注意!
・これはライトノベル「ウチの姫さまにはがっかりです…。」のSSとなっています。某ソシャゲではありません。
・百合R18 原作を知っている方は十分承知してらっしゃると思いますがSM要素込みです(そこまでハードではない)
・>>1個人の趣味によりアッシュは姫様とではなくキキモラと結ばれています。ご了承ください
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~天使騒動から5年後~
『武勇の円技場』
アッシュ「うん、今日はここまでにしておこう。君、僕よりよっぽど上達が早いよ」
騎士見習い「いえ、そんな!竜戮騎士であるアッシュ団長からそう言っていただけるなんて恐れ多い…」
アッシュ「僕はただ本当のことを言っているだけさ。僕が落ちこぼれだったって話は有名だろう?」
騎士見習い「それはアッシュ団長が今のスタイルを確立していなかったからで…。非力な自分でもこうして戦える方法があると分かっただけでも嬉しいんです」
アッシュ「実際、よかったと思うよ。騎士剣だけじゃなく、短剣、レイピア、様々な戦い方が騎士団の中から生まれてさ」
騎士見習い「それも全てはアッシュ団長の努力とお力があってこそです!」
アッシュ「そう持ち上げるのはやめてくれ。団長になってからしばらく立つけど、未だに他人にそういった言葉遣いをされるのはむずかゆくて」
騎士見習い「もう、ドルドーザ元団長がアッシュ団長に立場を明け渡してから半年も経ったのですね」
アッシュ「まさか僕に譲られるとは思わなかった。てっきりトレインになるとばかり」
騎士見習い「何を仰いますか!後にも先にも、本物の竜、『ラストウィング』をしとめたのはアッシュ団長なのでしょう?」
アッシュ「だからあれは何度も言うけど偶然なんだって…。実際、姫様やティリエル、それにドルドーザ元団長の力がなければ僕は今ここにいない」
あれから、5年が経った。ディアマンドラ様が呪いを解いてからも、僕の生活はそんなに変わらないもののはずだった。
事あるごとに冒険に狩りだされ、振り回される日々。
変わったことがあったとすれば、ドルドーザ団長が僕に団長の席を譲り、僕のことを見習い竜戮騎士から、正規の竜戮騎士へと認めたことだろうか。
訂正
アッシュ団長なのでしょう?→アッシュ団長だけでしょう?
キキモラ「アッシュさん、お疲れ様です。トルシュ産の香草茶が入りましたよ」
もうひとつ、変わったことがある。キキモラのことだ。
彼女は、正式にティリエルの部下として上級メイドとなった。彼女が『魔族』であることは一部の人間しか知らないが。
『魔族』らしい心を持たないキキモラにとって、むしろここは居心地がいいらしい。それは僕にとっても嬉しいことである。
アッシュ「ありがとうキキモラ。君も飲んでいくといい。キキモラのお茶はおいしいんだ」
騎士見習い「はい!ぜひ!」
キキモラ「では、アッシュさんの部屋にその方をお連れすれば?」
アッシュ「そうなるね、ありがとう。僕は少しティリエルとイリステラ様のところに行くよ」
*
新人の教育は自分から申し出たものだった。
出来ればもう僕みたいな武器が合わずに落ちこぼれといわれてしまうような騎士見習いが出るのは避けたいと思った結果だ。
双剣は僕が、レイピアはティリエル、または僕の部下が、騎士剣はトレインがという形で訓練をしている。
ティリエルには、レイピアの新人たちがどうなっているのか、様子を聞きにきたのだったが。
アッシュ「イリステラ様?ティリエル?入っていいかい?」
「…やめ…」
扉の向こうからは、返事の代わりに二人のどちらかは分からないか細い声が聞こえた。
やっぱり僕の生活は変わっちゃいない。
僕はためらうことなく、イリステラ様の部屋の扉を開けた。
イリステラ「さぁティリエル、もっとわたくしにその卑しい姿を見せて…」
ティリエル「はい…イリステラさまっ…」
アッシュ「…あの」
イリステラ「せいぜい良い声で…。あら、これはアッシュ、新人の訓練は終わったのですか?」
アッシュ「ええ。ただいま終わったところです。イリステラ様は何を?」
イリステラ「もう、アッシュったらわかっているくせに」
アッシュ「ええ。十分すぎるほどで」
イリステラ「そうでしょう?アッシュも混ざりますか?あ、アッシュにはキキモラがいますものね」
ティリエル「アッシュ、せっかくいいところなんだから邪魔しないでよ」
アッシュ「…各々好きに言ってくれますね。というよりここでキキモラは関係ないでしょう?」
イリステラ「それこそ、あの時のように『甘言』でもかけてもらうのはどうでしょう?」
アッシュ「…勘弁してください」
ティリエル「あっ!イリステラ様、『甘言』と聞いて私良いことを思いつきました!」
アッシュ(きっとろくなことじゃない…)
イリステラ「なんですかティリエル?」
ティリエル「…今度、『麻痺』を使ってみませんか?」
イリステラ「ああ、素敵です!まったく持って思いつきませんでした…」
アッシュ「神聖魔法をそんなことに使わないでもらえますか!!」
イリステラ「アッシュ、どうしてそんなことを言うのです?全く、分かっていませんね」
イリステラ様は残念そうに首を振った。
アッシュ「分かりたくないです」
ティリエル「…で?用事は何?そろそろ続きしたいんだけど」
アッシュ「ああ。新人の方はどうかなって聞きにきたんだよ」
ティリエル「少なくともアッシュよりは素直な子達よ?」
アッシュ「…まぁそれはいいよ。でも、ディアマンドラ殿下が皇帝になられたからって、あまり度が過ぎるのは僕止めるから」
ティリエル「はいはい…」
アッシュ「『麻痺』はダメですよ!イリステラ様も、分かりましたね?」
イリステラ「アッシュはケチです…」
天使事件の原因の一端ともいえるディアマンドラ殿下は、3人の兄弟を退け、見事皇帝となられた。
おかげ様でイリステラ様の”趣味”が正当性をなしてしまった。
ディアマンドラ殿下が人をいじめ、いじめられる趣味を公言し容認するところまではなかったとはいえ、
イリステラ様は皇帝のご主人様だ。…何者だよ、僕の仕える王女。
アッシュの部屋
アッシュ「今戻ったよ」
キキモラ「あ、アッシュさんお疲れ様です。…二重の意味で」
見習い騎士「…?」
アッシュ「本当だよ…。あ、紅茶のほうはどうだい?」
見習い騎士「はい!とてもおいしいです、ありがとうございます!」
アッシュ「ならよかった。キキモラ、僕にも一杯もらえるかい?」
キキモラ「もちろん」
アッシュ「あ、そういえばイリステラ様に伝える用事を忘れてた」
見習い騎士「え、それすごい大事なことなんじゃ」
アッシュ「あ、いや、すごいことなんだけどある意味そうでもないかもしれないね。今度ディアマンドラ殿下がこの国に視察にくるんだよ」
見習い騎士「こ、皇帝殿下がですか!」
アッシュ「ああ。まあそのうち分かることだけどまだ皆に言う段階じゃないから内密に頼むね」
見習い騎士「は、はい…」
アッシュ「さて、これが落ち着いたら向かえの準備を始めなくちゃなぁ」
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