【安価進行】ダンガンロンパ・パラダイス【オリキャラ】 (1000)

・このスレはオリキャラによるダンガンロンパ風の安価スレです。
ダンガンロンパ1・2、絶対絶望少女のネタバレがあるかもしれません。

・キャラメイクはありません。

・安価や選択肢やコンマなどによってクロや被害者が変動しますが、特定のチャプターや人物によっては役割が固定されている事もあります。

・いろんな作品から影響を受けています。


では始めます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438518951




――――――。



白い砂浜。

マリンブルーの海。

カラッと照り付ける強い日差し。

肌を撫でる柔らかい南風。


隣で倒れている女の子。





これが僕の記憶の始まり、その全てだった。



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            ダンガンロンパ・パラダイス

                PROLOGUE

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状況を整理しよう。

僕はこの場所がどこかを知らない。隣の女の子についても見覚えが無い。
このような場所にいる経緯を覚えていない。さらには自分の事について考えを巡らせてみても何も浮かばない。


つまり僕には記憶が全くない。原因は分からないがそういう事だろう。


 「………………」

今の状況から分かるのは、僕と彼女は制服を着ているので学生だろう、というのがせいぜいだ。
周囲を確認して気になる事と言えばヤシの木になぜかモニターと、カメラが設置されている。

自分の服装を改めて確認する。
白いシャツの上にブレザータイプの制服を着用、ネクタイも締めていた。およそ海に合う服装ではないだろう。
ボタンや服から校章らしきマークを見つけたが、特に思い当たる事は無い。

ポケットを探ると……何か感触がある。
取り出すと入っていたのはPDAかスマートフォンのような機器だった。

機能的でシンプルな印象ながらデザイン性も意識されている事がうかがえる。
電源ボタンらしきものを見つけそのまま押すと、端末が起動し画面が表示された。



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 【生徒情報】                   KIBOUGAMINE GAKUEN
                                  電子生徒手帳

           『佐山 樹 / サヤマ イツキ』


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画面には電子生徒手帳と表示されている。
その上に映っている文字は、キボウガミネガクエン……希望ヶ峰学園か?




私立希望ヶ峰学園とは――。


都会の一等地に巨大な敷地を誇る、政府公認の超特権的な学園。
各分野の超高校級の才能を持った生徒を集め、次世代の希望へと育て上げる事を目的に創立された。
国内で最も有名かつ大規模な学園と言っていいだろう。

その入学資格は二つ。
現役の高校生であること。そして各分野において超一流であることだ。

服に入っていた以上、この手帳が自分の物である可能性は高い。
入学した経緯は覚えていないが、僕は希望ヶ峰学園の生徒なのだろう。

とすれば中央に表示されている名前は、本名を指しているはずだ。
そのはずだが……


 「佐山、樹……。…………」


聞き慣れない名前を反芻してみても、記憶に響くものはやはりなかった。



━━【超高校級の???】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


            『佐山 樹 / サヤマ イツキ』


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 「う、んん……」


近くから声がする。考えるまでもなく隣の女の子からだ。
意識を取り戻しかけているのかもしれない。

今一度、彼女の姿を確認する。
やや小柄で制服とスカートを着ている、ただし希望ヶ峰学園の制服とは違う物だ。
髪型は黒色のツインテール。他に特徴をあげるならピンクのヘッドホンを首にかけている事か。

一人ではこの状況を把握するにも限界がある。起こした方が良いだろう。


 「うーん、もう食べられないよ……」


………………。

一瞬ためらったが、呼び掛けてみる事にした。


佐山「君、起きたまえ。大丈夫か」

 「……うん? んー……んん?」



 「……はっ!」

目を開いたと思った瞬間、彼女は勢いよく起き上がった。
驚いたような表情を浮かべながら周りを見回している。


 「ここはどこ? 私は誰?」

佐山「何?」


今の発言、彼女も記憶がないという事だろうか。
だとすればこの状況、かなり奇妙な事が考えられ

 「ああそっか、さっきまで教室にいたんだった。私の名前……うん、覚えてる。ほっぺたつねってもちゃんと痛い!」

佐山「……それは何よりだ」

展開していた思考を打ち切る。彼女には記憶があるらしい。

 「? あなた誰?」

彼女がこちらの姿を認めた。
手帳にあった名前が僕のものとは限らないが名乗っておくべきだろう。

佐山「僕の名前は佐山 樹……おそらくはだが。君と同じようにこの砂浜で」

 「あ! すっごーい、海だ! グアム? ハワイ!?」

いつの間にか彼女の視線は海に向けられていた。

佐山「……話を続けてもいいだろうか」


 「え、うん。佐山クンだっけ? よろしく!」

 「私も自己紹介するね。未々咲 愛(みみさき まな)って言います。『超高校級の幸運』でっす!」



━━【超高校級の幸運】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


           『未々咲 愛 / ミミサキ マナ』


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彼女はなぜか嬉しそうな顔で続ける。

未々咲「ふっふっふ。『超高校級の幸運』っていうのはね、実は……」

佐山「私立希望ヶ峰学園は毎年、入学者の一枠を全国の平均的な学生の中から抽選しており、その抽選に当たった者は幸運の才能を持つとされ『超高校級の幸運』として入学する」

佐山「という事は君は希望ヶ峰学園の生徒なのか」

未々咲「あー! ひどいよ、説明して自慢したかったのに!」

何がひどいのか。まったく分からない。

未々咲「いやー、でもホントラッキーだよね。まさかあの希望ヶ峰学園に入学できるなんてさ」

未々咲「ていうか佐山クンもそうなんでしょ? その生徒手帳、さっき教室で配られてた物だよね」

未々咲「どんな才能なの? やっぱり見た目的に超高校級のうんちく王とか?」

僕は他人の目からどう映っているのだろうか。非常に気になる。

佐山「すまないが僕は自分の才能を覚えていない。というより自分の事もここに来た経緯も何もかも分かっていないのだよ」

未々咲「え? それって」

佐山「おそらく記憶喪失、というものだろう」

未々咲「ウソ、記憶喪失? めっずらー。いいね!」

未々咲君が親指を立ててこちらに向けてくる。
何がいいのか。まったく分からない。

佐山「この手帳はさっき配られたと言ったね。なら僕達は入学してまだ間もないという事か」

未々咲「ホントに覚えてないんだ。今日は入学式だよ」

未々咲「さっきまで教室にいて、確か教室には他の人もいて、自分の机の上に生徒手帳が置かれてて、それで……」

佐山「それはおかしい。希望ヶ峰学園は都会の中央に位置しているはずだ」

佐山「僕達はこの砂浜で気を失っていたのだよ。さっきまで教室に居たという状況に繋がらない」

未々咲「よく分かんないけど。いきなり教室の壁が倒れて、そしたら外はもう南国!だったんだよ」

……彼女は何を言っているのか。

未々咲「私、急に強い日差し受けてクラッときちゃって。貧血かなあ。昨日の夜は緊張して眠れなかったんだよね」

それでさっきまで気絶していた、正確には熟睡していたのだろう。

未々咲「佐山クンが倒れてた理由は知らないや。そういえば他の人達どこ行ったんだろ?」

教室からこの砂浜に来た経路がはっきりしないが、未々咲君もその答えを持っていないようだ。
まさかとは思うがその教室とは、彼女の想像上の存在に過ぎないのではないだろうか。

 「……あ。起きてる」

後ろから不意に声がした。
振り向くと、ニット帽をかぶった女子生徒がこちらに近づいてきていた。
制服とスカートを着用しているが、未々咲君のとはまた違うものだ。

未々咲「あっ。あなたも希望ヶ峰学園の入学生?」

 「そうだけど……。大丈夫? さっきまで倒れてたでしょ」

未々咲「うん、貧血っぽかったけどもう大丈夫。むしろ血が有り余ってるカンジ!」

 「わあ元気。君は大丈夫?」

記憶を失くしている以上健常とは言えないのだろうが、それ以外に身体に目立った支障はない。

佐山「丁度目を覚ましたところだ。僕達が今どういう事態に陥っているのかを教えてくれないか」

 「陥ってるって大げさだなぁ。私達はテロリストに拉致でもされたの?」

佐山「いや……。本当に分かっていないのだが」

未々咲「佐山クンは、あ、この子は佐山クンって名前なんだけど。頭が今、悪いんだって」

佐山「……記憶喪失だ。自分の事とここにどうやって来たかが思い出せない」

 「え、そうなの!? そりゃまたなんていうか……ゴメン? そういう事なら説明するよ」

未々咲「ちなみに私は未々咲愛っていうんだ。幸運の才能です!」


 「そだね、まず自己紹介からか」

 「私は児玉 和音(こだま かずね)、彩華女子高校って所で吹奏楽部の部長やってたんだ。よろしくね」



━━【超高校級の吹奏楽部】━━━━━━━━━━━━━━━━━━


           『児玉 和音 / コダマ カズネ』


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未々咲「彩華女子って聞いた事あるかも」

佐山「全日本吹奏楽コンクールにおいて金賞の常連校だ。吹奏楽部としては日本一と言っても過言ではないと聞く」

彩華女子高等学校吹奏楽部は部員数150人以上を誇る強豪校だ。
あらゆる楽器の扱いに長ける彼女はその頂点に立つ存在で、リーダーシップを発揮しその大人数を束ねている。
先輩後輩問わず慕われ、クイーン・カズというニックネームで呼ばれる事もあるそうで、…………。


など、児玉君について知っている事を説明すると。


児玉「お、おおう……」

未々咲「佐山クン、もしかして女子高生マニア?」

なぜ二人からそんな眼差しを向けられているのか。さっぱり分からない。
何か記憶に繋がらないかと、思い当たる事を言っているだけだ。

児玉「てかよく知ってるね……本当に記憶喪失?」

佐山「記憶は無くとも知識は残っているようだよ。先程、生徒手帳を確認した時も希望ヶ峰学園の事については知っていた」

未々咲「やっぱうんちく王の才能なんだよ! ちょっと引くけど」

児玉「まあ、ちょっと……。私のストーカーとかじゃないよね?」


………………。

希望ヶ峰学園に選ばれた生徒は掲示板に専用のスレッドが立つほどの話題性がある。
もしかすると僕は入学するにあたって新入生の事を調べていたのかもしれない。

少なくともストーカーではない……はずだ。間違いない。

児玉「まーいいか。今の状況何も分かってないんだっけ。教室に居たのは覚えてる?」

佐山「教室……いや。ただ教室の壁が倒れたらすでにこの場所に居た、というのは未々咲君から聞いたが」

未々咲「そうそう。合ってるよね?」

児玉「うん……。なんていうか、希望ヶ峰学園もよくやるよね」

言葉の意味を量りかねていると、彼女は生徒手帳を取り出した。

児玉「ホラこれ」

彼女が端の方を指でタップすると画面が切り替わった。
表示されたのは……


佐山「……『しおり』?」

未々咲「『この度の修学旅行の注意事項をご確認頂けます。ルールを守り、楽しい時間を過ごしましょう』、って書いてある」

児玉「そう。これって、新入生に向けた希望ヶ峰によるサプライズ修学旅行なんじゃない? ってのがさっき皆で話し合った結論なんだけど」



……修学旅行、だと?

未々咲「入学式の前に修学旅行!? しかもこんな南の島みたいな所で!?」

児玉「ページにはまだその注意事項ってのは書いてないけど、後で説明があるんだと思うよ」

佐山「待ちたまえ。だとしても教室からこの場所に出たという話は、やはりおかしい」

児玉「私も思ったけどさ。誰かが催眠術かもって言ってたよ。確かプロファイラーの人だっけ」

児玉「教室に入ったとき違和感があったから、そのときにかけられたんじゃないかって」

記憶を失っているため、教室に居た時の事は判断がつかない。
催眠術をかけられてその間に移動させられたという事か?

未々咲「すっごい! スゴイよ! 入学式の前に修学旅行って、お盆すっ飛ばしてクリスマスと正月が来たみたいじゃん。さすが希望ヶ峰!」

児玉「そりゃめでたいねー」

……気にしているのは僕だけなのか。

児玉「いまは皆バラバラにこの島調べてるとこ。誰かが君達の様子を見てた方がいいって事で一応私は残ってたけど」

未々咲「皆って、新入生は全部で何人いるの?」

児玉「ここにいるのは君達を入れて16人だよ。あ、紹介なんだけど先に私達だけで簡単にだけど済ませちゃった」

未々咲「じゃあ私も挨拶しにいこっと。どんな人がいるんだろう、楽しみ!」

児玉「それがいいよ。未々咲ちゃん面白いし、私も着いていこうかな」

未々咲「やった! カズちゃんよろしくね!」

児玉「おお、ぐいぐい来るね。じゃあ私も愛ちゃんって呼ぶね」

未々咲「オッケー! 佐山クンも一緒に行こうよ」

佐山「……ああ。僕も同行させてもらおう」


………………。

まだ腑に落ちないところはあるが、これ以上考えても進展は無さそうだ。
今は、同じ新入生であるらしいクラスメート達と面識を得る方が建設的だろう。
それにここがどういう場所なのかを把握したい。


児玉「まずどこから行こうか。建物に行けば誰かしらいるだろうけど……あ、そういえばさっき向こうの砂浜に一人いたっけ」

未々咲「じゃあその子からいってみよう!」

 《砂浜》


児玉君の後を着いていくと、砂浜に横たわっている人物が見えてきた。

未々咲「あれ。誰か倒れてるよ?」

児玉「あれは倒れてるんじゃなくてね」

近づくとその人物はかなり大柄な男子生徒であることが分かった。
背の高さから細身に見えるが、身体は筋肉質で引き締まっているようだ。

 「…………すー」

未々咲「もしかして……死んでる!?」

児玉「死んでない死んでない。もしもーし、起きてー」

 「……んがっ」

呼び掛けられて彼は体をゆっくりと起こした。
目をこすり、欠伸混じりにこちらの姿を見回している。

 「……お前ら、誰だ?」

児玉「おはよ。ほら、皆でいたとき気を失ってた人達がいたでしょ。さっき目を覚まし……」

 「……いや、お前も誰だ?」

児玉「私は紹介したじゃーん?」

 「ああ……。悪い、人の顔を覚えんのは苦手でさ」

児玉「……じゃあ名前は覚えてる?」

 「名前覚えんのも苦手で……」

児玉「才能は……」

 「それも苦手で……」

児玉「覚える気ゼロじゃん!」

未々咲「よかったー、私よりもダメそうな人達がいて」

……達?

児玉「もういいから、とにかく自己紹介してね……。一応言うけど、私の名前は児玉和音」


 「紹介? ああ……」

 「オレ……オレは神風 今日介(かみかぜ きょうすけ)。キックやってる」



━━【超高校級のキックボクサー】━━━━━━━━━━━━━━━━


         『神風 今日介 / カミカゼ キョウスケ』


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未々咲「キック?」

児玉「キックボクシングの事らしいよ」

神風「ああ。よく知ってんな」

児玉「最初の紹介の時、自分で言ってたよー……」


神風今日介……彼は、数多くの著名な格闘家を輩出している名門ジムに所属しているキックボクサーだ。
現役の高校生でありながらプロとしてデビュー、瞬く間にミドル級日本王者のタイトルを奪取した。
その才能と実績はまさに超高校級と呼べるものだろう。

というような事を、未々咲君が期待に満ちた目で「何か知ってる?」と聞いてくるので簡単に説明した。
……これからも誰かに会う度、知っていたら説明する事になりそうだ。

未々咲「未々咲愛っていいます。幸運の才能なんだ」

神風「未々咲、幸運だな……。分かった」

佐山「佐山樹だ、よろしく。今までの記憶を失っていて才能は分からない」

神風「佐山、記憶……がないと。え? 記憶ないのかよ」

佐山「ああ、残念ながら。原因も分かっていない」

神風「へえ。まあ気にすんなよ、オレも名前とか色々忘れるし。忘れちまった事なんてどうでもいいよなぁ」

記憶が無い事には左程あせっていないが、さすがにどうでも良くはない。

児玉「やれやれだね……」

未々咲「背でっかいねー。やっぱ毎日牛乳飲んでるの?」

神風「気分で飲む。でも飲み過ぎると減量だとかで怒られたな」

未々咲「そっか。私ももっと背高くなりたいなー」

神風「はあ。未々咲は体小せえからか」

未々咲「それ失礼だよ神風クン! 初対面なんだから言葉には気をつけようよ!」

神風「悪りぃ悪りぃ」

………………。

児玉「物凄く何か言いたそうだけど大丈夫?」

佐山「……気のせいだろう」


神風君と紹介を済ませた。
おおらかだが、かなりマイペースな性格のようだ。

児玉「これで神風君はよしと。次の場所行こっか」

未々咲「うん。私達、他の人にも挨拶いかなきゃだからまたね」

神風「おお。オレはもう少し寝るかな」

児玉「また寝るんだ……」

未々咲「やっぱよく寝ると大きくなるのかなー」

……というより彼もクラスメートの名前をもう一度確認しに行った方がいいのでは。



電子生徒手帳はこの島の地図を表示できると児玉君が説明してくれた。
どうやらここは小さな島のような場所らしい。橋から別の島にも行けるようだ。
『1番目の島』と表示されているが、まさか地名ではないだろう。

この島には『空港』、『ロケットパンチマーケット』、『ホテル』、『牧場』、そしてここ『砂浜』などの場所や施設に分かれているようだ。
近くにある施設から順に巡っていく事にした。

 《空港》


広いロビー、スーツケースが流れているレーン、そして窓の外には飛行機。
ここは空港らしい。だが従業員や観光客の姿は見えない。
天井から『Welcome to Paradise ようこそ楽園へ』と書かれた幕が吊り下げられている。

楽園、か。
歓迎されているのか、それとも……


未々咲「飛行機だ。て事はやっぱりここって南の島だったんだ!」

未々咲「あれ? でもそういえば私パスポートって持ってないよ」

児玉「じゃあ国内? それとも希望ヶ峰学園の私有地って事?」

佐山「そもそも飛行機に乗った記憶はあるのかね」

児玉「無い、ね……。いつの間にか連れてこられた?」

未々咲「その時に起きてなかったのはちょっともったいないかも。人生初飛行機だったから絶対楽しんでたよ私」

……そういう問題だろうか。


ロビーには二人の人物が離れた場所にいる。
服装からしてここの従業員ではない。僕達と同じ新入生のはずだ。

どちらから話しかけようか。


安価↓
1.奇抜な髪の色とメイクが特徴的な長身の男子生徒
2.戦隊物のフルフェイスメットを被った生徒

選択 2.戦隊物のフルフェイスメットを被った生徒


未々咲「あのヘルメットの人……気になる!」

彼女が目を付けたのは、フルフェイスメットを被っている人物だった。
そのデザインはバイク用品のようなものではなく、まるで特撮物の戦隊ヒーローのようだ。
服装は白いシャツに赤いネクタイ、その上に橙色の上着……これまた特撮物の地球防衛軍のコスチュームを連想させる。


未々咲「ハロー! 私、未々咲愛、超高校級の幸運でーす!」

 『……!』

児玉「ちょっといいかな? この子達に自己紹介してもらいたいんだ」

 『ニューフェイスですか! ではこちらも挨拶で応戦します!』

電子音混じりに大声が聞こえる。
どうやら被っているのはただのヘルメットではないらしい。

勢いよく敬礼の構えを取るとその人物は言い放った。


 『ウルトラン防衛隊所属予定、都村 美弥子(つむら みやこ)隊員であります!』

 『本部! ウルトランホークの出動を要請しますっ!』



━━【超高校級の特撮マニア】━━━━━━━━━━━━━━━━━


         『都村 美弥子 / ツムラ ミヤコ』


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未々咲「それ何のコスプレ? 気合い入ってるねー!」

都村『未々咲隊員! これはコスプレではなく来たるべき将来に備えたウルトラン防衛隊の正装ですよ!』

都村『ちな自作です!』

児玉「ちなみにどころかそれが一番凄いと思う……」


名前からも分かる通りこのメットの人物、都村美弥子は女子高生だ。
特撮作品の魅力にとりつかれ、超人ヒーロー、戦隊、怪獣、ライダー等、ジャンルを問わずあらゆる関連グッズを収集している。
そして彼女自身も製作活動を活発に行なっており、作品の完成度の高さからその筋に出回ればかなりの高額で取引されるそうだ。

まさに彼女の情熱は、超高校級の特撮マニアと言うにふ

都村『もっとも好きな作品は『超人ウルトラン』を初めとした作品群であるウルトランシリーズ! これだけは譲れません!』

都村『しかし、しかしっ! 『マスクドライダー』も捨てがたいっ……! くうう、あな甲乙つけがたしっ!』


……超高校級の特撮マニアと言うにふさわしい。

都村『ところでそちらの聡明そうな御仁は?』

佐山「紹介が遅れてしまったが、僕は佐山樹という。訳あってここに来る前の記憶を失くしている」

都村『なんと記憶を? うーむ、佐山隊員の人生は波乱万丈ですな!』

佐山「……目覚めて十数分ほどだがそう思うよ」

未々咲「ねえねえ、そのヘルメットってどうなってるの?」

都村『よくぞ聞いてくれました未々咲隊員! これは猫戦隊ニャートルズ、イエローのメットなのであります!』

都村『被ればニャーイエローの声も完全再現! 完全セルフメイドっ!』

児玉「これも自作って凄いね。こだわりなんだねー」

未々咲「私も被ってみたい! ダメ?」

都村『是非とも! と! 言いたい所ですがダメです! あな口惜しっ!』

未々咲「そっかー、残念。ところで佐山クン」

未々咲「ニャーなんとかって何?」

佐山「……都村君に聞きたまえ」

都村『語りましょうとも! 夜が明けるまで!』

児玉「それは後にしようか。自己紹介の途中だし、まだお昼だし」


都村君と紹介を済ませた。
趣味に熱狂的なようだが、長く話していると耳が痛くなりそうだ。

次に話しかけに行ったのは長身の男子生徒の方だった。
髪の色やメイク等の特徴的な見た目はヴィジュアル系ファッションと言われるものだ。

未々咲「どうも!」

 「なんだお前達……。さっき倒れてたヤツらか」

児玉「目を覚ましたから自己紹介で島を回ってるんだ。てな訳でどうぞ」

 「フン、紹介するまでもねーだろ。まさかオレの事知らないワケじゃねえだろうし」

未々咲「あ、この人なんか見た事あるかも」

彼の頭がガクッと下がった。

 「オイ……」

佐山「…………。新入生の佐山樹だ。実は記憶を失くしてしまっている。すまないが紹介してもらえるとありがたい」

未々咲「そうそう、そうなんだよ。紹介してあげて? それと私は未々咲愛って名前で幸運の才能ね」


 「……チッ、そういうコトかよ」

 「オレはZEKE(ジーク)。『ハイパーボマーエアレイド』のギターやってるって言えば、分かんだろ」



━━【超高校級のロッカー】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


             『 ZEKE / ジーク 』


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未々咲「ああっ、『超爆』か! テレビで何度か見た見た! この前もMから始まるあの音楽番組に出てたよね!?」

ジーク「へっ、まあな!」

未々咲「でも私『セカロワ』の方が好き」

ジーク「ケンカ売ってんのかお前!」

児玉「落ち着いて落ち着いて。音楽の好みは人それぞれだし」


ZEKEこと彼は、中高生を中心に大人気の某ヴィジュアル系ロックバンドのギター担当だ。バンドの愛称は『超爆』。
斬新なパフォーマンスが売りのバンドだが一方でその音楽性も高く評価され、特に彼のギター演奏技術は超一流と言われている。
確かに僕達の年代では知らない人の方が少ないだろう。

ちなみに未々咲君が出した名前はこれまた若者に大ブレイク中のバンドの略称で……ここでは関係ないので説明は省く。

ジーク「なんだ、詳しいじゃねえか。オレ達のロックは一度聴いたら脳髄に刻み込まれるって訳だ」

児玉「佐山君って記憶はないけど知識はあるんだってさ」

未々咲「良かったねー、知ってもらえてて」

ジーク「なんかムカツクな、お前……」

未々咲「ちなみに本名はなんて言うの?」

ジーク「フン……。教えるつもりはねえ」

未々咲「むむむ。佐山クン、ヘルプ!」

佐山「それは僕にも分からない。知っていたのはさっき述べた事くらいだ」

ジーク「そもそも本名は公表してねえよ。残念だったな!」

児玉「まあいいんじゃない? とりあえずはジーク君って呼べばいいみたいだし」

未々咲「そうだね。大して知りたいワケじゃないし」

ジーク「……やっぱお前ムカツクんだよ!」


ジーク君と紹介を済ませた。
あまり友好的な態度ではなかったが彼の性格だろうか。未々咲君のせいかもしれない。

未々咲君が外にある飛行機を眺めながら質問する。

未々咲「ねえ、あそこにある飛行機って動くのかな。ジーククン知ってる?」

ジーク「フン……。無理だ。あの飛行機は全部動かねえらしい」

都村『私が調べましたが、どれも中のエンジンが抜かれておりました! あな不可思議!』

佐山「……抜かれているだと? 故障などではなく?」

児玉「な、何それ~……。すぐ帰れると思ってたのに、なんかすごく不安になってきたんですけどー……」

確かに不穏なものを感じる。
飛行機のエンジンが抜かれている、というのは明らかに作為的な異常だ。

ジーク「オレだってこの状況を把握してる訳じゃねえ。しかしよ、突然こんな事態になったっつうヤバ気な雰囲気……」

ジーク「……中々ロックな事になってきたんじゃねえか?」

そう言うと彼はニヤリと笑った。

これは本当に修学旅行……なのだろうか。



未々咲「なにカッコつけてんの?」

ジーク「うるせえ!」

……ここはもういいだろう。次の施設に向かおう。

 《ロケットパンチマーケット》


次に向かったのはスーパーマーケットだった。
中はかなり広く、その分だけ多くの商品が並んでいる。
品揃えも豊富でレジャー用品に限らず園芸用品やスポーツ用品まで一通り揃えてある。

未々咲「おおおお、売り物がいっぱい並んでるとテンション上がるね!」

児玉「急すぎて旅行の準備とかしてないから色々揃ってるのは助かるよー。店員さんはまだいないみたい?」

……やはりおかしい。
この場所に来るまでに他の人とすれ違う事は無かった。
少なくとも新入生は16人いるらしいが、その他に人はいないのか?
従業員は? この島で生活している人は?

未々咲「あ、新入生発見。佐山クンも来なよ!」

……この疑問は今は置いておこう。
未々咲君達が他の生徒を見つけたようだ。


安価↓
1.サングラスをかけた強面の大柄な男子生徒
2.スポーツパーカーを着た鋭い目の女子生徒

選択 2.スポーツパーカーを着た鋭い目の女子生徒


未々咲「佐山クン、こっちこっち」

未々咲君が菓子食品コーナーで新入生を見つけたようだ。
見るとスポーツパーカーを着た女子生徒が佇んでいる。
どうやらガムを物色しているらしい。


 「………………」

未々咲「こんにちは!」

こちらに気づき、彼女は目だけを動かしてちらりと確認する。
手はそのままガムの棚をまさぐっているが。

 「ちす」

未々咲「ちっす!」

児玉「シミズちゃん。さっきの二人起きたからさ、もう一度自己紹介してくれないかな」

 「了解」

彼女はやがて一つのガムを取り出すとポケットに突っ込み、体をこちらに向き直した。


 「四水 眞寄(しみず まより)、ダイバー。よろ」



━━【超高校級のダイバー】━━━━━━━━━━━━━━━━━━


           『四水 眞寄 / シミズ マヨリ』


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未々咲「ダイビングって潜るやつだよね。酸素ボンベ背負って魚見たり」

四水「違うよ。あたしのはフリーダイビング」

未々咲「あははは、なるほどー」

……未々咲君がニコッと笑ってこちらを見てくる。

佐山「フリーダイビングとはいわゆる閉息潜水、つまりスキューバ等の道具無しで行なう潜水競技の事だ」


四水眞寄……彼女は国内外のフリーダイビング大会で活躍中の、『サウザンドダイバー』の異名を持つ女子高生。
驚異的なのはこれらの実績が、彼女がこの競技を始めてから1年以内に成されたものだという事。
天賦の才、という表現がこれほどしっくりくるものはそう無いだろう。


…………?

説明をしているとき、こちらを見る四水君の目が一瞬きつくなった気がしたが、気のせいか?

未々咲「『サウザンドダイバー』、ってかっこいいね!」

四水「……肩書きってあんま好きじゃない。それで呼んだりはしないで」

未々咲「そうなの? でも私も何か異名欲しいなぁ。カズちゃんはクイーン・カズだし」

児玉「私のは友達がふざけて呼んだ事あるってだけなんだって。四水ちゃんも普通に児玉とか和音とかカズって呼んでね?」

四水「分かった。でそっちは」

未々咲「私は幸運の才能の未々咲愛です。こっちが絶賛記憶喪失中の佐山樹クン」

四水「……冗談?」

佐山「それが事実なのだよ。ここで目を覚ます以前の記憶がない」

四水「そう……大変だね。それじゃ」

児玉「あれ、どこ行くの?」

四水「自己紹介終わったし、ガムも仕入れたから他の場所の探索」

そういうと彼女はさっさとマーケットを出て行ってしまった。

児玉「うーん、ドライだねー……。でも、群れるのが嫌いなんじゃなくて一人が好きなタイプと見た」

未々咲「ガム好きなのかな? どのガム取っていったんだろ」


四水君と紹介を済ませた。
素っ気ない態度だったが、意見はハッキリ言う性格のようだ。


 「………………」

次に未々咲君が発見したのは、険しい顔で辺りを見回している大柄な男子生徒だった。
品物、というより店内全体の様子を探っているようだ。
サングラスをかけているが、この店にあった物だろうか。

未々咲「…………。やばいよ……あの人絶対カタギじゃない、法的にアウトだよ!」

児玉「愛ちゃん! 聞こえるから……」

 「…………。……!」

未々咲「あっ、気づかれた!」

児玉「ちょっ!」

こちらの視線に気づき近づいてくる。
距離が縮まるほどに強まるこの感覚は……

……威圧感というのは、肌で感じられるものだったか?


 「……何か」

児玉「ご、ゴメンゴメン。さっき気を失ってた人がいたでしょ? 目を覚ましたから自己紹介に来たん、ですけどー……」

 「……ああ」

未々咲「未々咲愛ですよろしくね。才能は幸運、前科はありません!」

なぜ犯罪歴を紹介した。


 「……こっちの番か。…………」

 「俺の名前は十中井 蛇山(となかい だざん)。ヘビの山と書いて、蛇山だ」



━━【超高校級の商売人】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


         『十中井 蛇山 / トナカイ ダザン』


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未々咲「動物園みたいな名前だね」

十中井「…………ああ」

彼の眼つきが鋭くなったような。
実際にはサングラスで見えないため気のせい……のはずだ。

児玉「ほ、ホラ。佐山君も紹介しよ」

児玉君に急かされつつ、記憶を失っている事も含めて紹介する。


未々咲「ってワケで佐山クンの才能は分かんないんだ。十中井クンはどんな才能なの?」

十中井「……売人、だ」

未々咲「アウトだよぉ! 港の第三倉庫で白い粉取引してるよ絶対アウト!」

児玉「商売人! 声が低くて聞こえにくかったけどちゃんと商売人って言ったから!」


十中井蛇山……彼は、近年大手総合スーパーの仲間入りを果たした『トナカイ堂』の社長の息子だ。
彼自身もいくつかの店舗を任されており、他店を圧倒して大きな利益を収めているという。
トナカイ堂の躍進の裏には彼の力があったとの噂だが、こうして希望ヶ峰に入学している事がそれを裏付けているのかもしれない。

未々咲「トナカイ堂ってウチの駅の近くにあったなー。お母さんがよく行くよ」

十中井「…………。これからも是非ご贔屓に……と、言っておいてくれ」

児玉「よかった誤解が解けて。ひやひやしたよー……」

未々咲「つまり……トナカイ堂はヤクザの隠れ蓑だったんだ」

児玉「え?」

未々咲「トナカイ堂は警察の目を欺くために作られた、十中井組の表の顔……」

未々咲「昼はお客さんに野菜を売ったその手で、夜はチャカで敵を撃つ! そうなんでしょ!」

十中井「………………そういう訳じゃ、ねえ」

彼の眼光が触れると斬れそうな程に鋭くなった。
これも錯覚……のはずだ。

児玉「愛ちゃーん……」

佐山「……未々咲君、君は大きな勘違いをしている」


十中井君と紹介を済ませた。
彼の放つ迫力は凄まじいものがある。

この場所に他の新入生はいないようだ、次の場所に向かおう。

 《ホテル 外》


大きな門を抜けると見事な景観が広がっていた。

いくつも並んだ海上のコテージ。
その先のフロアには大きなプールに、リゾートチェアが設置されている。
更にその向こう側にはホテルと思しき大きな建物があった。


未々咲「わっ! すっごい! 豪華、立派!」

児玉「いいねー! 綺麗なホテル。このコテージに泊まるのかな?」

佐山「『ホテル・ミライ』……どうやら日本語から取って付けられた名称らしい」

未々咲「へー。結構安直」

児玉「私もちょっと思った。でも、快適そうだし楽しくなってきたかも」

立派なのは結構だが、やはり人の気配がない事が気になる。


コテージの前とプールサイドに一人ずつ、誰かいるようだ。
彼らも新入生だろう。


安価↓
1.弓道衣と袴を着た長髪の男子生徒
2.眼鏡をかけている和服の男子生徒

選択 2.眼鏡をかけている和服の男子生徒


 「…………は、……では……か」

コテージの前にいる新入生の方に向かう。
視線を地面に落とし、あごに手を当てて何やら呟いている。

 「おや。児玉氏に……貴方たちは?」

児玉「砂浜で倒れてた子達。いま自己紹介で島を回ってるんだ」

二人の自己紹介を済ませると、彼は友好的な笑みを浮かべて返してきた。


 「これはこれは。わざわざありがとうございます」

 「直木 重吾(なおき じゅうご)と申します。超高校級の文豪、という肩書きだそうで。以後よろしくお願いしますよ」



━━【超高校級の文豪】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


          『直木 重吾 / ナオキ ジュウゴ』


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未々咲「あー、小説とか全然読まないけど名前は知ってる!」

児玉「有名だよね。うちの部活にもファンの子いたし」

直木「J……女子高生の方にも読んでもらえているとは恐縮です。作家冥利につきますよ」


直木重吾……若くして数々の文学作品を執筆している高校生作家。
その作品の多くはベストセラーとなっており、文学に明るくない層にも有名だろう。
年齢を考慮すればその才能は過去の大作家にも劣らない。文豪と称されるのも納得だ。

直木「しかし記憶喪失とは。この事態といい、奇妙な事は重なるものですね」

直木「そうだ。では紹介がてら私の特技を披露しましょう。佐山氏の記憶の助けにもなるかもしれません」

佐山「それは本当かね?」

未々咲「へー! 何やるの?」

直木「性癖判断です」

児玉「……ん?」

直木「私は一目見ただけでその人のフェティシズムが分かるんですよ。名付けて、性癖判断!」

……彼は何を言っている。判断するのは姓名だけでいい。

直木「見える、見えましたよ……ズヴァリ! 佐山氏、貴方は巨乳フェチですね!」

佐山「………………」

それを聞いて僕はどうすればいい。誰か教えてくれ。

未々咲「うわ、やっぱり!」

どういう意味だ。

児玉「…………。女の敵だ……」

佐山「……児玉君?」

児玉「佐山君……。あんまり近づかないで」

なぜだ……さっぱり分からない。

直木「ちなみに私は、大きさはこだわりませんが色と形は綺麗な方が好ましいですね!」


直木君と紹介を済ませた。
……彼についてはコメントを差し控える。


 「…………」

次にプールサイドに座っている男子生徒の方に向かう。
どうやら目を瞑って座禅を組んでいるようだ。

児玉「もしもーし、そこの君」

 「…………。む、俺の事か」

未々咲「おはよう。ねぼすけさん? 神風クンとキャラかぶってるよ」

 「違う。寝ていたのでは無い! 精神統一により心を静めていたんだ」

未々咲「なーんだ。豪華なホテル見て、テンション上がり過ぎて疲れて寝ちゃったんだと思った」

 「そんな訳が! ……くっ、落ち着け俺。すぐ怒るのは悪い癖だ」

 「気を静めろ、怒りに囚われるんじゃない……。心に波風を立たせるな……」

未々咲「あ、また寝始めた」

 「貴様ァッ!」

児玉「どうどう」

佐山「……嵐を呼んで申し訳ない。僕達はさっき目覚めたところだ。よければ自己紹介を頼みたい」


 「くっ! ふうううぅ……。……そうか、見苦しい所を見せて悪かった」

 「俺は黒須 灰矢(くろす はいや)。超高校級の弓道家としてここに来た。よろしく頼む」



━━【超高校級の弓道家】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


          『黒須 灰矢 / クロス ハイヤ』


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黒須灰矢……彼は全国高等学校弓道大会を連覇した弓の名手。
その腕前は、自分で射た穴に寸分違わず二射目を通したという逸話がある程だ。


未々咲「へええ弓道家。凄いんだね。だからそんなスカートみたいなの履いてるんだ」

黒須「スカートではない、袴だ! 愚弄しているのかッ!」

児玉「あわわ。クールダウン、クールダウン」


……人物像は泰然自若としていて落ち着いているとの事らしいが、僕の知識の方が間違っているのだろう。

黒須「はっ! ……ふぅぅ、落ち着け、落ち着くんだ俺……」

彼が落ち着いたところで、未々咲君と共に自己紹介を済ませた。


黒須「声を荒げてすまなかった。この島について考え込んでいたら気が立ってしまってな」

黒須「冷静になるために座禅を組んでいたんだが」

タイミング悪く僕達が来たという訳か。

児玉「弓道家なのに座禅? 割と普通なのかな」

黒須「弓を射るには精神力が大きく関わる。その点で俺は弓道家としてまだまだ未熟!」

黒須「だから心を鍛えるために禅をたしなんでいるんだ。ちなみに臨済宗だ」

未々咲「なるほどねー。でもせっかくの修学旅行なんだし、イライラしてたら損だよ?」

黒須「とは言ってもだな。はっきり言ってこの状況は異常だぞ!」

黒須「探索しても俺達以外の人は見つからない。希望ヶ峰学園の案内や誘導もない」

黒須「……何か大きな事に巻き込まれている気がしてならないんだ」

やはりこの島には僕達の他に人はいないようだ。無人島という事だろう。

児玉「そ、そう聞くと確かに……。でもさ、生徒手帳にはそれっぽい事書いてあったし後で説明もある、んじゃないかなー……」

黒須「だと良いんだが……」


黒須君と紹介を済ませた。
激昂する事もあるようだが、平常時は冷静な人物のようだ。

今日はここまで。ありがとうございました
続きは明日の夜に。

主人公が頭の中でベラッベラ喋ってますが、こういうキャラです
プロローグ長いですがよければお付き合いください。

ちなみに前作
【安価進行】ダンガンロンパ・オリジナル【オリキャラ】
【安価進行】ダンガンロンパ・オリジナル【オリキャラ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399376159/)

