注:屋外での性行為描写・軽い人格崩壊あり。Pは出てこず、美穂ちゃんがアイドルになる前の舞台設定です。
お気分を害される方がいらっしゃいましたら、ブラウザバックを強く推奨いたします。
降りしきる雨の中。私は彼と並んで二人、傘もささずに、学校から歩いて帰っていた。
生まれた時から隣の家、同じ学校、同じクラス。ひとには、腐れ縁だとよく言われる。
ありがちな少女漫画のように、恋愛感情とかはなかった。友達以上、恋人未満。
改めて考えてみると、客観的に観ないでもやっぱり腐れ縁だった。
そんな彼と、何処からかわいてきたのかもわからないアンニュイな気分に身をゆだねて、傘もささずに歩みを進めていた。
よくある夏の雨。むせかえる程のペトリコール、薄灰色の汐の薫り、風に乗る松の木のフィトンチッド。雨に濡れたシトラス。
今日は心なしか交わす言葉も少ない。しとしと、といった感じからすこし強く降り始めた雨に邪魔されているのか。
もしくは.........深く考えるのはやめにしてしまった。午後四時。
駐車場。と書いて、ちかみち、と読む。
海沿いの開けた土地、だだっ広い駐車場。四、五台、車がぽつん。人は居ない、駐車場。
ここから駐車場を斜めに突っ切れば、私たちの家がある路地へ入る。
他愛もない話と、エッセンス一滴を舌で感じながら、アスファルトの海を渡る……
なんとなく、白線を飛び越しちゃったりしながら。
前を見たら車があって、少し左へ避けたり。
ぶつかった肩からは、青春の味がした。
ほどほどに長い航海を終えて、いよいよ駐車場を出た先の通りへつく。じきに、私たちの家も見えてくるだろう。
たのしかったな。
そうやって、今日も今日を締めくくろうとした。
ふわり。
ぺと。つめたい、あたたかい。私を少し乱暴に包み込んだ、彼の腕と身体。荒い息。高鳴るあなたの鼓動、速くなる私の鼓動。
瞬間、心臓が止まった気がした。ぼそり、彼がつぶやく。
「美穂が、悪いんだ。」
濡れて透けていた薄菫色のブラジャーに、私は気づけていなかった。そして、彼の腕がゆっくりと離れていく。
「脱げ。」
とん。と、言葉が心を撃った。
色づいた、荒い私の吐息。
唾を飲み込み、ボタンに手をかける。
降りしきる雨の中。
しとどに水に濡れた私は………
おかしくなってしまっていたのかもしれない。
はらり、ブラウスが落ちる。頬は林檎のように真っ赤。ちらりと彼を伏目がちに見た。
少しよろめきながら彼が迫ってくる。手をつないで、後ろ向きに数歩。まわりはセメントの塀で囲われた。
広い駐車場、その片隅。重なった二人。
ブラジャーを捲り上げられて、ほんのすこし、甘い声が漏れた。それから、口がふさがる。
キス。ファーストキス。あげちゃった……♡
息苦しさのあと、目がとろん。
ああ、はしたない顔しちゃってるなあ。きっとすっごくえっちなお顔しちゃってるんだろうなあ。
おまたに水がはりついてる。これは雨なの?それとも………きっと、「それ」なんだろうなあ。
ああ、わたし、どうなっちゃうのかな。
私たちの戯れにはこれからがあるってこと、ちゃんとわかってる。膝が少しずつ震えだしてる。
桃色の息を吐くたび、甘い声がどんどん交じってゆく。
キスだけで何度もイッたみたい、それなのに、快感と感度は増していくばかり。
もっとすごいこと……しちゃうんでしょ?ああ、わたし、もうこわれちゃうのかな。でも……
こわされちゃっても、いいかな。
私の中に、挿入ってくる。肉をおしのけて、膣を拡げて、侵入ってくる。
それでも、体と本能は拒まない。苦しい。きつい。きもちいい。あああ。
処女膜が破れた痛みなんて、とうに掻き消えた。ふああ、ああ。
未だ一つの抽迭も無い、どころか挿入っている途中なのに、絶頂がとまらない。
それに呼応するかのように、大きな声で私は啼く。
ここが屋外だなんて構わず、自分が快楽の渦の中に居ることを高らかに叫ぶかのように、大きく啼く。
それさえも、雨の音がかき消す。
彼のさきっぽが子宮を叩き、意識が遠のく。
倒れそうになった瞬間、さっきまで私の奥深くまで入っていたものが一気に抜けていく感覚がした。
絶頂とともに、こちらの世界へ再び引きずりこまれた。何が何だか分からないでいると、一突き。
「おぉ゛ぁあ゛っっ!!♡♡」
なんてはしたない声。これじゃ、へんたいさんみたい……
そっか。もうわたし、へんたいさんにさせられちゃったんだね。
それならしかたないよね。もうなにも気にしなくていいんだ。
たくさん、たくさん、きたない喘ぎ声だっどんどん出しちゃって。
なんどもなんどもイかされちゃってもいいんだよね。
ああ、あああ゛、きもちいい、きもちいいよお♡♡♡♡・・・
そこからは、ただ朦朧としていた。
彼は雄、私は雌。オスの逞しいおちんちんに屈服した私は、彼のなすが儘に蹂躙されることしかできない。
しまいには、快楽を受け止めて叫び続けるだけの人形になり果ててしまった。何度イったかなんて数え切れない。
激しい上下動。訳も分からず叫び続ける。
声はとっくに枯れ果てても、おなかの中のわたしの心はきゅんきゅん鳴きつづけている。
結局のところ、私にはもうあなたを求め続けるしか能がないんだ。
このまま、堕ちるところまで堕ちきっちゃおう――もう、堕ち切っちゃってるのかもしれない、けど。
少し時間が経って、彼が私を抱きとめる力が急に強くなった。
おどろいて突然意識がはっきりした私は、一瞬の間だけ、訝しむ猶予を与えられて………電撃が走った。
はいってる。注がれてる。溢れてる。
子宮の中に容赦なく浴びせられる銃弾から発せられる電流が、私の中を駆け巡る。
その衝撃に耐えきれなかった私は、ついに気を失って、その場に頽れた。
ぺち、と頬を軽く叩かれる感覚で、意識を取り戻す。彼が、ばつの悪そうな顔で私を見ていた。
かすんだ瞳で状況を理解しなおした私はまだ少し荒い息のまま、赤ら顔で制服を着なおす。
そうして砕けた腰をなんとか上げて、彼と肩を組んで二人その場を去った。
途中後ろを振り返り、雨に洗い流される白と赤の混じった液体を、少し名残惜しい目をしながら、じっと眺めていた。
おわりです。独善的な愛は美しい。
仕事の合間に一時間で書き上げた3000文字にも満たない短々篇の上、初めてのSSなので至らない点も多々在ると思います。
最後まで読んでいただけて幸いです。HTML化依頼してきます。
そうですよね…自分の中でのキャラクター造形が美穂なのでそのまま美穂で書き上げましたが、加筆すればオリジナルでも違和感のない作品であると読み返して感じます。
キャラクターとしての魅力をより引き出せる作品を心がけて参ります。
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