結衣「ハァ、ハァ、ハァ・・・」 (19)

ゆるゆりのSS、グロ注意ね


暗闇の公園の中を、黒いショートヘアを靡かせて、
一人の女性が駆け抜けていく。

刻は既に午前2時。

もし他に通行人がいたとしたら、少々奇妙な光景に見えたかも知れない。
なぜなら彼女は、年齢14才、服装は、七森中の制服。

どう見ても通学仕様であり、こんな姿で若い女性が、
真夜中の公園を走っていくのは、普通ありえない光景であろう。
しかし、その女性自身は必死で走っている。
どうやら、どこからか逃げ出してきたらしい。

やがて、街灯の全くない木陰に向かって、滑り込んでいった。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

その女性は、息も絶え絶えという感じで立ち止まると、木にもたれ掛かった。
彼女の名は結衣。

結衣の呼吸が落ち着いてきた時だった。

「そこを動くなっ!」

突然、結衣のすぐそばから男性の太い声が響いた。

驚いた結衣はすぐに声の方に振り返った。
その途端に、結衣の腕が何者かに取り押さえられた。

その男は頭の上から爪先まで全身を漆黒の服で覆い尽くしており、
姿が良く分からない。

「こんな所に隠れて、無事に逃げられたと思ったんですか?甘いなぁ」

結衣は恐怖の余り、叫び声を上げようと口を開いたものの、
口を何か布のような物で覆い尽くされてしまい、声が出ない。

「あまり騒がないで下さいよ。面倒なことにしたくなければね・・・」

男はニヤリと笑った。
布には何かの薬品が染みこませてあるらしく、
強烈な刺激臭があり、結衣はそのまま気を失ってしまった。

男はそのまま結衣を抱き上げると、その場を後にして、
闇の中へ姿を消していった。

実はこの男は、暴力団の一員であり、
数時間前この公園の陰で、関係者に拳銃の密売を行っていたところ、

近くを結衣が通りかかってしまい、逃げ出した結衣をここまで追い掛けてきたのであった。

結衣は身体に違和感を覚えて、ゆっくりと目醒めた。

その直後、自分が全く知らない場所で寝ていることに勘づいた。

「ここは...どこだ?」

身体を起こそうとしたが、思い通りに動けない。
それもその筈で、両手は手首を頭の上で縄で縛られて固定されており、
両足も伸ばした状態で頑丈に固定されている。

結衣は自分の身に何が起こったのか理解出来ず、
慌てて瞳を周囲に巡らせた。

彼女は、木造の小さな部屋のベッドに寝かされていた。
ベッドは、敷き布団のみで、結衣自身の服装もさっきのままである。

そして、すぐそばには、黒い背広と黒いサングラスを身に着けた男の姿があった。

「きゃあああああああ!!」

結衣は絶叫した。

「お目醒めですね。元気のいいお嬢さん。しかし、ここで幾ら大声を出しても無駄ですよ。なにしろこの建物は、特殊な防音構造をしているので、外には一切の物音は漏れません」
男は上品な口調でそう言った。

声色からして、先程の男と同一人物であろうと思ったが、
良く聞いてみると、女性の声のようである。

改めてその人物の顔形、背格好を見つめると、
やはり、男ではなく、男装した女性らしい。

年は若そうだが、結衣よりは上なのだろう。
それでも、結衣は絶叫を続けた。

「お嬢さん、子供じゃないのだから、大人しくしてくれませんかね」

女はそう言うと、懐から拳銃を出して見せた。
それを見た結衣は、瞳を大きく開けて、声を止めた。

「あなたも気づいての通り、男性の服装をしていますが、私は女性です。某密売組織の一員です」
女はニヤリと微笑した。
結衣は、恐る恐る女に問いかけた。

「わ、私をどうするつもりだ?」

すると、女は戯けたように両手を広げた。

SSはセリフ多めにして状況説明もセリフでさせるようにしたほうが良いよ

>>13
ありがと、参考にするわ

「なに、どうするつもりもありませんよ。僕の質問に正直に答えてくれたらね・・」

「質問?」

「ええ、簡単な質問です。先程、あなたは見てはならない所を見ていましたよね」

「・・・見てはならない・・・所・・・?」

「そうです。僕の質問は、あなたは、一体どこの組織から依頼されたのかということです」

「依頼・・・?なんのことか、私にはさっぱりで・・・?」

「いやいや、惚けても駄目ですよ。こんな遅い時間に、あの暗い公園に、
一般の人が通ることはまずありえません。通るとすれば、事情を知っている者としか考えられない。きっとあなたは、
関係の組織から高額の報酬で、密売情報を得るように依頼されてあの場所にいたのではないんですか?」

「そんな、私、ただ帰りが遅くなってしまっただけなんです」

「フン。見え透いてますよ」

「本当なんです。信じて下さい」

「正直に話して頂けば、あなたの組織よりも、もっと高額な報酬を出します。」

「た・・・確かに近くで見ていました。でも、本当に偶然なんです。」

結衣は、確かに拳銃の密売の一部始終を見ていた。
適当な頃合いを見て、携帯電話で警察に通報するつもりだったが、

それより早く この女に見付かってしまったのだった。

しかし、偶然はやはり偶然であり、組織に依頼された事実などありはしない。
結衣が黙り続けていると、女は少し困った顔になった。

「どうやら簡単に口を割りそうもないですね。早く言わないと、
こちらも実力行使に出ますよ」

その言葉を聞いて、結衣はビクッと身体を震わせた。

「実力行使?」

「なに、ちょっとした軽い拷問ですが、威力は大きいです」

明日また更新します...

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