 《ホテル ロビー》


外を大体見終わったので、今度はホテルの中を調べる事にした。
まずは一階のロビーだ。

未々咲「うんうん、中も豪華!」

佐山「やはり従業員の姿は無いようだね」

児玉「でもその割には綺麗に手入れされてる……うううーん」

不可解な事は多いが、今は答えを出せない。


ここを探索中だったのか、ロビーには二人の人物がいる。
話しかけてみよう。

安価↓
1.スーツスタイルの中性的な顔立ちの生徒
2.カーディガンの上に白衣を着ている小柄な男子生徒

選択 1 スーツスタイルの中性的な顔立ちの生徒


 「………………」

スーツを着ている生徒に話しかける事にした。
どうやら考え事をしているらしい。人差し指を曲げて唇にあて、どこともなく一点を見つめている。

 「! 君達は……。大丈夫ですか? 倒れていましたが」

児玉「さっき起きたんだ。今は皆に自己紹介しているところ」

未々咲「心配どうもです。私は未々咲愛って名前で……」

恒例の紹介を済ませる。


 「そうですか、記憶を……。ではこちらの番ですね」

 「ボクは六波羅 恵(ろくはら けい)です。一応、超高校級のプロファイラーと呼ばれています」



━━【超高校級のプロファイラー】━━━━━━━━━━━━━━━━


          『六波羅 恵 / ロクハラ ケイ』


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未々咲「プロファイラーって刑事さんって事? カッコいいね!」

六波羅「ああ、ボクの場合はそうじゃなくて。厳密には……」

そこで息を少し吸い込み、一気に言い切った。

六波羅「警視庁刑事部捜査支援分析センター情報分析係、に特別協力という形で、捜査方針の決定に少しだけ関わらせてもらってます。……ふう」

児玉「おおー、呪文だ」

未々咲「六波羅クンもっかい!」

六波羅「ふっ。も、もう一回ですか?」


六波羅恵……本人が言った通り高校生にして警察の捜査に協力している。
その活躍は警察の機密に関わる為、露出されている情報は少ない。
だが噂では六波羅君のプロファイリングによって過去の多くの迷宮入り事件が進展、もしくは解決されたと言われている。

それともう一つ、僕の知っている限りでは……

佐山「これは確認なのだが聞いてもいいだろうか。君の性別は?」

六波羅「あ。えーと、さすがにお二人にも言うべきですよね……」

未々咲「? どゆこと?」

六波羅「ボクは……私は、女です。一応」

未々咲「えっー! そうなの? 全然見えなかった!」

六波羅「ぶっ!」

六波羅君が吹き出した。

児玉「ごめんねー、愛ちゃんこういう子で。私は最初の紹介で明かす前から体のラインとかで、そうかなーって思ってたから」

六波羅「あはは、まあ女の子っぽく見えないようにしてるのはその通りですから」

未々咲「紛らわしいよー! でもなんでボクとか言ってるの?」

六波羅「正式に所属していないとはいえ警察は男社会ですからね。この方が色々と都合がいいんです」

未々咲「そっか。佐山クンより全然イケメンだったから全く気づかなかったよ」

佐山「………………」

六波羅「ぷっ、ふふふ……。あ、すみません!」

佐山「……君が謝る必要はないとも。気にしないでくれ」


六波羅君と紹介を済ませた。
失言にも笑って済ませるあたり、心の広い人物なのかもしれない。


 「はあ……」

次に椅子に座っている白衣を着た男子生徒の方に向かった。
浮かない顔をして溜息をついている。

児玉「ちょっといいかな。この二人の自己紹介に来たんだ」

 「えっ、うん……。ああ」

未々咲「未々咲愛ですよろしくね。才能は幸運……。……じーっ」

 「……な、何?」

未々咲「私より背低い男子発見! うん、よろしくね!」

 「なんだよそれ……。バカにするなよな」

児玉「ゴメンねー。愛ちゃん悪気はないっぽいから、たぶん」

 「多分って。やっぱりバカにされてる気がするんだけど」

佐山「安心したまえ。彼女は誰に対してもこんな感じだ。君だけに失礼を働いている訳ではない」


 「そ、そうなの? でも余計タチが悪い気がするんだけど……。ともかく」

 「ボクは早家町 杜々(はやまち とと)。超高校級の薬学者……なんだ」



━━【超高校級の薬学者】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


          『早家町 杜々 / ハヤマチ トト』


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早家町杜々……彼はいわゆる帰国子女で、海外の高校に飛び級で在籍していた。
向こうにいた間、薬学に関する大学の講義や研究にも参加していたそうで、
在学中に革新的な薬物治療の理論に関する論文を発表し、非常に高い評価を受けている。
神童とはまさに彼を指す言葉だろう。


未々咲「って事は年下なんだ! ホントは小学何年生?」

早家町「今の話聞いてそこ気になるの? ていうかそんなに幼くないよ!」

早家町「はあ、やっぱりバカにされてる……」


……落ち込んでいる所に悪いが、僕の紹介もさせてもらおう。

早家町「記憶喪失……。キミも災難だね」

佐山「キミも、とは?」

早家町「ボクも……ここに来なければ良かった。こんな変な事態に巻き込まれるなんて」

早家町「希望ヶ峰を卒業すれば特例で学士を取れるっていうから来たけど、やっぱり向こうの大学に進学するべきだったんだ」

早家町「はああ……。どうなっちゃうんだろ」

未々咲「早家町クン、元気出して? マーケットにアメちゃんあったから持ってこよっか?」

早家町「こんな感じでバカにされるし……」

未々咲君の無礼は災難級らしい。

児玉「結構ネガ入ってるねー。気持ちは分かっちゃうけども……」


早家町君と紹介を済ませた。
この状況を悲観しているようだ。

 《ホテル レストラン》


ホテルの二階へ続く階段を昇った。
広いスペースに均等に置かれたテーブル。ここはホテルのレストランらしい。
外の景色が見られる開放感のある造りになっているようだ。

未々咲「わあ。ここで食べたら大した事ない料理でも美味しいって勘違いしそう」

児玉「うーん。物は言いようだけど、ここで食べたら気持ちよさそうっていうのは同感かな」


見渡すとテーブルに一人、着席している人物がいる。
ドレスを着た銀髪の女子生徒で、日本人ではない事は一目で分かった。

未々咲「わお、すっごい美人さん!」

彼女は僕達の存在に意を介さず優雅にカップを口に運んでいる。
匂いからして紅茶だろうか。

児玉「今ちょっといいかな? 砂浜で倒れてた子達が起きたんだ。自己紹介しようと思って」

 「………………」

児玉「ええっと……。とりあえず愛ちゃんから、はい」

こちらを見向きもしない彼女に、二人で自己紹介を行なった。


 「……フン。幸運に、記憶喪失か。下らん」

 「クロワ・グラトンだ。だが名前を覚える必要はない。ワタシからオマエ達に話しかける気は無いからな」



━━【超高校級のグルメ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


          『クロワ・グラトン (Croix Gratton)』


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クロワ・グラトン……彼女はヨーロッパ某国の貴族家系出身。
その知識と味覚の確かさから、世界各地の名のある品評会やコンクールには必ず審査員としてお呼びがかかるという。
実際に味わうよりも、彼女の評価を聞く方がその料理をより理解出来る程だとか。


クロワ「初めに言っておく。ワタシは和食フリークではあるが、日本人はキライだ」

未々咲「ええー、なんで? てか日本語上手いね」

クロワ「理由はいくつかあるが、一つは能力で劣っているからだ。ワタシは無能がキライなんだ」

クロワ「無論、超高校級である以上、キボウガミネの生徒にはある程度の能力があり評価されている事は認めよう」

クロワ「だがそれも日本という狭い枠組みの中での評価だ。事実、この16人の中で世界的に認められた者など数人もいない」

児玉「そ、そりゃー、そうかもしんないけど。てか日本語バッチリだね」

クロワ「フン。同じ超高校級と言えど、格の違いがあるという事は分かっておけ」

性格に関しては知らなかったが、超高校級を格下に見る超高校級……という訳か。

児玉「まあまあ、お手柔らかに。これからはクラスメートなんだしさ」

未々咲「そうそう、仲良くしようよ。クロワちゃん紅茶飲んでるけど私も午後ティー飲むし、仲間仲間」

それはさすがに格が違う。

クロワ「自己紹介は終わっただろう。これ以上ワタシの時間の邪魔をするな」

佐山「君は探索に行かないのかね?」

クロワ「もう終えたに決まっている。現状行く事の出来る場所は既に調べた」

未々咲「おおお、優秀だ」

クロワ「当然だ。……調べてもそこから得る物がなければ何の意味もないがな」

クロワ「この状況、今何が起きているのか。オマエ達もせいぜい考えてみるといい」


クロワ君と紹介を済ませた。
包み隠さず向けられる蔑み、見下し……これらは彼女の自信の表れだろうか。

ホテルは調べつくしただろう。他の場所に行こう。

 《牧場》


柵に囲まれた広い草原と、放牧されている牛にニワトリ。
向こうに小屋もある。どうやらここは牧場らしい。

児玉「のどかだねー。草の匂いだ」

未々咲「動物だ! 牛を生で見るのって小学校の頃以来かも」


向こうの方に新入生が二人いるのが見える。
自己紹介にいこう。


安価↓
1.清楚なたたずまいの黒髪の女子生徒
2.身軽な恰好をした褐色肌の女子生徒

選択 1 清楚なたたずまいの黒髪の女子生徒


 「……あら? こんにちは、児玉様。そちらの方々は?」

黒髪の女子生徒のもとに向かった。
こちらの姿を認めると、気品あふれる動作でおじぎをされた。

児玉「さっき砂浜で気を失ってた子達だよ。今、皆に会いに島を回ってるんだ」

児玉君に促され、自己紹介をする。


 「まあ、記憶喪失。お気の毒に。お魚を食べると記憶に良いそうですよ」

 「わたくしは赤羽 優仁(あかばね ゆに)と申します。以後、お見知りおきを」



━━【超高校級の人道支援家】━━━━━━━━━━━━━━━━


          『赤羽 優仁 / アカバネ ユニ』


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赤羽優仁……高校生にして、国内外で支援活動を行っている某NPO法人の代表補佐を務める女子高生。
自身も海外、災害ボランティアに積極的に参加している事に加え、彼女の親は大企業の社長だ。


児玉「え、大企業っていうと、赤羽……もしかして『赤羽コーポレーション』!? 世界的な企業じゃん!」

赤羽「ええ。わたくしのお父様の会社です」

児玉「ひゃー、社長令嬢……。最初の紹介で言ってなかったから知らずにタメ口聞いちゃったよー……」

赤羽「いいえ、どうか自然体で接してください。あらためてよろしくお願いしますね」

未々咲「へええ、社長令嬢。初めて見た! 良い匂いしそう、てかするね!」

赤羽「あらまあ。うふふ、ありがとうございます。朝にお風呂に入る習慣があって良かったですわ」


赤羽コーポレーションは彼女の団体を通じて多方面に多額の寄付を行なっている。
そういった環境的な意味でも彼女は、社会に最も貢献している高校生といえるだろう。

赤羽「佐山様は物知りなのですね。記憶が無いとおっしゃっていたので驚きました」

佐山「記憶は無くとも知識はあるようだ。超高校級である君達の事も一般常識として知っていたのだろう」

赤羽「そうでしょうか? なんとなくですが、一般常識などでなく佐山様はわたくし達を詳しくお調べになっていたのではないですか?」

佐山「……何?」

赤羽「いえ、本当になんとなくなのですが。お詳しいのだなあ、と思ったものですから」

佐山「希望ヶ峰の新入生はネットでもよく取り上げられていたはずだ。確かに君の言うとおり事前に調べていたのかもしれない」

未々咲「なんかストーカーの気があるよね、佐山クン」

赤羽「あらまあ。仲良くなりたい人には、堂々と話しかけられた方が上手くいくと思いますよ」

佐山「……そういう事ではないのだが」


赤羽君と紹介を済ませた。
柔和そうな雰囲気だが、妙に鋭いところがある気がする。

2.身軽な恰好をした褐色肌の女子生徒


カチカチカチカチカチカチ


未々咲「? 何の音だろ」

牧場にいる女子生徒に近づくと異音が聞こえてきた。


 「…………んー」カチカチカチカチカチカチ


遠くからは見えなかったが、彼女は腕を組みつつ手の中で数取器を高速連打していた。
どうやらこれが異音の発生源らしい。

児玉「ちょっといい? この子達の紹介に来たんだ」

 「ん、カズさん? ああ、その子ら起きたんか」

未々咲「おっ、関西弁だ!」

 「なんや、元気そうやん。心配して損したわー、なんてな!」

未々咲「うん元気だよ! あ、私は未々咲愛って言います、才能は……」

自己紹介を済ませる。


 「おし! じゃあ未々咲ちゃんはマナティーやな。佐山は……まあ男子は後でテキトーに考えるわ」

 「ウチは川澄 美空(かわすみ みそら)。バードウォッチャーやってます、よろしく!」



━━【超高校級のバードウォッチャー】━━━━━━━━━━━━━━


          『川澄 美空 / カワスミ ミソラ』


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未々咲「バードウォッチャー! 私も焼き鳥大好き!」

川澄「食い専やないか! まあウチも、美味しいところ含めて鶏は好きやけど」


川澄美空……彼女は世界中を飛び回っている『超高校級のバードウォッチャー』。
活動派で、世界各地で鳥類の観察と調査を行っており、新種の鳥を何度も発見している。
その成果は学会にも提出され、貴重な資料となっているそうだ。


ちなみに『マナティー』とは、カイギュウ目に属するジュゴンのような海洋生物であり

川澄「あだ名やから細かい所は気にせんとこ!」

児玉「さっきの音の正体はそれだったんだね。野鳥の会の人たちがカウントする時に使うみたいなやつ」

川澄「ああ、数取器? クセになってもうて、考え事とかしてると貧乏ゆすり代わりにこう、カチカチやってまうねん」

未々咲「じゃあさっきも考え事?」

川澄「うん。この島の事とか、ウチらの事とか色々考えててん」

佐山「なにか見当はついたかね?」

川澄「つく訳ないやん。ウチそういうの向いてないし全然分からへん、アハハ!」

佐山「……そうか」

川澄「何暗い顔してんの。記憶なくなると元気もなくなるんか?」

未々咲「佐山クン、会った時からこんな感じで暗かったよ」

児玉「まあ、明るくはないよね」

川澄「そうなんや。アカンなー、幸せ逃げてまうよ?」

佐山「……鋭意努力する」


川澄君と紹介を済ませた。
随分とフレンドリーな性格のようだ。

 《中央の島》

橋の先には同じような島に続いていた。
どうやらこの辺りはいくつかの島が集まっている諸島らしく、この島からはさらに他の島への橋が架かっている。
ただし、最初の島への橋以外は門で閉じられているようだ。

中央に公園があるようで、今行けるのはそこだけらしい。
まだ会っていない生徒もそこにいるかもしれない。


 《ジャバウォック公園》

『ジャバウォック公園』という名前のその公園には石畳の地面が広がっていた。
自然が多く、道に南国の花が植えられている。海が見える事もあり、中々壮観だ。

児玉「海に囲まれてる公園か。オシャレだね」

未々咲「立派な銅像だ! なんの銅像なのか良く分かんないけど」

佐山「…………。?」


 ~♪ ~♪


未々咲「? なんか変な鳴き声がする」

児玉「野生動物とかいるのかな」

音の方向を見てみると……木の陰に誰かがいた。
地面に座ってウクレレを弾き鳴らしている。

児玉「野生動物じゃあ、なかったねー……」

未々咲「新入生の子だ! 挨拶しにいこ」

ウクレレを弾いている生徒の方に向かう。
近づいてみると小柄な男子生徒である事が分かった。長髪で、Yシャツを肩から羽織っている。

 「~♪ ~♪ ……ん? お前らは確か、児玉に……」

児玉「今いいかな。この二人、さっき気が付いて今自己紹介を……」

 「よう。久しぶりだな」

児玉「あれ、会った事あるの?」

未々咲「うーん、私は知らないけどなあ」

まさか彼は僕の事を知っている?

 「初対面の奴にはこう挨拶する事にしてるんだ。もし知り合いで、俺が忘れてるだけだったら可哀想だからな」

佐山「………………」

その場合、忘れてる事には変わりないと思うのだが。

児玉「ま、まあとにかく紹介してよ」


 「俺の名前は無位 流一(むくらい りゅういち)。しがない詩人さ」

 「普通の人間には興味ないぜ」



━━【超高校級の詩人】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


         『無位 流一 / ムクライ リュウイチ』


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無位「ウソだよ。紳士淑女老若男女、誰でも気軽に話しかけてくれよな」

未々咲「あ、この子変な子だ!」

児玉「うん、私もそう思う……」

二人に同じ。

無位「やれやれだぜ兄弟。いきなりごアイサツだな。俺に名前を教えちゃくれないのかい?」

未々咲「そう言われると教えたくなくなったけど紹介するね。未々咲愛、幸運の才能です」

同じように自己紹介を済ませる。

無位「記憶喪失ってヤツか。なるほど、斬新なキャラ付けだな。さては印象付けて女子受け狙ってんな?」

児玉「捨て身すぎるキャラ付けだね……」


無位流一……全国高校生コンテストの現代詩の部で彼の詩が最優秀賞を受賞したらしいが、
これ以外の事は僕もよく知らない。


無位「俺だって賞取ってたの、入学通知来てから知ったぜ。人生そんなもんさ」

そんなもん、と言うには特殊すぎる気がするが……

未々咲「ねえねえ、そのウクレレって私物?」

無位「マーケットにあったのを持ってきた。無性に弾きたくなってさ」

佐山「店員はいなかったはずだが、代金はどうしたのかね?」

無位「金を払わず商品を持って出ていく……たまには、そんな客がいたっていいんじゃないか?」

人それを盗人という。

未々咲「しかし他の男子と比べると……ちっちゃいね」

無位「背の事は言うんじゃねえ。俺だって身長を四捨五入すれば2mだ、そうだろ!」

児玉「五入しすぎだよー……」

無位「……おっと、素が出ちまった。気にしないでくれ。この学校では粋でクールなナイスガイキャラを通すつもりだからさ」

児玉「それは……言っちゃダメじゃん?」

無位「あえて言うって、逆に粋だろ?」

……いや、さっぱり分からない。


無位君と紹介を済ませた。
とらえどころのない性格、とでも言うのだろうか。




 『キーン、コーン……カーン、コーン』


不意に、場違いな音が流れた。
学校のチャイムだ。

児玉「な、何今の?」

未々咲「放送? どこから」

無位「……あれじゃね?」

無位君が公園に設置されているモニターを指差す。
さっきまで画面が点いていなかったのに、ノイズが走った画面が映し出されていた。

モニターから音声が流れ出す。




 『超高校級のミナサン、入学おめでとうございまーちゅ!! そしてこの島にようこそ!』

 『この島に来てワクワクドキドキ、胸がいっぱいかもしれまちぇんがお話がありまちゅ!』

 『お手数でちゅけど、最初の砂浜に集まってくだちゃい』

 『ぷすー、くすくす! 輝かしい希望はミナサンと共にね!』





佐山「………………」

児玉「………………」

無位「じゃあ砂浜に行くか」

未々咲「そだね。いこいこ!」

児玉「いやいやちょっと待ってよー! 今の何!?」

無位「そいつを今から確かめに行くのさ。みつお君も言ってたぜ。『一見に如かず』ってよ」

児玉「でもあやしくない……? ていうかみつお君って誰? なんか足りないし」

無位「俺のマブダチだった男さ。いい奴だぜ」

佐山「……楽観的に考えるなら、児玉君が言っていたように修学旅行の説明という事ではないのかね」

児玉「あっ、そっか。じゃあそういうコト? でも今の声普通じゃなかったけど……」

未々咲「なんかアニメのキャラみたいな声だったね。でも多分大丈夫じゃない? 悪役キャラの声じゃないし」

未々咲「って訳でいこいこ! きっと他の皆も集まってるよ!」

児玉「うう、愛ちゃん頼もしいー……」

児玉君の言う事も分かる。
だがこの閉塞した状況を進展させる新しい手がかりだ、行くしかない。

 《砂浜》


砂浜にはすでに全員が集まっていた。
僕と未々咲君が倒れていた場所だ。


神風「……すかー。ぐおお……」

児玉「また寝てる……」

無位「誰かサインペン持ってないか? コイツの額に『筋肉』って書こうぜ」

黒須「やってる場合かッ! 起きろ!」

神風「んがっ。ふあ、んああ……何?」

六波羅「ふっ……こほん。言われた通り砂浜に集まりましたけど、何も用意されていませんね」

佐山「では先程の放送は一体……」



 「はーい! ミナサンお集まり頂けたみたいでちゅね! それじゃ始めまちょうか!」

全員の視線が声のした方向に向く。
その先にいつの間にか誰かが、いや何かがいた。



 「ミナサン、初めまちて! あちしは『魔法少女ミラクル★ウサミ』、略してウサミでちゅ!」

 「ミナサンの修学旅行の引率の先生なんでちゅ。よろしくね!」



佐山「………………」

丸っこい、ウサギをモチーフにしたぬいぐるみがファンシーな服装でステッキを持って話しかけてきている。
それ以外に目の前の光景を表現する言葉が見つからない。


直木「な、な、なんですか、コレは……?」

赤羽「あらまあ」

児玉「み、見た目的には……」

神風「ブタの……」

ウサミ「ウサギでちゅ! フワフワモフモフでラブリーな生物、ウサギでちゅ! ブタさんも愛らしいでちゅけど!」

未々咲「ウサギの、ぬいぐるみ?」

ウサミ「……そう、あちしはヌイグルミなんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」

ウサミ「こう見えてもミナサンの先生なんでちゅ。フェルト地なんでちゅ。よろしくね!」

早家町「で、でも動いてるよ!? 喋ってるよ!?」

ウサミ「あちしは歌って踊って喋れるウサギのマスコットなんでちゅ!」

ジーク「答えになってねえ!?」

六波羅「え、えーと……貴方がボク達をここに呼び出した人物、って事でいいんですか?」

ウサミ「その通りでちゅ!」

黒須「俺達をこんな所に連れてきたのもお前なのか!?」

ウサミ「その通りでちゅ!」

黒須「なっ! 当然の如く答えられた……!」

ウサミ「ではさっそく、『どっきどっき修学旅行』について説明しまーちゅ!」

十中井「……『どっきどっき修学旅行』、だと?」

ウサミ「ミナサンが今いるここ、危険なんて何一つない安心安全で、見るも美しい南国の島……」

ウサミ「ミナサンにはこれから、この島でほのぼの~と暮らしながら、仲良く絆を深めていってもらいまちゅ!」

川澄「ちょ、ちょい待ちぃな。なんでそんな事すんねん、てか入学式がまだやんか! 色々すっ飛ばし過ぎやろ!」

四水「というか希望ヶ峰からそんな通知来てない。急過ぎるにも程があるよ」

ウサミ「ああ……希望ヶ峰学園ね。なるへそね、そうでちゅか……」

ウサミ「希望ヶ峰学園の事が心残りなんでちゅね。だったら……希望ヶ峰学園の事はさっぱり忘れてくだちゃーい!」

ウサミ「その為の修学旅行でちゅからねー!」

クロワ「何だと?」

無位「いたなあ、修学旅行の時にハメはずし過ぎちゃってる先生」

ウサミ「はわわっ? そういうワケじゃないんでちゅけど……」

黒須「忘れろとはどういう事だ! 俺達は希望ヶ峰学園に入学しに来たんだぞ!」

ジーク「何か企んでやがるのか……!?」

クロワ「お前の要求はなんだ?」

ウサミ「た、企むとか要求だなんてとんでもない。あちしはただミナサンに仲良くなってもらいたいだけでちゅ」

ウサミ「ミナサンが大きな希望を胸に成長する事を祈ってるだけでちゅ!」

クロワ「そんな事はどうでもいい。何をすればここから出す気があるかと聞いているんだ!」

ウサミ「あっ、ルール説明の途中でちたね。では続けまちゅ!」

ウサミ「ミナサン、お手元の生徒手帳を見てくだちゃーい!」

都村『生徒手帳でありますか? ではではスイッチ、オン! ジャキーン!』

ウサミ「ミナサン電源は点けまちたか? 失くしちゃった人がいたら手を挙げてくだちゃい!」

神風「ん? オレ失くしたかも……ああ、これか」

ウサミ「神風くん、大丈夫でちゅか? もし電源が点かなかったら……」

クロワ「いいから早くしろ!」

ウサミ「きゃあ! 怖い! ……え、えっと、画面の端っこにある『ポイント』ってところを押してくだちゃい」

佐山「……これか」

タップすると画面が切り替わり、次のように表示された。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【あなたの らーぶらーぶポイントは 0 てん でちゅ】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

未々咲「らーぶらーぶポイント?」

ウサミ「それは、ミナサンが仲良くなったときにゲットできるポイントなんでちゅ」

ウサミ「そのポイントが『100てん』まで集まったとき、この修学旅行は終わりを迎える……」

ウサミ「それが『どっきどっき修学旅行』のルールなのでちゅ」


……つまりここから出るには、新入生同士で親交を深めてこのポイントを貯めろ、と?


ウサミ「何も起きず、誰も傷つかず、誰も苦しまず、ひたすら平和でほのぼのと希望を育て合う日々……」

ウサミ「そしてらーぶらーぶポイントを『100てん』まで集めること! それこそがこの島でミナサンに与えられる課題なのでちゅー!」


………………。


まったく、分からない。

ここでらーぶらーぶアイランドのOPテーマをどうぞ、
というところで今日はここまで。

このあとに生徒名簿を貼っていきます。

【生徒名簿】

・佐山 樹/サヤマ イツキ 【超高校級の???】 

【発言力/集中力】:【5/5】

『超高校級の???』……記憶を失っているため不明。知識は人並み以上にある。
『冷静沈着』……常に落ち着き払っており動じない。
『探究心』……謎や不明な点は積極的に解き明かそうとする。
『???』


・神風 今日介/カミカゼ キョウスケ 【超高校級のキックボクサー】

【交友/精神】:【4/7】

『超高校級のキックボクサー』……強靭な脚力、身体能力をほこり、格闘技に精通している。
『自堕落』……面倒くさがりで言動がだらしない。
『単純』 ……良く言えば複雑な事に囚われない、悪く言えば脳筋。
『???』


・黒須 灰矢/クロス ハイヤ 【超高校級の弓道家】

【交友/精神】:【6/4】

『超高校級の弓道家』……弓矢の扱いに長けており、狙撃も可能。
『激情家』……プッツンしやすい性格。
『良識派』……平常時は健全な考えを持つ。
『???』


・ZEKE/ジーク 【超高校級のロッカー】

【交友/精神】:【5/5】

『超高校級のロッカー』……優れた音楽センスとギター演奏技術を併せ持つ。
『メンツ第一』……ロッカーとしての体面を非常に気にしている。
『ミュージシャン気質』……自分の音楽に対してこだわりを持っている。
『???』


・十中井 蛇山/トナカイ ダザン 【超高校級の商売人】

【交友/精神】:【1/8】

『超高校級の商売人』……損得の計算が早く、商品や物流について広い知識を持つ。
『無口』……口数が少なく、感情が読みにくい。
『威圧感』……目の前にすると気圧されるようなオーラを放っている。
『???』


・直木 重吾/ナオキ ジュウゴ 【超高校級の文豪】

【交友/精神】:【7/3】

『超高校級の文豪』……書物、文学作品に関して深い知識を持つ。
『オープン』……いろんな意味で開放的。
『逃避癖』……受け入れがたい事に直面すると現実逃避に走りがち。
『???』

・早家町 杜々/ハヤマチ トト 【超高校級の薬学者】

【交友/精神】:【4/2】

『超高校級の薬学者』……薬学、薬品の知識は専門家レベル。
『気弱』……どこか自信がなく消極的。
『リトルマインド』……精神的にまだまだ未熟。
『???』


・無位 流一/ムクライ リュウイチ 【超高校級の詩人】

【交友/精神】:【8/5】

『超高校級の詩人』……気が向いた時に心を打つような詩を書くらしい。
『達観者気取り』……悟っているかの様に振舞う。
『ムードブレイカー』……良い意味でも悪い意味でも空気を読まない。
『???』


・赤羽 優仁/アカバネ ユニ 【超高校級の人道支援家】

【交友/精神】:【5/6】

『超高校級の人道支援家』……ボランティアの経験が多く、ある程度の医療知識を持つ。
『天然』……のんびりとしていてどこか感覚がずれている。
『第六感』……直感が鋭く、見落としそうな事でも気が付く。
『???』


・川澄 美空/カワスミ ミソラ 【超高校級のバードウォッチャー】

【交友/精神】:【7/4】

『超高校級のバードウォッチャー』……鳥類について詳しく、視力にも優れる。
『ガサツ系女子』……細かい事は気にしないガハハ姉ちゃんタイプ。
『世渡り上手』……人に取り入るのが上手く有利な立ち位置をキープする。
『???』


・クロワ・グラトン (Croix Gratton) 【超高校級のグルメ】

【交友/精神】:【2/9】

『超高校級のグルメ』……料理や食材の知識、経験が豊富で人並み外れて鋭敏な味覚と嗅覚を持つ。
『高慢』……容姿、才覚、才能には誰よりも自信を持っている。
『俺様貴族』……我が強く思うままに行動する。
『???』

・児玉 和音/コダマ カズネ 【超高校級の吹奏楽部】

【交友/精神】:【9/3】

『超高校級の吹奏楽部』……吹奏楽に用いるものならあらゆる楽器を扱える。
『心配性』……不安になりやすい性格。
『ハーモナイザー』……他人との調和を常に意識している。
『???』


・四水 眞寄/シミズ マヨリ 【超高校級のダイバー】

【交友/精神】:【4/8】

『超高校級のダイバー』……ダイビングに限らず水泳に関する事ならスペシャリスト。
『スーパードライ』……合理的な性格で感傷、人情に動かされない。
『ストイック』……自分に厳しく甘えがない。
『???』


・都村 美弥子/ツムラ ミヤコ 【超高校級の特撮マニア】

【交友/精神】:【6/5】

『超高校級の特撮マニア』……特撮作品の事を熟知しており、その情熱は誰にも負けない。
『フルスロットル』……常にテンションが高くアクティブ。
『夢想家』……非現実的な事を空想する事もしばしば。
『???』


・未々咲 愛/ミミサキ マナ 【超高校級の幸運】

【交友/精神】:【8/4】

『超高校級の幸運』……希望ヶ峰学園に抽選で選ばれた幸運の持ち主。普段も運が良いのかは不明。
『積極性の塊』……人と積極的に触れ合っていく傾向にある。
『無礼千万』……失礼な言葉が口をついて出てくる。しかも無自覚。
『???』


・六波羅 恵/ロクハラ ケイ 【超高校級のプロファイラー】

【交友/精神】:【7/7】

『超高校級のプロファイラー』……犯罪心理や過去に起こった事件に精通しており、分析能力に長けている。
『清濁併せ呑む』……善悪関わらずどんな人間でも受け入れられる。
『笑い上戸』……笑いの沸点がやや低く、こらえきれずに吹き出す事も。
『???』

以上生徒のステータス。
この16人でらーぶらーぶでハートフルな物語が始まります

次回更新は水曜以降です、それまでに質問などがあればどうぞ。

未々咲ちゃんは大丈夫なんですかね?(原作2の幸運枠を見ながら)

身長と胸囲、各キャラの見た目のモデルを。
主人公のモデルはもう分かってる方もいるようです

>>111
大丈夫なんじゃないでしょうか(何がとは言わない)

・身長と胸囲まとめ
【男子】

佐山 樹    177cm

神風 今日介  194cm

黒須 灰矢   175cm

ZEKE      183cm 

十中井 蛇山  191cm

直木 重吾   171cm

早家町 杜々  144cm

無位 流一   160cm


【女子】

赤羽 優仁    159cm 80cm

川澄 美空    164cm 84cm

クロワ・グラトン 172cm 86cm

児玉 和音    163cm 77cm

四水 眞寄    168cm 81cm

都村 美弥子   160cm 88cm (実際にはメットで数値より大きく見える)

未々咲 愛    150cm 72cm

六波羅 恵    166cm 84cm

・見た目のモデル・備考

【男子】

佐山 樹 :佐山御言(終わりのクロニクル)

神風 今日介 :鑢七花(刀語)
・髪の長さは普通~やや短め、上半身裸ではない

黒須 灰矢 :荒天の武皇神・ヤマトタケル (パズドラ)
・弓道衣と袴着用、目は石丸やペコのような赤い渦巻き目。

ZEKE :音石明(ジョジョ第4部)
・三白眼。目の周りや唇などにヴィジュアル系メイクを施している。

十中井 蛇山 :丑嶋馨(闇金ウシジマくん)
・ピアスはしていない。サングラス着用。

直木 重吾 :糸色 望(さよなら絶望先生)

早家町 杜々 :なし
・制服のカーディガンの上に白衣。白衣は脱いでる時もある。
 髪はセンター分けのサラサラヘアー、後ろ髪を縛っている。
 弱気そうな表情。

無位 流一 :ハオ(シャーマンキング)
・Yシャツを肩から羽織っている。ウクレレ常備。ズボンに髑髏のウォレットチェーン。



【女子】

赤羽 優仁 :司波深雪(魔法科高校の劣等生)
・穏やかな表情の糸目。開眼すると凛々しい顔つきになる。

川澄 美空 :ヒガナ(ポケモンORAS)
・マントはしていない。代わりにメタルスラッグのエリ・カサモトが着ていたようなベストを着用。

クロワ・グラトン :シオニー・レジス(スーパーロボット大戦)
・腕や肩を露出していないドレス着用。

児玉 和音 :無桐伊織(零崎双識の人間試験)

四水 眞寄 :アニ・レオンハート(進撃の巨人)
・髪色は明るい茶色。スポーツパーカー、短パン着用。

都村 美弥子 :なし
・特撮物の地球防衛軍のようなオレンジの服装。
 メットはデュラララ!のセルティみたいな耳付メット。

未々咲 愛 :春鳥つぐみ(ソウルイーターノット)
・ピンクのヘッドホンを首にかけている。

六波羅 恵 :白鐘直斗(ペルソナ4)
・帽子はしていない。パンツスーツ着用。
 後ろ髪のセンター部分が長くのびていて、服の中に入れていたり外に出していたりする。

聞いてまずいならノーコメントでかまわないけど黒幕とかヒロインはすでに確定してるかどうか教えて欲しいです
黒幕予想も楽しみのひとつなので

>>116
ヒロインは自由行動と安価次第、決定タイミングは考え中です。
黒幕は…らーぶらーぶな物語なので存在しません!


