男「薄い本ってなんだ?」 (21)
「…それで、本当なのか?今日この学校に例のアレが…」
「ああ。2組のコバヤシに運ばせてある。今日の昼休みに中庭で取引を行う予定だ」
「それとこのことは軽々しく口外するな。万が一誰かに聞かれたら取引が台無しだからな」
「もちろん分かっているぜ。昼休みに中庭で封筒に入れて持ってくるんだよな?」
「お前には人払いを頼みたい…フフ…とうとう手に入るのだ…あの"薄い本"を!」
男「…という話をトイレで聞いてしまったんだが」
男「薄い本ってなんだ?」
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友「うーん…なんだろうね。ただの薄っぺらい本のことではなさそうだし」
男「何らかの書類であることは間違いないと思うんだよなー。封筒に入れてるみたいだし」
友「名前を言ってはいけない例のあの本…もしかして呪いの本、とかじゃないよね…?」アハハ…
男「なんだ友ビビってんのか?面白そうな話じゃねえか」ワクワク
友「ダメだよ男君!もし本当に呪いだったら…」
不良「さっきから聞いてりゃ…男、てめえ随分とナメたこと話してんじゃねえか…」
友「不良くん…」オドオド
男「あ?俺が何話そうと俺の勝手だろうが…え?ちょっと待って、お前"薄い本"について何か知って…」
不良「その名を出すのはやめろ!!」ドドドドド
男「ヒィッ?!な、なんで?」ビクゥ
不良「友はな…お前と違って純粋なんだ。二度とこの話はするじゃねぇ。いいな?」
クラスメイト「そーだそーだ!友を汚すなー!」「アホ男ー!」「出てけー!」
男「なんでみんな不良の味方なんだよ!?薄い本って一体なんなんだ?!」
不良「その話はするなといったはずだ!!」ドドドドド
男「ごめんなさい!もうしません!許してください!」
友「男くん…」アワレミ
~昼休み~
男(あの不良があんなに怒るなんて…薄い本とは、どうやら相当ヤバい代物のようだな。)ワクワク
男(2組のコバヤシだっけ?ちょっとだけ見せてもらおう)
男教師「こんなもの学校に持ってきやがって…没収だ!」
コバヤシ「そんな…!そ、それがないと困るんです!どうか、どうか慈悲を!」
男教師「没収は没収だ…だがまあ、お前も年頃の男子だしなぁ…放課後には返してやろう」
コバヤシ「ほ、放課後…ですか…」(なんとか取引時間を延ばしてもらおう…)
男教師「職員室に置く…にしても封筒に入っているとはいえ誰かに見られると勘違いされかねんな…」
男教師「引き出しにいれておくか…さて、女教師さん!良ければ一緒に食事でも…」
女教師「は、はい///ご一緒します///」
男(没収されているのを見てからつけてきたが…職員室から出ていくとはチャンスだな)
男「失礼しまーす。男教師に封筒を持ってくるよう頼まれてきましたー」
教頭「はいはい、男教師くんの封筒ね…はい、これね」
男「ありがとうございます。失礼しましたー」
男「フフフ…とうとう不良をもビビらせる呪いの"薄い本"を手に入れたぞッ!」
男「後でコバヤシに返せば問題ないよね!さっそく御開帳!…なんだただのテスト用紙じゃん」
男「確かに不良が嫌いそうなものだけどこんな…!?こ、これは?!これはまさかッ!」
男「平成27年度…学期末!!まだ実施されていない『来週の』テスト用紙じゃねえか!」
男「"薄い本"とはテスト用紙のことだったのか…つまりコバヤシやトイレの奴らの目的は…」
男「カンニング…ッ!」ドドドドド
男「この"薄い本計画"に加担しているのは…コバヤシ、トイレの奴ら、それに不良とクラスメイトども…か?」
男「クソッ一体何人がこの計画に加担しているんだ?!
とにかく、俺がテスト用紙を持っているという事実はまずい!下手すりゃ退学だからな」
男「なんとか、誰にもバレないように職員室にもどさなくては…!」
幼馴染「あれ、男。こんなところでなにしてんの?」
男「!?…あ、ああなんだ幼か」
男(…こいつは"知っている側"か?いや、いつも真面目な幼に限ってそんな…)
幼「なんだとはなによ。…?ねえ、もしかしてなにか困ってる?」
男(見破られてる…いっそのこと相談するのも手か)
男「なにから話せばいいか…"薄い本"って知ってるか?」
幼「な…!?あんたこんなところで何言ってんのよ!?///」
男「知っているのか?!そんな…幼は真面目だと思っていたのに!」
幼「し、知らないわよバカッ!!///……それに私だってそういうのに興味がないわけじゃ…///」
男「あるのか?」
幼「ないわよっ!!//私そんなの見たこともないし!」
幼「ないわよっ!!//私そんなの見たこともないし!」
男(なるほど、存在は知っているけどテストは自分で頑張るってところか。やはり幼は真面目だった)
男「じゃあどういう奴らが薄い本を見たがるのか知っているか?」(計画加担者を避けなければ)
幼「…男子はみんなその…そういうの見たがるんじゃないの//」
男「男子みんな?!男子みんなって…クラスのか?!」
幼「いや、全国の」
男「全国の!?」
~5限目と6限目の間~
男「結局昼休みには職員室に入る前に男教師が戻ってきてしまった。薄い本がなくなっていることに気が付かなければいいが…」
不良「おい男。てめえ昼休みからなんか様子がおかしいよなあ?」
男「え…いや、おかしくないよ!全然おかしくない!」(こいつも"薄い本計画"の加担者の一人…気を付けなければ)
不良「まさか友に変なこと吹き込んでんじゃねえだろうな?」ジロジロ
男(うぐう…胃が痛くなってきた…)
男(今日の放課後に返せるだろうか…)
~一方職員室では~
男教師(ない。机の上に置いてあったはずのテスト用紙がないぞ…どこにいった?)
