして。よろしくお願いします」

 しゃきっと背筋を伸ばし、綺麗なお辞儀をする桜ちゃん。
 胡桃ちゃんと私は『お、おおぅ』みたいな戸惑いが口から飛び出したような、微妙な反応を見せる。
 私も、挨拶しておいた方がいいわよね。


 ↓1 赤井桜の初期好感度をコンマ判定(クリティカル、ファンブル関係なし)

【初期好感度 86 「あの慈さんとお知り合いに……」】
【好感度が高いので、1スレ目の好感度の説明でちらっと言っていた、密かに実装を計画していた性格変化の要素を赤井さんで試用しようかと思います】

【本来はこれまでの選択肢で変化していく形にしようと思ってましたが、今回は安価で】
【↓2 で好きな要素を一つ選んでください。
    選べるものはヤンデレ、淫乱、マゾ、サド、依存、溺愛】

【後の会話選択肢で元に戻すことも可能です。二つが合わさることも】
【こんな性格がいいというのも、いいものがあれば採用しようかと。
     まともな性格がねえ、というのはこのスレがそういうスレなのでということで】

【依存で決定です】
【コンマにすると全員何かしら爆弾というか、おかしくなりそうかつ、後で変更というのも難しいので】


慈「私は佐倉慈。国語の教師で、今はみんなの顧問をしているわ」

胡桃「恵飛須沢胡桃。この高校の三年生だ。よろしくな」

 それぞれ、簡単な自己紹介を行う。
 必要最低限だけど、状況が状況。これで充分だろう。

桜「は、はい。よろしくお願いしますわ、お二人とも」チラッチラッ

 ――何故か桜ちゃんにちらちらと見られているのがすごく気にかかるけど。
 私、おかしなことでも言ったかしら。

慈「桜ちゃんも、学園生活部に入ることになった……のかしら?」

桜「はい。微力ながら、私も学園生活部の一員として、尽力していきます」

桜「その、慈さんのためにも」

 頬をほんのりと赤くさせ、桜ちゃんは言う。
 なんでだろう。私何も言ってないのに、智夏ちゃんと胡桃ちゃんからの視線がイタい。
 私、桜ちゃんとは初対面だったはず、よね? 後で話を聞いた方がいいかもしれない。


【赤井桜が合流しました】

【ステータスを貼って、一度落ち】


【赤井 桜】
 体力 90/90
 耐性 60/60
 精神 90/90
 力  30
 速さ 30
 賢さ 40
 技術 50

 『スキル』
 揺れない心 精神が0になった際のマイナス効果を無効 
 必中 敵に発見されていない状態での射撃、投擲の判定にプラス補正。

 『持ち物』
 弓と矢(現在6本)など弓道道具、ソーイングセット、水筒

胡桃「……」ジーッ

慈「と、とりあえず……武器を探そうかしら?」

 無言の威圧が怖い。桜ちゃんのこれなら由紀ちゃんに先に手を出してしまったことを言ったらどうなるか、考えたくはない。

智夏「え? 武器って――」

 チラッと、桜ちゃんの方を見る智夏ちゃん。
 彼女の持っている弓、そして肩に提げた矢筒。

智夏「これって武器じゃないの?」

慈「武器だけど、桜ちゃん以外に使えないでしょ?」

智夏「やっだなぁ、うちだって弓くらいは使えるよ」

 ――意外である。弓って使うの難しいんじゃ……。

智夏「こう、木を湿らせてしならせて、ゴムを張ればできる弓を」

胡桃「さぁ、武器を探そうか」

慈「そうね」

智夏「ツッコンでっ。できればツッコミをっ」

 使い手がいたとしても、弓一つでは戦力の増強とはあまり言えないだろう。
 あくまでも、近接武器。長く使える、誰でも使える、そんなものが欲しいところ。

桜「では運動部を回ってみるのが効果的、ですわね」

胡桃「だな。武器がありそうな部といえば運動部しかないし」

智夏「めぐねえ、目星はついてる?」

慈「目星ね……」

 運動部。別に運動部でもなくてもいいのだけれど……何か武器がありそうな部はどこだろうか?


 1・野球部
 2・剣道部
 3・ゴルフ部
 4・その他(おかしなものは安価下)

 ↓1

【2 剣道部】

 武器、といえば真っ先に浮かぶもの。
 それは剣。それなりにリーチのある武器ならば、女性でも優位に戦うことができるだろう。

慈「――そうね。剣道部の部室を見てみましょう」

桜「剣道部ですか。部室は確か……近かったような」

胡桃「うし。なら、早速行こうぜ」

智夏「だね。どする? ルートは色々あると思うけど」

桜「智夏さんがやって来た場所から、弓道場から、確実なのはそれくらいですわね」

慈「……」

 自然と、私が結論を出すことになる。
 ルートね……どうしようか。

 1・弓道場から
 2・窓から
 3・むしろ直接、剣道部部室の窓から

 ↓1

【2 窓から】

【というのが決定したところで、短いですが落ち】

【2 窓から】

桜「窓からですか?」

 それほど悩まず決断した私に、桜ちゃんはきょとんとした顔で復唱する。
 窓からならばとりあえずは入ってすぐの安全は確保されている。取り囲まれたりすることもないだろう。

胡桃「ま、妥当だな」

智夏「もうひと頑張りってところかな」

慈「ごめんなさい、桜ちゃん。危ない橋を渡ることになりそうだけど」

桜「はい、大丈夫ですわ」

 こくり、と頷く桜ちゃん。
 彼女は手にしている弓を握り直し、真剣な表情をする。

桜「これまで――戦いをしてきたみたいですね」

 選択の躊躇のなさや、仲間の反応で分かったのだろう。
 私達が何度か修羅場を越えてきたことを。

胡桃「――避けて通れないからな。少しでも数を減らせば、被害も減るだろうし」

桜「ですわね。――私も、協力させていただきます」

 凛とした雰囲気で、彼女は静かに言う。
 彼女も戦いに参加させるのは申し訳ないけど――貴重な戦力。
 活用させてもらうとしよう。

慈「じゃあ、行くわよ」

 会話もほどほどに、部室棟の中へ。
 窓から侵入し、廊下へ続くドアを開いた。



 ↓1 (コンマ判定で、部室までの敵の数  1~30で6体 31~60で7体 61~90で8体 91~99、00で5体
            クリティカルファンブルは関係なし)

【35で七体】

慈「……すごいわね」

 結構近く。その言葉通り、部室は見える場所にあるのだけど――奴らの数がすごかった。
 智夏ちゃんの指示に従って全員で顔を出し、様子を窺うと、探す必要もないくらいうようよと奴らがいる。
 見る限り、部室までの道のりを安全にするなら、7体ほど倒さなくてはならない。

慈「これ、どうにかなるのかしら?」

 一度ドアを閉め、作戦会議。
 多いとは思っていたけど、この数は……大変そうだ。

智夏「すり抜けてはいけたけど、この人数だと無理だろうね」

胡桃「まぁ一人なら無茶もできるしな」

桜「お二人とも、一人でもあれをすり抜けるのは恐ろしいことですわ」

 そうよね。あれにばれないでどうやって歩いて行くのだという話だ。

慈(倒すにしても……安全に行くには作戦が必要よね)

 私達が安全に部室へ向かうため、何をするべきだろうか。


 1・とりあえず智夏と胡桃に暗殺司令
 2・少数ずつ現在の一室へおびき寄せ、待ち伏せ作戦
 3・行動する、指示を出す(対象:慈、胡桃、智夏、桜)

 ↓1

【少数ずつ現在の一室へおびき寄せ、待ち伏せ作戦  クリティカルです】

慈「――ということで、どうかしら?」

智夏「いいんじゃない? それが一番だよ」

二人『……』コクリ

 みんな反論はないようだ。
 廊下で戦っては囲まれかねないし、場所も狭い。
 ならばおびき寄せて少数ずつ戦うのが最善だろう。

慈「それじゃ、私が囮するから」

桜「はい――って、え!?」

 いつものように戦いが苦手な私が陽動――しようとして、驚かれる。

桜「なんで慈さんが?」

胡桃「この中で一番戦えないから」

智夏「めぐねえ戦うと無茶して大変だから」

慈「――だからよ」

 なんだろう。決して嫌われてはないのに辛辣である。

桜「は、はぁ……が、頑張ってくださいませ」

慈「ええ。まぁいつもやってることだし」

桜(いつも……)

 ――さて、頑張らないと。
 一応ポケットから杭を出しておく。
 そしてドアを開き、廊下の様子を窺った。


 まず近くの数体を狙いに絞って――

慈「――よし」

 決心。
 ちょっと強く足踏み。それほど大きくはない音を立てる。
 これでどうだろう?

慈(……うまくいった)

 音に反応しこちらを向く奴ら。
 数は四体ほど。――うん? うまくいった?
 ……うまくいった、ということで。

慈「みんな、気をつけて」

 若干心配要素はあるけど、なんとかなるだろう。
 ドアから顔を出し、手を振って陽動。もう大丈夫だろうというところまで近づいたタイミングで、部屋の中に引っ込む。
 さて……うまくいくといいけど。

 緊張しながら待つ。
 徐々に近づいてくるうめき声。そして覚束ない足音。
 おびき寄せた数体はしっかりここへ来てくれているみたいだ。

慈「……」

 私はみんなへアイコンタクト。
 杭を軽く上げて、まず私が攻撃することを示す。
 奴らが部屋に入りきらない内が、多分私が安全に攻撃できるタイミングだろう。

『ギ……アァ』

 ちょっとして、そのタイミングがやって来る。
 呻きながら部屋に入ってきた一体。ドアの横で隠れている私には気づかず、奴は目の前に立っている胡桃ちゃんへと向かう。

慈「――!」

 チャンス。一歩踏み込み、全力で鉄杭を奴の頭へと振るう。
 嫌な手応え。未だ慣れそうにない感触に顔をしかめ、追撃。
 振り切った杭を下から上に。切り上げるように振り、先端を首へと突き刺す。
 同時に、突き刺した杭を空いている左手で釘を打つように押し出した。
 返り血が私の顔を、身体を汚す。けれど怯んでいる暇はない。
 これまでも躊躇したり油断したせいで危険な目にあったのだ。