名前の話が少しでたので各キャラ名の元ネタと由来を。
これが全部ではないキャラもいますが

【男子】

佐山 樹 / サヤマ イツキ
・姓はモデルの佐山御言から。名は漢字一文字読み三文字のもの。

神風 今日介 / カミカゼ キョウスケ
・女子キックボクシング世界王者、神風杏子

黒須 灰矢 / クロス ハイヤ
・クロスファイヤー

ZEKE / ジーク 
・零戦の米軍側のコードネーム

十中井 蛇山 / トナカイ ダザン
・トナカイとサンタ(初期案が超高校級の運び屋だったため)

直木 重吾 / ナオキ ジュウゴ
・直木賞

早家町 杜々 / ハヤマチ トト
・薬学の英語pharmacy

無位 流一 / ムクライ リュウイチ
・根無し草と流れ者から。


【女子】

赤羽 優仁 / アカバネ ユニ
・赤い羽根募金とユニセフ

川澄 美空 / カワスミ ミソラ
・姓は鳥のカワセミから。名は澄んだ川の対比で美しい空

クロワ・グラトン
・ファミリーネームは大食家の英語glutton

児玉 和音 / コダマ カズネ
・姓名ともに音に関する単語、漢字

四水 眞寄 / シミズ マヨリ
・名はフランスのフリーダイバー、ジャック・マイヨール

都村 美弥子 / ツムラ ミヤコ
・円谷プロ初代社長、円谷英二(本名:円谷英一/つむらや えいいち)

未々咲 愛 / ミミサキ マナ
・未熟さと愛らしさから

六波羅 恵 / ロクハラ ケイ
・FBI捜査官、ロバート・K・レスラー

今日の21時頃に更新します。






 《砂浜》


未々咲「それっ!」パシャッ

児玉「あはっ、冷たいよ愛ちゃん!」

川澄「やったな~? こっちも負けへんで!」





佐山「………………」


僕が今いるこの砂浜……その先では数人のクラスメートが海に入って遊んでいる。
彼女達が着ている水着は先程ウサミ君から配られたものだ。

無位「よう。そんな顔してどうしたんだい」

佐山「無位く……。…………」

無位「なんだよ?」

佐山「……その格好は」

無位「人間が海で最も自由になれる姿さ」

佐山「泳ぐのかね」

無位「海パン履いて山に登る奴がいるか? つまりそういうコトだよ」



無位「おーい! 俺を忘れてんじゃないだろうなー!」

未々咲「あっ、無位クンだ!」



………………。

話は十数分前、ウサミ君による修学旅行の説明の続きにさかのぼる。

                :
                :

 《砂浜》


早家町「な、何て言ったの? ポイント?」

赤羽「それを100てん集める、とおっしゃいましたが……」

ウサミ「不安に思う事なんてないでちゅよ。超高校級のミナサンならきっとすぐに仲良くなれまちゅ! ねー?」

直木「……とウサミを名乗る、実に形容しがたい物体は言う。日差しがまだ夏の記憶を持っている、初秋の正午の事であった……」

川澄「一人現実逃避しとるやないか!」

十中井「おい……。しっかりしろ」

直木「はっ! 私は何を……」

ウサミ「あわわわ……」

六波羅「あの……まとめると、ボクらが仲良くなればこの島から帰れるって事で良いんですか?」

六波羅「それを量る基準として、らーぶらーぶポイントというものがあると」

ウサミ「その通りでちゅ! イグザクトリィでちゅ!」

黒須「そんな事を言って本当に帰す気はあるのか? お前が俺達をこの島に連れてきたんだとしたら……」

黒須「やっている事は拉致であり、犯罪だぞ! 希望ヶ峰学園だとて許される事ではない!」

四水「それに、アンタがあたし達に危害を加えたりしないって保証は」

ウサミ「拉致や犯罪、危害を加えるだなんてしまちぇんよ! 口にするのもおぞましいでちゅ……」

ウサミ「そうだ、生徒手帳の『しおり』を見てもらえば分かるはずでちゅ!」

『しおり』とは生徒手帳にあったページの事だろうか。
そう思い確認すると、何も無かったはずのページが更新されていた。


━━【しおり】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『ルール その1』
・この島では過度の暴力は禁止です。
 みんなで平和にほのぼのと暮らしてくださいね。

『ルール その2』
・お互いを思いやって仲良く生活し、
 『らーぶらーぶポイント』を100てんまで集めていきましょう。

『ルール その3』
・ポイ捨てや自然破壊はいけませんよ。
 この島の豊かな自然と共存共栄しましょう。

『ルール その4』
・引率の先生が生徒達に直接干渉する事はありません。
 ただし規則違反があった場合は別です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ウサミ「ね、これで安心でちょ! ミナサンもルールをしっかり読んで守ってくだちゃいね」

クロワ「フン、そちらが用意したルールならオマエが守る保証も何もないだろう」

ウサミ「あちしはルールを絶対に守りまちゅよ、先生だもの。誓いまちゅ!」

無位「いいんじゃねーの。センセはどうやらルールにこだわってるようだし、悪巧みって訳じゃなさそうだ」

無位「要するにお偉い学校が仕掛けた壮大なドッキリって事だろ。スケールの大きいバカは嫌いじゃないぜ」

赤羽「確かにおっしゃる通りですわ。単なる拉致でしたら、手間がかかりすぎていますもの」

児玉「拉致に単なるも何もあるのかなー……」

早家町「そうだとしても、どうやってボク達を連れてきたの?」

早家町「教室にいるボク達を、気づかれずにこんなとこまで移動させるなんて……」

ウサミ「移動? ともかく、このマジカルステッキがあればなんだってできるんでちゅ!」

都村『なんと! さながら魔女っ子サニーの如しですな!』

ウサミ「あちしは魔法少女でちゅからねー!」

早家町「はあ、変なぬいぐるみにまで子供扱い受けてバカにされた……」

ウサミ「し、してないでちゅよ!?」

未々咲「はいはーい、質問! 今ポイントを見たら0てんって書いてあったんだけど、おかしくない?」

未々咲「私、今の時点で皆と結構仲良くなったと思うんだけどなー。男の子も女の子も」

ジーク「幸せな奴だなお前……」

ウサミ「あ、それはでちゅね。ポイントの清算は一日の終わりにされるからなんでちゅ。今日のポイントの分は夜に加算されまちゅ!」

佐山「……清算?」

つまりポイントが減る事もあるのだろうか。

黒須「待て! コイツの話を真に受けるつもりなのか?」

未々咲「だって皆で仲良しになろう、って目的の修学旅行なんでしょ? ポイントっていうのもゲームみたいで楽しそうだよ!」

児玉「最初は不安だったけど。ホテル豪華だし、結構良いかも」

直木「ま、まあ……スーパーもありましたし、生活に不自由はしなさそうですが」

四水「……海が綺麗だね。そこは気に入った」

神風「関係ねえかもだけど、ヤシの木の陰で寝るの気持ちいいな」

ジーク「マジで関係ねーよ!」

六波羅「ふふふっ。それに規則を守れば危険はないみたいですしね」

黒須「む……。確かにそうかもしれないが。なら、せめてこの場所がどこなのかくらいは教えるべきだろう。外泊するなら保護者にも伝えなければ」

ウサミ「そ、それはでちゅね。そのう……」

川澄「さすがに親には連絡いってんちゃうの? あとこの島、なんやったっけな。知ってる気するんやけど」

赤羽「もしかしてですが……この島は、ジャバウォック島という名前なのでは?」

川澄「あ、それかも! 島原産の鳥がおるらしいから、いつか行ったろって前から思ててん」

クロワ「ほう。ここがどこなのか、確信を得ているのはワタシ以外にいないと思っていたが」

赤羽「あら、いえいえ。公園の名前がジャバウォック公園だったので島の名前もそうなのかなあ、と」

クロワ「…………。ふう、下らん」

川澄「てか、アンタ知ってたんかい! 教えてくれりゃええやん」

クロワ「フン、オマエ達に教えたところで何の意味がある」

川澄「ケチー! ヨーロッパもんは冷たいわー」

児玉「東京もん、みたいに言わなくても……」

ウサミ「……どうやら『どっきどっき修学旅行』を楽しんでくれる気になったみたいでちゅね。喜ばしい事でちゅ!」

ウサミ「そんなミナサンに……じゃじゃーん! プレゼントでーちゅ!」

佐山「これは……スイミングバッグ?」

ウサミ「ピンポーン! らーぶ、らーぶ! ミナサンが仲良くなるのにイベントがあった方がいいと思って水着を用意ちまちた」

早家町「こ、これ着て泳げっていうの? こんな状況で?」

ウサミ「あ、全然強制なんかじゃないでちゅよ。泳ぎたい人がいたらどうぞと思って……」

ジーク「んな呑気なヤツがいるかよ!」

未々咲「待ってましたー!」

児玉「天気もいいし、気持よさそう!」

ジーク「………………」

ウサミ「どうぞどうぞ。着替えはホテルでね。とりあえずスクール水着だけど勘弁ね」

直木「滅相もない! スク水で良い、むしろスク水が良いのです!」

川澄「復帰早っ、キモッ! でもウチも泳ご!」

四水「…………。ダイバースーツ、ないんだ」

十中井「………………」

ジーク「こんなんロックじゃねえ……」


                :
                :

 《砂浜》


そして現在に至る。

海で遊びに興じる生徒、ホテルや別の施設に行った生徒……
程度の差はあれどウサミ君の言っていた『どっきどっき修学旅行』を受け入れていた様子だった。

僕はというと……やはり不明な点が気になっている。
この修学旅行が突然行なわれた理由もそうだし、自分自身の事もだ。

だがどちらも問いかける前に、ウサミ君はやる事があるそうでどこかへ行ってしまった。
今は自由時間という事らしい。


僕はどうすべきだろうか。


安価↓2
1.海で遊ぶ
(川澄、児玉、四水、十中井、直木、未々咲、無位)
2.ホテルに行く
(赤羽、神風、黒須、クロワ、ジーク、都村、早家町、六波羅)

選択 2 ホテルに行く


一度、ホテルに行ってみる事にした。



━━【自由行動:コミュについて】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・自由行動時間では生徒を一人指名してコミュニケーションを取る事が出来ます。
 このときらーぶらーぶポイントが得られ、生徒の好感度も上がります。

・交友力が高い生徒と交流するほどより多くらーぶらーぶポイントが得られます。

・精神力が高い生徒は好感度が上がりにくい傾向にありますが、逆もまた然りです。

・好感度が上がると、通信簿イベントやスキル取得などが起こります。
 いずれもプラスになるので皆と積極的に仲良くしましょう。らーぶ、らーぶ!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



ホテルには海に行かなかった生徒達が他にもいるようだ。
誰かに話しかけてみようか。

安価↓
話しかける人を選択
(赤羽、神風、黒須、クロワ、ジーク、都村、早家町、六波羅)

選択 クロワ

 《ホテル・レストラン》


レストランに行くと、クロワ君が最初会った時と変わらない様子で紅茶を飲んでいた。

クロワ「………………」

佐山「クロワ君、だったね。少し聞きたい事があるのだが」

クロワ「…………。ワタシには言いたい事などない」

取りつく島もないか。

佐山「なら……。僕から勝手に質問するので気が向いたら答えて欲しい」

クロワ「フン。いいだろう」


……と言ってしまった手前だが、何を聞こうか。


安価↓
1.海には行かないのか
2.どっきどっき修学旅行についてどう思うか
3.誰かの印象を聞いてみる(生徒名も記入)
4.自由安価

2 どっきどっき修学旅行について


佐山「この『どっきどっき修学旅行』、君はどう思っている。この島については知っていたようだが」

クロワ「……断定するには情報が足りない。それだけ言っておこう」

佐山「つまり……分かっている事は特に無いのかね」

瞬間、思わずたじろぐほどの強烈な視線で睨まれる。

クロワ「……あのヌイグルミ、あれを操ってるヤツが希望ヶ峰学園であれなんであれ、一定の目的があるのは確かだ」

クロワ「その目的が、ワタシ達の仲を深める事だとは到底思えない」

佐山「別の意図があると?」

クロワ「……さあな。希望ヶ峰学園がそこまで間の抜けた高校だという可能性もある。何しろ所詮日本のいち高校だからな」

彼女はウサミ君の言った事にまだ疑いを持っているようだ。
……それと、分からないとは意地でも言わない性格らしい。


【INFO】
クロワの好感度が上がりました。
らーぶらーぶポイントをゲットしました。

━━【乱入について】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・コミュをした後、らーぶらーぶポイントを消費して他の生徒を乱入させることができます。

・乱入で会話した分の好感度は上がりますが、乱入の分のらーぶらーぶポイントはもらえないのであしからず。

・消費量にはある基準がありますが、基本的には交友力が高い生徒を乱入させるほど高いコストがかかります。

・らーぶらーぶポイントを上手に貯めたいなら、交友力の高い生徒とコミュをとり、交友力が低い生徒を乱入させるとよいでしょう。
 でも、そこまで気にする必要はないかもしれません。

・なぜポイントを消費するのかって? そういうものだからです。らーぶ、らーぶ!


今はポイントがありませんが、チュートリアルなので消費なしで生徒を乱入させる事ができます。お得!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


安価↓
乱入させる生徒を下から選択
(赤羽、神風、黒須、ジーク、都村、早家町、六波羅)

選択 早家町


早家町「あ、佐山くんと……」

クロワ「………………」

早家町「う……。グルメの人だ……」

佐山「早家町君だったか。君もここに?」

早家町「え、うん。何か飲み物でもないかなって……」

と言いつつも居心地が悪いようでそわそわしている。
何か話そうか。


安価↓
1.早家町君は海に行かないのか
2.クロワ君が怖いのか
3.自由安価

選択 1

佐山「君は海に行かないのかね?」

早家町「だっていきなりこんな状況だしそんな気分になれないっていうか……佐山くんだってそうでしょ?」

佐山「ここにいるという事はそうかもしれない。正直、気になっている事が山ほどある」

早家町「だ、だよね! ボクらの方が普通だよね、それにボク……」

佐山「それに?」

早家町「あっ、何でもないよ」

クロワ「……フン。どうせ泳げない事を別の言い訳でごまかしているだけだろう」

早家町「えっ!? な、なんで分かるの……」

クロワ「聞いていれば分かる」

早家町「…………。コワイ……」


………………。

海に入らない理由は人それぞれ、という事だろう。


【INFO】
早家町の好感度が上がりました。

 《夜 ホテル・レストラン》


日も暮れて時間は夕食時。
僕達はウサミ君によってレストランに集められていた。

未々咲「楽しかったー! 海サイコ―!」

児玉「泳いだねー。お腹もペコペコ……」

ウサミ「うふふ。らーぶ、らーぶ、でちゅね。そろそろお腹がすいてるだろうと思いまちた。豪華な夕食を振舞いまちゅよ!」

川澄「といってもテーブルの上になんもないんやけど。ウサミが今からオーブンの中にでも入るんか?」

神風「ブタの丸焼きか……いいな」

ウサミ「ウサギでちゅ! 丸焼きにはならないけどせめてウサギにして!」

神風「ならウサギとブタのハンバーグか……どんな味だ?」

ウサミ「合挽きになってるー!?」

ジーク「いいからとっとと用意しろよ……」

ウサミ「よーし! このマジカルステッキに任せてくだちゃーい!」

そう言うとウサミ君は持っているステッキをテーブルに向けてくるくると回し始める。

ウサミ「ちんぷい、ちんぷい! ちちんぷいぷい、ちんちんぷいぷーい!」

ウサミ「えいやー、美味しいご飯が、食べたいなー!」


………………。


都村『? 何も起こりませんよ? あな静けし!』

ウサミ「あ、あれ? もう一度でちゅ!」

ウサミ「ちんぷい、ちんぷい! ご飯が自由に、食べたいなー!!」

無位「どっかで聞いたフレーズだな。あれか、ドラえ」



ボフンッ!

突如、視界が煙に染まった。
熱は無いが、前方が全く見えない。

児玉「ちょっ、何?」

都村『敵襲!? これは煙怪獣モワンドスの仕業では!』

早家町「明らかにウサミのせいだよ!」

赤羽「…………。視界が晴れてきましたね……」


煙が引いてくると……そこには。


ジーク「なっ……」

クロワ「……ほう」

佐山「これは……」

未々咲「わあ……」

テーブルの上には……豪勢な料理が並んでいた。
食欲を刺激する美味しそうな匂いまでただよってくる。

早家町「え、ええっ!?」

十中井「……こいつは驚いた」

六波羅「手品とかイリュージョンの類……なんですかね?」

未々咲「たぶんそうだよ! 私、もっとスゴイの見たことあるよ」

川澄「むっちゃ美味そう! やるやんウサミ!」

ウサミ「えっへん! どうぞ、お召し上がりくだちゃい!」

黒須「この料理、本当に食べられるのか……?」

神風「へ? ウマいけど」モグモグ

直木「神風氏……。思い切りがいいと言いますか命知らずと言いますか……」

クロワ「匂いは……ふむ」パクッ

クロワ「…………。なるほど」

無位「グルメ大先生、お味の方はどうなんだい?」

クロワ「なんだオマエは……。まあいい」

クロワ「フフン、所詮はこんなものか。マジックに使われる料理などたかが知れているという事だ」

ウサミ「ええっ、できるだけ美味しいものをと思って頑張ったんでちゅけど……」

未々咲「しょうがないよ。クロワちゃんグルメっぽいしねー」

正真正銘グルメだろう。

ジーク「そいつが食ってるって事は……食っても大丈夫なのか?」

クロワ「人を毒味扱いするな。不快だ」

ウサミ「遠慮はいりまちぇんよ!」

その言葉で、皆は次々に料理に手を付けていく。
その味の素晴らしさもあってか警戒心は薄れていった。


料理の乗っているテーブルはいくつか分かれていて、それぞれに人が集まっている。
さながら立食パーティーのようだ。どのテーブルにつこうか。

安価↓3まで
生徒を二名まで記入

あそこのテーブルに行ってみよう。

ジーク「美味い……。クソッ、うめえなこれ!」

早家町「確かに……。デザートもあるといいなあ」

ジーク「デザートなんて女が食うもんだろ。てか種類多すぎんぞ!」

早家町「そうかな。そうなのかな……」

未々咲「おっ、早家町クン甘党? 私もねー、野菜ジュースにガムシロップ混ぜるレベルの甘党だよ」

直木「それは、未々咲氏の嗜好が個性的なのでは……」

児玉「やー、美味しい。あっ、コレもいける! あーん、せっかく泳いだのに太っちゃうよー!」

黒須「自制すればいい。心を静めて己を律すれば食欲も無くなる!」

児玉「そんな事できたらダイエットなんて言葉は出来ないってー……。あー、美味しい!」

皆、会話もそこそこに料理に夢中になっているようだ。



こうして突如始まった不思議な修学旅行の第一日目は、実に平和に終わった。

【INFO】
6人の好感度が少し上がりました。

 《佐山のコテージ》


夜になり自分に割り振られているコテージに戻った。
部屋はベッド、シャワールーム付きで一通りの家具は揃っているようだ。


佐山「………………」


今日一日の事を振り返る。
砂浜で目覚めてから全員と自己紹介、さらにはウサミと名乗る引率の先生。
入学式ではなく『どっきどっき修学旅行』なるものが開催されていた。

すべてが唐突で非現実的のはずだったが、それでも適応しているクラスメート達。
さすが超高校級といったところだろう。

そして、肝心の僕の才能は一体なんなのだろう。
僕は何を思って希望ヶ峰学園に入学したのか。



 『キーン、コーン……カーン、コーン』


                :
                :

 『ただいま午後10時になりまちた』

 『ミナサン、自分の部屋でゆっくり休んで明日も元気いっぱい頑張りまちょー!』

 『ぷすー、くすくす! 明日も希望の一日となりますよーに! おやすみなちゃい!』

                :
                :


ウサミ君による時報という訳か。
どうやらこの修学旅行では午後10時を一区切りとしているらしい。


 『ピピッ』


ぼんやりと放送を聞いていると近くから電子音が鳴った。生徒手帳だ。

佐山「?」

開くと『ポイント』のページが更新されている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【あなたの らーぶらーぶポイントは 33 てん でちゅ】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一日の終わりにポイントは清算される……
どうやら今日一日で僕が集めたのは33てんらしい。

目標は100てん、この分だとあと二、三日ほどで旅行は終わりを迎える。
修学旅行としては一般的な日程だろう。

答えの出ない思索を諦めて、ベッドに横になった。

佐山「………………」

始まりこそ不穏だったが今は順調だ。危険も不自由もない。
クラスメート達も旅行を受け入れて、仲を深め楽しく過ごそうとしている。





……それでも漠然とした不安のようなものを感じるのは、僕が記憶を失くしているからなのか。





【1日目 終了】

【現在の好感度】

早家町 杜々 ……8
クロワ・グラトン ……3
黒須 灰矢 ……2
児玉 和音 ……2
ZEKE    ……2
直木 重吾 ……2
未々咲 愛 ……2
赤羽 優仁 ……0
神風 今日介 ……0
川澄 美空 ……0
四水 眞寄 ……0
都村 美弥子 ……0
十中井 蛇山 ……0
無位 流一 ……0
六波羅 恵 ……0

【らーぶらーぶポイント……33てん】

という事で今日はここまで、ありがとうございました。
今日の夜にまた更新予定です

始めます

 【2日目 朝】


修学旅行が始まって二日目の朝。
天気は昨日と変わらず気持ちのいい快晴だ。

コテージを出ると外には誰の姿も見えなかった。
起きるには少し早い時間かもしれない。

とりあえずレストランに向かおう。

 《ホテル・レストラン》


レストランには三人の人物がいた。黒須君、川澄君、クロワ君だ。
こちらの姿を認めるなり、一人が近づいてきた。

クロワ「……グッドモーニング、サヤマ」

佐山「……ああ。おはよう」

クロワ「良い天気だな」

佐山「そのようだね。今日しばらくは晴れ間が続きそうだ」

クロワ「…………。フゥ……」

簡潔な挨拶と世間話を済ませると、彼女はさっさと席に戻っていった。
昨日の様子では挨拶を交わすような性格に見えなかったが……。

川澄「おはようさん。起きんの早いね」

話しかけてきた川澄君に挨拶を返すと、テーブルの上に料理が並んでいるのが目に入った。
明らかに3人分ではない、それどころか全員の分まで足しても余りある。

佐山「あの料理は?」

川澄「ウチらが作ったワケちゃうで? 来たら最初からあってん。多分ウサミちゃう?」

ウサミ君は生徒の食事を用意しているのか。
この島には不自由、不便がないというのは本当のようだ。


黒須「………………」


佐山「彼は? 目を瞑っているが……」

川澄「座禅やって。部屋でやればええのに」

確かに。仮に朝の座禅が彼の慣習的なものならここで行うのはおかしい。
何か理由があるのだろうか。

川澄「ま、それはおいといて。こんだけあれば多目にとっても大丈夫やろ。食べよーっと」


僕も朝食を摂るとしよう。
らーぶらーぶポイントの事もあるし、誰かと同じ席で食べるのもいいかもしれない。

安価↓2
1.黒須
2.クロワ
3.川澄
4.一人で食べる

選択 1


佐山「おはよう。一緒に食べてもいいかね」

黒須「……む。佐山か。もちろん構わないぞ」

佐山「座禅を組んでいたようだが、考え事でも?」

黒須「いや……。大した事じゃない。さて、俺も食べよう」

そう言って彼は既に取り分けていた朝食に手を付け始めた。
メニューはご飯、味噌汁、魚の焼きものなどの和食のラインナップだ。


何か話そうか。

安価↓2
1.考え事について追及してみる
2.らーぶらーぶポイントについて聞く
3.他の生徒の印象を聞いてみる(生徒名も記入)
4.自由安価

選択 3 早家町


                :
                :

黒須「しかしこのクラスには印象深い生徒が多いな。個性的というべきか」

君もその一人だとは思うが言うべき事でもないだろう。

佐山「誰か印象に残った生徒でも?」

黒須「いや、まだ誰ともそれほど深く話した訳ではないからな。しいて言うなら昨日パーティーで同席していた面々か」

佐山「早家町君などはどう思うかね」

黒須「才能は薬学者だったか? あの年で世間に認められているというのは素直に凄い事だと思うぞ!」

黒須「ただ、身体的にも精神的にも鍛錬が足りないな。年相応なのかもしれんが、体は鍛えるべきだと思うんだが……」

との事だ。


【INFO】
黒須の好感度が上がりました。

朝食を済ませた頃には、すでにほとんどのクラスメートがレストランに集まっていた。
一人で食事を済ませる者、集まって話しながら食べる者、人それぞれだ。



川澄「今日何しようかなー。……せやな、またウサミがなんかやるかもしれへん!」

                 :
                 :

クロワ「……チッ。まだ起きてこないヤツがいるか……」

                 :
                 :


黒須「そうだ佐山。後で精神鍛錬に付き合ってくれないか」

佐山「精神鍛錬?」

黒須「ここに来てから心が荒ぶる事が多いんでな。一度しっかりと気を引き締める!」

黒須「他の奴等にも頼んでみるつもりだ。昼ごろに行なうから気が向いたら来てみてくれ」

具体的に何をするのかは分からないが、覚えておこう。

【2日目 自由行動 朝】


これからどうするか、今日の予定を考えているとある人物が話しかけてきた。
いや、人というのは正確ではない。

ウサミ「あ、佐山くん。あのう……ちょっと、お時間ありまちゅか?」

佐山「特に予定はないが」

ウサミ「実はものすごーくおトクな話があるんでちゅ! ついてきてくれまちぇんか?」

佐山「物にもよるが……一体何を?」

ウサミ「そ、それは……。とにかく絶対ソンはさせまちぇん!」

佐山「……この場で説明できない訳でもあるのかね」

ウサミ「お願いでちゅ! サービスするから! さきっちょだけでも!」

佐山「………………」

ウサミ「お願いしまちゅ……。さっきから他の人に呼び掛けてもダメで……」

佐山「……分かった。君についていこう」

ウサミ「ありがとうございまちゅ!」

あやしい勧誘のような物を連想したが、とりあえずウサミ君に従う事にした。

 《ロケットパンチマーケット》


ウサミ「おめでとうございまーちゅ! 記念すべき一人目のお客様でちゅ!」

佐山「………………」

マーケットに入った瞬間、ウサミ君にクラッカーで祝われた。
そして店の一画に誘導され、『らーぶらーぶコーナー』という場所に連れて行かれる。

佐山「これは一体……」

ウサミ「今日新設されたこの『らーぶらーぶコーナー』では、ミナサンがもっと仲良くなるためのアイテムを販売してるんでちゅ」

ウサミ「いろんなプレゼントが入っている『らぶらぶヤシーン』もお役立ちでちゅよ!」

佐山「なるほど、販促という事か。といっても僕は通貨の類を持っていないのだが」

ウサミ「えっと、ここではお金じゃなくてらーぶらーぶポイントを使ってお買い物をするんでちゅ!」

佐山「……修学旅行を終わらせるにはらーぶらーぶポイントが必要ではなかったかね」

ウサミ「そ、そうでちゅけど……」

……他の人がついてこない訳だ。

ウサミ「う、うう……。ミナサンがここを利用してくれればもっと仲良くなれると思ったんでちゅけど……」

佐山「手早く100てんを集めてここから出たいと思う人の方が多いだろうね」

ウサミ「そうなんでちゅ……。説明したらミナサン来てくれなくて……」

佐山「………………」

ウサミ「あのう……。ちょっとだけでもお買いものしていきまちぇんか? 今なら初来店という事で商品券をサービスしまちゅから……」

佐山「……ふむ、分かった。いくつか買っていこう」

ウサミ「! ありがとうございまちゅ! うふふ、らーぶ、らーぶ!」

少し考えたが、買い物をする事にした。
理由は、このアイテムとやらを使う事でよりポイントが集めやすくなるかもしれないという事と……

……何故か【ここでポイントを使い切ってしまった方がいい】ような、奇妙な予感があったからだ。
論理的に考えればありえない事なのだが……。

とにかく、品揃えを見てみよう。

ウサミ「いらっちゃいまちぇ! らーぶ、らーぶ!」


・商品券によって20ポイント分はタダで使う事ができます。お得!

【現在のらーぶらーぶポイント……33ポイント】+20ポイント

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・『旅行日誌』……30ポイント
 島での生活を記録できる。思い出を残そう。

・『男のマロン』……20ポイント
 男のロマンが詰まっているといわれるマロン。ヤシーンからは出てこない。

・『インビトロローズ』……15ポイント
 女子への贈り物に最適。ヤシーンからも出てくる。

・『人望メガホン』……15ポイント
 公害レベルの大音量が出るメガホン。周りから信用されている人しか使えない。

・『マジックアイ』……10ポイント
 絵を注視すると視力が回復すると評判の本。集中力が鍛えられる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

※原作だとヤシーンで出てくるプレゼントで渡せる物は107種類なので、それしか出てきません。
下二桁のコンマ+下三桁目のコンマの番号のプレゼントが出てきます。

・101番以降の物は次のように割り振っています。仕様上、偏りはありますがご了承を。

 61 葉隠流水晶
101 乱れ雪月花
102 インビトロローズ
103 ドクロマスク
104 仮装のコンパクト
105 天使の果実
106 包帯
107 剣風秘帖・舞園鞘花


何に使うのか分からない物も多いが、どうしようか。

安価↓2
購入する物とヤシーンの回数

ではこのレスの下から↓8までのレスのコンマでプレゼントを決定します、連投ありでどうぞ

『旅行日誌』を購入しました。

ドクロマスク
エプロンドレス
懐紙『十幕目詩録』
ティッシュ
Mr.ホチキス
七支刀
クマの髪飾りの少女
純色ジーパン
を手に入れました。

【らーぶらーぶポイント……15てん】



ウサミ「お買い上げありがとうございまちた! こんなに買ってくれるなんて……先生感激!」

………………。

我ながらいいお客さんだろう。


ウサミ「あっ、売り切れた商品を入荷してこなくっちゃ!」

そう言うと、うきうきとした足取りで店の外へ出て行ってしまった。
僕の記憶について質問したかったのだが……またの機会にしよう。


━━【プレゼントについて】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・コミュを取った生徒、乱入してきた生徒にはプレゼントを渡す事ができます。

・このとき好感度があがりますが、らーぶらーぶポイントは増えません。

・上がる好感度は精神力には関係なく、生徒の好みによって決まります。

・積極的にプレゼントを渡して皆と仲良くなりましょう。らーぶ、らーぶ!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━【一日の流れについて】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・一日は、朝・昼・夜の三回行動ができます。

・一回の行動で出来る事は、誰かとコミュを取るか、サブイベントを起こすかです。

・ただし朝だけは、買い物をしたりヤシーンを行う事ができます。
 この時も安価で誰かが来る事もあります。

・らーぶらーぶポイントの加算は一日の最後にまとめて行います。

・イベントによって行動が消費される事もあるのでご注意を。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━【サブイベントについて】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・生徒と特定の話をしたり、物語の進行によってはサブイベントが発生する事があります。

・参加する生徒を選ぶ事ができます。参加した全員の好感度が上がり、
 らーぶらーぶポイントももらえます。

・得られる好感度やポイントに生徒の交友力、精神力は関係ありません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【2日目 昼 自由行動】


そうこうしている内に昼になってしまった。
そういえば、黒須君が精神鍛錬を行なうと言っていたが……。


昼はどう過ごそうか。

安価↓2

1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(下から選んで参加する生徒も選択)

『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】

a.『精神鍛錬!』【黒須|2人まで|あと0回】

2 無位と十中井


黒須君の言っていた精神鍛錬とやらに行ってみるとしよう。


 《砂浜》

佐山「君達も来ていたのかね」

十中井「……まあ、な」

無位「なんかオモシロそうな事やってんなー、と思って」

黒須「よく集まってくれた! これより精神鍛錬を始める!」

無位「そんで、具体的には何をすればいいんだ?」

黒須「そうだな。公案をする事も考えたんだが、お前達にはその知識を持っていないだろうからな……」

無位「公案ってなんだ? 三十字以内で説明してくれ」

佐山「悟りを開くための問答の事だよ。いわゆる禅問答というやつだ」

無位「要するに訳分かんない問題って事か。俺はそういうの出すの得意だぜ?」

黒須「もしくは、これから俺が座禅を組む。それから何があっても動じないようにする!」

黒須「お前達は俺の心を乱すような事をしてくれ! 耐えてみせる!」

十中井「……なるほどな。任せろ」

……という提案のようだが、どうしよう。


安価↓
1.禅問答をする
2.座禅を妨害
3.何か別の提案(自由安価)

選択 1


                :
                :

黒須「では始めよう。出題者は『作麼生』という言葉から始めてくれ。ふっ、公案も久しぶりだな」

無位「じゃあ俺から。そもさん」

黒須「説破! 来い!」

無位「この世に出てる歌の90%はラブソングなのは知ってるか?」

待て、いきなり前提があやしい。

黒須「ら、らぶそんぐ?」

無位「じゃあここで問題だ。残りの10%の歌はなんだと思う?」

黒須「なっ……。それはちゃんとした問答か?」

無位「当たり前だろ? さあ、シンキングターイム!」

そういって無位君はウクレレを弾き鳴らす。

黒須「おい、そんなものはいらないだろ!」

無位「落ち着けって。精神力を鍛えるんだろ? しっかり考えろよ」

黒須「ぐっ……。そうか、公案の目的は常識に囚われない事。考えろ……」

十中井「ラブソングか……。…………」

佐山「………………」

黒須「……! 分かったぞ。童謡か!」

無位「やれやれだぜ兄弟。不正解だ」

黒須「なっ……では正解は?」

無位「失恋ソング、さ……」

黒須「……いやおかしいだろ! 世の中にそんな不埒な歌しかない訳ないだろう!」

十中井「違ったか……」

佐山「…………。では次は僕が」

無位「第二問いくぜ。そもさん」

黒須「説破ァ!」

無位「みつお君がコンビニで買い物にいったときの事だ。みつお君はこの時、お金を50円しか持ってなかったんだよ。高校生なのに」

無位「けど100円のジュースを持ってコンビニから出てきた。なぜだと思う?」

黒須「む、さっきよりはまともだな……。お金を、という事なんらかの割引券を持っていたんじゃないか?」

無位「万引きしてきた」

黒須「犯罪だそれはッ!」

十中井「……なるほどな。ウチの店でやったら、タダじゃおかねえ」

佐山「………………」

これはもはや、なぞなぞに近いのでは……しかも理不尽な。


この後も全く為にならない鍛錬が続いたが、4人の仲は深まった……のだろうか。


【INFO】
黒須の好感度が上がりました。
無位の好感度が上がりました。
十中井の好感度が上がりました。

今日はここまで、ありがとうございました。
サブイベントはストーリー進行に関係するもの以外では思いつきでやると思います。

次回の更新は安価はありません。

【2日目 夜】


夕暮れ時。
僕達はウサミ君によって再び砂浜に集められていた。

未々咲「ねえ、今度は一体何をするつもりなの?」

ウサミ「うふふ、今日もらーぶらーぶなイベントを用意してまちゅよ。今日は天気が良いかららーぶらーぶ日和っ!」

と言った瞬間。
突如、空に暗雲が立ち込めてきて、さっきの快晴が嘘のように天気が崩れた。

ウサミ「あ、あれ……?」

川澄「オイシイなー、ウサミ。狙ってたんか?」

ウサミ「い、いや。ありえないでちゅ、こんな事!」

ジーク「オイ……。なんなんだよ、コレは?」

四水「曇るまでの早さが異常だよ。何かがおかしい……」


突然の事態に戸惑っていると、モニターから声が流れ出した。


                :
                :


 『あー、あー、マイクテスッ! 本日は晴天なり! あ、曇ってる』

 『えーと。ちっす! どもども! こんちゃっす!』

 『大変たいへんタイヘン! お待たせいたしました!』

 『一日遅れで真打の登場でございまぁーす!』

 『オマエラ、ジャバウォック公園にお集まりくださーい! うぷぷぷぷ……』

                :
                :

放送された、ウサミ君のものとはまた違う場違いな明るい声。
しかしそれは昨日の放送とは全く毛色が違った。

ウサミ「ま、まさか今の声って……アイツが!?」

ウサミ「……大変でちゅ。あちしがなんとかしないとっ!!」

そういうとウサミ君は混乱している僕達を尻目に走り出してしまった。

早家町「な、何今の?」

黒須「ただならぬ雰囲気だったが……」

未々咲「ジャバウォック公園だっけ? ウサミちゃん行っちゃったけど、どうする?」

無位「……俺達も行ってみようぜ。一見に如かず、だ」

児玉「い、行くんだ……。なんか怖い感じするけど……」

赤羽「……なんだか、悪い予感がします」

無位「そのセリフ、言ったもん勝ちだよなあ」

佐山「………………」

……ウサミ君を追いかけよう。

 《ジャバウォック公園》


ウサミ「ど、どこでちゅか!? どこに隠れてるんでちゅか!?」

公園では先に着いていたウサミ君がステッキを持ち構えて辺りの様子をうかがっていた。
ぬいぐるみとはいえ、臨戦態勢になっている事が分かる。

直木「何をしているんですか? 隠れてるって何が……」


 「うぷぷぷぷっ!!」


ウサミ「!! やいやい! どこでちゅか? どこにいるんでちゅか?」


 「アーッハッハッハッハ!!」


笑い声と共に、声の主が公園の像の陰から飛び出した。




 「やぁ! お待たせしました!」

 「人呼んで愛と絶望のハイブリッド、ラブアンドダーティーな敵役……」

 「ボクはモノクマ! この学園の学園長なのです!」


ウサミ「やっぱり……あんたでちたか! でも……どうちて……?」

ウサミ「どうして、モノクマがここにっ!?」

佐山「……モノクマ?」

六波羅「学園長……って希望ヶ峰学園のですか?」

神風「学園長まで変な動物なのか? 二匹とも似てるな……」

無位「やれやれだぜ。今度は理事長がヘロウキティとか言い出すんじゃないよな」

ウサミ「ミナサン、騙されないで! コイツは……コイツは!」

モノクマ「うぷぷ。ウサミの癖に学園長に対して随分デカい口叩くじゃん」

モノクマ「はっきり言ってやろう。お前なんてクビだっ! もぎ取ってクビだけにしてやるよ!」

言うなり、モノクマと名乗る物体はウサミ君めがけて襲い掛かった。

ウサミ「ふざけないでくだちゃい! アンタなんかマジカルステッキで返り討ち……」

モノクマ「モノパーンチ!」

ウサミ「きゃああああああっ!?」

勝負は一瞬で決した。
というより飛び掛かった勢いそのままにウサミ君が吹っ飛ばされた。

ウサミ「ど、どうちて……? なんで力が……」

ウサミ「……はっ! あんた、まさか最初から……!?」

モノクマ「うぷぷ、ウサミよ。オマエの敗因はたった一つ……オマエはボクをおくらはちりぬるを!!」

ウサミ「怒りの余り言葉になってないでちゅー!?」

モノクマ「オマエはもう教師でもなんでもなーい! あれ、ウサミいらない子なの?」

モノクマ「それはさすがにカワイソウだから……ボク好みに改造して付加価値を付けてやるよ!」

ウサミ「きゃあああああああ! や~め~て~!」

再びモノクマがウサミ君に襲い掛かった。

早家町「何が起きてるの……?」

十中井「……分からねえ。が、危ねえ……気がする」

 「な……なんでちゅか、これはー!?」

ウサミ君はモノクマによってその姿を変えられていた。
服装はなぜかオムツ姿に変わり、色も左右半身ずつピンクと白にカラーリングされている。

モノクマ「オマエはこれからボクの妹、モノミという設定を背負っていくんだ! これぞ付加価値!」

都村『なんという早業! 取っ組み合いの中で一体何が!?』

未々咲「ウサミちゃんが変な塗り方になっちゃった!」

モノクマ「変な塗り方って……ボクと同じなんですけど。地味に傷つくんですけど……」

モノミ「こんな妙ちくりんな格好もあんたの妹だなんてのも嫌でちゅよ! 元に戻しなちゃい!」

モノクマ「えーい、黙らっしゃい!」

モノミ「ああっ、ワンパンでちゅー!」

児玉「も、もうやめてよ! ウサミが可哀想だって!」

ジーク「おい……いつまでこんな茶番続けるんだよ!? つーか、なんなんだよお前!?」

モノクマ「言ったでしょ? ボクはモノクマ、希望ヶ峰学園の学園長だよ」

黒須「そんな戯言はいい! 俺達をここに呼んだ目的はなんだ!」

モノクマ「うぷぷ。このなっさけないモノミに代わって、ボク直々にオマエラを教育してやろうと思ってね!」

モノミ「う、ううう……」

クロワ「教育だと?」

モノクマ「モノクマ学園長の絶望的熱血指導! 始まるよ!」

神風「なんなんだ、一体?」

モノクマ「まずさ、オマエラ。昨日と今日、のほほんと甘々ヌルヌルな日常を過ごしたと思うから聞いてみたいんだけど」

モノクマ「『愛』って……何かね?」

ジーク「は……?」

川澄「あ……?」

直木「い……?」

佐山「愛?」

目の前の異様な物体からの、予想外の質問により、僕達は皆、押し黙ってしまった。
あまりの展開に気圧されている部分もあるのかもしれない。

モノクマ「オマエラってさ。そこのモノミに、帰る為に必要だって言われて、皆と仲良くしなきゃなんでしょ?」

モノクマ「恋愛親愛友愛慈愛自愛母性愛……これらは全部愛だけど、オマエラが培ってきたのって、本当に愛っていえる?」

四水「……どういう事。話が見えない」

六波羅「もしかしてらーぶらーぶポイントの事を言ってるんですか?」

こちらの問いかけには無視して、モノクマは一方的に話を続ける。

モノクマ「親しくもないヤツには本当の自分は決して見せない。見せるのは偽の仮初めの余所行きの仮面だけ」

モノクマ「そんな仮面同士で集まって、とりあえず気が合うふりして、仲が良くなったと思い込んで、絆が深まったと勘違いして……」

モノクマ「それって本当に、愛?」

川澄「……何を言うてんの。ウチらがそうやって言いたいんか!」

モノクマ「違うよねえ。違う違う。モノクマ学園長はそんなモノを愛だとは認めません!」

モノクマ「よって、こうだ!」

その瞬間――。


 『『ピッ』』『ピピッ』『『ピピッ』』


僕達の周りで、多数の電子音が鳴った。

ジーク「生徒手帳からなんか鳴ったぞ?」

児玉「今の、全員分のが鳴ったみたいだけど……」

急いで生徒手帳を取り出して確認する。
開くと『ポイント』のページが更新されていた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【あなたの らーぶらーぶポイントは 0 てん でちゅ】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐山「……!」

