葉山「不吉を届けにきたぜ」 八幡「何言ってんだお前」 (27)

初心者なので至らぬ点があると思いますがよろしくお願いします

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テニスの終盤、俺がキャッチャーフライを打った後、ガシャンとかなり大きな音がした。
葉山が三浦をかばったみたいだが様子が少しばかり変だ。

三浦「隼人大丈夫!?」

葉山「痛ってーなんだったんだあの球」

葉山「だけど今のがいい気つけになったみてーだ」

葉山「こっから絶対に勝ってやるぜ」

八幡「どうしちまったんだあいつ」

これから絶対に勝つという言葉が少し気になるが、俺に残された手段は長年の経験から編み出したあの打球しか残っておらず、一度見ただけで対応できるとは考えにくい。
俺は再び高めの打球を繰り出した。

葉山「7メートルぐらいか、ちょろいな」

余裕と楽しさを含んだ表情でそう言うと5メートル以上はあろうかという程の垂直跳びを決め、ボールを打ち返してきた。

雪ノ下「・・・」

八幡「・・・」

葉山「終盤とはいえまだ終わったわけじゃねぇ、派手な花火を打ち上げてやる!」


とりあえず今日はここまでにしておきます。
久々に書きましたが、文章書くってむずかしいですね。

葉山(さて、どーすっかな)

葉山(気が付いたらラケット持ってテニスコートにいたからノリであんなこと言っちまったけど)

葉山(ナノマシンで子供になってたときみてーに動きが鈍いし、昼過ぎだからか腹が減ってしょうがねぇ)

葉山(そもそもなんで俺はテニスコートなんかにいるんだ?)

葉山(確かスヴェンと姫っちと一緒に次の仕事のために移動中だったはずなんだが)

八幡「おい、時間も無ぇし再開してもいいか?」

葉山「んあ?あぁ、いつでもいいぜ」

八幡「はっ!」ポーン

葉山(また風を利用した打ち方か)

葉山(身体能力は落ちてるが、草木の揺れ方で軌道はわかるし、広範囲に対応できる構えをとってれば十分に返せそうだな)

葉山「俺に同じ手は通用しねーぜ」スパンッ

八幡「なっ、打ち返された!?」

雪乃「くっ!」パコン

三浦「せい!」パンッ

八幡「もう一度やってみるか」ポーン

葉山「フン」スパンッ

葉山(意外とやるじゃねーのあいつら)ニッ

葉山(こりゃ思ったより長引くかもしんねーな)

==昼休み終了10分前==

雪乃「まさか引き分けに終わるとはね」

葉山「だけど、なかなかいい試合だったと思うぜ?なっ優美子?」

三浦「えっ?あっ・・・うん///」

葉山「戸塚、練習してるところを巻き込んじまってすまなかったな」

戸塚「全然いいよ。みんなの個性が出ててすごく面白い試合だったから」

八幡「そういえば葉山、お前途中から様子が変じゃなかったか?」

雪乃「あなたほど変ではなかったと思うのだけれど」

八幡「あの、隙あらば揚げ足を取ろうとすんのやめてくんない」

結衣「確かに、なんか試合前よりも軽いかんじになったかも」

葉山「あぁ、なんつーか記憶は残ってんだけど人格が別っつーか」

葉山「とにかく教室に戻ろうぜ。自分でも状況の整理が不十分だし、時間もねーからな」

葉山「また日を改めておめーらの部活に相談しに行くぜ」

==数日後==

八幡「今日も依頼は無さそうだな」

雪乃「そういえば、テニスの試合以降葉山君を見ていないけれど元に戻ったのかしら」

雪乃「日を改めて相談に来ると言っていたけれど」

結衣「教室での様子は普段とあまり変わらなかったよ」

結衣「喋り方とかはいつもとちがうけど」

八幡「口調がいつもと違う・・・か。それだけの情報だと元に戻ったかどうかは本人が来ないことには判断しきれないな」

ガラガラガラ バタン!

葉山「ちぃーっす、邪魔するぜぃ♪」

雪乃「ノックをしてから入ってきて頂戴」

雪乃「それで、用件はなにかしら」

葉山「実は依頼は二つあるんだ。ひとつは、俺の人格が入れ替わった時の状況を説明してもらいてぇ」

雪乃「二つ目は?」

葉山「一つ目の依頼が終わってから言うよ。状況の説明ぐらいそんなに難しくねーだろうしな」

八幡「状況を説明する前に聞いておきたいことがある」

八幡「人格が入れ替わったってことは、今の人格は葉山とは別の誰かってことか?」

葉山「ああ、詳しく説明するとだな・・・

==15分後==

雪乃「つまりあなたの話をまとめると」

雪乃「あなたは葉山君ではなくトレイン君という別人であって、普段は懸賞金のかけられた犯罪者を捕まえる仕事をしている」

雪乃「そして次の仕事をする為に移動していたけれど気が付いたらテニスコートにいた」

雪乃「葉山君の記憶と心も残っていて、葉山君の心がトレイン君の行動を抑制することがある」

雪乃「こんな感じかしら」

葉山「ああ」

八幡「なんかどっかで聞いたような話だな」

雪乃「現実離れしていてあまり信用できないわね」

葉山「どうせそんな反応だろーと思ってコイツを持って来た」チャキッ

結衣「けっ、拳銃?」

葉山「本物じゃねーよ、ガスリボルバーっていうらしい」

八幡「そんなもんで何すんだよ」

葉山「射撃の腕は落ちてなさそうだから見せたら信用してもらえると思ったんだよ」

葉山「他には変装もできるけどあれは割と簡単にできるし、相棒が作ってた道具もこいつの知識があればいくつか作れそうだけど、時間がかかりそうだしな」

雪乃「銃の扱いが上手いと言われても反応に困るわね。元々人を傷つける技術なのだし」

葉山「まぁ物は使いようってことだよ」

葉山(前にも似たやり取りをした気がするな)

ーーー数年前ーーー

トレイン「高額の賞金首か、その銃でやるのか?」

サヤ「殺すのは掃除屋の仕事じゃないッス」

トレイン「銃は人殺しの道具だ」

サヤ「物は使いようだよ」

ーーーーーーーーー

葉山(あの時の俺は夢にも思ってなかったな。まさかアイツと同じことを言う日がくるとは)



結衣「ここでそんなの使ったら危なくない?」

葉山「サバゲー用ゴーグルってのをミリタリーショップのおっさんから何個か借りてきたから不安ならつけてくれ」

葉山「そもそも俺は失敗しねぇよ」

八幡「的になりそうなもんはここにはないぞ」

葉山「牛乳瓶を三つ持って来た。この中に弾を撃つ」

葉山「まぁBB弾なら割れたりもしねぇだろ」コトッコトッコトッ

雪乃「その位置に置くとあなたからは死角になるんじゃないかしら」

葉山「そっちのほうがおもしれぇだろ」

葉山「じゃあ、いくぜ」パシュン パシュン パシュン

キンキンキンキンキンカランカランカラン

葉山「瓶を確認してみな。3発とも入ってるはずだぜ」

葉山(跳弾はアイツの得意技だったな)

葉山(たしか、反射ショットだったか?)



結衣「ほんとだ、全部入ってる」

葉山「すげぇだろ♪」

葉山「少しは俺の言ってることを信じてもらえたか?」

八幡(正直、スペックの高い材木座にしか見えん)

雪乃「時間も惜しいし、とりあえずあなたの言っていることが本当だと仮定して話を進めるわ」

雪乃「西部劇かなにかに影響されたとしか思えないけれど」ボソッ

葉山「お前らあんまり俺の言ったこと信用してねぇだろ・・・」

八幡「一つ目の依頼はテニスをしてた時の状況の説明だったな」

葉山「ああ」

八幡「まず俺が潮風の流れを利用した打球を打ってそれを三浦が追いフェンスにぶつかりそうになった」

八幡「それをお前がかばったから三浦は無事だったが、お前はかなり勢いよくフェンスにぶつかった」

八幡「そして試合を再開しようと思ったらお前の雰囲気が変わっていた」

八幡「こんな感じだな」

八幡「ってかお前、俺の打球を打ち返す時に同じ手は通用しないとか言ってなかったか?」

八幡「状況の把握できてんじゃねえか」

雪乃「早速、さっきの話が怪しくなってきたわね・・・」

結衣「ボロが出るってやつだね」

葉山「あの時は混乱してたからお前らに確認することで整合性をとろうと思ったんだよ」

葉山「ってかお前らやっぱ俺の話信じてなかったんじゃねーか!」

雪乃「それで、二つ目の依頼は?」

葉山「とりあえずこれを見てくれ」

八幡「チェーンメールか?」

葉山「ああ、これの調査と解決を手伝ってもらいてぇ」

葉山「仲間を悪く言われてはいそうですかっつって見逃してやるほど俺は甘くねぇからな」

結衣「それあたしのところにもきたよ。そのメールが流れだしてからクラスの雰囲気もなんか少し悪くなった感じがするよね」

雪乃「クラスで最近変わったことはなかったかしら?」

八幡「・・・職場見学とか?」

結衣「あーそれだ。イベントのグループはそのあとの人間関係に影響しやすいもん」

雪乃「とりあえずその三人の中に犯人がいる可能性が高いわね」

葉山「そーだな。あいつらを疑うと腹が痛くなったり頭が痛くなったりするからあんまり疑いたくねーけど」

八幡「頭と腹が痛くなる?」

葉山「ああ。他にも優美子に正体をバラそうとした時に気持ちが悪くなったし、そもそもこっちに来てからなぜかテンションが上がり切らねぇ」

葉山「葉山の心が現状をあまり変えたくないのかもしれねーな」

雪乃「そのテンションでもまだ最高ではなかったのね・・・」

結衣「でも、あたしも結構隼人くん達と一緒にいるけどさっき話してたとき大丈夫そうだったじゃん」

葉山「それはお前がここの部員だからだろ」

葉山「ここには変な奴ばっかり来るみてーだからな」プッ

八幡「その言い方だとお前も変な奴にカウントされるんじゃねーか?」

雪乃「変な奴・・・そう言えば確かにそうかもしれないわね」チラッ

八幡「なんでこっち見ながら言ってんの。言っとくけどお前も十分変な奴だからな」




===数日後===

葉山「結果はどうだった?」

八幡「犯人は見つからなかった」

八幡「だがいい解決方法を思いついた。犯人を捜す必要もこれ以上もめる必要もなく、あいつらが仲良くなれるかもしれない方法をな」

===後日・クラス===

葉山「まさか俺があいつらと組まないようにすることで解決するたぁーな」

葉山「それにしてもあいつらが友達の友達っつーよく分かんねえ関係だったとはな。俺には、そんな奴いねえから分かんなかったぜ」

八幡「遠回しな自慢かよ・・・・」

八幡「それよりお前仲間を悪く言う奴は許さないみたいなこと言ってただろ。あの解決法でよかったのか?」

葉山「まぁちっとものたりねー気がすっけど、あいつらにとっては一番いい解決法だったと思うぜ」

葉山「依頼を受けてくれてサンキューな」ニッ

葉山「そういえば職場見学のグループなんだが、お前俺と組まねぇか?」

八幡「余ってるから別にかまわんがどこにするつもりだ?」

八幡「スイーパーじゃたぶん通らんぞ」

八幡(平塚先生なら反応するかもしれないな。掲示板にxyz的な意味で)

葉山「もともとこいつは外資系かマスコミ関係を見る予定だったみてーだからそこを書くよ」

葉山「俺の趣味じゃねーけど、前に〈父さんと犬〉っつー映画見せられてつまんねぇもんにはある程度耐性があるから大丈夫だろ」

===夏休み===

葉山「夏休みに入ってしばらく経つが、だんだん暇な時間が増えてきたな」

葉山(放置するつもりだった課題はいつの間にか終わってるし、何かに使えるだろーと思って作ってたスヴェン特製アイテムを参考にした道具も予想以上に多く出来ちまった)

葉山(夏休み前は職場見学やら川崎の説得やら短期間でいろいろあったが、夏休みに入って何したっけかな?)

葉山(先週に戸部と飯を食いに行って、3日前に戸部と飯を食いに行って・・・)

葉山(戸部と飯食いに行ってばっかじゃねーか・・・)

葉山「・・・久々に射撃訓練でもすっか」

カチッ バシューン!!

カンカンカンカンカンカン

葉山「射撃の正確性悪くねえしクイックドロウも問題なく出来るみてーだな。ん?」ミシッ パキッ

葉山「・・・クイックドロウは銃の方が壊れちまうか」

フーワフーワフールリンオーモイノーセテ

葉山(電話?誰からだ?)ピッ

葉山「もしもし」

海老名「もしもし隼人君?今度のボランティアのことなんだけど」

葉山「ボランティア?」

葉山(葉山の記憶だと、だいぶ前に内申点が加算されるとかで申し込んでたみてーだな)

葉山(やることも無かったし、丁度いいタイミングだぜ)











===高原千葉村===

葉山「よう、おまえらも来てたのか」

八幡「なんでお前が居んだよ・・・」

葉山「前に内申点加算付きのボランティアっつーのを募集してたみてーで、それにこいつが申し込んでたんだよ」

平塚「全員そろったようだな」

平塚「君たちにはここで行われる林間学校のサポートをしてもらう」

職員「それでは、皆さんの林間学校をお手伝いしてくれる、お兄さんお姉さんを紹介します」

雪乃「これから三日間、皆さんのお手伝いをします。なにかあったらいつでも私たちに声をかけて下さい。この林間学校で素敵な思い出をたくさん作っていってくださいね」

パチパチパチパチ

八幡(あいつさすがにスペックたけぇな、小学生だけじゃなく引率の教師からも拍手喝采じゃねーか)

八幡「お前はやらなくていいのか?目立つのとか派手なもんとか好きそうじゃねーか」

葉山「職員のおっさんに頼まれたんだけど、雪ノ下に『今のあなたには任せられないわ』とか言われて変わったんだよ」

葉山「それに、俺とこいつの派手さは少し違うんじゃねーか?」

葉山「こいつは、敵の施設の正門を爆弾使ってこじ開けるようなことはしねーだろうしな」

八幡「・・・お前だんだんただの危ない人になってきてねーか?」


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