晶葉「今日は中秋の名月だな」
頼子「そうだね…晴れてて絶好の月見日和だよ…」
晶葉「ウサミンとPはどうした?」
頼子「少し遅れてるみたい…」
晶葉「じゃあ先にはじめてるとするか」
頼子「月が綺麗だね…」
晶葉「そうだな」
今日は中秋の名月。雲もなくまん丸のお月様が綺麗だ。
一緒にやるといっていたウサミンとPは仕事が長引いてまだ来ていない。
事務所で頼子と二人きり。少し前までだったら嫌だったかもしれないが、今はこの大丈夫だ。
むしろ、頼子と一緒に入れることは嬉しい。
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晶葉「しかし、事務所は静かだな」
頼子「もうみんな帰ってるからね…」
晶葉「いつもうるさい事務所だから不思議な気分だな」
頼子「うるさいのは嫌い?」
晶葉「いや、嫌いなわけじゃないぞ。むしろ好きだ」
頼子「ふふ…晶葉ちゃんもいつも騒いでるもんね…」
晶葉「う…、この事務所には楽しい人たちがたくさんいるからな…」
頼子「そうだね…いろんな人がいるもんね…」
少し沈黙。本当に静かだな。
こんなに静かだと昔のことを思い出す。
私がアイドルになる前のこと。
晶葉「…ちょっと暗い話になるけどいいかな?」
頼子「…こういう夜はしんみりした話を話すのもいいと思うよ…」
私が切り出すと頼子は優しく微笑みかけてくれる。
なんだか暖かいな。
そうだな。この話をするには静かな夜がぴったしだ。
晶葉「そっか、じゃあ聞いてくれ。私の父親はこういったイベントごとに全く興味のない人でな、今までやったことがなかったんだ」
頼子「そうなの…?」
そうだ。私の父親は父親らしいことを何にもしてくれなかった。
いや、ロボットの作り方などは教えてくれたな。
いい意味でも悪い意味でもロボット馬鹿の父親だった。
そのせいで寂しい思いもした。辛い思いもした。
晶葉「だが今は違う。頼子がいる。ウサミンがいる。Pがいる。みんながいる。私はみんなを家族のように慕っている」
頼子「私も晶葉ちゃんを妹のように思ってるよ…」
晶葉「ありがとう。だから寂しくないんだ。騒がしいのも心地よい」
今ならわかる。暖かさに触れたからわかる。
あれが、ロボットのいろはを教えてくれたことが父親による不器用な愛情表現だったんだ。
父さん。ありがとう。今なら伝わってるよ。
父さんが教えてくれたことが今の私を形作っている。
頼子「…晶葉ちゃんは今が楽しい…?」
晶葉「もちろんだ!頼子はどうだ?」
頼子「私も…楽しいよ…はじめはお仕事を通してだったけど…晶葉ちゃんと仲良くなれてよかったよ…」
晶葉「はは!なんだか照れくさいな」
頼子「雰囲気に飲まれちゃったね…」
うん。少し恥ずかしいな。
でも、話せて嬉しかった。ありがとう。
直接伝えなくてもわかるだろ?
はは、こんな不器用さも父親譲りだな。
でも頼子の顔はすべてが伝わってる顔だな。何も言わなくてもわかる、助手にしたいぐらいだ。
晶葉「よし!明るい話をしよう!」
頼子「…ふふ。顔が真っ赤だよ…」
晶葉「う、うるさい!さっき頼子は私のこと妹といってくれたが他の家族は誰だろうか?」
頼子「父親はPさんでいいんじゃないですか…?」
晶葉「まあ、妥当だな」
頼子「母親は…ちひろさん…?」
晶葉「いや、ここは母親はウサミンにしよう!」
頼子「菜々さんは一応私と同い年…いや、なんでもないです…」
晶葉「よし、帰ってきたらそう呼ぼう」
頼子「二人とも戸惑うと思いますよ…」
晶葉「その反応を楽しむのだ!」
頼子「あまり二人を困らせないようにね…」
晶葉「人事のように言ってるが頼子も言うんだぞ?」
頼子「え…?」
晶葉「頼子は私の姉だからな。なら父親と母親も一緒だろ」
頼子「そうだけど…。うん、わかったよ…」
晶葉「ありがとう。頼子」
ふふ、隠しているようだが頼子、少し口が緩んでるぞ?
頼子はなんだかんだでイタズラが好きだからな。
お、今扉を開ける音がしたな。二人とも帰ってきたか。
よし、やるぞ!
モバP「ただいま戻りました」
菜々「待たせてごめんね。晶葉ちゃん、頼子ちゃん」
頼子「静かな時間は終わりですね…」
晶葉「ああ、騒がしいのも悪くない」
モバP「二人で仲良くどうしたんだ?」
菜々「ナナたちにも教えてください!」
晶葉「なんでもないぞ、父さん、母さん」
モバP「え?」
頼子「そうですね…お父さん、お母さん」
菜々「な…!ナナはまだお母さんって年じゃないですよ!」
モバP「何があったんだ?」
やっぱり頼子もノリノリじゃないか!
くっくっく、ウサミンの慌てふためく顔が面白い。
Pにいたっては完全に話について来れてないな。
頼子と顔を見合って笑いあう。
イタズラ大成功だな!
晶葉「なんにもなかったよな。頼子お姉ちゃん」
頼子「そうですね…。晶葉ちゃん…」
以上で短いけど終わりです。
晶葉、頼子、菜々のお月見組が大好きです。
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