ジーク「は……はあああああああああっ!?」

未々咲「どういう事? 40てんもあったのに0てんになってる!」

六波羅「ポイントの帳消し……!?」

モノクマ「うぷぷぷぷ、ぶひゃひゃひゃひゃひゃ! 言ったでしょ? そんなモノを愛とは認めませんって!」

四水「あんた……!」

黒須「ふざけるなッ! 俺達をこの島から帰さない気か!?」

モノクマ「いえいえ、100てん貯めたらどうぞ帰って下さい! けどボクは何度でもオマエラのポイントをリセットできるけどねー!」

十中井「てめえ……!」

赤羽「あのう、それではわたくし達はどうやっても100てんまで貯める事が出来ないと思うのですが……」

モノクマ「あるよ? 100てん貯める方法。ちゃんとした愛でポイントをゲットすればいいのさ」

モノクマ「そうすれば一気に100てんまで貯まるクマ!」

無位「そうかい学園長さんよぉ。じゃあお前の言う、ちゃんとした愛ってやつは一体なんなんだよ?」

モノクマ「うぷぷ、それはね……」




モノクマ「愛は愛でも、殺し愛♥」


早家町「え……」

モノクマ「殺し方は問いません。ポピュラーな撲殺刺殺絞殺毒殺から始まり……」

モノクマ「射殺殴殺轢殺焼殺爆殺斬殺溺殺感電殺墜落殺呪殺……どうぞ、お好きな殺し方を自由に選んでください」

神風「………………」

都村『…………うっ、え?』

直木「…………な、な……」

佐山「……どういう事かね、それは」

モノクマ「ルールの追加って事さ。今まではオマエラがおままごとみたいなコミュ取ってりゃポイントは貯まったけど」

モノクマ「これからはコロシアイをする……誰かが誰かを殺せば、一気に100てんが貯まるんだよ」

モノクマ「問答無用で100てん! 絶対正義で100てん!! 公明正大に100てん!!!」


モノクマ「そう、これからは『どっきどっき修学旅行』あらため……」

モノクマ「殺し愛……『コロシアイ修学旅行』の始まりなのです!!」

場が完全に凍りつく。
皆、目の前の悪魔じみた物体から発せられる狂気と悪意と迫力に完全に圧倒されていた。

児玉「い、いや……。ちょっと、やめてよ……!」

川澄「は、あ……? 何それ……」

モノミ「何を言ってるんでちゅか!? そんなの許される訳……!」

モノクマ「モノクマトンファー!」

モノミ「うぎゃあー! 実際にはただのキックでちゅー!」

クロワ「……おい、モノクマとやら。その殺し合いには何のルールも無いのか?」

クロワ「どいつかを殺せばただそれだけで良いのか?」

モノクマ「いい質問ですねえ、クロワさん! それではちょっとこっちのフリップをご覧ください」

モノクマがどこからかフリップのようなものを取りだし、楽しげに説明を始めた。

モノクマ「オマエラの中で殺人が起きた場合、全員強制参加の学級裁判が行われます。犯人はこの学級裁判を逃げ延びなければいけません!」

未々咲「……学級裁判?」

モノクマ「そうっ! これこそがコロシアイ修学旅行のキモなのです!」

モノクマ「学級裁判では殺人犯であるクロと、それ以外の生徒シロとの対決が行われます」

モノクマ「裁判では『誰が犯人か?』を議論し、見事クロを突き止めれば、クロだけがおしおき。生き残りのメンバーは修学旅行を続行します」

モノクマ「ただし突き止められなかったら……シロ全員をおしおき。残ったクロは100てんをゲットして、この島から出られるって寸法です!」

赤羽「おしおきとは一体何の事でしょうか……?」

モノクマ「現実的な言い方をすると……処刑だね!!」

六波羅「……っ!」

早家町「しょ、処刑!?」

モノクマ「学級裁判後に見せしめとしてビックリドッキリなデスアトラクションがあるんだ。これも修学旅行のキモだね! レバーですね!」

十中井「……オイ。さっきから聞いてりゃよ……随分ムチャクチャ言うじゃねえか」

黒須「……! そうだ……貴様に従う道理がどこにある!」

無位「こっちには体育会系軍団がいるんだぞ? お前を操ってるヤツを探し出してボコる事もできんだよ。……って神風が言ってました」

神風「え、オレ?」

モノクマ「ふう……。しょうがないなあ。圧倒的理不尽な力の差を見せつけるのも学園長の務めだからね」

モノミ「力の差って……何をするつもりでちゅか……!」

モノクマ「タカ! トラ! バッタ! モノ、ケモノ!」


モノクマがその言葉を発した瞬間……。
公園の銅像が崩れ落ち、中から『それら』は出てきた。


都村『巨大……ロボット……!?』

未々咲「わああ、ロボットだ!? ロボットだよあれ! ねえ!?」

佐山「……ああ。僕にも見えている」

ジーク「ば、化け物じゃねえか!?」

モノクマ「モノケモノです!」

神風「……っ」

直木「……という彼等の悲鳴を聞きながら、僕の意識は遠ざかりありおりはべりいまそかり……」

川澄「あ、アハハ! 嘘やん! 夢やこれ、なあ……」

モノミ「ミナサン! 下がって! あちしが守りまちゅ……!」

モノクマ「おっ、ちょうどいいや! 出てきたばかりのモノケモノの、凶暴具合を試させろ!」

モノケモノと呼ばれるロボットたちは一斉にウサミ、いやモノミ君に照準を合わせた。
装備されている機関銃はその砲身を回転させ、そして――。



無位「………………」

早家町「ウサミが、ふっとんだ……」

児玉「なにこれ……。もうダメだよぉ……!」

モノクマ「という訳です、ハイ。理解できたかな?」

六波羅「……力じゃ、どうする事もできないって事ですか……」

モノクマ「はい、大変よくできました。つー訳で!」

モノクマ「オマエラ、コロシアイ修学旅行をどうぞお楽しみください!」

モノクマ「ようこそ、愛と絶望と、殺戮の楽園へ! Welcome to Paradise!」


そう残して、モノクマとモノケモノは立ち去ってゆく。

僕達に混乱を残して。狂気を残して。絶望を残して。


誰ともなく、僕達は周りを、互いの顔を見回す。
その目には混乱、戦慄、悲痛、そして……警戒の色が浮かんでいた。


モノクマ、モノケモノ、学級裁判、コロシアイ修学旅行……
すべてが唐突で非現実的だ。

それでもクラスメート達はそれらを受け入れて、適応してしまうだろう。
なぜなら、彼等は超高校級の生徒達だから。

そして僕達が適応したとき、敵となるのはモノクマやあの理不尽な暴力機械ではない。



僕達全員が、敵になるのだ。





━━【PROLOGUE】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


               『永遠の、ゼロ』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【 END 】━━━━


生き残りメンバー   16人

To Be Continued……

らーぶらーぶ終了!という事で今日はここまで。
今回もよろしくお願いします。あと、黒幕はもう決まってます


次回更新は火曜以降の予定です。

23時くらいから始めます
安価は少ないです

 《ジャバウォック公園》


静寂を包まれた穏やかな夜の公園。
しかし弾痕の残った石畳や強く立ち上るきな臭さ……先程の狂乱の爪痕はしっかりと残っていた。

なによりこの静寂は、声もなく周りを伺いあっている僕達の沈黙が作り出している。
この場にいる皆、全身を縛られていて言葉を口にする事が出来なかったのだ。



『この中の誰かが殺し合いを始めるかもしれない』……
疑念という名の鎖に……。




━━【CHAPT.1】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


           『 - NEW GAME - 絶望パラダイス 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【 (非)日常編 】━━

赤羽「……あのう。皆様お怪我はありませんか?」

最初に口を開いたのは赤羽君だった。
一言目が全員への怪我の心配だったのは、人道支援家たる彼女の人柄と言えるのかもしれない。

児玉「け、怪我……。……うん、ヘーキ。でもムチャクチャだよぉ、あんなロボットー……」

六波羅「ウサミさんが狙いを引き受けてくれたので救われましたね……。跳弾や流れ弾はあったかもしれませんけど」

未々咲「……あれ? 無位クン血出てるよ、大丈夫!?」

無位「………………」

見ると無位君の頬が軽く切れて血が流れていた。弾丸が掠めたのだろう。
彼の表情も険しい。

赤羽「無位様、大丈夫でしょうか? 早く手当てを……」

無位「こいつは……MT5だな」

赤羽「…………。銃器の名称でしょうか? 聞いた事はありませんが……」

無位「……マジでちびる5秒前だ」

赤羽「あらまあ」

未々咲「九死に一生だったね!」

十中井「……早くトイレに行って来い」

佐山「………………」

とりあえず全員無事のようだ。

四水「これからどうすんの。あたし達の引率の先生とやらは……いなくなった訳だけど」

未々咲「ウサミちゃん……」

川澄「ど、どうする言うたって……どうすんの、これ?」

早家町「どうしようもないと思う……。うう、やっぱりここに来なければ……!」

黒須「…………。ふうううぅぅぅ。皆、まずは冷静になるべきだ!」

黒須「悪い流れは早々に断ち切らなければ。混乱したまま話を進めるのは得策ではない!」

六波羅「……賛成です。心を落ち着ける意味でもボク達の置かれている状況について今一度整理しましょう」

六波羅「まず修学旅行が始まったのが昨日。ボク達はこの島に連れてこられました」

六波羅「故ウサミさん……いえ、モノミさんでしたか。モノミさんの話だと、ポイントを集めれば島から出られるという事でした」

児玉「100てんだよねー……。皆と仲良くなればポイントがゲットできるって話だった」

六波羅「けどさっきのモノクマ、学園長を名乗るあのぬいぐるみはボク達の貯めたポイントを帳消し、0てんにしてしまいます」

六波羅「このままだとボク達はこの島から脱出する事が出来ない……」

六波羅「というのが今までの事態のあらましです。間違っていれば指摘して下さい」

クロワ「付け加えるのなら。現時点では飛行機や船などの脱出手段はおろか、外への連絡手段も一切無い事だな。フフッ」

川澄「なに笑てんねん……」

四水「泳いで逃げるってのも無理。昨日と今日、沖に出てみたけど他の島は見えなかった」

児玉「うう、完全に閉じ込められてるー……」

未々咲「そしてあのロボットかー。神風クン強いんでしょ? 一体くらいなんとかしてやっつけられないの?」

神風「ええ? ムリに決まってんだろぉ」

神風「格闘技は、タイジンギジュツ?ってヤツなんだぞ。ああいうのはムリだ」

未々咲「そっかー。ジッセンテキ?じゃないんだねー」

ジーク「身のねえ会話だな……」

佐山「反抗は不可能だろう。もしあの機械を何とか出来ても、他にも兵器を隠し持っていると考えられる」

都村『モノケモノ……。いやはやっ、サイッコウにアツイですな、アレは!』

早家町「あ、あつい?」

都村『見た目重視の動物モチーフフォルム、シンプルすぎるネーミング、そして何より5体1チーム!』

都村『わははっ、私のマニア心にビンビンとくるでありますー! あな燃えっ!』

黒須「喜んでる場合かッ! そのロボットのせいで絶体絶命なんだぞ!」

直木「なんというか、聞けば聞くほどその。八方塞がりのように聞こえるのですが……」

十中井「……実際のところ、そうなんだろうよ」

クロワ「いいや? 一つ出る方法があるとモノクマが言っていただろう」

児玉「それってやっぱりー……」

クロワ「コロシアイ、だ。一気に100てんを得られるそうじゃないか」

黒須「貴様……まさかあいつの言葉を信じるつもりなのか!?」

クロワ「少なくとも、今までの茶番よりはリアリティーがあるし楽しめそうだ」

赤羽「まあ……。わたくしにはとてもそう思えないのですが」

川澄「何言うてんの、おかしいって……!」

クロワ君が公園に設置されているカメラを示しながら続ける。

クロワ「誰かは知らないがワタシ達を誘拐してこの島に連れてきた黒幕の目的として、こっちの方が合点がいくというだけだ」

クロワ「ツマラナイ馴れ合いより、こういった極限状況の方が見てて楽しいだろう? ワタシはそう感じる」

クロワ「もちろん参加する立場としてもな……ククッ」

ジーク「なっ……」

十中井「……てめえ。本気で言ってやがんのか」

児玉「そ、そういうのやめようってー……」

無位「……こいつがすごく死にそうな気がするんだけど俺だけ?」

クロワ「フン! やれるものならやってみるがいい。ワタシを簡単に殺せると思うならな」

未々咲「そんなのダメだよ! 殺し合いなんて……誰もやっちゃダメ!」





 「その通りでちゅ! 絶対にいけまちぇん!」

早家町「え? この声……」

佐山「……!」


 「……ミナサン!」

声の方向には木の棒を杖替わりにして、モノミ君が立っていた。
モノケモノに撃たれて散ったはずのモノミ君が……。


早家町「モ、モノミだ!」

ジーク「モノミ!? 生きてやがったのか!」

未々咲「モノミちゃんだ! 無事だったんだ!」

モノミ「うう、ミナサンの中ではモノミで定着しちゃってるんでちゅね……」

六波羅「そうか。良く考えれば……スペアのヌイグルミがあればまた出てこられるんですね」

モノミ「そういうオトナの事情は気にしないでくだちゃい!」

六波羅「え、すみません……くすっ。なんだかちょっとだけ和みました」

彼女の復活で少しだけこの場の空気が和らいだようだ。

モノミ「また会えてよかった……。もうダメかと思いまちた」

黒須「俺達を銃撃から救ってくれた事、感謝する。復帰して早々聞きたいんだが、この状況は一体何が起こっているんだ?」

モノミ「分かりまちた。非常事態が起こってるんでちゅ! 実はアイツ……あのモノクマというのは!」

モノミ「〇×#□!$が♪?▽◆で……あれ?」

未々咲「? 何言ってるの?」

モノミ「ど、どうちて? *■◎☆! +○%~! ××××、×××××!」

直木「……なにやらトンでもなく淫猥な放送禁止用語でも連呼しているので?」

モノミ「違いまちゅよ!? でも……肝心な事が喋れまちぇん! まさかこれもアイツが!?」

早家町「これって一体どういう事なの……?」

佐山「モノミ君の操作がモノクマによって妨害されているという事か?」

モノミ「うう、ごめんなちゃい……。伝える事がどうしても出来まちぇん……」

ジーク「なんだよ、役に立たねえ……」

モノミ「本当にごめんなちゃい、今はムリみたい……でも! ミナサン、あいつの言葉に惑わされちゃダメでちゅ!」

モノミ「ミナサンがお互いを信じあえばきっと……」

四水「……そもそもさ。あんたは本当にあたし達の味方なの?」

モノミ「ほえっ?」

その言葉に全員が四水君の方に注目する。

四水「そもそもあたし達をこの島に連れてきたのはあんただった。しかもあのモノクマって奴とも知り合いみたいじゃない」

四水「正直言って……怪しいよ」

モノミ「え、え……?」

川澄「うーん……。確かに今も何も教えてくれへんし……」

児玉「怪しいって言われると。うん……」

早家町「味方か敵かで言えば多分……。たぶん……」

モノミ「ミ、ミナサン。あちしは……」

クロワ「モノミは敵だ。間違いなくな」

モノミ「ええっ!?」

佐山「……やけに確信しているようだがどうしてかね。何か理由でも?」

クロワ「フン、教える義理はないだろう。ワタシが確信できればそれでいい」

川澄「ワンマンやなぁ……」

モノミ「そ、そんなぁ……」

未々咲「モノミちゃん、顔を上げて。私はモノミちゃんの事信じるよ」

モノミ「み、未々咲さん……!」

未々咲「私、ピンク好きだし!」

モノミ「……あれ? あちしへの信頼って色だけ?」

赤羽「わたくしもモノミ様は悪い方ではないと思いますよ」

直木「私もモノミ氏は味方に一票……。というよりそうでないと絶望的すぎて心が持たないんですが……」

無位「やれやれだぜ。先生と警察は信じ過ぎるなってみつお君も言ってたのによ」

ジーク「みつお君って誰だよ……」

無位「けど……俺もモノミに一票、かな」

川澄「ん? その理屈やったら、怪しいと思ってんちゃうの?」

無位「俺、クマよりウサギ派なんだよ」

川澄「関係ないやん!」

無位「それに愛は大事だぜ? なんてったってこの世の歌の90%は」

黒須「それはもういいッ! ……俺も思うところはあるが、敵ではないと考えている」

モノミ「み、ミナサンも……!」

児玉「結構意見割れてるみたい……。一回、皆に聞かせてもらった方がよさそうかな」

児玉「都村ちゃんはどう思う?」

都村『私ですか? ふむ……ズバリ! 正義の味方でしょう!』

都村『モノミ隊員は魔法少女でありますから! 以上っ!』

児玉「な、なるほどー……」

ジーク「……フン。最初からソイツは怪しかったし分かりきった事だろ。敵に決まってる!」

神風「どういう流れかよく分かんねえけど……とりあえずモノミよりモノクマの方が正しいだろ」

川澄「モノクマが正しい? モノミは味方ちゃうって事?」

黒須「……嫌な予感がするが、どういう理屈だ?」

神風「モノクマの方が強いからだ。強い奴は正しいから」

ジーク「お前どこの原始部族だよ……」

十中井「……俺は。モノミは味方なんじゃねえかと思ってる。……理由なんて、大したものはねえが」

黒須「ものの見事にばらけたな。あと意見を言っていないのは二人か」

六波羅「………………」

未々咲「ねえ、佐山クンはどっちだと思う?」

佐山「……ふむ」


……どっちだ。モノミ君は敵か、味方か。
今分かる事はなんだ?

僕は……


安価↓2
1.モノミは味方
2.モノミは敵
3.……気になる事がある(この後、自由安価問題に移行)

選択 3


佐山「……気になる事がある。モノミ君……というより先程のモノクマの話なのだが」

佐山「モノクマの話には……モノミ君が今までしてきた説明と関連する事で、不可解なものがあった」

早家町「話自体ゼンブ不可解だらけだった気もするけど……」

六波羅「佐山君が言いたいのは、モノミさんの話とモノクマの話の間で共通している事じゃないでしょうか?」

六波羅「だとすれば……おそらくボクが考えてる疑問と佐山君の考えてる事は一致しています」

佐山「ああ。僕が気になっているのは……」


【モノクマの話の中で不可解な事とは?】安価↓3まで
(キーワードでもなんでも、範囲内に正解があれば成功)


夜も遅いので今日はここまで。
今日の夜にまた更新です、期限はそれまで。

【結果……可】


佐山「気になるのは、らーぶらーぶポイントだよ」

早家町「らーぶらーぶポイント……?」

未々咲「佐山君がその単語口にするととシュールだね」

六波羅「ふくっ」

佐山「………………」

六波羅「……すみません」

佐山「モノクマはモノミ君と同じくポイントについて言及していた。それに、ポイントに関するルールの追加まで」

佐山「ここになんというか……違和感を感じる」

神風「んん? どういう事だ」

六波羅「一番不可解だったのは、島からの脱出の説明の時です」

六波羅「モノクマは、殺し合いによって100てんが得られ脱出する事ができると言っていました」

六波羅「でもそれなら……100てんの部分は無くても脱出させる、という約束だけでいいはずです」

黒須「わざわざモノミが定めたルールを使っているという事か?」

早家町「……あ、そっか。帰るには100てん取る必要があるって言ってるのは二人とも一緒なんだ」

川澄「えっとどういう事なん、それ?」

そしてそれが何を意味しているかというと……

クロワ「つまり。ソイツとモノクマの間で何らかの共通認識があるという事だ」

クロワ「これがどういう事か……さすがに分からない奴はいないだろう」

神風「……えっ。あれ?」

直木「後で説明しましょう……」

四水「モノクマとモノミに繋がりがあるって事?」

佐山「……その可能性は高い、と思う」

モノミ「ち、違うんでちゅ! ああでも、なんていうか……」

六波羅「ただ、今は結論が出せません。単にあのモノクマ……黒幕が享楽的な人物で、ポイントというゲーム的な要素を利用した可能性もあります」

六波羅「まだ黒幕がどういう存在なのか全く分かりませんから。モノミさんも説明できないみたいですし……」

モノミ「ううう……」

ジーク「分かってんのは、逆らったら多分殺されるって事だけか……」

児玉「ひええ……」


確かに結論を出すには早い……。
モノミ君を信頼するにも疑い切るにも材料が足りない。

無位「……まあ、モノミがどうなのかっつーのは置いといてさ。結局これから俺達はどうするんだよ?」

無位「ポイント貯めてもあのクマに無駄にされるんだろ?」

ジーク「まあ、仲良しこよしやってる場合じゃねえだろうな……」

川澄「いやいや、こういう時こそ結束するべきちゃう?」

黒須「ともかく、別の脱出手段を見つけるしかないだろう」

児玉「それか連絡手段があればなー……」

赤羽「まだ調べていない島で、何か帰る方法が見つかるかもしれません」

四水「……あたしは周りに他の島が無いか、また探してみる」

未々咲「うんうん。まだ諦めるには早いって事だよね!」

モノミ「ミナサン……。その意気でちゅ! 希望を捨てずに頑張りまちょー!」

ジーク「何言ってんだ。お前は敵だろうが!」

モノミ「あうう、違うのに……」


皆、話し合う事で落ち着きを取戻したようだ。
殺し合い以外の脱出の方法を見つけるという事で話はまとまり解散となった。

コテージに戻る直前、モノミ君をつかまえてかねてからの疑問をぶつける事にした。

佐山「そうだ。モノミ君に聞きたいのだが」

モノミ「はい?」

佐山「僕は……島に来るまでの記憶の一切を失くしている。名前以外自分が誰かも分かっていないのだよ」

佐山「引率の先生だという君なら僕の素性について知っているはずだ。教えて欲しい」

モノミ「ええっ、そんな事が!? 待ってくだちゃい、今……。あっ!」

佐山「……嫌な感じの『あっ』だったが。もしかして」

モノミ「ごめんなちゃい。今はモノクマが……」

佐山「そうか……」

モノミ「申し訳ないでちゅ……。あちしは先生失格でちゅね……」

佐山「………………」


大分落ち込んでいる様子だが……何か言葉をかけた方がいいだろうか。

安価↓
1.気にする事はない
2.全くだ、教職課程からやり直したまえ
3.自由安価

選択 1


佐山「気にする事はない。……この事態が君にとっても予想外なのだという事は、なんとなく感じる」

モノミ「ううう、ありがとうございまちゅ……。いや、慰められてるだけじゃダメでちゅよね」

モノミ「何一つ教えられないダメな先生でちゅけど……あちしの出来る範囲でミナサンの力になりまちゅ!」

モノミ「ミナサンが全員無事に帰れるように……!」

少しは元気を取り戻したようだ。
しかし、僕自身については不明なままか……。

 《佐山のコテージ》


………………。


まさか昨日以上の波乱が起きるとは予想外だった。
この島から出られないという事には変わらないが、状況は大きく変わってしまった。



 『キーン、コーン……カーン、コーン』

                :
                :

 『えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします。ただいま午後10時になりました』

 『波の音を聞きながらゆったりと穏やかにお休みくださいね』

 『……部屋には鍵をしっかりかけておく事を強くお勧めします。来世までお休みする事になりたくなかったらねー!』

 『ではでは、いい夢を。グッナイ……』

                :
                :


……どうやら夜を告げる放送もモノクマ仕様に変わったようだ。

昨日同様、生徒手帳から音が鳴ったため確認してみると、『しおり』の部分に変化があった。
具体的には以下のルールが追加されている。


━━【しおり】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『ルール その5』
・生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、
 全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

『ルール その6』
・学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、
 クロだけが処刑されます。

『ルール その7』
・学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、
 校則違反とみなして残りの生徒は全員処刑されます。

『ルール その8』
・生き残ったクロには特別措置として罪が免除され、
 らーぶらーぶポイントを100てん加算します。

『ルール その9』
・監視カメラやモニターをはじめ、
 島に設置された物を許可なく破壊する事を禁じます。

『ルール その10』
・この島について調べるのは自由です。
 特に行動に制限は課せられません

『注意』
・なお、修学旅行のルールは、
 学園長の都合により順次増えていく場合があります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ルールの追加……モノクマが説明していたものがほとんどだ。
本気で僕達に殺し合いをさせる気なのだろう。


ベッドに入り、目を閉じる。


モノクマ、そしてコロシアイ修学旅行……
意味不明、その一言に尽きる。

そして僕自身も僕の才能も分からずじまいだ。
結局、分からない事ばかりが増えていく。

明日からまた、今までとは違う一日が始まる。
脱出する方法の探索、そして僕自身の記憶も……これは個人的な事だが。



いつか……この謎が全て解消される時が来るのだろうか。


【2日目 終了】

【現在の好感度】

黒須 灰矢 ……12
早家町 杜々 ……8
十中井 蛇山 ……5
無位 流一 ……5
クロワ・グラトン ……3
児玉 和音 ……2
ZEKE    ……2
直木 重吾 ……2
未々咲 愛 ……2
赤羽 優仁 ……0
神風 今日介 ……0
川澄 美空 ……0
四水 眞寄 ……0
都村 美弥子 ……0
六波羅 恵 ……0

【アイテム・プレゼント】
『旅行日誌』

ドクロマスク
エプロンドレス
懐紙『十幕目詩録』
ティッシュ
Mr.ホチキス
七支刀
クマの髪飾りの少女
純色ジーパン

【らーぶらーぶポイント……11てん】

【3日目 朝】


 『キーン、コーン……カーン、コーン』

                :
                :

 『えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします』

 『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』

 『さぁて、今日も全開気分で張り切って行きましょう~!』


佐山「………………」

朝の放送で目を覚ます。もちろん昨日より起きたのは遅い。
おそらく僕にも疲労が溜まっているようだ。



 《ホテル レストラン》


レストランに着くと、既に何人かのクラスメート達がいた。
といっても穏やかに食事をしている訳ではなく、なにやら慌ただしい。

誰かに事情を聞いてみようか。

安価↓
生徒を一人選択

選択 神風


佐山「おはよう、神風君」

神風「……ああ? ……よう、さ……。うん、おはよう」

佐山「佐山だ。随分と眠そうな様子だが……」

神風「朝は……弱いんだよ……」

佐山「そうか。随分騒がしいようだが何かあったのかね?」

神風「あー……? なんか……橋に……昨日のが……」

佐山「橋というのは、中央の島にいくつかあった橋の事だろうか」

神風「ああ。そんで昨日の……ロボがなんか……」

佐山「ロボとはモノケモノの事か。橋にモノケモノが?」

神風「ん、おう……。…………」

佐山「それで騒いでいるという事はつまり……他の島への道が封鎖されてしまっているのか」

神風「…………はっ。あ、ああ……そうだ……」

佐山「分かった。教えてくれてありがとう」

察するに橋がモノケモノによって封鎖されているという事だろう。
……別の人に聞いた方がスムーズだった気もするが。


【INFO】
神風の好感度が上がりました。

【3日目 朝 自由行動】


朝食を済ませた。
先程も聞いた通り、他の島には行けないようだ。

さて……これからどうしたものか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.マーケットに行く【らーぶらーぶポイント……11てん】

選択 1 ジーク

 《ホテル 外》


レストランを出ると、暗い表情をしたジーク君が歩いていた。

ジーク「ハァ、マジかよ……」

佐山「何か問題でも?」

ジーク「うおおっ!? なんだお前! 急に話しかけんな!」

……後ろからとはいえ普通に話しかけたつもりだったのだが。

ジーク「問題っつーか……問題だらけだろ。お前も聞いただろ?」

ジーク「昨日のロボットが橋を封鎖してるってよ。ホントに勘弁しろよ……」

佐山「……なるほど」

神風君との伝言ゲームは成功だったらしい。

ジーク「ああ? 何か言ったか」

佐山「いや、こちらの話だ」


何か聞いてみるとしよう。

安価↓
1.この状況に不安になっているのか
2.コロシアイ修学旅行におけるスタンス
3.自由安価

選択 1


佐山「やはり、この状況に不安になっているのかね」

ジーク「なっ……んな訳ねーだろ。オレがビビってるっつーのか!」

佐山「君が、というよりこんな異常事態ではそういう精神状態になると思っただけだよ」

ジーク「の割には涼しい顔して言いやがるな……」

ジーク「……フン。悪いがソイツはオレには当てはまらねえ」

ジーク「オレはロッカーだからな。いつでも死ぬ覚悟なんざ出来てるのさ」

佐山「……? ロッカーとそういった心構えに関係があるのかね」

ジーク「そういうもんだろ! 過去の伝説のロッカーはどいつもこいつも命知らずの破天荒なんだよ!」

ジーク「ったくよ。そういやお前は記憶喪失なんだったな。分かんなくてもしょうがねえか」

……記憶が戻れば理解できるのだろうか。
とりあえず、ロッカーとは『そういうもん』らしい。


安価↓
乱入させる生徒を選択、
させない場合はプレゼントを選択

乱入 四水


四水「何騒いでんの」

朝食を終えたのか四水君がレストランから出てきたようだ。

ジーク「別に騒いでねえよ……」

佐山「ああ。彼とは話をしていただけだ」

四水「そう。…………」

今にも去って行ってしまいそうだが、その前に何か話しておこうか。


安価↓
1.四水君はこの状況に不安を感じるか
2.ロッカーとは『そういうもん』なのか
3.自由安価

選択 1


佐山「四水君はこの状況、不安を感じるだろうか」

四水「……そりゃそうでしょ。いきなりこんなトコに連れてこられて、そして昨日の……」

四水「不安に思わない奴なんていない」

佐山「ふむ……」

ジーク「……ま、まあ普通の奴はそうだろうよ」

四水「けどそこで立ち止まるかどうかは別。少なくともあたしはただ怯えて過ごすつもりはない」

四水「ここから出る為にベストを尽くす。それだけ」

佐山「ああ、僕達も協力する。脱出する方法を見つけよう」

四水「ども」

ジーク「…………。なんか負けた気が……いや、気のせいだ……」

四水「何言ってんの」

ジーク「何でもねえ……」

四水君は脱出に強い意志を持っているようだ。


渡すプレゼントを選択(>>262から)

(渡さない場合は、なし等)

安価下1ジーク、下2四水

今日はここまでで、ありがとうございました
次回更新は一週間くらい間が空くかもしれません、とりあえず更新する時は告知します

安価なら↓一個ずれる

ジーク ドクロマスク


佐山「ジーク君。これを受け取ってくれるだろうか」

ジーク「なんだこりゃ、マスク? こんなモンどこにあったんだよ」

佐山「マーケットにモノミ君が用意した特設コーナーがある。そこのガチャガチャで当てたものだよ」

ジーク「ああ、あのうさんくせえのか。くれるんならもらうけどよぉ……お前モノミの回し者か?」

宣伝になっているという意味ではあながち間違ってる訳でもないが……複雑な気分だ。


四水 純色ジーパン


佐山「四水君にはこれを」

四水「ども。多分着ないけど」

佐山「……そうか」

四水「これ男物だし」

簡潔に否定されてしまった。


【INFO】
ジークの好感度が少し上がりました。
四水の好感度が気持ち程度上がりました。

今日はこれだけ。
明日の昼か夜くらいに続きを更新します

ちゃんと交流すれば誰でも(もちろんクロワも)ヒロインになる可能性はあります。
はたして今回のヒロインは誰になるのか

安藤スレの人の新作きてた…だと…読み直しましたこれからも楽しみにしてます

>>283
ありがとうございます

21時からはじめる予定です。

遅れました、始めます

【昼 自由行動】

あの後会話もさしてなく、二人とはすぐに別れた。
打ち解けた感じはまったくしないが、プレゼントの効果はあるのだろうか。

昼は何をしよう。


コミュ安価↓
生徒を一人選択

・選択 直木


 《マーケット》


マーケットに行ってみると直木君がいた。商品棚の前で何やら呟いている。

直木「……、……だった。……おや、佐山氏」

直木「これはどうも。佐山氏も午後のショッピングといったところですか」

佐山「なんとなく立ち寄っただけだよ。君はここで調査を?」

直木「調査というか嗜好品の物色です。しかしこの島は娯楽が少ないようですねえ」

佐山「ふむ。確かに長く脱出できない可能性を考えればそれも問題かもしれない」

直木「え、縁起でもない事言わないで下さいよ……」

娯楽か。そういえばこの島に来てからそれらしい事はしていない。
自分の趣味についての記憶も残っていないからだ。

佐山「ところで……」


安価↓
1.先程、何か呟いていなかったかね
2.一体なにを物色していたのか
3.自由安価

・選択 1


佐山「先程なにか呟いていなかったかね」

直木「先程? ああ、そうですね」

直木「棚を調べながら原稿を考えていまして。忘れないように口に出してしまうのですよ」

ふむ、常に作品の事が頭にあるという訳か。

佐山「そういえばモノミ君との初対面も呟いていたような」

直木「どうやら放心している時にも癖が出るようで。一種の現実逃避なのかもしれません」

佐山「無意識的に文章を……さすが文豪、といったところか」

直木「ははは、どうも。しかし実はこの癖で困った事もありまして」

直木「普通の文章を口に出すのならいいんです。以前、人前で放心した時があったのですが」

直木「それまで読んでいた本が官能小説だったんですよ」

佐山「………………」

直木「放心後、その内容を朗読していたと聞かされた時は自分でも驚きましたよ、ええ!」

佐山「……すまないが、前言撤回する」

直木「いやあ、気をつけようとは思っているのですがね……ふふ」

……なぜ彼は誇らしげに語っているのだろう。
いや、考察する価値はおそらく無い。


安価↓
乱入させる生徒を選択、
させない場合はプレゼントを選択

・プレゼント ティッシュ


佐山「……君にはこれを渡そう」

直木「ほほう。これはまごうかたなくティッシュ……」

直木「……つまりそういう事ですか? 使えと?」

佐山「何がだ」

直木「ナニに決まってるでしょう。このマーケットにもあるのにわざわざ渡してくるとは……」

直木「いやはや佐山氏も中々分かってらっしゃる!」

佐山「………………」

さっぱり分からない。分かりたくもない……。


【INFO】
直木の好感度が結構上がりました。

【夜 自由行動】


逃げるようにしてマーケットを後にした。
先程の事は忘れよう。

空も暗くなってきたが、これからどうしよう。


コミュ安価↓
生徒を一人選択

・選択 早家町

 《ホテル 外》


夕食に向かう途中、料理が乗った皿を持ってレストランから出てくる早家町君に出会った。

早家町「あっ、佐山くん」

佐山「? どこかに行くのかね」

早家町「えっと……コテージで食べようと思って」

佐山「レストランで食べればいいのでは」

早家町「そうなんだけど、ちょっと一人で食べたくて」

早家町「人が居る所はあんまり落ち着かないし……特に今は」

佐山「ふむ……」


安価↓
1.皆を警戒しているのかと聞いてみる
2.それでも一緒に食べないか誘ってみる
3.自由安価

・選択 2


佐山「僕も丁度これから夕食を取ろうとしていたのだが、よければレストランに戻って一緒に食べないか」

早家町「えっ?」

佐山「もちろん君の意思を尊重するが」

早家町「一緒に……。どうしよう……」


↓コンマ
60+8(好感度) = 68以下で成功

01 成功!


