ハルヒ「キョンTUEEEE!!!!」 (484)


ハルヒ「東中出身涼宮ハルヒ、この中に――――――」

キョン「……ほう」





ハルヒ「……」ムスッ

キョン「なぁ涼宮、しょっぱなのアレどこまで本気だったんだ?」

ハルヒ「しょっぱなのアレってなによ」

キョン「自己紹介の時の宇宙人がどうこう~ってやつ」

ハルヒ「あんた、宇宙人なの?」

キョン「ああ」

ハルヒ「なら何……ってああ!?」

キョン「ついでに言うと宇宙人でもあり未来人でもあり超能力者でもあり異世界人でもある」

キョン「いや、その逆にそれら全てに当てはまらない、といってもいいか」

ハルヒ「……あんた、あたしをおちょくってんの?」

キョン「いいや、これっぽっちも」

ハルヒ「……」


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ハルヒ「これまでもそんな男はいっぱいいたわ」

キョン「そんな男っていうのは?」

ハルヒ「自分は特別な存在だという男、魔法が使えるという男。まぁ色々よ」

ハルヒ「全っ部嘘だったわ、結局そういうつまらない事するやつがあたしは大嫌いなのよ」

キョン「まぁ確かにその男達は何か別な目的があって近づいたんだろう、例えばお前自身とか」

ハルヒ「……くだらない」

キョン「そして俺、俺もお前に惹かれたという点ではその男共となんら違いはない」

ハルヒ「……だから?」

キョン「ただ絶対的に違う所がある―――――」








キョン「俺は本物だ。宇宙人であり未来人であり、超能力者である存在」

キョン「又は、その全てに当てはまらない存在、それが俺だ」









ハルヒ「……」

キョン「お前が望んでいた存在の集大成こそが俺なわけだが……どうする?」

ハルヒ「……どうする、ね」

ハルヒ「…………ハァ」

キョン「ん?」

ハルヒ「馬っ鹿じゃない?」

キョン「……」


ハルヒ「宇宙人であり未来人であり超能力者であり、その全てに当てはまらない存在?」

ハルヒ「ハッ、これまでよってきた男の中で一番スケールがでかい大嘘なことは認めてあげるわ、ただし!!」

ハルヒ「あんたの口八丁気取りの嘘に構ってる暇はないわ」

キョン「……不思議なことを探しているくせに妙に常識的とはな、不思議な奴だな」

ハルヒ「何か言った?」

キョン「いいや、別に。しかし、お前の言う事は尤もだ」

キョン「俺だって誰か分からんそこら辺のどーでもいい奴にお前の望み通りの人間だなんて言われても絶対に信じないな」

ハルヒ「分かってるんなら無駄な時間を取らせないでくれる」

キョン「涼宮ハルヒ、ちょっと付き合ってもらえるか?」

ハルヒ「まだなにかあんの?」

キョン「証拠。見せてやるよ」ガタッ

ハルヒ「証拠? なんの?」

キョン「俺が本物だという証拠。俺が本物だと証明してみせよう」

ハルヒ「……構ってる時間はないって言ったわよね」

キョン「なにすぐ終わらせるさ、時間は取らせない」

ハルヒ「……どこに行くつもり?」ガタッ

キョン「まぁ、定番の屋上にでも行くか」

ハルヒ「フン……」


キョン「……」スタスタ

ハルヒ「……ねえ」スタスタ

キョン「なんだ?」

ハルヒ「具体的に証明って何するつもり?」

キョン「百聞は一見に如かず、俺もお前も見たものが全ての人間だ」

キョン「一目で俺が本物と分かるようなことを見せるつもりだ」

ハルヒ「……全然具体的じゃない」

キョン「まぁ、多少のサプライズはあってもいいだろう」

キョン「さぁ、ついたぞ」

ハルヒ「まだ屋上のドアの前じゃない」

キョン「鍵が掛かってる」ガチャガチャ

ハルヒ「当然でしょ? あんた空いてるとでも思った?」

キョン「いや、そう答えてくれると思って言っただけだ」

キョン「まずは小手調べ―――」スッ



ガチャ



ハルヒ「……開いた? 開いてた?」

キョン「開けた。 まぁこんな小さいことで信じてもらっても困るしな、様子見だよ」

ハルヒ「……小手調べとか、様子見とかどういう意味で言ってるのよ?」

キョン「なに、涼宮ハルヒの常識とは如何様なものかという感じだよ」

ハルヒ「はぁ?」


キョン「風が強いな」

ハルヒ「屋上だからでしょ、さ、見せれるんならさっさと見せなさい」

ハルヒ「言った通り、あんたに構ってる時間はないの」

キョン「仰せのままに、それじゃ……」





キョン「視覚に訴え掛けるのが一番だな、涼宮ハルヒ。俺の足どうなってる?」フワフワ





ハルヒ「…………う、浮いてる?」

キョン「こんな事もできるぞ」グルン

ハルヒ「あ、頭を下にして浮いてる?」

キョン「さてお次は……」

キョン「3秒後、屋上のドアが開いていることに疑問を持った教師が見に来る」

ハルヒ「……ッ!?」バッ

キョン「ので―――」シュン


「誰も居ないのか? なんで屋上のドアが……」バタン


キョン「瞬間移動して死角に移動する」

ハルヒ「…………」プルプル

キョン「震えてるのか?」

ハルヒ「ぜ、全然……」プルプル


キョン「さて、俺も時間は取らせたくはない。涼宮ハルヒ、結論を聞こう」

キョン「俺は本物だったか?」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「………………スゥ」

キョン「(あー……)」








ハルヒ「と、トリックね!!! これは大掛かりなトリックだわ!!!」ビシッ!!









キョン「……」

ハルヒ「大体初めからおかしかったのよ、うん。屋上の扉が開いてるとかね!!」

ハルヒ「あれを開けたように見せかけて視覚効果でその後のトリックを信じ込ませようとしたのよ!!   多分」

ハルヒ「案の上見せてきた証拠とやらはどれもこれもテレビで見たことあるようなやつばっかだったしね!!! うん」

キョン・ハルヒ「「そんなちゃちなしかけであたしが信じると思ったわけ? おめでたい頭ね!!」」

ハルヒ「!!?!?!?」バッ

キョン「心が読めるんだ」

ハルヒ「……ッ、メンタリズム!!! そう、これはあたしの言動や行動から心理状況を把握したのよ!!」アセダラダラ

キョン「……」

ハルヒ「なるほどなるほど、わ、分かったわあんたの正体、ずばり―――」













キョン「マジシャンではないぞ」









ハルヒ「マジシャンね!!!!!」









ハルヒ「~~~~~~っ、メンタリズム~~~~ゥ!!!」バタバタ

キョン「だから違うっての」

ハルヒ「いーや、これは認めざるを得ないほど完璧なトリックだったわ!」

ハルヒ「ここまで『常識的な』範疇での高度なトリックは初めて見たわー、すごいわー!」

キョン「なんで常識で考えるんだ? 非常識を求めているお前が」

ハルヒ「……あたしは自分の目で見たことしか信じない、間違ってないけど」

ハルヒ「もっと言えば、あたしはあたしが認めたモノしか信じない」

ハルヒ「あんたの曲芸はトリックとして認められました、おめでとう」

キョン「曲芸って……これもか?」ボウッ!!!!

ハルヒ「!?!?!?」ビックゥ!!!!

キョン「あ、悪い急に火なんか出して」

ハルヒ「い、いいわよ。マジシャンの性って奴よね、うん」ビクビク

キョン「いや……そうじゃないが」

ハルヒ「……ねえ、あんた」

キョン「キョンでいい」

ハルヒ「キョン、あたしって不思議なコトやモノって全部非常識なものと思ってた」

ハルヒ「でも、今日のキョンを見て考えが変わった、常識的な不思議も存在するんだって」

キョン「……そりゃするだろうよ、深海の魚や砂漠の植物は不思議な形や性質を持っているだろう」

ハルヒ「あれはただ環境に適応しただけ、いわば進化した結果よ。不思議じゃない」

キョン「相対性理論や量子学とか」

ハルヒ「あれは全部人の頭で考えたことでしょ。それにあたしが興味ないことは不思議であってもつまらないし」

キョン「なんて唯我独尊な奴……」


キョン「……ハァ、つまりあれか。俺はお前の望む本物ではなかった、と」

ハルヒ「ええ、そうなるわね」

キョン「そうか……なんなら時間を止めたり、宇宙のお土産を持ってきたり出来るが?」

ハルヒ「そ、そう……でもいいわ、それはまたの機会に」

キョン「そうかい……またの機会?」

ハルヒ「キョン、確かにアンタはあたしの望むものからは外れていたわ」

キョン「本当はど真ん中だと思うんだが、台風の目、灯台下暗し」

ハルヒ「ただ、あたしにとってアンタは新しい興味の対象になった」

キョン「……」

ハルヒ「あたしの目標は変わらない、宇宙じにゃ未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」

キョン「…………」

ハルヒ「アンタは宇宙人でも未来人でも超能力者でもなかった。の に!!! あたしの少ない時間をいただいたわけ!」

ハルヒ「つまりあんたはあんたの時間をあたしに献上しなければならないということ!!」

キョン「そうか、俺の十数分と涼宮ハルヒの十数分は価値が違うから俺の十数分程度の時間じゃ献上分には足りないってことだよな」

ハルヒ「そ、そうそう、そうよ。ま、まだ何も言ってないんだけどね……」

キョン「未来が見えるもんで」

ハルヒ「あー……ゴホン。つまり」
















キョン「仰せのままに」




ハルヒ「あたしの目標、いや、夢を叶える手伝いをしなさい、キョン!!」










ハルヒ「だから早いわよ!!?」

キョン「マジシャンの性ってやつだ」 


ハルヒ「それじゃ明日から本格的に活動を始めていくからね! 今日は解散!!」ダッ

キョン「ああ」

ハルヒ「……あ」ガチャガチャ

キョン「そういえば閉められてたな」

ハルヒ「んっ、このっ……ッ!!」ガンガン!!

キョン「乱暴な……」

ハルヒ「……開けて」

キョン「はいよ」ガチャ

ハルヒ「それじゃ明日ね!!」ダダダダッ

キョン「ああ」

キョン「…………」

キョン「随分、初めて見たときと印象が変わったな、笑えるんじゃないか涼宮ハルヒ」

キョン「そうか、涼宮ハルヒってのはこういうやつなんだな」

キョン「常識外れというわけでもなく、自制しすぎているというわけでもない」

キョン「こりゃ宇宙人、未来人、超能力者の方々は苦労しそうだな」

キョン「はは……」

キョン「…………移っちまったか、本当に」

キョン「…………」

キョン「…………――――――なぁ、佐々木」

ご飯休憩~


翌朝




キョン「……お、あれは涼宮ハルヒ」ヒュー

キョン「よっ、涼宮ハルヒ」スタッ

ハルヒ「うわっ、ってキョン!? あんた音もなく……どこから来たの?」

キョン「空から。目立つから保護色とか出したり、生体反応とかは消したりしてるが」

ハルヒ「へ、へー空から……」

キョン「それで、今日から活動すると言っていたが、具体的には?」

ハルヒ「こう、ガーッといってクイッってしたバーンな感じ!!」

キョン「全然具体的じゃない……」

ハルヒ「とりあえず放課後までは待機!! それまでに考えとくから!」

キョン「まだノープランなのかよ」

ハルヒ「とりあえず、あんたもアイデア考えといて」

キョン「ああ、まぁ程々にな」


谷口「なぁキョン、お前一体どんな魔法使ったんだ!」

キョン「おぉ…………谷口君。魔法ってのはなんのことだ?」

谷口「今俺の名前忘れてなかったか?」

キョン「まぁそんなことはどうでもいいじゃないか」

谷口「そうそんなことはどうでも……よくない!! よくないが!」

谷口「あの涼宮を呼び出し、その次の日には仲良く登校! 五月地点でここまであいつと仲良くなるなんて驚天動地だ!」

キョン「なんだ見てたのか(知ってたけど)」

谷口「あいつは中学時代もーーーの凄い有名人だったんだぞ! 悪い方向で」

キョン「へー(知ってる)」

谷口「あいつが人と普通に喋ってるとこなんて五分も見たことがねーぞ、それをどうやって……」

「あたしも聞きたいな」

キョン「朝倉……」

朝倉「涼宮さん、あたしが話しかけてもウンともスンとも言わないから困ってたのよ」

キョン「どうやってと言われてもな、こう自然にだな」

国木田「実際に見せてあげれば? 涼宮さんと会話してるところ」

谷口「ナイス提案だ国木田! どんな会話をしているか気になるしな!」

キョン「おまえらな……」

朝倉「ごめんねキョン君、遠目で見ておくだけならいいかしら? 会話は聞こえないようにするから、ね?」

谷口「そんなぁ~」

キョン「……ま、いいか」ガタッ

キョン「(さて、普通に会話しちまうと聞かれてバレちまうな……)」














朝倉「(うふふ……自立進化の可能性、しっかり見て聞かせてもらうわよ)」

キョン「(あの宇宙人さんに俺の正体が……まぁ今日中にはバレるんだがな)」


キョン「よう」

ハルヒ「あら、まだ放課後には早いわよ?」クスッ

キョン「そんな遠足前日の子供の気持ちみたいな気分にはなってないから安心しろ」

ハルヒ「さすがはメンタリスト、読めてるわね~」




谷口「あんな仲良さげに……俺を見る時にはごみを見る目だったのに……」

国木田「キョンは昔から変な女が好きだったからね」

朝倉「(め、メンタリスト? なんの会話をしているのかしら??)」



キョン「それで、団員や部室は集まったのか?」

ハルヒ「そう! 部室は一つ団員は一人見つけ……あれ、部を作るって言ったっけ?」

キョン「言ったじゃないか、ほれほれあの時、あの場所で」

ハルヒ「あれー?」



谷口「涼宮がイラつき、無表情以外の顔をするなんて……」

国木田「なんで若干感極まっているの谷口、お父さん目線なの?」

朝倉「(部室、部員……長門さんうまく接近できたみたいね)」




キョン「それじゃああとは申請用紙と顧問ぐらいか」

ハルヒ「そ! とりあえず放課後はその部室に行ってみましょ!」

キョン「文芸部室に行けばいいんだな? 了解」

ハルヒ「うん!!       うん??」




谷口「負けたよ、キョン……涼宮にあんな顔させるのはお前しかいない」

国木田「時々不思議な顔するのはなんだったんだろうね」

朝倉「(ふむふむ、涼宮さんは部を作ろうとしているのね……そこに長門さんを……)」








ハルヒ・朝倉「「((面白くなってきたわ!!))」」







キョン「(って思ってるんだろうな、やれやれ)」


放課後



キョン「ここか」

ハルヒ「ここよ!」

キョン「断っておくがハルヒ、強奪した部室は見つけたとは言わないぞ?」

ハルヒ「失礼ね、ちゃんと許可もらったわよ」ガチャガチャ

キョン「……」

ハルヒ「……」ガチャガチャ

ハルヒ「……鍵が、掛かって」ズーン

キョン「すまん、俺が掛けといただけなんだ、中の人に嫌われてるとかじゃないから安心しろ」

ハルヒ「なっ、なんでそんなことすんのよ!!」

キョン「蹴破ったりしたら本当に強奪したと判断しようと思って」ガチャ

ハルヒ「失礼失礼失礼!!!」バシバシ

キョン「痛いって、おじゃましまーす」


「……」


ハルヒ「どう? どう? キョン! いいでしょ!!」

キョン「涼宮ハルヒの価値観でいいならいいんじゃないか?」

ハルヒ「でしょ? でしょ!?」

キョン「して、彼女は一体誰なんだ?」

ハルヒ「あの子は唯一の文芸部員、部員数の減少によって廃部を余儀なくされた悲運の文芸部員、その名も!」

キョン「長門有希さんか」









長門「長門有希……何故、知っているの?」








ハルヒ「長門y……ってなんで二人共あたしよりワンテンポ早い会話してるのよ!?」

キョン「まぁまぁ……涼宮ハルヒ、すまんが俺は彼女と二人で話がしたいんだが」

ハルヒ「は、はぁー!? いきなり他の部活の子に手を出す気!?」

キョン「いずれ同じ部になるんだろ? 交流を深めようとしているだけだ、な? 長門有希さん」

長門「……そう」

ハルヒ「な、なにその二人共お互い分かってますよ感……邪魔者はあたし?」プルプル

ハルヒ「もう知らない!!アホキョンー!!!!」バタン

キョン「なに自己解釈して逃亡してんだ……まぁ都合はいいか」

長門「あなたは……何者?」

キョン「何者、とはな……別に何者でも」

キョン「長門さんよ、お前は朝倉と同じくの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースで間違いないな?」

長門「……」スッ

キョン「おっと、情報操作は俺には効かない、情報統合思念体にそう言っててくれ、ん? 言ったことあるっけ?」

長門「……本当に何者?」

キョン「涼宮ハルヒが動き出した。その理由の一つとして嫌でも俺が挙がってくるだろう」

キョン「朝倉から俺の情報がなかったことが疑問か? 悪いな、お前と会うまでは俺の正体は秘密にしておきたかったんだ」

長門「……何故?」

キョン「宇宙人から質問されてばっかりだな、いやあながちそれは一般的に間違ってはいないか」

キョン「何故か、動き出してからは止められないからさ、涼宮ハルヒも、俺も」

長門「動き出したのなら止めはしない、私たちは傍観者、自立進化の可能性を観測する」

キョン「そう、お前たちの目的は自立進化の可能性、だがそれは涼宮ハルヒが持つモノだよな」

キョン「もし、その可能性を持つものが別にもいる、としたら?」

長門「……」


長門「それがあなただと言うの?」

キョン「話を続けよう、ここまで言っといてなんだが、話は単純だ」

キョン「仲良くしようじゃないか、宇宙人さん」

長門「……私達に敵対意志はない」

キョン「分かってる、ただ俺はお前たちが望んでいる自立進化の可能性というものを知っている」

長門「……」

キョン「それを求めていくうちに、俺や涼宮ハルヒと対立することになる、俺が見える未来ではな」

長門「……同期した情報にそのようなものはない」

キョン「バグみたいなもんだからさ、いつ起こるか分からない」

キョン「動き出した、つまりは始まったんだ。涼宮ハルヒが」

キョン「三年前の情報爆発よりも大きな情報を今から発していく」

長門「……」

キョン「それと……忠告しておくぞ、朝倉涼子は独断専行を犯す」

長門「…………」

キョン「俺が朝倉自身に忠告しなかった理由と自立進化についてよく考えてみてくれ」

キョン「俺は仲良くいきたいんだ、宇宙人も、未来人も超能力者も、異世界人も……」

長門「……私という個体の一存ではあなたの意見を信用するということはできない」

キョン「俺も忠告程度のもんだと思ってるさ、実際行動に移られた場合は……」

キョン「それなりの対処をさせてもらう」

長門「……」

キョン「さて、話はここまで直に涼宮ハルヒが……」





ハルヒ「キョン!! すごい可愛い子見つけた!! 見て!!」バッ

朝比奈「ふえぇ……」






キョン「未来人を連れてくる、役者が揃いつつあるだろ?」ニヤッ

長門「……ユニーク」


キョン「んで、その美少女さんはどこのどなただ? あー朝比奈みくるさんか」

ハルヒ「この子は朝比奈m……それやめてよ」

キョン「いやこの人が単に有名なだけだ、メンタリズムは関係ない」

ハルヒ「あ、そうなの? リサーチ不足だわ……これじゃあたしがミーハーみたいじゃない!」

キョン「なんでそんなトコ気にするんだ」

朝比奈「あ、あのぉ……一体ここは」

ハルヒ「喜びなさいみくるちゃん! あなたは我が新設の部の創立メンバーに選ばれました!!」

朝比奈「え? え? 新設? 創立?」

キョン「よっ」ッパーン!!!

ハルヒ「っ!?!?」ビックーッ!!!

朝比奈「ひえぇえええええええええ!!」ビックゥ!!!

長門「……」

ハルヒ「い、いきなり何するのよ!!」

キョン「いやめでたいことだから祝いのクラッカーを……」

ハルヒ「早い早い気が早い。ただの嫌がらせドッキリのタイミングにしかなってない、てかクラッカーないじゃない」

キョン「そうか、でなんの部を作ったんだ? クラッカーは手だ」

ハルヒ「ふっふっふ、聞きなさい我が部の―――」

キョン「長門、なんていうか当ててみようか」

長門「……」コクリ

ハルヒ「名は―――!!」






キョン「SOS団」

長門「SOS団」

ハルヒ「S O S 団!!」バーーン!!!

