アーチャー「三浦あずさ……?」ランサー「誰だ?」 (70)

あずさ「一応それなりに有名だと思っていたんですけど……もしかして外国の方かしら?」

ランサー「まぁ外国っちゃ外国だが」

あずさ「日本語お上手ですね〜」

ランサー「ありがとよ。お姉さんもなかなか綺麗だねェ」

アーチャー「いや、君が誰なのかはこの際放っておこう。……君、一体ここで何をしているのかね?」

あずさ「はい。お恥ずかしい話ですが道に迷ってしまいまして……」

アーチャー「迷った、か……。にわかには信じがたいが」

ランサー「お前んとこの遠坂の嬢ちゃんも苦労したらしいな」

あずさ「あの〜……それでここはどこなんでしょうか」

ランサー「ここは日本の冬木だ」

あずさ「あらあら、まだ日本なんですね。よかったわ〜」

アーチャー「もっとも場所が場所なのだがな……。ランサー」

ランサー「わーってる。忘却のルーンだろ」


———冬木市、柳洞寺地下大空洞、大聖杯前


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360500040

ランサー「で、どうするんだ。記憶は改竄したけどよ」

アーチャー「芸能人だというのなら私たちが知っていればどうにかなるのだが……誰かを頼るしかあるまい」

ランサー「遠坂の嬢ちゃん」

アーチャー「凛なら宝石剣の尻拭いでロンドンだ」

ランサー「ならセイバーのマスター」

アーチャー「奴の手など借りん」

ランサー「……お前もつくづく面倒だな」

アーチャー「すまんな。こういう性格で」



ランサー「とりあえずカレンとこに行くか」

アーチャー「大丈夫なのか……?」

あずさ「すみません、道案内なんてさせてしまって」

ランサー「いや、こっちも暇だしいいんだよ」

アーチャー「まぁただパトロールするのにも飽きてきたところだ」

———言峰教会

カレン「迷える子羊と駄犬たちよ、ようこそ言峰教会へ。今日はどのようなご用件でしょう」

あずさ「それが道に迷ってしまいまして……」

ランサー「さらっと聞き流したぞ……」ボソ

アーチャー「それもそうだが前も今も君のところのマスターはもう少しどうにかならんのか……」ボソ

ランサー「きちんと仕事してる分、言峰もカレンもタチ悪ぃんだよな……。暴言吐かない分言峰のがマシかもしれん」ボソ

カレン「……我に触れぬ(ノリ・メ・タンゲレ)」フィッシュ

ランサー「ぬがっ!?」ガッ

アーチャー「うおっ!?」

あずさ「あらあら、どうかしたんですか?」

カレン「すみませんご婦人。そこの犬が聞き捨てならない言葉を言っていたような気がしたもので」

あずさ「あら、そうなんですか。ランサーさん、めっですよ?」

ランサー「事実だろーが!」

カレン「あの腹黒新婦より私が劣っていると?」

ランサー「おう」

カレン「……」

ランサー「もごっ」キュッ

アーチャー「ランサーが死んだ!」

————————————

ルヴィア「ですからミス・トオサカ、貴女は……」

凛「はっ……この人でなし!」

ルヴィア「なっ……!」



ランサー「」

カレン「なるほど……では貴女はたまのオフということで待ち合わせ場所に行こうとして、気付いたらここにいたと」

あずさ「はい、携帯電話も家に忘れてきちゃいまして……」

アーチャー「転移の魔術でも使ったのか……」

あずさ「きっと律子さん怒ってるわぁ……」

カレン「……どうします?」

アーチャー「シスターが私に聞くな」

カレン「そうですね……。まずは誰かに連絡しましょうか。先程の律子さんという方の番号は?」

あずさ「……すみません。ちゃんと覚えてないです」

アーチャー「携帯電話世代の弊害か……」

カレン「未来の英霊が言う言葉じゃないですね。では事務所に連絡しましょうか」

あずさ「あ、事務所の番号なら覚えてます」

ジーコジーコ

アーチャー「そういえばここはまだダイヤル式か。凛もそうだが、いささか時代遅れな者が多すぎるな」

あずさ「ふふ、でも私は結構趣があって好きですよ〜」

プルルルルル、ガチャ

小鳥『はい、こちら765プロダクションです』

カレン「もしもし、私カレン・オルテンシアという者ですが」

小鳥『が、外国の方!?ソ、ソーリー、アイキャンスピークオンリージャパニーズ!』

カレン「……」ニヤッ

アーチャー「おい……」

カレン「Ciao, sorella stupida. Tu sai che cosa sto dicendo? Non ci sono persone più intelligenti?」

