(故)獅土「」
恭介「現場は協会本部の会議室」
恭介「ここは地下のため窓もありません」
恭介「そして死体発見当時、扉には鍵がかかっていた」
恭介「これは明らかに密室ですね」
真子「ええ、そうね。死体の様子はどう?」
恭介「腹部を刃物で刺されています。おそらくは失血死かと」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439707341
真子「腹部を刃物で刺されている……と、いうことは、凶器は刃物ってことになるわね」
恭介「……! い、言われてみればその通りです! さすがですマコさん!」
真子「ふふ、この程度の推理で驚くのはまだ早いわよ」
恭介「な、なんですって!? まだ僕の知らない発見を!?」
真子「さっき第一発見者の局長から話を聞いたんだけど、彼が獅土さんの死体を発見したとき、扉には鍵がかかっていたらしいの」
恭介「……!? そ、そんな、ここは地下だから窓がない……」
恭介「つまり!?」
真子「そう。この部屋は密室だった」
真子「この事件は、密室殺人事件なのよ!」ドンッ
恭介「な、なんだってええええええええ!?」
恭介(こ、この短時間でもうそこまで事件の核心を推理するなんて……)
恭介(さすがマコさん……やっぱり最高の名探偵だ!)
真子「これで半分事件は解決したようなものね」
真子「あとは犯人を当てるだけ。軽い仕事だわ」
真子「恭介くん! 獅土さんの死亡推定時刻は!?」
恭介「はい、ちょっと待ってください」ペラッ
恭介「ええと、最後に獅土さんが目撃されたのが13時。小清水さんとチャーハンを食べたときですね」
恭介「死体が発見されたのが14時。局長がこの部屋の扉を破り、倒れている獅土さんを見つけて、三好探偵事務所に通報しました」
真子「ご苦労様。よくそこまで調べ上げたね」ナデナデ
恭介「えへへ」
真子「これで全て解決ね。犯人は協会本部にいた中で、13時から14時までのアリバイの無い人間……」
真子「恭介くん! 今すぐ該当する人間を連れてくるの! ついでに第一発見者の局長も!」
恭介「はい! 了解ですマコさん!」ダッシュ
恭介「連れてきました!」
真子「早い! 偉いわ恭介くん!」
恭介「えへへ……まず1人目は仮眠室で寝ていたと主張している烏丸さん!」
烏丸「なんでや! なんやっちゅーねん! 何で俺が疑われなアカンねん!」
恭介「そして2人目の容疑者は、開斗とデートしていたと主張している貴咲さん」
千早「本当です! 本当に皇くんとデートしていたんです! ちゃんと彼に訊いてください!」
恭介「本人はこう言っているんですが、開斗に訊いたところ全く記憶にないそうです」
千早「そんな……嘘です……。皇くんと一緒にお買い物したのに……電柱の影から開斗くんの写真だってたくさん撮ったんだから……」
恭介「そして最後に、保釈中で本部に仮住まいしてる金巻!」
金巻「ククク……殺してえ。大勢殺して俺も死にたい……ククク」
真子「容疑者は3人、か」
局長「全員圧倒的に怪しいな!」
烏丸「なんでや! 俺をこいつ等と一緒にせんといてください!」
千早「ヒドい! 私こそ一緒にされて不本意なんですよ!」
烏丸「うっさいわストーカー女!」
千早「だ、誰がストーカーですか誰が! 私は皇くんの彼女ですぅ!!」
真子「シャーラップッ!!」ボガッ
金巻「ぐはあッ!?」ドサッ
金巻「ぐああああ!! 股間が……俺のマガツヒが潰れたああああああ!!」ゴロゴロゴロ
真子「静かにしなさい! ここは神聖なる裁きの庭よ!」
真子「貴方達3人は殺人事件の容疑者!」