慈「胡桃ちゃん、智夏ちゃん」

 杭を引き抜き、首を刺した奴へと足払い。床に倒すと足で全体重を乗せ首を踏みつける。
 これで倒せたかは分からない。でも一度下がるのがいいだろう。
 胡桃ちゃん智夏ちゃんに合図を送り、私は彼女らのいる方向へ走り出す。

智夏「まっかせといて」

胡桃「いくぞ」

桜「――援護しますわ」

 走りだす二人。そのちょっと横に離れた場所から、桜ちゃんが矢を放つ。
 正確に放たれる矢。距離は狭めだけど、綺麗に先頭を歩いている奴の頭へと突き刺さる。

胡桃「ちょっと怖い――なっ!」

 よろけたそいつへ、胡桃ちゃんのシャベルが振られる。
 鈍い音。額へ縦に向けたシャベルが思い切り振り下ろされ、二体目は難なく撃破。
 次いで、胡桃ちゃんは前に進むと三体目の身体をシャベルで押し出す。

胡桃「いけ、智夏」

智夏「了解!」

 後ろへ後ずさりする三体目に、横から飛びかかる人影が一つ。
 ダッシュし、跳躍した智夏ちゃんが思い切り鉄パイプで奴の頭部を打ち抜く。
 ガコンと小気味良い音。高校生の身体をした奴が、中学生の智夏ちゃんの攻撃によって綺麗に横へ倒れる。
 残るは一体。私は智夏ちゃんのカバーをしようと攻撃を試みる、が、そんな暇もなく胡桃ちゃんが駆け出した。
 最後の一体へ肉薄する胡桃ちゃん。奴が手を伸ばしてくる前に、彼女のシャベルが閃く。
 首へ叩き込まれる攻撃。奴はぐったりと、糸が切れた人形のように倒れた。

胡桃「……ひとまず、これで安心――」

 仕留めた。そう確信したのだろう。
 胡桃ちゃんがふぅと息を吐き、こちらを向こうとした瞬間――桜ちゃんが矢を放った。

桜「――はい、これで安心ですわね」

 胡桃ちゃんの足元。奴の手が床にぱたっと降りる。
 どうやら一撃では仕留めきれていなかったらしい。
 涼し気な顔をして微笑する桜ちゃんに、胡桃ちゃんは苦笑を返した。


【今日はここまで】

 【精神】
慈 90 → 80
胡桃 80 → 70
智夏 80 → 70
桜 110 → 100


 なんとか、無事に被害も出さずに済んだ。
 動かなくなった奴らをもう一度確認し、私は息を吐く。

慈「みんな、怪我はない?」

胡桃「ああ。四人だと戦力的に安心だな」

智夏「うごきづらいけどね。うちは大丈夫だよ」

桜「私もですわ。矢も全部使えますし」

 各々武器の手入れを簡単に済ませ、私の周りに集まる。
 みんなの怪我はなし。戦果はかなり良い。望む以上の結果だ。

慈「良かった。次、行けるわね」

 廊下を確認しながら小声で確認。残りは三体くらいか。
 肩越しにみんなを見ると、首を縦に振ってくれた。

 次。どうやって残りを倒していこうか。
 距離も開いたし、弓で攻撃してもらうのもアリかもしれない。


 1・さっきと同じ作戦
 2・桜にお願い
 3・行動する、指示する(対象:慈、胡桃、智夏、桜)

 ↓1

【『桜 技術 50』 『コンマ 21』 結果:優】

慈「……桜ちゃん」

 せっかくだ。
 これが成功したら、戦況はもっとよくなる。
 ドアから離れ、桜ちゃんに声をかける。彼女らは私がなにを言っているのかすぐ分かったようで、桜ちゃんが前に出てくる。

桜「分かりました。私にお任せください、慈さん」

慈「ええ。ごめんなさい、危ないことさせて」

桜「いえ。先程は慈さんに危険なことをしていただきましたから」

 にっこりと笑って、桜ちゃんは優しく言う。
 この扱い……すごく嬉しい。

桜「見ていてくださいまし。必ず仕留めてみせますわ」

 ふぅと息を吐く。
 その瞬間、彼女の雰囲気が豹変した。
 それまではのほほんと、どこか甘いような空気だったのに、今は鋭く、凛とした目は刃みたいに冷たい。

桜「さて……」

 廊下へ出て、桜ちゃんがゆっくりと構える。
 狙いは剣道部の部室までの道にいる敵。私たちは動かずに、ただ彼女の横顔を見つめた。

桜「――」

 まず、一発。
 研ぎ澄まされた射撃が放たれる。
 ドアの前から結果は見えない。失敗したのか、成功したのか。
 いずれにせよ、桜ちゃんはまた矢を取り出し、構えた。
 緊張感を途切れさせることなく、次に移行。
 静かに呼吸をし、桜ちゃんは二本目の矢を放った。

桜「……これくらいですわね」

 何もできずに立っていると、矢を放った桜ちゃんがこちらへと振り向く。
 弓をおろし、彼女は私達を見ると何故か申し訳無さそうな顔をした。

桜「敵、残り一体来てしまいました」

慈「ええっ!?」

胡桃「……残り一体」






智夏「え? なに? 他倒しちゃったの?」

 ――そういえば、そんな意味にもとれるわよね。
 すごく気になるけど、一体来ているなら倒さなくては。


 1・胡桃に頼む
 2・タイミングを図り部屋から出て不意打ち

 ↓1

【2 タイミングを図り部屋から出て不意打ち】
【『慈 技術 50』 『コンマ 42』 結果:良】


慈「桜ちゃん、こっちに」

 手招きし、廊下の桜ちゃんに指示を出す。
 ここは不意打ち。確実に仕留めるためにも、真正面から戦うのは避けるべきだ。

胡桃「めぐねえ、まさかまた一人で仕留めようと思ってないか?」

桜「えっ? そうなんですか?」

 う゛……気づかれた。
 桜ちゃんが部屋に戻ってきて、さぁ待機、というところで胡桃ちゃんが不審そうな目を向けてくる。

慈「え、ええと……いかせてくれないかしら?」

胡桃「――まぁいいけどさ。あたしたちもフォローするし」

 とっても不本意そうだけど、私が正直に言うと許してくれる胡桃ちゃん。
 ……申し訳ない。
 心配かけるのはわかるけど、戦いが苦手な私が前に立てる場面なら、できるだけ身体を張っておきたいのだ。今後のためにも。

慈「ありがと、胡桃ちゃん。できるだけ無理はしないようにするから」

 お礼を言って、ドアの横に。
 聞こえる足音に耳を澄ませ、それが間近に来たタイミングで、私はドアから飛び出し、杭を振り上げる。
 すぐ目の前に、奴の姿。制服を身につけた、生徒の形をした――なにか。
 最初は迷っていたけど、今は。

慈「――ごめんなさい!」

 姿を確認したと同時に、振り上げたそれを下ろす。
 突き刺そうと勢い良く、容赦なく。
 目からぐっさりと深く刺さるそれ。返り値が私の顔を濡らし、手に嫌な感触が伝わる。
 続けて、杭を引き抜きまた刺す。それを私は何度も繰り返した。
 最初は私を捕まえようと手を伸ばしていた奴だけれど、二度目三度目で動かなくなった。

慈「……はぁ、はぁ」

 何度目だろうか。
 杭を引き抜き、奴が倒れるのを見送る。
 ……相変わらず、私が戦うと乱暴というか、なんというか。 
 胡桃ちゃんも智夏ちゃんも桜ちゃんも、振り向いたらすごい心配そうな顔をしてるし。

慈「こ、これで剣道部、行けるわね」ニッコリ

胡桃「無理はしてないけど――」

智夏「ある意味だめだよね」

桜「慈さん、おいたわしや……」

 ……私、強くなっても心配されそうな気がする。



 【精神】 (先程の桜の計算も行います)
 慈 80 → 70
 桜 100 → 70

胡桃「りーさんとゆきが黙ってないな、これは」

智夏「だねー。あの二人も胡桃と負けず劣らず過保護だから」

胡桃「……あ、あたしは過保護なつもりないけどな」

桜「赤くなってますわね」

胡桃「う。これでもう行けるんだから、さっさと先に行くぞ」

 くすくすと笑う二人に、胡桃ちゃんは顔を赤くさせて部屋を出て行く。
 ……かわいい。って言ってる場合じゃないわよね。
 私達も行かないと。またいつあいつらが来るのかは分からないのだ。
 部室の中にいる可能性だって、否定はできない。

慈「さ、行くわよ」

 二人に声をかけ、私は胡桃ちゃんを追って部屋を出た。


【今日は落ちま】

【大丈夫ですよ】
【本人かは分からないので、内容見てからの判断ですが、どうぞどうぞ】

【石長さんの追加了解です】

 先を行く胡桃ちゃんに続いて、私たちは剣道部の部室前にやって来た。

桜「ここが剣道部の部室ですわ」

胡桃「ここか……」

 剣道部。と分かりやすいプレートがかけられたドア。
 一応閉じてはあるし、それなりに敵は少なそうだけど、油断はできない。
 噛まれたら終わりなのだ。

慈「ひとまず、先生が中を確認してみるわね」

智夏「ん、頼んだよ年長者さん」

胡桃「気をつけてな、めぐねえ」

慈「ええ。危なかったらすぐ引っ込むから」

 みんなそうだけど、胡桃ちゃんは今のメンバーで特に私のことを心配してくれている。
 苦笑し、私は部室のドアへと近づいた。
 ――部室に誰もいないと楽なんだけど、さて。


 ↓1 コンマ判定(1~40で0体 41~80で1体 81~99で2体 00、ファンブルで3体 クリティカルで0体プラスボーナス)

【ここから↓1で】

【88 ファンブルで三体でござい】

慈「……」

 ドアを開いて、そっと閉じる。
 ……中は思ったよりも広く、そして思ったよりも危険だった。

智夏「どうだった?」

慈「三体、かしら。見えた限りだと」

 三体。
 今までと比較して、一室にいる中では並程度。
 それほど辛くはない人数だけれど――なにがあるかは分からない状況。油断はしないでおこう。

胡桃「どうする?」

桜「この距離だと、私はなにもできなそうですけど……」


 1・定番。陽動からの総攻撃
 2・智夏に暗殺を依頼
 3・行動する、指示する(対象:慈、胡桃、智夏、桜)


 ↓1

【『慈 技術 50』 『コンマ 74』 結果:不可】


慈「……私が陽動するから、後からお願い」

 今のところ思いつくのは、それくらいだ。
 ドアに手をかけ、私はみんなへと声をかける。
 胡桃ちゃんは相変わらず心配そうな目をしていたけど、なにも言わずに頷いてくれた。
 みんな賛同してくれた。
 さて――はじめようか。

慈「いくわよ」

 ドアを開き、中へと入る。
 さっき見た時に入り口近くには誰もいなかった。
 陽動するならば、入り口から入ってくる仲間に意識が向かないように、部屋の奥へと向かうべきだろう。
 頭の中で素早く思考。鉄杭を手に、私は部室の中に入り走る――

慈「っ!?」

 ――が、躓く。
 何に躓いたのか、私の緊張のせいか、原因は分からない。
 けれどこの大事な局面で、三体に囲まれた状態で、私は危険に身をさらすことになった。
 ……まずい。
 私に気づいた奴らの視線に、身体が震えあがる。
 このままだと、私は――

慈(なにか……!)


