戦士「契約だと？・・・」

武器商人「そう。その町周辺に出現する魔物に対抗するために無理の無いレベルの武器をその町で提供するという契約。」

戦士「契約って・・・王とのか？」

武器商人「そりゃ契約はえらい人とするものだからね。最も王は王でも頭に魔がつくけどね。」

戦士「魔王！？お前らは魔王の手先か！」チャキ！

チャキチャキチャキチャキ！

戦士「くっ・・・」

武器商人「戦士くん、落ち着きたまえ。確かに我々は魔王と契約を結んでいるが、
あくまでそれはビジネスの関係だ。彼らの手先になったわけじゃないよ。」

戦士「納得できるか！」

武器商人「・・・ふぅ。その顔は全てを話さないと納得しそうにないね。
じゃあ確認しよう。今から話す内容を知れば君はこの先死ぬか我々に協力するかしかない。」

武器商人「今君に向けられている武器、君は見たことがないだろ？
これは銃という火薬の爆発力で鉄の礫を相手に撃ち込むものだ。」

武器商人「礫はコインよりも小さく、その速度は弓の数倍。よほどの達人でなければよけられない。」

戦士「そんな武器があるならなんで・・・」

武器商人「流通させないか？簡単な話だよ。コストが合わないんだ。
こいつの弾は消耗品でね。真っ直ぐ飛ぶように加工しているから1発の弾代で銅剣が数本買えるよ。」

武器商人「そんなわけでこいつは少ない金をやりくりしている小規模パーティには向いていない。
よって町では取り扱わせていないんだ。」

武器商人「さて、なぜ魔物に合わせた装備を提供するか。
これは簡単な話で君達の成長を促すためさ。」

武器商人「冒険序盤に強力ものを与えれば君達は武器に頼って実力に合わないダンジョンを
迷いなく進むだろう。それではいつか頭打ちする。」

武器商人「君達自身の成長を促すため。これが理由の1つ。
そしてもう1つは旅を難しくするためさ。」

戦士「難しくだと！？」

武器商人「魔物の強さに合わせた武器。つまりは君達と魔物の強さを互角になるってことさ。
1手間違えれば今回のように死が待っている。リスクはたかいけど成長というリターンも高い。」

武器商人「魔王は自分を倒せるほどに強く育った勇者を待っている。
そして逆に簡単に自分を倒せる者が現れないことも願っている。彼は我々人間以上に世界を愛しているからね。」

戦士「わけが分からねえ！お前らも、魔王も！なんのためにそんな事を！」

武器商人「我々が武器を売る理由？世界平和のためさ。」

戦士「世界・・・平和？」

武器商人「さっきの銃。あれを持たせて訓練した者を1個小隊用意して魔王に戦いを挑めば、
軽々と魔王を討つことが可能だろう。しかし魔王を討った後の世界はどうなると思う？」

戦士「そりゃ平和に・・・」

武器商人「ならないだろうね。現にさっきの銃は色々な国から大量の生産受注が既に寄せられている。
今は魔王討伐を優先と受注を断っている状況だがそれがなくなればあれが各国の兵士に提供されることになる。」

戦士「そんな・・・なんで・・・」

武器商人「世界を手に入れるため。魔王という脅威が無くなれば各国は自分の手で
世界を統一しようと動き出すつもりなんだろうさ。」

戦士「そんな・・・嘘だ・・・」

武器商人「事実だよ。」ドカーン！

戦士「な！なんだ！？」

武器商人「ａ国かｒ国か・・・どこか過激な国からのちょっと派手な催促だよ。
さて、そういうわけで君も今日から我々の協力者として働いてもらうよ？」

戦士「俺は・・・」

武器商人「ここで死ぬか我々に協力するかしかないっていったじゃないか。
ここまで世界の裏側を知ってまだ帰れると思ったのかい？」

武器商人「大丈夫。迷いの森までいけてるなら対人の近接戦闘力は十分だ。
後はこれの使い方を覚えてくれればいい。」

戦士「確認するが、お前たちは世界平和のためにやってるんだな？」

武器商人「そうさ。魔王という人類の敵がいる間は人はその敵意を魔王に向けることが出来る。
多少の犠牲がでるのは仕方ないが、人同士の争いに比べればましさ。」

戦士「わかった。協力しよう。」

武器商人「賢明な判断だね。」

戦士「だが条件がある。」