早家町「佐山くんなら大丈夫かな……」

佐山「僕なら、とは?」

早家町「あ、いやその……。そう、変な事とか言わなさそうだな、ってだけだよ!」

早家町「だって未々咲さんとかはバカにしてくるし、クロワさんや十中井くんは怖いし……」

佐山「……まあ分からないでもない」

早家町「そ、それより一緒に食べよう。レストランに行こうよ」

佐山「ああ」

……やはり昨日の事で他人を警戒しているようだ。
しかし少しはその警戒を解いてくれた、と思ってもいいのだろうか。


安価↓
乱入させる生徒を選択
無い場合はなしと記入

乱入 未々咲


未々咲「やっほーい、佐山クン早家町クン!」

早家町「うわ!」

佐山「……噂をすれば、か」

未々咲「私の噂を? じゃあさっきからくしゃみが止まらないの二人のせいだったんだ、ひどい!」

事実無根だ。

未々咲「あれ? 早家町クン料理持ってどうしたの?」

早家町「う。えっと……」

佐山「………………」


安価↓
1.正直に一緒に食べるところだと言う
2.ごまかす
3.自由安価

・選択 2


未々咲「てことはこれから夕食?」

早家町「う、うーん……」

佐山「……ふむ。彼は……」

未々咲「じゃあ一緒に食べよ、いこいこ!」

佐山「いや、彼はそういう訳ではなく……」

未々咲「じゃあなんで料理持ってるの? 食べる以外に何か理由があるの?」

佐山「………………」

まったく反論が思いつかない。

佐山「早家町君……すまない」

早家町「いいよ。佐山くんのせいじゃないし、会った時点で諦めてたし……」

未々咲「暗いよ二人ともー。楽しい美味しい夕食タイムだよ?」

未々咲「あ、お子様セットの旗、早家町クンにあげようか? 欲しいでしょ!」

早家町「いらないよ! ていうか夕食にそんなの無いよ!」

結局この後、押し切られる形で、一緒に夕食をとった。
……どうなったかは想像に任せる。


【INFO】
早家町の好感度が大きく上がりました。
未々咲の好感度が上がりました。

【3日目 夜 イベント】


 《ホテル レストラン》


黒須「よし全員いるな。皆、話がある!」

夕食を食べ終わると、黒須君が全員に呼び掛けた。

早家町「? どうしたんだろ」

黒須「今日、この島を調べた結果を各自報告してもらいたい」

未々咲「えっ。何それ?」

皆のどよめきを無視して黒須君は続ける。

黒須「ではまずそうだな、名前の順で赤羽からお願いする!」

赤羽「まあ、わたくしですか? そうですね……」

赤羽「調査、という程の事でもありませんが公園に行ってまいりました。のどかで良い公園でしたわ」

黒須「いや、脱出の手掛かりなどをだな……」

赤羽「あらそうでしたか。申し訳ございません、何も見つけられませんでしたわ」

黒須「分かった。次は神風だ」

神風「寝てた」

黒須「論外だッ! というか貴様はいつ活動しているんだ!」

神風「んな事言ってもオレ、夜行性だからなぁ」

児玉「野生動物みたい……」

黒須「まったく……! では次は……」

川澄「ちょい待ってや。そんなん聞いてへんって!」

黒須「何?」

川澄「報告とか知らんもん。調査してないし」

ジーク「ったく、メンドくせえ事言い出しやがって……」

無位「意識高いよなー、黒須っち」

黒須「黒須っちではないッ! 昨日、全員で脱出の手掛かりを調べるという事で決まっただろう!」

黒須「手に入った情報を全員で共有するべきだ。他に調べた奴はいないのか?」

六波羅「あ、ボクは一応」

四水「はい」

十中井「………………」

三人が手を挙げたが、以降続く手は挙がらなかった。

黒須「……こ、これだけか?」

直木「えーと、そのようですねえ……」

六波羅「あはは……」

黒須「……危機感とまとまりが無さすぎるだろう、このクラスッ!」

未々咲「つまり、アクシデントに動じず皆の個性を尊重した良いクラスって事だね!」

児玉「ポジティブだねー愛ちゃん。問題の原因はこの場にまとめ役がいないからってのもあるかなー」

六波羅「そうかもしれませんね。昨日まではモノミさんがいましたけど、どこかに行ったようですし……」

黒須「くっ、なるほど一理ある……。ではこれから、全員のまとめ役となるリーダーを決めるぞ!」

ジーク「いやお前でいいだろそれ!」

川澄「ここまで仕切っといて何言うてんねん……」

黒須「なんだと? まだ立候補も推薦も取っていないんだぞ」

早家町「やりたい人っているのかなあ……」

都村『リーダー、隊長ですか! 実は私、子供の頃からウルトラン防衛隊長に憧れており……』

黒須「いやしかしだな。俺がやるのは構わないが、そんな風に決まるのは腑に落ちないんだが……」

児玉「えっとじゃあ、やりたい人か推薦いる?」

まとめ役となるリーダーか。
言うまでもなく重要な役だろう。

黒須君でいいだろうか。それとも他に適した人物は……


安価↓2
1.黒須でいい
2.他の人を推薦(生徒名も記入)

・推薦 児玉


佐山「候補として児玉君はどうだろうか」

児玉「……へっ? 私?」

佐山「彼女は超高校級の吹奏楽部だ。部長として大勢を率いていた実績がある」

佐山「黒須君以外で、という事なら彼女が適任だと思うが」

児玉「ちょ、ちょっと。私リーダーなんてそんな……」

六波羅「なるほど……。確かにそうですね」

黒須「児玉がやるとしても俺は一向に構わんぞ。本人次第だが」

児玉「い、いやいや。部活は女子しかいなかったし……男子まとめんのはちょっと自信無いよー」

川澄「ウチ、カズさんリーダーがええなー」

直木「女性がリーダーをやるというのなら一生ついていきますよ。嫌と言われても!」

児玉「嫌! じゃなくてー……そうは言ってもさ、私一人じゃ責任重すぎだって!」

神風「じゃあどっちもリーダーやればよくね?」

無位「お前まーた変な事言っちゃって」

六波羅「……それ、意外と良いかもしれませんね」

赤羽「そうですね。お一人ですと大変でしょうし」

無位「ナイスだ神風。それ採用」

佐山「………………」

児玉「え? え? つまりどういう事?」

都村『リーダーが二人……。つまりっ! 隊長と副隊長というワケですなっ!』

黒須「という事だそうだが、やるか?」

児玉「あ、結局私もやるんだ……。はーい……」

四水「……で、どっちが本リーダーなの」

黒須「俺はどちらでも誠心誠意務めさせてもらおう!」

児玉「副でお願いします……」

未々咲「じゃあこれで学級委員長と副委員長決定だね!」

児玉「あんまり嬉しくないんだけどなー……」

都村『頑張って下さい、児玉副隊長! あなファイト一発!』


とにもかくにもまとめ役が決まり、今日は解散となった。
脱出のために全員が少しずつ結束してきた……のだろうか。

【3日目 終了】

【現在の好感度】

早家町 杜々 ……16
黒須 灰矢 ……12
直木 重吾 ……12
ZEKE    ……10
未々咲 愛 ……7
四水 眞寄 ……5
十中井 蛇山 ……5
無位 流一 ……5
神風 今日介 ……4
クロワ・グラトン ……3
児玉 和音 ……2
赤羽 優仁 ……0
川澄 美空 ……0
都村 美弥子 ……0
六波羅 恵 ……0

【アイテム・プレゼント】
『旅行日誌』

エプロンドレス
懐紙『十幕目詩録』
Mr.ホチキス
七支刀
クマの髪飾りの少女


【らーぶらーぶポイント……17てん】

旅行日誌で(非)日常編を一日延長できます。

今チャプターで使用するかどうか
安価↓2で

【INFO】
『旅行日誌』を使用しました。
一日延長されます。


今回はここまで、安価ありがとうございました。
今日の昼か夜にまた更新します

始めます

【4日目】


朝。今日の空も雲一つない。朝の空気も澄みきっている。

ただ僕の記憶だけが対照的に不明瞭だ。
記憶……そして僕の才能。なにか思い出すきっかけがあればいいのだが。

幸いここには超高校級の才能を持ったクラスメート達がいる。
相談するのも一つの手かもしれない。


【朝 自由行動】

安価↓
1.レストランに行く
(生徒を最大二人まで選択)
2.マーケットに向かう
(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇)

・選択1 ジーク 川澄

《ホテル レストラン》


レストランに行くと川澄君とジーク君が朝食を皿に盛りつけていた。

川澄「おっす、おはようさん」

佐山「おはよう」

ジーク「……よう」

川澄「しゃきっとせん挨拶やなー」

ジーク「ほっとけ。馴れ合うつもりなんかねえんだよ」

ジーク「ポイントを集める意味も無くなったし、仲良くなんかやってらんねえっつの」

川澄「なっ……」

川澄君が何か言い出しそうだが、一言はさんだ方がいいだろうか。


安価↓
1.様子を見守る
2.ジークを諌める
3.自由安価

・選択2


佐山「そんな事は無いと思うよ」

ジーク「ああ?」

佐山「らーぶらーぶポイントで実質的に脱出できなくなったとはいえ、使い道がない訳ではない」

川澄「使い道ってモノミのあれ?」

ジーク「変なプレゼントもらえるだけじゃねーか……。やっぱ回し者かお前」

佐山「それにどういう目的であれ、今の状況で孤立するのは不利益にしかならないだろう」

佐山「僕達が生存するために、交流は必要とは言わないが重要だと思うのだよ」

ジーク「け、結構打算的な事言ってねーか。……まあ、言いたい事はわーったよ」

そういってジーク君は料理を持って離れたテーブルに座った。

佐山「ふむ……」

川澄「……佐山」

佐山「何かね」

川澄「アンタが全部言うからウチが怒れへんかったやん! 一発かましたろ思たのに!」

川澄「もー、空気読めてへんなー」

……なぜか川澄君から非難されてしまった。


二人に渡すプレゼントを選択(>>315から)
(渡さない場合は、なし等)

安価下1ジーク、下2川澄

・ジーク クマの髪飾りの少女


佐山「ジーク君、これを」

ジーク「お、お前……。これ毎回すんのか?」

それ以外に使い道が思い浮かばないので仕方ない。

ジーク「ふーん……。絵の事とかよく分かんねえけど、良い絵なんじゃねえの?」

佐山「ふむ。絵のモデルの少女に魅かれた、とか?」

ジーク「べ、別にそういうワケじゃねえよ! なんつーか……いや、やっぱ芸術なんて上手く言い表せねえ」

とにかくそこそこ好印象のようだ。


・川澄 無し


川澄「……ちらっ、ちらー」

佐山「何かね」

川澄「ウチには何くれんのー?」

佐山「いや、特にあげるつもりはないが」

川澄「ケチ―! 男尊女卑や!」

手持ちが少なくて適当な物がないのが理由なのだが……


【INFO】
ジークの好感度が結構上がりました。
川澄の好感度が上がりました。

【昼 自由行動】


僕の才能の事……誰かに相談してみるのもいいかもしれない。
これからどうしようか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(下から選んで参加する生徒も選択)

『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】

a.『僕の才能は』【なし|2人まで|明日まで】

・選択1 十中井

《マーケット》


マーケットに行ってみると十中井君が商品棚の前で仁王立ちしていた。

十中井「………………」

サングラスで分かりにくいが品物を睨みつけているらしい。
穴でも空きそうだ。

佐山「十中井君。ここでなにを?」

十中井「……!」

こちらの存在に気づいていなかったのか強烈な視線がそのままこちらに向いた。
穴でも空きそうだ。

十中井「……店を見ていた」

佐山「ふむ……。そうか」

十中井「………………」

………………。


安価↓
1.やはり商売人としてこの場所は気になるのかね
2.…………。(沈黙を続けてみる)
3.自由安価

・選択2


佐山「………………」

十中井「………………」

佐山「………………」

十中井「………………」

……決して良くはない空気が漂っている。

十中井「…………佐山」

佐山「何かね」

十中井「……好きな、食い物は」

佐山「好きな食べ物……すまないがその記憶も失くしていて分からないのだよ」

十中井「……そうか。俺は、そうだな……アンパンとチョコ、ぐらいか」

佐山「………………」

十中井「……趣味は」

佐山「ふむ……。申し訳ないがそれも思い出せない」

十中井「……そうか。俺は……ガーデニングだ。色んなハッパを育ててる」

……先程から危ない事を言っているような気がするのは気のせいだろう。


安価↓
乱入する人かプレゼント選択

・乱入 六波羅


六波羅「あの、お二人とも。こんにちは」

十中井「……六波羅か」

佐山「君もここにいたのだね」

六波羅「そ、そうですね。今日はここを調べてみようと思って……ふっ」

佐山「?」

六波羅「い、いえ……。さっきのがなんだかお見合いみたいな会話だったので……ぷふっ!」

どうやら聞かれていたらしい。

十中井「………………」

六波羅「……あ。す、すみません!」

…………。


安価↓
1.六波羅に趣味を聞く
2.十中井をなだめる
3.自由安価

・選択 1


佐山「ご趣味は」

六波羅「ぷふっ!」

六波羅君が吹き出した。

十中井「………………」

六波羅「……すみません。ひどいですよ佐山くん……」

そういう意図は無かったつもりだが……おそらく。

六波羅「えっとそうですね、なんだろう……。過去の事件ファイルを読む事ですかね」

佐山「ふむ……。なるほど」

プロファイラーともなれば事件の資料も手に入るのだろう。

六波羅「暇なときはよく調べてます。……そんなのが趣味ってやっぱり変ですよね」

十中井「……んな事はねえんじゃねえか。だが……お笑い鑑賞とかじゃねえのか」

六波羅「ああ……そうですね。むしろなるべく見ないようにしてます」

六波羅「一度見たら、思い出し笑いとかやっちゃうんで……」

佐山「……難儀な感性なのだね」


二人に渡すプレゼントを選択(>>315から)
(渡さない場合は、なし等)

安価下1十中井、下2六波羅

・十中井 七支刀


佐山「十中井君、君にこれを渡そう」

十中井「こいつは……」

十中井「……ああ。もらっておく」

……良かったのかどうかいまいち反応が読み取れない。


・六波羅 Mr.ホチキス


六波羅「へえ、医療用の道具なんですか」

六波羅「ありがとうございます。もしもの時は使わせてもらいますね」

そこそこな感触、といったところか。


【INFO】
十中井の好感度が上がりました。
六波羅の好感度が上がりました。

【夜 自由行動】


調べた情報を交換した後、彼等とは別れた。
残念ながら脱出に役立ちそうなものはなかったが。

日も暮れてきた。
何をして過ごそう。

安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(下から選んで参加する生徒も選択)

『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】

a.『僕の才能は』【なし|2人まで|明日まで】

安価受け付けたところでここまで。次回はサブイベントからです
更新は今日の予定。

・選択2 児玉、神風


僕の情報……出身、家族、歴史、人格、趣味、長所、欠点。


そして、才能。


これらは未だに謎のままだ。数日過ごしてみても記憶は戻らない。
もしかすると自然に治るには時間がかかるのかもしれない。



だが自分が何者なのか……僕はそれを知りたい。
それだけは、ハッキリしている。



【サブイベント『僕の才能は』 開始】

 《ホテル レストラン》


夕食の時間はとっくに過ぎ、レストランは閑散としていた。
中にいるのは神風君と児玉君だけだ。

佐山「二人とも。少しいいかね」

神風「あ? なんだ?」

児玉「えーっと、今からコテージに戻ろうと思ってたんだけど……どうかした?」

佐山「すぐ済ませる。才能に関する事を聞きたいだけだ」

児玉「才能? ……っていうとそっか、佐山君自分の才能覚えてないんだっけ」

児玉「まだ記憶戻らないんだ?」

佐山「ああ。だが僕に超高校級と呼ばれる才能があるのなら、それが今までの僕自身に大きく影響している可能性が高い」

佐山「才能さえ分かれば僕が何者なのか推測できるかもしれない」

児玉「才能を手掛かりに、自分についての記憶を取り戻すって事?」

佐山「概ねそれで合っている。君達にも意見を聞きたい」

児玉「って言ってもなあ。佐山君がどんな才能か、か……。理系?な感じ?」

佐山「ふむ。学術系の才能という事かね」

児玉「ゴメン、完全見た目のイメージです……」

佐山「………………」

そういえば未々咲君に最初会った時も似たような事を言われた気がする。

児玉「自分で何かに気づいたりしないの? これ得意だー、みたいな」

佐山「残念ながらない」

児玉「ううーん……。てか私ばっかり喋ってるよ、神風君何かないの?」

神風「ええ? 佐山が分かってないのにオレに分かる訳ねえって」

児玉「それ言ったらおしまいだって! あーもー……」


他の話題に変えた方がいいかもしれない。


安価↓
1.第一印象を聞く
2.超高校級の才能としての視点から適性を聞く
3.自由安価

・選択 1


佐山「初対面のとき、僕にどういう印象を持ったか覚えているだろうか。そこから何か分かるかもしれない」

児玉「第一印象? 気を失ってた時は何も思わなかったけど、話したらなんかおカタそうだなー、って思ったかも」

児玉「後はなんか妙に落ち着いてるなーとか。それくらいかな……」

佐山「ふむ……」

妙に落ち着いている、か。
今まで意識していなかったが確かにそうかもしれない。
無意識的にそう振舞っているのだろうか。

佐山「神風君にも聞いていいかね」

神風「オレ? あんときは寝起きだったからなぁ……」

児玉「まあ大した意見がないんだったらいいんじゃない?」

神風「とりあえず最初に思ったのは格闘技やってるヤツじゃねえって思った」

佐山「格闘技を? どういう事だろうか」

神風「ジムにいたヤツ達と体つきが違うんだ。だからそう思ったんだよ」

児玉「い、意外にまともな意見……。なんかショック」

神風「あとは……そうだな。変な喋り方だって思った」

児玉「あ、そういえば。他の人達が強力で感覚麻痺してたけど佐山君の喋り方も特徴的だよね」

児玉「まるで……探偵とか政治家みたいな?」

佐山「……なるほど」

この口調は自然に出てきたものだ。
確かに以前の僕についての手掛かりになるかもしれない。

そして格闘技をやっていたとは考えにくい。
彼の格闘家としての感覚はおそらく正しい。
格闘技系の才能は可能性が低そうだ。

佐山「なるほど。大変参考になった」

児玉「そうかなー、大した事は言ってない気もするけど……」

神風「まあ気にすんなよ。頭もそのうちなんとかなるって」

児玉「記憶早く戻るといいね」

佐山「ああ。では僕はこれで。今日はありがとう」

児玉「おやすみー。私ももう戻ろ……」

佐山「……ところで」

神風「ん?」

佐山「君達二人のお互いの第一印象を聞いてもいいかね」

児玉「……寝てる人かなー」

神風「帽子かぶってる人」


………………。

どうにも薄っぺらい第一印象だったらしい。


【INFO】
神風の好感度が上がりました。
児玉の好感度が上がりました。

【4日目 終了】

【現在の好感度】

ZEKE    ……18
早家町 杜々 ……16
黒須 灰矢 ……12
直木 重吾 ……12
十中井 蛇山 ……11
神風 今日介 ……9
児玉 和音 ……7
未々咲 愛 ……7
六波羅 恵 ……7
四水 眞寄 ……5
無位 流一 ……5
川澄 美空 ……4
クロワ・グラトン ……3
赤羽 優仁 ……0
都村 美弥子 ……0


【アイテム・プレゼント】

エプロンドレス
懐紙『十幕目詩録』


【らーぶらーぶポイント……29てん】

ちょっとコンマを

安価↓(なんのコンマかは非公開)

はい、ではあまり進めませんでしたがここまで。
5日目はイベントが発生します、次回更新は今日か明日の予定。

昨日は諸事情で更新できませんでした、すみません
少し進めたいと思います

【5日目】


コロシアイ修学旅行が宣言されてから三日が過ぎた。
モノクマもモノミ君も姿を見せないが、どこに行ってしまったのだろう。
いや何をしているか、というべきか。


それはともかく朝はどうしようか。

【朝 自由行動】

安価↓
1.レストランに行く
(生徒を一人選択)
2.マーケットに向かう
(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇)

・選択1 赤羽

 《ホテル レストラン》


起きてすぐにレストランに向かうと赤羽君がテーブルに着いていた。

赤羽「佐山様。お早うございます」

佐山「おはよう赤羽君」

赤羽「よろしければご一緒にどうでしょう?」

特に断る理由は無いだろう。

佐山「ああ。そうさせてもらおう」

赤羽「早起きしてみるものですね。佐山様と会えてよかったですわ」

佐山「僕に? 何か理由でも?」

赤羽「佐山様とはあまり話した事がありませんでしたから。良い機会がないかと思っていたのです」

赤羽「早起きは三ウォンの得、とは本当の事だったのですね。うふふ」

佐山「………………」


安価↓
1.間違いを指摘する
2.他に話した事がない人がいるかを聞いてみる
3.自由安価

・選択2


佐山「確かにそうだね。僕の方も君と話した記憶はそれほどない」

赤羽「朝食に来る時間をずらせば、普段見かけない人とも会えると思ったのです」

佐山「僕の他にも話していない人が?」

赤羽「ええ。私が朝食時によく見かけるのは児玉様や早家町様、遅れて未々咲様や無位様も見かけますね」

赤羽「クロワ様や直木様、神風様は時間が合わないのかあまりお会いしませんね。今度は遅くに来てみたいと思います」

佐山「モノクマの事で不安になっている人もいるが、君は人と関わる事に積極的なのだね」

赤羽「ええ。人との繋がり、信頼はどんな時でも、なによりも大事ですから」

赤羽「わたくしが希望ヶ峰学園に入学することができたのも、自分の力ではなく繋がりの力なんです」

佐山「人道支援家の才能だったね」

赤羽「はい。ボランティアも募金活動も信頼がなくては成立しません。ですから……」

赤羽「……あら、まだ朝ご飯に手を付けていませんでした。食べましょう。冷めてしまいますわ」

超高校級の人道支援家……
こんな状況でも友好的に振舞えるのも、彼女だからこそかもしれない。


安価↓
乱入する人かプレゼント選択

・乱入 無位


無位「よう、お二人さん。珍しい組み合わせだな」

赤羽「無位様。お早うございます。よければご一緒しませんか?」

無位「俺みたいなシャイボーイ誘うとはな……いいのか佐山。青春中なら帰るぜ?」

赤羽「青春中、ですか?」

佐山「何を言っているのか分からないが、一緒に朝食をとるのは構わない」

無位「やれやれ、とぼけちゃってえ。気を利かせてやったってのによー」

……分からない。なんと返せばいいのかが。

赤羽「あのう。お一人で食べたいのであればご無理はなさらなくてもいいですよ」

無位「あ、食べる食べる。料理持ってくるわ」

赤羽「ふふふ。お二人とも、仲がよろしいのですね」

……耳を疑ったが、彼女は微笑みながらそう言った。


安価↓
1.どこを見てそう思ったか赤羽に聞く
2.無位にそう思うか聞いてみる
3.自由安価

・選択 2


佐山「……君はどう思う」

無位「やれやれ、何言ってんだよ。マブダチだろ兄弟」

同意を求められてもまったく賛同できない。

赤羽「マブダチ、とはなんでしょう?」

佐山「…………。親友の意だが……」

赤羽「まあ、素敵ですね。既にそんなに仲が」

佐山「僕は彼とそこまで親密になった覚えがないし、話した回数も少ない」

赤羽「えっ?」

無位「白状なヤツだな。二人なら無敵だったあの頃の俺らの思い出は……ないけど」

赤羽「あら。無位様がすごく慣れ親しんだように話しかけられていたのでてっきり……」

無位「悪いな。俺の気さくさで勘違いさせちまって」

馴れ馴れしいだけだろう。


二人に渡すプレゼントを選択(>>359から)
(渡さない場合は、なし等)

安価下1赤羽、下2無位

プレゼントは渡しませんでした。

【INFO】
赤羽の好感度が上がりました。
無位の好感度が上がりました。

【5日目 昼】


未々咲「もしもし、そこの佐山クン!」

コテージに戻ろうとすると未々咲君に呼び止められた。
横に川澄君と児玉君もいる。

佐山「何かね」

未々咲「手伝って!」

佐山「………………」

何をだ。

川澄「まあまあ安心して、減るもんちゃうから」

児玉「えっとね、あとで皆にも伝えるつもりなんだけど……」

未々咲「夜にパーティーやるんだ。レッツパーリィ!だよ!」

……パーティー?

児玉「初日にモノミがやってくれたみたいに、私達でもパーティーやろうと思って」

児玉「愛ちゃんが提案してくれたんだ」

佐山「なるほど。それにしても突然だね。なにか理由でも?」

未々咲「だってクラスメートの皆ともっと仲良くなりたいもん。仲良くなるにはパーティーが一番なんだよ!」

未々咲「それになんか最近皆ピリピリしてるしねー。心配事でもあるのかな?」

児玉「うーん、でっかい心配事でもあるんじゃないかなー……」

川澄「ま、ま。嫌な事忘れてパーッと騒ぐのもええんとちゃう、って事で!」

パーティー……
確かにお互いが親密になる事は、殺し合いを防ぐ事にもなるかもしれない。
緊張状態にある人達にそれが可能なのか、効果的なのかは分からないが。

佐山「それで……手伝えとは?」

児玉「初日のパーティーのとき、レストランじゃちょっと狭かったじゃない? だからホテルの横にある別館でやろうと思うんだけど」

別館……そういえば調べていなかったが、ホテルの敷地内に確かにあったはずだ。

児玉「どうやら長い間使ってなくて中が手入れされてないみたいなんだ。だから掃除が必要なの」

佐山「その掃除を手伝う、という事かね」

未々咲「そういう事。ばっちい仕事だしね!」

………………。

児玉「ま、まあ掃除は私もやるから……良かったら、だけど」

川澄「それか料理手伝ってよ。ウチもやるけど16人分やから人手いるんよ」

川澄「やるんやったら味見させたってもええで!」

調理の手伝いか。
そういえばこの島に来てから一度も料理をしていないが……僕に料理の経験はあるのだろうか。

児玉「もしくは宣伝を手伝うとかかなあ。まだ全員にパーティーの話してないんだ」

児玉「宣伝担当は愛ちゃんなんだけど……たぶん佐山君も手伝ってもらった方がいいかも」

児玉「愛ちゃんが変な事言ったら抑えてもらう役で……」

……なるほど。

児玉「まあ色々言ったけど……手伝いの話も強制じゃないからさ。パーティーだけでも来て欲しいな」

川澄「そうそう。女子の手料理食えるんやから来ないと損するでー」

未々咲「目指せ全員参加だから、佐山君もゼッタイ来てね!」

佐山「……ああ、分かった」

夜に別館で行われるパーティーとその準備の手伝い……どうしようか。


とりあえず三人と別れてコテージに戻った。

【昼 自由行動】


少し考えたが夜のパーティーには参加する事にした。

彼女達は今頃パーティーの準備をしているのだろう。
それを手伝うかは自由と言われたが……


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(下から選んで参加する生徒も選択)

『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】

a.『準備手伝い・掃除編』【児玉|2人まで|あと0回】
b.『準備手伝い・料理編』【川澄|2人まで|あと0回】
c.『準備手伝い・宣伝編』【未々咲|2人まで|あと0回】

ではここまでで。ありがとうございました
次回サブイベント、のち……

更新はできたら今日します

始めます

・選択2b 直木、六波羅


夜に懇親パーティーが行われるらしい。
女子の三人はその為の準備に奔走しているのだとか。

パーティー……全員とはいかないまでも人は多く集まるだろう。
これは良い機会だ。

調理を手伝うとしよう。
川澄君がいるのは別館の厨房だったか。


【サブイベント『準備手伝い・料理編』 開始】

《別館 厨房》


川澄「ケイさん、直木。持ってきたー?」

六波羅「レストランから、言われた食材を持ってきましたよ」

直木「お、重かった。ちょっと量が多いのでは……」

川澄「16人分やしこんなモンやろ。男なのになっさけなー」

直木「私の細腕では女児二人分くらいが限界なんですよ……」

六波羅「あの、犯罪を匂わせるような発言なんですが……」

川澄「ほんで佐山は?」

佐山「同じくマーケットから言われた物を持ってきた。万が一に備えていくつかは余分に」

川澄「うん、これだけあれば大丈夫やね。ごくろうさん!」

川澄「ほんとはモノミに作らせてラクしよー思たんやけど……」

                :
                :

モノミ「ごめんなちゃい。今のあちしには出来ないんでちゅ……」

                :
                :

川澄「って言ってた。なんか無理らしいんよ」

六波羅「そうなんですか? 初日はレストランで豪華な料理を振舞ってくれたのに……」

川澄「まあアレもイリュージョン?で最初から用意してたんやろ? 今はその余裕もないって事ちゃう?」

佐山「だから自分達で料理を用意しよう、という訳か」

川澄「今、カズさん達が会場を掃除してくれとるから、ウチらで美味しいモン作ろ。責任重大やからね?」

六波羅「ええ。ではまず何から始めますか?」

川澄「あ、ちょっと待って。実はウチも食材持ってきてん」

直木「そのずだ袋でしょうか? 結構大きいような……」

川澄「せや。じゃじゃーん!」

バサバサッ、バサッ、コッコッコ

川澄「牧場から連れてきたニワトリー!」

直木「な、生もの、っていうか生物ですかっ!?」

川澄「これをウチ愛用のサバイバルナイフちゃんでー……」

スパッ!

直木「わあああああ!!」

……ニワトリの首が勢いよく切断された。

六波羅「サバイバルナイフって……持ち歩いてるんですか?」

川澄「うん。森に行くと結構使いどころあって便利やで?」

川澄「そんでやっぱパーティー言うたらチキンやろ! 血抜きして丸焼きにしよ!」

バサバサッ、バサッ

六波羅「う、動いてますね……胴体だけで」

佐山「これは……生きているのかね?」

川澄「まだ生きてるっちゃ生きてるかな? ニワトリは生命力強いから」

佐山「ふむ……?」

六波羅「確かに、首を切断されて一年以上生きているニワトリがいるなんて話も聞いた事ありますけど」

川澄「まあ数分もしたらおとなしゅうなるって」

六波羅「こう言っていいのか分からないですけど、生命って不思議ですね……」

………………。

直木「……頭と別れを告げたはずの胴体は、その身で断末魔を表すかのようにのた打ち回り……」

川澄「ほら、なにびびってんねん!」

直木「はっ! 私は……? あ、料理の続きでしたね、失敬……」

川澄「ほんでニワトリを吊って血を抜いてー」

ビチャッ、ポタポタ

直木「ぐ、うううっぷ! グロテスクかつグロッキィ……!」

川澄「じゃあニワトリはウチがやるから他頼むで! 終わったら手伝うから」

六波羅「え、ええっと。じゃあ調理をしましょうか。直木君のコンディションが最悪みたいですけど」

直木「ううううう……」

佐山「……ああ、分かった」


では僕達も取り掛かろう。

料理の腕をコンマ二桁で決定
↓1佐山
↓2川澄
↓3直木
↓4六波羅で

【結果】
佐山……57
川澄……99
直木……37
六波羅……14


六波羅「二人は料理とかした事あるんですか?」

直木「あいにく家事全般は不得意で。佐山氏は?」

佐山「経験があるかどうかも記憶はないが……やるだけやってみよう」

六波羅「大丈夫ですよ。レシピを見ながらやっていればそうそうまずい事にはなりませんから」

                :
                :

川澄「よしオッケー! 後は焼くだけや。そっちどないな感じ?」

佐山「………………」

直木「………………」

川澄「できたん? 手止まってるで」

直木「あの、川澄氏……。あれを」

川澄「ん?」

六波羅「……で、塩を適当に……えいっ」

ばーっ

川澄「ケイさん何やっとんねん!」

六波羅「え? レシピに書いてあったんで……」

川澄「土俵入りか! 意味がちゃうし、適当すぎやろ!」

川澄「……あとこの液体に浸かってる野菜はナニ?」

六波羅「あ、食材をよく洗おうと思ってアルコール消毒を……」

川澄「漬けてどうすんねん! あーもーこっちもひどい!」

六波羅「ええ!? レシピ見ながらやったのに!」

直木「……初めて女性の手料理を食べるのに恐怖しました……」

佐山「……とりあえず僕達だけで出来る分をやろう」


この後、川澄君がすべてなんとかしてくれた。

【INFO】
川澄の好感度が上がりました。
直木の好感度が上がりました。
六波羅の好感度が上がりました。

【5日目 夜】

《別館 大広間》


準備も終わり夜。
大広間には続々と人が集まって来ていた。

ジーク「ふーん……。中は結構広いな」

早家町「壁にあるのって鉄板? 窓がないから閉塞感がするなあ……」

無位「隠れ家っぽくていいんじゃね?」

都村『隠れ家! つまり秘密基地という事ですなっ!?』

川澄「文句ばっかやなー!」

無位「俺別に文句言ってないんだけど……」

児玉「私も気になったけどあれはずせなくってね。でも結構きれいになったでしょ?」

児玉「結構大変だったんだよー。床の木が古いのか隙間空いててさ。だからマーケットから絨毯持って来たり」

赤羽「うふふ、お疲れ様です」

児玉「どもども。さすがに倉庫の方までは掃除が間に合わなかったけど……」

佐山「しかし、存外多くの人が集まったものだね」

児玉「そうだね。来ないかと思ってたけど十中井君やジーク君も来てくれたし」

今の所、姿を見ていないのは……未々咲君とクロワ君か。

神風「で、飯は?」

六波羅「まだ厨房の方に置いてあります。全員集まったら運びますよ」

ジーク「未々咲はともかくクロワは来んのかよ? こんな集まりによ……」

児玉「うん、来るよ? だってちょっと前に……」

未々咲「皆、クロワちゃん来たよー!」

クロワ「ええい、やかましい。わざわざ呼び掛けるな!」

大広間に未々咲君とクロワ君が入ってきた。

未々咲「アレちゃんと用意した?」

児玉「うん。料理と一緒に持ってくるよ」

四水「……アレ?」

未々咲「紅茶! クロワちゃんが来てくれる条件だったんだ」

四水「紅茶が条件? 何さ、それ」

未々咲「どうしても飲みたいんだって。それと全部の料理の最初の一口目はクロワちゃんが食べるのも条件」

黒須「何だと!?」

佐山「クロワ君が口を付けるまで食べるのは待て、という事かね」

クロワ「フッ。このワタシがオマエ達ごときの作った料理を、頼まれて食べに来てやったんだ」

クロワ「味などたかが知れているが正当な評価は付けてやる。その為に誰かが口を付けたものを食うなど論外だ」

ジーク「んなもん取り分ければいいだろ……」

クロワ「フン、ワタシよりオマエ達が先に食うなど気分が悪い!」

川澄「結局気分やんか!」

神風「面倒くせえなあ……」

児玉「あ、あははー。まあそれで来てくれるって言うし……」

直木「おや、クロワ氏はもう来てたのですか。では料理の運搬に?」

児玉「あ、うん。皆も運ぶの手伝って」

都村『了解でありまーす!』

用意した料理を厨房から運び出す。
テーブルの上には豪華とはいかないまでも色とりどりの料理が並んでいった。

未々咲「わあ! いいね、おいしそう!」

十中井「……ローストチキンか」

川澄「へっへー、ウチ特製やで。作業工程はまずニワトリの頭を……」

直木「そ、それはもういいじゃないですか!」

六波羅「自分達の作った料理が皆さんの前に並ぶのって少し感慨深いですね」

佐山「………………」

児玉「料理も揃ったし、皆飲み物も持ったね。じゃあ……」

神風「よし食うか!」

クロワ「おい待て、食べるな! ワタシが先だと言っただろう」

神風「ええ……」

クロワ「それと……この飲み物はなんだ。ワタシは紅茶と言ったはずだが?」

児玉「え? それアイスティーだけど」

クロワ「まったく違う! 香りが飛んでしまうだろう。シロートめ」

無位「やれやれ。あいつ姑か?」

児玉「い、いやー。ご飯食べるのにホカホカの紅茶っていうのもどうかと思って」

児玉「その代わり冷やしすぎないように、直前で外に出しておいたから飲みやすい温度になってると思うんだけど……」

神風「ふーんアイスティーっていうのか。あんま飲んだことねえけど、どれどれ……」

クロワ「待て飲むな! これもワタシが先だ」

神風「ええ……」

川澄「もうええからはよせえや!」

無位「やれやれ。じゃ乾杯の音頭といこうぜ、リーダー」

黒須「む、俺か? そうだな……ごほん。えー、では今日は皆よく集まって……」

クロワ「いらん。ワタシが先に飲むのだから後でいくらでもしろ」

黒須「貴様ァッ! 今結束を深める為に考えたスピーチをだなァ!」

十中井「……落ち着け。これじゃいつまで経っても進まねえ」

四水「はあ。……クロワの好きなようにやりなよ」

未々咲「ではではアイスティーどうぞ、クロワちゃん!」

クロワ「フン。ではいただくぞ」


そういって彼女はグラスを持ち、匂いを嗅ぐようにグラスを揺らす。

しばらくそれを続けたのち、液面をじっと眺め、やがてグラスの縁に口をつける。

そしてグラスを傾け、一息に――――。








クロワ「………………」

児玉「? どうしたのクロワちゃん」

佐山「…………?」


飲む直前で彼女はグラスを口から離した。
そのまま鋭い目でグラスをにらみつけている。


ジーク「オイ、まだじらすのかよ……」

クロワ「………………」



 クロワ「毒だ。毒が入っている」

今日はここまで。
次回は学級裁判の新システムの軽いチュートリアルをやる予定です。

しかし料理の腕コンマがいい感じにばらけますね

21時から始めます

クロワ君の静かな一言。
それは僕達の間に大きな波紋を呼んだ。

ジーク「…………は?」

黒須「毒? 毒と言ったのか!?」

未々咲「このアイスティーに毒?」

クロワ「全員グラスを置いてそこから動くな!」

早家町「ひっ……」

全員がクロワ君の剣幕に気圧され、グラスを近くのテーブルに置いていった。

クロワ「このアイスティーを作ったのはコダマ、オマエか?」

児玉「え、あ……そうだけど……」

クロワ「作る時、材料に何か特別なものを入れたか?」

児玉「う、ううん! 普通に作っただけ!」

赤羽「あのう。これは一体どういう事でしょう?」

クロワ「待て。…………」

そういうと彼女はもう一度飲み物を注意深く嗅いだ。

クロワ「この匂いは……農薬か殺虫剤の類か。おい」

彼女は僕達の顔を見回した。

クロワ「ではサヤマ、ロクハラ。オマエ達が他の奴らの持ち物を調べろ」

佐山「僕達が?」

川澄「なんでアンタが上から……」

クロワ「黙っていろ。必要な事だ」

六波羅「……分かりました。じゃあ佐山君は男子をお願いします」

直木「ど、毒って……冗談か何かの間違いでしょう?」

クロワ「それを今調べるんだ。これが済んだらこの部屋と厨房を探す」

黒須「くっ、にわかには信じられんぞ……!」

無位「フー……。穏やかじゃねえな」

クロワ「………………」

クロワ君にしたがい持ち物を検査する事にした。
男子に持っている物をすべて出してもらいあやしい物がないか確認する。

クロワ君は僕達が調べている様子を見ながら他のグラスも手に取り調べているようだ。

クロワ「……フン」

佐山「確認が終わった。特に変わった物は見つからない」

クロワ「ロクハラ。そっちはどうだ」

六波羅「もう少し待ってください。……はい、四水さんは大丈夫です」

四水「ん」

六波羅「じゃあ次の人、持ち物を出してください」

六波羅「……? それは……」

クロワ「どうかしたのか」

六波羅「……あの。そのポケットにある物も出してもらってもいいですか」




六波羅「……児玉さん」

児玉「え? ポケットって……」

児玉君が自分で確認すると、服から小瓶が取り出された。
瓶には『除草剤』というラべルが貼られている。

児玉「な、何これ……。私知らないよ?」

未々咲「除草剤って何? 誰かヘルプ!」

十中井「……雑草を枯らす為に使う農薬だ。そのビンもマーケットにあったのを確かに見た」

十中井「六波羅。ラベルにはなんて書いてある」

六波羅「……主成分はパラコートだそうです。なるほど」

十中井「パラコートか……。だが……」

都村『パラコート? 新種の怪獣ですか!』

早家町「あの。パラコートは化学物質の一種で、別名はメチルビオローゲンっていうんだけど……」

都村『むむむ、またもや怪獣の名前が……!』

早家町「その……かなり強い毒性を持つんだ」

ジーク「マ、マジかよ……!」

六波羅「……はい。開発されたのは海外ですが、日本でもパラコートを使った連続毒殺事件があったはずです」

直木「毒殺……!?」

神風「なんかよく分かんねえけど。飲んじゃいけねえのかこれ」

早家町「だ、ダメだよ! 皮膚に触れただけで中毒死した事例もあるのに!」

黒須「触れただけでもだと……!」

児玉「な、なんで? なんでそんな物が……!」

クロワ「……フフン、犯人は見つかった。このタイミングで仕掛けた事は評価に値するが……」

クロワ「狂人かよほどの馬鹿か? だが相手が悪かったな」

人差し指を児玉君につきつけながら彼女は言った。

クロワ「言っただろう? ワタシを簡単に殺せるとは思わない事だ。フフッ」

児玉「犯、人って……ち、違う! 私じゃない!」

黒須「だが毒の入った瓶を隠し持っていたのは確かだ。その理由は聞かせてもらうぞ!」

児玉「ううっ……。でも、この瓶もさっきまで知らなくてー……」

無位「なるほどな。ほっぺたのついでに命も落ちるお手製アイスティーって訳か。くっくっく」

四水「……茶化してる場合じゃないんだけど」

児玉「本当に知らないんだって!」

ジーク「ふざけんな! どう考えたってお前じゃねえか!」

川澄「え、ええ。毒って、そんな嘘やろ……!」

児玉「違う、違うの……!」

未々咲「カズちゃん……」


口論は広がり、騒ぎは大きくなっていく。

だがこれは水掛け論に過ぎない。新たな証拠もないままに、犯人だ、そうではないという応酬が続くだけ。
今まさに毒殺事件が起こったかもしれないという事実に囚われて冷静さを失っている……。

……ここは一度、空気を変える必要があるだろう。

【学級裁判 チュートリアル】

・このスレでの裁判の流れは他のスレと大体一緒です。

・ただし独自要素として『助太刀』、『一喝』があります。


まずは『一喝』システムのチュートリアルからです。

【『一喝』について】

『一喝』とは大まかにいうと、【ダミーのウィークポイントを一括して指摘する】システムです。


・ノンストップ議論の際に、議論が白熱しすぎてウィークポイントが多く発生し、
 議論が停滞してしまう事があります。

・こんな時にはダミーのウィークポイントを全て指摘する事で、
 話し合いの空気を変化させる事が出来ます。

・逆に全員が消極的になって多数のダミー同意ポイントが発生する事もあります。
 同じようにダミーを全て指摘しましょう。

・ただし自分の主張と同じものを指摘してしまったり、指摘すべきポイントを逃した場合……
 議論は進展しますが、間違えた分だけ発言力にダメージを受けます。
 注意しましょう。


(例) 【】……ウィークポイント

「【コイツが犯人】だ!」

「………………」

「【間違いない】よね!」

「証拠なんて無くても分かる! 【クロだ】!」

(安価例)
『【コイツが犯人】【間違いない】【クロだ】』 → このように安価を取ると正解となります。


では実際にやってみましょう。

[議論 開始!]

