男「赤ちゃん出来ちゃったかぁ…」 (20)

~体育館~

女「………」

男「いやぁ、やっぱり出来ちゃったのかぁ」

女「あ、あの」

男「いやいや!悪いのは俺だから!!まさか出来るなんて思わなかったから」

女「ううん、謝るのはコッチの方かも……」

男「まさかなぁ……あの日だよなあの日」

女「うん、きっとそう…」

男「………どうするんだよ此れから」

女「堕ろすしか…」

男「簡単に言ってくれちゃってぇ、それって遠回しに人を[ピーーー]って事だろ?」

女「で、でもコレから先……誤魔化しきれないし」

男「大丈夫だ、俺に任せてくれよ」

女「………う、うん」

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男「まぁ、最初の内は[ピザ]ったとかで誤魔化せると思うぞ」

女「けど……その場しのぎにしかならないと思う」

男「最近学校から帰ったら喰って寝るの生活送ってたからなぁとかでOKでしょ」

女「……私の気持ちも知らないで」

男「なんだよ、別に付き合ってる訳じゃ無いんだし?そんな重く考え

女「考えるよ!!」

男「ぉっ、おい、なんだよ急に……生理かよ」

女「違う……生理程度でこんなにならないから」

男「………すまん、ちょっと一方的過ぎたよな」

女「確かに、私達は付き合って無い。一晩羽目を外しちゃっただけ……でも」

男「さ、誘ったのは俺だ、だからそんなに気にするなよ」

女「するよ、しない方がおかしいよ」

男「………」

女「………」

男「な、なんだよおい…腹なんか見て」

女「やっぱり堕ろそ?」

男「ばばばっ、馬鹿!何言ってんだお前!アンタばかぁ?!」

女「馬鹿じゃないよ、至って冷静なつもりだよ」

男「冷静な人は人殺しを進めたりなんかしねーよ!!」

女「私達まだ学生なんだよ……まだ2年生だよ、17歳なんだよ…」

女「お酒だってまだ飲んじゃいけない、タバコだって吸っちゃいけない、学校と言う名の折に進んで入ってる17歳なんだよ……」

男「………タバコ吸うか?」

女「吸わないよ!!吸った事すら無いよ!」

男「………」

男「ふぅぅぅ……」

女「けほっ!けほっ…」

男「やっぱりマルボロの作るアイスブラストは美味いな、カプセルがしっとりとして居て、それで居て強過ぎない、丁度良いメンソールだ」

女「………お腹に響くよ」

男「あはは、やっぱり堕ろす気は無いんだな」

女「や、やっぱり……最終的に決めるのは君だから」

男「そりゃあそうだ、この腹の子は俺の子だ」

男「けどな、お前の子でも有る。まだ時間は有るんだしさ?色んな方法を考えようや」

女「その大雑把なとこ、嫌いじゃないよ」

男「止してくれよ、俺には彼女が居るんだぜ?惚れられちゃ困るってもんよ」

女「衝撃の事実だよ、笑えないよ」

女「決めた、堕ろそう」

男「!?!」

女「駄目だよ、流石に事情が変わったよ」

男「い、いや、いやいやいや!!」

女「君の誘惑に負けた私が悪いの、ゴメンなさい、まさか彼女さんが居るとは思わなかった」

男「駄目だ!!絶対に駄目だ!」

女「君は少し自己中過ぎるよ」

男「か、隠し通すから!絶対に悟られない様にするから!」

女「仮に、君が執拗以上に私にアプローチを掛けてくるとしてだよ?彼女さん、どう思うと思う?」

男「し、執拗以上にアプローチ掛けたりしないから!寧ろ放置でいい、から……」

女「それは無理だよ、私だって心配だもん」

男「………」

女「明日、一緒に行こう?」

男「だ、駄目だ……」

女「学校には風邪引いたって言っとけば大丈夫だから」

男「駄目だ」

女「コレは仕方の無い事なの、少年少女が少しだけ駆け足で大人の階段を登った代償なの」

男「か、駆け上がれば良い!一緒に育てればいい!」

女「そんなの無理だよ……寧ろ怖いよ、先が真っ暗な人生なんて」

男「………」

女「バレたら退学、中卒の人間を養ってくれる企業なんか何処にも無いよ」

男「だ、だったら鳶にでも何でもなってやるよ!!」

女「無理だよ、私には分かる」

女「仮に、お腹の子を産んだとしても、その子が元気に育つ未来が見えないの」

男「信じてくれ、俺は本気だよ」

女「耳触りの良い言葉を並べるのは誰にだって出来るの。それを実行出来る人は1割にも満たないんだよ……」

男「お、俺がその1割になってやんよ!だから、だから

女「校則すら守れない人の言う事なんて信じて貰えると思ってるのかな」

男「………」

女「………お腹を撫でて私に訴えかけても無駄」

男「これはな、俺とお前の愛の結晶なんだぞ」

女「赤ちゃんをコレ呼ばわり、平気で浮気た事実。コレを踏まえ君を信じる気は限りなく0に近い0になってるよ」

男「………」

男「ば、馬鹿!もう知らねーからな!!」

女「あっ、ちょっと」

女「………行っちゃった」

女「どうしよう……どうにか彼を納得させないと取り返しの付かない事になりそう」

女「いや、なりそうじゃなくて成るんだ……彼、本気だったし」

女「……勝手に堕したりしたら何て言われるのだろう」

女「飛び切り汚い言葉を浴びせられ、下手したら暴力を振るわれるかも」

女「………はぁ」

女「私だって辛い、それを分かって欲しい」

女「この一言を彼に言えない私にも非がある………とにかく今日はもう帰ろう」

