ドラえもん 出木杉「僕は天才だ」 (49)

出木杉「僕は天才だ。愚民とは違う・・・」

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出木杉「愚民共め、小学校レベルの勉強でよく100点が取れないものだ」
僕は小学校のテストで100点しかとったことがない。小学校の勉強はそもそも勉強ですらないだろう。
100点をとれない愚民共は猿も同然だ。
のび太「すごいなぁ、いつも100点をとってる」
ふっ、バカにするな。貴様のような猿以下と同列に扱われたくないものだ。
小学校では時間がありすぎる。文武両道なんて簡単すぎる話だ。

図書館へ向かっていると、空き地で剛田武と骨川スネ夫がのび太をいじめているところが見えた。野球仲間数人がいてそれを遠巻きに見ている。
周りからの評価を上げておくにはのび太を助けておくのがいいだろう。
出木杉「何をしてるんだ。やめたまえ。のび太君大丈夫かい?」
のび太「うん、大丈夫だよ」
ジャイアン「明日試合だってのにこいつボールをまともに取ることもできねえんだぜ?」
出木杉「武君、人ってのは練習してすぐにうまくなれるわけじゃないんだ。結果をもとめて経過をおろそかにするのはよくないと思うな。
    いきなり本気で球をなげたり、ノックをするというのは得策じゃない。まずはキャッチボールをして徐々に慣らしていくべきだよ」
よし、評価をあげつつ武をうまく納得させた。この低脳ならもうぐうの音もでないだろう。
ジャイアン「たしかに、その通りかもしんねえ」
ほら、すぐに降参した。
のび太「出木杉君、ありがとーー!!」
のび太のバックには未来の子守用ロボットがある。のび太に取り入っておいても困ることはないだろう。

~中学~
中学校でも僕はクラスの中心であり続けた。
他校から来た生徒たちも僕を羨望の眼差しで見ている。
部活にも入っている。テニス部だ。あそこなら女子からの受けもいいだろう。
中学の勉強は小学校より難しくはなっていた。いつも100点をキープしていたが今は99点だ。
まだ大丈夫だ。勉強ではまだ誰にも追いつかれない。
学年2位のガリ勉は常に95点だ。だがあの僕の天才ぶりに嫉妬してイタズラ電話をかけてくるほどの馬鹿には
僕が負けるはずがない。

聞くところによるとガリ勉は部活をやってないのに僕を点数で越せないようだ。
そうさ、愚民は愚民。天才の僕にはかないっこない。
校庭をみるとクラスメイト達が野球をやろうとしている。
ジャイアン「おーい出木杉、お前もやらないか?」
誘われても断る理由はない。
出木杉「野球!?もちろん!僕もやるよ」
ジャイアン「ってことでのび太はいらない。どっか行っていいぜ」
のび太「そんな僕もさせてよ」
ジャイアン「メンバーが足りなかったらのために誘っただけだ」
のび太「ええー」
当然だろう。こんなクズより僕のほうが良いに決まってる。

それから
圧倒的な支持を受け学級委員長になった。
僕は学校でもかなりの人気者だな。

~高校~
・・・おかしい。勉強が急に難しくなっている。
勉強に費やされる時間も増えた。
必然的に部活の時間も伸びる。大会が近づくと帰宅する時間が8時を超えることすらあった。
勉強と部活の両立が難しい。

テストの点も徐々に落ちていきとうとう70点台しか取れなくなった。
部活でも動きが鈍くなり、エースから外された。
学年1位はガリ勉になった。
ガリ勉「出木杉君どうしたんだい?成績が落ちてるよ?」
ニヤケ面で聞いてくる。ちくしょう。
ガリ勉は部活に入ってないからだ。だから良い点がとれているんだ。なのにいい気になりやがって。
思い上がった愚民め。

学級委員長も運動と勉強がそこそこできるだけの奴が選ばれた。
・・・何故なんだ。

成績もとうとう学年の真ん中にまで落ち込んだ。
大学にいくのも危ないだろう。だが頑張らなければならない。
のび太を見るんだ。あんなバカより頑張ってる僕のほうが偉い。
僕がのび太をみていると
静香「出木杉さん知ってる?のび太さん最近勉強頑張ってるんだって。
   100点はならないらしいけど・・・でも、40点はとるようになったの。
   良い事と思わないかしら?」
出木杉「そうなんだ。のび太君はがんばってるんだね。僕もがんばらなくちゃ」
内心で驚いていた。寝たいときに寝て、暇なときに漫画を読んで、
というあの欲求のおもむくままにしか生きれない猿同然ののび太が?と。

