北条加蓮「藍子と」高森藍子「あなたの声が聞こえる席で」 (66)

――おしゃれなカフェ――

北条加蓮「ソーダシャーベット? そんなのあったっけ?」

高森藍子「9月からの限定商品らしいですよ」

加蓮「限定商品。え? 9月なのにシャーベット?」

藍子「挑戦メニュー、っていうらしいです。ほら……いつか加蓮ちゃんが私に飲ませようとした激辛のアレと同じなんですよ」

加蓮「あれ月替りだったんだ。アレに比べたらだいぶ大人しいじゃん」

藍子「たまには落ち着いた物も、って言っていました」

加蓮「ふうん、ソーダシャーベットかぁ……ソーダ味のシロップってことかな? わー、しゅわしゅわしてて面白い♪」

藍子「そろそろ加蓮ちゃんも、ここのメニューは覚えちゃったかなって思いまして」


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以下の作品と同じ設定の物語です。

・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「たまにはジャンクフードでも」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「今度は、室内の席で」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「今度は、室内の席」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「誕生日の前の日に」

加蓮「で、新商品を? なるほどね……で、なんでシャーベット?」パク

藍子「さあ……?」

加蓮「ん、冷たっ……あれ? 冷たいの最初だけだ。そんなにキンって来ないんだね。でもぬるくもなくて……涼しい炭酸って感じ?」

加蓮「……うん。いいねこれ! 口の中がシュワーってなって美味しいっ! 涼しいのにアイスが美味しいってすごくない!?」

藍子「かっ、加蓮ちゃん加蓮ちゃん、しーっ、しーっ」

加蓮「あ。……ご、ごめん。この前グルメロケがあったからつい……」キョロキョロ

藍子「大丈夫……みたいですね」キョロキョロ

藍子「あっ、あそこ。店員さんがすごく嬉しそうです!」

加蓮「それだけ力を込めてたのかな、ソーダシャーベット」

藍子「奥に入っていきましたっ。もしかしたら、お代わりをくれるのかも?」

加蓮「量がまたニクイんだよね。この、食べ終わったらお代わりがほしくなるような」

藍子「それに量も少ないですから、ダイエットしている女性にもいいメニューですよね」

加蓮「私はむしろ食べろってモバP(以下「P」)さんに叱られるけど」

藍子「そうだ。茜ちゃんが言っていましたよ。今度は加蓮ちゃんをバーベキューに誘いますね! って」

加蓮「やめて」

藍子「私、未央ちゃんや茜ちゃんといる時、たまに加蓮ちゃんのお話をすることがあって……そうしたら、前に一緒にお仕事をした時のことを思い出した、って言って。乗り気になったみたいなんです」

加蓮「やめろ。死ぬ」

藍子「でも私、もうオッケーしちゃいましたけど」

加蓮「……私の予定は?」

藍子「そこはほら、加蓮ちゃんならなんとかできるかなと」

加蓮「人のスケジュールを勝手に埋めるなーっ!」ピロピロリン♪

加蓮「げ、ホントにメッセージ飛んできた! ああもうあの暴走機関車! こっちの話も聞かないで!」ポチポチ

加蓮「いいやテキトーに予定入ったってことにし――…………ああもう!」

藍子「茜ちゃんと、それに、未央ちゃんも、すっごく乗り気だったですから……」アハハ

加蓮「2週間後の日曜日か……! ええと、この日の収録を前倒しにしてもらって、グルメレポを明後日で終わらせて――」

藍子「それでも加蓮ちゃん、スケジュールを調節してくれるんですね」

加蓮「……………………あのさ。メッセージと一緒に、茜ちゃんと未央がすごい楽しそうな笑顔で映ってる写真が送られてきた」

藍子「ああ、それは断りにくいですね……」

加蓮「これでよし、っと。ごめん、ちょっとPさんに連絡させて」

藍子「はーい。あっ、店員さん。ソーダシャーベット、私も気になっちゃって♪ はい、お願いします」

加蓮「これでよしっと。藍子も注文したんだ」

藍子「加蓮ちゃんが美味しそうに食べるのがいけないんですよ?」

加蓮「そして注文をした藍子が美味しそうに食べてるのを見て私がまた注文」

藍子「それを見て、私がおかわりしちゃうんですねっ」

加蓮「無限ループって恐い」

藍子「せーのっ、で止めないと、大変なことになっちゃいますね」

加蓮「……バーベキューはいいけどさ、その、私、あんまり食べるとアレな映像をお届けすることになるから……」

藍子「はいっ。茜ちゃんには、しっかり言っておきますね。未央ちゃんにも」

加蓮「パッション代表格2人が相手かぁ」

藍子「き、強敵ですね……」アハハ

加蓮「藍子は頼りにならなさそうだし、自分の身は自分で守らないと」

藍子「ええっ。こ、これでもポジティブパッションのまとめ役ですから!」

加蓮「…………」

藍子「…………ですから!」

加蓮「さーて、今のうちに未央にでも相談しとこーっと」ポチポチ

藍子「ひどいっ」




藍子「…………」(宿題をやってる)

加蓮「…………」ジー(解答集見ながらやってる)

藍子「…………」カキカキ

加蓮「…………」カキカキ(解答集見ながらやってる)

藍子「この問題は……ええと……」

加蓮「…………」ジー(解答集見ながらry)

藍子「…………」カキカキ

加蓮「…………」カキカキ(解答集ry)

藍子「……加蓮ちゃん? それじゃ宿題をやっている意味がありませんよ?」

加蓮「わー藍子がうっさい先生みたいなこと言うー」

藍子「あうぅ……」ショボン

加蓮「…………」ジー

加蓮「…………」カキカキ

加蓮「…………?」カオヲアゲル

藍子「…………」ショボン

加蓮「…………ごめん」ガシガシ

藍子「……お、怒っていませんか?」

加蓮「…………なんかごめん。うん、怒ってない怒ってない」

藍子「ほっ……」

藍子「解答集がある宿題なんて珍しいですね」

加蓮「ん、これ夏休みの分の。どうしても忙しくてぜんぶできなくてさ。そしたら、9月中でいいからって猶予はもらったんだけど、出さないと後が面倒そうだし……」

加蓮「藍子が宿題やるって言うから、私も片付けとこうと思って。……でも――」

藍子「?」

加蓮「……なんでもない」

藍子「はあ……。でも、そうやって答えを丸写ししていたら、テストとかが大変ですよ?」

加蓮「最低限、赤点を取らなかったら何も言われないもん。それくらいはちゃんと調節してるから大丈夫」

藍子「加蓮ちゃんらしいですね……」

加蓮「藍子こそ、いっつも馬鹿正直にやってるみたいだけど、それならさっさと片付けるなり写させてもらうなりしてレッスンでもしたら?」

加蓮「今やってる歴史のプリントなら教科書なりノートなり見たらどっかに答えはあるでしょ」

藍子「アイドルですけど、高校生ですから。宿題は、ちゃんとやりたいです……そういうのは、答えがどうしても分からない時だけってことで」

加蓮「…………」

加蓮「私、もうちょっとのんびりした後で藍子とちょっと街でもぶらっとしたいんだけどなー」チラッ

藍子「!」

加蓮「でもゆっくりやってるみたいだし、この調子じゃ日が暮れちゃうかー。しょうがない、でも次のオフってずっと先なんだよねー」チラッチラッ

藍子「…………」

加蓮「欲しい服とかあったんだけどなー、藍子に似合うのとか探したかっ」

藍子「もうっ! そういう意地悪はやめてくださいっ!」

加蓮「お、こっち向いた」

藍子「むーっ……!」

加蓮「ほら、一緒に勉強とかは事務所でもできるじゃん。みんなでわいわいやってさ。テストがヤバイ子とかと一緒に」

加蓮「でも今日は私と藍子だけなんだよ? 宿題を片付けようっていうのはいいけど、ずっとそれじゃ寂しいよ」

加蓮「だから、今日はいっぱい…………だめ?」

藍子「…………もお」

藍子「…………」パタン

加蓮「!」

藍子「もうっ。分かりました。じゃあ、また今度にしますね」

加蓮「やったっ。ありがとー藍子♪」

藍子「調子がいいんだから、もうっ。じゃあ、宿題は今度、事務所に行った時にしますね。この宿題、週末に提出ですし……その時は加蓮ちゃんもご一緒にっ」

加蓮「え、それだと答えが写しにく――」

藍子「ね?」ニッコリ

加蓮「……はーい」

藍子「でも、アイドルをやっていると、勉強が大変ですよね……ほら、テストとか。いっつも苦戦しちゃって、寝不足に」アハハ

加蓮「宿題を真面目にやってもキツイかー」

藍子「……忘れちゃうんです、いつも、いろんなこと覚えてるから……」

加蓮「藍子はあれでしょ。全部を素直にゆっくりやり過ぎるからキツイんだよ。こういうのはコツがあるんだって」

藍子「コツ……?」

加蓮「ほら、テスト勉強にしても、ここら辺なら出るとかこの辺は出ないとか、そうやって狙いを絞っていくとかさ」

藍子「確かに、ぜんぶ覚えるのは大変ですけれど……でもそういうのってどうやったら分かるんですか?」

加蓮「え? 先生に聞けば分かる」

藍子「…………ええぇ? いや、普通、教えてくれないんじゃ?」

加蓮「まずアイドルが大変だって独り言っぽく言います。テスト2週間前に教科書を開いて真面目に勉強してるって風を見せます」

加蓮「身体にちょっと疲労を残しておくのがコツ。ノートに試行錯誤の跡を作ればなおよし」

加蓮「あとは職員室の様子を通り見して、テストが完成しそうな頃合いを見計らい」

加蓮「授業の雑談でよく名前が出るアイドルのLIVEのDVDと問題なさそうなプライベート写真を渡します」

加蓮「するとあら不思議、放課後にこっそり呼ばれた私の手元に問題用紙が」

藍子「……ズルじゃないですかぁ!」

加蓮「あはははっ。なんて、問題用紙まではなかなか行きつけないけど、ちょっと教えてもらうくらいなら、案外いけるもんだよ」

加蓮「あとは自力で勉強して赤点回避。勉強の労力をそれだけアイドルに注ぎ込められるんだからいいでしょ?」

藍子「す、すごく納得いかない……! そんなことできるのは加蓮ちゃんくらいですっ」

加蓮「うちの事務所なら他にもできる子けっこういると思うよ? やらないだけで」

藍子「できるできない、じゃなくて、やるやらない、ってお話で、やれるのは加蓮ちゃんくらいってことです!」

加蓮「むぅ。ま、これはあくまでテストをすり抜ける話。やっぱ考えちゃうんだよね。どうやって学校生活を楽にしようかって」

藍子「どうしても、軽くなりがちですよね……。CDデビューした頃、平日に学校を休んでってことがいっぱいありました」

加蓮「へえ、藍子にしては珍しい」

藍子「あの頃は、Pさんがすごく張り切っていたのと、事務所も伸び盛りだったから……私も、できるだけついていきたかったんです」

藍子「それでもPさん、週に何度かは学校に行くように、なんて」

加蓮「あ、それで私の時はスケジュールをすごい調節してたんだ。デビューして超忙しいのに学校なんて行ってていいのかな? って思ってたし」

藍子「前に1度、聞いたことがあります」

加蓮「ん、何を」

藍子「学校のこと。聞いた、というより、Pさんが話してくれたこと……」

加蓮「うん」

藍子「どうしても、私たちには無理をさせちゃってるし、この業界だって何年もいられるとは限らないから」

藍子「高校は必ず卒業できるように、って。ううん、それだけじゃなくて、できる限り、学校生活を優先してほしいって」

加蓮「できれば大学に行くように、とか言ってるんでしょ」

藍子「言ってました。勉強はって言ったら、なんだかすごく難しそうな顔をしちゃって」

加蓮「真面目なPさんらしいなぁ……。他のプロデューサーの子は、ほら、学校でも何でも遠慮無く仕事を入れるって言うじゃん」

藍子「プロデューサーさんによってはそうみたいですね」

加蓮「私も、それくらいでいいんだけどな」

藍子「加蓮ちゃんも?」

加蓮「ほら、どうやっても自分の中で……比重? っていうのかな。アイドルの方に傾いているっていうか」

加蓮「アイドルの為に学校を辞めろって言われても、遠慮なく辞められると思うよ。その後に何かあっても、アイドルのことを思い出したらなんとか乗り越えられる気がする」

加蓮「いやアイドルは当分辞めるつもりなんてないけどね? あと20年は続けるよ20年。むしろ200年」

藍子「……加蓮ちゃんは、強いんですね」

加蓮「……ボケが潰されたー」

藍子「えっ、ボケだったんですか!?」

加蓮「ごめん私が悪かった忘れて。強いって……そんなことないって。ほら、こうしてると久々の学校がちょっと楽しくなる」

藍子「あはっ、それあります! 退屈な授業とかも、楽しく感じちゃうんですよね」

加蓮「だよねだよね。普段は数式が睡眠呪文みたいなのに、なんかやってると楽しいんだっ」

藍子「ほら、私が真面目に宿題をやる気持ちも、ちょっとは分かりましたか?」

加蓮「それは別」

藍子「もうっ」

加蓮「だって学校には藍子がいないもん。学校は学校の楽しみ方しかないから、じゃあ限られた中で、って。今はほら、藍子がいるじゃん」

藍子「……加蓮ちゃんは……………………」

加蓮「ん?」

藍子「いえ……。さっき、宿題をやっていた時」

加蓮「うん」

藍子「そこに加蓮ちゃんがいるんだって分かっているから、なんだか心が安らいだんです。あ、ちゃんといてくれる、って」

加蓮「そう?」

藍子「だから、私はそんなに寂しくなかったんです。……きっと、加蓮ちゃんもそうかな? って、思い込んじゃってて」

藍子「加蓮ちゃんは、違いましたか?」

加蓮「……んー……本当に好きな友達なら、ちょっとでも長く喋っていたいって思わない?」

加蓮「まあ藍子のことは嫌いだけど」

藍子「最後に付け加えないと具合でも悪くなるんですか?」ジトー

加蓮「それは大変だ、病院に行かなきゃ」

藍子「普段あんなに病院に行くのが嫌だって言ってるのに?」ジトォー

加蓮「だから、私の病気はもう完治したんだって。定期通院とかホントはいらないんだって」

藍子「Pさんから頼まれているんですよ。加蓮ちゃんが嫌がったら、無理矢理にでも連れて行け、って」

加蓮「頼む相手を間違えたね。藍子の無理矢理なんてこれっぽっちも恐く――」

藍子「もし加蓮ちゃんが拒んだら、呼び捨てで呼んであげたら一発解決だから、って」

加蓮「…………」

藍子「えへ♪」

加蓮「…………ちくしょー。弱点をバラすのは反則だよ反則」

藍子「ついやっていましたっ。ほら、Pさんがお忙しい時は、私がついていってあげますから♪」

加蓮「はいはい……それなら、まぁ、病院でもいいけどさ……」

藍子「?」

加蓮「なんていうかなー……さっきの宿題の話もそうなんだけど……藍子の……そう、声。声があったかいんだ」

藍子「声?」

加蓮「うん、声」

藍子「私、普通にお話ししているつもりですけれど……」

加蓮「特別な何かって訳じゃないよ。それん、側にいるのに声が聞こえないのは、ちょっと寂しいよ。そこにいるのは知ってるけど、独りぼっちになったみたいで」

藍子「そんなことないのに……加蓮ちゃんが呼んでくれたら、いつだって側にいますよ」

加蓮「うん。でも、その……さ。私って昔――あー……えと…………」

加蓮「…………ゴメン、ちょっとだけ暗い話していい?」

藍子「……いいですよ。あ、それなら、ちょっとだけいいですか?」

加蓮「ん?」

藍子「ちょっぴりだけっ。すみませーん。ハーブティーをおひとつください。……加蓮ちゃんは? 何か飲みますか?」

加蓮「じゃあウーロン茶で。こっちの方が喋りやすいし。うん、お願いします」

藍子「ハーブティー、飲みたくなったら言ってくださいね。少し口にするだけで、心がぽかぽかってなりますから」

加蓮「だね。その時はもらうよ。……あ、店員さん、ありがとー」

藍子「そ、そんなに急がなくてもよかったのに」

加蓮「変なのー」

加蓮「…………」ゴクゴク

藍子「…………」ズズ

加蓮「…………ま、なんていうかさ。例によって入院時代のことでさ」

加蓮「病院にはいっぱい人がいたよ? でも、聞こえて来る音がどれもこれも無機質っていうか」

加蓮「ほら、今で言うところの……アレあるじゃん。合成音声? 機械音声? っていうのかな。あれを聞いてるみたいで」

加蓮「だから、私にとっての"音"って、テレビくらいしかなくて」

加蓮「アイドルになってからは……もちろん、病院なんかよりずっと暖かい声がいっぱいある。Pさんとか、アイドル仲間とか」

加蓮「大丈夫だって分かってるんだけどさ。ふと静かになったら……ほんの少しだけ、寂しくなるんだ。もっと声を聞いていたい、って思って」

加蓮「藍子の声って、すっごく暖かいんだよね……。だから、会話してないよりは会話してた方が楽しいっていうか」

加蓮「さっきも、黙々と宿題やってて……これちょっとキツイかも、なんて思ったりして」

加蓮「たまに藍子の悩む声が聞こえて、あ、よかった、って思っちゃったりして」

加蓮「……あはは。ごめんね? こんな話ばっかりしちゃって」

藍子「…………」

藍子「……もうっ。加蓮ちゃんは寂しがりなんだから」フフッ

加蓮「ち、ちょおっと待った。どうして今の話からそうなるのかな? ん?」

藍子「加蓮ちゃんは寂しがりやさんなんですね~」ズズ

加蓮「あ、あのねぇ、なんか子供みたいな扱いするのやめてくれないかなぁ……?」ビキビキ

藍子「声が欲しいなら、私の声を入れたCDや目覚まし時計でもお渡ししましょうか?」

加蓮「アイドルグッズになるんじゃない、それ?」

藍子「それなら、加蓮ちゃんに買ってもらいますっ」

加蓮「譲ってよアイドル仲間じゃん!?」

藍子「私も、アイドルですから!」ドヤア

加蓮「ぬぐぐ」

藍子「…………あの」

加蓮「んー?」

藍子「夜とか、1人の時は、大丈夫なんですか?」

藍子「もし1人の時が寂しいなら、その……電話とかしますよ? あっ、それより、加蓮ちゃんの傍にいた方がいいのかな」

藍子「加蓮ちゃんの家に泊まる、って言ったら、お母さんやお父さんも、きっと許してくれますから」

加蓮「…………この歳になって寂しいってことはないよ、さすがに」

藍子「なら、いいんですけれど……でも、いつでもお待ちしていますからね?」

加蓮「じゃあ毎晩かけて毎晩ずっと寝不足にしてやろ」

藍子「またそんな極端な……」

加蓮「ううん、冗談でも嘘でもなくてさ。……ねえ藍子。私、すっごいワガママなんだ」

藍子「知ってますよ」

加蓮「藍子が知らないくらいワガママ。もう自分でも呆れるくらい」

加蓮「寂しいからって電話したら、パジャマのまま外に飛び出るよ。藍子の顔を見ないと寂しいって言って」

加蓮「藍子の事情なんてぜんぶほっぽり投げて行くよ。抱きしめて、って言うよ」

加蓮「ううん。むしろこっちに来てっていうかも。藍子の優しさを利用してさ」

加蓮「藍子が寝る10秒前とかでも、ううん、眠った後だって時計を見て知ってても、そんなの関係なく」

藍子「…………」

加蓮「毎日そんなことしてたら、さすがに迷惑だよ。……ってか、だから私はもう16歳なんだって! 親と一緒じゃないと寝られない子供じゃないんだから! もうっ……」

藍子「…………」

藍子「…………加蓮ちゃん」

加蓮「ん?」

藍子「ちょっとだけ、真面目な話をしてもいいですか?」

加蓮「……いいよ。何?」

藍子「冗談や遊びじゃなくて、真剣に言いますけれど……ちょっとの間だけ」

加蓮「?」

藍子「私の家に加蓮ちゃんが来てもいいですし、私が加蓮ちゃんの家に行ってもいいですし」

藍子「なんだったら合宿ってことにして、事務所でもいいです。数日だけでいいから……一緒に、寝泊まりしてみませんか?」

加蓮「えー、何それ? さては私の家に眠る黒歴史でも覗き見し――…………ああうん、ごめん、真面目な話なんだよね」

藍子「はい。真面目なお話です」

加蓮「って言ってもさ……心配性にも程があるよ、藍子。そんなことしたら藍子にいっぱい迷惑をかけるだろうし」

藍子「私は大丈夫だって、何回も言ってるじゃないですか」

加蓮「……でもさ」

藍子「お話を聞いていると、夜もちゃんと眠っているのか、すごく不安に思っちゃいます」

加蓮「寝てるって。疲れてるから、横になってすぐに――」

藍子「加蓮ちゃんのことだから、寝ながらもアイドルのことを考えてるんじゃないですか?」

藍子「体を休めることはできていても、心が休まっているのか、不安になっちゃいます」

藍子「それに、最近は……ううん、前からかもしれませんけれど、最近は特に、加蓮ちゃん、すぐに自分を傷つけることばっかり言って」

藍子「だから、加蓮ちゃんのことが、前よりもずっと、心配になっちゃうんです」

藍子「1人になった時、変なことを考えていないかな、また自分を傷つけてないかな、なんて……少し、お節介なのは自覚していますけれど」

加蓮「…………」

藍子「もし、加蓮ちゃんがワガママを言うことができて、弱くなることができるなら――気を抜くことができるなら、私は何だってやります」

藍子「落ち込んじゃったり、自分を傷つけちゃったりした時って……きっと、そういう時って、誰かの手がいると思うから」

藍子「だから、私で良ければ――」

加蓮「…………」

加蓮「……藍子」

加蓮「ありがとう。今なら素直に言えるよ……言わないとね。そこまで言ってくれる藍子が大好き。それと、ごめんね、こんな捻くれた奴で」

藍子「…………加蓮ちゃん」

加蓮「ねえ、藍子。藍子の言うさ……私がワガママを言うことができて、弱くなることができたら――って話。それ、もうなっちゃってるんだと思う」

藍子「……え?」

加蓮「藍子が言ったことだよ。自分を傷つけることばっかり言うって。うん、自覚してるよ。最近の私は酷いことになってるって」

加蓮「それさ……気が緩んじゃってるからだと思うんだ。だって、藍子が何だって言っていいって言うから……何だって聞くっていうから。ストッパーが外れちゃってるんだよ」

藍子「じゃあ、あれって私のせいで……!?」

加蓮「ふふっ。そうなるのかもね。……でもね、藍子。私はそれでいいって思ってるんだ」

加蓮「もちろん、藍子まで暗くさせて申し訳ないって思うけど……誰にも言えないことを言うっていうのは、嫌いじゃないし」

加蓮「私は、私が傷ついたとしても、そんなに気にしない方だし――」

加蓮「だからさ。藍子。私が私を傷つけてるんじゃないか、なんて心配、いらないんだよ。そういうのがホントのお節介って言うんだよ」

加蓮「……もー、大丈夫だって。何回も傷ついて挫折してきた人生だよ? 1度や2度じゃすぐ治るんだから――」

藍子「加蓮ちゃん」

加蓮「ん」

藍子「さっき言いましたよね。自分はすごくワガママなんだって。……加蓮ちゃんは、ホントに自分が傷ついても構わないって思っているんですか?」

加蓮「思ってるよ」

藍子「……っ……ほ、ホントのホントに?」

加蓮「藍子。慣れないことはやめときなさい。そういうのはたっぷり余裕を持ってやらないと意味がないよ」

藍子「…………っ……」

加蓮「……納得してないって顔だね…………。ねえ藍子。藍子ってさ、私のこと好き?」

藍子「当たり前です!」

加蓮「うん、そう言うって思った。でもね」

加蓮「アイドルになって、ファンがたくさんできて、Pさんから大切にしてもらえて……それに、例えお節介だとしても、私のことをこんなに心配してくれる仲間がいる」

加蓮「必要とされることは嫌になるくらい分かるのに……自分が人から好かれることが、よく分かんない。変だよね」

加蓮「分かんないっていうか、信じられないの」

加蓮「私に何かしてくれるのは……例えば藍子が話を聞いてくれるのは、私への同情か、それか藍子の自己満足だ、なんて」

加蓮「それでももし、私のことを好きだと言ってくれたとしても――あ、そっか、私のこと好きだって言ってくれるんだ、って分かっても」

加蓮「次に、それはいつまで続くの? なんて思うんだ」

加蓮「明日も同じことを言ってくれるの? 明後日も? どうせいつか私を厄介者扱いするんでしょ? って」

加蓮「そうやって終わってしまった後の私はどうなるの?」

加蓮「ほら、さっきさ、藍子が一緒に暮らそうって言ってくれた時。そっちにいっちゃダメだって、全部の私が言ったんだ。ひねくれてる私も、本音の私も」

加蓮「もし藍子が、私の見抜けてないところで嘘をついていたら? 嘘じゃないにしても勢いで言ってるだけで私が頷いた後で藍子が後悔したら?」

加蓮「どれでもなくて、私が転がり落ちた後に、藍子がいなくなったら?」

加蓮「今は私の話をなんでも聞いてくれるって言うけど、いつかは私を厄介者にするんだ、って思うとさ」

加蓮「今の私は、私がどれだけ傷ついても回復できる自信があるけど――藍子といたらホントに弱くなる」

加蓮「その後で大きな傷を受けたら、たぶん立ち直れない。そんなことまで分析しちゃって」

加蓮「……だから……ごめん。藍子」

藍子「…………」

加蓮「ねえ、藍子」

加蓮「明日があることって、どうやったら信じられるのかな」

加蓮「今でもまだ違和感があるんだ。アイドルをやってて、1週間も2週間も先の予約を入れられることが」

加蓮「1週間後、私はホントにアイドルをやっていられるの? そこに立っていられるの? って」

加蓮「誕生日だってそう」

加蓮「今年は……まだ、去年よりマシだったかもしれないけど、来る度に思うの。来年の私は、ちゃんと両足で立っているのかな、って」

加蓮「……ごめんね。生きるのにそもそも向いてないんだろうね、私――」

藍子「加蓮ちゃん!」

加蓮「っ……」

藍子「…………」ズズッ

藍子「加蓮ちゃん」

加蓮「ん?」

藍子「加蓮ちゃんは、私が信じられないんですよね。ううん、私だけじゃなくて、ファンのみなさんや、Pさんのことも」

加蓮「うん……ううん、藍子やみんなが悪いんじゃないよ。それは私が、」

藍子「加蓮ちゃん」

加蓮「何」

藍子「根比べです」

加蓮「は?」

藍子「加蓮ちゃんが私のことを信じられないって言うのなら、私は加蓮ちゃんに信じてもらいたいです。信じさせます」

藍子「あなたはみんなから大切にされていて――それは、"使えるから"とか"需要があるから"とは、絶対に違う意味で、ってこと」

藍子「いつか厄介者扱いされちゃうって言うなら……何年だってかけます。私、ゆっくりのんびりやるのが好きですから、大丈夫ですっ」

加蓮「…………」

藍子「それに――私は、アイドルになる前の加蓮ちゃんを知りません。Pさんからも、ちょっとだけしか聞いていません」

藍子「でも、ちょっとだけなら聞いています」

藍子「最初は、自分がアイドルになれるなんて――夢を叶えられるなんて、信じることができなくて」

藍子「でも、今はファンに夢を与えられるくらいに、すごいアイドルになった、ってことを」

加蓮「……アンタもPさんもおしゃべりだね、ホント」

藍子「加蓮ちゃんは何か考えを変えてアイドルになったんですよね」

藍子「アイドルなんてできない、夢なんて叶わない、って思ってた自分を変えて、夢を叶えて」

藍子「それだけは分かるから……頑張れば、悪い考えは直せるんだって、私も、加蓮ちゃんも、知ってる筈だから」

藍子「私は加蓮ちゃんを溶かしたいです。どれだけの時間がかかっても……加蓮ちゃんが、自分の大切さを信じることができるなら……」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「…………えと…………私じゃ、やっぱり頼りないです……よね……? Pさんに相談した方がいいのかな……」

加蓮「……ぷくっ、くくっ」

藍子「え」

加蓮「あははははははっ! ……ひーっ、ひーっ、な、なにそれっ、プロポーズでもしてんの?」

藍子「……」ハァ

藍子「もうそれでいいですよ……」

加蓮「おっかしい! 変なのっ……くくっ……あはははっ……! ――ねえ、藍子」

藍子「はいっ」



加蓮「――こんな奴の為に、藍子みたいな素敵な人が人生を使っちゃダメだよ」

藍子「え…………!?」

加蓮「藍子はもっと、幸せな人生を送らなきゃ」

藍子「、言いましたよねっ私こう見えても頑固なんですっ!」

藍子「それに"こんな奴"って何ですか! ……そういうことを言うから信じられないんじゃないですか!? 私――ううんっ、周りの皆さんのことを!」

加蓮「こんな人生を送って、自分のことを好きになれって? 藍子は随分と自分勝手なことを言うんだね」

藍子「自分勝手なのはお互い様です!」

加蓮「言ってくれる」

藍子「言わないと伝わりません!」

加蓮「…………私のことなんて」

藍子「知らないからいっぱい教えてください! 他の人に話しにくいお話だって、なんだって聞くって何度も言ってますよね!」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………欲張り」

藍子「!」

加蓮「我儘。上から目線。相手の気持ちなんて何も考えない癖に」

藍子「加蓮ちゃん……?」

加蓮「こうしてたまに会ってカフェで会話するだけじゃ満足できないんだね。傲慢。身勝手」

藍子「…………っ」

加蓮「どうせそんなのぜんぶアンタがやりたいことでしょ? 自分の自己満足の為なんでしょ? 私の気持ちなんてちっとも考えてないんだよね。アンタが思う幸せに行きたいだけなんだよね」

藍子「…………」

加蓮「私のことなんてぜんぜん好きでもなんでもない癖に。たまたま都合のいい病弱でキツそうにしているのがいるから自分に浸りたいだけの癖に」

加蓮「周りから良く見られたいの? すごいねって言われたいの? 気遣われたいの? いい子でいたいもんね、誰だって」

加蓮「いいよ別に。私ってそうやって使われる価値あるもんね。だから使いたければ使えばいいじゃん」

加蓮「でもそれを相手の為って言うのはいい加減やめてよ。どうせ使う価値がなくなったら投げ捨てる癖に!」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………アンタは…………」

藍子「…………もう、大丈夫ですか?」

加蓮「アンタは……っ! 私から言われて何も――! こんなさ、仲間相手にもこういうこと考えてる奴なんだよ私って! なのに、」

藍子「だって、加蓮ちゃんがつらそうにしているから」

加蓮「……!」

藍子「私が……受け止めてあげたら、少しは楽になれるかな、って思って――」

加蓮「このっ……!!」

藍子「っ……」グスッ

藍子「!」グシグシ

藍子「………………」メヲツブル

藍子「でも、私は」

藍子「加蓮ちゃんのことが好きですし、幸せになってほしいですし、少しでも楽になってほしいです」

藍子「だから……なんだって、話して欲しいです。なんだって、受け止めたいです」

藍子「自分を傷つけちゃうのは……あんまり、見たくないけれど……加蓮ちゃんが何を言っても絶対に厄介者扱いなんてしないって、信じることができるなら……」

藍子「もし、私が……加蓮ちゃんから見て、自分勝手で、傲慢だったとしても」

藍子「ううん、もしかしたら、私が気付いていないだけで、他の人から見ても、そう見えちゃうのかも」

藍子「それでも……もしそうだとしても、加蓮ちゃんのことが好きな気持ち"も"、持っているって言い張れます」

藍子「……それでも、まだ……信じてもらえませんか?」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……………………ああもう、降参!」

藍子「!」

加蓮「もういい! …………もう、いい……っ……」

藍子「加蓮ちゃん……」

加蓮「私…………、~~~~~~っ! …………保留にさせて! 藍子の言いたいことは分かったけど……でも、保留!」

藍子「はい。保留ですね。……ふふっ、根比べです。私は大丈夫ですからっ」グスッ

加蓮「……大丈夫って、アンタ、泣いてんじゃん」

藍子「あっ……。あ、あははっ! その、えとー、ほら、加蓮ちゃんからじゃなくても、怒鳴られたらビクってなっちゃいますよ!」

加蓮「……もう」

加蓮「……ありがとう、藍子。ホント、ありがとね。……その……ごめんね……?」

藍子「私、謝られるより、ありがとうって言われる方が好きです」

加蓮「…………いざって時に頼りにさせてもらってもいい?」

藍子「はいっ! もっとこう、ぐいーって! ぐいーって言ってきてください!」

藍子「そのっ、今は信じられなくても……いつか信じてくれますよね!」

加蓮「分かんないよ。私、ホントに人を信じるのが苦手だから」

藍子「じゃあ、頑張ってみてください! ほら、苦手なことや難しいことに挑むのって、加蓮ちゃんの得意分野じゃないですか」

加蓮「い、言ってくれるなぁ……」ヒクヒク

加蓮「……でも、うん。ちょっとだけ、頑張ってみる。……ち、ちょっとずつ、ね? ホントにちょっとずつ」

藍子「はい。今は、それでいいです。私、ゆっくり待ちますから」

藍子「それと……加蓮ちゃんが大好きな人は、他にもいっぱいいるって……今は信じられなくていいですから、覚えておくだけ、覚えておいてください」

藍子「信じてもらえないのって、けっこう悲しいんですよ? Pさんもきっと、ショックを受けちゃいます」

加蓮「ん……思い出す度に自分の中で喧嘩になりそうだね。正直さ……思うんだ。なんで藍子やPさん、仲間やファンのことを信じられないんだろ、って」

加蓮「ホントは分かってるんでしょ? 自分が意固地になってるだけで、周りのみんなは自分をポイ捨てするような人達じゃないって――なんてさ。どっか別の部分の私が言うんだ」

加蓮「……分かることと信じることは、また別なんだろうね。はぁ…………」

藍子「つまり、加蓮ちゃんはいじっぱりだってことですね!」

加蓮「……え? あ、いや、うん……間違ってはないけど、それでまとめられるとなんかちょっとアレなんだけど……」

藍子「ふふっ♪」

加蓮「あー! またその顔! 子供扱いしてる顔! いーよいーよどーせ私は聞き分けのないワガママな子供ですよーだ!」




加蓮「ん~~~」ノビ

加蓮「……いやもう、私ら何の話をしてたんだろ。なんか宿題やってた筈なのにどうしてこうなってんの?」

藍子「あ、あはは……なんだか、すごい喧嘩をしちゃった後みたい」

加蓮「でも気持ちいいでしょ? 言いたいことをぜんぶ言ったら」

藍子「……加蓮ちゃんには申し訳ないですけど、ちょっぴり……えへっ」

藍子「あ……私、いっぱい大声あげちゃいましたよね。お店の方、大丈夫だったかな……」

加蓮「ん、大丈夫じゃない? 今日は客はもうみんな帰っちゃったみたいだし……うん、なんか店員がこっち見て分かってますよって笑顔で首を振ってる」

藍子「あは、あははは、ごめんなさい店員さん」ペコペコ

加蓮「迷惑かけたついでに何か食べて行――って、げえ、もう8時!?」

藍子「…………え!?」

加蓮「待って、待って、藍子と買い物のくだりは冗談じゃなかったんだけど!? いやそもそもなんでこんな時間が、」

加蓮「…………藍子~~~~!!」

藍子「ごっ、ごめんなさい~~~!」

加蓮「よく見たら外もう真っ暗じゃん!」

藍子「連絡連絡……ひゃっ。お母さんから怒りのメールが~!」

加蓮「うげ、こっちも……あ、なんかこっちは悟ったみたいな文章になってる。今日もあの子と食事? だって」

藍子「か、加蓮ちゃん、ほらやっぱり一緒に生活しましょっ、ねっ? 今日だけでもいいですから泊めてください~~~!」

加蓮「いや普通に泊まることになったって言えばいいじゃん。私の家に泊まるってなったら何も言わないとか言ってなかった?」

加蓮「話が盛り上がって気づいたらこんな時間に、とか言ったら納得してくれるでしょ」

藍子「…………あ」ポン

加蓮「アホ」ベシ

藍子「あぅ」イタイ

加蓮「……ね、藍子」

藍子「?」

加蓮「ちょっと……えと……そっち、行っていい?」

藍子「え? はい、いいですけれど……どうぞ」(横にずれる)

加蓮「うん、ありがと。よいしょ」(隣に座る)

加蓮「…………うん、落ち着かない!」

藍子「ええぇぇ……」

加蓮「今はそれでいーの。今はねっ」



おしまい。今日も面倒くさい2人です(超褒め言葉)。


ちなみにこのシリーズ、第1話を投下した時点で、ここまでは書き溜めていました。
勿論、皆様のコメントを参考に推敲を重ねましたけれど……。

前にも記しましたが、皆様からコメントを頂けることは凄く嬉しいですし、いつも勉強になります。
いつも、ありがとうございます。

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