化け物と言われた者達(45)

ホギャーーッ!
ホギャーッ!

小さな小屋に可愛らしい鳴き声が響く
母親「……かわいい」ゼエゼエ

乳母「ほら、元気な女の子……ヒャァッ!!」

母親「どうしたの? 何かあったの?!」

乳母「ば、化け物じゃ……化け物の子じゃ!!」ガタガタ

この村にはとある言い伝えがあった

「満月の夜は化け物の魂がさまよっている」
と……

なので村の住人は満月の夜を避けて
出産していた

しかし____

不運な事にある一家は
満月の夜に子供を出産してしまった
父親・母親はそんなの迷信だと言い
乳母もそれを信じていた

しかし
ここに人間ではないナニカを
産んでしまった

赤ちゃん「ホギャァ! ホギャァ!」

母親「化け物ってどーいう事なのよ!! こんなに可愛い子供が……」

赤ちゃん「ホギャァ! ホギャァ!」

乳母「き、牙に 狼のような耳が生えておる……祟りじゃ! 化け物の魂がこの子に乗り移ったのじゃ!」

母親「……っ!」

父親「どうした? 何かあったのか?!」

母親「あ、あなた……これを」

赤ちゃん「……ホギャァー!」

父親「こ、これは……」

父親「……悪いことは言わない 今すぐこの子を森に捨てろ」

母親「え、何て事を……」

乳母「そ、そうよ こんなうすっ気味悪い子供捨てた方が身の為よ!」

父親「子供を貸せ」

母親「嫌です」

父親「いいから貸せと言ってるんだ!」バッ

母親「い、いやっ!」

乳母「ま、落ち着いて二人とも! 気が動転してるから 明日ゆっくり話し合いましょ? ね?」

父親「……そうだな」

深夜の2時頃_____

父親「……(明日になったらアイツも落ち着くだろう)……」

母親「……(このままじゃこの子供はいずれ殺される それだけは)……」

ガバッ

父親「……何処へ行く」

母親「トイレに……」

父親「……ああ」

母親「……」

母親「もし殺されるなら この子と一緒に私が死んだ方が寂しくないよね」

赤ちゃん「」スピー、スピー

母親「うふふっ……可愛い」

ガラッ

父親「……?! おい!何処へ行くんだ! 待て!」

母親「さようなら……あなた」

父親「は、速まった真似はよせ!」

母親「……」ダッ

父親「ま、待ってくれ……」

母親「……」ニコッ

母親が死に場所についた
そこは村で一番高いと言われる
谷だった

父親「よせ、やめろ……」

父親「やめろーっ!!!」

母親「」バッ

子供を抱え 万年の笑みを浮かべる母親

ベチャッ

嫌な音が鳴り響く

父親「そ、そんな……」

母親は息絶えピクリとも動かない

父親「……っ!!」

しかしそこに
生きていた赤子がいた
いや、母親は赤子を守るように体で包んで飛び降りた
そのとき親の体がクッションになって助かったのであった

父親「……」ザッザッ

父親は赤子を拾い
自分の家へと帰っていく
今母親の死体を拾うと
ハイエナや狼に襲われるかもしれないからである

父親「……おまえなんか」

日が昇り 村で小さな会議が開かれた

ザワザワ……

ガヤガヤ……

父親「残念ながら、まだこの子は赤子だ だから誰かが乳を与えてくれないか」

昨日の母親が飛び降りた事も含め
村人はザワついていた

村人「どう見ても普通の赤子にしか見えないけどなぁ」

村人「お、俺は見たんだ 昨日の満月の夜 牙や耳が生えていた」

村人「そうだ! 赤子のフリをして俺達を食おうとしてるんだ」

父親「……誰でもいいからこの子を育ててくれないか」

村人「あんさん頭おかしいんじゃねえの? そいつは化け物だぞ!」

父親「……」

父親「この赤子を10になるまで育ててくれればそれなりの報酬はする だから……頼む!」

必死に頭を下げる

村人「自分が育てるよ」スッ

父親「!」

村人「おい、オカン何してんだよ! 俺こんな奴嫌だよ!」

村人「黙りな!」ポコッ

村人「いてっ! 何すんだよ!」

父親「なら……頼む」

村人「ああ」

そして7年の月日が流れた
===
==

村人「ほら、さっさと水汲みな! ぽけーっとするんじゃないよ!」

夜美「……はい。 おばさん」

私の名前は月風夜美
つきかぜよるみ
私は何も悪いことしてないのに
隣の子供などに
「おい! 化け物!」と呼ばれる
石を投げてきたり
水などを掛けられた事があった

何故?
何故顔も知らないお母さんは私を産んだの?
ねえ、何故なの?

