<学校>
きれいなジャイアン「みんな、一緒にお勉強しませんか?」
きれいなのび太「いいですね、やりましょう!」
出木杉「そうだね!」
きれいなしずか「みんなでお勉強……なんてステキな響きなのでしょうか!」
きれいなスネ夫「それだったら、ぼくの家でお勉強しましょう!」
きれいなスネ夫「みんなで勉強するのに、ちょうどいいスペースがありますから!」
きれいなジャイアン「さすがスネ夫君!」
出木杉「じゃあ、帰ってから、骨川君の家に集合することにしよう」
きれいなのび太「そうしましょう!」
<のび太の家>
きれいなのび太「ただいま帰りました」
きれいなドラえもん「お帰りなさいませ、のび太君」
きれいなのび太「君と一緒におやつと洒落込みたいところなのですが――」
きれいなのび太「これからすぐ、スネ夫君の家でお勉強をするので」
きれいなのび太「出かけてきますね!」
きれいなドラえもん「相変わらず勉強熱心ですね、あなたは」
きれいなのび太「ところで、ドラえもん君」
きれいなドラえもん「なんでしょう?」
きれいなのび太「スネ夫君の家に菓子折りを持っていきたいのです」
きれいなのび太「お手数ですが、用意していただけないでしょうか?」
きれいなドラえもん「分かりました」ゴソゴソ…
きれいなドラえもん「菓子折り~!」
きれいなドラえもん「どうぞ、お持ちになって下さい」
きれいなのび太「いつもいつも、ありがとうございます」
きれいなのび太「行って参ります、ママ」
きれいなママ「行ってらっしゃい」
きれいなママ「しっかりお勉強してくるのですよ」
きれいなママ「だけれど、無理をしてはいけませんよ」
きれいなママ「私はあなたが元気であれば、それでよいのですから」
きれいなのび太「お心遣い、恐縮です……ママ」
<外>
きれいなのび太「おや、かわいらしい野良犬ですね」
きれいな野良犬「クゥ~ン」ペロペロ…
きれいなのび太「あなたはいい子ですね」
きれいなのび太「いずれ、ドラえもん君の道具で新天地に連れていってあげますからね」
きれいな野良犬「ワン!」
<スネ夫の家>
きれいなのび太「こんにちは、スネ夫君」
きれいなスネ夫「お待ちしておりました、のび太君」
きれいなジャイアン「これで全員、揃いましたね」
出木杉「それじゃ、勉強を始めようか」
きれいなしずか「はいっ!」
きれいなのび太「ううむ……この問題はなかなか難しいですね」
出木杉「ここはね、こうやって解くといいよ」
きれいなのび太「なるほど! ありがとうございます、出木杉君!」
きれいなしずか「のび太さんはこのところ、めきめき成績を伸ばしていますね」
きれいなのび太「いえいえ、ぼくなどまだまだですよ」
きれいなのび太「やった! 先ほど手こずった問題と同じような問題を」
きれいなのび太「ついに自力で解くことができました!」
きれいなのび太「これも皆さんのおかげです! どうもありがとうございます!」
出木杉「いやぁ、野比君こそがんばってたじゃないか」
きれいなしずか「そうですよ。最後まで諦めなかったのですから」
きれいなジャイアン「のび太君の素晴らしさを改めて実感することができましたよ」
きれいなスネ夫「――そうだ!」
きれいなスネ夫「今度、このメンバーで四丈半島へ遊びに行きませんか?」
きれいなスネ夫「ぼくたちの友情を、さらに深め合いたいのです!」
きれいなジャイアン「賛成です!」
出木杉「今の季節、四丈半島はとても過ごしやすい気候になってるだろうね」
きれいなしずか「スネ夫さん、ありがとうございます!」
きれいなのび太「スネ夫君」
きれいなスネ夫「なんですか? のび太君」
きれいなのび太「ドラえもん君も、連れていってかまいませんか?」
きれいなスネ夫「もちろんですとも! ぜひ連れてきて下さい!」
きれいなスネ夫「ぼくのポリシーは『来る者は拒まず』なのですから!」
きれいなのび太「ありがとうございます!」
出木杉「それじゃ、今日のところはこれで解散しようか」
きれいなしずか「さようなら、出木杉さん」
きれいなジャイアン「今日は楽しかったです」
きれいなスネ夫「さようなら!」
きれいなのび太「また明日、皆さんと学校でお会いできるのが楽しみです!」