コトダマ
【――――――】


クロワ「【犯人はオマエだ】、コダマ」

児玉「私はそんな事してないよ!」

都村『ですが児玉副隊長は毒の瓶を持っていたんですよね? あな怪し!』

ジーク「誰だって分かるぜ、考えるまでもねえ!」

神風「つまり……【児玉が毒を入れた】って事だろ?」

児玉「違う、私じゃない!」

赤羽「何か別の物と間違えて混入されてしまったのでは?」

児玉「ううん。変なものをいれた覚えなんてない……」

四水「瓶を持ってた【児玉以外に犯人は考えられない】と思うけど」

川澄「や、やってもうたんか? カズさん……」

児玉「お願い、信じて……!」


安価↓1 [【】を論破しろ!]

【犯人はオマエだ】【児玉が毒を入れた】【児玉以外に犯人は考えられない】 完全正解!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 佐山「落ち着きたまえ!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【一喝!】━━━━━


佐山「………………」

ジーク「な……なんだよ急に?」

佐山「児玉君が毒瓶を持っていた。それは事実だ」

佐山「だが犯人を断定するには、それだけでは情報が足りないだろう」

児玉「さ、佐山君……」

ジーク「何言ってんだよ。これ以上ねえ証拠だろ!」

佐山「結論を急ぐ必要はないというだけだよ。先程からお互いに意見を主張するだけで議論になっていない。一度冷静になるべきだ」

黒須「む……。確かにそうかもしれないが……」

佐山「そして一つ、確認したい事がある」

児玉「確認? って何を?」

佐山「毒瓶は確かに存在した……だが。実際にこの紅茶に毒は入っていたのか、という事だ」

クロワ「……なんだと?」

佐山「この飲み物に毒が入っていると主張したのはクロワ君だけだ。実際に確認した訳ではない」

児玉「え、ええ? それってまさか……」

クロワ「ほう。ワタシを疑っているのか?」

佐山「………………」

クロワ「……フッ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

クロワ「その推理、ひねり潰す!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【反論!】━━━━━


クロワ「まさか根拠も無しに疑っているのではないだろうな?」

クロワ「いいだろう。聞かせてみろ!」

児玉「な、何がどうなってるの……?」


パラコートにはある特性があったはずだ。
それを考えれば本当に匂いで毒の有無が分かったのかは疑わしい。

……だが、その事は僕の口から言うべきではない。

パラコートについて詳しそうな人に意見を言ってもらうとしよう。
おそらく僕と同じ疑問を持っているはずだ。

【『助太刀』について】

『助太刀』とは反論ショーダウン中に、他の生徒に相手を論破してもらうシステムです。


・反論ショーダウン中には、ウィークポイントがない証言、または正解のコトノハが無い時もあります。
 そんな時はその証言を論破できそうな生徒を選んで提示することができます。

・助太刀を安価する場合はウィークポイントを選ぶ必要はありません。


(安価例)
『助太刀 ○○(生徒名)』 → このように安価を取ると正解となります。


では、実際にやってみましょう。

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ
【―――――】


クロワ「毒が入っているかどうかなど匂いで分かる」

クロワ「現場からは実際に使われた毒も見つかったんだ」

クロワ「確認と言ったな。実際に飲んでみるか? ククク……」

クロワ「ワタシの肩書きにかけてもいい……」

クロワ「このアイスティーには毒が入っている。間違いない」


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀しろ!]

助太刀 十中井 正解!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐山「君の意見を聞かせてくれたまえ」

十中井「……ああ。任せろ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【助太刀!】━━━━


佐山「十中井君。先程何かが気になっていた様子だが、知っている事でも?」

十中井「……クロワ。お前がコイツに毒が入ってるってのは匂いで分かったのか」

クロワ「何度も言わせるな、トナカイ。言った通りだ」

十中井「……知ってるヤツがいたら確認してえんだが」

十中井「パラコートは……無臭じゃ、なかったか」

六波羅「!」

早家町「あ……そ、そうだよね。気になってたんだけど……」

六波羅「ええ。だからこそ毒殺事件に利用されたんです。飲む瞬間、飲んだ後も気づきにくいから……」

十中井「だから市販品のパラコートには着色と匂い付けが義務付けられてたはずだ。……その瓶、どうなってる」

早家町「え、えっと……」

早家町君が瓶のフタを開け、毒を吸わないよう注意してにおいを嗅いだ。

早家町「あれ? 特に匂いはしないけど……」

十中井「なんだと……。違法販売じゃねえか……!」

早家町「ひいっ!! ぼっ、ボクに怒られても!」

都村『十中井隊員からあふれんばかりのオーラが! 錯覚でしょうか?』

未々咲「私も見える気がする! でも錯覚かな?」

ジーク「なんでどっちも自信なさげなんだよ!」

児玉「……あ、あれ? でもそうなると……」

佐山「つまり。この除草剤は無臭だという事だ」

佐山「クロワ君。君が匂いでパラコートを察知した、というのは矛盾している事になる」

クロワ「………………」

佐山「本当にこのアイスティーに毒が入っていると分かったのかね」

六波羅「クロワさん……。まさか」

クロワ「………………」

クロワ「フン……。無臭だと? 笑わせるな」

佐山「何?」

クロワ「無臭などというモノは結局、凡人には感じ取れないという事に過ぎん」

クロワ「成分としてそこに存在するのになぜ匂いが無いなどと思う?」

児玉「どういう事?」

クロワ「ワタシの嗅覚を甘く見ては困る。超高校級……それもオマエ達とは格が違う」

六波羅「ま、まさか……分かるっていうんですか? 超高校級のグルメとしての経験で?」

クロワ「当然だ。このワタシに感じ取れない匂いと味が存在するはずがない!」

無位「かっけーな、オイ」

常人にとっては無臭のものでも、彼女なら嗅ぎ取れるという訳か?
それは……さすがに想定外だ。

神風「うーん……。なんも匂いしねえけどなあ」

四水「クロワ、本当にあんたには匂いが分かるの?」

クロワ「まあ言葉で証明する事は出来んな。だが確認したいなら飲んでみるといい」

クロワ「犯人もすでに見つかった事だ、死人が出て裁判が起きてもかまわん」

神風「……え、飲む?」

ジーク「オレに聞くな!? 死んだらどーすんだ!」

赤羽「さすがにそれはやめた方が良いと思いますよ。お腹を壊してしまうかもしれません」

十中井「……それどころじゃすまねえぞ」

児玉「あ、あの。結局どうなったの?」

佐山「………………」

六波羅「……ボク達は児玉さんを犯人と決める前に、本当に毒があったかどうかを確かめていませんでした」

六波羅「けどこれに毒が入っているか分かるのはクロワさんだけ……しかもその真偽は確かめられません」

未々咲「毒っていうのはクロワちゃんが嘘ぶっこいたかもなんだよね! 確かめる方法がないけど」

クロワ「フン、疑うのなら勝手にするがいい。このままパーティーでもなんでも続けろ」

クロワ「ワタシは帰る。ここにはもう食べる価値のある料理はない」

川澄「えっ、食わんて……料理にも毒が入っとるんか!?」

クロワ「さあな? 確かめてはいない」

クロワ「ワタシが嘘をついているなら毒などないんだろう? クックック……」

川澄「うう、自信ありげでイヤミな笑顔……!」

すみません途中で寝落ちしました、続きから投下します
安価はありません。

赤羽「クロワ様、本当に出て行ってしまわれましたね……」

無位「やれやれ。パーティーはお開きか?」

川澄「そらそやろ。さっきの事は忘れて食べよー、って気にはなれへんしなあ……」

黒須「しかしどうすればいい? 毒が入っていたのかどうか、それを入れたのは児玉かどうか……」

黒須「確かめる方法はないのか? 何か……!」

モノクマ「とりあえずキミ暑っ苦しいし、落ち着いたら?」

早家町「……えっ、ええ!?」

黒須「そうだな……確かに熱くなって自分を見失っていたかもしれない」

モノクマ「そうそう。液体窒素より頭を冷やさないと学級裁判なんて生き残れないよ」

黒須「はっ? ……貴様ァッ! よくもノコノコと現れたなァ!」

モノクマ「アーハッハッハッハ! 時間差でいいリアクションしてくれるね!」

いつの間にかモノクマがいた。最初からそこにいたかのように。
この場にいる誰もが虚をつかれた顔をしている。
誰にも気づかれずにこの部屋に入ったというのか?

佐山「モノクマ。なぜここに?」

モノクマ「モノミもいるよ!」

モノミ「み、ミナサン……」

モノクマが持ったロープの先には簀巻きにされたモノミ君が繋がれていた。

未々咲「モノミちゃんは何やってるの?」

モノクマ「仲良く散歩中なんだ。ちゃんと運動させないと太るしね」

モノミ「あれ、あちしペットなの!? 妹じゃなかったの!?」

モノクマ「おや、妹という設定を受け入れ始めたかモノミよ」

モノミ「はっ! ちがいまちゅ、あちしはお兄ちゃんの妹なんかじゃありまちぇん!」

ジーク「半分受け入れかけてんじゃねーか!」

モノミ「あうう……」

川澄「何しに来てん。漫才でも見せに来たんか?」

四水「こっちはそれどころじゃないんだけど」

モノクマ「いやあ、お困りのようだったんで。オマエラ、それに毒があるかどうか気になってるんでしょ?」

モノクマ「その答えを教えてあげようと思ってね」

黒須「何……本当か!?」

モノクマ「ではモノミ、アイスティーを飲んで確かめてあげなさい」

モノミ「……えっ? あちしが確かめるの!?」

モノクマ「ちゃんと飲めたらご褒美にほねっこあげるから」

モノミ「やっぱりペット扱いじゃないでちゅか!」

児玉「……モノミちゃんお願い。毒はきっと無いはずだから」

児玉「本当に私は入れてないの、だから……!」

モノミ「児玉さん……。分かりまちた。モノミが体をはって確かめまちゅ!」

モノミ「で、では……。うう……」

未々咲「モノミちゃん、ガンバ!」

モノミ「……ごくりっ!」

モノミ君が問題のアイスティーを飲んだ。
パラコートの毒性は即効性だ。もし入っているなら効果はすぐに現れるはずだが……

モノミ「………………」

モノクマ「うぷぷ……」

十中井「……どうなんだ」

児玉「モノミちゃん……?」

モノミ「……だ、大丈夫でちゅ。なんともありまちぇん!」

児玉「ほ、ホント?」

モノミ「はい! 毒なんて入ってまちぇんよ!」

児玉「じゃあ……!」



モノクマ「入ってるよ、毒」

児玉「……え」

モノクマ「バリバリ入ってるよ、そりゃもう。その除草剤に入ってるパラコートがね!」

児玉「だ、だって……モノミちゃんは……」

モノミ「そ、そうでちゅよ! あちしはヘーキ……」

モノクマ「だってオマエ、ぬいぐるみじゃん。ぬいぐるみが毒で死ぬわけないじゃん」

モノクマ「中の綿が湿ってカビが増殖しやすくなるだけだよ!」

モノミ「あ……!」

モノクマ「ボクにはちゃーんと分かるよ? 誰がこの毒を入れたのかもね」

赤羽「ではやはり毒が……」

六波羅「……本当にこの中に毒が。彼女が言っていたのは事実だった……?」

モノクマ「そうだよ。クロワさんは何一つ嘘を言ってません」

モノクマ「ついでにボクもオマエラに対しては嘘はつかないよ。モノミにはつくけど」

モノミ「うう、差別でちゅ……」

佐山「………………」

児玉「な、なんで……?」

早家町「毒が入ってたって事は、じゃあやっぱり……!」

四水「……実際に誰かが入れたって事になる」

神風「児玉か。毒瓶持ってたし」

児玉「ち……違……」

モノクマ「いやあ嬉しいねえ。自発的にこういう事してくれる人がいると助かるよホント!」

黒須「児玉、お前……!」

児玉「だから……!」

ジーク「……オレもコテージに戻る。こんなところにいられっかよ!」

無位「それ最初に死ぬヤツのセリフだな」

ジーク「うるせえ……児玉に気をつけてりゃ平気だろ!」

児玉「…………っ!」

川澄「ちょっ、アンタなあ! くそ、行ってもうた……」

直木「……す、すみません。私も気分が悪いので……」

都村『う、ううむ……。は! よい子は寝る時間になったので、これにてっ!』

モノクマ「うぷぷぷぷ。ボクらも帰ろうか!」

モノミ「こ、児玉さん……ごめんなちゃい! ううう……!」

未々咲「カズちゃん……」

児玉「…………う……」

児玉「っ……!」

川澄「あ、カズさん!」

黒須「おい!」

児玉君も走って去っていった。

未々咲「追いかけないと!」

佐山「おそらくコテージに戻ったのだろう。追いかけても会えないと思うが」

未々咲「でも! 出ていく時のカズちゃんの顔、泣き出しそうだったよ……」

佐山「………………」

川澄「……無位ぃ!」

無位「やれやれ、場を和ませようと思ったのによ。逆効果ってか?」

川澄「…………ぎりぎりぎり」

無位「ふっ。……すいません」

ジーク君を皮切りに続々と出て行った。
会場に残ったのは半分の人数しかいない。

未々咲「どうしよう? これから……」

赤羽「とりあえずお片付けをしましょう。このままにはしておけません」

六波羅「この料理には毒は……ってモノクマはもう行ったんでしたね」

川澄「うーん……。どれについとるか分からんし捨てるしかないなあ……」

神風「え? これ全部捨てちまうのか? もったいねえ」

神風「……なあ。パラコートってヤツを食ったらどうなるんだ?」

六波羅「飲んだ直後はのどが痛くなったり嘔吐などの症状が出て、しかし意識ははっきりしてるので苦しみ抜きながら死にます」

六波羅「中毒経過はかなり悲惨ですよ」

神風「じゃあやめといた方がいいか」

川澄「何食おうと試みとんねん……」

黒須「しかし児玉をどうするか」

六波羅「児玉さんに毒の事を追求すべきではないでしょう。追い詰めてしまったら、彼女は……」

黒須「また凶行に走るかもしれんな……」

未々咲「ううん……。でも本当に毒入れたのカズちゃんなのかな?」

未々咲「これからパーティーもやるのに、事件なんて起こすかな」

無位「アイツはやるときゃやる女なのさ」

川澄「あのなぁ。……でも毒瓶持ってたし、今も逃げたしなぁ」

未々咲「私だったらせめて、やるにしてもパーティー楽しんだ後にやるよ!」

六波羅「はは、それでパーティー楽しめる人は少ないでしょうね……」

神風「それによぉ。児玉がやってないんだったら誰がやったんだよ?」

赤羽「誰が、ですか……。児玉様ではないにしてもわたくし達の内の誰かという事になりますね」

佐山「毒瓶が存在して毒が仕掛けられていた以上、誰かの悪意が働いている事は間違いない」

黒須「悪意か……。くっ……!」

この後、残った者達で後片付けを行なった。作業中は誰も口を開かない。


最悪のケースは避けられたのかもしれない。だが……これは失敗だろう。
被害者は一人も出なかった。それでも僕達の間に流れる不穏な空気は拭えないものになってしまった。


【5日目 終了】

【現在の好感度】

ZEKE    ……18
直木 重吾 ……17
早家町 杜々 ……16
黒須 灰矢 ……12
六波羅 恵 ……12
十中井 蛇山 ……11
無位 流一 ……10
川澄 美空 ……9
神風 今日介 ……9
児玉 和音 ……7
未々咲 愛 ……7
四水 眞寄 ……5
赤羽 優仁 ……5
クロワ・グラトン ……3
都村 美弥子 ……0


【アイテム・プレゼント】
エプロンドレス
懐紙『十幕目詩録』


【らーぶらーぶポイント……33てん】

というワケでここまで、途中で寝落ちしてしまってすみませんでした。
次回更新はおそらく火曜以降になります

乙です
勝手にドット絵作っちゃいました
http://i.imgur.com/wCxgt8o.png

21時30分から始めます

>>463
ありがとうございます!
名前と才能まで入っている…キャラがイメージしやすくなりました

【6日目】


昨晩はあの後、重い空気のまま解散した。
皆、昨日の事件で少なからず動揺している事だろう。

ともかく外に出よう。


【朝 自由行動】

※児玉は選べません

安価↓
1.レストランに行く
(生徒を一人選択)
2.マーケットに向かう
(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇)

1 ジーク

《ホテル レストラン》


ジーク「………………」

佐山「おはよう」

ジーク「……フン」

佐山「気分でもすぐれないのかね」

ジーク「そりゃゴキゲンなわきゃねーだろ……」

確かにそうだが。

ジーク「チッ、やっぱ馴れ合いなんて甘っちょろい事やってらんねえよ。どいつもこいつも殺す気でやってくる……」

ジーク「つー訳で飯一緒に、とか言ってくるんじゃねえぞ。もう遊んでる場合じゃねえ」

そう言いながら離れたテーブルに座る。警戒されているようだ。
昨日の事が影響している事は間違いない。


話題安価↓
1.児玉君の事を疑っているのか
2.朝食に毒が入ってる可能性を警戒しないのか
3.自由安価

・選択 2


佐山「それは構わないが……」

ジーク「分かったらあっち行け。シッシッ」

佐山「その朝食に毒が入っている可能性は考えないのかね」

ジーク「……あ?」

佐山「昨日使われた毒は無臭でクロワ君のように嗅覚が鋭敏でなければ分からない、という事だった」

ジーク「……あ」

佐山「誰かが朝早くに来て用意された朝食に毒を仕掛けた可能性もあると思うのだが」

ジーク「…………。マーケットでなんか探してくる……」

佐山「僕も一緒に行こう」

ジーク「勝手にしろ……」

佐山「………………」

ジーク「なんだよ、何か言いたそうな顔でこっち見んなよ……」

佐山「いや特にそんな事はない」

決まりが悪そうだ、とは思ったが。


安価↓
乱入する人かプレゼント選択

・乱入 赤羽


赤羽「お早うございます、ジーク様と佐山様」

佐山「ああ、おはよう」

ジーク「………………」

赤羽「あのう、御機嫌がよろしくないのでしょうか?」

ジーク「さっきも聞かれたっつの……。ここで飯食うんなら忠告しとくけどよ」

ジーク「用意された朝食に昨日の毒が入ってたらアウトだ。それでも食うなら止めはしねえ」

佐山「………………」

ジーク「……って事を佐山が言ったんだ」

赤羽「まあ、毒が? そんな事をする方がいるでしょうか……」

ジーク「まさに昨日いただろ!」

赤羽「あら、そういえばそうでしたね」

ジーク「ったく……」

彼女の独特の調子には狂わされるものがあるようだ。


話題安価↓
1.赤羽もマーケットに誘ってみる
2.わざわざ忠告した事についてジークに聞く
3.自由安価

・選択 2


佐山「ふむ……。毒の事を忠告するのだね」

赤羽「それがどうかしたのかすか?」

佐山「いや……。彼は先程これから馴れ合う事はないと発言していた。それとそぐわない行動だったので気になっただけだ」

ジーク「……あ! つい……い、いや違え。教えたのはそういうんじゃなくてだな……」

ジーク「この女がいかにも世間知らずでぼーっとしてそうだからよ……」

佐山「それで心配になってつい忠告を?」

赤羽「まあ、ありがとうございます」

ジーク「違う! 心配じゃねえ。くっ……俺が他人にそんなモンするか、そんなんロックじゃねえ!」

赤羽「良い方なのですね。おかげで助かりました」

ジーク「だから違えって。お礼とかやめろよ、ちくしょう! 俺はもう行くからな!」

赤羽「あら、走っていってしまわれした。朝食前のランニングでしょうか?」

佐山「……そうではないと思うよ」

ジーク君自身が言うほど彼は非道ではないのだろう。
とりあえず……一緒に行くと言った手前、彼を追いかけよう。
ダッシュで。


二人に渡すプレゼントを選択(>>460から)
(渡さない場合は、なし等)

安価下1ジーク、下2赤羽

・赤羽 エプロンドレス


佐山「赤羽君、これを」

赤羽「まあかわいらしい服ですね。受け取っても?」

赤羽「わたくしに似合うでしょうか。うふふ、せっかくですし明日はこれを着てみますわ」

佐山「……渡しておいてなんだが、通常時に着るのはおすすめしない」

気に入ってくれたようだ。


・ジーク 懐紙『十幕目詩録』


ジーク「ああクソ、さっきのオレダセえ……ほっときゃ良かった」

佐山「……はあ、はあ。ジーク君……」

ジーク「なっ、佐山!? なんで追いかけてきた……」

佐山「……ふう。ではこれを」

ジーク「それ渡す為かよ! 走って追いかけてきて、お前のその執念はなんなんだよ!」

……確かになぜだろう。
ちなみにプレゼントの感触はイマイチだった。


【INFO】
ジークの好感度が上がりました。
赤羽の好感度が結構上がりました。

【昼 自由行動】


結局マーケットで朝食を調達した。
レストランに来ていた人は少なかったようだ。
やはり事件が及ぼした影響は大きいのだろう。


昼になったが、どう行動すべきか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)

・選択 都村

《マーケット》


マーケットに行くと都村君が菓子コーナーで電子音混じりにうなり声をあげていた。

都村『むむむ、中々これは……いやいやこちらも!』

佐山「都村君。ここで何を?」

都村『ややっ、佐山隊員! 私は今、重要任務についているのであります』

都村『そう……。我が基地に持っていく食玩と菓子食品の品定めという任務に!』

見ると彼女の足元の買い物カゴにはいくつかの食玩やチョコやキャンディーなどがいっぱいに入っている。

佐山「……基地とは?」

都村『ふふふ、正確な場所は極秘事項ですがあえてヒントを出すならば……ホテルに近い場所と言っておきましょう!』

コテージの事か。


話題安価↓
1.やはり毒を警戒しているのか
2.お菓子ばかりだと健康に悪いのでは
3.自由安価

・選択 1


佐山「自分の部屋に食糧を持ち込むという事は、やはり毒を警戒しているのかね」

都村『ぎくっ! う、ううむ……。佐山隊員は歯に衣着せないのでありますね。あな直球!』

都村『そう! この一見遊びにしかみえない行為、実は!』

都村『安全な食料の確保という隠された目的があったのであります! わっはっはっは!』

佐山「………………」

と大きく胸を張って言われたが……食玩は遊び目的だろう。

佐山「誰かが、たとえば児玉君がまた毒を仕掛けるかもしれないと?」

都村『……はい。敵は狡猾かつ卑劣。隙あらば我々を倒さんと今も潜んでいますから』

佐山「………………」

都村『……そう。毒怪獣ポイズンドスが!』

佐山「何? ポイズンドス?」

都村『昨日はしてやられましたな! まさか児玉副隊長を操り毒を仕掛けるとは……ポイズンドス許すまじ!』

都村『次に現れた時は私の秘密兵器でやってやりましょう! あな勇まし!』

佐山「………………」

昨日の事件の解釈は人それぞれという事なのだろう。
……おそらく。


安価↓
乱入する人を選択、させない場合は『なし』
(児玉は選べません)

・乱入 クロワ


都村君と話していると、マーケットにクロワ君がやってきた。

クロワ「………………」

都村『おや、クロワ隊員! 昨晩の活躍お見事でした!』

クロワ「……フン。なんだオマエ達か」

佐山「君もここに食糧の調達を?」

クロワ「調達……? ああそうか。オマエ達凡人には毒が仕掛けられているか分からないんだったな」

クロワ「フフン、このワタシにそんな煩わしい事など必要ない。無能はせいぜいおびえながらパンでも齧っている事だ」

都村『う、ううむ……チョコを舐めておきます。あな甘し』

クロワ「それとここに来たのはただの探索だ」

都村『ふむ、クロワ隊員は探索意欲旺盛なのでありますね! その調子でポイズンドスをぜひやっつけて下さい!』

クロワ「ポイズンドス?」

佐山「………………」

探索、まさかとは思うが……


話題安価↓
1.毒を調べに来たのか
2.ポイズンドスについて説明する
3.自由安価

・選択 1


佐山「昨日の毒……パラコートを調べに来たのかね」

クロワ「察しがいいじゃないか。どいつかがマーケットにあると言っていたが実際に見ない事にはな」

都村『十中井隊員であります!』

佐山「まさかとは思うが……」

クロワ「こう思うのか? ワタシがパラコートを使って事件を起こすと」

都村『え……』

佐山「………………」

クロワ「フン、ありえん。ワタシが他人の、しかも失敗した方法を踏襲する訳がないだろう」

クロワ「それにオマエ達は凡人なりに対策しているようだしな。わざわざ効果の薄い事はしない」

昨日の事件があったばかりだ。たしかにこの状況で毒を仕込むのは難しいだろう。

クロワ「心配せずとも成し遂げてやるさ。完璧な事件をな……フフフ」

都村『う、うう……。もしやクロワ隊員もポイズンドスに操られてしまった……?』

クロワ「だからポイズンドスとはなんだ? ワタシが操られるものか!」

少なくともパラコート、毒を使うつもりはないようだが……
彼女は危険だ。

【INFO】
都村の好感度が上がりました。
クロワの好感度が上がりました。

【イベント 夜】

《ホテル 外》

夜。
日は沈み、暗闇があたりを深く包んでいる。
夜時間間近だったが少し外が気になり、僕は児玉君のコテージの前にいた。

今日一日、外に出ていたが児玉君の姿だけは見かけなかった。
昨日の事件でもっとも影響があったのは間違いなく彼女だ。

おそらくは自分のコテージに籠っているのだろうが……

児玉「……あっ!」

佐山「! 児玉君?」

考えていると児玉君がホテルの入り口の方から歩いてきた。
手にはマーケットのレジ袋を持っている。おそらく食糧が入っているのだろう。

佐山「………………」

児玉「……う、っ…………」

児玉「……き、奇遇だね、それじゃおやすみー……」

佐山「待ちたまえ」

児玉「ですよねー……」

僕の横をすり抜けて行こうとする彼女を呼び止める。
意外にもそれに応じてくれた。


安価↓3
乱入してくる【女子生徒】を一人選択
また、乱入してこないというのも可。(その場合は『なし』と安価)

クロワ把握
という事で今日はここまで、ありがとうございました。
イベントではもう一個選択安価があるので次回に。

今日の夜にまた更新します

気に入ったキャラが退場してもどうか死なないように…
退場しないように祈るのはOKです、進行には影響しませんが

22時頃から始めます。

・乱入 クロワ


クロワ「……サヤマ、なぜオマエがここにいる」

佐山「? クロワ君」

児玉「!」

児玉君の後ろからクロワ君がやってきていた。
彼女の後をつけていたのか?

佐山「偶然だよ。児玉君のコテージを通りがかっただけだ」

児玉「う、あ……なんで。クロワ、さん……?」

彼女はクロワ君の姿を見るなり目に見えて動揺しだした。

クロワ「何を怯えている。オマエが殺そうとした相手だろう?」

児玉「っ……。わ、私……!」

佐山「……クロワ君。君がここに来た目的は?」

クロワ「そいつに聞きたい事があってな」

児玉「……私に?」

まあそういう事だろう。
僕も児玉君に会えたらいくつか聞きたい事があった。

クロワ「先日の犯行について聞かせてもらうぞ。オマエがやった事に関してだ」

児玉「…………。私じゃ、ないよ……」

クロワ「フン。この状況で否定に意味がない事がまだ分からないのか」

児玉「でも……!」

クロワ「犯人はオマエの他に誰がいる? オマエはなぜ毒瓶を持っていた」

児玉「そ、れは……」

クロワ「少しでも主張があるなら言ってみるがいい。聞いてやろう」

児玉「………………」

児玉「本当に分からないんだ……。全部突然で……」

児玉「昨日、クロワちゃ……さんの条件を聞いてアイスティーを用意したんだ」

児玉「それでそろそろ来るかなと思って、全員分のアイスティーをグラスに注いで外に出しておいたの」

児玉「外に出しておいたのはちょっと冷やし過ぎたと思って……」

佐山「…………。それを見た人は?」

児玉「いや、その時に厨房にいたのは私だけだったよ」

佐山「………………」

児玉「それでクロワさんが来たから皆に厨房の料理を持って行ってもらってそしたら……」

毒が入っていた、か。

児玉「瓶も持ち物検査の時に初めて気づいて。いつから持ってたのかも分かんない……」

クロワ「誰かに入れられたとでも言うのか」

児玉「……はい」

クロワ「フン……」

クロワ「もう一つ聞く。なぜオマエは……」

クロワ「全員分のアイスティーに毒を入れていた?」

児玉「え?」

佐山「! 何だと?」

クロワ「あの時全員分のアイスティーを調べたが……どれも同じ毒が入っていた」

クロワ「殺していいのは二人まで。ルールにはそう定められている」

クロワ「それでもわざわざ全部に毒を入れるのは……ルールも確認しない馬鹿か、狂人だけだ」

児玉「え、ええ……? どういう事?」

クロワ「だからそれをオマエに聞いている」

全員分のドリンクに毒が入っていた……?

クロワ君の話が本当なら確かにおかしい。
もし全員が飲んでしまったら、ルール違反で処罰される可能性もあったはずだ。

……犯人の意図は?

児玉「……だから分かんないよ、入れたの私じゃないし……」

クロワ「フン。なるほどな……」

クロワ「……オマエの他に犯行が可能だった奴に心当たりはないのか?」

児玉「え……。信じてくれるの?」

クロワ「他の犯人がいる可能性も検討するだけだ、勘違いするな。オマエは依然、最有力容疑者だ」

児玉「あ、あはー……ですよねー……」

そう言いつつ、児玉君の表情が少し和らぐのが分かった。

佐山「それで……さっきの質問はどうなのかね」

児玉「うーん、あのアイスティーに毒を入れた人だよね。でもどうやって……」

クロワ「全員分に毒があったという事はおそらくティーポットの方に毒を入れたはずだ」

クロワ「つまり犯行のタイミングはオマエが全員分のグラスに注ぐ前だ」

佐山「……ふむ」

児玉「……あの時は料理はもう出来てたから誰も厨房に行く用事はなかったの」

児玉「正直言って……人の目を盗んで厨房に行って毒を入れるのは誰でも出来ると思う」

佐山「君のポケットに瓶を入れた人物については?」

児玉「それも分かんないなあ。料理を会場に運ぶ時はバタバタしてたからその時かも……」

児玉「手伝ってもらった内の誰かなのかな。あんまり考えたくないけど……」

佐山「では君に個人的に恨みを持っている人は?」

児玉「もっと考えたくないなー……。そんなの……」

クロワ「……フン。そのくらいか」

そう言ってクロワ君が立ち去ろうとした。

児玉「ちょちょちょっと、待って!?」

クロワ「なんだ」

児玉「いや、真犯人を見つけて助けてくれるんじゃないかなー、って……」

クロワ「甘ったれるな。ワタシは聞くべき事を聞きに来ただけだ」

クロワ「それに、オマエの疑いを晴らすのは今となっては不可能だ」

児玉「え……」

クロワ「証拠となるものはすべて片付けてしまった。よって真犯人の追及はできない」

クロワ「そして他の犯人がいる可能性を示したところでオマエが毒瓶を持っていた事実は変わらないんだよ」

児玉「……!」

児玉君は顔をうつむけた。肩は少し震えている。

クロワ「事実を覆せる空論など存在しない。たとえそれが真実に限りなく近かったとしてもだ」

児玉「……っ」

佐山「………………」

彼女の言う事は正しい。反論のしようがない程、正確だ。

児玉「……じゃあ、どうすればいいの……!?」

児玉「私じゃないのに……。私じゃ、ないのに……!」

児玉「な、なんで私が、皆に疑われて、あんな目で見られて……なんで……!」

クロワ「………………」

クロワ「フン、甘ったれるなと言っただろう」

児玉「……!」

クロワ「自分の事くらい自分でなんとかしろ。誰かの助けの手を求めて泣いて待つくらいならそのまま死んでしまえ」

児玉「う……」

佐山「……クロワ君」

クロワ「この島から出られるのは一人だけだ。助けがないと生きられないなら今死んでもどうせ何も変わらん」

児玉「……っ」

クロワ「競争を生き抜くのに必要なのは一人で立つ事、それだけだ」

児玉「……ひとり、で……」

クロワ「……フン。いっその事開き直って認めてしまったらどうだ。ワタシが犯人です、とな」

児玉「ええ……?」

それだけ言うとクロワ君は歩いて暗闇の中に消えて行ってしまった。

児玉「………………」

佐山「………………」

重い沈黙。
彼女の震えは止まっていたが、そこから動こうともしなかった。

しばらくして、児玉君が口を開いた。

児玉「……佐山君」

佐山「何かね」

児玉「本当の事、言って欲しいんだ。佐山君はどう思うのか……」

児玉「私が、犯人……?」

佐山「………………」

僕は――――。


安価↓3
1.児玉君は犯人ではない
2.分からない
3.児玉君を疑っている

・選択 3


……僕はまだ児玉君が犯人の可能性を捨て去っていない。それが確かな事だ。

佐山「……今の時点では君が一番怪しい。そう思っている」

児玉「うん……大丈夫。覚悟してたから……。はっきり言ってくれた方が嬉しいよ、ありがとう」

佐山「君はこれからどうするのだね」

僕が聞きたかった質問をぶつけた。
この状況で彼女はどうするのか、気になっていた。

児玉「……疑いを晴らすのは無理かもしれない。だけどこのままは嫌だよ……」

児玉「今日一日中、他の人に会うのが怖くて籠ってたんだ」

児玉「ご飯も夜になった今なら誰もいないと思って今初めて出てきたの。でもそんなのずっと続けていける訳ないし……」

児玉「何より一人でいるとずっと……不安で、どうしようもないんだ……」

佐山「………………」

児玉「明日は……外に出るつもり」

佐山「……そうか」

児玉「あはは、警戒するよねー……。同じ立場だったら私も思うもん、なるべく出てこないでくれって」

佐山「いいや、そういう訳ではない。何か考えがあるのかと思っただけだよ」

児玉「……あのね。クロワさんの言葉で分かったんだ。今の私に出来る事って凄く少ない……」

児玉「もうどうやっても疑いを晴らすなんて無理……だから……」

児玉「未遂の犯人としてけじめをつけて、もう一度信頼を回復するしかないって」

佐山「……それでいいのかね。君は犯人ではないのだろう?」

児玉「あはは、でも佐山君も疑ってるんでしょ?」

佐山「………………」

それはそうだが。

児玉「でもこれが一番いいと思うんだ。あの事件で皆きっと不安になってる……」

……確かに今日は皆、特に毒を警戒していた。

児玉「そこで私が犯人だって認めて、謝って反省してますって言ってさ」

児玉「私が悪さできないように監視でもなんでもつけてもらえば少しは皆安心できるはず……」

佐山「それは……」

児玉「……信頼されるなんてすぐには、いや多分もうずっと無理なんだけど……」

児玉「きっとこれが正解なんだよ。私にとっても、皆にとっても……」

佐山「……真犯人の事はどうするのかね」

児玉「分かんない。見当もつかないしー……」

児玉「あ、佐山君が代わりに見つけてよ。なんてー……私を疑ってるんだよね、ゴメン」

佐山「構わない。出来る範囲で調べよう」

児玉「……うん」

児玉「まあ要約するとつまり、明日から犯人として自首します、はい……」

佐山「分かった。話してくれてありがとう」

児玉「あはは……。私も誰かに話せてよかったよ」

佐山「ではこれで……」

児玉「あ、ちょっと待って佐山君」

佐山「?」

立ち去ろうとしたところで児玉君に呼び止められた。

児玉「あーっとその……。お願いなんだけど、ちょっと後ろを向いててくれないかな」

佐山「ああ。構わないが」

そう言って彼女に背を向けた瞬間――。

佐山「……児玉君?」

児玉「………………」

両肩と背中に温かさと重みを感じた。
どうやら肩に手を置かれ、彼女の頭が背中に寄りかかっているらしい。

児玉「ゴメン、少しだけこうさせて……」

児玉「明日からは犯人だから。今、だけ……」

佐山「………………」

児玉「……悔しい。悔しいよ……」

児玉「私じゃ、ないのに……!」

児玉「う、くう……っ、どうして……」

佐山「………………」


彼女の震えが、手に込められた力が、声を殺して出す涙が伝わってくる。

……僕はそれを、ただ黙って受け止めるだけだった。


【6日目 終了】

【現在の好感度】

ZEKE    ……24
直木 重吾 ……17
早家町 杜々 ……16
児玉 和音 ……15
赤羽 優仁 ……14
黒須 灰矢 ……12
六波羅 恵 ……12
十中井 蛇山 ……11
無位 流一 ……10
川澄 美空 ……9
神風 今日介 ……9
クロワ・グラトン ……11
未々咲 愛 ……7
四水 眞寄 ……5
都村 美弥子 ……5


【アイテム・プレゼント】
なし

【らーぶらーぶポイント……39てん】

今回はここまで。ありがとうございました
7日目は自由行動がありません、気が変わったらあるかもしれませんが

次回更新は未定ですが近日中に。

支援絵書いたけど、投下してもいいのだろうか

今日は更新できません、明日か明後日になるかと

>>542
おお!ぜひ投下していただけると嬉しいです

http://i.imgur.com/RUlrdEF.png
安藤ロンパからずっと読んでる。満が好きだぜ
低クオリティ+描写と矛盾してるかもだから閲覧注意
イメージと違ったらすまそ