村人「何しとるんだい! 早く運びな! 飯抜きにするよ!」

夜美「は、はい!」ダッ

村人「今夜は満月だねぇ」

夜美「……!」

私は満月が近くなるとうずうずする
いや、毎日夜になったらうずうずしていた
たまにはしっぽが生えてきたり
獣の耳が頭の上から生えてきた
それで毎回化け物呼ばわり

だから私は満月が怖かった

ガラッ!
村人「て、てえへんだ!」

夜美「!」

村人「なんだい 一体」

村人「俺達の仲間が……化け物に喰われた!」

村人「なんだって! そりゃあ!」

夜美「えっ?!」

村人「夜美 行くよ さっさと靴をはきな……トロいねぇアンタは」

夜美「す、すいません……」

ガヤガヤ……
ワイワイ……

村人「よっと」

村人「今回話し合うのは 夜美の処分じゃ」

夜美「え?! 私 関係ないじゃないですか!」

村人「化け物が近くにいるなんてもう嫌だ! 今すぐ処刑すべき!」

村人「でもまだ子供だぞ……人を襲えないじゃないか」

村人「大人になったら絶対我々を襲うに決まってる!」

夜美「……」

村人「まて、この子の処分は 多数決で決めようではないか」

村人「うむ……それも悪くない」

投票
=======

村人「投票結果……72人が生きらせる 183人が 処刑じゃ」

村人「やった! これで化け物が消える!」

夜美「……そんな」

大多数が私の事を嫌いだって言うの?
やっぱり私は
いくら頑張って生きても
{化け物}なの?

夜美「いや、離して!」

私はまだ死にたくない!!

村人「押さえつけろ! まだ子供だ! 大人が何人か押さえればいける!」

夜美「離して! 離してよぉ!!」ギリッ

ガタッ
ドン!!