 1・陽動続行
 2・陽動してもらう
 3・行動する、指示を出す(対象:慈、胡桃、智夏、桜)

 ↓1



【今日はこれで落ち】

【キャラの設定追加については、内容を確認次第、許可を出します】

【遅れました】


【2 陽動してもらう】
【『技術平均 (20+60+50)÷3= 43』 『コンマ 49』 結果:並】


慈「――みんなっ」

 すぐ立ち上がれる気はしない。
 私は入り口へと視線を向け、助けを求める。
 みんなはその一言で分かってくれたみたいで、それぞれ武器を持つ。

慈(私も……)

 陽動に合わせてすぐに逃げるか、攻撃するかできるように準備をしておかないと。
 床に手を付き、周囲を見回す。
 数は三体。外で見た時と変わらない。

胡桃「こっちだ!」

 ドアを閉じ、陽動を始める仲間達。
 他から奴らが来てしまうのを警戒しているのか、少し小さめの声でおびき寄せようとする。
 他のみんなも同じように武器や声で陽動を試みた。

慈「……よしっ」

 音と声におびき寄せられ、そちらへと向かっていく奴ら。
 私はすぐ立ち上がるのだが――

慈(一体……)

 一体、陽動にかかっていない敵がいた。
 立ち上がった私を見て、そいつは低いうめき声を上げる。
 今にも手が届きそうな距離にいるそれ。
 ……どうしよう?


 1・陽動された奴らを仲間と攻撃
 2・目の前の一体を攻撃
 3・行動する、指示るす(対象:慈、胡桃、智夏、桜)

 ↓1

【2 目の前の一体を攻撃】
【『慈 力 39』 『コンマ 09』 結果:優】

慈(倒す……!)

 みんなに迷惑ばかりかけるわけにもいかない。
 鉄杭を取り出し、私は目の前の一体を見る。
 残りの二体はまだみんなの近くに着くまで時間がある。ここで一体減らすことができれば、状況がもっと楽になるはず……。

慈「っ!」

 タイミングを計り、前に飛び出す。
 奴が腕を伸ばしてくる前に接近しきり、額目掛けて杭を振り下ろす。
 命中。けれど運が悪かったのか、力が足りないのか刺さりはせず、顔面の皮膚を上から下へえぐるように先端が滑る。
 ふぅと息を吐き、杭を持ち直す。それから私は再度攻撃を試みた。
 首を狙い、杭をつき出す。だが、狙いが逸れてしまう。首を狙って攻撃をしたはずが、奴の口へと杭が入り込む。
 ――これ、まずいわよね。
 頭に拍子抜けしてしまいそうな自分の声が響く。
 どうにかしないと。
 焦りから、私は杭を引き抜こうとする、が、口内に刺さったのか奴の頭が一緒に引っ張られる感覚が手に。
 どうしよう。頭が真っ白になり、私は無意識に引っ張ろうとした手を今度は押しこむようにして、杭の尾っぽを思い切り叩く。
 そして追撃。杭の横を叩き、今度は思い切り杭を引っ張る。
 緩んでくれたようで、あっさりと抜ける杭。それをしっかりと握り、頭を殴打。
 一度二度、そして足払い。倒れた奴へ、頭部の踏みつけを繰り返す。

慈「はぁっ、はぁっ」

 多分、これで撃退。
 何回踏みつけたか分からないけど、もう動かないから大丈夫だ。
 乱れた呼吸でふらつきながら、前を確認。
 武器を持った二人――接近戦ができる武器の胡桃ちゃんと智夏ちゃんが迎え打つつもりのようだ。
 配置的には間違っていない。
 でも、胡桃ちゃんはいいけど――智夏ちゃんのことがちょっと心配だ。私と同じで無傷というわけでもないし。


 1・一体を背後から襲撃
 2・二人に任せる
 3・行動する、指示を出す(対象:慈、胡桃、智夏、桜)

 ↓1

【1 背後から攻撃】
【『慈 技術 50』 『コンマ 86』 結果:不可】

慈(智夏ちゃんのためにも……)

 背後から始末できるなら、それにこしたことはない。
 私は杭を手に、智夏ちゃんの方へ向かっている奴へと近づく。
 背後から、ゆっくりと接近し杭を振り上げ――振り下ろす。
 直後、手に伝わる感触。私は顔をしかめる。
 杭は奴の肩へ。まったく刺さらず、私の存在を知らせるだけになってしまった。

慈「うっ!?」

 どうしよう。一瞬で頭が真っ白になり、目の前で振り向き手を伸ばしてくる奴から逃げるという考えも浮かびはしない。
 口を開きこちらを見る、それ。
 この世のものとは思えない恐ろしい光景に、パニックを起こしかけていた頭が冷静になる。
 でも遅い。私が何かをする前に奴は手を首に。無造作に掴み、爪が食い込むほどの力を込めてくる。

慈「あ、あ゛……っ、う」

 こう接近されると抵抗されることも難しい。
 口から呻き声がもれ、杭を突き刺そうにも狙いが定まらない。

智夏「無茶しすぎだって、めぐねえ」

 と、そこへ智夏ちゃんの声が。
 鈍い音が聞こえてきたと思った瞬間、私の身体が横に倒れる。

慈「っ、ぁ……」

 何が起こったのかは分からなかった。
 ただ私は目をぎゅっと閉じ、顔に身体にかかる何かを意識していた。

智夏「めぐねえ、平気?」

 しばらくして、音が止む。
 ――どうやら、また仲間に助けてもらったみたいだ。
 智夏ちゃんの声に私は顔の液体を拭い、目を開いた。
 真っ赤な景色の中、智夏ちゃん、胡桃ちゃんと、桜ちゃん。
 心配そうな顔をしたみんなに、私は見下され……。

慈「ええ、平気よ。ちょっと怪我しただけ」

 私は答え、身体を起こした。
 なんとか、部屋にいた三体を処理できたみたいだ。
 これで、武器を探すこともできるだろう。




 三人の過保護な質問責めを受けた後、

智夏「んじゃ、無事も確保できたし――ついにだね!」

桜「武器ですわね。何かあるかしら」

 ついに私たちは武器の捜索をはじめた。
 剣道部の部室。事件が起きたのが放課後だから、それなりに期待もできるだろう。

胡桃「手分けして探すか」

 みんな、こくりと頷く。
 さてと。なにかいいものが見つかるといいけど――


 ↓1~4 慈、胡桃、智夏、桜の探索結果(見つかるものは武器固定。装備効果はコンマが高いほど良い。クリティカル、ファンブルは関係します)

【慈73、胡桃86、智夏46、桜62】

慈「……こんなものかしら」

 部室を探して適当なものを見つける。
 武器、といえばやはりこれだろう。

慈「木刀」

 色は綺麗だし、頑丈そうだ。
 ちょっと重いけど、それなりに武器として使うことができるだろう。
 うん、これならみんなに感謝されるのでは?

慈(迷惑と心配かけてばっかりだったから)

 ふふ、と得意気に笑う。
 先生としてみんなに威厳を示すのも大切よね。

慈「――みんな、どうだった?」

 武器を見つけ、ふと視線を部屋の中心辺りに向けるとみんながその辺りに集まっていることに気づく。
 そろそろ成果の発表だろうか。
 私は意気揚々とそこへ向かう。武器探しで木刀。当然褒められるであろう成果だと、私は思っていたのだけど――

胡桃「おお、めぐねえ」

 胡桃ちゃんが刀みたいな物を持っているのを見た時、私は自分の未熟さを思い知った。

慈「く、胡桃ちゃん、それは……」

胡桃「ああ。模造刀だ。あたしは使えないけど、いい武器だろ?」

 鞘から刀を抜き、刀身を見せる胡桃ちゃん。
 た、確かにいい武器だ。でもこれ、私が食われてるというか、なんていうか。

桜「慈さんは木刀ですわね。流石ですわ」

智夏「オーソドックスでいいねぇ。うちはさっぱりだったけど、みんないい感じじゃない」

慈「え、ええ、そうね。これで戦力も大きく変わるんじゃないかしら」

 みんな持っているものは武器らしいと言えば武器らしい。
 きっとこれなら、武器として使うこともできるだろう。

智夏「――で、胡桃。刀使えないってどゆこと?」

 すっかり意気消沈した私。
 智夏ちゃんはそんな私に小首を傾げ、ちらりと胡桃ちゃんに視線を向けると問いかけた。

胡桃「シャベルじゃないと手になじまないというか……駄目か?」

智夏「まぁ今のままでも強いからいいけどね」

桜「確かに」

慈「あはは……」

 ま、いつもの胡桃ちゃんを見ていると反対なんかできないわよね。
 シャベルを使いこなしているし……彼女が他の武器を振るっている姿はあまり想像できない。

慈「――さて。それじゃあ、成果を確認しましょう」

 ――とりあえず、どんな武器が見つかったのか確認するとしよう。
 誰に渡すか誰が使うかは後で考えるとしよう。


【胡桃のスキル『シャベル愛好家』が変化しました。
   効果:シャベルが関わるあらゆる判定にプラス補正。装備変更不可】


【教えて! りーさん! のコーナー】

悠里「はい、というわけで久しぶりのチュートリアルよ」

慈「……ぐぎぎ、久しぶりでも、やっぱり先生ではないのね」

悠里「今回は武器について、説明をするわ」

慈「――武器、今回初めて見つけたわよね」

慈「2スレ目でってどうなの? これ」

悠里「原作だと銃とか回収されてる素振りもありますし、貴重な物ですから」

悠里「――で、肝心の説明内容です」


 『武器は原則各キャラ一人に一つだけ装備可能です』
 『今後武器は夜コマンドの装備変更で変更することができます』
 『どのキャラにどの武器を持たせるか。ある程度は自由がききますが、物によっては制限がありますのでご注意を』
 『胡桃ちゃんはシャベル固定です』

