新ジャンル「遠視母さん」(22)

母「よくぞ戻って来てくれたね。お前が旅先で事故にあったと聞いた時は生きた心地がしなかったよ」

男「危うく死ぬところだったよ。そう言えば不思議なことがあったんだよ」

母「へえ。どんなだい」

男「病院で夢を見たんだ。お母さんが居間でヨガをしていた。そんな夢さ」


母「不思議なこともあるものだね。お前が事故にあったと聞いた後、私はヨガをしたんだよ」

母「その時、ちょうどあそこらへんにお前の顔が浮かんでいたんだよ。あれはやはりお前だったんだねえ」

男「ちょっと待って。お母さん、ヨガをしてたの。僕が事故にあったのに」

母「母さんが綺麗なら嬉しいだろう」

男「ごめん、興味ない」

母「それがきっかけかねえ。私は遠くのものが見えるようになったみたいなんだ」

男「更年期障害じゃないの」

母「失礼な。そこで私は言いたいことがある。だけど、お前はいい年をしてちんちんを弄りすぎだよ」

男「何を言っているの」

母「学校のトイレでちんちんを弄るなんて何を考えてるんだい」

男「…………!!」

母「あと、お前が気にしている女の子、ビッチちゃんだっけ?あの子はやめときな」

男「何でビッチちゃんを知ってるのさ」

母「だから言ったろう。私は遠くが見えるようになったのさ」

男「母さんも人が悪いな。そんな嘘を」

母「信じないねえ。そうだね。お前は昨日、アルバイトだったろう。レジのお金が合わなかったね。51円だ」

男「……本当なのか」

母「ああ。だからちんち」

男「ちんちんの話はもういいよ。ところでビッチちゃんは」

母「ああ。あの子は××教授とバイト先の上司と不倫してるからね」

男「嘘をつかないでよ」

母「お前は昨日、○○だっけ?アイドルの写真集を買ったね。まったく仕送りでちんち」

男「ぎゃあ!」

姉「ただいま。あら男、戻ってきたの」

男「姉さん、久しぶり。お母さんが僕を騙そうとするんだ」

姉「遠くが見えると言う話。あれ本当よ。だって私も見えるようになったもの」

男「はあ?」

姉「男の子ってやっぱりあんなになのかしらねえ///」

母「あんなもんだよ」

姉「随分と見てないけど、男の逞しいわね。達した時の顔も私には可愛く見えたわ///」

男「何の話だよ!解ってるけど!」

姉「でも仕送りでhな本を買うのは感心しないわ」

男「…………本当なの」

姉「本当よ」

母「本当だね。たとえば」

(中略)

男「信じたくないけど、信じざるを得ない!知りたくなかった!何で教えるんだよ!」

姉「男のプライバシーを侵害しているから伝えようと話したのよ」

母「私はプライバシーとか解らないけど、自慢しようと思って」

男「母さんはそう言う人だよね」

母「芸能人の私生活も知りたいだけ、知れるのさ。たとえば……」

男「マジで!でも確かめようがない!」

母「芸能人ってのはお盛んだねえ」

父「帰ったぞ。お、男!」

男「おかえり。帰ってきたよ」

父「男!」ぽろぽろ

男「お父さん……」

父「俺だけ遠くのことが見えないんだよ。hなところ見たかったのに」ぽろぽろ

男「そっちかよ」

母「お父さんはろくなことに使わないから、見えなくて良かったね」

男「お母さんたちもろくなことに使ってないけど」

父「姉の着替えを覗いたりしたいと思うのはろくでもないか?」

男「ろくでもないよ」

姉「お父さん、相変わらず私の裸を見ようとするのよ。気持ち悪い」

母「お父さん、なんでこんなんになっちまったのかね」

姉「男に見られるならともかく」

男「姉さん、言ってること、おかしいよ」

父「ああ、なんでお父さんじゃないんだ」

姉「ええ~やだ~」

父「っ」がくっ

男「うわあ本当に落ち込んでいるよ」

母「やれやれ。じゃあ飯にしようかい。お父さん肉は買ったね」

父「ああ」

母「ではすき焼きを始めようかいね」

男「お父さんは見えないけど、お母さんたちが見えるのは何で何だろう」もぐもぐ

母「ふむ。私の祖母もね、人間離れした力があったようだよ」もぐもぐ

男「曾祖母ちゃんも?」もぐもぐ

母「ああ。知る筈のないことを当てていたよ」もぐもぐ

父「俺も昔、会ったが確かに人間離れしていたな」もぐもぐ

母「ああ。鬼みたいなババアだったよ」もぐもぐ

男「容姿の話じゃないでしょ」もぐもぐ

父「人の秘密を容赦なくあげつらってきて、俺は泣いたよ」もぐもぐ

男「じゃあ血筋ってこと?」

母「だろうねえ。最初、姉が見えるようになったんだよ」もぐもぐ

父「姉は、男が事故にあったと聞いて、ひどく取り乱していたんだぞ」もぐもぐ

姉「もう会えないかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなかったわ。せめて顔が見ることが出来ればと思ったのよ」もぐもぐ