小鳥『ちゃ、チャオ☆ もう少々お待ちを!』

カレン「ウフフフ……」

あずさ「何て言ってたのかしら……」

P『えー……お電話変わりました。私765プロのプロデューサーをしております○○と申します』

カレン「あら大丈夫ですか?先程の方、何だか随分と慌ててたみたいですけど」

アーチャー「容赦ないな……」

P『(音無さん、日本語ですよ……)はい、恐らく大丈夫です。ご用件をどうぞ』

カレン「実はこちらに三浦あずささんという方がいまして」

P『えっ!そ、それはとんだご迷惑を……』

あずさ「すみませんプロデューサーさん、またご迷惑をおかけして」

P『あずささん……全く、今どこですか』

あずさ「冬木というところです」

P『今日の午後そっちの方面で営業あるんで、昼過ぎに迎えに行きます』

あずさ「あ、あと律子さんにも連絡しておいてくれませんか?」

P『了解です。そこ動かないでくださいよ?では』ガチャ

カレン「さて、先方に連絡はしましたが、この後どうします?」

アーチャー「どうするも何もここにいるのが一番確実だろう」

あずさ「でもせっかく来たんですし、観光でもしたいかなぁ、なんて……」

ランサー「あんな場所で迷子になっといてよく言うぜ……」ムクッ

あずさ「すみません……あまり覚えてないんですけど」

アーチャー「……いいだろう。毎日ビルの屋上で一日を終えるのも飽きてきたところだ」

あずさ「ありがとうございます〜」

ランサー「お人好しめ」

アーチャー「黙れ。カレン・オルテンシア、そういうわけで少しばかり出てくる」

あずさ「夕方までには戻ってくると思うので、プロデューサーさんが来たらよろしくお伝えくださいね」

カレン「了解です」

ランサー「じゃあ行くか」

カレン「待ちなさい」フィッシュ

ランサー「うおっ! 何でだ!」

カレン「ギルガメッシュがいなくなったので掃除をしてもらいます」

ランサー「分かった! 連れてくるから!」

カレン「そう言って帰ってきた試しがありませんので。では三浦あずさ、貴女に主の祝福があらんことを」

アーチャー「……では行こうか」

あずさ「じゃあランサーさん、また後で〜」フリフリ

ランサー「あずさちゃーん!!」

アーチャー「さて。観光するのはいいんだが」

あずさ「何です?」

アーチャー「この冬木には大した観光名所もないぞ。今更言うのもアレだが」

あずさ「いいんです。観光じゃなくても、私こうやってぶらぶら歩いてるだけで楽しいですし」

アーチャー「そうか。なら良かった」

あずさ「とりあえず街の方へ行きましょうか」

アーチャー「新都か。確かに暇つぶしにはもってこいの場所だな」



———新都、ヴェルデ

あずさ「あら〜このマスコット可愛いですね」

アーチャー「(可愛いか?)」

あずさ「聖杯くん、ですって。事務所のお土産に買っていこうかしら〜」

アーチャー「(確かにごーるでん冬木くんよりはマシだと思うが……)」

あずさ「あら、こっちのごーるでん冬木くんもかっこいいわね〜」

アーチャー「何だと……!?」

あずさ「でもどうして頭に剣が刺さってるのかしら……。アーチャーさん?」

アーチャー「私に聞くな……」

ギル様だったんですか、UBWの英霊エミヤのアーチャーかと思いました

???「あら、誰かと思えばアーチャーじゃない」

アーチャー「む。何だ、キャスターか」

キャスター「何だはないでしょ。それよりその子は誰なのよ」

あずさ「こんにちは、三浦あずさです〜。アーチャーさんの知り合いですか?」

アーチャー「知り合いというか何というか……まぁ知り合いか」

キャスター「そうね、それ以上でもそれ以下でもないわ。こんにちはお嬢さん、葛城メディアと申します」

あずさ「いえいえこちらこそ〜」

アーチャー「で、何の用だ一体」

キャスター「別に。坊やが坊やなら貴方も貴方ね、って思って声かけただけよ」

アーチャー「どういう意味だそれは」

キャスター「たらし」

アーチャー「止めないか」

あずさ「あらあら」



キャスター「迷って大聖杯前って……どういうことなのよ」ボソ

アーチャー「聞くな。きっと特殊な生い立ちなのだろう。私たちが詮索していいものではない」ボソ

あずさ「あの〜……」

キャスター「超能力とかいうものかしら……流石にそっちは専門外ね」ボソ

アーチャー「そういうことだ。分かったら妙な口出しはするな」ボソ

あずさ「どうかしたのかしら……」


ろくに書いてないのにごめんね

>>20
どういうことだってばよ

キャスター「じゃあそろそろ私は行かないと。宗一郎様のお夕飯買いにきてるの」

あずさ「はい、失礼します『葛木さん』」

キャスター「……おほほほ、そうね! 葛木メディアさんはこれにて帰るわ! じゃあね!」フリフリ

あずさ「では〜」フリフリ

アーチャー「丸くなったものだ」

あずさ「アーチャーさん、女性の体型のことを言うのはタブーですよ?」

アーチャー「……そうだな」



アーチャー「もう昼か」

あずさ「お腹空きましたね」

アーチャー「私の手料理でよければ振舞おうか。少々遠いが家に来るかね?」

あずさ「あ、あの〜……それはちょっと……」

アーチャー「……? 何故た?」

あずさ「……そんなのだからたらしって言われるんです」

アーチャー「———! すまない、配慮が足りなかった」

あずさ「もう……」

ホロウ世界?

