八幡「今だけどな」

結衣「ゆきのん、就職決まったみたいだよ」

八幡「あいつ、この前はいくつか内定出てるって言ってたけどな」


結衣「どこに行くか、決めたんだってさ」

八幡「そっか、て…なんで俺に最初に言わないのかね…」

結衣「あたしと寝てて、よくそんな言葉出てくるよね…」

八幡「迫ってきたのって、由比ヶ浜だったよね…」

結衣「だって…ヒッキー、辛そうだったし、ゆきのんと付き合ってるのが…」

八幡「そういうわけじゃねぇよ…」

結衣「ゆきのん…家族の系列？会社に行くみたいだよ」

八幡「…そうか…なんか、どんどん遠くなっていくな…雪ノ下が」

結衣「ヒッキーだって公務員試験受かったんだしさ、そんなに遠くない気がするけど」



八幡「そんなことないっての…しがない市役所職員だし」

結衣「そうかな？」

八幡「あいつの家に挨拶しにいったこともあるけど…なんていうか」

結衣「怖かったの？やっぱり？」

八幡「上流階級ならではのプレッシャーはあったな…」

八幡「丁寧だけど…厳格な和室に正座だし…」

結衣「あ…」

八幡「しきたりとかも色々言われて…ただの大学生には辛かったな…」

結衣「だよね…それは」

八幡「陽乃さんも「雪乃ちゃんと付き合って家庭持ったら、色々覚悟が必要だよ」って言ってきてさ…」


結衣「そうなんだ……」

八幡「ああ…もう、俺たちも来年には社会人だしさ…どうしようかって悩んではいた…」

結衣「ヒッキー…」


八幡「き、昨日は…酒入って…こういうことになってしまったけど…」

結衣「あ、あたしは後悔してないよ…？」


八幡「由比ヶ浜…」

結衣「昨日は、ゆきのんとのことでここに呼ばれたのが原因だしさ…あはははは」

八幡「…」

結衣「あのさ、ヒッキー」

八幡「ん？」

結衣「ゆきのんと別れようとは考えなかったの？」


八幡「考えてたよ……でもな」

結衣「…」

八幡「その後のこと考えるとどうしてもな」

結衣「…」

八幡「俺の就職とかに影響ないかなって考えるし…」


八幡「陽乃さんにも悪いし、なにより雪ノ下に悪いだろ…」

結衣「ヒッキー…」

八幡「ま、まあ、この状態は一番、雪ノ下に悪いかな…」

結衣「…」

八幡「あ、悪い…別に由比ヶ浜のこと悪く言ってるわけじゃなくて…」

結衣「いいってば、初めてだったけど…」

八幡「根に持ってます…？」

結衣「お互い合意の下だから、仕方ないよ」

八幡「うう…由比ヶ浜…」


結衣「元気でた？」

八幡「そうだな、少し気分晴れた気がする」

結衣「そっか、じゃあ学校行こ、１限目から授業だし」

八幡「俺、もう単位は修得済みなんだけど」


結衣「あたしがまだですみませんねっ」

某大学　食堂


結衣「ここの学食通うのも、もうすぐ終わりなんだね」

八幡「そうだな、由比ヶ浜は来年もいたりしてな」

結衣「ひどいしっ！ヒッキーキモイしっ！」

八幡「怒るなって、冗談だよ」

結衣「あたしも、１限目の授業と卒論で終わりなんだからさ…卒業できるよ」


八幡「俺は１限目のあれに出たりして、余分に履修してるのか…」

結衣「せっかく内定も出たんだし、卒業しなきゃ」

八幡「冬になる前に決まってよかったな」

結衣「うん」

八幡「広告代理店だっけ？」

結衣「うん、ゆきのんやヒッキーに比べたら普通かもだけど」

八幡「んなわけあるかよ、代理店なめすぎじゃね？」


結衣「そうかな～」

八幡「働いてから、すぐ辞めるとかなるなよ…」

結衣「ヒッキーにそんなこと言われる日がくるなんて」

八幡「失礼な奴だな…」

結衣「なんだか、ヒッキー変わったよねっ」

八幡「ん？どういう意味だ？」


結衣「モテるだろうなって思えるもん」