悠里「というころで、誰に何を持たせるかも大切になるから、考えておいた方がいいわね」

慈「ステの補強ができるわけだし……大切な要素ではあるわよね」

悠里「技術系のキャラも増えましたから、この辺りの選択も重要になってきます」

慈「……要素盛りだくさんね」

慈「……さて。まずは私からよね」

 私は自分が見つけた木刀をみんなに見せる。
 黒っぽい艶のある木刀。継目はまったく見えず、柄の部分には白い布が巻いてある。
 木刀といえば、なんて見た目のシンプルな品である。

智夏「かっこいいよね……」

桜「最早芸術品ですわよね」

 見た目も実用性も期待できるだろう。
 使うことも、大抵の人ならできるだろうし……。

『木刀(力+10 技術+5) 装備可能:全員』


胡桃「で、あたしだな」

 次は胡桃ちゃん。彼女が見つけたのは模造刀だ。
 時代劇に出てきそうな色鮮やかさで、刀身は美しい。ただ刀身は刃として機能していないようだ。

胡桃「叩けばそれなりに痛そうだけど、どうだろう?」

 重いし、確かに武器としての機能は高いだろう。
 金属というだけでも評価できる。
 でも使い方を間違えれば簡単に壊れてしまいそうで――ちょっと怖い。

『模造刀(力+15 技術+5 速さ+10) 装備可能:慈、悠里、智夏、桜』

智夏「次、うち?」

智夏「うちは貧相なものだけど……これ、どうかな?」

 そう言って智夏ちゃんが出したのは、短めの木刀。
 ……結構いいもののような気がするんだけど、貧相と言うのはちょっと分かるかもしれない。
 奴らとの戦いで使うには少し頼りない。普通のよりなんだか短いし。

『短い木刀(力+8) 装備可能:全員』

桜「最後は私ですわね」

桜「私は竹刀を。補強されているみたいで、ちょっと頑丈ですわ」

 桜ちゃんがみんなに見せたのは、長めの竹刀。
 智夏ちゃんの物と異なっているのは長さと柄、刀身部分に見える金属部分。
 叩かれたら痛そうだ。リーチもそれなりだし、結構いい武器なのかもしれない。

『竹刀(力+10) 装備可能:全員』

 ……ふむ。
 剣道部を探したのは正解だったわね。
 ちょっと探索してこの結果なら、中々いい成果だろう。
 誰に持たせるか、ちょっと考えものだけど……何もないよりはるかにマシよね。


【今日はここまで】

【ダメージ計算忘れてました】
【めぐねえ一人の暗殺判定で不可】

 慈
 体力 70 → 50
 耐性 90 → 80

【ついでに戦闘終了後の精神計算を】

 慈 70 → 60
 胡桃 70 → 60
 智夏 70 → 60
 桜 70 → 60

【桜ちゃんの弓は道具扱いなので、装備は弓と別に装備可能です】
【それと、弓を撃つのは精神ポイントを多く消費するのでご注意を】
【矢は倒した敵が近くにいる状態ならば自動的に回収します。なので現在消費はなし】

 と、ここで装備の変更について安価をとります。新しい物を手にいれたので。

 ↓1~3 でどのキャラにどの装備を与えるか選択を(現メンバー、現メンバーの所持している武器のみ対象)
       渡す武器が被ったら、先に出たもの優先で

【智夏に模造刀 めぐねえに木刀を装備】
【二人のステータスが変動】

【佐倉 慈】
 体力 50/100
 耐性 80/100
 精神 60/110
 力  44
 速さ 20
 賢さ 40
 技術 55

 『スキル』
 良回復 一日のはじまりに体力を10回復

 『持ち物』
 装備品:木刀(力+10 技術+5)
 鉄杭(力+5)スマホ、車のキー


 【須戸部 智夏】
 体力 40/60
 耐性 110/120
 精神 60/100
 力  55
 速さ 60
 賢さ 20
 技術 65

 『スキル』
 隠密行動 隠密行動をとるコンマ判定の際、プラス補正
 病気がち 精神が半分以下になると各ステがマイナス10(体力、耐性、精神をのぞく)

 『持ち物』
 装備品:模造刀(力+15 速さ+10 技術+5)
 鉄パイプ(力+10)、ライト、常備薬、ロープ、家族の写真、スマホ

慈「……とりあえず、これでいいかしら」

 見つけた木刀、模造刀をそれぞれ私と智夏ちゃんが身につける。
 私は先生として先頭に立つケースも多いし、智夏ちゃんは現在の主戦力。
 選択に特に問題はないだろう。

智夏「うん、いい感じだね。かっこいいし」

胡桃「刀はロマンだからな。あ、めぐねえこれ渡しとくよ」

 胡桃ちゃんが私に何かを差し出す。
 革製だろうか。黒色のそれはおそらく、木刀を入れる入れ物か何かだろう。

慈「ありがとう、胡桃ちゃん」ニコッ

胡桃「あ、ああ」

 これは助かる。
 笑ってお礼を言うと、胡桃ちゃんは頬をほんのりと赤くさせて目を逸らした。
 ……かわいい。
 ほっこりする私。にやけつつケースに木刀をしまっておくと、ふと視線に気づく。

桜「仲良し、ですわね?」ジーッ

慈「え? ええ。親しい仲だけど」

桜「なるほど……噂は本当だったと」ブツブツ

 ……噂?
 気になるけど桜ちゃんは何やら思案顔で、とても追求できる雰囲気ではない。

智夏「……で、さ」

 会話もほどほどに。
 私がケースを肩にかけると、智夏ちゃんが口を開く。

智夏「目的も果たしたし、帰るべきなんだろうけど――帰り、どうする?」

胡桃「――うっ、忘れてた」

桜「帰り……そういえば、皆さんどこからいらっしゃったのですか?」

 苦い顔をする胡桃ちゃんに、首を傾げる桜ちゃん。
 そういえば彼女にはまだ私達の拠点について話していなかったか。

慈「私たちは職員用の休憩室で今生活してるの」

桜「職員用というと……本校舎三階ですわね。すごい場所から来てますわね」

 結構遠い場所ではある。
 驚いたような表情を見せた彼女はちょっと考え、ハッとする。

桜「ひょっとして、そこまで敵は排除してあったり――」

胡桃「逆だ。排除してないから、校舎二階、一階は放置して武器を探しに来た」

智夏「校舎は人が多すぎるんだよねぇ。校庭は言わずもがな」

桜「ですわよね……あの人達、出られそうにもないですし」

 桜ちゃんががっくりと肩を落とした。

慈「まぁ、出られないからこそ、今もこうして助かってるんだけど……校舎はあちこちうろちょろしてて、中々制圧できなくて」

桜「……では、皆さんはどうやってここへ?」

胡桃「ハシゴがあるから、一応三階から下まで行き来はできるんだ。だから、ここを出て校庭をちょっと歩けば、帰れるんだけど――」

智夏「無事、行けるかな?」

 うーん、とみんなで唸る。
 今の時間帯だと奴らも多いだろうし、四人だとちょっと危険かもしれない。
 行きと同じように自転車二人と、歩き二人――まぁ、できなくはないはずだ。
 でも、わざわざ危険な時間帯に横断する必要もないだろう。
 ここは人数を分断して、自転車組を先に行かせ少しでも安全に行くのもいいかもしれない。


 1・四人で歩き、自転車組で分けて帰ろう
 2・自転車に先に二人乗せ、自分は残り一人と夜までここで待機
 3・その他

 ↓1

【2 自転車に先に二人乗せ、自分は残り一人と夜まで待機】
【人物指定の詳細を忘れてました。コンマは31確定で、キャラ指定の安価をとります】


慈「……ひとまず、先に自転車で二人帰らせましょう。それから、夜になるのを待って二人が帰る――それでどうかしら?」

桜「夜? 何故夜を待つのですか?」

胡桃「ちょうと放課後辺りに、奴らは帰るんだ。だから校庭の人数は目に見えて減るだろうな」

桜「なるほど。確実ではありますわね」

智夏「でもさ、誰が残るのさ?」

 智夏ちゃんが言うと、みんなの視線が再度私へと向かう。
 ここも私の判断で決めてしまっていいようだ。
 ……ええと、私が残るのは確定として、後一人……。


 ↓1 一緒に残る仲間は? 一人選択

【今日はおちます】
【安価はここから↓1】

【智夏】

慈「私と智夏ちゃんが残るから、胡桃ちゃんと桜ちゃんは先に」

 胡桃ちゃんと桜ちゃんなら、多分この敵の人数が多い中でも無事通ることができるだろう。
 智夏ちゃん、微妙に疲れ気味だしあんまり無理はさせられない。

胡桃「……ああ。わかった」

桜「妥当ですわね」

 こくりと頷き、自分らの荷物を確認する彼女達。
 何も問題はなかったようで、二人は目を合わせて頷くと、部室のドアへと向かった。

胡桃「それじゃ、行ってくる」

智夏「気を付けてね」

 先に休憩室へと向かう二人は、ゆっくりと部室から出て行った。
 ……あの二人なら、大丈夫よね。

 ――さて。
 二人を見送り、私は小さく息を吐く。
 あれこれ考えて、この結論に至ったわけだけど……勿論、私情はあまり挟まないようにした。

智夏「二人きりになったねー」

慈「え、ええ」

 だから、智夏ちゃんと二人で過ごすこととなったのだけど――彼女、怒ったりしていないだろうか。
 にこにこと笑ってはいるが、不安である。
 部室の長い椅子に座り、ちょっと離れた距離で隣り合う。
 このまま何も話さないで過ごしているわけにもいかないし、それだと何も進歩もしないだろう。
 きっかけを待つのも大切だけど、行動するのもまた大切で。
 ……何を話そうかしら。

 1・中学校はどんな感じなの?
 2・みんなとは仲良くなれた?
 3・前はごめんなさい

 ↓1


 【一旦落ちます】

【1 中学校はどんな感じなの?】

智夏「中学校?」

 不意に私が尋ねると、智夏ちゃんはきょとんとした顔をする。
 ちょっと突拍子がない話だったかしら。

慈「ええ。ちょっと気になって。この学校みたいに何らかの準備があったのか……」

智夏「……うちは、知らない」

 智夏ちゃんが答える。
 特に機嫌を損ねた様子はなかった。
 ……でも、私にはそれがすごく気になった。

智夏「うち、あれが起こった日には病気で家にいたから――学校がどうとか、よく分からないんだ」

 淡々と、まるで創作物の出来事を話すように彼女は語る。
 家にいたから、中学校の様子はよく分からない。納得できる理由だ。
 ――でも、それが理由でこんな淡々と話すことができるだろうか。
 中学校に友達も、親しい人もいただろうに。

慈「……」


 1・心配?
 2・やっぱり無理してない?
 3・イリスちゃんとは違う学校なの?

 ↓1

【ファンブル見落としてました。先程の選択肢は好感度上昇0となります】

【1 心配?】

智夏「心配かと言われれば、まぁ」

 私の問いに、智夏ちゃんは曖昧な様子で答えた。
 淡々とした彼女の、またちょっと違った反応。それが指す意味はよく分からない。

智夏「めぐねえはどうなのさ? この学校じゃなくて、他の場所にいる人の心配とか」

慈「――心配よ。でも私たちにできることなんて、今はすごく限られてるから……あんまり考えないようにしてるのかも」

 友達、生徒、家族……考えはじめたら、きりがない。
 でも今私達は、目の届く範囲の現実しか知ることができない。
 そんな状況で誰かの心配をしていても、躊躇が出るだけ。
 わかってはいるけど――智夏ちゃんにこんなことを尋ねてしまう辺り、私もまだ割り切れていないようだ。

智夏「……」

 私が答える。
 すると智夏ちゃんは意外そうな顔をした。
 ぽかんと、何も言わず沈黙。……私、何か言っちゃった?

慈「智夏ちゃん?」

智夏「あ……なんでもない」

 ……なんだか様子がおかしかったような気がするけど、どうしたのだろう。

【智夏の好感度が3上がりました】


 それからちょこちょことお話をし、夜がやってきた。
 外が暗くなり、気のせいかもしれないけど少しだけ周りが静かになる。

慈「そろそろかしら」

 暗さに目がなれるのを待ち、立ち上がる。
 その近くで準備体操をしていた智夏ちゃんが、待ちかねたように模造刀を手にした。

智夏「――さ、それじゃあ帰ろっか」

慈「ええ。周りに気をつけて、ゆっくり戻りましょう」


【胡桃、桜の二人の速さ平均は31を超えているので、なにもなし】

 ↓1 コンマ70以上で敵と遭遇。10以下、クリティカルで追加イベ

【77でクリティカル 追加イベです】

慈「……よし、何もないわね」

 部室を抜け、入ってきた時と同じ窓から外へ。
 外には奴らの姿はそれほど見えない。作戦通り帰ってくれたようだ。

智夏「……?」

慈「智夏ちゃん?」

 周囲を見回し安全確保。
 確認を終え智夏ちゃんに声をかけようとすると、彼女が部室棟を見つめていることに気づいた。
 どうしたのだろう?

智夏「――誰かいるみたいだね」

慈「えっ?」

 誰かいる。つまり生存者。
 私はびっくりして、彼女が見ている先、部室棟二階の窓の辺りへ視線を向ける。
 が、それらしいものは見つけられなかった。

慈「何もないように見えるけど――何を見たの?」

智夏「明かり。一瞬、ちらっと見えたんだ。あれは多分、人が持ってる動きだった」

慈「……二階、ね。また何か手を考えないといけないわね」

智夏「うん。今回は無理だろうし、悪いけど大人しく帰ろう」

 窓目掛けて何か投げるのもいいかもしれないけど、もうそこに誰もいなかったら無駄足だし……迂闊に行動するべきではない。
 今日まで生き残ってきたのだ。もうちょっとだけ頑張ってもらうとしよう。

慈「後でみんなに話しておかないと……」

 
【イベント『部室棟の人影』が発生しました。
 内容:『部室棟にはまだ生存者がいるようだ。なんとかして合流しよう』】


慈「さて……それじゃ、行くわよ」

智夏「ん。みんな心配してるだろうし」

 頷く智夏ちゃん。
 後ろ髪を引かれるような思いはできるだけ気にしないように、私たちは部室棟を後にした。


 ↓1 追加イベ、ヒロインを由紀、悠里、胡桃、桜の中で一人選択

【胡桃】

【と、いうところで一旦落ち】

 無事、何事もなく休憩室へ戻ることができた。
 校庭を移動し、ハシゴを登って上に。
 そこで出迎えてくれた由紀ちゃん、悠里ちゃんらと共に私たちは休憩室へと戻った。

桜「慈さん」

 すると、シャワー上がりらしい桜ちゃんが、ワイシャツ姿でやって来た。

慈「あ、桜ちゃん。良かったわ、無事に帰ってこれたみたい――」

 声に気づいて笑顔を浮かべる。
 で、近づいてきた彼女を間近で見た私はぎょっとした。
 下着……つけてないわよね。下は体操服着てるけど。
 大きな胸に、この格好……破壊力が。

慈「――ね。安心したわ」

悠里「めぐねえ、にやけてないかしら?」

由紀「めぐねえ?」

慈「こ、これは仕方ないというか」

 私の体質を知る二人は、笑顔のまま微かに威圧してくる。
 当の本人である桜ちゃんは首を傾げていたけど。

桜「慈さん、私皆さんに挨拶をしたいのですけれど」ギュッ

慈「え、ええ。そうね。挨拶は重要だものね」

 いけない。頭がうまく働かない。
 ただ自分がだらしない顔をしているのは分かる。
 下着で押さえてるから、身体が反応しても隠せるのが有り難い。

悠里・由紀・胡桃「……」ジーッ

 更衣室から戻ってきた胡桃ちゃん含め、女の子の視線がすごく痛いけど。


 ということで、恒例の自己紹介。
 現部員らがまず挨拶をし、新入りである桜ちゃんが最後。
 着替えがないからと、セクシーな格好をした彼女は丁寧に頭を下げる。

桜「赤井桜、ですわ。弓道部の二年生。これからよろしくお願いします」

 うーん、すごい。
 すぐ隣にいる彼女を見て、私はしみじみ思う。
 おしとやかで、おっとり、気品がよくて上品で、大きい。つい見てしまう。
 それはみんなも同じ印象みたいで、いつもなごやかな面々の表情が十人十色である。

智夏「うん、よろしく。桜、何かあったらすぐ言ってね」

 その中でも、智夏ちゃんはいつもと変わらない。
 若干キラキラしていて、かっこいい感じなんだけれど。

イリス「……ひいき」

 そしてイリスちゃんはいつもの神秘的なオーラがなく、ただただ黒い。
 智夏ちゃんが帰ってきてから、ずっとこの調子で――ちょっと怖い。
 ――まぁ、あれよね。
 イリスちゃんのことは一度置いていったのに、桜ちゃんにはさながらナイトのようにエスコートしてるから……。うん。
 分からなくはない。

桜「皆さんいい方みたいでホッとしましたわ。鈴美さんとも再会できましたし」

鈴美「ええ。まさか出会い頭に見せつけられると思ってなかったけど」

桜「見せつけ?」

鈴美「なんでもない」

 自分の胸に手を当て、小さく嘆息する鈴美ちゃん。
 由紀ちゃんがこくこくと同意するように頷いていた。
 ちょっとぎすぎすしてるところもあるけど、それは時間が解決してくれるだろう。
 智夏ちゃんの対応差も何か原因があるだろうし。

悠里「……桜さんって、めぐねえと知り合いなの?」

由紀「仲良しだよね?」

天子「ベタベタですよね」

胡桃「そういえばそうだな。初対面、なんだよな?」

慈(この問題はなんとかならない……かしら)

 なんとかなると思いたい。切実に。
 でもまだ公になってない地雷もあるのよね。嗚呼……。

桜「初対面ですわ。ただ――」

 遠い目をする私の隣、桜ちゃんが体操服のポケットから何かを取り出した。

 パスケースかしら。
 学生証が入っているそれを開き、一枚、何かのカードを出す。

桜「慈さんのファンクラブ……その会員なのですわ」

全員『!?』

 全員に衝撃が走った、と思う。
 え? ファンクラブ? なんでそんなものが……。

胡桃「はい? ファンクラブって……ファンクラブだよな?」

桜「ええ。男子女子、果てには教師の皆様まで……人気の慈先生を安全に平和に見守るための組織ですわ」

慈「な、ななな……」

由紀「そんな組織が……」ゴクリ

悠里「確かに、めぐねえは人気だったものね」

桜「綺麗、大人っぽい、スタイルがいい、それでいて子供っぽい一面もあって無邪気で」

天子「改めて聞くと、すごいスペックですねぇ」

イリス「あまこさんも、すごいけど」

鈴美「私は知らなかったわね」

智夏「っていうかこれ、公開処刑だよね」

慈「……」グッタリ

 知らない間にそんなことが……教師の皆様って誰だろう。

胡桃「で、部室で言ってた噂っていうのが――」

桜「はい。ファンクラブで胡桃さんと慈さんのことが話題になってましたから」

桜「放課後内緒で会っていただとか……」

鈴美「――で、胡桃さんが目の敵に」

桜「いえ。皆さん、ごちそうさまですという思いで」

智夏「上級者すぎない?」

 平和といえば、平和なのかしら。
 できれば知りたくなかったけど。

桜「ということで、私は陰ながら見守っていた一人でしたけど――」

桜「これからは、全力で学園生活部のため頑張りますわ」

 丁寧に頭を下げる桜ちゃん。
 にこやかに笑い、とってもいい表情なんだけど――みんな、綺麗に沈黙である。

慈「え、ええと、みんな仲良く、ね?」クビカシゲ

桜「はいっ」
由紀・悠里・胡桃『……』セキメンメソラシ

天子「皆さん、慈さんに本当弱いですよね」

鈴美(この状況でも茶番するんだから、元気よね)

イリス「智夏とさくらはかんけいないから、なかよく……」

 これ、大丈夫かしら……?
 ちょっと先が心配だけど――まぁ、みんないい子だ。きっと大丈夫だろう。

智夏「桜、寒かったりしない?」

イリス「……」ゴゴゴゴゴ

 ……大丈夫、よね?

 自己紹介が終わり、シャワーと夕食を済ませる。
 人数は増えたけど、資源はまだまだ持つだろう。
 でも、ただのんびりしているわけにもいかない。こうしている間にも孤立している生存者がいるのだ。

慈「まだまだ、頑張らないと……」

 記録を終え、ノートを閉じる。
 さて……まだ行動する時間はある。何をしようか。

慈「――誰かの意見を聞こうかしら」

 ふと思う。
 負傷が多いし、外に出るのは危険かもしれない。
 かといって何もしないのも嫌だし、ここは誰かの意見を聞くのも――

慈「……あら?」

 と思って休憩室を見回すと、一人、仲間がいないことに気づいた。
 みんなのんびり自由に過ごしているのだけど、胡桃ちゃんの姿だけが見えない。
 ――どうしたのだろうか。
 帰ってきてから、膨れてることが多かったけど……無性に彼女のことが気になる。

慈(探してみようかしら)

 なんとなく私は思い、立ち上がった。

慈(でも胡桃ちゃんがどこにいるかなんて分からないわよね……)

 休憩室を出て、私は考える。
 夜の廊下。目はそれなりに慣れているし、月明かりもある。
 もう何日も過ごしてきたからか、一人で歩くこともそれほど怖くはない。
 私はのんびりと、廊下を進む。

慈(まぁ、いる場所は屋上か三階だろうし……すぐ見つかるだろうけど)

 胡桃ちゃんなら変なこともしないだろうし、見つからなくても心配は要らないだろう。

慈「どこも明かりついてない……」

 外の奴らに見つかるから、不用意に明かりはつけられないけど――カーテンが無事な教室、部屋の明かりも一切ついていない。
 ということは真っ暗な室内か、屋上にいるということになるんだけど、ちょっと不安になってきた。
 こういう状況だ。もし何かあったら困るし、一人で悩んでいるのだとしたら、先生として相談に乗らないと。

慈「……?」

 意気込んでいると、廊下の突き当り辺りへと到着。
 これは屋上かなと考えていると、微かに何かの音が聞こえた。
 奴らの声ではない。女の子……かしら?
 声に集中し、その出元を探る。
 どうやら、資料室から聞こえるようだ。

慈(倒しもれ……はないだろうけど)

 でも、声が断続的に聞こえる時点でちょっと異常だ。
 胡桃ちゃん一人だけしかあの場にいない人はいなかったし――見ておくべきよね。
 警戒しつつ、私は資料室のドアをそっと開ける。
 物音は全然立っていない。もし中に奴がいたとしても、姿を見られない限り気づかれないだろう。
 さぁ、どうなって――

???「あっ、ん――ぁあ」

 ――私は硬直した。

 ドアを開けるとはっきり聞こえてきた声……と音。
 どう考えてもそれだと分かるからだ。

慈「……」

 ギギギ、とできるだけ音を立てないよう声の聞こえる場所を見る。
 ドアを開いたすぐ横。そこに彼女はいた。

胡桃「ん、う、あっ……はぁ」

 床に座り、甘い声をもらす胡桃ちゃん。
 制服、シャツの前を開き、下着を上にずらし自分の膨らみを自分で揉んでいる。
 自分の胸を自分で愛撫する彼女。撫でるように触り、時折突起を指でつまんで身体を震わせる。
 ちょっとはしたなく脚を開いている彼女は、胸だけではなく自分の秘所も慰めていた。
 スカートもパンツも身につけたまま、下着をちょっと横にずらして筋を指で撫でる。
 どれくらいの時間、していたのだろうか。
 彼女のあそこは濡れきっていて、愛液が床にちょっとした溜まりのようなものが見えた。
 目を閉じて、私にも気付かず一心不乱に自分を慰める彼女。
 その光景は想像以上に淫靡で、私は思わず見とれてしまった。
 無意識に背後のドアを閉め、胡桃ちゃんのあられもない姿を凝視する。

胡桃「あぁっ、あ、んうっ」

 小さな水音を立て、段々と指の動きを早めていく胡桃ちゃん。
 普段からは想像もできない声を出し、甘い吐息もらす彼女。
 ――こういう生活だから、色々大変なのだろう。
 ちょっと冷静になって私は考える。
 思わず見とれてしまったけど、こんな姿他人に見せられるものではない。
 私だったらまずまともに接すことができなくなるだろうし、ばれないように出ないと――

胡桃「めぐねえ――っ、ん! あぁっ!」

慈「――!?」ガタッ

胡桃「――え?」

 やってしまった。
 いきなり呼ばれた名前に驚いて、ドアに踵をぶつけてしまう。
 ドアを開ける時とは比にならない大きな物音に、胡桃ちゃんは流石に気づいた。 
 手を止め、なんとも言えない顔で私の方を見る。
 最初はなにが起こっているのか理解できなかったのだろう。
 真顔に近かった彼女は徐々に頬を赤くさせ、そしてババッと素早く自分の胸とあそこを手で隠した。

胡桃「め、めめめ、めぐねえっ!? い、いつからそこに!?」

慈「え、えっと……ちょっと前から。声が聞こえて、そのぅ……ごめんなさい」

胡桃「う、ううう……! なんで気づかなかったんだ、あたし」

 顔を真っ赤に、心底恥ずかしそうにする胡桃ちゃん。
 気づくために、ドアの近くで、かつ見つけ難い場所であるそこを選んだのだろうか。
 気の毒だ。自分でも驚くくらい私が静かにドアを開けてしまったから。

慈「……」

 ――どうしよう?
 胡桃ちゃん、私の名前呼んでたわよね?
 据え膳云々というし……ここは。


 1・積極的に、むしろ口説く勢いで
 2・きゅ、休憩室に戻ろう
 3・謝っておこう

 ↓1 (イベント内容の方向性が変化するだけでござい)


【今日はここまで】

【今、イベントシーンを書いているのですが】
【せっかくのクリティカルなので三人のシーン練習してみようかと。こんな時間にsageであれなのですが、】

 ↓1 追加を一人指定 (対象:由紀、悠里、桜)

 積極的にいくとしよう。
 胡桃ちゃんは多分、私のことを好いていてくれているのだろうし……あんな場面見られて、私に帰られたら精神的ショックの大きさは計り知れない。
 それに、私も我慢が効かなそうだ。

慈「ねえ、胡桃ちゃん。さっき私の名前を呼んでなかった?」

 あくまで優しく、からかわずに問いかける。
 胡桃ちゃんの前に座り、身体を前に乗り出し、顔を近づける。
 聞かれていたとは思っていなかったようだ。胡桃ちゃんが動揺する素振りを見せた。

胡桃「うっ!? い、いや、別に――」

慈「そう? もしそうだったら、してあげたんだけど……」

 目を泳がせ、恥ずかしそうに縮こまる胡桃ちゃん。
 普段活発な彼女の乙女らしい控え目な反応はすごくそそるものがある。
 クスッと笑い、私は彼女をゆるく抱きしめ、耳元で囁く。
 胡桃ちゃんのいい香りに、甘美な女のにおい。自分を慰め、発情していた身体は、私がちょっと触れただけでも反応を示す。

慈「胡桃ちゃんがしていたこと以上に、すごいこととか」

胡桃「ふぁ……っ、ぁ」

 頭の後ろを撫で、耳を舐める。
 胡桃ちゃんがぞくぞくと身体を震わせ、後ろに反らせた。
 感度はよすぎるくらいに高まっているようだ。
 このまま続けてしまいたい気持ちは抑え、私は彼女の身体を離す。
 壁に背を預け、私のことを見つめる胡桃ちゃん。
 抵抗したり、反抗したりする気はないらしい。彼女の目にはただ動揺の色が見てとれた。
 私の言葉に、どう答えようか、迷っているのだろうか。

慈「……どう? 私のこと考えてしてたのかしら?」

 脚をもじもじと擦り合わせ、考えこむ様子を見せる胡桃ちゃんへ私は再度問いかける。
 同時に、お尻の横から脚に沿って指で軽く撫でるように触る。
 たったそれだけのことにすら、胡桃ちゃんは身体を跳ねさせてしまう。
 にこにこと笑う私へ、やがて胡桃ちゃんは弱々しく言った。

胡桃「めぐねえ、が悪いんだからな……」

胡桃「あたしがいいって言ってるのに、何もしてくれないし……今日だって、他の女の子に……」

 脚を閉じ、自分の身体を手で隠しながら恥じらった表情で、上目遣いにこちらを見る胡桃ちゃん。
 いじけたようにそんなことを言う胡桃ちゃんは、若干涙目で。

慈「――っ!」

 思った以上に、破壊力が強かった。
 雷に打たれたかのような、瞬間的な衝撃。
 理性が崩壊した瞬間というものを、多分私は初めてはっきりと認識しただろう。

慈「だから、自分でしてたのね?」

 もう我慢はいいや。
 私は彼女のことを床に押し倒し、上に。
 いきなりなことにびっくりする胡桃ちゃんだけど、彼女は抵抗せず、目を逸らすと小さく頷く。

胡桃「……あたしだって、めぐねえに触ってほしいから」

 ああぁ……可愛い。
 胡桃ちゃんのダメ押しの追撃。私はたまらず彼女へと口づけ。
 最初から舌を入り込ませ、深く、彼女を味わう。

胡桃「ふあっ――ん、ふぅ、ちゅ」

 彼女とは二度目のキス。
 胡桃ちゃんもちょっとは慣れているのか、最初は目をぎゅっと閉じされるがままだったが、徐々に彼女からも舌を動かすように。
 舌を絡め、互いの口内を撫で、時折唇を唇で挟み――二人の吐息が唾液が混じり、夢中になって私は胡桃ちゃんを求める。
 それは胡桃ちゃんも同じで、私の首に手を回し私を離さないように寄せてくる。
 二人で貪欲に、床の上だなんてことを忘れ貪り合う。
 息苦しさを感じた頃、自然と唇を離し私たちは間近で目を合わせた。