アーチャー「やましい気持ちはなかったんだが……。確かに男に家に連れ込まれるのはさすがにな」

あずさ「せっかくのご好意ですけどここは外食でも」

アーチャー「そうだな。私がいい店を知っている」



———新都、アーネンエルベ

カランカラン

千鍵「いらっしゃいませー。何名様ですか?」

アーチャー「2名だ」

千鍵「分かりました、奥へどうぞー」

あずさ「おしゃれですね」

アーチャー「コーヒーもなかなか美味いのでな。時々邪魔している」

千鍵「ご注文どうぞー」

あずさ「どうしようかしら……。迷うわ〜」

アーチャー「基本的に外れはないぞ。コックもなかなかの腕利きだからな」

蒔寺「お、正義(レッド)の兄ちゃんじゃん」

三枝「こんにちは〜」

氷室「珍しいな」

アーチャー「君たちか」

蒔寺「レッドの兄ちゃんも暇してんなー……って、あずささん!!?」

アーチャー「何?」

あずさ「あらあら……」

何か片手間にやってるから結構間があくな……
大体一回の投下で最低で5レスくらい書くつもりです

>>27
YES
最初に書いといた方が良かったかもね

蒔寺「うわー本物のあずささんじゃん! すげぇ!」

三枝「すごい……! 芸能人さんに会えるなんて運が良かったね!」

氷室「たまには蒔の字の誘いに乗ってみるものだな」

アーチャー「本当に有名人だったのか……」

あずさ「あら〜信じてなかったんですか?」

アーチャー「行く先々誰も知らなかったからな。会う人物が問題とも言えるだろうが」

蒔寺「つか何でレッドの兄ちゃんと一緒にいんの!? どういう関係!? フライデーまっしぐらじゃんか!」

アーチャー「こら、変な勘違いをするな。私は彼女が道に迷っていたので声をかけただけだ」

蒔寺「へーアイドルをナンパかー」

あずさ「事務所通してくれないと困ります〜」

アーチャー「悪乗りはやめたまえ。それに私は彼女が芸能人なのを知っていたわけではない」

蒔寺「……え、マジで言ってんの?」

アーチャー「何だ」

蒔寺「竜宮小町の三浦あずささん知らないのかよ!?」

氷室「芸能関係には疎いのか」

アーチャー「……まぁ、私自身そういったものに詳しいとは言い難いが」

三枝「お兄さんも結構負けず嫌いみたいだね」

氷室「大人しく知らないといえばそれで終わりなのだがな」

千鍵「あのー注文……」

アーチャー「む、すまない。とりあえずコーヒーを二つ」

あずさ「あとぺペロンチーノひとつお願いします」

千鍵「少々お待ちをー」

蒔寺「じゃあ兄ちゃんこれ聞いてみろよ。聞いたことくらいあるって」

オンナハーテンカノマワリモノー

アーチャー「……知らないな」

蒔寺「マジか……ならこれ」

キミガフレタカラーナナイーロボタンー

アーチャー「……すまん」

氷室「竜宮小町単体はダメか」

蒔寺「なら765プロオールスター」

ヒトリデハーデキナイコトーナカマトナーラデーキルコトー

アーチャー「いい歌だな」

三枝「あ、知ってます?」

アーチャー「…………」

蒔寺「流行に疎すぎるっしょこれ」

あずさ「仕方ないわよ、私たちがまだまだってことで」

蒔寺「いーや、これはレッドの兄ちゃんが悪い」

三枝「テレビつければ765プロの人が大抵出てるくらいなのに……」

アーチャー「そうなのか」

氷室「これ以上有名になるということはそれこそ日高舞クラスじゃないのか?」

蒔寺「メ鐘それ誰?」