きれいなのび太「帰りは健康のため、ジョギングして帰りましょうかね」
きれいなのび太「えっほ、えっほ」タタタッ…
「ふふふ……どうやらうまくいっているようだな」
「ああ」
宇宙人A「“きれい化ウイルス”の感染はどんどん進んでるぜ」
宇宙人A「人や動物はもちろん、ロボットにすらこのウイルスは作用するからな」
宇宙人B「うむ、“地球人浄化計画”は順調だな」
「やはり、こういうことだったのか」
宇宙人A&B「!?」
宇宙人A「だ、だれだ!?」
宇宙人B「何者だ?」
出木杉「君たちのいう、地球人の一人さ」
出木杉「近頃、みんなの様子がおかしいから、これはなにかあるなと思ってたんだけど」
出木杉「全て君たちの仕業だったというわけか」
宇宙人A「ぐ……!」
宇宙人A「お、おい! なんでこいつには“きれい化ウイルス”が効いてないんだ!?」
宇宙人B「分からん……。考えられる理由としては――」
宇宙人B「この少年は元々“きれい”なのだろう」
宇宙人A「な、なんだと……!」
出木杉「…………」
出木杉「ところで、なぜ君たちは“地球人浄化計画”なるものを始めたんだ?」
宇宙人A「ふん、その理由は自分が一番よく分かっているんじゃないか!?」
宇宙人B「うむ、この地球という星は宇宙の星の中でも特に“悪の心”に満ちている」
宇宙人B「戦争、環境汚染、テロ、犯罪、いじめ、引きこもり……問題は山積みだ」
宇宙人B「だから、我々が君たち地球人を“きれい”にしてやろうと思ったのだ」
宇宙人A「そういうことだ!」
出木杉「…………」
宇宙人A「周囲の人間が急に“きれい”になったから違和感を覚えてるんだろうが」
宇宙人A「“きれい化ウイルス”が通じないお前のことだ」
宇宙人A「本当はもう、気づいてるんだろ?」
宇宙人A「この星のためには、“地球人浄化計画”が必要だってな!」
宇宙人B「うむ、我々の試算では、この星はあと百年もしないうちに滅ぶぞ」
出木杉「…………」
出木杉「たしかに……そうかもしれない」
出木杉「ぼくだって、心の奥底では君たちの計画に賛成してしまっている」
宇宙人A「だろう!? だったら俺たちに協力――」
出木杉「でも……だとしても!」
出木杉「ぼくはたとえ心がきれいでも、ウイルスに操られた友だちなんかより」
出木杉「自分自身の意志で行動する友だちが欲しい!」
出木杉「そしてなにより――ぼくは人類……みんなを信じている!」
出木杉「だから、みんなを元に戻してくれ!」
宇宙人A&B「!!!」
宇宙人A「ぐ……! なんというきれいさ!」
宇宙人A「さすが、“きれい化ウイルス”が効かなかっただけのことはある!」
宇宙人B「これほど澄んだ輝きを放つ目を持った者は」
宇宙人B「我々“ソージ星人”の中にもいるかどうか……!」
宇宙人A「分かった……いいだろう」
宇宙人A「ひとまず“地球人浄化計画”は中止にしてやる」
宇宙人B「うむ」
宇宙人B「君が人類を信じるように、我々も君を信じてみよう」
出木杉「どうもありがとう!」
──────
────
──
<宇宙船>
宇宙人A「“きれい化ウイルス”は全て取り除いた」
宇宙人A「これで地球人は元通りだ」
宇宙人A「さて、これからこの星はいったいどうなっていくのやら……」
宇宙人A「次来る時にゃ、滅んでたりしてな……」
宇宙人B「……いや、きっと大丈夫だろう」
宇宙人B「なにせ、この星にはあの少年がいるのだからな」
宇宙人A「そうだな!」
次の日――
<学校>
ジャイアン「のび太、ブン殴ってやる!」
のび太「ひぃぃ~! やめてよぉ! だれか助けてぇ~!」
スネ夫「ハハハ、のび太は相変わらずマヌケだなぁ」
しずか「もう、しょうがない人たちね!」
出木杉(これで……よかったんだ、きっと)
~おわり~
<お詫び>
本来の予定ではこのSSはのび太たちが「地球人浄化計画」を目論むソージ星人に立ち向かう
映画ドラのようなSSにする予定だったのですが、出木杉を絡ませたところ、
出木杉があまりにも優秀すぎたため、こんなにも短く終わってしまいました
大長編を期待していた方は本当に申し訳ありませんでした
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