教頭「おや男教師くん。なにか探し物かね?」
男教師「いえ!大したものではないのですが…机の上に置いてあった封筒が見当たらなくて…」
教頭「それなら君が生徒に頼んで持ってこさせていたじゃないか」
男教師「……」
男教師「…そういえばそうでした」
男教師「…そういえばそうでした」
教頭「それと期末テストの内容一度こっちでチェックするから、あとで持ってきてね」
男教師「は、はい」
男教師(なんということだ…テスト用紙を無くしたなんて知れたら懲戒処分は免れない…)
男教師(生徒がもっていったと言っていたな…まさかコバヤシが没収品と間違えて…?)
男教師(あり得る…なんにせよ、問題はコバヤシが中身を確認したかどうかだな)
男教師(見ていなければ問題ない…もし見ていたら…その事実を隠蔽しなければ!)
~そして放課後~
キーンコーンカーンコーン
コバヤシ「終わった!男教師に薄い本返してもらおう!」ガラッ
男教師「」ジロ
コバヤシ「うわっびっくりした…先生わざわざ返しに来てくれたんですか?」
男教師「何っ?今何と言った…お前が封筒を持っているじゃないのか?」
コバヤシ「え?僕はもってないですよ先生が…先生?」
男教師「じゃあ誰が封筒を持っているんだッ!!」ガッ
コバヤシ「せ、先生?!落ち着いてください!僕は何も知りませんよ!」
男教師(くっ、落ち着け…いちど職員室に戻るか…そしてこいつにも働いてもらう)
男教師「コバヤシ、お前の封筒だが何者かに盗まれたようだ…お前も犯人を捜せ!
だが見つけたらまず俺に知らせるんだ…分かったな?」
コバヤシ「は、はい」
男「さて、放課後になったが…とりあえず職員室にいくか、運よく会議とかで誰もいないかも知れないし」
「きみ、ちょっといいかな」
男「はい?……っ!」
男教師「君のその封筒…私のものによく似ているんだが…ちょっと確認させてもらえないかな…?」
男(ヤバい…このままじゃ退学だ…軽い気持ちでちょっと拝借しただけなのに…)
男「いやあ俺も今ここで拾って中身を確認しようとしてたところなんですよ」
男教師「……いいから中身を見せてくれ、それではっきりする」
男(だめだこいつ信じてない!ああ、俺もとうとう退学か…)
コバヤシ「先生、封筒を見つけたんですね!」
男(!?なんでコバヤシが男教師と一緒になってテスト用紙を探しているんだ?)
男(まさか男教師も"薄い本計画"の加担者なのか?先生が?!)
コバヤシ「早くぼくに返してくださいよ!」
男「先生はこの封筒(テスト)をコバヤシに渡すつもりなんですか?」
男教師「い、いやそのつもりはない」
コバヤシ「先生放課後に渡すっていってたじゃないですか!男、早く返せよ!」
男教師「ええい、コバヤシ!お前は黙ってろ!私の将来が懸かっているんだ!!」
男(先生のくせにカンニングに手を貸すなんて)問題ですねこれは!」
男教師「ち、違う!誤解だ…!男、お前中身を確認していたな?!」
男「校長にいいつけてやる!」(このまま脅せば助かるかも!)
男教師「な、お前おれを脅す気か?そんなことをすればお前もただではすまんぞ!」
男「あんただって俺を脅しているじゃないか!」
コバヤシ「ちょ、ちょっとまってくださいよ!平和的に解決する方法があるはずです」
コバヤシ「先生は封筒が欲しいんですよね?男は?」
男「俺はまあ…怒られなければそれで…」
コバヤシ「だったら男が先生に封筒を渡して、全部なかったことにしましょうよ」(早く薄い本返せ)
男「それで全部なかったことになるなら乗ってやるよ」
男教師「まあ…無かったことになるなら…」
~その後~
職員室では
教頭「いや~男教師君!きみの引き出しのアレ、悪いけど見ちゃったよ!いい趣味してるね!」
男教師「はあ…こっちがテスト用紙です。勝手に引き出し開けないで下さいよ…」
教頭「でも女教師君に見られちゃってね!彼女、ドン引きしてたよ!」
男教師「え?ちょっとなにやってるんですか?!」(誤解を解かなければ…!)
男教師「コバヤシ!本返してやるから来い!」
女教師「ちょっと待って男教師さんこの本について言いたいことがあるの」
男教師「ま、ちょっと待ってくれそれはコバヤシが…」
女教師「私この本の原作今のところ全部持っているんだけどヒロインの描写が甘いと思うの」
男教師「え?」
女教師「ヒロインは主人公のせいで父親を亡くしているのよ主人公と恋仲になるなら外してはならない…」
コバヤシ「あ~それ分かります!」
男教師「oh…」
幼馴染「男、今日の昼休みのことだけど…」
男(無かったことにしなきゃ…)
幼馴染「私もそういうのに興味あるっていったのはあくまで文化的な二次創作のことであって…」
男「いやそんな話してないな。俺もう今日のことなんて忘れチャッタナー」
幼馴染「そんな訳ないでしょ…う、薄い本の話よ…//」
男「薄い本ってナンダ?」
幼馴染「…このバカッ」ガッ
おしまい
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