【オリロンSS】「コロシアイ学園生活」【安価】 (677)

【注意】

・安価・コンマ

・基本的に、登場人物はこちらで作成したオリジナル・キャラクター

・ダンガンロンパシリーズのネタバレ・エログロ・下ネタ・他作品へのオマージュ有


ということでよろしくお願いします

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 希望ヶ峰学園――大都会の真中に聳え立つ学園を知らない者は、日本中どこを探してもいない、と言って差し支えない。

 あらゆる分野において、超一流の高校生を集め、育て上げるために設立された、政府公認の特権的な学園。

 そのネームバリューは、この学園を卒業できれば、人生において成功したも同然、とまで言われるほどだ。


 そんな学園の門前に、俺が立つこととなったのは、他でもない。

 自分が、その才能を学園に見初められたためだ。

 ……とはいえ。

 俺自身が何か、人並み外れた、特殊な才能を有している訳ではない。

 『超高校級の幸運』――それが、俺のような一般人に、突然課せられた肩書きだった。

 一年に一度、全国の高校生からただ一人だけ、抽選でスカウトされる特殊な制度。

 それだけ聞けば、俺が大した人間でもないことを、優に察することが出来るだろう。

 事実、抽選に選ばれたその日を除いて、俺は自分を幸運だと感じたことなど、一度もないわけだし。


 しかしながら、例え場違いと詰られても、この学園への進学は自分の望むところであり、非常に喜ばしいことでもある。

 結局のところ、成功を望まない者などいないのだ。

 希望の名を冠する学園での、希望に満ち溢れた――今まで味わったことのない、夢のような――そんな生活への、期待感。

 そんなものを胸に抱いてしまうのは、至極当然のことだ。


 一つ、大きく息を吐いて、門をくぐる。歩を進めるたびに、段々に気分が引き締まって行くのが分かった。

 息を呑みこみ、姿勢を正して前を見る。そして俺は、エントランスへ、ゆっくりと足を踏み入れた。




     プロローグ【希望ヶ峰学園で会いましょう】



 ゆっくりと目を開き、辺りを見渡す。

 規則正しく並べられた机、深緑色の黒板、部屋の前後に備え付けられた引戸。

 周囲を取り囲んでいたのは、早稲佑(わせ・たすく)という普通の象徴である彼にとってもよく見慣れた、何の変哲もない教室だった。

 しかし、その普通の中にある不可思議な点に、普通に敏感である彼が、気付かないはずもない。

 例えば、教室には必要ないはずの監視カメラ。例えば、本来窓のあるべき場所にある、頑丈な鉄板。

 宛ら囚人にでもなったような、明らかに自由の利かない、閉塞感のある教室は、彼に違和感よりも先に、少なからぬ嫌悪感を与えた。

 眉を顰め、硬い椅子から立ち上がると、彼はたちまち廊下へ出た。


 廊下の照明はやけに不気味な色をして、広い面積の床を照らしている。

 もし、何も知らない誰かが迷い込んだとしたら、此処が希望ヶ峰学園とは、到底想像出来ないだろう。

 それでも、蟻の子一匹通さないような窓の鉄板を見ると、誰も迷いこんだりはしないだろうか。


早稲「(……まあ、ここが希望ヶ峰学園だって証拠もないんだけど)」


 左手には寄宿舎。右手に続く廊下は、粗方校舎のメイン・ストリートだろう。

 人気の無さから考えると、或いは今は、深夜なのかもしれない。

 教室に時計があったことには気付いたが、今更あの閉塞感漂う場所へ戻りたいとも思わなかった。

 もし深夜だとすれば、寄宿舎の誰かを起こすのも忍びない。深夜でなければ、校舎に誰かがいるはずだ。

 それなら、探索がてらに校内を散策する方が良いだろう。


早稲「(でももし、探索して誰もいなかったらどうしよう)」

早稲「(……その時は教室で寝ても許してくれるのかな)」


 そんなことをつらつらと考えていれば、何やら広い空間に出くわした。

 大きな鉄の扉に、廊下や教室とは少し違った、艶のある床。連絡用らしいホワイト・ボード。

 ……無理にあたりを付けるなら、玄関ホールだろうか。

 結果から言えば、こちらも教室と何ら変わり映えしなかった。

 強いて言うなら、玄関を塞ぐ扉は教室の窓よりも強固で、天井から腕を伸ばすのが、監視カメラだけでなく、黒光りする什器、という点だろうか。

 教室にしても、玄関にしても、この学園から出られる雰囲気は、一切感じ取れなかった。


???「――あの、誰かいるんですか?」


 背後から響いた女性の声に、彼は振り返る。

 色素の薄い、胸までの長い髪をなびかし、短い袖からすらりと伸びた白い腕には、瓢箪を伸ばしたようなケースが抱えられている。


???「ええと……あなたも、希望ヶ峰学園の新入生の方ですか?」

早稲「そうですけど。えっと、“も”ってことは、どうして僕が新入生だって分かったんですか」

???「それはだって……制服を着ていらっしゃらないので、そうかなと。私はエスパーではないので、勘ですけれど」

早稲「ああ、そっか。そうっすよね、あはは……」

???「はい。ああ、でも、それなら良かったです。なんだか、閉じ込められでもしたかと思って……」

早稲「いや、多分……その考えは間違ってないと思います」


 促すようにして、背後の玄関へ視線を送る。

 少し経って、それを漸く、玄関だと認識したらしい彼女は、開いた口へ手をやると、


???「悪戯か何かでしょうか。いえ、それにしては、手が込み過ぎているように思いますね」

早稲「うん、悪戯だとしても、意味が分からないし……。ところで――」


音道「……あっ、申し遅れました。私、ヴィオリストの音道翠(おとみち・みどり)と申します。どうぞ、よろしくお願いします」

早稲「へえ、ヴィオラ……それじゃあ、そのケースはヴィオラケース?」

音道「ええ、ヴァイオリンじゃありませんよ?」


 ひょいと自然な様子で、音道は悪戯っぽく首を傾げる。

 一見しての性格、表情、その才能……宛ら国家の王女のように、パーフェクトだ。

 少なくとも早稲の友人に、こんな女性は多田野一人もいなかった。


早稲「頑張ろう……」

音道「どうかしましたか? ええと……」

早稲「いえ、なんでも。僕は早稲佑。超高校級の幸運、なんて理由でスカウトされたみたいなんですけど」

音道「幸運? へえ……そんな才能もあるんですね」

早稲「らしいですね。まあ、そんなの実感したことはないけど……」


 強いて言うのなら、貴女のような美人に出会えたことでしょうか――

 ……などと、気障な言葉を口にするような性格では、早稲はまるでなかった。


音道「ところで早稲さん。私達、そろそろ行かなくてはいけないんじゃありませんか?」

早稲「行く? 行くってどこに?」

音道「入学案内を見ていらっしゃらないんですか?」


 そう言って、彼女は二つ折りの小さな紙を手渡す。入学案内と言っても、そんなものですけど、と付け加えて。


  ――“あたらしいがっきがはじまりました。入がく式はたいいくかんでおこないます”


 クレヨンで書き殴られたような、幼い文字。右下の方には、何を示しているか分からないイラストが入れてある。

 ……確かに、冒頭に入学案内と書かれてはいるが(それもひらがなで)、これでは子供の落書きと何ら変わりない。


音道「行った方が良いでしょう? それでも……」

早稲「まあ、そう……はい。そうだね」


 早稲達が体育館へ着いた時には、既に数人がそこへ集まっていた。


早稲「これで全員……なわけないよな。一クラスにしたって、あまりに少なすぎるし……」

音道「まだ時間はありますし、皆さん集まっていないだけではないでしょうか」

早稲「今はええと……八時十分前か」

音道「はい。入学式が始まる前に、話しかけてみても良いんじゃないですか? ここにいるからには、長く付き合う方々でしょうし」

早稲「それもそうですね」


早稲「(さてと、誰から話してみようか……)」

1.壁際で何かしている、詰襟の大柄な男子生徒に話を聞いてみた
2.突然背後から、何者かに背中を叩かれた
3.背の低い女性の方から聞こえた音を、耳聡く聞きつけた

↓1


???「やあ! どうも、お兄さん」

早稲「うわあっ!?」

???「はっはっは、そんなに驚かないでよ」

早稲「驚かないでって言ったってな……んっ?」

???「うん? どうかした? えーっと、ワセ? 佑さん」


 彼女の指に抓まれていたのは、他でもない、早稲の生徒手帳だった。

 思わずポケットを確認してみると、生徒手帳は勿論のことながら、尻ポケットの財布まで抜き取られている。彼女は早稲の手にその二つを渡すと、


???「ポケットに財布なんか入れてちゃ駄目だよ。盗まれちゃうからね。ねっ、お姉さん」

音道「はあ……」


 続いて彼女は音道の手首を握って、人懐こそうな笑顔を見せた。


浅草「おっと、まだ名乗ってなかったね。あたしは浅草六月(あさくさ・むつき)。以後よろしく!」

早稲「はあ、よろしく。しかしまた、どうしてこんなパフォーマンスを……」

浅草「そりゃあ、あたしが掏摸師だからだよ。ふふん、エンコの六とは私のことさ、ほんとはね!」

早稲「エンコ……何、有名な人?」

音道「サトウハチローの小説じゃありませんか?」

浅草「おおっ、よく知ってるね翠さん!」

音道「え? どうして私の名前を……あっ」

浅草「ふふっ、名前入りの腕時計なんて、洒落てるよね。あたしにゃ到底手が届かないかな」


 さっき手首を掴んだ時か、と早稲が思い至った時には、時計は既に音道の元に戻されていた。


早稲「(スリって、なんか希望ヶ峰学園ってのは何でもありなんだな)」

早稲「(というか、マジシャンにでもなった方がよっぽど良いじゃないか……)」


1.壁際で何かしている、詰襟の大柄な男子生徒に話を聞いてみた
2.仏頂面で両腕を組んだ女性に話を聞くことにした
3.背の低い女性の方から聞こえた音を、耳聡く聞きつけた

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早稲「……何やってんの?」

???「うん? 壁当て」


 大柄な男は詰襟を着たまま、本格的なピッチングフォームで、ボールを投げ始めた。

 眉間に皺を寄せながら、男の顔を注意深く見つめる。


早稲「野球選手か何かなのか?」

駒牧「いや、これはただの運動。お前、駒牧正春(こままき・まさはる)って選手、聞いたことあるか?」

早稲「駒牧、駒牧正春? いや……高校野球は見るけど、聞き覚えはないかな」

駒牧「だろ? だって俺は野球選手じゃないんだから」

早稲「なんだよ、それ」

駒牧「そう怒るなよ。それで、お前は?」

早稲「……僕は早稲佑だ。まあ、お前と同じように、聞いたことはないだろうけどね……正真正銘の一般人だし」

駒牧「うーん、無いな。多分」

早稲「あったら困るんだよ。僕は君を知らないって言ってるだろ……」


音道「あのう、それで……駒牧さんの才能は、一体なんなんでしょうか?」

駒牧「才能、才能ね……」


 ボールが壁にぶつかる音の合間から、なんとか大声を出して音道が尋ねる。

 しかし駒牧は、尚もボールを投げ続けたまま、


駒牧「それが覚えてないんだ」

早稲「はあ!? 覚えてないだって?」

駒牧「ああ。そうして何か思い出せないかと思って、とりあえず片っ端から試してみようと」

早稲「はは……本当に何なんだよ、それ。だから僕に、知らないか聞いたのか。空振りだったみたいだけど」

駒牧「その前に『野球選手か何か?』って聞いてたし、まあ違うと思ったけどな。はあ、次は何を試すかな……」

音道「大丈夫なんですか?」

駒牧「きっとすぐに思い出すしな。心配しなくっても大丈夫だろう」

早稲「そういう問題じゃないだろ!」


早稲「なんだあいつ、超高校級の記憶喪失か?」

早稲「……まともな人はいないのか」

1.両胸にポケットの付いた、白いシャツを着た男と目が合った
2.仏頂面で両腕を組んだ女性に話を聞くことにした
3.背の低い女性の方から聞こえた音を、耳聡く聞きつけた

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空地「俺は空地洋一(そらち・よういち)だ。よろしく」

早稲「僕は早稲佑、よろしく」


 握手を返しながら、早稲は相手の服装を見た。

 ポケットが二つある、白いシャツ。分断するようにして、黒いネクタイが下がっている。


早稲「随分個性的な服装だね」

空地「そうかな? お前らも一度は見たことあると思うけど」

音道「パイロット制服ですね?」

空地「ああ、正解。そういうあなたは、ヴァイオリニスト?」

音道「ヴィオラです」

空地「ヴィオラ? ヴァイオリンと何か……違うんだろうけど。それは……ロッキードとエアバスの違い? それとも、ボーイングの737と747の違い?」

音道「チェロとコントラバスの違いです」


 早稲にしてみれば、ロッキードもエアバスもボーイングも737も747も分からない、どれも飛行機である。

 加えて言うなら、早稲は飛行機に乗ったことすらなかった。


早稲「というか、飛行機って高校生でも操縦できるものなんだね」

空地「勿論、免許さえあれば、セスナ機くらいはな。それでもまだ、航空会社みたいなとこでは飛ばせないけど」

早稲「オートバイと車の違い?」

空地「それに加えて、自家用車と、タクシー・大型車の違いだ」

早稲「その二つの違いは分かるんだ……」

空地「……ところで。話は逸れるが、早稲……彼女、中々美人だな」

早稲「えっ、あっ、まあ、そうです、ね……?」

空地「そうだよ。彼氏がいるのか、お前、男なら気にならないか?」

早稲「うっ、そりゃまあ……その、当然……」

空地「何だ、いきなり歯切れが…………。あ、そうか。ふうん、今からライバル宣言でもしておくか?」

早稲「良いよ、しなくて……」


1.周囲を見回していた男の書いていたメモを覗き込んだ
2.仏頂面で両腕を組んだ女性に話を聞くことにした
3.背の低い女性の方から聞こえた音を、耳聡く聞きつけた

↓1


早稲「(……何だ、今の音?)」

???「あら、聞かれちゃったぁ? お腹空いてるのよねぇ……」


 振り返れば、おっとりとした喋り方で、彼女はにこにこと微笑んでいた。


早稲「割と大きい音だったね。そう言えば、食堂は見なかったな」

???「そうよねぇ、私からしたら、困りものなんだけど」

音道「それなら、寮の方に食堂らしい場所がありましたよ」

???「そうなの? それなら、入学式が終わったら、行ってみようかしら。あなた達もどう? 好きな料理、作ってあげるわよぅ?」

音道「宜しいんですか? ありがたいです」

???「勿論、かわいい子なら大歓迎よぉ? 好きな食べ物、教えてもらえる?」

早稲「……オムライス、かな」

音道「私は……カルボナーラ・スパゲティでしょうか」

???「あらあら、二人とも、可愛らしい趣味してるのねぇ」


早稲「えーとそれじゃ、貴女の才能は、料理人とか?」

許斐「うぅん、ちょぉっと違うかなぁ? 食育委員の許斐綾(このみ・あや)って言うの。よろしくねぇ」

早稲「食育委員って、料理も作るんだ。それは知らなかったな……」

許斐「そりゃ、趣味で作ったりとかもするし……一番は、栄養バランスを考えることじゃないかしらぁ」

早稲「例えば、どんな?」

許斐「オムライスなんかはアレンジが簡単よねぇ、ゴーヤやインゲンを加えたりとか」

許斐「スパゲティだと、もう一品、サラダかなにかを付け加えるとかねぇ」

音道「楽しみです」


早稲「料理人じゃなくて食育委員か……」

早稲「それ美味しいのかな」

1.周囲を見回していた男の書いていたメモを覗き込んだ
2.仏頂面で両腕を組んだ女性に話を聞くことにした
3.姿勢の良いポニーテールの女子生徒が入ってくるのに気付いた

↓1


早稲「あっ、誰か来たみたいだな」

菊月「こんにちは、です! 私、剣道部の菊月ゆり(きくづき・ゆり)と申します。よろしくお願いします!」

早稲「どうも、早稲佑です」

音道「音道翠です」

菊月「佑さんと翠さんですね!」

早稲「えっ?」

菊月「はい!? 何か粗相がありましたでしょうか!?」

早稲「いや、初対面の人に名前で呼ばれるなんて、初めてだったから。ちょっとびっくりしたんだ」

菊月「はっ! も、申し訳ありません! 以降気を付けます、早稲さん、音道さん!」

早稲「そこまで謝らなくても……佑でも良いよ、ゆりちゃん」

菊月「ゆ、ゆゆ、ゆりちゃん、ですか……! 照れます!」


早稲「(よく分からないけど、元気な子だっていうのは分かった)」

早稲「(とはいえ、こんなに可愛くて弱そうな子が、本当に超高校級として選ばれるような剣道部なのか……?)」


浅草「あっ、お姉さんも新入生? 美人が多くて嬉しいなあ……」

菊月「菊月です! よろしくお願いします!」


 と、浅草につられるように右手を出した菊月に、浅草の左手は忍び寄っていた。

 浅草の左手が、菊月さんのポケットへ触れる、まさにその時。


浅草「いっ…………痛ぅっ!」

菊月「はっ、すみません! 反射的に!」


早稲「(……訂正しよう)」

早稲「(彼女は紛れもなく、超高校級の剣道部だ)」


 音道も早稲も、勿論浅草も見えはしなかったが――彼女は一瞬で、背中に背負った竹刀を左手に取ると、浅草に掴まれた右手を振り切る。

 それから無駄のない動きで、まっすぐに向けて。浅草の左手をはたいたのだった。


菊月「すみません! 大丈夫ですか!」

浅草「うん、平気へいき――ぐぅっ!」

菊月「はっ、すみません! また……」


早稲「(ガードはキツそうだな…………しかし懲りないな、浅草も)」


早稲「ゆりちゃんには気を付けよう」

早稲「はあ、浅草が実験台になってくれて良かった……」

1.周囲を見回していた男の書いていたメモを覗き込んだ
2.仏頂面で両腕を組んだ女性に話を聞くことにした
3.柄の悪そうな男に話しかけられた

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 仏頂面の彼女は、どこか恐ろしげな雰囲気を漂わしながら、仁王立ちで腕を組んでいる。

 ジャージを着ているということは、運動選手だろうか――と、ある程度の検討を付けた。


早稲「あの、僕は早稲佑と言うんですけど」

???「早稲か。お前、何か部活動には入っているのか?」

早稲「部活動は……いや、入ってない」

???「そうか、残念だ。それなら、そちらの彼女は?」

音道「音道翠です。ヴィオリストをして……」

???「そうではなくて……ヴィオラか。すると、室内学部か何かか?」

音道「いいえ。私も早稲さんと同じです。室内学部は性に合わないものでしたから……」

???「そうか。いや、無理をして入る必要はない。身体を壊せば元も子もないのだからな」


 そうして、彼女は表情を緩ませた。


森脇「名前だったな。私は森脇豊(もりわき・ゆたか)、監督をしている」

早稲「監督……スポーツ? 現場監督?」

森脇「主にスポーツだな。野球部もバスケ部も指導している。サッカー部も、合唱部もだ」

早稲「随分オールマイティなんだね、また……」

森脇「勝負事のセオリーは変わらん。強いて言うなら、采配がズバリ決まるときがある……即ち、運が良いだけだ」


 運が良いだけ、と言われてしまうと、運で選ばれた早稲にとっては、どうも具合が悪いのだが。


森脇「まあ、もし何かあるようだったら、アドバイスくらいは出来るかもしれん。そういうことだ、よろしく頼む」

早稲「えっ……うーん、機会があれば」


早稲「スパルタ指導は、あんまりだな……」

1.周囲を見回していた男の書いていたメモを覗き込んだ
2.水色のカッタシャツに黒のスラックスを履いた、生真面目そうな男へ話しかけた
3.柄の悪そうな男に話しかけられた

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???「おう、お前――」

早稲「ひ――ッ、す、すいません! 邪魔でしたか」

???「……ちょっと自己紹介しようと思っただけやろうが、チッ」

早稲「そ、それはごめん……なさい。僕は早稲佑、何の変哲もない、一般人だよ……」

指宿「俺は指宿素直(いぶすき・もとなお)、ホテルマンだ」

早稲「ほ、ホテルマン――!?」

指宿「どいつもこいつも驚いたような顔しよって。俺がホテルマンしてたらいけねえのかよ」

早稲「別にそういうわけじゃないけど……」


 彼の勤めるホテルへは行きたくない、と彼が思うくらいには、驚ける事実であるだろう。

 チェーンのネックレス、金髪のモヒカン、日に焼けた体――超高校級のヤンキーと言われた方が、余程納得できる。


 すると突然、指宿は早稲の胸倉――シャツを掴んで、ぐっと引き寄せる。


早稲「――っ!?」

指宿「ビビんなっつってんだろ。シャツのボタン取れかかってるぞ、失くす前に取っとけ。後で縫ってやるよ」


 見れば、普段開けているままの、一番上のボタンの糸が切れているようだった。

 彼はそのボタンと糸を引き抜いて、ボタンだけを僕に渡し、糸くずは自分の後ろポケットへ入れた。


早稲「(人は見た目に寄らない……のか……?)」

今日はひとまずここまでで。明日10時頃更新します

予定より少し早いけれども始める


1.周囲を見回していた男の書いていたメモを覗き込んだ
2.水色のカッタシャツに黒のスラックスを履いた、生真面目そうな男へ話しかけた
3.背後の大きな物音に振り返った

↓1


 メモの内容を読み取ろうと、男の手元を覗き込む。が。

 ――これは読めない、正に宇宙人文字、とでも言いたいところだ。

 字が下手なわけではない。寧ろ、子供がアルファベットの筆記体を真似ようと、適当に鉛筆を動かしたものに近い。


???「……あのさあ。君それ、バレてないと思ってるのかい?」

早稲「なるほど分かったぞ……暗号だ。暗号解読者なんだ!」

???「…………」


 呆れたような表情で、男は手帳を閉じると、ズボンのポケットに仕舞い込んだ。

 それから早稲に、何か言いかけたところで、音道が先に「あっ」と声を上げる。


音道「直入さんじゃありませんか?」

直入「音道さん。どうも、お久しぶりです。覚えていらしたんですね」


 直入、と呼ばれた男は、彼女へ作ったような笑みを浮かべた。


早稲「音道さん、知り合いですか?」

音道「ええ、直入朝日(なおいり・あさひ)さん。幇間新聞の記者の方です」

早稲「幇間新聞……って、業界トップクラスの全国紙じゃないか!」

直入「そうだね。うーん、君はあまり見たことない顔だし……所謂ところの、幸運枠ってところかな?」

早稲「ふうん、知らない顔なら幸運ってことか。そう、僕は早稲佑だ」

早稲「ところで、それじゃあ、あの――駒牧って奴のことも?」

直入「……初めは、彼が幸運かと思ったけどね。違うんじゃないかなってさ」

早稲「てことは、駒牧も知らない顔だったってことか。何というか、何でも知ってる訳じゃないんだね」

直入「そりゃ、日本の人口は一億以上だからね。全員の子と知り尽くしてるわけないよ。取材した物事くらいしか知らないかな」

早稲「……因みに、その取材した物事っていうのは、どんなこと?」

直入「色々あるよ」

早稲「その色々って、具体的には?」

直入「あはは、やだなあ。色々はいろいろだよ」


早稲「ああは言ってたけど、本当に何でも知ってそうだな」

早稲「……なわけないよな?」

1.白衣の女性が、辺りを見渡しながら入ってくるところを見つけた
2.水色のカッタシャツに黒のスラックスを履いた、生真面目そうな男へ話しかけた
3.背後の大きな物音に振り返った


早稲「あの……」

???「うん? どうかしたか」

早稲「いや、ちょっと自己紹介をしたいと思ったんだ」

阪急「そうか、うん、なるほど。僕は阪急勇人(さかせき・はやと)、駅員をしている。君は?」

早稲「僕は早稲佑、よろしく」

阪急「よろしく。早稲君、良い名前だ、覚えておくよ」


 それだけ言って、彼は視線を前に戻した。


早稲「…………」

阪急「…………」


早稲「…………あの、そっちに何かあるの?」

阪急「? 強いて言うなら、ステージがあるな。時間にはまだ早い、誰も出て来はしないだろうが」

早稲「えっ、じゃあ自己紹介は終わりってこと?」

阪急「うん? すまない。あまりその、自己紹介をしたことがないものでな……一体何を話せばいいんだろう?」

早稲「何って…………何、何だろう?」

阪急「早くしないと、後ろに乗客が並んでいると思って……このままだと電車が来てしまうのではないかと」

早稲「そんなことはないと思うけど」

阪急「自動改札機ならぬ、自動自己紹介機が合ったら楽なものだと思うよ、誰か開発してくれる人間はいないものだろうか」

早稲「何の役に立つんだ、それ?」


1.白衣の女性が、辺りを見渡しながら入ってくるところを見つけた
2.耳の裏に赤いボールペンを挟んだ女子が、体育館へ入ってきたのを見つけた
3.背後の大きな物音に振り返った

↓1


???「ここで寝過ごすなんて、一生の不覚……」

早稲「どうも、初めまして。君は?」

二十八「ん? ああ、よろしく。僕は二十八明(つちや・あかり)」

早稲「二十八明……二十八ってあの、天文学者の? 彗星の?」

二十八「ふふっ、よく知ってるね」


 天文学者・二十八明――その印象的な名前は、三年前、二十八彗星という名前と共に、全国的に、大々的に報じられた。

 彼女の手によって発見された二十八彗星は、過去百年のうち、最も地球に近い距離をとり、60分間とはいえ、見かけ等級マイナス15もの明るさを叩き出したのだった。

 太陽系の起源に関して重要な位置づけとなる、ビッグバンからわずか7億年後の宇宙で生まれた銀河を発見したとか、小難しい話もある。


早稲「彗星に自分の名前がつくなんて、少し憧れるな。それが大彗星ならなおさら……」

二十八「まあ、確かに悪い気分ではないかな。小惑星くらいなら、君の名前も付けられるよ」

早稲「付けられるって……そういうもんなの? 自分の研究成果とかで、やっぱり自分の名前とかを……」

二十八「小惑星には自分の名前を付けられないんだ。それに、そろそろネタ切れだったから、割と助かるよ……時に君、名前は?」

早稲「わ、早稲佑だけど……」

二十八「オーケイ、申請しておくよ」

早稲「あっ、待ってくれ! やっぱり恥ずかしいから、やめてくれ……」

二十八「うん? じゃあなんのために君は名乗ったの? よく分からないな」

早稲「多田野自己紹介だよ!」


早稲「彗星かあ、もう一度あんなのが来れば綺麗なんだけど」

早稲「まあ、ここからじゃ見えないか」


1.本を小脇に抱えた少年に話しかけてみることにした
2.耳の裏に赤いボールペンを挟んだ女子が、体育館へ入ってきたのを見つけた
3.背後の大きな物音に振り返った

↓1

まあ本名じゃないし……そろそろプロローグを終わらそう


早稲「うわっ!? またか。今度は何の音だ……?」


 背後からの音に、早稲は振り返ると、そこには一人の女性がしゃがみ込んでいた。

 大丈夫か――そう声をかけようとすれば、彼女はばっと立ち上がって、早稲に向けてポーズをとる。


???「どこの誰かは知らないけれど 誰もがみんな知っている――しかして、その正体は!」

伊丹「『憎むな、殺すな、赦しましょう』――正義のヒーロー・伊丹仁(いたみ・しのぶ)、参上!」

早稲「だ、誰だ……というか、なんて登場の仕方だ!」

伊丹「ふっふっふ……ヒーローの登場シーンはこうでなくちゃならないからね!」

早稲「なんだよ、ヒーローって、子供番組じゃないんだから……」

伊丹「うーん、そう言われちゃってもしゃーないか。第一、私ってその子供番組に出演してるわけだしねー」

早稲「ふうん、じゃあ女優なの?」

伊丹「いやいやー、女優があんなに体張るわけないじゃん。言ったでしょ、私はヒーローなんだって……」

伊丹「ヒーロー・伊丹仁が表の姿なのだとしたら、世を忍ぶ仮の姿は何なのか……」

伊丹「それすなわち! 超高校級のスタントマン・伊丹仁なのだー!」

早稲「あ、そう……」

伊丹「あっ、何さなにさー! その興味を失くしたような顔! 世界が滅亡しても、絶対に救ってあげないんだからねー!」

早稲「世界が滅亡したらって、世界を救えてないじゃないか……」

伊丹「はっ! そこに気付いてしまうとは……えーい、そんなことはどうでもいい! で、君の名前を聞いておこうか」

早稲「……早稲。早稲佑」

伊丹「そう。早稲……ふむ、良い名前だ! 私? 私は、名乗るほどのものでもないよ……」

早稲「伊丹仁だろ……」


早稲「まあヒーローっていうのは大体あんな奴なのかもな」

早稲「あいつはヒーローじゃなくてスタントマンだけど」


1.本を小脇に抱えた少年に話しかけてみることにした
2.耳の裏に赤いボールペンを挟んだ女子が、体育館へ入ってきたのを見つけた
3.体育館へ走ってきた、ジャージを着た男子生徒が、大声で挨拶するのを聞いた

↓1


早稲「こんにちは、僕は早稲佑――」

???「『劇場があって劇が演じられるのではない。劇が演じられると、劇場になるのである。 つまり、劇場は「在る」のではなく「成る」ものなのだ。』」


 小学生のような外見の彼は、出会い頭、呟くように暗唱した。


早稲「……どういう意味?」

???「なんてことない。寺山修司さ、知らないかい? あんまりものを知らないみたいだね、兄さん」

早稲「し、失礼だな……ガキの癖に」

???「ガキだからと侮っちゃならないぜ。俺は何でも知ってるからね。まあ、第一俺はガキではないんだがね」

春浪「おっと、申し遅れまして。春浪道夫(はるなみ・みちお)という者だ。宜しく頼むよ」

早稲「春浪道夫……? なんか、どこかで聞いたことあるような名前だな」

春浪「まあ、本を知らない君に期待はしていないけれどね」

早稲「…………」

音道「春浪……確か、新進気鋭のSF作家ではありませんでしたか? 映画の脚本も手掛けていたような……」

春浪「なんだ、そちらの姉さんは知っているじゃないか。知らないかい、早稲青年。『危いことなら銭になる』なんて題名の小説」

早稲「そのくらい知ってるよ。ギャング小説かと思ったらハードSF、シリアスと思えばコメディタッチ……無茶苦茶な小説だって話題になってた、あれだろ?」

春浪「そう拗ねた言い方をするもんじゃないぜ、子供じゃないんだから。ま、事実ではあるがね」

早稲「……君が書いたって言うのか? あのSFを?」

春浪「そうだと言っているんだよ、早稲青年。『キイ・ハンター』も『100発100中』も……。言っとくけど、サインなら書かないよ」

早稲「うっ……だ、誰が欲しいと思うもんか……っ!」


早稲「まあ、サインなんて貰ったって何の役にも立たないしな。うん、そうだ、そうなんだ」


1.耳の裏に赤いボールペンを挟んだ女子が、体育館へ入ってきたのを見つけた
2.体育館へ走ってきた、ジャージを着た男子生徒が、大声で挨拶するのを聞いた

↓1


 耳の裏に赤いボールペンは、忙しさの象徴。小学生の頃はよく、意味も無しに真似をした動作だ。


???「もうずいぶん集まってるよ、少し遅かったみたいだね」

早稲「あの、一つ聞きたいんだけど」

一ツ橋「……一ツ橋四季(ひとつばし・しき)です、幇間新聞出版社で、編集の作業をしています。よろしく」

早稲「へっ……? あ、えっと、一ツ橋さん。宜しく。僕は早稲佑」

一ツ橋「ええ。そちらにいるのは――」

音道「はい、私はヴィオリストの」

一ツ橋「音道翠さん。何度かお会いしたことがあります」

音道「あっ、ええ、そうです。覚えていただけて、光栄です」

早稲「あの、ところで、幇間新聞出版って……」


 早稲は視線だけで、背後の直入を示した。

 彼女はそれを見てか見ずか、間髪を入れずに口を開く。


一ツ橋「名前通り、幇間新聞社の完全子会社です。彼とは……腐れ縁とでも形容すべきでしょうか」

早稲「腐れ縁ねえ……」

一ツ橋「まあ、どうでもいいことですけれど……。不躾な男ですから」

音道「けれど、先日取材にいらした時は……」

一ツ橋「営業です、誰にでもできる。騙されない方が良いですね」

音道「はあ、心得ました」

早稲「心得て良いのか……?」


大類「こんちはー! 大類拓海(おおるい・たくみ)です、皆さん、よろしくお願いしまーす!」


 静寂。

 大類は困ったような顔になって、「すべった?」と心配そうに言った。


早稲「いや、すべったとかじゃない」

大類「なら良かった。……で、お前誰だっけ?」

早稲「僕は早稲佑だ、よろしく」

大類「ああ、よろしくよろしく!」

早稲「なんか、雰囲気が大道芸人みたいで煩いな」

大類「マジで? 自分じゃそんなつもりないんだけどなぁ。エンターテインナーとはよく言われるけど」


 大類は肩を竦める。


大類「ところで、早稲は部活かなんかやってるの?」

早稲「またその質問か……いや、やってないよ」

大類「ええっ!? マジで、なんで? 体動かしたりしたらいいのに。楽しいよ」

早稲「動かしはするよ、部活はしないけど――」


 と言うのに交じって、背後で駒牧の壁当ての音が聞こえる。

 それに気づいた大類は、顔をより一層明るませると、


大類「おっ、あれって野球じゃん? 良いね!」

早稲「そういえば、大類は何のスポーツをしてるんだっけ?」

大類「言ってなかったっけ? ソフトボールやってんだよ。あっ、分かる? ソフトボールって……」

早稲「ああ、あのアンダースローピッチの野球だろ?」

大類「はあああああああああ!? 違う、違うって!!」

大類「……うん、ま、それでいいや。似たようなもんだし」

早稲「良いのか……」


大類「そんで……一体これって、なんの集まり?」

森脇「紙は読んだのか? 入学式と書かれてあったはずだ」

大類「いやいや、それは分かるよ、分かってるけどさ。でも、あんなの子供の落書きみたいだったじゃん」

二十八「でも、君もそれを手掛かりにして、体育館に来たんだろう?」

大類「そりゃそうなんだってば、でもさ――」

駒牧「あー、でも確かに……あんまり入学式、って雰囲気ではないな」

大類「そうそうそうそうそういうこと!」

阪急「……しかしそうは言うが、入学式らしい雰囲気とは、どういう雰囲気なんだ?」

音道「そうですね……少なくとも、在校生や教員の方々はいらっしゃると思います」

阪急「成程。……そうか、そういうものか」

空地「いや、普通分かるだろ、それくらい」


 異様な状況である割に、どこか堂々と振舞う彼らは、やはり普通の高校生とはどこか違うように感じて、早稲はいくらかの疎外感を感じていた。

 そして、そんな時――


???「やあオマエラ、全員集まったみたいだね」


 スピーカーから響く、気の抜けたような声。入学式、という、気の張りつめたこの状況においては、全く場違いな音だった。

 早稲と音道は、ほぼ同時に、声の元――ステージ上の教壇へ、視線を動かす。

 そしてそれは、正にその場所から、突然に姿を現した。


???「オマエラ、おはようございます!」

浅草「…………ぬいぐるみかな?」

モノクマ「ぬいぐるみじゃないよ! ボクはモノクマ、この学園の、学園長なのだッ!」


 右半身が白く、左半身を黒く、塗り潰された物体。

 身体は機械特有の無機質さを見せて、その形態はやはり、機械さながらの、デフォルメが施されている。

 自らそう名乗っているから、そうなのだろうが――モデルにした動物は、クマ、だろう。


指宿「ぬいぐるみが喋りよったな」

伊丹「中にスピーカーが仕込まれてるんじゃないかなー、私みたいに!」

阪急「ええっ?」

モノクマ「だからさぁ……ぬいぐるみじゃなくて……モノクマなんですけど! しかも、学園長なんですけど!」

直入「いやあ、どうかな。君がこの学園の学園長だって証拠は、客観的に見てもないと思うけど」

モノクマ「……えー、それでは、これより記念すべき入学式を執り行いたいと思います」

春浪「やれやれ、無視か……」


モノクマ「まず最初に、これから始まるオマエラの学園生活について一言……」

モノクマ「えー、オマエラのような才能溢れる高校生は、世界の希望に他なりません!」

モノクマ「そんな素晴らしい希望を保護するため、オマエラにはこの学園内だけで、共同生活を送ってもらいます!」

モノクマ「みんな、仲良く秩序を守って暮らすようにね!」


菊月「共同生活、ですか? 入学早々のレクリエーションということですか!」

許斐「へぇ、それは楽しそうねぇ。あんまり長いと参っちゃうけれど……二泊三日くらいかしら?」

モノクマ「えー、そしてですね。その共同生活の期限についてなんですが……」

モノクマ「期限はありません! つまり、一生ここで暮らしていくのです! それがオマエラに課せられた学園生活なのです!」

空地「はあ?」

一ツ橋「……つまり、あの鉄板や玄関ホールは、やはり私達を閉じ込めるためのもの、と」

モノクマ「そういうことだね! まあ、心配しないでもオマエラに不便はさせないよ! 思う存分、学園生活をエンジョイしてね」

森脇「はい分かりました……と、なると思うか?」

モノクマ「おやおや? オマエラもおかしな人だなあ……」

モノクマ「だってオマエラ、自分でこの希望ヶ峰学園にやってきたんでしょう? それなのに、入学式の途中でそんなこと言うなんてさあ……」

二十八「でも、こんなことをするために来たわけじゃないんだよ」

モノクマ「もう、なんだいなんだい、さっきから口を開けば文句ばっかり……」

モノクマ「……まあぶっちゃけた話、無いわけじゃないよ。この学園から出る方法」

モノクマ「学園長であるボクは、学園から出たい人のために、ある特別ルールを設けたのですっ! それが卒業というルール!」

直入「ええと、とりあえず……だから、君は学園長じゃ――」

モノクマ「シャラップ!」

直入「シャラップって……」

一ツ橋「……ともかく、その卒業のルールを答えていただけないかしら」

モノクマ「うぷぷ、それはね……」






モノクマ「人が人を殺すこと……だよ」





二十八「殺す……それ、どういうことか説明してもらえるかな」

伊丹「返答次第じゃ、このヒーロー・伊丹仁が黙ってないよ!」

春浪「あんたは黙っててくれた方が有難いんだがね……」

モノクマ「どうもこうも! 誰かを殺した生徒だけがここから出られる……それだけの簡単なルールだよ」


 平素楽観的な声で、モノクマは然も楽しげにそう話す。

 卒業、と言えば聞こえは良いが、どちらかと言えば退学と言うに相応しいルールだ。

 確かに、この学園に一生閉じ込められるとなれば、抵抗を覚える者もいる。どうしたって出たいと考えるだろう。

 しかしながら――それで殺人を犯す人間が、一体何処にいるだろうか?

 早稲は眉を顰める。込み上げる嫌悪感と、どこか馬鹿にされているような気さえする、焦燥感。

 そして、どうやらそれは、彼だけの考えでは無いらしかった。


指宿「言わせておけば、好き放題ほざきよって……」

浅草「全く同感だねえ。生徒に殺人を強要する学園長が、この世のどこにいるもんか」


 ステージ前、最前列で声を張り上げた二人は、真直ぐにモノクマを見据えると、壇上へ跳ね上がる。

 そうして、モノクマを足蹴にすると、ステージから叩き落とした。


指宿「そんなにして欲しいんなら望むところや、お前を殺してルールを達成、そんで終わりやろ――っ!」

モノクマ「…………学園長への暴力行為。校則違反だよ」


 と、突然モノクマは機械音を鳴らし出すと、先程までの饒舌はどこへやら、押し黙った。


駒牧「――どけっ、指宿!」


 ――一瞬。

 駒牧の声が耳に届いて、直後。体育館に響いたのは、耳を劈くような轟音だった。

 音の先からは、強烈なオレンジ色の閃光が、ほぼ同時に届く。それから少し遅れて、細かな硬い破片が、早稲の腕を掠めた。


阪急「……何だ、これは」

伊丹「爆発した! ぬいぐるみが、特撮モノの敵並に爆発四散したあ――ッ!」

春浪「うるさいな」

駒牧「ギリギリセーフか、はあ……ラッキーだな」


 あの時、モノクマを投げ飛ばした駒牧は、この中でも比較的落ち着いた様子で、気の抜けた声を出す。


早稲「おっ――お前なッ! 何て無茶するんだ! そんなことして、爆発に巻き込まれたらどうするつもりだったんだよっ!」

駒牧「どうって……あのままだったら、死んでたのは浅草と指宿だろ?」

早稲「いや、まあ、そうなんだけど……」

駒牧「結果オーライだよ、早稲」

早稲「……そういうものかな?」


音道「まあ、これであのロボットもいなくなったところですし――」

モノクマ「呼んだ?」

許斐「あらぁ、また出て来ちゃったわねぇ」

モノクマ「もうっ、最初だからこの程度で済んだけど、次はお尻ぺんぺんじゃ済まないからね!」


 やっぱりダメか――と、早稲の予想通り、そして淡い期待を裏切って、モノクマはステージの横から、ひょこひょこと現れた。

 爆発したモノクマと、見た目の上では大差はないが、勿論、スペアか何かなのだろう。


モノクマ「まあ、でもこれで分かってくれたよね。ボクが本気だってことがさ!」

一ツ橋「…………」

モノクマ「さて、これで入学式はお開きってことで。校則はそこにある電子生徒手帳でしっかり確認しておいてね。それじゃ!」


 不気味な笑い声と共に、モノクマは再び、姿を消した。

 静まり返った体育館に、16人と、疑心暗鬼だけを残して……。






     プロローグ【希望ヶ峰学園で会いましょう】

              END

                    …生き残りメンバー:16人





【早稲 佑】
超高校級の幸運
身長:176㎝  体重:63㎏  胸囲:83㎝

【指宿 素直】
超高校級のホテルマン
身長:183㎝  体重:84㎏  胸囲:97㎝

【大類 拓海】
超高校級のソフトボール選手
身長:180㎝  体重:76㎏  胸囲:90㎝

【駒牧 正春】
超高校級の???
身長:188㎝  体重:74㎏  胸囲:96㎝

【阪急 勇人】
超高校級の駅員
身長:176㎝  体重:66㎏  胸囲:85㎝

【空地 洋一】
超高校級のパイロット
身長:186㎝  体重:70㎏  胸囲:88㎝

【直入 朝日】
超高校級の記者
身長:175㎝  体重:62㎏  胸囲:82㎝

【春浪 道夫】
超高校級の作家
身長:140㎝  体重:32㎏  胸囲:64㎝

【浅草 六月】
超高校級の掏摸師
身長:173㎝  体重:53㎏  胸囲:87㎝

【伊丹 仁】
超高校級のスタントマン
身長:167㎝  体重:47㎏  胸囲:89㎝

【音道 翠】
超高校級のヴィオリスト
身長:168㎝  体重:45㎏  胸囲:91㎝

【菊月 ゆり】
超高校級の剣道部
身長:165㎝  体重:48㎏  胸囲:84㎝

【許斐 綾】
超高校級の食育委員
身長:156㎝  体重:48㎏  胸囲:88㎝

【二十八 明】
超高校級の天文学者
身長:160㎝  体重:42㎏  胸囲:78㎝

【一ツ橋 四季】
超高校級の編集者
身長:164㎝  体重:46㎏  胸囲:83㎝

【森脇 豊】
超高校級の監督
身長:170㎝  体重:50㎏  胸囲:79㎝

人がいたのに申し訳ないですが、とりあえず今日は終わりで
明日は18時頃に始めます




     CHAPTER.01【絶望のドラマが動き出す】(非)日常編



駒牧「ええっと――」


 まず口火を切ったのは、駒牧だった。


駒牧「それで、どうする? あれの言う通り、このまま誰かが殺し合いを起こすのを待つか?」

阪急「何を言い出すかと思えば……有り得ないじゃないか、そんなこと」

駒牧「うん、だよな。それなら良かった」

伊丹「とりあえずー、さっきみたいになりたくもないし、全員で校則を確認したらどうかな?」


 伊丹の言葉に呼びかけられるようにして、全員が電子生徒手帳を開く。

 小さな画面には、初めに名前が浮かび上がると、校則の画面が表示された。


1.生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3.就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。

4.希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

7.生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

8.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

9.学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑です。

10.校則は随時追加される場合があります。


菊月「ううん……でも何というか、大した情報はないですね」

音道「唯一分かるのは、先程のクマの言葉に嘘はない……ということでしょうか」

大類「……あのさあ、ちょっと気になるんだけど。この……学級裁判って何?」

一ツ橋「……額面通りに受け取って。殺人犯を突き止める会議、ということでしょう」

春浪「なるほど人を殺したからと、一筋縄にゃあいかないようだ」


 その瞬間、場に少しの緊張が張り詰める。

 学級裁判の文字が出てくるのは、七番目の校則――即ち、「生徒内で殺人が起きた場合」という前提の上で語られた校則。

 無論、あんなことを言われてしまえば、この項目を気にせざるをえなくなる。

 そう考えれば、大類の発言は、全くもって自然な質問だった。そして、それに対する一ツ橋と春浪の答えもまた、実にスムーズだ。

 しかしながら――逆に言えば、本当に殺し合いが起きないと、起こさせないと思っているのならば、七番目以降は、少しも意識すべきでない項目でもある。

 それをわざわざ口にするということは――それはたった少しでも、頭の片隅に、殺し合いを考えているからではないのか。

 疑心暗鬼が広がって行くのが、嫌というほど伝わってくる。早稲は唇を噛んで、生徒手帳を暫らく眺めていた。


早稲「まあ、それよりさ。まず、この学園を調べてみるべきなんじゃないかな?」

二十八「……うん、一理あるね。いつまでもここでじっとしてる訳には行かない」

森脇「そうだな。後のことを考えていても仕方が無い、今はこの状況を把握するのが先決だ。学園の構造も、まだよく分からんしな」

浅草「全部一人で調べるの? まあ、良いけどさ……面倒じゃないかい?」

指宿「好きに分担すりゃええやろ。いっぺん集まって、情報を共有すればいいだけなんやし」

許斐「……今が10時よねぇ。それじゃあ、12時に食堂に集まるのはどうかしらぁ? 丁度お昼だし、ご飯でも用意してるわ」

駒牧「じゃ、それで決まりだな。ここは一旦解散だ」


早稲「(さて、誰かと組んだ方が良いかな……誰を誘ってみようかな)」

↓1 >>76-77から、一緒に行動するメンバーを二人まで(単独行動も可)


早稲「空地君、一緒に探索に行かないかな?」

空地「ああ、別に構わないけど……あれか、音道さんについて」

早稲「そういうことじゃないってば! はあ……」

空地「ちょっとした冗談だよ、ははは。……っと、伊丹! お前一人で行くのか?」

伊丹「んー? 別に誰かと一緒に行く必要はないかなーと思うんだけど」

空地「そんなこと言ったって、女の子一人じゃ危ないだろ。なんなら、一緒に行かないか」

早稲「ええっ?」

伊丹「……にゃはは! 私がそーんな危ない状況に陥るワケないじゃん! なんたって私は、ヒーローなんだからね!」

空地「ヒーローの前に女の子だろ?」

伊丹「なっ……! そ、そんな……いや別に、でも……まあ、いいよ! 何かあっても、私が守ってやるから!」

早稲「ははは……なんか単純だな、伊丹も。しかし、音道さんも伊丹もなんて、空地君も、随分守備範囲が広いんだね」

空地「何がだよ? いくら体張る仕事してたって、伊丹は女の子だろ」

早稲「……まあ、いいや。行こうか」


伊丹「ところで早稲さあ。さっきから思ってたけど、腕ケガしてるよね?」

早稲「ん? ああ、そういや……さっき爆発の時」

伊丹「…………ねえ、空地! 保健室ってどこにあるか、知ってる?」

空地「ええっと、確かトイレの横の扉に、そう書いてあったような……」

早稲「いや、そこまで大したことじゃないよ。すぐに治るんじゃないかな」

伊丹「駄目、男だからって傷が残っていいワケじゃないんだから! 浅草ちゃんや指宿だって、気に障っちゃうと思うし……」

早稲「それ、気に病むのこと?」

伊丹「……そ、そうとも言うかな」


【保健室】

 濃い桃色の扉を開けば、鼻を刺すような臭いに眩暈を覚える。

 この臭いを嗅ぐのは久しぶりだが、いつまで経っても心地の良いものではない。


伊丹「おおっ、消毒液や包帯もあるね。少しの怪我ならここで治療できそうだね!」

早稲「それでお前、応急手当てもできないのかよ。スタントマンの癖に……」

伊丹「仕方ないじゃん! 私ケガしたことなんてただの一度もないしー!」

早稲「だからって、たかが治療如きに麻酔とか……そもそも麻酔じゃなくて睡眠導入剤だし」

伊丹「何が違うの?」

早稲「なにもかも違うだろ!」

空地「早稲、あんまり動くなよ。絆創膏ずれるだろ」

早稲「ああ、ごめん。ありがとう」


早稲「じゃあ、治療してもらったことだし……次はどこを調べようか」

伊丹「折角医務室調べたんだし、校舎側を一通り見てけば良いんじゃない?」

空地「でも、校舎側はみんな調べるんじゃないか? それなら、寄宿舎側を見て行った方が……」


1.校舎側を探す
2.寄宿舎側を探す

↓1


【寄宿舎】

 校舎から寄宿舎へ抜けると、ホールのような広い場所に出る。

 右手側は集合場所である食堂。左手側には、大浴場とランドリーがあった。

 廊下を真直ぐに進むと、16人分の個室が並び、突き当たりを左に曲がった先に、トラッシュルーム。

 個室の廊下を進む前に、右に曲がれば、短い廊下の先に、シャッターの下ろされた階段。その手前には倉庫があった。


早稲「はあ、何か予想以上に広いな。何処から調べればいいんだろう」

伊丹「まずは手当たり次第……うーん、このシャッターをぶっ壊してみればいいんじゃないかなー?」

空地「確かに校則には書かれてないけど、危険すぎる。止めた方が良いな」

伊丹「ちぇー……あっ、それなら窓についた鉄板を壊してみるとかー」

早稲「外すならまだしも、壊すって……」

空地「……まあ。物を壊さない程度に調べよう」


【個室】

空地「ここが部屋か……ホテルみたいだな」


 シングルサイズのベッドの横にはデスクが置かれ、その反対側にはテーブルと、空の棚。

 机の引出しを開けると、工具をまとめた箱が新品同様で入っていた。


 シャワールームにはトイレと流し台が併設されており、しっかりとガラス一枚隔てられている。

 どうやら湯船は無いらしい。この点、ホテルには少し劣る。

 そしてもう一つ劣るのは……プライバシーの煩い時代にはそぐわない、この監視カメラだ。

 どうやらモノクマは、日常生活まで隈なく監視するつもりでいるようだ。


伊丹「うーん、広いのはいいけど、あんまり長い間此処にはいたくないかな」

早稲「うん、それは同感かな」


【トラッシュルーム】

 部屋の奥にある焼却炉と、それを妨げるシャッター。

 試しに空地が押し上げてみたものの、軽い金属音を立てるばかりで、開きそうにはなかった。


空地「鍵が掛かってるみたいだな。モノクマが捨ててくれるってことか?」

伊丹「うん、ここは私が――」

早稲「だからやめろって言ってるじゃないか!」

伊丹「やだなー、ちょっとした冗談だよ。ところでさ、このフタなんだろうね?」


 と、伊丹が床に向けて指さす。取っ手の付いた蓋のような扉は、ちょうど人ひとり通れそうなくらいの大きさである。

 こちらも空地が持ち上げてみたが、扉が開かないまま、空地は静かに首を振った。


早稲「よく分からない部屋だったな……」

伊丹「そうだね。何に使うんだろ……ってまあ、ゴミ捨てなんだけど」


【大浴場】

 扇風機、体重計、観葉植物、正方形に近い長方形のロッカー。

 そんな脱衣所を越えた先には、二つの大きな浴槽があり、壁際には鏡とシャワーが、人数分用意されている。


空地「早稲、気付いたか……?」

早稲「うん、この大浴場は――混浴だ!」

伊丹「バカじゃないの、男って……」


 軽蔑の眼差しを向けながら、伊丹は気になっていたらしいサウナの扉を閉じて、脱衣所に出た。


空地「ふん、まあ冗談はおいておいて……ここにも監視カメラが無いな、個室のシャワールームと同じく……」

早稲「つまり、黒幕は女ってことだな!」

伊丹「……バカじゃないの? とりあえず、覗かないでね」


【倉庫】

 両脇の棚から溢れ出たらしいダンボールは、冷たい床へ無造作に散らばっている。

 どうやらこれを準備した人間――恐らく黒幕だろうが――は、整理が苦手らしい。モノクマで捜査している為だろうか。


伊丹「おーっ、ちゃんと食料もあるみたいだね!」

早稲「こっちはジャージ、こっちは水着か……本当に雑多だなあ」

空地「ということは……ジャージは体育館として、どこかに水着が使える施設があるのか?」

早稲「そりゃ学校だし、プールぐらいはあると思うけど……」

伊丹「んー、でもそれらしいものは見当たらなかったよね」

早稲「じゃあやっぱり、あの階段の上に、まだ色々そういうものがあるんじゃないかな」

伊丹「よし、そうとなったら――」

早稲「もういいって! ……それより、調べてない食堂を調べに行った方が良いんじゃないか?」

空地「そうだな。集合場所だし……そろそろ12時だ、行こう」


【食堂】

駒牧「……さて、腹ごしらえが終わったところで。全員いるな、誰も死んでないようで良かったよ」

阪急「こ、駒牧君、なんてこと言うんだ!」

一ツ橋「ペナルティとして殺されず良かったという話ではないでしょうか。血の気の多い人がいるようなので」

浅草「あはは、素直ひどいこと言われてるよ」

指宿「お前もやりよったやろうが、ええ加減にせえよ!」

春浪「もしかしたら、幽霊の一人やふたり、紛れ込んでるかもしれないぜ」

菊月「二人もいるんですか!?」

伊丹「ふふん、幽霊なんて、所詮死人だからね! この伊丹仁がちょいちょいーっと倒してやるんだ!」

空地「幽霊に触れるわけないだろ」

二十八「そもそも、幽霊なんて存在しない」

森脇「……お前らいい加減に静かにしろ。これは報告会だぞ!」


森脇「さて――静かになったついでに、私から話そう。私は大類と二十八と、教室の鉄板を調べたんだが……」

大類「いやー、もう無理っすよ、全然動かなくて、まあそりゃそうなんだけど。こう、バット使ってガーンといったんだけど、全然凹まなくて」

直入「君もしかしてさ。力付くで壊そうとしたりしてないよね」

空地「ソフトボールって木製バットだよな? 鉄板が壊れたり拉げたりすると思ったのか?」

大類「……! はは……そんなわけ……俺だって脳味噌まで全部筋肉で出来てたりするわけないじゃん」

森脇「……こいつが格闘している間に、こいつの部屋で釘抜きも見つけたんだがな。やはり駄目だった」

二十八「しかし、脳味噌まで筋肉で出来ているみたいだったね」

駒牧「うん、とりあえず、ここから出られないことはもう分かった。他には?」


音道「ええと、私はずっと、許斐さんと、菊月さんと食堂にいたのですが……」

許斐「ここから出られなくても食料の心配はない……って、言ってたわよぉ」

菊月「毎日捕球してくれるそうです、ありがたいです」

阪急「それは、ありがたいのか? 確かに死なないのは有難いが、ここで一生暮らすのが良いこととも、僕には思えないんだが……」

春浪「餓死するよりましだぜ。それとも、ここでずっと生きて行けるのに、わざわざ人を殺すリスクまで冒して、君は此処から出たいのか?」

阪急「いや、そういうことを言っているんじゃないんだ……ええと」

春浪「ちょっとした冗談なんだがね。君は真面目すぎるのをどうにかした方が良い」

伊丹「そういえばさー、工具セットなんてのが各個室に用意されてるみたいだったね」

二十八「それは僕の部屋には無かったな。代わりに裁縫セットと人体急所マップがあったよ」

浅草「なんかそれ、もう殺せって言ってるようなもんじゃない?」

指宿「まあ、こんなところでぬくぬく生きろ言う訳ないしな」

空地「一応言っておくと、ランドリーがあるから、洗濯にも困らないぞ」

音道「どんどん住みよくなっていきますね……」


阪急「ええと、玄関ホールから出られないのは分かったとして……学園側にはちゃんと保健室もあったから、怪我をしても大丈夫だ、とは思う」

指宿「学園側なら俺らも調べた。他にあったんは、購買部に視聴覚室、それから赤い扉があったけど、あすこは鍵がかかりよったな」

浅草「ところでさ。付かぬことを聞くんだけど、ここってホントに希望ヶ峰学園なのかい? 確かに、あのクマはああは言っていたけどさ」

直入「そこのところは間違いないね。少なくとも、一階部分はだけど」

一ツ橋「寄宿舎と学園の階段にはシャッターが下ろされていました。開閉ボタンは無いので、黒幕が管理しているものと思います」

浅草「おっ、さすがマスメディアだねえ」

直入「赤い扉が何だったかは……まあ、見てないから知らないけど」

一ツ橋「それともう一つ、立ち入りが出来ない場所が……」

駒牧「寄宿舎のトラッシュルームの先、だな。それは問題ない」


 そう言って、駒牧はテーブルの上に鍵を置いて見せた。


駒牧「さっき調べに行ったら、ゴミ当番を押し付けられたんだ。日替わりらしいけど、とりあえず今日明日は俺がやるよ」

春浪「そう言えば、そこで何か起こっても、自分じゃあからさますぎるってんで、罪を逃れられるな。ちゃっかりしてるぜ」

駒牧「ひねくれてるなあ……」


音道「では、以上で一通りの報告は終わりでしょうか?」

二十八「本当に、ここが住み心地のいい場所だって分かっただけだ……」

浅草「その割に疲れたけどねえ……あーあ、個室に行ってもいいかな? 何か眠くなってきたんだけど」

大類「じゃ、これで解散ってことでいいの? これ以上話すこともなさそうだしさ」

許斐「あら。それじゃあその前にぃ、もう一つだけいいかしらぁ?」

菊月「? なんですか!?」

許斐「うふふ。あのねぇ、食べ物は私が作るッていうのも良いけどぉ……誰かが起きてくるたびに、一々作るのも面倒なのよねぇ」

許斐「だけど、折角だからちゃぁんと美味しいものを食べてほしいし、八時には皆食堂に来てほしいのよねぇ」

音道「それなら、朝に情報共有もできますね」

二十八「夜間に誰か死んでもすぐに分かるね。うん、良いんじゃないか」

阪急「ぼ、僕はつっこまないぞ……」

森脇「健康的だ、悪くないな。大類のランニングの後の時間で丁度良い」

大類「えっ、俺こんなとこまで来て毎日毎日一人でトレーニングすんの?」


許斐「それじゃあ、決まりッてことでいいかしらぁ? 夕飯の準備するわね、それじゃあ、あとで♪」

浅草「あたしは暫らく寝てくるかなあ、それじゃあね」

二十八「……ふふっ。僕も部屋にいるよ、夕飯まではね」

空地「俺はもう少しここを調べてくる。何かあったら呼んでくれ」

阪急「ここにいてもすることはないな……僕も失礼する」


早稲「(うーん、確かにすることもないし。僕も一旦部屋に戻るか……)」


【早稲の部屋】


早稲「ん? なんだこれ」


 テーブルに目をやると、そこで何か反射しているのが見えた。

 近寄ると、クマ……というか、モノクマが書かれたメダルが、数枚置かれている。


早稲「何に使うんだ? ……ああ。そういや、購買があるって言ってたっけ」

早稲「……まあ、置いてあるってことは使って良いんだよな」


 〔モノクマメダルを5枚手に入れました。〕


早稲「さて、寝るにも夕食にもまだ時間があるし、どうしようかな……」


1.誰かに会いに行く
2.購買部に行く
(選択肢と共に>>76-77から人物も明記)

↓1

2選択でも人物指名をお願いしたい。言葉足らずで申し訳ないです
ということで人物安価を

↓1


【購買部】


大類「おっ、よっしゃ、ラッキー!」

早稲「あれ、大類も来たのか」

大類「おー、早稲じゃん! うん、なんか部屋に行ったらメダルが落ちてたって言われてさ!」

大類「で、素直さんがなんか購買部あるって言ってたじゃん? だからほら、ここで使えんのかなーって思ってさ」

早稲「へえ。そのメダルってやっぱり、このガチャガチャに使うんだ」

大類「ガチャガチャ? いやいやいや、普通ガチャポンでしょ。何、ガチャガチャって」

早稲「知るかそんなの……心底どうでもいいよ」

大類「ああ、でもなんか、モノクマはモノモノマシーンって言ってたっけ? うん、まあどうでもいいや!」

早稲「モノモノマシーン? 変な名前だな。それで、大類は何が出たんだよ?」

大類「そうそう、やっぱそれだよな! 一枚しか使ってないけど、さっきひまわりの種が出てきてさ!」

早稲「それ嬉しいのか、お前……?」


早稲「……まあ、とりあえず回してみるか」

 何回まわしますか?

↓1

〔ミネラルウォーター〕
〔塩〕
〔タンブル・ウィード〕
〔ミレニアム懸賞問題〕
〔動くこけし〕


早稲「…………」

大類「…………」

早稲「いる?」

大類「いや、いらない」

早稲「そう。まあ、そうだよな」

大類「……早稲ってさ、悪いけど、本当に幸運なの? それともそういう相手がいるの?」

早稲「知るかよ、もう。何が入ってんだよ、この機械」

大類「な、なんか、ごめん……」


【早稲の部屋】


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


早稲「くそ……大類め、夕飯の時にまで哀れむような視線向けやがって……」


 自室のベッドに腰掛けて、早稲は頭を抱える。

 それから、耳に残ったモノクマの放送を、頭の中でリピートしながら、ベッドに横たわる。


早稲「(本当に、コロシアイなんて始まるんだろうか)」

早稲「(例えば、今日の出来事が全部夢で、目が覚めたら本当の入学式があるとか……)」

早稲「(もしかしたら、希望ヶ峰学園にスカウトされたのも、全部夢だったら……)」

早稲「(……そっちの方が。よっぽどいいのかもしれないな)」


 ゆっくりと目を閉じて、それこそ夢のようなことを考えているうちに、早稲は、いつのまにか、深い眠りに落ちていた。

一日目が終わったところで今日は終了で。モノモノマシーンの商品は、抽選王の数字抽選モードで出してます
明日からは生徒との交流がメインになります。9時半~10時頃に始まるはず

遅くなり失礼しました。書き溜めしてないとおかしなところが見つかる、気を付けなければ

とりあえず、空地の「ソフトボールは木製バット」発言はこちらのミスです、失礼。始めましょう


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


早稲「まあやっぱり、夢じゃないよな。分かってたけど」

早稲「あれ、また机の上にメダルが……」


↓1のコンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります


早稲「寝てる間にモノクマが置いてったってことだよな。うわぁ、不気味だ」

早稲「……しかも昨日より多いな。ありがたいっちゃありがたいけど、どういう意図だよ」


 〔モノクマメダルを10枚手に入れました。〕


【食堂】

許斐「あらぁ、早稲君。おはようございます。もう出来てるから、冷めないうちに召し上がれぇ♪」

早稲「ありがとう、許斐さん。へえ、もう皆来てるんだ」

早稲「折角こんな機会だし、一人で食べるのも勿体無い……というか、悲しいな」


 >>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで

↓1


早稲「阪急君、直入君。隣良いかな?」

餡球「ああ。僕は構わないが……」

直入「良いんじゃない? みんなで一緒に食べた方が美味いって言うし」

早稲「それじゃあ、いただきま――」

直入「ご馳走さま」

早稲「えっ、もう食べ終わったの?」

阪急「僕より後から来たのに……よく噛まないと健康に悪いんじゃないだろうか」

直入「あはは、そう言われると否定できないかな。時間がもったいないと思うと、ついね……」

早稲「職業病ってやつか。超高校級の生徒らしいね」

阪急「まあ、分からなくもない。僕も、今日も特急列車が到着する三時間前には起きてしまって……」

早稲「うわあ、すごいなあ」


1:「ここに閉じ込められて、仕事の方は大丈夫なの?」
2:「三時間前に起きないとならないんだ……」
3:「二人とも、遊ぶ暇あったの?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「じゃあやっぱり、大変なんだね。こんなところに閉じ込められて」

直入「それは君もじゃないの?」

早稲「そうなんだけど……二人とも、仕事の方は大丈夫なの?」

阪急「まあ、恐らくは。希望ヶ峰学園に入学を決めた時点で、駅員の仕事は控えるようになったんだ。元々臨時だったから」

早稲「そうなんだ」

直入「と言っても、阪急君の懇切丁寧な観光案内が受けてるんじゃない? それなら――」

阪急「まあ、確かに……客足は少し減っていたが……」

早稲「言っちゃ悪いけど、駄目そうだね……。それで、直入君の方は?」

直入「どうだろうね。じゃ、ご馳走さま」

早稲「あっ、うん」


早稲「はぐらかされたのか、忙しいのか」

早稲「さて暇だ……どうしようかな」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


早稲「うわっ…………い、指宿君」

指宿「なんや、そんなビビりよって。人によったら傷付いとるぞ」

早稲「も、申し訳ないです」

指宿「なに同級生に敬語使いよるんや、はあ……どいつもこいつも」

早稲「(まあ、その見た目じゃヤンキーにしか見えないしな)」

指宿「お前今、なんや失礼なこと考えよったな?」

早稲「いやっ、別にそんなことあるわけないじゃないですか、全然! あはは!」

指宿「嘘やったらタダじゃおかんからな。しかし、何でこんなに敬遠されるんや、俺は」

早稲「そういうところだ……」

指宿「ああ?」

早稲「いや、ええと――」


1:「ホテルマンとのギャップじゃないかと」
2:「髪型を変えれば、雰囲気も変わると思うよ」
3:「皆目見当もつかないな」
4:その他(自由安価)

↓1

昨日は寝てしまった、失礼。ということで今日は早めに始めます


早稲「ホテルマンとのギャップ……じゃないかと」

指宿「つまり、この見た目なんやからホテルマンなんて名乗るな言うんか?」

早稲「いやいや、そういうわけでなく! えっと……皆意外に思って対応が出来ないんだ、その証拠に、そんなこと気にしなさそうな浅草や大類とはよく話してるし」

指宿「……はあ。まあ、お前がそう言うんなら、それでもええわ。しかし、言うほどギャップがあるんか? 理想のホテルマンと俺は……」

早稲「ホテルで働いてる時は、従業員の中で浮いてたり、上の人に何か言われたりしなかったの?」

指宿「年下やったし、浮いてはいたな。可愛がってはもろとったわ。上司は……支配人が父親やからな」

早稲「なるほど。お客さんからは?」

指宿「基本は裏方やったし、そもそも、客がホテルマンの外見なんぞ気にせんわな」

早稲「へえ、割とドライな人が多いんだね」

指宿「それに、客にも従業員にもこんな見た目の奴は何人かおったしな」

早稲「そ、それは……どんなホテルなんだ?」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


早稲「あ、二十八か……」

二十八「ん? 僕だったら文句があるのかな?」

早稲「そうじゃなくて……二十八はどう思うんだ? 指宿君について……」

指宿「俺みたいな奴の働いとるホテル、あるとは思うんやけどな」

二十八「はあ、なるほど……そうだね。申し訳ないけれど、僕は従業員の顔はほとんど見てないんだ」

指宿「ほらな、こういうもんや」

二十八「いつもの癖で、上ばかり見てしまってね。ふふっ……上には天井しかないのにね。此処に来てからも度々見てしまうんだ」

早稲「ああ……それは珍しいパターンだなあ」

二十八「まあ、指宿君のようなのは、警備員ぐらいしか居なかったかな。客にいるなら、それは構成員か何かだね」

指宿「…………」

早稲「(やっぱりそうなるよな)」

指宿「今何か思いよったか?」

早稲「ハハハ、そんな……滅相もない」


〔ミネラルウォーター〕
〔塩〕
〔タンブル・ウィード〕
〔ミレニアム懸賞問題〕
〔動くこけし〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「まあ……ほら、これで元気だしてくだ……出しなよ」

指宿「なんやこれ?」

二十八「タンブル・ウィード……いわゆる回転草だね」

指宿「ああ、あの西部劇で後ろをコロコロ転がっとる奴か」

早稲「そうだね」

指宿「正解やな。……で」

指宿「これでどう元気出せ言うんや! アホか! お前はこれ転がして遊びよるんか? あぁ?」

早稲「ひえ――っ、ですよね! す、すいませんって!」

二十八「ふ、ふふふっ……」


早稲「くっ、全部あのガチャガチャの所為だ……どっかにアイテム処理係でもいないかな。いないか」

早稲「ふう……もう少し時間があるし、出かけようかな」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


許斐「早稲君、こんにちは♪」

早稲「許斐さん。ご飯、ありがとう。美味しかったよ」

許斐「それなら良かったわぁ、やっぱり皆に食べてもらえると、嬉しいわよねぇ」

早稲「ふうん、そうなんだ……僕はあんまりご飯なんて作らないからな」

許斐「トーストくらいでも、美味しいって褒められるし……ねぇ?」

早稲「ねえ、って……何が?」

許斐「単純よねぇ、わたしも、みんなも?」

早稲「どうだろう、ははは、ほら、僕は誰かにご飯なんて作ったことないから」

許斐「まあ、男の人は、ねぇ。でも頼ったり、任せてもらえるのは、ちょっと嬉しい、かなぁ……」

早稲「そっか……喜んでもらえたなら、僕も嬉しいよ」


1:「夕食、僕も何か手伝おうか」
2:「家族や友達にも作ってあげたりしてるの?」
3:「今度は是非オムライスを作ってほしいな」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「そうだ、夕食は僕も何か手伝おうか」

許斐「夕食? うぅん、そう言ってくれるのは嬉しいけど……早稲君、ほとんどご飯作ったことないんでしょう?」

早稲「うっ……! まあ、食材切ったり、ご飯炊くぐらいなら」

許斐「身を切らずに、綺麗に皮剥ける? 私、切り傷の治療って苦手なのよねぇ……」

早稲「切り傷の治療ぐらいも、まあ自分で……」

許斐「実はあそこ、炊飯器無いのよねぇ。お釜でご飯、炊いたことある?」

早稲「え、えっと……」

許斐「ふふ、冗談よぉ、じょうだん。気持ちだけありがたく受け取っておくわねぇ♪」

許斐「……男の人と二人っきりはちょっと、ねぇ?」

早稲「そんなことはしないんだけど……まあ、いっか」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


森脇「どうかしたのか、二人とも?」

早稲「いや、夕食の話をしてたんですけど……」

森脇「ああ、許斐の食事は美味しいからな。栄養と味、両立を目指すのは、中々難しい」

許斐「そう言われると作った甲斐があります♪ ……って話してたところなんだぁ」

早稲「確かに、森脇さんは食事にも気を使ってそうですけど。自分でも料理は作るんですか?」

森脇「……恥ずかしい話だが、私は料理は出来なくてな」

許斐「あらぁ、それじゃあ料理、教えてあげましょうかぁ?」

森脇「それは有難いんだが、私は刃物を持つのも危険だから。遠慮しておこう」

許斐「そう? じゃあ、残念ねぇ」

早稲「でも、料理が苦手なんて意外ですね。スポーツ少女だったとか?」

森脇「いや、苦手なのではなく、危険なんだが……まあ、変わらないな」


〔ミネラルウォーター〕
〔塩〕
〔ミレニアム懸賞問題〕
〔動くこけし〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「許斐さん。これ、どうぞ」

許斐「懸賞問題? ふぅん、これを解くとお金がもらえるッてこと?」

森脇「この六番目の問題は解かれたと聞いたことがあるが……数学は分からんな」

許斐「うぅん、まあ、暇な時にでも読んでみようかしら。ところで、質問なんだけどぉ……」

許斐「これって何語? なのかなぁ?」

早稲「え? 日本語で書かれてない?」

森脇「ゼータはギリシャ文字だな」

許斐「……解読は無理そうねぇ」


【早稲の部屋】


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


早稲「やっぱりコロシアイなんて起こらない……そりゃそうだ。考えればすぐに分かることだよな」

早稲「ずっとコロシアイが起きなければ、ここから出られるんだよな」

早稲「……さすがにそうだよなあ」

キリも良いので今日はここで終わりで。四日目は動機発表になるのであしからず。

購買に行くことで行動は消費しないです。それと、二人にそれぞれプレゼントを渡すことも可能です、一応。記述不足。

明日は9時半頃になります、お疲れ様です。

また優勝を決められてしまった。サファテは信頼できるリリーフ、よく覚えてる

ということでもう少ししたら始めます


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


早稲「三日目か……今日も平和だといいなあ」


↓1のコンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります


早稲「お、また置いてある。昨日よりは……しょっぱいな」

早稲「どういう基準で置かれているんだろう」

 〔モノクマメダルを5枚手に入れました。〕



【食堂】

大類「だからさ、高校生だし、バットはFRPも金属も持ってんだよ、俺はね?」

空地「ああ、そう……悪いな」

早稲「……さて、誰と食べようかな」


 >>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで

↓1



早稲「浅草、伊丹、隣良いか?」

伊丹「おっ、早稲、中々お目が高いね! 両手に花だよ、このこのー」

早稲「本当だ、どっちも女なんだね。全然そんな気分しないな」

浅草「ええ? 酷いなあ……あたし達だってちゃんとした女の子なのになあ」

早稲「そりゃスタントマンとスリ師じゃなあ……ところで浅草、お前今財布スっただろ?」

浅草「ちっ、バレたか……」

伊丹「早稲、言っとくけどベルトも盗まれてるよ」

早稲「うわっ、いつの間に! なんだよ、変態かよ、お前、浅草……っ!」

浅草「あっはっは! あたしに勝とうなんて百三十億年早いんさね」


1:「しかしまあ、凄い技術だよな……」
2:「伊丹も何かスられてるんじゃないのか?」
3:「正義のヒーローとしては良いのかよ、これ」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「というか……伊丹は正義のヒーローとしては良いのかよ、これ」

伊丹「んー、まあ犯罪は犯罪だけどー……面白いからオッケー? みたいな? まあ臨機応変にね!」

早稲「あっそう……」

浅草「まあ、あたしとしては有難い話だよねえ。伊丹さんから掏ろうとしたら腕一本持ってかれかねないし!」

伊丹「にゃはは、ヤだなあ浅草ちゃん! 手加減するから指一本くらいだよ!」

浅草「それも困っちゃうなあ、商売道具だからね」

早稲「やっぱり両手に花とは程遠いじゃないか……」

浅草「おっと、今のはちょっとイラッと来るね。ということでメダル没収と……」

早稲「だから財布とベルト返せよ!」


早稲「気を付けないとな、スリにもだけど、暴力にも……」

早稲「よし、出かけよう」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


空地「お、早稲。調子はどうだ?」

早稲「うーん、まあまあかな……コロシアイなんて結局起きないし、割と楽に暮らせてるよ」

空地「油断はできないけどな。俺は美人と飯が食えるから、割と満足してるよ」

早稲「相変わらずというか、何というか……空地君、そんなにいつも音道さんとご飯食べてるの? 迷惑がられない?」

空地「いつも音道さんと食べてるわけないだろ? ほら、ここにいる女性は割とみんな美人だし……」

早稲「僕にそんなこと言ったって、いくらなんでもポイントは稼げないよ」

空地「何のポイント? マイル?」

早稲「え? さすがに冗談だよね。大体、そんなことしなくたって、空地君は割とイケメンだし、パイロットだし、モテるでしょ?」

空地「……否定はしないな」


1:「そこはもっと謙虚に行った方が良いんじゃないの」
2:「へえ……やっぱりパイロットってもてるんだなあ」
3:「……一応聞くけど、それ、素なの?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「へえ……やっぱりパイロットってもてるんだなあ」

空地「飛行機の話とかすると、意外と喜ばれるんだよな」

早稲「ああ、乗ってる時の感覚とか? ……羨ましいな、僕は乗ったことないし」

空地「いや。ミッドウェスト航空5481便がウェイト・オーバーで墜ちた話とか」

早稲「……それ、喜ばれてるの?」

空地「後はギムリー・グライダーだな。あれは面白いぞ、ヤード・ポンド法とメートル法を間違えたんだ、カナダだから起こった事故なんだな!」

早稲「すごい……空地君が今までで一番活き活きとしている……」

空地「エルテンイレブン・トライスターはロッキード事件の印象があるけど、機体としては同時期に争ってたDC10よりも評判がよくて……」

早稲「え、えるてん……?」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


空地「で、確かに欠陥の多かったDC-10なんだけど、そっちはそっちで、ブルー・インパルス並みのアクロバット飛行までしたことがあるんだ! まあ、さすがに着陸後はガタガタだったらしいけど」

一ツ橋「フェデックス航空705便ハイジャック事件だね」

早稲「一ツ橋さん……助かった……」

空地「へえ、よく知ってるな、一ツ橋さん」

早稲「確かに、一ツ橋さんが飛行機に詳しいなんて、意外でした」

一ツ橋「えっ……いや、それはその……飛行機事故の特集も組んだことがあるから」

空地「特集した内容をちゃんと覚えてるなんて、しっかりしてるんだな。いい奥さんになれそうだな」

一ツ橋「それとこれとは別問題だと思うけれど……。貴方はホストに向いていそうですね」

空地「ん? どうして?」

一ツ橋「自覚がないなら結構です。ただ発言には気を付けた方が良いでしょう」

早稲「効かない人もいるんだ、なるほどなあ」


〔ミネラルウォーター〕
〔塩〕
〔動くこけし〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「あ、空地君、これあげるよ」

空地「ん? ミネラルウォーターか。海外では割と買うんだよな」

一ツ橋「まあ、海外に行く機会があるかどうかは、分からないけれど……」

空地「それは割と酷い言い様だな。まあ、現実的な女性も魅力的だとは思うけど」

一ツ橋「そういうところがいけないんだと思います」

空地「? ああ、早稲、ありがとうな」

早稲「いや……空地君も大変だね」


早稲「一ツ橋さんには、これどうぞ」

一ツ橋「……塩ですか。これは、塩を蒔かれているということですか?」

早稲「いやいや、そういう意味じゃなくてですね」

一ツ橋「いえ、ちょっとした冗談ですけど。校閲の時の塩分補給に使います、ありがとうございます」

空地「水分補給のミネラルウォーターも飲むか?」

一ツ橋「それは貴方が貰ったものです」

早稲「仲悪いな、この二人」


【通信簿イベント】

早稲「空地君って、超高校級のパイロットだったよね。免許取るのは大変じゃなかった?」

空地「そうだな……でも、昔から空を飛びたかったし、そう苦には思わなかったな」

早稲「へえ、やっぱり夢に向かって突き進むのは格好良いね。男らしくて」

空地「そうか? そう言ってもらえると、やっぱり少し照れるな……」

早稲「やっぱり将来はエアラインのパイロットになるの? それとも自衛隊機?」

空地「うーん、まだ確定はしてないけど……とりあえず、飛行機の中で死にたいな」

早稲「……ん?」

空地「墜落して死ぬのは、割と良いなあ、と思って。それが、当面の夢かな」

早稲「そ、そう……なんだ」

今日はここでおしまいで。明日も9時半頃です、お疲れ様でした

寝てました、本当申し訳ないです、始めましょう


早稲「もうちょっと出かけよう」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1

【購買部】

早稲「今度こそ良いもの出さないとな……」


 何回まわしますか?(モノクマメダル所持数15枚)

↓1


〔浮き輪ドーナツ〕
〔浮き輪ドーナツ〕
〔新品のサラシ〕
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔カットバサミ〕
〔無言電話〕
〔聖徳太子の地球儀〕
〔阿修羅の涙〕
〔蝶ネクタイの変声機〕
〔隕石の矢〕


早稲「うーん……まあ当たり、か? 当たりってほどでもない気がするけど」

早稲「まあ前よりはましだな、間違いなく……」


早稲「購買では、そう時間は潰せないよな。もう少しどこか行こう」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


春浪「おや、お久しぶりって感じがするね、早稲青年」

早稲「どうもその喋り方は鼻につくな……」

春浪「あんたはもう少し自分の言葉に気を使った方が良いぜ。俺は別に構わないがね……」

春浪「『打ちゃって置くと巌頭の吟でも書いて華厳滝から飛び込むかも知れない』――そんなメンタルの弱い奴は昔からいるもんだぜ」

早稲「何だ、それ」

春浪「漱石だ。しかし、やっぱりあんたは物を知らないらしいね」

早稲「別に漱石ぐらいは知ってるよ。ただ、教科書ぐらいしか読んだことないから……」

春浪「ま、否定はしないぜ。俺も似たようなものだ。作家だからって本が無きゃ生きてられないわけじゃないんだからね」


1:「そういえば……新作は今書いてるのか?」
2:「ん? それって本を読まないってこと?」
3:「才能がある奴は違うな……」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「才能がある奴は違うな……」

春浪「ああ。才能があるのには相違ないな。兄さんには無論ないと思うけれど」

早稲「一々嫌味なこと言うなよ!」

春浪「おれは事実を言ったまでだぜ。自分だって分かってるだろう?」

早稲「まあ、文才が無いことも凡人であることも否定しないけど……」

春浪「物分かりの良い奴は嫌いじゃないぜ。悪い奴よりはまし、なんて程度だがね」

早稲「言いたいこと言いやがって」

春浪「ふん、面白いなあ、あんたは本当に。からかい甲斐があるってもんだ」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


菊月「道夫さんに早稲さんじゃないですか。どうかしたんですか」

早稲「ゆりちゃ……いや、苗字に戻さなくてもいいんだけどな」

春浪「なんの用だ、あんたには関係のない話だぜ」

菊月「はあ、申し訳ないです」

早稲「その言い様は無いんじゃないか、年上の女性に対して」

春浪「年上じゃないぜ、同い年だろ? どうもいけ好かないんでね。大抵女にゃ媚を売るんだが、こういう通じなさそうな女は……」

早稲「お前、今最低な発言してると思うよ」

菊月「そうですか、残念です! でも、私は別に道夫さんも嫌いじゃありません。なので、問題ありません!」

春浪「大問題だ、おれは暴力的で馬鹿な女は嫌いなんでね」

菊月「暴力的ではありません、護身です!」

春浪「過剰防衛だ、いつか人殺すことになるぞ」

早稲「この状況だと、洒落にならないからな……?」


〔浮き輪ドーナツ〕
〔浮き輪ドーナツ〕
〔新品のサラシ〕
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔カットバサミ〕
〔無言電話〕
〔聖徳太子の地球儀〕
〔阿修羅の涙〕
〔動くこけし〕
〔蝶ネクタイの変声機〕
〔隕石の矢〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「落ち着けよ、春浪。ほら、これ」

春浪「物で釣られるガキとは違うんだぜ、おれは……」

菊月「なんですか、これは?」

春浪「聖徳太子の地球儀だろ。まあ、センスとしては悪くないな、ありがたくいただくぜ」

菊月「嬉しそうですね!」

春浪「黙ってろ」


早稲「で、ゆりちゃんには、これを……」

菊月「……?」

春浪「自分は大したものが貰えなくて悔しかったか」

菊月「いえ、別に悔しくはありませんし、特別嬉しいわけでもありません! でも貰えるなら、一応いただきます」

早稲「はっきり言うなあ……」


【早稲の部屋】

キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


早稲「あー、何か今日は疲れたな……どうもぴりぴりした雰囲気に立ち会い過ぎた気がする」

早稲「もう寝よう」


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


早稲「まだ眠いけど、朝食は食べないといけないな」


↓1のコンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります


早稲「日に日に少なくなってないか?」

早稲「……もしかして、しょっぱいって言ったの聞かれたかな」

 〔モノクマメダルを4枚手に入れました。〕



【食堂】

早稲「で、誰と食べようか……」


 >>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで

↓1


空地「なあ早稲、ベルト盗まれたって本当か? 普通気付くんじゃないのか、それくらい……」

早稲「空地君、ネクタイは?」

浅草「なんか早稲さんも慣れて来ちゃったよねえ……つまんないの」

早稲「俺としてはそろそろ飽きてスるのやめてほしいんだけどな……」

浅草「それは無理な話さね。空地さんだって、パイロットやめろって言われてもやめないでしょ?」

空地「ああ、絶対に辞めないし、飽きないな。ハイジャックの後遺症が残っても……」

早稲「いや、それはもう操縦出来ないんじゃないかな?」

空地「できるかできないかじゃなくて、するかしないかだ!」

浅草「そうそう、指無くなっても足で掏ればいいんだ!」


1:「すごいな……いつからそんなに執着してるの?」
2:「羨ましいな……そういうものがあるって」
3:「でもベルトやネクタイ盗んで何が楽しいんだよ?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「でもやっぱり羨ましいな……そういうものがあるって。僕にはそこまで拘れるものなんてないし」

浅草「うーん……それはちょっと違うかな、早稲さん」

早稲「違うって?」

浅草「ほら、早稲さんはさ。いくつもある選択肢から、好きなものを選んだりできるでしょ?」

早稲「まあ、そういうことになるのかな……浅草は違うのか?」

浅草「あたしにはこれしか無かったんさね。この才能があるから、あたしは此処にしかいられない、これしかできない」

早稲「…………」

浅草「――なーんてね! まあ、どっちでも良いんだけど。あたしがやりたくてやってんのは事実だし! で、空地さんはどうなんだい?」

空地「……そうだな、浅草の言う通りかもしれない」

早稲「えっ? 空地君は、航空機が好きじゃない、ってこと?」

空地「いや、そういうわけじゃないよ。飛行機は好きだ、でも、ここまで拘らなきゃいけなかったのは……」

空地「……ははっ。やめよう、この話は。面白くないしな」

早稲「……そうだね、そうしようか。ごめんね」

空地「何で謝るんだよ、とりあえず浅草、ネクタイ返せって」

浅草「はいはい、すいませんねっと」

そろそろ動機発表、というところでここまで

明日はちゃんと9時半に来ます、すいませんでした。お疲れ様です

【通信簿イベント】

早稲「慣れたとはいえ、やっぱりネクタイやベルトは驚くな。本気出したら服まで盗まれそうな勢いだ……」

浅草「さすがにそんな変態じゃないさね」

早稲「この前は腕時計も盗んでたっけ。お前が盗めないものって何なんだよ?」

浅草「早稲さんの心かな――なんて冗談は置いといて……ちょっとこの地図で道案内するふりしてくれない? あたしが観光客って体でさ」

早稲「はあ……ええっと、ここが東京駅だから――」

浅草「ふんふん」

早稲「で、西に行くと皇居にぶつかって、北に行くと大手町駅――」

浅草「なるほど。ちなみに、こっちは?」

早稲「そこは日比谷公園があって、公会堂があったり、その横に省庁が――」

浅草「あっ、もういいよ。今の早稲さんから盗めるのはこのくらいかな。ほとんど持ってなかったからね」

早稲「財布、生徒手帳、ベルト、上着、腕時計……もう充分だろ……」


早稲「しかし、ここに来てからもう四日目か……」

空地「確かに、随分経つな。それにしても、助けが来る様子も無いな」

モノクマ「そうそう、誰かを殺すようなヤツも現れないしね!」

浅草「突然会話に割り込んでくるねえ……」

モノクマ「ふう……オマエラ、ゆとり世代の割にはガッツあるんだね。でも、ボク的にはちょっと退屈ですぅ~!」

春浪「君の退屈なんぞ知ったこっちゃないぜ。どうでもいい話だ」

モノクマ「おやおや、ヒドいこと言うねえ。こっちとしてはとんだ迷惑なんだよ。場所も人も環境も、ミステリー要素はぜーんぶ揃えたって言うのにさ……」

モノクマ「あっ! 分かった、ピコーン! 全部揃えたと思ったけれど、そうか、アレが抜けてたんだね!」

菊月「アレっていうのは、何ですか?」

モノクマ「ずばり……“動機”だよ!」


二十八「……まあ確かに。何かアクションを起こす時、そこには必ず動機が存在するね」

浅草「ちょっ……ちょっとちょっと、なに納得しかけてるんさね、二十八さん」

二十八「――しかし、そこまでするだけの動機が、そう簡単にあるとは思えない」

モノクマ「ふーん……けど、これを見ても同じことが言えるのかな?」

モノクマ「これっていうのは、ズバリ、学園外の映像なんだけどね……」

直入「学園外の……具体的には、学園外のどんな映像なんだい?」

モノクマ「うぷぷ……そう焦らないでよ! 見てからのお楽しみってことで!」


 相変わらずの能天気さに、早稲はやはり不快感を感じざるを得なかった。

 女性のような無邪気さで、子供のように残酷に、男性さながらに判然とした物言い。

 しかしながら、この黒幕は――女性ほど脆くはなく、子供ほど無知でもなければ、男性ほどの信念があるわけでもない。全てが演技に過ぎないのだ。


駒牧「だったら、行って確認しないことはないな。……その前に、聞かせてくれ」

モノクマ「うん?」

駒牧「お前は一体何がしたい? 俺達に、何をさせたいんだ?」

モノクマ「ボクがオマエラに、させたい事? あぁ、それはね……」




モノクマ「――なーんて、言うワケないじゃん! そう簡単に自分の目的を話すほど口が軽いクマじゃないんだからね!」

駒牧「……まあ、そうだな」

モノクマ「まあ、その辺はこの中にいる内通者から聞き出すなりなんなり、お好きにどうぞ。ボクは止めないよ。そんじゃあ、バイナラー!」


伊丹「えーと、行っちゃった……ね」

大類「ちょっ……ええ!? いやいやいや、その前にさ。な、なに? 内通者って何? どういうことすか?」

森脇「お前が内通者じゃないことは分かった」

音道「この中に、あのモノクマの協力者がいる……ということでしょうか?」

駒牧「まあ、当然と言えば当然だな。念入りな奴みたいだし、保険はかけておきたいんだろう」

春浪「……そうは言うがね、兄さん。あんた、自分が一番疑われる立場だって、理解していないのか?」


 平静を装った声で、駒牧が言えば、それを別の意図と解釈したか、或いは彼なりの冗談であるのか――春浪は微笑を湛えた。


阪急「は、春浪君――」

春浪「だってそうじゃないか。ここにいる中で唯一、才能も過去のこともわかっちゃいない。これ以上に怪しい人間なんていないぜ?」

駒牧「まあ……そう疑われない方法を、考えておくことにするよ」


許斐「うぅん、まあ小難しいことは置いておいて……その映像を見に行ってみないかしらぁ?」

音道「けれど、罠かもしれませんし……」

一ツ橋「何の意味があるのか、気になるでしょう?」

音道「それは、否定できませんけれど……」

指宿「行ってみるに越したことはないやろ。破棄するにしたって、全員の前でやった方がええわ」

浅草「まっ、何見せられたって、そうそうコロシアイなんて起きる筈ないと思うけどねえ」

空地「確か、モノクマは映像だって言ってたな……だとしたら、視聴覚室辺りか?」

早稲「……行ってみようか」


【視聴覚室】

 黒板前の大きなスクリーンと、机の代わりに連なるDVDデッキ。

 視聴画一を使う機械など、今までの学生生活を通しても、殆ど無かった早稲だが、一般の学校に較べ、この教室が豪華なのは、なんとなく理解できた。


 教卓の上には、無地の段ボール箱が、これ見よがしに置かれている。

 中を覗き見れば、16枚のDVDが、東明のシンプルなケースに入れられてあった。

 ケースの一枚一枚に、それぞれの名前が書かれている他は、何の印字も説明も書かれてはいない。


早稲「これが、その動機の映像……で良いんだよね?」

森脇「間違いないだろうな。……さて、どうする?」


直入「そうだねえ……気になるんだったら、見ても構わないと思うよ」


 そうして直入は、「僕は見ないけど」と付け加えて、ちゃっかり自らのDVDをゴミ箱へ放り捨てた。


春浪「へえ、兄さんが見ないとはね。てっきり、そういうのは真っ先に見るものだと思ってたぜ」

直入「……まあね」

春浪「まあ、俺も別に見る気はないね。強制されてもいないのに、わざわざ危険を冒すなんて愚の骨頂だぜ。フィクションだけで十分だ」

許斐「うーん、私もぉ……外とかはあんまり興味ない、かなぁ?」


 そうして何人かは、既にそのDVDから興味を失くしたように、間を取った。

 けれど、全員が全員、そんな選択を出来るわけでもない。


伊丹「…………」

春浪「……おいおい姉さん、正気か?」

伊丹「うん。……空地が言ってたけどさ、私ってほら、ヒーローである前に人間でしょ?」

空地「俺は別に、そんなつもりでそう言ったわけじゃ――」

伊丹「にゃはは! だよねー! そう、こんなのただの責任転嫁だけどさ。……私には――」

二十八「それよりも大切なものがある、かな?」

伊丹「……ごめん、ヒーロー失格だね! なーんか私らしくもないね。そりゃ嫌だよね! こんなの見て、私だったら簡単に人なんて殺せちゃうわけだし!」

菊月「そんなことはないです! 私は――守りたいものがある方は、素敵だと思います」

伊丹「菊月ちゃん……」

モノクマ「あのさあ……大切だとかなんとかイイ感じの雰囲気漂ってるけどさあ……そんなの見たいだけの言い訳でしょ?」

モノクマ「そんな下らない言い訳してないで、見たいんなら早く見ちゃえっつーの!」

春浪「チッ、うるさいクマだな……」

一ツ橋「そこまで言うなら、私が見ましょう。仕方がありません」

直入「…………!」

春浪「――あんたはもう少し、人の話を聞く人間だと思っていたけどね、姉さん」

一ツ橋「構いません。処分される前に見た方が良いと思っただけです」


 すると一ツ橋は、自分の名前が書かれたディスクを選び取って、デッキに腰掛けた。


 そんな一ツ橋につられるようにして、一人、また一人と、段ボールへ手を伸ばして行く。


伊丹「――ごめん、私も」

浅草「ふーん。そんじゃ、あたしも見ようかな。気になるのは確かだしね」

指宿「お前、話聞いとったんか?」

浅草「嫌だなあ! 素直の方が気になってるくせに」

指宿「チッ……まあ否定はできんわな」

空地「――悪いな、春浪。折角止めてくれてるっていうのに」

二十八「僕も見せていただくことにしようかな。夜空でも映れば最高だけどね」

森脇「…………」

大類「ちょっちょっちょっと! 豊も見るわけ? だったら俺だって!」


春浪「やれやれ、やっぱり半数は見に行くことになるわけか。……で、やっぱりあんたは見に行かないのかい、兄さん?」

駒牧「参ったな。まあ、これを見に行くことでお前の疑いが晴れるんなら、見てもいいな」


 そう言いながら、駒牧はディスクを取って、デッキの一席へ腰を下ろす。


春浪「どういうつもりだ?」

駒牧「どうもこうもないよ。俺が最初に行ったら、扇動したんじゃないかと思われると思っただけだからな」

春浪「小賢しい野郎だな。まあ構わないが……で、あんたらは良いのかい? 別に見に行ったって構わないんだぜ」

音道「私は……結構です。意思の弱い方ですし」

菊月「少し迷いましたが、現状満足していましたので!」

阪急「え? まあ……別に構わない、僕は」

春浪「賢明だと思うぜ。して、君はどうなんだ、早稲青年?」

早稲「僕は……」


1.DVDを見る
2.見ない

↓1


早稲「いや、見ないよ。馬鹿馬鹿しいだろ、自分からこんなの見るなんて」

春浪「ふん、今おれの中であんたの株が上がってるかもしれないぜ、早稲青年」

早稲「なんだよ、嬉しくないな……」

菊月「もしかして私の株も上がってるんですか?」

春浪「大暴落だな」

菊月「ひ、ひどいです! 翠さん――」

音道「あの、菊月さん……どうして私に頼ってくるのでしょうか……?」

許斐「そこの三人より、頼りがいがあるんじゃないかしらぁ」

阪急「まあ、確かに僕は頼りがいのある方ではないが……」

直入「さあね。もっと別の理由だったりして」


早稲「(そうだ、こういう楽しい時間を、わざわざ無茶苦茶にする必要ないからな)」

早稲「(例え、外で何があろうと……うん、たぶん)」


〔誰かに話しかけますか? (阪急、直入、春浪、音道、菊月、許斐から一人選択)〕

↓1


早稲「ねえ、許斐さん」

許斐「あらぁ、愛の告白? ごめんなさいねぇ……」

早稲「いやいや、そうじゃなくってさ。どう思う、この動機について?」

許斐「どう……どんな映像を見せられてるだろう、ッてことかしらぁ?」

早稲「うん、ここまで勿体ぶられたら、見ないと言えど気になるし……」

許斐「そうねぇ……動機になり得る、外の話、かぁ……」


 許斐は普段通りの表情で、少し間を置く。それから早稲をじっと見て、首を横へ傾げた。


許斐「早稲君はどうかしらぁ、思い付くの?」

早稲「全く。そもそも、僕は人を殺そうとしたことなんて気持ちに、なったことないから……」

許斐「人を殺したい、ねぇ……?」

許斐「そういうのはぁ……誰かを恨むか、誰かを助けたいか、じゃないかしらぁ?」

早稲「恨むか、助けたいか――」

許斐「うふふ、分からないけどねぇ。見た人に聞いてみたらどうかしらぁ?」

早稲「ご尤もな意見だ……」


許斐「噂をすればぁ――」


 と、許斐が言いかけた時、まずヘッドフォンを脱ぎ捨てて立ち上がったのは、伊丹だった。


伊丹「な――っ、何なの、これっ!」

大類「何で!? なんでこんな、こんなことになって……」

空地「…………」


 次々にヘッドフォンを外す彼らは、ある者は怒りをぶつけ、またある者は、青褪めた表情で言葉を失っている、


モノクマ「うぷぷぷぷ……! どうでした? ボクからのプレゼント!」

一ツ橋「端的に言って、面白いものではないわ」

二十八「最低だね……卑怯にもほどがあるというものだ」

森脇「一応聞いておくが……この映像、捏造ではないんだな?」

モノクマ「……ハア、ガッカリぢょ。自分の気に食わないものは何でもかんでも捏造捏造って――」

モノクマ「そんなことしてるから、本当のことまで捏造に見えてきて、捏造まで本当に見えちゃうんだよ!」

指宿「なら、このDVD映像は?」

モノクマ「勿論ホンモノですけど?」

浅草「駄目じゃん……」


春浪「……勘違いしているようだがね。その映像が本物かどうかは然したる問題じゃないんだぜ?」

春浪「問題は、それを信じてあんたらが人を殺すかって話なんだから」

阪急「一理ある。……どうなんだ、皆は?」

浅草「あたしは別に結構かなあ。やっぱりどうでもいいっちゃ良かったね」

指宿「当然やろ、こんな不確かな映像で人が殺せてたまるかっちゅうんや」

一ツ橋「概ね同意ね」

菊月「そうですか、それなら良かったです!」


 ぱっと表情を明るませた菊月に、やはりモノクマは水を差す。

 いつもながらのスピードで、空地と二十八、伊丹からDVDを奪い取ると、教壇の上で掲げて見せた。


モノクマ「で、キミはどうなの空地クン? この映像で人を殺さないって言えるの?」

空地「それは……」

モノクマ「二十八さんはどうかな? この映像、ホンモノだと思う? 疑うなら確かめてみたくならない?」

二十八「…………」

モノクマ「んでんで! 正義のヒーロー的にはこれを見逃せちゃうワケ?」

伊丹「…………っ!」

春浪「ふん……冗談がきついぜ、お三方」

モノクマ「――とまあ、信じるか信じないかはアナタ次第! ってことで、ほんじゃ、バイナラー!」

モノクマ「うぷぷぷぷ……乗り越えられると良いね……」


 そんな台詞を残して、モノクマは姿を消した。


阪急「ちなみに、DVDの内容を教えてくれる人はいないのか? あまり状況が呑み込めないんだが……」

駒牧「教えるとか言う前に……人によって内容が違うんじゃないか?」

音道「まあ、それぞれにわざわざ名前が書かれている訳ですからね」

直入「その辺りは詮索されたくない人もいるんだろうし……まあ、動機たり得るものがあるとだけ思っておくべきじゃないかな」

二十八「……少し気分が悪いね。僕は帰らせてもらおうかな」

森脇「おい、二十八――」

二十八「君達も、殺人鬼になるかもしれない人間がそばにいてほしくは無いだろうからね。ふふっ」

大類「……俺も、一旦帰るかなー。ほら、心の整理も付けたいし?」

森脇「ハア……それなら、一先ずはここで解散にしよう。ただし、夕食には必ず出ることだ、良いな?」


 森脇の一言で、メンバーは散り散りに視聴覚室を出て行った。

 何の解決も出来ないまま。何の情報も得られないまま。

 全てがモノクマの思い通りに動いているような気さえして――早稲はどうしようもない不快感を抱えながら、自分の部屋へ戻った。

この後、動機発表後のフォローとして、自由行動が二回だけあります。ただし、プレゼント・乱入はありません

今日はここでおしまいにします。明日も9時半です、お疲れ様でした
あと西口選手もお疲れ様でした

始めましょう。今日は短いですが、多分……


早稲「空地君、二十八さん、伊丹……それから、森脇さんに大類、指宿君もか……」

早稲「誰かが人を殺すなんて思いたくないけど――よく考えれば、俺は皆のこと何も知らないんだもんな」

早稲「…………夕食まで時間があるし、ちょっと出かけてみるか」


 〔誰に会いに行きますか?(>>76-77から人物選択)〕

↓1


早稲「伊丹、ここにいたのか」

伊丹「あっ、早稲……ごめんね、すぐ行くから――」

早稲「ハハハ! ……いや、良いよ。ちょっと話さないか?」

伊丹「まあ私が人を殺さないかって、不安じゃないなら、良いけど……ところで早稲、今何で笑ったのさ?」

早稲「随分弱気だったし。ここで会ってから、お前のそんなとこ初めて見たから」

伊丹「だ、だって! あんなの見せられたらそんなことにもなるよっ! ――って、早稲は見てないんだっけ」

早稲「まあ、ヒーローとして見過ごせないような映像らしいのは聞いたけど」

伊丹「うん、まあね……」


1:「どんな映像を見せられたか、聞かせてくれないか?」(コンマ50以上で教えてくれます)
2:「その映像が……ヒーローって意識を捨ててまで、殺人を犯したいほどの内容だったのか?」
3:「お前がどんな奴で、何があったかは知らないけど。何かあったら、相談に乗るから」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「どんな映像を見せられたか、聞かせてくれないか?」

伊丹「…………」

早稲「あっ、無理に見せてもらうとかはないから――」

伊丹「ううん、話すよ。全部じゃないけど……と言っても、予想は簡単に付くかもしれないね」

伊丹「私、すごく大切な友達がいてさ……スタントマンになったのも、ヒーローになりたかったのも、その友達のおかげなんだよね」

伊丹「だけど、映像の中で――その二人が……」

早稲「……酷い目に合ってた?」

伊丹「うん。もしかしたら、下手したら、殺されちゃうんじゃないかって……本当か確かめるにも、二人を助けるにも、まず外に出なくちゃいけなくて」

伊丹「そしたら……いてもたっても、いられなくなっちゃって」

早稲「それがお前の、助けたかったものなんだな。……ヒーローとしてだけじゃなくて、伊丹仁としても」

伊丹「そうだよ……ま、でも、それもモノクマの思惑通りなんだろうけどね!」

伊丹「それにさ、よく考えたら、ここで誰かを殺して出たとしても、それで二人を助けられたとしても……そんなの、ヒーローって言えないよね」

早稲「そうだな……その二人にも、きっと胸は張れない、そんなのは」

伊丹「うん! ……ありがとね、早稲」

早稲「えっ、どうして? 俺は、何もしてないけど……」

伊丹「ううん、なんか話してスッキリしたし! それに、ちゃんと冷静になって思い直せたよ。私は……二人にも皆にも、胸を張れるヒーローでいるんだ……ってね!」

早稲「……それなら良かった」

伊丹「ちゃんと黒幕を倒して、堂々と外に出る! それから二人を助けに行く! それがヒーロー・伊丹仁なんだ!」

早稲「贅沢だな……。けど、目標はそれくらい高い方がいいのかな、ヒーローなら」

伊丹「そうそう! うおーっ、燃えてきた! よっし、走り込み、トレーニング行っくぞお!」


【通信簿イベント】

早稲「でも、女性スタントマンって珍しいよな? 必要は必要そうだけど」

伊丹「まー危険だし、アクロバットなのは男の子の役目だよねー」

早稲「確かにその所為か、女性のアクロバットってあんまりインパクトが無いんだよな。だから伊丹が、超高校級のスタントマンなんだろうけど」

伊丹「当たり前じゃん! 普通女の人は、下手したら死ぬかもしれない仕事なんてしたくないもんね!」

早稲「死……まあそうだけど」

伊丹「実はこの業界って死人もちょいちょいいるんだよねー。そうでなくても下半身不随とかー、女の人は顔に怪我負ってもいけないし」

早稲「改めて、やっぱりお前って危険な仕事してるんだな……」

伊丹「まあねー」

早稲「……でもお前、怪我したこと無いって言ってなかったっけ?」

伊丹「まあねー。あっ、転んで擦り傷ぐらいはあるよ! すぐ治ったけどね」

早稲「ヒーローっていうか、超人だな……」


早稲「伊丹は大丈夫そうだな。さすがヒーロー……スタントマンだけど」

早稲「もう一人ぐらい、話が出来る時間はあるな」


 〔誰に会いに行きますか?(>>76-77から人物選択)〕

↓1


直入「あれ、早稲君。どうかしたかい?」

早稲「いや、なんとなく……というか」

直入「この雰囲気じゃね。でも、伊丹さんの説得はお見事だったんじゃないかな」

早稲「なんでも見てるんだ、直入君は……」

直入「それはちょっと買い被り過ぎだよ。君だって、偶然そういう場面に出くわすことだってあるだろう?」

早稲「両親の修羅場とか、彼女の浮気現場とか?」

直入「へえ、君彼女いたんだ」

早稲「反応するのそこじゃないよね? それに、本当はそうそう出くわしたことないよ。直入君は、そういうのに出くわしてきたから、超高校級の記者なんだろうけど……」

直入「そうなのかもしれないね。記者としては正確性を売りにしたいところだけど」


1:「そんなに知ってるんだったら……他の人のDVDも予想が付くんじゃないの?」
2:「もしかして、僕の秘密にしてることも本当は知ってたりして」
3:「全然関係ないけど、一ツ橋さんには嫌われてるの?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「もしかして、僕の秘密にしてることも本当は知ってたりして」

直入「…………」

早稲「えっ、嘘でしょ、さすがに?」

直入「えっと……君って思ったより自虐的なんだね。言ってほしいのかい、君の目の前で、僕の口から?」

早稲「ハハハ……いや、冗談だって言ってくれないかな」

直入「まあ、勿論誰にも言わないよ、殺されたくないしね」

早稲「さ、さすがに殺さないよ。そんなことで」

直入「――というのはもちろん冗談で。うん、だろうね。忘れてはいないだろうけど、僕と君はここに来て初めて会ったんだからね。言っただろ、僕は取材したことしか知らないって」

早稲「ははは、そうだよね。正確性が売りの直入君が嘘つく訳ないよな、冗談は怖いけど……」

直入「君も苦労してるみたいだね……無理しないようにしなよ。じゃあね」

早稲「うん、ありがとう。……本当に心臓に悪いな」

今日はここで終わりにします。あまり話が進まず申し訳ないです……明日には事件起こるので、はい

安価もないので18時頃からsageで更新します。お疲れ様です

あっ、1つだけコンマ判定お願いします

↓1

ありがとうございます、このスレのコンマなんなんですかね

ということで本当に今日は終わりです。お疲れ様です

ゆっくり始めます。今日TBSで8時からやる番組ってギムリー・グライダーなんじゃないですかね(ステマ)


【早稲の部屋】

早稲「はあ……確かに、今日は色々あって疲れたな。皆はもっと疲れてるんだろうけど……」

早稲「よし、もう寝るかな」


 ベッドに転がって、早稲は眠りに落ちる――

 ……といったところで、部屋のチャイムが初めて音を鳴らした。


 突然のことに飛び上がった早稲は、眉間に皺を寄せながらも、ベッドから降りて、部屋のドアを開く。


駒牧「……おはよう、って感じだな」

早稲「お前かよ――なんだよ、人が寝ようとしてたところに」

駒牧「そう怒らないでくれ。俺だって、このままじゃ寝られないんだから……」

早稲「はあ……で、何の用だよ?」

駒牧「一晩泊めてほしいんだ、お前の部屋に」

早稲「断る」


 それだけ言って扉を閉めようとした早稲を、駒牧は扉の隙間に足を挟んで制した。


駒牧「おい、話も聞かないでドアを閉めようとするな!」

早稲「どんな事情があろうと僕は絶ッ対にお前みたいな男を部屋に泊めたくないんだ! 早く帰れ!」

駒牧「それが出来ないからお前に頼んでるんだろ!?」

早稲「嫌だ、絶対に嫌だ! 他の誰かに頼んでくれ!」

駒牧「この野郎、人の話も聞かずに……とりあえず落ち着いてくれ、早稲。俺は別に、お前に危害を加えに来たわけじゃないんだ」

早稲「信じられるか!」

駒牧「分かった。このままで良いから、とりあえず話を聞いてくれないか。何ならチェーンだってかけて良いから――」

早稲「…………くそ、しつこいな」


 そう言いつつ、早稲はドアチェーンをかけてから、駒牧に対応する。


早稲「で、なんで自分の部屋で寝られないんだよ?」

駒牧「実は、個室の鍵をどこかに落としたらしくてさ……」

早稲「馬鹿じゃないのか、自業自得だろ。……それか、浅草にスられたとか?」

駒牧「俺もまずそう思って、浅草の部屋に行ったんだ……鍵は開いてるんだけど、誰もいなくてさ」

早稲「まあ、まだ夜時間になる前だしな」

駒牧「それから、皆に鍵を見かけたか聞いたり、鍵を探したりしてたんだけど、やっぱりどこにもなかった」

駒牧「その時に浅草にも会ったんだけど……あいつも鍵を失くして困ってるみたいだったな」

早稲「でも、浅草の部屋の鍵は開いてたんだろ?」

駒牧「かけ忘れたんじゃないかな、多分。最悪、鍵は内側から掛けられるし、大丈夫って言ってたけど」

早稲「もし別の誰かが鍵を拾って、襲われるようなことがあったら、まずいな……」

駒牧「……疑ってるのか、誰かを?」

早稲「人聞き悪いな。いや、そういう訳じゃないよ。見つけても誰も名乗り出ないのは、おかしいと思って」

駒牧「まあ、見つからないなら誰かが持ってる可能性が高いのは事実だな……」


駒牧「ま、浅草の方はどうにかするだろ。いざとなればチェーンもあるし、泊めてもらうこともできる。問題は俺だ、部屋に入れない」

早稲「そうだね……モノクマはなんて言ってるんだよ? 大体、自分の個室で寝ないと校則違反になるんだろ?」

駒牧「いや、校則には“個室”としか書かれてないし、他人の個室でも構わないんだろう。明日まで待て、とさ。……あいつにとっては、絶好のタイミングかもしれないな」

早稲「あ、そう。でも、僕は嫌だよ。他の人に頼んでくれないか?」

駒牧「……まず、女子は無理だ。お前と同じ反応をされるだろうしな」

早稲「まあ、それは勿論……」

駒牧「春浪も無理だ、どうもあいつには警戒されてるらしくて……はは」

早稲「お前が記憶喪失なんて厄介なことになってるからだろ?」


 手厳しいな、と駒牧は苦笑しながら、指を一つ折った。

 それから、何かを思い出すように視線を右上へ向けて、


駒牧「大類と阪急は反応が無かった。二人とも朝が早いし、もう寝てるんじゃないか?」

早稲「うん。あの必要以上に大きいチャイムを聞くと、熟睡してそうだな……」


駒牧「それに、疑いたいわけじゃないけど……あのDVDを見た奴と一緒にいるのは、やっぱり気が抜けないと思った」

早稲「……そういえば、お前はあのDVDを見たんだよな。何か記憶に関することは?」

駒牧「うーん……俺には両親がいるんだな、ってくらいかな。モノクマの捏造でなければ」

早稲「そうか……その調子じゃ人は殺しそうにないな」

駒牧「ああ。こんな状況で外に出たって、どうにもならないからな」


早稲「……でも、DVDを見てないのはもう一人いるだろ。直入君は?」

駒牧「忙しいみたいだし、それに……プライバシーの面で、色々な人に迷惑がかかるって言われてさ」


 視線を逸らす駒牧に、洒落にならないな、と早稲も顔を背けてから、一つ大きな溜息を落とす。

 そうして一度ドアを閉めると、チェーンを外し、駒牧の身体にぶつけんばかりの勢いで、大きくドアを開いた。


早稲「一つ貸しにしておくからな……」

駒牧「ああ、ありがとう」


駒牧「しかし、早稲も意外に警戒心が強いんだな。俺が襲うとでも思ったのか?」

早稲「別に……。ベッドで寝ていいから、早く寝ろよ」

駒牧「それに、意外と親切だ」

早稲「なんだよ、意外って」

駒牧「いや、ほら、お前って人によって態度が変わるだろ? ここに来てから殆ど話してないし、てっきり嫌われてるんだと思って」

早稲「まあ、確かにそうかな……。どうでもいいよ、早く寝れば」

駒牧「もう10時になるしな。お休み、早稲」

早稲「ああ、お休み――」


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


【五日目】

キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


駒牧「おはよう。生きてるか?」

早稲「縁起でもないこと言うなよ……」

駒牧「はは、その様子だと元気そうだな。そうそう、テーブルに置いてあったぞ」

早稲「……また多くなってるな。でも9枚って……1枚くすねたりしてないよな?」

駒牧「人聞きが悪いな……じゃ、俺は先に食堂行ってるから。早く支度して来いよ」

早稲「はいはい」


 〔モノクマメダルを9枚手に入れました。〕


【食堂】

直入「おはよう、早稲君。昨日はよく眠れたかい?」

早稲「ははは、君の所為で寝心地は悪かったかな」


 そう言って早稲は、食堂の中を見回す。

 端から数えて、十人。普段なら充分に、全員揃っているはずの時間である。

 大類、阪急、空地、浅草、伊丹――足りない五人を思い浮かべて、早稲は眉を顰めた。


早稲「森脇さん、大類とトレーニングしてるんじゃないんですか?」

森脇「ああ……普段はそうなんだが、今日は少し、頭痛が酷くてな……。一人でやってもいいし、やらなくてもいい、と言ったんだが……」

早稲「じゃあ、他の四人って知ってますか?」

森脇「さあ。指宿、浅草のことは知らないのか? 昨日は夜遅くまで探していたようだったが……」

指宿「どうやろな。夜中まで起きよったんなら、まだ寝てるんやないか?」

早稲「それなら良いんだけど……」


 そう答えはしたものの、早稲の胸騒ぎは収まらなかった。

 普段なら気にも留めないようなことを、ここまで気にかけているのが――こんな状況に置かれている為か、或いは昨日の出来事の為か――理由は定かでない。

 しかし、気にかけずにはいられなかった。普段の食堂から、五人も誰かがかけていることを。

 ちょっと見てくる、と短く言うと、許斐の出した朝食を置いて、早稲は食堂を飛び出した。


大類「あー疲れた、もう腹減ったよー……。今日の飯なんだろ、あれがいいな、なんだっけ、あはは、何でもいいや!」

早稲「あ、大類……」

大類「あれ、早稲じゃん。何だよなんだよ、血相変えて? どうかしたの、何なに、なんかあったの?」


 と、バットケースを背にかけて、校舎から出てきた大類に、早稲は若干拍子抜けする。

 大類は首を傾げたまま、「ま、いいや」と食堂へ足を向けた。


早稲「気のせいか……ハハハ、そうだよな。皆きっと寝てるだけだし……」


 そう言い聞かせるようにして、早稲は個室の並ぶ方へ歩を進める。


早稲「阪急君、起きてる?」


 チャイムを一度押して、ドアを数回ノックする。防音設備のおかげで、ドアの向こうの音は聞こえない。

 しかしすぐに、ドアの鍵が開くような音と共に、勢いよく扉が開いた。


阪急「すまない、時間を過ぎていたか!?」

早稲「い、いや……なんとなく、いつもより遅いなと思っただけだから」

阪急「そうか。今日はダイヤが違って、いつもより遅く起きても大丈夫だから、つい……」

早稲「仕事人間だね。大丈夫だよ、他にも起きてない人はいるし」

阪急「いや、心配させて申し訳ない。何なら、一緒に起こしに行こう」

早稲「そうだね、そうしようか……」


早稲「おい、伊丹ー?」

阪急「伊丹君、起きてるか?」

伊丹「はいはーい! ゴメンね、ちょっと昨日やり過ぎちゃったみたいで、今の今まですっかり寝てたんだよねー」


 伊丹は個室のドアを薄く開けて、顔の前で手のひらの側面を立ててみせる。


伊丹「ってことで、まだ準備できてないから、先に行っててもらえるかな?」

早稲「ああ、分かった。良かったよ、無事で」

伊丹「にゃはは! 誰に向かって言ってんのさー。で、あの、ちょっとシャワー浴びたいから……」

阪急「あっ……すまない。行こう、早稲君」

伊丹「そんな……初心だねえ、阪急」

阪急「そ、そういう訳じゃないんだが!」

早稲「顔が赤いよ、阪急君」


 チャイムを鳴らして、間髪を入れずに開いたドアから、空地が顔を出す。

 それから、普段のように爽やかな笑みを浮かべて、まず挨拶の言葉を述べた。


空地「悪い。少し考え事をしてたんだ……皆もう集まってるのか?」

早稲「うん、一応……後は浅草だけかな」

阪急「もしかして、昨日のDVDのことを気にしているのか?」

早稲「阪急君、随分ストレートな――」

阪急「えっ? し、失礼か。そうだな、申し訳ない」

空地「いや、良いよ。でも、早く行こうか。好みの美味しい飯に失礼だからな」

阪急「ああ。それじゃあ、浅草君を起こしに行こう」


早稲「おい、浅草?」

空地「許斐の飯が冷めるぞ」

阪急「そういえば昨日、浅草君は自室の鍵を探していたんじゃなかったか」

空地「ということは、誰かの部屋に泊まったかもしれないのか」

早稲「そんなことは誰も言ってなかったけど……」


 早稲は首を傾げながら、もう一度ドアチャイムを押した。が、反応は無い。


空地「やっぱり、伊丹の部屋に泊まってたりするんじゃないか?」

早稲「でも、そんな時に伊丹がシャワーなんて浴びるかな……」

阪急「ん、鍵が開いてるぞ。やっぱり、誰かの部屋に泊まったんだろう――」


 そう呟きながら、阪急は鍵のかかっていないドアを引いた。


 ……この時、忘れていたのかもしれない――この場所が、モノクマの用意したコロシアイの舞台であることを。

 ――昨日の動機が提示された意味を、分かっていなかったのかもしれない。




 白いベッドの上に、彼女は眠るように横たわっている。

 しかしその胸が上下しないのは、彼女が眠っていないことを示す、何よりの証拠だった。

 首元に残る紫色の痕と、青白く、苦痛に染められた表情を見せて――

 【超高校級の掏摸師】浅草六月は、息絶えていた。




モノクマ「死体が発見されました!」

モノクマ「一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます!」

今日はここまで。明日9時半に捜査開始です、たぶん……

すみません、ちょっと捜査パートが今日中には出来そうにないです

捜査はsage進行・フルオートで進めることにして、明日の18時までには投下します。大変申し訳ありませんでした




     CHAPTER.01【絶望のドラマが動き出す】非日常編





早稲「(その光景を目の当たりにした僕は……衝撃を受けたわけでもなく、或いはどうしようもない憤りを覚えるようなことも、なかった)」

早稲「(深い喪失感と空虚感。足元の覚束ないような……どこか宙に浮いているような……)」

早稲「(現実から乖離しているような、そんな感覚だった)」



駒牧「おい、今のアナウンスは――まさか……!」

音道「……本当に、死んでいらっしゃるんですか?」


 駒牧を皮切りにして、食堂にいた全員が顔を出す。

 空地は飽くまで冷静に、駆け寄る彼らを扉の傍で制しながら、静かに首を振った。


空地「少なくとも、もう息が無いのは、事実だ」

指宿「…………ッ!」

大類「嘘だろ? なんで……なんでっ、浅草が!?」

音道「一体誰が、こんなことを……」

モノクマ「そんなの、オマエラのうちの誰かに決まってんじゃん!」

指宿「モノクマ……っ!」


 突然姿を現したモノクマに怯むことなく、指宿は寧ろ、それを鋭い視線で睨み付け、拳を握った。

 森脇はそんな指宿の腕を撥ね退けるようにして、モノクマの前に出る。


モノクマ「もう、そんな怖い顔しないでよ。まるで僕が浅草さんを殺したみたいなさ……」

森脇「実際、お前が殺したという可能性は無いのか?」

モノクマ「あるわけないじゃん! 生徒を殺そうとするなんて、オマエラじゃあるまいし!」

直入「入学式で指宿君を殺そうとしてたような気がしたけど……」

モノクマ「あれは指宿クンが校則違反をするからじゃない!」


 尤もらしい言い分のモノクマに、直入は苦笑を浮かべた。


一ツ橋「……ところで、アナウンスの学級裁判とは、どういう意味でしょうか」

モノクマ「そうそう! ボクはそれを伝えるために来たのです!」

春浪「ああ。誰かを殺しただけでは外には出られないんだったね」

モノクマ「その通り! これからオマエラには、浅草さんを殺したクロを突き止めてもらいます!」

モノクマ「みんなで事件について調べた後、裁判場で誰がクロかを話し合ってもらいます!」

モノクマ「見事クロを指摘できればクロだけがおしおき。もし外したら、クロ以外の全員がおしおき! どう、シンプルでしょ?」

許斐「……その、おしおき、ッてなにかしらぁ?」

モノクマ「処刑の事だよ?」

伊丹「しょ、処刑ぃっ!?」

直入「正しい犯人を指摘できなかったら、真犯人以外の全員が処刑されるってことね……」

モノクマ「そういうこと! とにかく、自分達が死にたくなかったら、頑張ってクロを見つけ出す事だね!」


モノクマ「そうそう、それから……これも渡しておきます」

菊月「何ですか、これ?」

モノクマ「オマエラに検死なんかできないでしょ? だから、そんなオマエラのために用意したのが、このモノクマファイル」

モノクマ「死因とか、死亡推定時刻とか、重要なことが書かれてあるからね。それじゃあ、今度は裁判場でお会いしましょう! うぷぷ」


 ――モノクマが去った後も、誰も、その場から動くことは出来なかった。

 唐突に突きつけられた現実を、簡単に受け入れることは、とても、難しいことであるからだ。


駒牧「……こんなことしてる場合じゃないな」

阪急「えっ?」


 初めに口を開いたのは、やはり駒牧だった。


駒牧「いつまでも留まっていても仕方ない。このままじゃ全員死ぬだけだ」

音道「でも、そう簡単に整理の付くことでは……」

春浪「それなら、そこでずっと突っ立っていると良い。姉さん」

音道「!」

春浪「駒牧青年に従うのは癪だが、俺は捜査をさせてもらうぜ。人殺しを生かして自分が死ぬなんて、ごめんだからね」

直入「……じゃあ、僕は見張りでもしてようかな。警察みたいなことは向いてなさそうだし」

森脇「それなら、私も残ろう。二人いた方が安心だろうからな」


 そうして、一人、また二人と、捜査へ乗気を見せていく。


 そこに取り残された早稲は、浅草の死体をぼんやりと見つめながら、その場に立ち尽していた。


音道「あの……大丈夫ですか、早稲さん? 先程からずっと……黙っていたままで」

早稲「…………変な感じがするんです」

音道「変、とは?」

早稲「皆、そんなに整理の付くものなのかな」

音道「……私も、そうです。こんなことを突然言われても、目の前の死を受け入れることだって、難しいことだとは思います」

早稲「でも、そんなこと考えてる場合じゃないんだろうな。やれるのか、じゃなくて、やらなきゃいけない。皆きっと、それを分かってるんだ……よし、俺も頑張らなきゃな!」

音道「えっ? あの、早稲さ……」

早稲「俺が絶対に突き止めてやる……この事件の犯人を! ハハハ!」

音道「……………………」

音道「えぇ……?」


【捜査開始】

 そう言いはしたものの……実際、早稲にも覚悟がついている訳ではない。

 それでも、早稲はしっかりと、浅草へ向き直り――そうして、事件と、目を合わせた。


早稲「とりあえず、このファイルを読んでおこうか……」


 『被害者は超高校級の掏摸師・浅草六月。死亡推定時刻は午前5時半から7時。

  死因は頸部圧迫による窒息死。後頭部に挫傷が見られる。抵抗した形跡はない。』


音道「思ったより、簡素なものなんですね」

早稲「分からないところは、調べるか推理しろってことか……」


コトダマ【モノクマファイル】を手に入れました。
〔被害者は超高校級の掏摸師・浅草六月。死亡推定時刻は午前5時半から7時。
 死因は頸部圧迫による窒息死。後頭部に挫傷が見られる。抵抗した形跡はない。〕