>>544
全員絵、ありがとうございます!
都村の持ってる銃が本格的でちょっと笑いました

イメージや見た目の描写は書いてますがあくまで自分にとってのイメージなので、
全く気にせず個人個人でしっくりくる姿を想像してもらえればと思います。

今日は諸事情によりできませんでした、すみません

明日はおそらくできると思うのですが…更新するときは告知します。

22時半頃から始めます
あまり進めないかもしれません

【7日目 朝】

《ホテル レストラン》


今日は朝から黒須君による召集があった。
レストランで待っていたのは……

児玉「………………」

未々咲「あっ!」

川澄「カズさん……」

集まった全員に動揺が走る。
児玉君の方もまるで刑の執行を待つ囚人のような面持ちだ。

黒須「……児玉から話があるそうだ。それで集めた」

赤羽「お話とはなんでしょうか?」

児玉「えーっと。その……」

佐山「………………」

児玉「…………。今日来てもらったのは……」

話を切り出す前に一瞬、彼女がこちらの方を見た気がした。

児玉「……一昨日の事、すみませんでした」

早家町「え、すみませんって……」

四水「どういう意味で謝ってる訳」

児玉「それは……」

児玉「……私が、毒を入れた犯人って意味、です」

少し震えた声で、しかしはっきりと彼女は言った、

クロワ「………………」

直木「うう、やはりそうだったんですか……」

ジーク「へっ、たりめーだろ」

六波羅「児玉さん……」

今。
僕達の中で、彼女が事件を起こそうとした事が決定づけられた。
取り返しはもうつかない。彼女もそれを分かっていたはずだ。

未々咲「カズちゃん……。それって本当なの?」

未々咲「ホントのホントに、そう言ってるの?」

児玉「っ…………」

未々咲「………………」

児玉「……うん」

未々咲「そっか……」

児玉「本当にごめん。謝ってなんとかなる事じゃないけど反省はしてます」

児玉「どんな扱いになっても文句言わないし覚悟してる。だから……」

児玉「だから、じゃないや。……とにかく私が犯人で、もう事件なんて起こしません」

ジーク「信じられっかよ……」

十中井「お前が犯人ならなんで名乗り出た。……どっちみち疑ってたがよ」

児玉「……これ以上事件が起こるのは嫌だったから、です」

児玉「一昨日、あの事件で誰も死ななくて本当に良かったって思ってたんだ。だからそれで……」

四水「………………」

児玉「も、もちろん事件を起こしたのは私、なんだけどー……」

早家町「え、ええ?」

児玉「……無茶苦茶言ってるのは分かってる。けど本心なの……」

児玉「私の……せいで。事件起こるのは避けたかったんだよ……!」

パチパチパチ

突如拍手の音が響いた。
といっても静かな中で際立っただけで大きい音ではない。せいぜい一人分だ。

佐山「……一体何を?」

無位「いやあ、泣かせるじゃねえの。ちょっくらバラード弾いてもいいか?」

四水「やめな」

黒須「許さん!」

無位「……ふっ」

無位「結局はだ。誰も死んじゃいねえ。俺達が忘れちまえばあの事件の事なんてなかった事にもできるんだぜ」

無位「一昨日起こったのは所詮、その程度の事なのさ」

川澄「んなムチャクチャな……」

黒須「まあ無位のいう事はともかくとしてもだ。児玉は自分の罪を認め反省している」

黒須「それを踏まえて、これから扱いをどうするのか決めねばなるまい」

児玉「……うん。皆が安心できるように決めて。監視でもなんでもつけていいし、行動を制限するっていうなら従うから……」

赤羽「児玉様のご覚悟、立派です。茹でるなり炒めるなりという事なのですね」

黒須「さて具体的にはどうするか。何もしないという訳にはいくまい」

未々咲「そうかな? 児玉ちゃん反省してるし可哀想だよー。イジメダメ、絶対!」

黒須「人を悪者のように言うのはやめろ!」

無位「俺も賛成だな。あいつならきっとやり直せるさ」

十中井「……流石にそれは同意できねえ」

早家町「おかしいって……。普通信用なんてできないよ……」

児玉「う……」

佐山「……未々咲君もだが、君もいやに児玉君に肩入れするのだね」

無位「そうか? 今日は雲一つない晴れだからな。気分が良いだけさ」

無位「変な噂立てんなよ。もしやったら1、2週間はコテージに籠るからな」

ジーク「メンタル弱え!」

六波羅「ふふふっ……。ええと、その中だと監視が一番現実的、ですかね」

児玉「監視だね……。うん、分かった」

都村『では一体誰が監視役となるのでしょうか? あな責任重大!』

クロワ「ならワタシがやろう」

誰よりも先に意外な人物から声が上がった。

児玉「え……?」

川澄「アンタが?」

直木「意外ですね。クロワ氏が……」

クロワ「フッ。監視というのは少し違うな。ワタシがこいつの監視をするのではなく……」

クロワ「こいつがワタシの奴隷になるという事だ!」

児玉「へ?」

……クロワ君が堂々と問題発言を飛ばした。

あまり進めなかったけど今回はここまで。
今日の夜にもっと早い時間から更新したいと思います

早家町「ど、奴隷!?」

黒須「一体どういう意味だ、それは!」

クロワ「そのままの意味だが? コイツはワタシが預かり奴隷として扱わせてもらおう」

児玉「えええ……!」

無位「どえれえこって」

ジーク「マジに言ってんのかよ……!」

川澄「ドン引きや……」

神風「いいんじゃねえの。それで」

佐山「神風君。起きていたのか」

神風「さっき起きた」

佐山「……寝ていたのか」

黒須「話は分かっているのか? クロワの発言は人権を侵害しているんだぞ!」

神風「児玉よりクロワの方が強いからしょうがねえよ。強い奴は正しいし何やってもいいからな」

児玉「出たよ蛮族理論ー……」

クロワ「フン、分かってるじゃないか」

赤羽「あのう。つまりクロワ様が監視役に立候補された、という事ではないでしょうか」

佐山「おそらくはそういう事だろう。……奴隷という言い方が気になるが」

未々咲「クロワちゃん、カズちゃんにヒドイ事はしないよね?」

クロワ「言っただろう。奴隷として扱う、それ以上でもそれ以下でもない」

六波羅「ええと……奴隷云々は置いとくとしても。確かにクロワさんが監視役に適しているかと思います」

佐山「彼女なら少なくとも毒を盛られる事はないから。それが理由かね」

六波羅「……ええ。そうです」

川澄「でも扱いは奴隷って言ってるやん! アカンって!」

クロワ「フン、被害者が直々に犯人の面倒を見てやろうと言っているんだ。感謝してもらいたいぐらいだな」

川澄「アンタのどこが被害者ってツラや……」

ジーク「……ま、まあ。前科一犯がどうなろうと知ったこっちゃねーからいいけどよ」

四水「とりあえずやらせて、あまりにヒドイ扱いなら別の人が代わる。それでいいんじゃない」

早家町「うん。やりたい人も他にいないだろうし……」

黒須「む……。そういう事なら立候補が他にいないならクロワに任命するが」

児玉「可決されるカンジだねー、はい……」

未々咲「うーん……私もやろうかとも思ったんだけど。監視役って今までやった事ないし」

ジーク「普通ねえよ……」

未々咲「でもクロワちゃんがやるならその方がいいんじゃないかな。なんとなくだけど!」

児玉「うう……。立場上なんとも言えないよー……」

黒須「ではクロワを監視役に仮決定とする! 問題があるようなら交代だ!」

黒須「それでいいな。そこ、さっきから静かだが話を聞いていたのか」

十中井「……ああ、聞いてた。それで構わねえ」

直木「児玉氏がクロワ氏の奴隷に……? これはキマシタか? キタんじゃないんですか!」

黒須「聞いていないじゃないかッ! 監視役だと言っただろう!」

赤羽「直木様はどうして嬉しそうなのでしょう……?」

六波羅「児玉さんの事は決まりましたね。それともう一つ決めなきゃいけない事があります」

黒須「む、なんだ?」

六波羅「……マーケットに置いてある毒、パラコートです。あれを誰でも取れる場所に置いたままではまずいでしょう」

佐山「といっても捨てる事はできない。ルールによるとそうなっている」

川澄「ポイ捨てはアカンってやつやったっけ」

佐山「モノミ君が決めたルールではあるが、いま違反すればモノクマに何をされるかは分からない」

ジーク「モノミのヤツ、メンドくせえルール残していきやがって……」

六波羅「だから考えられる方法としては、誰かが一目につかない場所に管理するしかないと思うんですけど……」

早家町「あ、あの危険な毒を?」

六波羅「……はい。もちろん管理する人にも危険があると思います」

佐山「………………」

それだけではない。
管理するという事は毒を自由に扱えるという事でもある。

その誰かが事件を起こす可能性もあるし、それを恐れて皆から疑われる事になるだろう。
危険、というのはその意味も含んでいるのだろう。

十中井「……なら俺がやる。それなら誰でも毒を使えるって事はねえ」

皆が押し黙った中で声を挙げたのは十中井君だった。

十中井「俺が残ったパラコートの瓶を自分のコテージで管理する」

無位「もっとこえーよ」

十中井「………………」ギロッ

無位「あっ、スマセン」

十中井「……毒殺事件が起きたら俺を疑え。それでいいだろ」

六波羅「いいんですか? さっきも言った通り危険がありますが……」

十中井「……誰がやろうが危険だ。それに違法販売品が棚に並んでんのは許せねえ」

都村『十中井隊員、あな男らし!』

未々咲「十中井クンが毒薬を……。やっぱりヤクの売人だ……!」

佐山「………………」

ともかく、これで事件を引き起こし得るものについての話し合いは決まった。

朝の会合はそのまま解散となった。
朝食を済ませていない人もいたはずだが、多くの人はレストランを後にした。
まだ今日の朝食に関しては毒が仕込まれている可能性がある。

残っているのは僕と……

児玉「…………ええっと」

クロワ「………………」

彼女達だけだ。

児玉「あのー……。よろしくお願いします」

クロワ「何がだ」

児玉「やー、監視役やってくれるって事だからそれで」

クロワ「何を勘違いしている。奴隷だと言っただろう……紅茶を入れろ」

児玉「……え?」

クロワ「早くしろ。それから朝食の用意だ」

児玉「あ、えー……。は、はいっ」

佐山「………………」

クロワ「何か言いたい事があるのか。別に非道な扱いではあるまい」

佐山「いや、それはそうだが……」

わざわざ自白した彼女に紅茶を入れさせるとは。

クロワ「ならとっとと失せろ。安心しろ、監視の役目は果たしてやる」

佐山「………………」

だがクロワ君以外が監視役ではありえなかった事だ。
見えない毒を気にせず接する事ができるのは彼女しかいない。

結果的にこうやって監視役となったのは、彼女なりに児玉君の事を気遣っての事だったのかもしれない。

クロワ「……なんだこれは。こんなものを紅茶と認めるか!」

児玉「うう、すみません。淹れなおしますー……」

クロワ「当然だ。朝食の前に紅茶を飲むと決めているんだ。これ以上待たせるなよ」

児玉「ひいい……」

クロワ「……フフ。人を従わせるのはやはり気分がいい……」

佐山「………………」

……そうでもないかもしれない。

今回はここまで。うーんあまり進まなかった…
とりあえず今日も更新する予定です

日付が変わってしまったけど更新します

直木の性癖判断は乱入で誰かと一緒になったら話題に出そうかなと。

『キーン、コーン……カーン、コーン』

                :
                :

モノクマ『えー、モノクマです。学園長です。出番少ないけど忘れてないよね?』

モノクマ『オマエラに一言、いや二言、いやいや言いたい事がありすぎて、思いが溢れて止まらない……』

モノクマ『ので! ジャバウォック公園にお集まりくださーい! 強制だかんねー!』

                :
                :


佐山「………………」

……言うだけなら放送でいいだろう。

児玉「なんだろう……嫌な予感がする。既に嫌な事続きだけどさー……」

クロワ「……フン。とっとと行くぞ奴隷」

児玉「あ、はーい……」

ともかくジャバウォック公園に向かうとしよう。

《ジャバウォック公園》


無位「やれやれ、呼び出しの多い日だな。釣りでもしようと思ってたのによ」

都村『ふむう、言いたい事とは一体なんでしょうか?』

ジーク「知らねえよ……。言いたい事があんのはこっちの方だっつの」

黒須「十中井、パラコートの件はどうなった?」

十中井「……すでに俺のコテージに運んだ。瓶ごと箱に入れて密閉してある」

赤羽「なら毒の件はこれで一安心ですね」

クロワ「そいつを信用できるなら、だがな」

十中井「………………」

黒須「お前! また不和を生むような事を……!」

児玉「そ、そういう事言うのやめた方がいいよー……。じゃなくて、いいと思います……」

クロワ「まあいい。もとよりワタシには関係の無い事だ」

モノクマ「おいすー、今日も不仲良くギスってるかいオマエラ!」

モノミ「うう……。だからなんであちしまで連れてくるんでちゅか……」

全員が集まったタイミングを見計らってか、突然モノクマとモノミが現れた。
まただ……この唐突な登場。
どこかに人目につかない隠し通路でもあるのだろうか。

四水「で、言いたい事って何」

モノクマ「ありゃりゃ、四水さん冷たい。さながら白くまアイスのような……」

四水「早くしてくんない。アンタの顔を一秒でも長く見ずに済ませたい」

モノクマ「うむむ。そこまで邪険にされてしまうとボクは……。ハァ、ハァ……」

モノミ「興奮してるー!?」

直木「うう、少し共感してしまう自分が情けない……!」

児玉「共感するんだー……」

四水「………………」

モノクマ「軽く心配しただけなのになあ。どこかの誰かさんのせいで人死にが出そうだったんだし」

児玉「っ……」

川澄「や、やめーや……」

モノクマ「うぷぷぷ。オマエラに言いたい事を言う前に、聞いておきたいんだけど」

モノクマ「オマエラ……まだ気づかないの? それとも気づかないフリをしてんの?」

ジーク「……はあ? 気づかないって何にだよ」

モノクマ「だとしたら余りにもモノを知らなさすぎるよ。不自然なくらいにね」

佐山「……不自然? 一体、何のことだ」

モノクマ「そう、知らなさすぎるんだよ……。たとえば自分自身の事とかね!」

佐山「!」

モノクマ「オマエラは自分の事を半分も知らない。重大な事は全部頭からすっぽ抜けてるんだよ」

モノクマ「過去の事も、そして未来の事も」

未々咲「何? 何を言ってるの?」

まさか……
モノクマは、目の前でクツクツと笑うこの存在は……

佐山「……奪ったのか? 僕達の記憶を」

モノクマ「うっぷぷ! 正解~! 解答者に拍手!」

早家町「……え。きお、く……?」

黒須「何だと……!?」

モノミ「ええええええええええっ!?」

佐山「………………」

記憶……今の僕に最も足りない、一番必要なもの。
今まで断片的にすら思い出せる事はなかった。
何日経っても……

それは、不自然な事ではないのか。

その理由が、人為的に消されたからだとしたら……。

直木「嘘、でしょう……だって。覚えていますよ、私は」

直木「希望ヶ峰に入学する事になった事を。それまでの記憶も!」

モノクマ「覚えている、ねえ。じゃあ聞くけどオマエラって希望ヶ峰の第何期生?」

直木「それはもちろん……あれ? え、ちょっと待ってください……」

六波羅「……! 分からない? いや覚えていない……!」

僕はもちろんだが、他の誰からも自分達が何期生であるかを言う事は出来なかった。

簡単な質問だ。
だがそれだけに自分が記憶を失っているという突拍子もない話に現実味が帯びさせる。

モノクマ「アーハッハッハ! それ見た事か、やれ見た事よ! そんな簡単な事すら思い出せないなんてねえ」

モノクマ「オマエラの記憶はボクが細かく色々いじくって、覚えてる事に制限をかけちゃったんだ」

ジーク「い、意味分かんねえ! 記憶をいじるってなんだよ!?」

モノクマ「い、いじる……昼間っからそんな話なんて、ジーククンは男の子だなあもう!」

ジーク「ふざけてんじゃねえよ、クソッ!」

佐山「……待ちたまえ。先程君はこう言ったはずだ」

佐山「僕達は重大な事を忘れている。過去の事も、そして未来の事も……と」

都村『過去も……未来も?』

モノクマ「言いましたね!」

神風「未来の記憶ってどういう事だ? 訳分かんねえぞ」

モノクマ「オマエラって実は新入生じゃないんだよ。もう入学式なんてとっくの昔に終わってるんだ」

モノクマ「オマエラはそれを覚えていない。だから新入生だと思ってるだけ」

児玉「だけって……! そんな!」

モノクマ「オマエラ、この島にどうやって来たか覚えてる?」

モノクマ「突然教室からこの島に来た……そんな夢みたいな経緯で来たんじゃない?」

十中井「なんでお前がその事を知ってる……!」

モノクマ「そこが記憶の結合点なのさ。オマエラが覚えてる記憶は、入学式の日に教室に集まるまでだったって事」

川澄「い、意味分からんって……!」

佐山「どこから……そしてどこまでの記憶を消したんだ」

モノクマ「じゃあ言っちゃおうかな! オマエラの過去の記憶。これはちょいちょい消したんだけど」

モノクマ「未来の記憶は全部消したよ。さっぱりくっきりはっきりゼンブ」

都村『どっ、しぇえええ!? 全部!? でありますかっ!』

黒須「わ、忘れているのか……? 俺は、大切な何かを……」

モノクマ「うぷぷ……。誰の記憶をどれくらい消したかは人それぞれなんだけど」

モノクマ「ま、いいじゃん記憶なんて。過去も未来も忘れて現在だけを生きるって素敵じゃない!」

無位「過去も未来も無い、ねえ……。そんな深みも高みもねえ生き方は勘弁だぜ」

モノクマ「だったら記憶を取り戻すしか、ないんじゃない?」

佐山「! あるのか。記憶を戻す方法が」

モノクマ「うぷぷぷ……」

……いや、失敗だ。
これは聞くべきではなかった。答えは分かりきっている。
今の僕は冷静ではない。

モノクマ「モチロンあるよ? 記憶を取り戻す方法」

赤羽「どうすれば、いいのでしょう……?」

モノクマ「その方法は……コロシアイでーす! オマエラがコロシアイをすれば、ボクが消したオマエラの記憶を戻しまーす!」

モノミ「ほわわっ!?」

未々咲「コロシアイ……」

やはりか……。

無位「なるほどな。記憶云々の件はコロシアイの餌、動機ってワケかよ」

モノクマ「そういう事。でも動機なんていらなかったかもねえ」

モノクマ「オマエラの中には早々にスタートダッシュを決めたヤル気ビンビンサイコパスがいるみたいだし!」

児玉「う……」

早家町「……!」

モノクマ「まあ失敗しちゃったみたいですけど!」

佐山「……何故だ。こんな事をする意味は?」

モノクマ「んん?」

いつの間にか思った事が口からこぼれていた。
仕方なくそのままモノクマにぶつける。

佐山「記憶を奪う……仮にそんな芸当ができたとしよう。そうして僕達を無人島に連れてきて、殺し合いを強要する」

佐山「その意味はなんだ。目的は一体?」

モノクマ「質問ばっかりされても、ボクは夏休みこども電話相談の科学に詳しいオッサンじゃないからねえ」

佐山「………………」

モノクマ「うぷぷ……。そんな顔しないでよ」

モノクマ「オマエラは種なんだ。土に埋まっている種。時が来ればやがて花を咲かす」

六波羅「……種?」

モノクマ「その時に開くのは、世界を救う希望の花か、はたまた……」

モノクマ「全人類を地獄に叩き落とす、絶望の果実……」

未々咲「……!」

モノクマ「ボクがどっちの結果を望んでいるかは言わなくても分かるよね?」

佐山「………………」

モノクマ「うぷぷ……アーハッハッハッハッハ!」

朗らかな高笑いを残してモノクマは去って行った。


僕の質問で唯一分かった事。
あの学園長を名乗る存在の底知れなさ……それだけだ。

佐山「………………」

無位「やれやれ。俺より詩人らしい事言いやがって」

モノミ「あ、あわわ……」

未々咲「……モノミちゃん。記憶の話ってホントなの? あなたは何か知らないの?」

モノミ「う……すみまちぇん。佐山くんの記憶がないのは聞きまちたが、まさか全員そうだなんて……」

ジーク「どういうこったよ……。記憶って……!」

都村『う、ううむ……。大事なのに忘れてる事……はて?』

直木「……と精神分析学者フロイトは言った。そう、つまるところ記憶とは……」

川澄「ウチも逃避したいくらいや……」

六波羅「どういった事を忘れてるのか、それを確かめるのも難しいですね……」

赤羽「それにモノクマ様はわたくし達がすでに新入生ではないとおっしゃっていました」

赤羽「でしたら、本当のわたくし達の立場はどうなっていたのでしょうか……?」

十中井「………………」

記憶を奪った事自体に何か目的はあったのだろう。
しかしここでその事を告げたのは、僕達を動揺させ殺し合いを煽るための動機だ。

……モノクマの狙いは成功だろう。

四水「記憶……か」

黒須「ぐ……! ふうううぅぅぅ……」

神風「…………。んー……」

クロワ「……フン。行くぞ奴隷」

児玉「あ、クロワさん……」

全員が沈黙し、その中をクロワ君達が出て行こうとしたその時。

未々咲「待って」

短く、だが力強い声で未々咲君が引き止めた。

児玉「愛ちゃん?」

未々咲「皆も聞いて。提案があるんだ」

クロワ「提案?」

佐山「…………?」

未々咲「あのね」

彼女は自分に注目している全員の顔を見回してから言った。



未々咲「もう一回、パーティーやろうよ」

今回はここまでで。
次回更新はできれば今日の夜、無理だったら月曜以降となります。

22時くらいから始めます

佐山「………………」

早家町「な、何言ってるの?」

未々咲「だからパーティーだよ。一昨日のはダメになっちゃったじゃん」

未々咲「今度こそ成功させようよ、今日の夜!」

早家町「え……」

川澄「なんでパーティー? しかもこのタイミングで?」

未々咲「本当は、今日もカズちゃんが見つからなかったら皆に提案しようと思ってたんだけど」

児玉「……え、そうなの?」

未々咲「カズちゃん塞ぎ込んでたみたいだし、一回集まって話し合える場がないかなって」

無位「それでパーティーやろうってか。欧米かよ」

未々咲「仲直りにはパーティーが一番だよ! ママも言ってたんだから!」

未々咲「あのね。悪い流れの時には行動を起こさないとダメなんだ」

未々咲「待ってても、幸運なんて来ないから」

ジーク「……イカレてんのかお前。また事件が起きるってオチだろうが! ソイツがやったみてーによ!」

児玉「っ……」

未々咲「だったら、絶対に安全なパーティーを開けばいいんだよ」

未々咲「事件が起きないように対策するの。あ、それに毒はもう十中井クンが管理してくれてるじゃん!」

十中井「………………」

黒須「……本気で言っているのか」

未々咲「うん、本気だよ。ダメかな?」

無位「ダメどうこう以前にモノクマの話はどうすんだい。お嬢ちゃんよ」

六波羅「ボク達の記憶が完全ではない、実は新入生ではない……という事でした」

六波羅「実際、ボク達が何期生として入学したのか覚えていません」

四水「さすがにパーティーなんてしてる場合じゃないと思うけど」

未々咲「うーん、そっか。でも記憶なんてどうでもよくない?」

直木「……いや、それは……」

佐山「ここにいる全員が記憶喪失だとすれば異常な事だ。君はそれを放置するというのかね」

未々咲「うーん……どうしようもないんじゃない? だって何を忘れたかも忘れてるのに思い出すなんてムリだよ」

佐山「………………」

神風「そりゃそーだな」

六波羅「あ、あっさりですね……」


………………。

僕にとっては夢も希望もない話だ。

赤羽「いいのではないでしょうか、とても。わたくしはぜひ参加したいと思います」

佐山「赤羽君?」

赤羽「記憶の事は後日あらためて考える事にいたします。それよりも最近よろしくない空気だった事ですし」

赤羽「親交を深める事。きっとそれがわたくし達にできるモノクマ様への唯一の対抗策ですから」

未々咲「やった! 一人参加!」

黒須「ふううぅぅぅ……」

黒須「……未々咲。絶対安全と言ったが具体的な方法は考えているのか?」

未々咲「え? 全然」

黒須「……ふう。俺も参加させてもらおう。そんな無計画では事件を防げる訳がない!」

未々咲「おっ! 二人目ゲット!」

ジーク「オイ。そいつのバカでも移ったのかよ」

黒須「ここ数日の悪い空気を変える為だ。強引にでもこういう機会が必要だと俺も思う」

黒須「それに……いや。ともかく今度こそ事件を起こさせないよう全力を尽くす!」

六波羅「リフレッシュする機会って事ですか。そうですね……」

神風「またパーティーやんのか? 起こしてくれれば行こうかなあ」

児玉「それまで寝るつもりなんだー……」

未々咲「カズちゃんもパーティー来てよ」

児玉「えっ、私も!?」

ジーク「ハァ!?」

直木「い、いや児玉氏は……!」

児玉「愛ちゃん、さすがに私はほらー……さ。部屋で大人しくしてた方が……」

未々咲「パーティーはみんなでやるものだもん。全員参加はトーゼンでしょー?」

ジーク「……頭の中にハトでも飼ってんのかよ! クソ……付き合ってられっか」

未々咲「あ、待ってよジーククン! 場所は前とおんなじで旧館だからね。夜から始めるから!」

赤羽「行ってしまわれましたね……」

未々咲「あーあ、ジーククンぼっちかー。皆は来るよね?」

十中井「………………」

早家町「う、ボクは……」

川澄「ど、どやろなー。安全やったら行こかな、安全やったら……」

直木「……すみません。私はここで失礼します……」

無位「あ、俺今日釣りしたい気分なんでー」

四水「…………。少し考えさせて」


未々咲君の呼びかけもむなしく公園から人は去っていく。

未々咲「あー、皆……」

黒須「事はそう簡単じゃない。まずは安全に行う方法考えねばな」

黒須「それから呼び掛けても遅くないはずだ」

児玉「や、やっぱりさ。私がいるから……」

児玉「……私は今日部屋に籠ってるよ。その方が皆安心できるだろうし」

未々咲「それは違うよ」

児玉「え……」

未々咲「言ったよね。パーティーは皆でやるものだし、今日のパーティーは絶対安全。ね? 黒須クン」

黒須「あ、ああ……勿論だ。事件は誰にも起こさせない。その為に対策を考えるんだ」

児玉「でも皆がそう思う訳じゃない、よ……」

未々咲「大丈夫。なんとかなるから気にせずおいでよ」

児玉「…………。はは、根拠がある訳じゃないんだねー」

児玉「けどありがと。……私って結構単純なのかなー」

児玉「……私も手伝うよ。パーティーの準備とか色々。手伝わせて」

未々咲「やった。ありがとカズちゃん!」

クロワ「……フゥ。オイ、ミミサキ。今日はオマエがソイツの監視役をしろ」

児玉「えっ?」

未々咲「なんで? クロワちゃんがやるんじゃ」

クロワ「奴隷にするとは言ったが、監視を一人で担うとは言っていない」

未々咲「パーティーに来ないの?」

クロワ「ソイツが行こうがワタシは行かない。言っていなかったか。ワタシは馴れ合いがキライなんだ」

クロワ「ワタシを連れてきたければ今度は満漢全席でも用意するんだな」

未々咲「ムリムリー。じゃあ代わりにワタシがチャーハン作るってのはどう?」

クロワ「何がじゃあだ、ナメているのかオマエは! ……フン、とにかく行かないからな」

未々咲「ダメかー。佐山クンは?」

佐山「………………」

未々咲「佐山クン?」

佐山「……考えておく」

僕はそれだけ答えて、そのまま公園を後にした。

【7日目 昼】

《佐山のコテージ》


完全な記憶。それがモノクマの用意した動機。

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未々咲「うーん……どうしようもないんじゃない? だって何を忘れたかも忘れてるのに思い出すなんてムリだよ」

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おそらく彼女は正しい。
現に欠片さえも記憶は戻っていない。

モノクマの動機には悪意がある。殺し合いを避けるには無視してしまうのが最良だ。
パーティーの提案も手段はどうあれ未々咲君は間違っていない。

それは理解できるし、そうするべきだろう。


……理解できないのは、そうするべき、とどうして『僕』が思うのかだ。

僕に記憶は無い。
歴史も、未練も、繋がりも、執着も、しがらみも、僕には無い。

だがそれを取り戻す方法は今ハッキリした。


……なら自分を止めるのは一体なんなんだ。
道徳心。殺人への抵抗感。失敗のリスク。他者への配慮……



どれも違う。

そんなものはどうでもいい。

今までは自分の命に危険が及ぶからだと思っていた。
だが明確なメリットをつきつけられて今ようやく分かった。

確かに僕は殺し合いが起きる事を望んでいない。
だがそう思う本当の理由は分かっていない。


……気持ちが悪い。

解法が分からないのに、答えだけ偶然出てしまった計算問題のようだ。
頭で考えても出ないはずの結論が僕の中に既にある。

自分とは違う誰かが、勝手にそう決めてしまったような……



ピーンポーン



……誰かが訪ねてきたようだ。
出なければいけない。


安価↓2 (訪ねてきたのは?)
1.黒須
2.未々咲
3.児玉

選択 1


佐山「……どうぞ」

黒須「入るぞ佐山。…………」

扉を開けて顔を見せるなり、彼は押し黙ってしまった。

佐山「どうかしたのかね」

黒須「……何かあったのか?」

佐山「いいや。あの後コテージに戻ってずっと休んでいただけだが」

黒須「そうか……。いや、かすかに殺気立っているような気がしただけだ」

佐山「……用件があるのでは」

黒須「ああ、そうだった。相談の結果、今夜のパーティーの対策が決まった」

佐山「対策?」

黒須「全員に説明して回ってるんだ。聞いてもらい、来るかどうか判断してもらわなければいけないからな」

黒須君達が考えた対策というのは以下なようなものだった。

旧館に入る人は入り口をボディーチェックを行い、危険になり得る物はすべて回収する。
パーティーの準備が終われば、旧館内に最初からある危険物――たとえば厨房の包丁など、これらも回収する。
これで館内の凶器は完全になくなる。

料理には数人で安全を確認した材料を使い、そして一緒に調理する事でお互いを監視させる。
パーティー中は、交代で入り口に見張りを立てるそうだ。

おまけに、未々咲君の提案で防犯グッズなどをジュラルミンケースに入れて持っていくのだという。
効果がどれほどあるかは知らないが。

確かに無防備だった前回のパーティーに比べて、事件を防ぐには十分な対策に思えた。

黒須「どうだ。お前の意見もぜひ聞きたい」

佐山「いいのではないだろうか。事件を起こすのは難しそうだ」

黒須「まるでお前が犯行をするような口ぶりだな……」

佐山「あくまでそういう目線で考えてみただけだよ」

黒須「まあいい。それでお前は来るか?」

佐山「………………」

黒須「この前のパーティーでは調理を担当してたらしいじゃないか」

黒須「今、未々咲達が募集しているんだがまだ揃わなくてな。手伝ってくれると助かるんだが」


……どう答えようか。

安価↓
1.ああ
2.行った方がいいのだろうか
3.…………。

選択 1


佐山「……ああ」

黒須「? 随分と気のない返事だな」

佐山「……気がないからかもしれない」

いや、気が分からない、と言った方が正しいのか。

黒須「ふむ……」

佐山「……すまない、今のは忘れて欲しい。手伝おう」

黒須「考えても分からないときは深く考えない事だ」

佐山「……何?」

黒須「人に講釈をたれるほど俺は人間ができている訳じゃない。だが佐山、お前の中に迷いがあるようだから言っておく」

黒須「最初に浮かんだものに決める、直感にしたがう、とにかく単純に考えたものでいい」

黒須「それこそが俗世の常識や雑念に影響を受けない、自分の中から出た答えだからだ」

佐山「……禅宗の教えか何かだろうか」

黒須「そんなところだ。俺もこれを師匠に教わってな!」

黒須「とにかくパーティーは自由参加だ。夜時間になる頃に始める予定だ」

佐山「以前より遅い時間に始めるのだね」

黒須「まだ手伝う奴が集まらないから見通しが立たなくてな……。さっきお前は了承したが、数には入れないでおくぞ」

黒須「もしやってくれる気になったと自分で思うなら、声をかけてくれ」

佐山「……ああ」

黒須君がコテージを出て行った。


……何が正解なのかはまだ分からない。

だが彼の言葉に参考にするなら、パーティーに参加するのが僕の答えという事になるのだろう。


【INFO】
黒須の好感度が上がりました。

今回はここまでで。次回はパーティーです

今日の夜にまた更新します

始めます。安価はありません

【7日目 夜】


 『キーン、コーン……カーン、コーン』

                :
                :

 『えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします。ただいま午後10時になりました』

 『波の音を聞きながらゆったりと穏やかにお休みくださいね』

 『ではでは、いい夢を。グッナイ……』



夜時間。
旧館ではそろそろパーティーが行なわれる頃だ。

……行ってみよう。

《旧館 入り口》


旧館の入り口では行列ができていた。
どうやらボディーチェックの順番待ちができているらしい。

未々咲「あっ、佐山クンじゃん! ウェルカム!」

児玉「来てくれたんだ」

佐山「ああ」

児玉「ボディーチェック受けてから入ってね。今、黒須君と愛ちゃんが見てるから……」

川澄「なんでやねん! ええやろそれくらい!」

黒須「いい訳があるかッ! 危険物だぞこれはッ!」

児玉「ありゃー……なんだろ」

どうやら揉め事が起こったようだ。

黒須「サバイバルナイフだぞ! 持ち込みなど許せるか!」

川澄「ええやん! 包丁みたいなもんやろ」

未々咲「なるほど、そうかも」

黒須「包丁だってアウトだッ! そもそも調理には厨房にあるものを使え!」

川澄「こっちのが使い慣れとるのに……」

しぶしぶながら川澄君がナイフを黒須君に渡す。
預かった危険物は用意されていたジュラルミンケースに入れられた。
ケースは他にもう一つがあるが、昼に言っていたように防犯グッズが入っているのだろう。

佐山「そういえばそのケースはどこに保管を?」

児玉「事務室に置くんだ。ほら、ブレーカーがある部屋」

事務室か。
トイレの横に位置している部屋だ。

児玉「あそこ、前からちょっとした物置みたいに使ってるんだ」

児玉「大広間のテーブルの上に物があったんだけど料理置くのに邪魔だから置いといたり。今もそのままだけど」

そういえば児玉君は前回のパーティーでは掃除を担当していたはずだ。

未々咲「美空ちゃんオッケー。次の人!」

都村『サー、イエッサー! 存分にチェックを!』

未々咲「……うん、何もないよ。オッケー!」

都村『システムオールグリーン! 都村美弥子、いっきまーす!』

黒須「待て都村! ヘルメットも確認させてもらおう」

都村『はい?』

黒須「お前がかぶっているメットだ。その大きさなら中に危険物を収納できるかもしれない」

都村『い、いえそれは……。顔バレはNGであります! あな受け付け難し!』

黒須「これも安全のためだ。確認できないのであれば中に入れる事は出来ないぞ!」

都村『上官命令でありますかっ! わ、分かりました……』

都村君がためらうようにメットに手をかける。
やがて諦めて頭から脱いだ。

都村「これで、いいですか……?」

黒須「なっ……」

児玉「わあ……」

メットの下から彼女の本当の姿が現れた。

髪は丸っこいショートボブで色は明るいグレー。カラーコンタクトをしてるのか瞳が金色だ。
世間一般的に美少女と呼ばれる顔立ちだろう。

未々咲「へえ、美弥子ちゃんカワイイ顔してたんだ。なんかイメージと違うかも!」

川澄「それ失礼ちゃうか? まあ気持ち分かるけども」

あまりに意外だったのか黒須君や児玉君は唖然としている。
当の本人は恥ずかしそうにメットを胸の前で抱えたままだ。

都村「……あ、あの。チェック、を……」

黒須「あ……ああ。特に物が入っている様子は無さそうだな……」

児玉「いつもと雰囲気も違うねー。なんか恥じらいがあるっていうか」

都村「はっ、はい……。…………」

都村「黒須隊長……。そろそろ、返してください……」

黒須「え? ああそうか、悪い! 危険物に関しては問題ないが……」

彼女はメットを取り戻すとすぐにかぶり直した。

都村『………………』

都村『……ふ、ふはははは。復・活! ではでは、許可もおりたので私はこれでっ!』

早口に言うと彼女は逃げるように広間の方に走って行ってしまった。

黒須「なんだあれは……?」

未々咲「顔見られるの恥ずかしかったのかな?」

川澄「メットの下が美人ってホンマにあるんやなあ。男子陣は見とれてたんちゃうのー?」

未々咲「二人と都村ちゃんの顔を食い入るように見てたでしょー。やんのかコラ、みたいな」

そんな挑発的な視線を送ったつもりはない。

黒須「な……そんな訳があるかッ! 俺に雑念などない!」

川澄「ぷぷ、分っかりやすー」

児玉「なんか得したような、見ちゃって申し訳ないような感じだねー」

都村君が顔を隠している理由は定かではないが、あまり他人には見られたくないようだ。

黒須「ともかく! そうだ、厨房の備品のチェックがまだだったはずだ。児玉!」

児玉「あ、はーい」

黒須「調理班が厨房に入る前に数を確認しておいてくれ。後で回収するときに必要だ」

児玉「分かった。あ、でも単独行動はなるべくしないって……」

黒須「む、そうか。しかし俺と未々咲は対応でここを離れられないからな……」

未々咲「じゃあ佐山君一緒に行きなよ」

佐山「僕が?」

未々咲「ほらアレだよ。立っている人はゴール直後のマラソンランナーでも使えってヤツ」

川澄「そのことわざスパルタ過ぎるやろ……」

佐山「分かった。手伝おう」

児玉「いいの? ありがと、じゃあよろしく」

川澄「あ、数確認するんやったらこれ持ってったら?」

川澄君が児玉君に渡したのは、彼女が持ち歩いていた数取器だった。

児玉「え、でもこれって美空ちゃんのでしょ?」

川澄「ええんやって。今回、カズさんよー働いてくれてるらしいし。ちょっとの間貸したるから」

児玉「……ありがとう。助かるよ」

川澄「……でも、もし壊したら弁償やからな。高かったんやから。高かったんやから……!」

児玉「う、うん。慎重に扱うね。使い方は分かるし」

児玉「それじゃ、厨房いこっか」

佐山「ああ」

《旧館 厨房》


厨房は閑散としている。
料理や食材はまだ運び込まれていないようだ。

児玉「回収する物のリストは作ってあるんだ。数えるのは凶器になり得る包丁やナイフなどかね」

児玉「フライパンとかはいいんだって。あー、あと鉄串もあったんだっけ」

佐山「分かった。順に数えていこう」

二人で確認作業を始めた。
引き出しに収納されている包丁、鉄串。フォークやナイフ。
数取器のカチカチという音が響かせながら備品の数を一緒に確認しリストに書き込んでいく。

児玉「……良かった」

佐山「?」

児玉「あ、ゴメン独り言。…………」

児玉「……意外と皆、普通に接してくれてるのがさ。良かったなって」

佐山「……そうか」

児玉「いや、もしかしたら無理してるのかもしれないし。私の事避けてる人もいるからそっちのが普通なんだろうけど」

児玉「このパーティーでちょっとでも信頼……取り戻せるかな」

佐山「……さあ。それは分からない」

児玉「そんな簡単にはいかないよね、あはは……」

佐山「だが、全くの無駄という訳ではないんじゃないか」

児玉「……うん。えっと、鉄串は5本と。これで全部だね」

作業が終わった。
回収するものが決まっていた事もありそれほど時間はかからなかった。

ガチャッ


未々咲「二人とも、終わった?」

児玉「うん。丁度終わったとこ」

未々咲「じゃあクッキングタイムだね! もう調理班は全員集合してるよ。来て来てー!」

未々咲君の呼び掛けると数人が入ってきた。
川澄君と六波羅君、十中井君の三人だ。

六波羅「こんばんは。佐山君も来てたんですね」

十中井「………………」

佐山「君達が今日の料理を?」

未々咲「私も作るよ!」

川澄「もう遅いしはよ作らなな。よっしゃ、気合い入れてこ!」

児玉「じゃあ私は入り口で黒須君を手伝ってくるね。佐山君もありがと」

佐山「ああ」

大広間の方に行くとしよう。

《旧館 大広間》


都村『……それでですね! 窮地に陥ったウルトランは機転を利かし……』

四水「へえ」

赤羽「まあ」

都村『……怪獣をバッサバッサと! なぎ倒したのであります!』

四水「そうなんだ」

赤羽「ウルトラン様は奮闘なされたのですね」

大広間では女子の三人が集まって話していた。四水君、都村君、赤羽君だ。

いやもう一人いる。
三人から離れた壁際に神風君が何をするでもなく立っていた。

神風「よう」

佐山「こんばんは。今日は起きているのだね」

神風「夜は眠気平気なんだよ。それよりもさ」

佐山「?」

神風「なんか居づらい」

佐山「……そのようだね」

未々咲君達の料理が完成すればパーティーが始まる。
それまで待っていよう。

……ここに来ていない数人。
まだ来ていないのか、それとも最初から来る気はないのか。
入り口では黒須君と児玉君が来るかも分からない彼等を待ち続けている。

パーティーに参加する人もしない人にもそれぞれ理由がある。
信頼の回復、殺し合いの防止。参加しない人なら安全の確保、危険の回避。


なら僕がここに来たのはどうしてだろう。

黒須君の言葉に動かされた。未々咲君への共感。児玉君への同情。
考えた理由のどれもが合ってる気がするし違う気もする。

ただ、自分の中で完全に納得のいくものはない。

神風「なあ佐山」

佐山「……どうかしたかね」

神風「この部屋、ちょっと暑くないか?」

佐山「いや。特にそうは思わないが」

神風「うーん。なんかじめっとしてる気すんだけどな」

確かに湿気は多いかもしれない。
窓が鉄板で塞がれているせいだろう。

佐山「ならエアコンで除湿をしてみてはどうか。少しはマシになるかもしれない」

赤羽「あのう。それは出来ないみたいですよ」

神風「え、そうなのか?」

佐山「出来ないとは?」

赤羽「わたくし達も同じように思ってリモコンを操作してみたのですけれど」

赤羽「リモコンの故障か、エアコンの故障なのか動きませんでした。うんともはいとも言いませんでしたよ」

神風「はいって答えるエアコンあんのか?」

佐山「……電池切れでは?」

四水「リモコン自体は電源が点く。たぶん故障」

都村『これも怪獣のしわざでしょう! おそらくは故障怪獣が……』


ピピッ!