真子「つまり! 貴方達の生殺与奪の権限は私が握っているということをお忘れなく!」
烏丸「せやかて工藤!」
千早「だって烏丸さんが根も葉もないことを!」
真子「ビークワイエット!」ゲシッ
金巻「ぎゃあ!!」
真子「さあ、恭介くん! 取り調べを始めるわよ!」
恭介「はい! じゃあ烏丸さん、事件発生時刻に何をしていたか証言してください」
烏丸「せやから何度も言うとるやろ! 俺は仮眠室で眠っとったんや!」
局長「それを証明してくれる奴はいるのか?」
烏丸「う、それは……いてへんけど」
局長「ふん、話にならんな。口でなら何とでも言える」
烏丸「うぬぬ」
姫吊「僕が証明できますよ」
真子「きゃっ!?」
局長「うおお!? いたのか姫吊!?」
恭介「証明できるって、どういうことですか?」
烏丸「あ! そうかお前、俺が仮眠室にいるのを見たんやな!?」
姫吊「いいえ、姿は見てません」
真子「え? じゃあ一体どうやって証明を……?」
姫吊「姿は見てませんが、僕が14時ちょっと前に仮眠室に入ったときに、布団から烏丸さんの匂いがしました」
烏丸「は?」
姫吊「あれは少なくとも1時間以上は寝てないと染みつかないスメルでしたよ」
姫吊「たくみんマイスターの僕が言うんだから間違いありません」
姫吊「これで烏丸さんのアリバイは証明できますよね?」
真子「……」
恭介「……」
烏丸「……」
千早「……」
金巻「ぐおおお……俺の……俺のマガツヒがあああああ……」
局長「キモイなお前ら」
烏丸「俺は関係あらへんやろ!」
真子「証言は記録から削除します。陪審は今の発言を忘れるように」
姫吊「え!? な、何でですか!?」
真子「残念だけど、私にBLの趣味はないの。むしろTL派ね」
真子「ドSなイケメンに弱みを握られて最初は嫌々だったのに……みたいなシチュが大好物です」
烏丸「なに言うとんねんお前」
恭介「……しょ、ショタ好きじゃない、だと」ガーン
千早「ちなみに私も皇くん一筋なので興味ありません」
千早「例え男であろうと皇くんは誰にも渡さない……ああ、開斗くん……開斗くん……」ハァハァ
姫吊「そ、そんな。BLの良さが解らないなんて……くそうっ!」ダッ
局長「ちなみに私はオッパイが好きだっ!!」
金巻「俺のマガツヒが……痛みのあまりネジサイズになってしまった……」ブルブル
烏丸「……誰か助けて」
真子「よーし、じゃあ犯人を指名するよー!」
烏丸「はあっ!? 待てや! まだ何にも分かってないやんけ!」
真子「なんか面倒くさくなっちゃった」
烏丸「このアホ探偵!」
恭介「……!」ピキーン
恭介「ま、待って下さい! マコさん」
真子「どうしたの恭介くん?」
恭介「僕……大変なことに気づいてしまったかもしれません」
烏丸「大変なこと?」
恭介「局長さん! 獅土さんの死体を発見したとき、扉には鍵がかかっていたんですよね!?」
局長「ん? ああ、そうだが」
恭介「扉の鍵を持っているのは?」
局長「私だが……それがどうかしたのか?」
恭介「つまり、この部屋は犯行当時密室だった、そういうことになりませんか?」
真子「あ!?」
烏丸「い、言われてみれば、確かにその通りや!」
局長「盲点だった!!」
千早「あ、ダメェ……開斗くんそんな……目隠しなんて、そんなのヘンタイさんだよぉ……」ハァハァ
金巻「これ勃たなくなってないだろうな……ホローラビットに抱きしめられたときのことでも思い出してみるか」
真子「そんな……それじゃあ容疑者を集めてもまるで無意味じゃない」ガクッ
真子「終わった……密室事件なんて解けるわけがない……迷宮入り確実……」
恭介「真子さん……」