朝比奈「ふえぇ……」





ハルヒ「だからそれやめてよ!! あたしが恥ずかしいじゃない! てかあなたもメンタリストだったの!!?」

キョン「まぁまぁ、それでSOS団とはなんの略なんだ?」

ハルヒ「……知ってるくせに。言わない」

キョン「拗ねるなよ、朝比奈さんは分かってないだろ? 教えて差し上げろ」

ハルヒ「……しょうがないわね、みくるちゃん! 聞きなさい!!」

朝比奈「は、はい……」

ハルヒ「SOS団とはぁ!! 世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団!! の略称!!」

朝比奈「は、はぁい!!」

キョン「それはなにをする団なんだ?」

ハルヒ「それはっ!―――キョン、なんか気をきかして合いの手してるように感じるんだけど?」

キョン「気のせいだ、ほら」

ハルヒ「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと!!よ!!」

朝比奈「えぇ……」

キョン「朝比奈さんドン引き」

ハルヒ「なんで!?!?」

朝比奈「ち、違います!! にゅ、入部! 入部します!」

ハルヒ「なんで!?!? こんな正体不明の団に即決で!?」

キョン「お前がそれを言ってどうする」

朝比奈「え、えぇ……」

キョン「(今度はマジの方か)」

ここまでー

おつ

最近ハルヒって原作出てんの?驚愕までしか読んでないんだけど

>>31 
出てない、驚愕が最新刊だぞ


キョン「……」

ハルヒ「♪~」

キョン「なぁ涼宮ハルヒ」

ハルヒ「なによキョン」

キョン「俺達はこの部室でなにをすればいいんだ? この一週間なにもしてないんだが……」

ハルヒ「気を熟すのを待つのよ! 焦っちゃだめよ!」

キョン「言っておくがバニーでビラ配りとかパソコン部からパソコン強奪とかはなしだからな」

ハルヒ「潰しが酷い!!! ピンポイントすぎる潰しは酷過ぎるわ!!」

キョン「こんなトコで非常識になってもしかたないだろ」

ハルヒ「でも最低限世界とつながるにはパソコンで情報を集めないと……」

キョン「あぁ……確かに世界を盛り上げる団だったな……」

ハルヒ「キョン~……」

キョン「マジシャンでもできることとできないことがある」

ハルヒ「この部にパソコンを召喚することは?」

キョン「でき…………」チラッ

ハルヒ「! る!!」

キョン「ならやるしかないな」

ハルヒ「わーい!」

長門「……甘い」ボソッ

キョン「宇宙人に言われちゃ世話ないぜ」


キョン「さてパソコンか、しかもネット回線付の」

ハルヒ「あてはあるの? なければ隣にあるけど……」

キョン「そうだな……よし、強奪はダメだが合法的に譲ってもらうとしよう」

ハルヒ「?」

キョン「涼宮ハルヒ、コンピ研に行くぞ」

ハルヒ「きたきたぁ!」




キョン「ノックしてもしもーし!」

コンピ研部員「はい、あ、お隣の……」

ハルヒ「部長さんいる!?」ガッ

コンピ研部員「ひっ、い、いるけど……」

キョン「がっつくな、お話したいんだけど」

コンピ研部員「は、はぁ……どうぞ」

キョン「失礼します、急にすいません」

部長「ん? あぁ、お隣の……」

ハルヒ「SOS団!」

部長「そ、そうその……」

キョン「今日はお願いがあってここにきました」

部長「お願い? そりゃまた急な……」

キョン「賭けをして欲しいんです」

部長「賭け? なんの? なにを賭けて?」

キョン「コンピ研さんが掛けるのはもちろん、パソコン」

部長「ま、まぁそうか……で、そっちはなにを?」

キョン「そうだなぁ……じゃあ」






キョン「これを」ドン






部長「そ、そっちもパソコン!? てか最新式の!?!?」

ハルヒ「てかどっから出したの!? いやそれよりもパソコンあったの!? それじゃダメなの!?」

キョン「どうどう、お二方落ち着いて」


キョン「こっちはこのパソコンを、コンピ研はコンピ研内での最新のパソコンを賭けます」

部長「そ、そのパソコンは確かに欲しいけど……これ賭けとして成立するのか?」

キョン「コンピ研さんが条件を飲めば、ですが」

部長「……賭けの内容は?」

キョン「ズバリ、PCゲーム、それもコンピ研制作の」

部長「な、なぜ THE DAY OF SAGITTARIUS の存在を!? まだ未完成なのに!」

キョン「そこら辺は置いといて、一週間後完成させたそのゲームで勝敗を決める、でどうですか?」

部長「一週間!? 無理だ、まずゲームが完成しない。 あれは文化祭に向けての……」

キョン「共同開発しましょう。 もちろん名義はコンピ研さんのみで結構です」

部長「きょ、共同……つまり、手伝う、と? できるのか? 君たちに」

キョン「あぁ、やるのは俺と、もう一人です」

ハルヒ「あたしね!」

キョン「長門だ」

ハルヒ「……そう」

キョン「とりあえず、明日から制作のお手伝いをさせていただけませんか?」

部長「んん……もし本当に手伝うことができる人なら願ってもない提案なんだけど……」

部長「一応、これでもコンピ研の部長だからね、コンピ研としての3年間はコンピ研として締めたい」

部長「コンピ研だけで作ったもので文化祭に出展したいんだ!」

キョン「なるほど……強い意志を感じます」

部長「で、その一環としてアウトソーシング的にSOS団さんに頼みたいところが……」

ハルヒ「え」

キョン「おまかせあれっ! 一週間で完成させましょう!」ガシッ

部長「心強い!! いやースケジュール的にはいっぱいいっぱいだったんで助かるよ」ガシッ

キョン「いえいえ、受理していただけてよかったです」

ハルヒ「……コンピ研の強い意志は!?!?」


キョン「というわけで、一週間後パソコンを賭けて勝負することになりました」

ハルヒ「頑張るわよー!!!」

朝比奈「お、おー!」

長門「……」

キョン「とりあえず、俺と長門でプログラミングして行くから、二人は一週間後に向けてイメトレしててください」

ハルヒ「……」

朝比奈「……」

キョン「長門、こっちこい」

長門「……」スッ

キョン「とりあえず、俺らが担当することになったのはこの部分で、まだ長門はなにも分からんと思うから一緒に―――」

長門「……」コクリ

ハルヒ「……みくるちゃん」

朝比奈「はい」

ハルヒ「一週間……なにしよっか」

朝比奈「……い、イメージトレーニングを」

ハルヒ「……パソコンキョンが持ってるのに……なにこの茶番」

朝比奈「あ、あわわ」

















「うわっ、なんですかこのデカい閉鎖空間は……久しぶりの大物ですね」


一週間後



部長「で、できた……本当に一週間で!!」

コンピ研部員「やりましたね部長!!」

コンピ研部員「キョン氏と長門氏のお手伝いのお蔭でもあります!」

コンピ研部員「クオリティもお二方のお蔭で断然よくなってますし!」

コンピ研部員「初めのグラなんか今見ればカスみたいなもんですよ! あ、部長の担当のトコか」

部長「お、お前達!! 僕のコンピ研の集大成を!!!」

キョン「よかったです部長」

部長「おお、キョン君! それに長門君も! 本当に君たちのお蔭だ!ありがとう!」

キョン「いえいえ僕らはお手伝いしただけですよ」

部長「さ、約束通り正々堂々戦おうか! 本当はお礼に一台くらいあげちゃいたいぐらいだよ!」

キョン「いえいえ、そんな……しかし本当によくできたゲームになりましたね」

キョン「これなら……もしかしてとんっでもなく売れるんじゃないですか……?」

部長「ピクッ……ま、まさかぁたかだか学生のレベルだよ? よくできたといってもねぇ……」

キョン「どう思う? 長門」

長門「クオリティは市販されているものとなんら変わらない、むしろ超えているといっても過言ではない」

部長「そ、そうかな……なんかそう思えてきたけど……」

キョン「部長」チョンチョン

部長「な、なんだい?」

長門「……」
















長門「アタックチャンス」














キョン「というわけで長門の一声により部長は販売を決意」

キョン「スポンサー会社の契約等、様々な利益を生み出したコンピ研の2割を謝礼として貰い」

キョン「SOS団の部費として桁が3つも4つも違う額が振り込まれましたとさ、それで無事パソコンをゲット」

キョン「せめてものお礼にとコンピ研がネット回線も通してくれました、その辺は業者に頼んだ方が確実だと思ったけど」

ハルヒ「きゃっほーい!!」

ハルヒ「て、あたしなにもしてないから素直に喜べないんだけど!?」

キョン「戦わずして勝つ、だれも涙は流さない」

キョン「大将は自陣で待ってればいいのさ、な、長門」

長門「そう」ピコピコ

キョン「お、今日はパソコンいじってるのか」

長門「……そう」

キョン「THE DAY OF SAGITTARIUSも全世界100万本を一月で達成したってさ、普及率凄いな」

長門「……あなたは一体何者?」

キョン「……何度も聞いてくれるな、俺はキョン、SOS団の団員だ」

長門「……そう」

ハルヒ「キョーン!! FXってどうやるのー!?」ポチー

キョン「おいおい、これ以上部費を増やしてどうするんだよ」

ハルヒ・朝比奈「「もう増やす気でいる!?!?」」

ここまでぇ

投下―


ハルヒ「団長」

キョン「ん?」

ハルヒ「あたし、団長になるわ」

キョン「そうか」

ハルヒ「ちょっと! リアクションが想像してた100倍は薄いんだけど」

キョン「そんな大げさなことでもなしに……」

ハルヒ「SOS団の団長になるってことはすんごく名誉なことなのよ!?」

キョン「そうなのか」

ハルヒ「だから! なんでそんなナイーブな反応しかしないのよ」

キョン「なぜかって? そりゃあ俺には価値が分からないからさ」

キョン「今一躍時の人となっているのはコンピ研の連中だ、世界的な大ヒットゲームを飛ばしたしな」

キョン「一方、俺達は変な部活を作っただけ、バニーでビラ配りやパソコン強奪なんてしてないしな」

ハルヒ「うぐぐ……あ、でもあたしこれでも中学時代は結構有名人なのよ!」

ハルヒ「……すんごい意味で」

キョン「すんごい意味でってなんだよ、誤魔化すな」

ハルヒ「あーもう! ビラ配りもしてないし大っきな事件にも遭遇してないしでSOS団に不思議が舞い込んでこなーい!」

キョン「いいじゃないか、それだけ平和ってことなんだから」

ハルヒ「つーまーらーなーい!!」

キョン「駄々を捏ねるな。ったく……なぁ涼宮ハルヒ」

ハルヒ「なによ?」

キョン「もしも、この時期に転校生が入ってきたら?」

ハルヒ「! あたしもそう思ってたとこなのよ! 謎の転校生がそろそろ現れてもいいんじゃないかって!」

キョン「そうだな……あと、2……3日ってとこだな」

ハルヒ「なにが?」

キョン「……鍵が揃うのがだよ」


3日後




ハルヒ「きた」

キョン「ああ」

ハルヒ「きたわ! キョン!」

キョン「きたな、転校生」

ハルヒ「なんで? なんでこの日にくるって分かったの?」

キョン「そりゃあ俺は宇宙人でもあり未来人でもあり超能力者でもあるから―――」

ハルヒ「でも小学校の時とかそういう子いたわよね、嫌に転校生情報が早い奴」

キョン「それは精々当日の朝とかじゃないのか……」

ハルヒ「とにかく! あたし転校生探してくる!」

キョン「9組の古泉一樹ってやつだ」

ハルヒ「そう、9組の古泉……ネタバラシすんな!!」

キョン「ほら、早くいかないと他の部活のやつにスカウトされちまうぞ?」

ハルヒ「ハッ!! SOS団として他の部活に遅れをとるわけにはいかないわ!!」ダッ

キョン「やれやれ……」


「ねぇ、ちょっといいかしら」


キョン「……よぉ、朝倉」

朝倉「うふっ、ちょっと付き合ってよ、キョン君」















谷口「AAランク+の朝倉までもがキョンに……ちっくしょー!!」

国木田「キョンは変な女が好きだからね、朝倉さんも変な眉―――」


屋上



キョン「おいおい、なにも屋上まで呼び出すこたぁないんじゃないか?」

朝倉「ふふっ、ここなら聞き耳を立てられることもないだろうしね」

キョン「それで、俺に何か用か?」

朝倉「とぼけないでよ、用件は重々承知しているはずでしょ?」

キョン「生憎、宇宙人から説明を求められることなんて俺は知らないね」

朝倉「あなたは何者なの?」

キョン「それは長門からも言われたな」

朝倉「どうして涼宮ハルヒの側にいるの? あなたはいつから涼宮さんの側に? 自立進化の可能性ってなんなの?」

キョン「どうして宇宙人ってのは質問が多いのかね、元々博識なくせに勤勉でもあるのか?」

朝倉「……答えてよ」

キョン「……朝倉、今お前が行動を起こせば、長門は反乱因子としてお前を処分するぞ」

朝倉「……分かってる、分かってるわよ。でも……」

朝倉「なんなのかしらこの気持ちは、焦り?飽き?苛立ち? 言語化できるのか分からないけど」

朝倉「あたしはこのままジリ貧な状態が続くのはよくないと感じているの」

朝倉「このまま放置してたらあたしたちにとってよくない方向に行ってしまうような気がしたから」

朝倉「あなたの、掌の上で、ね……」

キョン「勘違いしてくれるな、俺は涼宮ハルヒやお前達宇宙人その他諸々にとって損害を与えるようなことはしない」

朝倉「確かに、涼宮ハルヒは動き出した。でも、動かしたのは誰?」

朝倉「あたし達傍観者にとってあなたという横槍は観測の邪魔でしかないの」

キョン「言っても無駄かも知れんが……これが規定事項だとしてもか?」

朝倉「むしろ規定事項だという方が納得できるわ、あたしのこの行動も規定事項として納得がいく」

キョン「……」


キョン「お前にとって俺の存在は邪魔にしかならず、自立進化の可能性から遠ざける存在として認知されているわけか」

朝倉「自然状態の涼宮ハルヒを崩したのは間違いなくあなた」

朝倉「それによって涼宮ハルヒがよからぬ方向に進んでしまう可能性がでてきてしまった」

朝倉「あたしはただその障害を取り除きたいだけ、元の観測者としての立場に戻るために」

キョン「……」

朝倉「……涼宮さんが部活作りをしようって言った時は嬉しかったわ」

朝倉「ついに涼宮さんが動き出したんだって。あの時までは思い通りに良い方向へ進んでいったはずなのよ」

朝倉「長門さんから……あなたのことを聞くまでは」

キョン「……そうか」

朝倉「独断専行なのは理解してる。自分勝手だとも思ってる。でも、なにより……ッ!」

朝倉「あたし自身がこれまでの三年間をたった一人の人間なんかで無駄にしたくないッ!!!」

キョン「…………」

キョン「無駄じゃない、涼宮ハルヒはこれからが―――」

朝倉「キョン君、もういいの」

朝倉「……あなたを殺して涼宮ハルヒを元に戻す」

キョン「涼宮ハルヒは何も変わっちゃいない、むしろ今の涼宮ハルヒこそが元来の彼女だ」

朝倉「あなたに何が分かるの?」

キョン「分かるさ、ずっと見てきたんだ」

キョン「三年前の情報爆発よりもずっと前から、な」

朝倉「……ふふっ、ねぇキョン君もう一度聞いていい?」

キョン「なんだ」

朝倉「あなた……一体何者?」

キョン「……」




























キョン「さあな、自分でもよく分からん」














朝倉「じゃあ死んで」















朝倉「…………」

朝倉「……驚いたなぁ、情報操作が効かないなんて」

朝倉「逆にこっちの体が動かないなんて……」

キョン「その割には、えらくリアクションが薄いんじゃないか? まるで知ってたかのようだな」

朝倉「あなたこそ、喉元に刃を突き立てられているのに余裕じゃない」

キョン「慣れてるんだ、こういうのは」

朝倉「クスッ、どうやったらこんな状況慣れることができるのよ」

キョン「人間ってのはそういう生き物なんだ」

朝倉「……そう、あたしにはまだまだ分かりそうにないや」

朝倉「……それで、あたしをこれからどうするわけ? 殺す?」

キョン「言ったろ、俺は仲良くいきたいんだ」

朝倉「そう、でもあなたがそうしなくてもあたしは情報統合思念体に背いた行動をした、処分の対象よ」

朝倉「直に、情報連結の解除が始まる……」

キョン「……そうか」

朝倉「そう……」

キョン「……」

朝倉「……」

キョン「……」

朝倉「…………あれ?」

キョン「ん?」

朝倉「……んん!?」バタバタ

キョン「どうした?」

朝倉「解除が始まらない!? なんで? どうして??」

キョン「さあ……大方どっかの平和主義者が手回しでもしたんじゃないか?」


朝倉「あ、ありえない……情報統合思念体相手に……そんな」

キョン「言ったろ、俺は仲良く行きたいんだ」

キョン「俺の前で誰かがいなくなることは俺が認めない」

朝倉「キョン君……」

キョン「なぁに、朝倉のちょいとしたおイタなら情報統合思念体も見逃してくれてただろうよ」

朝倉「……キョン君、あたしを消さなかったこと後悔する日がくるわよ、それもすぐに……」

朝倉「またあたしは行動を起こす、もうそれはあたしの意志とは関係ないものになるかもしれない……」

朝倉「目的も手段もない、ただ徒に暴走するかもしれない……」

キョン「安心しろ、そういうことにはならない」

朝倉「……言い切れるのね」

キョン「俺には未来が見えるからな、朝倉が暴走することはない」

朝倉「……」

キョン「戻ろうぜ、俺には団活があるんでね」

朝倉「あたしは……どうすればいいの?」

キョン「さあ? 長門とでもよーく話あってみればいいんじゃないか?」

朝倉「……」

キョン「それじゃあ、また明日」

朝倉「……また、明日」


朝倉「……」ヘタッ

朝倉「本当に驚いた……あんな人間がいるなんて……」

朝倉「情報統合思念体をも上回る情報操作……いえ、違うあれはもっと別のもの」

朝倉「涼宮ハルヒの周りに現れたイレギュラー因子にしてはイレギュラーすぎる……」

朝倉「…………」ハァ

朝倉「……なにやってるんだろう、あたし」

朝倉「観測者としての立場に戻るため? ここでアクションを起こしたらそれはもう観測者と呼べないじゃない」

朝倉「……本っ当になんの考えもなしに短絡的に行動しすぎたわ……」

朝倉「冷静になって…………キョン君はこれを規定事項だと言った」

朝倉「彼の言うことが本当なら、彼と言うイレギュラー因子は涼宮ハルヒによって望まれたものになる」

朝倉「あたしや長門さん、未来人や超能力者等と同じ存在……いえ」

朝倉「ただ涼宮ハルヒによって揃えられただけのあたし達とは根本から違う……」

朝倉「三年前の情報爆発からずっと見てきた……」

朝倉「まるで……涼宮ハルヒという存在を作ったかのような……」

朝倉「……うん、冷静になって考えれば大丈夫な気がしてきた」チクッ

朝倉「うん? なにか胸のあたりに痛みが……?」

朝倉「なにかしら? 少し彼について考えると脈拍、心拍数が少しだけ上昇してる……?」

朝倉「これは……好奇心による興奮? 興味の対象が増えたことによるものなのかしら?」ウーン

朝倉「まぁいいや、とりあえず……」

朝倉「一度捨てた命、後悔しないように使おう! ファイト朝倉涼子!」オーッ!!












キョン「一人でなにやってんだアイツは……長門と大違いだな」

キョン「ともあれこれで、朝倉は無茶をしなくなる、か」

キョン「……目まぐるしく状況が動いているな」







ハルヒ「アンタ! 古泉一樹君? 謎の転校生として我が団への入部を許可するわ!」




古泉「これはこれは、光栄です」





ハルヒ「というわけで連れてきました転校生!!」

キョン「おー、勧誘に成功したのか」

ハルヒ「あたしのスカウト能力にかかれば余裕よ余裕!」

ハルヒ「それじゃあ古泉君、自己紹介して!」

古泉「古泉一樹です、本日付で九組に転向してきました。 至らぬ点もございますがどうぞよろしくお願いします」

キョン「おう、よろしくな」

朝比奈「よ、よろしくお願いします」

長門「……」チラッ

キョン「……」

ハルヒ「さて、これであたしの思い描く布陣が整ったわね」

キョン「すまん、ちょっといいか?」

キョン・ハルヒ「「よくない!! これからあたしがSOS団の活動方針について会議を……」」

ハルヒ「……グスッ」

朝比奈「す、涼宮さん泣かないでぇ!」

キョン「あー、ここにいるみんなに俺から伝えたいことがある」

キョン「伝えたいことっていうのは、ズバリ俺の正体だ」

古泉「正体? といいますと?」

キョン「まぁ、見せた方が早いか」














キョン「ほら、首がとれたりする」スポッ














朝比奈「ぴぎゃぁああああああああああああああああああああああああああ!!!」バタン!!

ハルヒ「なっ、なんてモンみせんのアンタぁあああああああああああああ!!!!」

古泉「……おやおや」

長門「……ユニーク」

ここまでー

自律進化○
自立進化× 
知らんかった

今日中には投下―

投下―


キョン「まぁ、いまのでお気づきの通り俺は宇宙人でもあり未来人でもあり超能力者でもある存在だ」バーン

ハルヒ「今のじゃただのビックリマン止まりでしかないわよ!」

キョン「俺が言いたいのは仲良くしようってこった、時にこんな宴会芸みたいなこともしてな」

キョン「なぁ、古泉もそう思うだろ?」

古泉「……はい、なにかあなたには特別な力を感じます」

キョン「そう思うだろ? お、古泉電話がなってるみたいだから外で電話してきたらどうだ?」

朝比奈「ふぇ? なってましたか?」

古泉「……ありがとうございます、少し席を外させていただきます」ガチャ

キョン「おう、気にしなくていいぞ」

朝比奈「きょ、キョン君さっきのマジックは一体どうやったんですか?」

キョン「マジック……朝比奈さんあれをマジックだと?」

朝比奈「ふえぇ違うんですか!?」

ハルヒ「チッチッチ、甘いわねみくるちゃんあれは……トリックよ!」ドーン!!

キョン「あいつは放っておいて、朝比奈さん、俺実は未来人なんですよ」

朝比奈「え、ええぇ!! キョン君m……が!!?」

キョン「なんと分かりやすい……ま、いいか」

キョン「とりあえず、これでみんなには俺の正体を分かってもらえたようだ、それで俺がいいたいことは一つ」

キョン・ハルヒ「「仲良くしよう」」

キョン「お?」

ハルヒ「ふっふっふ、仕返しよ!」

キョン「俺のことが分かってきたじゃないか(本当は俺が合わせたんだけど)」

ハルヒ「逆よ! アンタがあたしを分かってきたの!」

キョン「俺はもとからお前のことをよーく知っているさ」

ハルヒ「……エロキョン!!」バシッ!!

キョン「痛いって」


古泉「……失礼しました、ただいま戻りました」ガチャ

キョン「どうだった?」

古泉「……いえ、全く、なんの電話か分かりませんでしたよ」

キョン「そうか分からなかったか」

古泉「ええ……全く」

キョン「なぁ、俺は今から古泉と少し話してくる」

ハルヒ「ちょ、アンタ自由すぎるわよ!! 大体この後あたしからの重大発表が控えてるんだか―――」

キョン「あ、朝比奈さんは土曜日、つまり明日の不思議探索の時にでもお話ししましょう」

ハルヒ「ちょ」

朝比奈「不思議探索……ですかぁ?」

ハルヒ「あたしまだ発表してない!!」

キョン「言ってたよな? 長門?」

長門「くじはもう作ってある、印付き二本、それ以外を三本」

ハルヒ「」

キョン「ほらぁ」

ハルヒ「そんなぁ……みくるちゃん! あたし次の土曜日の予定まだ言ってなかったわよね!?」

朝比奈「うぅん、言ってなかったはず、ですけど……なんだか自信が……」

ハルヒ「気をしっかり!! 今のトコみくるちゃんだけがあたしの味方なんだから!! ね!!?」

キョン「ははっ、まぁそういうことで明日は朝九時に北口駅前に集合らしい、遅刻したら死刑らしいから気をつけて」

ハルヒ「だからあたしはまだなにも言ってないってば!!! でもキョンの言う通りの予定だから!!!」

キョン「へいへい、それじゃ親睦を深めるとするか、古泉行こうぜ」ガチャ

古泉「はい、お供させていただきます」

ハルヒ「……ねぇねぇみくるちゃん、あたしいい事思い―――」

キョン「尾行とかしたら明日を待たずして死刑になるかもだぞ」シュン

ハルヒ「あ、あはは、だ、だからまだ何も言って……ない、わよ?」ダラダラ

キョン「ならいいんだが」シュン

朝比奈「ひ、ひえぇ……キョン君が出たり消えたり……ふみゅぅ」バタン!!

ハルヒ「みくるちゃーん!!! トリック!! トリックだからぁ!!!」


キョン「さて、この辺でいいか」

古泉「……失礼します」

キョン「それで、俺が何者であるかしっかり調査できたか?」

古泉「……ご存知の通り、これといった情報はなにも。 むしろ一般的な男子高校生すぎて逆に何故この場にいるのか怪しいぐらいです」

キョン「ははっ、まぁそんなモンか。機関の情報力じゃまだまだ宇宙人は超えられないな」

古泉「機関をご存じで? いえ、当然至極のことでしたね」

キョン「涼宮ハルヒの監視を最重要事項とする超能力者集団。閉鎖空間内での神人との戦闘に勤しんでいる」

古泉「……失礼なこととは存じておりますが、あなたは一体……」

キョン「何者か、か……最近よく聞かれるようになったよ」

キョン「俺が何者か、か……それを知るにあたって古泉。俺から一つ質問してもいいか?」

古泉「なんでしょう? 僕が答えられる範囲のものであれば」

キョン「いや、答えられなくてもいいんだ。ただ、俺に質問させてくれ」

キョン「……佐々木」

古泉「はい?」

キョン「お前は涼宮ハルヒという人間に関わった時から『佐々木』というワードを重要視したことはあるか?」

古泉「佐々木……ですか? 一般的な名字だと思いますが……監察にあたって重要視した人も言葉もありませんね」

キョン「そうか……まぁ、そうだよな、そうじゃなきゃいけない」

古泉「それが……あなたや涼宮さんとどのような関係が……?」

キョン「……」


キョン「なぁ古泉、お前の力は三年前の情報爆発によって涼宮ハルヒから授けられたもの、そう考えているはずだよな?」

古泉「はい、機関の考えとしましてはそれが最も主流であり普遍的な考え方とされています」

キョン「では涼宮ハルヒの力はいつから存在していると思う?」

キョン「願ったことを思い通り実現する力……これはお前たちと同じく三年前から発現した力か?」

古泉「……機関の考えでは、情報爆発よりも前から力の奔流の兆しがあったと考えられています」

古泉「最も、それがどれくらい前なのかは検討がついていませんが……」

キョン「教えてやろうか? 『涼宮ハルヒ』の力は実は彼女が生まれつきもっていたものなんだ」

古泉「それは……ええ、考慮の一端としては置いていました」

キョン「だろう? こう考えるのは妥当だ。涼宮ハルヒは生まれつき力を有していた」

キョン「そしてなにかの拍子に力が覚醒、三年前の情報爆発を引き起こした、と……」

古泉「はい、それが真実であるならば僕達も納得の域をでることはないでしょう」

キョン「そう、ここで問題なのはなぜ涼宮ハルヒにそんな力があったのか?」

キョン「そもそも、その力はどこから作り出されたのか、どこから来たのか?」

古泉「真直に考えれば、涼宮さんの生誕とともに彼女に付与、または備わっていた力と考えられます」

キョン「そう……涼宮ハルヒという人物を知る人間ならそう考えるのが妥当だ」

キョン「だが、それは『涼宮ハルヒという人物しか知らない人間』が行きつくミスリード的な答えなのさ」

古泉「……涼宮ハルヒ=力の元祖と考えることがミスリードである、と?」

キョン「……その通りさ」
















































キョン「涼宮ハルヒの力は元来、涼宮ハルヒのものではなく、『佐々木』という人物の力が移った結果にすぎない」






























古泉「…………」

キョン「驚いたか?」

古泉「ええ……正直、とても」

古泉「……では、なんらかの形で『佐々木』という人物の力が涼宮ハルヒに移った、と?」

キョン「ああ、その事実を知っているのは今まで俺だけだった」

キョン「今この瞬間に爆発的に情報が拡散されているのはともかくな」

古泉「……我々が活動してきて以来、涼宮ハルヒに関する情報の中で『佐々木』というワードを目にしたことはありません」

キョン「だろうな、俺しか知らなかったことだ。あの情報統合思念体ですら知りえない情報だ」

古泉「……簡単には信じがたい話ですが」

キョン「そう易々と信じてもらっても困る。なんせ涼宮ハルヒを知っている者にとっちゃアホみたいに重要な情報だからな」

古泉「……真偽の判断は時間をかけてゆっくりと行わせていただきます。それで、あなたとその―――」

キョン「悪い、古泉どうやらお話の時間はここまでのようだ」

古泉「? それはどういう……」

キョン「そぉら」ブン

古泉「……おや」

ハルヒ「うわわっ!!」トサッ

朝比奈「きゃぅん!!!」トサッ

キョン「ったく、聞き耳を立てやがって……尾行すると死刑って言ってたよな? あ、朝比奈さんは別ですよ?」

ハルヒ「何今の!?!? キョンもっかい!! もっかいやって!!」キラキラ

キョン「ここぞとばかりに聞いちゃいねぇ」

ハルヒ「大体団長ほっぽり出して呑気にお喋りなんてする方が悪いのよ!!」

キョン「逆ギレかよ、いいか俺と古泉はSOS団に欠かせない超能力タッグを組むことになるんだぞ? なぁ古泉?」

古泉「え? え、えぇまぁ」

ハルヒ「ホントっ!? なら古泉君もキョンみたいなことできるの!!?」

古泉「あぁ、それは―――」

キョン「できる」

古泉「え」

ハルヒ「わぁ!」

キョン「できるさ、なんせ謎の転校生だぞ? これぐらいの潜在能力を持ってて当然だろ?」

ハルヒ「よねっ!! やっぱりこのぐらいかるーくこなしてもらわないと!!」

古泉「……あの」


キョン「だいじょーぶだって、俺の力でなんとか誤魔化してやるから」ボソボソ

古泉「そ、そういう問題ではなくてですね」ボソボソ

キョン「俺が与えた情報量代みたいなもんだ、大サービスだぞ?」

キョン「それにここで涼宮ハルヒに失望でもされたら最悪退団、最高でも閉鎖空間の掃除が待ってるぞ」

古泉「な、中々黒い方ですね、あなたは……」

キョン「そのエセスマイル取っ払ってから言え、古泉君」

ハルヒ「ちょっとー!! まだなのー!?」

キョン「お待たせあれっ、我らが未来の副団長、古泉一樹の超能力自慢!!」

古泉「自慢!? そんな演芸みたいな感じなんですか?」

ハルヒ「まずは手からハトだしまーす!!」

古泉「オーダー制!? 言われたことをやるんですか!?」

キョン「古泉、ジャスチャーしろジェスチャー」ボソッ

古泉「……そ、そーれ」バッ


バタバタバタバタバタ!!!!!