静香「出木杉さんも成績このごろ落ちてるようだけど、がんばって。
   部活は辛いでしょうけど。応援してるわ」
出木杉「うんそうだね。ありがとう」
分かったように言うな。部活の辛さが帰宅部のお前なんかにわかるか。優等生ぶった笑顔で答えながら
その場を去った。

~大学~
僕は勉強を頑張ったものの東大へ入ることは出来なかったが国立の理系大へ入ることは出来た。
宇宙飛行士になるという勉強はもはや叶いそうにない。
目指すのは大学院へ行って教授になることだ。僕ならその程度はできるだろう。

地元から少し離れているため一人暮らしだ。
親からの仕送りとバイトで生活している。
のび太達とはもう会わなくなった。
・・別にいいさ。あんな愚民どもなんて会っても会わなくともどうでもいいんだ。
僕の人生に必要ない。

~大学院~
僕の通ってる大学の大学院へ進学することにした。
真面目に研究を進める。教授の役に立ち人脈を形成し教授になるための骨組みをつくる。
そして自分の研究も進める。
院生の中ではかなりの働き者だろう。

そして時は流れそろそろ卒業の日だ。
論文も書いた。就職活動もうまくいったはず。
僕の未来は明るい。

ある日教授になれるかの合格通知が届いた。
心臓がかつてないほどに鳴っている。
落ち着くんだ僕。これまで頑張ったじゃないか。
高鳴る心臓をなだめながら震える手で通知を開けた。

頭が真っ白になった。
そこにあったのは不合格という文字。
そんな・・・まさか・・。
・・・。

大学院卒業の日。
僕はふわふわとしたなんともいえない気分で卒業に出席していた。
頭が何もかんがえられない。
とにかくこの面倒なことを終わらせよう。それだけだった。

特に悲しい気分にはならなかった。
それから家に帰ったあと、ただネットで暇を潰し時間が来たら寝た。

翌日大学院へ行く準備をしながら卒業したことを思い出した。
何か仕事を探さなきゃな。ぼーっとしながらかんがえる。
ただまあお金はまだある。
もう少し暇をつぶしていよう。
それから本を読んだり、ネットをしながら数週間過ごした。
だんだんじぶんがこんな事をしていていいのか?という気分になる。
これじゃあ、あの猿のようなのび太と同じではないのか?
そんな風にはなりたくない。
今からでも遅くない!ネットや求人情報誌で仕事を探そ・・・。

ふとのび太やそのほかの小学校のクラスメイトたちのことが思い浮かんだ。
あいつらは何をやってるんだろう。
もしかしたら仕事につけているのかも。
剛田武は剛田商店を継いでるんだろうな。
骨川スネ夫は親の次期社長として順風満帆。
源静香はどこかの会社にでも入っただろう。
野比のび太は・・・まあ運がよければ会社につけてるはず。
ふと、自分が涙を流していたことに気がつく。

かつての自分を思い返してみる。
愚民、低脳と人を見下していた独りよがりの可哀想な自分。
周りからの協力があるからここまでの自分があるのにそれに気付かない愚かな自分。
もしかすると自分が一番の馬鹿なのかもしれない。
もう少し周りが見えていれば・・・。
でも、もう遅い。
時間は無情に過ぎ去った。
時間は取り返せるものではない。

???「出木杉君かい?」
声が聞こえた。驚いて振り返ってみる。
出木杉「き・・・君はドラえもん君!?」
ドラえもん「うん、そうだよ。僕ドラえもんです」
のび太君「驚かせちゃって悪いね、出木杉君」
出木杉「の・・・のび太君も!?」

いつからいたんだ?いや・・・
それよりも、何故ここに?
ドラえもん「君の言いたいことは分かるよ。なんで僕たちがここにいるのか不思議なんだろう?」
うなずいた。
ドラえもん「どうやら未来が極わずかに変わったようでね」
出木杉「未来が?・・・一体どう変わったの?」
ドラえもん「君は知らないかもしれないけど、未来から犯罪者が逃げ込んだことがあってね。その犯罪者が四次元鞄を落としてジャイアンが
      未来の道具をネコババしてたんだ」
分からなかった。話が読めない・・・。
ドラえもん「ジャイアンはあちこちで誰彼構わずいたずらしてた。もちろん君に対しても例外じゃない」
僕にも・・・。そんな事があったとは気付かなかった。

ドラえもん「ジャイアンは当然だけど未来の道具の効果を全て知っているわけではない。
      出木杉君に使ったのは『変心うちわ』だよ」
出木杉「変心うちわ?それは一体・・・」
ドラえもんうちわをあおいだ対象のこころを変える道具だよ」
のび太「君は僕たちを見下していただろう?」
心臓が跳ねる。・・・見透かされていたのか。
ドラえもん「いやちがうちがう。勘違いしないで」
苦笑いでドラえもんが言う。

ドラえもん「その変心うちわで君の心が変えられたんだ。僕たちを見下していたのは君の本心じゃなかったんだ。
      本来君は他人に悪い感情を抱く人間じゃないからね」
そうだったのか・・・。てっきり自分の心だとばかり思っていたものが機械で操られていたものとは思わなかった。
のび太「出木杉君は、そのために成績が思うように伸びないから環境や周りのせいにして逃げていたんだ
    それで人生うまくいくわけないよね。周りや環境のせいにしてたから現に仕事にもつけずこうなってる」
たしかに。周りのせいにしていたかもしれない。僕はなんてことを。
するとのび太君とドラえもんが笑顔になる。
ドラえもん「だから・・・

ドラえもん「君の元の未来へと戻そう。といっても人生をやり直してもらうってことだけど」
ドラえもんがなにかサイコロのようなものを取り出した。
ドラえもん「これは『ふりだしにもどる』の改良版。これで君を人生が分岐する少し前へと変える」
僕には何がなんだか分からなかったけどとにかくドラえもんが僕を助けてくれるってことが分かった。
ドラえもん「わるいけど、この道具での記憶の継承の効果はなくしたから。
      今までのことは忘れて本来の自分に戻るんだ」
ドラえもんがふりだしにもどるというサイコロの道具を投げた。
すると視界が変わり・・・

ちょっと休憩します。すいません。

・・・あれ?僕は一体何をやってたんだ。自分の右手に勉強用の鞄が握られているのを見て
自分が図書館へ行く予定だったことを思い出した。
向こうから武君がやってくるのが見える。
何故かニヤニヤしている。
なんだかこのまま武君に会うと危険なことが起こりそうな気がする。僕は少し遠回りをして図書館へ行くことにした。

空き地を通りかかろうとしてのび太君と静香君がテニスをしているのが見える。
出木杉「のび太君に静香君テニスやってるんだね?」
のび太「そうだよー。出木杉君もやる?」
出木杉「いや、悪いんだけど図書館へ行くつもりなんだ」
静香「そう、残念ね」
僕は図書館へ向かう。

途中でドラえもんが見えた。どうやら和菓子屋へ寄っていたようだ。
ドラえもん「出木杉君じゃないか。いつもどおり図書館へ行くの?」
出木杉「そうだよ、調べものをするつもりなんだ」
ドラえもん「そうかい。のび太君と静香君が空き地でテニスをしてたと思うけど遊ばないの?」
出木杉「うーん、遊ぶのは今度でいいよ」
ドラえもん「遊ぶかは自分が決めることだしね。じゃあね」
出木杉「それじゃあ」
自分で決めること・・・か。手に握っている鞄をみる。いつも使っている鞄だ。

僕はこれからも図書館へ行って勉強したり、家で天体観測したり、本を読んだりと似たようなことが繰り返されるんだろう。
いつもの日常、かわらない日常。でも、なんだか今を大切に生きようとも思える。
これまでは友達と遊んだりと言う事をしてこなかった。
でも、何故だか今は勉強よりも遊ぶ事もいいなと思えてしまう。
僕は走って家へ向かった。家へ帰るなりすぐに部屋に入り鞄を置いた。そしてテニスラケットを手に取り空き地へ行った。
のび太君と静香君はまだやってるはずだ。
空き地でのび太君と静香君とテニスをしよう。
出木杉「ねえ、やっぱり僕もテニスするよ」
静香「来てくれたのね。いいわ、遊びましょ」
のび太「さあ、やろう」

ドラえもん「あれ・・・未来が少し変わったね。でも、この変化はいいものかも」
ドラえもんは出木杉達が遊ぶのを笑顔で眺めていた。

終わりです。
話がぐだぐだだったりおかしな点があったかもしれません。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年03月01日 (木) 11:33:57   ID: 5SJMpbi6

いい話だった

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