少年「神だって?」ラオスの吸血鬼「うむ」 (6)

偉大なる主神・ラオスの吸血鬼は言われた。

光、あれ―――――――――――――――――――――と。

偉大なる主神・ラオスの吸血鬼は言われた。

産めよ、満ちよ、地に満ちよ――――――――――――と。

地平線まで果てしなく広がる草原、青い空を綿菓子の様な雲が悠々と流れてゆく。

なだらかな悠久の丘陵地に、古びたローブを着た魔導師が降り立った。

彼の名はラオスの吸血鬼。

『神』である――――――――――――――――――――――






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ラオスの吸血鬼「ふぅ、ふぅ、いくら自分が作った世界と言えど、流石に広いでありつるなぁ」

ラオスの吸血鬼「こんなだだっ広い場所に、本当に私の配偶者がいるんでありつるかぁ?」

ラオスの吸血鬼「早く女の聖穴に神棒をぶち込みたいでありつるよぉ」

丘を越えても越えても草原が続くばかり。

太陽は容赦なく彼を照らし、今更ながら太陽の温度調節を怠ったことをラオスは後悔した。

目を細めると、麓に小さく集落の様な物が点在している。

きっと、あれが自分の求めている『女』の棲みかなのかもしれない。

ラオスの吸血鬼は息を大きく吸い込み、ゆっくりと吐き出すと決意のこもった瞳で家を見据えながら足を踏み出した。

ラオスの吸血鬼「今行くでありつるよおおおおおおおおお!!!」

集落のように見えた物は、羊を放牧するための低い柵だった。

動物の糞の臭いが鼻をつくが、今から配偶者と会うのだと思えば気にならなかった。

少女「なんだおまえ」

褐色の肌を持つ少女が天幕からヌッと姿を現した。

長い黒髪を一つにまとめ、横に流している。

ラオスの吸血鬼「よう! ラオスの吸血鬼でありつるよ!」

少女「ラオスの吸血鬼……? 意味分かんないんだけど」

ラオスの吸血鬼「ワロタ」

少女「は? なにあんたいきなり笑ってんの?」

ラオスの吸血鬼「すまねぇすまねぇ!」

少女「いや、別にいいけどさ……用がないなら帰ってくれない?」

少女「羊を小屋に戻さないといけないんだ」

ラオスの吸血鬼「ふぅん、君って面白いね」

ラオスの吸血鬼「ねね、友達にならない?」

少女「えっ」

少女「あたしと友達に……? 初対面だろ?」

ラオスの吸血鬼「黙れ、私は君と友達になりたい」

少女「ぐっ……!」

少女(あの魔導師の持ってる杖、ボロボロだけど何か力を秘めてる気がする。ここは仲良くした方が得策か……)

少女「いいよ、仲良くしてやる」

ラオスの吸血鬼「やった!」

ラオスの吸血鬼「僕は、ラオスの吸血鬼と言ふんだ」

ラケル「あたしはラケル」

ラオスの吸血鬼「ラケルか、良い名前だね」



ラオスの吸血鬼「僕はラオス、君はラケル。どことなく似てるね」

ラオスの吸血鬼「どうだい? 二人で国でも創ろうよ。僕、神だしさ」

ラケル「面白そうじゃん、意味分からないけど同調しとくよ」

ラオスの吸血鬼「ではまず子作りからはじめようか」

ラケル「ちょ、待てよ! 待てって!」

ラオスの吸血鬼「なぜ拒むの?」

ラケル「あのさ、あたし達さ、友達なんだよね? それも初対面の!」

ラオスの吸血鬼「うん、そうだけど」

ラケル「まだ子作りの段階じゃないだろバカ!!!!!!!!!!」

ラオスの吸血鬼「だってぇ、君と僕だけでどうやって国を維持するのだい? 国家は人口ありきだよ」

ラケル「う……確かにそれは正論だけどさ」

ラオスの吸血鬼「天幕に上がらせてもらうよ」

ラケル「ちょっ勝手に入るなよこの腐れローブ!」

こうして、ラオスとラケルは結ばれた。

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