あずさ「あら〜」

氷室「蒔の字は知らんでもいい」

アーチャー「日高舞なら名前くらいは聞いたことがある」

氷室「その年齢なら当然というか……むしろ名前しか知らないのがおかしいレベルだな。本当に日本人か?」

あずさ「自称日本人って結構信じられないわよねぇ」

アーチャー「(年代は君達と同じなのだが)」

蒔寺「ところでさあずささん、今日って仕事でこっちに来てんの?」

あずさ「オフよ? でもちょっと迷っちゃってね〜」

三枝「あ、それなら案内しますよー」

ワイワイ

アーチャー「……お邪魔なようだな。カウンターに移るか」

ランサー「寂しそうだねェ」

アーチャー「……いつからいた?」

ランサー「今さっき。抜け出してきたんだよ」

千鍵「あれ移動してる……まいいや、お待たせしましたー」

アーチャー「ありがとう」

ランサー「おうチカちゃん、俺にもコーヒーひとつ」

千鍵「いいですけどチカちゃんはやめて下さい」

ランサー「なんだよー同じバイト仲間のよしみじゃねえか」

千鍵「結構ハズいですからそれ。コーヒーとぺペロンチーノお待たせしましたー」スタスタ…

アーチャー「見境無いな」

ランサー「いつものことだ、気にすんな。で、どうしたんだ? 仲間はずれでも食らったか」

アーチャー「自主退去だ」ズズ

ランサー「ふーん。どうせ話題についてけなくなったんだろ」

アーチャー「…………」ズズ

ランサー「図星かい」

千鍵「アーチャーさんなんでこっちに来たんですか?」

ランサー「言ってやるなチカちゃん」

千鍵「アンタもチカちゃん言うな」

アーチャー「別に大した理由じゃない。君も知らぬ話題を出されたら困るだろう」

ランサー「バッカおめー知らん話題でも合わせてやるのが男だろうが」

千鍵「あーでも分かりますそれ。私も社交性無い人なんで」

ひびき「チカちゃん料理終わったし暇だよーぅ……ってあれあずささんじゃない!? ホンモノ!?」タタタ…

千鍵「あのコと違って」

ランサー「まぁひびきちゃんはチカちゃんと真逆っぽいよなー」

千鍵「やめい」

ランサー「あれ? ところでチカちゃんオレのコーヒーは?」

千鍵「どうせいつもみたいに『バイト代につけといてくれー』って言って払わないんで出しません」

ランサー「」

アーチャー「自業自得だな」ズズ



氷室「あずささんは気になる異性とかいないんですか?」

ひびき「スキャンダルにならない程度に教えてほしいですっ」

あずさ「じ・つ・は、いるのよ〜」

蒔寺「うそっ! 誰々芸能人!?」

あずさ「違うけど、業界の人って言うのは同じね〜」

三枝「うーん……たとえばディレクターさんとかですか?」

あずさ「近いわねぇ、でもこれ以上はヒミツよ?」

蒔寺「いやーいいなぁゲイノウカイ。アイドルの恋愛とか燃えるね。現代の禁じられた愛みたいな?」

氷室「確かに一番怖いのはファンだな」

あずさ「そうねぇ、あまり過激なのも困っちゃうし」

ひびき「ファンレターに髪の毛とか爪とかが入ってて……とか聞きますよね、こわっ」

三枝「ファンならアイドルの恋愛も応援してあげればいいのにねぇ」

あずさ「由紀香ちゃんは優しいわね〜」

蒔寺「由紀っちはうちのアイドルだしなー」

目標5レス何とか……
年度末は忙しいのです、ちかたないね(他のことやってたとかいえない)
まぁ粗方片付いたしこれからは毎日とはいきませんが投下できると思います
ではでは