女「明日、また彼と話をしよう。今日の事を彼に謝って、それから赤ちゃんの事についてもう一度、ちゃんと話し合おう」

女「………あの日、どうしてゴムを使わなかったんだろ」

~図書室~

後輩「………」

男「出来ちゃったんだ」

後輩「あの、急になんすか」

男「赤ちゃんがな……」

後輩「あの、先輩?」

男「ん?」

後輩「何ていうか…その話、他人に言っても良いんですかね」

男「……不安でな、お前に話したかったんだ」

後輩「そ、そうですか……(いきなり現れたと思ったら重たい話をし出すんだからなぁ)」

男「なぁ、お前ならどうするよ」

後輩「どうって、学生ですよ?堕ろすでしょ」

男「………」

後輩「いや、お腹を撫でて訴え掛けられても困るんですけど」

男「赤ちゃんだぞ?」

後輩「その前に、学生の分際で子作りは不味いでしょ」

男「………」

後輩「………」

男「誰との子か知りたくないのか」

後輩「いや、別に興味無いです」

男「お前、学ラン似合うよな」

後輩「きゅ、急になんすかソレ」

男「お前、もし女の子だったらモテてたろうな」

後輩「……馬鹿にしてます?」

男「勿体無いよな、世の中って上手くいかないもんなんだな」

後輩「………」

男「それだけだ、じゃあな」

後輩「えっ?は!?あ、ちょっと」

後輩「………なんなんすか、ほんと」

~公園~

友「で、お前は色んな奴に話したと」

男「あぁ、取り敢えず親しい奴等には全員」

友「救い様の無いアホが目の前に居る」

男「し、仕方ないだろ?!俺だってナンダカンダ言いながら不安なんだよ!」

友「じゃあその不安と一緒に堕しちまいな」

男「………酷い奴」

友「もしも、って言うか間違いなく、明日には学校中に広まってると思うぞ」

男「!?」

友「まぁ、お前が誰と子作りしようが俺がとやかく言う立場じゃ無いけどよ?その子どうすんだよ」

男「………それは」

友「はぁ……お前は昔っからソレだよな、後先考えて無さ過ぎなんだよ」

友「過ぎちまった事は仕方無いわな……おい、携帯貸せ」

男「ん?あ、あぁ」

友「暗証番号は」

男「0721」

友「親しい奴等って言ったよな?誰に言ったのか教えてくれ」

男「え~っとな、こいつとこいつだろ?それに……」

~翌日~

友「よっ!」

男「うぉ、人ん家の前で待ち伏せかよ」

友「待ち伏せって酷過ぎだろ」

男「あ、あぁ、すまん」

友「………んで?家族の人には言ったのか?」

男「い、言える訳無いだろ」

友「やっぱりお前何かおかしいわ、普通なら家族に相談するだろ……」

男「まっ、いつかバレるんだし?それが遅いか早いかだけだって」

友「………さ、さいですか」

男「あ~、不安だわ学校」

友「バーカ、大丈夫に決まってんだろ?」

男「不安を煽ったのはお前だろ?この通学路もビクビクなんだけど」

友「言いふらしたのはお前だろ……」

男「ん?何か言ったか?」

友「いや、何でも……それに、大丈夫だっつったろ?俺を信じなさいな」

~教室~

男「………よ、よう」

女「………」

男「んだよ、冷たいなおい」

女「昨日、言わなかったっけ?執拗以上にアプローチを掛けるなって」

女「周りに悟られたらどうするの」

男「あははは、まだお腹出てないから大丈夫大丈夫」

女「お願いだから教室では話し掛けないで、休憩中の屋上限定」

男「…………な、なぁ」

女「今言ったばかりなんだけど?」

男「いや、そうじゃなくてさ……そろそろHRだろ?やけに生徒が少なくないかなって思ってよ」

女「何時もの事でしょ?」

男「いやいや、だって後5分しか無いんだぞ?遅刻し過ぎだろ」

女「まだ5分も有るの。良いから私から離れて」

男「………分かったよ」

先生「………」

男「………(結局HRの時間になっても全然来なかったな)」

先生「お前等、今日はもう帰って良いぞ」

男「!!」

DQN「センセーナンデッスカ‼︎」

先生「五月蝿い、先生命令だ」

DQN「マジカヨ!カエッテスプラトゥーンヤルゼ!」

田中「あの、先生?何故なんですかねぇ」

先生「………」

田中「先生?」

委員長「先生、来たばかりの生徒に帰れは無いんじゃないですか?ソレに、クラスの半数が欠席してますが」

先生「まぁ、そういう事だ」

田中「先生!!」

先生「………」

委員長「もしかして、何か起きたのですか?」

先生「詳しくは後日話す。じゃあなお前等、不審者に気をつけるんだぞ」

田中「………」

女「………」

男「なぁ、何でだと思う?」

女「………」

男「不思議だよな、クラスの半数が欠席して、先生からは帰れと言われてさ」

女「あの……」

男「おっ、やっと口開いてくれたな!」

女「分かったから、分かったからお腹から手を離して」

男「癖になってるらしい」

女「そんな癖作らないで欲しいんだけど」

男「まぁまぁ、そう怒りなさんな」

女「はぁ……貴方と居るとペースが乱れに乱れて頭痛が痛くなる」

男「なははは、お前は少し身構え過ぎなんだって!肩の力抜いてこうぜ?」

女「それで?今から一緒に病院に行って堕しに行くの?」

男「ばばばっ、馬鹿野郎!違うっつーの!」

女「なら何?」

男「今から暇なんだろ?だったら一緒に何処か行かないか?」

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