男「それは……。ご心配をおかけしました」

母「最初、男の姿が見えたと言い出した時は驚いたよ。その後、ヨガをやりながら、私は祖母のことを思い出したのさ」もぐもぐ

男「なんで息子が危篤なのにヨガをやるのかな」もぐもぐ

母「日課だからね。私は姉にも出来るなら出来るのではと考えた。試したら出来たよ。私は見たかったからね」もぐもぐ

男「母さん何だかんだで僕のことを心配して……」もぐもぐ

母「私は堪能したよ。芸能人の私生活を」もぐもぐ

男「はいはい。そうだろうさ」もぐもぐ

男「あれ?血筋が問題なら僕も出来るのかな。やり方は?」もぐもぐ

母「ふむ、テレビのスイッチをつけるみたいなもんだよ。頭の中の」もぐもぐ

男「スイッチ??解らないよ」もぐもぐ

母「どうして出来るのか、私も解らないからね……はっ」もぐもぐ

男「お母さん?」

母「なんでもないよ」

そのとき。

母は群馬県で宇宙人が人間をufoへ連れ去るのを見ていた。

しかし、母はすぐに忘れた。

最近の若者は変な風体だねえとしか思わなかったからだ。

男「変なお母さん。なにはともあれ無事に帰ってきました」

母「おかえり」

姉「おかえりなさい」

父「おかえり」





男「ふうーっいい湯だったなあ。寝よう。よっこらしょっと」

姉「きゃっ男!見ないで!」

男「姉さん、ここは俺の寝る部屋です」

姉「裸を見られちゃった!責任を取って!」

男「からかう為に来た人の責任をとる必要はありません」

姉「え~ん。ひどいよ~」

男「泣き真似もいりません。さあ帰ってください。服を着せてあげますから」

姉「も~」

男「姉さんも女なんだから、弟とは言えそんな体を張った悪戯をしないでください。さようなら」

男「ふ~」

男「寝るか。しかし」むくむく

男(姉さんの裸、エロすぎるんだよなあ。乳首とかびっくりするくらいピンクだし)むくむく

男(いかん姉に欲情しては。あれは姉。あれは姉)

男(姉以外で抜こう。ビッチちゃん…………ビッチちゃん二人と不倫関係かあ。切ないなあ)

男(じゃあ昨日買った写真集で。あ…の……カッ…ト…………)

シュッ

シュッシュッ

シュッシュッシュッ

シュッシュッシュッシュッ

シュッシュッシュッシュッシュッ

シュッシュッシュッシュッシュッシュッ

シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ






ポーーーー

男「ふう」ぼー

姉「男」

男「姉さん?」ぼー

姉「私でしてくれたのね嬉しい。見てたわ」

男「あぁ。忘れてた」ぼー

姉「あんなに一生懸命で///」

男「姉さん」

姉「なあに」

男「母さんにも言うけど、次から特別な理由もなく、僕のことを見たら姉さんとは話さないから」

姉「解った。1時間に1回くらいにする」

男「解ってない。特別なことは事故にあったとか、行方不明になったとか、それくらいだよ」

姉「え……1日に1回くらいは」

男「…………」

姉「…………あ、うん。解ったよ」がっくり

男「姉さんお休み。俺寝るから」

姉「はい……お休み。電気消すね」がっくり
男「ありがとう」

男(こうして帰省して1日目の、慌ただしい今日が終わった)

男「お母さん、何をしてるの。空なんかを見て。そんな性格だっけ」

母「昔、鬼ババアに言われたことを思い出したんだ。空には故郷があるってね」

男「熱出てるの。休んだら」

母「失礼だねえ。あとは若い者のおいたを見ているのさ」

男「悪趣味だよ。僕は出掛けるから。友の趣味に付き合うんだ」

母「そうかい。気をつけてね」

男「あと。姉さんにも言ったんだけど、僕のこと見るのやめてね」

母「ん? ああ。元々私はあんたに興味がないからね」

男「そう言われても辛いものがあるね。まいっか。行ってきます」

友「かつがれたんじゃないか。トリックで」

男「いや、知るはずもないことを当ててきたんだよ」

友「男の身辺を当てられたんだろ。探偵を使ったとか。盗聴とか」

男「何のメリットがあるんだよ。でも姉ちゃんなら……」

友「事故にあったと聞いて、遠方にいる男を見たと思い込んだだけとの説もある」

男「人の家族をそんなこと言うなよ」

友「ごめんごめん。ま、千里眼と言うか、遠視能力と言うか、超能力としか説明できない例はあるみたいだけどね」

男「へえ」

友「ところでそろそろ着く筈だよ……おお!噂にたがわぬ!」

男(車に乗せられ、山道を行った先には大きな岩。自然に出来たとは思えぬ、模様が岩を削り出来ていた)

男「何、この模様。花丸の花弁のところみたいと言うか」

友「うん。一夜にして出来ていたと言うね、話の通りなら不思議極まりない」

男「トリックじゃないの」

友「トリックだとしてもすごい労力だよ。実はさっきの話もドキドキして聞いてたんだ」

男「知っている」

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