ハルヒ「……」

古泉「……」

キョン「よっ、日本一」

朝比奈「うわぁ!」

ハルヒ「ペンギン!?!? ペンギンだわこれ!!」

古泉「あ、あはは……はは?」

ハルヒ「古泉君! アンタすっごいわ!! これは早くもキョン超えなるわよ!!」

キョン「むっ、それはいかんな……なら俺は、そらっ!」バタッ

キョン「よう」

ハルヒ「……」

ハルヒ「キ ョ ン か ら キ ョ ン が 出 た ! ! ! ! ? ! ? ! ?」

キョン・キョン「「イリュージョン」」

ハルヒ「イリュージョン!? これがイリュージョンなのね!? トリックではなくイリュージョンなのね!!?!?」ワサワサ

朝比奈「はぇーすっごい……」

古泉「……常識外すぎる……涼宮さんの常識とは一体……」

キョン・キョン「「ははっ、改めて、ようこそ古泉! SOS団へ!」」

ハルヒ「それはあたしが言うセリフー!!! てかキョンキョンうるさい!!」

ここまでっ

投下―


土曜日

キョン「zzZ……」バン!!

キョン妹「キョン君起きてー!!」ドシン!!

キョン「ふごっ! 妹よ……起こしてくれてありがとう」

キョン妹「どういたしましてー! キョン君今日お出かけするって言ってたからー!」

キョン「ああ、今日は少し用事が……妹よ」

キョン妹「どうしたのー?」

キョン「……心なしか外が暗すぎる気がするんだが……」

キョン「……今はまだ朝の4時とかじゃあるまいか?」

キョン妹「もー違うモン!! 私時計ぐらいちゃんと分かるもん!!」

キョン「そうか、で、聞くが今は何時何だ?」

キョン妹「八時半!!」

キョン「……」

キョン妹「夜の!!!」

キョン「……ハァ」フワフワ

キョン妹「あー! キョン君また浮いてるー!! 私にもやってー!!」キャッキャ!!


キョン妹「ふわふわー!!!」キャッキャ!!

キョン「……げっ、着信履歴がえらいことに……やれやれ」

キョン妹「どうしたのー?」

キョン「どうしたもこうしたも……妹よ、朝の九時に用事があるとは考えなかったのか?」

キョン妹「キョン君はオトナのオトコだからハードボイルドに夜にお遊びするんだよーっ!」

キョン「どこでそんな言葉覚えたんだ……というか夜九時まで寝続ける俺も俺だが」

キョン「……あーいつの間にやら閉鎖空間が世界の6割ぐらいに……まずいまずい」

キョン「このままじゃ古泉が入団二日目からガチの幽霊団員になっちまう……」

キョン「あーそれじゃあ妹、とりあえず起こしてくれた礼は言っておこう」

キョン「お蔭で世界崩壊はギリギリ間に合いそうだ」

キョン妹「んー? どういたいましてーっ!」

キョン「さて……それじゃあ俺はこれから」




























キョン「今日を繰り返すとしよう」ズオォオオオオオオオオオオ!!!


土曜日 



キョン「……」ズォオオオオオオオオ!!!

キョン「八時か……まぁちょうどいいか」

キョン「えーっと着替えて、持ち物の用意して……」

キョン「飯を食ってゴロゴロして一人でも待ち合わせ場所に来たら行くとするか……ってんん?」

キョン「あらぁ……長門がもう着いてるなこりゃ、律儀と言うか几帳面と言うか」

キョン「仕方がない、恐らく長門も俺を見越してのことだろう」

キョン妹「あれー? キョン君もう出て行っちゃうの?」ガチャ

キョン「ああ、それと妹、九時と言うのは朝の九時のことだからな? ハードボイルドとかは違うからな?」

キョン妹「そうなのーっ!?」

キョン「そうなんだ、それじゃ行ってくる」シュン

キョン妹「わぁあ! キョン君また消えたー!」キャッキャ!!


北口駅前


キョン「よう」シュン

長門「……」コクリ

キョン「えーと、昨日いや今日は悪かったな」

長門「やはり世界改変をしたのはあなた?」

キョン「あぁ、ちょっと寝坊しちまったからこう、ちょちょっとズォオオオオオオオオオ!!!って感じで」

長門「……そう」

長門「昨日の今日の10時以降閉鎖空間の拡大は止まることはなく、24時を超えた時点で世界は崩壊するはずだった」

キョン「なんだあと4時間も猶予があったのか、意外に楽勝だったな」

長門「……そう」

キョン「どっこいしょっと」ドカッ

長門「……」

キョン「……」

長門「……」

キョン「……何か、言いたいことがあるんじゃないか?」

長門「…………朝倉涼子の独断専行はこちらの責任、迷惑をかけた」

キョン「そうか、まぁ俺は別に気にしていないんだが」

長門「私は何故朝倉涼子が独断専行をしたのかが分からない」

キョン「……」

長門「私達、涼宮ハルヒの観測者は直接的なアクションを取らない」

長門「自然状態の涼宮ハルヒを乱すことは自律進化の可能性を妨げる可能性が発生するから」

キョン「障害である俺を取り除こうとする行動こそが朝倉の矛盾した行動だったわけだ」

長門「……あなたの言った通り、朝倉涼子は独断専行を侵した」

長門「これは同期でも分からなかった結果」

キョン「言ったろ、俺には未来が見える。そして朝倉のあの行動はバグみたいなモンで」

キョン「そのバグってのをお前は知らない。お前達宇宙人はまだ、知らない」

長門「……情報統合思念体ですら予測、理解できない情報をあなたは知っている」

キョン「そうかもな」

長門「私個人として、あなたには涼宮ハルヒ、またはそれ以上の興味が湧いた」

キョン「……ほう」


長門「好奇心……文献を読むときに感じるものと同一のもの」

長門「それを……あなたに感じる」スッ

キョン「おいおい、俺はカビの生えた本や未開の地の珍生物とは違うぞ?」

長門「あなたという存在をもっと知りたい」

キョン「そんな誤解を招くような発言は……」

ハルヒ「」

キョン「……ほらぁ」

ハルヒ「SOS団設立二日目にしてこれ!! 二日目にしてこれ!!」

ハルヒ「いーいキョン!! 言ってなかったかもだけどあたしはね!」

キョン・ハルヒ「「恋愛は一種の精神病みたいなモンだとしか考えてないんだからね!!」」

ハルヒ「だから断固として団内での不純異性交流は禁止しています!! オーバー!!?」

キョン「おぉ、めげずに言い切った……あのな涼宮ハルヒ、俺と長門はそんな関係じゃない」

ハルヒ「いーや! 今有希がいったこと反芻してみなさいよ!!」

キョン「言ってやれ長門」

長門「あなた灯油散財もう越冬できない」

ハルヒ「言ってない!!!!!! 絶対言ってないわ!!!! 言ってたとしても今言うべきじゃない!! ていうか最後は明らか絶対違うじゃない!!」

ハルヒ「なんでキョンが有希の灯油使い果たして越冬できない話を今してるのよ!!? 今はMay!!皐月の五月!!!!」キーッ

キョン「落ち着けって」

ハルヒ「だっ、大体有希はあ、ああアンタのむ、胸に手ぇ置いてたわよね!?!? あれはどう説m―――」

長門「寒かった」

ハルヒ「今はMay!!! そこそこ温かくて過ごしやすいむしろ立夏の月!!!」

キョン「怒涛のツッコミだな」


ハルヒ「フーッ! フーッ!」

キョン「落ち着け落ち着け、ほらこれやるから」スッ

ハルヒ「……なによこれ」

キョン「ネッシーの生写真、本物だぞ?」

ハルヒ「……」ペイッ

キョン「あぁ! なぜ捨てる?」

ハルヒ「なんで自撮りフレームでアンタが映ってんのよ!!! 邪魔!! ネッシー見えないじゃない!!!」

キョン「そう言うと思って、ほらこっちはマジモンだぞ」バシッ

ハルヒ「……わぁ! ネッシー!? これ本物のネッシー!?」パァアアア!!!

キョン「単純だなぁ、あぁ本物だネス湖のネッシーの太郎君だ」

ハルヒ「へぇ、ネス湖のネッシーの……って、ネッシーが名前でしょ!!?」

キョン「あれは俗名、本名は太郎だ、本人から聞いた」

ハルヒ「なんで日本名!?!? 誰が名づけてそうなった!?!?」

キョン「まぁまあネッシーはそこまでにして、いつのまにやらみんな集合してるぞ?」

ハルヒ「あ」

古泉「こんにちは」

朝比奈「こんにちはぁ」

キョン「ほら、団長殿、何するんだっけ?」

ハルヒ「……ふっふっふ」

ハルヒ「それではっ! 本日第一回SOS団不思議探索を始めたいと思いますっ!!!」


キョン「それじゃあ、組み分けのクジを引こうか、長門」

長門「……」スッ

ハルヒ「はい、ストップ。阿吽の呼吸は、はいストップ」

キョン「なんだよ、クジ引くんだろ?」

ハルヒ「ええ、ええ確かに引きます引きますけども!」

ハルヒ「昨日からあたしは一言もそのことを言ってない!! なのにアンタらは知っている!! これはなぜか!!?」

キョン・長門「「メンタリズム」」

ハルヒ「メンタリz、そう!!まさにこれ!!! この現象!!! あたしはアンタらの掌の上!!!」

キョン「なに荒ぶってんだ」

ハルヒ「とにかく、クジはあたしが用意しました、そして今からあ た し! が概要を説明します」

キョン「手短にな」

ハルヒ「あたし団長!! 少し悠長!! あたし成長!!」

キョン「なんでラップなんだよ」

ハルヒ「団長に指図すんなっ! いーいっ? この中に赤い印の付いたクジが二本、それ以外が三本あるわ!」

朝比奈「……」

古泉「……」

長門「……」

ハルヒ「あれ? なんでみんな微妙な反応?」

キョン「だからそりゃあ昨日俺が言ったことと同じこと言ってるから」

ハルヒ「うわぁあああああああああああああああああん!!!」ダッ!

朝比奈「涼宮さん待って!! ハウス!! ハウス!!」ガタッ!!

古泉「それは酷すぎませんか朝比奈さん……」


ハルヒ「グスッ、とにかくさっさとクジ引きなさい!!」ズズッ!!

キョン「へいへい、じゃ俺から……印付き」

長門「……」スッ

キョン「長門も印、これで決まりだが……古泉、一応引いてみろ」

古泉「はぁ、おや? 僕も印が……」

キョン「朝比奈さんもどうぞ」

朝比奈「あ、私も……?」

ハルヒ「……」スッ






ハズレ






ハルヒ「…………」

ハルヒ「……グスッ」

ハルヒ「……あ、あたしもある意味印付きよ……え、えへへ」

ハルヒ「ね、ね? 一人じゃないわよね? ねえみくるちゃん!?」ユサユサ

朝比奈「……キョン君、やりすぎです」ヨシヨシ

キョン「すいません、やりすぎました」

朝比奈「もう涼宮さんのメンタルがヤバいです」

古泉「これは酷い」

キョン「長門、二回目はやめとこうか」

長門「……」コクリ

朝比奈「二回目もやるつもりだったんですか!?」

古泉「……鬼畜ですか」

ハルヒ「……グスッ」


キョン「それじゃあ俺は朝比奈さんと、他は三人で午前は回るんだな?」

ハルヒ「そっ!! んで午後また集まっ、て……く、クジを」ガタガタ

古泉「トラウマになってませんか?これ」

キョン「いざとなったら記憶を消す」グッ

古泉「なにとんでもない方向に決意を示しているんですか、穏便にお願いします」

キョン「それじゃあ朝比奈さん、俺たちは川沿いにでもいきましょうか」

朝比奈「はぁい、それじゃあ涼宮さん行ってきます」

ハルヒ「ちゃんと、不思議なもの見つけてくるのよ!! あっ! キョン!」

キョン「なんだ?」

キョン・ハルヒ「「マジデートじゃないかんね!」」

ハルヒ「……分かってるんならよし」

キョン「へいへい、そんじゃ行ってくる」

ハルヒ「行くわよ! 有希、古泉君!!」

長門「……」

古泉「はい、お供させていただきます」

キョン「行きますか」

朝比奈「はぁい」


キョン「いやーこの辺はのどかですね」

朝比奈「そうですね、とっても落ちつきます」

キョン「さて、そろそろお話の時間でしょうか? 朝比奈さん」

朝比奈「ふぇっ!? あぁ、えぇと、そう……ですね」

キョン「あそこのベンチでいいですか?」

朝比奈「はい……あの」

キョン「……はい」

朝比奈「キョン君って、一体……何者なんですか?」

キョン「……」

朝比奈「私や長門さん、古泉君の正体も初めから知ってるみたいな……」

朝比奈「それに今まで起きてきたことや、これから起きることも全部、知ってるみたいな……」

キョン「そうですね……言ってしまえば、俺は未来人なんですよ」

朝比奈「えぇ!? キョン君も!!? あ……」

キョン「禁則事項なら心配しないでください、ほとんどかかってないも同然なんで」

朝比奈「ど、どうしてそれを……!」

キョン「俺相手にはかける必要がないといいますか……」

朝比奈「キョン君……」

キョン「……俺は宇宙人でもあり未来人でも超能力者でもある存在」

キョン「そして、そのどれにも当てはまらない存在……それが俺です」

朝比奈「……え、っと?」

キョン「……ゆっくり話していきましょうか」































キョン「知ることのできない、三年前以前の話を――――――」

ここまでぇ

今日中に投下できたらとー

投下―


朝比奈「三年前、以前……時間振動以前の話?」

キョン「はい、ええっとなにから話しましょうか……」

キョン「朝比奈さん、あなたは未来から三年前以前の過去に遡ることができない原因の調査のためこの時代にきた」

キョン「何故この時代にきたのかは、ご存じ、涼宮ハルヒこそが時間断層の歪みの真ん中にいたから……」

キョン「違いますか?」

朝比奈「……キョン君の言う通りです」

キョン「朝比奈さんの禁則事項になるようなことは言いも聞きもしません」

キョン「俺がこれから話そうとしているのは単なる三年前以前の事実ですから」

キョン「もちろん、未来人側が信じようが信じまいが俺はどっちでもいいんです。いや、できれば信じて欲しいんですけど」

キョン「ただ、知っておいて欲しかったんです」

朝比奈「……分かりました」

朝比奈「キョン君が何者なのか、私に全部理解できるのか分からないけど」

朝比奈「……聞かせて?」

キョン「……はい」


キョン「これは古泉にも聞いたことなんですが、『佐々木』というワードは時間振動と何か関連付けられていたりはしないですか?」

朝比奈「『佐々木』……? すいません、そういう人も言葉も特に覚えがありません」

キョン「いえ、そうならばそれでいいんです」

キョン「古泉に言ったことを簡潔に話しますと、この『佐々木』こそが涼宮ハルヒの力の元祖とも呼べる存在であり」

キョン「涼宮ハルヒはその力を治めることのできる器である、という説明をしました」

朝比奈「…………う、うぅん」

キョン「……続けます」

キョン「今の長門や古泉、そして朝比奈さんは『佐々木』という存在を全くしらず」

キョン「あくまで涼宮ハルヒこそがあらゆる現象の中心にいると考えている」

朝比奈「はい、結論から言うと涼宮さんは時間平面に干渉できる唯一の人間と考えているから……」

朝比奈「それも……唯一ではなくなったと思っているんだけど」チラッ

キョン「俺は……そうですね、あくまでも語り手」

キョン「『佐々木』や『涼宮ハルヒ』とは本来縁のない人間なんです」

朝比奈「えっ、そうなんですか? てっきり涼宮さん、いえ『佐々木』さん? の力が関係しているのかと」

キョン「全く関係ありません、『佐々木』の力と俺の『力』に 関しては」

キョン「……長門は自律進化の可能性を、古泉は自らの力の根源を」

キョン「それぞれ涼宮ハルヒに見出している」

キョン「これらと涼宮ハルヒを繋げるのは正解です。とりあえずは」

朝比奈「とりあえず?」

キョン「ただ、朝比奈さん、あなた達未来人が考える時間の歪みの原因は涼宮ハルヒじゃない」

朝比奈「えっ、そんな!」

キョン「いえ、正確には涼宮ハルヒだけじゃない、です」

朝比奈「……?」


キョン「三年前の情報爆発、これは涼宮ハルヒの力の覚醒に他なりません」

キョン「この情報爆発による時間振動、そこまでは涼宮ハルヒが原因といってもいいでしょう」

キョン「ただ、時間平面に干渉し、三年前以前の過去に遡ることができないよう介入しているのは涼宮ハルヒではありません」

キョン「それが――――――『佐々木』」

朝比奈「……!!」

キョン「涼宮ハルヒの力の前任者、とも言える『佐々木』が三年前以前への干渉を妨害している」

朝比奈「そ、そんな! 確かに未来で観測した時間の歪みの真ん中には彼女がいた! そして今も居続けている」

キョン「その通り、今でも涼宮ハルヒは時間の歪みの真ん中であり、時間平面に干渉する唯一、おっとこれは違うか」

キョン「唯一ではないかもしれないですが、そういう人間だ」

キョン「しかし、あくまで涼宮ハルヒは力の器、力自体は『佐々木』のものです」

朝比奈「それじゃあ涼宮さんの力と呼べn!!!」

朝比奈「……待って、キョン君、その佐々木さんの力によって時間の歪みが発生しているというなら」

朝比奈「今、涼宮さんが持つ力を使っているのは……誰なの?」

キョン「――――――『佐々木』」

朝比奈「!!?!?!?!!?!??」

キョン「涼宮ハルヒは力とともに『佐々木』をも受け継いだ、とでもいうんでしょうか?」

キョン「一見、涼宮ハルヒの力として振舞われているその力は全て『佐々木』の力」

キョン「『涼宮ハルヒ』とは願望実現力がある少女なんかではなく」

キョン「ただ単に力を入れる容器、本当の意味での『器』としての役割しか果たしていないんですよ」

朝比奈「そん……っな……」


キョン「ただしかし、『佐々木』が力を使っているにしてはいやに涼宮ハルヒにとって都合のいいことが起きていると思いませんか?」

キョン「例えば、朝比奈さん達未来人の存在、長門達宇宙人、古泉達超能力者の存在など」

朝比奈「そ、そうです……涼宮さんが望んだから私たちはここにいる。決して佐々木さんが望んだわけでは……」

キョン「先ほど、長門の自律進化の可能性と、古泉の力の根源についてとりあえずは正解といいましたよね?」

朝比奈「ええ、とりあえずってことが引っかかってけど……」

キョン「あれは涼宮ハルヒの力なんですよ」

朝比奈「え? え!? さっき涼宮さんの力は全部『佐々木』の力って言ってましたよね!」

キョン「……予想以上だったんですよ、涼宮ハルヒの『器』としての完成度が」

キョン「『器』は自我を持ち出し『力』を我が物にしようとする」

キョン「涼宮ハルヒは三年前、『佐々木』の力を奪うことに成功した」

朝比奈「それが……時間振動、の原因」

キョン「結果的に言えば、未だ涼宮ハルヒの力は『佐々木』のものであり涼宮ハルヒはまだ『器』にすぎない」

キョン「しかし、三年前の奪った力の残滓ともいえる力により古泉達超能力者の力が発現した」

キョン「そして長門達宇宙人は涼宮ハルヒの力の覚醒、つまり、長門達は知りませんが『佐々木』からの力の強奪」

キョン「これに自律進化の可能性を見出した」

キョン「そして『佐々木』の力は涼宮ハルヒの覚醒と共に、三年前以前の踏み込みを良しとしなくなった……」

朝比奈「そ、それが涼宮さんの真実……?」

キョン「えぇ、今も力の奪い合いともいえるものは続いています。 涼宮ハルヒにその自覚はありませんが」

キョン「そして、少しずつ……本当に少しずつですが涼宮ハルヒは力を身につけている」

キョン「それが、閉鎖空間やその他の現象に現れています」

朝比奈「……」

キョン「だから今となっては涼宮ハルヒの力を完全に『佐々木』のものであるとは言い難くなってしまいましたね」

朝比奈「……あっ! キョン君だったらどうして『佐々木』さんは三年前への遡行を―――っ!!」トサッ

キョン「……すいません、朝比奈さん、どうやらマジモンの禁則事項みたいです」





























朝比奈(大)「……久しぶり、キョン君」

キョン「……お久しぶりです、朝比奈さん」































朝比奈(大)「お久しぶりだって、キョン君この時間平面で私と会うのは初めてのはずでしょ?」

キョン「そうでしたか? 細かいことは覚えてないもんで」

朝比奈(大)「女性と会うことを細かいこと扱いしたらダメですよ、もう!」

キョン「はは、すいません」

朝比奈(大)「……これだけ年月が経ってもまだキョン君には適わない気がするなぁ」

キョン「まさか、俺なんてずっとガキのまんまですよ」

朝比奈(大)「ずっと、ね……」

キョン「…………」

朝比奈(大)「ごめんなさい、意地悪な会話をしにきたんじゃないのにね」

キョン「いえ、いいんですよ」

キョン「それに、ここに留まる時間も、そんなにないでしょう?」

朝比奈(大)「なんでもお見通しなのは変わらないわけね」

キョン「マジシャンですから」

朝比奈(大)「ふふっ、なつかしいなぁ」

キョン「……また会いましょう、朝比奈さん」

朝比奈(大)「ええ、きっと会えるわよ……未来でね」

朝比奈(大)「それじゃあね、キョン君」

キョン「……行ったか」

キョン「やれやれ、未来人ってのはなんでこうもやりにくいのかね」

キョン「お蔭で最後まで話せなかったじゃねえか」

朝比奈「スースー」

キョン「……ま、朝比奈さんの寝顔に免じて許すとしますか」

朝比奈「……んん、涼宮さん」

キョン「ん?」

朝比奈「お手」

キョン「」

ここまーで

あと寝る前に一回投下できたらー

投下―



「十二時にいったん集合。それでく、くく、クジを引いてもっかい不思議探索!」



キョン「なんで文面にまでトラウマが刻まれているんだ」

朝比奈「ごめんなさいキョン君、わたし急に寝ちゃってたみたいで」

キョン「気にしないでください、麗らかな日に当てられたらそうもなりますよ」

キョン「ものすごい寝言も聞いちゃいましたけど」ボソッ

朝比奈「え? と、とにかく私はキョン君から聞いたことを未来に報告します。いいですか?」

キョン「どうぞどうぞ、そのために言ったみたいなもんですから」

キョン「(少し記憶が改ざんされてるな……朝比奈さん(大)め)」

朝比奈「ごめんね、下っ端のわたしの独断じゃ決められないことが多すぎるの」

キョン「いつだって現場をよく知っているのは現場の人間です。自信をもって」

朝比奈「ふふっ、わたしの方がお姉さんなのにお兄さんみたいなこと言うんですね」

キョン「ははっ、妹がいるからじゃないですかね」

キョン「さて、それじゃあ集合場所に向かいますか」

朝比奈「キョン君、さっきみたいなズルしちゃダメですよ?」

キョン「次はハルヒだけ印ありにしてみます?」

朝比奈「ダメだってばぁ!!」


キョン「よっ、少し遅れた悪い」

ハルヒ「これで、みんな揃ったわね」

キョン「ああ、またせたな」

ハルヒ「成果は?」

キョン「これ、火星人の写真」

ハルヒ「……わぁ! じゃなくて!! これアンタの私物じゃない!! いや私物でそんなもの持ってるのもおかしいけど!」

ハルヒ「あたしは今の不思議探索の結果を聞いてるの!!」

キョン「ない」

ハルヒ「即答ね!! こっちもなかったわよ!! 以上!!」

キョン「勢いだけで自分の不備を素っ飛ばしやがった」

ハルヒ「さ、さぁてそれじゃあ午後のく、、クゥジを……」

キョン「長門、あいつ今クゥジって言ったよな?」

長門「……」コクリ

ハルヒ「……」プルプル

朝比奈「キョン君!!」

キョン「すみません朝比奈さん、冗談が過ぎました」

古泉「僕のバイトを増やそうとしないでください……」

キョン「悪いな、今度手伝いにいくから」

古泉「なんでもありですね、あなた」


ハルヒ「気を取り直して……今度はあたしから引くわよ!! いい!?」

キョン「どうぞ」

ハルヒ「……ッ!!」ゾクッ!

ハルヒ「(怪しい!! キョンがあたしのこの提案を易々と飲むなんて……ッ!)」

ハルヒ「(十中八九キョンはこのクジに奇妙なトリックを仕掛けている、それは間違いない!)」

ハルヒ「(今度はあたしだけ印をつけてぬか喜びをさせようって算段があるかもしれない……)」

キョン「(おっ、中々鋭いじゃないか)」

長門「(同じ手には引っかからない)」

キョン「(だなぁ)」

古泉「(なにかこの両者の間でテレパシー的なものを感じます……)」

朝比奈「(キョン君、ああは言ったけど絶対なにか企んでるんだろうなぁ……うぅ涼宮さんファイト!)」

ハルヒ「(クッ……それでもあたしは賭ける!! このクジの行く先に!!!)」

ハルヒ「(ハズレ以外の……赤い印を……ッ!!」

キョン「(お、くるか)」

ハルヒ「あたしが選ぶのはこぉおれだぁああああああああああああああああああ!!!!!!!」スッ!!

古泉「あ」

朝比奈「あ」

長門「……」

キョン「おぉ!」






















































あたり!





























ハルヒ「だからちがうでしょぉおおおおおおおおおがぁああああああああああああああ!!!!!」

キョン「よかったなぁ、赤くてあたり! って書いてあるぞ」

ハルヒ「だからなんなのよ!! あたしはあたり!でどこのグループに属すのよ!!?!?」

ハルヒ「どこに持っていけばナニと引き換えてくれるあたり棒なのよ!!? これ!!!」

朝比奈「キョン君ー……」

キョン「すみません朝比奈さん、さっきはハズレだったから今回は当たらしてあげようと……」

ハルヒ「無駄な気遣い!!! 逆に同情が痛い!!!」

長門「……」チョイチョイ

ハルヒ「はーっ、はーっ、ん? どうしたの有希? 同情なら断るわよ」

長門「あなたの作ったクジなら彼にイタズラされてしまう、私のクジを引けば問題はない」

ハルヒ「あっ……あーなるほど! これなら安心だわ!!」

ハルヒ「有希がキョンとグルでもない限り変なクジなんて書いてあるはずないもの!!」

古泉「え……」

朝比奈「あ……」

ハルヒ「ふっふーん♪ これにきーめたっ!!」スッ

キョン「ふっ……」

















































おしい!!































ハルヒ「だからおかしいってぇええええええええええええええええええ!!!!!!」

ハルヒ「おしい!! ってなんなのよ!!! あたり成功残念ハズレのどれにおしいのよぉおおおおおお!!!」

ハルヒ「どれに惜しくてもクジ関係ないじゃない!!!! 有希!!!」ポイッ!!

有希「迂闊。彼に隙を見せてしまった」

ハルヒ「キョン!!!!!」

キョン「狡猾。マジシャンに隙を見せてはいけない」フッ

ハルヒ「もうそれやめてってばぁあああああああああああああああああ!!!!!!」

朝比奈「すっ、すず、クッ、涼宮さん、落ち着い……てっ!」

古泉「ちょ、朝比奈さん!?」

ハルヒ「みくるちゃん……みくるちゃんまであたしを笑うの?」

朝比奈「あっ、ちがっ……」

ハルヒ「あたしはこの広い世界で一人ぼっちなの……」

ハルヒ「昔、野球観戦で感じた自分が小さな人間っていうのがすごく近いものに感じてきた……」

古泉「(ま、まずいですよ!! 閉鎖空間がどんどん拡大していってます!)」ボソボソ

キョン「(仕方ない、ここは俺に任せろ!)」ボソボソ

古泉「(あなたが元凶なので是非ともそうしてもらいたいです!)」ボソボソ


キョン「涼宮ハルヒ」

ハルヒ「……なによ、詐欺師」

キョン「詐欺師とは言いえて妙な」

ハルヒ「違いないでしょ」グスン

キョン「そうだな、マジシャンも詐欺師も根っこの部分では同じものかもしれない」

キョン「なんてったてほら」ポンッ

ハルヒ「わっ」

キョン「人を騙すという点では同じ志を持っているんだからな―――」

ハルヒ「…………」

古泉「……」

朝比奈「……」

長門「……」































あか



























ハルヒ「だから文字じゃなくて色を塗りなさいってばぁあああああああああああ!!!」

ハルヒ「あと話全然関係ないじゃない!!!!!」

ハルヒ「ばかぁああああああああああああああああ!!!!!!」ウワァアン!!!!

キョン「ありゃりゃ、なぜこうなった」

古泉「なぜいい話風にしめようと思ったのか……」

キョン「え? しまってたよな? しまってただろ?」

古泉「こっちが聞きたいです……おや」プルル

古泉「あ、森さんご苦労様です。え!? 新川さんが!!?!?」

朝比奈「ふえぇ……涼宮さぁん」

長門「……ユニーク」


>>198 ミス


ハルヒ「だから文字じゃなくて色を塗りなさいってばぁあああああああああああ!!!」

ハルヒ「あと話全然関係ないじゃない!!!!!」

キョン「ありゃりゃ、なぜこうなった」

古泉「なぜいい話風に閉めようと思ったのか……」

キョン「え? しまってたよな? しまってただろ?」

古泉「こっちが聞きたいです……おや」プルル

古泉「あ、森さんご苦労様です。え!? 新川さんが!!!」

朝比奈「ふえぇ……涼宮さぁん」

長門「……ユニーク」

ここまでぇ

投下―


キョン「で、やり直したクジの結果、午後は……」

キョン「俺と涼宮ハルヒ、そして長門古泉朝比奈さんペア、になったわけだが」

ハルヒ「みくるちゃん!!!」ガシッ

朝比奈「す、涼宮さん!?」

ハルヒ「も、もしあたしが生きて帰れなかった場合、灰は宇宙に散布してね……」

朝比奈「そっ、そんな覚悟はいりませんよ!!」

ハルヒ「きっとあたしはトリックの餌食にされてしまうの……」

ハルヒ「そしてそのまま未来永劫トリック漬けの日々を堪能してしまう……」

キョン「堪能するのかよ」

ハルヒ「願わくば、狂喜乱舞するようなトリックが見れますように……」

キョン「傲慢だな」

ハルヒ「……さっ! そうと切り替えたらさっそく行くわよ!! キョン、ついてきなさい!」

キョン「あー、涼宮ハルヒ。その前に一つ」

ハルヒ「? なによ?」

キョン「……」

キョン「マジデートじゃないかんね!!」

ハルヒ「……バーカ!」

古泉「……おやおや」

朝比奈「涼宮さん……いい笑顔」

長門「……」


キョン「さて団長殿、俺達はどこを探す? ナニを探す?」

ハルヒ「はたからみて不思議そうな所を探す!! そうでない所は逆に怪しいからそこも探す!!」

キョン「結局全部探すのか」

ハルヒ「いないのかしら、緑色の宇宙人が裸で走り回ってたり……」

キョン「リドミー星人か、地球では見たことないな」

ハルヒ「えっ?」

キョン「え?」

ハルヒ「……ま、まぁいいわ。てかキョン、アンタもしっかり探しなさいよ!」

キョン「へえへえ」

キョン「おわっ! なんだこれは!!」

ハルヒ「なになに!?!? なんか見つけた!?」

キョン「見ろ、涼宮ハルヒ……この物体を」

ハルヒ「これは……っ!」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「……ちょっと、本当になにこれ? え? 生き物……じゃない、わよ、ね?」

キョン「分からん、分からんがこれはすごく不思議なものだと思う」ウネウネ

ハルヒ「なんかウネウネしてるように見えるのは気のせいなの?」

キョン「気のせいじゃない、表面温度も上がって今は500℃ってトコか、危ないから触れるなよ?」

ハルヒ「……あれ? なんかそれ……目が、ついて?」

キョン「どうする、これ? 一応不思議だと思うが」

ハルヒ「……んー、不思議、だけど」

ハルヒ「気持ち悪いからいらない!」

キョン「りょうかい、安らかに眠れ」ボウッ

ハルヒ「燃やして処分しちゃうの!!!」

キョン「まぁ、いらないもんだし」ギャァァアアアアアアアアアアア!!!!!

ハルヒ「……あの、断末魔らしき叫び声は……なにかしら……?」

キョン「気にしない気にしない」


ハルヒ「ねぇ、キョン」

キョン「なんだ涼宮ハルヒ」

ハルヒ「一つだけでいいからトリックのタネ教えてよ」

キョン「なんだなんだ、どれもテレビで見たことあるとかいってバカにしてたじゃないか」

ハルヒ「生で見るのとテレビとじゃ印象度に大きな違いがあるのよ、特にアンタのは結構すごいって思ったんだから」

キョン「そりゃタネも仕掛もないんだからな」

ハルヒ「またまたぁ、マジシャンが言うセリフの金字塔よね、それ」

キョン「本当にないんだよ、俺のトリックとやらには」

ハルヒ「……なるほど、そうよね自分からトリックを話したがるマジシャンなんていないものね」

キョン「……やれやれ」

ハルヒ「自分で見破るわ!! だからトリックやって! やってやって!!」ダンダン!

キョン「駄々を捏ねるな。ったく……ほら」

ハルヒ「え? あっ、浮いてる……あたし浮いてる!!」フワフワ

キョン「はしゃいでないで、トリックを見破るんだろ?」

ハルヒ「ハッ!そうだった、楽しくてつい……」

ハルヒ「……分かった。分かったわキョン!! このトリック!!」

キョン「……あー、説明してみろ」

ハルヒ「あたしが浮遊している理由それはっ……!!」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「言えよ」

ハルヒ「……被せてくると思って」

キョン「警戒しすぎだバカ」


ハルヒ「あたしの中の力が目覚めたんだわ!!!」バーン

キョン「……へぇ」

ハルヒ「もっと興味を示してくれてもいいじゃない!!」

キョン「なんでそんな飛躍した答えになったか詳しく」

ハルヒ「感じるのよ……あたしの中の」

ハルヒ「飛びたいという激動が!! 今、体に現れていることを!!!!」パアァ

キョン「……」スッ

ハルヒ「わっ、きゃっ!!」トスッ

キョン「激動が治まっちまったのか?」

ハルヒ「……くそぉ、あたしの中の力覚醒説は取り下げかぁ」

キョン「(あながち間違いではない)」

ハルヒ「わーかーんーなーい!!! ねぇキョン教えてよ!!」

キョン「だからトリックなんてない純粋な俺の力だと言っているだろう?」

ハルヒ「……むーっ」

キョン「むくれるな、子供かお前は」

ハルヒ「……はーぁ、ダメね、完敗」

ハルヒ「例えどんなトリックがあったとしてもあたしが納得できるような常識的な範疇に収まってないものなんでしょうね」

キョン「初めからそう言ってる」

ハルヒ「アンタがあたしの求めている存在、ってこと?」

キョン「まぁ、その他諸々だ」ポンッ

ハルヒ「……そうやって一々マジシャンっぽいことするから信じたくないのよ、なによこれ? なんで金木犀?」

キョン「そう、そいつの花言葉は"真実"」

ハルヒ「……」

キョン「俺が今から俺やお前、周りを取り囲む真実について教えてやる」


ハルヒ「いい」

キョン「……は? いい、ってお前知りたかったんじゃないのか?」

キョン「俺が何者であり、トリックでは説明できないことをやってのけることとか」

ハルヒ「アンタが何者かは初対面の時に聞いたわよ」

キョン「信じてないだろ」

ハルヒ「当たり前でしょ、どこのバカが信じるのよ」

キョン「だったら納得のいく説明をしてやる」

ハルヒ「……あたしさ、今結構楽しいのよね」

キョン「……は?」

ハルヒ「アンタは知らないけど、中学時代のあたしったらもう目も当てられないぐらい酷かった」

ハルヒ「いっつも不愛想な顔して他人なんか知らんと言わんばかりの行動をしたり……」

ハルヒ「挙句の果てに新聞沙汰にまでなったことあるのよ? そういえばアイツどこにいるんだろ?」

ハルヒ「だからさ、あたしは今この状況に満足してるの。あんたや有希、みくるちゃん古泉君」

ハルヒ「そしてあたしがいるSOS団。今はそれ以上のことは望まない」

キョン「……お前の出生についても知りたくないか?」

ハルヒ「……あんた、本当に何者?」クスッ

キョン「……分かってるんなら、聞いてくれるな」

ハルヒ「そっ! まぁ、あんたが話したいって言うなら聞いてあげないこともないわよ」

ハルヒ「またの機会に、だけどねっ!」ニヒヒ

キョン「……そうかい」


ハルヒ「それにしてもなんで金木犀なんか出したのよ、匂いキツイじゃない」

キョン「あー、花言葉のくだりがやりたかっかだけさ。前置きにこだわるタイプなんだ俺は」

ハルヒ「ふーん……花言葉、ねぇ」

キョン「なんだ、好きな花でもあるんならだしてやるぞ?」

ハルヒ「ケシの花」

キョン「おまわりさーん!!」

ハルヒ「冗談よ冗談」

キョン「当たり前だ……ったく、ほら」ポイッ

ハルヒ「? これは何?」

キョン「何って……ケシの花」

ハルヒ「冗談の意味わかってないでしょうがぁあああああああ!!」ベシッ!!!

ハルヒ「なっ、なんてモン押し付けんのよ、これ手とか大丈夫!? ねぇ!?」

ハルヒ「あぁみくるちゃん……やっぱり灰は北高の地に埋めて」

キョン「北高に迷惑なことをするな、安心しろこれはケシの花じゃねえよ」

キョン「よく似ているが、これはポピー、普通の花だ。違法性はない」

ハルヒ「へー……あんた意外と花に詳しいのね」

キョン「……昔、教えてもらっただけさ」

ハルヒ「ふーん」

キョン「……」


キョン「四時集合だったよな? そろそろ戻るとするか」

ハルヒ「そうね、結局なにも見つからなかったけど」

キョン「見つかったのは見つかったじゃないか、処分したけど」オオォオォオオ

ハルヒ「なんか変な声が聞こえたんだけど、アンタ取りつかれてたいしない?」

キョン「まっさかぁ」オオォオォォオオオォォオ!!!

ハルヒ「……ま、まぁいいわ」

ハルヒ「ねぇキョン! あたし空飛んでいきたい! できるんでしょ!?」

キョン「空? なんでまた急に」

ハルヒ「空を飛ぶことって人類の永遠の目標なのよ!!」

キョン「さっき達成したからいいんじゃないか?」

ハルヒ「あれは浮いただけ!! もっとこう、スカイ! って感じの」

キョン「どんな感じだ……やれやれ」

キョン「それじゃ、色々細工して……行くぞ」

ハルヒ「わっ、わっ、わぁあ!!」

























ハルヒ「キョン!! あたし飛んでる!! 飛んでる!!! すごい!! すごいことだわっ!!」ギュッ

キョン「……ああ、すごいすごい、間違いなく人類で一番すごいよ、お前は」ギュッ























ハルヒ「ねぇキョンこれ下から見えてないの?」

キョン「下どころか上からも横からも見えてないぞ」

キョン「つまり、バードストライクならぬヒューマノイドストライクにならないように気をつけろってこった」

ハルヒ「おろしてーっ!!! 人間ミンチになりたくない!!!!!」バタバタ

キョン「アホ、冗談だよ そんな高度で飛んでるわけないだろ。細工したら飛べないことはないが」

ハルヒ「焦らさないでよ、しかし快適ね空の旅は」

キョン「これもトリックで説明できるか?」

ハルヒ「……無理ね、無理無理、さすがにここまでやられちゃトリックなんかで治まらないわよ」

キョン「なら―――」

ハルヒ「ドッキリ!! ドッキリねこれは!」

キョン「」

ハルヒ「まぁ正確に言うと、催眠術によるドッキリってトコかしら?」

ハルヒ「あたしはキョンによる催眠術で空を飛んでいる幻覚を見てる」

キョン「俺がとんでもなく酷い奴みたいじゃないか」

ハルヒ「違わないでしょ」

キョン「ああ」

ハルヒ「マジシャン改め催眠術師でも名乗ったら?」

キョン「お断りだバカやろう」

ハルヒ「あははっ!! よねっ!」

キョン「……ったく」


長門「……」ピクッ

長門「きた」

朝比奈「ふぇ? どこですか?」

古泉「見当たりませんが……」

長門「上」

朝比奈・古泉「「上??」」

朝比奈「」

古泉「」













ハルヒ「落ちるうぅううううううううううううう!!!!!!」












朝比奈・古泉「「涼宮さん!!?!?!?」」ガーン

ハルヒ「助けてぇええええええええええええ!!!!!!」

朝比奈「どどど、どうしましょう古泉君!!!?!? わた、わたた、わたたたわし!!」

古泉「落ち着いてください!! みくるちゃん!! こういうときは人という字を三回書いて……」

朝比奈「みくるちゃん!?!?? 古泉君!! それは緊張をほぐす時ですよ!! 古泉君も落ち着いてください!!」

古泉「ハッ!! 長門さん!! 長門さんなら自由落下する涼宮さんを止めることが―――」

長門「……」スッスッス ゴクッ

朝比奈・古泉「「緊張してるーっ!!?!?」」

朝比奈「長門さんが緊張するほどやばい状況ですよ!!! 古泉君!!」

古泉「世界の終りも……覚悟しなくてはなりませんね」ゴクリ

朝比奈「ゴクリ、じゃなくて目の前の現実をまず逃避しないでくださーい!!」


ハルヒ「きゃぁあああああああああああああああああ!!!」

朝比奈「も、もう時間がありません、古泉君!」

古泉「不肖、古泉一樹、この身を盾にしてでも涼宮さんを守ります!!」バッ

朝比奈「古泉君……ファイト!!」

古泉「あれ、意外に軽い……しかし、涼宮さんはしっかり受け止めます!!」

ハルヒ「ぁあああああああああああああああ!!!」

古泉「はぁあああああああああああああああ!!!」



ポスッ



古泉「あれ、意外に軽い……」

ハルヒ「はーっ、はーっ……し、死ぬかと」

キョン「よ、またせたな」

朝比奈「キョン君!! 涼宮さんを空中に捨ててどこ行ってたんですか!!?」

キョン「捨てただなんてとんでもない、こう下でキャッチしようと先回りしたんですよ」

朝比奈「間に合ってなかったですよね!?!!? 先回れてなかったですよね!!?」

キョン「あやうく涼宮ハルヒに先に逝かれるトコでしたね」ハハハ

朝比奈「笑えません!!!!!」

古泉「でも、明らかに涼宮さんは減速していました、それもかなり」

キョン「いやぁ俺じゃないぞ? 絶対」ハテ?

古泉「すごい説得力のある顔ですね。ていうかできればあなたであって欲しかったんですけど、責任的な意味で」

朝比奈「キョン君じゃないとしたら……」チラッ

長門「……」ペラッ

古泉「……さすがは仕事人やることはしっかりしてますねぇ」

朝比奈「頼りになります」

キョン「ははっ、まぁ一見落着だな」

古泉「あなたが言うと、こう、モヤモヤした気分になるのはなぜでしょう。いえ、理由は分かっているんですけどね……」

キョン「さ、団長殿締めのお言葉を」

ハルヒ「こ、これにてウップ、だ、第一回S、OS団、不思議……探索を、終了、しますぅうう」バタン!!

朝比奈・古泉「「満身創痍!!?!?!!??」」

キョン「お疲れさん」

ここまで
一応原作一巻の内容にそってやってるつもり。
一巻が終わればスレは終わって、次の巻にいくつもりやけど……ええんか?

投下―


翌日


キョン「……んー」

キョン「んー……」

キョン「……うん」

キョン「やっぱあれか」

キョン「出てるな、閉鎖空間」ドーン!!

キョン「原因はなんだろうな、まさか昨日のフライトでの満身創痍とかじゃあるまいし」

キョン「むぅ、超能力者でもある俺を持ってしても分からん」

キョン「とにかく、手伝うといった手前いかんわけにもいかんな」

キョン「と、いうわけで、ちょっと出てくる」

キョン妹「んー? どこいくのキョン君ー」

キョン「ちょっと怪獣退治に」

キョン妹「この前倒して帰ってきたムキムキラリゴ星人?」

キョン「いんや、また別のやつ」

キョン妹「おみやげあるー?」

キョン「んー……腕とかでいいか?」

キョン妹「いらなーい」

キョン「そうか、じゃ行ってくる」

キョン妹「いってらっしゃーい!」


閉鎖空間


古泉「やはり今日も出現しましたか、閉鎖空間」

古泉「満身創痍の体によるストレス……体が動かない分ここで暴れる、というわけですね」

キョン「ちぃーっす」スッ

古泉「ええ、こんにちは」

古泉「……こんにちは!!?!?」ビクッ

キョン「なんだよ、二回言わなくても聞こえてるって」

古泉「い、いやぁあまりに音もなく自然に入ってくるものなので……」

古泉「驚かないようにしようと思っていたんですが……やはり驚愕してしまいました」

キョン「ふーん、ここが涼宮ハルヒの閉鎖空間か……」

古泉「以前、どこかで誰かの閉鎖空間を拝見なさいましたか?」

キョン「……まぁな」

古泉「閑散としているでしょう。全てが灰色に染まった世界。言うなればこの世の終わりを現しているかのよう……」

キョン「いつからポエマーに転職したんだ、いやお前は元からそんなだったか」

古泉「誉め言葉として受け取っても?」

キョン「よろしいわけあるか」

古泉「これは手厳しい……出ますよ」

キョン「ほー……あいつが涼宮ハルヒのイライラの具現化」

古泉「ええ―――神人です」


















オォオオオォオオオオオオオオオオオォォオオオ!!!!


キョン「おーおー、随分お暴れなさって」

古泉「あのまま放置しておくと元の世界にも影響が生じます。もっとも放置しておけば世界は滅んでしまうわけですが……」

キョン「ひぃ、ふぅ、みぃ……少人数だな」

古泉「少数精鋭ですので」

キョン「そうか、なら俺は一騎当千とでも言うべきか」

古泉「なにを……なさるおつもりで?」

キョン「言ったろ、手伝うって。加勢させろ古泉」

古泉「そんな無茶な……超能力者でもないあなたが神人を止めることなんて……」

キョン「まだ俺を一般市民として見てくれるのか? ありがたいね」

キョン「だが、それは余計なお世話ってもんだぜ」ゴォオ!!!

古泉「なっ、そんなバトル漫画じゃあるまいし、なんですかその気≪オーラ≫は!?」

キョン「なに見かけ倒しだよ、俺は結構形から入るタイプなんでな」

キョン「さて……行くとするか―――」トンッ

古泉「なっ! き、消え――――――!!!」




























キョン「大将!! 討ち取ったーり!!! なんてな」ドン!!!!