律子「はぁ……」カランカラン

ひびき「あ、いらっしゃいませ! お一人様ですか?」タタタ

律子「すみません、三浦あずささんはいますか」

ひびき「え?」


ランサー「あれま美人。見ない顔だな」

アーチャー「貴様はこの街の女性を全て把握してるのか?」ズズ

千鍵「してても違和感ないですね……」

ランサー「お、あずさちゃんに近付いてくぞ」


ひびき「こ、こちらです」

あずさ「あ、律子さーん!」フリフリ

律子「いた……。あーずーさーさーん!? 毎度毎度どこまで散歩すれば気が済むんです!」

あずさ「すみません〜。携帯も家に忘れてきちゃいまして……」

氷室「観光ではなかったのか」

蒔寺「誰っすかこの人?」

あずさ「竜宮小町のプロデューサーさん。ちなみに元アイドルなの」

律子「ちょっと……それは喋らなくていいですから。事務員兼業でしたし」

4人「へぇー」

律子「ごめんなさいね、何だか迷惑かけちゃったみたいで」

氷室「いえ、迷惑だなんてとんでもない」

三枝「私たちもあずささんに会えて嬉しかったですし!」

ひびき「うちの店に来てくれていい宣伝にもなりますよ! あ、サインください」

あずさ「お安いご用よ〜」

蒔寺「アタシもアタシも」


律子「ったくもう……」

ランサー「よう、お嬢ちゃん」

律子「わっ……なんですか、ナンパならお断りですよ」

ランサー「あー警戒しないでくれ。オレはあずさちゃんが迷ってたとこを見つけただけでだな」

アーチャー「馬鹿め、外人がいきなり話しかけてくれば警戒もするだろう」

律子「な、え……ちょ」

ランサー「あ゛? テメーも人のこと言える立場じゃねぇよ。大体何だ馬鹿って」

アーチャー「そんなことは十二分に承知だ。バカが嫌ならどうすればいい、阿呆か、犬か?」

ランサー「……おうアーチャー、よほど死にてぇようだな」

千鍵「二人ともそのへんにしてくださいって……」


???「待ちなさい!!」バン!