獅土「な、何か手がかりはないのかな」
烏丸「せやかて密室のトリックなんて素人にはお手上げやで」
金巻「あ、ちょっと勃ってきた」
局長「……いや。一つだけ方法がある」
真子「え?」
烏丸「ホンマでっか!?」
獅土「そ、その方法とは一体?」
局長「それは烏丸……貴様の八咫闇陣だ!」
烏丸「な、なんやてええええええええ!?」
恭介「そ、そうか! 烏丸さんの八咫闇陣なら密室は意味がなくなる!」
真子「扉の隙間から羽根ペンの血(笑)を浸透させて、外側からインクの沼で中まで移動すれば……」
獅土「か、烏丸くん……なんて事を」
烏丸「いやいやいやいや! た、確かに可能ではあるけども! 俺やないで! 俺は獅土さんなんて殺してへん!」
局長「いいや、お前だ! 最初から怪しいとは思っていたんだ」
局長「警察に弱みを見せるわけにはいかんからこの事件は揉み消すが、貴様はただで済むとは思うなよ!」
烏丸「だ、だから俺やないんですって! 信じてください!」
獅土「烏丸くん……」
恭介「終わりましたね、マコさん」
真子「そう、ね……」
真子(でも、何だろうこの違和感は……。何か、何か大切なことを見逃している気がする)
真子(密室……鍵のかかった部屋……鍵……鍵……)
真子「……!!」ピキーン
局長「ジタバタするな見苦しいぞ!」
烏丸「堪えてつかぁさい! 堪えてつかぁさい!」
金巻「ボクちんお腹が空いたでちゅ……茫ママにアーンして食べさせてほちいよぉ……」ハァハァ
真子「ちょっと待ったあああああああああ!」バキッ
金巻「ゴハァッ……!? …………うっ」
局長「ど、どうしたのかね突然」
恭介「マコさん……?」
真子「局長さん。犯人はその関西メガネやないどす」
局長「なに!?」
烏丸「誰が関西メガネやねん!」
獅土「烏丸くんじゃ無いって、な、なら一体誰が……」
真子「八咫闇陣なんて使わなくても、もっと簡単に密室を作り出すことができるのよ」
真子「そう……この部屋の鍵を管理している局長さん、あなたならね!」ドンッ
烏丸「な……」
獅土「な!?」
恭介「な、な……」
千早「ああ、もっと! もっと強く叩いて開斗くん……ッ」ハァハァ
金巻「」ブクブク
局長「なんだとおおおおおおおおおおお!?」
局長「き、貴様! 自分が何を言っているのか分かっているのか!?」
恭介「そ、そうですよマコさん! 協会のトップに喧嘩を売るなんてマズイですよ!」
真子「恭介くん、よく考えてみて。この部屋で獅土さんを殺害後、外から鍵をかけたら、この部屋はどうなる」
恭介「…………!! み、密室になります!」
烏丸「そうか! 局長はあえて外から鍵をかけることで、この部屋を密室であるかのように見せかけたんか!」
獅土「な、何て頭が良いんだ……」
局長「ぐ、ぐ……」
真子「そう。そしてその後に、扉を突き破ることで、第一発見者になりすました」
真子「おかしいと思うべきだったわ。鍵を持っているのだから、扉を壊す必要なんてないものね」
恭介「は!? 言われてみればたしかに!」
烏丸「盲点やったわ……」
獅土「そこに気づくとは、やはり名探偵……」
局長「ぐぐ、ぬ、ぬ」
真子「局長がいつも持ち歩いてる刀! おそらくそれが凶器よ!」
真子「さあ、局長! その刀を血液検査させてもらいましょうか」
真子「きっとベットリと付いてることでしょうね……獅土さんの呪われた『血~インク~(笑)』が!!」
局長「……ぬ……ぬ……ぬ……ぬ……ぬ……」
局長「……フッ……」
局長「あああああああああっはっはっはっはっはっはっ!」
局長「ひっひっひっひっひっひっひっひっふっふっふっふっふっふっふっふっ」