胡桃「……めぐねえ、上手くなった?」

 ちょっと不満そうにそう言う胡桃ちゃんが可愛らしく、私は思わず笑みをこぼす。

慈「胡桃ちゃんのことがすごく欲しいからかしら」

胡桃「……」

 何も言えず、赤面して顔を逸らす彼女もまた可愛い。
 彼女の頬に手を添えこちらに向かせると、また唇を重ねる。

慈「んっ、ぁ――じゅる、う、んぅ」

胡桃「ぁ、ふぁ――っ!」

 唾液を交換するような、激しいキス。
 舌を動かしながら、私は手を彼女の秘所へ。
 蜜があふれるそこへ触れると、胡桃ちゃんが大きく反応する。
 指先で撫でるように、筋にそって上下に。焦らすような刺激を与え、胡桃ちゃんの口内を蹂躙する。
 すると目に見えて胡桃ちゃんの余裕がなくなった。
 キスはされるがまま。指先が撫でる度、くぐもった声をもらす。
 痛くはなさそうだ。様子をうかがい、私は指を彼女の中へと浅く入れた。
 唇を離し、今度は彼女の乳首へと口をつける。
 左手、口で胸を責め、右手で秘所へと指を出し入れする。

胡桃「あぁっ! あ、んっ!」

慈「どう? [田島「チ○コ破裂するっ!」]より気持ちいいでしょ?」

 とろんと蕩けた目を私に向け、大きな喘ぎ声をもらす胡桃ちゃん。
 もう絶頂が近いのか、身体にほとんど力が入っていない。
 脚を開き、唾液が口の端から流れているが直す素振りもなく、ただ喘ぐのみ。
 私の問いに答える余裕もなさそう。
 ――そろそろ、かしら。
 タイミングを見て、秘核を刺激し、胸の突起を甘噛み。
 彼女の弱いであろう部分へ同時に触れる。

胡桃「ぁ、めぐ、ねえ――っ! ん、ううっ!」

 胡桃ちゃんが一際大きく反応し、私の身体をぎゅっと抱きしめる。
 一瞬の緊張。中がひくひくと震え、蜜が溢れてくるのと同時に、胡桃ちゃんの身体から力が抜ける。
 イッてくれたみたい。ぐったりと、だらしない姿を晒す彼女を見、私は思う。

慈「……胡桃ちゃん、続けるわね?」

 ぼんやりと絶頂の余韻にひたっている彼女へ声をかけ、私はいつもの服を脱ぐ。
 下着を外し、裸に。学校の資料室で素肌をさらすのは若干の抵抗があったが、目の前の胡桃ちゃんにそんな常識はどうでもよくなる。

胡桃「……うん、あたしもめぐねえを満足させたいから」

 私の裸を眺め、胡桃ちゃんが小さな声で言う。
 控え目に脚を開き、私の首に手を回して。

慈「――」

 耐えろ私。ここで乱暴にしてしまっては駄目だ。
 深呼吸。胡桃ちゃんに軽く口づけし、固くなりきった男性器の先端をあてがう。
 充分すぎるほどの愛液に触れ、熱いほどの彼女の体温が伝わってくる。
 ゆっくりと中へ。蜜を押し出し、小さな音を立てて挿入していく。

【saga忘れ訂正】


胡桃「あぁっ! あ、んっ!」

慈「どう? オナニーより気持ちいいでしょ?」

 とろんと蕩けた目を私に向け、大きな喘ぎ声をもらす胡桃ちゃん。
 もう絶頂が近いのか、身体にほとんど力が入っていない。
 脚を開き、唾液が口の端から流れているが直す素振りもなく、ただ喘ぐのみ。
 私の問いに答える余裕もなさそう。
 ――そろそろ、かしら。
 タイミングを見て、秘核を刺激し、胸の突起を甘噛み。
 彼女の弱いであろう部分へ同時に触れる。

胡桃「ぁ、めぐ、ねえ――っ! ん、ううっ!」

 胡桃ちゃんが一際大きく反応し、私の身体をぎゅっと抱きしめる。
 一瞬の緊張。中がひくひくと震え、蜜が溢れてくるのと同時に、胡桃ちゃんの身体から力が抜ける。
 イッてくれたみたい。ぐったりと、だらしない姿を晒す彼女を見、私は思う。

慈「……胡桃ちゃん、続けるわね?」

 ぼんやりと絶頂の余韻にひたっている彼女へ声をかけ、私はいつもの服を脱ぐ。
 下着を外し、裸に。学校の資料室で素肌をさらすのは若干の抵抗があったが、目の前の胡桃ちゃんにそんな常識はどうでもよくなる。

胡桃「……うん、あたしもめぐねえを満足させたいから」

 私の裸を眺め、胡桃ちゃんが小さな声で言う。
 控え目に脚を開き、私の首に手を回して。

慈「――」

 耐えろ私。ここで乱暴にしてしまっては駄目だ。
 深呼吸。胡桃ちゃんに軽く口づけし、固くなりきった男性器の先端をあてがう。
 充分すぎるほどの愛液に触れ、熱いほどの彼女の体温が伝わってくる。
 ゆっくりと中へ。蜜を押し出し、小さな音を立てて挿入していく。

慈「っう……」

 先端が収まり、未だ慣れない大きな快楽が私の身体に走る。
 熱くとろとろな中に締め付けられ、

胡桃「は、ぁ……めぐねえの、おっきい……」

 前には蕩けた笑みを浮かべる胡桃ちゃん。
 視覚的にも身体的にも刺激が強い。

慈「もう少し、奥にいくわね」

 けどまだ入りきってもいないのだ。
 ここで出してしまっては大人としての威厳が危うい。
 再び深呼吸。呼吸を整え、奥へ。亀頭が擦れ、男性器全体が胡桃ちゃんに包まれる。
 スポーツをしていたからだろうか。それほど抵抗はなく入りきり、締め付けが強い。

胡桃「……っ、やっぱり、ちょっと、痛いな」

慈「だ、大丈夫? ダメそうなら、言ってね。すぐ止めるから――っ」

胡桃「やめられそうな顔してないけど?」

 ふっと笑い、胡桃ちゃんが言う。
 ……悠里ちゃんの時もそうだったけど、よほど私は表情に出るらしい。
 男性器に与えられる快楽に、今にも果ててしまいそうだ。

胡桃「――いいよ、めぐねえ。すごいこと、して?」

慈「……ええ」

 天然で言っているのか、狙っているのか。
 どちらかは分からないけれど、私のなけなしの理性をすっ飛ばすには充分すぎるセリフであった。
 頷き、私は彼女の腰を掴む。
 まず最初はゆっくりと、腰を引いて、奥へ。じっくり中を味わうように動く。
 私のものと、胡桃ちゃんの膣が擦れる卑猥な音。愛液と血が音を立てて押し出され、結合部から流れる。

慈「はぁっ、胡桃ちゃんの中――気持ちいいわ」

胡桃「んっう、あたしも、気持ちいいかも――ぁっ」

 絡みつくようにして男性器全体に刺激が与えられ、まだはじめたばかりだというのに頭が真っ白になりそうだ。
 絶頂を耐えつつ奥を突くと、胡桃ちゃんが大きな反応を見せる。
 ……ここ、かしら?

慈「っ、あ――ふぅっ」

 反応を見せたところを重点的に、徐々にペースを早める。
 聞こえてくる水音の大きさが増し、目の前で胡桃ちゃんの胸が揺れる。
 柔らかい中を何度も行き来し、自然と私の口からも喘ぎ声がもれてしまう。
 攻めているというのに、まったくそんな気はしない。ただ快楽にあてられて、腰を動かされているという感覚だ。

胡桃「あっ! ん、ふぁ! めぐねえ、それすご――いっ、んうっ!」

 本能のままに腰を動かしピストン。時折胡桃ちゃんの弱いところへグリグリと押し付けるように刺激する。
 胡桃ちゃんの脚がピンと伸ばされ、中が強く締まる。

慈「ぁんっ、はぁ、あ……」

 出してしまいそうになるけど、なんとか我慢。
 彼女の身体を抱き、片手を胸へ。強めに揉み、突起を擦る。
 もう細かいことをする余裕もなく、ただ激しく腰を動かすのみ。目の前にいる胡桃ちゃん、彼女を貪るように快楽を得るため男性器を出し入れする。

胡桃「あぁっ! ん、んぁっ、ぁ――めぐねえっ! あ、も――う、イク――っ!」

慈「ん、ふぁっ! 胡桃ちゃん、ぁ、私も――っ、中に!」

 果ててしまうのにそれほど時間はかからなかった。
 互いに高まり、名前を呼び、私たちはほぼ同時に達する。
 きついほどに締まる中へ、私は勢いよく精を注ぐ。
 高まった快感が一気に放たれる感覚に、意識が飛びそうだ。

慈「あ……っ、はぁ、ぁ」

胡桃「うぁ――あたしの、中に……」

 ぐったりと脱力し、うわ言のように口にする胡桃ちゃん。
 彼女の身体に寄りかかるように抱きしめ、私はびゅっびゅと奥へ射精する。
 長い射精を終え、中から愛液まみれの男性器を抜くと、私は胡桃ちゃんの横へと寝転んだ。

慈「……」

 で、また中に思い切り出してしまったことに罪悪感。
 ……どうも我を忘れてしまう傾向にあるらしい。身体は正直というか、身体に正直というか。
 自嘲し、隣の胡桃ちゃんを見る。
 ぐったりと、乱れた服装で秘所から愛液を流し、肩を上下させる彼女――罪悪感を抱いたばかりだというのに、私の身体はまたすぐ反応を示した。
 既に限界近くまで大きくなってしまっている。
 ……何日かしてなかったし、そうなるわよね。

慈(でもまだ胡桃ちゃんは回復してないし……)

 とりあえず、待たないと。
 思い、身体を起こそうと何気なしに胡桃ちゃんがいる場所とは反対の、ドアがある方向を見る。

慈(あれ?)

 すると、ドアがちょっと開いていることに気づいた。
 ……ま、まさか。
 あんな、仲間に聞かれたらまずい音声を廊下に!?
 一気に自分が青ざめるのを感じつつ、身体を起こし開いているドアの先を見ようとする。

悠里「あ……」

 すると、目が合った。
 開いたドアから顔を出し、自分の下半身へと手をやっている悠里ちゃんに。
 彼女は私に気づかれたと分かると驚きに目を見開いたまま、顔を赤くさせる。
 どうやら声を聞きながら、自分で慰めていたらしい。
 中までは見えないが、指と太ももに見える愛液で分かってしまった。

慈「……ええと」

 とりあえず、事情を知らない人にトラウマを植え付けるようなことはなかったようだ。
 そこは安堵するものの、悠里ちゃんにどんな言葉をかけるべきか。

慈「悠里ちゃんも、する?」

 なにをとち狂ったか、私はそんなことを口にしてしまう。
 以前見つかって怒られたというのに、なんでまたわざわざ怒られそうなことを言うのか。
 自分で自分を責める私だが、悠里ちゃんは予想外な反応を見せた。

悠里「……」コクン

 ……これ、どうなるのかしら。

【一旦ここまで】
【次からはりーさんも加えて続きです】

申し訳ありません。
書こう書こうとは思っていたのですが、仕事や自分のやる気だったりで中々書けずに日が空いてしまいました。
待っている人もいるようですし、中途半端に期待させるのもあれかと思ったので、いっそすぱっとやめることにします。

また書けるようになったら再開も考えておりますが、約束はできません。オリキャラの設定を出していただいた方には本当にすみません。

 度々申し訳ありません。
 カッとなって勢いで決めてしまったのもあり、書くのをやめると書き込みましたが、やはり撤回し続けたいと思います。最後まで書こうかと。

 ステータスやらルール、その他諸々を整理したら『その3』で建てるので、良かったら。
 構ってちゃんみたいで申し訳ないです
 今後こういったことがないように気を付けます

 依頼出したので、多分近い内にHTML化されると思いますが――

 とりあえず、新刊読んで考察に変化があったりしました。空気感染とか。
 なのでその辺を整理して、あらすじを新たに書いて訂正しておきたいと思います。
 忙しくなければ、すぐに再開しようとも思えるのですが――わりと忙しいので、まだ先になるやも

 それと大学生組の女子を仲間にできるようアップデートしました

【その3を立てる前に、胡桃とりーさんのシーンを書いときます】
【まだ忙しさが緩和されるかは分かりませんが。考察に特に変更はありませんでした】


 女性複数人に男性一人。
 ――私は正確には男性ではないのだけれど、現在のこの状況は夢みたいなものだと言えるだろう。

胡桃「……あれ?」

 悠里ちゃんを部屋へ招き入れてドアを閉じる。
 その物音で我に帰ったのだろう。ぼんやりとどこかを見ていた胡桃ちゃんが反応を示し、私達二人の姿を捉えた。

胡桃「え? ……り、りーさん?」

悠里「……」

 対立する素振りすら見せていた二人だ。すごく恥ずかしいのだろう。悠里ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
 ここは先生として私が二人の仲を……。

慈「えっと、見てたから声をかけたんだけど……悠里ちゃんも一緒にいいかしら?」

胡桃「は!? え、なに? りーさんそれでいいの?」 

悠里「ええ。……最近、めぐねえとしてないから、その……」

 俯いたまま首を縦に振る悠里ちゃん。
 ……そういえば、ご無沙汰といえばご無沙汰、なのかしら。

胡桃「そ、そうなのか? りーさん、めぐねえが初めて手を出した人だし、二人で共有って言ってもあたしのところこないし、てっきり毎日かと――」

悠里「……初めて以来、何の音沙汰もなかったわ」

胡桃「めぐねえ……」

 なんでだろう。胡桃ちゃんから冷たい目で見られている。
 だ、だって毎日なんて色々心配になるし……。

胡桃「となるとめぐねえはあの時以来、誰とも?」

慈「え、ええ、そうね」

胡桃「なんで目を逸らす」

 やましいことがあるからである。

慈「い――いいじゃない、これからするんだから。ね?」

 由紀ちゃんのことがバレたら捕まりかねない。
 私は誤魔化そうと精一杯大人の色気を心がけ、胡桃ちゃんへと囁くように言う。

胡桃「……」

 すると何も言えなくなってしまう胡桃ちゃん。
 赤くなって慌てる彼女はやはり可愛らしい。

慈「えっと……それじゃあ、どうしようかしら?」

 三人でするのは初めて。
 知識だけでろくに経験がなかった私には、どうしたら良いのかさっぱりである。
 えっと、こういう時は確か……。

悠里「こ、これは恥ずかしいわね……」

胡桃「りーさんあたし達の見てたんだろ? お互い様だって」

 なんやかんや、私が床に寝ることに。
 仰向けに寝た私の上には、制服をはだけさせた悠里ちゃんが。胡桃ちゃんは私の横に。
 美少女2人が私の周りで――嗚呼、なんて浪漫があふれる状況。

悠里「そ、そうね。……はぁ」

 こくんと頷き、悠里ちゃんの濡れたあそこの近くにある私の男性器へ手を添える。
 悠里ちゃんが私の上に。目に映る光景の破壊力がすさまじい。大きい胸に女性らしい柔らかそうな身体。
 すっかりスイッチが入っているのだろう。私のことをうっとりとした目で見つめる彼女の色気。
 ……何もしていないのに、私のあれは限界近くまで大きくなっている。

胡桃「にしてもりーさんすごいな……」

 同感である。
 スタイルもそうだけど、女性のホルモンというか、雰囲気も。

悠里「めぐねえ、はじめるわね?」

慈「え、ええ。大丈夫よ」

 私が頷くと共に、先端が悠里ちゃんの中へと入る。
 心構えはしていたのに、先端が擦れる感覚に身体に力が入ってしまう。
 私のそれにぴったりと合い、入ったそばから吸い付くように刺激を与えてくる悠里ちゃんの秘部。
 そこを掻き分け、奥に。挿入だけの動作で既にいってしまいそうなほど刺激が強い。

慈「あぁっ、はぁ……」

悠里「んっ、めぐねえの大きい……はぁ」

 奥まで入りきったようで、悠里ちゃんが私のお腹に手をついて一度止まる。
 早く動きたい。焦れったい思いで彼女を見ていると、悠里ちゃんは不意に腰を上げた。
 粘着質な水音。柔らかく全体を包み込む中に擦られ、一瞬頭が真っ白になりそうな快楽が奔る。

悠里「あっ、あ――ん。ふぁ、っ」

 一度、二度、腰を上下させペースを上げる悠里ちゃん。
 秘部と男性器が立てる音が耳にはっきり聞こえてくる。大きい胸を揺らして、喘ぎながら腰を動かす彼女の姿が更なる興奮をあおる。

慈「ひぁっ! あ、う……っ」

胡桃「めぐねえ、すごく気持ち良さそうだな……ん」

 攻められ余裕がすぐなくなってしまった私へ、胡桃ちゃんが顔を近づける。
 そのまま私の頬へ手を添えると、優しく口付けた。
 胡桃ちゃんの舌が私の口内へ入り込み、あちこちを撫でる。
 上に下に、快感に頭がうまく働かない私はされるがまま。胡桃ちゃんは私の舌を吸い上げるようにして、唇で挟んだり、舌で根元から先端まで撫でたり。加えて、胸にも刺激が。
 女の子二人に攻められ、頭がおかしくなってしまいそうだ。
 既に限界が近いのに悠里ちゃんは激しく腰を動かし、胡桃ちゃんは息苦しさを感じる私の頭をかき乱す。
 先生なのに、本当されるがままだ。

悠里「んぁっ、は――っ! あっ、気持ちいい……めぐねえ、どう?」

慈「ん、ぷぁ――ぁ、悠里ちゃ、もっと――ゆっくり」

 胡桃ちゃんの唇が離れ、息を吸おうとするもその余裕はない。
 悠里ちゃんが動く度に声が抑えられず、喋ることはおろか呼吸すらもままならなかった。
 多分、泣きながらしゃっくり混じりに懇願する――ように見えているかもしれない。
 悠里ちゃん、胡桃ちゃんが私の表情を見て、いじめっ子みたいな顔をしたから。

悠里「――んっ。はぁっ、あぁ」

 まったく動きをゆるめず、むしろ早くなる悠里ちゃん。
 胡桃ちゃんはニヤニヤと笑い、キスはせず胸の突起を指で刺激する。私の表情を見ることに専念しているのだろう。
 間近だった絶頂。なのに快感は更に強まって、すぐに限界に達してしまう。

慈「んあぁっ! っ、う……!」

 二人に見られながら達する。絶頂寸前の羞恥心は一際強い快楽に薄まり、射精の感覚に身体をぶるっと震わせる。
 悠里ちゃんはまだイッていないみたいだったし、ちょっと不甲斐ない――

悠里「ふふっ、めぐねえ――どうしたの? んっ」

慈「あ、あぁっ!? ゆ、うりちゃ――っ」

 ぼんやりとしていた意識が戻される。
 感じたのは頭がおかしくなってしまいそうな刺激。
 射精の最中であるにも係わらず、悠里ちゃんは腰を止めない。私の反応を楽しむように、上下に動く。

慈「ううっ、ん! あんっ! ぁ、っ」

胡桃「めぐねえ、そんな顔もするんだな」

 恥ずかしいからすごく見てほしくないんだけど、胡桃ちゃんも悠里ちゃんも私の顔をジッと見つめている。
 絶頂の最中に刺激され、射精が終わったはずなのにまだ出しているような感覚が続く。
 もう自分がどんな状態なのか分からない。ただひどい顔をしていると思う。声が止まらず、抵抗しようにも身体がうまく動かない。
 気が狂ってしまいそうな快感、気づくと私はまた悠里ちゃんの中に白濁を注いでいた。

悠里「ん、ぁ……っ、すご――いっぱい」

胡桃「溢れてるな……めぐねえ、すごい――のかな」

 うっとりとした目で、自分のお腹に手を置き、撫でる悠里ちゃん。
 秘部と男性器が結合部からは愛液と精液が溢れ、流れている。
 ……もう本当、私先生らしくないなぁ。
 なんて、今更なことを考え私は目を閉じた。
 ほんのちょっとの休憩。そのつもりだったのに、私は疲労からか意識を手放してしまった。

 その3、立てました

 【がっこうぐらし!】慈「めぐねえハーレム?」【安価】 その3
 【がっこうぐらし!】慈「めぐねえハーレム?」【安価】 その3 - SSまとめ速報
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