全員「!?」

弓槍「誰だ!」

???「一つ、暇を時々見つけ」

???「二つ、冬木の平和のために」

???「三つ、ミツヅリアヤコが好きで」

???「四つ、夜には士郎をいただき」

???「次の日サクラにお仕置きです……」

ライダー「全ての苦労人(女性限定)の味方、サーヴァントライダー! ここに参上&石化!」

弓槍「な———!」ピキッ

律子「は……、え……?」

ライダー「大丈夫ですか」

律子「あ、ええ、まぁ……」チラッ

弓槍「」

ひびき「すごーい、全然動かないよこれ」

蒔寺「兄ちゃんたちパントマイムでも始めたのか?」

律子「(一体何が起こっているのよ……)」

ライダー「悪は滅びました。私は全てのメガネと苦労人(女性限定)の味方です」

千鍵「ライダーさん……早とちりです」

ライダー「だとしても瑣末な問題です。チカギ、コーヒーを」

あずさ「あら〜」

千鍵「どぞ」

ライダー「仕事の後の一杯は格別ですね」ズズ

弓槍「」


あずさ「ところで、律子さんはお一人?」

律子「いえ、プロデューサー殿もいっしょに。貴音のロケがさっきまであったので、そろそろ来るはずですよ」

あずさ「そうなんですか、ふふ」

氷室「む、明らかに表情が変わったな。もしや意中の相手というのは……」

あずさ「あ、あらあらかねちゃん、それ以上はダメよ?」

律子「あずささん……いろいろと話しすぎです」

蒔寺「えっ、プロデューサーが好きってどゆこと? 律子さんが好きなの?」

三枝「ほ、ほら蒔ちゃん、そろそろ帰らないと。部活あるし、ね?」ガシッ

氷室「ふふ……では我々はこれで失礼します」

蒔寺「あずささんってそっちの業界の人だったのかぁー!?」

ノカァー、カァー、ァー……

律子「何かあらぬ誤解をかけたみたいですけど……まぁいいや」


P「…………」カランカラン

貴音「…………」

ひびき「いらっしゃいませー」

ひびき「———って」

貴音「…………」ペコリ

ひびき「四条貴音さん!?」

律子「あ」

あずさ「プロデューサーさーん」


千鍵「また芸能人かー」

ライダー「私には縁のない世界ですね」

千鍵「いやいや、ライダーさんほどの人がそれはないですって」


ひびき「こちらにどうぞー」

P「ぐむ……」チラッ

貴音「ごほっ……」スタスタ

律子「さっきから無言で……どうかしました?」

あずさ「貴音ちゃん咳き込んで……どこか具合でも悪いのかしら」

ひびき「一日に何人も……今日はすごい日だなぁ……。あ、何かご注文はありますか?」

P「ぁ……は———」



P「……ミルクでも貰おうか」

貴音「私も同じものを……」

ひびき「へ?」

更新頻度の言い訳はしません
もう完全に不定期更新といっておきます

ひびき「ど、どうぞ」コトッ

P貴音「っ」ゴクゴク

千鍵「すげー飲みっぷり」

P「ぷはっ」

貴音「うぅ……」

あずさ「あの〜……」

P「ああ、無視してすみません……何分口を開くのも辛いので……」

貴音「まだ口の中に違和感があります……」

律子「一体何があったんです?」

ライダー「まぁ予想はつきますが」

千鍵「え?」

P「それは数十分ほど前のことだ」

貴音「回想です、どうぞ」

—————————
——————
———

P「律子に追いつく前に昼飯でもどうだ?」

貴音「はい、私もちょうど腹の虫が泣き始めたところです」

時刻はすでに12時を回っていたころ。
俺と貴音は律子がいるという喫茶店へと行く前に近くで昼飯を済まそうとしていた。

P「う〜飯だ飯だ」

今料理店を求めて歩いている俺は765プロに勤めるごく一般的な会社員。
強いて違うところをあげるとすれば、アイドルをプロデュースしてるってとこかナー。
名前は言わないけどね。

貴音「…………」

そんなわけで冬木市のある商店街にやって来たのだ。
ふと見ると、近くにいい雰囲気の中華料理屋があった。

P「ウホッ! いいty」

貴音「止めなさい」

P「はい」

ガララッ

魃「いらっしゃいマセー」

店の奥から出てきたのは少し日本語の発音に違和感がある少女。
他に店員らしい店員は見当たらないし、どうやらこの人が店長のようである。

P「二人で」

魃「どっか適当に座っていいアルよ、今水持ってくるアル」タタタ

P「よっと。あいよメニュー。どうする?」

貴音「そうですね……む、中華料理屋なのにらぁめんがないようです」

P「そりゃ残念。俺はこの『ピリ辛担担麺』と『ピリ辛餃子』にするけど」

貴音「では私もそれを……と言いたいところですが、折角ですしたまには麺モノ以外を食すとしましょう」

P「お、もしかして俺が前言ったこと気にしてくれてるのか」

貴音「いえ、ただの気まぐれですよ」

P「お前な……。そこは同意しとけよ、可愛くない奴だな」

貴音「ふふっ」

魃「はい水。注文決まったアルかー?」

P「えーっと、じゃあ俺はこの『ピリ辛担担麺』と『ピリ辛餃子』ってのを」

魃「はいはい。そっちのお嬢さんはどうするアル?」

貴音「では私は『ピリ辛天津飯』に……」



貴音「この『当店自慢 至高の麻婆豆腐』を」



魃「……『麻婆豆腐』アルね?」

魃「辛さはどうするアル? 普通・ピリ辛・辛めがあるアルが」

貴音「辛めで」

魃「了解アル。少々お待ちおー」

P「貴音って辛いの大丈夫なのか?」

貴音「ええ。激辛ぺヤングでも普通に食べれます」

P「マジかよ。俺は辛すぎるのは無理だ」

貴音「慣れれば癖になるものですよ」

魃「…………」



魃「『天津飯』と『坦坦麺』お待ちアル」ゴトト

P「お、きたきた」

貴音「では、いただきます」

P「む、うまいなーこれ」ズルル

貴音「さすがは泰山という店名なだけのことはありますね」モキュモキュ

P「なんで?」ズルッ

貴音「泰山という名は古くから馴染み深く最高峰や一番という意味合いもあるそうです」モッキュッキュ

P「貴音は賢いなぁ」

魃「『餃子』お待ちアル」ゴト

P「おお、こんがりいい色だ」

魃「『麻婆豆腐』はもう少しかかるから待つヨロシ」

貴音「了解いたしました」



P「ふぅ、大方平らげたけどまだみたいだな、マーボー」

貴音「そうですね。『天津飯』も大盛りでしたが食べ終わってしまいました」

P「四妖拳!」

貴音「今更ですか」

P「はい」

魃「お待ちアルー!」

P「来たか」

魃「いやー久し振りに作ったから妙に力が入っちゃったアルよ! 前は定期的に注文する客もいたアルけど、最近はソイツもめっきり見なくなっちゃってネー」

P「おっ、どうやら力作らしいぞ。運がいいな貴音」

貴音「そのようです。たまには気まぐれを起こしてみる———」

魃「長らく待たせて申し訳ないアル!」ゴト

貴音「もの、です———ね?」

P「は……?」

その瞬間俺たちは固まった。
なぜなら目の前に出てきたものは俺たちが日頃から目にしていた麻婆豆腐から全くと言っていいほどかけ離れていたからである。
どこかの誰かの言葉を借りるなら、「ラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくオレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理」だ。

魃「ごゆっくりー」タタタ

P「えっなにこれくろい」

貴音「い、いただきます……」

———
——————
—————————

P「とまぁ、これがあらましだ」

千鍵「恐ろしいな……」

あずさ「味はどうだったんですか?」

P「ただただ辛いですね。途中から食べるのを手伝いましたが、あれは麻婆豆腐じゃありません」

律子「それを定期的に注文してた客って一体……」

P「ああでも貴音の泣き顔は役得でした」

貴音「ぷ、プロデューサー!」

小休止
続きはしばらく後で書きます
わけ分からんノリは突っ込まないで

—————————
——————
———

貴音「げほっ、ごほっ」

P「お、おい大丈夫か貴音?」

貴音「は———ぁ、大丈、夫かそうで、ごほ、ないかと言えば、げほっ! 後者になり、ますね」

P「無理するな! 残していいんだぞ!?」

貴音「なりません……! 一度注文した料理を残すこと、すなわちそれは料理に対する冒涜です……!」

P「貴音……」

貴音「あなた様……骨は拾ってくだされば助かります。いざ———!」ガッ

P「貴音ぇぇぇぇ!!!」



貴音「うぅっ……ごほっ」ポロポロ

P「泣いてるのかお前……」

貴音「あなた様ぁ……ぐすっ」ポロポロ

P「かくなる上は……俺も挑むとしよう」

貴音「そんな……! 辛いものが苦手だと先程言っていたのに……」

P「担当アイドルが苦しんでいるのを黙っているプロデューサーがどこにいる」

貴音「あ、あなた様……!」

P「いくぞっ」ガッ


P「あっこれむりです。水」

貴音「あなた様ぁ!」

———
——————
—————————

P「と、いうことがあってな」

貴音「辛さとは味覚ではなく痛覚だということを身をもって知りました……」

律子「結局完食はしたんですか?」

貴音「いえ……半分は何とか食べたのですが」

P「こいつがいつもの調子で大盛り頼まなければ……」

あずさ「貴音ちゃんがお料理を残すなんて……」

千鍵「あの人ラーメン以外でもめちゃくちゃ食べるのか」

ランサー「はっはっは、てめーら災難だったな」

千鍵「うわっ」

ライダー「おや、元に戻りましたか」

ランサー「ケルトの大英雄舐めんな。どこぞの赤いのとは違うんだよ」

アーチャー「」

P「(誰!?)」

貴音「…………」

律子「でもそれって料理としてどうなんですかね」

ランサー「注文する奴がいれば需要があるってことでいいだろ。ただしそんな物好きはもういねェしな」

ライダー「悪は滅びたんです」

「?」

貴音「ところで」

ひびき「はい?」

貴音「口直しに味噌ばたぁかれぇ牛乳らぁめんを大盛りでお願いします」

P「まだ食うのかよ」

貴音「もうあ私は中華料理屋では麻婆豆腐は頼みません。ああ、コーンもお願いします」

ひびき「かしこまこりんです」

千鍵「何だそれ」

あずさ「かわいいわね〜」

ひびき「えへへ、今考えたの」

ランサー「あーれ、トラウマになっちまったみたいだな」

ライダー「全く……言峰綺礼は死んでもろくなことをしませんね」

ランサー「この場合責任は言峰にはないがな」

ライダー「いえ、面倒事は奴のせいにするに限ります。あとは間桐臓硯とか」

律子「何だか会話の内容が不穏なんですけど……」



P「それじゃあ、自分たちはここで失礼します」

あずさ「ランサーさん、お世話になりました〜。アーチャーさんにもよろしく伝えておいてくださいね?」

ランサー「おう。姉ちゃんも仕事がんばれよ」

あずさ「もちろんですよ〜」

ランサー「あ、あとあまり変なとこに迷い込まないようにな」

律子「それに関しては全く同意ですね」

あずさ「あらあら……」

貴音「ふふっ」

ひびき「あーっ! 皆さん行っちゃう前にサイン書いてってくださいよぅ!」

貴音「ええ、おいしい料理のお礼に是非」

あずさ「いいわねぇ、私もあと十枚くらい書いちゃおうかしら〜」

律子「あずささん……」



ひびちか「ありがとうございましたー!」

P「おっし、じゃあ帰るぞ。駅までタクシー呼んであるから乗れー」

律子「あ、プロデューサー殿。今日の貴音の食事、二回目の方は経費からは出ませんので。あしからず」

P「何……だと……」

ランサー「じゃあな。またこっちによったら教会まで来てくれや」

あずさ「もちろんですよ〜」

貴音「次はもう少し余裕があるときに来たいですね。あの中華料理店を除いて」

あずさ「そうね〜。お寺とかあるみたいだし、もっと見歩いて回りたかったわ〜」

律子「二人とも、帰るわよ。ほら乗って」

ライダー「律子」スッ

律子「ひっ」

ライダー「私は貴女のことがとても気に入りました。次にお会いできる機会を楽しみにしています」

律子「あははは……ありがとうございます……」

ライダー「フフ」

P「じゃあ行くぞー。それじゃ、どうもお世話になりましたー!」

あずさ「ランサーさん、またね〜!」フリフリ

ランサー「おー」フリフリ

ブロロロロ…

ライダー「行きましたね」

ランサー「行ったな」

ライダー「ところで三浦あずさが迷い込んだのは結局どこだったのですか?」

ランサー「柳洞寺地下の大聖杯ンとこ」

ライダー「何……ですって……」

あずさ「今日は楽しかったわね〜」

貴音「ええ。あぁねんえるべですか、あそこの料理も真、美味でした」

律子「あのですねあずささん……こういうことが毎回あると我々としても」

P「律子」

律子「何ですか?」

P「いいだろ、説教は帰ってからでさ」

律子「んー……まぁいいです。今回はプロデューサーに免じて不問にしておきます」

あずさ「何だか……すみません」

律子「いいえ。でも反省はしておいてくださいね?」



あずさ「それにしても……なんだかあの人たちとは近いうちにまた会いそうな気がするのよねぇ」

律子「あの人たちってランサーさんっていう人とかですか?」

貴音「奇遇ですねあずさ。私もちょうどそのような気がしていたのです」

あずさ「あらあら、貴音ちゃんがそういうならきっとそうなのね〜」

P「貴音の予想は結構当たりますからね……あ、あそこの交差点までで大丈夫です」

運ちゃん「あいよ」

律子「近いうちですか……冬木市の仕事はまだ来月も入ってなかったはずですけど」

あずさ「あら、そうなんですか?」

貴音「ではこれから入るのでしょう。私たち二人が願っていれば、きっと入りますよ」

あずさ「うふふ、そうね。楽しみだわ〜……」


おわり

というわけで終わりです。
思えばスレを立ててから一ヶ月以上……見切り発車で始めてだらだらやってきた結果がこれだよ。
全部仕事とMGRのせいです。オレハワルクナイ。

一応次回があるつもり、というか今書き溜めてるSSの前日譚として書き始めたのがこのSSでした。
続きがいつになるかは分かりませんが、楽しみにしていただければ嬉しいです。
ではでは。

先程HTML化依頼をしておきました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom