少女「いらっしゃいませ♪」(11)


男「ありがとうございます、ケーキセットとコーヒーで700円になります」

客「はい」チャリン

男「ありがとうございました!またお越しください!」


男「よし、今日はこれで閉店だな」

パタン…『Closed』


男「ふぅ、今月の売り上げはと…」カチャカチャ

男「光熱費に仕入れ、家賃…ぐっ、食材の値上がりが地味に効くな」カチャカチャ

カランカラン

少女「こんばんはー、ケーキ食べに来てあげたよー」

男「ああ、ショーケースの残り好きに食べていいぞ」

少女「あれ?イチゴのタルトは?」キョロキョロ

男「残念、売り切れだ」

少女「ふ~ん、作って」

男「ちょ!残り物で満足しろ!」

少女「へ~、そういうこと言うんだ~」ニヤ

男「ぐっ…中学生の脅しに屈する俺では――」

少女「おまわりさーん、この人がですねー」

男「――ただいまお作り致しますよ♪」


少女「まぁまぁかな」パクパク

男「そりゃ良かったな…つーかそろそろ許してくれよ、故意じゃないんだし」

男「お前が倒れてた所を助けただけだろ?」

少女「どうかなー?」

少女「男さん手つきがイヤらしかったもん、あと目つきと顔つきと体つきと手つきも」ニヤニヤ

男「手つき2回言ったぞ――って全部じゃねーかよ!」

少女「あはは。そういえばさ、男さんはアルバイト雇わないの?」

男「そんな余裕は無い」キッパリ


男「忙しい時間だけ手伝ってくれる奴はいるけどな。普段はそこまで忙しくもないしな」

少女「あんまり儲かってなさそうだもんね~」

男「まぁな、でも今月からはギリギリだけど黒字になったからなんとかなるだろ」ハハハ

少女「あ、なんか余裕だね?」

男「大人の男は余裕を醸し出すもんなんだよ」シュボッ…プハー

少女「あ~も~臭いな~、お客さんがいるのに!」

男「おいおい、お前からは一円も貰ったことが無いぞっ」

少女「お金ないもん」

男「ったく…ほら、コーヒーも飲むか?」

少女「うん、ありがとー♪」


少女「でもさ」

男「ん?」

少女「来月、そこの角のところに」

男「ああ、」

少女「新しいケーキ屋さん出来るよね?」

男「ぶはっ!!……マジで?」

少女「え…うそ!?知らなかったの?」


男「どどど、どど…どんな店なんだ?!」ガタッ

少女「ミラノがどうとか書いてあったけど…てか大人の余裕は?」

男「余裕のあるときしか大人の余裕は出せないんだ!」

少女「…余裕無いんだね」

男「よし、どんな店か見てこよう」タッタッタッ

少女「あ、あたしも行く♪」


少女「ここだよ男さん」

男「なになに…近日オープン予定……」チラッ

男(うおっ、アンティークなテーブルセットと照明に…店内も綺麗だ)ダラダラ

少女「男さん顔色悪いよ?…あ、店の中で何かやってるね」

男「店員か?どんな奴が来るんだ?」チラッ



少女「うわ~、メイドさんの服着てるね!店員さん可愛い人ばっかり」

少女「飾ってあるメニューも美味しそうだね」

男(美人ばっかりじゃね~かよ!それにメニューも本格的だな…)ダラダラダラ


少女「男さん具合でも悪いの?」

男「ああ。喉が渇いただけだ。帰って完敗…じゃなくて乾杯するぞ」

少女「あ、じゃあもうひとつケーキ食べちゃおう」

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