ハルヒ「さあ!!!!!」
キョン「野球大会に出るのか」
ハルヒ「野球大会に出……やめなさいよ!!! それ!!!」
古泉「野球大会ですか。体を動かす機会と言うのはこれのことですか」
ハルヒ「そっ!! いいでしょ、野球大会!!!」バッ
朝比奈「第九回市内アマチュア野球大会参加募集のお知らせ……?」
ハルヒ「そう!! あたし市内でこんな大会あるって知らなかったわ!!」
ハルヒ「ここは一つ、SOS団の団結を高めるためにも出場すべきだわ!!」
キョン「ハルヒ、出るのはいいが野球は何人でやるのか知っているのか?」
ハルヒ「知らない! 5人でもやろうと思えばできるでしょ?」
キョン「最低でも9、いや10人は必要だな」
ハルヒ「そっか……キョン!!」
キョン・キョン「「なんだ?」」
ハルヒ「増えな……準備がいい!!!!」
朝比奈「そ、そっちに驚くんだ……」
長門「ユニーク」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441618557
ハルヒ「その時のコスプレはなにがいいかしらねー……やっぱチアかしら?」
朝比奈「すすす、するんですかぁ!?」
キョン「やれやれ……」
古泉「こうしてると、つい先日世界崩壊の危機だったことが夢のように感じますねぇ」
キョン「実際、アイツの中では夢だったということで完了してるだろ」
古泉「そのようで」
キョン「まぁ、元通りってやつだ。終わりよければすべて良し」
古泉「SOS団の活躍はこれからでしょう?」
キョン「活躍と言うか迷惑というか……」
ハルヒ「ちょっとキョン!! 早くあと、5に……4人メンツそろえる準備しなさい!!!」
キョン・キョン「「おいおい、俺たちは五人だからあと5人いるんじゃないか?」」
ハルヒ「6人!!! 今6人いる!!! わざわざ増えてから言わなくていいじゃない!!!!」
キョン「俺が増えるのはいいが、どうせならちゃんと10人集めてやりたくないか?」
ハルヒ「とはいっても他誰がいるのよ?」
朝比奈「あっ、わたしの友達で良ければ一人……」
ハルヒ「でかした!! これであと……4人!!」
キョン・キョン「「だからー」」
ハルヒ「いやこっちがだからー、だから!!!!」
長門「……一人、呼べる」
ハルヒ「有希が? 意外ね」
キョン「失礼な、長門はお前より友達多いぞ?」
ハルヒ「ぐっ……確かにあたしも呼べそうな知り合いはいなかったわ……負けた」
長門「勝ち」
キョン「これであと3人、だな」
ハルヒ「ふーたーりー?」
キョン「分かった分かった、最悪俺が二人になって一人ベンチに置いとけばいいとして」
ハルヒ「それが最善」
キョン「いや最善。じゃないが……あと2人」
ハルヒ「あれでいいじゃない。国木田君と……なんだっけ、あいつ!」
キョン「おいおい、お前は中学一緒だっただろ? ったく……谷山だろ?」
ハルヒ「そうそれ!」
古泉「どちら様でしょう……?」
ハルヒ「これでメンツは揃ったわね!!!」
キョン「人数だけな」
ハルヒ「それじゃあ、優勝向けて……ふぁい!!!」
ハルヒ「やー!!!!」
キョン「おー」
朝比奈「おーっ!」
古泉「おー」
長門「おー……」
ハルヒ「みんな合わせてよ!!!!」
キョン「お前が外してんだよ」
朝比奈「や、やー?」
ここまで。
前スレ
ハルヒ「キョンTUEEEE!!!!」
ハルヒ「キョンTUEEEE!!!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440765266/)
張っときます
あー金木犀忘れてる……まぁいいや
十時半までには投下―
投下―
ハルヒ「そうと決まれば今度の日曜に向けて猛特訓よ!!!」
キョン「日曜……明後日か、随分急だな」
ハルヒ「努力は時間ではなく質よ! 質!!!」
キョン「どっちにしろ努力不足になるとは思うんだけどな」
朝比奈「あ、あのぅ猛特訓って……?」
ハルヒ「そりゃもちろん! 野球の猛特訓って言ったらあれでしょ!!」
長門「千本ノック」
ハルヒ「千ぼ……有k、いや、待って、今のは隙を与えたあたしが悪いわね」
キョン「なんか、甘いな」
長門「余韻が少ない」
キョン「なー。激昂してくれるほうが面白いよな」
長門「……」コクリ
古泉「涼宮さんは玩具ではありません……」
ハルヒ「と に か く!! 今から千本ノックにいくわよーっ!!」
朝比奈「い、今からですかぁ!?」
ハルヒ「当っ然!! 時間は待ってはくれないのよ!!!」
キョン「さっき時間よりも質って言ってたよな、おい」
キョン「おい、ハルヒ―」
ハルヒ「なによ?」
キョン「猛特訓っつったって、まさか野球部に押し入り道具を貸せと脅し、挙句の果てにグラウンドの使用権まで渡せとか言うんじゃないだろうな」
ハルヒ「具体的!?!?!? あたしそんな顔に書いてある!?!?」ヤキュウブニオシイリドウグヲ……
古泉・朝比奈「「書いてあるーッ!!?!?!?!?」」ガーン
ハルヒ「あらホントー!!?!?!!!?!?」ガーン
キョン「言っておくが、人様に迷惑を掛けるのはNGだからな」
ハルヒ「なによぅ……」フキフキ
ハルヒ「…………じゃあどうすればいいのよ!?」バーン!!
キョン「開き直んな、こっちが聞きてえよ」
古泉「あのー、でしたら」
古泉「僕の知り合いに、専用グラウンドを持っている野球好きの方がいまして」
古泉「もしよければ交渉してみましょうか?」
ハルヒ「…………」
キョン「…………」
古泉「……あ、あれ?」
古泉「何故、そんな微妙な反応を……?」
キョン「……だって、なぁ?」
ハルヒ「ええ……古泉君!!」
古泉「は、はい」
ハルヒ「都合が良すぎる!!!!!」バーン!!
古泉「えぇ!?」
ハルヒ「野球がしたい時に偶然専用グラウンドを持っている知り合いがいるですって!! ご都合主義もいいところよ!!!」
古泉「(彼の分身の都合のよさは良しとするんですか!!?!?!?)」
ハルヒ「でもお願いしてみて頂戴!!!」ドーン!
古泉「(しかし全力で乗っかる!! 涼宮さんらしいですね……)」
古泉「許可がでました」
キョン「早いな。電話待ちでもしてたのかよ」
古泉「……」
キョン「睨むなよ」
ハルヒ「それじゃさっそく移動よ!!! あ、その前に……」
ハルヒ「みくるちゃん!! 有希!!!」
朝比奈「ふぇ?」
長門「呼べる」
ハルヒ「その呼べる友達って今……そう、有希は呼べる、と」
朝比奈「あっ、今一緒に練習するってことですかぁ? あ、聞いてみますね」
ハルヒ「……なにかしら」
ハルヒ「みくるちゃんすら少し察しが良いように見えるわ」
キョン「おい、失礼だぞ。実際朝比奈さんは察しがいいんだ」
ハルヒ「……そうかしら? 毒されているのかしらね」
キョン「?」
長門「?」
ハルヒ「あんたら二人の超能力じみた察しの良さに、ね!!!」
キョン「誉められた?」
長門「叙勲もの」
ハルヒ「勲位はく奪ものよ!!」
朝比奈「あっ、はい。そう、そうで……分かりました、はぁい」
朝比奈「行けるみたいです。今から」
ハルヒ「なんだ、高校生って案外みんな暇なのね」
キョン「その暇の代表みたいなやつが何言ってんだ。あと失礼だから暇とか言うな」
ハルヒ「それで、古泉君! そのグラウンドまではどのくらいの距離があるの?」
古泉「そうですね、距離的にはさほど遠くはありませんが、車を手配してくれてるみたいです」
ハルヒ「……」
キョン「……」
古泉「ぜ、善意で」
ハルヒ「そっ善意なら仕方ないわ!」
キョン「ああ、善意なら仕方ないな」
古泉「……」
キョン「だから睨むなよご都合主義マン」
古泉「どの口が言いますか……」
ハルヒ「それじゃ、お友達が来しだい、車で向かいましょ!!」
ハルヒ「ねぇ二人共! お友達ってどんな人? 頭から茶色の触角が生えてたりする人?」
キョン「そんな人と俺は友達にならないし、そいつは人じゃない」
ハルヒ「アンタには聞いてないの! で、で、どんな人??」
朝比奈「え、えーっと……しょ、触角は生えてないですけど、明るくて元気がいい人ですよぉ」
ハルヒ「なーんだ、あたしみたいな人か」
キョン「お前意外と自己評価高いなおい」
ハルヒ「それで、有希の方は!?」
長門「朝倉涼子」
ハルヒ「……えっ?」
長門「朝倉涼子」
朝倉「……こ、こんにちはぁ」
鶴屋「よろしくっさ!!!」
ハルヒ「驚いたわ……まさか有希がうちのクラスの朝倉さんとお友達だったなんて……」
ハルヒ「世界は狭いわね」
キョン「事の単位が狭すぎるだろ」
朝倉「キョン君ーちょっといいかしら?」
キョン「どした、朝倉」
朝倉「……ちょっと! 急に長門さんに『今日ヒマ?』って言われたから来たのに!!」ボソボソ
朝倉「野球の練習ってどういうことよ!!」ボソボソ
キョン「長門ってそんな誘い方するんだ……」
朝倉「どこに食いついてんのよ!!」
ハルヒ「……あんたたち、仲いいのね」ジイ
朝比奈「!!!(ラブコメの波動ッ!?)」バッ!
古泉「長門さん!!」
長門「分かってる」キィ
朝比奈「ままま、まだ現世に居ますよぉ!」
古泉「現世……」
鶴屋「あっはっは! みくるぅー! アンタ面白いキャラしてんだねー!」
朝倉「涼宮、さん……? あ、キョン君って何だか話やすいから、ついつい……」
ハルヒ「……こいつ、詐欺師よ」
朝倉「詐欺師……?」
ハルヒ「詐欺師でマジシャンでメンタリストでとにかくわけわかんないやつなの!」
ハルヒ「話やすいとかマジないから!!」
朝倉「……ええっと」
キョン「意味わからん対抗意識燃やすのやめろ。擁護してんのか揶揄してんのか分からん」
古泉「揶揄でしょうに……」
ハルヒ「とりあえず……出発!!」
キョン「まて、ハルヒこの人数じゃ何人か車からあぶれちまう」
ハルヒ「キョン、飛ぶ、以上!」
キョン「おっけー! でもまだあぶれるぞ」
朝倉・古泉「「(おっけーなのはおっけーなんだ……)」」
ハルヒ「……!」
ハルヒ「じゃああた―――」
長門「わたしも降りる」
キョン「お、長門も飛ぶのかー」
ハルヒ「……」
朝倉「す、涼宮さんすごい形相だけど……?」
ハルヒ「……飼い犬同士の微笑ましい光景を見てる感じ!!」グヌヌ
朝倉「苦渋を舐めているようにしか見えないんだけど……」
朝比奈「飼い犬……」
ハルヒ「新鮮ね!! この光景は!!」グギギ
朝倉「辛酸かと……」
ハルヒ「……あなた、中々ね」
朝倉「(なんかSOS団の選考基準らしきものをクリアしたっぽい?)」
キョン「じゃ俺と長門は現地でキャッチボールでもして待ってるから」
ハルヒ「先着く前提なのね、分かったわ! 少しでもうまくなってなさい!」
ハルヒ「それじゃ車組はのりこんでさっさと行くわよ!!」
朝比奈「古泉君」
古泉「はい、なんでしょう?」
朝比奈「車、女の子ばっかりですね!」
古泉「……え?」
ブーーーーーーーーーーーン!!!
キョン「行ったか、それじゃ俺らもシュン!!ってなもんで」
長門「どこに行く?」
キョン「どこってそりゃ……どこだ?」
キョン「グラウンドしか聞いてなかったな、やれやれ」
キョン「まぁ、分からんことはないが、ここは空から車を追って行くのがいいか」
長門「わたしは飛行はできない」
キョン「させてやるよ」ギュッ
長門「……」ギュッ
キョン「そーら、空へ飛び立つぞ」
長門「うまい」
キョン「……うまくないからスルーしてほしかったんだがな」
長門「そう」
キョン「それじゃ、のんびり行きますか」
長門「そう」
鶴屋「それでみくるったらねーっ!!」
ハルヒ「うわぁ! 知られざるみくるちゃんの情報がどんどん出てくるわ!」
朝比奈「つ、鶴屋さんストップストップだってぇ!!」
鶴屋・ハルヒ「「あっはっはっは!!!」」
朝倉「(もの凄いタッグが完成した瞬間ね……)」
鶴屋「それで……朝にゃんだっけ!?」
朝倉「朝にゃん!? いえ、あたしは朝倉涼子と……」
鶴屋「じゃあ朝にゃんだ!!」
朝倉「は、はぁ……」
鶴屋「朝にゃんはハルにゃんと同じクラスなのかいっ?」
ハルヒ「そうよ、彼女あまり話さないから喋ったことほとんどないけどっ!」
鶴屋「あー……」
朝倉「(待って!! 喋らないのあなた!! 話しかけても答えてくれないのあなた!! てか気まずい! この空気は気まずい!!)」
ハルヒ「……あれ?」
朝比奈「……うぅ」
古泉「……でしたら、これを機に親睦を深められては如何かと」
朝倉「(おー、ナイスフォロー……ってなんであたしが空気とか気にしてるんだろ?)」
鶴屋「そうっさね!! 試合が終わればみんな仲良し!! 今日の敵は明日の友っさ!!」
古泉「いえ、みんな同じチームですが……」
詐欺師でメンタリストならむしろ話しやすいだろ、領分だし
ハルヒ「ついた!?」
古泉「ええ、つきました」
ハルヒ「キョーン!! 有希ー!! どこにいるのーっ!?」
キョン「ここだ」シュン!!
長門「ここ」
ハルヒ「うひゃぁ!! び、びっくりさせないでよ! 今ついたとこなの?」
キョン「ああ、ゆるりゆるりゆるゆりと空を満喫してた」
朝倉「今変なワードが……」
ハルヒ「先に練習しときなさいっていったじゃない」
キョン「イメトレはバッチリだ! なっ長門?」
長門「……」コクリ
ハルヒ「そっ、ならそのイメトレの成果見せてもらおうじゃない!」
キョン「どんとこい」
古泉「さあ、道具一式も準備済みです。思う存分練習したまえと持ち主の方から激励もいただきました」
ハルヒ「グラウンドを貸してくれた人のためにも、次の野球大会は優勝するわよ!!!」
キョン「ああ、任せとけ!! 七大会連続MVPの俺がいるんだからな」
ハルヒ「そう!!…………そう?」
ハルヒ「……アンタ、この大会出たことあんの?」
キョン「というか、元々の主催者俺だし」
ハルヒ「……九年前からある大会だけど?」
キョン「おう」
朝比奈「……」
古泉「……」
長門「……」
鶴屋「ううん?」
ハルヒ「…………練習するわよーッ!!!!」
キョン「おおーっ!!!」
古泉・朝比奈「「(理解するのをあきらめたーっ!!!!!!)」」
ここまで
>>29
せやな、朝倉さんもそう思ってるで
寝る前には一回投下―
投下―
ハルヒ「さて、キョン!! まずはアンタから千本ノックの餌食となりなさい!!」
朝比奈「え、餌食ですか!?」
キョン「望むところだ、さきにくたばっちまうのは目に見えてるがな」
ハルヒ「戯言を!!!」キィン!!
キョン「なんの!」パシッ!!
古泉「……さて、我々も自主練に励むと致しましょうか」ニッコリ
鶴屋「おおう!! それじゃあ二人組作ってー!! みくるーっ!! こっちおいでーっ!!」
朝比奈「はぁい」
朝倉「長門さん、一緒にやりましょう?」
長門「……」コクリ
古泉「…………おや?」
鶴屋「そいじゃみくるっ!! まずはキャッチボールから始めるっさ!!」
朝比奈「よ、よろしくお願いしまぁす!!」
朝倉「長門さん、あたしたちもそうします?」
長門「……」コクリ
古泉「……おやおや」
古泉「…………」
古泉「……新川さーん!!! 戻ってくることはできませんかーっ!!?!?」
ハルヒ「ホッ! ハッ! アッ!!」キンキンキン!!!
キョン・キョン「「なんのなんの」」シュバババババ
ハルヒ「増えんな!!!」
鶴屋「いっくよー!! そーれ!」ポイッ
朝比奈「あ、あわわわ、えいっ」パスッ
鶴屋「うまいうまい!! やるじゃんみくるぅ!!」
朝比奈「え、えへへ」
朝倉「なるほど……あんな感じにやればいいわけね……」
朝倉「長門さーん、投げますよー」
長門「……」コクリ
鶴屋「朝にゃん、意外と遠いから少し強めに投げてみるといいっさ!」
朝倉「あ、はい。強め強めに、と……えいっ」ブン!!!
朝倉「あ」
ゴォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
長門「……」バッシィィィイイイイイィィイイン!!!!!!
朝倉「……入った、入りましたよね! これってあれですか? ストライク!?」
鶴屋「す、すごい球投げるっさね朝にゃん、うん、でもあれは紛れもないストライクっさ!!!!」
朝倉「やったぁ!!」
朝比奈「長門さん、て、手大丈夫ですか?」
長門「問題ない」プスプス
朝比奈「ぐ、グローブから煙が……」
キョン「どしたどしたぁ、もう休憩かハルヒ!!」
ハルヒ「こ、このスタミナお化けめ……あたしも相当タフだと自負してたのに……」ハァハァ
キョン「情けないな、どれ、俺が打つのを代わってやろう。次はハルヒが捕れ」
ハルヒ「鬼畜!!!! 今あたし疲れてるの見てそう言ってんの!!?!? だとしたら紛れもなく鬼畜!!!!」
キョン「俺はただハルヒが疲れたから代わってやろうと……」
ハルヒ「なら休ませて!!! 優しさのつもりなら今は放っておいて!!!」ゼェゼェ
キョン「ったく、しょうがねえな」
キョン「おーい、朝倉ぁ」
朝倉「ん? ノックは終わったのキョン君」
キョン「ノッカーがグロッキーなドラッガーになってしまってな」
朝倉「ドラッガーに!!?!?」
ハルヒ「きゃ、脚色すんな!!!」ハァハァ
キョン「な、怪しい息切れを起こしてる」
朝倉「た、確かに」
ハルヒ「お、お願いだからこれ以上訂正のツッコミをさ、せないでくれる!!?!?」ゼェゼェ
キョン「まぁ、ああいう状態だから一旦中断というわけだ」
朝倉「ふーん」
キョン「どうだ朝倉もバット使ってみるか?」
朝倉「ボールを打てばいいの? 簡単そうね」
キョン「ふっふっふ、この大会において未だ防御率0.00の俺の球を打てるとでも?」
朝倉「どれぐらいすごいのか知らないけど……受けてたとうじゃない!」
長門「プレイボール」
ハルヒ「」ゼェゼェ
古泉「(大丈夫でしょうか……)」
鶴屋「キョン君ー! 朝にゃん!! どっちも頑張れー!!」
朝比奈「ふぁ、ファイトぉ!」
古泉「(いつの間にか誰も練習らしい練習をしていませんね)」
古泉「(……まぁ、僕は初めからやってないんですが……)」
古泉「……ははっ」
朝比奈「ひっ」
鶴屋「みくる、怯えちゃだめっさ」
キョン「よし、長門もう肩はあったまった。座ってくれ」パシッ
長門「そう」スッ
キョン「さあ朝倉、見事俺の球を打ち、豪華客船0泊1日の旅の招待券をGETなるかな?」
朝倉「豪華客船を日帰りって意味あるのそれ?? まぁ、とにかく……」
朝倉「二 度 も、キョン君に負けるわけにはいかないわ!」ゴォオ!
朝倉「ここらでリベンジ、させてもらうからね!」
キョン「望むところ!! さあ朝倉打席に―――」
「ちょっと待ったぁ!!!」
キョン「なっ、お前は―――っ!!?」
ハルヒ「代打、あたし!!!!」
キョン「涼宮、ハルヒ――――――ッ!!?!?」
朝倉「……え、なにこの茶番」
古泉「……復活早いですねぇ、上の方ではゼェゼェ言ってたはずなんですが……」
朝比奈「う、上の方……??」
鶴屋「みくる、ダメっさ。彼は今電波を受信しているだけなんだから」
朝比奈「???」
キョン「まさか……『代打、あたし』を言いたいだけのために出てきて……?」
ハルヒ「んなわけあるか!! スタミナ勝負で負けた分、きっちりこの場でお返ししてやるわ!!」
キョン「別に勝負だったつもりはないが……」
ハルヒ「……朝倉さん」
朝倉「えっ、は、はい?」
ハルヒ「キョンにリベンジをしたいのはあなただけじゃないわよ。まずはあたしが、リベンジを果たしてくる!」
ハルヒ「それが、今のあたしに求められるリーダー性なのよっ!!!!」グッ
朝倉「……すごい」
朝倉「(何言ってるのか分からない)」
ハルヒ「リベンジがしたいならまずはベンチであたしのリベンジを見てなさい」
ハルヒ「それで、少しでも参考になればいいのだけど」フフン
キョン「なんだ、ハルヒのやつさっきから朝倉につってかかって……」
キョン「次期クラス委員長の座でも狙ってんのか?」
朝倉「ま、まぁそういうことならお先にどうぞ……」
ハルヒ「フフン、ありがと」
朝倉「(涼宮さんのこのキャラはなんなのかしら?)」
ハルヒ「さっ、キョンいつでもいらっしゃい。あたしの胸を借りるつもりで遠慮なくきなさい」
キョン「エロハルヒ」
ハルヒ「そういう意味じゃないわ!!!」
キョン「さっきからえらい余裕ぶっこきやがって……その余裕、いつまでもつかな?」
ハルヒ「団長たるもの、余裕の一つや二つ持ってなきゃ務まらないわ」ユッサユッサ
ハルヒ「……ん?」
ハルヒ「…………」
ハルヒ「ホントに『余裕』持ってたなんだこれーっ!!?!?!?」
朝倉「よ、余裕をもってる……」
キョン「持たせてみた」
キョン「ウダウダ言ってても始まらん、いくぞ第一球!」ザッ
ハルヒ「来い!」グワッ!
キョン「フン!!」ポイッ!
ハルヒ「はーっはっは!! なによそのボールは!! 大口叩いた割に大したことないじゃない!! 一発でスタンドインよ!!」
朝倉「(投球の間によく喋るなぁ)」
ハルヒ「はーっ!!」ブン!
長門「ストライク」パシッ
ハルヒ「……は? なんで、当たってないの?」
キョン「ハルヒ、俺がなんの変哲もない球を投げると本当に思ってたのか? 思ってたんならおめでたいな」
ハルヒ「なっ……これは……」
ハルヒ「『魔球』!!?」キラキラ
キョン「目をキラキラさせても教えてやらんからな」
ハルヒ「ま、魔球だなんて卑怯な!! あたしの探求心をくすぐる作戦にでるとは……恐るべし!!」ゴクリ
キョン「そこまでは謀ってねーよ、そーれ第二球」ポイッ
ハルヒ「しっかり、見……て?」
長門「ストライク、ツー」
ハルヒ「……魔球の王道、消える魔球……」プルプル
キョン「さーて追い込んだぞ、続く第三球!!」ポイッ
ハルヒ「くっ……次の魔球は……!!?」ポンッ
ハルヒ「!!!?!?」
バーカ
ハルヒ「ッ!!?!?!」ブンッ
長門「ストライク、バッターアウト」
キョン「第三の魔球、喋る魔球だ!」ドーン!
ハルヒ「それ魔球関係ないじゃない!!!! ただの喋るスローボールだったわよ!!?!? いや、それもただのってのはおかしいけども!!!」キーッ!
朝倉「……あっ、かませだったのね、涼宮さん」
ハルヒ「あ˝ぁ!?」
朝倉「なんでもない。あと、女の子がしちゃいけない声と顔してるわよ?」ヒクッ
キョン「さーて本命だ」
ハルヒ「だれが前座だ!!!!」
キョン「分かってんじゃねーか」
ハルヒ「朝倉さん、仇……とって頂戴ね」
朝倉「え、ええ……」
キョン「まだまだ続く俺の魔球劇場、炎上はないぜ!」
朝倉「あたしの一打で終わらせてあげます、不敗神話」
キョン「行くぞっ、第一球!!」ブンッ!
朝倉「当てる当てる……当てる!!」キッ……
キョン「まっがーれ☆」シュルルルルル
古泉「なっ!?」
朝倉「なっ!?」ブン!
長門「ストライク」
キョン「これならただの変化球の内に入るだろ」
朝倉「じょ、冗談じゃないわ……バットに当たってから先端まで滑るように転がって長門さんのミットに入った」
キョン「解説どーも。命名『打たれてからシュート』ギリファウルチップ扱いだな」
キョン「さーて第二球」ポイッ
朝倉「冷静に冷静に……れいせ、い」ブン
朝倉「…………」
朝倉「いつの間にかバットがない!!?!?!?」
長門「ストライク、ツー」
キョン「魔球、『消えるバット』」ドヤッ
朝倉「球関係ないじゃない!!!!!!!!」
キョン「さーて追い込んだぞ、俺の未来には朝倉が三振して第九回アマチュア野球大会優勝までが見えるぞ」
朝倉「早い早い。優勝までの過程がない。まるであたしが敵チームにいるみたいになってるわよ」
キョン「さぁ、止めだ。この球打てなきゃ明日の晩御飯は抜きだぜ」
長門「朝倉涼子、打って、必ず」グッ
朝倉「その脅し文句はキャッチャーに一番効いているんだけど……ていうかキョン君が決めることじゃないし」
キョン「いくぞぉ!! 魔球・改!! ウルトラスーパードメスティックファイブフィンガーマシンガン……」ググッ
朝倉「長い長い、小学生でももっと短いわよ」
キョン「球ぁ!!!!!」ポイッ
朝倉「最後だけ日本語カッコ悪っ!!!」ガーン
朝倉「でも……打つ!!!!」グッ
朝倉「ハァ!!」キィン!!
朝倉「や、やった―――」
キョン「うたれた事象を」
キョン「なかったことにする魔球――――――」
朝倉「―――え?」
長門「……ストライク・ゲームセット」
朝倉「そんな……確かに、打って……」
キョン「俺の最大の魔球だ。別名『ぬか喜び』」
朝倉「…………」
朝倉「だから球関係ないじゃないそれぇ!!!!!! ていうかしょうもないことに変な力つかわないでよ!!!!」
長門「朝倉涼子……あなたには失望した」
キョン「あーあ、長門の晩御飯がー」
朝倉「キョン君のせいでしょ!? ていうか長門さんも食べないつもりなの!!?!?」
ハルヒ「……」ジィ
鶴屋「みーんな、仲いいんだねえハルにゃん?」
ハルヒ「……ま、そうみたいね」
カァーカァー
キョン「おっ、もうこんな時間か……そろそろ帰ろうぜ、ハルヒ、朝倉も」
ハルヒ「ま、まだ……まだ」ゼェゼェ
朝倉「この、ままじゃ……二か月間、長門さんのごはんが……」
キョン「さすがにそんな鬼畜なこと望んでねーよ、てか長門がやばい」
長門「…………」
朝比奈「さ、さっきから長門さん一ミリも動いてないですけど……」
鶴屋「だるまさんがころんだかな?」
キョン「二人して結局俺から無安打、124三振か。残念だなぁ」
ハルヒ・朝倉「「うぐぐ……」」
キョン「まぁ、俺も大人げなかったとはいえ主力がこんなもんじゃ少し物足りないなぁ」
ハルヒ「……朝倉さん」
朝倉「……涼宮さん」
ハルヒ・朝倉・キョン「「「絶対日曜は活躍してキョン(君)を驚かせてやるんだから!!!!」」」
ハルヒ「アンタが言ってどうすんのよ!!!」
キョン「いやぁ、二人共同じこと考えてるって思って、つい……」
朝倉「キョン君、借りが増えたわね」
キョン「どんどん増やしたのは朝倉だけどな」
朝倉「この借りは、必ず……」グッ
キョン「試合で、試合でな? 間違っても俺に返すなよ?? 主に、ナイフとかでな、な??」
朝倉「なによその具体的な忠告は」
キョン「いやぁ、なんとなく」
ハルヒ「えー、ゴホン、みんな今日はもう遅いから解散とするわ!!」
ハルヒ「明日一日ゆっくりして明後日の試合に備えること!! 分かった!!?」
ハルヒ「それじゃあチームSOSファイ!!!」
ハルヒ「オー!!!!」
「「「「「「トーっ!!!!!」」」」」」
ハルヒ「なんでよ!!!?!?」
キョン「やっぱズレてんのはハルヒなんだよ、うん」
ここまでー
投下―
試合当日
ハルヒ「みなさん、おはようございます!! 本日、監督兼主将兼団長を務めさせていただきます、涼宮ハルヒです!」
鶴屋「いよっ、団長殿―!!」
ハルヒ「ありがとう、ありがとう!」
谷口「キョンよ……なんだこの茶番は?」
キョン「まぁそういってくれるな谷山君」
谷口「谷口ですけど??」
キョン「どっちでもいいじゃないか、そんなことは」
キョン「こんなにも麗しい女性達がイルノダカラー」
谷口「どっちでもよくない! よくないが! 確かに、ここの女子は皆レベルが高い!」
国木田「まさか鶴屋さんと知り合いだなんてね、驚いたよ」
谷口「ウチのクラスの朝倉に、学園一ともいわれる朝比奈さん、そして二年でも人気の鶴屋さん!」
谷口「まさに北高のミスコンが今にも始まらんばかりのメンツだな」
キョン「ま、始まるのは野球大会なんだがな」
谷口「もったいねぇ……ここまでの人間よんでおいてやるのが野球だなんてもったいねぇ!!」
国木田「もったいないなら自分で呼べばいいのに」
谷口「毒吐くな国木田ぁ! それが出来たらこんなとこにノコノコでてきやしねぇよ!!」
キョン「情けない宣言だな」
ハルヒ「それじゃあオーダー! 発表するわよ!!」
1番 センター 涼宮ハルヒ
2番 セカンド 古泉一樹
3番 ライト 朝倉涼子
4番 ピッチャー キョン
5番 キャッチャー長門有希
6番 ショート 鶴屋さん
7番 サード 谷口
8番 ファースト 国木田
9番 レフト 朝比奈みくる
ベンチ キョン
ハルヒ「以上!! 本日のオーダーです!」
古泉「二番ですか、頑張らせていただきます」
朝倉「あたし、上の方でいいのかしら? 全然キョン君の球打てなかったけど……」
キョン「俺じゃなきゃ余裕で打てるから安心しろ、なっ、長門?」
長門「……」コクリ
鶴屋「あっはっはー! 頑張るっさ!!」
谷口「国木田よ、気のせいか? キョンの名前が二つある気が……」
国木田「さあ? 分裂でもするんじゃないかな? なんてね」
朝比奈「す、するんです……」ボソッ
ハルヒ「キョン!! このあたしがマウンドと四番の座を譲ってあげた上に徹夜でオーダーまでくんだのよ?」
キョン「おう、割とまともなオーダーで感心したぞ。徹夜は意味わからんが」
ハルヒ「当っ然、勝つためならなんでもするわ! とにかく、あたしが言いたいのは……」
ハルヒ・キョン「「絶対勝つ!!!!!」」
キョン「分かってるさ、8大会連続MVP 8大会連続優勝がかかってるんだからな!!」
朝倉「むしろ第一回大会は誰がMVPだったのよ……」
キョン「第一回大会は俺は運営側だったから出てないぞ」
朝比奈「あぁ……」
古泉「それは9年前のこと……まぁ言うだけ無駄ですか」
ハルヒ「雑念は払え!! 弱者は去れ!! 強者のみが手にする勝利を渇望せよ!!!!」グッ!
朝倉「独裁者みたいなこと言ってるけど大丈夫?」
キョン「んなこと言い出したらいつもあんなもんだろ」
古泉・朝比奈「「あぁ……」」
ハルヒ「く、クジ……引いてきた、わ」プルプル
キョン「悪かったって。いつまでトラウマなんだよ」
ハルヒ「一回戦は上ヶ原パイレーツってとこよ!!」
キョン「上ヶ原パイレーツか……大会の常連、強豪だな」
古泉「しかし、去年の成績が1回戦負けとなっていますが……」
キョン「ああ、初戦が俺のチームだったからな」
キョン「十点差がつけばコールドゲーム。一回20分でコールドゲームだったぞ」
朝倉「どんな方法を……」
古泉「今年もあなたとあたるなんて……無念です」
キョン「いんや、やっこさんらはリベンジに燃えてるようだぜ?」
オォォォオオオオォォオオオオオオオオオオオ!!!!
古泉「…………神人?」
キョン「ちげーよ」
ハルヒ「さぁ一回表あたしたちが専攻よ!! 10点とって裏で試合終わらすわよ!!」
キョン「んな無茶な」
朝倉「一番できそうな人がなに言ってんのよ……」
鶴屋「あっはっはー! その心意気やよし!! お姉さん頑張っちゃうよー!!」
朝比奈「ボールが飛んできませんように、ボールが飛んできませんように……」ブツブツ
長門「不要な心配」
古泉「団長、士気を高める一言を」
ハルヒ「ずぇええええええええったい!!!! 勝つ!!!!!!!!」
「「「「「「「「「おーっ!!!!!!」」」」」」」」」
一回表
ハルヒ「さあ! 先頭打者ホームランよ!!!!」
朝比奈「す、涼宮さん頑張ってぇ!!」
古泉「相手のピッチャー、中々いい球をなげますねぇ」
谷口「ありゃあ130は出てんじゃねーか?」
国木田「さすが強豪だね」
キョン「……まぁでも―――」
キョン「打てない早さじゃない」
カキン!!
谷口「うえぇ!? 打ちやがったぞあの速球を!!」
国木田「長打コースだね、すごいね涼宮さん」
ハルヒ「いよっしゃぁああああああ!!!! 二塁打よっ!! 古泉君!!!」
キョン「古泉ー、無難なことするの得意だろー!」
古泉「もちろん、指示通りに」コツン
鶴屋「送りバント? うまく転がすもんだねっ!」
谷口「これで1アウト3塁、得点のチャンスだな。そして打席には……」
キョン「朝倉、当てにいけよー!」
朝倉「当てにいけって……キョン君の球は当たらないし、当たっても飛ばなかったんだけど……」
朝倉「……とりあえず、振ってみよう」
朝倉「えい」ブォッ!!!!
キョン「あ」
ゴッッ!!!!!!!
パラパラ
朝倉「……」
谷口「あ、あれ? ものすげぇ音がしたけど……ボールはどこだ?」
国木田「見当たらないね」
キョン「そりゃボールは跡形もなくなっちまったんだからな……」
朝倉「……あ、あはは。やりすぎた……」
……ファール
キョン「こぉら大嘘ついてんじゃねーぞ審判!!!」
谷口「てめー見えねえからって適当いってんじゃねーぞ」
国木田「やめなよ谷口、退場くらっちゃうよ」
谷口「俺だけ!!?」
キョン「こうなったら朝倉!! ぐうの音もでないほど完璧なアーチを描いてやれ!! 軽くな軽く!!」
朝倉「よ、よし。軽く軽く……えい」ブン!!
カッキィン!!!!
谷口「いい当たり! だけど……」
国木田「これは……」
ファール!!! ファール!!! ファァァアアアアアアアアアアアル!!!!!
キョン「見りゃ分かんだよ!!! 自信満々にこっち見ながらコールしてんじゃねーぞ!!!」ブーブー
谷口「さっきのコールでも同じ声出してみろよアンパイアぁ!!!」
キョン「谷口、よせ。退場をくらっちまうぞ」
谷口「だから俺だけなの!!? 俺お前の後に加勢してるだけなんだけど!!?!?」
朝倉「追い込まれた……」
キョン「朝倉、もうタイミングはあってるよな?」
朝倉「……ええ、いけるわ。次はスタンドよ!!」ギュッ
古泉「小指をギュッと」
朝比奈「?」
朝倉「さあ、これで……」
朝倉「ホームランよ!!! ッ!!?!?!???」ブン!!
ストライーク!!! バッターアウッ!!!
キョン「なっ、三振……ッ??」
朝倉「ば、バットが……ないっ!?!?」
キョン「ま、まさか相手のピッチャーも……『消えるバット』の……使い手!!?!?」
朝倉「そ、そんな……」
国木田「キョン、その手のバットはなんだい??」
キョン「お、こんなところにバットが……」
朝倉「…………」
朝倉「犯人キョン君じゃないのぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
キョン「いやぁ、追い込まれてるのみるとつい」
朝倉「つい、じゃないわよ!!!!!! 今あたしとキョン君味方だからね!!?!?! ただ自陣の邪魔しただけよキョン君!!!!」
キョン「分かってるさ、安心しろ朝倉。次のバッターは 俺 だぜ?」
朝倉「……」
キョン「先制点はこっちのもんさ」キラッ
朝倉「……自分が打ちたいだけじゃないのぉおおおおおおおおおおお!!!!」
朝倉「汚い! さすがキョン君汚い!! 七大会連続MVPの闇が見えた気がするわ!!!」
ハルヒ「キョン!!!! アンタ何やってんのよマジ!!!!!!」
キョン「さあ、団長殿もうるさいことだし、さっさとベンチに帰還してもらおうか」
キョン「俺のバットでな!」スッ
谷口「なんか……キョンのやつ打ちそうなオーラが半端ないぜ」
朝倉「(……気に入らなーい)」ブスー
朝比奈「キョンくーん!! ファイトー!!」
キョン「生憎、130のストレートとションベンカーブのみのピッチャーなんざ!」
キョン「プロにゃごろごろいるぜっ!!!!」カキン!!!
古泉「何故プロ基準で……ここはアマチュアですよ」
鶴屋「んんっ、大ファールだねっ!! 190mは飛んだね!」
谷口「プロでもそんな飛ばさねーぞ……」
キョン「勇み過ぎたか……だが、次は……先制ツーランだ!!」
朝倉「…………」
キョン「く、だ、け、散れぇええええええええええええええ!!!!?!!????」ブン!!!
古泉「! バットが、ない!??」
キョン「ま、まさか本当に……『消えるバット』使いなのか!?!?」
鶴屋「おんやぁ、朝にゃん、そのバットはなんだい?」
朝倉「……あら?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
キョン「朝、倉……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
朝倉「こんな所にあるわよ、キョン君のバット」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
キョン「お前……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
朝倉「……うふ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ハルヒ「じゃない!!!!! アンタら味方同士でなにやってんのよ!!!!!!!! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴじゃない!!!!!!」
ハルヒ「邪魔し合ってないでさっさと点をとれーっ!!!!!!!!!」ダンダン!
キョン「くそ、まさか敵はチームの中にいたとは……」
古泉「いや本当にまさかなんですけど」
朝倉「キョン君が言うセリフじゃないわよね」
キョン「よし、もうバットは離さん。確実にホームランだ!!」
朝倉「……」
キョン「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」カッキン!!!
ハルヒ「! やった!」
キョン「文句無しだろ!!! 完っ全に柵越え……ぇええええええええええ!?」
シュルルルルルルルルルルル!!!!
谷口「バックスピン!!?!?! 空中からもの凄い勢いで戻ってきやがった!!」
国木田「そしてそのままピッチャーのグローブに。アウトだね」
朝倉「……あらあらついてないわねキョン君」
キョン「いや俺はまだツイてるぞ」チラッ
朝倉「……そういう意味じゃないけど」
キョン「あーさーくーらー? よくもやってくれたなぁ?」
朝倉「お互いさまでしょ?? 得点のチャンスを先に潰したのはキョン君じゃない」
キョン「ほほう、俺に対立すると??」
朝倉「望むところよ、徹底的に邪魔してあげるわ」
キョン「ふっ、朝倉ごときにやられる俺ではな―――」ゴツン!!
キョン「痛い」
ハルヒ「だからアンタらは何やってんのよ!!?!?!?」
ハルヒ「先制のチャンスにトリックショーやってんじゃないわよ!!! てか朝倉さんもそれできたわけね!!! あとで教えてね!!!!!」
朝倉「と、トリック……?」
ハルヒ「アンタ達のせいで先制できなかったんだからキョン!! 先制されたらピッチャーのアンタの責任だからね!!」
キョン「前後の文がかみ合ってないが……俺が失点するとでも??」
朝倉「させてあげましょうか?」
キョン「できるならな」ニヤッ
ハルヒ「だからチームでなにやってんのよアンタら!!!! 敵分かる!!?!? 敵はアッチ!!?!? We are teammate!!!!!」
一回裏
キョン「しまっていこーっ!!」
「「「「「「「おー(!!!)」」」」」」」
キョン「若干一名の声が聞こえんが、いいだろう」
キョン「さぁって、まずは肩慣らし、一回はストレートだけで十分だ」スッ
キョン「そーっれ」ピュッ
ズッッバァァアアアアアアーーーーーーン!!!!!!!!!!
長門「……」シュゥゥウウウウウ……
谷口「ほぇ? 何の音? 花火か?」
朝倉「あの球なら打てるのになぁ……」
キョン「そーら、どんどんいくぞぉ」ピュッ
ズッッバァァアアアアアアーーーーーーン!!!!!!!!!!
長門「……」シュゥゥウウウウウ……
国木田「谷口、分かった。マタギが近くにいて熊を狩ってる時の発砲音だよ」
谷口「あぁなるほど、通りでこんな音が……」
キョン「そーれぃ」
ズッッバァァアアアアアアーーーーーーン!!!!!!!!!!
二回表
長門「……」アウッ!!
鶴屋「そりゃ!」ブン! アウッ!!
谷口「へあっ!」スカ! アウッ!!!
キョン「……古泉、長門がアウッ!! ってリアクションしたと思ったやつ何人いるかな?」
古泉「いませんよ、審判の声ですから……ていうかなんの話ですか?」
ハルヒ「こらーっ!! 点をとらんかーっ!!!!」
キョン「下位打線だし、仕方ないだろ?」
朝倉「そうよ、長門さんとかあまり運動しないし……」
ハルヒ「……そう思うんだったら」
ハルヒ「さっきの回!!! 邪魔し合わないで点とってたらどうなのよ!!!!?!?!?」
キョン・朝倉「「(朝倉)キョン君が悪い」」
ハルヒ「キィー!!!!」
朝比奈「す、涼宮さん落ち着いてぇ!!」
谷口「おいおい、チームワークねぇチームだな」
国木田「和を乱してる谷口が言っても……」
谷口「俺、和を乱すほど馴染んでねぇから」
国木田「あぁ……僕も」
キョン「秘儀、イリュージョン投法!!!」パーラッパラー!!
ハルヒ「効果音が豪華なだけで普通じゃない!!! 効果音はどこから!!?!?!?」
国木田「それっ」ブン! アウッ!!
朝比奈「ひえぇ!」アウッ!!
ハルヒ「そーりゃ!!」ブン!! アウッ!!
ハルヒ「……」
キョン「『消える魔球』か……」
ハルヒ「……手に持ってるボールは何?」
キョン「……おわぁ!?」
ハルヒ「わざとらしい!!!! あたしの邪魔までするなーっ!!!!! てかホントに何がしたいのよアンタ!!!」
キョン「まぁまぁ」
キョン「そんならこっちも『消える魔球』のお返しだ!!」ビュン!!
長門「自作自演」バシッ!!
キョン「ハルヒ!! 仇はとったぞ!!」
ハルヒ「誰から!!?!?! あたしの仇はアンタなんだけど!!?!?」
古泉「おっと」ブン! アウッ!!
朝倉「……はぁーっ!!」ブン!! アウッ!!
朝倉「……」
キョン「朝倉、バット忘れてたぞ」
朝倉「……そう、キョン君も気をつけてね」ゴゴゴゴ
キョン「抜かりはない」
キョン「はーっ!!!!!」ブン!!! アウッ!!
朝倉「……あれー? キョン君」
朝倉「腕、置き忘れてたわよ?????」
キョン「……抜かった!!!!!」
ハルヒ「んなわけあるか!!!!!! 真面目にやれぇえええええええええええ!!!!!!」
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ここまで
投下―
キョン「……なんだかんだ、で最終回~♪」
ハルヒ「なんだかんだでじゃない!!!! 原因ははっきりしてるわよ!!!」
朝倉「涼宮さん、もしよかったら教えてもらえないかしら?」ハテ
ハルヒ「言うまでもなくあんたらよ!!! 自覚ないのが逆におどろくわ!!!」
キョン「まぁまぁ、幸い俺の好投で完全試合中なんだからいいじゃないか」
ハルヒ「0-0だから言ってんのよ!! このまま引き分けで終わったら両者敗退よ!?!??」
キョン「なんと」
朝倉「まぁ」
ハルヒ「だからちょっとは焦りなさいよ!!!!!」
キョン「仕方ない、ならこの最終回、本気で行くか!!!」
ハルヒ「遅い!!!!」
朝比奈「ま、前の回はキョン君でアウトだから……」
朝倉「次は長門さんね」
キョン「……よし、長門ガンバレ!!!!」
ハルヒ「既に人任せじゃないの!!!」
長門「……努力する」
朝倉「ああ、長門さん無理しちゃだめよ?? 絶対怪我しないでね??」オロオロ
ハルヒ「お母さんか」
長門「気をつける」コクン
キョン「長門ーっ!! 絶対出塁だぞー!!」
朝倉「ちょっとキョン君!! 長門さんのプレッシャーになるようなこと言わないでくれる!?」
キョン「朝倉が不甲斐ないから長門に頼まなきゃならなくなったんだろ?」
朝倉「それはキョン君が邪魔するからでしょ!? てかキョン君だって活躍してないし!」
キョン「それは朝倉が邪魔するからであって、投手面じゃ俺はパーフェクトだ」
ハルヒ「あーもう身内でもめんな!! ほら今は有希の応援!!!!」
キョン・朝倉「「長門(さん)頑張れー!!」」
ハルヒ「あんたらが頑張ってりゃこんなことには……」イライラ
古泉「す、涼宮さん落ち着いて」
鶴屋「あっはっはー!! 有希っこ! がんばれーっ!!」
長門「……」
ハルヒ「ピッチャー!! もし有希に球がかすりでもしたらそく乱闘よ!! 乱闘パーリィよ!!!」
キョン「ひゃっはーっ!!!! 乱闘だ乱闘だ!!!」
ハルヒ「黙って応援しろ!!」ゴツン
キョン「理不尽な……黙って応援しろとは一体……」
長門「……―――」カキン!
ハルヒ「振った!! 打った!!?」
朝倉「長門さんヒットよ!! すごいわ!!!」
キョン「さすが、俺が育てただけある」
古泉「あなたはどこのどなたなんですか」
朝比奈「だ、打球がとんでもないバウンドしてる……」
ハルヒ「見たか!! これが有希の……トリックプレーよ!!!!」バァーン!!
キョン「ハルヒ、それ意味違う」
ハルヒ「続けーっ!! 鶴屋さんー!!!!!」
鶴屋「あーっはっはーっ!!! あたしに任せとけーッ!!!」
朝比奈「鶴屋さんファイトーッ!!」
国木田「がんばれー」
キョン「鶴屋さんなら打つだろ」ズズッ
ハルヒ「……な、に、アンタは!! お茶のんで、くつろいでんだ!!!」ゴツン!
キョン「いや、鶴屋さんを安心させようと……」
ハルヒ「この状況でそんな態度とるアンタの頭が心配になるわ!!!!」
鶴屋「にょ、にょ、にょっ!! にょっろーん!!!!」カッキーン!!
キョン「ほら、打った」
ハルヒ「ナイス鶴屋さん!! これで1、2塁よ!! 次は……」
谷口「いよっし!! 俺がサヨナラホームランで歩いて帰してやるぜ!!!」
ハルヒ「これでワンナウトか……国木田君にはバントでもしてもらおうかしら」
キョン「いいか、国木田バントはボールさえ見てりゃなんとかなる」
国木田「うん、僕なりに善処してみるよ」
谷口「…………へっ、あーそーかい」
谷口「お約束の打つ前に自動ワンナウトってかい、まぁそんな態度とってられるのも今の内だぜ」
谷口「サヨナラホームランを打った俺を迎える暁には、両手に花で―――」
国木田「谷口、邪魔だよ。アウトになったらすぐどいてよ」
朝倉「いつの間に……」
谷口「はい、すいません」
古泉「本当に自動ワンナウトですね」
国木田「それっ」コツン!
ハルヒ「うまい!! 中々センスあるわねっ!!」
キョン「ああ、国木田も俺が育てた」
朝倉「はいはい、分かった分かった」
古泉「これで2アウト2、3塁。ですが……」
朝比奈「ひっ、こ、こここここでわたしですかぁ!!?!?」
ハルヒ「みくるちゃん、死んでもあたしに回しなさい」
朝比奈「そっ、そんなー!! 無理ですよぉ!!」
ハルヒ「やる前から諦めない!!! やってみないと分かんないでしょ!!」
朝比奈「で、でもぉ……」
キョン「ハルヒ、朝比奈さんが打席に立つ必要はない」
ハルヒ「……!! なるほど、賄賂ね!」ニヤッ
キョン「そう、それが七大会連続MVPの……違う違う」
キョン「というかこのタイミングでどんな発想だよ、恐ろしい。ニヤッじゃねーよ」
ハルヒ「じゃあ打席に立たなくていいってのはどういう意味よ??」
キョン「……」スゥ
キョン・キョン「「代打!! 俺!!!!!!」」バーン!!!
ハルヒ・朝倉「「絶対それが言いたかっただけでしょ!!!!!!!!!!」」
キョン・キョン「「一回言ってみたかったんだよ、これ」」
谷口「……本当に気のせいか?? どうみてもキョンが二人いるような……」
国木田「谷口谷口。イリュージョンだよイリュージョン」
谷口「へぇ、イリュージョン……ってイリュージョンなら納得していいのかこれ!?!?」
キョン「朝比奈さん、あとは俺に任せてください」
朝比奈「キョン君……ありがとう」
キョン「あいつは俺が育てた」
朝倉「むしろキョン君から生まれてるんだけど……」
ハルヒ「キョンー!!! 分かってるわよね!!?!??」
キョン「ああ、お前がサヨナラ打ちたいからって無理にお前に回すようなことはせず、俺のバットで決めてくるぞー!!」
ハルヒ「分かってるならその通りにしてよ!!!!! 最後ぐらいあたしに打たせてよ!!!!!!!」
キョン「へへっ、この絶好の好機、逃がしてなるものか」
キョン「朝倉はもう一人の俺が封じることにより、妨害は不可」
朝倉「……くっ!」
古泉「何故くっ、なんですか。まだ妨害する気だったんですか」
キョン「あとは思う存分……これまでの鬱憤を晴らすだけだ!!!!」グッ
キョン「来い!! 凡P!!!!!!!」
古泉「相手投手になんの恨みが……」
ハルヒ「あたしに回せ―!!!!!」
キョン「キョンキョンディフェンス」キョンキョンキョンキョンキョンキョン!!!!!!
朝倉「くッ!!!!! 単に邪魔!!!!!!!!」
谷口「……最終回だってのになんてバラバラなチームなんだ」
国木田「反乱因子の元に言われても」
谷口「元!!?!? 俺が元祖なのか!!?!?」
キョン「カモンボーイ……」プクーッ
古泉「ガム風船膨らませて挑発……どこのメジャーリーガーですか……」
ハルヒ「打つなーっ!!! 打たずしてあたしに回せーっ!!!!」
キョン「残念だが……これでゲームセッ―――」ドゴッ
キョン「…………」
デッドボール!!
ハルヒ「ッッシ!!! 注文通り!!!!」
キョン「……おい凡P、お前一体誰にボールを当てていると思っているんだぁ?」
朝倉「いいからいいから、よかったじゃない、出塁出来て」ニッコニコ
キョン「その満面の笑みはなんだ。こちとらデッドボールを受けてだな……」
ハルヒ・朝倉「「早く行け(行きなさい)」」
キョン「……はぃ」
朝比奈「キョン君! ごめんなわたしの代わりにデッドボールになっちゃって……」
キョン「……ハッ!! てことは俺が代わりに立たなければ朝比奈さんがデッドボールに??」
キョン「許すまじ……そのような暴挙、アンパイアが許しても、この俺が許さ―――」
ハルヒ・朝倉「「は や く」」
キョン「……代走は……はぃ、すいませんダッシュで行きます。はい」
古泉「心中、お察しします……」
ハルヒ「んっふっふ、きたきたきたきたーっ!!!!!」
ハルヒ「千載一遇の大チャンス!!! このあたしが決めずして誰が決める!!!」
キョン「代打、お―――」ゴツン!!
ハルヒ「いっくわよーっ!!!!」
キョン「」プシュウゥウウウウゥウウ
朝比奈「あ、あわわ……」
ハルヒ「キナイッ!!!!!」
谷口「なんだ今の奇声は……?」
朝比奈「涼宮さんファイト―!!!」
古泉「頑張ってください、涼宮さん」
鶴屋「ハルにゃーん!! あたしを歩いて帰しておくれ―っ!!」
ハルヒ「任せなさい!!! ホームラン打ってあたしが誰よりも早く帰ってみせるわ!!!」
キョン「普通にアウトだからそれ」
朝倉「……それで、キョン君の目にはもう結果が見えてるの?」
キョン「……結果? んなもん、試合始まった時点から見えていたさ」
ハルヒ「……」グッ!
朝比奈「涼宮さーん!!!!」
谷口「一発かましてやれーっ!!」
国木田「がんばれー!」
キョン「……」
キョン「さっさと決めてこい!!! ハルヒーっ!!!」
ハルヒ「言われなくてもーっ!!!!!!」グググッ!!!
ハルヒ「決めてやるわよっ!!!!!!」ガッ!!
カッキィィィイイイイイイッィィイィイイイィイン!!!!!!
ハルヒ「…………」
キョン「で、見事なサヨナラホームランだったわけだが」
長門「……」
鶴屋「いやーまさか本当に抜かされるとはビックリっさ!!」
ハルヒ「……でしょ??」
キョン「でしょじゃねーっ!!!! アウトになるっつたろうが!!!! 何マジで走ってんだ!?!? フラグ回収はえーよ!!!!!」
キョン「アホなのか!!? せっかくのホームラン台無しにするアホなのかお前は!!?!?」
ハルヒ「……黙って聞いてれば」
ハルヒ「そもそもアンタが朝倉さんとバカなことやってなきゃコールドゲームだってできたんじゃないの!!?!?」
朝倉「ちょっと涼宮さん! あたしはただキョン君に妨害された被害者よ!!」
キョン「よく言うぜ! しまいにゃ『消えるキョン君』とか言って火星にまで飛ばしたくせによ!!」
古泉「帰ってこれるあなただからこそなんですが……」
ハルヒ「あーっ!! せっかく勝ててた試合なのに―っ!!!!」
キョン「あーあ、俺の連続V&MVPはここまでか」
朝倉「自業自得よ」
キョン「朝倉だけには言われたくない」
朝倉「だーかーらー元はと言えば―――!」
ハルヒ「いやだからアンタたちが―――!」
キョン「お前らだって―――!」
ギャー! ギャー!!
谷口「なんつう騒がしさだ……いつもこんななのか?」
古泉「いつも、ですが、朝倉さんが加わったことにより少々パワーアップしているようです」
鶴屋「あっはっはーっ!! 楽しそうにょろね! みくるっ、あたし達も混ざってみるかいっ!?」
朝比奈「い、いいですよー! 骨も残らないから……」
鶴屋「骨も!?!? おったまげーっ!!!!」
長門「…………」
古泉「おや、どうかしましたか長門さん」
長門「これ、各チームの登録選手名簿」スッ
古泉「……おや、よく見ると、全チームに彼の、名前…………??」
キョン「今年も優勝とMVPはいただきだな」ニヤッ
ここまで。野球編、完。
ラストはタモさんが出てくるかんじで……
投下―
『キョン、今日は乞巧奠だね』
『きこうでん? ああ、あの中国の行事のことか』
『こっちじゃ七夕なんて言ったりするんだっけか?』
『そう、織女星と牽牛星が天の川を挟み最も輝く日だ』
『お前も中々風流じみたことを言うやつなんだな』
『何を今更。君と初めて会った時から僕は節句や行事に対しては重きを置いているよ』
『それで、今日がその日だからどうしたんだ?』
『心が読める癖に、相も変わらずこういうことに疎い男だね、君は』
『そりゃあな。興味のないことに意欲を注ぐつもりはない』
『くつくつ、実にキョンらしい回答だ』
『まぁそれでも今日ぐらいは僕の余興に付き合ってもらおうか』
『なんだ? 織女星と牽牛星に成り代わって願いを叶える仕事でもするのか?』
『まさか、彼らから一年に一度の仕事を奪ったりはしないよ』
『逢瀬に仕事を押し付けられるやつらにとっては、願ってもないことだと思うんだがな』
『とにかく、今日ぐらいは世に習って僕達も願い事をしようじゃないか』
『遠い遠い、銀河の双星にね』
『自分で叶えた方が早かろうに』
『キョン、あまり女性の提案を無下にするものじゃないよ』
『はいはい、分かりましたよっと。顔も知らぬ連中に己の願いを託すなんて気が知れんが』
『そう言わない。行事とは雰囲気を楽しむものなのだからね』
『愚痴を言ってちゃ、せっかくの七夕が台無しだろう?』
『分かったって、【この先、精々俺を楽しませてくれるようなやつが現れますように】これでいいだろ?』
『…………僕では不満なのかい?』
『いやそうじゃなくて……どうすりゃいいんだ……』
キョン「―――……」
ハルヒ「ちょっとキョン!! 今の話ちゃんと聞いてた!?」
キョン「ん、ああすまん。少し考え事をして七夕の願いを短冊に吊るすってことを聞き逃しちまった」
キョン「もっかい言ってくれ」
ハルヒ「言う必要がない!!!!」
古泉「願い事ですか」
朝比奈「うーん……なにをお願いしようかな……」
ハルヒ「みんないい!? 神様にお願いが届くのは16年後と25年後だからね!! その時の自分にあった願いをするのよ!!」
キョン「なるほど……【生きてますように】……っと」
ハルヒ「重い!!!! しかも最低でも16年間は自力で生きなきゃダメじゃない!! もうそれは今が切羽詰まった人の願いだから!!!」
長門「【ごはん】」
ハルヒ「単語ッ!!!!! さすがの神様も察せない!!!! ごはんをどうしたらいいのか分からない!!!」
朝比奈「【お裁縫がうまくなりますように】」
ハルヒ「……みくるちゃん!!!」
朝比奈「は、はいぃ!!」
ハルヒ「それでいいのよ」ヨシヨシ
朝比奈「あ、は、はい」
古泉「【家内安全】」
ハルヒ「うん、実に古泉君らしいお願い事だわっ!」
古泉「ありがとうございます」
キョン「【空を自由に飛びたいな】」
ハルヒ「それはもう実現済み!!?!??!? あんたは自分でできるでしょ!!!!!」
長門「【はい、タケコプター】」
ハルヒ「短冊で会話すんな!!!!!!!」
キョン「人の短冊にツッコミ入れてないで自分のを書いたらどうだ【お嫁さんになりたい!】」
ハルヒ「すでにアンタがツッコミ待ちの短冊見せつけてきてんじゃないの!!!! 小学生女子の願い事か!!!!」
朝比奈「えっ!? 【お嫁さんになれますように】」
キョン・ハルヒ「「(朝比奈さんは)みくるちゃんはそれでいい(んです)」」
朝比奈「え、えぇえぇええええ!!?」
ハルヒ「まったく、キョンにはみくるちゃんのような純粋さが足りないわ!」
キョン「だったらその純粋さとやらをお前はもってるのか?」
ハルヒ「あたりまえじゃない!! 誰よりも真摯な願い事をする自信があるわ!」ピラッ
ハルヒ「【世界をあたし中心に回して!】」
キョン「なにが真摯だ! 自己中心的すぎるだろ!! 間違ってないが!!」
古泉「……」コクリ
キョン「なんだ急に、長門リスペクトか?」
古泉「いえ……」
長門「【……】」
ハルヒ「あたしは大真面目に願い事をお願いしてるの!! その気持ちなら誰にも負けないわ!!!」
キョン「馬鹿言え、真面目に言って良い事と悪い事があるだろうが」
長門「【ある】」
ハルヒ「有希?? それホワイトボードかなんかと勘違いしてない?? さっきから」
長門「【ホワイトボードがほしい】」
ハルヒ・朝比奈「「欲しかったんだ!!!!!」」ガーン!
キョン「それにしても【そう言えば今朝鍵締めたっけ……?】」
キョン「往きに16年かかるなら復路にも16年かかって32年後に願いが叶うんじゃないか?」
ハルヒ「うん、それについては神様がなんとかしてくれるとして……」
ハルヒ「あの……さっきからキョンと有希の心の声が短冊に反映されてるような気がするんだけど……」
キョン「まっさかぁ【あれ? 顔洗ったあと水道止めたっけ?」
長門「そんなはずはない【ごはん】」
ハルヒ「うん普段二人共なに考えてるか分かりにくい分、今すっごい分かりやすい」
ハルヒ「ていうか案外キョンは不安事を抱えていたのね、顔には出さないだけで……」
キョン「別に不安に思ってることなんてないぞ? 【……鍵、大丈夫か??】」
ハルヒ「めっちゃ心配してるじゃないのぉおおおおおおおおお!!!!!!」
ハルヒ「すっごい鍵のこと心配してる!!!! めちゃくちゃ心の中では家帰って確認したがってる!!!!」
キョン「そ、そんなことはないぞ」アセアセ
ハルヒ「ここぞとばかりに焦ってんじゃないの!!! どんな仕組みで短冊に反映されんのよ!!!!」
朝比奈「あ、長門さん……」
長門「何? 【家……鍵……】」
朝比奈「い、いえ……なんでも」
古泉「異空間化された空間……とでもいいましょうか? 【あー帰って寝たい】」
ハルヒ「古、泉……君??」
古泉「ち、違います!!!! これは絶対、確実に彼の仕業!! 彼の仕業です!!! 断じてこのようなことを望んでるわけじゃ……」
キョン「その割には随分と慌てているようだが? 【しめしめ、古泉をはめてやったぞぉ!】」
古泉「あなたのせいです!!!! というかあなたの心の声もダダ漏れで犯人が自己申告してる状態ですから!!!」
長門「……【ユニーク】」
朝比奈「(い、言えばいいのに……」
ハルヒ「七夕……七夕かぁ」
古泉「何か、思い当たる節でも?」
ハルヒ「……大したことじゃないけど、まぁちょっとね」
朝比奈「…………」
ハルヒ「んー16年、16年かぁ……長いなぁ」
キョン「そうか? あっと言う間だぞ、16年なんて」
キョン「30分の深夜アニメを28万回ちょっと見るだけだぞ??」
古泉「何故そのような例えを……逆に長く感じてしまいますよ」
長門「3分でできる深夜に食べるカップ麺を280万回作れるだけ」
古泉「ですから……というかそれは深夜でなくてもいいのでは?」
ハルヒ「……んーよし! 願い事も書いたことだし、今日はこれで解散!!」
キョン「もう解散なのか?? 【よし、今日は早い!! さっさと帰ってパーリィだ!!】」
ハルヒ「頭の中がパーリィしてるやつもいることだし、ちょうどいいでしょ!」
ハルヒ「それじゃ! また明日ねー!!」バタン
古泉「それでは、僕もこれで【ひゃっはー!! 帰ってレッツ―――」
古泉「やめてください」
キョン「おーまた明日なー」
古泉「……では」バタン
キョン「……さて」
朝比奈「……」ソワソワ
キョン「……長門」
長門「……【何?】」
キョン「……俺達を頼むぞ」
長門「承知した【――――――】」スッ
キョン「おう、ありがたくもらっとくぜ」
長門「……」バタン
キョン「……ええっと、朝比奈さん」
朝比奈「……過去に、行きます」
キョン「……はい」
朝比奈「分かって、ましたよね? キョン君なら」
キョン「ええ、まぁ」
朝比奈「あたし、以前キョン君が涼宮さんと会ったという記録があるってことを知りました」
キョン「はい」
朝比奈「それを……その事実を今から作りに行く、はずです」
キョン「はずです、とは?」
朝比奈「その、わたしは下っ端の末端の……研修生みたいなものだから……」
朝比奈「ただのわたしの予測でしか言えないってことなの……」
キョン「なるほど、ならこれから具体的に何をしに過去に行くのかも分かっていない、と?」
朝比奈「……ごめんなさい、わたしなにも……」
キョン「朝比奈さんが謝ることじゃありません。適格な指示をださない上の連中が悪いんです」
キョン「まぁ、今分からないなら……行って分かることなんでしょう」
朝比奈「それは……多分……」
キョン「なら行くしかないですよ、さぁTPDDの準備を……あ」
朝比奈「……本当に何でも知ってるんですね、キョン君は」クスッ
キョン「あ、ATPX4869の準備を……」
朝比奈「……確かに、行くのは過去ですけど……小さくなる必要はないです」
キョン「すいません、間違えました【…………鍵】」
朝比奈「あ、あのぅ一旦キョン君の家に行って鍵の確認をしても!!」
キョン「い、いいんですよ! さぁ! Time Plane Destroyed Deviceの準備を!!」
朝比奈「ついにフルネームで言った!!! 禁則事項は!!?!?」ガーン!!!
朝比奈「それじゃあ……いきます!」
キョン「その前に、朝比奈さん一ついいですか?」
朝比奈「はぇ? な、なんですか??」
キョン「TPDDをうまく利用するコツは時間平面理論を頭に思い描くこと」
朝比奈「???」
キョン「水面の波紋は時間跳躍に似ているところがあるのは知っていますよね?」
キョン「イメージが大切なんです。時間平面に水滴を垂らすような……」
キョン「それが、負荷を掛けない安全なTPDDの使用方法です」
朝比奈「…………」ポカーン
キョン「あ、さすがにTPDDの発明者とかじゃありませんよ?? 俺には必要ないものですから」
朝比奈「……い、いえ。でも、やっぱりびっくりして……」
キョン「俺に負荷が掛かることを心配してくれてるみたいだったんで……ちょっとしたアドバイスです」
朝比奈「わたし、そんな不安そうな顔してましたか……?」
キョン「いえ、そこに書いてありましたから」
朝比奈「?」
朝比奈「【時間跳躍がうまくいきますように】」
朝比奈「……もう!」
キョン「ははっ、冗談ですよ。俺のことは気にせず思いっきりやっちゃて下さい」
朝比奈「スー、ハー……はい! いきます!」
キョン「(久しぶりだな……TPDDで時間跳躍ってのも……)」
キョン「(……三年前、か)」
ここまで
投下―
朝比奈「―――ふぇ??」
キョン「おはようございます、朝比奈さん。ちょうど膝が痺れてきたところです」
朝比奈「えっ、えっ、わひゃぁあああ!! ご、ごめんなさい!!!」バッ!!
キョン「いやあ、カワイイ寝顔が見れたんでいいんですけどね」
朝比奈「で、でもわたしなんで寝て……むしろキョン君はなんで起きて……」
キョン「あー俺が寝ててもよかったんですが……」
キョン「時間跳躍中にバグを発見しちゃいまして、放置しておくと二人共時間の断絶に落っこちてしまいそうだったんで……」
朝比奈「…………ぇええええええええええ!!?!?!?」
キョン「まぁ、そういうわけで途中からは俺が時間跳躍をやってたってわけです」
キョン「申し訳ないと思いながら時間酔いしちゃうかもしれないので朝比奈さんには眠っててもらいましたが……」
朝比奈「そ、それは全然いいんですけど……わたし、全然バグに気付かなかった……」
キョン「まず普通の時間跳躍じゃ見つかりません。というより普通じゃ対処ができないので」
朝比奈「……もしかしてキョン君がキョン君じゃなかったらわたし達、とんでもないことになってました?」
キョン「ええ、えらくとんでもないことになってました」
朝比奈「……ふ、ふぇええええええええええええ」
キョン「ああ、安心したのは分かりますが泣かないで……」
朝比奈「ひっく、スン、ご、ごめんなさい……」
キョン「まぁ、無事に三年前に来れてよかったというわけで」
朝比奈「スス、ありがとうキョン君……」
キョン「いえいえ」
朝比奈「そ、それでこれからなんですが……実は……」
キョン「ええ、南に下って公立中学前にいるアホな子供に協力するんでしたよね?」
朝比奈「え? え? な、なんですかそれ??」
キョン「なんですか、って朝比奈さんが言ったことですよ? ねぇ、朝比奈さーん!?」
ビックゥ!!
朝比奈「な、なんでそんな大声で……」ビクビク
キョン「すいません。まぁ、とにかく、できることも限られてますし、その通り動いてみましょう」
朝比奈「は、はい……公立中学校ですね」
キョン「ええ、もっと言えば不法侵入の中学生を注意しにいくとか」
朝比奈「……全然覚えがないです」
キョン「まぁ、行ってみれば分かるでしょう」
キョン「それじゃ行きましょう」チラッ
朝比奈「? なにか見えましたか??」
キョン「……いえ、俺の目には朝比奈さんしか映ってませんよ」
朝比奈「ふぇ!? どどど、どういう意味ですかぁ!!?!?」
キョン「……えーっと……そのままの意味? です」
朝比奈「え、えぇええぇええぇええ!!?!?」
朝比奈(大)「……本当にそのままの意味でしたね……キョン君のバカ」
キョン「すいません」
朝比奈(大)「ッ!!?!?!?!??!?」ビックゥ!!!!!!!
キョン「さすがに三年前程度じゃここらの景観もなんら変わりませんね」
朝比奈「そうですね、チラチラと見覚えがあるものが……」キョロキョロ
ハルヒ「……」ヨジヨジ
朝比奈「……見覚えのある人が!!?!?!?」ガーン!!
キョン「なにやってんだの不良娘め」
ハルヒ「なにって、不法侵入よ!! みりゃわかるでしょ!!」
キョン「通報するぞ?」
ハルヒ「権力に屈しないわ」
キョン「かわいげのねぇガキだな」
ハルヒ「べー!!」
朝比奈「(……ちっちゃい涼宮さん、かわいい)」
ハルヒ「今門登ってんだから話しかけないでよ」
キョン「そんなことしなくても開いてるぞ」ガラッ
ハルヒ「えっ!? 嘘、ちょ、今門上って―――きゃっ!!」トスッ
キョン「重い」ポスッ
ハルヒ「……失礼ね!」ポカ
キョン「痛い、せっかくキャッチしてやったのに」
ハルヒ「落としたのもアンタでしょうが!!!」
朝比奈「……ハッ!! 危ない危ない、違う次元を超えてしまいそうでした……」
キョン「なにやってるんですか朝比奈さん……」
ハルヒ「おっかしいわね、今日に限って警備のおっちゃんが閉め忘れてたのかしら?」
キョン「で、お前は夜の学校に侵入してなにをするつもりだったんだ?」
ハルヒ「宇宙人にメッセージを書くの!!」
キョン「アホなのか?」
ハルヒ「至って真面目よ!!」
ハルヒ「ちょうどいい労働力も手に入ったことだし、予定より早く終わりそうね!」
朝比奈「ちょ、ちょうどいい労働力って……」
キョン「俺たちのことか?」
ハルヒ「それ以外誰かいるの?」
キョン「110番すればあるいは」
ハルヒ「それは労働力じゃなくて権力だってば!!! 言っとくけど、アンタたちも共犯だからね」
キョン「お、俺達は脅されてやっただけだぁ!!」ビクビク
ハルヒ「丸腰の女子中学生に脅される男がどこにいんのよ!! ていうか門あけた実行犯はアンタでしょ!!!」
朝比奈「(こ、この頃から涼宮さんはキョン君に対しこういうスタンスなんだ……)」
ハルヒ「見て、夕方に倉庫から出して隠しておいたの」
キョン「これで校庭になんか書くのか?」
ハルヒ「そ! アンタあたしの指示する通りに動きなさい!」
キョン「えー……」
朝比奈「あ、あのぅわたしは……」
ハルヒ「……見てて!!」
朝比奈「は、はい……」
ハルヒ「だからもっと右だってば!!!」
キョン「ヨ―ソロー!!」ガラガラ
ハルヒ「そっち左!! お茶碗持つ手じゃなくてお箸持つ手だってば!!」
キョン「それは左利きの人を軽視した発言とみていいのか??」ピタッ
ハルヒ「面倒くさい!! アンタ面倒くさい!!! いいから言われたとおりに線引きなさい!!」
キョン「へいへい」ガラガラ
ハルヒ「そうそう、やればでき……てない!!! いくら不器用でもここまで酷くはならないわよ!!?!?」
キョン「芸術ってのはいつの世も理解されないものさ……」
ハルヒ「芸術性なんて求めてないわよ!!! あたしは宇宙人と交信したいだけなの!!!!」
キョン「なんだよ、それならあのマンションの―――」
朝比奈「キョン君!! それは禁則事項ですって!!!」
キョン「あ、すいません」
ハルヒ「ほら! 手が止まってる!!! 動け動けぇ!!!!」
キョン「ほら、お前も指示が止まってるぞ、喋れ喋れぇ!!!」
ハルヒ「口が開きっぱなしよ!!! 二つの意味で!!!! 指示通り動かないアンタが悪いんでしょうが!!!」
キョン「うるせえ!! この時間に大声出すんじゃねえ!! 近隣の方の迷惑考えろ!!!!!!」
ハルヒ「間違いなく今一番うるさいのアンタだから!!!!!!」
朝比奈「あ、あのもうすこし静かにした方がいいんじゃ……」
キョン「だぞ」
ハルヒ「アンタのことよ!!!」
キョン「……で、これでいいのか?」
ハルヒ「誰かさんのせいで想定時間余裕でオーバーしちゃったけど」
ハルヒ「まぁ、こんなもんでしょ、うん」
キョン「そこは妥協するのかよ」
朝比奈「(なんて書いてあるんだろう……)」
ハルヒ「ねぇ、アンタ。宇宙人っていると思う」
キョン「だからあのマンショ―――」
朝比奈「キョン君」
キョン「さあ、いるんじゃねーの」
ハルヒ「未来人は?」
キョン「ここに」
ハルヒ「?」
朝比奈「……」
ハルヒ「……じゃ超能力者は?」
キョン「吐いて捨てるほどいるだろ」
朝比奈「その表現は大分失礼のような……」
キョン「大丈夫、古泉当てですから」ニコッ
朝比奈「それが失礼だと……」
ハルヒ「じゃあじゃあ、異世界人は??」
キョン「いるよ、きっといる」
ハルヒ「なんで根拠もなしにそんな自信があるのよ」
キョン「自分がちっぽけに感じる程この世は広いんだ。宇宙人や未来人、超能力者に異世界人」
キョン「そんぐらい、いたって普通だと思うだろ?」
ハルヒ「……ふーん」
ハルヒ「まぁ、なんでもいいわ」
キョン「いいのかよ」
ハルヒ「その制服、北高よね」
キョン「おう、我が愛する北高がどうかしたか?」
朝比奈「(そんな愛校者でしたっけ??)」
ハルヒ「別に。アンタ名前は??」
キョン「別に、名乗るほどのもんじゃありません」フッ
ハルヒ「そういうのいいから」
キョン「じゃ、ジョン・スミスっつぅことで」
ハルヒ「なにそれ、バカみたい」
キョン「匿名希望だ。情報社会怖い」
ハルヒ「あなたの名前は??」
朝比奈「ふぇ!? わ、わた、わたし、ですかぁ!?!?」
朝比奈「え、えーっとぉ……ミラ・スミスです!!」
ハルヒ「……兄妹なの?」
キョン「婚約者だ」キリッ
朝比奈「ふぇぇええぇえぇえええええ!!?!?!?!?」
ハルヒ「……まぁ、どうだっていいんだけど」
キョン「それで、このメッセージは宇宙人もとい、織姫と彦星にゃ届きそうか?」
ハルヒ「……なんで分かったの?」
キョン「なんとなく。メンタリズムってやつだよ」
ハルヒ「……七夕だからでしょ」
キョン「あたり。さてはお前もメンタリストか!?」
ハルヒ「……バッカみたい」クスッ
ハルヒ「帰る」
キョン「じゃあお邪魔します」
ハルヒ「なんでついてこようとしてんのよ」
キョン「そういう流れかと……『突撃! 不良娘ん家!!』的な」
ハルヒ「どんな流れだ!!! バカ言ってないでアンタらもさっさと帰れば?」
キョン「言われんでも、てか拘束してたやつが言うセリフかそれ」
ハルヒ「拘束だなんて人聞き悪い、合意の上の共同作業よ」
キョン「そうだったっけ?」
ハルヒ「そういうことにしましょ、それじゃ―――」
キョン「……いつの時代でも無礼な奴」
朝比奈「涼宮さんらしいと言えばらしいです」
キョン「まぁ、確かに」
朝比奈「それにしても……キョン君」
朝比奈「どうして涼宮さんにキョン君の~トリック?? 見せてあげなかったんですか??」
朝比奈「あれを見せてれば宇宙人や未来人がいる証拠になったかもしれないのに……」
キョン「トリック……まぁそうですね」
キョン「今はまだ、涼宮ハルヒが動くときじゃない。それは三年後までおあずけです」
キョン「それに、今見せたところで……きっと、またトリックって言われるだけですから」
朝比奈「トリックですよね??」
キョン「……」
朝比奈「え?? トリックですよね????」
キョン「……はぃ。時間跳躍も空を飛んだりするのも全部トリックです。はぃ」
キョン「さて、これでミッションコンプリートなわけですが」
朝比奈「そ、そうなんですか??」
キョン「そうなんです、朝比奈さんの言ったことによると」
朝比奈「言ったかなぁ……?」
キョン「ついでにもう一軒、よってみましょう」
朝比奈「もう一軒??」
キョン「長門ん家」
朝比奈「な、長門さんの家……?」
キョン「恐らく、絶対。長門は家にいます」
朝比奈「あ、会ってどうするの……?」
キョン「……まぁ、どうってことないですが」
キョン「『三年後まで、よろしく』って伝えに行きましょうか」
朝比奈「え?? え???」
キョン「まぁ、頼むって伝えてありますしね」
朝比奈「は、はぁ……」
キョン「取りあえず、向かいましょうか」
キョン「ながとけ! へ!」
朝比奈「は、はい……」
キョン「……その前に校庭の落書き消しに戻ろうかな」
朝比奈「や、やめてあげてください!! な、なんでこんな時にだけ常識があるんですかぁ!!」
キョン「と、向かう前にちょっと寄って行っていいですか?」
朝比奈「え? ここに、ですか??」
キョン「ええ、まぁ……」
キョン「頼まれ事ですよ―――」
キョン「708号室、っと」
朝比奈「何度見てもおっきいマンション……」
キョン「こんなところに一人ぐらしってのも中々いないですよね」
長門『……』
キョン「お、長門か俺だよ、俺」
朝比奈「キョン君、それ詐欺の手口ですよ……」
キョン「ハルヒによく言われます」
キョン「えー三年後からややあってここに来たんだが……」
キョン「長門、頼まれてたもの、買ってきたぞ」
朝比奈「???」
ピーッ
長門『入って』
朝比奈「ほ、本当に開いた……」
キョン「いやー三年後の約束を覚えてるなんてさすが長門だ」
朝比奈「覚えてるというか普通知らないんじゃ……」
キョン「そこら辺は長門パワーでちょちょいのちょいですよ」
朝比奈「…………やっぱりキョン君と長門さんには理解が追いつきません」
キョン「はは、よく言われます」
ピンポーン
キョン「なーがっとさん! あーそーぼー!!」
朝比奈「キョン君、静かに」
キョン「……はい」
長門「……」ガチャ
キョン「おっす長門、俺だよ俺」
長門「……」コクリ
朝比奈「分かるんだ!!」ガーン!
長門「入って」
キョン・朝比奈「「お邪魔します」」
長門「不束者ですが」
キョン「長門それ違う、俺らがいうセリフでもない」
長門「そう」
朝比奈「(あ、長門さんだこの人……)」
朝比奈「……あれ? 長門さんメガネなんてかけてましたっけ??」
キョン「ほんとだ」
長門「似合う?」
朝比奈「いえそうじゃなくて、みたことなかったから……」
長門「ならば不要」パァァアアアアア
朝比奈「あ、消えた」
朝比奈「…………あれ?」
朝比奈「ももも、もしかして未来の長門さんがメガネを掛けてないのってわたしのせい!!?!?」
朝比奈「どどどどうしよう!!!! か、過去を変えちゃったかも……」ブルブル
長門「……安心して」
朝比奈「ふぇ??」
長門「これは既定事項」
朝比奈「…………」
朝比奈「絶対違う!!!!!! でも、そういうことにしておいてください!!!!!」
長門「そう」
キョン「(なんか朝比奈さんの研修生としての一面を見た気がする……)」
キョン「よう」
朝倉「あら?? どちら様??」
朝比奈「ふぇ!!? あ、朝倉さんが、いる??」
朝倉「あら、お二方はあたしのことご存じなの?? どこかで会ったかしら……」
キョン「同期すれば分かる」
朝倉「あら、そんなことまで…………キョン君!!?!?!?」
キョン「お、同期したか」
朝比奈「ど、どういう……」
朝倉「朝比奈先輩も……あなたたちこの時代でなにしたのよ?」
キョン「いやぁ既定事項なもんで」
朝比奈「で、です」
朝倉「そんな軽く言われても……長門さん知ってました?」
長門「知らない。今のわたしは待機モード」
朝倉「ですよね、あたしもそうなんですし」
キョン「まぁまぁ、いいじゃないか、俺は三年後の長門との約束を果たしに来たわけだし」
長門「わたしは、頼まれた」
キョン「おう、俺が頼んだんだ、この――――――」
キョン「おでんの具材で晩御飯を作ってくれってな」ガサッ
朝倉・朝比奈「「…………は?」」
キョン「これ」ピラ
朝比奈「あ、短冊……」
キョン「長門からもらった短冊です」
長門【おでんが食べたい】
朝倉「……これは?」
キョン「長門の願い事」
朝倉「そういうことじゃなくて……いやそういうことなの??」
キョン「ああ、だから俺は三年後から長門におでんを届けに来たわけだ」
キョン「頼み頼まれってやつだな。俺も朝比奈さんもちょうど腹が減ってることだし」
キョン「朝倉、おでんを作ってくれ」
朝倉「え、なんで急にあたし?? 長門さんが作るんじゃないの??」
キョン「バカだなぁ朝倉は」
朝倉「は?」
キョン「冗談だよ、マジで怒らないでくれ」
キョン「俺も長門もお前がいることを見越してのことだったんだぜ?」
キョン「それに面白いだろ? 16年後に叶うはずの願いを3年前に叶えるってのも」
朝倉「できれば3年後に叶えて欲しいんだけど」
キョン「まぁそう言うな、せっかくこの時代に来たんだ。宇宙人も未来人も俺も仲良くおでんを食べようじゃないか」
長門「異議はない」
朝倉「長門さんは食べたいだけでしょ。というかカテゴリー的にキョン君ってありなの??」
キョン「細かいことは気にするな、さぁさ、おでんの準備だ!!」
朝倉「なんでそんなやる気なのよ……」
朝比奈「あっ、わたし何かお手伝いを……」
朝倉「あ、お気になさらず、先輩はお客さんなんで座っててください」
朝比奈「で、でも……」
キョン「そうですよ、朝比奈さん。朝倉がやってくれるらしいので俺達は座ってお茶でも飲んでましょう」
長門「同意」
朝倉「あなたたちはもう少し遠慮というものを知ってもらいたいわ……」
朝比奈「あ、あわわ」
朝倉「はい、お待ちどうさま」コトッ
キョン「おー、こりゃまたうまそうな……でもなんで夏におでん??」
朝倉「キョン君が作れって言うからでしょ!!!!」
キョン「言ったのは長門だぞ」
長門「食べたかった」
朝倉「自由すぎるわよ、あなたたち……」ハァ
朝比奈「あちち……」フーフー
キョン「朝倉は料理もできるのか、本当に万能だな」
朝倉「誉めても何もでないわよ」
長門「おでんはでる」
朝倉「はいはい……」
朝倉「それで、あなたたちは食べたら未来に帰るの?」
朝比奈「あ、はい。一応、この時代でやらなければならないことは終わったみたいなので……」
朝比奈「あとは、TPDDを使って未来に帰るだけです」
キョン「あー……そのことなんですが、朝比奈さん」
キョン「どうやら先ほどのバグが侵攻してるみたいで……」
キョン「TPDDを使っての時間跳躍は、無理みたいです」
朝比奈「…………えぇええええええええええええええええ!!?!?!?」
朝比奈「……と、思ったけどキョン君がいるから大丈夫??」
キョン「え、ええそのとおりなんですが、落ち着くのが早いですね」
朝比奈「頼りになるから……」
朝倉「利便性が半端ないものね、キョン君」
キョン「道具みたいに言うな」
キョン・朝比奈・長門「「「ごちそう様でした」」」
朝倉「お粗末様です」
キョン「さって、それじゃあ……」
キョン「おやすみ」ゴロン
朝倉「帰りなさい」ゴスッ
キョン「痛い、冗談じゃないか……」
長門「……おそらく、時間平面上のバグはあなたたちへの妨害行為だと思われる」
朝倉「(急に真面目モード!?)」ギョッ!
朝比奈「えっ、妨害行為って……わたしたちの既定事項を妨げようとするってことで……」
朝比奈「かっ、過去改変を目論む人たちからの妨害、ってこと……?」
キョン「恐らくはそうでしょうね、そしてもちろんハルヒ絡みでもある」
キョン「俺と朝比奈さんがハルヒに出会うという既定事項を妨げようとする連中……覚えはないか?」
朝倉「さぁ? そんなこと言いだしたら多分山のようにいるわよ」
朝倉「涼宮さんを狙う人、物、組織なんてね」
朝比奈「……でも、時間平面に干渉することができる人たちっていうのは……」
長門「未来人である可能性が高い」
朝比奈「やっぱり……」
長門「しかし、未来人単独での行為とは思いにくい」
キョン「時間平面への空間閉鎖、情報閉鎖の跡が見られた、これは未来人の仕業ではないだろう」
朝倉「てことは……」
長門「未来人と手を組み、涼宮ハルヒを狙う組織が存在する」
朝比奈「…………」
キョン「まぁ、今のSOS団もそんな感じだしな」
朝倉「それで、その妨害してくる相手はどうするの?」
キョン「どうするって、別になにも」
キョン「直接的な被害を受けたわけじゃないし、あっちがなにもしてこない以上こっちから手をだすっていうのはな」
朝倉「……キョン君はいつも後手なのね」
朝倉「それは時に間に合わなくあることだってあるのよ?」
朝倉「今回だって、キョン君じゃなきゃ朝比奈先輩もろとも時間平面の断絶に取り残されたっていうじゃない」
朝比奈「……」
キョン「だが、俺は俺だ。俺だから、後の先がうてる」
キョン「まだ敵対組織と決まったわけじゃないだろ? 友好的な関係が築けるかもしれない」
朝倉「……甘いわよ、キョン君」
朝倉「その甘さ、いつか寝首を掻かれるわよ? あたしとかに」
キョン「俺は甘いだけじゃなく強いからな」
朝倉「……ムカつく」
キョン「さて、いろいろ情報の共有も出来たことだし」
キョン「朝比奈さん、そろそろお暇しましょうか」
朝比奈「あ、はい」
キョン「邪魔したな、長門、朝倉。おでんごちそうさま」
長門「……」コクリ
朝倉「ええ、ええ、早く未来に帰ってくださいな」
キョン「……ま、これで自由に動けるってもんだろ」
朝比奈「……??」
朝倉・長門「「…………」」
キョン「それじゃあ二人共」
キョン「三年後まで、さようなら―――」シュン!!
朝倉「……ふん、どこまで知っているのかしら、あの男」
長門「恐らく、なんでも知っている」
朝倉「全く、その通りなんですけどね」
ピンポーン!
キョン「……」シュン!
朝比奈「あ、こんどは寝なくて大丈夫だったんですね」
キョン「ええ、来た道を戻っただけなんで」
長門「おかえり」
朝比奈「わっひゃぁ!!!! こ、ここ長門さんの家!?」
キョン「あ、座標を設定するのを忘れてました」
朝倉「……三年後から、こんにちは」
キョン「おう、朝倉世話になった」
朝倉「別に、お客さんをもてなすのは礼儀ですから」
キョン「そうだ、長門これ返すぞ」
長門【おでんが食べたい】
キョン「これは笹にでも吊るして織姫と彦星に叶えてもらえ」
長門「そうする」
朝倉「そんな願い事でいいんですか……? もう叶っちゃったやつですし……」
長門「いい」
朝倉「長門さんがいいならいいけど……」
キョン「ま、無事帰ってこれてよかったよかった。朝倉も心配してくれてありがとうな」
朝倉「べっ、別に心配してたわけじゃ……!」
キョン「じゃあ、信頼してくれてありがとう」
朝倉「……うぐぐ」
長門「時間平面上のバグは消失した」
朝倉「一旦手を引いたってトコかしら」
朝比奈「こ、これからも妨害工作みたいなことが起こってくるんでしょうか」
朝倉「ええ、おそらくは……でも」
朝倉「そこの人が、なんとかしてくれるみたいですよ?」
キョン「おう、七夕に誓ってなんとかしてみせるさ」
キョン「いつだって俺はこう言うさ―――」
キョン【みんな仲良く】
ここまで。
多分、笹の葉はこれで終わり。次はミステリック・サイン
同期については補完してくれると助かるで
投下―
古泉「時に、先日の時間跳躍のことですが……」
キョン「なーにが先日の、だ。もう一ヶ月近く前のことだろ、何度も何度も話題に持ってきやがって」
古泉「興味が尽きない分野なんですよ。未だ僕達現代人が持ち合わせぬタイムマシンというものにね」
キョン「時間跳躍のプロセスは一つだけじゃない。TPDDを始め色々と方法があるんだよ」
キョン「興味を持つのがいいが、まだオーパーツに成りかねんタイムマシンの情報はくれてやることはできん」
古泉「残念、もし僕がこのチェスに勝ったら教えていただきたいものですが」
キョン「それは諦めたと解釈してもいいのか?」コトッ
古泉「お好きなように」コトッ
ハルヒ「ちょっとキョン! 手伝いなさい!」
キョン「やれやれ、団長様がお呼びのようだ、ほらチェックメイト」コトッ
古泉「おや、残念」
キョン「なんだよ、騒がしいな」
ハルヒ「あたしが騒がしいのは今に始まったことじゃないでしょ」
キョン「自分で言うな。それと、分かってるんなら開き直んじゃねぇ、」
ハルヒ「これみて」
キョン「なにこれ、SOS団のエンブレム??」
ハルヒ「え、分かるんだ……」
キョン「おい、やめろ。まるで俺が普通の感性とは全く別のものを持ち合わせているかのようじゃないか」
キョン「というかお前は分かってほしくなかったのか? 分かりにくいことを認めてほしかったのか?」
ハルヒ「どっちでもいいわよ」
キョン「いまいましい」
ハルヒ「これをね、SOS団のサイトのトップページに乗せようと思うの」
キョン「SOS団のサイト?? そんなもんがあんのか?」
ハルヒ「あたしが作ったの、暇だからパソコンの授業中にね!」
ハルヒ「したら作った次の日にトップページがウイルスやら広告やらバーナーやら所謂サーバー攻撃? みたいなことされたのよ!」
キョン「サーバー攻撃ではないと思うが」
キョン「そういえば俺も暇だからとあるサイトをクラッキングしてたな、パソコンの授業中」
ハルヒ「……」
ハルヒ「犯人ここにいた!!?!?!?!?!? アンタなんてことしてくれんのよ!!! よりにもよってSOS団を攻撃するなんて!!」
キョン「待て待て、悪意があったわけじゃないんだ。ただ暇つぶしで……」
ハルヒ「そっちの方がタチ悪いわ!! 悪意のない悪は世界をも潰しかねないわ!!!」
キョン「それは意味わからんが……」
ハルヒ「とにかく、そのウイルスやらを取り除く作業をコンピ研に依頼して、終わったからこのエンブレムをトップページに持ってこようとしてるの!」
キョン「ほー、がんばれ」
ハルヒ「アンタが頑張るの!」
キョン「え、俺が??」
ハルヒ「なんのためにアンタを呼んだと思ってるのよ!!」
キョン「自供を促すためかと……」
ハルヒ「やっぱ分かっててサイト潰しにきてんじゃない!!!! この悪魔!!!!」
キョン「ったく、こんな閲覧数が未だ二ケタのサイトの存在意義は果たしてあるのか??」
ハルヒ「その閲覧者確保のための秘策がこのエンブレムなのよ!!」
キョン「このエンブレムにどんな価値があるんだ…………んん?」
ハルヒ「? なによ」
キョン「……いや、なんでもない」
キョン「ほれ、これでいいんだろ?」
ハルヒ「うん! 見栄えがすっごくよくなったと思わない??」
キョン「思わない。そもそもこれはSOS団のなんのサイトなんだ? 活動日誌とかもないようだが……」
ハルヒ「それを考えるのがアンタの仕事でしょ!?」
キョン「確実に団長の仕事だと思うんだが。というか俺はこのサイトの存在すら知らなかったし」
ハルヒ「適当にみくるちゃんの写真でものっけときゃエロ目的のバカで閲覧者は獲得できるかしら?」
キョン「そのバカな閲覧者を獲得したところでSOS団にとってなんのメリットがあるんだ?」
キョン「大方バカな連中にバカなサイトがあるってネットで晒されるだけだぞ」
ハルヒ「知名度アップに繋がるなら問題なし!!」
キョン「大ありだ、朝比奈さんの肖像権はお前のもんじゃない」
ハルヒ「じゃあアンタてっとり早く閲覧者を増やして知名度アップする方法他にあんの!?」
キョン「とりあえず、ありとあらゆるサイトのリンクにこのサイトを紛れ込まして……」
キョン「そうだな……ワンクリックで電話番号、住所を盗み出すプログラムでも組むか」
キョン「長門と一緒にやりゃ3日、いや2日でいけるか」
長門「一日あれば十分」
キョン「心強い」
ハルヒ「アンタ!!! SOS団をなんの犯罪組織だと思ってんのよ!!!!!!!!」
キョン「だが知名度は爆発的に上がるぞ?」
ハルヒ「ものすっごく悪い意味に極振りでしょうが!!!!!!!!」
長門「……」
数日後
キョン「おーっす……って」
ハルヒ「来客中! 静かに!」
キョン「いやうるさいのハルヒなんだが……」
喜緑「……」
キョン「喜緑さんか」
ハルヒ「えっ、お知合い??」
喜緑「えっ、ええ、まぁ……??」
キョン「それで、なんでSOS団という闇の組織にご来客が??」
ハルヒ「誰が闇の組織の団長か!!! 喜緑さんはSOS団に依頼があってきたのよ」
朝比奈「わ、わたしが連れてきました……」
キョン「なんでウチに相談なんです?」
ハルヒ「SOS団のサイトにを見てくれたからよ!! あっこに相談受け付けてますって書いたの!! やっぱりエンブレムの力は偉大ね!」
ハルヒ「あっ、それとキョン!! アンタまたSOS団のサイトにサイバーテロ仕掛けたわね!!!」
キョン「だからそんな大仰なモンじゃ……というか俺は知らんぞそんなこと」
ハルヒ「嘘!! だってまたサイトがおかしくなってるのよ!!!」
キョン「証拠も無しに人を疑うのはよくないぞ」
ハルヒ「だって前科があるもの」
キョン「それはすいません。 で、どんな風におかしく……って今はお客さん優先だな」
ハルヒ「ハッ!!? キョン! お客さんの存在を忘れるとは何事か!!!」
キョン「それお前のことだろ」
ハルヒ「それで、喜緑さん、だっけ? 相談、もとい依頼というのは?」
喜緑「彼を……探して欲しいんです」
キョン「コンピ研の部長を??」
ハルヒ・朝比奈「「そうなの!!?!?」」ガーン!
喜緑「え、ええ、まぁ……」
喜緑「彼がもう何日も学校に来なくて」
ハルヒ「ふむふむ」
喜緑「真面目な彼がテスト期間中に休むとも思えなくて」
ハルヒ「彼のご家族は?」
喜緑「今は一人暮らしをしてるそうです」
ハルヒ「へー」
喜緑「両親は外国にいるそうで」
ハルヒ「それってカナダ?」
喜緑「いえ、ホンジュラスだったと思います」
ハルヒ「へー……ホンジャマカ」
キョン「違う」
喜緑「自宅を訪ねても彼の姿はなくて」
ハルヒ「コミケとか行ってんじゃないの?」ヒソヒソ
キョン「バカ、あれにゃまだ時期的には早いだろ!」ヒソヒソ
ハルヒ「深夜組とか言うじゃない」ヒソヒソ
キョン「にしても早すぎる、むしろこの時期は缶詰になると……」ヒソヒソ
喜緑「あの……」
ハルヒ「はい、分かりました。あなたの彼、コンピ研の部長は無事有明から連れ戻―――」
キョン「違うっての」
ハルヒ「とにかく! この依頼、SOS団が請け負った!!! ということよ!」
喜緑「よ、よろしくお願いします……」
ハルヒ「さて、住所ももらったことだし、さっそく凸するわよ!!」
キョン「言い方」
朝比奈「で、でもあんなに簡単に請けちゃって大丈夫なんですか?」
ハルヒ「大丈夫よ! いざとなったらキョンの分身の片割れを貸せばいいし! なんか似てたわよね、部長氏とキョン」
キョン「お前、部長の顔覚えてないだけだろ」
古泉「というより分身を貸すという発想がそもそもおかしいのでは?」
ハルヒ「どーせ部屋に引きこもって2ヶ月遅れの五月病に罹ってるに違いないわ!!」
キョン「ぶん殴って再起不能にしちまうか」
ハルヒ「さ、さすがにそこまではしないわよ……なに物騒なこと考えてんのよ」
キョン「冗談だよ、ぶん殴るまではマジだけど」
古泉「にしても、相談者が訪れるとは……SOS団の知名度も中々のものに成りましたね」
ハルヒ「でっしょ!? やっぱあのエンブレム効果よ!! あれは幸せをもたらす幸福のエンブレム……!」
キョン「やめろ、そのうちSOS教とかなりそうだからやめとけ」
ハルヒ「パパッとこの事件を解決してバンバン依頼が舞い込んでくるようにするわよ!!!」
キョン「やれやれ……」
古泉「して、部長氏は本当に在宅なのでしょうか」
キョン「ん、ああ、在宅と言うか……Dを一つ失ってるというか……」
古泉・朝比奈「「?」」
長門「……彼は二次元へと飛び立った」
ハルヒ「! やっぱり有明に―――!」
キョン「だから違うって」
ハルヒ「ここね!」
キョン「ふーん、部長氏らしい普通の家だな」
ハルヒ「もっと、こう……宇宙人が生えてそうな家に住んでれば……」
キョン「せめて住んでそうにしろよ、お前の思い描く宇宙人が分からねえよ」
ハルヒ「……居留守」ガチャガチャ
キョン「勝手に決めるな」
ハルヒ「……キョン!!」ピンポーン
キョン「順序が逆だ、ったくこれじゃただの不法侵入だぞ」ガチャ
ハルヒ「さすがマスターキー!! 役に立つわ!!!」
キョン「俺はいつからモノになったんだ」
古泉「正直、そこいらの道具より便利ではありますね」
キョン「よせよ、照れる」
古泉「誉め言葉……なのでしょうか?」
ハルヒ「おじゃましまーす!!! ぶっちょさんいるー!?!?」
キョン「いても怖くて出てきたくないぞ、そんなこと言われたら」
ハルヒ「あっれーいないわね」ガチャ
キョン「なんで冷蔵庫から探すんだよ、霊安室じゃねえんだぞ」
ハルヒ「キョンー、ヒキコモリが有明以外に行きそうな場所知ってる??」
キョン「部屋にいるからヒキコモリなんだ。どっかに行く時点で部長氏はヒキコモリじゃあない」
ハルヒ「じゃ何処に行ったって言うのよ」
キョン「それを探すのがお前の仕事だろ」
ハルヒ「……飽きた」
キョン「……俺も」
古泉「も、もう少し捜索に力を注いであげてください! そうすれば部長氏も報われるはずですから」
朝比奈「ま、まだご存命ですよぉ!!」
長門「……」モグモグ
ハルヒ「こんだけ探してもいないか」
キョン「まだ部屋入って3分しか経ってないぞ」
ハルヒ「3分あればカップラーメンができるのよ!?」
キョン「……だからなんなんだ」
ハルヒ「3分あればこの狭い部屋ぐらい全部探せるわよ」
キョン「まぁ、確かに」
ハルヒ「あーもうキョン! トリックで部長氏をどっかからここに転送してよ!」
キョン「ほらよ」ブォン!
ガオーッ!!!
ハルヒ「…………」
ハルヒ「これは李徴子ではないか!!!!!!!!! じゃないでしょうがぁぁああああああ!!!!」
朝比奈「ととととととと、トラらららららららぁぁあぁあああぁあああ!?!?!?!?」ガクガクブルブル
古泉「危険です!!! すぐに元の居場所へ返してください!!!」
長門「……安全」ナデナデ
ハルヒ「へー思いの外フサフサね……」フサフサ
古泉「意外にも冷静っ!!?!?!?」ガーン!!
キョン「部長氏は残念ながら俺の目が届く範囲にいなかった、グッバイ李徴子」ブォン!
ハルヒ「ああ~、李徴子~~……」
キョン「なんなら孔子でも呼ぶか? 次は」
ハルヒ「おっさんはいらない」
古泉「李徴も元はおっさんですが……」
長門「……ここからでたほうがいい」ボソッ
古泉「僕も、そう思います」
キョン「じゃあそうするか」
古泉「理由をお聞きにならないでも……っと、既知のことでしたね」
キョン「ハルヒ、今日はもう帰るか」
キョン「俺もいざというときのために分身パワー貯えとかなきゃだし」
ハルヒ「え!? 分身ってパワー貯めればできるの!!?!?」ワクワク
キョン「おう、すっごい分のパワーを貯めれば誰でもできるぞ」
ハルヒ「部長氏探してる場合じゃないわ!! 今日は解散!! 明日までにみんな分身覚えてくること!! それじゃ!」バビューン!
キョン「……あいつ、もう今日なにしにきたか忘れてやがるな」
古泉「あなたが魅力的な情報を与えるからですよ」
キョン「あんな大嘘小学生でも信じねーよ」
古泉「実際あなたが分身しているからこそ、情報の信憑性があるのですよ」
朝比奈「……」ムムッ
キョン「……そうみたいだな」
長門「無駄、今すぐやめるべき」
朝比奈「えっ」
キョン「さて、部長氏だが……おっと、こんなことになってんのか」カチカチ
朝比奈「それ、部長さんのパソコン? えっ、なんですかこれ??」
キョン「SOS団のサイトなるものです。尤も、クラッシュしてなにも見えませんが……これが部長失踪の原因です」
朝比奈「……???」
古泉「しかし、間違いなく、この空間にいることは事実でしょう」
朝比奈「えっ、そうなんですかぁ!?」
長門「ここは位相空間化されている。視認はできないが次元断層が存在する」
キョン「っつーわけで、いまから位相違いの空間に部長氏を救出しにいこう」
朝比奈「そんな、簡単に……?」
キョン「時間跳躍よりは、簡単ですよ。長門、待ったなしで頼む」
長門「了解した―――」
キョン「さあ、夏場の虫退治だ―――」
コォォオォォオォォォオオオオオオオォォオオオオオオオオオォォォオオオオォォオオオ
ここまでー
うーん、投下―
朝比奈「―――……ふえっ!!?!?」
朝比奈「こここ、ここどこですかぁ!!?!?」
長門「先ほどの場所と変わらない。位相がずれているだけ」
古泉「しかし、閉鎖空間とはまた違った空間のようですね」
長門「涼宮ハルヒが原因ではないから。彼女はあくまでもトリガーとなっただけ」
古泉「なるほど」
キョン「しっかし、随分と薄気味の悪い空間だな。部長氏もこんなところに閉じ込められてかわいそうに」
朝比奈「そ、その部長さんはどっ、どこに……?」
キョン「……こことかですかね?」ザッザッ
古泉「掘って出てくるものなのですか……?」
長門「男子生徒は直、出現するだろう」
古泉「出現とは……まるで僕達に立ちはだかるような……」
長門「違わない」
古泉「……マジですか?」
長門「マジ」
キョン「えらくマジだ、うん」
朝比奈「ふ、ふぇえ……」
古泉「彼は、この位相空間によって何らかの変化が起きている、ということなんでしょうか?」
長門「恐らく。この位相空間は情報生命体の亜種によるものと推測できる」
長門「男子生徒の脳組織を利用し存在確立を高めようとしている」
朝比奈「……え、と?」
キョン「朝比奈さん、噛み砕いて言うとですね」
キョン「部長氏はもう、感染されたゾンビも同然。つまり、助からないってことです」ニコッ
長門「そう」
朝比奈「えぇえぇえぇぇぇええええええええええええええええええ!!?!?!?!?」
古泉「違います。嘘を言わないでください」
古泉「部長氏の安否は今は不明ですが、この空間を作り出した情報生命体がいる以上」
古泉「寄生先の部長氏の安全は確保されているということです」
朝比奈「よ、よかった」ホッ
キョン「今はな」
朝比奈「!」
古泉「不安を煽らないでください。もしかして部長氏を救出するのが嫌なのですか?」
キョン「嫌でもなければ」
長門「良くもない」
キョン「そう俺達は」
長門「傍観者」
キョン「どうも、異世界タクシーのキョンと」
長門「長門有希」
キョン「でしたー」シュン!!
長門「」シュン!!
古泉「……」
朝比奈「……」
古泉・朝比奈「「意味わからないこと言って戻っていったー!!!?!?!?!?!?!?」」
キョン「冗談だって、部長氏が位相空間でも引きこもって、でてこねえから暇で」
長門「そう」モグモグ
古泉「暇って……長門さん、部長氏の冷蔵庫を勝手に漁るのは控えてあげてください」
長門「善処する」
古泉「できれば了承してほしかったです」
キョン「時に、古泉。変貌した部長氏を元に戻せば、位相空間は破壊されるんだが……」
キョン「さっきも言った通り、その部長氏が見当たらん」
古泉「……と、言いますと?」
キョン「……もう、いっかな?」
古泉「ダメです!!! 何故そう部長氏を見捨てて帰る選択肢が多いんですか!?!?」
キョン「夏バテなんだよー、ほらみろ手しか浮かない」フワフワ
古泉「それであなたの状態が悪いかどうかを判断するのは僕には至難のようです」
キョン「古泉、古泉。ほーるどあっぷ」フワフワ
古泉「……僕はあなたの自由さにホールドアップですよ」ハァ
長門「……古泉一樹」
古泉「はい、長門さん?」
長門「フリーズ」
古泉「……ですから、アメリカンごっこをしている場合では―――」
ドォォォオオォォォォォオオォォォオオン!!!!!!
古泉「……」
長門「動けば、危なかった」
古泉「」
キョン「おっ、本当にフリーズしてるぞ、古泉」バシバシ
朝比奈「そ、そんな叩かなくても……って、なにこれぇぇぇえぇぇええぇええええええええええ!!?!?!?」
長門「遅い」
ギチチチチチチチチチチチチチッ!!!!!
朝比奈「ごっ、ごごごごごごごごごご……ご!?!?! ご!!!!!!!」
キョン「安心してください、ゴキブリなんかじゃありませんよ」
キョン「KA☆MA☆DO☆U☆MAです」
朝比奈「か、かまどーま……」
古泉「……カマドウマ、ですか」ヒリヒリ
キョン「起きたか古泉、頬が赤いぞ」
古泉「ええ、戦闘前に戦闘不能になるところでしたよ、誰かさんのおかげでね」
キョン「礼はあとでいい」
古泉「ええ、お礼参りには必ず」
キョン「怖いな、おい」
長門「男子生徒の畏怖の対象がアレ。今は男子生徒がアレそのもの」
キョン「変貌した部長=カマドウマってことだな」
朝比奈「な、なっ、なんであんな姿に……?」
古泉「この位相空間自体、部長氏のイメージのようなものです。言わば部長氏のイメージしたこの位相に合う、ラスボス、とでもいいましょうか?」
古泉「この空間において、最も強いことを顕示する。つまり、部長氏にとって畏怖の対象であるカマドウマが具現化したのでしょう」
キョン「なんでもいいが、さっさと虫退治して帰ろう」
長門「夕飯のじかん」
古泉「……もう少し、部長氏に興味をもってあげましょう。共にゲーム制作を行った仲と聞きますし」
キョン「安心しろ。生かして帰すだけの義理はある」
古泉・朝比奈「「最低限すぎるっ!!!!!!!」」
キョン「古泉、お前能力を使ってみろ」
古泉「? おや、不完全ながら使用できるようです」ボッ!!
キョン「トリガーとはいえハルヒが関与してる分ぐらいにゃ使用可だな」
長門「位相空間に長く留まるのは危険。空間の一部とされてしまう」
キョン「そりゃあ大変だ。では、朝比奈さん、長門ここは古泉に任せて俺達は―――」
古泉「お待ちを……できれば後方支援にまわってもらいたいのですが……というか前線に行ってください」
キョン「虫相手に俺じゃ役不足だぜ……本当の意味で」ドヤッ
長門「同意」
古泉「……僕程度のレベル、ということですか、あのカマドウマは」
朝比奈「こ、古泉君……頑張って!」
古泉「朝比奈さん……ええ、不肖、古泉一樹、あなたのために頑張らせていただきます」ニコッ
キョン「それ」パチッ
古泉「! うわっ、なんですか? これ」ポスッ
キョン「虫退治に必要なハエ叩きを出してやったぞ、これで―――」
古泉「結構」ポイッ
キョン「あぁ……」
長門「……」
古泉「僕は、朝比奈さんのために、自分の力でカマドウマを倒します!!」
キョン「おー、まぁ頑張り給え」ホッホッホ
長門「死して屍拾うものなし」
古泉「冷たいお二方はもう結構です」
キョン「あらら、ささやき戦術が消費期限切れだ」
古泉「僕相手に行わないでください!!!」
古泉「……行きます!」
朝比奈「……」ゴクリ
キョン「長門、時間大丈夫か?」
長門「あと僅か。古泉一樹が初手を外せば帰宅する」
キョン「帰る準備しとくか」
古泉「なんと緊張感のない……もう少し期待してくださいよ」
キョン「さっさとやれ」
古泉「酷いですね……」
古泉「……ハッ!!」ポイ!!
朝比奈「トス?」
古泉「行きますよ……ッ!!!!」ダッ!
キョン「ふんもっふ!!!!!!!!!」バッシィィィイイイイ!!!!
ドッガァアアアァァァアアアァァアアン!!!!!!!!
古泉「ふんも……えぇぇえええええええ!!?!?? 何故!!?!?!?」ガーン!!!
古泉「ここまできて横取りですか!!?!?」
キョン「古泉まだ仕留め切れていない、次の球だ。球をよこせ」
古泉「まさかのボールボーイ!!?!? せっかく超能力が使えるのに……」
朝比奈「あ、遊んでる場合じゃ……」
長門「辛辣」
古泉「……どうぞ」ボウッ!
キョン「小さいな……でかくして、と」ボウッ!!
古泉「…………」
朝比奈「そんなことできるんだ……古泉君のなのに」
キョン「長門ーっ!! いくぞ!」
長門「……」コクリ
ビョーーーーーーーン!!!!!
朝比奈「飛んだ!!?!?!?」
キョン「空中で仕留める!!」ポイッ
長門「……」トスッ
キョン「第二撃!!! 長門トスからの~セカンド!!!」
キョン「レイド!!!!!!!」バッシイィイィィイイィィイイイィィイン!!!!!!
古泉「ふんもっふ!!!!!!!!!!!!」バッシィィィイイィィィィィイイン!!!!!!!!
朝比奈「ブロックしたぁあああああああ!!?!?!?!?!?」ガーン!!
キョン「古泉! てめぇ……!」
古泉「いつまでも、ボールボーイではありませんよ」
古泉「時として恐ろしいのは、密かに磨かれ続けた牙なのですよ、ボールではなくね」
朝比奈「あのあのあのぉおおお!!!! 上上上です!!!!!」ビシッビシッ!!
長門「(……帰りたい)」
ギョォオオォォォォオオオオオオオオ!!!!
キョン「古泉!! お前が邪魔するから虫が降ってくるじゃないか!!」
古泉「そんなことどうでもいいでしょう。今重要なのは、次のスパイク、誰が撃つ、ということでしょう?」
キョン「……お前、俺と対立する気か??」
古泉「言ったでしょう? いつまでも、ボール提供要員ではない、と」
キョン「……いいだろう。俺がエースってことを身を持って体感させてやろう」
朝比奈「上上上っ!!!!! っていうかいつからバレーボールの話になったんですかぁ!!?!?」
古泉「……望むところです」ボウッ!!
朝比奈「古泉君も雰囲気に流されないでいつもの古泉君に帰ってきてよぉ!!!」
古泉「……ハッ!!」ポイッ
キョン・古泉「「長門(さん)!!!!」
長門「……」トスッ
朝比奈「ていうか滞空時間とんでもなく長いんじゃ……落ちてこない」
キョン・古泉「「おぉおおぉおぉおおおぉぉおおおおおお!!!!!」」
古泉「ンサァードッ!!!! インパクトォオオォオオオオオオオオ!!!!!」ゴウッ!!!
ズドォォォオオオォオオォオオォオオオォオオオン!!!!!!!!
古泉「……勝っ、た」ハァハァ
朝比奈「カマドウマにですよね?」
キョン「……負けた、か」
朝比奈「勝ちましたよね?? まさかバレーの事じゃないですよね??」
キョン「まさか、エースの俺がボールを取られちまうなんてな……古泉」
古泉「……なんでしょう?」
キョン「後は、頼んだ」ポン
古泉「……主将」
朝比奈「あれ? キョン君はいつから主将に?? SOS団は?」
キョン「お前が……次のエースだ!!!」
古泉「……はい!!」
朝比奈「あのぅ……もうさっきの部屋に戻ってますけど……」
長門「位相空間は消滅した」
朝比奈「あっ、部長さんも無事で……」
キョン「なんだか、晴れ晴れしい気分だ。最後にボールボーイに負けて部を去るってのは」
古泉「主将……」
朝比奈「いつまでやってるんですか……っていうかその去り方ありえないぐらい後悔すると思うんですけど……」
長門「早急に帰宅を望む。後始末の準備にかかる」
朝比奈「……バラバラです」
キョン「つまり事の顛末は、高度な情報生命体の亜種とも言える外見KA☆MA☆DO☆U☆MAが」
古泉「涼宮さんが書いたSOS団のエンブレムの持つ膨大な情報量を苗床に、眠りを覚ました、ということなのでしょうか?」
長門「そう。稚拙な情報媒体(ネットワーク)での存在手段はなく眠りについた情報生命体の亜種は、莫大な情報量によって目覚めた」
古泉「とは言ってもあのエンブレムにそのような情報量があるとは思えませんが……」
長門「偶然。涼宮ハルヒの書いたあのエンブレムには四百三十六テラバイトの情報量がある」
古泉「なんと……」
キョン「P○4何台分なのだろうか」
長門「測りしえない情報量」
古泉「さすがは涼宮さんです。天文学的確率をものともしませんね」
キョン「さーてと」カチカチ
朝比奈「? パソコンで何を、やってるんですかぁ?」
キョン「いやぁ、このままだと、カマドウマ君があらゆる情報媒体で増殖しちゃうんで……」
キョン「いっそのこと、もう一回クラッキングして、電脳の海に沈んでもらおうと」
朝比奈「???」
古泉「可能なのですか?」
キョン「このアクセスカウンターを見る限り、ありとあらゆるリンクがあるんだろう。俺が宣伝のためにやろうとしたことまんまだ」
キョン「とりあえず、この元のサイトを閉鎖して……あとは、分散した情報生命体の駆除ってトコだ」
古泉「アクセスカウンター通りなら、およそ3万人もの人があの位相空間に閉じこめられていることになります」
古泉「これは……ちょっとした事件なのでは?」
キョン「実際そんだけの人間が消えりゃちょっとしたですまねーよ」
キョン「幸い、元のあの謎エンブレムの原型を見たのは8人、その内5人は北高生」
キョン「あとは元のデータの一部が破損してエンブレムは莫大な情報量を失ったらしい」
長門「データは故意に破損されている、あなた?」
キョン「なんのことだか」
古泉「……全く、本当にどこまでお見えになっているのでしょう」
キョン「とにかく、面倒くさいがあとの8人を救助に向かわにゃならん」
古泉「そのようで」
キョン「まぁ、今日のところは帰ろう。1日ぐらい失踪日数が伸びたところで変わらんだろう」
朝比奈「そ、それは中々変わるんじゃ……」
キョン「とにかく、今日はもう帰りましょう。明日にはもしかしたら全員帰ってきてるかもしれないですし」
朝比奈「そ、そうなんですかぁ??」
古泉「……了解しました。お気をつけて」
キョン「気をつけて帰るのは朝比奈さんだ」
朝比奈「え、えっと」
古泉「ええ、そうでしたね。僕がお送りします」
キョン「じゃ、俺は長門を送って行く」
古泉「では、行きましょうか。朝比奈さん」
朝比奈「そ、それじゃあ、また明日」
キョン「ええ、また明日」
長門「……」
キョン「……さて、これでハルヒの退屈はまぎれただろうか?」
長門「……興味を引くのは一瞬だった。まだわたしは彼女を理解しきれてない」
キョン「地球上であいつを理解できるのなんざいねえよ。俺でも難しいのに」
長門「わたしは地球外生命体」
キョン「こりゃ一本とられた」
キョン「まぁ、なんだ。今回に限らず、ハルヒの影響で奇奇怪怪なモンが色々と周りに出没している」
長門「……それを人知れず対処しているのは、あなた」
キョン「俺だけじゃない。長門、お前もお前で未然に防いでくれているものがあるだろう?」
長門「あなたがいなければ、わたし一人ではどうにもならなかったこともある」
キョン「俺だってそうさ、長門が気を回してくれるお蔭で余裕ある生活を送れてる」
長門「……」
キョン「わけの分からんものに追いかけまわされたり、悪夢を見ることだってない。至って毎日健康だ」
長門「そう」
キョン「……今回だって、長門は長門なりにハルヒに気をつかったわけだろう?」
長門「……そのような意図ではないかもしれない。目的が観測である以上、手段として使用しただけかもしれない」
キョン「そんなことはない。長門なりに試行錯誤したんだろう、それでいいんだ」
キョン「考えて試して、それえ手ごたえを感じていくんだ。それが成長」
キョン「今回、ハルヒの気を引くことはかなわなかったが、また次があるさ」
長門「……また、事件を持ち込む?」
キョン「ま、それも一つだが……それだけじゃないさ」
キョン「長門が俺たちを事件に呼んだように、俺達がハルヒと一緒に楽しめるような」
キョン「そんな退屈しのぎがあってもいいんじゃないか?」
長門「……」
長門「……今のわたしでは想像も創造もできない」
キョン「いいさ、これからできるようになっていくんだよ」
キョン「理解ってのは知識だけでできることじゃない。体験をもってして初めて理解になるんだ」
キョン「長門にゃまだ体験の方が足りないからな」
長門「あなたは……既に色々体験している」
キョン「……そうでもないさ」
キョン「だから、もっと体験していかなきゃな、ハルヒが巻き起こす不思議な事ってモンにさ」
長門「……そう」
キョン「退屈しないだろ? アイツの周りにいると」
長門「……しない」
キョン「なら、アイツ自信が退屈しないようなことも、おのずと分かってくるもんさ」
長門「そういうもの?」
キョン「そういうもんさ」
長門「……そう」
キョン「……困ったときはお互いさま、ってな」
キョン「さ、俺達も帰るか、夕飯の時間だ、って……」
キョン「あれ? 長門さん??」
長門「帰宅した」
朝倉「えっ!? いつの間に!?」ビクッ
長門「夕飯を所望する」
キョン「部長、見つかったぞ」
ハルヒ「あ、そーなの? よかったわね」
キョン「分身は?」
ハルヒ「できないから飽きた」
キョン「そうか」
ミステリック・サイン 完
ここまでー
次、孤島症候群ー
レスどうもやでー 今日中に投下―
投下―
古泉「それで、実際翌日に行方不明者は全員発見された、と」パチン
キョン「ああ、そうみたいだな」パチン
古泉「結構なことです。まさか本当に翌日に全員が発見されるとは」パチン
キョン「古泉……お前はもう少し空気の読めるやつだと思っていたんだが?」パチン
古泉「称賛しているのですよ。開陳させていただきますと、暗躍なんていうのは僕達機関の役目ですから」パチン
キョン「誰もそんなこと強制してないだろう」パチン
古泉「誰が言わずとも、僕たちがそう感じているのです」
キョン「もの好きなやつらだ。王手、詰みだ」パチン
古泉「おっと、投了ですね。いやはやお強い」
キョン「お前が弱いんだよ、まぁ本気でかかってきても負ける気はないが」
古泉「仰る通りです。ところで……」
古泉「そろそろ、我々機関にも、暗躍する時が来たようです」
キョン「ほー……またどっかの大富豪を持ち出してハルヒの不信感でも買うのか?」
古泉「…………」
キョン「……まぁ、なんでもいいんだが」
古泉「詳細については、涼宮さんから発表があるでしょう」
キョン「SOS団の夏合宿のか?? そこでお前が機関特製ミステリーをやることはハルヒには秘密なのか? お??」
古泉「…………少し、涼宮さんのお気持ちが察せたと思います」
キョン「甘い、その十倍のことをハルヒはやられてるんだぞ」
古泉「……控えてください」
キョン「ったく、長門にしろお前にしろハルヒに気を回し過ぎなんじゃないか?」
キョン「そんなことせずともアイツはある程度満たされた日常を満喫してると思うぞ?」
古泉「そのようで。しかし、イベント事を持ち込むというのは団員の使命でもあります」
キョン「いつからSOS団はそんな組織になったんだ?」
古泉「初めからでしょう。SOS団は不思議を探すことを至上主義としてますから」
キョン「タネがわかっている不思議は不思議じゃないぞ」
古泉「……あなたに感ずかれるのはもはや防ぎようのない予定調和ですから」
古泉「どうです? あなたも一枚噛んでみますか? 機関特製ミステリーに」
キョン「合宿にミステリーね、大体オチは予想できるが……ふむ」
古泉「どうなさいました?」
キョン「俺が協力するのはやぶさかではないが、その理屈だとハルヒの代わりに長門が退屈しちまうな」
キョン「あいつも俺と同じくなんでも知ってるだろうからな。茶番を見せつけてやるのはかわいそうだ」
古泉「では、長門さんにも一声かけてみましょう」
キョン「となると、朝比奈さんもだよな?」
古泉「え?」
キョン「え?」
キョン「おいおい、まさか異能人トリオ、いやカルティットである俺達から朝比奈さんだけハブってのはおかしいだろ」
古泉「しかし、そうすると涼宮さんだけがなにも事情を知らないことになってしまいますが……」
キョン「構いやしねえよ。元々、ハルヒのために用意した作戦なんだろ?」
キョン「思う存分ハルヒだけを楽しませる計画にでもしてやればいい」ニヤァアア
古泉「……笑みに明確な悪意が感じられます」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハルヒ「というわけで! SOS団夏合宿は古泉君のツテで無人島での合宿となります!!」
朝比奈「わ、わーい」パチパチ
キョン「その名よろしく、無人島でSOSすることにならなければいいがな」
ハルヒ「その時は団長兼"名探偵"であるあたしが! 事件を解いてあげるわよ!! ていうか事件起こるでしょ! 絶対!!」
キョン「なんの根拠があるんだか……」
朝比奈「あ、あのぅ、合宿の目的って一体なんですか?」
ハルヒ「そりゃあ事件解決よ!!」
朝比奈「な、なんの?」
ハルヒ「無人島で起きるであろう事件よ!!!」
キョン「まだ起きてねえのかよ」
ハルヒ「無人島と言えばクローズドサークルよ!! 絶対なにか起きるわよ!」
朝比奈「く、くろーずど?」
古泉「クローズドサークル。外部との直接的な接触を絶たれた状態を意味します」
ハルヒ「わくわくしちゃうわね!! 恐らくそんな状況一生一度あるかないかよ!!」
キョン「精々無事平穏に終わることを願おうじゃないか」
ハルヒ「つまらないわよそんなの!! 何か起きる方が絶対に面白いじゃない!!」
キョン「ああ、まぁ……お前にとっては忘れられない合宿になるんじゃないか?」
古泉「ちょ、ちょっと!」
ハルヒ「? どういう意味??」
キョン「いや、なんでも……」ニヤニヤ
ハルヒ「なに笑ってるのよ、気持ち悪いわね、それじゃ今日は解散!!!」
ハルヒ「合宿までは日にちあるけどそれぞれ各自必要なものはそろえておくこと!! それじゃ!!」バタン!!
キョン「騒々しいな……しかし」
キョン「ちょうどいい場をつくってくれた」ニヤニヤ
朝比奈「ふぇ?」
長門「……」
古泉「……あまり傍若無人に振舞われても困りますよ」ハァ
キョン「第一回、チキチキ! 涼宮ハルヒを楽しましてやろうじゃない会~!!!」
朝比奈「わ、わー??」
古泉「朝比奈さん、合わせなくて結構ですよ」
長門「……合宿に関する事?」
キョン「その通りだ長門、SOS団合宿とは涼宮ハルヒを楽しませるためのものだと思っていい」
キョン「もちろん、その過程で俺達が楽しめればなお良し!」
古泉「そちらを優先されては困ります」
キョン「ハルヒは合宿で"ナニカ"が起きることを望んでいる。その何かを俺達で起こしてやろうというのがこの会です」
朝比奈「や、やろうじゃない会??」
キョン「そう、つまり俺達は仕掛人です。で、ハルヒが今回のターゲット」
キョン「元々、古泉の機関主催での計画だったんですが、古泉がどうしてーも俺達に協力してくれと……」
古泉「一言たりとも言ってません」ニコニコ
キョン「とにかく、ハルヒが合宿中退屈にでもなって本当の事件が起きてほしいと望むことにならないよう」
キョン「娯楽と言う名の茶番、ドッキリを提供するのがこの会の使命です」
朝比奈「なるほど」
長門「……」
古泉「まぁ、間違いではありませんが……」
キョン「だろ?」
キョン「少し気が早いが、古泉」
古泉「なんでしょう?」
キョン「お前が元々企画していた計画を教えてくれ、機関考案のやつ」
古泉「そうですね、この合宿には機関の何人かがエキストラとして参加するんですが」
古泉「その内一人が殺害され、クローズドサークル内での犯人探し、こういったことを催す予定でした」
キョン「そうか、古泉。お前、殺される覚悟でこの企画を……」
朝比奈「こ、古泉君……」グスン
古泉「あの……僕はエキストラでの参加ということなんですか?」
キョン「じゃあ犯人なのか?」
古泉「わざわざ内部から犯人がでるような涼宮さんを失望させるストーリーは作りませんよ」
キョン「嘘つけ、ミスリード的に俺が犯人になるようしむけるつもりだったろ」
古泉「……適いませんね」
キョン「まぁしかし殺人事件か……ふむ」
キョン「長門」
長門「……」コクリ
キョン・長門「「弱い(な)」」
朝比奈「よ、弱い?」
古泉「それは、企画としてのインパクト、という意味ですか?」
キョン「まぁ、そうとも言える。殺人事件ってのはまぁ王道だ。だが、それをメインとして、アクセントとしての材料とするなら」
長門「脇を固めるその他小規模なメインを魅せる材料が必要」
古泉「……つまり、規格の数自体を増やせ、と?」
キョン・長門「「Yes」」
規格×
企画○
キョン「ハルヒいわく一生に一度あるかないかの状況なんだ」
キョン「その状況に殺人事件だけってのは、なんかもの足りないだろ?」
古泉「むしろお腹いっぱいだと思うんですが……」
キョン「そこで、俺達の出番だ」
キョン「殺人事件以外にもハルヒを満足させるようなイベント、出し物を俺達でやる」
キョン「その企画、考案は俺に一任させてもらおう」ニヤァ
朝比奈・古泉「「(すごい悪い顔してる……)」
長門「わたしにも協力させてほしい」
古泉「な、長門さんまで!?」
朝比奈「い、意外と乗り気なんですね」
キョン「くっくっく、SOS団きっての何でも屋が手を組んだか……ハルヒ、これは大いに楽しめそうだぞ?」
古泉「あ、あの一応涼宮さんの身に危害を及ぼすことのないようご考慮お願いしますよ?」
キョン「言われんでも分かってるさ、後々にひびくようなことはしない」
朝比奈「(クジがトラウマになってるのは……?)」
キョン「だからトラウマの数で言うと3つぐらいまでにしときゃいいんだろ?」
朝比奈・古泉「「トラウマ増やす気マンマンだったー!!!!?!?!?!??」」
朝比奈「だだだ、だめですよぉ!! そんなトラウマにまでなるようなことしたら!!」
キョン「え、でも一生忘れられない素敵な思い出にバッチリかと……」
古泉「それ素敵というか捨て身の思い出作りですよね!!?!? しかも捨て身なの意図していない涼宮さんですよね!!?!?!?」
長門「……情報操作は得意」
朝比奈「二人共なにするつもりですかぁ!!!!!!」
キョン「え? 逆に何までしちゃいけないんですか?」
古泉「少なくとも!! 恐らくあなたが今考えていることは全て却下です!!!!」
キョン「人食いサメとギリギリの鬼ごっこも?? 絶対怪我はさせないのに??」
朝比奈・古泉「「言語道断っっ!!!!!!!!!!!!!!」」
帰宅中
古泉「先が思いやられますね……」トボトボ
朝比奈「が、頑張ろう古泉君!! わたしもサポートしてあんまりキョン君に無茶しないように言うから!」トボトボ
古泉「ありがとうございます……」ズーン
朝比奈「まだまだ合宿始まらないのにもう終わった後並に疲れてる!!?!?!?」ガーン!!
キョン「そうだ、長門。アイツも合宿についてくるよう話持ちかけてみるか?」
長門「しかし、合宿はSOS団のもの」
キョン「かまいやしねえよ、ハルヒだって大人数の方が楽しめるだろ」
長門「しかし、涼宮ハルヒと彼女の関係は良好とは言えない」
長門「……涼―――」
キョン「待て待て待て、長門、まだ早いまだ早い。 ギャグはまだ早い」
キョン「言われたとして俺が反応に困るから、な?」
長門「……そう」
キョン「まぁ確かに仲良さげに話してるとこは見ないけど」
キョン「野球大会とか、今回の合宿とか色々関わってくるうちに変わっていくと思うんだよ」
長門「……」
キョン「ハルヒだって変わってきてる。以前ほど好んで周りから浮きにいくようなやつではなくなった」
キョン「アイツだって、もっと多くの事を体験して、色々考えられるはずなんだ」
キョン「俺はそういう機会をあげたい。ハルヒにもアイツにも」
キョン「それが、俺のいう『仲良くいきたい』ってのに繋がると思ってるからな」
長門「…………そう」
キョン「そんじゃ、声掛けといてくれ、俺はハルヒの方に言っとくから」
長門「了解した」
キョン「頼んだぜ」
長門「―――ということ」
朝倉「え? なに? 涼宮さんを騙して笑う企画に参加しろって???」
長門「……うまく、言語化できてなかったかもしれない」
朝倉「うん、そうだと思うわ。できてたらあまりにも恐ろしいこと口走ってるもの」
長門「そう」
朝倉「ええっと、つまりSOS団の合宿なるものに参加してみないか、ってことですか?」
長門「結果的には、そう」
朝倉「結果的になんだ……やっぱ目的は別なのね」
長門「どう?」
朝倉「どう、と言われましてもね……あたしSOS団じゃないですし……」
朝倉「それに、涼宮さんあたしがいると機嫌悪くなってるみたいだし……」
長門「彼もそう言っていた」
朝倉「ま! キョン君ったら分かってたならフォローしてくれてもいいじゃない!」プンプン
長門「……しかし、だからこそあなたに来てほしいとも言った」
朝倉「だからこそ?」
長門「だからこそ……だからこそ」
長門「…………」
長門「涼宮ハルヒを騙して笑うためにあなたを……」
朝倉「うん、長門さんもう一度よくキョン君の言ったことを思い出して、絶対そういう意味じゃないと思うわ」
長門「記憶はしている、しかしうまく言語化できない」
朝倉「おっかしいなぁ、キョン君と言語以外のコミュニケ―ションをとるなんて……」
朝倉「ていうかおかしいじゃないですか!! 普通あたしの涼宮さんが仲良くできるようきっかけのために呼ぶんじゃないですか!!?!?」
朝倉「そんな企画に参加したらあたしと涼宮さんの間には一生ものの溝が刻まれるでしょうよ!!」
長門「そう」
朝倉「そうじゃなくってですねぇ!」
長門「そうではない、彼が言っていたこと。涼宮ハルヒとあなたが仲良くすること」
長門「あなたに多くの体験の機会を与え、考慮することが彼の言う『仲良く』に繋がると言っていた」
朝倉「……」
長門「そのためにあなたに参加してほしい、と……うまく言語化できていた?」
朝倉「……ええ、ええとっても!! とっても言いたいことは分かりましたよ」ハァ
長門「よかった」
朝倉「……もぅ! そんなこと言われたら行かざるを得ないわよ……迷惑だと思うけどなぁ」
長門「その点は彼が涼宮ハルヒに伝えるらしい」
朝倉「……不安材料が増えた気が……」
prrrrrrrrrr
ハルヒ「キョンから電話?」pi
ハルヒ「なに? 何か用?」
キョン『電話じゃあれだからいまからそっち行っていいか?』
ハルヒ「は?」
キョン「よう」
ハルヒ「どわぁぁあぁぁぁあぁぁあああああ!!?!?!?!?!?」バタバタバタッ!!
ハルヒ「キョキョキョキョキョキョ、キョン!!?!?!?!?」
キョン「いかにも、俺がキョンだ」
ハルヒ「なななん、なんでアンタがこっ、ここに!!? あたしの部屋だけど!!?!?」
キョン「電話でそっちいくつったろ?」
ハルヒ「あ、確かに……って納得できるか―っ!!!!」
キョン「まぁまぁ、落ち着け、話があるんだ」
ハルヒ「話ィ!!? そ、それはわざわざ突然あたしの部屋まで来て言わなきゃいけないことなんでしょうね!?」
キョン「ああ」
ハルヒ「そ、そう……な、なによ??」
キョン「SOS団の合宿あるだろ? あれに朝倉もつれていかないか?」
ハルヒ「うん、いいわよ」
キョン「いいのか、よし」
ハルヒ「そ、それで……続きは?」
キョン「続き? なんの??」
ハルヒ「わっ、わざわざあたしの部屋まで来て言わなきゃならないことの、よ!! 今の朝……ナントカは前置きでしょ?」
キョン「いや、本題だけど……あの、多分お前が思ってるような話は、ないぞ?」
ハルヒ「」
ハルヒ「ハッ!!! も、もしかしてててて、心読んだ!!? 読んだでしょ!!!?!?」
キョン「読んだというか読めたというか……まぁ、でもハルヒらしくはないというかヘブッ!!!」ゴン!!
ハルヒ「信っじらんない!!!! 人ん家勝手にきて人の心覗き見とか、ありえないんだから!!!!」
ハルヒ「それで話ときたら他の奴の話って……アンタなに考えてんのよ!!!!!!」
キョン「そう怒るな、ほらウユニ湖の写真だぞ」スッ
ハルヒ「……フン!!!」ビリッ
キョン「あぁ……ウユニン……」
ハルヒ「写真に名前付けんな!! バカキョン!! とっとと帰れ帰れ!!!!」ポイポイ!!
キョン「分かった分かったから枕で殴るな、ったく……それじゃ朝倉の件、了承は得たぞ!!」
ハルヒ「勝手にもってけ!!!!!」
キョン「了承はもってくもんじゃ……ハルヒ!」
ハルヒ「なによ!!!!」
キョン「合宿、絶対面白くしてやるよ」
ハルヒ「……あ、当たり前でしょ!! そんなの!!」
キョン「ははっ、それじゃおやすみ」シュッ!
ハルヒ「…………バカ」
ハルヒ「急にきて、なによ!って……面白く、してやるって……?」
ハルヒ「……って朝倉、って!!?!?!? 朝倉ぁ!!?!!?」バァーン!!!!!!
ここまでー
今更ながら誤字脱字誤用が多いのは勘弁やでー
もしかして>>1は朝倉好きか?
>>260
長門は俺の嫁
朝倉さんはちゃんになったり、殺人鬼になったりします
投下―
夏休み 初日 合宿当日
ハルヒ「……」
朝倉「……え、と」
キョン「というわけで、めでたく本日は快晴、絶好の合宿日和となったわけだ」
キョン「よかったな、ハルヒ」
ハルヒ「……ええ、とーっても嬉しい限りよ、まったくね!」ブスッ
朝倉「な、長門さん、どう見ても涼宮さんの機嫌が悪いように見えるけど!?」ボソッ
長門「SOS団合宿に部外者がいれば当然、彼女の気分が削がれる」
朝倉「ひどいっ!! それを含めてキョン君がフォローしてくれるんじゃなかったの!!?」
キョン・長門「「そんなことまでは言っていない」」
朝倉「話術の罠っ!!?」
ハルヒ「……えーと、朝倉さん?」
朝倉「なっ、なにかしら涼宮さん?」
ハルヒ「今回、SOS団合宿に同行のお願いを受けたわけだけど」
朝倉「(してないんだけど……)」
ハルヒ「いーい? 合宿は過酷なものよ? 時と場合によっちゃ死者が出るほどにね!」
朝倉「そ、そんなに?」
朝比奈「…………あの、わたし―――」
長門「不参加は認められない」
朝比奈「デスヨネー」
ハルヒ「安全の保証はできないわ! なんせ天下に轟くSOS団の合宿だからね!!」
ハルヒ「……もし、それでもいいってんなら」
ハルヒ「別に……ついて来てもいいけど。あ、先方の古泉くんの知り合いが良いって言えばだけどね!!」
古泉「僕の方は問題ないでしょう、一人増えたところで狭くなるような館ではないと聞きますし」
ハルヒ「……だってさ、朝倉さんどうする?」
朝倉「え……と、それじゃあ……」
朝倉「よろしく、お願い……します」ペコリ
ハルヒ「…………スゥー」
キョン「じゃあ合宿開始ー」
ハルヒ「それじゃあ!! これよりSOS団夏合宿の開始を宣言します!!!!!」
ハルヒ「……毎回毎回宣言を横取りすんな!!!!!!!!」
古泉「さて、これが僕たちの乗るフェリーですね」
ハルヒ「へーっ、中々立派じゃない! うんうん、いいじゃないこれ!」
朝比奈「ふわぁー……こんな大きい船どうやって浮いてるんだろう??」
キョン「甚だ疑問ですね……何故俺やあの船は浮いているんでしょう」フワフワ
古泉「周りから浮くような奇行はお控えください。朝比奈さん、あの船は浮力によって浮いているのですよ」
朝比奈「あっ……浮力、ですよね。へー……浮力……」
古泉「ええ、もしかして未来では浮力を使った船は存在しないのですか?」ボソッ
朝比奈「き、禁則事項ですけど……ふ、船って浮力で、あんなに……浮くの?」
古泉「あんなに、とは……は?」
フワフワフワフワ
キョン「古泉ーっ!! 大変だ―ァ!!! 船が浮いてるぞ―っ!!!!!」
古泉「大変だと分かってるならやめてください!!!!!!!!!!」
キョン「あれは浮力の暴走だ!!! 宇宙人の侵略だぁあああ!!!!」ウワァァアァァアアアア!!!
ハルヒ「宇宙人!!?!? どこどこ!!?!?」キョロキョロ
長門・朝倉「「……」」←
古泉「暑さで頭がおやられになったんですか!!?!? とにかくまだ誰も見て、気づいていない内に戻してください!!!!」
キョン「でもハルヒ、飛ぶ船に乗ってみたいよな?」
ハルヒ「乗りたいっ!!」
古泉「ぐぅ……ダメです!!! こればかりはさすがの僕も賛同しかねます!!! ご自重願います!!!」
キョン・ハルヒ「「えー」」
朝倉「ふ、フリーダムすぎる……」
ザザァーーーン
ハルヒ「んーっ、フェリーなんて久しぶりだけど……いいわね!! うん!」
朝比奈「ふえぇ、綺麗ですね……」
ハルヒ「みくるちゃん、あなたの方が綺麗よ」
朝比奈「す、涼宮さん……な、なにを……」
ハルヒ「なーんちゃって!!!ベッタベタのこのセリフ!! 今時誰が言うんだってね!!! あーっはっは!!」
朝比奈「(涼宮さんテンション高いなぁ……)」
キョン「さて、いよいよ始まったSOS団夏合宿」
キョン「会議に会議を重ね、ハルヒを騙、喜ばせる計画がついに実行の運びとなった」
朝倉「確実に騙すって言おうとしたわよね?」
古泉「というかさっきのフェリーの件は計画に入ってませんでしたよね?? どちらかというと僕にサプライズでしたよ、あれは」
キョン「まぁ、現場は常に変化するもの。アドリブは重要だ」
古泉「自由すぎるのも問題だと思いますが……」
長門「……次はわたしがいく」
朝倉「え? 長門さんの出番ってまだなんじゃ……」
長門「……アドリブが重要だと聞いた」
キョン「いい意気込みだ長門、存分に力を発揮してくれていいぞ!」
長門「そう」スタスタ
古泉「だ、大丈夫なんですか? まだ他のお客さんもいるところでやらなくても……」
キョン「俺は長門の自主性を優先する。長門なりに考えがあるようだからな」
朝倉「そ、そうかもしれないけど……」
古泉・朝倉「「(心配だ〈わ〉……)」」
ハルヒ「あっ、有希! 有希もやる?? タイタ○ック号ごっこ!」モニュモニュ
朝比奈「ちょちょ、す、涼宮さん!! どっ、どこさ、さわキャッ!!」
長門「…………」
ハルヒ「? 考えるような顔してどうかしたの?」
長門「…………あれ」スッ
ハルヒ「?」チラッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
古泉・朝倉「「氷山ーっ!!!?!?!?!?!?!?」」
キョン「たまげた」
朝倉「たっ、たまげてる場合じゃないでしょ!!!!!」
古泉「な、長門さん涼宮さんの言葉の影響を受けすぎです!!!!!」
朝倉「涼宮さん引いてるじゃない!!!!」
ハルヒ「……え? なに、あれは……?」
長門「氷山と思われる」
ハルヒ「……なんで真夏の日本近海に氷山が?」
長門「……局地的な環境異常があったと推測される」
ハルヒ「異常すぎでしょ!!!!! って、ていうかこのままいけばしょ、衝突するんじゃない!!?」
朝比奈「あ、あわわわわわわわわわわ」ブクブク
ハルヒ「みくるちゃーーーーん!!!!! 船より先に沈んじゃダメよ―っ!!!!!!!!」ガシッ
古泉「あ、朝比奈さん!」タッタッタ
朝比奈「ふみぅ……」
ハルヒ「古泉くん!! みくるちゃんが!!! 氷山が!!!!! タイタ○ックがぁ!!!!!!」
朝倉「お、落ち着いて涼宮さん!」
キョン「そうだぞハルヒ、落ち着いて見てみりゃあれは氷山なんかじゃなく」
キョン「でっかいかき氷だ」
ハルヒ「…………」
ハルヒ「結局氷じゃないの!!!!!!!!!!」
キョン「ッ!!?!?!? ぬかったぁ!!!!!!」
朝倉「バカなの!!?!?!?」ガーン!!
古泉「案外これが彼の素なのかもしれません、しかしこのまままでは本当に衝突してしまいます!!」
キョン「……長門」
長門「……なに」
キョン「その心意気やよし、しかし今回はちとスケールがデカすぎたな」
長門「……そう」
キョン「ま、景気づけって意味じゃこの他ないインパクトだがな」
朝倉「長門さん……」
キョン「とりあえず、このまま衝突するのはなしだ、さて、どうする長門?」
長門「…………こうする」スッ
ジュォォオオォォォオォオオォオォォォオォオオオオオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
古泉「ものすごい勢いで、溶けている……」
キョン「ほほぅ……なるほどな」スッ
ハルヒ「!?!? 氷山が溶けていってるわ!! ハハーン!! いくら氷山でも日本の夏には勝てなかったのね!!!」バーン!!!
キョン「なんでお前が誇らしげなんだよ」
長門「……」
朝倉「溶け切った……」
ハルヒ「なんだったのかしら? もしかして海にできる蜃気楼とか!? しても夏に氷山見れたなんて中々ついてると思わない!?」
朝比奈「う、うーん……さ、さむい」ブルブル
ハルヒ「みくるちゃん、何言ってるのよ! 寒いだなんてそんな……あれ?」
朝倉「寒い? 言われてみれば……」
古泉「大気の温度が低下していますね……異常気象でしょうか??」ブルッ
ハルヒ「そういう超自然現象的な不思議は望んでないのよ!!!! 曇ってきてるし!! もう晴れなさいよ!!!」
長門「……」
キョン「まぁ、そういうなハルヒ、ちょうど暑かったところだ。天然もののクーラーと思えばいい」
キョン「それに……氷山もそうだが、同じくらい珍しいもんが見れるぞ、朝比奈さんを起こしてやれ」
ハルヒ「??? みくるちゃん、寒いのに寝てたら死んじゃうわよ! 起きなさい!!」ギュゥウ
朝比奈「ふえっ!!?!? どどど、どこつねってるんですかぁ涼宮さぁん!!!!」ガバッ
古泉「おや……これは、まさか」
ハルヒ「え!? 嘘!! 嘘でしょ!!?!? この時期に!!?」
朝比奈「あれ?? 今って夏じゃ……」
キョン「夏で間違いないですが、今降ってるこれは―――」
長門「―――雪」
朝倉「まぎれもない、雪だわ。真夏の雪」
古泉「これは……ボタン雪ですね」
キョン「ああ、さっきの氷山の水蒸気でできたもんだ」
朝倉「それでも環境改変をして降らせたんでしょ? この寒さは自然現象なんかじゃないわよね」
キョン「まぁな、でも安心しろ、環境改変による後遺症は残さない」
朝倉「……」
ハルヒ「みくるちゃん!! 雪雪!!! 雪よ!!」
長門「なに?」
ハルヒ「違うの!! 有希だけど雪なのよ!! 有希、雪よ雪!!」
キョン「雪雪うるさいぞ」
長門「わたしは喋っていない」
キョン「あ、そういう意味じゃなくてだな」
朝比奈「わぁ……夏に雪が見れてなんだかお得な気分ですね」
朝倉「まぁ、そうですけど……普通に見れば異常気象ですよね、これ」
長門「情報操作は得意」
キョン「だそうだ、改竄は任せるが、いま少し……」
古泉「この珍しさに、心休めてはいかかでしょうか? 少々、寒いですが」ブルッ
朝倉「……まぁ、いいですけど」
ハルヒ「第一回! 真夏の雪合戦やるわよーっ!!!」
キョン「積雪まではしねえよ、フェリーだぞここ」
ワーワー!!
長門「……」
キョン「よかったな、ハルヒも満足してるみたいだぞ」
長門「あなたのおかげ」
キョン「俺は使い方を教えただけさ、雪を作れたのはお前が氷山を出したからだろ?」
長門「……そう」
キョン「いい出だしだ……まぁ、今のうちに楽しんでおくといい」
キョン「くっくっく、殺人事件のメインディッシュまではまだまだ遠いぞ? ハルヒ」ニヤァ
長門「……雪」
朝倉「(また悪い顔してる……)」ハァ
ここまでー
投下―
ハルヒ「考えてもみりゃ、六時間弱の船旅って結構ヒマよねー」ダラー
キョン「昼寝でもしてたらどうだ?」
ハルヒ「嫌よ、時間がもったいないじゃない!寝てる間にもSOS団の合宿は進行してるんだから!」
キョン「だったかこの暇な時間をどうするか考えてみろ」
ハルヒ「キョン、アンタのトリックショーであたし達を楽しませなさい!」
キョン「人任せかよ」
ハルヒ「人使いがうまいだけよ」
キョン「ったく、俺はマジシャンじゃねえっつぅの」
キョン「! 閃いた、閃いたぞハルヒ」
ハルヒ「なにを?」
キョン「暇を潰す方法」
ハルヒ「それは?」
キョン「トランプだ!」
ハルヒ「……あのね、そんな誰もが真っ先に思いつくような暇つぶしを上げて何が言いたいのよ」
キョン「もちろん、普通のトランプゲームなんかじゃあないぞ」
ハルヒ「じゃあどういうトランプなのよ?」
キョン「SOS団夏合宿限定ルール付きトランプだ」ニャァ
ハルヒ「……へぇ」ニヤリ
古泉「……予想通り、涼宮さんが暇を持て余しトランプをすることになりそうですね……」
朝比奈「あぁ……涼宮さん提案にのっちゃだめですよぉ……」
長門「彼女が了承するのは目に見えている」
朝倉「まんまと蟻地獄に誘い込むことができたってわけね……」ハァ
古泉「しかし、涼宮さん相手にそううまくいくでしょうか?」
長門「彼がいる限り、無問題」
朝倉「問題はキョンくん自体が問題なのよね……」
古泉「涼宮さんも、余興の一環として楽しんでくれればいいのですが……」
朝倉「余興っていうのはむしろ仕掛人のあたしたちの方じゃ……」
キョン「おーい、みんなトランプしようぜ」
ハルヒ「それもただのトランプじゃないわよ、題してSOS団夏合宿限定ルール付きトランプよ!!」
朝比奈・朝倉「「(まんま受け売りなんだ……)」」
古泉「……おや、とても面白そうな聞こえですね」
ハルヒ「でっしょ!? やっぱ特別な時には特別な事しないとねー!」
朝比奈「え、えーと、そのSOS団夏合宿限定ルールって言うのはドンナルールナンデスカ?」
朝倉「(朝比奈先輩っ! 棒読み!! すごい棒読みになってます!!!)」
ハルヒ「ふっふっふ、聞いて驚き膝待付きなさい!!」
キョン「なぜ膝待付かなければ?」
ハルヒ「ルールは単純よ!! しかし、酷なものでもあるわ!!!」
朝倉「こ、酷なものってナンデスカ?」
朝比奈「(あ、朝倉さーん!! 棒読み!! すごく棒読みですよぉ!!)」
ハルヒ「ただの、罰ゲームつきトランプってことよ」ニヤァ
古泉「つまり、その罰ゲームが酷なものである、と」
ハルヒ「ご名答!!!」
ハルヒ「トランプゲーム自体はなんでもいいのよ、最下位さえ決めれればね!」
キョン「じゃあババ抜きでどうだ?」
ハルヒ「なんでもいいわ!」
キョン「……了解」ニヤァ
朝比奈「(あー……)」
キョン「それじゃ罰ゲームの内容を発表してやれ」
ハルヒ「SOS団夏合宿限定ルール付きトランプゲームの罰ゲームとはぁ!!!!!!!」
ハルヒ「ずばり王様ゲーム!!!!!!」
キョン「説明になってねーっ!!!!!」
古泉「ふむ、要約すると、順位によって一~二名の罰ゲーム選定者が選ばれ」
朝倉「事前に決められた罰をその一~二名に課せられた役割によって受ける、というわけね」
ハルヒ「も、物分かりいいわね。まるで事前に聞かされてたみたいだったわ!!」
朝倉・朝比奈「「」」ピクッ
ハルヒ「一位がなんでも命令できる王様になるんじゃなくて、事前に一~二名を選んでおくっていうのがミソね!」
ハルヒ「一位で上がったとしても罰ゲームを受ける羽目になるかもだから!!」
古泉「ふむ、ただ単純にトランプの強さで決まるとは限らない、ということですか」
ハルヒ「どっちかと運ゲ―ね!! あたし運には自信あるのよ!!!」
朝倉「(そりゃあね)」
ハルヒ「罰ゲーム選定者はその前のゲーム一位になった人が決めるとして、最初のゲームは誰が決める!?」
ハルヒ「あたし!!」バーン!!
キョン「一人で何言ってんだ」
ハルヒ「だってあたし団長じゃない? 団長たりえる者率先してみんなのお手本にならなきゃでしょ?」
キョン「分かった分かった、だが決めるのは罰ゲームだけだ。初めは罰ゲームを受けるのは最下位の一人、これでいいだろ?」
ハルヒ「じゃあそれでいきましょ!! 罰は紙に書いておいて最下位が決まってから発表ね!!!」
朝比奈「(うぅ、始まっちゃいます……だ、大丈夫かなぁ涼宮さん)」
朝倉「(いいのかしら、あんまりやりすぎると涼宮さん可哀想な気が……)」
古泉「(しかし、良心が痛みますね……涼宮さんを満足させるという大義名分があるにしても)」
キョン「(とまぁ、各々思う所があるようだが、長門どうしようか?)」
長門「(続行)」
キョン「(だよな、退屈するようなことにはならんだろう)」
キョン「(ハルヒも……俺達もな)」ニヤニヤ
ハルヒ「キョン、アンタ今回やけにニヤニヤすること多くない?」
キョン「なんら不思議じゃないだろ? 楽しい楽しい合宿なんだからよ」
ハルヒ「それもそうね!」
キョン「ああ」ニヤ
朝倉・朝比奈「「(絶対何かよからぬことを企んでる……)」
古泉「それでは……始めましょうか」
ハルヒ「やるわよー!!!」
朝倉「(やられる側なのよねぇ……)」
どんな変換したら膝待付くなんて誤字になるんだよ
キョン「じゃあゲームはババ抜きで」
ハルヒ「ババ持ってるの誰!!?!?」ドーーン!!!
キョン「何開始直後に聞いてんだ」
古泉「まだ捨てるカードが……おや、あと一枚ですね」
朝比奈「あ、あれ、わたしも……」
朝倉「あたしも」
長門「……」
ハルヒ「……あたしもだけど」
キョン「なんだ、俺以外はみんな一枚かよー」
ハルヒ「! じゃあアンタの―――」
キョン「俺は全部捨てれたのによー。俺一位だから次の罰ゲーム決めとくぞ? はーやれやれ」
ハルヒ「くっ! こんなことが起こるなんて!!」
朝倉「(普通はまず起こらないわよ……)」
キョン「じゃあ俺が上がったから、時計回りで長門、朝倉、朝比奈さん、古泉、ハルヒの順番だな」
ハルヒ「えっ」
長門「あがり」
朝倉「当然、引かれたあたしも」
朝比奈「じゃあ……あ、あがり……」
古泉「……ということは」
ハルヒ「……」プルプル ポロッ
JOKER
ハルヒ「酷い!!!! こんなことが起こり得てしまうなんて!!!!!!」ウガァアアア!!!
キョン「あっはっは!! 自分の罰ゲームを自分で踏み抜いてやがる」
ハルヒ「ふ、不正よ!! み、認められないわこんなもの!!」
キョン「ハルヒが自分で配ってたじゃないか。『これで不正は起こらないわ!』とか言って」
ハルヒ「打つ手なし!!!?!?!?」
朝倉「(自分でキョンくんの擁護してたわけね……)」
>>291
膝待付く ひざまづく
跪く ひざまずく
なるほど
キョン「それで、ハルヒが指定した罰ゲームってのは……」ペラッ
ハルヒ「……」プルプル
古泉「……『ベストショットを写真に収めてもらう』ですか」
キョン「なんだ、ハルヒにしちゃ普通だな」
ハルヒ「普通じゃないわよ!!! ベストショットってどんだけ恥ずかしいことと思ってんのよ!!」
朝倉「まぁ、モデルみたいなことするわけだし……」
キョン「まぁ、一発目だしさっさと終わらせよう、長門カメラ頼む」
長門「……」スッ
キョン「さぁハルヒ、ポージングを取れ」
ハルヒ「…………」スッ
キョン「……古泉、これをハルヒのベストショットと、お前は本当に認めていいのか?」
古泉「そうですね、大変魅力的ではありますが……我が団長であるならばさらに魅力的なショットが存在するかと」
朝比奈「(あれ!? 古泉くんも乗り気になってる?)」
ハルヒ「クッ……お、覚えておきなさいアンタたち!」スッ
キョン「……長門、カメラマンとしてどう思う?」
長門「まだ刺激が足りない」
ハルヒ「しっ、刺激ぃ!!? 有希あなた一体なに言って―――」
長門「エロスとしての刺激ではなく、SOS団の活動記録としてフィーリアとしての―――」
ハルヒ「……はぃ」スッ
長門「笑顔で」
ハルヒ「……ニコッ」
長門「……」パシャ
古泉「大変魅力的かと」
キョン「SOS団のサイトを復活させてトップに張ろうか!」
ハルヒ「やめて!!! お願い止めて!!! みくるちゃんごめんなさい!!! あたしが間違ってたからぁ!!!!」ガシッ
朝比奈「す、涼宮さん! お、落ち着いて……」ナデナデ
ハルヒ「どうせみくるちゃんが最下位になると思ってあんな罰ゲームにしてごめーん!!!!!」
朝比奈「キョンくん、あとでわたしにも写真ちょうだい?」
キョン「よろこんでー!」
ハルヒ「ぁあああああああぁあああ!!! 墓穴掘ったぁあああああああああああああ!!!」
朝倉「(自分がああだっと思うと……恐ろしい)」
ハルヒ「ハー、ハーッ……つ、次、いくわよ」
キョン「おう、罰ゲーム書いた紙と受ける順位も書いておいたぞ」
ハルヒ「も、もうあんな屈辱はごめんだわ……」
朝比奈「うふふ、アルバム用と保存用と、観賞用と……」
ハルヒ「みくるちゃーん!!! アルバムと保存用って用途被ってるからぁ!!! そして保存するのは最小限に留めて!!!」
キョン「ごちゃごちゃ言うな、ほれ配るか?」
ハルヒ「……いえ、古泉くんお願いしていい?」
古泉「ご自分で配らなくてよいのですか?」
ハルヒ「いい、あたしだとキョンに何かされそうだし」
キョン「俺もこれ以上冤罪を押し付けられるのはごめんだ」
朝倉「冤罪でもなんでもないでしょうに……」
ハルヒ「フー……よし切り替えた!! もう一回ババ抜きよ!」
古泉「はい、配り終えました」
ハルヒ「……今度は、みんな一枚だけとかはないようね」ホッ
キョン「当たり前だ、あんなことが何度も起きてたまるか」
朝倉「起こしといてなに言ってんのよ……」
ハルヒ「みくるちゃん! あなたが一番少ないから最初に引きなさい!!」
朝比奈「はぁい」スッ
古泉「では」スッ
ハルヒ「これよ!」スッ!
キョン「ほい」スッ
長門「……」スッ
朝倉「はい」スッ
キョン「来た!! 革命だ!!!!!」バァーン!!!!
ハルヒ「ないから!! これババ抜きだから!!!! 革命とかでないからぁあああああああああ!!!!」
朝倉「で、残ったのは……」
キョン「俺と朝比奈さんだな」
ハルヒ「一位じゃなかったのは癪だけど……まぁいいわ! さぁ、醜い最下位争いを繰り広げなさい!!」
古泉「(罰ゲームは最下位に限らないことをお忘れなのでしょうか……)」
朝比奈「むむむ……これっ!」スッ
キョン「やられました朝比奈さん、俺の負けです」
朝比奈「や、やったぁ!」
ハルヒ「はーっは!! 最下位はキョンね!! ざまぁないわ!!!!!」
キョン「ああ、負けたよ。まさに試合に負けて勝負に勝つってのはこういうことなんだな」
ハルヒ「はーっはっは……は?? 勝負に勝つ??」
キョン「長門、紙にはなんて書いてある?」
長門「……『二位が五位の言うことを一つ聞く』」← 一位
キョン「だとよ」← 最下位
朝倉「まさかの下剋上……」← 三位
古泉「五位は朝比奈さんで……」← 四位
朝比奈「あたしが……」← 五位
ハルヒ「……みくるちゃん、なんでも命令して頂戴」プルプル ← 二位
キョン「ハールヒぃ? なんか震えてないかぁ?? 大丈夫かぁ!? せっかく二位とったのに残念だなぁ!?」
ハルヒ「…………くぅ!」
朝倉「これはうざい」
朝比奈「え、えとそれじゃあ……」
キョン「朝比奈さんさすがに人食い鮫とレースというのはやりすぎじゃ……」
ハルヒ「えっ!?」ガーン!!
朝比奈「いいい、言ってませんよぉ!!!! むしろそれ言ってたのキョンくんじゃないですかぁ!!!」
ハルヒ「えっ!!?!?」ガガーン!!
朝比奈「うふふ、はい、もういいですよぉ」
ハルヒ「あたしが言うのもなんだけど……こんなんでよかったの?」
古泉「朝比奈さんが涼宮さんの髪を結ぶ……いつもとは反対の光景ですね」
ハルヒ「とはいってもあたし髪短いからあんまり変わらないけど」
朝比奈「はい、チーズ」パシャ
キョン「朝比奈さんの慈悲に感謝するんだな」
朝倉「叩き落した本人がなにを……」
長門「書き終えた」
ハルヒ「それじゃ三回戦!! やるわよっ!!」
古泉「次もババ抜きでいいですか?」
ハルヒ「トランプってローカルルールが多いから安定したババ抜きに頼りがちなのよね」
キョン「神経衰弱とかどうだ?」
ハルヒ「却下、あんた1ターンで全部取りそうじゃない」
朝比奈・朝倉「「確かに」」
古泉「ではいかがいたしましょう?」
ハルヒ「……インディアンポーカーよ!!」クワッ!
朝比奈「い、インディア……?」
古泉「インディアンポーカー、ポーカーの一種ですね。まずはこうしてカードを一枚引き、自分に見えないよう額の位置まであげる」スッ 8
キョン「相手のカードだけを見て数字の大きさで勝負するんです。あとは情報戦ですね。ライアーゲームです」スッ JOKER
ハルヒ「この場合ジョーカーのキョンが強いんだけど、その他は数字大きい順でやりましょ! キングが最強、エースが最弱で!!」
古泉「カードの交換は二回までとしましょうか。あまり多すぎても緊張感に欠けますので」
ハルヒ「それじゃあ、3回戦インディアンポーカー、開始よ!!」
ハルヒ「……これは、勝ったわ!」 A
古泉「……僕も、自信がありますよ」 A
キョン「ほほぅ、なら俺も自信しかないぞ」 JOKER
朝比奈「(えっと、キョンくんがジョーカーだから一番強くて……あとはみんな一緒?)」 A
長門「……」 A
朝倉「(お、おかしい……絶対にこの状況はなにかがおかしい!!! けど指摘したらあたしがおかしいと思われちゃう!!!)」 A
ハルヒ「……でも、キョンは変えといた方がいいと思うわ!」
キョン「マジで?」
古泉・朝倉「「(露骨に狙いにいったーっ!!!!!!!!)」」
キョン「確かに、そう言われると自信なくなってきたかも……」
ハルヒ「でしょ!! やっぱ変えといた方がいいわよ!!」パァアアア
キョン「そうするか……あっ! ジョーカーじゃねえか、これ!!」
ハルヒ「やーいやーい引っかかったぁ!!!」ケラケラ
キョン「ったく、まんまと騙されたぜ」スッ JOKER
ハルヒ「…………もっかい変えたら?」
古泉「(意味なかった―っ!!!!!!!!!)」
朝倉「(しかも涼宮さん露骨に顔に出てるうぅうぅううぅうう!!!!!)」
キョン「いや、もう騙されんぞ、俺はこれでいく!!」
ハルヒ「そ、そうならいいのだけど……」
古泉「皆さん、交換しないならこのまま勝負しますか?」
朝倉「(このまま勝負してもしなくても、このおかしい状況に気付く、気づいちゃうけど……いいのかしら?)」
ハルヒ「よ、よし……しょーっぶ!!!!」バッ!!
キョン JOKER
ハルヒ A
朝比奈 A
古泉 A
長門 2
朝倉 A
朝倉「あれっ!!? 長門さん!!?」
ハルヒ「ってあたしエース!!? あれっ!? 有希2だったっけ!!?」
キョン「(すり替えておいたのさ!!)」ダダーン!!
朝倉「(なにしてんのよ!!!)」
古泉「ま、まぁ同じカードが5枚はないので見間違いかなにかだったのでしょう」
ハルヒ「そうかしら……そうかもね?」
朝比奈「こ、この場合順位ってどうなるんでしょう?」
キョン「俺が一位、長門が二位、であとは同率最下位ですね」
ハルヒ「それでっ! 有希が書いた罰ゲームは!?」
朝倉「(少し興味あるかも……)」
古泉「長門さんが書いた罰ゲームの内容は……」スッ
古泉「『最下位が自分で自分を誉める』……」
キョン「……」ニマニマ
長門「……」
ハルヒ「えーっ! そんな恥ずかしい罰ゲーム!!?」
朝倉・朝比奈・古泉「「「……」」」
朝倉・朝比奈・古泉「「「(はっ、はめられたぁああああああああ!!?!?!!??!?)」」」
古泉「(ま、まさか僕達にまで罰ゲームが及ぶとは……彼の仕業ですね)」
朝倉「(くっ……長門さんまで懐柔して……いや、長門さんを巻き込まないだけマシか……にしてもやってくれたわね)」ギリッ
朝比奈「(わ、わたしのいいところ?? な、なにかあるかなぁ……恥ずかしいなぁ……)」
ハルヒ「こんなの就活始まったらいやでも自己PRしなきゃなんないってのに」
キョン「その予行演習みたいなもんだと思えばいいじゃないか。ほれ、そこの3人もどうした?? 朝比奈さんはゆっくりでいいですよ」
朝倉・古泉「(鬼〈め!!〉ですね)」
ハルヒ「あたしの誉めるべきところは……って」
長門「……」ジー
ハルヒ「……カメラ回すの?」
キョン「当然」
ハルヒ「……あ、あたしの誉めるべきところは行動力かしら?」
ハルヒ「自分で言うのもなんだけど、やりたいと思ったことは実行にまで必ず移すから実現力は高いわ!」
ハルヒ「あとはまぁ……体が丈夫で健康なトコかしら」
キョン「お手本のようなPRをありがとう、さすが団長だな」
ハルヒ「まぁね! さっ、次は今回の件で副団長に昇進した古泉くんで!」
キョン「初耳だな」
古泉「はい、僕の誇るべきところは思考することでしょうか」
古泉「物事を見るにあたってさまざまな観点からの思考を行います」
古泉「結果に繋がるプロセスを構築する思考、それが僕の誇るべき長所だと思います」
キョン「うんうん、優等生らしい真面目で形式ぶった回答をありがとう」
古泉「誉め言葉と受け取っても?」
キョン「お前がいいならいいぞ。次は、朝比奈さんですね」
朝比奈「え、っと……わたしのいいところは……あの、そんなにないんですけど」
朝比奈「お、お茶をいれるのが得意です! あ、あとお裁縫とか……その」
朝比奈「家庭的だってよく言われるから、そういうとこじゃないかなぁ……って思います」
キョン「Very Good! ハルヒ、この回答に満点以上の評価を出したいぐらいだよな」
ハルヒ「ええ、完璧よ。さりげない家庭的アピールで世の男どもはみくるちゃんにメロメロリンよ!」
キョン「なんだそれ。さて、最後は……」
朝倉「ええと……わたしの長所は……」
朝倉「家で料理とかするから炊事は得意かな? あとそのことで工夫したりするのも好きよ」
朝倉「これといった健康被害もないし、大きな怪我とかもしたことないわ(当然だけど)」
朝倉「うーん……言ってみれば、特に欠点がないのが長所です」
ハルヒ「…………」
ハルヒ「全部持っていった!!!!!! あたしたちの長所まとめたような存在が出てきたわよ!! キョン!!」ガクガク
キョン「ああ、しかもこれが事実なんだからもの凄いよな」
ハルヒ「しかもそれを平然と言えるその胆力!!! 御見それしたわ!!!」
朝倉「あ、どうも……」
ハルヒ「……え? イヤミではないわよね??」
朝倉「え?」
キョン「噛みつくなバカ」
ここまーで
今日中には投下―
投下―
ハルヒ「ハァハァ……くッ!!!」
ハルヒ「結局8割がたの罰ゲームを食らってしまったわ、屈辱よ!!」
朝倉「(むしろこっちが残りの2割をくらうとは予想外だったわ……)」
古泉「まさかトランプゲームのみで6時間弱が潰れるとは予想もしませんでしたね」
キョン「古泉のボードゲームの出番がなくなってなによりだ。面白い写真もとりまくれたし」
朝倉「でもキョンくんと長門さんは罰ゲーム受けてないわよねぇ? あれだけの数ゲームしたのにねぇ」
朝比奈「あ、本当だ……」
ハルヒ「! そう! おかしいじゃないの!! アンタ達は一回も罰ゲームに当たってないなんて!!」
キョン「だって俺達メンタリストだし」
長門「そう」
ハルヒ「あぁ……だからか」ショボーン!!
朝倉「意志よっわ!! それで納得していいの!!?」ガーーン!!!!
キョン「まぁまぁ、朝倉だって俺達に面白い写真を提供してくれたじゃないか」
長門「『メスゴリラの出産 by 朝倉涼子』」
朝倉「あたしの意志関係なく、ね!!! ていうかそんな罰ゲーム指定したの誰よ!!!!!」
古泉「ああ、それは珍しく僕が一位になった時に決めたものですね」
朝倉「まさかの古泉くん!!!!! 意外すぎるっ!!!!!!」ガーーン!!!!
朝倉「(ていうかこれ涼宮さんにやらせようとしてたなら鬼畜すぎるでしょ!!!!! いやあたしだったからいいってわけじゃないけど!!!)」
ハルヒ「まぁ、色々言いたいことはあるけど、当初の暇つぶしという目的は果たせたからよしとするわ!」
古泉「直にフェリーが波止場に到着します。そろそろ下船する準備をしましょうか」
キョン「なんならいまからコイツをハイジャックしてさながら革命でも起こしてみるか?」
ハルヒ「!!」キラキラ
古泉「余計な提案はしないように。いつまでもトランプの世界にいるわけではありませんので」
キョン「ちぇー」
ハルヒ「ん~~~~!! 到着!!!!」ピョン!
キョン「まだだろ、こっからクルーザーで無人島の別荘にいくんだからよ」
ハルヒ「えー……」
キョン「いやならお前だけ先に無人島までテレポートしてやろうか?」
ハルヒ「ほんとっ!?」
キョン「ついでに時間跳躍のオプションもつけて三日後の無人島に飛ばしてやろう」
ハルヒ「わぁ!!……ってそれみんなが帰る日じゃない!! あたしだけ無駄に三日かけて無人島行ったことなってんじゃないの!!!」
キョン「誰よりも早く無人島を目指した彼女は、誰よりも遅くに無人島に到着したのであった……まさに急がば回れ」
ハルヒ「あんたがわざわざいらんオプションをつけて遅くなってんでしょうが!!!!!」
古泉「まぁまぁ涼宮さん、クルーザーでの移動というのも中々体験できるものではありませんし」
朝倉「ここはおとなしく団体行動としましょ」
ハルヒ「……仕方ないか、古泉くん!! クルーザーまで迅速に案内してちょうだいっ!!!」
古泉「御意に」
キョン「……よし、それじゃあ」
キョン「俺と長門は先に別荘にいって待ってるから気をつけて来いよ」
長門「待ってる」
ハルヒ「台無しっ!!??!?!?!? アタシ説得しといてアンタ達は先に行くの!!?!?!?」ガーン!!!
朝倉「ちょ、ちょっと!! いくならあたしも連れて行ってよ!!」
ハルヒ「そういう問題じゃない!!! 団体行動はどうしたぁ!!!!」
キョン「……じゃあこの際みんなで飛んでいくか??」
ハルヒ「…………ありね」
古泉「なしです。クルーザーまで案内いたしますので黙ってついて来て下さい」
キョン・ハルヒ「「えー」」
朝比奈「(こ、古泉くんがちょっと怖い顔に……)」
キョン「やあ、新川さん。お久しぶりです」
古泉「やあ、新川さ……えぇ!?」
新川「……これはこれは……一度どこかでお会いしましたかな? この年になると覚えが悪くなってしまいましてな」
キョン「やだなぁ、あそこであったじゃないですか。言うならばクローズドサークルとやらのとこで」
新川「おぉ、そうでしたな。いやはや、あの時は驚嘆しましたぞ」
ハルヒ「なになに!? 古泉くんの知り合いとキョンも知り合いなの!?」
古泉「あの……えっと、まぁ……共通の知人だったようです」
キョン「森さんもお久しぶりです」
森「……お久しぶりです、この合宿中も何卒よろしくお願いいたします」
ハルヒ「へーっ、キョンって顔が広いのね!」
古泉「(まだ話したこともないはずですが……あの閉鎖空間で一目見ただけでしょうに)」
キョン「(その辺は新川さんも森さんもプロだよな、顔に出さずに対応してるぞ)」
古泉「(ええ……ってえぇ!!?!? 今脳内に直接彼の声が!!?!?!?)」
朝倉「執事にメイド……まさか日本にまだ存在してたなんてね」
朝比奈「こ、これが本物のメイドさん……ふむふむ」
古泉「えー、この方たちは新川さんと森さん、僕たちが合宿中お世話をしてくれる方々です」
新川「ご紹介に預かりました。執事の新川です」ペコリ
森「家政婦の森です」ペコリ
朝比奈「お、おじぎがすっごく綺麗……」
キョン「SOS団のキョンです。超能力者やってます」ペコリ
古泉「それはぼk……あ、いやぁ!! こ、これは彼なりのジョークでして、ハハハ!」
ハルヒ「なに慌ててるのよ古泉くん」
森「……」バシッ!!
古泉「(見えない所で叩くのはやめて下さい森さん。痛いです……)」
森「(顔や態度に動揺を出さない)」
キョン「(……古泉も大変なんだな)」ウンウン
新川「それでは皆さん、船までご案内いたします。我が主の待つ孤島までは半時ほどの船旅となりますがご容赦のほどを」
ハルヒ「全然構わないわ!! 船旅が長ければ長いほど外部との接触がしにくくなるんだからね!」
ハルヒ「あー怪しい島までの道のりですら楽しみだわっ!! 突然、巨大な海中生物が現れたりするかも!!?」
朝比奈「ええっ!?」
朝倉「冗談ですよ……多分」
古泉「例えでたとしても、彼が退治してくれることでしょう」
キョン「俺? 俺は無理だぞ、船酔いするから」
朝倉「さっき酔ってなかったじゃない」
キョン「さっきはさっき、今は今」
朝倉「恐ろしいほど説明に説得力ないんだけど。ていうかなにそれ」
新川「着きました。このクルーザーで孤島を目指します」
キョン「ま、なんにせよ平和が一番。のんびり船旅を楽しもうじゃないか」ゴロン
長門「……」ペラ
ハルヒ「もーキョンも有希も部室モード入っちゃわないの!! せっかくクルーザーに乗るなんてまたのない機会なのに!」
キョン「お前さっき飛んでいきたいって言ってたじゃないか」
ハルヒ「さっきはさっき! 今は今!」
キョン「あ、そう使うのか」
朝比奈「あっ、あの! も、森さんにとってメイドとはなんですか!?」
森「……ただの、職業です」ニコッ
朝比奈「ハッ!!!!!!」ビッシャーン!!!!
朝倉「……そんな大したこと言ってないような……感銘を受けてるけど」
ブォオオオォォォオオオオォオオオオオオォオオォォォォオオオオオオォォォオオオォオオオオオオオ!!!!!!!!!!!
ハルヒ「ねぇ! これから行く館にはなんか名前あったりすんの!?」
新川「いえ、特には。何分先日完成したばかりの建物ですので」
ハルヒ「じゃあ島の方に名前はあんの!? SOS島とかハルヒ島とか!!?」
キョン「ねえよ、なんでだよ」
新川「聞いたことはありませんな」
ハルヒ「じゃあ事件が起きたことはある!? 島中で大火事とか、数十名の神隠しがあったとか!!」
新川「そのような情報はないですな、今はまだ」
ハルヒ「! じゃあこれから起こるかもってこと!?」
朝倉「これから起こったらその犠牲者はあたしたちになるけど……いいの?」
新川「さあ、そうであるのかもしれません」
キョン「うー……ハルヒぃ、酔ったぁ……」
ハルヒ「情けないわね! アンタそれでも男なの!?」
キョン「うー……んなこと言ってもなぁ」フワフワ
ハルヒ「…………」
ハルヒ「アンタちょっと浮いてるじゃない!!!!! その状態でどうやって酔えるのよ!!! てかどうやって船の上で浮いてるのよ!!?!?」
キョン「うー……浮いた状態でこんな早い速度で移動すると、酔うんだ……」
ハルヒ「船 に 乗 れ !!!! 浮いてて酔うんなら黙って船にのってなさいよ!!!!!!」
森「……面白いご友人ですね」
朝倉「いえ、常軌を逸してるというか常識から逸脱してるというか……」
常識から逸脱×
常識が逸脱 ○
重複やな
古泉「! 見えてきましたよ」
ハルヒ「! どこに宇宙人が!!?!?」
キョン「お前の目的は一体何なのか、今何しに来たのかを問い詰めたい」
新川「あれが、我が主の待つ別荘でございます」
朝比奈「うわーおっきい……」
朝倉「大金持ちみたいね、古泉くんの知り合いさんは」
ハルヒ「うーん……でも見た目は普通だわ。思ってたよりは」
キョン「ん? それじゃあハルヒの思い描く館になるように少し改築するか」キィイイィイン!!!!
ハルヒ「ありね!」
古泉・朝倉「「なしです!!!」」
古泉「その手の中の光る球はなんですか!!?!? 何今から泊まる別荘を破壊しようとしてるんですか!!?!?」
キョン「じょ、冗談だって……ちゃんと半壊までに抑えるから」
朝倉「冗談でしょ!!?!? 半壊に抑えればいいとおもってるわけ!!? キョンくん、あなたの考え方はね―――」ガミガミ
キョン「……ハルヒ、冗談が通じない人達だ」ポシュン
ハルヒ「あんたは色々前科があるからマジにされんのよ」
ハルヒ「にしても普通すぎるわ。雰囲気とかもっと、こう……闇、みたいな……」
長門「……闇」
長門「闇」スッ
ハルヒ「!! そうそう、あんな感じ!! なんで急に館の周りに闇が??」
朝倉「スト―――ップ!!!! 長門さんスト――ップ!!!!!!!」
朝倉「ダメだから!! あんな地球の言葉で表現できないもの散布して闇って言い張るの絶対だめよ!!!」ボソボソ
長門「……そう」
キョン「!! 古泉、あの館の周りの闇を振り払うためにこの光の―――!」キィイイィイン!!!!
古泉「ダメです!!!! 別荘ごと振り払われる気がします!!!」
ハルヒ「あー晴れちゃった……なんだったのかしらあの闇?」
キョン「あれ? 裕さんがいるぞ?」
古泉「……おや、本当ですね」
ハルヒ「誰? 裕さんって」
キョン「あの別荘の持ち主の多丸圭一さんの弟、多丸裕さんだ」
キョン「圭一さんの会社を手伝ってる。今日は俺らの他に唯一正体されたようだな」
古泉「……色々、言いたいことはありますが、まぁ、彼の言った通りです」
ハルヒ「……分かったわ、犯人!!」
朝比奈「は、犯人? なんのですかぁ?」
ハルヒ「殺人事件!!」
キョン「そんなもんがいつ起きた」
ハルヒ「二日後起きるやつ!」
朝倉「未来予知ですか?」
ハルヒ「圭一さんを殺したのは裕さんよ!」
古泉「ま、まだ会ってもいない方を勝手にお亡くなりにするのはよくないかと……」
キョン「古泉ぃ、どうするこれ?」
古泉「ど、どうするも何も……」
キョン「もはや犯人どころか事件まで当てられてるけど」
古泉「……あなたもですが、涼宮さんも大概反則じみた存在ですね」
キョン「まぁ、安心しろ。ハルヒの予定通りにはいかないようにしてやる」ニヤァ
古泉「それは僕の予定通りにもいかないことになるんですが」
キョン「構わん」
古泉「僕や機関の方々が構うんです。困るんです」
裕「やあ一樹くん、しばらくぶりだったね」
キョン「裕さん、お久しぶりです。元気でしたか?」
裕「……ああ、キョンくんも、あの日以来だね」
古泉「裕さん、こちらの方々が僕が学校でお世話になっている掛け替えのない友人です」
裕「おぉ、この人たちが……」
朝倉「…………」
古泉「……はい」
朝倉「(何故、古泉くんはあたしに一度目を合わせたのかしら?)」
キョン「(そりゃあ古泉にとって朝倉の立ち位置は一体何? ってことになるからな)」
朝倉「(あたし、あたしは……SOS団のなんなのかしら?)」
キョン「(さあ……自分で見つけるこったな)」
朝倉「(? ……ていうか平然と人の脳内に会話しに来ないでよ!)」
裕「みんな、いらっしゃい。僕は多丸裕。兄の圭一の会社でしがない雇われ者をやってる」
ハルヒ「さっき聞いたとおりね」
裕「あっ、あーそうなんだ。一樹くんから?」
ハルヒ「いいえ、キョンから」
裕「あっ、そうなんだね……へー」
森「(少し動揺が出てますね……まだまだ甘い)」
古泉「(さすがに予想外でしたか……まさか今回の計画の設定まで知っているとは思わなかったでしょう)」
新川「(これは森の折檻が入りますな)」
キョン「(……もしかして機関ってブラック企業??)」
長門「(近いかもしれない)」
ここまでー
寝る前には投下―
投下―
裕「……さ、兄貴も待っていることだし、まずは荷物を別荘に運ぼうか」
裕「僕も手伝おう」
ハルヒ「あ、いいです」
裕「え? それはどうし、て……」
フワフワ
新川「……」
森「……」
裕「」
ハルヒ「お世話になるかわりに、荷物とか食材はキョンが全部持ってくれるから! ついでにあたしたちの荷物も!」
キョン「まぁ、このくらいはせんとバチがあたるってもんさ」
長門「……」フワフワ
朝倉「ちょっと! なんで長門さんまで浮いてるわけ!?」ビクッ
裕「は、はは……実に、愉快な友人だね」
古泉「それは……どうも」
ハルヒ「キョンー!! それならあたしも浮かせなさいよーっ!!」
キョン「お前はもう北高で浮いているじゃないか」
ハルヒ「あぁ……ってどういう意味よそれーっ!!!!!」
新川「ここです、つきましたぞ」
朝比奈「はえぇ……近くで見るとやっぱりおっきい……」
ハルヒ「どんな悪い事をすればこんな立派なものが建つのよ」
キョン「暗躍だ、A☆N☆YA☆KU☆」
古泉「さて、それでは別荘のご主人とご挨拶といきましょう」
キョン「おー圭一さんかぁ、久しぶりだなぁ」
裕「(というより、僕たち全員君を見るのが二回目なんだけどね……)」
古泉「それでは……」ピンポーン
ハルヒ「あーどんな主人が出てくるのかしら!? 年中仮面をつけてる人!? オッドアイの年齢不詳!!?」
キョン「やめとけ、失礼だろ。弟の裕さんがここにいるんだから」
ハルヒ「あっ、ごめんなさいね!」
裕「いや、いいんだよ」
裕「(どういう意味で失礼なんだろう……?)」
朝倉「あっ、扉が開いた……」
朝比奈「――――――え?」
圭一「いやぁ、待ってたよ。はるばるいらっしゃい」ドクドク
朝倉・古泉「「(なんかもう胸にナイフが刺さってる―っ!!?!?!?!? しかも平然としてるー!!?!?!?)」
朝比奈「ふぇえええぇえええええええええええええええええええええええええええ!!?!?!?」ブクブク
ハルヒ「みくるちゃーーん!!!!!! 死体より先に死んじゃダメ――っ!!!!!!!」バシッバシッ
新川「……ご主人、お戯れを」
圭一「? お戯、れ?? なっ!?」
圭一「なんだぁああ!? これはぁあ!!?!?!?」バッ!!!
森「……」ピクッ
古泉「け、圭一さんが仕掛けたサプライズではないんですか!!?!?」
圭一「え、ああ、これは……そう、じゃ」
朝倉「……ということは」
キョン「仕掛けておいたのさっ!!!!!」バァーーーン!!!
朝倉「殺人未遂じゃないの!!!!!!!!!」ガッツーン!!!
キョン「痛い。それに違う、あれで死んでなかったらもう圭一さん人間じゃねえよ」
長門「あなたと同じ」
キョン「おぉ!?」
ハルヒ「みくるちゃん!! 起きて!!! 起きなきゃこっちが殺人事件よ!!!」ユサユサ
朝比奈「う、ううん……もう無理」グタァ
古泉「圭一さん、その傷とナイフは……」
圭一「これは……手品用の刃が隠れるナイフだ。それにこの血は血糊」ビヨンビヨン
新川「(しかも、その道具も相手も……)」
森「(我々が仕組んだ計画の通りに行われている……)」
圭一「(いやぁ、恐るべしだな少年……)」
裕「(あーあ、これで計画はパァ、か……まいったな)」
古泉「(全く、予想通りに予想外のことをしてくれますね……あなたは)」フゥ
キョン「というわけで、残念ハルヒ、犯人は俺でしたー!」
ハルヒ「くっそー!!!!」
古泉「それでは……改めて、ご紹介しましょう。別荘の持ち主の多丸圭一さんです」
圭一「どうも。いやぁ、いきなり噂のトリックを仕掛けられるとは……歓迎されているのはこっちだったようだね」
キョン「いえいえ、どうもどうも」
朝倉「反省して」バシッ
キョン「痛い」
ハルヒ「えーゴホン、それではSOS団を代表しまして、団長、涼宮ハルヒより」
ハルヒ「ここにお礼と感謝の気持ちを――――――」
朝比奈「涼宮さん、すごい……」
朝倉「へー、こういう借りてきた猫みたいなこともできるのね」
キョン「必要最低限のことは団長としての義務だと思ってるんだろう」
圭一「おや、一樹くんから聞いていた噂とはずいぶん違った印象だね」
古泉「フランクな方、ですか?」
圭一「そういうことにしておこうか」
キョン「今から古泉が本当は圭一さんにハルヒのことをなんて言ったか言ってみたいと思いまーす!!」バッ
古泉「やめてください」ガシッ
キョン「ん?」
古泉「……やめて」
キョン「古泉の絶望の表情での嘆願により中止にしたいと思いまーす」
朝倉「(初めから誰もそんなに興味ないわよ)」
ハルヒ「フランク? そう、だったら取り繕う必要はないわね!」
圭一「おや?」
ハルヒ「ご主人!! さっそくだけどこの館でなんか事件とか起きたことある??」
キョン「たった今起きてた」
圭一「いやぁ、これといったものはなにも。なにせまだ新しいからね」
ハルヒ「じゃあじゃあこの島に伝わる怖い噂とかは!!?」
圭一「聞いたことはないな、無人島だったからね」
ハルヒ「そう……」
キョン「帰る?」
朝倉「なっ」
ハルヒ「……いや、まだいてみましょう!」
古泉「まだ!?」
ハルヒ「これから! これからなにか起こるかもしれないし!!!」
ハルヒ「執事とメイドの仲で痴情のもつれとか!!!」
朝比奈「わぁ……!」
長門「……スッ」
古泉「朝比奈さん」
朝比奈「……ハッ!! だだだ、大丈夫です!!」
キョン「痴情のもつれのどこが事件なんだよ」
新川・森「「ご冗談を」」
朝倉「綺麗に否定されたわよ」
キョン「いやぁ、実際にやるのは厳しいと思ったんじゃないか?」
ハルヒ「???」
新川「(……いざとなったら、やらねばなるまい……)」グッ
森「(……古泉に代役を立ててなんとか)」
古泉「(何か恐ろしいことが水面下で進行しているような……)」ブルッ
圭一「さ、立ち話もなんだし、中へどうぞ」
ハルヒ「中も広いわね、この館は!! 時にご主人、この館の名前は!!?」
圭一「考えてなかったね、いいのがあれば採用するよ」
ハルヒ「惨劇館!!!!!」
長門「成金城」ボソッ
キョン「機関島!!!!! のアジト!!!!」
朝比奈「え、と……多丸の家??」ウーン
圭一「……名前の件は次回としようかな」
ハルヒ・キョン「「えーっ!」」
古泉「(長門さんがとんでもないことを小声で言ったような……)」
裕「一樹くんたちは好きな二階の部屋を使ってくれていいよ。部屋は多いからね」
圭一「シングルとツインがある、どの部屋でも好きに使ってくれていい」
古泉「だ、そうです。どうしますか?」
朝倉「六人だし、ツイン3つでどう?」
ハルヒ「じゃああたしはみくるちゃんと」
キョン「じゃあ俺は長門と」
古泉「じゃあ僕は朝倉さんと」
朝比奈「えっ?」ビクッ
朝倉「なんでよ!!?!?!?? ものすごく自然な流れで不自然なこと言わないでよ!!!!」
朝倉「ここは男女別れるべきでしょ!!? 学生なのに公序良俗を無視するようなことはダメよ!」
長門「では一人部屋にすべき」
朝倉「えっ」
ハルヒ「そうね! 部屋もいっぱいあることだし贅沢に使いましょ!」
キョン「お前少しは遠慮と言うものをだな……」
ゾロゾロ
朝倉「…………行こ」トボトボ
ハルヒ「さて! あたしの部屋に集合したはいいけど……どうする!?」
ハルヒ「推理ごっこはキョンが犯人で終わっちゃったし……」
キョン「冤罪だ」
古泉「どこがですか」
朝倉「というか、あたしは当初の目的、合宿の意義、目的をそもそも知らないんだけど……」
ハルヒ「合宿するための合宿なのよこれは!!」
朝倉「……はい?」
ハルヒ「目的と手段が同一なことだってあるでしょ? 具体的な例は浮かばないけど」
ハルヒ「つまりあたしたちは合宿らしく、合宿するためにここにきたのよ!!」
キョン「それですることがなくなってちゃお笑いもんだろうよ」
ハルヒ「そうよね……だから、まずは海!!」
ハルヒ「こんな綺麗な海が目の前にあるんだもの!! 遊ばなきゃ嘘でしょ、これは!!」
ハルヒ「というわけで着替えて海へ行くわよー!!!」
キョン「そうか、分かった。ならみんなそこ一列並べ」
ハルヒ「? なにすんのよ?」
朝比奈「マジックショー?」
朝倉「(……危険な匂いが)」
長門「……」
古泉「僕もですか?」
キョン「全員だ、そらいくぞ?」
キョン「俺流、着せ替えカ○ラもどき」パチッ
朝倉・ハルヒ「「なっ!!?!!??」」ビクッ
パシャン!!!!!
朝倉・ハルヒ「「な、なぁあああぁあぁあぁああぁあああ!!?!?!??」」
朝比奈「あれっ!!?!? いつのまにわたし水着に!!?」
キョン「俺流着せ替えカ○rrrrrrrrrrいたたたたた!!! 痛いっ!」
朝倉「このっ、このっ、このっ!!」ガスッガスッ
ハルヒ「あ、ん、た、ねぇえええええええええ!!!」ゴンゴンゴン!!
キョン「痛い痛い痛い死ぬ死ぬ死ぬ、なに怒ってんだお前らは!」
朝倉「セクハラ!!! これはセクハラよ!!!!」
キョン「なにがセクハラなんだよ、みんなよく似合ってるじゃないか」
ハルヒ・朝倉「「うぐっ……」
ハルヒ「ッ分かんないけど、アンタによってあたしたちが着替えさせられたんでしょ!!? だったらこれはもう完全にセクハラよ!!」
キョン「事前申告したじゃないか」
朝倉「そういう問題じゃない!! キョンくん、これはあたしたちの尊厳を無視した行為よ!」
キョン「宇宙人の?」ボソッ
朝倉「おっ。お、……ま、ぁうん」
ハルヒ「エロキョン!! どんなトリック使ったか知らないけど二回目はないからね!!」
キョン「俺はお前たちの苦労を減らしてやろうと善意でやっただけなのに……」
朝比奈「あ、ありがとうございますキョンくん」
キョン「見ろ、俺はこの純朴さに心打たれるね」
古泉「…………あの」
キョン「なんだ古泉」
古泉「……なぜ、僕までビキニに?」
朝倉「……プッ」プルプル
ハルヒ「(……いやー、あれはいくらイケメンでもキツイわねー、フリルはねー……)」
朝比奈「クッ……!!」プルプル
キョン「…………」フー
キョン「善意だ」
古泉「悪意しかないですよね!?!??!!!?!!??」
長門「……」パシャ
ザザーーーーーーン
ハルヒ「うわーっ!!!! 古泉くん! ここ本当にプライベートビーチなのよね!?」
古泉「ええ、僕達以外誰もいませんよ」
ハルヒ「やりたい放題ね!!」バーーン!!!!!
キョン「ナニする気だよ」
朝比奈「うーん……いい気持ちぃ」
ハルヒ「さっ、みくるちゃん! 海なんてモンは泳いでなんぼよ! 元とるためには泳いで泳いで泳ぎまくるわよ!!」
朝倉「元ってなんの元?」
ハルヒ「さあ有希も朝倉さんも!! 泳ぎましょう!! 時間は限られてるんだから!!」
朝倉「だって、長門さん」
長門「……了解した」チャプ
キョン「うんうん、いいねぇ、太陽の下女子四人が海で遊ぶってのは」
古泉「全くですね」
キョン「一姫ちゃんも行ってきたらどうだ?」
古泉「誰が一姫ちゃんですか」
ハルヒ「キャーッ!! 冷たいわよ!! ほら、ほらっ!」バシャバシャ
朝比奈「あぷっ、キャッ、本当だ。でも気持ちいいー」パチャパチャ
朝倉「長門さん、足もと気をつけてくださいね」
長門「……」コクリ
キョン「……さて」
古泉「なにかするおつもりですか?」
キョン「なに、モーゼのみたく海開きとはなんぞやの如く……」
古泉「物理的に開こうとしないでください」
ハルヒ「はいっ!」ポーン!
長門「……」ポーン!
朝倉「はいっ」ポーン!
朝比奈「は、はぁい! あっ!」
ハルヒ「はいみくるちゃんの負―――」
キョン「おおぉぉぉぉぉおおおおぉおお!!!!」バッコーン!!!!!
古泉「ヘブァア!!!!!」バッチィイイイン!!!!
朝倉「……古泉くんの負け?」
ハルヒ「……やめましょう、勝ち負けをつけるなんて遊びの範疇を超えてしまってるわ」
朝比奈「あ、ありがとうキョンくん。ボール変なトコいったのも拾ってくれて……」
キョン「当然ですよ、ほら? 古泉もそう言ってます」
古泉「」フワフワ
朝倉「……何も言ってないし、さっきので古泉くん気絶したから浮かしてるだけよね?」
キョン「なんと、では朝倉は古泉に死ねと!?」スッ
古泉「」ブクブク
朝倉「古泉くーーん!!!!! ダメよ!! ビーチボールが死因なんてご両親にどう伝えたらいいのーっ!!?!?」ザバザバッ!!!
キョン「古泉は朝倉に任せよう」
長門「……」チョイチョイ
キョン「ん? どうした長門?」
長門「この海域には珍しい魚介類が多く生息する」
キョン「……なるほど、長門はグルメだもんな」
長門「……一緒に捕る?」
キョン「……やぶさかでない!」
古泉「……」パチ
古泉「……あれ? 僕は……」
朝倉「あ、気が付いた?」
古泉「朝倉さん……これは?」
朝倉「キョンくんにボール当てられて気絶したこと覚えてる?」
古泉「……いえ」
古泉「なぜか彼に助けられた記憶が……」
朝倉「汚い、そんな記憶操作しなくても……」
古泉「朝倉さんが助けてくれたのですか? ありがとうございます」
朝倉「そんなんじゃないけど……まぁ、放っておくのは無しよね」
古泉「……どうですか? SOS団は?」
朝倉「……それは単なる一参加者としてかしら? それともインターフェースとしてかしら?」
古泉「一参加者として、ですよ? 楽しめていますか?」
朝倉「……いや、振り回されっぱなしよ。いつでも」
古泉「そうならざるをえないでしょうからね」
朝倉「結局、ほとんど計画通りに進まず、涼宮さんどころかあたしたちの方が驚いたり、騙されてるし」
古泉「彼らしいと言えば彼らしいですからね、敵を欺くにはまず味方から、と」
古泉「(というより、気のせいでしょうか? 僕の被害が大きいような……)」
朝倉「ほんっと、なんなのかしらね、キョンくんって」
朝倉「宇宙人でも、超能力者でも、未来人でも、ない。のに、それを優に凌駕する力を持つ」
古泉「アカシックレコードが存在してたといても、彼の情報はつかめそうにありませんね」
朝倉「まったく……涼宮さんを観測しにきてそれ以上の存在に会うなんて予想外すぎるわよ」
古泉「仰る通りで。おかげで我々も予想できない、飽きのこない日常を謳歌していますよ」
朝倉「……楽しい?」
古泉「お蔭様で」
朝倉「そう……そう、思えたらいいんだけどね」
キョン「あさくらーっ!!!!」
朝倉「噂をすれば影……ね、どうかした?」
キョン「見ろ、長門が捕ったんだぞ!?」バッ!
長門「……」
朝倉「……これは?」
キョン「カジキマグロ」
古泉「……」
朝倉「……密猟?」ボソボソ
キョン「バレなきゃ密猟にもなんねえよ。バレるから密猟なんて言われんだよ」ボソボソ
朝倉「……そういう問題じゃ」
朝倉「ないでしょうがぁあああああ!!!!!! 早く返してきなさい!!! ていうかどこまで捕りにいってたのよ!!?!?」
キョン「ちぇー、豪華な晩飯になると思ったのになぁ」
古泉「(……確かに、振りまわされてばかりみたいですね)」クスッ
ここまでー
投下予告してから書き始めるでな、いつ投下できるか分からんから寝る前としてるでー
>>圭一「なんだぁああ!? これはぁあ!!?!?!?」
そこは「なんじゃこりゃぁああ!」って言って欲しかった(太陽にほえろ感)
15時までには投下―
投下―
ハルヒ「いやー、遊んだわねー!」
朝比奈「へ、へとへとですぅ」グテ
古泉「ご堪能いただけましたか? それでは、晩餐の時間までしばし自由時間としましょうか」
ハルヒ「みくるちゃん、湯浴みよ湯浴み!! お風呂に行くわよ!!!」
朝比奈「えっ、お風呂って……」
古泉「圭一さんの趣味で大浴場も備えています。もちろん、男湯女湯ともにね」
朝倉「もはや普通にホテルとして利用できるわね」
ハルヒ「というわけで、一番風呂はいただくわよーっ!!!」ダダダッ!!
朝比奈「ひえっ!! すすす、涼宮さん!! 引っ張らないでぇ!! あと着替えもま、は、ハウス!!!!涼宮さんハウス!!」
朝倉「どこに走り回る元気が……」
古泉「それでは僕も、少し外させていただきますね。お二人もご自由に」
朝倉「ええ、どうも」
長門「……」
朝倉「さて、どうします? 長門さん」
長門「……まかせる」
朝倉「それじゃあ……まぁ、あたしたちもお風呂行きましょうか」
長門「……」コクリ
朝倉「じゃ、部屋で準備……って、あたしたち二人??」
朝倉「そう言えば、キョンくんはいつのまにやらどこに……?」
古泉「(……ふぅ、どうにか無事一日目は終了することができそうですね)」
古泉「(彼のオリエンテーション兼妨害も、その一任を担っているのでしょう)」
古泉「(ならば……僕達も、行動しなければなりませんね)」
古泉「(……まぁ、会議はひどく憂鬱ですが)」ガチャ
古泉「失礼しま」
キョン「おそいぞ、古泉。みなさんがもうお待ちだ」
新川「そうですな、もう少し急ぐ心がけをした方がいい」
森「その通りです、ご友人はもうここに到着しておられるというのに」
古泉「……あの……彼がここにいることに疑問は?」
圭一「疑問もなにも、こうなることはもう想定内だよ」
裕「隠し事という概念はキョンくんには通じそうにもないからね」
キョン「はっはっは、光栄であります!」
新川「というわけで、彼を含めた六人で会議を進行していきますので」
「「「「異議なし」」」」」
古泉「……結局ですか」
キョン「まぁ、なんとかなるって古泉」
古泉「ええ……本当になんとかさせていただきたいものでありますけどね」
森「古泉、私語は慎みなさい」
古泉「……はい」
新川「それでは、現在進行中の我々の計画についての確認ですが」
新川「三日目に主人である圭一氏が何者かに殺害された現場をつくる。」
新川「なおかつ、推理の道しるべとなるよう裕氏が犯人となるようなヒントを各所に散りばめておく」
新川「そしてそのヒントに気が付くごとにミスリード的にSOS団の誰かが犯人となるように仕向ける」
新川「あとは現場のアドリブでどうにかする……とのことでしたが」
キョン「(いや結構ガバガバだな! 機関の計画なのに!)」
圭一「困ったことに、僕は初日に死んでしまったな」
裕「まさかネタの前潰しとは恐れ入ったよ」
キョン「いやいや、それほどでも!」
古泉「ええ、あなたのおかげで自由時間が会議という素敵なお時間に早変わりですからねぇ」
キョン「怒んなって、組織活動の一環だ」
裕「この状態で兄貴が殺されたとしても、それはもう冗談でとしか受け取ってもらえないだろうね」
森「では、初めから娯楽として推理ゲームという形での提供としてはいかがでしょう?」
圭一「いや、それでは彼女の目的が達成されたとは言い難い」
新川「彼女はこのクローズドサークルでミステリー的な事件が起こることを望んでいます」
古泉「それは決して作為的に提供されたものであってはならない、ということですね」
森「それは困りましたね、例え殺害相手が古泉でも、誰であったとしても信憑性が薄れてしまいます」
古泉「(なぜ一回僕をはさんでの誰でも??)」
新川「さて、どうしたものか……」
古泉「(……この沈黙した状況で―――)」
キョン「……では」
古泉「(―――彼が動かないはずがありませんね)」
キョン「この私めに、知恵をお求めください」
森「何か、名案でも浮かびましたか?」
キョン「いやぁ、名案なんてモンじゃないんですが、さっきの森さんの発言でビビン! ときちゃいまして……」
キョン「殺人事件の被害者と加害者、そして第三者の目撃者。これを作ることにより一先ずは殺人事件の基盤を作れます」
古泉「目撃者? それは必ずしも必要なものなのですか?」
キョン「ハルヒが殺人事件を疑わなくするためにはな、だから密室での殺人というのはやめておきましょう」
キョン「目撃者の発する情報によっては、ハルヒも嘘ではなく事件であることを確信するだろう」
キョン「しかし、その目撃者が真実を口にするなら……名探偵ハルヒの活躍の現場はない」
古泉「……なるほど、そういった意味での犯人探し、ですか」
圭一「ほほう、確かに、嘘を見抜くというセンスも探偵には必要だな」
キョン「ハルヒにとって、誰が犯人なのかを分かりにくい状況を作り出す」
キョン「場合によっちゃ全員が犯人でも矛盾のない状況でもいいです」
キョン「ハルヒは推理を楽しみたいだけなんで、その時間を作ってくれれば、それでいい」
森「では、被害者、犯人共に我々で決定してもいいのですか?」
キョン「もちろん、これは機関の計画ですから俺にはなんの決定権もありませんよ」
キョン「それに、俺を楽しませてくれるほどの計画なら、こっから先の話は聞かないようにしておきます」
キョン「一名探偵として、事件解決に奔走するのも悪くないですし」
古泉「そうですか、それでは残りは僕達で決めておきますので……」
キョン「あぁ、晩餐までに俺も休憩しておくよ、それじゃあ、失礼します」ガチャ
新川「……さて、続けましょう」
森「ええと、古泉が被害者と目撃者を演じるところからですか?」
古泉「破綻!! すでに矛盾があります!! もはやその状況はギャグにしか見えませんよ!!?!?!?」
コンコン
長門「どうぞ」
キョン「ちぃーっす」ガチャ
朝倉「なっ、キョンくんなんのようかしら!?」
キョン「朝倉こそ長門の部屋でなにしてるんだよ」
朝倉「あたしは別に長門さんとお喋りしてただけだけど?」
キョン「嘘つけ、この20分長門は『そう』『かもしれない』『多分』この3ワードしか使ってないだろうが」
朝倉「…………確かに!!?!?」ガーーン!!!
キョン「さて、それよりも今は朝比奈さんがハルヒといるはずだ」
長門「朝比奈みくるの番」
朝倉「あぁ……『やろうじゃない会~』ね」
キョン「さて、少し人道に反するが……ま、ここには人がいないからよしとしよう」
朝倉「ほんとに言葉通りの意味ね」
キョン「そらっ」パチッ
朝倉「なにこれ? 監視カメラ?? 涼宮さん達が映ってるけど」
キョン「俺がそんな科学レベルのもの出すだけなわけないだろ、もっと都合のいいもんだ」
朝倉「都合のいいもの!!?!?」
キョン「ま、とにかくこれがありゃ監視できるし音も拾えるってこった」
キョン「さぁて、朝比奈さんの晴れ舞台だ。心して目に焼き付けろよ」
朝倉「大げさな……」
ハルヒ「いやー! いいお湯だったわねみくるちゃん!」
朝比奈「そ、そうですね」
朝比奈「(涼宮さんと二人っきり……キョンくん、きっと見てるよね?)」
朝比奈「(だったら……アレをやるなら……今!)」
ハルヒ「どんな豪勢な晩御飯が出てくるのかしら! あ、でも蟹が出てきたら面倒ねー」
朝比奈「あっ、あのっ、涼宮さん!」
ハルヒ「ん? なに? みくるちゃん」
朝比奈「あたし実は……透明人間になれるんです!!!!!」
ハルヒ「……へー」
朝比奈「はいっ!!! って、リアクション薄くないですか!!!?!?!?」
ハルヒ「だって多分透明人間ならキョンもトリックでなれると思うし」
朝比奈「ま、まぁ見てて下さい、すごいですよー!」バッ
キョン「おっ、ジェスチャーサインだ、いけ透明化」バッ
朝倉「キョンくんがジェスチャーする意味はあるの?」
朝比奈「ほらほら! 足が消えてきましたよー!」
ハルヒ「あ、そんな感じで消えてくんだ、よく一気に消えるイメージあったからなんか新鮮だわ」
朝比奈「でしょうでしょう!?!? すごくないですか!?」キャッキャ
ハルヒ「……というより、それって」
朝比奈「? なんですか?」
ハルヒ「それって……あの、みくるちゃんが消滅してしまう時とかに使われる、その、エフェクトじゃ……」
朝比奈「…………」
ハルヒ「ちょうど足から消えていってるし……みくるちゃん、消えてなくなったりしないわよね?」
朝比奈「…………」
ハルヒ「…………」
朝比奈「いやぁあぁぁぁぁああああぁああぁああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
ハルヒ「えぇええぇえぇええええぇええええ!!?!?!? やっぱりそうなのぉおぉぉおおおおお!!!?!?!?」
キョン「あっはっは、朝比奈さんはかわいいなぁ」
朝倉「なんで朝比奈先輩まで動揺してるんですか……」
長門「ユニーク」
朝比奈「どどどど、どうしましょうすす涼宮さん!!! ももも、もう腰まで消えかかっててててえ!!!」
ハルヒ「おおおお落ち着いてみくるちゃん、深呼吸して、スーッ、ハー……冷静になって……見てみる、と」
朝比奈「ふぇ?」
ハルヒ「……消えてる」
朝比奈「びええぇえええぇええぇえぇえええええええ!!!!!!」
ハルヒ「おおおお落ち着きなさいみくるちゃん!! ほ、ほらいつもこんな感じなんでしょ!? 透明化する時は!」
朝比奈「わたっ、わたしどうめい˝にんげんな˝んがじゃな˝い˝でずぅうぅぅううぅうううううう!!!!」ズズッ
ハルヒ「じゃあこれマジで消えるやつじゃない!!!!!!!!」ガーーン!!!
朝比奈「いやぁああぁああ!!!! 消えたくないよぉぉお!!!!!!!」
朝倉「……なんかかわいそうになってきたんだけど、失礼だけど二つの意味で」
キョン「まぁ、見てろ大丈夫だから」
ハルヒ「ど、どうすれば……」オロオロ
朝比奈「!!!! も、もう胸まで!!!!!!!!」
ハルヒ「あぁ!! みくるちゃんの貴重なダイナマイト財産が!!!!!」
朝比奈「ダイナマイト財産!!? そっ、そんな名前でよ˝ばれでたんでずかぁああ!!?!?!?」
ハルヒ「そんな場合じゃ……みくるちゃん!!!」
朝比奈「は、はい!!!」
ハルヒ「……お別れの言葉」
朝比奈「いやぁああぁぁあぁあああぁあああああ!!!!!!!!」
ハルヒ「は無し!!! そう、まだ手段はあるものね!! うん、そう考えることをやめてはダメ! ウーン!!」ガタガタ
朝倉「涼宮さんすごい慌ててるなぁ……普通は透明人間になってる時点で慌てるんだけど」
キョン「その点慣れって怖いよなぁ、状況が悪くならなきゃ気付かないもんな」
朝倉「悪くしてる本人がなにを……」
ハルヒ「ええっと……ええっとぉ!」アセアセ
朝比奈「ヒック……ヒック、スン……」
ハルヒ「うーん……うーん……」
朝比奈「……スン」
ハルヒ「あー……むぅー……」
朝比奈「……」
ハルヒ「……ふぁ」
朝比奈「ちゃんと考えてますかぁ!!?!?? わたし消えちゃうんですよぉ!!!!」
ハルヒ「わっ!? か、考えてるって。ていうかみくるちゃん自分から消え始めたのに……」
ハルヒ「いつのまにか生首に……ん? みくるちゃん?」
朝比奈「な、なんですか……?」
ハルヒ「生首、じゃなくて、頭まで消えたらもう透明化しなくなってない??」
朝比奈「……あっ、本当だ、顔が消えてない」カガミー
ハルヒ「助かったのよ!!! よかったわねみくるちゃん!!!!」
朝比奈「はい!! よかったです!!! 顔は残って!!!!」
ハルヒ「顔!! ……顔、だけ残ってたらセーフ判定でいいの?」
朝比奈「…………う」
ハルヒ「セ――――――ッフ!!!!!!!! たったいまセーフと可決されたわ!! SOS団規定で!!! だから泣く必要はないわよみくるちゃん!!」
朝比奈「で、でもこれから生首だけで生きていかないと……」
ハルヒ「なっ、なまく……クッ!」
朝比奈「うぅ……ハッ!!」ペタッ
朝比奈「(体ある!!! というか手があるから触れてたんだ!! 混乱してて気づかなかったけど、ちゃんと透明人間になれてたんだ!)」
朝比奈「……顔以外は!!!」
ハルヒ「ビクッ!! き、消えたわよ!!?」
朝比奈「(なんでこんな紛らわしい透明化を……ま、まいいや、とにかく)」
朝比奈「涼宮さん、みててくださいね」フッフッフ
ハルヒ「なんで急にそんな余裕が……状況分かってる?」
朝比奈「あら不思議、透明人間は姿を現しました!!」バッ
キョン「お、合図を思い出したようだ」
朝倉「見えるんだ……あたしは生首のドヤ顔しか見えないわ」
キョン「そらっ」パツアッ
朝倉「なにその音」
朝比奈「!! ほら! 透明化解除です!!」ジジッ
ハルヒ「…………」
ハルヒ「なんで足から!!?!? 普通胸から下に戻っていくもんじゃないの!!?!?」
ハルヒ「再生の仕方おかしいから生首と生足のバラバラ事件みたいになってるわよ!!?!?」
朝比奈「まぁまぁ、涼宮さん落ち着いて、わたし透明人間ですから!」ドヤッ
ハルヒ「……」
ハルヒ「みーくーるーちゃん??」
ハルヒ「あなたさっき大泣きして透明人間なれないみたいなこと言ってたのに、今のその余裕は何?」
ハルヒ「もーしーかーしーてあたしを焦らせようとしてそんなことを?」
朝比奈「ちっ、違います、よぉ??」
ハルヒ「そんな悪い事を言うのはこの口かぁー!?」グイグイ
朝比奈「いふぁい、いふぁい!! ふふ宮ひゃん、いふぁいですぅ!!!」
ハルヒ「あ、ダイナマイト財産の帰還……」
朝比奈「その名前はやめて下さい」
ハルヒ「……戻ったわね、SOS団のマスコット、みくるちゃんに」
朝比奈「はいっ! どうでしたかわたしの透明人間!! 驚きましたか!!?!? 驚きました!!?!?」
ハルヒ「お、驚いたわよ驚いた。多分みくるちゃんが思ってるのとは別の意味でだけど……」
朝比奈「!! で、でしょうでしょう!? 涼宮さんビックリさせちゃったぁ……!」
朝比奈「!!!!!?!?!?!?」ビックゥ
ハルヒ「ど、どうしたのそんな直立不動で……」
朝比奈「…………す、涼宮さぁん」
朝比奈「……お、お風呂もう一回行きませんか?」
ハルヒ「え? どうし――――――みくるちゃん、あなたまさか」
朝比奈「……汗ですよ? うん、ちょっと透明人間なるの疲れるから汗かいちゃって気持ち悪いからお風呂に行きたいだけです」
ハルヒ「そう……その汗の量は大変ね、きっといっぱい慌てたからね」
朝比奈「……涙の分もありますよ?」グスッ
ハルヒ「はいはい、泣かないで。もっかいお風呂行きましょ?」
ハルヒ「もう、泣くぐらいならやらなきゃいいじゃないの」
朝比奈「……涼宮さんに驚いてほしくて……」
ハルヒ「…………さんざん驚いたに決まってるでしょ」
ハルヒ「みくるちゃんが……あたしのために何かしてくれたってことにね」ボソッ
朝比奈「へ? な、なにかいいましたか?」
ハルヒ「言ってないから、ほら早くお風呂向かう」
ハルヒ「(……部屋、どうしようかしら)」
キョン「…………」
朝倉「…………」
長門「……」
キョン「……いくら人の道の外にいようと、見ていいものと見ちゃだめなもんがある」
朝倉「これは……後者の様だったわね」
キョン「ああ……だが、朝比奈さん本人は成功と思ってるみたいだから、そうしておこう」
朝倉「そうなんだ……というかキョンくんがあんな透明化じゃなくて一瞬で透明にしてあげればよかったんじゃないの?」
キョン「そうすりゃハルヒは驚かんだろう、最初のうすーいリアクションの様にな」
キョン「それに、言ったろ? 俺は俺達も楽しむ合宿にしてやる、ってな」
キョン「ちょいちょいと起こるハプニングは俺が意図的に操作したもんと思ってもいいぞ、俺がおもしろくなるようにするモンだから」
朝倉「迷惑極まりないわ」
キョン「まぁ、朝比奈さんはやり遂げたんだ、結構すごいことまで……」
朝倉「そう、ね……」
キョン「朝倉も……頑張れよ」
朝倉「あれを!!?!?」ガーーン!!!
キョン「いや、あそこまでとは言わんが……」
朝倉「……まぁ、観察対象に飽きられても困るしね」
朝倉「程々に、最善を尽くすわよ」
キョン「期待しておこう」
長門「……」ピクッ
キョン「どうした、長門?」
長門「…………夕飯」
キョン・朝倉「「あぁ……」」
ここまでー
みくるちゃんは汗かいただけなんだよなぁ……
夜ぐらいに投下―
はい投下―
古泉「やあ、みなさん。お待ちしていましたよ。晩餐の準備は整っています」
長門「当然」
朝倉「やけに気合入ってますね……長門さん」
ハルヒ「……」ソワソワ
朝比奈「……」モジモジ
朝倉「(こっちはこっちでなんか気まずそうだし……見なきゃよかったわ)」
森「さあ、お席にどうぞ。随時、料理の方をお運びいたしますので」
圭一「料理は新川が担当しているんだ。器用な男だろう? 執事の他にあらゆることに精通しているんだ」
裕「さあさ、乾杯の準備をしよう。涼宮さん、団長が音頭をとる、でいいんだよね?」
ハルヒ「えっ? あ、そう、そうね!! ここは団長として乾杯の音頭をとらせてもらうわ!」
朝比奈「……キョンくん」ボソッ
キョン「どうかしましたか?」
ハルヒ「それではみなさんグラスを手に取って―――!」
朝比奈「……あとで私の記憶少しだけいじってもらっていい?」
朝比奈「……忘れたいことが、あるから……」
キョン「……それは、もちろん」
朝比奈「……ありがとう」
キョン「(……なんて哀しい顔をしているんだ……クッ!!)」ウルッ
朝比奈「泣かないでキョンくん……わたしは、わたしのやるべきことをやっただけ、だから……」
キョン「……はい、それじゃあ―――」スッ
朝倉「(なんで美談みたいになってるのよ……)」
ハルヒ「かんぱーーーい!!!!!!!!」
長門「……」モグモグモグモグ
朝倉「……長門さん、ちゃんと噛んで食べてる?」
長門「問題ない。我々の消化器官は有機生命体のそれとは―――」
朝倉「長門さん」
長門「迂闊。言語化にあたり情報の齟齬が発生した」
朝倉「……まったく」
朝比奈「ふえぇ、なにか長門さんが難しいことを……」
ハルヒ「うん! うん、うん!! これ、おいっしいわね!!」
キョン「おぉ、確かにうまいぞこれ!」モグモグ
古泉「満足いただけてなによりです。では僕も……あれ? 僕の船盛りは……」
長門「……難破船となった」モグモグ
朝倉「残骸となるのもはやかったわね……」カラッポ
古泉「…………」
キョン「古泉、まぁいいじゃないか。長門だっておいしそうに食べてるんだし」モグモグ
古泉「……ええ、そういうことにしておきましょう」
長門「……古泉一樹」
古泉「はい、なんでしょう?」
長門「これ。難破船の生き残り」スッ
古泉「…………どうも」
キョン「ほほぅ、これは……山葵ってやつだな」
古泉「……はい、存じております」
キョン「で、食べろよ??」
古泉「容赦ないですね」
古泉「~~~っ!!!!」グググッ
森「お飲み物はいかがですか?」
古泉「あっ、あっ、み、水……をっ!!?」バシッ!!
森「(行儀が悪いですよ、古泉食事の場でのマナーは慎みなさい)」ボソッ
古泉「」
森「はい、お水をどうぞ」ニコッ
古泉「……なんの涙なんでしょうか、これは」ポロッ
キョン「きっと山葵だ、うん」
森「お飲み物はいかがですか?」
キョン「って、森さんこれワインじゃないですか」
森「ええ、経験や冒険心は若さには必要ではないでしょうか?」ニコッ
朝倉「メイドとして未成年にお酒を勧めるのはどうなの……?」
ハルヒ「でも言ってることはもっともだわ!! 向上心のない人間はバカなのよ!!」
圭一「はっはっは、僕も初めてアルコールを飲んだ時を思い出すねえ」
裕「今じゃ若い時ほどは飲めなくなったからなぁ……年を取ったよ僕も」
朝比奈「へぇー……これがワイン……」ジイ
古泉「……なぜ僕だけグラスではなくデキャンタ?」
キョン「それだけ期待されてるってことだろうよ」
ハルヒ「それじゃあアルコールも行き渡ったことだし、二回目のーっ!!!」
キョン「かんぱーーーい!!!!!!!!」
キョン・ハルヒ「「いっいぇーーーい!!!!!!!」」カチンッ☆
朝倉「あれ!? なんか飲む前から酔ってない!!?!?!?」ガーーン!!!
朝比奈「」チーン
ハルヒ「いやだからぁ!! べっそぉ建てるならもっとおもしろいモンにしなさいよってぇ!!! 言ってるのぉ!!」バシバシ
圭一「いたた……はは、イメージに違わず涼宮さんは酔うとこうなるんだね」
ハルヒ「んー……なんだか体が熱―――」
キョン「ハルヒ、そんなベタな展開はお前が一番嫌いな普通のパターンだぞ」グビッ
ハルヒ「―――ハッ!! ってなぁに脱がそうとしてんのよ圭一ぃ!!!」バチッ
圭一「うぐっ、は、はは……とある界隈ではお礼を言いたくなるほどのビンタじゃないかな、僕はお断りだけどね」ヒリヒリ
朝倉「普通への対抗心から一瞬だけ正気に戻ったわね……て言うかそろそろ涼宮さん追い出されるわよ、マジで」
長門「……」ゴクゴク モグモグ
裕「……すごいね、一体この量はどこへ消えるというんだい?」
長門「我々にとって食事はエネルギー摂取が目的ではない。摂取した食べ物の情報を還元することが本来の―――」
朝倉「長門さん、酔ってはないと思うけど色々饒舌すぎるわ、控えましょ」
長門「今のは腹話術」
朝倉「言い訳にならないから、腹話術でも長門さんが話してることになるから」
長門「迂闊」モグモグ
朝倉「はぁ……ちょっとキョンくんもこの状況をなんとかしようとしてよ」
キョン「まぁまぁ、これも合宿の一環だろ。大人の階段を一歩登る的な」
朝比奈「……ママぁ」グデェ
朝倉「全力で階段駆け下りてる人がいるんだけど、これ起きたら幼児退行とかしてたら洒落になんないわよ」
古泉「……ハァ、ハァ……うっ」
森「あら、グラスが空いていますよ? お注ぎいたしますね?」ニコッ
古泉「ちょ、まっ、もう何十杯目……はい」
森「ごゆっくり」ニコッ
古泉「…………」
キョン「な? ちゃんと上ってるやつもいるだろ?」
朝倉「……え? アルハラ的な意味での大人の階段!!?!?!?」ガーーン!!!
朝倉「にしても、若干分かってたこととはいえキョンくんは全然酔わないわね」
キョン「いやいや、ちゃんと酔ってるって、ほろ酔いだほろ酔い」
朝倉「長門さんと二人で樽何個開けてると思ってるのよ……どんな高校生よ」
キョン「酔ってる時は力のコントロールがちょっと乱れてな、例えば俺が浮こうとすると……」
古泉「!!!?!? なっ、えっ、ちょ!? 今浮かれると、き、気分がっ……うっ!!」バッ フワフワ
キョン「なんと古泉が浮いてしまう」ヘラヘラ
朝倉「ただの嫌がらせよね!!?!? いつも通り完璧に力つかえてるわよね!?!? ていうか古泉くーん!! リバースはダメよー!?!?」
古泉「……ハァ、ハァ……ハァ」
朝倉「キョンくんのせいでみたくもない液体を何度見せられるのよ……」
キョン「まぁまぁ」
ハルヒ「うぃー!! ちょっとキョン!! 朝倉ぁさぁん!! ちゃんと飲んでるの!!?」
朝倉「う、飲まれてる人が来た……」
圭一「(解放されたようでなによりだ)」ホッ
キョン「飲んでる飲んでる、お前より飲んでるよ」
ハルヒ「そーぉ!? 朝倉さんはぁ!!?!?」
朝倉「あ、あたしも程々にいただいて……」
ハルヒ「程ほでょー!? ダメよそんなんじゃぁ!!」グビッ
朝倉「も、もう呂律も回ってないしそんなに飲まない方が……」
ハルヒ「飲みなさい! これは団長命令よ、さあ飲んで!!」グイッ
朝倉「は、はぁ……いただきます」ゴクッ ゴクッ
ハルヒ「…………」
朝倉「……ごちそうさま」コトッ
ハルヒ「…………」
朝倉「あの……涼宮さ……ん??」
ハルヒ「…………ハッ!!! 寝てない寝てない!! 立ったまま寝るとかぁ、ありえないわ!!!」ブンブン!
朝倉「……めんどくさい!!! この人!!!」
キョン「ハルヒ、お前はもう飲むのやめとけ、飲み過ぎ飲まれ過ぎだ」
ハルヒ「揉みすぎ揉まれ過ぎ?」
朝倉・キョン「「違う」」
ハルヒ「あっはっはー!! 大丈夫だいじょーぶ!! あたし、これでもちゃあんと記憶とか大丈夫だからぁ!!」
ハルヒ「ねっ、ギャン」
キョン「もう既に曖昧じゃねーか、おれはいつからジ○ン軍のモビ○スーツになったんだよ」
ハルヒ「あっそーだ! 三人で一気飲み勝負しましょ? 負けたら勝った人の言うことをなんでも聞くってことでぇ!!」
朝倉「アルコールの一気飲みは危険です。ただでさえ未成年の飲酒を黙認しちゃってるのに……」
キョン「じゃ俺が勝ったらお前はもう寝る、それでいいか?」
朝倉「ちょ、ちょっとキョンくん!」
ハルヒ「上等ォ!! あたしが勝ったらキョン、アンタはあたしの部屋で一緒にぃ寝ることねぇ!!」
キョン「……ん?」
ハルヒ「……え? あたし、なんかぁおかしいこと言ったかしらぁ!?」
キョン「いや……ちょっと……」
ハルヒ「あっれー……そんなおかしいことかしらぁ???」
朝倉「なっ、それは……み、認められないわ!! 公序良俗からして!」
キョン「ノった」
朝倉「ノったじゃなくてノらせないの!!! ダメよキョンくん、そんな賭け事みたいな事……」
キョン「朝倉、ここは学校じゃないんだぜ? 郷に入っては郷に従え……団長の言うことはーっ!?」
キョン・ハルヒ「「ぜったい!!!!」」
朝倉「ああーもう!! これキョンくんも酔ってるでしょ絶対!!」
キョン・ハルヒ「「ぜったい!!!!」」
朝倉「うるさい!!!」
朝倉「あー……じゃああたしも参加するわ!」
ハルヒ「初めから三人っていってるじゃなぁい!!」
朝倉「そ、そっか……それであたしが勝った場合は」
朝倉「この一気飲み勝負で晩餐は終わり、各自部屋に戻って就寝する事オッケー?」
ハルヒ「……」
キョン「……」
朝倉「な、なにか文句でも……?」
ハルヒ「……あーさーくーらぁ……」
ハルヒ「運動会か!!!!!」バシッ!
朝倉「それ言うなら修学旅行じゃない!!?!? イベントで一括りにしないで!!!!」
キョン「まあまあハルヒ、文句があるなら一気飲みで勝てばいいだけだろ?」
ハルヒ「んー……それもそうねぇ、パパッと蹴散らしちゃおうかしらぁ!!」
朝倉「きょ、キョンくん! 本当に一気飲みなんかやるの!? 危険よ、特に涼宮さん!」ボソボソ
キョン「大丈夫、俺に考えが―――」ボソボソ
ハルヒ「なぁーにほっぺにチュー(*´з`)してんのよぉ!!?!? お盛んなわけぇ!!?」
朝倉「ちがっ、違う!! 耳打ちしてただけだから!!」アセアセ
キョン「ああ、ハルヒ……お前を倒す秘策をな!!」
朝倉「いやそんなことを言った覚えはないけど!!?!?!?」
ハルヒ「ふふふ……かかってらっしゃい!! キョンと寝るのはぁ、あたしよ!!」
朝倉「あたしは別に寝ないわよ!! ていうか誤解を招くような言い方はやめてっ!!!」
圭一「……」
裕「……」
朝倉「気まずくならなくていいですから!!! 三角関係とかじゃないですから!!!!」
ハルヒ「じゃぁ……始めるわよー!!」ガッ
朝倉「(ちょっとキョンくん! 本当に大丈夫なの!!? 倒れたりしないの!!?!?)」
キョン「(任せとけって……というかすでに手は打ってある)」
朝倉「(えっ?)」
ハルヒ「よーい……」
キョン「……」
朝倉「……あっ!」
ハルヒ「スタート!!!!」グィ
キョン「ふんっ!」グイ
朝倉「……」ポカーン
ハルヒ「んっ、んぅ……うぼぁああぁあああああああ!!!」ビッシャァアァアア!!!
朝倉「案の定!!!! 案の定こうなった!!! また液体!! また液体!!?!?」
キョン「……はい、勝ち」コトッ
朝倉「キョンくん!! これは何!!? 飲む前からグラスの中の色変わってたから何かと思ったけど!」
キョン「青汁」
朝倉「ベタ!!!!! ここにきてすっごいベタなもの仕込んできた!!! ていうか涼宮さん気づくんじゃ……」
ハルヒ「…………スー、スー」
朝倉「あ、寝た……」
キョン「充電切れ、ま、どっちにしろここらが限界だったんだろう」
朝倉「よく見れば……みんな潰、寝てるものね」
朝比奈「……スー、スー」
古泉「」
裕「」
圭一「どうする? そろそろお開きにしようか?」
キョン「そうですね、この通り、この様ですんで」
朝倉「(ていうか裕さんはいつの間になにがあったの!!?!? 倒れてるけど……)」
長門「…………」モグモグ
朝倉「長門さん、食べ過ぎよ……厨房の新川さんも倒れるじゃない」
キョン「よっこいせ、それじゃあ俺は古泉背負っていくから……」
朝倉「ええ、朝比奈先輩と涼宮さんはこっちが背負っていくわ」
森「お手伝いしましょうか?」
キョン「いえいえ、ここは人外トリオに任せてください」
朝倉「ちょっと、そんなこと言わなくても……その通りだけど」
森「そうですか、では、おやすみなさい」
キョン・朝倉「「おやすみなさい」」
キョン「さて、部屋に戻って寝るとするか」ズルズル
朝倉「もうちょっと、古泉くんを丁寧に扱ってあげて? 足持つのは可哀そうよ」
キョン「なるほど、でも背負うのは重たいから、浮かしてやろう」フワフワ
古泉「」フワフワ
朝倉「できれば頭を上にしてあげて」
キョン「注文が多いな」
朝倉「最低限よ、最低限」
キョン「それじゃ、戻るか。じゃおやすみー」
朝倉「おやすみー」
長門「……おやすみなさい」
朝倉「さて、あたし達も部屋に運ぶとしますか」
ハルヒ「……スー」
朝比奈「……スェー」
朝倉「この人たちを背負って」
長門「……」
長門「……」スッ
朝倉「あら、朝比奈先輩を背負うの?」
長門「彼女の体重の方が涼宮ハルヒよりも―――」
朝倉「女性の尊厳に関わるようなことはあまり言っちゃだめよ?」
長門「すまない。気をつける」
朝倉「それじゃ、あたしは涼宮さんを背負って、って酒くさっ!!」
長門「さきにいく」テクテク
朝比奈「……う、うぅん」
朝倉「ちょ、長門さんま、待って……まぁいいか」
ハルヒ「……スー」
朝倉「運ぶだけだしね」
朝倉「……まさか観察対象にここまで近づけるなんてね」スッ
ハルヒ「……スー」
朝倉「ほんと……寝てるだけならなんの変哲もないただのかわいい女の子止まりなのにね」
朝倉「…………戻ろっか」
朝倉「よっ、と。はい、おんぶ完了、朝倉涼子、出発しまーす」スタスタ
ハルヒ「……んん……キョン?」
朝倉「生憎、キョンくんでもSOS団員でもありません」スタスタ
ハルヒ「んん…………ねぇキョン」
朝倉「違いますって、寝ぼけてるのかしら? あの、涼宮さ―――」
ハルヒ「あの……朝倉さ……の、ことだけ、ど……んん」
朝倉「!?」
ハルヒ「朝倉さん……どう、だった?」
朝倉「ど、どう……とは?」
ハルヒ「どう、って……それは……楽しそう? だったか、って、ことよ……」
朝倉「あ、ああ……そう、うん楽しか、楽しそうだった」
ハルヒ「そう……」
朝倉「あー、な、なんでそんなことを聞く、の?」
ハルヒ「んー……なんでぇ? なんでって……なんで?」
朝倉「(あ、やっぱり寝ぼけてる……)」
ハルヒ「朝倉さんってさあ、固いわよ、ねぇ……?」
朝倉「……固い?」
ハルヒ「ぅん……真面目、っていうか……こうじょりょうぞくとか使う人初めて聞いた、し……」
ハルヒ「まさに……委員長……って、感じで……」
ハルヒ「あたしとは……正反対、の人……」
朝倉「……」
ハルヒ「だから……朝倉さんは、あたしとか、そういう……タイプ?の人が苦手だと、思う……の」
ハルヒ「まぁ、あたしも正直……苦手なんだけど、朝倉さん」
朝倉「……はは……そうですね」
ハルヒ「……でも、あたしに……しつこく、話しかけてくれたことだけは……」
朝倉「……」
ハルヒ「ちょっと……尊敬……てか、うれしかった、かも……なんて」
朝倉「…………なに言ってるのよ」
朝倉「散々話しかけてもウンともスンとも言わなかったくせに……うれしかったですって?」
朝倉「そんなの……別に、後から言われたって……」
ハルヒ「……スー、スー」
朝倉「…………なーにやってるのかなぁあたし」
朝倉「…………まぁ、今は……これでいいの、かな?」
ハルヒ「……スー、スー」
ここまでー、孤島総集編どのくらいかかるのかは未だ不明です
8時までには投下―
投下―
キョン「えー……」
長門「……」
キョン「……おはようございます」ボソボソ
長門「……」コクリ
キョン「えー……ただいま時刻は朝の五時を指しています」
長門「明け方」
キョン「そうですね、太陽も直上り始める頃でしょう……では」
キョン「唐突に寝起きドッキリ、やっちゃいましょう」グッ
長門「……」コクリ
キョン「えー、今回のターゲットは我らが団長涼宮ハルヒ、だが」
キョン「仕掛人である、朝比奈さん、古泉、朝倉もまだ眠ったままということで……」
キョン「ついでに起こしに行ってみよう」
長門「……」コクリ
キョン「さてさて、圭一さんや他の人に迷惑にならない範囲で、しっかりドッキリさせてやろう!」
長門「そう」
キョン「じゃまずは……」
長門「朝比奈みくる」
キョン「だな、俺が行くのはさすがにまずいと思うから、長門頼むぞ」
長門「了解した」カチャ
キョン「心の声で実況頼むぞー」
長門「……」コクリ
長門「……」
朝比奈「スーッ、スーッ……」
長門「(熟睡している……屍の様だ)」
キョン「(天使に向かってなんてことを言うんだ!)」
長門「(恐らく、昨晩のアルコール摂取で通常よりも睡眠が深いと思われる)」
キョン「(おう、だからこそ慎重にドッキリを頼むぞ)」
長門「(了解した)」
朝比奈「スーッ、スーッ……」
長門「……」
長門「……」バッ
朝比奈「……スー」
長門「(布団を剥いだが予想通り熟睡している)」
キョン「(中々起きそうにないかもしれないな)」
長門「(問題ない、容易に起こすことが可能)」
キョン「(?……!! 長門! それはまず―――ッ!!)」
長門「……」チョロチョロ
朝比奈「……スー」
長門「……」チョロチョロ
長門「(如雨露で水を掛ける。そうすれば彼女は粗相をしたと思い、慌てて起きる)」
長門「(欠陥のない完全無欠の作戦)」
キョン「(……あぁ、通常ならそうだろうよ)」
キョン「(だが……今の朝比奈さんにやってやるのはあまりにも酷だ……思いださないだろうな?)」
長門「(?)」
長門「……」チョロチョロ
朝比奈「……ぅ」
長門「(目覚める、布団を戻しておく)」
キョン「(ああ、お労しや……)」
長門「……」
朝比奈「……んぅ?」モゾッ
朝比奈「…………んっ!?」ガバッ
朝比奈「…………え?」ゾワッ
長門「朝比奈みくる」
朝比奈「ふえっ!!?!? なな、長門さん!? なんでここに!!?」バッ
長門「起床の時間、中々目覚めないから起こしに来た」
朝比奈「あ、す、すいません……昨日の記憶があんまりなくって……」
長門「ロビーに集合とのこと」
朝比奈「あ、は、はい……分かりました」
長門「……」
朝比奈「……」
長門「……降りる」
朝比奈「あっ、な、長門さんお先に行っててください! わ、わたしも顔洗ったらいきますから……」
長門「一緒にくるように言われた。待っているので顔を洗ってきてほしい」
朝比奈「え、えっと! そ、そう、あの……わたし低血圧ですぐには起きれないんです!」
長門「なら手伝う」スッ
朝比奈「ああっ!! ち、近づかないでぇ!!」ババッ
長門「…………そう」
朝比奈「ああっ!!! そ、そうじゃなくて!! ごめんなさい!! そんな意味は決してなくてぇ!!!!!」
長門「(ユニーク)」
キョン「(いいのかそれで)」
長門「皆を待たせるわけにはいかない」スッ
朝比奈「ああぁあああ!! だ、ダメぇえええええええぇえええ!!!!!」
長門「……」ガバッ
朝比奈「あっ!」
長門「…………」
朝比奈「…………グスン」
長門「…………」
朝比奈「…………ぁ、あ」
長門「(終わった)」
キョン「(まだ終わってねー!!! 長門、ネタばらしだネタばらし!! それをしないとネタがマジになっちまうだろ!!!!)」
長門「(迂闊、ネタばらしを行う)」
長門「朝比奈みくる」
朝比奈「…………はぃ」
長門「……ビックリ」
朝比奈「……ですよね、引きますよね……こんな」グスン
長門「(終わった)」
キョン「(それ終わったの意味ちげぇーーーー!!!!!!!!!! 朝比奈さんが世間体的に終わってんじゃねーか!!!!!!!!
キョン「(長門がビックリしたみたいになってるだろ!!!!!! これはドッキリだドッキリ!!!)」
長門「(迂闊。情報の伝達に齟齬が発生した。訂正する)」
長門「朝比奈みくる」
朝比奈「あ、あのっ長門さん!! お願いです! このことは黙ってて―――」
長門「ネタばらしを行う」
朝比奈「ばらさないでぇえええぇええええええええええええええええええ!!!!!!」
キョン「(何故だ長門ーーっ!!!!!! タイミングを間違えてるぞーっ!!!!!!!!)」
長門「(……そう?)」
キョン「えー……はい、ということで朝比奈みくるさんがここで合流です」パチパチパチ
朝比奈「……どうも」
キョン「あ、朝比奈さん? 大丈夫ですか?」
朝比奈「あっ、大丈夫ですよぉ……ドッキリって分かって安心してるだけですからぁ」
長門「情報の伝達に齟齬が発生してた、すまなかった」
朝比奈「い、いえビックリしたけど、だ、大丈夫ですよぉ!」
キョン「スッキリお着替えも終了していつも通り麗しの朝比奈さんとなったのでした」
朝比奈「でもなんでだろう……最近もこんなことあったような……」
キョン「……さ、次のターゲットと行きましょうか!」
長門「……」コクリ
朝比奈「うーん……」
キョン「えー次のターゲットはこの人! 誰得、古泉一樹!!」
長門「損得勘定で行うものではない」
キョン「その通り、だから例え古泉であっても全力でドッキリにかけてやろう!」ワクワク
朝比奈「(すっごい楽しみにしてるような……)」
キョン「あ、もし古泉がお見苦しいお見せ出来ない格好で寝ていた場合は目を閉じてもらって結構ですからね」
長門「そう」
朝比奈「古泉くんに限ってそんなことはないと思いますけど……」フアァ
キョン「それじゃ、古泉の部屋に侵入するとしますか」カチャ
朝比奈「(なんとなく鍵開けてるけどこれって普通に怖いですね……)」
長門「おじゃまします」
キョン「お、寝てる寝てる……コイツも昨日のアルコールがきつかったみたいだな」ボソボソ
朝比奈「かなり飲んでましたからね……大丈夫だったのかなぁ」ボソボソ
長門「大量の水を飲んだ形跡がある、ひどい頭痛に悩まされていた模様」ボソボソ
キョン「間違いなく二日酔いだろうなその寝起きで爽やかスマイルをどこまで保てるかな?」
長門「腕の見せ所」
朝比奈「ど、どんなドッキリをするんですか?」
キョン「どうしましょうか……そうだなぁ」
キョン「! そうだ、ハルヒに殺人事件のドッキリを仕掛けようってんなら」
キョン「先にコイツが体験していてもいいと思う」
朝比奈「? それってどういう?」
キョン「こういうことですよ」ギラッ
朝比奈「ナイフ?」
キョン「えい」ザクッ
朝比奈「」
キョン「ね?」ブッシャァァアアアァアアァアア!!!!
朝比奈「ひっ」ググッ
長門「ここで声を上げては古泉一樹が起きる、それにあれは血糊」
キョン「演出上刺していた方がいいと思いまして」ブッシャァァアアアァアアァアア!!!!
朝比奈「」
キョン「……長門、朝比奈さん気絶してないか?」」
長門「低血圧も相まって、失神した様子」
キョン「……なら朝比奈さんもセットの一部としてここに寝ておいてもらおう、血糊つけて、と」
長門「わたしは?」
キョン「長門はまた目撃者だ、こんどはうまく頼むぜ?」
長門「了解した、過ちは繰り返さない」
キョン「よし、じゃあ、はじめるか!」
古泉「……ん」
長門「起きて、古泉一樹」
古泉「…………長門、さん?? 何故、僕の部屋に?」
古泉「……ッ! 二日酔いで頭が……」ズキンズキン
長門「わたしはあなたを起こしに来た」
古泉「それは……どうも。僕は寝過ごしてしまったんでしょうか? 申し訳ないですね」
長門「まだ朝の五時半。寝過ごしてはいない」
古泉「? でし、たら何故こんな明け方に僕を起こしに?」
長門「周りをよく見てほしい」
古泉「周、り……?」
キョン「」
朝比奈「」
古泉「」
長門「古泉一樹の部屋で生体反応の二つが消えた。ソレに気づいてここについた時にはもう……」
古泉「そんな……まさか、誰、がっ!」ズキンズキン
長門「古泉一樹、その手はなに?」
古泉「手? 手というのは…………血?」
長門「それは彼の返り血と思われる」
長門「明け方、古泉一樹の部屋で死体が二つ……」
古泉「何が……起こって……いえ、長門さんあなたは何を仰りたいのです!?」
長門「犯人は……あなた」ビシッ
古泉「…………」
キョン「(……長門、ミステリー物も読んでるのか? ノリノリだな)」
古泉「……記憶にないのは……」
長門「泥酔状態であったため、自我を保たない衝動的な行動であったと思われる」
古泉「……だめですね、頭が回りません」ズキズキ
古泉「普段の僕ならば、もう少し弁明でもできたんでしょうが……」
古泉「今時点では、僕が勢いで彼らを殺してしまった……それを認めざるを得ない状況の様です」ズキズキ
キョン「(そりゃあいつもの古泉ならこの時点でおかしな点を4つは見つけてるだろうよ)」
キョン「(だからこそ泥酔状態の今がドッキリのチャンスな訳さ)」
古泉「……僕は、どうすればいいのでしょうか?」
長門「法によって裁かれる」
古泉「裁かれたところで、僕の罪は消え、僕は僕を許すことができるのでしょうか?」
古泉「いえ、僕なんてどうでもいい……彼のいなくなった世界を涼宮さんは……」
古泉「彼女は……どうするのでしょうか?」
長門「先のことは分からない」
古泉「……ですね、昨晩にはこんなことになるなんて思ってもみなかったですから」
古泉「人と言うものは分かりませんね、いくら普段自制ができていようと、少しの外部刺激によっていとも容易くそのタガが外れる」
古泉「……全くもって愚かな存在だということを自らの行動で知ることになるとは……思いもよりませんでしたよ」
長門「ドッキリ」
キョン「(タイミングっ!)」
古泉「……はは、それを言うならビックリではありませんか? 長門さん」
長門「これは、ドッキリ」
古泉「…………ドッキリとは、なにか深い意味の籠ったある種の暗号のこと、でしょうか?」
長門「あなたが普段、ドッキリとして認知しているものと同じ」
古泉「…………つまり?」
キョン「こーいうことだぁ!」バァ
古泉「うわっ!!! なんですかこれ!!?!?」ビックゥゥ!!!
キョン「これとは失礼な、進行役のキョンだよ」
古泉「…………これはまた」
古泉「頭が痛くなるようなことをお考えに……」ズキズキズキズキ
長門「それは二日酔い」
キョン「えー……というわけでSOS団副団長、古泉一樹くんの合流でーす」
古泉「……どうも」ズキズキ
朝比奈「だ、大丈夫ですか?」
古泉「ええ、大丈夫です。彼が仕掛けてくれた刺激的なドッキリによって頭も体も跳ね起きました」ズキズキ
古泉「ついた汚れや部屋の血糊もしっかりふき取ってくれましたし、なーんの文句もないですよ?」ズキズキ
キョン「やっぱ意外と根に持つタイプなのな、お前……分かったよ」トンッ
古泉「?……あ、あれ? 頭痛が……消えた?」
キョン「サービスだ、寝起きにゃ少し過激だったかもしれないから反省の意味も込めてな」
古泉「……ありがとうございます。これで今日も支障なく活動できそうですよ」ニコッ
キョン「あーそうそう、そのエセスマイルを浮かべときゃいいんだよお前は」
古泉「はい、どうも」
キョン「さて、次で仕掛人のドッキリは最後だな」
朝比奈「仕掛人なのにドッキリのターゲットなんですよね……」
長門「二律背反」
古泉「ただの矛盾ですね」
キョン「というわけで、最後の仕掛人、朝倉涼子を起こしにいきたいと思います」
長門「急がなければ彼女はもうすぐ起床する時間」
キョン「ああ、こうしちゃいれん、とびきりの朝を用意してやるぜ!」
古泉「つぎは、どのようなドッキリを?」
キョン「ああ……それはっ!」
キョン「題して『偽サプライズドッキリ』ってところだな!」
古泉・朝比奈「「???」」
キョン「ま、驚かせる自信はあるさ」ニヤァア
朝比奈「(ま、また悪い顔だ……)」
ここまでー
今日中にはとーかー
とうかー
キョン「というわけで、やってきました朝倉の部屋前」ボソボソ
長門「急いだ方がいい、まもなく」
キョン「ああ、目覚めちまうみたいだからな、っし、この際派手にやっちまおう!」
キョン「この後は大本命のハルヒもいることだし、パパッとな! な!!」
古泉「はぁ……朝から何を……」
朝比奈「ま、まぁ古泉くんやわたしのよりはマシかな……」
古泉「そういえば朝比奈さんはどんなドッキリを?」
長門「それは―――」
朝比奈「さあ、行きましょう古泉くん! ドッキリさせますよ!」
古泉「?」
キョン「触れちゃいかんのだ、古泉よ……というわけで」
キョン「お邪魔しまーす」ガチャ
長門「……今度はあなたも入る?」
キョン「朝倉に遠慮は不要だ」スッ
長門「そう」
古泉「(……後で怒られそうですね)」
朝比奈「(寝てる女の子の部屋に入るのも大概アウトですよね……)」
キョン「さぁって……『偽サプライズドッキリ』開始だ」
長門「……」コクリ
キョン「……」
朝倉「……」
キョン「……これ、寝てるのか? 呼吸してないように見えるが……」
長門「そもそもインターフェースに人間的な行動は不要」
古泉「なるほど……同じ価値観で考えるのがそもそも間違いである、と」
長門「そう」
キョン「まぁ、寝てるならなんでもいいか……」
朝比奈「キョンくん、こっちはオッケーです」
古泉「同じく」
キョン「よし、それじゃメイクアップだ」パチッ
長門「……」スッ
パァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
朝比奈「わぁあ……すごい」
古泉「まるで前々から用意していたかのようですね」
キョン「よし、みんな手に持ったか?」
朝比奈「大丈夫です」
古泉「いつでもどうぞ」
長門「準備はできている」
キョン「じゃ……いくぞ」
キョン「3……2……1!!」
パパパッパッパァーーーーン!!!!!!!!!
朝倉「何っ!!?!?!? 敵襲!!?!?!?!?!?!?!?」ガバッ!!!
パチッ
朝倉「っ、なに……って何!!!?!?」
朝倉「キョンくん!? 長門さん!? 朝比奈先輩に古泉くんまで!?!? あ、あたしの部屋よねここ!?」
朝倉「一体なにが……ん? ハッピー……?」
キョン「ハッピーバースデー朝倉!!!!」
朝倉「…………え?」
キョン「はい、せーっの!!」
朝比奈「ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー」
朝倉「ちょ」
古泉「ハッピバースデー、ディア朝倉さーん」
キョン「ハッピバースデートゥーユー……」
長門「おめでとう、朝倉涼子」パチパチパチパチ
キョン「いやぁめでたい! 実にめでたいね!」パチパチパチパチ
古泉「生を祝う日ですからね」パチパチ
朝比奈「はい、花束です」
朝倉「えっ、あの……どうも?」
キョン「水臭いじゃないか朝倉、今日が誕生日だったなんてよ!」
古泉「ええ、長門さんに聞くまで存じ上げませんでした」
朝倉「いや、あたしそもそも誕生日とk」
長門「これ、みんなで朝早くから作ったケーキ」
朝倉「」
キョン「それに見ろ朝倉! みんなでこの部屋も飾り付けたんだぞ、バースデー仕様に!」バッ
朝比奈「ばれない様するのが大変でしたぁ」
古泉「その苦労も、こうして大いに報われたからいいではありませんか」
キョン「それもそうだな」ハハハ
朝倉「え、と……あ、あははは」
朝倉「(ちょっとこれどうなってんのぉぉぉおぉぉおおおおお!!?!?!?)」
朝倉「(いきなり寝起きでハッピーバースデーって何!!? サプライズするにしてもtpo考えなさいよぉおおおおお!!!!)」
朝倉「(ていうかそもそもあたしに誕生日なんてないわよ!!!!!! あったとしても全然今日が地球に来た日じゃないし!!!!)」
朝倉「(長門さん!!? 長門さんなんでそんなウソを……!?)」チラッ
長門「……」グッ
朝倉「(いやグッ、じゃないわよぉぉおおおぉおおお!!! どこに気を回したらこんな気まずい状況つくりだせるのよ長門さん!!!!)」ソワソワ
朝比奈「はい、朝倉さん。急だったからこんなものしか用意できなかったけど……みんなからのプレゼントです」
朝倉「あ、ありがとうございます……なんですか、これ?」
キョン「SOS団ボールペンだ!! 急だったからそんなもんしか作れなくて悪いな」
朝倉「(い、いらねぇええぇえええええ!!!! なんでプレゼントにボールペンを作るのか!!?)」
朝倉「(100歩譲って渡すにしても買うでしょ普通!!!! 逆に時間結構あるじゃないの作ってんなら!!!!)」
古泉「それと、これは圭一さん達からのプレゼントです」
朝倉「け、圭一さん達まで!? これは……?」
古泉「機関バッジです。手持ちのものになってしまい申し訳ありませんが、気持ちだけでも、と」
朝倉「(だからいらねぇええええええ!!!!! ほんとに気持ちだけの方がよかったわよ!!!!!)」
朝倉「(ていうかなんでみんな自分が所属してる所のモン渡すのよ、勧誘? 新手の勧誘なのこれ!?)」
長門「朝倉涼子、これ……」
キョン「それは、長門個人からのモンだ。一番朝倉と仲いい長門だからな」
朝倉「……これは」
長門「包丁。事前に知っていた私はプレゼントを用意することができた」
長門「最高級の包丁。これからもこれで料理をつくってほしい」
朝倉「…………長門さん」
キョン「……よかったな、朝倉」
古泉「微笑ましい友愛ですね」
朝比奈「グスッ……よかったですね」
朝倉「…………」
朝倉「(これは逆に本気すぎて誕生日じゃないってことが言えない!!!!!!!!!!)」
朝倉「(ていうかなんで長門さんが一番ガチなのよ!!? ほんとになにがしたいのよ長門さん!!?!?)」
キョン「ささ、朝倉ケーキ食べて食べて」
朝倉「う、うん……いただきます」パクッ
朝倉「……うん!」
朝倉「(普通にまずいし! 朝から作ってるから時間なくて碌に味見しなかったのね……新川さんにあとで作ってもらったらよかったのに!)」モグモグ
長門「おいしい?」
朝倉「! ええ、とっても! よかったら長門さんも食べる?」
朝倉「(これで長門さんに処理を……)」
長門「いくらわたしでも自重する。今日はあなたの誕生日」
朝倉「……そう」
キョン「あ、ローソクの火消すやつ忘れてた! やっちまおう!」ブスッ
朝倉「(今食べてるのに!!?!? 間悪っ!!)」
キョン「ファイアー」パチッ
朝倉「え、えーと……それじゃあ」
朝倉「フーー!」フッ
キョン「いぇーーーい!!! あっさっくっらっ!!!! 誕生日ふっふー!!」ババッ!
朝倉「きょ、キョンくんまだ朝早いからあんまり騒いじゃ……」
古泉「お誕生日おめでとうございます!!!!!」バッ
朝倉「(古泉くんもうるせぇええぇえええ!!!! あなた空気読める人だったのになんで急にそんな空気読めない人になったの!!?)」
朝比奈「あっ、じゃあ写真とりましょう写真!」
朝倉「えっ、そ、そこまでしてもらうわけには……」
朝倉「(本当にこの日が誕生日ってことで引き返せなくなっちゃうじゃない!!)」
朝比奈「そう言わずに……はい、ケーキ食べてるとこ撮りますよー」
朝倉「……はい」
朝倉「(まずいから食べたくないんだけど……)」
朝比奈「笑ってー」
朝倉「は、はは……」
朝比奈「はい、チーズ!」パシャ
キョン「いえーっ!! お誕生日いぇー!!」ドンドンピーヒャラ
古泉「いやぁめでたいめでたい!!! 祝い事ですねーっ!!!」
朝倉「(……この状況から抜け出したい)」
朝倉「……ご、ごちそうさま」
キョン「完食か!! そんなにうまかったのか!!」
朝倉「ええ、ええとっても!」
長門「わたしの口には合わない味だった」
朝倉「え」
キョン「みんなで試食した時も大分不評だったからな」
朝比奈「ものすっごい乾いたスポンジみたいな感じでしたね」
古泉「しかし、舌にあったようでよかったです」
朝倉「…………」
朝倉「(バカなの!!?!?!?!? 誰の舌にも合わないようなケーキ誕生日に出さないでよ!!!!!!)」ガーーン!!!!
キョン「よし、プレゼントも渡した、ケーキも食べた、写真も撮った」
長門「あとは……」
朝倉「(ま、まだ何かあるの?? そろそろ本当のこと言わないと!)」
朝倉「あ、あの!」ガタッ
キョン「ネタばらしぐらいか」
朝倉「実は――――――は?」
古泉「ええ、ネタばらしくらいでしょう」
朝倉「え、え? ね、ネタばら……え?」
朝比奈「そうですねえ、ネタばらししましょうか」
朝倉「…………あれ?」
キョン「えー……朝倉、これは俺達が朝倉に仕掛けた」
キョン「『偽サプライズドッキリ』でしたーっ!!」テッテレー!!
長門「【ドッキリ大成功】」
朝比奈「長門さんそれいつの短冊ですか……?」
朝倉「…………」
朝倉「はぁぁあぁあぁああああああぁあああああああああぁああああ!!?!?」
古泉「(あ、刺される……??)」
キョン「ビックリしたか?そう、それがドッキリだ」
朝倉「ちょ、え、なんで、なんであたしにドッキリしかけてるの!?」
朝倉「涼宮さんにするんじゃなかったわけ!?」
キョン「どうどう、落ち着けそう、この後のドッキリにはお前も参加してもらうぞ」
キョン「というか朝比奈さんも古泉もドッキリに引っかかった後だ」
朝倉「え、そうなんですか?」
朝比奈「ええ」
古泉「してやられましたよ」
キョン「ハルヒにドッキリするついでにみんな起こしながらドッキリをするという画期的なアイデア」
キョン「まさに一石二鳥、一度で二度効くドッキリ作戦!」
朝倉「いやそれは意味わかんないけど……はぁーっ、よかったぁ」
朝倉「誕生日でもないのにあんなことされたら焦るわよ、わたしじゃなくても」
キョン「いいじゃないか、プレゼントも貰えたんだし」
朝倉「ああ、返しますこれらは」ポイポイッ
キョン「ああ、ボールペンが……」オロオロ
古泉「ああ、バッジが……」オロオロ
朝倉「長門さん、この包丁は……どうしたらいいかしら?」
長門「もらって」
朝倉「で、でもわたし誕生日でもなんでも……」
長門「プレゼントするのになにか理由がいる?」
朝倉「!!」
キョン「長門の言う通りだ、日ごろの感謝とでも受け取ってやれ」
朝倉「長門さん……ありがとうございます」
長門「……」コクリ
キョン「じゃ、ついでにこのボールペンを……」
朝倉「試し切り、してもいいかしらぁ?」ギラッ
キョン「古泉に刺しておこう」ブスッ
古泉「ア――ッ!!!」
キョン「よし、これで仕掛人は揃ったな、よもや全員がハルヒの部屋の前にいるとは思うまい」クックック
朝倉「どっちかというと仕掛けられ人の方が多いんだけど」
キョン「いざゆかん、打倒涼宮ハルヒ!!」
朝比奈「た、倒しはしないですよぉ!」
古泉「それで、涼宮さんにはどんなドッキリ……を」
朝倉「あっ……」
キョン「それはだな……もう、各々がもつ不思議パワーを思う存分―――」
ハルヒ「不思議ッ!!!? どこどこ!!?!?」ガバッ
キョン「……何故ハルヒがここにっ!!?!?」
ハルヒ「何故ってそりゃあたしの部屋の前だからでしょ、むしろなんでアンタ達がここにいんの?」
キョン「いや、間違えた。何故もう起きてるんだ?」
ハルヒ「あ、起こしに来てくれたの? でも大丈夫よ、あたし体内時計は誰よりも正確だからいつも通り起きただけよ!!」
朝比奈「あ、もう6時か……起きててもおかしくない」
朝倉「昨日あれだけ酔いつぶれていたのに……」
ハルヒ「あーそれね、そのせいであたし記憶がすっぽり抜けてるのよねぇ……」
キョン「あれだけ記憶はしっかりしてると豪語したくせに」
ハルヒ「なーんかあんたにおぶってもらったような記憶はあるんだけど……」
キョン「ん? いや俺は―――」
朝倉「そ、そう! 涼宮さん潰れちゃったからキョンくんに部屋まで運んでもらったのよ!」
ハルヒ「へーそうだった……ってキョンに!!?!??」
キョン「いや、だから―――」
ハルヒ「あたし起きたら服着替えてたんだけど!!?!?!?」
朝倉「あ」
朝比奈「ひ、ひぁ……//////」
古泉「おやおや」
ハルヒ「…………キョン、あんた―――ッ!!」
朝倉「キャーー!! キョンくんのエッチーー!!!!」バッゴォオン!!!
キョン「いやなんで俺ぇえええええええええぇええええええええ!!?!?!?」
朝倉「(ふん、これでドッキリの仕返しはすんだわ!!)」スッキリ
キョン「(とか、思ってやがるな、これは)」
ハルヒ「ふん!!」バゴッッ!!
キョン「ガバッッッ!!!て、結局二回くらうのかよ」ガクッ
朝比奈「涼宮さんおきてちゃいましたね……」
古泉「我々のドッキリに時間を取り過ぎたせいでしょう。本末転倒とはこのことですね」
ここまでー
頭痛が甘いとおかしいからね、夜には投下―
投下―
ハルヒ「さて、ちょうどみんな集まったことだし今日の予定でも決めましょ!」
古泉「そのことなんですが……」
キョン「生憎なんだが、ハルヒ。部屋に戻って外見てみろ」
ハルヒ「え……まさか!」ダダダッ
朝倉「なんか喜んでなかった?」
ハルヒ「あーっ!!! やっぱり!! やっぱりきた!!! きたのね!!」
ハルヒ「キョ――――ン!!!! 嵐!!! 外は大荒れよ!!」ダダダッ
キョン「知ってるとも、お前が潰れた夜更けからずっとこの調子だ」
古泉「よって外での活動は制限されてしまいますね」
ハルヒ「うぅー……まぁ、クローズドサークルの犠牲としては仕方ないものだしね!」
ハルヒ「みんな! 今宵この館で事件が起こる可能性は大よ!!! 心して掛かりなさい!!」
朝倉「(何によ)」
朝比奈「じゃあ室内でなにかするんですかぁ?」
ハルヒ「そういうことになるわね、なにかできるかしら?」
古泉「そういうことでしたら、確かここには遊戯室があったはずです」
朝倉「本当になんでもあるのね」
古泉「圭一さんに言って貸してもらいましょう。さあ、まずは朝食に参りましょう」
ハルヒ「さんせーい!! もちろん朝食も期待していいのよね!?」
古泉「もちろんです、新川さんに間違いはありません」
長門「……」スチャ
ハルヒ・朝比奈「「マイナイフ、マイフォーク!!?!?!?」」
ハルヒ「有希……あんた意外とちゃっかりしてんのねー」
朝倉「長門さんは食べることが趣味みたいなものだから……」
朝比奈「でも昨日の夕食はとってもおいしかったですよね」
長門「万里ある」
ガヤガヤ
古泉「……さて、これで涼宮さんが望んだ状況が完成したわけですね」
キョン「ああ、そうなるな」
古泉「いやはや、まさか、とは言いませんが。本当に嵐が吹き荒れるとはね」
古泉「今更ですが驚嘆ですね、涼宮さんには」
キョン「んー、まぁそうだな」
古泉「やけに歯切れが悪いですね、どうかなさいましたか?」
キョン「いや、確かにこれはハルヒの望みが作り出した状況に相違ないが……」
キョン「どうやら……ハルヒ以外の『力』が働いている」
古泉「なんと……涼宮さん以外にもこの状況を作りたがる存在がいる、と」
キョン「ハルヒと違ってありがちなミステリーを望んでるような連中じゃなさそうだがな」
キョン「古泉、七夕の日に過去に飛んだ話をしただろ」
古泉「ええ、既定事項を行うために過去へ行かれた、と」
古泉「そしてその時、朝比奈さんの時間跳躍を妨害しようとした者がいた、とも聞きました」
古泉「これはつまり……」
キョン「ま、そいつらの仕業だろうな」
古泉「……」
古泉「目的は涼宮さんとして、何故このような涼宮さんの願望に加担するようなまねを?」
キョン「真意は知らんが、恐らくは涼宮ハルヒをこの孤島に永続的に閉じ込めておくこと」
古泉「閉じ込めておく……それは『力』を封するということでしょうか」
キョン「まあ、つまりは涼宮ハルヒという存在の否認、抹消を目的としている可能性が高い」
古泉「……確かに、涼宮さんの存在を良しとしない組織も少なくありません」
キョン「その辺は解釈の違いだ。お前らだってハルヒを神と定義してるわけだし」
キョン「まぁ、向こう側もこの程度で本気でハルヒが消えるだなんて思っちゃいないだろうがな」
古泉「今はまだ、ですか?」
キョン「小手調べ、傍観の段階だ。姿も現さず向こうからアクションをとることもしてこない」
キョン「あくまで俺達の行動を妨害する行為に留まっているからな。こっちがなにもしなけりゃ向こうも動かないだろう」
古泉「……あなたは、既に相手方がどのようなモノなのかご存知なのですか?」
キョン「……さあな、知ろうと思えば知ることはできるだろう」
古泉「では、何故そうしないのです?」
キョン「古泉、俺がいつも『仲良くしたい』と言っているのはなにもSOS団だけのことじゃない」
キョン「例えハルヒを良く思っていない連中だとしても同じだ」
古泉「……実質的な損害が出てからでは遅いのでは?」
キョン「……朝倉にも言われたよ、けどそんなことは俺がさせん」
キョン「前回にしろ今回にしろ、俺がいる状況では向こうも安易には手出ししないみたいだしな」
古泉「……そう、ですか」
キョン「不満か?」
古泉「……いえ、あなたの考えを僕が非だと言う権利も力もありませんので」
古泉「それに、あなたがそう言うならば、信頼できる根拠がある。これまで経験から、ね」
キョン「そうかい、褒め言葉として受け取っておこう」
古泉「では、今のところは予定通りである、ということでよろしいですか?」
キョン「結構結構、存分にハルヒに注意を向けてくれて構わん」
古泉「了解しました」
キョン「ただ、俺から注意を逸らすとその身に何が降りかかるか分からんぞ?」
古泉「理不尽ですね……外部よりもあなたの方が恐ろしいとはこれ如何に……」
ハルヒ「ん~、やっぱおいしいわね!! さすが新川さんだわ!」
長門「……」モグモグモグモグ
朝倉「な、長門さん朝からそんなに食べて……」
森「お飲み物はいかがですか?」スッ
古泉「……森さん、それアルコールなのでは?」
森「お飲み物はいかがですか?」ゴオッ
古泉「……ご勘弁を……ま、まだ朝の7時前ですから……お願いします」
森「しかし、ご友人は飲まれてますよ?」
古泉「え?」
キョン「かんぱーい!!!」チンッ
長門「乾杯」チンッ
朝倉「なにやってんのアンタ達はぁあぁああああああ!!! どこに朝からアルコール飲む高校生がいるのよぉおおぉおおおお!!!!」
古泉「…………」
森「でしょう?」
古泉「……いや、でしょう?ではなく……勧めないでください」
ハルヒ「こらーっ!!! アンタ達なに朝からアルコール飲んでんのよ!!!!!」
朝倉「ほら! 涼宮さんからも注意が―――!」
ハルヒ「あたしにもよこしなさい!!!!!!!」
朝倉「お約束ぅぅぅううぅうううう!!!!!! 涼宮さんそれベタすぎるわよ!!!!!!」
キョン「ほれ、そんじゃ改めて……かんぱーい!!」
ハルヒ「かんっぱーーーい!!!!」
長門「……」ゴクゴク モグモグ
朝倉「……ぁああああ」
圭一「……若いよいうのは、罪なものだね」シミジミ
裕「うーん、若さって無謀なんだね、兄貴」
古泉「ちょ……森さ、無理、無理で、すって!!」グググッ
森「はいかんぱーい、どうぞ飲んで飲んで」グググッ
圭一・裕「「(あれはただのアルハラだけど……)」」
ハルヒ「だからぁ、ぅあたしはぁ……えすおーえすだんのぉだんちょーだからぁあ!」フラフラ
古泉「」チーン
朝倉「……」
キョン「……うん」グビッ
朝倉「うん、じゃないわよ!!! 朝から二人も潰してるじゃない!!! 遊戯室行くんじゃないの!?!?」
ハルヒ「ゆうぎぃ!? そんなことよりあたしとあそばんかぁあ!!!」ガバッ
朝倉「ちょ、涼宮さん抱きつか……キョンくん!! なんとかなさい!!」
キョン「そうだな、そろそろ遊戯室で遊ぶとするか」
キョン「ほら、醒めろハルヒ」スッ
ハルヒ「あ!?……あれ、あたしなんで朝倉さんに抱きついてんの??」
朝倉「も、もうそれはいいですから……離れてもらっていいですか?」
ハルヒ「あ、ごめんなさい……キョン、この状況は?」
キョン「朝食を食べていただけだが?」
朝倉「嘘つけ!」
ハルヒ「古泉くんはどうして寝てるの? 今から遊ぶのに」
キョン「おぉ、そうだな。起こしてやらんといかんなぁ」
朝倉「穏便にね!!! 優しくね!!!」
キョン「古泉ー遊戯室いくから起きろー、おーい」ズルッ
朝倉「!!?!?」
古泉「……ぅ」
キョン「……起きろっ!」バチッ
古泉「ウブッ!!……お、おはようございます」
キョン「酔いは?」
古泉「……大丈夫です、あなたの一発で覚醒しました」ヒリヒリ
キョン「よし、朝倉これでいいだろ?」
朝倉「…………なんで」
朝倉「なんでズボンずらす必要があったのよぉおおぉおおおおおおお!!!!! ビンタするなら関係ないでしょ!!!!!」
古泉「!!! し、失礼しました! き、気づかず……」
キョン「まったくだ、古泉しっかりしろよ」
古泉・朝倉「「(あなたの)キョンくんのせいでしょう!!!!!」」
朝比奈「(……お酒、飲まなくてよかったぁ)」ホッ
ハルヒ「はーっ、ここが遊戯室ね!」
朝倉「なんか……ギャンブル類が多いような気がするけど……」
古泉「さて? ここにあるものは自由に使ってもらって結構です」
長門「……」チョイチョイ
キョン「ん? 長門なにかしたいものでもあるのか?」
長門「これ」
キョン「麻雀か、古泉打てるか?」
古泉「僕で良ければ」
ハルヒ「じゃあたしも打つ!!」
キョン「ルールは知ってんのか?」
ハルヒ「知らない!」
長門「知らない」
キョン「じゃ教えながらやるか」
古泉「……」
古泉「(もしかして、この卓はものすごい化け物揃いなのでは?)」ゾクッ
朝比奈「これ、なんですか?」
朝倉「これはダーツですね、これをあの的に投げて点数を競うんです、こうやって……」スッ
朝倉「えいっ」ピュッ
ドゴッッッ!!
朝倉「」パラパラ
朝比奈「」
朝倉「……」チラッ
古泉「ええ、ですからこの場合彼が一位となります」
ハルヒ「なるほど、奥が深いわね!」
朝倉「……直しておこう」スッ
朝比奈「……あの、今のは何点ですか?」
朝倉「……計測不能です、もっとゆっくり投げたほうがいいみたいです」ガクッ
朝比奈「わ、わたしもやってみようかなぁ……」
朝倉「……そうですね、麻雀やってる間暇を潰しておきましょうか」
長門「……」トン
キョン「……」トン
古泉「……」トン
ハルヒ「! リ―ッチ!!!」バン!
キョン・長門「「ロン」」パラッ
古泉「四暗刻と数え役満……疑似的なダブル役満ですね……」
キョン「いや、俺は単騎待ちだから元々ダブル役満、合計トリプル役満でぶっ飛びだな」
ハルヒ「きぃいいぃいいいいいぃぃいいぃぃいいいい!!!!!!」
ハルヒ「勝てない!! キョンや古泉くんはともかくとして初心者の有希にも勝てない!」
古泉「(思い切り狙い撃ちされてますからね……)」
ハルヒ「キョン!! しかもアンタトリック使ってるでしょ! じゃないとそんな鬼ヅモありえないわ!!」
キョン「バッカ、麻雀でそんな野暮な真似するかよ!」
キョン「俺は、正々堂々と、麻雀でイカサマとされる行為をやっているだけだ!」バーーン!!!
ハルヒ「トリックじゃないの!!!!!!!」
キョン「違う!! これは頑張ればタネも仕掛けもわかるやつだから!!! 頑張って見抜け!! な!!」
ハルヒ「そういう問題じゃないでしょ!!!! ていうか初心者相手にズルしてまで勝とうとすんな!!!!!」
キョン「で、積み込みってやつはだな……」
長門「……なるほど」
ハルヒ「初心者にイカサマをレクチャーすんな!!! ていうかあたしにも教えなさいよ!!!!!」
古泉「イカサマありきの麻雀ですか……いやはや恐ろしい」
朝比奈「これは、どうやるんですか?」
朝倉「これはビリヤードって言って、こうやって……」スッ
朝倉「えいっ」ドンッ!!
カッ!!! ッッバーーン!!!!
朝倉「」
朝比奈「……これは本当に破壊するゲームなんですね」
朝倉「違います!! 違います朝比奈先輩!!!」
長門「……」トン
ハルヒ「……」トン
古泉「……」トン
キョン「……きた、きたきたきたぁああああ!!! ロン!!!」パラッ!!
ハルヒ「同じく!!! ロン!!!」パラッ
長門「ロン」
古泉「ットリプルロン!!? これは流局じゃ……」
キョン「ハルヒ!! トリロンはありだよな!!?」
ハルヒ「よくわかんないけどあり!!!」バーン!!
古泉「なんとっ!!?」
キョン「よーーし!! 白一色!!!! 126000点!!!!!」
古泉「なんとっ!!?!?!? な、なんですかその役、というか何故白がそんなに!!?!?」
ハルヒ「見て!!! 東南西北白撥中天地777(トリプルセブン)!!! 800000点!!!!」
古泉「何故存在しない牌がっ!!?!?!?」
キョン「あっはっは、なんだその点数」ゲラゲラ
古泉「あなたも大概なんですが……な、長門さんは」
長門「……ロン、十三色制覇道(レインボーロード)、10000000点」パラッ
キョン「でたぁああぁああああ十三色制覇道だぁああぁああああああ!!!!!!!!」
ハルヒ「な、なにそれキョン!!?!?」
キョン「知らん!!!」
ハルヒ「このカラフルな上がりは……ッ虹ッ!!?!?!?」
古泉「というか皆さん存在しない役に存在しない牌をどこから持ってきたんですか!!?!?」
ハルヒ「……リ―ッチ!!」バンッ!!
キョン「……ふっ」
ハルヒ「な、なによ、その笑いは」
キョン「古泉、長門」
古泉・長門「「……」」コクリ
キョン・古泉・長門「「「ロン」」」
ハルヒ「なっ!!!」
キョン「これは、三人が同時にロンすることで、できあがる役……」
古泉「意志疎通がなければチョンボ扱いになってしまいかねない危険な役です」
ハルヒ「そ、そんな役が……」
長門「役の名は――――――」
キョン・古泉・長門「「「回鍋肉(!!!!!!!!!)」」」」
ハルヒ「ほ、ほいこ……ただの料理名じゃないのそれぇ!!!!!!!!!!!」
キョン「まさかオーラスで回鍋肉がでるとはな」
古泉「ビックリです、SOS団の絆あってこその上がりでしたね」
ハルヒ「ハァ……で、点数は?」
長門「300点」
ハルヒ「点数低っ!!!!!!!!! あんだけ大層に祭り上げて300点なの!!?!?」
キョン「ああ、だから誰も狙わないし、今まで誰かが上がったという話も聞いたことがない」
古泉「理論上は存在するはずの役……それが回鍋肉なのですよ」
ハルヒ「いや理論上じゃなく普通に存在するわよ回鍋肉!!?!? なんなら合宿前に食べてきたけど!!?!?」
長門「点数と上がり確率の点から狙ってあがる者はいなかった」
ハルヒ「でしょうね!!!!! あんたらが300点でオーラス終わらしたから結局あたし一位で終わったんですけど!!?!?!?」
キョン「まぁまぁ、おかげでいい時間じゃないか。古泉そろそろ夕食の時間だろう?」
古泉「ですね、遊戯はここまでにして夕食に向かいましょうか」
ハルヒ「みくるちゃーん! 朝倉さーん! 夕食にいくわよーっ!!!」
朝比奈「あ、はぁい」
朝倉「ちょっと待って!! 今黒の13に全賭けなの!!!!」
キョン「いやそれ一人でノーレートでやって楽しいもんじゃないだろ……」
圭一「やあ、室内遊戯は楽しめたかな?」
ハルヒ「ええそりゃあもう!! これで事件でも起こればもう大満足なんだけどね!」
裕「はっはっは、面白いことを言うね」
朝倉「穏便にいきましょうよ……」
古泉「あの……森さん、今夜はノンアルコールで……」
キョン「かんぱーーい!!!」カチン
長門「乾杯」カチン
古泉「遅かった!!?!?!?」
森「さあ、どうぞ」グイッ
古泉「せ、せめてじ、自分で……ゴッ!!!」
ハルヒ「今夜も騒ぐわよーっ!!」
朝倉「程々にね……」ハァ
圭一「お祭り騒ぎは大いに結構……ただ」
圭一「僕はそろそろ失礼させてもらおうかな、先に食事はいただいたことだしね」
キョン「そうですか? じゃあ俺達はここで夕食をいただいてるんで、なにかあったら言ってください」
朝倉「何かあったところで何かできるわけじゃないでしょうに……あ、できなくもないのね」
圭一「はっはっは、頼もしいね、是非そうするとしよう」
森「お休みなさいませ、ご主人様」
圭一「ああ、お休み」
朝比奈「ふわぁ……本当に言うんだ」
キョン「潰れてて聞けなかったんですね」
圭一「それじゃあみんなも、お休み」チラッ
古泉「はい、お休みなさい」ニコッ
ハルヒ「圭一ィ!!どこ行くのよぉ!!!!! あたしがまだ飲んでんでしょーが!!」
圭一「おっと怖い怖い、さっさと失礼した方がよさそうだ」
裕「それじゃあ僕も……?」ガシッ
長門「逃げない方がいい」
裕「えぇ……」
朝倉「(ははぁ、裕さんを潰したのは長門さんだったわけね……なぜかは知らないけど)」
ここまでー
投下―
ハルヒ「スピー、スピー……」
朝比奈「うーん、ウーン……」
古泉「」
朝倉「なんてデジャヴ……」
長門「……」モグモグ
キョン「そろそろ俺達も寝るとするか」
キョン「仕込みも、終わったようだしな」チラッ
森「ふふっ、おやすみなさい」
裕「ああ、良い……夜を」
朝倉「(裕さん、今日はなんとか持ちこたえたみたいね)」
キョン「(そりゃここで潰れてたら明日の推理ゲームに支障がでるからな)」
朝倉「(ああ、なるほ……勝手に脳内に話しかけないでよ)」
キョン「(悪い、癖だ)」
キョン「それじゃ昨日と同じく、俺は古泉を運んでいくか」ヒョイ
朝倉「普通に持てるんなら昨日もそうすればよかったのに……よいしょっと」
ハルヒ「んん……みくるちゃん??」
朝倉「真っ先に朝比奈先輩を潰しておいてこの口は何を言ってるのかしら?」
長門「……」スッ
朝比奈「ん……ウーン」
キョン「それじゃ、おやすみー」
朝倉「ええ、おやすみなさい」
翌日
ハルヒ「ん……まだなんかボーっとするわ……」
キョン「飲みすぎだ飲みすぎ。の割に朝食にはきっちり起きてきやがって」
ハルヒ「あたし、そういうトコはキチっとしてるから!」キリッ
朝倉「もっと別のトコロできっちりしてほしいですけどね」
古泉「ともあれ、今日も生憎の雨ですね、全くもって遺憾です」
ハルヒ「そーよそうなのよ!! 全くどこのどいつよ! 迷惑な雨降らしは!!」プンスカ
キョン・朝倉「「(大体『お前』あなた『だろ』よ……)」」
長門「……」モグモグ
裕「何度見てもよく食べるね、それも朝からこんなに」
朝倉「…………」
キョン「どした朝倉?」
朝倉「……いえ、裕さんは朝食にでてるけど圭一さんがきてないと思って」
新川「そのことですが……」スッ
朝比奈「わっ、新川さん」
新川「我が主は朝には弱い方でして……朝食を抜くこともしばしばあるのですが」
新川「こちらからの連絡には決まって返事をなさるのです」
新川「しかし今日はこちらからの連絡に応答なさらず、部屋をノックしても返事がなく」
新川「主と連絡が取れない状況になっているのです」
ハルヒ「…………ついに、来たのね」
ハルヒ「館の主、殺人事件!!!」
キョン「間違っても喜んじゃいないよな?」
ハルヒ「そんなこと言ってる場合!? 事態は一刻を争うのよ!!? みんなで圭一さんの部屋に向かいましょ!!」
ハルヒ「いくわよっ! みくるちゃん!!!」バッ
朝比奈「わゎっ!! ま、まだ食べて……涼宮さぁん!!」ズルル
朝倉「……こういう筋書きね」
キョン「言うなら古泉に言ってやれ」
ハルヒ「けーいーちさん!! あーそーぼー!!!」ドンドン
朝倉「最早どこからツッコめばいいのか……」
ハルヒ「鍵は閉まってる……部屋からの返事もない……」
キョン「……ハルヒ、これは本当に何か起こっているんじゃないのか?」
ハルヒ「あたしは初めからそのつもりよ、本当に起きるとは思ってなかったけど……」
キョン「本当に?」
ハルヒ「……少しは何か起こるかと思ってたけど」
朝倉「本当に?」
ハルヒ「……ぶっちゃけ何か起こらなきゃ嘘でしょと思ってたけど」
長門「本当に?」
ハルヒ「……本当は逆になにか起こしてやろうかと思ってたけど」
キョン・朝倉「「やっぱり」」
ハルヒ「!! ゆ、誘導尋問よこれはぁ!!!!」アタフタ
古泉「しかし、中の圭一さんの様子は確かにおかしいです」
新川「部屋に入ろうにも部屋の鍵は主しか持ち合わせていないのです」
森「予備の鍵も全て圭一様が管理していて……」
ハルヒ「ふっふっふ、心配ないわ新川さん、森さん」
ハルヒ「SOS団にはマスターキーこと、完全犯罪を可能にする者、キョンがいるんだから!!」
キョン「……」
ハルヒ「……ハッ!!?」
ハルヒ「これ、事件だった場合キョンが犯人ってことよね!!? よね!!?!?」
朝倉「……確かに」
キョン「早とちりするなよ、というか勝手に俺を犯人に仕立て上げるな」
キョン「(まぁぶっちゃけ事件は中で起きちまってるけど)」
ハルヒ「ゲート、オープン!!!」バッ
キョン「……はいはい」ガチャ
バタッ!!
ハルヒ「圭一さん!! だいじょ―――!!!?!?」
朝比奈「へ―――え?」
古泉「圭一さ――――――なっ!!?!?」
朝倉「―――なっ、なんで」
森「……」
新川「……」
裕「なん、で……?」
キョン「……なんとまぁ」
圭一「」
キョン「」
キョン「俺と圭一さんがし、死んでる……!??!?」
朝倉「本当になんでよぉおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
ハルヒ「百歩譲って!! 本当になんで譲るのか分からないけど百歩譲ったとして!!!!!!」
ハルヒ「圭一さんは分かる!! 分かりたくはないけどね!!! でもなんでアンタが死んでるのかは皆目見当もつかないわよ!!!!」
キョン「いやぁ俺も何がなんだか……」
朝倉・ハルヒ「「ダウト!!!」」
朝倉「ていうかこっちのキョンくん生きてるし!!!! あっちのキョンくん死体だし!!! あなた一体どうなってるのよ!!」
キョン「いやぁ俺も何がなんだか……」
ハルヒ「もういいわよ!!!!」
古泉「圭一さん、しっかり!!!」
キョン「おい、俺の死体を無視しようとするな」
古泉「……長門さん、圭一さんの体温、分かりますか?」
長門「36度3分」
朝倉「(せめて触れる真似事ぐらいしないとバレるわよ!)」
キョン「ちなみに俺の今の体温は37度2分だ」
朝倉「平熱高めね、うん。すっごくどうでもいい」
新川「……事件が起こってからそう時間は経っておりません」
裕「そんな……兄貴……」
ハルヒ「本当に、殺人事件が……」
キョン「全くだ……俺が、死ぬなんて……」
朝倉「キョンくん、ややこしいから余計なこと言わないで」
朝比奈「あ、あっちのキョンくんはし、死んでて……こ、こっちのキョンくん、は??」
キョン「生きてます」
朝比奈「けっ、圭一さんは……??」
新川「……残念ながら」
朝比奈「……ひえっ」フラッ
ハルヒ「みくるちゃーん!!! 現場に3つ目の死体を作らないで―っ!!!!」
新川「とにかく、今は現場保存を優先すべきです、さ一度外に出ましょう」
キョン「あの……俺の片割れはどうすれば」
森「……でましょう」
キョン「あ、放置で……はい、了解です」
朝倉「余計なことするからよ」
ハルヒ「…………」
古泉「しかし、大変なことになりましたね……」
キョン「ああ、全くだ……」
古泉「……お言葉ですが、あなたのおかげで緊張感がまるでないように思えます」
キョン「……サンキューな」
朝倉「え!? 今誉めてないわよね!? 全然誉めてなかったわよね!!?」
食堂
新川「警察に連絡してみましたところ、この孤島への到着は少なくとも明日以降になるようです」
古泉「この嵐では、当然のことと言えるでしょう」
朝倉「船なんて出せそうにないものね」
新川「現場保存を行うように言われましたので、現場への出入りはご遠慮ください」
ハルヒ「キョン、出入り、よ。出るのもダメなのよ?」
キョン「死んでる方の俺に言ってくれ」
裕「……兄貴」ギュッ
朝倉「(……裕さん、一生懸命演技してるんだろうけど、誰も触れてあげないのね……不憫)」
古泉「……さて、この状況ですが」
ハルヒ「待って、古泉くん、ここからはあたしに言わせて」
ハルヒ「外は大嵐、死体には刺されたナイフ、外部犯の可能性も自殺の可能性も薄いときたら―――」
ハルヒ「圭一さんを殺した犯人は――――――この中にいる!!!!!」
新川「……」
森「……」
裕「……」
キョン「……だろうな、あと俺の方の死体については―――」
古泉「涼宮さんの言う通り、考えたくはないのですが、恐らく我々の中に殺人鬼が紛れ込んでいるようです」
朝比奈「」
朝倉「朝比奈さんが起きてたらまた卒倒しそうな話ね……」
キョン「だが、待て古泉」
古泉「なんでしょう」
キョン「俺を殺せるのは……俺だけだ!」
ハルヒ「はい、論破」ボッゴォオオォオ!!
キョン「物理的すぎるっっっっ!!!!!」グッシャァアアア!!!
朝倉「事件と死体を増やさないの!!」
森「…………あの」
ハルヒ「家政婦は見た――――っ!!!!!!! 森さん!! 何か!! 何か見たのね!!!」
キョン「興奮しすぎだ、落ち着け」
森「はい……実は私……見てしまったんです」
森「裕様が……昨晩圭一様の部屋にいるところをっ!!!!!」
ハルヒ「なっ!! は、犯行現場に!!?」
キョン「それは、いつ、どんな風に?」
森「昨晩のことです。先に部屋に戻られた圭一様の元に会社の業務連絡でしょうか? そのような話を裕様が話されていました」
朝倉「あー確かに……20分ぐらい裕さんトイレから戻ってこなかった時あったわね」
森「私は用事で部屋の前を行き来していたんですが、なんどか通る内に開いてあった部屋の隙間から……」
森「大声で口論とが聞こえて……多分その後……刺したと」
ハルヒ「そんな……裕さん、本当、なの??」
裕「…………森さん」
裕「あなたが何故そんなウソをつくのか僕には分からないな」
ハルヒ「う、嘘!?」
裕「もしかして……真犯人である、新川さんを、庇っているのかな?」
ハルヒ「え!?」
朝倉「(一々リアクションするから騙しがいがあるんだろうなぁ……)」
裕「僕がトイレで抜けた20分間は、部屋で兄貴が新川さんに殺される現場を見てたから」
裕「とっさに動けなくて兄貴の部屋の前から去ったあと、自分の部屋で震えていたよ」
ハルヒ「裕さんに、新川さんが犯人の疑惑を……??」
森「……」
新川「……」
朝倉「あのー、じゃあなんで昨日目撃した時にあたし達に報告しなかったんですか?」
ハルヒ「!!!! それだっ!!!! どうして昨日の内に話してくれなかったの!?」
朝倉「(明らかに不自然でしょうに)」
裕「僕はアルコールが入っていたからね、悪い夢でも見ている気分だったよ。朝起きたら全て元通りになっているかも、なんてね……」
裕「実際は、こんなことになっていたわけだけどね……森さんはどうしてこのタイミングで?」
森「わたしも、裕様が実際に犯行に及ぶところを目撃したわけではありません」
森「大声の口論が収まり、その後なにもなかったように静かになったので、口論が静まったものだと……」
ハルヒ「で、翌日こうなっていた、と……ところで」
ハルヒ「放置されている、真犯人疑惑の新川さん、なにか言いたいことは?」
新川「いえ何も……ただ、裕様の申し上げていることについては」
新川「私の執事人生に誓って、覚えがない、と言わせていただきます」
裕「……」
ハルヒ「なるほどね……現時点では裕さんが若干犯人っぽいわね」
キョン「オッズは?」
長門「2.1倍」
キョン「んー……いやせっかくの合宿だし大穴の朝比奈さんに賭けるのもありか……」
朝比奈「」
朝倉「不謹慎すぎるでしょ!!!! なに犯人で賭博してんのよ!!! ていうか朝比奈さん死体としての完成度が高くなってきてません!!?」
ハルヒ「みくるちゃーん!!! このまま寝てるまんまじゃ死体か犯人になっちゃうわよーっ!!!」ユッサユッサ
古泉「ということは、この中の誰かが、もしくは全員が嘘をついている、ということでしょうか」
キョン「ああ、この中に俺の片割れを殺した犯人もいるってことだな」
朝倉「さっさとザオリクしてきなさいよ」
ハルヒ「ライアーゲーム……いいわ! 受けて立つ!!!」
ハルヒ「あたしがこの中から犯人を見つけ出してやるわ!!!!!! 絶対!!!!!」
キョン「ならハルヒ、まずはみんなの推理を参考にしてみたらどうだ? 色々な見方で考えられるし」
ハルヒ「なるほどね……じゃあ、古泉くん! あなたの推理を聞かせて!!」
古泉「了解しました。と、いっても憶測の域を出ない範囲で、ですが……」
古泉「まず、容疑者として挙げられたのが裕さん、新川さんの二人。そして森さんは証拠のない発言あり」
古泉「なお、お三方の発言については裏のとれる証拠などは一切なし……これはつまり」
古泉「素人の僕には、皆目見当がつかない、ということですね」
キョン「つかえねぇ」
ハルヒ「まぁ素人だからね!! いくら古泉くんといえど仕方ないわ!! 次、有希!」
キョン「(長門! ネタばらしの時間はまだだからな!! ここはうまく言い逃れてくれ!!)」
長門「(了解した)」
長門「……犯人はわたし」
キョン「(そ↑う↓きたかぁ~~~~!!!!)」
ハルヒ「うえぇええ!!?!? まさかの自白ぅぅううううう!!! ていうか有希が犯人!!?!?」
長門「カっとなってやった、反省はしている、後悔はしていない」
ハルヒ「有希でもカっとなることあるの!!? ていうか圭一さんにカっとなるほど思い入れなるの!!?!?」
ハルヒ「しかも後悔してないの!!?!? 今は満足感に満ち溢れてるの!!?!? SOS団から犯罪者が出ちゃうのぉおお!!?」
キョン「お、落ち着けハルヒ。長門ももしかしたら誰かを庇った発言をしているかもしれないだろ」
長門「……そう」
キョン「(そう、って言っちゃったよ、それ言っちゃダメなやつよ長門)」
長門「(迂闊、すまない)」
ハルヒ「あ、そうだったんだ……有希が自分を犯人としてまで庇いたかった相手……」チラッ
朝倉「……あ、あたし!!?」
ハルヒ「有希と仲いいし」
朝倉「で、でもあたし長門さんに庇われるようなこと絶対にないと思うな!!! うん、自分で言ってて悲しいけど!!」
長門「そう」
朝倉「言い切られちゃったわ!! ほら、もう言い切られちゃったわ!! あーあ!!!!」
ハルヒ「な、なんでやけくそになんのよ……」
ハルヒ「じゃ、じゃあ朝倉さんの推理を聞かせて」
朝倉「……別に推理ってほどじゃないけど」
朝倉「新川さんがさっき亡くなってから時間はそう経ってないって言ってたわよね?」
ハルヒ「ん……そうだったっけ? そんなこと言ってた……?」
朝倉「てことは森さんにしろ裕さんにしろ昨日犯行に及んだってことはないんじゃない?」
朝倉「犯行は今日の朝食の時間帯の少し前ってことになるんじゃないかしら?」
ハルヒ「うーん……なるほど、その可能性も加味して考えてみると一番怪しいのは……」
キョン「俺だな」バーン!
ハルヒ「キョンね!!」バーン!
朝倉「何故そんな方向に!!?!? むしろキョンくんも自覚あった!!?!?!?」
ハルヒ「だってもう分かんないわよ! 誰が犯人とか嘘をつく理由とか!!!!」
ハルヒ「ハッ!!! まさか本当にドロドロの愛憎劇が……」
新川・森「「ないです」」
ハルヒ「デスヨネー、ってダメダメ今は言うことを簡単に信じちゃダメ!」
ハルヒ「まずは疑いを持って言葉を噛みしめなきゃ……」
キョン「俺の推理を聞いてもらっていいか?」
ハルヒ「そうね、言ってみなさい」
キョン「ああ、まずは俺の片割れの死因についてなんだが――――――」
ハルヒ「圭一さんが殺害された理由も知りたいわね、誰かに恨みを持たれていたとか」
朝倉「こんな別荘を建てれるほどですもの、余程黒い事やってきたと思うなぁ」
キョン「…………死因は孤独死?」
古泉「茶番の茶番とでも言うべきなのでしょうか? そろそろあなたも真面目に推理に参加してください」
キョン「えーじゃあ犯人は―――」
古泉「それはまだ早いです」
キョン「考えてないだけだろ」
古泉「んっふ」
ここまでぇ
とうかー
ハルヒ「……ねぇ新川さん。もう一回現場に行っちゃダメ? 重大な見落としがあるかもしれないわ!」
新川「なりませんな。いかに団長殿といえどこればかりは」
ハルヒ「よね……うーん」
キョン「団長殿、このキョンめが部屋への侵入の手助けを―――」
古泉「こういう場合だけ従順な団員にならないでください」
ハルヒ「圭一さんが殺された理由は? 本当の犯行時刻は? そもそも森さん達の嘘の証言の意味は……?」ブツブツ
朝倉「本格的に推理に入ったわね」
キョン「ハルヒが考えている内にこっちも進めておくか」
朝倉「こっち、も?」
キョン「ああ、圭一さんではなく、俺の事件の方をな」
朝倉「まだ言ってる……いい加減に真面目にしないと涼宮さんからも古泉くんからも怒られるわよ?」
キョン「まあまあ、ハルヒの推理の間を持たせるだけだよ」
朝倉「というかそもそもなんでキョンくんが死んでいるのか分かんないんだけど??」
キョン「殺されたのさ……ここにいる誰かにな!!!」
朝倉「まぁ、確かにあたしには殺す理由があるけど、殺す方法がないわよ?」
キョン「サラッとなんて恐ろしいことを……まぁ聞け」
キョン「どのようにして俺が殺され、どのようにして俺が犯人を見つけたのかをな!!」
古泉・朝倉「「自作自演でしょう」」
キョン「それは言うな」
キョン「まず、俺が死んでいた理由だが、これは明白だ」
キョン「胸にナイフが刺さっていたから、だ」
古泉「当然ですね」
朝倉「キョンくんがその程度で死ぬとは思えないけど……まぁ納得しといてあげるわ」
キョン「じゃあその次、なぜ俺が刺されるようなことが起きたのか?」
長門「あなたに殺意を持つものが行動を起こしたから」
キョン「そう、そうだな、普通なら正解だ」
朝倉「ということは違うの?」
キョン「ああ、今回俺が殺されたのはただの事故なんだ。本来、俺は殺されるべき人物じゃなかった」
朝倉「でしょうね」
古泉「事故……それはまた突飛な……」
朝倉「でも事故にしては出来過ぎじゃない? 圭一さんと同じ死に方、同じ部屋で死んでいるだなんて」
キョン「いや、むしろその状況だからこそ起こりえた事故なんだよ、これは」
キョン「いいか、こっから先は圭一さん側のネタばれを含むからハルヒに聞こえない様小声で言うぞ?」
朝倉「なんでこっちの事故のおまけが圭一さんの事件みたいになってんのよ……思い切り逆でしょう」
古泉「(というより涼宮さんだけでなく皆さんに推理を楽しんでもらいたかったのですが……はぁ)」
キョン「いいか、事件があったのはまず昨日の晩だ。昨日の晩、もう一人の俺が館を見回りしている時にだな」
朝倉「なんかどうでもいい新情報がでたからツっこむけど、キョンくんわざわざ増えて見回りなんかしてたの? 意味あるのそれ?」
キョン「あるぞ、現に俺はその見回りで殺人事件が発生するところを目撃したんだからな」
朝倉「事件があるの分かってての見回りよねそれ、逆アリバイ作りみたいなものでしょそれ!」
古泉「……して、犯行時刻は昨日の晩、ということになるのでしょうか?」
キョン「……ああ、圭一さんの方もそういう設定だろ?」
古泉「……」
朝倉「黙っちゃったじゃない」
キョン「まぁ、その現場を目撃した俺は当然止めに入ろうとするよな」
朝倉「結果だけ先に見ると止めれてないどころかヤられちゃってるんだけどね」
キョン「いや、それがおかしいんだよ。俺は確かに刺されて死んだんだが」
朝倉「今更だけど言ってることが他人事すぎるわよ、それ」
キョン「ちゃんと刺されてから朦朧とする意識の仲、犯人が逃げていくのを確認して、そっから鍵をかけて息絶えたんだよ」
古泉「……つまり、圭一さんが殺されているはずがない、と?」
キョン「そうだ……これが俺の事件の全て、だ」
キョン「さあ、存分にこっから推理してくれて構わないぞ、俺と圭一さんを殺した犯人をな!」
朝倉「死ぬはずがなかった圭一さんね……古泉くん、これってあなたたちのストーリーにちゃんと沿ってるの?」
古泉「いえ、全く。彼の事件、いや事故が圭一さんの殺人事件にここまで関与しているとは思ってなかったです」
朝倉「ということは新川さんや森さん達機関の人にはキョンくんの息がかかっているってことね」
ハルヒ「動機……犯人……裕さん……」ブツブツ
朝倉「……涼宮さんにも同じ話してあげないと、彼女全く事件のこと分からなくない?」
キョン「いいのいいの、あいつの推理にお前達が補足していくことで事件は解決するから」
朝倉「本当に……?」
キョン「まあまあ、直に――――――」
ハルヒ「……この殺人事件、この涼宮ハルヒが解決したっっ!!!!」
キョン「ハルヒが的外れの推理を始めるからよ」ケラケラ
朝倉「笑ってる場合なの!?」
長門「麻酔銃の準備を」ゴトッ
朝倉「象でも眠らす気長門さん!? 対戦車砲型麻酔銃なんて聞いたことないわよ!!?!?」
キョン「じゃ俺は変声機の準備を……」スッ
朝倉「そんなメカメカしいTHE 変声機バレバレだから!! ていうか別にキョンくんが推理しても問題ないから!」
ハルヒ「くっくっく、皆さん……全ての謎はあたしが食べてしまいました」
長門「謎は食べれるもの? だったら残していてほしかった」
ハルヒ「あ、有希謎は食べられないわよ? 今のは比喩的表現でね、うん」
朝倉「変な言い回しに変に長門さんが食いついたわね」
キョン「食べてしまっただけに、うまい」
朝倉「やめてよ……恥ずかしい」
ハルヒ「まずは、犯行時刻!! 新川さんは亡くなってからそう時間は経っていないといったけど……」
ハルヒ「やっぱり違うわ! 犯行は昨日の晩、しっかり起きてたのよ!!!」
キョン「ほう……」
ハルヒ「昨晩、先に部屋に戻った圭一さんは寝るまで何らかの作業をしていた」
ハルヒ「そして、犯人に刺された」
朝倉「えらい飛んだわね」
ハルヒ「ただ、ここで刺されたとき、圭一さんは死んでなかったのよ!!」
ハルヒ「強い胸へのショックと流血で死んでしまったと勘違いしたのね!」
ハルヒ「それで朝まで気絶した状態だったわけ」
古泉「そして、そのまま亡くなった、と?」
ハルヒ「それはそうなんだけど、圭一さんは一度起き上がった……すると側には身に覚えのない死体が」
キョン「……」
朝倉「……」
ハルヒ「その死体をみた圭一さんは二回目の精神的ショックで二度と、起き上がることはなかった……つまり、犯人は―――っ!!」
キョン「ぎゃぁあぁあああああああ!!!! 俺ぇぇえええぇえええぇええええええええええええええ!!?!?!?」ガタガタ
ハルヒ「キョ―――って先にゆーな!!!! ってビビりすぎでしょアンタ!!」
キョン「ふぅ、落ち着いた」
ハルヒ「じゃ手出して、ワッパかけるから」
キョン「おい」
朝倉「結果的な死因はそれと仮定して、涼宮さん、実行犯は一体誰なの?」
ハルヒ「よく聞いてくれました朝倉さん!」
朝倉「いやだってむしろそっちを逮捕すべきだし……」
ハルヒ「あたしはみんなの証言を反芻しました、なにがホントでなにが嘘か……その結果」
ハルヒ「犯人は裕さん!! あなたよ!!!」
裕「ぼ、僕かい?」
ハルヒ「ええ、あなたの行動を思い返してみたらね」
ハルヒ「一番初め、キョンが圭一さんの胸にナイフを刺してた時の動揺が森さん、新川さんと比べて大きかったのよ!!」
朝倉「そりゃ自分のお兄さんの胸にナイフが刺さってたら驚くなんてもんじゃないでしょうに」
ハルヒ「いいえ! あれは自分が行おうとしてた計画を先にやられて焦っていた顔だわ!!」
古泉「(合ってる……)」
新川「(なかなかの洞察眼、記憶力をお持ちの様で……)」
森「(まだまだ素人に動揺がバレているようじゃいけませんね)」
裕「だ、だとしてもそんなことが証拠にはならないだろう」
ハルヒ「証拠? 望むならいくらでも差し出してあげるわ!!」
ハルヒ「SOS団の四次元ポケットキョン!!! 裕さんの犯行現場の写真を出しなさい!!!!」バッ!
キョン「ねえよ」
ハルヒ「…………フー」
ハルヒ「捏造でも可っっ!!!!!!!!!」クワッ!!
裕・古泉「「ええっ!?」」ガーーン!!!
キョン「よしきた!!」バッ!
朝倉「可なわけないでしょ!!!!!!!」
朝倉「なんで探偵が犯人を作り出しているのよ……」
ハルヒ「こうやって冤罪が生まれていくんだろうなぁ……」シミジミ
朝倉「生みの親となろうとした人が何を……ハァ」
朝倉「ねぇ、涼宮さん、キョンくんの死体についてはどう思う?」
ハルヒ「え、ゴミ?」
朝倉「……だけど、そうじゃなくって」
キョン「いやゴミでもないぞ!!?!?」ガーーン!!!
朝倉「例えば、何故あんなところで死んでいたか、とか」
ハルヒ「ただ単に邪魔したかっただけじゃないの?」
朝倉「……そう、だけど」
朝倉「こうは考えられないかな? キョンくんは圭一さんを守ろうとして圭一さんを殺した犯人に殺された、って!」グワッ
古泉「(強引に持っていきましたね……)」
ハルヒ「んー? でもそれって結果的にキョンも圭一さんも殺されてるわよね?」
朝倉「守り切れなかったみたいだけど……涼宮さん」
朝倉「圭一さんの部屋に鍵がかかってた意味、分かる?」
ハルヒ「それぐらい分かるわよ、鍵を管理している圭一さんが中にいる以上、鍵は内側から掛けられたってことよね」
朝倉「そう、だったら何故圭一さんは鍵をかける必要があったのか? 助けを呼ぶなら逆に外に出ようとするでしょう?」
ハルヒ「それは……犯人が外にいてもしかしたら追いうちをかけられるとでも思ったんじゃない?」
朝倉「……いいえ、違う。そう、違うのよ」
朝倉「ハッ!!……分かったわ!!! キョンくんの死体含めこの事件の犯人が!!!!」
ハルヒ「ええっ!!? それあたしの役目じゃないの!!?」
朝倉「端的にいいます。裕さん、あなたは昨晩、犯行現場にいましたよね?」
裕「……ああ、言った通り新川さんの―――」
朝倉「結構です。裕さんが犯行現場にいたのはそういうことじゃないですから」
ハルヒ「そう! 裕さんは圭一さんを殺そうとして……」
朝倉「裕さんは圭一さんに殺されそうになった、違いますか?」
ハルヒ「え」
古泉「なんと……そういうことですか」
裕「……」
朝倉「そう、この事件の犯人となるはずだったのは、圭一さんなのよ」
朝倉「圭一さんは口論の末裕さんを衝動的に殺そうとした、しかし、キョンくんによって止められ関係のないキョンくんが死んでしまった」
朝倉「それを見た裕さんは逃亡、圭一さんは我に返りことの重大さを理解する」
古泉「(彼が見た逃げる犯人とは、被害者である裕さんのことだったんですね)」
朝倉「裕さんが嘘の証言をしたのはキョンくんを見捨てたこと、その事が罪に問われるんじゃないかと恐れたから」
ハルヒ「て、ことは……嘘をついてたのは裕さんだけだったってこと?」
朝倉「そうなるわね」
ハルヒ「まさか……スルーしてたキョンの死体がこんな意味を持つなんて……」
朝倉「ほんとビックリだわ……そして我に返った圭一さんは……そのまま自分で……」
朝倉「これが……あたしの推理です、どうキョンくん?」
キョン「俺に答えを求められても困るが……なんというか」
キョン「朝倉が主人公みたいだった」バーーン!!!!!
ハルヒ「あたしがメインなのに!!? 団長を差し置いて!!?!?!?」
朝倉「やった」
ハルヒ「で、でもその推理じゃ死亡時間がそのまま昨日の晩になっておかしくなるんじゃ……」
朝倉「……涼宮さん、今思い出してみて、死亡時間についての違和感を」
ハルヒ「え……ん、あれ?」
朝倉「新川さん、なんて言ってたかしら?」
ハルヒ「事件が起こってから……? 普通亡くなってからって言うわよね……亡くなって、から?」
ハルヒ「というかまず体温を確認する意味は……?」
キョン「ハルヒ、事件は現場で起きているんだ」
ハルヒ「……そう! 現場よ!! 推理が完了した今現場に行っても問題ないわよね!?!?」
新川「……そうですな、我々にはもう活気とした若者を止める術はございませんので」
森「いってらっしゃいませ」
ハルヒ「SOS団、行くわよっ!!!」ズルズル
朝比奈「ぐっ!?」
朝倉「ああー朝比奈さんを引きずらないっ!!! だから事件を不用意に増やそうとしないでください!」タタタッ
長門「現場に謎は残っている? 食べれる?」タタタッ
古泉「謎はありふれているでしょうが、食べられるかどうかは分かりかねます」タタタッ
キョン「さあ、事件解決まではあと一歩だ!」フワフワッ
ハルヒ・朝倉「「走れっ!!!」」
>>596 ミス
ハルヒ「で、でもその推理じゃ死亡時間がそのまま昨日の晩になっておかしくなるんじゃ……」
朝倉「……涼宮さん、今思い出してみて、死亡時間についての違和感を」
ハルヒ「え……ん、あれ?」
朝倉「新川さん、なんて言ってたかしら?」
ハルヒ「事件が起こってから……? 普通亡くなってからって言うわよね……」
ハルヒ「というかまず体温を確認する意味は……?」
キョン「ハルヒ、事件は現場で起きているんだ」
ハルヒ「……そう! 現場よ!! 推理が完了した今現場に行っても問題ないわよね!?!?」
新川「……そうですな、我々にはもう活気とした若者を止める術はございませんので」
森「いってらっしゃいませ」
ハルヒ「SOS団、行くわよっ!!!」ズルズル
朝比奈「ぐっ!?」
朝倉「ああー朝比奈さんを引きずらないっ!!! だから事件を不用意に増やそうとしないでください!」タタタッ
長門「現場に謎は残っている? 食べれる?」タタタッ
古泉「謎はありふれているでしょうが、食べられるかどうかは分かりかねます」タタタッ
キョン「さあ、事件解決まではあと一歩だ!」フワフワッ
ハルヒ・朝倉「「走れっ!!!」」
新川「……振り回されっぱなしでしたな、あの少年には」
森「……分かり切ってたことです、むしろ出来過ぎなくらいですよ」
裕「ふーっ、僕の名演が無駄にならなくてよかった」
森「名演? あなたは少し感情の起伏が激しいようですので……」
森「感情を無くす訓練を、追加で行わなければなりませんね?」ゴゴゴッ
裕「……あれ?」
新川「……南無」
ハルヒ「ハァ、ハァ……ここねっ!!」
朝倉「で、入るの?」
ハルヒ「当然でしょ! なんのためにここまできたのよっ!!」
ハルヒ「鍵は……開いてるっ!」
ハルヒ「……みんな」チラッ
長門「……」コクリ
朝比奈「ふぇ? 今なんの時間ですか?」
古泉「団長の意のままに」
朝倉「ええ、どうぞ」
キョン「……さ、Q.E.Dの時間だ」
ハルヒ「ニッ……オーップン!!!!」ガチャッッ!!!!
キョン・圭一「「ルネッサーンス!!」」チーン
ハルヒ「大当たりぃぃいいいいい!!!! だけど何やってんのよアンタらぁああぁあああああああ!!!!!」
キョン「いや俺と圭一さんで話し合った結果、この出迎えが最適だと……」
圭一「なにしろ死体役は暇でね」
ハルヒ「もっとムードとかあんでしょうがぁああああああああああああ!!!!!!」
朝倉「ふぅ、なんとかこの推理ショーも終わったわね……やれやれ」
古泉「おやおや、彼の口癖が移ってしまいましたか」
朝倉「SOS団でもないのに、この合宿で一番合宿した自信があるわよ……」
長門「謎……謎」キョロキョロ
朝比奈「あのぅ、長門さんになにか探してるんですか?」
ここまでー
あと、1、2回の投下でこのスレ終わると思うけど
時系列で行くとエンドレスエイト、原作でいくと消失やが
すでに溜息を飛ばしてるわけであって……
どっちでいこうか迷い中なわけですー
とーかー!
ハルヒ「と、いうわけで! あたしの名推理&事件解決に~」
キョン「解決したのは朝倉なのにな」
朝倉「別にいいわよ」
ハルヒ「かんぱーいっ!!!」
朝比奈「か、かんぱいっ!」
長門「……」モグモグ
裕「はは、フライング上等なんだね」
圭一「いやはや、しかしこんなに早くバレてしまうとはね、さすがはSOS団だ」
ハルヒ「ふっふーん、でしょでしょ!?」
朝比奈「わたしは全然気づかなかったなぁ……よかったぁ事件は起きてなくて」
古泉「すみません、我々としましても全員を完璧に騙すよう努力しましたので」
ハルヒ「だが、あたしの目はごまかせないっ!!!」
キョン「ホントどの口が言うんだよ。裕さんを犯人に仕立て上げようとしたくせに」
ハルヒ「それはそれ、これはこれ」
キョン「どれがどれなんだよ」
古泉「しかし、盛況のうちに終えることができてなによりでした」
ハルヒ「うん、古泉くん楽しかったわよ! やっぱりクローズドサークルではこういう事件がおきてなんぼよね!!」
キョン「やれやれ……ま、楽しめたんならよしとするか」
朝倉「はぁ……確かに楽しめはしたけど……なんか、この三日間どっと疲れたわ……」
キョン「朝倉ともあろうものが疲れる程の事態が引き起ってたのか!?!?」
朝倉「起こしてた本人が何言ってんのよ!!! キョンくんへのツッコミが疲労の9割を占めてるわよ!!」
キョン「なんと、それはすまん。これはせめてもの償いだ」
朝倉「……なにこれ?」
キョン「SOS団キーホルダー」
朝倉「せめてすぎるでしょ!!!!!! もう少し償えるでしょこれぇ!!!!!!」パキャッ
ハルヒ「それで、古泉くん。この計画はいつから考えてたの? あたしが合宿へ行きたいって言いだしてから?」
古泉「そうですね。いえ、実を言いますとそれ以前から」
古泉「涼宮さんにピッタリのシチュエーションを準備し、名推理を披露していただこうかという考えはありました」
ハルヒ「さっすが副団長!! 団長の考えてることよくわかってるじゃない!!」
古泉「光栄です」
ハルヒ「できれば冬にでももう一回合宿がしたいわね!」
古泉「でしたら、その合宿に合わせて、また計画を練らせていただきますよ」
ハルヒ「ふふーん、副団長? 今回はちょびーっと騙されて朝倉さんに手柄を横取りされちゃったけど」
朝倉「(とんでもない解釈されてる!?!? 横取りしたつもりないのに!)」ガーーン!!
ハルヒ「次の合宿じゃ、みんなが目を真ん丸にしてあたしを崇めたくなるような、完っ璧な推理を披露してあげるわ!!」
ハルヒ「覚悟して合宿の計画を練ることねっ!!」
古泉「それはそれは、こちらとしても計画に熱が入りますね」
古泉「しかし、団長? 今度の合宿では、涼宮さんだけでなく、全ての人を完璧に騙すような」
古泉「最大の謎や不思議をお届けする所存ですよ?」
ハルヒ「……望むところっ!!!!」
ハルヒ「さっ、古泉くん飲みましょ飲みましょ!!」
古泉「えっ、きょ、今日も飲まれるんですか?」
ハルヒ「当っ然!! と言いたいところだけど、あたし飲むと記憶が飛んじゃうタイプの人間みたい」
ハルヒ「それが分かったからもう、お酒はこれっきりにしようと思うの!」
古泉「それは……中々思い切ったご決断ですね」
ハルヒ「だから、あたしのこれからの断酒人生に誓って……古泉くん」
ハルヒ「最後のお酒、付き合ってくれる?」カラン
古泉「……団長命令では、仕方ありませんね」
ハルヒ「命令だなんて酷いわね! お誘いよお誘い!! 楽しく飲まなきゃお酒が持ったいないわ!!」
古泉「ははっ、仰るとおりですね、では」
ハルヒ・古泉「「乾杯」」カチン!
キョン「どうだったよ合宿は?」グビッ
朝倉「……最初から最後まで何の合宿なのか分からなかったわ」
キョン「分かるもんか、合宿するための合宿に目的なんてねえよ」
朝倉「そうだったわね……全く、インターフェースを疲れさせるってあなたたちは何者なのよ」
キョン「宇宙人でもあり未来人でもあり超―――」
朝倉「はいはい聞き飽きました。キョンくんほど正体不明な人もはいないわよね」
キョン「ハルヒだって中々に分からん奴だろう?」
朝倉「そりゃあね、3年間観察し続けても未だに分からない人だ、って思うときあるし」
朝倉「……ま、それでも」
朝倉「この合宿もどきで、少しは……分からないことが分かった、かも」
キョン「ほほう、自律進化の可能性とやらを感じたわけか」
朝倉「そういうんじゃなくて、単に一個人としての涼宮さんを理解したというか……」
朝倉「見ているだけじゃ分からないことが分かったというか……いや、それが強行で得られるものじゃないっていうのは分かってるわよ?」
キョン「おう、俺を殺そうとして得られるようなもんじゃないだろ?」
朝倉「はいはい、あの時はどうも申し訳ありませんでした。何? キョンくん根に持つタイプなの? 引くわよ?」
キョン「そういうのは根に持たれるような行動を慎んでからにしてくれ」
朝倉「もうしないわよ。多分」
キョン「多分で命狙われたらたまったもんじゃないぞ」
朝倉「もはやあなたに命の概念が通用するとは思ってないわよ」
キョン「なんだと! 命をなんだと思ってやがる!!」
朝倉「そんなこと言う人がわざわざ分裂してまで死体のふりしてんじゃないわよ!!!!」ガスッ
キョン「痛い。冗談だって」
朝倉「分かってるわよ」
キョン「分かった上での鉄槌か……手厳しい」
朝比奈「」
ハルヒ「だーからぁ、あたしぃはこれでお酒はいっしょーーう飲まないってぇ!!」ベロベロ
古泉「す、涼宮さん。すでに飲みすぎでは……」
ハルヒ「まだまだぁ~!!」
朝倉「(……朝比奈さん、この合宿中意識失ってることのほうが多いと思うんだけど……)」
長門「……」モグモグ
朝倉「……ま、長門さんも長門さんか」ハァ
キョン「…………」
長門「……」モグモグ
長門「どうかした?」ゴックン
朝倉「? キョンくん?」
キョン「……少し、席を外す。宴会が終わったら先寝ててくれ」
キョン「あ、あと古泉に今日潰れたら明日の朝はベッドで寝てないって伝えといてくれ」
朝倉「どこ行くのよ??」
キョン「んーちょっとした挨拶だよ」
長門「……」
朝倉「……そう」
キョン「ああ、だから……」
ハルヒ「ふひー!! 朝倉ぁ有希ぃ!! あたしの最後のお酌にに付き合いなさぁーい!!!」ガッシ
キョン「そこの酔っぱらいの世話は頼む、それじゃ!!」シャン
朝倉「あっ!! ま、まさかキョンくんこれが嫌で逃げたんじゃ……」
長門「部屋にもどる」スッ
朝比奈「ふ、ふみゅう……」
朝倉「ちょ、長門さんまで逃げないで!! ちょ、涼宮さんお酒臭いっ!!!! だ、だれか!!」
朝倉「だれかあたしを休ませてぇええええーーーーっ!!!!!!」
森「(悲痛な叫び、神に届かず……)」
ハルヒ「ふへーっ!!!」ドカッ
古泉「(というか肝心の神様が聞いてませんね、あれは)」
???
???「――――――」
???「―――誰」
キョン「おぉ、驚いたことに驚きだよ」
キョン「誰とはツレねえな、ずうっとお前が観察している涼宮ハルヒの比較的近くにいるモンだけど、覚えはないか?」
???「――――――」
キョン「どうやら俺には興味がないようだな、広域帯宇宙存在さんよ」
キョン「逆に珍しいぜ、涼宮ハルヒに興味があって俺に無いっていうのはよ、ま自分で言うのは少し照れくさいが……」
???「――――――何者」
キョン「今更すぎるぜ、それともお前の考える人間っていうのはこんな場所に易々これたりするもんなのかね」
???「――――――」
キョン「……ま、俺としちゃお前がなにに興味を持って、何がしたいかなんてどーでもいい些細なことなんだがな」
キョン「まぁ、それでも……涼宮ハルヒやその周りの人間、俺を含むその連中に実質的な危害を加えようとするならば」
キョン「そん時は、俺がいくらでも相手をしてやる、かかってこいよ、宇宙人」
???「――――――」
キョン「情報解析に必死だな、まぁ何も分かりゃあしないと思うが」
キョン「そういやお前たちは未来人とも繋がっているんだったな」
???「――――――利害関係の一致」
キョン「なんでもいい。そいつらにも同じ忠告をしといてくれ」
キョン「こそこそとやってないで、涼宮ハルヒにようがあるんなら面と向き合えってな」
キョン「ハルヒはいつでもお前達を歓迎するだろうぜ、宇宙人に未来人さんよ」
???「――――――」
キョン「……なんか一方的に話し過ぎて俺が小物みたいに見えるから……帰るか」
???「――――――そう」
キョン「じゃあな宇宙人、またいつか会うだろうが」
キョン「そん時は、地球で会おう。それじゃ!」シュン!!!
???「――――――」
???「―――……あれが、涼宮ハルヒの周りに……存在する……力」
???「『力』……涼宮ハルヒの力……――――――それは」
???「――――――『佐々木』の『力』よ――――――」
長門「……」
キョン「よっ、ただいま」
長門「……おかえり」
キョン「どうした、月なんて眺めて」
長門「あなたの帰りを待っていた」
キョン「嬉しいこと言ってくれるじゃあないか」
長門「どうだった?」
キョン「なんとも、ただ俺が一方的に釘刺しといただけだからな」
長門「そう」
キョン「前も言ったようにそんなすぐに行動に移す様子はなかった」
キョン「俺としちゃまだまだ放っておいても問題ない、と思うんだが……」
長門「彼女は危険視している」
キョン「朝倉なぁ……気持ちは分かるがむやみやたらに敵視する必要はないと思うんだよな」
キョン「長門はどう思う?」
長門「わたしはどちらとも言えない」
長門「わたしの役目は涼宮ハルヒの観察だから、それ以上のことに興味を示すことはない」
長門「あなたを除いて」
キョン「なるほどな、そもそもアウトオブ眼中ってことか、まそれもありだな」
長門「……」
キョン「……はー、ややこしいややこしい」
キョン「どうもハルヒは俺に面倒事を押し付けたがるらしい、それも無自覚にな」
キョン「その内パンクしちまうぜ、俺の脳味噌が」
長門「興味深い」
キョン「こ、怖い事いうなよ」
長門「面倒があるならば、わたしも協力する」
キョン「そりゃ助かる。長門がいれば百、いや千人力だな」
長門「そう」
長門「それに、わたしだけではない。古泉一樹も朝比奈みくるも、必ず協力するだろう」
長門「恐らく……朝倉涼子も」
キョン「そうだな……ああ、みんな心強いしな」
キョン「ま、俺は百万人力だがな」ハッハッハ
長門「まだ桁が足りない」
キョン「……長門、煽て上手だなお前」
長門「そう?」
翌日
ハルヒ「天気は快晴、視界良好!! 我が進路に一切の障害なしっ!!!」ドーーン!!
キョン「クルーザーの上でなに言ってやがる。海賊かお前は」
古泉「しかし、昨日までの嵐が嘘のように晴れましたね」
朝倉「ホント、事件のための嵐だったと言わざるをえないわね」ハァ
朝比奈「も、森さん! メイドにとって忘れてはならない心得とはっ!?」
森「……挨拶、でしょうか?」
朝比奈「ッッはっ!!?!?!?」ピッシャーン!!
朝倉「いやメイド以前にそれ人として忘れてはならないことだと思うんですけど……何に感銘を受けてるんですか」
ハルヒ「いやー森さん新川さんは当然として、圭一さんにも裕さんにもお世話になったわね」
ハルヒ「もちろん、この合宿を計画してくれた古泉くんにもね!」
古泉「それはそれは、どういたしまして」
キョン「ハルヒにもそう思う人の心があったんだな」ホロリ
ハルヒ「あたしをなんだと思ってるのよ!! 海に叩き落すわよ!!?!?」
キョン「あぁークラーケンのエサにされるー」
ハルヒ「クラーケン!!!?!? いるの!!? 海に!!?!?」ダンッ!!
朝倉「涼宮さんんんんんん!!!! いない!! いないから!! いないから今にも飛び込まんとしないでぇええ!!」ガシッ!!!
ハルヒ「でもっ!!! この目で確かめるまではっ!!!!」ギラッ!!
朝倉「目で確かめようとしてるのにその手に持っている銛は何のためのものなのぉおおおおお!!?!?!?」
森「……ハッ!?」
古泉「いえ、森さんではないのであしからず」
キョン「一番、キョン! いきまーす!!」ザッバーン!!
朝倉「結局自分から飛び込んだー!!?!?!?」
ハルヒ「二番、涼宮ハル――――――!!」
朝倉「あれ真似しちゃダメなやつ!! 人間が真似したら死ぬやつだから!!!! 全力で悪い見本やってるだけだからあれ!!!」
長門「……」モグモグ
古泉「あれ? 長門さんなに食べているんですか? クルーザーに食べ物は積んでいなかったような……」
長門「……蛸」モグモグ
古泉「……え?」
朝比奈「す、すいません……なんか、騒がしくて」
新川「結構結構、むしろ予想通りのあなたたちでいてくれて、私達も安心しましたぞ」
キョン「して、ハルヒこの合宿、楽しかったか?」
ハルヒ「キョン、アンタわざわざ聞かなきゃ分かんないわけ?」
キョン「いんや、聞かずとも分かるが、そういうことは言葉にしておくものだと思ってよ」
ハルヒ「ふむ……キョンにしては一理あること言うわね……それじゃ」
ハルヒ「楽しかったわよ――!!!!! バッキャロー!!!!!」
ザザーン
キョン「……うん、楽しかったのは分かるけどなんでバッキャロー?」
ハルヒ「いや海ってそういうもんじゃない? なんとなく叫ぶみたいな……」
キョン「……まぁ、それだけ気分が昂るほど楽しかったということにしておこう」
ハルヒ「で、アンタは? アンタはどうだったの、この合宿」
キョン「おいおい、団長聞くまでもないだろうに……だがここは一つ言葉にしておこうか」
キョン「……それじゃ」
キョン「バカヤロー――――!!!!!!!」
ザザーン
ハルヒ「……」
ハルヒ「いや感想それ!!?!? それならただ不満足な愚痴にしか聞こえないけど!!?!? ただムカついてる人の叫びだけど!!?」
キョン「おっと、興奮して言い間違えちまった」
キョン「ああ、楽しかったさ、俺も」
ハルヒ「……そ、ならいいわ」
キョン「もちろん、俺だけでなく、長門も朝比奈さんも古泉も、そして朝倉も」
ハルヒ「……よね、そうよね! SOS団の合宿が楽しくないわけないもんね!!」
キョン「ああ、SOS団は、いや涼宮ハルヒってのは退屈とは無縁、そうだろ?」
ハルヒ「もっちろん!! さぁー帰ったらもーっと楽しいことやるわよ!!!!!!」
キョン・ハルヒ「「退屈なんて許さないんだからっっ!!!!!!!」」
ハルヒ「被せてゆーな!!!!!!!!!!」
孤島症候群 完
ここまででこのスレは終わりー
思いの外結構伸びたと思う
次スレ立てたら案内するやで
レス励みになったやで。
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