 早稲は顔を顰めて、浅草の横たわったベッドの横へ歩みを進めた。

 発見されたときから、ほんの一ミリすら動かない浅草の表情は、苦悶に満ちている。


早稲「ベッドの上に俯せに倒れてる……ってことは、寝ている間に殺されたのかな?」

森脇「それはどうだろうな。見てみろ、髪に隠れて見難いが……」

音道「これが、モノクマファイルにも書かれてた、頭部の挫傷痕ですか」

早稲「本当だ。ってことは、首を絞める前に気絶させられたってことですか?」

森脇「ああ。しかし不可解だ……傷が頭の上部でなく、寧ろ下部――後頭部に近い箇所にある」

早稲「横か、下から殴られたと……あれ? なんかここ、白いものがこびり付いてますね」

音道「毛……何かの繊維ですね。なんでしょうか……」


コトダマ【浅草の遺体】を手に入れました。
〔ベッドの上へ俯せに寝かされて死んでいた。
 後頭部に打撲傷が見られ、横、或いは下から殴られたようだ。〕

コトダマ【白い繊維】を手に入れました。
〔浅草の傷の付近には、細かい白い繊維がいくつか付着していた。〕


春浪「どうやら、これが姉さんの死んだ原因みたいだね……」

早稲「首を絞められた痕か……ずいぶん変色してるし、溝も深い……」

春浪「ああ、相当強い力で絞められたのだろうね。しかし、妙な索状痕だぜ」

早稲「妙って、何が妙なんだ?」

春浪「人に聞くより、じっくり観察してみるべきだぜ、早稲青年」

早稲「…………首筋から、首の周りを一周してる、細い痕が二本ある」

春浪「そう。おかしいと思わないか? 二本の紐で、或いは紐を二重にして縛らなければ、まずこんな痕はつかない」

早稲「そうか……犯人は二重に首を絞める意味も、メリットもないよな」

春浪「やれば出来るじゃないか。それともう一つ、メインの痕の周りだが、微妙に動いたようで、皮膚が擦り切れてる」

早稲「紐が動いたってことか? 何で……?」


コトダマ【索状痕】を手に入れました。
〔首を圧迫された痕。痕は細く、溝も深いため、相当な力が加えられたようだ。
 首筋から、首回りを二周しており、索状痕の周囲の皮膚は擦れた痕がある〕


音道「この紐、合成プラスチック繊維ですね」

早稲「本当だ……何の紐なんでしょうね? しかも、二重にかかってるし……」

音道「それに、この端のところですね。鋏か何か……刃物で切られているみたいです」

早稲「なんで切る必要があったんでしょう? 長いなら、二重に巻く必要なんてないのに」

音道「さあ、どうしてでしょう……。それともう二つ」

早稲「えっ、まだあるんですか?」

音道「はい。ここがほつれかかっているんです。まるで、紐同士が擦れあったような……」

早稲「絞める時に擦れたにしては、範囲が広いですね。それで、もう一つは?」

音道「血痕です。でも、頭の出血とは、だいぶ離れていますよね」

早稲「ということは……犯人が誤って付けた傷……?」


コトダマ【首にかかった紐】を手に入れました。
〔合成プラスチック繊維の紐。浅草の首に、二重に巻かれている。
 紐の中腹は、擦れ合ったような傷ができており、ほつれかけていた。〕

コトダマ【紐の両端】を手に入れました。
〔凶器である紐の両端は、共に刃物のようなもので切られた痕があった。〕

コトダマ【紐の血痕】を手に入れました。
〔紐には、普通に縛れば付着しないような場所に、血痕が付着していた。〕


早稲「……大類、シャワーでも浴びて来た方が良いんじゃないか?」

大類「やっぱ汗臭いよね。なんか腹減っちゃったから、まんま食堂行ったんだけど」

音道「あの……バットケースが閉まっていませんよ。グリップエンドが、丸見えです」

大類「あー、本当だ。まあ、落ちるもんじゃないしどっちでも良いんだけど……」

早稲「落ちると言えば、大類、浅草が探してた鍵のこと知らないか?」

大類「さあ、昨日は早く寝ちゃったし……あの、何か浅草のポッケに入ってるけど、あれじゃないの?」

早稲「…………本当だ。これ、鍵だな――あ、でもこれ、浅草のじゃないぞ」

音道「『KOMAMAKI』――駒牧さんの鍵ですか? どうして浅草さんが……」

早稲「まあ……証拠品だし、このまま放っておこう」

大類「あっ、駒牧に渡すんじゃないんだ」


コトダマ【駒牧の個室の鍵】を手に入れました。
〔浅草のポケットには、駒牧の部屋の鍵が入っていた。〕


音道「浅草さん、女性らしい方だったんでしょうか」

早稲「そんなことはないと思うけどな……どうしてですか?」

音道「裁縫セットが開封されているんです」

許斐「あらぁ? それはちょぉっと、ヘンじゃないかなぁ?」

早稲「変って、何が? ボタンが取れたとか、いろいろ理由はあると思うけど……」

許斐「うぅん、普通の人ならそうなんだけど。ほら、六月ちゃんって掏摸師でしょう? だからぁ、やっぱり手って大切なものらしいのよねぇ」

早稲「まさか……怪我したくなくて、裁縫をしなかったとか?」

許斐「でも、針ぐらいなら大丈夫かもしれないわねぇ。少なくとも、包丁やピーラーは駄目みたいだったわぁ♪」


コトダマ【裁縫セット】を手に入れました。
〔浅草の部屋の裁縫セットが開封されていた。〕


早稲「……音道さん、次は何見てるんですか?」

音道「早稲さん、昨日の掃除当番は、私だったんですけれど……」

音道「昨夜回収してから、浅草さんはごみを出さなかったようですね」

早稲「ああ……鍵を探してたみたいですし、ごみを出す暇も無かったんじゃないですか?」

音道「けれど、その鍵は棚の上に置いてあるんです」

早稲「あれ? 誰か見つけたのかな……まさか気付かないなんてことはないだろうし」

音道「……キーが見つからないのは、ヴィオリストみたいで、親近感が湧きますね」

早稲「ん?」

音道「ジョークです」


コトダマ【部屋のごみ箱】を手に入れました。
〔部屋のごみ箱に、ごみは捨てられていなかった。〕

コトダマ【浅草の部屋の鍵】を手に入れました。
〔浅草の部屋の鍵は、浅草の個室の棚の上に置かれていた。〕


直入「やあ、二人とも。何か証拠になるようなものはあったかい?」

早稲「うーん、どうなんだろう……」

直入「そっか。まあ、そう簡単に解決したら警察は要らないよね」

早稲「直入君は、昨日の夜と今日の朝、何してたの?」

直入「アリバイってやつかな? 部屋に一人じゃない時は……今日の朝は7時から、昨日の夜は午後10時までずっと、食堂にいたよ」

早稲「夜時間以外ってこと? それ、ずっと?」

直入「うん、ずっとだね。少なくとも昨日の夜は、四季と一緒だったし、朝は許斐さんが一緒だった。二人へ聞いてみればわかるんじゃないかな」

早稲「一ツ橋さんや許斐さんと、直入君以外に食堂にいた人はいた?」

直入「昨日の夜? 許斐さんと二十八さんが食器の片付けで厨房に入ったきりだよ。後は皆すぐ帰っちゃったな。朝は皆すぐに来て、出て行った人はいなかったよ」

早稲「そうか……ありがとう」


コトダマ【直入の証言】を手に入れました。
〔昨日今日と直入は、夜時間を除いて、ずっと食堂にいた。
 その間に食堂を出入りしたのは、食器を洗いにきた許斐と二十八だけ。〕


伊丹「あっ! ……って、何だ、びっくりしたー。早稲かあ」

早稲「伊丹、今までシャワー浴びてたのか?」

伊丹「うーん、薄情だって分かってはいるけど、タオル巻いて出てくるわけにもいかないし……昨日の夜動き過ぎて汗だくで、どうしても浴びたくてさー」

伊丹「本当に……こんなことになるとは、思ってもみなかったけど……」

早稲「まあね……でも、昨日の夜浴びれば良かったんじゃないか、シャワーぐらい?」

伊丹「もー、早稲聞いてなかったの? 夜時間は水が出ないんだよ、不便な客室だよねえ……」

早稲「へえ、それは知らなかったな……夜中にシャワー浴びたり、トイレ使ったりしないし」

音道「あの、早稲さん……トイレは使えるのでは?」

早稲「ああ、シャワーの水が止まるってことか……」

音道「まあ、曖昧な言い方ではありましたが……」

伊丹「しょうがないじゃんっ! 私だってモノクマにそう言われたんだからさ!」

音道「ああ……ところで、この客室、ちゃんとチェーンロックが付いているんですね。道理で――」

早稲「道理って、何の話ですか?」

音道「いえ。……ちゃんとかかりますね、壊れてはいないようです」

伊丹「私じゃなくても工具セットで壊れちゃいそうだけどねー」


コトダマ【チェーンロック】を手に入れました。
〔浅草の部屋のチェーンロック。破壊されたような痕跡はない。〕

 浅草の部屋を出て、廊下を歩く。

 とそこで、こちらへ向かってくる駒牧と目が合った。


駒牧「――音道さん、早稲、ホールドアップだ」

早稲「な、何でだよ!」

駒牧「いや、手のひらを見せてもらおうと思って……傷は無いみたいだな。音道さんも、早稲も」

音道「それ、全員にお聞きになったんですか?」

駒牧「ああ、二人で最後だな。勿論、誰も傷一つなかったよ。……勿論、俺も無いだろ?」

早稲「良いよ、見せつけなくて……ああ、無いね、無いよ!」


コトダマ【全員の手のひら】を手に入れました。
〔全員の手のひらを見せてもらったところ、全員、傷一つない綺麗な手だった。〕

 浅草の部屋を出て、廊下を歩く。

 とそこで、こちらへ向かってくる駒牧と目が合った。


駒牧「――音道さん、早稲、ホールドアップだ!」


 突然のことに、早稲は驚いて、言われるがままに両手を上げる。


早稲「いや何でだよ!」

駒牧「いやあ、手のひらを見せてもらおうと思って……傷は無いみたいだな。音道さんも、早稲も」

音道「それ、全員にお聞きになったんですか?」

駒牧「ああ、二人で最後だな。勿論、誰も傷一つなかったよ。……勿論、俺も無いだろ?」

早稲「良いよ、見せつけなくて……ああ、無いね、無いよ!」


コトダマ【全員の手のひら】を手に入れました。
〔全員の手のひらを見せてもらったところ、全員、傷一つない綺麗な手だった。〕


 ランドリーに入ると、まず目に入ったのは、腕を組んで腰掛けている指宿だった。


音道「指宿さん、あの……」

指宿「気にすんな、別にあんたが悪いわけやないやろ。ちょっと気になることがあっただけや」

早稲「気になる事って?」

指宿「いや……いつの間にか、洗濯物が下ろされたり、異動したりしてて、わやんなっとるんや」

音道「いつ下ろされたのか、分かりますか?」

指宿「少なくとも、昨日の昼は大丈夫やったな」

早稲「でも、空いてる選択ロープは無いよな……ってことは、誰かが取ったのか?」

音道「このロープ、ポリウレタン製ですよね?」

指宿「ん? ああ……多分な」


コトダマ【ランドリーの洗濯ロープ】を手に入れました。
〔ランドリーの洗濯ロープが一本取り外されていた。
 掛けられていた洗濯物は、別の場所に移動されていたようだ。〕


阪急「うわ――っ!」

早稲「どうかした、阪急君!?」

阪急「い、いや。洗濯機に何か残ってると思って、開けてみたんだが、これが……」

音道「タオルですか?」

阪急「ここ、赤い染みがついているだろう? あんなことがあったばかりだから、血なんじゃないかとドキドキしてしまって――」

音道「いえ、血ではないでしょうか……」

阪急「……なんだって?」

音道「弱冠ですが、茶色く変色しかけているので……絵の具ではこうはなりませんから」

早稲「ってことは……これも事件の証拠品か……」


コトダマ【血の付いたタオル】を手に入れました。
〔ランドリーの洗濯機には、少量ながら血の付いたタオルが放り込んであった〕


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「あーあ、そろそろボクも待ち疲れちゃったよ。そろそろ始めちゃっていいすか?」

モノクマ「と、いうことで! オマエラ、校舎棟1階にある赤い扉の部屋にお集まりください!」


早稲「いよいよ、始まるんだな……学級裁判が」

音道「ええ。……あの、早稲さん」

早稲「はい?」

音道「頑張ってくださいね」

早稲「……はあ。えっと、はい、頑張ります」


 赤い扉を抜けた先には、そう広くもないホール。その一番奥には、エレベーターが見て取れた。

 放送を聞いて、生徒の面々が次々にホールへ集合する。

 そうして全員が集まると――モノクマの声と共に、エレベーターの扉が開いた。


 死刑台へ赴くような、重苦しい雰囲気の中、全員が乗り込んだエレベーターは徐々に下降を続け――停止する。

 非現実へ足を踏み入れるように、早稲はエレベーターから一歩踏み出した。


早稲「(本当に、始まるんだな……)」

早稲「(命がけの謎解き、命がけの裏切り、命がけの騙し合い、命がけの信頼……)」

早稲「(命がけの……学級裁判が!)」


【コトダマまとめ】

・【モノクマファイル】
〔被害者は超高校級の掏摸師・浅草六月。死亡推定時刻は午前5時半から7時。
 死因は頸部圧迫による窒息死。後頭部に挫傷が見られる。抵抗した形跡はない。〕

・【浅草の遺体】
〔ベッドの上へ俯せに寝かされて死んでいた。
 後頭部に打撲傷が見られ、横、或いは下から殴られたようだ。〕

・【白い繊維】
〔浅草の傷の付近には、細かい白い繊維がいくつか付着していた。〕

・【索状痕】
〔首を圧迫された痕。痕は細く、溝も深いため、相当な力が加えられたようだ。
 首筋から、首回りを二周しており、索状痕の周囲の皮膚は擦れた痕がある〕

・【首にかかった紐】
〔合成プラスチック繊維の紐。浅草の首に、二重に巻かれている。
 紐の中腹は、擦れ合ったような傷ができており、ほつれかけていた。〕

・【紐の両端】
〔凶器である紐の両端は、共に刃物のようなもので切られた痕があった。〕

・【紐の血痕】
〔紐には、普通に縛れば付着しないような場所に、血痕が付着していた。〕

・【駒牧の個室の鍵】
〔浅草のポケットには、駒牧の部屋の鍵が入っていた。〕

・【裁縫セット】
〔浅草の部屋の裁縫セットが開封されていた。〕

・【部屋のごみ箱】
〔部屋のごみ箱に、ごみは捨てられていなかった。〕

・【浅草の部屋の鍵】
〔浅草の部屋の鍵は、浅草の個室の棚の上に置かれていた。〕

・【直入の証言】
〔昨日今日と直入は、夜時間を除いて、ずっと食堂にいた。
 その間に食堂を出入りしたのは、食器を洗いにきた許斐と二十八だけ。〕

・【チェーンロック】
〔浅草の部屋のチェーンロック。破壊されたような痕跡はない。〕

・【全員の手のひら】
〔全員の手のひらを見せてもらったところ、全員、傷一つない綺麗な手だった。〕

・【ランドリーの洗濯ロープ】
〔ランドリーの洗濯ロープが一本取り外されていた。
 掛けられていた洗濯物は、別の場所に移動されていたようだ。〕

・【血の付いたタオル】
〔ランドリーの洗濯機には、少量ながら血の付いたタオルが放り込んであった〕

捜査終了です。野球見ながらだとどうもミスが……

学級裁判は、とりあえず今夜9時から初めてみます。人がいなければ明日に持ち越します。では

割とどうでもいいけどちょっと訂正、失礼しました

>>265
×ポリウレタン → ○ポリエチレン


     【学級裁判、開廷!】


モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めます!」

モノクマ「学級裁判の結果はお前らの投票により決定されます」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがおしおきですが、間違った人物を指摘した場合は、クロ以外がおしおきとなり……」

モノクマ「みんなを欺いたクロだけが、晴れて卒業となりまーす!」

空地「議論しろって言われても。なにから話せば良いんだ?」

春浪「第一……本当にこの中に犯人がいるのかね?」

モノクマ「それは間違いありません! ちゃんと監視カメラで見てましたからね!」

森脇「嘘は無いだろうな……まずは、状況を整理してみることから始めよう」


【ノンストップ議論、開始!】

・【駒牧の個室の鍵】
・【部屋のごみ箱】
・【チェーンロック】
・【浅草の部屋の鍵】
・【索状痕】


森脇「ええと……まず、浅草は【ベッドの上で倒れていた】んだったな」

伊丹「ってことはー、寝込みを襲われたんだね?」

阪急「そうだな。確か浅草君は【鍵を落とした】と言っていたし」

直入「うーん、争った形跡も無かったけど……」

空地「つまり、【いま鍵を持っているのが犯人】だな。保安検査を実施しよう」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 正解!

早稲「それは違う!」


早稲「いや、浅草の鍵はちゃんと部屋の中にあったよ。多分……誰かが置いたんじゃないかな」

空地「誰かって?」

二十八「十中八九、犯人だろうね。ふふっ」

伊丹「つまり、鍵を使って浅草ちゃんの部屋に入ってー、寝てる所を首絞めたんだね」

一ツ橋「……それは、本当にそうでしょうか?」

伊丹「えっ、違うの!?」

一ツ橋「いえ、決定的な証拠はありませんが……少し不可解です」

伊丹「不可解って何がさー」

一ツ橋「浅草さんは確かに、特別強い警戒心を持つ方ではないと思いますが……」

一ツ橋「それでも、鍵を失くしたのに、自分の部屋で鍵を閉めるだけで済ますかしら?」

早稲「(一ツ橋さんの言ってる不可解なことって、あのことか?)」


・浅草が鍵を閉めなかったこと
・浅草が誰かの部屋に泊まらなかったこと
・浅草がチェーンロックをかけなかったこと

↓1


 正解!


早稲「ええ。さすがの浅草も……チェーンロックくらいは掛けるはずですよね」

伊丹「チェーンロック? あっ、確かに……」

空地「ちょっと待て。つまり、浅草は犯人を自分の部屋に招き入れたのか?」

許斐「あらぁ、随分無警戒なのねぇ」

指宿「比較的親しい奴の犯行……ってことやろな」

春浪「大方『鍵を拾った』とでも言って呼びつけ、ついでに入れてもらったんだろうぜ」

音道「それに……あの状況から考えても、浅草さんが招き入れた犯人に襲われたことは、間違いないと思います」

早稲「(あの状況……って、あれのことだよな)」


正しいコトダマ(>>269)を提示しろ!

↓1


 正解!

早稲「これだな!」


早稲「浅草の頭の傷、ですね」

音道「はい。首を絞めるのに、寝ている方をわざわざ殴りつける必要はありませんからね」

二十八「気絶したから抵抗の後も無いわけだね。なるほど」

菊月「あの、もしかしたら、凶器で犯人が分かるのではないですか?」

直入「凶器……頭部の打撲の方の凶器だよね」

菊月「はい、それです!」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

直入「その辺に落ちてないでしょ、石なんて」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に同意しろ!

↓1

工具セット

〔別の場所から持ってきた〕←血のついたタオル


>>282


 不正解! 発言力 5→4

早稲「それに同意――」

阪急「ちょっと待て、早稲君。確かにランドリーには血の付いたタオルがあったが……」

春浪「おいおい、確かにそれで凶器は隠せるかもしれないが、部屋の中にある物が凶器かもしれないじゃないか」

早稲「……だ、だよな」



【ノンストップ議論、開始!】

・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に同意しろ!

↓1

>>281 ああ、『正しいコトダマで』が抜けてました……失礼しました


早稲「それに同意――」

駒牧「なるほど。じゃ、俺以外の男が犯人だな」

伊丹「えー、それでいいの? だったら凶器が石だってよくない?」

早稲「…………」



【ノンストップ議論、開始!】

・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 4→3

音道「あの、早稲さん……それは証拠にならないのではありませんか?」

一ツ橋「誰かが工具セットを使った証拠があるのかしら……」

早稲「えっと、それは、ですね……」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

直入「その辺に落ちてないでしょ、石なんて」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 3→2

早稲「それに同意――」

二十八「うん、確かにわからないね。断定できない」

直入「えーと、これって浅草さんの頭を殴った凶器の話だったような……」

早稲「……うん」



【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

直入「その辺に落ちてないでしょ、石なんて」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 2→1

早稲「それに同意――」

大類「凶器をタオルで包み隠したんだよな! うん!」

森脇「しかし、そんな石が落ちていたか? どこにあるんだ?」

早稲「…………」



【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】×
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

直入「その辺に落ちてないでしょ、石なんて」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 発言力 1→0

 モノクマメダルを1枚消費し発言力を回復します


浅草「えーっと、撲殺に使われたのは、凶器とタオルなんだよね」

浅草「それで、タオルは偽装に使われたわけだから、凶器は……」

浅草「…………早稲さん。分からないことは分からないって言っていいんだよ」


指宿「おう早稲、きいとるんか?」

早稲「いや……しまった、寝てたな」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】×
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

直入「その辺に落ちてないでしょ、石なんて」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 5→4

早稲「それに同意――」

直入「えっと、偽装っていうのはばれないためにやるものでね。伊丹さんの勘みたいな推理で見つかったら偽装の意味が無いんだよ」

早稲「…………」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【血の付いたタオル】
・【裁縫セット】
・【紐の両端】×
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】×


大類「人を殴りつけられるようなものって、あの部屋にあったっけ?」

伊丹「その辺にあった〔石〕とか?」

直入「その辺に落ちてないでしょ、石なんて」

指宿「あの部屋にあるモンと言えば……〔監視カメラ〕なわきゃないか」

阪急「もしかして〔鉄板に頭を打ち付けた〕んじゃないか?」

許斐「〔別の場所から持ってきた〕のかもしれませんよぉ?」

駒牧「そういえば、男子の部屋には〔工具セット〕があるな」

二十八「ふふっ、凶器なんて……。そんなものは〔分からない〕し、どうでもいいことだ」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


浅草「……使うコトダマは、ずばりタオルで合ってるんだ」

浅草「で、本当に……分からないことは、分からないって言っていいんさね。そう、二十八さんみたいにね!」

浅草「あっ、答えは安価下でね」


 正解!

早稲「それに同意する!」


早稲「凶器は断定できないんだ。ランドリーに血痕の付いたタオルがあったし……あれで血が付くのを防いだんだから」

大類「えっ、じゃあ本当に分かんないの? 傷の形から凶器を推測するとかさ!」

一ツ橋「私たちにそれを判断するのは難しい話です」

菊月「凶器で犯人を断定するどころか、凶器すら断定できないんですね」

駒牧「うん……確かにそうかもしれない。けどそのタオル、全然関係ないものだったりしないのか? 誰かが怪我したとか……」

早稲「(いや、あれは確かに浅草の血を防ぐために使われたものだ……)」


コトダマ(>>269)を提示しろ!

↓1


早稲「これだな!」


早稲「浅草の頭に、白い毛みたいなものが付着してた。あれってタオルの毛なんじゃないか?」

駒牧「なるほどな……」

空地「でも、それをランドリーに放置してたんだろ? ちょっと隠滅が杜撰過ぎる気がするけど」

早稲「う、それは……」

音道「犯人は勘違いをしていらしたのではないですか?」

指宿「勘違い?」

早稲「(犯人の犯した勘違いって、もしかして……)」


・夜時間は全ての場所の水が出ない
・ランドリーの洗濯機は動かない
・洗濯機では血は洗い落とせない

↓1


 正解!


早稲「もしかして、ランドリーの水も使えないと思ってた、とか?」

音道「その可能性はあります。校則にはっきりと明言されている訳ではありませんし……」

伊丹「確かに、私も『夜時間は水が出ない』としか言われてないもんねー」

一ツ橋「加えて、夜時間は食堂に入れませんからね」

指宿「夜中にトイレ行きとなったらどうするつもりやったんやろ」

大類「そりゃ、仕方ないから我慢するしかないでしょ! 俺みたいに」

森脇「お前もか……」

ちょっとこの後の裁判を再考したいので、今日は失礼します

明日も9時ごろから始める予定です、お疲れ様でした


直入「なるほど……それじゃ、軌道修正して。事件についてもう少し詳しく話してもらえるかな?」

大類「えっ?」

指宿「…………」

伊丹「………………」

空地「……………………」

直入「えっと、誰も何も言えないってことかな」

一ツ橋「一つや二つ、議論の指針を出してもらえるかしら」

直入「そうだね。じゃあ、記者会見みたいに……死亡推定時刻から話してみようか」

二十八「ふふっ、言うまでもなく午前5時半から7時だね」

直入「だよねえ。ええっと、じゃあ次は――」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【首にかかった紐】
・【モノクマファイル】
・【浅草の遺体】
・【チェーンロック】
・【ランドリーの洗濯ロープ】


直入「そうだな、浅草さんの死因っていうのは……」

春浪「そんなの、一目見ればわかるだろう?」

指宿「ああ。さっきから言いよるけど……首のロープから見て【窒息死】やな」

阪急「しかし、【後頭部には傷があった】んだろう?」

許斐「気絶させようと思ったら、殺しちゃいましたぁ、みたいな?」

伊丹「んじゃー実は! 【外傷性のショック死】だったりするんじゃない?」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 正解!

早稲「それは違う!」


早稲「伊丹、モノクマから配られた事件概要は見たのか?」

伊丹「んー? そういやそんなのあったっけ、見てないや。えーっと……」

駒牧「『死因は頸部圧迫による窒息死』――絞殺で間違いないみたいだな」

阪急「じゃあ、あの殴打痕は?」

一ツ橋「あの小さな傷では、死ぬには到底足りないと思います」

阪急「そうか、紛らわしい物言いをした。申し訳ない」

直入「じゃあ、浅草さんは紐で首を絞められた訳だね」

空地「ん? 紐……?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【裁縫セット】
・【モノクマファイル】
・【全員の手のひら】
・【部屋のごみ箱】
・【ランドリーの洗濯ロープ】


空地「凶器の紐って一体どこにあったものなんだ?」

音道「あれは合成プラスチック繊維……たぶん【ポリエチレン製の紐】ですね」

許斐「食堂や倉庫にそんな紐なかったと思うんだけどぉ……」

春浪「それなら答えは一つだ。〔誰かの持ち物に紐があった〕んだろうぜ」

音道「もっと別の見方はないでしょうか?」

大類「えーっと……【別のものを紐として代用した】とか?」

菊月「あっ、〔食堂や倉庫以外の場所にあったもの〕なんですね!」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 正解!

早稲「それに同意する!」


早稲「あの紐――多分ランドリーにあった洗濯ロープじゃないかな」

森脇「確かに……それならポリエチレン製だろうな」

阪急「言われてみれば、洗濯物がいくつか机の上に下ろされていたな――」


空地「ゴー・アラウンドを宣言する!」反論!


空地「悪いけど早稲、その考えには納得できない!」

早稲「でも、あれ以外に紐は無いし、材質だって同じなんだ。それに、ランドリーの紐が一本無くなってたのは間違いないよ」

空地「ただそれじゃあ……おかしなところがあるだろ?」


【反論ショーダウン、開始!】

空地「確かにランドリーから紐は一本無くなっていたかもしれない……」

空地「けど、それは上に引っ掛けられてなかっただけの話だろ?」

空地「誰かが洗濯物を畳んで、紐も何処かに片付けただけかもしれない」

空地「それに、浅草の首にかけられた紐の両端を見ただろ?」

空地「あの両端は平坦で、何にも付けられてはいなかった……」

空地「【あれがランドリーの紐なら、両端にはフックや結び目があるはずなんだ!】」


↓1 コトダマ(>>269)を選択してコトノハを斬れ!


 正解!

早稲「その言葉、斬らせてもらう!」


早稲「確かにあの紐の両端は平坦だった……平坦過ぎたんだよ」

早稲「多分ランドリーの紐と分からなくさせるために、鋏で両端を切ったんだ!」

空地「鋏……?」

音道「その証拠に、浅草さんの部屋の裁縫セットは開封されていましたね」

空地「そうか、犯行現場は浅草の部屋だったっけ……成程な」

阪急「じゃあつまり、昨日今日とランドリーに行った奴が犯人ということか」

二十八「そんなもの把握できる訳がない。だろう?」

阪急「う、仰る通りだ……」

大類「あーっ! 俺いま割と凄いこと思いついたんだけど!」

菊月「…………」

春浪「…………」

大類「ちょっ、俺の話聞いてる?」

森脇「なんだ、下らないことは言ってくれるなよ……」

指宿「どうせアホみたいなことやろ……」

大類「二人とも俺に期待してなさすぎだって! なんで、なんで!? マジで?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【チェーンロック】
・【全員の手のひら】
・【紐の血痕】
・【モノクマファイル】
・【首にかかった紐】


大類「まあいいや、俺の言うこと聞いたら、皆絶対驚くって、絶対にね!」

森脇「早く言え」

大類「……だからあ。皆の手を見せてもらえばいいんだよ」

伊丹「手? ……って、どーいうこと?」

大類「だってほら、浅草はこう、ぐーっと、【強い力で首を絞められた】んだろ? それもプラスチック繊維でさ」

大類「で、モノクマファイルによれば【死亡推定時刻は朝5時半から7時】でしょ」

菊月「あ、そうか……そうなると首を絞める時に手に紐の痕がついているはずなんですね?」

大類「そうそう! つまり、【手に細長い紐の痕の付いてる人が犯人】だ!」

一ツ橋「……捜査を始めた頃ならともかく、今の時間では残っていないのでは?」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 正解!

早稲「それは違う!」


早稲「大類、ゆりちゃん……二人も駒牧に確認されたはずだ。両手を広げたところを……」

大類「ん? そういや見せたっけ……つまり、俺が犯人じゃないって分かっただろ?」

早稲「いや、誰の手のひらにも紐の痕や傷なんてなかったんだよ」

大類「へっ、なんで?」

早稲「……そうか、このためだったんだな、駒牧」

駒牧「まあな、無駄骨だったけど――」


菊月「その推理は無効です!」 反論!


菊月「しかし早稲さん、正春さん! その推論には穴があるんです!」

早稲「穴?」

菊月「お二人はある可能性を失念しているんです!」


【反論ショーダウン、開始!】

菊月「確かに犯人は、素手では紐を絞めなかったかもしれないです」

菊月「けれど、手に傷をつけない方法はあるんです!」

菊月「例えばホテルマンの素直さん! ソフトボール選手の拓海さん! 駅員の勇人さん! そしてパイロットの空地さん!」

菊月「この四人なら持っている筈なんです……仕事道具の一つに、手袋を!」

菊月「そう、つまり、浅草さんの首を絞める際――」

菊月「【犯人は手袋をしていたんです!】」


↓1 コトダマ(>>269)を選択してコトノハを斬れ!


 不正解! 発言力 4→3

早稲「その言葉、斬らせて――」

菊月「できません! 手袋越しなら手に紐の痕は付かないです!」

春浪「手袋越しには絶対に残らない証拠がある筈だぜ、早稲青年」

早稲「…………」



【反論ショーダウン、開始!】

菊月「確かに犯人は、素手では紐を絞められなかったかもしれないです」

菊月「けれど、手に傷をつけない方法はあるんです!」

菊月「例えばホテルマンの素直さん! ソフトボール選手の拓海さん! 駅員の勇人さん! そしてパイロットの空地さん!」

菊月「この四人なら持っている筈なんです……仕事道具の一つに、手袋を!」

菊月「そう、つまり、浅草さんの首を絞める際――」

菊月「【犯人は手袋をしていたんです!】」


↓1 コトダマ(>>269)を選択してコトノハを斬れ!


 不正解! 発言力 3→2

早稲「その言葉、斬らせて――」

菊月「させないです! 手袋を使っていない理由にはならないですよ!」

音道「そうですね……あの場所にあの痕があったのは、素手で縛った証拠になりませんか?」

早稲「あの痕?」



【反論ショーダウン、開始!】

菊月「確かに犯人は、素手では紐を絞められなかったかもしれないです」

菊月「けれど、手に傷をつけない方法はあるんです!」

菊月「例えばホテルマンの素直さん! ソフトボール選手の拓海さん! 駅員の勇人さん! そしてパイロットの空地さん!」

菊月「この四人なら持っている筈なんです……仕事道具の一つに、手袋を!」

菊月「そう、つまり、浅草さんの首を絞める際――」

菊月「【犯人は手袋をしていたんです!】」


↓1 コトダマ(>>269)を選択してコトノハを斬れ!


 正解!

早稲「その言葉、斬らせてもらう!」


早稲「でも、あの紐には血が付いてたんだ。普通に紐をかけるだけじゃ付くはずのない場所に……」

菊月「それは、手袋に血が付いていたとか――」

空地「紐にまで血が残るくらい血液が付けば気付くし……なんだったら、皆が持ってる手袋を見せてもらえばわかるんじゃないか?」

阪急「僕のはついてないな」

大類「バッティンググローブに血なんてつけるわけないじゃん?」

一ツ橋「この様子だと、違うようね。洗ったり、捨てたりしていれば別ですが」

指宿「ほんでも、ランドリーに手袋の類は無かったぞ」

森脇「まあ、血の付いたタオルを洗わない犯人が、手袋だけ洗うとも思えないがな」

伊丹「そういえば、今日は私が掃除当番を頼まれたんだったっけ。もちろん、開けてないよー」

菊月「じゃあ、本当に誰も手袋を使ってないんですね……。失礼しました!」


阪急「しかしそうなると、犯人は一体どうやって首を絞めたことになるんだ?」

春浪「手を使わないなら、代わりに何か道具が必要になるだろうが……」

菊月「では、その道具と言うのは一体何なんですか?」

春浪「分からないことが分からないのか?」

音道「では……どうやって首を絞めたか、ではなく、どうすれば首を絞められるか、考えるのは如何でしょうか?」

早稲「どうすれば、首を絞められるか?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【首にかかった紐】
・【白い繊維】
・【索状痕】
・【血の付いたタオル】
・【紐の両端】


音道「他人の首を絞める時に、必要なことは何でしょうか?」

春浪「そりゃ、頸部を圧迫することだ」

駒牧「ただ、犯人の手に紐の痕はついてなかったんだったな」

伊丹「そうか、犯人は〔足で紐を引っ張って〕首を絞めたんだ!」

一ツ橋「……何らかの方法で首と紐の隙間を失くすことが出来れば、可能です」

許斐「【何重にも巻いた】、とかぁ? それなら、隙間は多少埋められるけどぉ……」

指宿「確かに索状痕は二本あったけど、それだけやとな……」

二十八「隙間の分の紐を〔捻じった〕なんて方法もあるけどね」

大類「ええっと……ん、どういうこと? 天文学者は捻じって隙間詰められんの?」

阪急「そうだ、〔別の方法で窒息死させた後に紐の痕をつけた〕というのはどうだろう」

森脇「で、どうやって手を使わずに紐の痕をつけるんだ?」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 2→1

早稲「それに同意――」

森脇「確かにその痕は事件に関係していそうだな。で、別の方法と言うのは?」

伊丹「でもでも、それに! 結局痕を付けるには紐を引っぱらなきゃいけないワケだよね?」

早稲「えーっと……」



【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【首にかかった紐】
・【白い繊維】
・【索状痕】
・【血の付いたタオル】
・【紐の両端】


音道「他人の首を絞める時に、必要なことは何でしょうか?」

春浪「そりゃ、頸部を圧迫することだ」

駒牧「ただ、犯人の手に紐の痕はついてなかったんだったな」

伊丹「そうか、犯人は〔足で紐を引っ張って〕首を絞めたんだ!」

一ツ橋「……何らかの方法で首と紐の隙間を失くすことが出来れば、可能です」

許斐「【何重にも巻いた】、とかぁ? それなら、隙間は多少埋められるけどぉ……」

指宿「確かに索状痕は二本あったけど、それだけやとな……」

二十八「隙間の分の紐を〔捻じった〕なんて方法もあるけどね」

大類「ええっと……ん、どういうこと? 天文学者は捻じって隙間詰められんの?」

阪急「そうだ、〔別の方法で窒息死させた後に紐の痕をつけた〕というのはどうだろう」

森脇「で、どうやって手を使わずに紐の痕をつけるんだ?」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 1→0

早稲「それは違――」

許斐「あらぁ? でも、索状痕は確かに二重になってたわよぉ?」

早稲「し、しまった!」


――――

 モノクマメダルを1枚消費し発言力を回復します


浅草「うーん……紐に残った傷があるけど」

浅草「ところでそういう傷とか痕って、どんな風にしたら出来るんだろうねえ?」

浅草「私が思いつく限りでは、紐同士を擦れ合わせたりとかさね!」


大類「早稲、また――」

早稲「寝てない、寝てない」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【首にかかった紐】
・【白い繊維】
・【索状痕】
・【血の付いたタオル】
・【紐の両端】


音道「他人の首を絞める時に、必要なことは何でしょうか?」

春浪「そりゃ、頸部を圧迫することだ」

駒牧「ただ、犯人の手に紐の痕はついてなかったんだったな」

伊丹「そうか、犯人は〔足で紐を引っ張って〕首を絞めたんだ!」

一ツ橋「……何らかの方法で首と紐の隙間を失くすことが出来れば、可能です」

許斐「【何重にも巻いた】、とかぁ? それなら、隙間は多少埋められるけどぉ……」

指宿「確かに索状痕は二本あったけど、それだけやとな……」

二十八「隙間の分の紐を〔捻じった〕なんて方法もあるけどね」

大類「ええっと……ん、どういうこと? 天文学者は捻じって隙間詰められんの?」

阪急「そうだ、〔別の方法で窒息死させた後に紐の痕をつけた〕というのはどうだろう」

森脇「で、どうやって手を使わずに紐の痕をつけるんだ?」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


浅草「ほら、強い力でねじったりとかすればそんな痕が付いちゃうかもしれないなあ……」

浅草「いやあ、独り言さね。答えは勿論安価下でね」


早稲「それに同意する!」


早稲「そうか……首の皮膚が擦り切れてたのは、紐を捻じる時に動かしたからだったんだ」

音道「ええ。紐の傷もねじった時に付いたものでしょうね」

許斐「捻じったッて、どういうことかしらぁ? それで隙間が埋められるのぉ?」

早稲「え、えっと、そこまでは……」

二十八「まず犯人は……浅草さんの首に紐を通した。その後、端を切ったり、紐を捻じる……縒ると言うのかな、したんだね」

阪急「それは分かったんだが、どういう過程なのかが、どうにも――」

二十八「そうだろうね……じっくり考えてみると良いと思うよ。目で見た結果だけを信じること。それが学者のやり方だ」

早稲「目で見た結果だけを……」


【ロジカルダイブ、開始!】

Q1.何故犯人は紐の両端を切る必要があった?
 1.紐にした仕掛けを隠したかったから
 2.ランドリーの紐と分からなくしたかったから
 3.首を絞めるには長すぎたから

Q2.犯人はどうやって浅草の首を絞めた?
 1.捻じることで紐の隙間を詰めた  2.紐の両端をそれぞれ外側に引いた  3.手や腕を使って絞めた

Q3.犯人は浅草の首に紐をかけた後、どうした?
 1.そのまま浅草の首を絞めた  2.鋏で紐の両端を切った  3.両端を結び輪を作った


正しい選択肢を選べ!

↓1


 不正解! 発言力 5→4

早稲「これが答え――」

菊月「今さらですけど、犯人にランドリーの紐と偽装する理由が分からないです!」

空地「あー、まあランドリーにタオルを放置してる訳だからな」

早稲「じゃあ、別の理由が……?」


【ロジカルダイブ、開始!】

Q1.何故犯人は紐の両端を切る必要があった?
 1.紐にした仕掛けを隠したかったから
 2.ランドリーの紐と分からなくしたかったから ×
 3.首を絞めるには長すぎたから

Q2.犯人はどうやって浅草の首を絞めた?
 1.捻じることで紐の隙間を詰めた

Q3.犯人は浅草の首に紐をかけた後、どうした?
 3.両端を結び輪を作った


正しい選択肢を選べ!

↓1


早稲「そうか、首にかけた紐で輪を作って、棒を差し込んで、捻じる……そうすれば手を傷付けずに首を絞められるんだ!」

空地「両端を切った本当の理由は、輪にしたことを隠すためか……」

伊丹「どういうこと?」

大類「いやー、よく分かんない」

二十八「輪になった紐を両手の人差し指にかけて、片方の指だけを回してみるんだね」

大類「でも俺、いま紐なんて持ってないしよく分かんないんだけど……」

伊丹「おおっ、輪ゴムならあるよ!」

春浪「お前らは黙ってろ、頼むから」

今日は終わりにします。明日には終わる、明日には終わらせる

ということで明日も9時です、お疲れ様です


一ツ橋「……そうなると、何か棒が必要になります」

直入「あんまり長すぎると、頭や体に引っかかるね……特殊な条件さえなければ、50cm以内かな」

二十八「太い方が良いけど、あまり太すぎても入らないな……ふふっ、まあそんなに太いものは思い当たらないけどね」

許斐「阪急君、顔赤いわよぉ?」

阪急「…………で、その棒というのは何なんだ? 何でもいいんじゃないか?」

一ツ橋「両端を切るほど隠したかった証拠なら、凶器が分かれば犯人が分かるようなものじゃないかしら」

大類「あーっ、分ッかった! ヴィオラの弓じゃないかな!」

音道「弓毛が邪魔ですし……ええと、スティックは70cm強ありますね」

大類「うわっ、そんな長いの? ところでそもそもヴィオラって何、ヴァイオリンと違うんすか?」

音道「違います。ヴィオラの方が燃えやすいですから」

大類「燃やすの?」

春浪「二十八女史の天体望遠鏡はどうなんだ?」

二十八「ふふっ……持ってきてるわけないだろ」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>269
・【浅草の遺体】
・【駒牧の個室の鍵】
・【直入の証言】
・【チェーンロック】
・【裁縫セット】


空地「けど本当に……それ以外に〔丁度いい大きさのものなんてない〕よな?」

許斐「【倉庫にもそんなものは無かった】と思うけどぉ……」

駒牧「いや――一つだけあるんじゃないか、許斐?」

許斐「あらぁ、わたしぃ?」

駒牧「ああ。厨房にあるだろ? 細身の【麺棒】……あれならぴったりじゃないか?」

許斐「……つまり、私は疑われてるッてことかしらぁ?」

直入「それは、許斐さんが麺棒を持ち出して、犯行に使ったってことで良いんだよね?」

駒牧「そう、食堂にいる許斐なら、麺棒があることも知っていたし、簡単に持ち出せる……だって【厨房にはお前しか入らない】んだから」

駒牧「だから許斐……お前が、犯人なんじゃないのか……?」

許斐「……【違います】よぉ?」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


早稲「それは違う!」


早稲「駒牧……お前は昨日鍵の捜索に必死だったかもしれないけど、それは違うんだ」

駒牧「違うって?」

早稲「直入君は、昨日の夜に二十八さんと許斐さんが厨房に片付けに行くところをちゃんと見てたんだ」

駒牧「そうなのか?」

直入「そうだね。二人で一緒に入ってから、出てくるところまで。その後、誰も厨房に入らなかったことも……」

一ツ橋「変態ですね」

直入「あれ、寝てるのかな?」

二十八「ふふっ……一応言っておくと、昨日の後片付けの時には、麺棒は揃っていたのを覚えてるよ」

駒牧「そうか……疑って悪かったな、許斐」

許斐「いいえぇ、疑いが晴れたんなら♪」


指宿「で、麺棒でもないなら本物の凶器は何なんや?」

森脇「もはや棒ではないとか、そういうことになるのか……?」

音道「――今の話で、特定できたんじゃありませんか?」

大類「マジで?」

音道「麺棒でないとしたら、答えはもう一つしかありません。それが分かれば、あの殴打痕の説明もつくんですが……」

森脇「殴打痕? ということは……殴打した凶器も、首を絞めるのに使った棒も、同じだということか?」

音道「ええ。……少し考えてみましょう、あの殴打痕、少しおかしかったですよね」

早稲「ええっと、おかしいっていうのは……」


・傷が頭の上にあったこと
・傷が頭の下寄りにあったこと
・傷が頭の側面にあったこと

正しい選択肢を選べ!

↓1


早稲「これだな!」


早稲「もしかして、後頭部の傷が下寄りにあることですか?」

音道「前からにしろ、後ろからにしろ――殴りつけるのって、普通は上からですね」

二十八「そちらの方が加わる力が強くなるからね」

早稲「…………」

音道「もう、分かりましたか、早稲さん?」

早稲「……ええ」


怪しい人物を指名しろ!

↓1


 不正解! 発言力 4→3

早稲「君しか、いな――」

菊月「剣道なら……やっぱり一方的に殴るときは、上からガツンと行きます!」

音道「発想としては間違いではないです。あとはもう一人、そういうものを持っている方がいましたね」


怪しい人物(>>77-78)を指名しろ!

↓1

失礼、>>76-77ですね


 不正解! 発言力 3→2

早稲「あなたしか、いな――」

森脇「まあ、確かにスポーツの指導はするが……用具は持っていないな」


怪しい人物(>>77-78)を指名しろ!

↓1

まーた間違えた……ほんとすいません>>76-77です


 正解!

早稲「お前しか、いない!」


早稲「大類、ソフトのバットを持ってる、お前じゃないか?」

大類「へー、そうだったんだ……」



大類「――って、いやいやいやいやいや! 俺なわけないでしょ! マジで、なんで? 自分で言うのもアレだけど、俺バカだよ!? そんなトリック思い付くわけないじゃん!?」

早稲「だったら、どうして犯人は浅草を下から殴ったんだ?」

大類「そんなの知らないって、俺は犯人じゃないんだから!」

森脇「……それはそうか。ソフトボールは――バットを下からスイングするんだからな」

大類「うっ……豊まで……でも、俺のバットに血痕なんて残ってないし――」

二十八「言った筈だよ。凶器の返り血はランドリーのタオルで防いだ……」

大類「……くっ、そ!」


大類「でも違うんだ! 俺は――俺は、犯人じゃない! 浅草を殺してなんかないんだ!」

早稲「そんなこと言われたって、お前のバット以外に、浅草の首を絞められたものなんて無いんだ!」

大類「……! そうだよ、忘れてたけどさ! それで俺が浅草の首絞められるってのも、おかしな話だよな!」

空地「おかしい?」

大類「だってバットじゃ首絞めるには長すぎるんだから! 音道さんも言ってただろ? いくらソフトのバットが短いからって、70cmは優にあるんだ!」

大類「だとしたらさ! 苦労してでも弓を外せる音道さんの方が怪しいし! 俺のバットがオッケーなら菊月ちゃんの竹刀だってオッケーだろ!?」


早稲「(確かに、紐へそのまま通したんじゃバットは長すぎる)」

早稲「(けど……バットだからこそ、あれを利用することが出来たはずだ!)」


【閃きアナグラム、開始!】
 ?り???んど
  ぐ ら こ っ の
  え ー す ぷ ん

?を埋めて言葉を作れ!

↓1


浅草「……そりゃそうさね」

浅草「テニスラケットとか、ゴルフグラブとか、自転車でも言うみたいだけど……」

浅草「グリップの終わりの……和製英語らしいね」


早稲「グリップエンドに引っかけて、紐を中心に回せば……バットの長さなんて関係ないよな」

大類「っ!」

一ツ橋「『握りの部分には安全ノブをつけなければならない。安全ノブは90~100度の角度で、少なくとも8mmの高さがなければならない』――」

直入「これじゃあ、ちょっと言い訳はできないかもね……」

大類「…………違う」

森脇「あ?」

大類「認めないって、俺は犯人じゃないんだ!」


【パニックトークアクション、開始!】

大類「だっから違うんだって!」

大類「ほら、凶器だって他にあったかもしれないし!」

大類「大体、他に野球でもソフトでもやってる人がいて、そいつがスイングしたかもしれないだろ!?」

大類「バット――バットだって、いや、首絞めるのに使ったのがバットじゃない可能性だってある!」

大類「俺が犯人である可能性があるだけで! 犯人だってことにはならないだろ!?」

大類「そんなに俺を犯人にしたいなら――」

大類「【もっと決定的な証拠はないのかよ!】」

            ロープ
             △

     切れ端 □       ○ の

             ×
             洗濯

↓1


 正解!

早稲「これで証明する!」


早稲「……あるかもしれない」

大類「はあっ!?」

早稲「大類、トレーニングには行ったんだよな」

大類「そうだよ、朝早く起きたんだから、トレーニング以外にすることなんてないし!」

早稲「それが終わった後、まっすぐ寄り道せずに食堂に向かった……」

大類「当たり前だろ、俺は犯人じゃないんだから、証拠隠滅の必要なんてないからな!」

早稲「だったら、ポケットにでも。そうでなければ、お前の部屋か、持ち物の中……或いは体育館にでも、ある筈だよな」

早稲「犯行の後に捨てることが出来なかった、洗濯紐の切れ端が」

大類「――――っ!」


【クライマックス推理、開始!】

ACT.1
 昨日の夜、浅草は、自分の部屋の鍵を失くしてしまった。
 その鍵を手に入れた犯人は、まずランドリーから洗濯ロープを一本盗んでおいて、犯行に備えたんだ。

ACT.2
 そして、犯人は浅草の部屋を訪れた。『鍵を見つけたから渡したい』……とでも言って、ついでに中に入れてもらったんじゃないか。
 鍵を失くしても、チェーンだけかけて自分の部屋で寝てた、警戒心の薄い浅草だしな。

ACT.3
 部屋に入った犯人は、タオルを巻いたバットで浅草の頭を殴打し、気絶させた。
 この時、犯人は普段と同じように、バットをスイングすることで殴打した。だから、浅草の傷は頭の上ではなく、下寄りに残ってしまったんだ。

ACT.4
 浅草を気絶させた後、犯人は浅草の首にランドリーの紐を二重にかけて、その端を結び輪を作った。
 そうして出来た輪にバットを通し、グリップエンドに引っかけるようにして、紐を回転さした。
 そうすることで、首と紐の間の空間を詰められるから、首は圧迫される。こうして、自分の手に痕を付けずに、浅草を絞殺することができた。

ACT.5
 犯人はトリックに気付かれないよう、紐の結び目を切っておいた。それからランドリーに戻って、バットに巻いたタオルを洗濯機の中に入れた。
 ここで血を洗い落とせなかったのは、犯人が、夜時間は水が出ないと勘違いしていたせいだろう。


早稲「この事件の犯人は――大類拓海、お前なんだ!」


指宿「ハッ……嘘やろ、大類?」

大類「………………」

指宿「何でなにも言わんのや……お前は、こんなことしよるような奴やなかったやろうがっ……!」

大類「――そうですよ、素直さん」



大類「……俺が。浅草を、殺したんですよ」


モノクマ「議論の結論が出たようですね。それでは投票タイムと参りましょう! オマエラ、お手元のスイッチで投票をお願いします!」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰なのか!」

モノクマ「果たしてその答えは正解なのか、不正解なのか?」

モノクマ「それではいきましょう! 投票ターイム!」



――――――――

大類|大類|大類

――――――――

     【学級裁判、閉廷!】


モノクマ「だいせいかーい! 超高校級の掏摸師・浅草六月さんを殺したクロは……大類拓海クンなのでしたー!」

指宿「なんで……何でンなことしよったんや、大類ィ!」

大類「だ――だって! あのDVD見たら、チームの練習場がぼろぼろになってて……俺が、キャプテンなんだから、あのチームを守らなきゃいけなかったのに!」

許斐「あららぁ、そんなことだったのぉ?」

大類「そんなこと……っ、許斐さんには分からないかもしれないけど、だって、俺がぶっ壊しそうになったチームを、ようやく建て直せたと、思ったのに……っ!」

空地「ぶっ壊す……?」

モノクマ「その感動的っぽい話はボクの方から説明させていただきましょう!」

一ツ橋「ぽい……」


モノクマ「5年前――そのソフトボールチームには、二人のエースがいたのです」

モノクマ「一人は正確無比なコントロールを誇る女子エース、もう一人は小学生ながらも120km/hの速球を抛る剛腕エース――何を隠そう、大類拓海クンなのです!」

空地「大類はキャッチャーだって言ってなかったか?」

モノクマ「しかしある日、ソフトボールチームでの練習中のことでした……大類君は、投球練習中の彼女の頭部へ、あろうことかボールをぶつけてしまったのです!」

モノクマ「彼女は命に別条こそ無かったものの……後遺症に苦しめられ、二度と大好きなソフトボールをプレイできない身体になってしまったのでした」

大類「………………」

モノクマ「大類クンは彼女の才能を潰したことを思い悩み、ボールを投げることすらできなくなりました。エースを同時に失ったソフトボールチームは低迷……解散の危機に瀕したのです」

モノクマ「それを見るに耐えかねた彼女に、大類クンは励まされ、キャッチャーへ転向することでチームを立て直したのでした。めでたしめでたし!」

駒牧「まあ、それを守るためにこんな結末になったんなら……目出度くもなんともないってことか」

大類「何が……何が分かるんだよ、あのチームは、俺の……!」

森脇「――もういい、大類」


 溜息交じりに言う森脇に、大類は一瞬怯んだ。


森脇「私は押しつけ過ぎたんだな。お前に、色んなことを」

大類「豊……ち、違う! 俺は豊を責めたかったんじゃ――」

森脇「今までよく頑張ってきたよ、お前は。悪いのは、それを全部押し付けて、何もしてこなかった、私だ」

大類「……そうじゃない。そうじゃ、ない――」

指宿「なあ大類、一つだけ教えてくれ。お前……浅草を殺した時。……嬉しかったか? ここから出られると思って、喜んだんか?」

大類「…………そんなっ、そんなはず、ないじゃないすか」

指宿「そうか。……なら、ええわ」

大類「はっ……ははっ。なんすか、それ。素直さん」





大類「そっか…………俺が。悪かったんだよな」


モノクマ「……えー、感動的っぽいシーンは終わりで良いかな?」

直入「ぽい……で、ええと。これから何かするんだったっけ?」

一ツ橋「オシオキ――処刑ね」

大類「…………へっ?」

指宿「何やと?」

モノクマ「へっ、じゃないですよ! 校則にもちゃんと書いてあるじゃない!」

大類「ちょっ――ちょっと待ってよ! 俺はまだ、死にたくな――そうだよ、皆は、チームのみんなはどうなったんだよ!」

モノクマ「死んだんじゃない?」

大類「ふえっ……」

モノクマ「さーて今回は、超高校級のソフトボール選手である大類拓海くんの為に、スペシャルなおしおきを用意しました!」

大類「じゃ、じゃあ俺は、何のために――」

モノクマ「では張り切っていきましょう!」

大類「何のために、浅草を――っ!」

モノクマ「オシオキターイム!」




          GAME OVER

     オオルイくんがクロにきまりました。

       おしおきをかいしします。



 バッターボックスにはバットを持ったモノクマ。ピッチャーマウンドの上には、ピッチングマシン。

 そして本塁の前には、ミットもマスクもヘルメットもレガースも――防具を何もつけていない大類が、座らされていた。


         【千本ノック セカンドシーズン】

     超高校級のソフトボール選手  大類拓海処刑執行


 大類はふと、何かに気付いたように、小さく口を開く。

 ――と、その瞬間。突然ピッチングマシンが作動し、ボールが放たれた。

 初球、モノクマが見逃したボールが、大類の腹へ深く、まっすぐに食い込む。

 大類は呻き、咳き込みながら、腹を押えた。その背後から、モノクマのスイングしたバットが、大類の後頭部へ炸裂する。

 衝撃で前に倒れ込みそうな大類の顔面に、間髪入れず、二球目がぶち当る。

 そしてまたも、モノクマの太いバットが襲いかかった。

 ボールとバットに板挟みにされる大類は、次第に呻き声を上げることも、動くことも出来なくなる。

 そして千球目――ボールはバットの芯に当たり、バックスクリーンへ一直線に飛び込んで行く。

 満足そうな表情をしたモノクマは、ホームベースの上に倒れ込んでいる大類を放って、満足そうにフィールドを去っていった。

 ――起伏のあるピッチャーマウンド、一つしかない一塁、投球距離一八・四四メートルのフィールドから……。


モノクマ「エクストリ――――――――ムッ!」

阪急「い、今更だが……これはドッキリとかいう奴じゃないのか? 本当は明日の朝起きたら、二人ともひょっこり姿を現すんじゃ……」

春浪「本当にそう思うなら……それを期待して、早く寝ることをお勧めするぜ」

伊丹「ふざけんなよ……大類だって、そんな……! 悪い人じゃなかったのに!」

駒牧「ここまでやる必要があるのか? どうして……」

許斐「あららぁ……ちょぉっと、悪趣味が過ぎるかしらねぇ?」

指宿「…………」

二十八「あまり肩を落とさない方が……と、言っても無駄か。応えるね」


 議論をしていた頃とは打って変わって――裁判が終わった、オシオキが終わった後の全員は、随分と意気消沈していた。

 それが恐怖から来るものなのか、誰かへの怒りや、失望感を懐いたためなのか、それは人によって違うだろう。

 結果として裁判場を包んだ妙な統一感は、結束とは遠くかけ離れたものだったのは、違いない。


森脇「……戻ろうか」

音道「森脇さん?」

森脇「こんなところにいたって、仕方が無いだろう? 私達は……もう、ここに来てはいけないんだからな」


 そうして微笑んだ森脇の表情が、早稲には、何かを堪えているように見えて、仕方が無かった。


春浪「……姉さん。あんた――」

森脇「ふん、なんのことはない。はは、本当に……」

森脇「本当に――馬鹿な奴、だな」


【早稲の個室】

早稲「(まさか、大類が……なんてなあ――)」


 部屋に戻ると早稲は、カーペットの上にそのまま座り込んで、ベッドの側面に上半身を委ねた。


 コロシアイ。

 誰も殺すはずが無く、誰も殺される筈がない。

 いくら煽られようと、脅されようと、昨日までの早稲にとって、それはどこまでも遠い世界の話だった。

 それが今日は違う。前日にも共に昼食を採った、浅草が死んだ。そして、浅草を殺した大類も死んだ。

 結局のところ、覚悟ができていなかったのも、こんな状況にならないと思っていたのも、自分だけだったのかもしれない――

 二人の顔を思い浮かべながら、早稲はぼんやりと、そんなことを考えることしかできなかった。


 ピーン、ポーン……


 耳に響くチャイム音で、早稲は一気に現実へ引き戻された。

 宅配便でも採りに行くような気軽さで、素早くドアの前まで走ると、鍵を回して扉を開いた。


 〔>>76-77から、部屋を訪れた生徒を一人〕

↓1


早稲「……音道さん?」

音道「こんばんは。……ここのチャイムの音は、本当に大きいですね」

早稲「そう、ですね。浅草も、このチャイムを聞いて起きたのかな……。音道さん、耳に悪くないですか?」

音道「聞こえなくなって困るほどの耳をヴィオリストは持っていないんですよ」

早稲「えっと、それも、ジョークですか?」

音道「はい。……入れてもらって構いませんか?」


 早稲は言われるがまま、音道を招き入れ、ベッド際の椅子を勧めた。


音道「……早稲さん。私が早稲さんを殺しに来たと言ったら、どうするつもりだったんですか?」

早稲「えっ……?」

音道「いえ。あんなことがあった割には、警戒心が薄いと思いまして」

早稲「まあ、それもそうかもしれないですね。ははは……なんか、疲れたみたいで」

音道「……応えますね」


 音道は目を伏せて、気を取り直すように一度、咳払いする。

 それから早稲を真直ぐに見つめて、


音道「私は……今日の裁判で、まだ解かれていない謎について、話すために来たんです」

早稲「解かれていない謎、ですか? でも、大類が犯人なのは間違いないんじゃ……」

音道「勿論、それは間違いありません。けれど……何故ふたりは、鍵を持っていたんでしょうか?」

早稲「鍵……?」


音道「まず、大類さんはどうやって、浅草さんの鍵を手に入れることが出来たんでしょうか?」

早稲「それは、浅草が鍵を落としたからでしょう? 偶然、それを大類が拾って――」

音道「そうですね……。では、浅草さんはどうして駒牧さんの鍵を持っていて、どうして自分の部屋の鍵だけを、落としてしまったんでしょう?」

早稲「……浅草の遊び心、なんてことは、納得できないですよね。でも自分の鍵だけ落としたのは、偶然としか言いようがないじゃないですか」

音道「でも、意図的に起こすことなら……可能です」

早稲「意図的にって……誰が、何のために?」

音道「こういうことを言いたくはありませんが……内通者が、コロシアイを起きやすくするため、とは考えられませんか?」

早稲「……!」


早稲「この中に内通者がいて……その内通者が、この事件を仕組んだ、ってことですか?」

音道「あくまで、可能性の話です。なので、頭の片隅に留め置いてくれる程度で構いません。杞憂かもしれませんから」

早稲「…………」

音道「ごめんなさい。こんな話をして……今日は私、失礼しますね。また明日――」

早稲「あの、音道さん。その前に、一つだけ良いですか?」

音道「なんでしょうか?」

早稲「どうしてそれを、僕に言いに来たんですか?」


 音道は面食らったような顔をして、しかし考えるような素振りも見せず、微笑んだ。


音道「……偶然でない作為、では、ないかもしれません。失礼します」

早稲「あっ……はい」


 音道の出て行ったドアを見つめて、早稲は首を傾げる。


早稲「それ、偶然ってことで良いのか……?」


【???】

モノクマ「うぷぷ……いやあ、早速大類クンが動いてくれるとはね」

???「――まあ、君がそれで良いんならいいけど。あんまり効率的じゃないよね、このシステム」

モノクマ「当然じゃない! 問答無用でいっぺんに全員皆殺し――なんてことしたら意味ないでしょ?」

???「ふうん……僕はたまに、君が何をしたいのか分からなくなるよ。突然内通者のことを。示唆するどころか公にするしさ……」

モノクマ「心配しなくても大丈夫だよ! ボクが大事な内通者を、みすみす潰したりするワケないじゃない!」

???「あっ、そう……ならいいけどね」

モノクマ「心配なのはボクの方だよ! 折角の内通者がキミみたいなリスクのある奴なんだからね!」

???「はは、平気だよ。……アイツさえ何も言わなければ、絶対にバレたりしないからさ」

モノクマ「……まあ、対策は練っておくよ。精々頑張って働いてもらわないとね。――キミの大好きな一ツ橋四季さんが、死んだりしないように」

???「………………」





     CHAPTER.01【絶望のドラマが動き出す】

             END

                    …生き残りメンバー:14人



今日は終わりで。二章の裁判はもう少し……検討の余地がある……

二章は明日の18時から始めます、本当にお疲れ様でした

すいません、19時半からにします。申し訳ない




     CHAPTER.02【駆けあがれ! 青春のテッペン】(非)日常編



キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


 〔コンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります〕

↓1


早稲「……朝か。来なければ良かったのにな」

早稲「メダルがあるか確認するのが習慣になってるし。悲しいな……」

 〔モノクマメダルを6枚手に入れました。〕



【食堂】

早稲「……森脇さん、大丈夫ですか?」

森脇「ああ。……そういえば、今朝体育館へ行くとき、二階への階段のシャッターが開いているのを見た。見てくると良いだろう」

早稲「へえ、何のつもりだろう……。とりあえず、そうします」


 〔>>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで〕

↓1


早稲「おはよう、二人とも」

一ツ橋「おはようございます。それから、お疲れ様です」

早稲「ああ……そうですね、お疲れ様です。一ツ橋さんは休めたんですか? あんなことがあって」

一ツ橋「大丈夫です。編集者は現場には行きませんけど、事件自体は慣れてますから」

直入「はは、そう言って、疲れ過ぎてまだ寝てる癖に」

一ツ橋「何もしてない誰かと違って、寝る必要があるから」

直入「君は僕のことが嫌い過ぎると思うんだよねえ……仕方ないけど」


1:「やっぱり、二人とも仲が良いんだね」
2:「一ツ橋さんって、割と露骨に口調が変わりますね……」
3:「仕方ないって、何が?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「やっぱり、二人とも仲が良いんだね」

一ツ橋「よくありません。私はこの男が、とても嫌いです」

早稲「そ、即答じゃないですか……一緒に朝食なんか採ってるくせに。直入君、一ツ橋さんに何かしたの?」

直入「僕が自ら進んで四季を危機に晒したことは無い筈なんだけどねえ……」

一ツ橋「貴方のせいで殺人鬼に追われたりしたのに?」

直入「四季の行動があの殺人鬼の逆鱗に触れたんじゃ――」

一ツ橋「そっちの話じゃなくて! 一昨年の……日本の方です」

直入「ああ……いや、それだって僕に非は無いだろ? あの時よりはすぐに捲けたし……」

一ツ橋「非が無いのに襲ってくると分かっていて取材を続行したんだから、貴方に非があります」

早稲「(何やってきたんだ、この二人……?)」

早稲「……というか、やっぱり仲良いんじゃないか!」


早稲「……さて、やっぱり森脇さんの言う通り、二階を調べてくるかな」

早稲「皆ばらばらに行ったのかな……一応、誰か誘ってみるか?」


 〔>>76-77から、一緒に行動するメンバーを一人(単独行動も可)〕

↓1


早稲「阪急君、一緒に二階でも調べない?」

阪急「ああ。僕も今から調べようとしていたところだ、そうしよう」

早稲「何回まであるんだろうなあ……こんな広い学園を16人だけって言うのも、寂しいよね」

阪急「そうなのか? でも、小学生の頃には校舎を一人で使えただろう?」

早稲「ええ……?」

阪急「…………いや? 冗談だ、忘れてほしい」


【水練場】

 右手の棚にはビート版、目の前には、赤と青、二枚の扉が並んでいる。

 二つの扉のちょうど中間には、学校という場にそぐわない、ガトリング・ガンがぶら下がっていた。


早稲「ここは……?」

伊丹「あー、早稲と阪急! この奥にプールがあるらしいんだ。倉庫の水着はこのためだったんだね!」

早稲「へえ。じゃあ、そこの扉は更衣室か?」

森脇「そのようだな。トレーニング機器が揃っていた。……どうだ、早稲。私が鍛えてやろうか?」

許斐「でもぉ、確か異性の更衣室には入れないらしいわよう? こうして、自分の電子生徒手帳を翳さないとロックが開かないからぁ……」

阪急「翳す……? ああ、これがイコカか!」

早稲「電子生徒手帳だと思うけど……」

伊丹「因みに、異性の更衣室に入ったら、あのガトリングで蜂の巣らしいから! くれぐれも入んないでよ?」

阪急「い、異性の更衣室なんて、そんな――」

許斐「阪急くぅん、そんなに興奮しちゃ駄目よぉ?」

阪急「し、失敬。いや、していない!」


【プール】

 競技用の広大なプールは、季節問わず使用できる室内プール。無論、ここからの脱出は不可能のようだ。

 プールサイドには、小さなロッカーが一台、それから、作戦用か、或いは広報用か、ホワイトボードが置かれている。


早稲「プールか……あんまり好きじゃないんだよな」

音道「あら、早稲さんもなんですか。実は私も、水着を着るのは、ちょっと……」

阪急「そうか、それは残ね――」

菊月「ええっ、そうなんですか? それは残念です!」

早稲「なんでゆりちゃんが言うの?」

阪急「しかし広いな……それに、室内プールだなんて、初めて見た……!」

音道「は、初めてなんですか……?」

指宿「ま、広いは広いわな。こんだけあるなら……浅草がおったら喜んどったやろうな」

早稲「……指宿君」

指宿「悪い、思い出すとどうもな。ま、気にせんで楽しめや。俺らはまだ生きてるわけやしな」

早稲「いや、刺青を入れてる人は、大浴場もだけど、プールには入れないんじゃ――」

指宿「おう、早稲」

早稲「はい?」

指宿「――――俺は! 構成員やないって! 何べん言うたら分かるんや、このっ、ドアホがぁ!」


音道「……ええと、まあ、放っておいてもいいでしょうか……」

阪急「構成員? 何を構成するんだろう、菊月さん?」

菊月「分からないです! 翠さん、構成員って何ですか!」


【図書室】

 隙間なく埋められた本棚が、敷き詰められるように並ぶ図書室は、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 読書用のデスクの上には、一枚の紙と、畳まれたノートパソコンが置かれていたのが目に入った。


直入「へえ、やっぱり春浪君の本もあるんだなあ。それから、腐川冬子の小説もある」

空地「マッハの恐怖やロッキード事件の本もあるな……!」

早稲「随分嬉しそうだね……」

空地「政治家の汚職で有名なロッキード……日本じゃ割と冷遇されてたんだ、コニーだって……エレクトラはフラッター事故の所為でイメージが悪いな……」

阪急「……? まあ確かに、僕達はロッキードなんて名前しか知らないな。初瀬議員の起こした、少女誘拐殺人事件も、名前しか――」

早稲「あれは冤罪事件だったんじゃなかった?」

阪急「そうだったか……子供の頃だった所為で、どうも記憶が……」

空地「確か、大手週刊誌が事情聴取と逮捕を取り違えたんだったか、あれは?」

直入「そうだね。記者としては、あれでメディアの印象が悪くなるのも困ったもんだよ、全く……」

阪急「それこそ、ロッキード事件みたいなものなわけだな」

空地「いや、微妙に違う。確かにトライスターは良い機体だったけれども――

早稲「も、もう良いだろ、空地君!」


早稲「二十八、そのパソコンは?」

二十八「ううん、電源は点くようなんだが、パスワードがかかっているらしくて」

阪急「パスワード? なんだ、それは?」

二十八「それが分からないから困ってるんだ……阪急君、何か思い当ることは?」

阪急「スイカとか、イコカとか、スゴカか? 僕のところの駅では導入していないから、何とも言えないが……」

早稲「あの、パスワードってそういう意味じゃ……ないんじゃないかな」

二十八「……期待できそうにないね、ふふっ」

阪急「あまりに辛辣じゃないか、それは……?」

二十八「事実だぞ。……まあ、こちらは僕がなんとかしてみるよ。ヒントもあるようだしね」

早稲「このメモか……。これ、英語か? 読めないけど……」

二十八「平気だよ、ここを何処だと思ってる?」

早稲「図書室だろ?」

阪急「そうか! 英和辞書がある」

早稲「……いや、お前も読めないのかよ!?」


【書庫】

 図書室よりも、むしろ倉庫の方が近い印象を受ける書庫は、本棚から本が溢れ、やはり床に氾濫している。

 足の置き場が無かったらしい春浪が、脚立の上に座り込んで、そのままファイルを眺めていた。


阪急「春浪君と一ツ橋さんは、ここか……」

春浪「そうだな」

早稲「……何見てるんだ?」

春浪「そうだな」


 早稲はそのファイルを、横から覗き込んでみる。

 文字の横に貼り付けられた写真には、喉を鋏で抉られ、処刑でもされたかのように、両腕を吊るされながら、苦痛に顔を歪める男達が映っていた。


早稲「なっ、何見てるんだ、これ……!」

春浪「おいおい、覗き見なんて趣味が悪いぜ、早稲青年」


 嘲笑のような笑みを浮かべ、春浪が置いたファイルのラベルを、早稲は横目で見る。


早稲「『ジェノサイダー翔事件ファイル』……って、あのジェノサイダー翔か?」

阪急「ジェノサイダー翔……? 有名人なのか……?」

一ツ橋「男性だけを狙う、シリアルキラーね」

春浪「ああ。どうやら書庫にはこういう資料が集められているようだぜ」

一ツ橋「同じ報道規制が敷かれているものでも、上層部しか知らないものと、ヒラでも知っているようなものが整理されていないけれど……」

早稲「そういうもんなんですか。へえ……」


阪急「一ツ橋さんは、何を見ていたんだ?」

一ツ橋「ジェノサイダー翔が男性だけを狙うなら、これはその逆ね――」

春浪「ウィーケンド・キラーだな」

阪急「ウィーケンド?」

一ツ橋「Weekend」

早稲「ウィークエンドで良いだろ?」


 そう言いつつ、早稲はファイルを受け取って、事件の概要を見る。

 『被害者は東浜菜緒、柳田由岐、森唯、帆足幸乃、攝津正美、五十嵐亮子、森福充流、細山田史、松田宣絵、中村亜紀……

  いずれも10代後半から20代の女性。週末に遺体が発見されていることから、Weekend Killerとも称される。

  遺体には致命傷以外の傷が無く、抵抗の痕も見られないことから、顔見知りの犯行と推測される。性的交渉の痕は無し。』


早稲「うわぁ、女性も大変なんだなあ」

春浪「この事件、恐らく犯人も女だろうな。ふん、本当に女って奴は、末恐ろしい生き物だとつくづく思うぜ」

一ツ橋「まあ、その可能性が高いでしょうね。男性の可能性も、無きにしも非ずだけれど……例えば、性的不能者であったり、女性を性的対象として見られない――あっ」

阪急「? どうかしたか?」

一ツ橋「いえ……この話は、やめましょう」


【早稲の個室】

早稲「…………疲れた、二階を調べただけなのになあ」

早稲「でも時間もあるし、ちょっと出かけようかな」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1

【購買部】

早稲「よし、回すぞ……って、あれ、そういやこのメダル減ってないか?」

早稲「もう盗む奴もいないんだけどな……」


 何回まわしますか?(モノクマメダル所持数22枚)

↓1


〔油芋〕
〔レーション〕
〔色恋沙汰リング〕
〔武神のお守り〕
〔G-SICK〕
〔新品のサラシ〕
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔ウォーターラバー〕
〔すきバサミ〕
〔愛蔵リアクション芸集〕


早稲「サラシとTシャツまでダブるのか……誰にやれって言うんだ」

早稲「まあ、いくつか悪くないのもある……あるのか?」


【早稲の個室】

早稲「もう少し動いても良いかな」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


【書庫】

早稲「春浪は……元気そうだな。嬉々として見るなよ、そういうのを」

春浪「新作のネタ探しと言えば、皆納得して引かなくなるんだがね」

早稲「新作に猟奇趣味が出てきたら読むのを辞めたくなるな……。そういう趣味があるのか、お前は?」

春浪「そういう頓珍漢な勘違いは人を不快にさせるだけだぜ」

早稲「僕はお前の物言いの方が不快だけどな。何でそんなの読む必要があるんだよ?」

春浪「暇だから以外に理由があるものか」

早稲「暇なら、メインの図書室で本でも読んでりゃいいじゃないか。本の引用でも探しに――」

春浪「はっ、兄さんにそう言われたら、読む訳にはいかないな」


1:「本当にお前、天邪鬼のクソガキだな……」
2:「そう言って、猟奇趣味があるんじゃないか、本当は?」
3:「誰か読みたい、好きな作家はいないのか?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「本当にお前、天邪鬼のクソガキだな……」

春浪「ふん、結構な褒め言葉だ。それから少しでも自分の意にそぐわないと文句をいう人間は、おれは嫌いだな」

早稲「……お前好き嫌い激しいな」

春浪「クソガキだから仕方ないんじゃないか?」

早稲「屁理屈だ……」

春浪「……ま、意見を真直ぐぶつけるような人間は嫌いじゃないぜ」

早稲「どっちだよ? どっちでも嬉しくないけど……」

春浪「少なくとも、陰湿な奴よりはよっぽどいいってことさ。あんたには分からないだろうがね」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


阪急「ん、二人とも、何の話をしているんだ?」

春浪「あんたか。まあ、あんたみたいなのも、嫌いではないがね」

阪急「? そ、そうか……それなら良かった、のか?」

阪急「僕は……そうだな。やはり、会ったばかりで君のことをよく知らないから、好きだとか、嫌いだとか、形容は出来ないが、しかし良い友人になりたいとは思っている」

早稲「お堅いね、阪急君は……」

春浪「……兄さん、あんた、おれの小説を読んだり、映画を見たことがあるか?」

阪急「いや、実は……。本は図鑑や学術書くらいしか読んだことがないし、映画館へは行ったことがないし……」

早稲「真面目というか、浮世離れしてるね、それは」

阪急「ああ、恥ずかしい限りだ……」

春浪「……ふん、割と喜ばしいことと言えば、喜ばしいな。あんたとは良い友人になれそうだぜ、阪急青年」

阪急「? はあ、よろしく……」


〔油芋〕
〔レーション〕
〔浮き輪ドーナツ〕×2
〔色恋沙汰リング〕
〔武神のお守り〕
〔G-SICK〕
〔新品のサラシ〕×2
〔ヤス・シシドのTシャツ〕×2
〔ウォーターラバー〕
〔カットバサミ〕
〔すきバサミ〕
〔愛蔵リアクション芸集〕
〔無言電話〕
〔動くこけし〕
〔蝶ネクタイの変声機〕
〔隕石の矢〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「そうだ、春浪。これやるよ」

春浪「……黒電話? 懐かしいな」

阪急「懐かしい? とりあえず、かけてみるのはどうだろう」

春浪「電話線が無いんだがね……もしもし」

阪急「…………」

早稲「…………ふっ」

春浪「…………早稲青年。あんたはおれを馬鹿にしてるらしいな」

早稲「ハハハ!」



早稲「阪急君はこれを着ると良いんじゃないかな」

阪急「……! ヤス・シシド!?」

春浪「それは知ってるのか、阪急青年」

阪急「勿論だ! こ、これは……こんなに、こんなに嬉しいことは無い! ありがとう! 早稲君!」

早稲「えっ……そんなに喜んでもらえるとは」

阪急「ふふふ……これを着れば僕もハイカラ・ボーイっぽいだろう!?」

春浪「ハイカラ・ボーイ……なんて言ってる時点でハイカラじゃないと思うがね……」

早稲「……まあ、幸せそうだし良いんじゃないか?」


【通信簿イベント】

早稲「うーん……言われれば言われるほど見えないんだけど、お前、SF作家だよな?」

春浪「おれの著作を読んだんなら分かる筈だぜ。ま、ギャング小説を書こうとしたらSFになったという方が正しいがね」

早稲「ふーん。そんな融通の利かない奴がどうして、作家になったんだ……」

春浪「元々数合わせで文芸部にはいたんだがね。暇だったから強要されて書いた小説を、部員の奴が勝手に新人賞に送りやがったんだ」

早稲「なんだそれ、アイドルかよ」

春浪「まあ、そいつは挫折して文芸部も辞めたがね。才能のあるなしってのはそういうもんだ」

早稲「シビアだな、やっぱりお前は……そういう時は、残念がったりするものじゃないの?」

春浪「ふん、『花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ』――」


【通信簿イベント】

早稲「そういえば、超高校級の駅員って、どんな才能なの? 東京駅とかでバリバリ働いてるようには見えないけど……」

阪急「ああ。それは僕も疑問なんだが……僕の勤める駅というのは、槇峰駅と言って……最近ようやく観光列車が停まるようになったところなんだ」

早稲「そうなんだ。どんな駅なの、その槇峰駅って?」

阪急「ええと、駅舎は木造で……山奥にあって、両隣の駅は他県で、一番近くの集落から三十分はかかり……一度駅舎が崩落したこともあるんだが……」

早稲「思った以上の田舎駅……というか、秘境駅だね」

阪急「ああ。それで、取り潰されそうになったんだ。けれど、その駅が好きな人は、僕の周りにも沢山いたから……なんとかお客さんを呼び込もうと思った」

早稲「それで、駅員になったんだ」

阪急「まあ、休日だけなんだが……それでも、あの駅はまだある。それは、やっぱりとても嬉しいよ」

早稲「……そっか。僕も、そんな話が聞けて良かった」


【早稲の部屋】

キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」

しまった、まあいいや。今日はこれで終わりで

明日は20時でお願いします。お疲れ様でした


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


↓1のコンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります


早稲「もう一週間か、早いな」

早稲「このメダルも、随分溜まったなあ」

 〔モノクマメダルを10枚手に入れました。〕



【食堂】

阪急「ああ、今日もご飯が美味いな」

早稲「阪急君はやっぱり呑気だなあ……いや、現実逃避かもな」

早稲「まあ、美味しいんだけどね」


 〔>>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで〕

↓1


早稲「やあ、ゆりちゃん……と駒牧」

駒牧「うーん、やっぱり俺はおまけなのか」

菊月「早稲さんは正春さんが嫌いなんですか?」

早稲「嫌いというか、苦手なんだよな……ゆりちゃんは嫌じゃないの?」

菊月「嫌ではないです! 好きと聞かれると、絶対に違います!」

駒牧「そ、そう……。俺はもしかしたら、周りから嫌われる性質だったのかもしれないな……はは」

菊月「というか、私は正春さんのことをよく知らないです。何とも言えないんです!」

駒牧「そりゃご尤もだな。俺だって自分のことはよく知らないわけだし」


1:「そういえば、お前って記憶喪失なんだったな。何か思い出したか?」
2:「ゆりちゃん、何でもかんでもはっきり言うね」
3:「二人とも、あんなことがあった割には冷静だよな……」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「そういえば、お前って記憶喪失なんだったな。……何か思い出したか?」

駒牧「何にも。菊月さんは、やっぱり知らないか、俺のこと?」

菊月「私は聞いたことがないです。そもそも、あまり外のことも気にしていませんでしたし」

早稲「まあ、そんな才能があれば、思いだそうとするうちに判明するんじゃないか?」

駒牧「だといいけど。あんまりそうなって欲しくはないな」

早稲「はあ? なんで?」

駒牧「お前が周囲に対して更にコンプレックスを感じそうだから」

早稲「……うるさいなあ、誰がお前に劣等感なんて感じるか!」

菊月「劣等感を欠片も見せていないですね! さすがです!」


【好感度イベント】

早稲「ゆりちゃんって、ここに来てから剣道の練習はしてるの?」

菊月「はい、勿論欠かしていません! 体育館はありますから!」

早稲「へえ、やっぱり超高校級って凄いんだなあ……」

菊月「良ければ早稲さん、練習相手になっていただけないですか?」

早稲「えっ、でも僕、剣道なんてやったこと――」

菊月「早速体育館へ行きましょう、善は急げです!」


――――――
――――
――

菊月「早稲さん、中々筋が良いですね! でもあまり練習にはなりませんでした!」

早稲「これだけぼろぼろにしておいて、その言いようは酷いんじゃ……まあ、僕が情けないだけか」

菊月「またよろしくお願いします!」


【早稲の個室】

早稲「はあ、本当情けないな」

早稲「……ま、あいつがゆりちゃんだったとしても、劣等感は感じないけどな。間違っても、絶対」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


【プール】

伊丹「いやっほーう! ――っとっとっと、早稲もプール来たんだ?」

早稲「まあね。お前は……本当に元気というか、楽しそうだな」

伊丹「当ったり前じゃーん、やっぱ身体動かして鍛えないとねーっ。高所からの飛び降りスタントは好きだし」

早稲「だからって飛び込もうとするなよ、危ないだろ!」

伊丹「お母さんじゃないんだから、早稲にそんなこと言われる覚えはなーいっ! ……で、早稲は泳がないの?」

早稲「泳ぎは苦手なんだよな……」

伊丹「ふーん、とか言って? 実は体見られるのが嫌なんじゃないの? 筋肉なさそうだもんねー、早稲」

早稲「う、うるさいな。関係ないだろ」

伊丹「へー、まあいいけど。じゃあ向こうで一緒にトレーニングでもする? なんちゃってー」


1:「勘弁してくれよ、さっき運動したばっかりなんだから」
2:「望むところだ、俺の本気を見せてやるよ!」
3:「しないよ。そんなことするためにお前に会いに来たわけじゃないんだから……」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「望むところだ、俺の本気を見せてやるよ! ハハハ!」

伊丹「早稲、なんかキャラ変わってない? 悪役みたいになってるけど……」

早稲「ただ、異性の更衣室には入れないから、機器は使えないんじゃないか?」

伊丹「んー、私がいれるなら問題ないと思ったんだけどなー。まあ、心配なら腕立てでも腹筋でもやればいいじゃん?」

早稲「まあ、懸垂や重量上げよりは、そっちの方が良いかな……」

伊丹「よーし、まずは腕立て500、腹筋背筋各300を3セットね!」

早稲「えっ……?」


――――――
――――
――

伊丹「早稲ぇ、おっそいよー。あと1セット残ってるんだからね!」

早稲「お、お前、毎日こんな、はあ……キツいこと、やってんのかよ」

伊丹「当然! スポーツ選手なんかはもっとやってるんじゃない? はい、あと100ね。本気出してる?」

早稲「うわぁ、マジですか……?」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


二十八「おや……君達本当に仲が良いな。二人とも元気そうで」

早稲「これが元気そうに見えるのか、二十八……」

二十八「いや。ふふっ、そこまで無理が出来るのは元気な証だろうと思ってね」

伊丹「二十八ちゃんもやるー? トレーニング」

二十八「僕は遠慮しておくよ、元々パスワード探しの息抜きなんだ。しかし……無理なトレーニングは身体に悪いぞ、早稲君」

早稲「それはもっと早く来て、言って欲しかったな」

伊丹「男らしくないよ、早稲! それぞれ100追加!」

早稲「その理屈は、おかしい……」

二十八「言い返す気力もないとは……ふふっ、まあ程ほどに」


〔油芋〕
〔レーション〕
〔浮き輪ドーナツ〕×2
〔色恋沙汰リング〕
〔武神のお守り〕
〔G-SICK〕
〔新品のサラシ〕×2
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔ウォーターラバー〕
〔カットバサミ〕
〔すきバサミ〕
〔愛蔵リアクション芸集〕
〔動くこけし〕
〔蝶ネクタイの変声機〕
〔隕石の矢〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


伊丹「お疲れ早稲、大丈夫?」

早稲「ああ……。あと、これやるよ、伊丹」

伊丹「へー、鹿島大明神のお守り?」

二十八「スタントマンに言うのも何だけど、怪我には気を付けるんだよ」

伊丹「もっちろん! ありがと、嬉しいよ、早稲……って、本当に大丈夫?」

早稲「こんなこと続けてたら……俺の方が必要かもな、そのお守り……」



早稲「それと、二十八……」

二十八「へえ、矢じりが隕石になってるのか。面白いね、ありがとう」

早稲「なんか、刺さると悪霊が見えるらしい」

伊丹「刺さるの、これ? しかも悪霊限定? 良い霊は?」

二十八「ふふっ……伊丹さん。前も言ったけど、そもそも幽霊なんて存在しないぞ」

早稲「まあ、そうなんだけど」


【通信簿イベント2】

早稲「こう言うことを知れば知るほど、どうして伊丹はスタントマンなんて始めたんだよ?」

伊丹「んー、一番は向いてると思ったからかなあ」

早稲「怪我したこと無いって言ってたもんな」

伊丹「そうそう! 爆発に巻き込まれたら流石に死ぬと思ったんだけどねー」

早稲「何やってんだよ、お前? どんな映画撮って――って、アクション映画か」

伊丹「そんなの良いじゃん、結局誰も死んでないんだしー? 周りにいた二人も無事だったしね」

早稲「そりゃ何よりで。……正直、ヒーローになりたいからって理由かと思ってたよ」

伊丹「ま、それもあるかな? そう、伊丹仁は! 世界を救う正義のヒーローだからね!」

早稲「はいはい……」


【通信簿イベント】

早稲「なあ、二十八。ちょっと聞かせてほしいんだけど――」

二十八「ふふっ、あの彗星のことかな?」

早稲「やっぱり、皆聞くんだな。そりゃ、あんな大きい彗星、僕らは生まれて初めて見たわけだし……」

二十八「それは僕もだ。初めてあの彗星を見つけた時は、そんなことになるとは知らなかったよ。彗星は明るさの予測が難しいからね」

早稲「へえ。じゃあ二十八彗星は全くしょぼい彗星になるかもしれなかったのか」

二十八「しょぼい……まあ、そうなるね。でも、ああして大きくなったなら……他の誰かに見つからなくて、本当に良かったな」

早稲「ラッキーだったんだな」

二十八「ああ。ふふっ、君のお株を奪うくらいにはね」

早稲「因みに、彗星ってどうやって見付けるんだ?」

二十八「望遠鏡を覗くんだ、誰でも出来るよ。だから僕がその彗星を見付けたのは――」

早稲「偶然、か」

二十八「ああ。ふふっ……」

今日は終わり。通信簿開示ラッシュですね、全6ページです。トップ伊丹、次点は阪急の模様

明日は遅くなるかもしれません、22時頃ですかね。お疲れ様でした

遅くなりました、自由行動一回だけやります


【早稲の個室】

早稲「……はあ。ぐっ、くそっ、伊丹め、名前の通り身体を痛めつけやがる――」

早稲「それでも僕は出掛けるんだ……!」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


【食堂】

駒牧「おっ、珍しいな。早稲が一日に二度も話しかけてくるなんて」

早稲「まあ、お前となら気兼ねなく話せるのも事実だしな」

駒牧「嬉しいのか見下されてるのか、喜んでいいのか良くないのか、分からないな……」

早稲「喜んでおけばいいんじゃない? しかし……話にきたはいいけど話すことが無いな」

駒牧「音道さんや一ツ橋に今のお前を見せたいくらいの豹変ぶりだよ」

早稲「いつまで言ってるんだ……」

駒牧「ま、いいけどな。で、何の話をするんだ?」

早稲「そうだなあ……」


1:「野球の話をしよう」
2:「アイドルとかに興味はあるのか?」
3:「そもそも俺の才能である幸運についてどう思う?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「アイドルとかに興味はあるの――」

駒牧「ああ! 舞園さやかとかか?」

早稲「食い気味に言うな……」

駒牧「当たり前だろ? 羽山あやかなんか特に可愛いんだよ、分からないのか?」

早稲「いや、俺もそこまで知らないから……」

駒牧「立ち位置としては一番端ではあるけど、舞園さやかにも引けを取らない! みんな顔だのなんだので判断し過ぎなんだ……勿論舞園さやかだって可愛いんだけど」

早稲「なあ、お前記憶喪失だよな?」

駒牧「この世のすべてを忘れても、俺はあのアイドルグループだけは忘れないみたいだな」

早稲「……超高校級のドルオタか、お前は?」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


駒牧「後はSKIとか、一番推してるのはにじシロだな」

早稲「は、はは……名前しか聞いたことないな。あっ、直入君! 直入君はアイドルに興味は無いの>」

直入「ええ、僕に頼るのやめてくれないかな……うん、アイドルは、まあ、人並みかな」

駒牧「人並みって、どのくらい知ってるんだ?」

直入「やだな、人並みは人並みだよ。例えばほら、にじいろシロツメクサXの右から二番目の子がプロデューサーとデキてるとか」

早稲「なっ――」

直入「後はSKIだっけ? あのセンターの経験人数が50を優に超えるとか――っていうのは冗談だけど……大丈夫かい、駒牧君?」

駒牧「じょ、冗談……だよな? はは、そうだよな。まーりんがプロデューサーとなんて」

直入「それは本当。SKIの方は、センターなんてちょいちょい変わるし、中には50人くらいやってるコもいるんじゃないかなあ? あはは」

早稲「直入君、それは本当だとしても言い過ぎじゃ――」

直入「こういうドルオタとか、鉄オタとか、タチ悪いんだよな。うるせえし、取材の邪魔だし」

駒牧「…………」

直入「……あはは、勿論冗談だよ。僕は何とも思ってないよ」

早稲「目が、笑ってない……」


〔油芋〕
〔レーション〕
〔浮き輪ドーナツ〕×2
〔色恋沙汰リング〕
〔G-SICK〕
〔新品のサラシ〕×2
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔ウォーターラバー〕
〔カットバサミ〕
〔すきバサミ〕
〔愛蔵リアクション芸集〕
〔動くこけし〕
〔蝶ネクタイの変声機〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「駒牧、これやるから元気出せよ」

駒牧「リアクション芸……? まあ、嬉しくないけど一応貰っておくか。ありがとう」

早稲「お前、人が折角慰めてるのに……」

直入「悪いね、周知の事実だと思ってたからさ」

駒牧「いや、良いんだ。良いんだ……まーりん……」

早稲「重度だな、本当に記憶喪失か、コイツ?」



早稲「直入君も、これで落ち着いてもらえると――」

直入「いや、本当になんとも思ってないよ、冗談だって! ……変声機ねえ、ありがとう」

早稲「喜んでもらえたなら、良かっ――」

直入「『駒牧さん、私プロデューサーさんとなんか寝てないですよ!』なんてね……」

駒牧「まーりん!?」

直入「…………」

早稲「気持ちは分かるけど、そんな冷たい視線を向けなくても……」


【通信簿イベント】

早稲「さっきも聞いたけど、お前本当に何も思い出せないんだよな?」

駒牧「ああ。菊月と剣道やったり、伊丹と水泳やったり、大類ともキャッチボールをしてたんだけど、どうも違うみたいでな」

早稲「ふーん。でも体格は良いしなあ……誰も聞いたことないなら、マイナースポーツだったりするとか?」

駒牧「じゃ、試してみるか」

早稲「うわぁ、またこのパターンかよ……」


――――――
――――
――

駒牧「セパタクローでもカバディでもパルクールでも水球でもなし、と……まあ、ルールも覚えてないし、そりゃそうだよな」

早稲「………………」

駒牧「早稲、生きてるか?」

早稲「お前らの所為でもうすぐ死ぬかもしれない」

駒牧「はは、殺人者になるのは、やだなあ……」


【通信簿イベント】

早稲「直入君って本当に何でも知ってるんだね、色々」

直入「そんなことないよ。興味のある事とか、取材したことに詳しいのは、普通のことだろう?」

早稲「うーん、それもそうか。直入君の興味がある事って、なんなの?」

直入「難しい質問だね……君はどうなの?」

早稲「……興味がある、というか、釣りとか野球とか、車とかサッカーは好きだけど」

直入「なるほど。釣りは空地君も好きみたいだね、皆そうなのかな」

早稲「へえ、空地君もなんだ。と言っても、そんなに詳しくないけど」

直入「……一応聞くけど、女の人にはちゃんと興味あるんだよね?」

早稲「当たり前じゃないか! 何言ってるんだよ」

直入「あはは、そんなに怒らないでよ……ちょっとからかっただけだって。じゃ、僕はそろそろ失礼」

早稲「うん、また明日――」

早稲「……って、あれ? 直入君の興味がある事って、なんだったんだ?」


【早稲の部屋】

キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


早稲「ここに来て一週間か……色んなことがあったなあ」

早稲「今日は特別疲れた気がするな。……寝よう、もう」

短いけど今日は終わり、遅くてすみません。明日は21時半からできます、やります

駒牧の好感度がゼロから爆上げだぞ……なんだこれは……。ということで、お疲れ様でした

始めます。裁判書き終わらないので、今日もちょっとだけで、すいません……


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


↓1のコンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります


早稲「よし、筋肉痛は来てないな……明日来たら嫌だなあ」

早稲「おっ、今日のメダルは多めだな、ラッキー」

 〔モノクマメダルを7枚手に入れました。〕



【食堂】

駒牧「昨日は色々……悪かったな、早稲」

早稲「突然何があったんだよ……」

早稲「ま、いいや。誰と食べようかな――」


 〔>>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで〕

↓1


早稲「今日のご飯はなんとなく豪華なような――」

許斐「あらぁ、分かる? 今日はちょぉっと、指宿君に手伝ってもらったから♪」

早稲「ええっ? そうなの?」

指宿「なんや、俺がメシ作るんが意外とでも言いたそうな顔しとるやんけ、あぁ?」

早稲「いや、そうじゃなくて、そう……許斐さん、僕と一緒に過ごしたくなかったみたいだから、男性が苦手なのかなと」

許斐「阪急君と指宿君くらいなら、ねぇ?」

早稲「ねえって、何が……?」

許斐「下心がなさそうだから、かなぁ?」

指宿「伊丹も一緒やったしな。しかしアイツは……危なっかしいな、あの包丁捌き……」

許斐「そうねぇ、厨房から追い出す方が大変だったかしらぁ?」


1:「指宿君って、意外と面倒見良いよね……」
2:「まあ許斐さんも、毎日料理作って大変だもんね」
3:「追い出すって、結局二人きりになってない?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「まあ許斐さんも、毎日料理作って大変だもんね」

許斐「そんなことないよぉ?」

指宿「ホンマにか、毎日三食、全員分一人でやってたんやろ?」

許斐「うーん……昔よりはずっと良いかなぁ?」

早稲「昔……」

許斐「まあ、そんなに気にしないでねぇ」

指宿「気にすんなゆうたって……何かあったんか、許斐?」

許斐「あらぁ、駄目よぉ、これ以上は、料金発生しちゃいますからぁ……」

許斐「それにぃ……指宿君は、浅草さんの方が大切だったでしょう?」

指宿「…………」

許斐「それならぁ……迂闊にそういうこと聞いちゃ、駄目ですよぅ?」

早稲「許斐さん、その言い方は――」

許斐「じゃあ、食器は私一人で片付けるからぁ。二人とも、早く食べちゃってねぇ」


【早稲の個室】

早稲「あのまま帰って来ちゃったけど、二人とも大丈夫かな……」

早稲「……ちょっと外に出てみるか」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


【ランドリー】

早稲「い、指宿君……さっきのことだけど、その……大丈夫?」

指宿「何が大丈夫に見えるんや」

早稲「だよね……」

指宿「アホやな、俺も。浅草をあの状態で放っといたら、一番狙われやすいんは分かってたはずやのにな」

指宿「それでいて、浅草のことを考えるより先に、俺は許斐の心配なんぞしよって。俺はホンマにアイツのこと、大切に思っとったんか、よう分からんくなったんや」

早稲「………………」

指宿「許斐が言いたいんは、んなことやないって分かっとるんやけどな。やっぱりアイツのこと言われると、考えずにはいられんくなる」

指宿「大切なのに、なんで俺は何も出来んかったんや。アイツが死ぬのを、なんで黙って見てた? なんで――何で、アイツを殺した大類を許すようなこと言いよったんや!」


1:「優しすぎたんだ、指宿君は……」
2:「でも、指宿君が浅草のことを、大切に思ってたのは分かるよ」
3:「気にするなよ、そんなこと……って、浅草なら言うんじゃないかな」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「気にするなよ、そんなこと」

指宿「あぁ?」

早稲「――って、浅草なら言うんじゃないかな」

早稲「……俺は、指宿君の気持ちなんて分からないけど。でも、浅草とは随分話してきた。浅草は……そんなこと気にする奴じゃなかっただろ?」

指宿「…………」

早稲「それよりも、指宿君がくよくよ悩んでる方が、浅草は嫌なんじゃ――」

指宿「――俺の気持ちは分からんでも、浅草の気持ちは分かる言うんか!」

早稲「!」

指宿「それは……お前が、そうあって欲しいだけやろ。そんな言葉で……俺の気持ちが! 吹っ切れるとでも思いよったんか!」

早稲「……っ、否定はできないけど――」

指宿「フン――でも、気休めにはなったわ。……お前が俺を心配しよるんは、何となく分かったし。なら、いつまでも思い悩むわけ行かんやろ」

早稲「へ?」

指宿「フッ、お前が俺なんて言うの、浅草から聞く以外に聞いたこと無かったわ。……よう話しよったんやな、浅草と」

早稲「まあ、指宿君が良いなら……いいか……」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


許斐「……うふふ。二人とも、仲良いのねぇ」

早稲「こ、許斐さん――いつから、そこに?」

許斐「うぅん……『アホやな、俺も』ぐらいから、かなぁ?」

早稲「ああ、最初から……」

許斐「あのねぇ、指宿君。そんなことで思い悩んだって、浅草ちゃんは帰ってこないのよぉ? だったらぁ……そんな後悔に意味なんてない、でしょう?」

許斐「それに、死んじゃった浅草さんの本当の言葉なんて、もう誰にも分からない。だから……早稲君を信じてあげても、良いんじゃないかなぁ?」

指宿「…………説得力あるな。早稲より」

許斐「早稲君は勢いだけだものねぇ……その癖、それに気付いたら恥ずかしそうだし……」

早稲「う、うるさい……うるさいっ!」

許斐「……でも気を付けてねぇ、早稲君。気休めはぁ……気休めでしかないから」

早稲「えっ――」

指宿「ん? ……なんや言うたか?」

許斐「いいえぇ、なんにも?」


〔油芋〕
〔レーション〕
〔浮き輪ドーナツ〕×2
〔色恋沙汰リング〕
〔G-SICK〕
〔新品のサラシ〕×2
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔ウォーターラバー〕
〔カットバサミ〕
〔すきバサミ〕
〔動くこけし〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「よし、指宿君。これで元気出してよ」

指宿「………………」

許斐「あらぁ……」

早稲「………………」

指宿「分かるな? 俺の言いたいこと」

早稲「ハハハ! そっちの方が指宿君らしいですよ、ハハハ!」

指宿「早稲ぇお前ツラ貸せや、逃げんなオラァ!」

許斐「なんか本当に……早稲君、浅草さんみたいねぇ……」



早稲「許斐さん、これどうぞ。ごめんなさい」

許斐「わぁ! 美味しそうねぇ! ありがとう、早稲君」

指宿「俺とは随分モノが違うなあ?」

早稲「まあ、栄養はそんなにあるかわからないけど。すみませんでした」

許斐「嬉しいわよぉ、後で食べるわぁ♪ でも、大丈夫?」

早稲「なにがですか? すいません」

許斐「指宿君、やり過ぎたらだめよぉ? 気持ちもわかるけどぉ……」

指宿「ちょっと脅かしただけやろ……」


【好感度イベント】

早稲「(しかし、見れば見るほどホテル業務が務まるようには見えないな……)」

指宿「今失礼なこと考えよったやろ、お前?」

早稲「(するどい……というか、皆そう思うからか?)」

早稲「指宿君って、ホテルではどんな仕事してるの?」

指宿「まあ、フロントもやるし、コンシェルジュの真似事もするな。後はレストラン業務やろ? まあ……なんでもやるわ」

早稲「ベルボーイや清掃もやるって言ってたっけ」

指宿「ああ。まあ、昔から手伝いでいろいろやらされよったし。今はベルボーイばっかやりよる。一度はウェディングもいっぺんやらされたことあるな」

早稲「へえ……じゃあ、芸とかないの?」

指宿「……ハア、する訳ないやろ。旅館やないんやぞ……。まあ、手品くらいなら、昔教えてもらったわな。ホラ」

早稲「折り鶴!? すごい、どこから――大道芸人でもやればいいのに」

指宿「あぁ? ――と言いたいところやけど、褒めとるんか、バカにしよるんか、分からんな……」

早稲「気が短すぎるんだ、指宿君は……」

指宿「……今度は言ってもええんやな? あ?」


【好感度イベント】

許斐「そろそろ昼食の準備しないとねぇ……なんにしようかしらぁ……」

早稲「うーん、たまには、許斐さんの好きなものを出してもいいんじゃないかな」

許斐「好きなもの……?」

早稲「そうそう、栄養バランスばっかり考えてても、疲れるかな、と……何かないの?」

許斐「ほらぁ……私、そもそも食べることが好きだからぁ……何でもいいのよねぇ」

早稲「そうなんだ……それも難しいね。確かに、使われてない食材なんてのも、考えてみればないし……」

許斐「あっ、でも嫌いなものはあるよぉ?」

早稲「そうなの? 許斐さんが嫌いなものって――」

許斐「生ゴミとかぁ……」

早稲「!?」

許斐「まあ、ちゃんと働けば食べさせてくれたしぃ……そんなに、食べられない、ッて程でもないんだけどねぇ」

早稲「いや、それは食べ物じゃ……ないんじゃ……」


【早稲の個室】

早稲「浅草って、いっつもあんなことしてたのか……あいつならやりそうだな」

早稲「……あれ出したときは、大類がいたんだっけ」

早稲「なんかおセンチになっちゃったな。気分転換に出かけよう」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


【図書館】

早稲「空地君、元気――」

空地「アテネ市街に堕ちないよう、山の中へ突っ込んだアンドレアス・プロドロモ――格好いいな、やっぱり!」

早稲「相変わらずだね、すごく元気そうだ」

空地「まあな。それに、ここには航空関係のことも多いし」

早稲「航空関係? 伊丹空港ぐらいは分かるけど……」

空地「ロッキードは星の名前を愛称につけてて、ベガとか、エレクトラとか」

早稲「なるほど、二十八か……」

空地「駒牧はエアマルタ、一ツ橋はスウェーデンのダイレクトフライ航空……」

早稲「わけ分からなくなってきたな……」


1:「そういうこと言って、女の子に本当にもててるわけ……?」
2:「ちなみに、その理論で言うと、僕はどうなるの?」
3:「そういえば空地君も、釣り好きなんだって?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「ちなみに、その理論で言うと、僕はどうなるの?」

空地「もしかして、航空機に興味出てきたのか?」

早稲「そんな嬉しそうな顔されても……ちょっと気になっただけだよ」

空地「ええと、WAだから、ICAOの空港コードはインドネシアか……」

早稲「…………」

空地「…………」

早稲「いいよ、無理に思い出さなくても……」

空地「わ、悪いな。海外のマイナー空港なんて、そんなに知らないから。あっ、でもWIは航空券のキャンセル待ちに使われたり――」

早稲「どっちにしても、あんまり良い意味じゃないんじゃ?」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


森脇「ん、空地に早稲か」

空地「マヤ・アイランド・エアだ」

早稲「えっと、それは、どこの航空会社?」

空地「ベリーズだな」

森脇「何かの隠語か? そうなると、ダイイングメッセージにでも使えそうだな」

空地「はは、縁起でもないこと言わないでくれよ。まあ、女性は茶目っ気がある方が良いかもしれないけど」

森脇「そうなのか? 今となっては昔の話だが……面白くも可愛くない女だと、よく言われたんだがな」

空地「そうか? しっかり筋肉もついてるから、スタイルも良いし。顔だってきりっとしてて――」

早稲「この癖も止まらないみたいだなあ……」

森脇「そうだな。ここまで言われると、照れるを通り越して、どこか達観している自分もいるぐらいだ」

早稲「……なるほどなあ」


〔油芋〕
〔浮き輪ドーナツ〕×2
〔色恋沙汰リング〕
〔G-SICK〕
〔新品のサラシ〕×2
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔ウォーターラバー〕
〔カットバサミ〕
〔すきバサミ〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「そうだ、空地君、森脇さん。これ、どうぞ」

空地「サラシ? まあ、何に使うかよく分からないけど……ありがとう」

森脇「これは使えそうだな、ありがとう。中々良いものをくれるな、早稲」

空地「使えるのか? その……」

早稲「空地君、森脇さんだって気にしてるんじゃ」

空地「ああ、もしかして、今も使ってるのか?」

早稲「ほ、ほら、包帯代わりに使うんだよ……空地君」

森脇「それ以外に何に使うと思ったのか、教えてもらおうか、空地?」

空地「あっ――あっ、いや! そういうわけじゃなくてだな……!」

森脇「どうせ私は! 音道や許斐ほどの胸は無いからな! スタイルが良いとか、言っておいて……!」

空地「悪い、悪かったって。やめろ、危ないよ、森脇――!」

早稲「……見なかったことにしようかな」


【好感度イベント2】

早稲「航空機の操縦って、空地君、緊張しないの?」

空地「うーん、まあ、失敗したら死ぬかもしれないからな。無意識には緊張してるかもしれない」

早稲「うん、やっぱり、そうだよね」

空地「でも、それと同時に、やっぱり興奮するよ。特に着陸するために、降下してる時とか。やっぱり、あの時、身体がふわっと浮くような、無重力感……たまらないな」

早稲「そんな感覚なんだ。飛行機なんて乗ったことないから、憧れるよ」

空地「飛行機事故が起こる確率が一番多いのは着陸時だから、油断できないんだけどな」

早稲「……そっか。あの、それってもしかして――」

空地「福岡空港よりは、長崎空港みたいな、滑走路に海から侵入するとこの方が好きだな……」

早稲「そ、そう……まあ、墜落してないし、良いんだよな……?」


【好感度イベント】

早稲「森脇さん、具体的にはどんな競技を指揮してたんですか?」

森脇「全般、としか言いようがないな。サッカーは優勝経験があるし、野球も甲子園準優勝くらいならある。テニスと、フィギュアスケートもか」

早稲「フィギュアスケートって、採点競技じゃ……」

森脇「ループの時の体勢に、違和感があってな。具体的にこうした、というわけではないよ」

早稲「充分だと思いますけど……えっと、合唱部もって言ってましたっけ」

森脇「あれは元が良かったんだ。だから、少し練習に力を入れるよう言っただけだよ。まあ、元が良いのは皆そうなんだが……」

早稲「でも、その力を引き出せるから、超高校級の監督なんでしょう?」

森脇「うん……できればお前の力も引き出してみたいものなんだが、うまく行かないな」

早稲「あっ、それは結構です……」


【早稲の部屋】

キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


早稲「何も起きないと良いんだけど。なんか、嫌な予感もするしなあ――」

早稲「……とりあえず、寝よう」


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ!」

モノクマ「さぁて、今日も張り切っていきましょう!」


↓1のコンマ下一桁ぶんのモノクマメダルが手に入ります


早稲「よっし、今日は多いな!」

早稲「……良いことがあると、いいんだけど」

 〔モノクマメダルを9枚手に入れました。〕



【食堂】

早稲「誰と食べようかなあ……」


 〔>>76-77から、一緒に朝食をとるメンバーを二人まで〕

↓1


駒牧「菊月、どうかしたのか?」

菊月「うーん、今日は何か嫌な予感がするんです!」

早稲「ゆりちゃんも?」

菊月「はい、道夫さんもみたいです! でも、同意したらお前とは違うって突っ撥ねられたんです。私のが勘でしかないのは事実ですが」

駒牧「ずいぶん嫌われてるな……俺もだけど」

菊月「正春さんが怪しいことは事実です!」

早稲「俺もお前は好きじゃないよ、怪しいし」

駒牧「はは……四面楚歌、じゃなくて三面楚歌だな。後ろから逃げよう」

菊月「夜中に出歩くのは、特に怪しいと思うんです! 何もしていないから、良いですけど」


1:「お前、夜中に出歩いてるのかよ?」
2:「……ゆりちゃんも、よく知ってるね」
3:「まあ、人間秘密にしたいこともあるんだろうから……」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「まあ、人間秘密にしたいこともあるんだろうけど……」

菊月「それもそうですね! 私もです!」

駒牧「おい、それじゃあ俺が疾しいことしてるみたいじゃないか?」

早稲「だって、昼に出来ないことだから夜中にやるんだろ?」

駒牧「ま、昼に出来ないっちゃできないけど……昼なら二十八も居眠りしたりしないだろうしな」

早稲「二十八が居眠り?」

駒牧「いや、実際にしたわけじゃないよ。ただ、ずっとパソコンと睨めっこだからな」

菊月「なるほど、処罰されないよう、見張りをしていたんですね!」

早稲「へえ、意外といい奴だったんだな、お前……」

駒牧「…………ま、いいか。で、お前にはあるのか?」

早稲「あるかって、何が?」

駒牧「誰かに、秘密にしたいこと」

早稲「……お前にはあるのかよ」

駒牧「無いよ。だって、記憶喪失だからな」


【通信簿イベント2】

駒牧「そういえば、今日の朝食は俺が作ったんだけど……気付いたか?」

早稲「……いや、気付かなかった」

駒牧「そんな嫌そうな顔するなよ」

早稲「でもまあ、味噌汁以外、不味くはなかったし。お前の才能って、料理人なんじゃないか?」

駒牧「多分、それは違うな」

早稲「なんで? 正直、許斐さんと味は変わらないから――」

駒牧「俺が作ったのは、味噌汁だけだからだ」

早稲「……あっ、そう。それ、朝食作ったって言わないだろ、普通?」


【早稲の個室】

早稲「……何もなかった、な。今のところ」

早稲「なんにせよすることもないし、出掛けるか」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1

【購買部】

早稲「メダルも随分たまっちゃったしな、うん」


 何回まわしますか?(モノクマメダル所持数34枚)

↓1

〔虹色の乾パン〕
〔レーション〕
〔浮き輪ドーナツ〕
〔ブルベリの香水〕
〔G-SICK〕×2
〔赤いマフラー〕
〔新品のサラシ〕
〔ラジオくん人形〕
〔高級チンチラシート〕
〔黄金銃〕
〔アンティークドール〕×2
〔オモプラッタの極意〕
〔プロジェクトゾンビ〕
〔万力〕
〔オブラート〕
〔文豪の万年筆〕


早稲「そりゃ、沢山突っ込んだし、色んなものが出るとは思う。目新しいのもある」

早稲「だからって、サラシと時計とドーナツをそれぞれ3度も引くとは……」


【早稲の個室】

早稲「まだ時間はあるな……」


1.誰かに会いに行く(>>76-77から人物指定も)
2.購買部に行く

↓1


【ランドリー】

一ツ橋「あら、早稲さん。御無沙汰しています」

早稲「そんなにご無沙汰でしたっけ? ところで、何をしてたんですか?」

一ツ橋「校閲です。図書室へ入れるようになったおかげで、割と捗るようになりました」

早稲「へえ、それ、雑誌の原稿ですか?」

一ツ橋「いえ、図書室に会った他社の雑誌です。中々誤植もあるので、時間つぶしにはなるわ」

早稲「そ、そうなんですか……この赤いところが、おかしいところですか?」

一ツ橋「日本語の気になるところ、でもありますね。フリーの自称ライターは、もっと赤くなるのですけれど……」


1:「最近の日本語の乱れは酷いって言いますからね」
2:「これを、毎日やってるんですか? 編集者って……大変ですね」
3:「自称ライターって、もしかして……」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「これを、毎日やってるんですか? 編集者って」

一ツ橋「ええ、普段は。仕事ですから」

早稲「大変ですね」

一ツ橋「それほどでもありません。慣れたり、音読していれば、すぐに分かるわ」

早稲「そういうのが、プロフェッショナルなんじゃないですか……?」

一ツ橋「潔癖症なんじゃないかしら。それに、疲れればちゃんと休憩します。今は暇潰しにやっているだけですし」

早稲「じゃあ、仕事が好きってことですね」

一ツ橋「それは……どうかしら。習慣と言う方が、近いのかもしれません」

早稲「まあ、どっちにしろ、それ、仕事中毒って言いませんか?」

一ツ橋「仕事中毒……雑誌ではそう使えない言葉ですけれど。そうね。きっと、そうだわ」


 〔他のキャラクターを乱入させますか?(その場合>>76-77から人物選択)〕

↓1


直入「四季、それは客観的に見て他社を貶しているように見えると思うよ」

早稲「直入君。……二人とも、仲良くなさそうなのに、よく一緒にいるなあ」

一ツ橋「私も、別に朝日が嫌いなわけではないですから」

早稲「そうなんですか? そうは見えないですけど……いや、この間は、確かに嫌いだって」

一ツ橋「それは……早稲さんが私を見ていないだけかもしれません」

早稲「哲学か何かですか?」

一ツ橋「いいえ?」

早稲「思ったことを口に出さないと、理解が追い付かないような気がする」

直入「切り替えが早いからねえ……」

一ツ橋「朝日は私といると疲れるということかしら」

直入「そうじゃないよ。割と楽しいんじゃないかな」

早稲「直入君は慣れ切ってるし……どういう関係なんだ、本当に?」


〔油芋〕
〔虹色の乾パン〕
〔レーション〕
〔浮き輪ドーナツ〕×3
〔色恋沙汰リング〕
〔ブルベリの香水〕
〔G-SICK〕×3
〔赤いマフラー〕
〔新品のサラシ〕
〔ヤス・シシドのTシャツ〕
〔ウォーターラバー〕
〔ラジオくん人形〕
〔カットバサミ〕
〔すきバサミ〕
〔高級チンチラシート〕
〔黄金銃〕
〔アンティークドール〕×2
〔オモプラッタの極意〕
〔プロジェクトゾンビ〕
〔万力〕
〔オブラート〕
〔文豪の万年筆〕

↓1 渡すプレゼントを選択(なしも可)


早稲「えーっと、とりあえず一ツ橋さん。これ、どうぞ」

一ツ橋「アゲアゲガールのラジオくんの人形ですか。ありがとう」

早稲「一ツ橋さん、あの番組見てたんですか?」

一ツ橋「いえ、テレビは見ないので。テレビ雑誌で見かけただけです」

早稲「テレビは見ないのに、テレビ雑誌を作れるんですか……すごいですね」



早稲「直入君には、これを」

直入「うーん、万年筆は殆ど使わないんだけど。ありがとう」

一ツ橋「そもそも実用的なものには見えないけれど」

直入「そう、じゃあ鑑賞しておくよ」

早稲「は、早いね……会話が」

一ツ橋「早稲さんの前だからかしら」

直入「寒いんじゃない、それ?」

早稲「え、どういうことですか?」


【通信簿イベント】

早稲「一ツ橋さん、そんなに暇なんですか?」

一ツ橋「持ってきたゲラも無くなってしまいましたから。外では忙しかったので」

早稲「忙しい……校閲がですか?」

一ツ橋「記事を書いたりも、たまにレイアウトも考えなければならないから」

早稲「で、それが無くなってあんな暇潰しをしていたんですよね」

一ツ橋「ええ、何をすれば良いかも分からないので」

早稲「はあ……えっと、仕事ばっかりしてきたんですね。じゃあ」

一ツ橋「そうなります。……朝日は何をしてるのかしら」

早稲「暇潰しにってことですか?」

一ツ橋「それ以外に何かありますか?」

早稲「いえ……」

今日は終わりで。明日は動機発表から始めます。お疲れ様でした

秋山が216本打ったんで試合内容なんていいです、最終戦だけど。明日は9時半過ぎです

もう少ししたら始めます

割とどぎつい下ネタがあるのでちょっと……はい、すいません。気を付けてください

少し……すいません、22時半からで、お願いします



キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送、校内放送……」

モノクマ「オマエラ、至急体育館までお集まりください!」



 チャイムと共に、同時にモニターを見上げた三人は、画面が暗転すると、互いに顔を見合わせる。


早稲「……なんだろう」

一ツ橋「分かりませんが、行くしかありませんね」

直入「そうだね。……まあ、きっと良からぬことを企んでるんだろうけど」

早稲「…………」


【体育館】

 三人が体育館へ集まった時には、既に後の11人は集合していた。

 初めてここへ来た時は、もう二人がいたことを、早稲は理解する。

 そして、前にモノクマが、全員を一堂に集めたときには――その二人が死ぬ原因を持ってきた。

 昨夜からの嫌な予感に、早稲は半ば納得して、眉を顰めた。


森脇「それで? 何のために私達を呼び出したんだ?」

モノクマ「うぷぷ……ゲームの勘は冴えてる森脇さんなのに、分かんないワケ?」

森脇「……生憎、これはゲームではないからな」

モノクマ「へー、ふーん、そうなんだ。まあ、キミ達がどう考えてるかはどっちでも良いんだけどね……」

一ツ橋「シミュレーション仮説に興味はありません。話を進めていただけるかしら」

モノクマ「はいはい、ではではご要望にお応えしましょう!」


モノクマ「大体ねえ……ボクはもっと刺激的なウィットに富んだ日々を期待しているのです」

春浪「つまり、殺しが起きないのが気に食わないから、動機を供給すると」

モノクマ「クマの考えてることが分かるなんて! ハルナミクンもしかして、エスパー!? いやん!」

モノクマ「……まあ、ボクの知ってるエスパーは真っ先に死んじゃったけどね」

春浪「…………」

モノクマ「ではではオマエラ、この封筒をご覧ください!」


 そう言って、モノクマは各人に封筒を手渡す。

 早稲は暫らく、その封筒を弄んだ痕、言われるがまま封筒を開いて、中に一枚だけ入った、コピー用紙の内容を改めた。


 ――『早稲君は中学の頃、男性教諭に犯されそうになったことがある』。


早稲「うるせえなっ!」


 体育館の床へコピー用紙を叩きつけた早稲を、数人が振り返る。

 早稲は黙って紙を拾い上げると、俯きながら、紙の端を握りしめた。


早稲「くそっ……何で知ってんだよ、こんなこと――」

モノクマ「おやおや、良い反応をしてくれましたね、早稲クン!」

モノクマ「そうです、ここにはオマエラの『知られたくない秘密』が書かれているのです!」

許斐「あらあらぁ……こんなこと、いつ知ったのかしらねぇ?」

駒牧「…………ふうん」

直入「この調子だと、書かれてることは全部本当みたいだねえ……」

モノクマ「それは勿論、信頼できる情報源ですから!」

直入「結構なことだね」


モノクマ「タイムリミットは24時間! それまでにクロが現れなかった場合、この秘密を世間にバラしちゃいます!」

モノクマ「キャー! 恥ずかしい!」

早稲「……つまり、これが動機?」


 一息ついた早稲は、しかし首を傾げて、もう一度その紙へ視線を向けた。

 確かにこの秘密は、出来れば周囲には知られたくない。そんなものは、中学の頃だけで十分だ。

 しかしながら、この秘密を暴露されるからといって、人を殺すかと言えば、早稲の答えは間違いなく、ノーだ。

 少なくとも、中学の友人はこの事実を知っているし――それ以外でも、知っている人間は、知っていることだ。


 同様の考えを懐いた人間は、早稲だけではないらしい。


阪急「あー……これが、人を殺す動機になるのか?」

モノクマ「おやおや?」

指宿「同感やな。こんなんで人殺しなんぞするわけないやろ。ええ加減に――」

モノクマ「それ、大類クンの時も言ってなかった?」

指宿「…………!」

モノクマ「自分と人とを一緒にしちゃいけないんだよ。大体、この中には内通者だって、殺人鬼だっているワケだし……」

二十八「……また随分な爆弾発言を仕込んでくるね」

モノクマ「だって事実なんだもん!」

モノクマ「ま、誰も殺されないと思うなら、浅草さんみたいに鍵でも失くして寝てればいいんじゃない? じゃ、用事は終わったし、ボクはこれで!」


森脇「……全員、思うところはあるだろうが――」

一ツ橋「秘密が書かれた紙を見せ合うという提案なら、お断りします」

春浪「姉さん、本気か?」

一ツ橋「あれに賛同するわけではありませんが、自分と他人は同じではありません」

二十八「……僕も同感だ。ということで、失礼するよ。殺人鬼と一緒にいられない――なんてね、ふふっ」


 言うや否や、二十八は早々に体育館を後にした。

 それから立て続けに、踵を返らしていく。


空地「……交渉決裂なら、俺も戻らせてもらう」

許斐「あらぁ、皆足早ねぇ。じゃあ、私もお昼の準備でもしようかしらぁ」

森脇「……うまい具合には、纏まらないらしいな。やはり」

春浪「まあ、予想は出来ていたがな。自分勝手な奴ばかりだぜ……では、おれも退散しよう」

指宿「せやな。どっちにしろ、ここに居ってもしゃあないわ」

伊丹「んー、私は別に、良いけど……皆が行くなら」


菊月「……みなさん、行ってしまいました」

駒牧「まあ、冷静でいられないんだろうな」

早稲「それは、そうだよな――」


 朝、食堂で話したことを、早稲は頭の中で繰り返した。

 ――人間、秘密にしたいこともある。

 それが小さなことか、重大なことであるかは、本人にしか、分からないものだろう。


早稲「……僕らも戻ろう、部屋に」

駒牧「そうだな」

菊月「ええ、何かあれば言いに行きます! 行きましょう、音道さ――あれ?」

音道「――――」

菊月「…………音道さん?」

今日は終わりで。安価できんかった……明日に自由行動3回(乱入・プレゼント無し)、明後日に事件発生(安価なし)、くらいのペースで行きます。

明日は19時半からでお願いします。お疲れ様でした


【早稲の個室】

早稲「気晴らしに誰かに話しに行こう」

早稲「もしかしたら――何か出来るかもしれないしな」


 〔誰に会いに行きますか?(>>76-77から人物選択)〕

↓1


【ランドリー】

早稲「えっと、大丈夫、空地君?」

空地「……何の用だよ」

早稲「ほら、その――あんなことがあったわけだから」

空地「俺が人を殺すと思ったか?」

早稲「そういうわけじゃ……。ただ、こういう時――前もだけど、空地君って皆と距離を置くような気がしてさ」

空地「…………」

早稲「何かあったら、相談に乗れるかもしれないと思って。それに、誰かと話もしたかったんだ」

空地「そう」


1:「……空地君の秘密って、何だったの?」
2:「なにか悩みがあるなら、誰かに話した方が良いと思うよ」
3:「あの動機についてだけど、どう思う?」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「僕は……無理に動機については聞かない」

空地「!」

早稲「けど、もし本当に辛かったら、悩みを話してほしい! 僕はどんなことでも受け入れるから」

早稲「動機のことだけじゃなくて、辛いなら、辛いって言ってくれていいんだ。…‥そういう時の友達だろう? 僕らは」

空地「…………」

早稲「辛そうな顔をしてるのは、見てられない…‥心配なんだ」

空地「……どんなことでも受け入れるなんて――そんな無責任なこと、よく言えるな!」

早稲「そう、だよね。ごめん」

空地「――でも、聞かないでくれて、ありがとう。……佑」

早稲「え?」

空地「なんでもない。お前こそ、人の心配し過ぎて、無理するなよ!」

【早稲の個室】

早稲「久しぶりに名前で呼ばれた、気がする」

早稲「空地君が何も秘密にしないくらい、仲良くなれればいいんだけどな……」


 〔誰に会いに行きますか?(>>76-77から人物選択)〕

↓1


【書庫】

早稲「お前、いっつもここにいるな……」

春浪「いつもじゃない、おれだって阪急青年と話したりなんだり、するぜ」

春浪「……で、こんな猟奇趣味の塊のようなところへ、あんたはどうして来たんだ。早稲青年?」

早稲「いや、大した意味は無い……と思うよ」

春浪「そうか。だったらおれから一つ質問だ。兄さん、その動機を貰って人を殺すか?」

早稲「はあ? ……しないよ。他に知ってる人間だっているし」

春浪「そう、その通りだ。実際、おれだって、阪急青年だって、そうなんだから」

早稲「ふうん……お前も大したことない秘密なのか」

春浪「あんた同様、積極的に言いたいことでないのは事実だがね。つまり、あのクマは、特定の誰かに殺人を犯させようとしている訳だが……」


1:「誰か、心当たりがあるのか?」
2:「……ここにいたら、その誰かが分かるのか?」
3:「まあ、あんまり考え過ぎない方が良いんじゃないか」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「誰か、疑ってる奴がいるのか?」

春浪「困ったら人に頼ることしかできないのか? 早稲青年」

早稲「……可愛くねえな」

春浪「冗談だ、と言っておいた方が良いみたいだな。まったく困った奴だぜ」

早稲「はあ……真面目に答えろよ」

春浪「……期待はずれが嫌なら、あまり当てにしない方が良いぜ。ただ、そうだな――二十八女史に、音道女史辺りは、特に気を付けた方が良いぜ」

早稲「なんでまた、その二人を?」

春浪「そりゃ、勘だ」

早稲「…………」

春浪「当てにするなとは言ったぜ。気になる程度なら、許斐や空地青年も気になるしな。それから――……あれはいいか」

春浪「ま、他人の発言なんぞ疑ってかかった方が良いからな。そういう用心深い奴の方が、おれは好きだぜ」

早稲「そうか。別にいいよ、お前に好かれなくたって……」

春浪「やれやれ。一つ忠告しておくが、媚は時間を惜しまず売っておけよ。おれみたいにね」

早稲「…………」

【早稲の個室】

早稲「あいつには親交を深めるって言葉が無いのか? 作家なのに」

早稲「……まだ、時間はあるな」


 〔誰に会いに行きますか?(>>76-77から人物選択)〕

↓1


【廊下】

一ツ橋「全く、何を考えてるんだか――!」

早稲「あ、あの……一ツ橋さん?」

一ツ橋「! 早稲さんですか。……何かご用ですか?」

早稲「いや、そんなに荒れてるとは思わなくて、少し驚いただけです……」

一ツ橋「そうですね。こういったことは、普段なら絶対にしませんから」

早稲「自分で言うんですか……」


1:「やっぱり、あの動機の所為……ですよね」
2:「あの……何かあったんですか?」
3:「あんまり、溜め込み過ぎないでくださいね」
4:その他(自由安価)

↓1


早稲「あの……何かあったんですか?」

一ツ橋「そう見えますか?」

早稲「自分でも言ってましたけど、やっぱり普段の一ツ橋さんなら、そんなことしないと思って」

一ツ橋「……不可解な人間ばかりで、頭が痛くなってくるだけです」

早稲「それって、直入君――」

一ツ橋「あの男は……いえ、半分ほどしか関係ありません」

早稲「今度はあの男呼ばわりですか……」

一ツ橋「それに、ここに来てから負荷が多いので、疲れてきたのもあります」

早稲「うーん……確かに、今日みたいなのは、精神的な疲労感があるなあ……」

一ツ橋「ええ。早稲さんも、休んだ方が良いと思いますよ。それでは、失礼します」

自由行動終了で、今日は終わりで。ペース遅くて申し訳ないです

明日9時半から、事件発生まで書く予定です、安価は無いです。ということで、お疲れ様でした


【早稲の部屋】

 ピーン、ポーン……


 数日ぶりに鳴らされたチャイムに、早稲は一瞬肩を震わし、急いで部屋のドアを開ける。

 開いたドアの先には、透明なゴミ袋を抱えた指宿が立っていた。


早稲「指宿君、どうしたの?」

指宿「どうしたって……今日のゴミ当番は俺が任されよってんや。ゴミあるか?」

早稲「ああ、ありがとう、少し待って」


 早稲は部屋のゴミ箱を掴むと、指宿の開いた袋の上で、逆さまに降り落とす。

 それから、嵩張ったゴミを軽く押し込んだ。


早稲「随分大量じゃない? 今日のゴミ……」

指宿「ああ、春浪の原稿が煮詰まりよるらしくてな。どうも既視感があるとかで」

早稲「ふーん、スランプって奴か……。後で二つに分けた方が良いんじゃない?」

指宿「ああ。次で半分やし、替えようとしてたとこや。ほんならな、お休み」

早稲「うん、また明日」


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります」

モノクマ「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……」


――――――
――――
――

早稲「うわぁっ!?」


 ベッドを落ちかけたところで、早稲は目を覚ます。

 目の前に広がっているのは、ここ一週間変わり映えのしない、寄宿舎の個室だった。


早稲「くそっ、嫌な夢見たな……。十中八九、あの封筒の所為だろうけど」

早稲「……嫌なこと思い出させてくれるよな」


 うっかり捨てそびれた、動機の封筒へ目をやって、早稲は一つ、大きな溜息を落とす。

 早稲がそれを秘匿していたのは、好奇の目に晒されるため、ではない。一番の理由は、二度とあんなことを思い出したくなかったからだ。

 根強く残る恐怖心と、治まり切らない動悸。

 それを紛らわすように、首を大きく横に振ると、深く息を吸ってから、早稲は握り締めていたシーツを手放した。


早稲「……水でも、飲むか」


 缶ジュースを取り出して倉庫から出ると、それを一気に飲み干す。

 喉の奥を通り抜ける水に、漸く気分が落ち着いてくると、空になった缶を強く握った。

 少しの余裕と共に周囲を見渡す。そこに、一番合いたくなかった人物が、廊下を通り過ぎたのが映り込んだ。

 うわぁ、と、悲鳴とも落胆とも付かない感嘆詩を口にすると、向こうも此方に気付いたらしかった。


駒牧「よう、早稲。……誰か殺しに来たのか?」

早稲「……お前が出歩くことを知ってて、こんな夜中に殺しに行くやつが、どこにいるんだよ」

駒牧「つまり、お前は俺に会いにきたのか?」

早稲「そんな訳ないだろ! ……で、お前は? また二十八の見張りか?」

駒牧「ああ。それと、あの後は聞けなかったけど――あの封筒を受け取ってから、様子がおかしかっただろ?」

早稲「それは、まあ……」

駒牧「……お前も来るか? 心配だろ、二十八のこと」

早稲「……眠れなかったとこだしな」


早稲「――ところで、お前はあの動機を見て、何か思い出したりしたのか?」

駒牧「ああ……」


 歯切れの悪そうに、駒牧は視線を逸らして、教室の前で立ち止まる。


駒牧「皆が本当のことが書いてあるのに、俺だけ嘘が書いてあるわけないしな……」

早稲「結局、何も思い出せなかったのか。手がかりも何も?」

駒牧「そんなことで見つかる手がかりなら、もう見つかってるよ」

早稲「そう。便利なもんだな――僕だって、忘れられるなら忘れたいよ……」

駒牧「それでも――昔あったことが、無くなるわけじゃない。だろう?」

早稲「……お前に正論を言われると、腹が立つ」


 ひどいな、と駒牧は苦笑して、頬を掻くような素振りを見せた。

 その時――






阪急「――――うわああああああああああっ!」




早稲「阪急君……っ!?」

駒牧「二階か?」


 言うなり早稲と駒牧は、階段の方へ走った。

 踊り場の下り階段側で後ずさって、手すりへ凭れる阪急を見つけると、一段跨ぎながら、階段を上がる。

 二人に気付いた阪急は、はっとしたように、前方へ駆け寄って、“そこ”に縋るよう、しゃがみ込んだ。




 赤い鮮血が床を染めている。

 じわじわと周囲へ拡散するそれは、駆け寄った阪急の腕を、服まで、留まる気配もなく広がって行った。

 不規則な飛沫を境界に持った、円状の赤い舞台――

 【超高校級のホテルマン】指宿素直は、その中心にいた。




阪急「指宿君!」

早稲「――っ、指宿君! 目覚ましてくれよ、指宿君ッ!」

駒牧「……とりあえず、皆を呼んでくる」


 言うや否や、駒牧は階段を駆け下りて、宿舎へ向かった。

 早稲と阪急は、それに生半な返事をして、指宿の名前を何度も呼びかける。そして――


指宿「さか、せき――」

早稲「指宿君? 良かった、生きて――」

指宿「ハッ……すまん、な――こんな、こと、なって……」

阪急「指宿君、あまり話さない方が良い。無理をするな」

早稲「ま、待っててよ、絶対助けるから――」


 保健室へ走りだそうとした早稲の服へ、指宿はなんとか指をかけた。

 それから、力を振り絞ったように、ほんの僅か、首を横に振る。


早稲「何で止めるんだよ、指宿君――誰に……誰に、やられたんだ?」

指宿「――――」


 静寂がどれほど続いていたのか、その時の早稲には分からなかった。

 五分か、十分か、或いはそれ以上か――いずれにしても、指宿の返事を待つにしては、長すぎる時間だ。

 寄宿舎から戻った駒牧が、沈黙を破っても、早稲も、阪急も、それを言葉にすることは出来なかった。


駒牧「はあっ……早稲、指宿は――」

早稲「…………」

阪急「…………っ」

駒牧「――おい。嘘、だろ……」



モノクマ「死体が発見されました!」

モノクマ「一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます!」

今日はここまで。開始時刻遅れて申し訳ないです

明々後日には裁判を始めたいところです。お疲れ様でした

動機発表の最後、菊月が「音道さん」とか言ってんのはこちらのミスです。「翠さん」が正しい

捜査パートはちょっと待ってね




     CHAPTER.02【駆けあがれ! 青春のテッペン】非日常編




 目の前で命が消えていく、空虚感と喪失感。

 それは浅草の時に感じたような、現実から遠く離れた浮遊感とは、別の訪れ方をしていた。

 或いは――もしかしたら、このまま突然目を開くのではないか。指宿はまだ生きているのではないか。

 そう考えずにはいられないほど、その死は近くにありすぎた。


音道「――お二人とも、そこから動かないでください」


 音道の言葉に、現実に引き戻された早稲は、逃げ出しそうな足を何とか引き止める。

 その間に音道は踊り場まで上がってくると、辺りを一周見回して、もう結構です、と無理をするように微笑んだ。


伊丹「――なんで、なんでこんなことになるの……っ」

モノクマ「おやおや? ヒーローとしての無力感でも感じちゃったかな? ま、ヒーローなんて所詮は子供だましだからね!」

春浪「人をおちょくる為に来たなら、早いところ帰ってくれないか?」

モノクマ「冷たいねえ、春浪クン。じゃ、さっさと渡しちゃいますね。モノクマファイルー!」

モノクマ「ということで邪魔者は退散するとしましょう。まあ、眠いだろうけど頑張ってね、うぷぷ!」


森脇「……とりあえず、今回も見張りは私と直入が担当しよう。構わないか?」

直入「僕で構わないなら」

森脇「早稲と阪急は――とりあえず、着替えるか、体を洗うか、してくるといい。気分を落ち着ける必要があるだろう」

阪急「そうだな……先に、失礼するよ」

早稲「……そうします」

森脇「気を落とすな、早稲。お前の所為ではない」

早稲「……分かってますよ」


 ぼんやりと返事をしながら、早稲は部屋へ戻った。


【早稲の個室】

早稲「はあ……」


 汚れたシャツを着替えて、早稲はベッドの上に座り込む。

 もし、自分と駒牧がもっと早く階段へ駆けつけていれば、指宿は死なずに済んだのではないか。

 或いは、犯人の姿を捉えることができたのではないか。

 無理なことと分かっても、そう考えずにはいられなかった。

 遺体を見ることと、目の前で死を見届けることは、死という言葉以上の、大きな隔たりがある。

 同様に、予測される死と、予想の付かない死とでも、同じだ。


早稲「……でも、捜査はしないとな」


 自分に言い聞かせるように、そう呟くと、早稲は扉を開いた。


早稲「うわぁっ!?」

音道「あっ! ……すみません、驚かせてしまいましたね」

早稲「いえ――音道さん、どうしてここに?」


 音道は少し首を傾げて、悪戯っぽく微笑む。

 それから表情を改めて、早稲の顔をじっと見つめた。


音道「無理をしなくても、構わないんですよ?」

早稲「えっ?」

音道「……私はそう思います。確かに、生きるか死ぬかの裁判なら、無理に自分を奮い立たせるのも仕方のない話かもしれません」

音道「けれど……無理をするのは、他人を心配させることもあります。早稲さんだって、そうなんじゃありませんか?」

早稲「無理なんか、してませんよ。……僕が無理なんてする訳ないじゃないですか、ハハハ!」

音道「嘘はよくありません」

早稲「嘘なんかじゃないですよ。こんなところで意気消沈してちゃ、男らしくありませんしね!」

音道「えっ……」

早稲「それに、僕は浅草の時だって、言ったはずです。やれるのか、じゃなくて、やらなきゃいけない――」

早稲「俺が絶対に付き止めてやりますよ……この事件の、犯人をね!」

音道「そ…………そう、ですか……」


【捜査開始】

音道「早稲さん、モノクマファイルはもう読まれましたか?」

早稲「ああ、いや、まだでした。ええっと――」


 『被害者は超高校級のホテルマン・指宿素直。死亡時刻は午前0時30分。

  死因は出血多量による失血死。挫創、打撲創、刺創が見られる。』


音道「失血死、となると……10分から30分は放置されたんですね……」

早稲「捻挫と打撲ってことは、やっぱり指宿君は階段から落ちたことになるのか……?」

早稲「いやでも、それじゃあこの刺創って、いつのなんだろう?」

音道「そうですね……とりあえず、現場へ戻ってみましょう」


コトダマ【モノクマファイル】を手に入れました。
〔被害者は超高校級のホテルマン・指宿素直。死亡時刻は午前0時30分。
 死因は出血多量による失血死。挫創、打撲創、刺創が見られる。〕


音道「そういえば――早稲さんは、何故あんな時間に階段にいたんですか?」

早稲「疑ってます?」

音道「いえ、聞いてみただけなので……。話したくなければ、それで構いません」

早稲「そんなことないですよ。寝付けないから、二十八の様子を見に行ったんです、駒牧と一緒に」

音道「なるほど。指宿さんと、阪急さんもでしょうか……」

早稲「さあ――みんな動機で気が動転してたのかもしれないですね」

音道「そうですね。ご本人に聞いてみた方が良いかもしれません、少なくとも、阪急さんは」


【階段】


早稲「うわぁ――改めて見ると、すごい血の量ですね。足の踏み場もない」

音道「ええ、この床だと血が広がりやすいですし、10分程度でこのくらいには広がると思います」

早稲「よ、よく分かりますね……」

音道「それに、先程のことは覚えていますから、もう血を踏んでも大丈夫ですよ」

早稲「ああ、だからその場から動くなって言ったんですね?」

音道「ええ。その時は早稲さんと阪急さんの足跡しかありませんでした」


コトダマ【踊り場の血痕】を手に入れました。
〔指宿の血が広範囲に広がっており、血痕を跨いで踊り場を通り抜けるのは不可能な様子。
 音道が現場に駆け付けた時、踊り場にあった足跡は、阪急と早稲の足跡だけ。〕


早稲「出血は頭の挫傷からかな?」

音道「そうですね。それと――脇腹からです」

早稲「脇腹? 階段から落ちて、脇腹を打って出血、なんてあるんですか?」

音道「いえ、これは……早稲さんが気にしていた方じゃありませんか?」

早稲「刺創ってことですか」

音道「はい。指宿さんを刺した凶器があるということです」

早稲「……でも、刃物なんてどこにもないですよね?」

音道「ええ……そうですね」


コトダマ【遺体の刺し傷】を手に入れました。
〔指宿の脇腹に、刃物で刺されたような傷があった。〕


早稲「あれ、指宿君の胸ポケット……何か入ってますね」

音道「紙ですね。幸い、胸には血が付いていないみたいですけれど……」


 そう言うと、音道は指宿の胸ポケットから、その紙を引き出して、広げた。

 『パソコンのパスワードについて聞きたいことがある。

  23時に図書室へ来てほしい。

                       二十八明』


早稲「……二十八?」

音道「呼び出し状――みたいですね。紙は、サイズから言って、個室のメモみたいですけど……」

早稲「指宿君はこれを見て、二階に来たのか? だったら……」


コトダマ【呼び出し状】を手に入れました。
〔指宿の胸ポケットに入っていた呼び出し状。筆記具は各個室に用意されたメモスタンドのものと思われる。
 内容は『パソコンのパスワードについて聞きたいことがある。23時に図書室へ来てほしい。 二十八明』〕


音道「そういえば――森脇さん、確か、体育館の方からいらっしゃいましたよね?」

森脇「ああ。体育館の片付けをな……」

早稲「え、こんな夜中にですか?」

森脇「私は夜型だからな、そちらの方が捗るんだ」

早稲「あの、阪急君の声は聞こえなかったんですか? 指宿君を見つけたとき、叫んでたんですけど……」

森脇「ああ……いや、聞いていないな。ここの体育館は、入る前にホールがある。その空間で、声が届かなかったんだろう」

森脇「死体発見のアナウンスに驚いて、初めて体育館を出たよ。その時にはもう、階段にお前達が集まってきていたな」

音道「そうですか……ご丁寧に、ありがとうございました」

森脇「いや、私には何もできないからな。何かあれば、また聞いてくれ」


コトダマ【森脇の証言】を手に入れました。
〔死体発見時は、体育館で片付けをしていた。阪急の叫び声は聞こえなかった。〕


早稲「あっ、二十八――その、さっきまで何してたんだ?」

二十八「さっき? 君達が死体を発見するまでということかな?」

早稲「ああ」

二十八「それなら、図書室でパスワードと格闘していたけど……ふふっ、何を今更」

音道「手掛かりは見つかりましたか?」

二十八「いや、残念ながら。……誰かが――」

早稲「?」

二十八「ふふっ。いや、なんでもないよ」

音道「それともう一つよろしいでしょうか? その……二階に、他に何方かいらっしゃいませんでしたか?」

二十八「……気付かなかったかな。書庫と図書室にしかいなかったから、あまり当てにはならないけれどね。ふふっ」


コトダマ【二十八の証言】を手に入れました。
〔死体発見時は、図書室で調べ物をしていた。〕


【水練場】


音道「早稲さんは男子更衣室の方を調べていただけますか?」

早稲「あっ、はい――」

モノクマ「あれれ? もしかして早稲クン、女子更衣室に入りたかったなーとか思っちゃってるの? 発情期みたいに!」

早稲「クソッ、うるせえな……この神出鬼没クマ……」

モノクマ「うぷぷ……良いのかなあ、そんなこと言って? 今回は早稲クンの為に、スペシャルな情報を教えてあげようと思ったっていうのに……」

早稲「スペシャル?」

モノクマ「うぷぷ……心優しいクマと評判のボクは、特例として、捜査中に限って、すべての部屋のロックを解除しておくことにしたのです!」

モノクマ「これで異性の個室にも入り放題だよ! ビッグ・チャーンス! いやあ、さっすが超高校級の幸運だね!」

早稲「…………」

音道「あのう、早稲さん? 単に、証拠を集めやすくなるというだけだと思いますけれど……」

早稲「当然じゃないですか僕が誰かの個室へ忍び込むような奴に見えますかやだなあハハハ!」


【女子更衣室】

早稲「女子更衣室と言っても、男子更衣室と殆ど変わらないんですね」

音道「ええ、そんなに男女差の出るところとも思えないですからね」

早稲「あっ、でも、タオルがちゃんと畳まれてるのは、女子らしいですね? 僕ならその辺にかけたりするかもしれないですし」

音道「……このタオル、どうしてここに一枚だけ置かれているんでしょう?」

早稲「えっ? 誰かが使ったからじゃ――」

音道「使ったら、一度洗いませんか?」

早稲「確かに、そうですね……しかもこのタオル、端に赤い染みが……あっ!?」

音道「……包丁、ですね」

早稲「どうしてこんなところに、包丁が――」


コトダマ【包丁】を手に入れました。
〔血痕が付着しており、女子更衣室に、タオルに包まれて捨てられていた。〕


【食堂】

早稲「夜時間なのに、食堂のロックも開いてるんですね――って、何してるんだよ、伊丹!」

伊丹「あっ、早稲に音道ちゃん! 実は昨日ね、どっかに生徒手帳を落としちゃったみたいでー」

早稲「どいつもこいつも、何でそんなにモノ落とすんだよ……?」

伊丹「しょーがないじゃん! それに、一緒にポケットに入れておいた鍵の方は落としてないし、おかしいなーって」

音道「……伊丹さん、昨夜はなにをしてらしたんでしょうか?」

伊丹「? えーっと、最後に生徒手帳を使ってからはー。体育館でトレーニングしたり、食堂でご飯食べたりかなー?」

伊丹「指宿とぶつかった時には落としてないと思うんだけど……落としたら、流石に気付くはずだし」

音道「指宿さんと、ですか……」

伊丹「うん。体育館から部屋に戻るときにね。指宿の方は、厨房のゴミを回収しに来たみたいだったけど。ついでに私んトコのゴミも持ってってもらったんだー」

音道「なるほど、ありがとうございます」


コトダマ【伊丹の生徒手帳】を手に入れました。
〔昨日の夜、どこかで落としたらしい。しかし、同じポケットに入れていた鍵は無くなっていなかった。
 最後に使ってから、体育館、食堂に行った。また、部屋に戻る時、厨房のゴミを回収しに来た指宿とぶつかったらしい。〕


【厨房】

許斐「あらぁ、早稲君に音道さん。どうかしたのかしらぁ?」

音道「あのう……こちらの包丁って、無くなっていませんか?」

許斐「わぁ! よく分かったわねぇ。エスパーかしらぁ?」

音道「いえ、ただのヴィオリストです」

早稲「盗みに来た人に、心当たりは?」

許斐「うぅん、私も毎日そんなにいる訳じゃないのよねぇ……一本くらい盗んでも、多分バレにくいと思うわよぉ?」

早稲「そっか。そうだよね……」


コトダマ【消えた包丁】を手に入れました。
〔厨房から包丁が一本なくなっていた。〕


【寄宿舎・廊下】

早稲「あっ、阪急君」

阪急「早稲君と、音道君か。いや、つい長風呂してしまって……」

早稲「呑気だね……」

音道「ところで、どうして阪急さんは、あんな夜中に階段にいたのか、教えていただけないでしょうか?」

早稲「そういえば、阪急君ってあんなに早寝なのに」

阪急「ああ……9時半には寝たんだが、目が覚めてしまったんだ。だから、本でも読もうと図書室へ行ったんだが……」

音道「そうでしたか、ありがとうございます。それから、あのう……昨日、阪急さんと早稲さんの部屋には、指宿さんがゴミの回収に来たのでしょうか?」

阪急「ああ、来ました。彼が昨日のゴミ当番だったらしいから……」

早稲「僕も来ました。音道さんは、違うんですか?」

音道「はい、実は。……忘れられたのかもしれませんね。ヴィオリストですから」

阪急「どうしてヴィオリストが、忘れられる理由になるんだ?」

音道「ジョークです」


コトダマ【音道の証言】を手に入れました。
〔昨晩、指宿は音道の部屋にゴミを回収に来なかったらしい。〕


早稲「えっと、次はどこに――って、何見てるんですか。音道さん?」

音道「いえ、寄宿舎の部屋割りを把握しておこうと思いまして……」

早稲「そんなことしなくても、個室にはネームプレートがかかってますよ?」

音道「ええ、それは勿論そうなんですが……そうですね。行きましょう」

早稲「あっ……え? はい」


コトダマ【寄宿舎の見取り図】を手に入れました。
〔寄宿舎の部屋割りは図(https://kie.nu/2Lkr)の通り。〕


【トラッシュルーム】

音道「結構な量が、回収されているんですね……」

早稲「目方は多く見えますけど、大体は春浪の原稿らしいですよ」

音道「そうでしたか。……開けると、少し生ゴミの臭いが……酷いですね」

早稲「ゴホッ! で、ですね……でも、どうして一袋だけなんだろう? あの時……二つに分けるって、言ってたと思ったんだけど」

音道「伊丹さんのゴミもあるんでしょうか?」

早稲「うーん、下の方はごちゃごちゃで分からないですね――って、これ……」


 そう言いながら、早稲は袋の一番上へ置かれた紙を手に取った。

 左半分は破り取られているが――残りの部分には確かに、こう書かれていた。

 ――『君は黒幕の内通者である』。


音道「何方かの……動機の紙、でしょうか?」

早稲「多分……ワープロなんてここに無いですからね。誰のかは分かりませんけど……」

音道「内通者がいるのは……間違いない、ということですね」


コトダマ【ゴミ袋】を手に入れました。
〔昨晩、指宿の回収したゴミが入っている。袋は一つだけ。厨房のものらしい生ゴミが入っている。〕

コトダマ【捨てられた紙】を手に入れました。
〔ゴミ袋の一番上に捨ててあった紙。半分に破られており、『…君は黒幕の内通者である』と書かれているのしか読めない。〕


音道「この下の方に、指宿さんの動機の封筒もありますね」

早稲「へえ……ちょっと良いですか? えーっと……」

音道「あ、あの……勝手に見ても、宜しいんでしょうか?」

早稲「ちょっと憚られはしますけど……指宿君はあの時、こんなものは動機にならない、って言ってたし……大丈夫じゃないですかね?」

音道「そうだったんですか……」

早稲「ええと――『指宿君は子供の頃、宿泊客の財布を盗んでいた』か……確かに、動機にはならないかもしれませんね」

音道「…………」

早稲「どうかしたんですか?」

音道「いえ――」


コトダマ【指宿の動機】を手に入れました。
〔指宿に渡された動機の紙。内容は『指宿君は子供の頃、宿泊客の財布を盗んでいた』というもの。〕


キーン、コーン、カーン、コーン…

モノクマ「えー、二回目ですし、もう皆さんお分かりですよね?」

モノクマ「ってことでオマエラ、校舎棟1階にある赤い扉の部屋にお集まりください!」



早稲「あの、いくらなんでも、他人の個室に片っ端から忍び込むのは――」

音道「皆さんには、後で謝らないといけませんね」

早稲「それに、そろそろ裁判も始まって……まあ、ここで最後なのは分かるんですけど、何してるんですか?」

音道「このメモスタンドなんですが……鉛筆で擦ると、もしかしたら、と……あっ」

早稲「……! あの呼び出し状の文字、ですね?」

音道「ええ、ここで書かれたことは、間違いないと思います」

早稲「浅草の部屋で……ですか……」


コトダマ【呼び出し状(アップデート版)】を手に入れました。
〔指宿の胸ポケットに入っていた呼び出し状。筆記具は各個室に用意されたメモスタンドのものと思われる。
 内容は『パソコンのパスワードについて聞きたいことがある。23時に図書室へ来てほしい。 二十八明』というもの。
 浅草の部屋のメモスタンドに、同じ文章が書かれた跡があった。〕


――――――
――――
――

モノクマ「よーし、全員集まったみたいだね!」

モノクマ「うぷぷ……それでは参りましょうか……」


 モノクマの話を終えると、早稲たちは一言も交わすことなく、エレベーターへと乗り込む。

 全員の沈黙と共に訪れる、静寂と緊張感――そんな雰囲気を抱えたまま、エレベーターは停止した。


早稲「(――また、始まるんだな。……この前と同じように)」

早稲「(命がけの謎解き、命がけの裏切り、命がけの騙し合い、命がけの信頼……)」

早稲「(命がけの……学級裁判!)」


【コトダマまとめ】

・【モノクマファイル】
〔被害者は超高校級のホテルマン・指宿素直。死亡時刻は午前0時30分。
 死因は出血多量による失血死。挫創、打撲創、刺創が見られる。〕

・【踊り場の血痕】
〔指宿の血が広範囲に広がっており、血痕を跨いで踊り場を通り抜けるのは不可能な様子。
 音道が現場に駆け付けた時、踊り場にあった足跡は、阪急と早稲の足跡だけ。〕

・【遺体の刺し傷】
〔指宿の脇腹に、刃物で刺されたような傷があった。〕

・【森脇の証言】
〔死体発見時は、体育館で片付けをしていた。阪急の叫び声は聞こえなかった。〕

・【二十八の証言】
〔死体発見時は、図書室で調べ物をしていた。〕

・【包丁】
〔女子更衣室に捨てられていた包丁。血痕が付着しており、タオルに包まれていた。〕

・【伊丹の生徒手帳】
〔昨日の夜、どこかで落としたらしい。しかし、同じポケットに入れていた鍵は無くなっていなかった。
 最後に使ってから、体育館、食堂に行った。また、部屋に戻る時、厨房のゴミを回収しに来た指宿とぶつかったらしい。〕

・【消えた包丁】
〔厨房から包丁が一本なくなっていた。〕

・【音道の証言】
〔昨晩、指宿は音道の部屋にゴミを回収に来なかったらしい。〕

・【寄宿舎の見取り図】
〔寄宿舎の部屋割りは図(http://kie.nu/2Lkr)の通り。〕

・【ゴミ袋】
〔昨晩、指宿の回収したゴミが入っている。袋は一袋だけ。厨房のものらしい生ゴミが入っている。〕

・【捨てられた紙】
〔ゴミ袋の一番上に捨ててあった紙。半分に破られており、『…君は黒幕の内通者である』と書かれているのしか読めない。〕

・【指宿の動機】
〔指宿に渡された動機の紙。内容は『指宿君は子供の頃、宿泊客の財布を盗んでいた』というもの。〕

・【呼び出し状(アップデート版)】
〔指宿の胸ポケットに入っていた呼び出し状。筆記具は各個室に用意されたメモスタンドのものと思われる。
 内容は『パソコンのパスワードについて聞きたいことがある。23時に図書室へ来てほしい。 二十八明』というもの。
 浅草の部屋のメモスタンドに、同じ文章が書かれた跡があった。〕

とても遅くなった、申し訳ないです。とりあえず、今日は21時から始めてみます
裁判難易度調整したら簡単になりすぎたな……

ちょっと修正
>>574 ×ついでに私んトコのゴミも→○その後、私んトコのゴミも


     【学級裁判、開廷!】


モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めます!」

モノクマ「学級裁判の結果はお前らの投票により決定されます」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがおしおきですが……」

モノクマ「間違った人物を指摘した場合は、クロ以外がおしおきとなり……」

モノクマ「みんなを欺いたクロだけが、晴れて卒業となりまーす!」

伊丹「うーん、でもさー……やっぱりちょっと納得行かないんだよねー」

菊月「納得って、何がですか!」

伊丹「指宿が死んだ理由なんだけどさ――」


伊丹「皆も見たでしょ? 指宿が死んでる現場」

一ツ橋「つまり、伊丹さんが言いたいのは、これが殺人事件かどうか、という話ね?」

伊丹「そう、指宿は階段から落ちて死んだんでしょ?」

春浪「誰もそんな現場は見てないけどな」

伊丹「でもでも、あの状況から考えたら、指宿は階段から落ちて死んだとしか考えられないよね?」

伊丹「これ、事件じゃなくて、事故死なんじゃないの?」

直入「でも、そうじゃないことを確認させてくれたのは伊丹さんじゃないかな?」

伊丹「へっ?」

直入「ちょっと前の話だけどね」

早稲「(これが事件でない理由って……)」


【閃きアナグラム、開始!】
 ??そ?
  く こ ん お
  う し わ た

?を埋めて言葉を作れ!

↓1

こうそく


>>589

 正解!

早稲「これだ!」


早稲「そうか、校則にはちゃんと書かれてたよな……」

早稲「『生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。』――」

阪急「じゃあ、自殺や事故では学級裁判は起こらないということか」

モノクマ「いやいや! 自分自身を殺すという点において、自殺も立派な殺人ですよ!」

駒牧「つまり、殺人や自殺では学級裁判は行われるけども、事故や災害による死では、学級裁判は行われないってことだな」

モノクマ「そういうことですね!」

伊丹「……じゃあ、本当に――誰かが指宿を殺したんだ……」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【踊り場の血痕】
・【ゴミ袋】
・【遺体の刺し傷】
・【寄宿舎の見取り図】
・【指宿の動機】


二十八「……しかし、指宿君の体格を考えると、誰が彼を付き落とせるんだろう?」

二十八「確か指宿君の遺体には【争った形跡があった】はずだし……」

一ツ橋「彼が〔油断していた〕なら……その可能性も否定できたでしょうね」

伊丹「そんなことしなくてもー、後ろからドーンと行けば落ちちゃうんじゃないの?」

阪急「それは君だけじゃないか?」

春浪「ま、どっちにしろ【俺には無理】なようだから、構わないがね」

森脇「ふむ……では指宿が〔手傷を負っていた〕とすれば、どうだ?」

森脇「それなら多少の苦はあっても、力の抜けた指宿を突き落せるはずだろう?」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解! 発言力 5→4

早稲「それは違――」

春浪「それがどうして、おれが指宿青年を殺せない理由になるんだ?」

春浪「おれが言ってるのは、おれの体重じゃ指宿青年を突き落せないって言ってるんだぜ」

早稲「わ、悪い……」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【踊り場の血痕】
・【ゴミ袋】
・【遺体の刺し傷】
・【寄宿舎の見取り図】
・【指宿の動機】


直入「……でも、指宿君の体格を考えると、誰が彼を付き落とせるんだろうね?」

直入「確か指宿君の遺体には【争った形跡があった】はずだし」

一ツ橋「彼が〔油断していた〕なら……その可能性も否定できたでしょうね」

伊丹「そんなことしなくてもー、後ろからドーンと行けば落ちちゃうんじゃないの?」

春浪「ま、どっちにしろ【俺には無理】なようだから、構わないがね」

森脇「ふむ……では指宿が〔手傷を負っていた〕とすれば、どうだ?」

森脇「それなら多少の苦はあっても、力の抜けた指宿を突き落せるはずだろう?」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


早稲「それに同意する!」


早稲「そうだ、確かに……指宿君の脇腹に、傷があった」

音道「深手の刃物傷でしたから、失血死の原因は、頭部挫傷だけでなく、あちらもかもしれませんね」

二十八「なるほど。階段の上で指宿君の不意を付き、少しバランスを崩してやるだけで、犯行は可能なわけだね。ふふっ……」

春浪「姉さん、あんた、おれを見て言ってないかい」

二十八「君に姉さんと呼ばれる筋合いはない」

阪急「あー、ともかく……指宿君は刃物で刺されたということだな?」

駒牧「じゃあ、指宿を刺した刃物っていうのは何だったんだ?」

早稲「(指宿君を刺した凶器……あれしかないな)」


正しいコトダマ(>>582)を提示しろ!

↓1


 正解!

早稲「これが答えだ!」


早稲「更衣室の中に隠してあっよ、血の付いた包丁が……」

伊丹「それってー、犯人がズバーンと包丁を抜いて、捨てたってことだよね?」

一ツ橋「ええ。犯人はどのようにして返り血を防いだことになるのかしら?」

伊丹「うっ……先に言われてしまった、不覚……!」

阪急「不覚?」

早稲「包丁はタオルで包まれてたし、それじゃないかな」

音道「あまり派手には付いていなかったのですが、恐らくそうだと思います」

駒牧「……ところで、更衣室は同性の更衣室にしか入れないはずだよな。男子更衣室にあったのか?」

早稲「いや……女子更衣室にあった」

伊丹「女子更衣室ぅ!? 早稲、ま、まさか女子更衣室に……! いや、どうやって? まさか、ゆ、ゆ……!」

二十八「幽霊なんて存在し……いや、もういいか」

許斐「えっとぉ、そんなことより重要なことがあるんじゃないかしらぁ?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【二十八の証言】
・【遺体の刺し傷】
・【ゴミ袋】
・【伊丹の生徒手帳】
・【モノクマファイル】


許斐「女子更衣室には【女子の生徒手帳を使わないと入れない】はよねぇ?」

音道「その通りです。今回の早稲さんは、調査として許可されたんです」

菊月「返り血の防いだタオルが【女子更衣室にあった】のは間違いないですから……」

空地「つまり、【犯人は女子】でしかありえないってことだな?」

伊丹「あっ……」

一ツ橋「逆に言えば、【生徒手帳を持っていなかった人間は犯人ではない】んですね?」

春浪「あんたは生徒手帳を持っていなかったって言うのかい、姉さん?」

一ツ橋「いいえ?」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


早稲「それは違う!」


早稲「伊丹、お前、電子生徒手帳を失くしたって言ってたよな?」

伊丹「あっ、うん。実は、夜から見当たらなくってさー」

許斐「何だかみぃんな、何かしら失くしてるわねぇ」

伊丹「にゃはは……」

駒牧「はは……」

空地「まあ、伊丹の生徒手帳を使えば、男にも犯行は可能ってことなんだな」

森脇「つまり、これで犯人探しは八方塞がりになってしまったわけだな」

音道「少なくとも、凶器からは……」

春浪「おいおい、姉さん。本気で言ってるのか?」

菊月「え?」

音道「あの、何故菊月さんが……」

春浪「凶器の入手経路……あの包丁がどこにあったのか考えれば、特定の手掛かりになるのは違いないぜ?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【指宿の動機】
・【消えた包丁】
・【遺体の刺し傷】
・【音道の証言】
・【モノクマファイル】


菊月「えっと、その包丁はどこから持ってきたんですか!」

春浪「バカが。包丁のある場所なんぞ、一つしか考えられないだろうぜ」

阪急「それはやはり……〔厨房〕か?」

許斐「わあ! 厨房には危険がいっぱいねぇ♪」

二十八「〔倉庫〕にあった可能性は?」

直入「〔元からそこにあった〕らお笑いなんだけどね」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 正解!

早稲「それに同意する!」


早稲「確かに、厨房から包丁が一本無くなってたな」

春浪「だったら、厨房に入った人間を全員調べればいいだけだ」

森脇「ただ、厨房や食堂で四六時中見張っていた奴がいるのか?」

直入「いやあ、いくらなんでも、今回ばかりはね」

菊月「私もずっと翠さんの部屋にいたので、分からないです!」

森脇「ふむ……特定は難しそうだな、春浪」

駒牧「まあ、誰にでも可能性があると分かれば、上出来なんじゃないか?」

春浪「ちっ――あんたに言われたって、何にも嬉しかないぜ」

申し訳ない、今日はちょっと、ここまでで……明日も9時です。お疲れ様でした


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【音道の証言】
・【ゴミ袋】
・【呼び出し状】
・【指宿の動機】
・【寄宿舎の見取り図】


伊丹「でもさー、何で指宿はあんな夜中に二階にいたの?」

阪急「眠れないから〔本を探しに行った〕というのはどうだろう」

空地「うーん……」

菊月「そうです、プールや図書館に〔忘れ物をした〕んです!」

空地「……どうだろう」

二十八「まあ〔分からない〕けれど……何にせよ、なにかしたいことがあったんだろう?」

空地「まあ、それはそうだろうけど……」

駒牧「誰かに〔呼び出された〕りとか?」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 正解!

早稲「それに同意する!」


早稲「指宿君の胸ポケットに……この呼び出し状が入ってたんだ」

森脇「――『パソコンのパスワードについて聞きたいことがある。23時に図書室へ来てほしい  二十八明』か……」

二十八「うん?」

駒牧「これは……」

許斐「あらあらぁ」

二十八「……まさかとは思うが、君達、僕を疑ってるのか?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【二十八の証言】
・【伊丹の生徒手帳】
・【捨てられた紙】
・【森脇の証言】
・【遺体の刺し傷】


二十八「ふふっ……バカを言わないでくれ。僕が犯人なわけないじゃないか」

二十八「そもそも、僕はそんな手紙を書いた覚えもないぞ」

菊月「うーん、でも手紙の最後にはきちんと【名前がある】んですよ?」

二十八「誰が犯行の呼び出しに個人を特定できるものを書くんだ?」

森脇「【突発的に殺した】らどうだ? 証拠の隠滅を忘れたんだろう」

直入「まあ、あんな秘密を渡された後だったりはしたけどねえ……」

二十八「……それでも、【僕は犯人でない】」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 不正解! 発言力 4→3

早稲「それは違――」

二十八「僕はそんなもの捨てた覚えはないな……」

一ツ橋「……指宿さんを今のように殺すのは、道具が必要になりますね」

一ツ橋「もし二十八さんが殺したなら、一旦その道具を取りに行く必要がありますが」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【二十八の証言】
・【伊丹の生徒手帳】
・【捨てられた紙】×
・【森脇の証言】
・【遺体の刺し傷】


二十八「ふふっ……バカを言わないでくれ。僕が犯人なわけないじゃないか」

二十八「そもそも、僕はそんな手紙を書いた覚えもないぞ」

菊月「うーん、でも手紙の最後にはきちんと【名前がある】んですよ?」

二十八「誰が犯行の呼び出しに個人を特定できるものを書くんだ?」

森脇「【突発的に殺した】らどうだ? 証拠の隠滅を忘れたんだろう」

直入「まあ、あんな秘密を渡された後だったりはしたけどねえ……」

二十八「……それでも、【僕は犯人でない】」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 不正解! 発言力 3→2

早稲「それは違――」

森脇「しかし、それは飽くまで犯人の証言だろう?」

伊丹「もし、二十八ちゃんが突発的に殺しちゃったんなら、あの証拠は残んないんじゃない?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【二十八の証言】 ×
・【伊丹の生徒手帳】
・【捨てられた紙】×
・【森脇の証言】
・【遺体の刺し傷】


二十八「ふふっ……バカを言わないでくれ。僕が犯人なわけないじゃないか」

二十八「そもそも、僕はそんな手紙を書いた覚えもないぞ」

菊月「うーん、でも手紙の最後にはきちんと【名前がある】んですよ?」

二十八「誰が犯行の呼び出しに個人を特定できるものを書くんだ?」

森脇「【突発的に殺した】らどうだ? 証拠の隠滅を忘れたんだろう」

直入「まあ、あんな秘密を渡された後だったりはしたけどねえ……」

二十八「……それでも、【僕は犯人でない】」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 不正解! 発言力 2→1

早稲「それは違――」

菊月「えっと、今は呼び出し状の話です!」

音道「その紙は……今回の話には関係ないかと……」

音道「二十八さんが指宿さんを突発的に殺したんじゃないことを証明できるはずですよ」

早稲「あっ、はい。えっと――」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【二十八の証言】×
・【伊丹の生徒手帳】
・【捨てられた紙】×
・【森脇の証言】
・【遺体の刺し傷】


二十八「ふふっ……バカを言わないでくれ。僕が犯人なわけないじゃないか」

二十八「そもそも、僕はそんな手紙を書いた覚えもないぞ」

菊月「うーん、でも手紙の最後にはきちんと【名前がある】んですよ?」

二十八「誰が犯行の呼び出しに個人を特定できるものを書くんだ?」

森脇「【突発的に殺した】らどうだ? 証拠の隠滅を忘れたんだろう」

直入「まあ、あんな秘密を渡された後だったりはしたけどねえ……」

二十八「……それでも、【僕は犯人でない】」


【】を正しいコトダマで論破しろ!

↓1


 正解!

早稲「それは違う!」


早稲「森脇さん……指宿君は包丁で腹を刺されて、階段から突き落とされたんですよ」

森脇「ああ……そうか、そうだったな」

菊月「それがどうかしたんですか?」

一ツ橋「二十八さんがはじめから包丁を所持している必要があります」

伊丹「そ、そんなの、殺す気マンマンじゃん!」

許斐「うぅん、護身用に持ってた、とかぁ? いつも深夜に一人で図書室にいたんでしょう?」

駒牧「いや、今までそんなことはなかったよ。今までだって、ちゃんと厨房に包丁はあっただろ?」

許斐「でもぉ、人によってはショッキングな動機が渡された後だったでしょう?」

許斐「だったら、誰かが殺しに来ると考えたっておかしくないと思うのよねぇ……」

音道「いえ。けれど、二十八さんが犯人なら、あの証拠をそのまま残しておくはずがありませんね。早稲さん?」

早稲「えっ!? えっと――」


正しいコトダマ(>>582)を提示しろ!

↓1


 正解!

早稲「これが答えだ!」


早稲「ああ、なるほど……これですね?」

阪急「これ、って? どれのことだ、早稲君?」

早稲「この呼び出し状は、指宿君のシャツの胸ポケットに入れてあったんだ」

早稲「見ての通り、どこにも血が付いてない真っ白なままで――」

春浪「二十八女史が犯人とすれば、そんな白地な証拠をほっぽらかしておく訳がないってこった」

阪急「そうか、なるほど……確かに」

森脇「……ふむ。因みに、この手紙から読み取れることはもう無いか?」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【呼び出し状】
・【指宿の動機】
・【遺体の刺し傷】
・【二十八の証言】
・【音道の証言】


森脇「他にこの紙から読み取れることは、なにかないか?」

伊丹「そうだ! 〔筆跡鑑定〕とかは!?」

一ツ橋「余程の達筆でも悪筆でもなければ、私達には難しそうですね」

二十八「そうだな……【文章統計学による解析】というのはどうだろう」

菊月「な、何の話ですか」

直入「あの短い文章じゃ無理じゃないかな……個人のデータも少ないし」

空地「そもそも、あのメモ用紙ってどこにあったものなんだ?」

空地「もしかしたら、これこそ【入手経路から割り出せる】んじゃないか?」

阪急「それが、一番現実的だな」


【】を正しいコトダマで論破、または、〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 正解!

早稲「それは違う!」


早稲「あのメモ、多分個人の部屋にあったメモスタンドの紙だと思うんだよ」

森脇「……だとしたら、使われたペンもそれだろうな」

空地「そう……じゃあ無理か」

一ツ橋「手帳の紙を使わなくて良かったわね」

直入「あはは……四季にしては面白くないジョークだなあ」

阪急「だったら、メモ帳の下の紙を擦って炙り出してみるのはどうだろうか?」

許斐「それ、炙ってませんけどねぇ?」

音道「……一つ、そんな文章が出てきた部屋がありました」

菊月「さすがです! 何方の部屋だったんですか?」

音道「浅草さんの部屋です」

伊丹「ゆ、ゆうれ……」

阪急「いや、違うだろう」

二十八「念入りな犯人というわけだ。ふふっ」

森脇「浅草の部屋は端にあるから、気付かれるリスクも減らしたんだな……」


伊丹「もーっ! じゃあ誰が犯人なワケ?」

春浪「――やっぱり、あんたの生徒手帳を持ってる奴じゃないのかい」

許斐「どこにも打ち捨てられてないし、そうでしょうねぇ……」

空地「よし、身体検査を――」

一ツ橋「捜査中に隠してあるんじゃないかしら」

直入「伊丹さん、落とした場所には心当たりないのかな?」

伊丹「うーん、それが全然思い出せなくって……」

音道「それなら伊丹さん、昨日起きたことを振り返っていただけますか?」

伊丹「ん? まあいーけど……」


伊丹「えーっと、昨日は動機の紙を渡されたんだよね……」

伊丹「そのあと、プールに行ったんだよ。だから、この時まであったのは間違いないよ」

伊丹「でー、皆と夕食をとったんだよね」

伊丹「それからそれからー、んーと、体育館で動いてから、部屋に戻ったんだっけ」

伊丹「あっ、そうだ! その時、食堂からゴミを回収してた指宿とぶつかっちゃったんだよ」

伊丹「その後、私んとこのゴミも持ってってもらったんだー」

伊丹「それからは、アナウンスが鳴るまでずっと部屋にいたよ。間違いない!」

音道「だとしたら、手帳を盗める方も、盗む必要がある方も、一人しかいませんね」

早稲「……それって」


怪しい人物(>>76-77)を指名しろ!

↓1


 正解!

早稲「君しか、いない!」


早稲「指宿君だ……」

空地「は?」

早稲「――伊丹、食堂は探したって言ってたよな?」

伊丹「うん、捜査することも無かったしねー。開いてるなら探しちゃえーと思って……にゃはは」

早稲「……森脇さん、アナウンスが鳴るまで、体育館にいたって言ってましたよね?」

森脇「ああ。落ちていればすぐわかるだろう。そんなものは無かったな」

早稲「だったら――伊丹の生徒手帳を持ってたのは、指宿君じゃないかな」


空地「……自分が何言ってるか、分かってるか、早稲?」

菊月「つまり、素直さんとぶつかった時に落としたということですね!」

早稲「違う……指宿君が、伊丹の生徒手帳をポケットから盗んだんだよ」

早稲「伊丹。一緒にポケットに入れてた鍵は落ちてなかった、って言ってたよな?」

早稲「でも、鍵の方は落としていないなら……それは、盗まれたとしか考えられない」


二十八「それでも地球は回っている!」反論!


二十八「ふふっ……早稲君、そんなコペルニクス的転回が突然受け入れられると思ってるのかな?」

二十八「実際、信じられない人もいるようだし。ここは追及させていただこう」


【反論ショーダウン、開始!】

二十八「指宿君が伊丹さんの電子生徒手帳を盗んだだって?」

二十八「ぶつかったときか、あるいはゴミの回収に行ったその時だけで?」

二十八「その際、伊丹さんに少しも気づかれることなく?」

二十八「良いかな、彼がいくら浅草さんと親しかったとはいえ――」

二十八「彼は超高校級のホテルマンであり、超高校級の掏摸師じゃないんだ」

二十八「【素人である彼がそんなことをするなんて不可能だぞ】」


正しいコトノハ(>>582)で【】を斬れ!

↓1


 正解!

早稲「その言葉、斬らせてもらう!」


早稲「二十八……ここに指宿君の秘密が書かれた封筒がある」

二十八「……彼は、それは動機にならないと言っていたね。それがどうしたんだい?」

早稲「ここに書かれてたよ。『指宿君は子供の頃、宿泊客の財布を盗んでいた』――ってな」

二十八「!」

森脇「指宿がそんなことをするというのも、あまり考えられないが……」

一ツ橋「けれど、渡された動機は全て本当だったのでしょう」

菊月「ワープロだから捏造も出来ないですね!」

空地「それより……つまり、だから、指宿が伊丹の生徒手帳を盗んだって、どうして? 誰かに借りれば良かったんじゃ――」

春浪「そりゃあ……誰にも知られず、女子更衣室に入る必要があったからだろうよ」

空地「……なんのために?」


【ロジカルダイブ、開始!】

Q1.指宿は何のために女子更衣室へ入ろうとした?
 1.女子更衣室に証拠を隠すため  2.女子の着替えを覗くため  3.気紛れ

Q2.指宿が深夜に二階へ向かった理由は?
 1.人を殺すため  2.犯人に呼び出されたため  3.二十八に会いに行くため

Q3.呼出し状を出したのは?
 1.指宿素直  2.犯人  3.二十八明

↓1


 正解!

早稲「推理は繋がった!」


早稲「……指宿君が、誰かを殺そうとしたからだよ」

一ツ橋「――だとしたら、あの呼び出し状も?」

早稲「多分、指宿君の出したものだと思います。犯人がわざと分かりやすい位置に入れたんじゃないでしょうか」

森脇「なっ――何故指宿が人を殺す必要がある?」

直入「そうだね……動機の封筒を渡された時も、そう怯んでいるようには見えなかったし」

二十八「実際その動機だって、内容を見れば隠したいものだったかは疑問が残るじゃないか」

音道「……もし、犯行の引き金になったのが、自分の秘密でないとしたらどうでしょう?」

駒牧「自分の秘密以外に、動機になる? 他人の秘密が?」

音道「そうです。それを知ることで、指宿さんがその方へ恨みを懐くことになることが……」

阪急「しかし、阪急君が誰かを殺したいと思うのも、中々想像がつかないんだが……」

許斐「あらぁ、そんなことありませんよぉ?」

一ツ橋「心当たりがあるのですか?」

許斐「誰かは分かりませんけどねぇ……早稲君なら、なんとなく分かるんじゃないかしらぁ?」

許斐「この中でぇ、指宿君が恨んでいそうな人のこと」

早稲「……それって――」


【閃きアナグラム、開始!】
 ??????
  つ ぶ な う の
  い し み た ゃ

?を埋めて言葉を作れ!

↓1


 正解!

早稲「これが答えだ!」


早稲「黒幕の、内通者――」

直入「…………」

二十八「浅草さんが死んだ責任を、黒幕だけでなく内通者に押し付けたと?」

許斐「指宿君、大類君を許したことすら、後ろめたいように言ってたわよねぇ?」

空地「だったら、指宿が内通者を殺そうとしてもおかしくないって? そんな――」

春浪「でも、事実が物語ってるぜ。今更否定できる証拠もないだろう」

空地「…………」

森脇「つまり指宿を殺した犯人は――指宿に殺される被害者になるところだった。そして、その被害者であり犯人である人物は――」

早稲「黒幕の、内通者だってことですよ!」


直入「その推理じゃ記事は書けないな!」反論!


直入「ええと、それだと指宿君は内通者の存在を知っていたことになるよね?」

早稲「そうだね、でなきゃ、襲う人間の目星がつかない」

直入「はあ……そんなわけねえだろ」


【反論ショーダウン、開始!】

直入「阪急君が他人の秘密を見る可能性があったとして……」

直入「あるいは別の場所で勘付いたかもしれない」

直入「でも、内通者はそれがばれたら終わりだろう?」

直入「だったら人一倍、そういった情報の統制も行なってるはずだよね」

直入「というか、内通者がそうそうばれることもないだろうけど。兎も角……」

直入「【指宿君には内通者の正体を知る方法が無いんじゃないかな?】」


正しいコトノハ(>>582)で【】を斬れ!

↓1


 正解!

早稲「その言葉、斬らせてもらう!」


早稲「トラッシュルームのゴミ袋に、こんなものが入ってたんだ」

伊丹「えーっと――『…君は黒幕の内通者である』。ふむふむ……」

直入「……まさか、それで内通者を特定できたって?」

伊丹「で、早稲。これのもう一片は? 黒幕の内通者って、誰なワケ?」

早稲「……無いよ」

伊丹「無い? だったら、誰が内通者か分かんないじゃーん!」

森脇「指宿は持っていなかったのか? そのもう一片の切れ端を……」

早稲「どうでしょう。あったとしても、もう犯人が持ち去ってるんじゃないかな」

一ツ橋「元から捨てていなかったかもしれませんね。指宿さんがそれを持ち去る理由も、内通者が回収に来た指宿さんの前で、それを捨てるのもおかしな話なので」

一ツ橋「……まあ、もうどうでもいいことですけれど」

菊月「どうでもいいことですか?」

一ツ橋「犯人が推測出来れば、それで済む話です」


【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【モノクマファイル】
・【遺体の刺し傷】
・【捨てられた紙】
・【ゴミ袋】
・【寄宿舎の見取り図】


阪急「でもどうやって、犯人を推測できるんだ?」

阪急「そもそも、どうして指宿君はその人が内通者だと分かったんだろう?」

菊月「え? 〔紙に書いてあった〕んじゃないんですか!」

春浪「はあ……まあいい。その紙が〔推測しやすい位置にあった〕んなら良い話だろう」

森脇「その分かりやすい位置というのは?」

春浪「そりゃ、ゴミの周りに私物があったとかだな……」

音道「それは無理ですね」

駒牧「やっぱり、〔別のところで偶然知った〕んじゃないか?」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1



 不正解!

 発言力 1→0


早稲「それに同意――」

駒牧「内通者を特定するんだったよな? その紙に内通者の名前は書かれてないぞ」

早稲「あっ……」


――――

 モノクマメダルを1枚消費し発言力を回復します


許斐「早稲君、起きてるかしらぁ?」

早稲「はい……」



【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【モノクマファイル】
・【遺体の刺し傷】
・【捨てられた紙】
・【ゴミ袋】
・【寄宿舎の見取り図】


阪急「でもどうやって、犯人を推測できるんだ?」

阪急「そもそも、どうして指宿君はその人が内通者だと分かったんだろう?」

菊月「え? 〔紙に書いてあった〕んじゃないんですか!」

春浪「はあ……まあいい。その紙が〔推測しやすい位置にあった〕んなら良い話だろう」

森脇「その分かりやすい位置というのは?」

春浪「そりゃ、ゴミの周りに私物があったとかだな……」

音道「それは無理ですね」

駒牧「やっぱり、〔別のところで偶然知った〕んじゃないか?」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 不正解!

 発言力 5→4


早稲「それに同意――」

直入「内通者なら迂闊に話したりしないし、別のところで知るのは無理なんじゃ……」

音道「早稲さん、そもそもあの捨てられた紙に、私たちはどうして気付くことができたんでしたっけ?」

早稲「えーっと……」



【ノンストップ議論、開始!】

コトダマ(>>582
・【モノクマファイル】
・【遺体の刺し傷】
・【捨てられた紙】
・【ゴミ袋】
・【寄宿舎の見取り図】


阪急「でもどうやって、犯人を推測できるんだ?」

阪急「そもそも、どうして指宿君はその人が内通者だと分かったんだろう?」

菊月「え? 〔紙に書いてあった〕んじゃないんですか!」

春浪「はあ……まあいい。その紙が〔推測しやすい位置にあった〕んなら良い話だろう」

森脇「その分かりやすい位置というのは?」

春浪「そりゃ、ゴミの周りに私物があったとかだな……」

音道「それは無理ですね」

駒牧「やっぱり、〔別のところで偶然知った〕んじゃないか?」


〔〕に正しいコトダマで同意しろ!

↓1


 正解!

早稲「それに同意する!」


早稲「あの袋の中、色々混ざってたし……だとしたら、推測できるのは一番上にあるものだけだ」

早稲「一番上にあるのは、最後に入れたもののはずだよな?」

許斐「そうかもしれないわねぇ。ゴミ袋のゴミは対流しませんからぁ」

二十八「となると、指宿君がゴミを収集したタイミングが重要になるけど……」

空地「ごみを回収した順番なんて、それこそ本人にしか分からないんじゃないか?」

音道「そんなことはないと思いますよ。ある程度の推測は可能です」

春浪「どうやって?」

音道「早稲さん、あれを見れば分かりますね?」

早稲「あれ、って……」


正しいコトダマ(>>582)を提示しろ!

↓1


 正解!

早稲「これが答えだ!」


早稲「指宿君は、自分の部屋から順番にゴミを回収したはずですよね」

音道「はい。ですから、部屋の位置関係が分かれば、ある程度の予測もつきます」

早稲「ええ。それにあの時――」

 ――『次で半分やし、替えようとしてたとこや』

早稲「そう言ったのに、そうする前に指宿君は途中で回収を辞めることになった」

早稲「だとしたら、犯人は――」


怪しい人物(>>76-77)を指名しろ!

↓1


 不正解!

 発言力 4→3

早稲「君しか、いな――」

直入「ええ、何で僕?」

音道「指宿さんは自分の部屋から順にゴミを回収したんですよね?」

音道「次で半分、と早稲さんに仰ったのなら、早稲さんが六番目に来る順番で回収しに来たはずです」

音道「生ゴミは臭いますから、袋には最後に入れたと思いますが……だとしたら、半分は既に回収したことになります」

音道「だとしたら、犯人はどなたでしょうか?」


怪しい人物(>>76-77)を指名しろ!

↓1


 不正解!

 発言力 3→2

早稲「お前しか、いな――」

伊丹「ま、待って待って! 私じゃないよ!」

音道「伊丹さんのゴミを回収に来たのは、厨房のゴミを回収した後ですから……」

音道「その前ですね。早稲さんの……次の部屋の方が、そうです」


怪しい人物(>>76-77)を指名しろ!

↓1


 正解!

早稲「君しか、いない!」


早稲「――阪急君が、やったんだろ?」

阪急「……!」

早稲「次で半分ってことは――指宿君は自分の部屋から、森脇さん、春浪、許斐さん、駒牧、僕の順で来たはずだ」

早稲「あの時、ゴミの中から生臭いものはなかったし、指宿君は阪急君のゴミを回収すると、トラッシュルームに行った」

早稲「それから、食堂へ生ゴミを回収しに行った可能性が高い。その時に気付いたんじゃないかな?」

早稲「だから途中で回収を辞めて、伊丹からゴミを受け取るついでに、生徒手帳を盗んだりしたんだ」

阪急「し、しかし、僕は内通者なんかじゃないし……春浪君、君は見たんじゃないか? 僕に渡された動機が、そんなものじゃないのを!」

春浪「…………見た」

阪急「だったら――」

春浪「けれど、別に阪急青年が内通者である必要はない」

春浪「指宿青年が勝手に勘違いして、君へ呼び出し状を書けばいい話なんだからな……」

阪急「な――ッ!」

森脇「そういえば、お前は死体の第一発見者だったな? 阪急――」

森脇「……それもそうか。まだ息がある指宿の傍を離れることはしたくないだろうからな」

一ツ橋「二階に逃げようにも、二十八さんがいる。そうこうしているうちに、早稲さんと駒牧さんの声も聞こえる」

一ツ橋「だから、自ら悲鳴を上げることで、第一発見者を装ったのね」

阪急「ぼ、僕は――」



阪急「それでも、僕は犯人じゃない……っ!」


【パニックトークアクション、開始!】

阪急「指宿君が別の場所で黒幕を知った可能性が無いなんて本当は言いきれない!」

阪急「浅草君と一番話してたのは指宿君だ、彼女が鍵を失くした時もそうだったんじゃないか?」

阪急「第一、ゴミ回収の証言だって早稲君にしか分からないし、予測に過ぎないだろう?」

阪急「……指宿君が突き落とされてから、犯人が逃げる時間はあった」

阪急「そこに偶然僕が通りかかっただけで、そんなことで犯人扱いなんてされたらたまらない!」

阪急「【僕が犯人だという客観的な証拠はどこにもないんだ!】」


           足跡
            △

     踊り □       ○ の

            ×
            場

↓1


 正解!

早稲「これで証明する!」


早稲「踊り場にあった足跡は、阪急君と僕の足跡、その二つだけだったんだ」

阪急「それがどうしたっていうんだ、何もおかしくないじゃないか」

早稲「更衣室で証拠隠滅をしてたってことは、犯人は二階から一階に下りる必要があったはずだよね」

早稲「でもその時には、もう床の血痕を踏まずに通る方法はなかった」

阪急「だ、だったら、犯人は二階にいたままだったんじゃないか? 二十八君のように――」

早稲「内通者の紙は『君』だったし、指宿君が二十八を内通者だと判断するのは考えにくいよ」

早稲「それに、さっきも言ったけど、わざわざ胸ポケットに呼出し状を入れる必要もない。指宿君が二十八の名前で、二十八を呼び出したりもしないからね」

阪急「…………僕は」

早稲「もう一度、事件を振り返ろう」

早稲「それに納得して――この犯行を、認めてほしい」


【クライマックス推理、開始!】

ACT.1
 始まりは、ゴミ当番だった指宿君が、回収したゴミからあるものを見つけたことだった。
 それは内通者が捨てた動機の紙――内通者を示す、重要な手がかりだったんだ。

ACT.2
 内通者を許すことの出来なかった指宿君は、伊丹の生徒手帳と厨房の包丁を盗んだ。
 それから、浅草の部屋で二十八を装った呼び出し状を書き、犯人の部屋のドアに挟んでおいた。
 そして午後11時、二階で犯人を待伏せしたんだ。

ACT.3
 そして、指宿君に呼び出された犯人もまた、呼び出し状の通り図書室へ向かった。
 そこで指宿君に襲われそうになり――恐らく揉合いになって――包丁で指宿君の脇腹を刺し、階段から落としてしまった。

ACT.4
 指宿君を殺してしまったと考えた犯人は、証拠隠滅することにした。
 まず、指宿君の持っていた伊丹の生徒手帳を見つけると、凶器の包丁を女子更衣室に隠した。
 それから、指宿君の出した呼び出し状を、指宿君本人の胸ポケットに入れた。

ACT.5
 犯人はそこから逃げようとしたけれど、一階から僕と駒牧の声がして、逃げるに逃げられなくなった。
 だから、自ら踊り場で大声を上げたんだ。自分をただの第一発見者だと装うためにね。


早稲「そうなんだろ? 阪急勇人君!」


モノクマ「議論の結論が出たようですね。それでは投票タイムと参りましょう! オマエラ、お手元のスイッチで投票をお願いします!」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰なのか!」

モノクマ「果たしてその答えは正解なのか、不正解なのか?」

モノクマ「それではいきましょう! 投票ターイム!」



――――――――

阪急|阪急|阪急

――――――――

     【学級裁判、閉廷!】

というとこで今日は終わりです。いや本当……お疲れ様でした
次回は安価もないのでsage進行でいきます。3章はどうしようかな……次スレ立ててもいいですかね?


モノクマ「だいせいかーい! 超高校級のホテルマン・指宿素直クンを殺したクロは……阪急勇人クンなのでしたー!」

阪急「ち、違う……」

一ツ橋「主語がありません」

阪急「だ、だって! 向こうから襲って来たんじゃないか! だったら僕だって正当防衛だ、そうだろう!?」

二十八「……まあ、認められるかはどうかとして、正当或いは過剰防衛か――」

駒牧「でも阪急は、包丁を隠して女子に罪を着せようとした」

阪急「それは――」

駒牧「そんなお前が、正当防衛だとか、情状酌量の余地があるとか……納得できると思うのか?」

許斐「……厳しいのねぇ」


阪急「だ、からって……僕が全部悪いって言うのか? 人を殺したなら大人しく自首しろって? そんなの、僕に死ねと言ってるようなものじゃないか!」

阪急「生きたいと思って何が悪い? 助かりたいと思って何が悪い? 僕に殺意なんてなかったのに?」

伊丹「そ、そうだよ! 阪急だって、殺したいと思って殺したわけじゃないんでしょ? だったらこれだって、事故だよ――」

駒牧「指宿の死因は失血死だろ? だったら、止血すれば間に合ったんじゃないか?」

駒牧「それなのに、お前は医務室へ向かうよりも、誰かを呼ぶよりも先に、証拠の隠滅を図って、指宿が死ぬのを待った。そこに殺意が無いって?」

春浪「……駒牧青年、そこまでにしておけよ。この事件は被害者である指宿青年にも非がある話だぜ」

駒牧「……お前はこっち側に付いてくれると思ったんだけどな」

春浪「冗談じゃない。おれはあんたも、勝手に勘違いして人を苦しめる奴も、死ぬほど嫌いだ」

駒牧「…………そう」


阪急「そ、そんなこと言うなら――だって、被害者になるかもしれなかったんだぞ? 僕が偶然、運が悪かっただけじゃないか……何で、なんで僕が死ななきゃならないんだ……っ!」

モノクマ「……あのー、もういいっスかね?」

阪急「ま、待ってくれ――僕はまだ納得しない!」

直入「納得しなくても、それがルールって言うんなら……」

阪急「い、嫌だ――死にたくない……っ!」

阪急「僕は、まだ――っ!」

モノクマ「さーて今回は、超高校級の駅員である阪急勇人クンの為に、スペシャルなおしおきを用意しました!」

モノクマ「では張り切っていきましょう! オシオキターイム!」




          GAME OVER

     サカセキくんがクロにきまりました。

       おしおきをかいしします。


 単式一面のプラットフォームへ、列車が到着する。ドアが開くと、乗客が雪崩のように降りて行った。

 がらんどうの車内へ、阪急が吸い込まれるように乗車すると、列車のドアが閉まり、走り出した。


    【絶望シリーズ第3弾 炎の暴走★特急】

     超高校級の駅員  阪急勇人処刑執行


 緩い坂道を上がると、列車はトンネルの中へ入って行く。

 電灯も点けず、真っ暗になった車内をよそに、列車はゆっくりと、ゆっくりと進んでいった。

 ……どれほど経っても、列車は一向にトンネルを抜ける気配を見せず、寧ろ、随分と減速しているらしい。

 軽いブレーキ音がして、列車は完全に停止した。

 阪急は辺りを見渡す。すると、暗闇の向こう側で、赤いものが揺らめき立っているのに気付いた。

 列車火災――阪急がそう勘付いた時には、阪急のいる車両へ、既に黒煙が流れ込み始めていた。

 阪急は咳き込みながら、列車のドアをなんとか破り、外へ逃げ出す。

 先頭車両の炎は勢いを増し、黒煙はトンネルを上っていた。

 煙の蔓延したトンネルを、阪急は口と鼻を袖で抑えながら、滑るように下る。

 なんとかトンネルを這い出しった阪急は、数度咳き込んで、大きく息を吸った。

 煙の漏れ出るトンネルを見上げ、駅の方へ歩を進める。


 ぎりり、と嫌な音が響いた。

 100メートル、200メートル、300メートル……緩やかな勾配の一本道を、阪急は駆けていく。

 ようやく、駅のプラットフォームが視界の端に入った。

 そこで阪急は、背後の音に気付き……足を止めないまま、振り返る。その目と鼻の先に迫っていたのは――

 ――トンネルから勾配を駆け下りてきた、特急列車だった。


 列車がようやく止まったのは、駅を通り越し、カーヴを曲がり切れず、脱線した時だった。


モノクマ「エクストリ――――――――ムッ!」

許斐「…………」

春浪「…………」

モノクマ「なーんか盛り上がりに欠けるねえ。悲しいことだよ」

伊丹「あっ……当たり前でしょ!? なんで、こんなことする必要があるの……」

モノクマ「そりゃ勧善懲悪って奴だよ! 伊丹さんお得意のね!」

伊丹「バカじゃないの……!」

二十八「伊丹さん、気持ちは分かる。ただ、今は落ち着くんだ」

空地「…………なあ、阪急は黒幕の内通者じゃなかったんだよな?」

春浪「ああ。さっきも言った通り、おれはちゃんと見たぜ。阪急青年の、動機になりそうもない、クソ下らない秘密をな」

空地「それじゃあ内通者は、まさか、指宿にコロシアイを起こさせるために、ゴミ袋へあの紙を捨てたのか?」

音道「そういうことに……なりますね」


菊月「けれど……素直さんといい、勇人さんといい、道夫さんといい、どうでもいいクソ下らない動悸ばかりですね?」

菊月「黒幕は、素直さんに殺人を起こさせるために、こんな動機を用意したということですか?」

二十八「さあ……それは、どうだろうね」

菊月「明さんは、それが知られたくなくて、人を殺すんですか!」

二十八「ふふっ、否定はできないな」

森脇「……私の動機というのも、大したことではないが。しかし、それがそれぞれの秘密であることに変わりはないんだろう?」

許斐「まぁ、そうかしらねぇ?」

空地「……まあな。知ってる奴はいても、そうそう話すようなことじゃない」

一ツ橋「ええ、その通りです」

森脇「それなら、答えは導き出せる」

駒牧「どういうことだ?」

森脇「なぜ黒幕はそんな秘密を知ることが出来たのか……」

伊丹「それはー……何か、伝手があったって言ってたけど」

森脇「では、その伝手とは何だ? いや――一体誰なら、この中の全員の秘密を知ることが出来る?」

菊月「……それって」


直入「……なるほどねえ」


 全員の注目を集めたことに気付いたか、或いは予測していたか、直入は表情一つ変えず、それだけ話した。

 唯一視線を向けることのなかった一ツ橋は、その目を動かさないまま、尋ねる。


一ツ橋「……朝日」

直入「何?」

一ツ橋「私には半ば信じられません、そうすることで何のメリットがあるかしら?」

直入「僕が自分の利益を考えて行動するような人間ではないって、四季が一番よく知ってると思うけど」

一ツ橋「……そうでしたね」


駒牧「それじゃあ……お前が、あの動機の紙の?」

直入「まあ、そういうことだね」

空地「そういえば……内通者の話題が出たとき、過剰に反応してたな?」

二十八「誰かを庇う為の嘘、ということは? それこそ一ツ橋さんを庇うように」

直入「新聞記者が嘘をつくなんてことが許されると思うかい? 弟さんを殺そうとした二十八さん」

二十八「ふふっ。……笑える話じゃないな」


春浪「……分からない。兄さん、あんた、そんなことをするような奴だったのかい」

伊丹「内通者、ってさ……つまり、指宿のいない間にあの紙を捨てて、この事件の根本的な原因を作ったのも……」

許斐「私達の秘密を黒幕にぜぇんぶ喋ったのもぉ……」

音道「或いは、浅草さんの部屋の鍵を盗んで、大類さんを殺人犯にしようとしたのも――すべて、貴方の仕業だったんですか!?」


 その問いに――しかし直入は、今度は答えようとはしなかった。


駒牧「何とか言ったらどうだ、直入」

直入「……だってさ――勝負下着がサックスブルーの森脇さん」


許斐「……他人に疑いを向けて、自分は逃げるって寸法かしらぁ?」

直入「許斐さんの言ったことは、まあ確かに内通者の役割の一つだけどさ……」

直入「なんで僕が、内通者がばれるかもしれないリスクを冒してまで、指宿君を殺すよう仕向けなきゃいけないわけ?」

菊月「分からないです。豊さんだとあるんですか? 拓海さんでも、六月さんでも、同じことだと思うんです」

直入「……同じことではないよ。僕と森脇さんじゃ、彼らとの親しさも違うし……」

春浪「だったら尚更、森脇女史には、奴らにコロシアイを仕向ける理由はないだろうぜ」

音道「……逆なんですね」

空地「逆、って、何がです?」

音道「親しいから情が湧くんじゃなくて……生き残らせたいんじゃなくて……親しいから、動かしやすいんですね」

音道「試合に勝つために、最善手を尽くす。超高校級の監督なら――」


森脇「…………伊丹」

伊丹「えっ?」

森脇「お前は阪急を擁護していたな。……それなら、私からも言わせてもらおう」


 両腕を組んだまま森脇は、冷たい視線だけを伊丹へ向ける。

 それから、わざとらしく口角を吊り上げて、ゆっくりと、口を開いた。


森脇「――『生きたいと思って、何が悪い』?」


駒牧「つまり、お前はそれを認めるのか?」

森脇「浅草にお前の鍵を盗ませ、その鍵を大類に拾わせ、直入の部屋から動機の紙を盗み、わざと破って、指宿を煽り、伊丹から生徒手帳を盗んだ」

森脇「……私がやったのは、それだけだ」

菊月「全部じゃないですか!」


二十八「しかし、今の話から言えば、君は内通者でないはずだよ。それなのにどうして、コロシアイを煽ったりするの?」

森脇「何故今更、そんなバカげたことを聞くんだ? 私は監督だ、だから試合には必ず勝つ、これ以上の理由はない」

森脇「ここでコロシアイも起こさずただ只管に生きていくことを、私は勝利とは思わない。当然だろう?」

一ツ橋「……貴女はこの状況をゲームでないと仰っていたはずですけれど」

森脇「お前の好きな直入と違って、私は嘘をつく」

一ツ橋「だとしたら、何故いま貴女は自白をしたのかしら?」

森脇「対策されるからと予告先発を発表しない監督がどこにいる?」

一ツ橋「…………」


森脇「……話はもう終わりか? だったら、私は部屋に戻らせてもらう。頭痛が酷くてたまらないのでな」


 そう言って背を向けた森脇を制止する者は、誰もいなかった。

 主役の消えた舞台と化した裁判場には、エレベーターの無機質な稼働音だけが、重く響いている。


直入「……じゃ、僕も戻ろうかな」

一ツ橋「背後には気を付けた方が良いんじゃないかしら」

許斐「あらぁ、もうこんな時間なのねぇ……朝食まであんまり寝られないわぁ……」

伊丹「……どうすればいいのかな、私――」

空地「さあ……」

春浪「ふん、目が覚めたらひょっこり二人とも出てくる、か――おれもさっさと寝かしてもらうかな」

二十八「ふふっ……寝惚けるとセンチメンタルになるものかな?」

菊月「正春さん、意外と正義感の強い方だったんですね!」

駒牧「意外と……?」

音道「――早稲さん、どうかしましたか?」

早稲「……いえ、何でもありません!」


 一つの学級裁判が終わり、一つの事件が終わった。

 それでも――もう二度と、ここには来ないだろうと言う予感が、早稲には少しも感じられなかった。





     CHAPTER.02【駆け上がれ、青春のテッペン!】

              END

                    …生き残りメンバー:12人


今日の21時半に、次スレ立てて3章始めます、よろしくお願いします

次スレ
【オリロンSS】早稲「コロシアイ学園生活」2【安価】
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