ワァァァ…… ワァァァ……
サッカー選手「よし!」パシッ
敵選手A「ああっ!」
敵選手B「しまった! 止めるんだ!」
実況『さぁ、パスが通った! ここからどう攻めるか!』
敵選手A「させるかっ!」シュザッ
サッカー選手「!」
敵選手A(よし、うまくボールだけを蹴り飛ばせた!)
ドサッ……
サッカー選手「ぐわあぁぁぁぁっ……!」ゴロゴロ
敵選手A「え!?」
サッカー選手「あぐぅぅぅ……!」ゴロゴロ
サッカー選手「ぐあっ! あがぁぁぁぁっ!」ゴロゴロ
敵選手A(いやいやいや! 今のは足に当たってねえだろ!)
実況『あーっと、これはいけません! スライディングが足に当たっていたようです!』
実況『大丈夫でしょうか!?』
サッカー選手「ぐああっ……! いでぇぇぇっ……! 足がぁぁぁっ……!」
審判「……」サッ
敵選手A「なんだとぉ!?」
実況『イエローです! イエローカードが出ました! これは当然といえるでしょう!』
サッカー選手「ほっ」パシュッ
パサッ……
ワァァ…… ワァァ……
実況『痛みをこらえつつ、フリーキックを自分で蹴り、先制点を決めたァ!』
実況『足にスライディングを受けたことを感じさせない、みごとなフリーキックでした!』
その後も――
サッカー選手「ぐぎゃあぁぁぁっ……!」ドサッ
サッカー選手「ぐおおぉぉぉぉっ!」ゴロゴロ
サッカー選手「いでええええっ!」ガクガク
実況『何度もひどいファウルを受けてますが、選手生命は大丈夫でしょうか!?』
結局、フリーキックからの1点が決め手となり、この日の試合は終わった。
敵選手A「ちっくしょう! 何度も何度も転びやがって! あんなの絶対演技だぜ!」
敵選手A「あのヤロウ、プライドねぇのかよ!」
敵選手B「まぁいいじゃないか。あのチームとの試合はこれからもあるんだ」
敵選手B「あのチームはアイツ以外にも、手強い選手が揃っている」
敵選手B「すぐにギャーギャーわめくアイツはいい情報源になるだろう」
そして、ある日のこと――
サッカー選手「な、なんだ!? お前たちは!?」
覆面A「チームやチームメイトの秘密や弱点を洗いざらい喋ってもらうぜ」
覆面B「少しの間、眠ってもらおう」プシュゥゥゥゥ
サッカー選手「うっ……」ガクッ
どこかの部屋にて――
覆面A「さぁ吐け! 吐きやがれ!」ヒュッ
バシィ!
覆面B「お前のチームの機密を全部しゃべるんだ!」ブンッ
ビシィ!
サッカー選手「……」
覆面A「どうだ! 爪の間を針で刺されるのはいてぇだろ!」グサッ
サッカー選手「……」
覆面B「そろそろ喋らないと、命に関わるぞ!」バシィッ
サッカー選手「……」
覆面A「ちくしょう! かれこれ10時間は痛めつけたのに、まったく吐かねえ!」
覆面B「我慢強いというレベルではないな、これは……」
サッカー選手「……」
覆面A「あんなせこいプレーを連発するぐらいだ! プライドなんてねえだろ!」
覆面A「さっさと吐いちまえよ! お前のチームやチームメイトの情報をよ!」
サッカー選手「……やなこった」
サッカー選手「たしかにオレは……」
サッカー選手「チームの勝利のために……プライドを売った……」
サッカー選手「だけど……」
サッカー選手「仲間は売れねェんだよォッ!!!」
覆面A「な、なんてヤツだ……!」
覆面B「どうやら、オレたちはコイツをあなどっていたようだな……」
警官「動くな、警察だ!」バッ
覆面A&B「しまった!」
こうして覆面こと敵選手AとBは逮捕され、事件は解決した。
彼が拉致されるところを目撃していた人間がいたのが幸運であった。
仲間のために、10時間にも及ぶ拷問を耐え抜いた、誇り高きサッカー選手。
サッカー選手「ぐわあぁぁぁぁっ……!」ゴロゴロ
今日も彼は、フィールド上を転がり続けている……。
おわり
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