ドアがいきなり破壊される
そこに居たのは
普通の男の子であった

??「……」ニコォ

村人「だ、誰だおんめぇ」

??「その子を放せ」

村人「こ、こいつも化け物か?!」

??「そうだよ」

村人「こ、殺せ! 押さえつけてこの子供と一緒に処刑しろ!」

??「物分かりが悪いなぁ……」

村人「捕まえろー!」

??「……」

ブチッ

飛び散る血しぶき
人間の足がぼとっと
落ちていった

4:00くらいから
再開します

村人「う、うあああああ!!」

??「あ、やっちまったze☆」

夜美「……ひっ!」

??「何ポケーとしてんの? 早く来いよ 殺されるぞここにいたら」

夜美「は、はい!」ダッ

村人「あ、逃がすな!」

村人「足がぁ……足がぁ!!」

村の北のはずれにある森
そこまで私は 自分を救ってくれた誰かと
逃げていた

??「ふぅー……おつかれ」

夜美「あ、どうも」

??「それより、君の種族は何なの?」

夜美「へ?」

意味が分からない
何を言ってるのやら

??「ほら、能力だよ能力」

??「だーかーらー種族だよ」

夜美「……?」

??「ああ、もうしょうがないなぁ……はい」

ドサッ

夜美「え? 何この本」

??「簡単に説明すると……化け物、いや 妖怪百科事典かな」

夜美「妖怪百科事典?」

??「ああ、もう…… いいから開いてみな」

少しカビ臭い本を私は開く事に……
そこには

夜美「吸血鬼に……狼男に……オイテケ……人狼?」

??「俺は狼男だよ」

夜美「さっぱり」

??「……」

ザッ

???「やっぱ一から説明する必要がありそうだなこりゃ」

??「あ、来てたの?!」

???「来てたのじゃねーよ白玉 お前……今日村人にケガさせたろ」

白玉「あ、あれは事故というか……」

???「言い訳は聞かん 3日間 飯抜き 自分で探せ」

白玉「ええええええ?!」

キャラ紹介
はくれん たまず
「白冷 玉頭」

性格は温厚
種族は狼男

ちなみにみんなからは白玉と呼ばれてます

白玉「詳しいことはそこのおっちゃんに聞いて」

夜美「は、はあ……」

???「満月の夜に化け物の魂が浮かんでいるってのは知ってるか?」

夜美「はい」

???「何故満月の夜だけだと思う?」

夜美「さあ」

???「それはな、この村を囲ってる鳥居にあるんだ」

村には村を囲っているような
4つの鳥居があり
北・東・西・南と
分かれている
村を出ようと思うと
必ず「鳥居」から出なければ
村から出れないという
謎の結界が村を囲っている

今日はここまで

しかし 一度村を出たら
{二度と}村に戻ることは出来ない
理由は不明

???「この村にある4つの鳥居はな{地獄}{天国}{異世界}{森}に通じているんだ」

夜美「……それで化け、妖怪とはどんな関係があるんですか?」

???「その鳥居はな、満月の時のみ全ての鳥居が{地獄}に変わるんだ」

夜美「えっ……」

???「ここまでは俺の推測だが……地獄から出る悪霊な{何か}が生まれた赤子にとりつく……という所かな」

???「そこから妖怪になる……かな」

夜美「そんな事が有り得るなんて……」

???「実質、俺達がそうじゃないか 満月の夜産み落とされ化け物呼ばわり」

夜美「私あの鳥居を1回出た事があるんですけど、地獄とかそんな感じ?は無かったですよ」

???「それは時間帯と場所だな」

夜美「え?え?」

???「時間は夜でないとあの鳥居は効果を発揮しない それに鳥居が見える場所だと効果を発揮しない」

夜美「何故、その鳥居はここにあるんですか? それが無かったら私はこんな姿にならなかったのに!」

???「鳥居の事をこの村で一番知ってる俺だってそこまでは解らない」

夜美「……」

???「ただ、鳥居の作った人物は……人間でも化け物でもない 」

???「神なのかもしれない」

夜美「へぇ~え(あれ?話ズレてきたね?)」

夜美「あ、あのすいません 私の妖怪の種類は?」

???「ん~ 俺が見たところ白玉と似てるなぁ……多分、{人狼}だと思う」

夜美「……人狼?」

???「ああ。 夜になったら まあ、うん」

夜美「あ、そうなんですか」

夜美「これからどうしよ……」

???「俺達の仲間になんねえか?」

夜美「えっ?!」ピクッ

???「食料の心配は無いし たまには……いや、やめとく 教えない」

夜美「え?何それ?」

???「……」ピュッピュピュ~

夜美「教えろよテメエ」イラッ

???「仲間になる?」

夜美「もう……いいよ」

彪支眼「じゃあ、仲間になった所で自己紹介だ俺の名前は彪支眼京核」

彪支眼「略して怪しめのオジサンだ」

夜美「」ブッ

彪支眼「じゃあ、ついてきて」

夜美「はーい(隠し部屋? いや、洞穴……木の上とかもいいね)」

あやしめ きょうかく
「彪支眼 京核」

年齢は32くらい
左目が塞がっているため
ちょっとイカツい印象だが
性格は結構温厚
ただ、自分の{大切な物}を傷付けたり 壊したりすると
たちまち怒りの形相へと変身する
妖怪の種類は未だ不明

今日はここまでです

南の鳥居付近にて……

彪支眼「おーい、今帰ったぞ~」

白玉「おかえり~オッサン」

??「おかえり~」

彪支眼「白玉……オッサンは止めろと言っただろう」

白玉「うぇいwww無理www」

夜美「……なにここ」

普通の民家じゃねーか!
必死に妄想や想像を膨らませた私がバカだったよ

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