森「」

新川「」ゼェゼェ

多丸兄「」

多丸弟「」


キョン「よっ、お待たせ」シュン

古泉「……三十秒も待ってませんよ、規格外すぎます。あなたは」

キョン「よく言われる」

古泉「ハァー……全く、僕達がいつもどれだけ苦労して世界の平和を守ってるとお思いなんですか?」

キョン「むっ、手伝うのは今日だけだぞ? あとたまに暇な日も」

古泉「そんな本物のバイト感覚で言われましても……」

キョン「お、空に亀裂が」

古泉「戻っていきます。元通りの世界に」

キョン「ほーなかなかどうして、壮観だな……」

古泉「……まぁ、この景色がバイト代みたいなものです」

キョン「…………」

古泉「なにを、お考えで?」

キョン「……なに、どうしようもないことさ」

キョン「世界の終わりから、世界が始まる、か……」

古泉「んっふ、あなたも中々の詩をお読みじゃないですか」

キョン「お前に合わせたんだっての」

古泉「さて、あなたはこれからどうします? よければお茶でもどうです? 僕の奢りで」

キョン「ああ、それはありがたい誘いだが……生憎今日の予定は埋まってるんだ」

古泉「そうですか、それは残念。閉鎖空間にくる時間は大丈夫だったんですか?」

キョン「何言ってるんだ。それも予定の内さ」

古泉「……御見それしました」

キョン「おう、それじゃまた明日な」シュン

古泉「はい、また……って言ってる途中に消えないで下さいよ」


長門宅



長門「……」

朝倉「……はーぁ」

長門「……」

朝倉「……ねぇ、長門さんはどう思うの?」

長門「なにが」

朝倉「あたしたちのこれからについて、よ」

朝倉「いえ、あたしたちだなって……あたしのこれから、ね」

長門「……そう」

朝倉「ゴホン、つい先日、あたしはキョン君に敗北しました。手も足も出ずに」

長門「……お茶はでる」コポコポ

朝倉「は? なにを―――ッ!!」

キョン「すまんな、長門茶だしてもらって」ポンッ

長門「別にいい」

朝倉「きょ、キョキョキョキョキョキョキョ!!!! キョン君!!?」

朝倉「なんかすごいファンシーな効果音とともに出てきた!?!??」

キョン「おう、朝倉」

朝倉「なっ、ななななんでキョン君がこっ、ここに!?」

キョン「朝倉に会いに」

朝倉「て!! ―――っ止めを刺しに!?!??」

キョン「んなわけあるか、お前は俺の言ったこともう忘れてんのか」

朝倉「あ……本気だったんだ」

キョン「俺は嘘ついたことはない」

長門「それは嘘」

キョン「はい……」ションボリ

朝倉「なんなの……?」


朝倉「それでキョン君、あたしへの用ってなにかしら?」

キョン「用がなくちゃ来ちゃいけないのか!?」

朝倉「そういうのいいから」

キョン「……はい」

朝倉「……またあたしが変な行動とらないか監視しにきたの?」

キョン「いんや、おっ、うまいぞ長門」ズズズ

長門「そう」

朝倉「だったら本当になにしにきたの?」

キョン「さっき自分で言ってたじゃないか」

朝倉「さっき……? あっ」

キョン「お前達、ま、長門は置いといて、朝倉お前はこれからどうするつもりなんだ?」

朝倉「……何よ、やっぱり監視に来たんじゃない」

キョン「監視なんかじゃない、言わば~……進路相談? 三者面談?」

キョン「とにかく、朝倉の口からどうするのか聞いておきたかっただけだ」

朝倉「……そんなの嘘つくかもしれないじゃない」

キョン「俺に嘘は通じん」ズズズ

朝倉「ッ……なら話さないかもしれないわよ?」

キョン「なら話すまでここにいるぞ」

朝倉「いや、そこは出てってよ、プライバシーの侵害よ? 大体ここ長門さん家だし」

長門「……」コポコポ

キョン「…………だ、ダメ?」

朝倉「なんでここ一番で押しに弱いのよ……」

長門「……」ズズ


キョン「ま、なんだ。話しにくいなら先に長門のほうから話してもらおうか」

朝倉「え? 長門さんも?」

キョン「まぁ、朝倉のお手本になれば」

朝倉「お手本って……」

キョン「長門、お前はこれからどうするつもりだ? 涼宮ハルヒを観察するにあたって」

長門「今まで通り変わらない。観察対象が身近になっただけ」

キョン「……だって」

朝倉「いや、だって、じゃないわよ」

キョン「長門は任務に忠実だなぁ」

長門「そう」

朝倉「いや、そうじゃなくってぇ……」

朝倉「……はぁ、分かった分かったわよ、キョン君の胸を借りるつもりで相談させてもらいます」

キョン「おう、どんとこい」

朝倉「なんか流されてるなぁ……あたし」

キョン「それで、朝倉自身はこっからどうするつもり、どうしたいんだ?」

朝倉「……ぶっちゃけて言うと、あたしの考えは前と変わらない」

朝倉「現場の変化を望んでいるわ。このまま涼宮ハルヒが悪い方向に行ってしまうよりはその前にアクションをとる」

朝倉「ただ……そのアクションを必ず妨害する存在がいるから身動きが取れないっていうのが本音ね」

キョン「酷いやつがいるもんだ」

朝倉「長門さん鏡渡してあげて?」

長門「部屋にない」

テスト


朝倉「……ただまぁ考えは変わらないけどアクションを起こす気は今の所ないわね」

朝倉「言った通り妨害してくる正体不明の変人がいることと」

キョン「酷い奴だ」

朝倉「……あたしが動いてもいい方向へは動かない、って思ってるから」

キョン「……ほう」

朝倉「あの後冷静になってみたの、自分が涼宮ハルヒに何を望むのか、そのためにあたしはどうすべきか」

朝倉「答えは単純、なにもしない、よ」

キョン「……」

朝倉「結局行きつく先はそこなのよ、考えれば考えるほど現状維持が最善手だと分かってくる」

朝倉「アクションを取りたいのに、あたし自身がそれを制御しちゃってるの、心の底でね。ジレンマってやつ?」

朝倉「だから……本当は答えは出てるの。問題はあたしが納得してないってことだけ」

キョン「現場は現場の人間が一番よく知ってる、朝比奈さんにも言ったっけな」

朝倉「とはいっても納得せざるを得ない状況が今なわけなんだけどねー」

キョン「なるほど……全ての問題が解決したってことではなさそうだな」

朝倉「そうなのよ、って聞いてよキョン君! また新たな問題ができたのよ!」

キョン「……あー、なんだ?」

朝倉「あのね、キョン君に負けて以来なんかキョン君をみてると、こう、モヤモヤするの」

朝倉「教室でも、いまここでも……なんなのかしら、これ?」

キョン「あー……うー……」

朝倉「涼宮ハルヒ以外の興味の対象として見てるからかしら? 非常に興味深い存在ではあるんだけど……」

長門「興味深い」

朝倉「あっ、長門さんも? もしかしてこれもインターフェース特有のバグなのかしら?」

キョン「い、いやそれはバグじゃなくてだな、いや、バグなのか? バグであってほしいようなダメな、ような……」

2回目

赤くなんない


キョン「ま、まぁ朝倉が現状動く気がないと分かってよかったよ」

朝倉「やっぱり監視じゃない」

キョン「まぁまぁ、俺も仲良くいきたいの本当だしさ。心の内を見せるのは信頼関係において重要だろ?」

朝倉「あたしキョン君の心の内を見た覚えがないんだけど、ねぇ長門さん?」

長門「……」コクリ

キョン「なぁっ!? 汚ぇぞ朝倉! 長門を味方に付けるなんて!」

朝倉「汚いも何も長門さんは元からあたしの味方ですぅー、ねぇ長門さん?」

長門「利害が一致しただけ」

朝倉「……」シクシク

キョン「ざまぁない」

朝倉「とっ、とにかくあたしも長門さんもキョン君の心の内を知りたいって言ってんだから教えてくれてもいいじゃない!」

朝倉「あたしたちにとってキョン君は大事な興味の対象なんだから!」

長門「……」コクリ

キョン「まぁた誤解を招きそうなことを……」

キョン「心の内を見せるも何も初めから言ってるじゃないか」

キョン「仲良くいきたい。何度も何度も言うがこれが俺の本心だ」

朝倉「…………」ムムム

キョン「朝倉?」

朝倉「……読めない、心が」

キョン「汚ったねぇ……道徳的な所でめちゃくちゃ黒いよ朝倉さん、俺のこともっと信じてくれよ」

朝倉「そんなこと言ったってキョン君の前じゃあたしも長門さんも丸裸同然なんでしょ!!!! なんでもオミトオシなんでしょ!!!?!?」

キョン「だから誤解を生むようなこと口走るんじゃない!!!!!」


キョン「……ったく、油断も隙もありゃしない」

朝倉「こっちのセリフよ」

キョン「……朝倉、お前は涼宮ハルヒが悪い方向にいくのを止めたいわけだろ?」

朝倉「ええ、このままそれを黙って見てるならね」

キョン「だが、それを黙って見てなくてはならない状況になった」

朝倉「誰かさんのお蔭でね」フン!

キョン「ならまぁ見てろよ、本当に涼宮ハルヒが悪い方向に進んでるかどうかをな」

朝倉「あら? いい方向に進んでるとでもいうのかしら?」

キョン「言うとも、賭けたっていいぜ? 俺が負けたら朝倉とデートしてやる」

朝倉「……それってあたしにとって得なの? キョン君にとって得なの?」

キョン「winwinってやつじゃないのか?」

朝倉「……そうかしら? ならあたしが負けたらキョン君とデートしてあげるわ」

キョン「それじゃ賭けにならないだろ」

朝倉「いいじゃない、あたしが勝つんだから♪」

キョン「意味わからん」

朝倉「それじゃ見させてもらうわよ、あたしがどうしても介入したくて我慢ならない時まで、ね」

キョン「短気はよしてくれよ? 長い目で頼むぞ?」

朝倉「あら、それはどうかしら?」

キョン「いざとなったら俺と長門のタッグが相手だ」グッ

長門「……」グッ

朝倉「やめてください、しんでしまいます」

キョン「ははっ、それじゃあ邪魔したな」シュン

朝倉「……っはぁ、終始キョン君のペースだったなぁ」

長門「……興味深い」

朝倉「……本っ当、興味が尽きない人……ふふっ」





























キョン「そうさ、朝倉。お前は退場する必要なんかない」

キョン「じっと機を窺っていればきっといい方向に事は進むさ」

キョン「……未来では、そうなっていることを望むぜ」

ここまでぇ

>>256 >>258 >>259
草 どこでテストしてんだくらぁ!

投下―


古泉「失礼します」ガチャ

朝比奈「あっ、こんにちはぁ」

長門「……」

古泉「おや、この三人だけというのは珍しいですねぇ」

古泉「彼と涼宮さんはまだですか?」

朝比奈「うん、まだみたい、珍しいね」

長門「……」

古泉「そうですか……なら都合がいいですね」

朝比奈「?」

古泉「先日のお話の、仕切り直しといきましょう」

朝比奈「あぁ、不思議探索の午後の時の……」

古泉「えぇ、第一回SOS団不思議探索、午後の部……」

古泉「第一回(仕切り直し) 彼が何者なのか話あおう会の開会を宣言します!」

朝比奈「(古泉君……たまにおかしなところあります)」

長門「ユニーク」


古泉「先日の第一回、長門さんの大食いチャレンジのため話を断念せざるを得ない状況となってしまいました」

長門「すまない」

古泉「結構ですよ、真に感嘆させていただきましたから」

朝比奈「長門さんのどこにあんな量が入るんでしょう……?」

長門「禁則事項」

朝比奈「はわっ!?」

古泉「我々、超能力者未来人宇宙人を相手に臆することなく接してくる彼……」

古泉「その立ち振る舞いや言動から見ても我々は当然として、涼宮さんをも掌の上で弄んでいるかのような印象を受けます」

長門「それはおそらく別の意味で」

朝比奈「どちらかというと二重の意味ですね」

長門「うまい」

朝比奈「どうもぉ」

古泉「この際、超能力者も宇宙人も未来人も手を取り合って情報を共有していきたいと考えています」

古泉「そこでこのサミットでは彼のベールをとことん剥いでいきたいと考えています」

朝比奈「(いつの間にかサミットにまで拡大しています……)」

古泉「それでは、彼について知っていることをあげていきましょう」

長門「……」スッ

古泉「はい、長門さん」

長門「彼は高校一年生」

古泉「……すいません、周知の事実であることは除いてください。彼の場合事実ではないのかもしれませんが……」

長門「迂闊」

朝比奈「ど、どんまいです」


朝比奈「んー、はい」

古泉「はい、朝比奈さん」

朝比奈「キョン君という人物には『佐々木』さんという人物が深く関わってると思います」

古泉「おぉ、そうです。そういう感じでサミットを進めていきましょう」

長門「……」スッ

古泉「はい、長門さん」

長門「その『佐々木』という人物は彼にとってとても近しい人物であると考えられる」

古泉「と、言いますと?」

長門「端的に言うと、親類縁者。婚約者……」

朝比奈「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」ガタッ!!!

古泉「」ビクッ

長門「」ピクッ

朝比奈「学生婚!!! 駆け落ちってやつですかぁ!!!! キャーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

古泉「あ、朝比奈……さん?」

朝比奈「わたし、そういうのすっごく好きなんです!!! 胸がキュンキュンしちゃうんです!!!」

古泉「……あの」

長門「無理。この年代の女性はこういう話題に敏感」

古泉「だったらこういう話題に持っていかないで下さいよ」

長門「正直、予想以上だった」

朝比奈「キョン君がかぁ……『佐々木』さん、あっ!! でも涼宮さんがぁ……」

古泉「……早くこっちの世界に戻ってこないですかね」

長門「逆にあっちの世界に永劫と送ることは可能」

古泉「恐ろしいことを言わないでください」


朝比奈「すっ、すいません……取り乱しちゃって」

古泉「い、いいんですよ……帰ってこられてよかったです」

古泉「(長門さんのカウントダウンが始まった時はもうダメかと思いましたよ……)」

朝比奈「そ、それで『佐々木』さんはキョン君にとって本当に、こっ、婚約者ぁ……ハッ! だったんでしょうか!」

古泉「よく耐えました……さすがに話が飛躍しすぎではないでしょうか?」

古泉「彼も表面上はただの学生ですし、出生も15年前のものが確かにあります」

長門「そのような記録、彼の前では意味をなさない。いくらでも改ざんが可能」

古泉「……その通りです。彼と言う存在を裏付ける証拠という証拠は記録では残されないも同然でしょう」

朝比奈「むむぅ……キョン君は自分のことを未来人でもある、って言ってました」

朝比奈「やっぱりこの時代の人間じゃないんでしょうか?」

古泉「その可能性は大いにあります。失礼とは思いますが、僕の考えの一つとして彼は人外である可能性も浮上してます」

長門「わたしも人外」

古泉「はい」

長門「……」

古泉「彼が一体いつどのようにして生まれたのか、なぜこの時代にいるのか。後者はほぼ涼宮さん関連といってもいいでしょう」

朝比奈「……あっ、でもキョン君は自分の『力』は涼宮さん、いえ『佐々木』さんの『力』とは本来関係のないものだと言ってました!」

古泉「なんと……では彼の力は涼宮さんを介して、または涼宮さんの力は彼を介して存在するものではない。ということになりますね」

長門「情報統合思念体の解析によると彼の力は全てから独立した完全なる個の『力』」

長門「『力』は情報を持たず、ただ単に事象が結果として現れる。そしてそこに関連性は存在しない」

長門「故に、『力』の発生を辿ることも、その正体を知ることも不可能と言える」

長門「彼が真実を話さない限りは」

古泉「……」

朝比奈「……」


古泉「暴こうとすればするほど彼という存在は靄に包まれてしまいますね」

朝比奈「どんな情報力を持っていてもキョン君の袖すら掴めないなんて……」

長門「……」スッ

古泉「? 長門さん」

長門「わたしは彼に興味がある」

古泉「は、はぁ。それは、僕や朝比奈さんも同等に持ち合わせているものではありますが……」

朝比奈「いいえ、違います古泉君。わたしや古泉君がキョン君に示す興味とは全く別物これすなわち―――っ!!」

古泉「朝比奈さん、またあちらの世界にいかれるとこちらの世界に戻ることは保証しかねます」

長門「大丈夫、朝比奈みくるにとっての楽園で居つづけられるなら彼女もそう望むはず」

古泉「……それもそうでしょうね、どうぞ長門さん一思いに」

長門「そう」ジャキッ!!

朝比奈「スススストッーーープ!!!!!」

朝比奈「まだわたしこっちの世界にいますからぁ!!! 本人の意思を無視しないでくださぁい!! あと長門さんその物騒なものはしまって!!」

古泉「ああ、朝比奈さん(まだこっちの世界に)いたんですか」

朝比奈「酷い!?!!!?」ガーン!!!

長門「朝比奈みくる、わたしの話を逸らさないでほしい」

古泉「ああ、そういえばそんな話でしたね……」

長門「ひどい」

古泉「話逸らしのツートップがなにをおっしゃるんですか……」


古泉「それで、長門さんのいう彼への興味というのは?」

朝比奈「……」ウズウズ

古泉・長門「「ハウス」」

朝比奈「まっ、まだ大丈夫ですよぉ!!」

古泉「まだ……。長門さん続けてください」

長門「通常、わたし達インターフェースが示す興味とはその対象が持つ情報量のことを指す」

長門「これは彼に対しても言える。完全解析不可とも言える情報量はわたし達にとっても貴重」

長門「彼に興味を抱くのはごく自然な現象だと思う」

古泉「でしたら、何もおかしいところや疑問に思うところはないのでは?」

長門「しかし、彼への興味というのは情報量だけではなくなった」

長門「もちろん、彼が持つ情報量の一部ではあるのだが、彼を見ていると好奇心と呼ばれる感情にも似た思考が蔓延る」

長門「わたしは、これがなんなのかわからない。朝倉涼子はインターフェース独特のバグではないかと予測していた」

長門「しかし、わたしはバグのようには感じない。バグをバグと感じないつくりとなっているのかもしれない。しかし―――」

長門「わたし自身、『これ』をバグとは呼びたくない―――そう思っている」

古泉「……」

朝比奈「……古泉君」

古泉「……なんですか、朝比奈さん」

朝比奈「……わたし胸のキュンキュンが収まりません」キュンキュン

古泉「……なぜでしょう、僕もそんな気がします」

長門「……なぜ?」


朝比奈「は、はぁい!!」

古泉「はい、朝比奈さん」

朝比奈「まずは長門さん、ごちそうさまでした!」オジギッ

長門「なにか食べたの?」

朝比奈「はいデザートよりも甘いものを!」

長門「どこにあるのか教えてほしい」

朝比奈「もう全部食べちゃいました!」

長門「…………」

古泉「お、落ち込んでいらっしゃる?」

長門「……そう、でもない」

古泉「否定した……」

朝比奈「あっ、あのですね……キョン君と涼宮さんのことなんですけど」

古泉「長門さんの話の後でですか? 大丈夫ですか?」

朝比奈「だ、大丈夫今回はそういうのじゃないから」

長門「デザート?」

朝比奈「ではないほうで!」

長門「……そう」ペラッ

古泉「本読み始めちゃいましたよ……」

朝比奈「ええっとですね、とある情報によると涼宮さんとキョン君は過去に一度会ったことがあるんです」

古泉「ほぅ、それは興味深いですねぇ」

長門「……」ペラッ


朝比奈「正確にはキョン君と思える人、だけど……」

古泉「先ほども言った通り、彼には記録というものが当てはまりませんからね」

朝比奈「いつだったかな……そう三年前!! 三年前の……七夕です!」

長門「……」ペラッ

古泉「というと……時間振動よりも後のことですね」

キョン「だな」

朝比奈「はい、ですから涼宮さんの力が目覚めてからキョン君は涼宮さんに会ってるんです」

朝比奈「これは涼宮さんが望んだからなのか、はたまたキョン君の意志によるものなのか」

朝比奈「どちらにしても涼宮さんはともかくキョン君は絶対に涼宮さんに会ったことを覚えてると思うんです!」

古泉「彼と涼宮さんは少なくとも三年前から会っていた、と……ん? んん!?」

朝比奈「あれ!?!? 今一瞬キョン君いませんでしたか!?」

古泉「いたはずです!! しっかり声も聞こえました!!!」

朝比奈・古泉「「ねえ! 長門さん!?」」

長門「……」ペラッ

長門「今のは、腹話術」

古泉「…………なぜっ、そんな、意味のないことを……ッ!!!」ガクッ

長門「すまない。抑えきれなかった」

朝比奈「完全にキョン君の声でしたけどね……というかばっちり姿見えてた気がします」


古泉「さて、これまででた彼の情報を整理すると……」

朝比奈「涼宮さんのことは三年前から知っている」

長門「高校一年生」

古泉「『佐々木』とよばれる人物との深い関連性」

長門「わたしは彼に興味ある」

古泉「……すいません、半分くらいよくわからない情報が含まれているんですけど」

古泉「というか長門さん絡みの情報は彼を表わすものにしては抽象的のような」

長門「でもあなたが出した彼の情報はない」

古泉「」

朝比奈「こっ、古泉君……大丈夫?」

古泉「たっ、確かに言われてみれば……僕は人に意見を求めるばかりで自ら考えることをしなかった……」

古泉「議長気取りで皆さんに意見を求めてた自分が恥ずかしいです……」

朝比奈「(気取ってたんだ……)」

古泉「すいません、朝比奈さん長門さん、僕からの有益な情報はなにもなくて」

長門「別にいい」

朝比奈「わ、わたしもきにしてませんから」

キョン「俺は気にしてるぞ」

古泉「はい、すいませっ……っ!!」

朝比奈「キョン君!?」

キョン「こんにちは朝比奈さん、遅れました」

古泉「今度は、本物の?」

キョン「なんのことだかね」


キョン「古泉、俺に内緒で随分面白い会議を開いているじゃないか」

古泉「サミットです」

キョン「……うん、サミットな。分かった」

朝比奈「(譲れないんだ……)」

キョン「それで、成果は?」

長門「わたしはあなたに興味がある」グイッ

キョン「ああ、それは前聞いたな」

古泉「正直、これといって芳しい情報は得られませんでした……」

朝比奈「ねぇキョン君、三年前に涼宮さんにあったこと覚えてる?」

キョン「んっ? んー、えー……すいません、俺昨日の晩飯も思い出せないんでなにがなんだか……」

朝比奈・古泉「「(怪しい……)」」

キョン「それはともかく、そうだな、俺のために時間を使っててくれたわけだし特別サービスだ」

キョン「俺の情報を一つ教えましょう。嘘偽りなしにな」

古泉「なにを教えていただけるんですか?」

キョン「んー俺の年かな」

朝比奈「や、やっぱり15歳じゃないの?」

キョン「まぁ15歳ではあるんですけど、やっぱり生まれた時から数えて15年ってことはないですね」

朝比奈「???」

キョン「まぁ、長い前置きはいらないでしょうし、パパッっと言っちゃいますか」














































キョン「俺の年齢は地球とタメはるぐらい。おおよそだけど。これ豆な」


古泉「」

朝比奈「」

長門「あなたは高校一年生」

キョン「おう、それも当たり。長門はよく知っているな」

長門「そう」

古泉「……まさか、ここまで常識外れなんて……」

朝比奈「……お」

キョン「お?」

朝比奈「……おじいちゃん?」

古泉「いや……さすがにもうそんなレベルではないかと……」

朝比奈「キョン君、何年間もずうっと一人ぼっちだったの?」ジワッ

キョン「ああ! 大丈夫ですよ朝比奈さん、俺虫や動物とも会話できるんで!」

朝比奈「うえぇぇえええええええええええん!!!!!」

キョン「何故っ!?!?!??」

古泉「ありのままに常識的に受け止めたらそうなります」

キョン「あーそれに時間移動もできたから、そんなに寂しいってことはなかったですよ、本当に」

朝比奈「スン……スン、『佐々木』さんもいたから?」

キョン「!」

古泉「(朝比奈さん……中々策士ですね)」

キョン「あー……ぁー、まぁそぅです」

朝比奈「……」パァア!!!

キョン「古泉、なんか朝比奈さんの笑顔が眩しいんだが、どういうことだ」

古泉「さあ……夢の国に旅だったんでしょう」

長門「そして彼女に明日は来ない……」ジャコッ!!

朝比奈「来ますっ!! 来させてください!!! 来させようとしないでくださいっ!!!」

キョン「……ずいぶん、盛り上がってたみたいだな」

古泉「ご存じのはずでしょう?」

キョン「はは、どうだっけな。昨日の晩飯も覚えてねえもんで」



バタン!!



ハルヒ「おまた!!」

キョン「まってねぇ」

長門「夢の続きを……」

朝比奈「びえぇえええ!! 長門さんソレしまってええええ!!」

古泉「次は『S3』とでも名付けましょうか……」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「あたしのSOS団がカオス!!?!?」ガーーーン!!

キョン「それは元からだバカやろう」

ここまでぇ

投下―


ハルヒ「今日は~……どうしよっか!! なにをしたらいいか分かんないぐらいやることが多いわー!!」






ハルヒ「みくるちゃん!! キョンと古泉君がまた新作のトリック見せてくれるんだって!! 今度こそ一緒に見破りましょう!!」






ハルヒ「有希!! アンタこの前の不思議探索の時も思ったけどよく食べる割にはどうしてこんな……いえ、なんでもないわ!」






ハルヒ「古泉君!! あなたの有能性はこのSOS団で如何なく発揮されているわ!! 副団長目指して今後も精進して頂戴!!!」






ハルヒ「キョン!!! アンタばっかり自慢のトリックや催眠術で遊んでないであたしにもやり方教えなさいよ!!」












ハルヒ「でね、この前――――――」

朝比奈「ふえぇ、そんなことが……」

キョン「……ふむ」

長門「……」

古泉「どうしました? 二人して考えるような顔をして……」

古泉「何か……彼女の様子にごく僅かな変化でも?」

キョン「……いや、大したことはないさ、なぁ長門」

長門「……」コクリ

キョン「どうやってハルヒをびっくりさせてやろうかと考えているだけであって……」

古泉「そのようなよくない考えを張り巡らせるのは控えてください」


古泉「それで……本当は?」

キョン「するどいな……古泉、お前もしかして超能力者か?」

古泉「……お察しの通り、超能力者です。尤も、あなたの前では霞んでしまいますが……」

キョン「いやまぁ、本当に大したことはないさ……」

キョン「ただ、涼宮ハルヒが本当に楽しそうだな、ってな」

古泉「確かに、それは僕も感じていました」

古泉「あなたが不必要に誘発する閉鎖空間の数を含めても以前とはまるで数が減っています」

キョン「怒ってるのか?」

古泉「……いえ、大丈夫です」

キョン「大丈夫ってなんだよ」

古泉「これは中学時代の涼宮さんから考えると驚異的なものと言えます」

キョン「スルーかよ」

古泉「しかし、なぜそれを思いつめるような表情でご覧に……?」

キョン「…………いや」

キョン「人間ってのはある程度、欲求が満たされていないから、求める欲求がある程度に収まるんだ」

キョン「逆に満たされ過ぎた人間の欲求は留まることを忘れる」

キョン「欲求不満もよくない状態ではあるが、過剰に満たされた欲求というのもまた危険なものだ」

古泉「……それが、今の涼宮さん、と言うことなのでしょうか?」

キョン「……さあ、お前にはどうみえる?」

古泉「……分かりません。所詮自分は涼宮さんよって力を与えられた者」

古泉「神のお考えをただの人間が理解できるはずもない、ということでしょう」

キョン「神、ねぇ……」


ハルヒ「ちょっと!! 古泉君! 有希! キョン!! 今後の予定話すからちゃんと聞いててよね!!」

キョン「聞いてるとも、第六回不思議探索の日時と場所だろ?」

ハルヒ「そうs、言ってない!! 今から言うところだから、はい集合!」

キョン「やれやれ」

古泉「第六回ですか……もう、六回にもなるんですね」

朝比奈「第一回が約三週間前だから……週二回ぐらいですか?」

キョン「えらくハイペースじゃないか、もっと数を減らしてもいいんじゃないか?」

ハルヒ「何言ってるのよ!! 我が団の究極目標は宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと、よ!」

ハルヒ「そのためには今、こうしてる時間でさえもおしいんだから!! ほら、ちゃっちゃと聞く」

キョン「……」

キョン「そうだな、時間もおしいことだし、ここから先の説明は俺がやろうか? 団長自ら言うのもなんだし」

ハルヒ「あ、そうね。時間短縮のためにアンタに―――ってだからまだあたし言ってないから!!」

ハルヒ「しかもこういうことは団長自ら言うもんでしょうが!! 何流れであたしの仕事奪おうとしてんのよ!!」

キョン「果たして奪われるのは仕事だけかな……?」

ハルヒ「……ッ!?!?? まっ、まさかアンタSOS団の団長の座を、狙って……ッ!?」ブルブル

キョン「ククク……」

ハルヒ「こっ、こうしちゃいられない!! まさか敵は内部にいるなんて……」

古泉「……敵?」

ハルヒ「こうなったらこっちも一流のマジシャンを雇ってトリックで返り討ちにしてやる!!」

朝比奈「なっ、なんの勝負をするつもりですかぁ……?」


キョン「なんてな、俺は別に団長の座なんか狙ってない。お前に譲ってやるよ」

ハルヒ「なによその上からの物言いは!! あたしは団長なのよ!?」

キョン「団長であるなら団員の不手際ぐらい寛大な心で許してくれてもいいんじゃないか?」

ハルヒ「ぐっ……耐え忍ぶことを強要されるなんて……ッ!! あたし我慢とか嫌いなのに」

キョン「分かった分かった。茶番はこれくらいにして第六回の日時場所、概要の説明をしてくれ」

ハルヒ「まっかせなさい!! 次の第六回はね――――――!!」

キョン「……」


















ハルヒ「というわけで今日は解散!! 第六回不思議探索に遅れないこと!!」

キョン「前はお前が一番最後だっただろ」

ハルヒ「一時間前に来たのに全員居るとかおかしいじゃない!!」

キョン「各々自分の常識に従ったまでだ」

ハルヒ「くっ……なら二時間前に来てやるっ!! それじゃバイバイ!! 行こっみくるちゃん!!」ダッ!

朝比奈「わわっ、待ってくださーい! 涼宮さーん!」トテテッ

キョン「二時間も前に集合して何するつもりなんだアイツは……ったく」

古泉「涼宮さんなりの対抗心でもあるのでしょう。主に、あなたに」

キョン「やれやれ……」

長門「……」クイックイッ

キョン「ん? どうした長門?」

長門「気になる?」

キョン「……あー」

長門「涼宮ハルヒのこと」


キョン「そんな風に……見えてるってことだよな」

長門「……」コクリ

古泉「失礼ながら、僕の目からも」

キョン「俺って分かりやすい奴だからな、すぐバレちまったな」

長門「逆」

古泉「あなたほどの人がここまで分かりやすい反応を示していることが、涼宮さんへの意識の重要性を表わしているんです」

キョン「……はぁ、謎の人物ってポジションも楽じゃないな」

キョン「一挙手一投足に気を払い、わずかな緩みからボロが出る」

キョン「気にしないようにしてたつもりなんだがな、やれやれだ」

古泉「もっとも、涼宮さん自身はあなたに気にかけられたとは感じていないようですが」

キョン「そっちに細心の注意を払ってたからな、当然だ」

長門「……理由を教えてほしい」

長門「涼宮ハルヒを気にかけた理由を」

古泉「僕からもお願いしたいですね。あなたが今 何を 見えてるか、を」

キョン「…………」

キョン「……初めに言っておくが、俺の未来を見えるってのは半分マジで半分ハッタリだ」

キョン「だから俺が今見えてる未来は本当は確定した未来じゃない、が」

キョン「それでも、聞くか?」

長門「……」コクリ

古泉「お願いします」


キョン「まず、長門。お前はなにか涼宮ハルヒ、またはその周囲の状況に変化は感じたか?」

長門「……これといって感じたものはない」

長門「同期してみても、未来に異常性は感じられない」

キョン「そうか」

古泉「待ってください、長門さんは涼宮さんが楽しそうにしてると感じませんでしたか?」

長門「……?」

キョン「いや、いいんだ長門。お前と古泉では観察すべきところが違うからな。それで古泉、お前は?」

古泉「はい、言った通り、涼宮さんの中学時代からの変化に驚いている。といったところです」

キョン「両者、現状に大きな変化が生じる可能性を見受けられない、と」

長門「……」コクリ

古泉「ええ」

キョン「……未来、いや時間ってのは連続的なものじゃなく断絶的なもの、って言って分かるか?」

キョン「連続性のない時間軸は本質的に言えばパラレルワールドの存在を仄めかす」

古泉「……ええ、おっしゃることの大体は理解しました」

古泉「つまり、断絶的な時間平面であるこの時間で観測されたことが」

古泉「他の断絶された時間平面に影響を及ぼすものではない、ということですね」

キョン「……お前本当に察しはいいな」

古泉「察し、は。……褒め言葉として受け取っておきます」

キョン「おう、そうしてくれ」


長門「つまり、あなたはあなたの予測した未来について確実性がないことを伝えたい?」

古泉「前置きとしては丁寧すぎるぐらい長い説明でしたね」

キョン「前置きが長いのは我慢してくれ。実際俺が見た未来と実際の未来では違った結果だったこともあるんだから」

キョン「例えば涼宮ハルヒの昼ご飯が珍しく弁当という予測が実際はいつも通り購買だったり」

古泉「なんですか、その未来予測……小さすぎる」

キョン「意外とビックリしてたんだよ、今日は弁当なのか! って」

古泉「……そんなことより」

キョン「そんなことより!?」

古泉「あなたは時間移動も意のままでしょう。未来に行って結果をかくn……」

キョン「そう、長い前置きを忘れてもらっちゃ困るぜ」

キョン「断絶された時間平面の結果が未来の時間平面に出て来てるとはいえないからな」

キョン「だから、今回の予測の信憑性は俺の中でも低めってことだ」

長門「……本題」

キョン「……ああ」

キョン「…………涼宮ハルヒは――――――」










































キョン「今いるこの世界を作り変え、全く別物の新しい世界を創りだそうとしている」


































古泉「……ッ!?」

長門「……」

キョン「まぁ、俺がみた未来では、だがな」

古泉「……なぜ、涼宮さんはそのようなことを?」

キョン「……さあ、お前トコの機関が考えてるみたいにこの世界に飽きたから作り変えようとでも思ったんじゃないか?」

古泉「それは……」

長門「違う。あなたは本当の理由を知っているはず」

キョン「お見通しか……ああ、だが言うべきことじゃない」

古泉「なぜです? この世の緊急事態とも言える状況に―――ッ!」

古泉「理由が分かっているならば事前に対処できるのではないのですか!? もしかしてそうできないという理由でも?」

キョン「……ああ、そうできない理由がある。とりあえず、俺は涼宮ハルヒを今はまだ止めようとは思わない」

キョン「結果がこの世界を創りかえることだったとしてそれは涼宮ハルヒが望んだものだからな……」

キョン「……『佐々木』の力を使って」

古泉「『佐々木』……またその名前ですか」

古泉「世界を創りかえるというのはいかに涼宮さんでも容易なことではありません」

古泉「比喩的な容易は可能を表わすものであり、決して時間的、実力的な猶予を表わすものではありません」

古泉「涼宮さんの『力』は未だ『佐々木』の『力』……あなたは朝比奈さんにこう伝えたはずです」

古泉「そして涼宮さんと『佐々木』の『力』の奪い合いは続いている、と」

キョン「…………」

古泉「……この、世界新生とも言うべきでしょうか? これが意味することは……」

古泉「『力』が完全に涼宮さんに渡り切った……そういう、ことなのでしょうか?」

長門「……」

キョン「……」


キョン「分からねえよ、言ったろ? 未来は不確実なものだ」

キョン「世界は終わらないかもしれないし、『力』はまだ涼宮ハルヒのものではないかもしれない」

キョン「全てがIFの状態であることが未来への断絶性を表わしてるんだ」

キョン「俺はまだ、さっき言った通り『事』が起こるまでは動く気はないし」

キョン「『事』がおこるかどうかも分かっちゃいない」

長門「……本当?」

古泉「長門さん!」

キョン「……長門から言われると辛いもんがあるな」

キョン「本当、ということでここは退いてもらえるか? 長門」

長門「…………」

長門「……了承した」

キョン「恩に着るよ、長門」

長門「そう」

古泉「あなたは、我々がこのことについて言及したければこのまま黙っているおつもりでしたか?」

キョン「…………ああ、多分そうしただろうな」

古泉「……そうですか」

古泉「……我々は未だ信頼が強固なものでないのは確かです。それでも……!」

キョン「……そう。仲良くいきたいだなんて言っといて大事なことを言わないままにしておくのズルだよな」

キョン「……悪かった。だが、この謝罪は黙っていようとしたことへの謝罪だ」

キョン「俺が動かないことへの言及は、またこの世界で『事』が済んでからにしよう」

古泉「止める気は……あるんですか?」

キョン「……あるさ、未練も愛着もまだこの世界に残したままさ」

長門「……」

キョン「……とにかく、今まで以上に涼宮ハルヒをよく見ていた方がいい」

キョン「少しの違和感がそのまま世界崩壊に繋がるんだからな。はは、笑えん」

古泉「……全くです」

ここまでっ


翌日


キョン「はい、出来上がりました朝比奈さん」

朝比奈「わぁ! ありがとうキョン君!」

ハルヒ「みくるちゃん、もうすっごい! すっごくかわいいわよ!!」

朝比奈「え、えへへ、キョン君がかわいく髪結んでくれたからですよぉ」

古泉「常套句しかでてきませんが、とてもよくお似合いです」

ハルヒ「にしても、アンタこんなことまでできるなんてね」

キョン「俺はなんでもできるぞ」

ハルヒ「……じゃあさ、あたしの髪も結んでよ!」

キョン「おう、いいぞ」

ハルヒ「みくるちゃんと一緒の感じでね!!」

キョン「任せとけ、よっと」シュルルルルルルル

朝比奈「あ、あんな感じで結んでたんだ」

古泉「……いえ、朝比奈さんの時は普通にやってました」

朝比奈「え? それじゃあ……」

キョン「はい、でーきーあーがーりー」

ハルヒ「そうそう、このデカ盛りマシマシヘアこそが団長にふさわしい―――って」

ハルヒ「なによこの髪!?!!?!? なんでキャバクラ嬢みたいな盛り方!?!??」

ハルヒ「あたしみくるちゃんと一緒のって頼んだじゃない!!」

キョン「団長は唯一無二の存在、勝手ながら個性を加えてアレンジしてみた」

ハルヒ「勝手すぎ!! 個性加えすぎ!!! アレンジしすぎぃいいいいいいいいい!!!!!!」


ハルヒ「ちょっとこれどうやってんのよ……あたしでもこんなに盛ったことないわよ」グイグイ

朝比奈「ああ! 涼宮さん髪の毛痛んじゃいますよぉ! 手伝うから少しじっとしててください」

古泉「……少し、いいですか?」

キョン「おう、なんだ? あの芸術作品に関して聞きたいことでも?」

古泉「そうではなく!! 世界が滅びるかもしれないこの状況で涼宮さんを刺激するのはあまりに危険じゃありませんか!?」ボソボソ

キョン「まぁまぁ、そう怒るな」

キョン「確かに、お前から見たら冷や汗もんのことを俺はしてるかもしれん……だがな」

古泉「だが?」

キョン「俺自身は……楽しいんだ」

古泉「…………」

古泉「だからなんなんです!!?!? 涼宮さん関係ないじゃないですか!!」

ハルヒ「ん? 古泉君あたしのこと呼んだ?」

古泉「いえ、お気になさらずー」スッ

ハルヒ「……スルーされた!?!?」

朝比奈「う、動かないでぇ!」

キョン「落ち着けって古泉」

古泉「再三言うようですが、今は落ち着いていられるような状況ではないのでは?」

キョン「だったら言うが、俺が動かない今。お前たちは傍観すること以外なにかできるののか?」

古泉「……っそれはッ!」

キョン「違うんだ、蔑んでいるわけじゃない。原因がわからない今、不自然に日常を破棄するのは得策なのか、ということだ」

古泉「ッ……つまり、涼宮さんに我々の異変を感ずかれると、それ自体が世界崩壊のトリガーとなってしまう、可能性がある、と?」

キョン「まぁ、なんとも言えんがな」

古泉「……」


キョン「とにかく、不用意に不自然な行動はとらないこった。いつも通りいつも通り」

古泉「分かり、ました……」

ハルヒ「キョン!! さっきはよくもあたしの髪を弄んでくれたわね!!」ザッ!

キョン「お前がやれっていうから」

ハルヒ「あんなことしろとは言ってないわよね!! 全く、命令違反は粛清の対象よ!」

キョン「言っておくがトリックショーなんぞはやらん」

ハルヒ「罰としてトリックsy……してるじゃない!!」

キョン「だから違うんだっての」

ハルヒ「ああもう! そのあたしの二手も三手も先を読んでる感じが腹立つー!!」

キョン「桁が2つも3つも足りんがな」

ハルヒ「なににならキョンを騙し、欺き、勝利できるのかしら……」

キョン「団長が団員に対し思う感情ではないよなそれ。完全に裏切り者への制裁の感じじゃねえか」

ハルヒ「とにかく! 団での上下関係はあたし<キョンなんだからね!!」

ハルヒ「……あれ? あたし<<<キョンなんだからね!!! あれーっ!!?!?!?」

キョン「おう、お前<<<<<<<<<俺でいいんだよな?」

ハルヒ「ちがーう!!! 不等号の向きが逆!!! てかあたし喋ってるのになんでこうなるの!!?!?」

キョン「ああ、俺の能力はベクトルs」

ハルヒ「それ違う超能力者だから!!!!!!!!」

古泉「(……本当にこれでいいのだろうか)」


ハルヒ「それじゃ!! 明日の不思議探索に遅刻しないように!!! 今日は解散!!!」ダッ

朝比奈「行っちゃった……」

古泉「……では」

長門「……」

キョン「朝比奈さん、少しいいですか?」

朝比奈「はぇ? みなさんなにか……?」














朝比奈「ぇええぇええええええええええええええええええええええ!!!!!!」

キョン「驚くのも無理はありません。まだ確定していない未来ですから」

朝比奈「そ、そんな……未来からもそんな報告は来ていないのに……」

古泉「我々機関も、未だそのような情報は入手できておりませんが……」

古泉「あなたの語る情報は、そうそう無視できるものではありませんからね」

キョン「信頼してくれてどーも」

朝比奈「そっ、それでわたし……いえ、みんなはどんな対処を?」

キョン「放置」

古泉「傍観(やむなし)」

長門「未定」

朝比奈「なにも決まってない!?!??」ガーン

古泉「……この件に関しましては、彼から釘を刺されていますので」

キョン「朝比奈さん、できれば明日からもいつも通りで涼宮ハルヒと接してくれませんか?」

朝比奈「で、でもわたしの不用意な発言が涼宮さんの世界改変のきっかけになるかもしれないってことですよね?」プルプル

キョン「ははっ、安心してください。その確率は今日を見てわかる通り俺が一番高いですから」

朝比奈「ひっ!」

古泉「笑えません。謹んでいただきたいものです」

キョン「俺はただ朝比奈さんの心配を取り除こう、と」

古泉「心配事があなたと涼宮さんの二人に増えただけです」

キョン「あれー?」

古泉「あれー?ではなくて……はぁ」


朝比奈「あの……キョン君」

キョン「はい、なにか質問でも?」

朝比奈「わたし、ううん、わたしだけじゃなくて多分、古泉君や長門さんもだと思うんですけど」

朝比奈「『佐々木』……『佐々木』さんの存在をキョン君から聞かされてから、情報を集めようとしたんです」

キョン「そう言ってましたね」

古泉「……」

長門「……」

朝比奈「結果は……なんの情報も、得られなかったんですけど」

キョン「……まぁ、そうでしょうね」

キョン「『佐々木』……『佐々木』か」

キョン「そうですね……俺が『最初』に『佐々木』に会ったのはいつだったか……」

キョン「……そう、あれは――――――」

キョン「平安時代だったか」

古泉「……」

朝比奈「……」

長門「……」

古泉・朝比奈「「え!?!!?」」

キョン「え?」


キョン「『佐々木』が本当に平安時代に生まれたのかは定かじゃないが、俺が初めて奴に会ったのは平安時代だった」

キョン「それで……」

古泉「ちょ、ちょっと待ってください!!」

朝比奈「平安時代ってあの平安時代ですかぁ!?」

キョン「いえ、北口駅近くの『スーパー平安時代!!』の方ではなくて、あの歴史の方の……」

朝比奈「そっちです」

キョン「あ、ならそっちです」

古泉「平安時代とは……話のスケールがいよいよ大きすぎるくらいになってきましたね」

朝比奈「本当にキョン君って何者……?」

キョン「まぁまぁ、それで……なんだっけか」

キョン「そう、あいつは平安貴族だった。もちろん、当時は『佐々木』なんて名前じゃなかったが」

キョン「俺が『佐々木』を、『佐々木』の『力』を見つけた理由は単純」

キョン「俺が『佐々木』に見つかったんだ」

古泉「見つかった……あなたを特別な人間だと認識した、ということでしょうか?」

キョン「ああ、俺からのなんの情報もなしにだ。唐突に、出会い頭に、現代語に訳すとこう言ったんだ」

キョン「『くつくつ、君も、面白い力を持つ人間のようだね』ってな」

キョン「あれが今でも過去一番の衝撃だな、まさにド肝抜かれたって感じ」

キョン「それからか、俺が『佐々木』に今の今まで関わってきたのは」

古泉「……我々、超能力者や未来人、果ては情報量の桁が違う長門さんたち宇宙人でも分かりえなかった彼の正体を……」

朝比奈「一瞬で見破った『佐々木』さんって……」

長門「……」


キョン「『佐々木』、まぁ、当時は橘だか一条だかなんだか名乗ってたけど」

キョン「俺は『佐々木』について調べてみることにした」

キョン「まぁ調べると言ってもホンの数秒ですぐ分かってしまうんだが」

長門「チート」

キョン「長門も似たようなもんだろ」

キョン「それで、俺は『佐々木』の中の『力』を発見した」

朝比奈「それが、涼宮さんの持つ願望実現力……?」

キョン「の、元祖ですね。前も言ったとおり、あれは奪った『佐々木』の力の一端でしかない」

キョン「元祖・『佐々木』の『力』は今の涼宮ハルヒの非じゃなかった」

キョン「まぁ、言葉じゃ言い表せないぐらいすごかった。今の俺みたいに」

古泉「あぁ……」

朝比奈「あ……」

キョン「なんとなく分かってもらえたみたいだな」

キョン「まぁとどのつまり、そんな力を持つ、持っていた『佐々木』の情報を得るには」

キョン「『佐々木』と同じぐらいの力を持つ、または、『佐々木』を知る人物から聞く、ってことぐらいしかないってこと」

古泉「つまり……なんでも俺に聞け、と?」

キョン「お前の耳はそんな都合よく聞こえるもんなのか?」

キョン「まぁ、気が向いたらこの話の続きをしよう」

朝比奈「えー!! もっとキョン君と『佐々木』さんの関係について詳しく知りたいです!」

キョン「そう言われましても、初めは互いに互いを牽制してたというか監察してたというか……」

キョン「ってまぁ、この話は一旦ここまで、明日の不思議探索とやらに影響が出ても困りますんで!」

キョン「それでは、アデュー」シュン!!

長門「……」シュン

古泉「……なんという便利な人たち……歩いて帰りましょうよ」

朝比奈「結局はぐらかされたような気がします……」

古泉「まぁ、まだ彼も全ては話す気ではない、ということでしょう」

朝比奈「そっか……また話してくれるかなぁ」

古泉「ええ、きっと」

朝比奈「ふふっ、そうですよね! それじゃ古泉君」

古泉「はい、帰りまs」

朝比奈「また明日~」シュン

古泉「……え?」

古泉「……時間移動を駆使した座標移動!!?!?」

古泉「帰宅する道具として使っていいんですか!!?!?!?」ガーン

古泉「というか誰か一緒に帰りましょうよ!!!?!?」


翌日







ハルヒ「……」

古泉「……」

朝比奈「……」

長門「……」

キョン「よっ、遅かったな涼宮ハルヒ」

ハルヒ「だから!! なんで!!! あんたたちは!!! 二時間も!!!! 前に!! 待ち合わせ場所にいるのよっ!!?!?」ガンガンッ

朝比奈「す、涼宮さん! ヒール折れちゃいますよぉ!!」

キョン「古泉~毎度毎度涼宮ハルヒが最後じゃ団長としての示しがつかないだろ? 最後に来てやれよ」

古泉「ですが、性分ゆえ待ち合わせには余裕を持った時間で行動してしまうんです」

キョン「……いや、知らんけど。間に合えばいいんだから30分前に着くようにすればいいんじゃないか?」

古泉「ダメです」

キョン「……なんでダメかを言わんのか。子供かお前は」

古泉「ダメなんです」キリッ

キョン「だから理由を……まぁいいか。これも習慣の内みたいなもんか」

ハルヒ「キョン!!!」

キョン「おっ、落ち着いたか」

ハルヒ「聞きなさい今日は!!」

キョン「じゃあ五人で回るトコ決めるか」

ハルヒ「なんとSOS団初、班わけなし全員で不思議たんs…………」

キョン「俺を驚かすのは一生無理だと思うぞ?」

ハルヒ「……わっ!」

キョン・キョン「「わっ!!」」

ハルヒ「ビックゥ!!! きゅ、急に増えんな!!!!」

朝比奈「ふ、増えることに疑問はないんだ……」


ハルヒ「というわけで! 今日は全員で行動したいと思います!」

キョン「効率悪いんじゃないのか? 分担して探すよりは」

ハルヒ「確かに模索範囲は狭くなるかもだけど、全員で探すことにより、より一層不思議が見つけやすくなるわ!」

キョン「まぁどうせ誰も真面目に探してないからどっちでもいいけど」

ハルヒ「え?」

古泉「か、彼なりのジョークですよ、ジョーク! マジシャンジョーク!! はは……」

ハルヒ「……は、はは」

古泉「……」

キョン「なんだその微妙な愛想笑い、古泉が傷つくぞ」ボソボソ

ハルヒ「だ、だってなんて返したらいいか分かんないんだもん!」ボソボソ

古泉「……止めの一撃までもらったような気がします」

ハルヒ「ま、まぁ気を取り直して! さっそく不思議が転がってそうな所にいくわよーっ!!」オーッ!!

朝比奈「お、おーっ!」

長門「……」

キョン「ふぁ……」

古泉「……」ズーン

ハルヒ「団結の欠片もない!!!!!!」

キョン「お前が言うか」

古泉「むしろあなたが言いますか」


ハルヒ「不思議不思議ー、むっ、あれは……っ!」

キョン「少年野球だな」

古泉「いいですね、天気の日に行うスポーツは。僕も体が動かしたくなってきますね」

ハルヒ「ふふっ、古泉君、あなたのその願いはそう遠くない未来叶う事でしょう」

古泉「おや? それは楽しみですねぇ」

キョン「まるで野球大会でもあるかのようだな、涼宮ハルヒ?」

ハルヒ「え、ええ? ええっと……? そう、そうね? そんな……感じ?」ダラダラ

キョン「誤魔化すの下手か」

ハルヒ「まぁ、とにかく! アンタも体動かす準備しときなさい!」

ハルヒ「団活中は外に出ない引きこもりのようなことしてるんだから」

キョン「いいだろう、どんなスポーツでも無双してやる自信があるぜ」

朝比奈「(すごい説得力……)」

ハルヒ「ハッ! 大きく出たわね! 言うからには活躍してもらうわよ?」

キョン「いいぜ! カバディでもアルティメットでもセパタクローでもなんでもこい!!」

ハルヒ「な、なんでちょっとマニアックなスポーツのチョイスなのよ……」

長門「スカッシュは?」

キョン「日本代表に選ばれたことあるぞ!」

ハルヒ「嘘つけ!!」


ハルヒ「ここにはどんな不思議が……」

キョン「おいおい、家電量販店に不思議なんてあるのかよ」

ハルヒ「我が団には備品が足りないと思うのよ、部費は有り余るぐらいあるのに」

ハルヒ「そこで、今日は夏に向けて冷蔵庫を買いたいとおもいまーす!!」

朝比奈「いいですね! 色々便利そう」

キョン「冷蔵庫か……ありだな、本マグロとか冷やしておきたいしな」

ハルヒ「そんな業務用の冷蔵庫なんて買わないわよ……てか本マグロどっからとんのよ」

キョン「てことは、大きさは……こんぐらいか?」パッ

朝比奈「わっ! どこからともなく冷蔵庫が」

ハルヒ「うーん……これでも部室に置くのはちょっと大きいかしら?」

ハルヒ「それにちょっと使われた跡もあるし……妙に生活感あふれてるし」ガチャ

ハルヒ「中身入ってるし……なんかこの冷蔵庫見覚えあるし……」バタン

ハルヒ「うーん、これは……」

ハルヒ「あたしの家の冷蔵庫じゃないこれ!!!!!!!!!!!!!」

古泉・朝比奈「「涼宮さん家の冷蔵庫!?!?!???!?!?」」

キョン「テレポートしてみましたぁ!!」

ハルヒ「あんったなんてことしてんのよ!! どんなトリック使ったか知らないけど早く家に戻しなさい!!」

キョン「戻すのはいいが、涼宮ハルヒ。お前の親御さんは冷やさなくていい調味料とかも冷やしてるぞ?」

ハルヒ「ああ、お母、ゴホン、母親は味覚音痴なのよ、だから―――じゃなくてさっさと戻す!!」

キョン「へいへい、あ」シュン ポトッ

ハルヒ「レタス!!! なんでレタスだけがこぼれる!?!? なんで!?!?」

キョン「忘レタっス」

ハルヒ「うるさい!!」


♪~



ハルヒ「あら路上ライブ」

キョン「ほーたまに見かけるなこういうの」

朝比奈「あ、わたし結構すきです、この曲」

ハルヒ「オリジナルね、うん、中々いいじゃないこれ」

キョン「あぁ……でもな涼宮ハルヒ」

ハルヒ「うん? なによ?」

キョン「彼はこのライブをラストライブとし、長年の夢を挫折、30になるまで再就職ができないというハードな未来が待ってるんだ」

朝比奈「うわぁ……」

古泉「……これは」

ハルヒ「えぇ……じゃなくて!! なんでそんな具体的なこというのよ!!」

キョン「見えたから」

ハルヒ「っ~~~!!! アンタ!!」





ハルヒ「あたしはその曲すっごく好きよ!! アンタが歌ってることも含めて!」

ハルヒ「だから! そう簡単に成りたいもの諦めんじゃないわよ!!!!」


……


ハルヒ「……ふー、言ってやったわ」

古泉「お見事です、喝が入ってました」

キョン「おめでとう、涼宮ハルヒ」

ハルヒ「ん? 見える未来でも変わった?」

キョン「ああ、変わった。彼は28歳で公務員試験に合格。晴れて夢の公務員になる予定だ!」

ハルヒ「……へぇ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「音楽の道は!!?!?!?!!!?!?」

古泉「長年の夢は、公務員だった……というわけですか」


ハルヒ「次はここ!」

キョン「映画? お前不思議探す気ないだろ」

ハルヒ「あるわよ、映画の画面に一瞬映し出される謎の黒い穴の正体とか!」

キョン「解明以前にそれは謎じゃねぇ」

ハルヒ「いいじゃない、たまには映画でも見てリフレッシュよ!」

キョン「リフレッシュするほど普段頑張ってないんだが」

ハルヒ「みくるちゃん、どれみたい? あ、動物系はダメよ? あたしうるっときちゃうかもしれないから!」

古泉「ではこれなんかいかがでしょう? 全米で大ヒットと前評判もよろしいかと」

ハルヒ「へぇ、中々面白そう!」

キョン「でもそれ主人公の父親が黒幕っていうベタな……」

ハルヒ「なんで言う!!?!? 面白そうって言ったのになんで言う!!?!?」

キョン「いや俺はベタだぞってことを伝えたくて」

ハルヒ「ベタでも下手でもいいじゃない!! いや下手はダメだけど!! てかアンタこの映画見たの?」

キョン「見てないけど、見えた」

ハルヒ「NO MORE 映画泥棒!!!」

キョン「すまん、そういう意味じゃない」

ハルヒ「せっかく面白そうと思ったのにバカキョンにオチ言われるなんて……」

古泉「でしたらこっちはいかがでしょう?」

ハルヒ「あっ、こっちも面白そうじゃない! これにしましょう!」

キョン「あっ、そっちはだな―――」

ハルヒ「言わんでいい!!!!」

長門「ポップコーン5つ」


ハルヒ「……この映画も主人公の父親が黒幕だった」

キョン「言わんこっちゃない、似たストーリーのもの選ぶから」

ハルヒ「べ、別にそれが悪いとは言ってないし!! 途中から黒幕バレバレだったけど別に悪いとは言ってないし!!」

キョン「遠回しに批判してるぞ、それ」

ハルヒ「全く、どうしてあんな分かりやすいストーリーに……あれならあたしが撮った方が……」

キョン「お前が撮ったらストーリーのスの字も映画に反映されんだろうよ」

ハルヒ「なにおぅ!!」

朝比奈「ま、まぁまぁ落ち着いて」

古泉「そういえば……大分暗くなってきましたね」

ハルヒ「今日は時間が立つのが早いわね!! もう、星が見える時間だわ!」

キョン「残念ながら、ここからじゃよく見えないがな」

ハルヒ「……それは、そうだけど……」

キョン「……やれやれ、ちょっとみんな集まってくれ」

朝比奈「? なにかするんですか?」

キョン「俺からの特別プレゼント、少しだけ魔法を見せてあげますよ」

ハルヒ「? なにを――――!!?」



パァァアアアァアアアアア!!!!!!



ハルヒ「星が……こんなに!!?」

キョン「俺特製、天然のプラネタリウム。余計な遮蔽物を取り除いた空をみんなの目に映し出してる」

古泉「そんなこともできるんですか?」

キョン「なんでもできるさ」

ハルヒ「それにしても……本当に」

朝比奈「きれい……」

長門「……」ジィ


キョン「大気圏のちょい下ぐらいから見る星空だ、見やすいだろ?」

ハルヒ「ええ、ほんと……手を伸ばせば届きそうなぐらい」

キョン「涼宮ハルヒ」チョイチョイ

ハルヒ「? なによ?」

キョン「いいか? ゴホン、あれがデネブ、アルタイルべッ!! 痛い、なぜ叩く?」

ハルヒ「アンタが言おうとしたことがあらゆる意味で場違いだからよ!!」

キョン「俺が指さす夏の大三角なのに?」

ハルヒ「うっさい!! てかまだここじゃ大三角は見にくい筈じゃ……」

キョン「そこはマジシャンのサービスさ、見たい星があるならなんでも見せてやる」

ハルヒ「……ほんっと、バカげてる」

キョン「そうさ、そう思わないと信じられないだろ? 今この空間を」

ハルヒ「……ええ、そうね」

朝比奈「……わぁ」

古泉「綺麗ですね……」

長門「……」ジィ

ハルヒ「……うん」

キョン「うん?」

ハルヒ「あたし、今日が人生で一番楽しかった日かも!」

キョン「んな大げさな」

ハルヒ「大げさなんかじゃないわ! もっと早くに皆に出会いたかったと思うわ!!」

ハルヒ「そうだったら……いえ」

キョン「まだまだ楽しいことはこれからあるだろ?」

ハルヒ「そりゃそうよ、まだまだこれからもSOS団は進み続けるのよ!!」





















                          ハルヒ「あたしたち五人でね!!!!!」























古泉「……!!!!!」ゾクッ

朝比奈「……ふぇ!?!?」キィーン!!

長門「……」ピリピリ

キョン「……」

ハルヒ「? みんなどうかした?」

キョン「……いや、あまりの綺麗さに感動してな」

ハルヒ「そっ、まぁ本当に綺麗だもんね!!」

キョン「だが、サービスタイムはここまで、もう帰る時間だ」スッ

ハルヒ「あっ、もっと見たかったのに!!」

キョン「もう暗いから帰らなきゃだろ? 明日の団活に影響が出てもあれだし」

ハルヒ「むぅ……」

キョン「……また明日、五人で集まるんだから、な?」

ハルヒ「……ま、それもそうね。それじゃ今日はここで解散! 有希とみくるちゃん送って行ってあげてね!」

キョン「お前は大丈夫なのか?」

ハルヒ「へーきへーき!! それじゃ! また 明日ー!!!」

キョン「おう、また、明日……」


キョン「……」

古泉「……」

朝比奈「……」

長門「……」

キョン「……感じただろ?」

古泉「……ええ、これまでのものとは、もう、規模が段違いなほどの、閉鎖空間を……」

古泉「しかし、全く別の閉鎖空間ゆえ、侵入する方法が、自分たちの中で分かっていません……」

朝比奈「すっ、涼宮さんは本当に世界を……作り変える気なんですか!!?!?」

古泉「それは……恐らく、しかし、一体なぜ急にそのような考えに至ったのでしょう?」

古泉「彼女自身、今日一日を楽しいと言い、大変満足していました。心の底から」

古泉「つまり、ストレス=閉鎖空間とは違う何か別の理由が、別の引き金があったということでしょう」

古泉「それが、何か。あなたが二日目に言い渋ったことで間違いありませんね?」

キョン「……ああ」

古泉「……察するに、彼女のトリガーとなったのは―――」

キョン「いい、言わんでも分かってる」

古泉「ですが―――っ!」

キョン「ここでウダウダ言っててもしょうがないだろ、かといってなにかできることがあるのかと言えばなんとも言えんが」

朝比奈「キョ、キョン君……」

キョン「……心配しないでください朝比奈さん。寝て起きたらきっといつも通りの朝が来ます」

キョン「だから、今日もいつも通り 寝て ください。分かりましたか?」

古泉「…………了解しました」

朝比奈「ふぇ!? いいんですか!? 本当に、なにもしなくても!?」

キョン「涼宮ハルヒが考え直す可能性もあります。何もできない以上、こうするしか……」

朝比奈「……分かり、ました」

キョン「……古泉、朝比奈さんを送ってくれるか?」

古泉「それは、もちろん……朝比奈さん、行きましょう」

朝比奈「……」トボトボ

キョン「あとは、古泉に任せるか……。で」

長門「……」

キョン「何か言いたそうだな? 長門?」


長門「本当にあなたは何のアクションもとらなかった」

キョン「ああ」

長門「とろうと思えばいくらでもとれたはず」

キョン「まぁな」

長門「何故? あなたもこのまま世界が崩壊するのを良しと思っていないはず」

キョン「その通り。まだまだ、未練も愛着も残ってるからな」

長門「それは以前聞いた」

キョン「……だったら俺が前言ったことも覚えてるよな?」

長門「……」

キョン「仲良くいきたい。俺はこの問題が遅かれ早かれ絶対に発生するものだと正直思ってた」

キョン「今日がその日だってのは正直意外だったがな」

キョン「俺は、いつだって問題を一人で解決してきた。どんな時も誰といても」

キョン「……でもさ、それは間違いだったんだよ。どんなに力があろうと自分の力だけを過信しちゃいけない」

キョン「だから、今回はお前達に、SOS団に協力してほしかったんだ」

キョン「だから、この『事』が起こる日まで待った」

長門「協力……それは過去の教訓によって学んだもの?」

キョン「……そうかもな」

長門「わたし達ではあなたにとって力不足でしかない」

キョン「そんなことはないさ。それに力だけが協力を表わすんじゃない」

長門「……?」

キョン「……とにかく、頼んだぞ長門」

























キョン「俺達は今夜、涼宮ハルヒの閉鎖空間で世界の崩壊を止めなくちゃならないんだからな」























ここまで。
あと2、3回の投下で終わるかな?

どーだろ、三時までには多分投下―

んー投下!!


キョン「……」

キョン「……―――」

















『くつくつ、君も、面白い力を持つ人間のようだね』

『……ッ!?!?!??』

『驚くようなことはないだろう。僕も君も似たようなものなんだから』

『……みたいだな。まさかお前のようなやつがいるなんてな』

『自らを唯一無二の力を持つものだと考えていたのかい? くつくつ、それは傲慢だね』

『自分が特別だと思っている人間ほど、そうじゃないことが多いんだよ』

『そうかい、ならお前は自分のことをなんら特別と思っちゃいないわけだ。そんな力を持ちながら』

『思っちゃいないさ。現に今ここに、僕と同じ、いやもしかしたらそれ以上の力を持つかもしれない君が現れたんだから』

『もし俺が現れなかったら、お前は自分を特別な人間だと思っていたのか?』

『くつくつ、だから、君も僕も特別な人間じゃなのさ。君が現れなければ別の誰かが僕の前に現れる』

『君が特別だから、同じく特別な力を持つ僕の前に現れたわけではないんだよ』

『……屁理屈だな。俺やお前ほどの力を持つ存在が他にいると? へっ、俺はお前の存在自体にも驚いているのにまだ他がいるってのか?』

『勘弁してくれ。いつからこの星はヘンテコな力を持つ人間のたまり場になっちまったんだ?』

『いるさ。まだ君や僕に見つかっていないだけで、同じく君やかつての僕のように』

『唯一無二の存在だと勘違いし、自ら進んで孤独になりたがるような人がね』

『……それは俺のことを言ってるのか?』

『くつくつ……さぁ、それはどうかな?』

『僕はただ……この世に特別な人間なんかいない、ってことを知ってもらいたいだけだよ』

『……お前、一体何者なんだ?』

『……僕は――――――』


















キョン「……」パチ

キョン「……夢、か」

キョン「随分と、遠く……懐かしい夢だな」

キョン「……そしてここは―――閉鎖空間、だな」


キョン「当然の如く現れやがって、じめじめした薄暗い空間め」

キョン「わざわざ北高を中心に広がらんでもいいだろうに」

キョン「……あいつは、どこだ?」

キョン「んー……というか、なんとなく座っているこの椅子は……」チラッ





ハルヒ「ヴ、ヴーン……う、ヴゥ……」グルル





キョン「呻き声こわっ、こんなトコで寝てやがったのか……ったく」

キョン「おい、起きろ涼宮ハルヒ、朝、でもねえがとにかく起きろ」ユサユサ

ハルヒ「う、うーん……く、クジ……」

キョン「いやもうそれはいいから。悪かったから。悪夢までそれってどういうことだよ、ほら起きろ」

ハルヒ「……ッグアッ!?!??」ガバッ

キョン「どんな目覚め方だよ」

ハルヒ「あれ? キョン……? なんでアンタがあたしの家に?」

キョン「そーかそーか、お前の家は北高だったのか。どうりで母校愛が強いと……」

ハルヒ「あれっ!!? ここ北高!? なんで!? あたし寝てたはず……って制服も着てるし……」

キョン「トリックじゃないぞ」

ハルヒ「アンタのトリッ……!!! だとしてもおかしいわよねぇ……こんな事する必要もないし」

ハルヒ「ねぇ、キョンアンタなんか知らない? この現象?の原因?」

キョン「……さあな、でもまずは」


キョン「あいつらを起こしてやれ」

ハルヒ「……あいつら?」

古泉「……」

朝比奈「……スー」

長門「……」

ハルヒ「有希!! みくるちゃん!! 古泉君!! みんなまで!!!」

キョン「…………」

キョン「(やっぱりか……)」

ハルヒ「ちょっとみんな! 起きなさい!! 今大変なのよ!!」ユッサユッサ

長門「……」スクッ

ハルヒ「うわぁ!! 急に立たないでよ有希! 目覚めいいわねあなた……本当に寝てた?」

長門「……」コクリ

朝比奈「……ぅ、ふみゅう」

ハルヒ「みくるちゃん!! 起きるのよ!! 緊急事態警報!! SOS!! メーデーメーデー!!」

朝比奈「ふわっ!!?!? ななな、なんですか!!?」

ハルヒ「お早うみくるちゃん、今夜はSOS団緊急ミッションの開催日だったらしいわ……嵌められた!」

朝比奈「き、緊急……? は、嵌められたって誰に……?」

古泉「……ここは、北高ですか?」

ハルヒ「古泉君!! そうなのよ、わたし達寝てる間にこんなトコ連れてこられたみたいなのよ、制服にまでして……」

古泉「……」チラッ

キョン「……」コクッ


古泉「とりあえず、北高からでて考えてみましょう」

ハルヒ「そうね、ここにいたってなにもないし、ファミレスで会議よ会議!!」

キョン「じゃ、俺は先にファミレスに行っておk……むっ」

古泉「どうか、しましたか……?」

キョン「いや……涼宮ハルヒ!!」

ハルヒ「んー? なによー?」

キョン「今から俺とファミレスまで競争だ、もし万が一俺に勝てたら俺のトリックを一つ教えてやる」

ハルヒ「ほんとっ!!? ならすぐやるわよ!! はいはい! みくるちゃん! スタートとストップコールを!!」

キョン「ストップしてどうする」

朝比奈「えっ、えっ? じゃあ……スタート!!」

ハルヒ「ぉおおおりゃぁあああああああああああああああああ!!」ダダダッ

キョン「おー早い早い」

古泉「いいんですか? 彼女を一人で先に行かして」

キョン「ああ、いーのいーの、どうせ学校からでれねぇし」

古泉「え?」


ガーーーーッン!!!!!!


朝比奈「すっ、涼宮さぁーーーーーん!!!!!! 大丈夫ですかぁ!!?!?!?」タタタッ

ハルヒ「グフッ……みくるちゃん、あたしの骨は火星に……埋め、て」ガクッ

朝比奈「涼宮さーん!!!!」

長門「了解した」

朝比奈「了解しないでくだーい!! まだ涼宮さん元気ですからぁ!!」

キョン「なっ?」

古泉「なっ? ではなく今の彼女をあんな危険に刺激しないでください!!!!」


ハルヒ「イタタ……なによ、この見えない壁みたいなの! 出れないじゃないの!!!」ブニュウ

ハルヒ「効果音キモっ!!!」

キョン「どうやら閉じ込められたみたいだな、なにかしらのトリックで」

ハルヒ「……」ジィイ

キョン「いや、俺ではないけど」フイッ

ハルヒ「じゃあ目をそらすな!!」

古泉「どういたしましょうか、帰れないとすると……」

ハルヒ「……そうね一度部室に行きましょう! そこで打開策を考えるわ!」

古泉「……名案かと」

ハルヒ「そうと決まればさっさと行くわよ! みんなついてきなさい!!」

朝比奈「……」トボトボ

古泉「……」ウーン

長門「……」テクテク

キョン「ふぁ……」フワフワ

ハルヒ「……」

ハルヒ「元気がない!!! みんな全然元気がない!! あたしのカリスマもない!!?!?」

キョン「当たり前だろうが、今何時だと思ってんだ」

キョン「それでなくてもこの状況でどうテンション上げるんだよ」

ハルヒ「夜中の学校ってテンション上がらない?」

キョン「そんな過去の体験談を話されても」

ハルヒ「えっ」

キョン「え?」


ハルヒ「閉まってる、当然か、夜だもんね。キョン!!」

キョン「へいへい」ガチャ

ハルヒ「ありがとっ! はい、侵入~!!」

キョン「俺を便利屋と勘違いしてないか? やれやれ」

朝比奈「す、涼宮さんあんまり大声出しちゃ……」

ハルヒ「平気よみくるちゃん! あたしなんだかこの学校、ううん。この世界にはあたしたちしかいない気がするもの!!」

古泉「……」

長門「……」

キョン「それであっても一々大声を出すな。廊下に響いてうるさいだろ」

ハルヒ「むっ、ならここは隠密モードで行くべきかしら?」

キョン「お前、この状況を楽しんでないか?」

ハルヒ「あったりまえじゃない!! こんっな不思議な状況神様が楽しめって言ってるようなもんだわ!」

キョン「……まぁ、間違っちゃいないけどよ」

ハルヒ「でしょっ!」

ハルヒ「っと、もう部室についちゃった。キョン!!」

キョン「へいへい」ガチャ

ハルヒ「たっだいまー!!」

キョン「ただいまって……」

古泉「……やはり」

朝比奈「あっ、電気はつきますね」パチッ

ハルヒ「うーん、部室から眺める夜の校舎ってのも乙なものねー」

キョン「そんな風情あるもんでもないがな」


ハルヒ「さて……部室にたどり着いたとこだけど……」

ハルヒ「あたし、やっぱり校内を探検してきます!!」バーン!!

朝比奈「ふ、ふえぇ!? か、会議をするんじゃないんですかぁ!!?」

ハルヒ「いやー! やっぱりあたしの中の情動が抑えきれなくって!! みくるちゃん! 一緒に行く!!?」

キョン「バカ、ここに残ってみんなで解決策を練るのが優先だろ?」

ハルヒ「だったらあたし一人で探検してくる!! みんなはここで考えを纏めてて!!」

キョン「どんな状況かも分からない今、お前を一人にするのも危険だ」

ハルヒ「だったらどうすればいいのよ!!」

キョン・キョン「「俺が二人になる」」ドン!

ハルヒ・朝比奈「「便利っ!!!」」

キョン「どうせ言っても聞かないだろうからな、一人の俺は涼宮ハルヒについてく」

キョン「それで、残った俺がここでみんなと打開策を練る。これでいいだろ?」

ハルヒ「そうと決まったらさっさと行くわよキョン!! あぁーどんな不思議が転がってるのかしら!?」

ハルヒ「おっさきー!!!」ガチャガチャ

ハルヒ「……鍵締めないでよ、ちょっとテンション下がったじゃない」

キョン「結構結構、下がってくれたぐらいがちょうどいい」ガチャ

キョン「それじゃ、行ってくる」

キョン「おう、こっちはまかせろ」

朝比奈「キョ、キョン君同士で会話してる……」

古泉「奇妙な光景ですね……」

ハルヒ「だっしゃぁあああああああ!!!! いっくわよー!!」


キョン「……さて、うるさいのもいなくなったところで」

古泉「状況整理、ということですか」

長門「ここは間違いなく涼宮ハルヒの閉鎖空間内」

朝比奈「が、外部からの情報はほぼ全て遮断されています……」

キョン「ま、状況から言えばまな板の上の鯉。世界崩壊を新世界から見ておくしかできない、って状況だな」

古泉「しかし、黙ってみてることなんて、しないんでしょう?」

キョン「まぁな、そのためのSOS団だ」

古泉「して……新世界創造にあたり、我々がここに呼ばれた理由……」

古泉「先刻、あなたに止められましたが……僕の推論、拝聴していただいても?」

キョン「あぁ、まぁお前の思う通りなんだがな」

古泉「……―――『依存』」

朝比奈「い、依存……?」

古泉「涼宮さんは我々SOS団と共に活動することに喜びを覚えてました」

古泉「中学時代の涼宮さんは喜の感情が極端に少なかった」

古泉「我々と共に充実した楽しい日々を送ることを心から望み、またその日常を手放したくない、と思った」

古泉「……僕個人のうぬぼれでなければ、新世界とは我々五人のための世界、言わば―――」

古泉「SOS団でありつつけるための世界創生……違いますか?」

キョン「違わねーよ、涼宮ハルヒは俺達を選んだ」

キョン「今までのつまらなかった世界を一蹴し、新たな世界を俺達五人で作り上げる」

キョン「まさに神の所業だ。いとも簡単に世界を変えちまうことができるんだからな」

朝比奈「そ、そんな……」


キョン「トリガーは昨日の第六回SOS団不思議探索」

キョン「充実しすぎた涼宮ハルヒは自身の、幸せメーターとでも言うべきか? それを見事カンスト、振り切っちまった」

古泉「ストレスからなる通常の精査空間と違い、幸福から形成される閉鎖空間……」

古泉「通りで侵入の方法が分からないわけです」

キョン「幸福からなされる閉鎖空間にしては随分どんよりした雰囲気だと思わないか」

朝比奈「確かに……」

長門「涼宮ハルヒは迷っている」

古泉「迷い?」

長門「このまま世界を作り変えるか、それとも元の日常に回帰するか」

長門「涼宮ハルヒの中に存在する良識的な常識が、世界改変の歯止めとして働いている」

古泉「なるほど……涼宮さんの常識によって、まだ、世界は生かされている、と」

キョン「さぁ、困ったもんだ。涼宮ハルヒを幸せにすればするほど世界崩壊の手助けになっちまうんだからな」

キョン「どうする? これからは涼宮ハルヒをまた退屈な日常に戻し、幸福の供給を減らしてみるか?」

古泉「……その提案を、良しとしないと考えたからこそ」

古泉「あなたは……『事』がここまで進むのを待ったのでしょう?」

キョン「……」

朝比奈「……キョン君、キョン君は涼宮さんに本当に優しいんですね」

キョン「……なんでしょうかね、生まれた時からあいつを知ってるからでしょうかね?」

キョン「ここで、朝比奈さんや長門、古泉と出会ってからのあいつを見てると……」

キョン「以前の……昔の涼宮ハルヒに戻ってほしくない、って思い始めたんですよ」

古泉「一番影響を与えたのはあなたですよ」

キョン「……そうなのかもな、世界崩壊のトリガーは俺自身の介入といってもいい」

古泉「そうではなく」

朝比奈「涼宮さんが世界を変えたくなっちゃうぐらいまで幸せになったのはキョン君のおかげ、ってことですよ」

キョン「…………そうか」

キョン「……そうであっても、さすがにそれを『はい分かりました』と頷けるほど」

キョン「俺達SOS団はイエスマンだけの存在じゃないよな?」

古泉「もちろん」

朝比奈「はい!」

長門「……」コクリ

キョン「原因を作ったのが俺なら、最後まできっちり面倒をみてやる」

古泉「原因をつくったのはあなた、ではありません」

長門「わたしたち」

朝比奈「ですっ!」

キョン「……そうだったな、今こそ、このセリフを言うべきじゃないか」




キョン「仲良くいこう。未来人も宇宙人も超能力者も、手を取り合って、みんなで世界を守ろう」




朝比奈「キョン君……ちょっとクサいですね!」

キョン「えぇ!? 匂いますか俺!? ショックだなぁ……」

朝比奈「そっ、そういう意味じゃなくてぇ!」

古泉「そうですね、今こそ、我々『S4』が力を合わす時です」

キョン「なんだそれ?」

長門「そんな団体に属した覚えはない」

古泉「えぇ……」

キョン「……バラバラじゃねーか!!!!」

朝比奈・長門・古泉「「「(キョン君)あなたが言(うの)!?)いますか!!?」」」

キョン「そこは息ぴったりなんだな」


キョン「探検が終われば部室に涼宮ハルヒが帰ってくるだろう」

キョン「その時は―――――――――」























ハルヒ「キョンこれはっ!!?」

キョン「ただの消火器じゃねえか」

ハルヒ「おっかしいわね」

キョン「おかしいのはお前の目だ、さっきから普通のモンばっかだぞ」

ハルヒ「あたしには不思議なものに見えたのよ!!」

キョン「なんだそのいらない補正……」

ハルヒ「あーもう! なんにも見つからないじゃない!!」

キョン「……涼宮ハルヒ」

ハルヒ「ん? なに?」

キョン「以前、俺がお前やお前の周りの真実を教えてやるって言ったの覚えてるか?」

ハルヒ「ん、あー……第一回不思議探索の時聞いたような……」

キョン「暇つぶしの話題として今、話してもいいか」

ハルヒ「いや」

キョン「即答かよ」

ハルヒ「今暇じゃないし、アンタもちゃっちゃと不思議なモン探しなさいよ!」ガサガサ

キョン「……じゃあ探しながらでいいから聞いててくれ、俺も探すからさ」

ハルヒ「それなら……まぁ」

キョン「助かる」


キョン「ん? あー……なるほど」

ハルヒ「なによ、話すんじゃないの? 勝手に納得しちゃってなんなの?」

キョン「いや、とりあえず周りの真実は後回しにして、お前の真実から話そう」

ハルヒ「まぁ……どっちでもいいけど……! キョンこれ!」

キョン「それは上履き」

ハルヒ「チッ!」ポイッ!!

キョン「……涼宮ハルヒ、お前は自分が特別な人間だと感じたことはあるか?」

ハルヒ「……昔は、そう思ってた。けど、まぁ色々あって今はそうでもないって感じてる」

キョン「正解。この世に特別な人間なんていない。一人ぼっちの人間なんかいないのさ」

ハルヒ「?」

キョン「お前はちょっと珍しい『力』を持ってるだけの普通の女の子さ」

ハルヒ「女の子って……急になんの話よ」

キョン「お前の話だって。えーと、それでなんだっけ」

キョン「そう、お前には願望を叶える力があるんだよ。『佐々木』ってやつからうば、受け継いだ『力』がな」

ハルヒ「……話が見えてこないんだけど。まず『佐々木』って誰よ」

キョン「『佐々木』……そいつは俺の初めての理解者だった」

キョン「自分を特別な人間だと勘違いし、孤高の自分を気取ってた哀れな俺の、な」

ハルヒ「理解者……?」

キョン「まぁ、お前はその、なんだ『佐々木』の生まれ変わりみたいなもんだ」

ハルヒ「……『佐々木』の」

ハルヒ「…………は!!?!?」

キョン「驚いたか?」


ハルヒ「あったり前でしょ!!? 何よその急なカミングアウト!!! あたしがあんたの理解者の生まれ変わり!!?!?」

ハルヒ「てかなんでアンタそんなことまで知ってんのよ!!!?!?」

キョン「俺は何でも知ってるからなー、説得力はあるだろ?」

ハルヒ「ぐっ……今までの経験からして、確かに……」

キョン「お前の『力』は『佐々木』から何代も受け継がれてきた『力』」

キョン「えー平安、室町、安土桃山、江戸、明治、で、最後が昭和か」

キョン「いくつもの時代を渡り歩いてきた『佐々木』と『力』は突如その姿を消した」

キョン「涼宮ハルヒ、お前という新たな『器』に『力』が移ったんだ」

ハルヒ「……ちょっと、待って。正直あんまり意味わからないけど」

ハルヒ「移ったって、それはあたしがその『佐々木』って人の生まれ変わりだからでしょ?」

ハルヒ「なら別に『佐々木』も『力』も今までと一緒、あたしに受け継がれたってわけじゃないの?」

キョン「……お前は『佐々木』と違ったんだ」

ハルヒ「そりゃあたしは涼宮ハルヒだし」

キョン「そうじゃない。そりゃ『佐々木』だってそれは昭和の、最後の『力』の持ち主の名前だからそう呼んでるだけだ」

キョン「橘、一色、早川……まぁ色々名前は違ったんだが、それはどれも『佐々木』だったんだ。『佐々木』だと感じたんだ」

キョン「だが、涼宮ハルヒ。お前からは『佐々木』を感じられなかった。また新しい『力』の持ち主『涼宮ハルヒ』だったんだ」

ハルヒ「……」

キョン「性格にはお前は『佐々木』の生まれ変わりで間違いないし、『力』持ってる。(使っているのは主に『佐々木』だけど)」

キョン「……けど、お前はこれまでの『佐々木』とは違う。全く違う『器』だったんだ」

ハルヒ「……」


ハルヒ「ねぇ、キョン」

キョン「なんだ?」

ハルヒ「あたし、正直今の話意味わかんなかったわ」

キョン「……そうか」

ハルヒ「聞きたいことがあるの」

キョン「なんだ?」

ハルヒ「『佐々木』ってどんな人だった? 『力』って具体的にはどんなものなの? 生まれ変わりって本当にあるの?」

キョン「多いな」

ハルヒ「それと……なんでアンタはそんなことを知ってるの?」

キョン「……」

ハルヒ「あんたは……本当は何者なの?」

キョン「……涼宮ハルヒ」

ハルヒ「なに?」

キョン「今、楽しいか? SOS団を作って、色んなことをして、毎日部室に集まって」

ハルヒ「楽しい。人生で今が一番楽しいって言いきれるぐらい」

キョン「そうか、ならいいんだ」

キョン「……俺は今までお前を『佐々木』としてしか見ようとしなかったのかもな」

ハルヒ「え?」

キョン「……それは違う。それじゃダメだよな。お前は……涼宮ハルヒなんだから」バッ!!

ハルヒ「ちょっと、急にどうし、たのっ!?」ガシッ!!

ハルヒ「ちょ、ちょちょちょ!!急に手引っ張んないでよ!! どこ行くのよ!!!」タッタッタ

キョン「どこに行く!? 決まってんだろうが!!!」タッタッタ!!















































キョン「俺達のいる場所、SOS団のところに決まってるだろう!!!!」




























ここまで
あとー……二回、で終わるかな?

投下―


ハルヒ「ちょっ、ちょっと!! まだ、あたし不思議なものなにも探せてないんだけど!!」

キョン「だから今からそいつらに会わせてやるって言ってんだ!」

ハルヒ「何言って……キョン!!!! あれ!!!」

キョン「今度は何―――出やがったか」







ォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオオ!!!!







ハルヒ「あれはなに!!?!? あれはさすがに見たことない!!! なんなのかしら!?!?」

キョン「あれは……大方、教頭先生のプライベート時とかだろ!」

ハルヒ「無理がある!!!! さすがにその説明には無理がある!!!!!」

キョン「じゃあ校長のプライベートだ」

ハルヒ「そういう意味じゃない!」

キョン「さあ……ついたぞ」

ハルヒ「部室? まぁいいわ!! みんなにあの怪物のこと教えてあげないと」ガチャ

ハルヒ「たっだい、ま……??」


古泉「……」

朝比奈「……」

長門「……」

キョン「……」

ハルヒ「ど、どうしたのよ。みんなして立ったまんまで……あ!」バッ!

ハルヒ「こっからでも見えるじゃない!! 見て! あの青白く光る巨人!!!」

ハルヒ「あれは地球外生命体がいよいよ侵略にきたのかもしれないわっ!!!」

キョン「……涼宮ハルヒ、言ったろ周りの真実は後回しだって」

ハルヒ「――――――え?」











古泉「涼宮さん。実は僕は超能力者です。あなたに望まれてここにいる。」












朝比奈「涼宮さん。わたし実は未来人なんです。涼宮さんに望まれたからここにいる。」












長門「涼宮ハルヒ。わたしは宇宙人。あなたが望んだからここにいる。」













ハルヒ「……え? なんの……話?」


キョン「さっき言ったろ、お前には願望を叶える力がある」

キョン「お前が宇宙人や未来人や超能力者と遊びたいって願望は他ならぬお前自身の手で、もう叶えていたんだ」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「……古泉君、あなたが超能力者?」

古泉「はい、真事実です」

ハルヒ「みくるちゃん、あなたは未来人……?」

朝比奈「はい。わたしはずっと未来からここに来ました」

ハルヒ「有希、あなたは宇宙人?」

長門「そう、あなたを観察するためにここにいる」

ハルヒ「…………」ヘナッ

キョン「驚いたか? 信じられないか? まぁそうだよな」

ハルヒ「…………」

キョン「……だったら―――」










古泉「僕たちが」



長門「涼宮ハルヒを」



朝比奈「信じさせてあげます」



キョン「だとさ」


ハルヒ「……信じ、させる……?」

キョン「さあ、いつまでも部室に引き込もってないで、校庭にでも繰り出そうぜ」

古泉「その通りです、せっかくあのような不思議な巨人が暴れまわってるんです」

朝比奈「もっと近くでみてみたいでしょう? 涼宮さん」

長門「それに、ここにいてはいずれ攻撃の対象になる、危険」

ハルヒ「……そ、それはいいんだけど、さ、さっき驚いてち、力が入らな……」

キョン「それじゃあ、長門頼む」

長門「承知した――――――」










ハルヒ「わっ!? い、一瞬で校庭に??」

キョン「そう、これが長門の力。宇宙人の力だ」

ハルヒ「……有希。!?!? 有希!!! 危ない!!」

キョン「いつの間にか、巨人に囲まれちまってたか、だが、心配ないぞ涼宮ハルヒ」

長門「……」







長門「涼宮ハルヒ。わたしはあなたに望まれるなら才気煥発の宇宙人になるだろう―――」スッ







オォォオオオォオオオオオオオオオオ!!!!



ハルヒ「……有希に、巨人の拳が届いていない?」

キョン「あんなもの長門に効くもんか。長門は俺たちの中で俺の次ぐらいになんでもできるんだぜ」

ハルヒ「……有希」

長門「…………」

長門「任せて」

ハルヒ「!!」


キョン「古泉ぃ! 神人狩りのエキスパートが長門に遅れをとったままでいいのか!!?」

古泉「んっふ、問われるまでもないでしょう」

ハルヒ「こ、古泉君も……?」

古泉「……ええ」







古泉「涼宮さん。僕はあなたが望むなら時間場所限定、世界の崩壊を防ぐ超能力者になれるでしょう」ブォオァ!!








ハルヒ「赤く、光って……」

古泉「……行ってきます、団長?」ダッ

キョン「おーおー、さすがに慣れてるな」

ハルヒ「……」

キョン「古泉はな、こうした閉鎖空間が発現するたびにああしてあの巨人と戦ってる」

キョン「言わば巨人狩りのスペシャリスト。この場において最も頼りになる存在さ」

古泉「……ハッ!!!!」ゴォオ!!!









オォオォオォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!


朝比奈「キョン君! 涼宮さん危ない!!」ガシッ

ハルヒ「えっ!? みくるちゃ―――」シュン

キョン「おぉ―――」シュン




ガァーーーーン!!!!




朝比奈「……よ、よかったぁちゃんとできて」シュン

ハルヒ「い、今……あたし一瞬消え、た? さっきの場所から移動もしてるし」

キョン「ああ、時間を飛んだのさ、ねぇ、朝比奈さん?」

朝比奈「……はい」








朝比奈「涼宮さん。わたしはあなたの望みなら幾星霜の時間を超える未来人になれます」








ハルヒ「みくるちゃん……」

朝比奈「えへへ、本当は三年前以前には戻れないんですけどね」

キョン「朝比奈さんはな、未来からその原因を突き止めに来た調査員だ」

キョン「現場を独断で任せられる力をもった実は凄い先輩なんだぜ?」

朝比奈「そ、そんなにすごくはないですよぉ!!」

ハルヒ「……」


ハルヒ「…………」

キョン「どうだ? 各々が宇宙人たる、超能力者たる、未来人たる証拠を見せてくれた感想は?」

ハルヒ「…………」

キョン「まさかここでトリックなんて言わないよな?」

ハルヒ「……言えない、わよ」

ハルヒ「本当に、あたしの求めてたものは……こんなに近くに」

キョン「ああ……いたんだよ。みんなお前の周りに」

キョン「……だからこそ、お前はみんなを離したくないと心の底で思えたんだ」

ハルヒ「…………」

キョン「……元の世界へ帰ろう、涼宮ハルヒ。まだSOS団でし足りないことは山ほど残ってるんだから」

ハルヒ「……ここでやればいいじゃない」

キョン「この不思議も味気もない世界でか?」

ハルヒ「……探せばあるわよ」

キョン「俺は断然元の世界の方が好きだけどな。こんな巨人が暴れまわってる世界よりは」

ハルヒ「…………」

キョン「……そうそう。この話覚えてるか? 俺がお前の求める本物だ、って言った話」

ハルヒ「……忘れるわけないわよ」

キョン「だったらいい、今から俺も、それを見せてやる」ゴォオ!!

ハルヒ「なっ!? なによその……なによそれ!?!?」

キョン「気≪オーラ≫、形から入るタイプなんだ俺は」


キョン「さあって」



オォオオォォォオオォォオオオオオ!!!!!



ハルヒ「キョン……」

キョン「おうよ、大丈夫さ」

キョン「じゃあ朝比奈さん、頼みます」

朝比奈「はいっ! キョン君も気をつけて」

キョン「ははっ、それじゃあ……」

ハルヒ「…………」

キョン「…………」











キョン「涼宮ハルヒ!!! 俺はお前が望むんなら何にだってなってやる!!!! 本物にだってなれる!!!!」ドッ!!!










ハルヒ「と、飛ん―――」

キョン「あーららららららららら!!!!!!らぁ!!!」ドンッ! ドンッ! ドンッ!

朝比奈「うわぁ、すごい勢い……」

ハルヒ「……」

キョン「涼宮ハルヒ!!!!」

ハルヒ「!! なっ、なによ!!!」

キョン「俺は、お前が望むんならスーパーマンにだってなれる!!!!」

キョン「世界の平和を守るヒーローにだってなれる!!!!!」

ハルヒ「……」


キョン「世界一マジックがうまいマジシャンにだってなれる!!!!!」

キョン「めちゃくちゃ人を騙すのがうまい詐欺師にだってなれる!!!!」

キョン「メンタリズムでテレビに出られるくらい有名人にだってなれる!!!!」

キョン「そしてぇ!!! SOS団の一員にだってなれる!!!!!!!」

ハルヒ「……ッ!!」

キョン「言ったよな!! 俺はお前を見てなかったのかもしれないって!!」

キョン「そりゃそんなことしてちゃマジシャンや詐欺師呼ばわりされてもしかたねえよ!!」

キョン「『佐々木』の幻影を追いかけるのはもうやめだ!!!」

キョン「これからは……お前は『涼宮ハルヒ』だ!!!!」

ハルヒ「……キョン」

キョン「分かったか!!? 分かったんなら――――――!!!!!」










































キョン「元の世界へ、あの部室に帰ろうぜ――――――ハルヒ」


パキッ パキキッ!! バリバリィイイイイィイイイ!!!





古泉「世界が……壊れる、ということは……」シュウゥ

長門「涼宮ハルヒはもとの世界へ帰ることを決心した」

古泉「……彼がやってくれたんですね」

長門「……彼だけじゃない、と彼は言うだろう」

古泉「……えぇ、僕達も、ですね」





キョン「ふぃー、なんとかなったか」

朝比奈「お疲れ様キョン君!!」

キョン「ありがとうございます」

ハルヒ「……」

キョン「なに呆けてんだハルヒ?」

ハルヒ「……ハッ!!? なっ、なんでもない!」

キョン「……ハルヒ、よく聞け」

ハルヒ「なっ、なにょ……」

キョン「この世界が終わったら、恐らくまたお前はベッドの上で目覚めるだろう」

キョン「そしてこの世界を夢か何かだと解釈するだろう」

ハルヒ「……ま、まぁ実際夢でも見てるかのようだし」

キョン「じゃあさ、覚えてたらでいいんだ。あのさ――――――」

ハルヒ「……?――――――」








ボロボロ ゴォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!






ここまで、あとエピローグ的なんで終われるかな?
んで、次は野球大会、笹の葉と続く予定。スレ変えるかは未定。

ねえ…
sleeping beautyは?

ヤバイ超面白い
ハルヒ全盛期の頃ssを貪るように読んでいた時を思い出して、少し切なくなったわ


エピローグも楽しみにしてる

朝倉さんと佐々木も絡んでくるの期待

新事実
「真事実」は誤字。


>>412
王子様なんていなかったんや

>>417
これからまた流行ればいいな

>>420
朝倉さんはちょいちょい出す予定やで

>>425
すまん、まこと、じじつのつもりやった。そんな言葉あるか知らんけど


てわけで今日の日曜に最後投下して原作一巻分は終了ということでー

じゃ、投下して第一巻、完っ!! ということで


『ところで、キョン』

『あーその前に一ついいか? 俺がキョンと呼ばれるのは確定なのか?』

『確定だね。僕の本能がそう伝えてる』

『本能レベルでかよ……んで昨晩見た夢について話せ、だっけ?』

『くつくつ、まだ言ってないんだけどね』

『言われれば、確かに今日の夢はなんか不思議な夢だったな』

『くつくつ、キョンをもってして不思議と言うのだから、それはもう気宇壮大なものだろう』

『ハードルを無理にあげるなよ。どうだったかな……』

『確か、一人の女の子に俺が振り回される夢……』

『……』

『その女の子が起こす問題に他の、三人と……ってこれじゃあまるで予知みたくくっきり覚えちまってるな』

『それにしても珍しいな、俺が気に留めるほどの夢なんて』

『……キョン、それは本当にいつか出くわすであろうことなのかもしれないね』

『まさか……そんなことは――――――』























キョン「……起こっちまったんだよな」パチッ

キョン「夢の目覚めは夢の続きから……ってか?」

キョン「……明日が日曜でよかった」

キョン「これで……ぐっすり、寝れる」バフッ

キョン「おやすみ……」


月曜日


キョン妹「キョン君起きてーっ!!」ドンッ!!

キョン「ふぐぅ!!! 妹よ、もうすこし穏便に頼む……」

キョン妹「おんびーん!!」キャッキャ!

キョン「ハァ……ん?」

キョン「妹よ、なぜ時計はpm7時を指しているんだ?」

キョン妹「晩御飯だからーっ!!!」

キョン「いや、理由になってないぞ。俺は今日学校に行ってないということになるのか?」

キョン妹「わかんなーい!」

キョン「俺も分からねえよ、何故男子高校生が平日に一日中惰眠を貪ることがここでは甘んじて受け入れられているのかが……」

キョン「……やれやれ」ズォォォォオオオオオオオオ!!!!!















キョン「はい、am7時ですよ、っと」

キョン「少し早いが……まっ、挨拶回りにゃちょうどいいか」

キョン「それじゃ、いってきます」シュン


キョン「よっ」シュン

古泉「やあ」

キョン「おぉ? 準備がいいじゃないか」

古泉「お待ちしておりました。あなたが来る予感がしてたもので」

キョン「へぇさすがはエスパー」

古泉「だんだん僕とあなたの仲もツーカーになってきたのではないでしょうか?」

キョン「ないな」

古泉「んっふ」

キョン「さて、無事世界は救われたわけだが……」

古泉「機関としても、僕個人としてもあなたには感謝しています」

キョン「よせよ」

古泉「いえ、もちろんあなただけじゃありません」

古泉「長門さん、朝比奈さん、そして僕の力も含め世界は守られた」

古泉「これがあなたの望む、ベストアンサー……だったということでしょう」

キョン「まぁ……俺が望んでた形には、なったか」

古泉「それがなによりです」

キョン「お前としては本当は一昨日世界が出来た可能性もあるとか言いたいんじゃないか?」

古泉「んっふ、それをこの場で言うのは……野暮ってもんじゃないでしょうか?」

キョン「へっ、違いねえ」

キョン「それじゃそろそろ、次にいくわ」

古泉「ええ、それでは」

古泉「また、部室で」

キョン「おう」シュン


キョン「おっす」シュン

朝倉「……お早う」

長門「……」スッ

キョン「なんだ朝倉もいるのか、悪いな長門」ズズッ

朝倉「いちゃダメなわけ?」

キョン「いんや、別に」

朝倉「全く、一昨日、いや! 三日前とでも言うべきかしら? ルーズな誰かのせいであたし大変だったんだから!」

キョン「昨日今日のはともかく、一昨日のは俺も頑張ったじゃないか」

朝倉「あたりまえです!! もう、迂闊に手が出せないと思って諦観半分傍観してたのが間違いだったわ!!」

朝倉「あんなギリギリのことされるなんて……やっぱり刺し違え覚悟で行くべきだったかしら?」

キョン「物騒なこと考えるな、結果的にこうして世界は守られたんだからいいじゃねえか」

朝倉「よくありません!! それは結果論でしかないんだから!! キョン君はもう少しリスクとか―――」

キョン「大丈夫、俺達がなんとかする」

朝倉「……ッ!!」

長門「する」

朝倉「…………ッハァ、あたしも甘くなったんですかね」

朝倉「長門さんがする、って言うなら任せてもいいって思うようになっちゃいました」

キョン「する!」

朝倉「黙って」

キョン「……」ションボリ

長門「……」ナデナデ

朝倉「あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝!!!!! 長門さん、めっ!! キョン君にそんな慈悲かけなくていいんだから!!」バッ

キョン「まぁ、そう言わずに朝倉も、ほら元気でるだろ?」ナデナデ

朝倉「う……ぐ……なっ」プルプル

長門「……」ジィ

キョン「と、悪いそろそろ次にいかなくちゃあな、学校に間に合わねえや」

長門「……そう」

キョン「それじゃあ」

長門「また、部室で」

朝倉「うぐぐ……」

キョン「おう」シュン


キョン「やあ、朝比奈さん」

朝比奈「わっひゃあ!! キョン君!!」

キョン「すいません、急に女性の部屋にお邪魔しちゃって……あ、長門に言うの忘れてた」

朝比奈「す、すいません。来るのは知ってたんですけど、驚いちゃって……」

キョン「知ってたんですか? なんだ、結局みんな俺が来るのを待ってたわけか」

朝比奈「くすっ、キョン君はわたしたちの手を取り合わせてくれた存在だから」

朝比奈「誰からしても特別な存在だと思います」

キョン「特別なんかじゃありませんよ。俺はただ自分ができることで、やって欲しいことをしてもらっただけです」

キョン「特別な人間なんか、この世にゃいませんよ」

朝比奈「そう、なんですね。そうかもしれません」

朝比奈「でも、キョン君がわたしたちを協力に導いてくれたのは事実です。そして」

朝比奈「わたしに、未来人としての自信を与えてくれたのも、キョン君です―――ありがとう」

キョン「ありがとうだなんて……お礼を言うのは俺の方です」

キョン「色々と、正体不肖の俺の言うことを信じてくれてありがとうございました」

キョン「お蔭で、無事今日もあの部室にいけそうです」

朝比奈「だったら、やっぱりこれはみんなのお蔭、ですね?」

キョン「その通りです」

朝比奈「よかったぁ、また今日も、おいしいお茶を淹れることができるんですね」

キョン「はい、思う存分、コスプレしてお茶を淹れてください」

朝比奈「こっ、コスプレは私の意志じゃないですよぉ!!」

キョン「本当は慣れてきてるでしょう??」

朝比奈「きょ、キョン君のいじわるぅ!!」

キョン「ははっ、おっとこんな時間だ」

朝比奈「学校へ行く時間ですね」

キョン「それじゃ、朝比奈さん」

朝比奈「ええ、また部室で」

キョン「はい、それじゃあ」シュン!


キョン「っと、いい時間になってきたな」

キョン「それじゃあ……教室へ」シュン!!










キョン「……」ガラッ

キョン「…………よっ」

ハルヒ「…………おはよ」

キョン「どうした? 随分眠たそうに見えるが……」

ハルヒ「そう? 昨日とっても面白い夢をみたから疲れてるのかしら?」

キョン「奇遇だな、俺も久しぶりに夢を見たよ。うんと昔のな」

ハルヒ「……あんた……何者よ」

キョン「俺は……そうだな、SOS団団員その1ってところかな」

ハルヒ「……あっそ」

キョン「なんだよ、随分反応が薄いじゃないか」

ハルヒ「……いい加減、いい加減な返答には飽き飽きなのよ」

キョン「いい加減とは……これでも精いっぱいこの場に合った回答をしたつもりなんだが」

ハルヒ「…………フン」

キョン「……ところで、その髪はどうした?」

ハルヒ「…………」

キョン「えらく短くなっちまったようだが……」

ハルヒ「……別に、もうそろそろ切ろうと思ってたのよ。暑くなってくるしね」

キョン「そうか……俺も髪は短い方が好きだな」

ハルヒ「………………アンタの意見なんか聞いてない」

キョン「……そうかい」






















































キョン「似合ってるぞ――――――『ハルヒ』」

ハルヒ「…………………………あっそ」





































とりあえずここまで完。
レス励みになったやで。次は野球大会を予定しております。

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