局長「へっへっへっへっへっへっへっへっほっほっほっほっほっほっほっほっ」
局長「かかかかかかかかかかききききききききききき」
局長「くくくくくくくくくくけけけけけけけけけけけ」
局長「ここここここここここコココココオオォォォッ!!」
真子「……」
烏丸「やっぱり、局長が犯人やったんか……」
獅土「きょ、局長……一体どうしてこんなことを」
局長「……きっかけは、ささいなことだった」
局長「ただ、獅土の顔がなんかムカついた……それだけだったんだ」
恭介「そ、そんなことで、人の命を!」
局長「……ふ。そんなこと、か。いずれ、キミにも分かるよ。……必ず」
局長「私にはわかる。キミは……私と同じニオイがするからね」
恭介「……!」
真子「やめて!」
恭介「! ま、マコさん……」
真子「恭介くんからはアンタみたいな加齢臭はしない!」
真子「恭介くんのニオイは……シッカロールみたいな良い匂いなんだから!」
恭介「マコさん……」ウル
局長「……」
局長「……じゃあ、これで。サヨナラだな、諸君」
局長「あ。烏丸、さ」
烏丸「な、なんですか?」
局長「来週のソープ奢る約束。なんかダメになっちゃったな」
局長「いやはや。すまんな!」
烏丸「…………」
烏丸「ホンマ、残念です。局長」
局長「……」
烏丸「俺は、昔のアンタをよく知ってます」
烏丸「かつては、俺の憧れる優秀な式神つかいやった」
烏丸「それだけに……本当に残念です」
局長「……」
局長「……昔のことだ。ありがとうな、烏丸」
局長「なあに、大丈夫だ!」
局長「三好真子くんに、嘉神恭介くん。この2人がいれば、きっと……な」
局長「なぜなら今、私には。始まりのメロディが聞こえているのだからな」
恭介「……こうして、獅土景一殺人事件は幕を閉じた」
恭介「後任の局長には烏丸さんが着任し、姫吊さんが公私ともに支えているらしい」
恭介「マコさんは事件を隠蔽する代わりに、毎月協会から多額の口止め料を受け取ることになり、事務所を都心の一等地に移した」
恭介「獅土さんは相変わらずのソーメン生活で、貴咲さんは裁判所から開斗への接近禁止命令を受けた」
恭介「それでもこっそりストーカーしてるみたいだけど」
恭介「九十真元局長は協会内に設けられた監獄に入れられて、金巻と一緒に副局長の鞭を食らってるみたいだ」
恭介「……だけど、僕は今でも気になっている。九十真受刑者が残した言葉のことを」
恭介「僕と彼が似ているというあの言葉……僕も道を間違えれば、彼のようになってしまうのだろうか」
恭介「でも、僕には」
真子「恭介くん!」
恭介「あ、マコさん!」
真子「どうしたの? ボーッとして」
真子「悩みがあるならこのマコカルチャーの社長、いやプレジデントである私が聞いてあげるよ」
恭介「いえ、大丈夫ですマコさ……プレジデント。大したことじゃないので」
マコ「そう? バイザウェイ、ところで今日は小渕議員の口止め料の支払日だから、事務所に行って徴収してきてくれる?」
恭介「了解です! プレジデント!」
恭介(マコカルチャーと名を変えた三好探偵事務所で、相変わらず僕は探偵業の助手をやっている)
恭介(マコさん、いやプレジデントが傍にいてくれる限り、僕が道を外れることはない……そう思えるんだ)
恭介「行こうか、ハク! 素直に払わないようだったら半殺しにしてやらないとね!」
白天丸「おう! 任せとけキョースケ!」
~HAPPY END~
カガミガミ大好きです。来週分の切手買ってくる
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません