主人公「また負けたのか、マシュ」
マシュ「……すいません、先輩。何とか重症を負う前に霊体化は出来ましたが……」
主人公「クソっ。令呪もサーヴァントも優秀な筈。僕だって支援は遠慮していないのに、何故こうも打ち負ける?この前、異なる世界線の英雄王からグレード4クラスのサーヴァントを獲得してこちらの陣営は相当なハイコストの筈なのに……」
エミヤ「……」
ジークフリート「……」
ステンノ「……」
エルメロイ「……」
主人公「こんなにレアリティの高いサーヴァントばかりで編成しているのに……クラスだってバランス良く汎用性に優れている筈だ。僕だって慢心はしていない……しかしそれでも勝てないのは何故だ」
マシュ「私が偏に弱いからです。……すみません、攻防ともに決定打を欠くのは私の……」
主人公「それが無属性の長所だし、マシュのスキルはこと防御に関しては優秀だよ。元々攻勢向きじゃないんだから無理しなくていい」
マシュ「……はい」
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主人公「よし、惰性で攻めても二の舞だ。何故負けたのか見直してみよう」
マシュ「なるほど……敗因を知り、戦況を知る事は次への一歩に繋がりますね」
主人公「じゃあ、冬木からずっとお世話になったマシュ。まずは君について見直してみようか」
マシュ「はい、短所があるなら正直に仰って下さい。以後、改善出来る様に努力します」
主人公「とりあえずマシュは防戦特化型だからね。相手のいかなる攻撃が致命打にならず、逆にいかなる相手にもダメージを与える事が出来るけど……」
マシュ「互いが決定打に欠け、無駄な長期戦を誘発しますね。痺れを切らした相手が宝具を展開し、全滅……という展開が多いかと」
主人公「正直に言うと、マシュに攻撃指示を出すくらいなら相性的に勝るサーヴァントに攻撃させたくなっちゃうんだよね」
マシュ「しかしそれでは……」
主人公「うむ、宝具の開帳に必要な魔翌力を相手の魂から奪い取り辛い」
マシュ「相性で劣る相手に対して強力なサーヴァントを差し向ければ、魂、生命力は乱暴に掻き乱されてしまいますからね」
主人公「未熟な僕の魔翌力量では召喚サークルの力を借りてやっと多数のサーヴァントを従えるのが限界だ。とてもじゃないがそれぞれの宝具に必要な魔翌力なんて供給出来ない。その都度、敵の魂を喰らって補給してもらう必要がある」
マシュ「ネックは魔翌力ですか……」
主人公「僕の指示を変えるべきかな?」
マシュ「いえ、戦闘開始と共に『今は脆き雪花の壁』を展開させ、相性で勝るサーヴァントに攻撃指示を出す方針は遵守すべきです。先輩の采配のお陰でほぼ、無傷でサーヴァント戦に臨めるのは好ましい。それに『今は脆き雪花の壁』は初めに展開しておけば丁度サーヴァント戦ぐらいのタイミングで魔翌力が回復しますからね。問題は宝具を使えるほどの魔翌力の供給面をどうにかしたいものですが……」
主人公「ふむ……」
主人公「では、次はウチのチームのリーダーを務めるジークフリートを見直してみよう」
ジークフリート「ああ、分かった」
主人公「兎に角頑丈なのがメリットだよね。単純に囮としてならマシュ以上かもしれない」
ジークフリート「おと……」
主人公「しかし対竜特攻……というのは」
ジークフリート「ワイバーン戦でも披露したはずだ。俺は竜に対して相性が良い」
主人公「ステンノちゃんの方がダメージ大きいんだけど……」
ジークフリート「すまない。クラス補正を上回る程の対竜特攻でなくてすまない。しかしステンノと比べて明確な火力宝具を全体に撒けるのは長所……」
ステンノ「下がりなさい、肉壁ナイト。此度の戦は聖杯戦争とは異質。竜種にはアサシンが適しているのよ。戦いに向かない私の方が竜種にダメージを与えられる程度にはね」
ジークフリート「すまない」
主人公「こら、ステンノ。ジークフリートをいじめるな。エミヤと並んでウチのエースなんだぞ」
ステンノ「あら、私は事実を述べているだけですのに」
礼装の装備やレベル上げやってないとかじゃないよね?
主人公「正直、ステンノは編成から外そうと思ってたぐらいなんだよ?」
ステンノ「え」
主人公「だって宝具使ったって一般兵すら即死出来ないし……魅了や即死が効いたのってカリギュラぐらいじゃん。ロリコンにしか効かない宝具ならガウェインにしか効かないしいらないよ」
ステンノ「()」
エミヤ「待て、彼女は戦闘に優れるサーヴァントではない。格の高さが強さに直結する程簡単な次元ではないんだ。元が神霊と言えど、得手不得手はある。浅はかな思慮で戦略を練れば後悔するぞ」
主人公「エミヤ……うーん……」
>>10
コストキツキツ、って設定でいきます
主人公「体力、攻撃力共にオーソドックス。心眼持ちも長所だとは思うけど……」
エミヤ「む?」
主人公「エミヤの宝具って防御力無視なんだよね?」
エミヤ「如何にも。貯蔵した武器を全て相手に放つあの攻撃は、一つ一つの剣が違う性質を持つ。特殊な回避スキルでもない限り、地力での防御等不可能だろう」
主人公「おかしい……相手が防御に徹した時、普通に威力減ってる気がする」
エミヤ「……私はアーチャーだ。捨て身で攻撃に特化したバーサーカーとは違う。狂戦士と比較した上で、私やセイバーの火力を憂いているなら酷なものだぞ」
主人公「でもアタランテは次の攻撃がクリティカルになりやすいじゃん。もっとアタランテみたいに相手の弱所を狙ってみたら?」
エミヤ「……」
エルメロイ「黙って聞いていれば、随分と後退的思考だな、マスター」
主人公「エルメロイ……エルメロイかぁ」
エルメロイ「私に不満があるのか?言っておくが、私は元人間のデミ・サーヴァント。そこのシールダーやアサシン以上に軍略に長けたサーヴァントの依り代にされてしまってな。戦闘力の低さは目を潰れとしか言えん」
主人公「それは分かる。……分かるんだけど、維持が大変だよエルメロイ」
エルメロイ「……」
主人公「サポート向きのサーヴァントが悪いとは言わない。実際エルメロイのサポートはそれなりに役立つとは思う。しかし維持魔力がグレード5クラスって……干上がっちゃうよ」
エルメロイ「む……」
主人公「ジークフリートやエミヤとかなり維持に負荷がかかるけどそれ以上って……これで礼装の一つでも付けたら魔術回路が焼き切れちゃう」
エルメロイ「編成から外せば良い」
主人公「あ、そんなことしていいの?僕はサーヴァント達との絆は大切にしたいな」
エルメロイ(文句が多い癖に変な所で人間的だな)
主人公「僕なりに色々と調べたんだよね。サーヴァントの宝具を使えるまでに魔力を回復させる方法はないか。魔力量に問題があるマスターがサーヴァントと契約した例はないか、と」
マシュ「なるほど。先輩がカルデアで異なる時代、異なる世界線を調べていたのはその為ですか」
主人公「うん。聖杯戦争を重点的に調べていると、第5次聖杯戦争が勃発した2004年の冬木市で興味深いものを観測したんだ」
エルメロイ「聖杯戦争についてならこちらに連絡をくれればいいものを……私は第4次に参加した経験があるからな」
主人公「え・・」
マシュ「な……あのロード・エルメロイ二世が聖杯戦争の経験者……・・」
エルメロイ「経験の有無で勝率が揺らぐ程、此度の戦は単純ではないからな。蛇足かと思って黙していた」
エミヤ「……同じく。私もマスターとして、更にサーヴァントとしても、第5次聖杯戦争とは縁があるが……一々聞かれぬ事まで語る道理はないな」
マシュ「先輩はとんでめないサーヴァントを引き当てましたね……」
主人公「……話を戻そう。その第5次聖杯戦争において、飛躍的成長を遂げた半人前の魔術使い……マスターがいたらしい。エミヤシロウと名乗るその男は契約したセイバーのサーヴァント、アルトリア・ペンドラゴンを抱いて魔力を供給したそうだ。勿論、こちらの冬木は世界が終わってしまっているから、数ある可能性をもつ並行世界の一つにそういった過程を迎える因子もある、ってことなんだけど」
エルメロイ「……エミヤ?」
ジークフリート「お前の事か?」
エミヤ「違う(真顔)」
ステンノ「……」
マシュ「あくまでカルデアが観測したものの一つですから、それが確定した事実とは言えませんけどね」
エルメロイ「体液交換による魔翌力供給など常識の内だろう。まさか、マスターはそれすら知らぬ半人前と?」
主人公「血液交換や魂喰いは知ってるけど、まさか交尾で魔翌力供給とは……」
マシュ「こ、こう……っ!?」
主人公「やっぱりマシュも知らないよね」
ジークフリート「……どうするつもりだ、マスターは。生憎、男を抱く趣味はないぞ」
主人公「ちょっと待ってね。えーっとマイルームで性別変更……っと」
女主人公「じゃーん!」
エミヤ「四の五の言える状況ではないが、君には性別の誇りはないのか」
女主人公「生憎、誇りなどないぞ身だからな。
そんなものは
ミスです
エルメロイ「体液交換による魔翌力供給など常識の内だろう。まさか、マスターはそれすら知らぬ半人前と?」
主人公「血液交換や魂喰いは知ってるけど、まさか交尾で魔翌力供給とは……」
マシュ「こ、こう……っ!?」
主人公「やっぱりマシュも知らないよね」
ジークフリート「……どうするつもりだ、マスターは。生憎、男を抱く趣味はないぞ」
主人公「ちょっと待ってね。えーっとマイルームで性別変更……っと」
女主人公「じゃーん!」
エミヤ「四の五の言える状況ではないが、君には性別の誇りはないのか」
女主人公「生憎、誇りなどない身だからな。
そんなものはそこいらの狗にでも喰わせてしまえ」
クーフーリン「狗と言ったか、アーチャー」
エミヤ「人違いだ。編成外のサーヴァントは極力霊体化していろ。マスターの魔力不足に輪をかける気か」
クーフーリン「ケッ……☆4だからって偉そうにしやがって……」シュウウウウ
女主人公「まぁでもエミヤの言う通り、性別をそんなぽいぽい変えても心の準備ってものがある」
ジークフリート「同感だな。こちらもそういったら関係は望ましくない」
女主人公「そこで令呪ですよ」
エルメロイ「ほう?」
女主人公「三画纏めて使えばサーヴァントの負傷、魔力まで全快出来る。今ここで一気に使っても良いんだけど……多分その場合の効果は瞬間的だと思うんだよね」
エミヤ「令呪三画を以って全サーヴァントを全快させよ……確かに緩い縛りにはなりそうだな」
女主人公「だから、一画ずつそれぞれのサーヴァントの魔力充填に使います」キュイン
ジークフリート「お」
エミヤ「む」
ステンノ「あら」
エルメロイ「……」
女主人公「日を跨いで一画回復する様にカルデアから支援を受けてるから、実質四体に令呪を使った事になるね」
ジークフリート「深夜に会議を始めたのはその為か……」
女主人公「一画に一人のサーヴァントを戒めてるから、効果は長く続くと思うんだ。次の戦いでは開幕から一気に宝具を使って仕掛けようと思う。この状態で道中での魂喰いも加味すれば、もしかしたら二回連続宝具もいけるかもしれないでしょ?」
エミヤ「なるほど……異論はないな」
ジークフリート「同じくだ」
エルメロイ「しかし私やアサシンに令呪を使うより、シールダーに用いた方が良かったのではないか?」
ステンノ「結局体液交換云々のくだりも関係なくなってるしね」
女主人公「いや、何言ってんの。足りないマシュの魔力は私が補うんだよ」
マシュ「……? 先輩?」
女主人公「さぁ、やろう。マシュ(ニッコリ)」
マシュ「え?……え?」
ジークフリート「解散だ」
エミヤ「ああ、もうここに用は無い」
ステンノ「うふふ。では、ごゆっくり」
エルメロイ「……」
マシュ「ちょ!みなさん!?」
女主人公「さぁ、マシュ。こっちのベッドまでおいで」
マシュ「せ、先輩!?何してるんですか!やめてくださいよ本当に!」
女主人公「暴れんな、暴れんなよぅ。このこの」
マシュ「ちょ……だ、だめ……先輩。私達、そういう関係じゃ……」
女主人公「恥ずかしがり屋だなー、マシュは。こんなのありきたりな魔力供給だから性交による倫理とか気にしなくていいんだよ」
マシュ「そ、そうでしょうか……って!納得しませんからね!こんなのダメですって先輩……」
女主人公「大丈夫。ここで私が身体を重ねる相手はマシュ・キリエライトではなく、名称不明のデミ・サーヴァントだよ。マシュの貞操とかそんな都合は英霊側の問題さ」
マシュ「……」
女主人公「マシュ?」
マシュ「それはそれで……なんか、軽い気持ちでこんな事してるみたいで嫌です。どうせならせめて……」
女主人公「……?」
マシュ「その、男の性別で抱いて欲しいです」
女主人公「それはサーヴァントの要求?」
マシュ「いえ……私の好みです」
疲れてしまった。寝落ちるでござる。
マシュ「ちょ!……ちょ、っと待ってください!先輩!」
主人公「えぇ……まだ何か不満があるの?」
マシュ「いや、その……先輩は勝つ為に、ここで私を抱くんですか?」
主人公「当然じゃないか。人類史の未来が……いや、過去さえもかかってる。へっぽこに見えても僕は魔術師だ。ここぞという時の冷酷な決断は迷わない様にしているよ」
マシュ「つまり……勝敗がかからなければ、先輩は私を抱こうなんて思わなかった、って事ですか?」
主人公「当たり前じゃないか。僕は『装う』だけの魔術師は半人前だと思ってる。マシュの友達としての自分、魔術師としての自分。どちらも持ち得てこそ一人前さ。魔術師としての冷血さが必要ない時なら、大切なマシュを陵辱しようだなんて発想に至る訳が……」
マシュ「……もういいです」
主人公「僕にとってマシュは大切な存在で……って、え……?」
マシュ「ただ魔翌力が必要なら、したくもない女と身体を重ねる必要なんてないですよ。私が魔翌力を自力で補えばいいだけです」
主人公「……マシュ?」
マシュ「……敵性生物の狩猟に出掛けます。明日までには帰って来ますので」ダッ
主人公「ちょ……マシュ!」
マシュ(先輩の馬鹿……ばかっ、馬鹿っ、バカッ……!)
主人公「くっ……しまった。まさかマシュが独断であんな行動に……!ジークフリートを……いや、援護狙撃に適したエミヤを……」
クーフーリン「焦るな坊主」
主人公「……く、クーフーリン!?見てたの!?」
クーフーリン「全員見てるっつの。サーヴァントである限り、マスターから目を離す奴なんざいねぇよ」
主人公「な……」
クーフーリン「んだよ。顔紅くしやがって。随分手慣れて見えたんだが……」
主人公「……そんな訳ないだろ。本人の前じゃ恥ずかしさを抑えるのに必死だったんだ」
クーフーリン(あーあ、嬢ちゃんもとんだ勘違いだな。この坊主も気が利きすぎて空回りしてらぁ)
主人公「クーフーリン……出てきたって事は……」
クーフーリン「おう、任せな。戦闘を控えてる編成連中に手傷は負わせられん」
主人公「よし、じゃあ清姫にエリザベートを預ける。最低でも三人はいた方が安心だろう」
クーフーリン「不安しかねぇよ。お前はオレを[ピーーー]気か。一人で十分だ」
主人公「なっ……本気!?」
クーフーリン「敵を倒せってなると少々心許ないが、連れて帰るだけなら問題ない。例え複数のサーヴァントに囲まれようが逃げ帰るだけなら朝飯前だ」
主人公「じゃあ……任せた、クーフーリン」
クーフーリン「おう、連れ帰ってきたぞ坊主」
マシュ「……離してください」
クーフーリン「そうは言ってもマスターの命令だからな。文句ならそこの坊主に言ってくれ」
マシュ「……」
主人公「……」
クーフーリン(あーあー、甘ったるくて見てらんねぇ)
主人公「……何処行くの?」
クーフーリン「サーヴァントとしてマスターの身を案じるのは当然だが、私情で色恋沙汰を覗く趣味はねぇよ。からかっても無言じゃ張り合いがねぇしな」
主人公「じゃあ……」
クーフーリン「霊体化しておく。後は盛るなりなんなり好きにしな」シュウウ
マシュ「……っ〜〜///」
主人公(気まずい……)
※マシュも清姫も同じ声だしへーキヘーキ(無関係
主人公「あ~……え~っと、その」
マシュ「……」
主人公「マ、マシュがそんなに嫌がるとは思わなかったからね。まあ宝具だけがマシュの戦法でもなし、違う方法を考えよう」
マシュ「……です」
主人公「?」
マシュ「嫌では……ないです」
主人公「――じゃあ何故に逃避行を?」
マシュ「だって先輩……私の事を――サーヴァントとしてしか抱いてくれません」
主人公「……それは?」
マシュ「――だから」
主人公「?」
マシュ「その……こういうことをするならやっぱり気持ちが大事だと思うんです。もっとこう――あぁ、もう!」
主人公「???」
マシュ「そういうの抜きで……その」
主人公「ごめん、僕頭悪いからハッキリ言わないと分かんないよ」
マシュ「ハッキリ言わせないで下さいよバカっ!」
主人公「うわわっ!盾で殴るなって!」
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