佐山「…………?」

何か音がした、それに気づいた瞬間。


バチン!


…………

……………………。


辺りが暗闇に包まれた。

 「……何も見えねえ。何が起きたんだ?」

 「停電、でしょうか」

 『むむっ。これは暗闇怪人が現れたに違いありません。しかしご安心を!』

 『こんな事もあろうかと! 必殺技を準備していたのであります!』

 『くらえっ、必殺!』

……必殺技?
聞き返す間もなくその必殺技とやらが発動した。


♪■!♪!?〇×♪!♪!▽!♪!!♪!!!!!


佐山「……くっ!?」

……大音量の不協和音が響いた。

佐山「ぐ、うっ……!」

不快感にたまらず耳を塞ぐ。
とてもじゃないが耐え切れない……!

 「………………!」

 「………………!」

手でなんとか音を遮断するので精いっぱいだ。
何も見えない、何も聞こえない……

………………。


佐山「……音が止んだ?」

耳から手を離して確認する。
非常に長い時間に感じられたが、実際はそうでもない気もする。

 「なんだよ今の……。耳、いってえ……」

 「頭がくらくらいたします……」

 『今のが……闇夜に紛れた敵を討つ、天下無敵の必殺技! ウルトラン怪音波!』

佐山「今のは……都村君が?」

 『まさしく! そして説明しよう、ウルトラン怪音波とは!』

 『大音量の不協和音で敵の精神と耳を破壊するウルトランの十八番なのであります!』

 「えげつねえヒーローだな……」

 『暗闇で怪人の位置が分からない状況で、ウルトランはこの技により怪人をひるませたのですな! あな賢し!』

 『いやあ、ヘルメットに付けたこの機能! 披露できる場がないかと常に待ち構えておりました!』

 「……はあ。勘弁してよ」

佐山「………………」

……中々ひどい目にあった。

時間が経ち必殺技の被害から回復したものの、依然目の見えない状況に変わりはなかった。

佐山「…………。電気はまだ点かないのか」

 「誰もブレーカーを点けにいっていないのかもしれませんね」

 「……じゃあ、あたしが行く」


ギィィ……


どこかで扉の開く音がした。

 「大丈夫ですか? この暗闇では……」

 「明かりなら少しはある」

声の方向からはかすかに光が見えた。

 「生徒手帳使って壁伝いにいけばギリいけそう」

なるほど。電子生徒手帳を使ったのか。
それなら確かに……

ガシャーン!


 「きゃあっ!」


佐山「! 今のは?」

今の音は扉のあった方……この部屋の外から聞こえた。

 「……何、今の」

 「悲鳴、だよな……」

 『き、緊急事態でありますか?』

 「方向的には確か入り口や事務室の方からしましたね……」

佐山「………………」

……なんだ。この落ち着かない感じは。
胸の内から湧き上がる不安……気持ちの悪い感覚は。

佐山「……僕が見てこよう」

 「……分かった。お願い」


電子生徒手帳をたよりに扉のあった方向に向かい部屋から出る。
そのまま壁伝いに歩を進めていった。

佐山「………………」

見えないが事務室に近づいているはずだ。

そして近づくにつれてなぜか……先程の感覚が確信に変わっていく、そんな気がした。

《旧館 事務室》


なんとかして部屋に辿りついた。
部屋に入ってまず気づいたのは異臭を感じた事。だがこの暗闇では発生元も分からない。

ともかくブレーカーをつけよう。
記憶では部屋の奥にあったはずだ。


パキッ、ガシャ


佐山「……?」

ブレーカーに向かって歩く途中、何かを踏んでしまった。
少し硬いが踏んで割れるほどだ。ガラスか陶器の破片……だろうか。

気にせず進みブレーカーに辿りつく。
生徒手帳で照らすとやはり主電源のツマミがオフになっている。
これを戻せば照明が点くはずだ。


………………。

この部屋に入ってから感じる異臭。これに似た匂いを最近どこかで……


そうだ。
あれは……前のパーティーの調理準備の時。
川澄君が鶏を連れてきて、さばいた時に臭った……



血の匂いだ。

バチン!


電源が復旧し、明かりがつく。
同時に、この部屋で何が起こったのか、露わになった。

佐山「…………! これ、は……」



床に広がる血だまりと、ガラスの破片。

血の海の中央にはある人物が倒れていた。

その喉から血を流して……



――もう、死んでいる。一目で分かった。

黒須「おい、何かあった……。……!」

黒須「なっ! お、おい! 大丈夫か!?」

佐山「………………」

照明が点いたからか、黒須君が声を上げたからか。
この部屋に人が徐々に集まってくるのが分かった。

 「……!」

 「…………? …………!」

悲鳴、驚嘆、慟哭。
だがそのどれも耳に入らないほど、目の前の光景に心を奪われていた。


なぜなら、僕の目の前で――




佐山「……児玉君」


――超高校級の吹奏楽部、児玉和音が息絶えていたのだから。


CHAPT.1【『 - NEW GAME - 絶望パラダイス 』(非)日常編】……END

事件発生で今回はここまで。最初の被害者は児玉さんでした

捜査は自動進行にするつもりです、次回更新は未定。

児玉の退場に衝撃を受けつつ津山のメルヘットなしの支援絵を描きました
アナログの着色なしなので見づらく自分の想像で描き上げたものなので作者さんのイメージに合えば幸いです
隠れ美人は俺得です
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira089163.jpg

今日は更新できなさそうです。再開までもう少々お待ちください

>>669
ありがとうございます!かわいい!
イメージぴったりです

【CHAPT.1 『 - NEW GAME - 絶望パラダイス』 非日常編】



 「…………い。……!」


佐山「………………」

黒須「……おい! どうしたんだ、佐山!」

佐山「! 黒須君?」

黒須「……来たのは俺だけじゃない」

四水「……!」

未々咲「カズ、ちゃん……。う、うあ……」

未々咲「いやああああああっ!!」

十中井「……おい。どうなってやがる……!」

黒須「一体……何故こんな事にッ!」

佐山「……分からない。だが部屋に入った瞬間血の匂いがした。明かりを点けたら既に彼女は……」

四水「まさか。事件が起こったっていうの……」

モノクマ「そのとーりです! 遂に最初の殺人が起きてしまいました! 先日の毒殺未遂のリベンジなのか!?」

黒須「殺人だと……!」

未々咲「ちょっと待ってよ! じゃあこれって、カズちゃんは誰かに……!」

モノクマ「うぷぷ、もちろんだよ。児玉さんはオマエラの誰かが殺したんだよ」

モノクマ「一目見れば分かるでしょ? かよわい女子高生がこんな無惨な死に様……」

モノクマ「殺意がにじみ出てますよ。児玉さんを殺したヤツはよっぽどここから脱出したかったんでしょうね」

そう……これは紛れもなく殺人事件。
当然犯人がいる。それも僕達の中に。

未々咲「う、ウソだ……。こんなのウソだよ! う、わあああぁぁん!」

モノクマ「あらあらボーロボーロ泣いちゃって。ええいああ、ボクまでもらい泣きしそう……」

モノクマ「ってのはウソだけど! うぷぷ、まだ全員集まってないし例のアレいっときますか!」


ピーンポーン、パーンポーン……


モノクマ『ホテル旧館の事務室で死体が発見されました! 一定の捜査時間のあと学級裁判を行います!』


                :
                :

赤羽「ああ、なんという事でしょう……」

クロワ「……フン。殺されたのはコダマか」

ジーク「マジに起こったってーのかよ……!」

無位「やれやれ。ドッキリだって言い出すなら今のうちだぜ? ……いやマジで」

佐山「モノクマ。さっきのアナウンスは?」

モノクマ「前にも言ったでしょ。殺人が起きたら事件のクロを議論してもらうって」

川澄「ハンニン探せっちゅーんか!? そんなん無理やろ!」

モノクマ「だから悔いの残らないように捜査してね!」

未々咲「ありえないよ……私達の中に犯人なんて! そんな事する人がいるはずないよ!」

モノクマ「うぷぷ、オマエラがどう思おうと自由だけどね。勝負はもう始まっているんだ」

モノクマ「クロとシロの生き死にを懸けた真剣勝負! 事件が起こった時点で既に……」

モノクマ「クロはもう、オマエラの喉元に噛みついているんだから!」

直木「クロを突き止められなければ、私達がし、しし死……!」

モノミ「ミナサン、ダメでちゅよ! こんなヤツの話を真に受けちゃ!」

モノクマ「モノミ……いたの?」

モノミ「ひどい!?」

モノクマ「やれやれ、ヤボな事すんなよな。これからが本番だっていうのに」

モノクマ「ヤボったいオマエの体型だけで十分だよ!」

モノミ「ほとんど同じ体型じゃないでちゅか!? ……アンタのせいでこんな事になったんでちゅ! ミナサンは仲間なのに!」

モノミ「その上、お互いに疑い合いをさせるなんて……!」

神風「おい。ごちゃごちゃうるせえ」

モノミ「……え、あちしでちゅか!?」

神風「だってそうしなきゃ死ぬんだろ。ブタウサギは引っ込んでろ、あんまりうるさいとぶっ飛ばすぞ」

モノミ「ほわわっ、脅されると怖いでちゅー!」

モノクマ「モノミなんかよりオマエラの方がよっぽど分かってるみたいだね。ではでは捜査タイムといきましょうか!」

早家町「や、やらなくちゃいけないっていうの? 捜査を……!」

六波羅「……やりましょう。事件が起こった以上、真実を突き止めなければいけません」

六波羅「それがボク達が生き残る唯一の方法ですから」

四水「……だね」

クロワ「フフン。どんな事件か……テイスティングといこうじゃないか」

ジーク「クッソ! オレは絶対生き残ってやるからな……!」

佐山「………………」

真実を突き止める……か。
児玉君を殺した事件のクロを見つけ出せるかどうかで、僕達の運命は決まる……


いいだろう。
必ず見つけて引き摺り出す。犯人、真相、そしてその動機を。


【捜査 開始】

《旧館 事務室》


川澄「捜査の言うてもウチらシロートやんか。そんなんで出来る訳……」

モノクマ「そう言うと思って用意があるんだ。てれれってれーん! モノクマファイル~!」

直木「な、なんか危ういんですが……エロくない意味で」

佐山「一応聞くが、そのファイルは一体?」

モノクマ「モノクマファイルはぺーぺーのオマエラの為にボクが用意したありがたいファイルなのです! ここ重要ね」

モノクマ「死体に関する事実が丁寧かつスムーズそして大胆にまとめられているんだ!」

六波羅「解剖記録のようなものなんですか?」

モノクマ「そこらへんは見てのお楽しみ。もう、感謝のしるしに正拳突き一万回食らわせてほしいよ!」

モノミ「趣味が特殊でちゅー!?」

モノクマ「おや、ヤボヤボウサギのモノミちゃんはまだこんなところにいたんだ?」

モノミ「あちしは変な新種なんかじゃないでちゅよ! シロウサギ……のぬいぐるみでちゅ!」

モノクマ「そら、出番は終わりだからボクと一緒に消え失せろ!」

モノミ「痛いー耳がもげちゃう! 新種になっちゃうー!」

……どうやら二人とも行ったようだ。
正直ありがたい。

佐山「これがモノクマファイル……」

早速見てみよう。


━━【モノクマファイル】━━━━━━━━━━━━━━━━━

被害者は児玉和音。

死体が発見されたのはホテル旧館にある事務室。

死亡時刻は午後10時30分頃と推定される。

死因は喉の外傷による失血死。薬品類を摂取した形跡はない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


………………。

さっき起こったばかり、しかも事件が起こったのは暗闇だったというのにどうやってこんなものを?
監視カメラに特殊な機能が備わっているのだろうか。

ともかく、重要なのはここに書かれているのは事実だという事だ。

失血死……なら彼女が完全に息絶えるまでには時間があった可能性がある。


コトダマゲット!
【モノクマファイル】
被害者は児玉和音。死因は喉の外傷による失血死。

短いですが今回はここまで。
諸事情で次回更新は一週間以上間が空くと思われます。すみません

ボク達の心に植え付けられた、絶望が産声をあげたんだ。
kakkeeeeeeeee


モノクマ「いやはや、100点満点の解答をありがとう!」

モノクマ「そう言うわけで、オマエラが誰かを[ピーーー]ことが出来れば……」

モノクマ「晴れてその生徒だけは『更生不可』として島から脱出させてあげるよ!」

……クローズドサークル。

……16人の、特殊な才能を持った学生たち。

これが映画の撮影だったら、どれだけ良かったか。

でも、現実は……これが映画じゃないことを如実に示していた。

八宝「……流石に笑えない冗談ね」

尾瀬「その発言は看過できないぞ、モノクマ教諭」

宇佐美「ひ、ひ、ひとをこ、ここ、ころ……!」

鹿取「私が死んだら保険金は降りるのでしょうか……」

人が、自分のキャパシティを越えた理不尽を押し付けられた時に起こす行動はいくつかのパターンに分けられる。


一つは、これが冗談、嘘の類だと思い込んで現実から逃げること。

一つは、あまりのことに混乱してパニックを起こすこと。

そして一つは。

戸張「……その発言を取り消せ、射[ピーーー]るぞ」

――黒幕に、あらがうこと。

六波羅「捜査を始める前にここに残る現場保全の担当を決めておいた方がいいと思います。最低でも二人」

川澄「現場保全て?」

佐山「なるほど。確かに犯人が証拠を隠滅する可能性もある」

六波羅「そういう事です」

赤羽「ではわたくしが残ります。捜査にはお役に立てそうにありませんし」

赤羽「なにより児玉様のそばに居てあげたいのです。きっと死の間際、暗闇の中で孤独だったでしょうから」

赤羽「なんて憐れで、可哀想……」

六波羅「ボクも残りますよ。少しなら検死も出来ます。本格的にやるのは初めてですが……」

黒須「……分かった。ではその二人に任せよう!」

六波羅「それと皆さんに聞きたいんですが、事件当時どこにいたのか。これをはっきりさせておきましょう」

直木「アリバイですか……。なんか、急に現実味が……」

四水「夢気分ならとっとと醒めなよ。まず児玉を最初に発見した奴。それと最後に児玉と一緒にいたのは誰?」

佐山「発見したのは僕だ。先程も何人かに言ったが、停電を復旧させるため事務室に向かった」

クロワ「停電だと?」

川澄「あー、さっきこの建物で停電が起きたんよ。やっぱあれ旧館全体消えてたんやな」

川澄「真っ暗でなんも見えへんかったー。ただでさえウチ鳥目やし」

クロワ「フム。停電……ブレーカーはこの部屋か」

佐山「照明が点くと現場は既にこの状態だった」

黒須「児玉と最後にいたのは俺だ。入り口で参加者の対応をしていた」

四水「停電が起きてからは?」

黒須「明かりが消えると入り口の方も何も見えなくなった。どうするか迷っていたら児玉が復旧しに行くと言い出したんだ」

佐山「児玉君も事務室に向かおうとしていた?」

黒須「あの時もし、止められていれば……!」

赤羽「あのう。しかし児玉様はどうやって事務室まで行こうとしていたのでしょう。真っ暗闇だったのでは?」

黒須「うむ……明かりは一切見えなかった。おそらく暗視ゴーグルを使ったんだろう」

早家町「暗視ゴーグル? ちょうど都合よくそんな物があったの?」

黒須「防犯用グッズとしてケースに用意していた。未々咲の提案だったな」

未々咲「うん……」

六波羅「なるほど……分かりました。では他の人達も事件当時の居場所を教えてください」


全員の話によると、事件当時の居場所は下図の通りになっているようだ。
ちなみにパーティーに不参加だった人達は一人で過ごしていたらしく、アリバイはない。
http://imgur.com/JiAGXpL.jpg

※図の見方
枠にまたがる細い四角が各部屋の出入り口、
大広間の丸はテーブル、壁際の四角はエアコンとなっています。

六波羅君の事情聴取が終わり、皆それぞれ捜査に向かったようだ。
僕も現場を調べよう。


赤羽「早家町様、お気をつけ下さい。床に破片が飛び散っていて危ないですよ」

早家町「あ、うん、ありがと……。この破片って一体?」

佐山「見たところガラスのようだが……」

彼女の言うとおり現場では死体の周り、そして血だまりに粉々になった破片が飛び散っている。
さっき踏んだのもこれだろう。

赤羽「おそらく大広間にあったガラス製の花瓶です。前回のパーティーの時からここに置いたままになっていたのでしょう」

赤羽「卓上ランプと一緒に部屋の隅に置いていたので、倒れて割れるはずはないのですが……」

佐山「ふむ……」

停電中に聞こえたあの音と悲鳴……
ここで『何か』があったのは間違いない。

川澄「カズさんの近くに落ちとるコレ……さっき言うてたヤツ?」

見ると死体のすぐそばに双眼鏡に似た機械が落ちている。

六波羅「黒須君が言っていた暗視ゴーグルでしょうね」

児玉君はやはり暗視ゴーグルを使って暗闇の中を移動していたらしい。
倒れた際にはずれたようだ。


コトダマゲット!
【割れた花瓶】
事務室で割れていたガラス製の花瓶。
粉々に割れていて死体の周りに破片が落ちている。

【暗視ゴーグル】
死体の近くに落ちていた。未々咲達が用意していた防犯グッズの一つだったらしい。

児玉君の死体は部屋の中央から奥側に横たわっている。
ブレーカーに向かって行った隙に襲われた……というところか。

佐山「検死の結果はどうだろうか」

六波羅「うーん……。喉を何かで刺されたのが致命傷のようです。詳しい事はもう少し時間が欲しいですね」

六波羅「傷は後にして先に持ち物を調べましょう。何か手がかりがあるかも……。っと、これは?」

見ると児玉君の手は何かを強く握っていた。
これは……

川澄「……あー! ソレ!」

遠巻きに見ていた川澄君が悲鳴に近い声を出す。

六波羅「……数取器?」

川澄「ああ、やっぱウチのや……」

死体の手の中にあったのは数取器だった。数は『14』を指している。
血に濡れた手で触ったせいだろうか、数取器にも血痕が付着している。

川澄「血付いとる……。高かったのにいぃー!」

六波羅「あ、あはは……。ご愁傷様です?」

川澄「わろてる場合ちゃうわ!」

六波羅「わ、すみません!」

早家町「そこ気にしてる場合かなぁ……」

佐山「………………」

血が付いているという事は、児玉君は襲われた後にこの数取器に触れたはずだ。
彼女は何かを伝えようとしたのかもしれない。

『14』……この数字に関連するものは?


コトダマゲット!
【数取器】
死体の手の中で強く握られていた。数字は14を示している。

他に部屋に手掛かりは残っていないだろうか。
ブレーカーは……特におかしいところはなさそうだ。

……? ブレーカーの横にあるのは……

佐山「………………」

早家町「佐山くん、どうかしたの?」

佐山「この部屋にもエアコンがあるのだね」

早家町「え、ああ……。確か大広間にもあるんだっけ」

リモコンを手に取ってみると電源は点くようだが……

早家町「あれ? 反応しない」

佐山「同じだ……」

早家町「え?」

大広間のエアコンもなぜか作動する事はなかった。二台とも故障だと?
だが停電になる直前……


━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━

『ピピッ!』


佐山「…………?」

何か音がした、それに気づいた瞬間。


バチン!

………………。

━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あの音は……

佐山「………………」

リモコンを調べてみる。
どうやら赤外線式ではなく電波式のリモコンらしい。タイマー設定などはされていない。

佐山「……なるほど」

大広間の方も調べる必要があるようだ。

赤羽「あのう。一つ気づいてしまった事があるのですが」

佐山「! 何だろうか?」

赤羽「このエアコンなのですが。どうやら……」

佐山「どうやら……?」

赤羽「トーワ製のエアコンのようです」

佐山「……トーワ?」

早家町「あ、ホントだ。リモコンに『TOWA』ってロゴがある」

赤羽「塔和グループの傘下企業の事です。一部開発部門ではお父様の会社の競争相手なのだとか」

佐山「………………」

……なのだとか、と来たか。

赤羽「トーワ製のエアコンは評判が良いと聞きます。やはり素晴らしい技術力なのですね」

その評判のエアコンが作動しない事が問題なのだが……皮肉だろうか。

赤羽「? どうかしましたか?」


コトダマゲット!
【故障したエアコン】
大広間と事務室のエアコンは電波式のリモコンで操作する。
しかしリモコンの電源は点くもののエアコンは作動しない。

《ホテル旧館 入り口》

事務室の捜査を切り上げて黒須君に話を聞きに行く事にした。


十中井「………………」

黒須「用意していたのはこれだけだ。鍵は俺が持っていた」

入り口では十中井君と黒須君が話している。

佐山「それは……ジュラルミンケースかね」

黒須「佐山か。ケースの中の危険物について十中井から質問があってな」

黒須「回収したのは川澄のナイフだけだ。停電の時は鍵のかかったケースに入っていた」

黒須「鍵は俺が持っていた一つだけだ。合い鍵はない」

佐山「確認しても?」

黒須「ああ、もちろんだ」

ジュラルミンケースからナイフを取り出す。
よく手入れされていて痕などは残っていない。

コトダマゲット!
【サバイバルナイフ】
入り口で唯一回収された川澄の私物。鍵のかかったケースに入っていた。

十中井「……そっちの、ケースは」

黒須「こっちは防犯用グッズだ。停電時には鍵はかけていなかった」

佐山「児玉君はここから暗視ゴーグルを取り出したという訳か」

十中井「……おい。これは?」

ケースの中から取り出されたのは手頃な大きさの懐中電灯だった。
なぜか黒須君は苦々しく答える。

黒須「ああ、これはだな……。ホテルの受付にあったものだ」

佐山「……? これがあるなら暗視ゴーグルを使わなくても良かったのでは」

黒須「いや……。それは停電時に俺が持ってきた物なんだ」

十中井「……どういう事だ」

黒須「停電が起きて、児玉が事務室に向かった事はさっきも言ったな」

黒須「それからしばらくすると何かが割れる音と悲鳴が聞こえたんだ」

十中井「………………」

やはりあの音は入り口の方にも聞こえていたようだ。

黒須「緊急を要すると思いなんとかして外に出た。そのときホテルの受付にこれがあったのを思い出したんだ」

佐山「それで持ってきたと。だが事務室には行かなかったのかね」

黒須「……電池が切れていた」

十中井「……なるほどな」

黒須「不覚だった……。旧館に戻って、電源が点かない事に気づいたときは愕然としてしまった」

黒須「だが幸いにもすぐに照明が復旧したから、懐中電灯はケースに放って事務室の様子を見に行ったという訳だ」

佐山「となると、入り口には誰もいない時間帯があった訳だね」

黒須「うん? 確かにそうだが人の出入りは無かったはずだぞ」

黒須「ホテルの受付といっても場所は近いし急いで向かった。その間に誰かが旧館から出ていたら気づくはずだ」

入り口を空けたのはごく短い時間だったという事か。


コトダマゲット!
【懐中電灯】
黒須がホテル受付から持ってきた。電池は切れている。

十中井「……その懐中電灯。貸してくれ」

黒須「構わんが電池は入っていないぞ?」

十中井「……マーケットに、行ってくる」

黒須「捜査中だぞ。今そんな事をやっている場合では……」

十中井「調べ物のついでだ。……防犯グッズは、ここにある分だけだな」

黒須「ああ。そうだが……」

そう言うと十中井君は出ていった。

黒須「あの落ち着きぶり……。見習いたいものだ」

黒須「お前も一番に死体を発見したというのに冷静だな。俺はまだ頭が少し熱がこもっている感じだ……」

佐山「冷静……」

今の僕はそう見えているのか。自分ではよく分からない。

黒須「ふうううぅぅぅ……。俺も気合いを入れ直さなければ! 佐山、お前はこれからどうする?」

佐山「引き続きこの旧館を調べるつもりだ」

ここにはまだ調べていない場所がある。
次は大広間に向かおう。

 《ホテル旧館 大広間》


直木「おや、佐山氏」

佐山「直木君。こちらの捜査の状況は?」

直木「いやあ、それが……。一応素人なりにこの部屋を調べてみたのですが特に成果もなく」

直木「中々、推理小説の主人公のようにはいきませんねえ……」

事件の現場である事務室とは違い大広間は閑散としている。
他にいる数人も捜査している様子でもない。

部屋全体をぼーっと眺めている神風君。

目を瞑り、ヘッドホンに耳を当てて何かを聞いている様子の未々咲君。

それとなぜかウクレレを弾き鳴らしている無位君。


佐山「………………」

直木「お三方は先程からあの様子で……」

ここは待合室という訳ではないのだが。

直木「私は他を当たってみますよ。というか、これ以上この空間にいるのは限界です……」


取り残されてしまったが……誰かに話しかけようか。


安価↓
1.神風
2.未々咲
3.無位
4.無視して捜査

選択 2


未々咲「………………」

佐山「未々咲君。少しいいかね」

未々咲「………………」

佐山「………………」

気づいていない……?
と思ったが次の瞬間、彼女目を開いた。

未々咲「……よっし! あ、佐山クン。今捜査どんな感じ?」

佐山「……君に同じ質問をするつもりだった」

未々咲「おっ、質問かぶり? 奇遇だね!」

捜査中だからだ。

佐山「調べた事は共有するが……先程は何か聞いていたのかね」

事件が起きた時の先程までの彼女とは様子がまるで違う。
いつもの通り言えばそうだが……

未々咲「あー、コレ? うーん……元気が出るおまじない、みたいなものかな」

未々咲「後で佐山クンにも聞かせてあげるよ」

佐山「それは構わないが」

未々咲「そうだ、一緒に捜査しようよ。佐山クンなんか目ざとそうだし」

佐山「……それも構わないが」

未々咲「この部屋はもう調べたの?」

佐山「まだだ。直木君からは得る物がなかったと聞いたが」

未々咲「そーみたいだね。直木君の前にも他の人達が調べてたけど何もなかったみたい」

佐山「エアコンはどうだった?」

未々咲「エアコン?」

自分で調べた方が早そうだ。


佐山「……やはり、ダメか」

大広間のリモコンを操作してみてもエアコンは作動しない。
タイマー設定された形跡はこちらもない。

停電の時のあの音は勘違いだったのか……?

未々咲「あ! このエアコン、私の家のと一緒だ!」

佐山「……一緒?」

未々咲「フリョーナ製のエアコン。家のも同じメーカーの使ってるんだ」

佐山「こちらも機能が優れていたりするのだろうか」

未々咲「ううん、機能はしょぼいよ。すっごく。だけどとにかく安いの」

佐山「……なるほど」

未々咲「故障してるんだ。でもしょうがないよ、安いだけが取り柄だから」

未々咲君にボロクソ言われたこちらのエアコンはフリョーナ製……か。


コトダマアップデート!
【故障したエアコン】
大広間と事務室のエアコンは電波式のリモコンで操作する。
故障なのか作動はしない。メーカーはそれぞれトーワ製とフリョーナ製。

今回はここまで。
次回で捜査終了まで終わらせます

>>726を少しだけ修正します



自分で調べた方が早そうだ。


佐山「……やはり、ダメか」

大広間のリモコンを操作してみてもエアコンは作動しない。
タイマー設定された形跡はこちらもない。

停電の時のあの音は勘違いだったのか……?

未々咲「あ! このエアコン、私の家のと一緒だ!」

佐山「……一緒?」

未々咲「ほら、リモコンにフリョーナってある。家のも同じメーカーの使ってるんだ」

佐山「こちらも機能が優れていたりするのだろうか」

未々咲「ううん、機能はしょぼいよ。すっごく。だけどとにかく安いの」

佐山「……なるほど」

未々咲「故障してるんだ。でもしょうがないよ、安いだけが取り柄だから」

未々咲君にボロクソ言われたこちらのエアコンはフリョーナ製……か。


コトダマアップデート!
【故障したエアコン】
大広間と事務室のエアコンは電波式のリモコンで操作する。
故障なのか作動はしない。メーカーはそれぞれトーワ製とフリョーナ製。

更新はなくお知らせのみになります
少し忙しい時期に入ってしまい中々余裕ができず、次回更新は木曜以降になりそうです…
もうしばらくお待ちいただけると幸いです。

何もないのもあれなので席順でも


【裁判場 席順】

            佐山  児玉×

      クロワ             十中井

    早家町                 未々咲

     都村                  ジーク

     神風                  赤羽

      四水               直木

        無位           六波羅

            川澄   黒須
           
              モノクマ

《ホテル旧館 厨房》


次は厨房の捜査だ。

未々咲「ねーねー、ここで何を調べるの?」

佐山「調理器具を確認するつもりだ」

未々咲「おお、いいねー。なんか今の私達って小説に出てくる探偵と助手ってカンジじゃない?」

佐山「そうなのかね。よくわからないが」

未々咲「そうだよ。よし、捜査頑張ろうか助手クン!」

現場からは凶器らしいものは見つからなかった。ここにある危険物を調べなければ。
そういえば事件前に……


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黒須「……そうだ、厨房の備品のチェックがまだだったはずだ。児玉!」

児玉「あ、はーい」

黒須「調理班が厨房に入る前に数を確認しておいてくれ。後で回収するときに必要だ」

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僕と児玉君は備品のチェックをしていた。
あのリストは厨房に置いていたはず……これか。

佐山「……フライパン4つ、鉄串5本、包丁14本。これは……」

未々咲「どうしたの?」

調理場の台の上にはまな板と、包丁4本が残っている。
調べてみたが特に痕などは残っていない。

佐山「これは事件が起きたときからそのまま?」

未々咲「うん。洗い物してる暇はなかったよ」

となると……収納されている包丁も調べよう。
事件前に数を軽く確認しただけだが、確か調理台下のドアの内ポケットにあったはずだ。

………………。

数は10本……台の上のものと合わせて14本。数は合っている。
一つずつ確認しよう。

………………!

一本だけ染みが残っている。
拭き残しのような、赤黒い染みが。

佐山「……未々咲君。調理の時、包丁は使用しただろうか」

未々咲「そりゃそうだよ。大根はチョップじゃ切れないもん」

佐山「ちなみにどんな料理を?」

未々咲「え? どんな料理って……あ! もしかして」

未々咲「お腹すいちゃったんでしょ! 食い意地はってるなー」

佐山「………………」

未々咲「けど残念。まだ野菜の下ごしらえ中だったからつまみぐいは出来ませーん」

佐山「肉などは切っていないのかね」

未々咲「メインはまだだったんだ。あ、切り方ミスっちゃったニンジン食べる?」

佐山「遠慮しておこう」

……それよりも良い材料が手に入った。
跡が残っているのは刺身包丁と呼ばれる種類の包丁だ。


コトダマゲット!
【厨房の包丁】
厨房にある包丁の内の一本に血が拭い取られた跡があった。

佐山「未々咲君、停電の時の厨房の状況を聞かせてくれないか」

未々咲「あー、停電……。長かったよね、アレ」

未々咲「大変だったんだよ。こっちの部屋も真っ暗になって、コンロの火も点かなくなっちゃったんだ」

話を聞くとどうやらガス系統も電気で制御されているらしい。

未々咲「遠くの方から何かを割った音とか悲鳴とかも聞こえてくるし……。もう、怖かったよ!」

佐山「ちなみに当時厨房にいたのは……」

未々咲「私と美空ちゃん、十中井クン、恵ちゃんの4人だね」

佐山「なるほど」

厨房も他の場所と同じく暗闇だった。
状況としてはこちらと同じだったという訳か。

《ホテル旧館 倉庫》


残る部屋はここだ。
清掃はされていないようで漂う空気すら汚れている気がする。
明かりがぼんやりとしているのも照明が弱いからか、埃のせいか。

未々咲「うわっ、埃っぽ! ……佐山クン先どうぞ。私は入り口から見てるから!」

佐山「ああ」

そういえば前回のパーティーでこちらまで清掃の手が回らなかったと言っていたような。

佐山「パーティーが始まる前にこの部屋は確認しただろうか」

未々咲「え、何? 入り口からだと遠くて聞こえないよー」

佐山「…………。パーティーが始まる前に部屋の見回りなどは」

未々咲「ああ、見回り。黒須クンとカズちゃんがしてたよ」

佐山「部屋の中には入ってこないのかね」

未々咲「埃っぽいしちょっと暗いし服汚れちゃうじゃん!」

佐山「………………」

気にせず捜査を続けよう。

どうやら元から部屋の中は整理されていないようだ。
乱雑に物が詰まった段ボールの荷物が何段も重なっている。

これを全部調べる時間はないかもしれない。
目に付いた所から調べよう。

………………。

机の上にアイロンが三台並んでいる。
電源は点いていないが触ってみると三台とも熱が残っていた。

佐山「……ふむ」

覚えておいた方がいいだろう。
他には……ランドリーボックスから何かはみ出している。

佐山「…………! このテーブルクロス……」

未々咲「どうかしたのー?」

佐山「血が付着している。それも少なくない量だ」

未々咲「え、それって。誰かがここで怪我したのかな」

それは考えにくい。万が一事件とは関係なく誰かが怪我をしたとしてもわざわざここで治療をするとは思えない。

血痕のあたりに不自然なシワもついている。
血の量から考えるに凶器を使う際の返り血対策……か。


コトダマゲット!
【倉庫のアイロン】
倉庫には三台のアイロンが置いてあり、少し熱が残っていた。

【テーブルクロス】
倉庫のランドリーボックスから血が付いた状態で発見。返り血対策に使ったとみられる。

積まれた荷物の横の床に扉があるのを発見した。

佐山「この床の扉は?」

未々咲「ああそれ。床下に続く扉なんだって。前の掃除の時に見つけたんだ」

佐山「床下に?」

実際に扉を開けて覗いてみると、確かに床の下に空間がある。
光が漏れているのは大広間の下の部分か。

佐山「ここから外に行く事はできないのかね」

未々咲「ううん。出入り口はここだけ。さすがに床下まで掃除する余裕なかったし、倉庫と一緒に放っておいたんだ」

佐山「………………」

ここと旧館の外を繋ぐ経路はない、か。
見る限りでは手掛かりが残っている様子もない。

《旧館 外》


中の様子は一通りは調べたがまだ情報が足りない。
次はどうするべきか。

都村『やややっ、佐山隊員に未々咲隊員! 捜査は順調ですかっ!』

未々咲「さっきまで旧館を調べてたんだ。美弥子ちゃんは?」

都村『マーケットの調査中に険しい表情の十中井隊員が入って来て、怖かったので避難してきました! 報告終わり!』

そういえば十中井君は気になる事があるという理由でマーケットに向かったのだった。
確認した方がいいかもしれない。

未々咲「あれ、佐山クンどこか行くの?」

佐山「マーケットに行こうと思う。君達はどうする」

未々咲「うーん、美弥子ちゃんも一緒に別の場所に行こうと思ってたんだけど。佐山クンとは別々になっちゃうね」

都村『着いていきます、未々咲隊員!』

彼女からは十分に話を聞けた。ここからは単独行動でも問題ない。
そういえば大広間で彼女が聴いていたものについて聞きそびれたが、大して重要でもないだろう。

《マーケット》


都村君の言った通りマーケットに十中井君を発見した。
いつものように商品棚を睨み据えている。

十中井「………………」

佐山「調べ物は済んだのかね」

十中井「……佐山か」

佐山「一体何を調べていたのか聞かせてもらっても?」

十中井「……事件前後でマーケットから無くなったものがねえか調べてた」

佐山「まさか、商品の数を覚えている?」

十中井「これでも商売人なんでな……。毎朝商品棚をチェックしないと落ち着かねえ」

超高校級の商売人……。なるほど、信憑性はありそうだ。

十中井「ともかく朝見たときと違いがねえか探してたんだが……ビンゴだ。色々と怪しい物が無くなってやがる」

十中井「といっても俺が覚えてるだけだ。……信用できるか」

佐山「是非とも。教えて欲しい」

十中井「まず無くなってるのは防犯グッズ……」

佐山「黒須君達が持ち出した分だったね」

十中井「そうだ……だが暗視ゴーグル。こいつが二個、無くなってやがる」

佐山「二個……」

未々咲君達が持ってきて、現場から発見されたゴーグルは一つだけのはず。

十中井「それと蛍光塗料。ビンが一本持ち出されている」

佐山「ふむ……」

十中井「あとはクーラーボックスとワイングラス、万年筆。食料品以外で気になるのはこんなところだ」

佐山「無くなった物はそれですべて、か」

十中井「……全部が事件に関係するとは限らねえ。ここにいる連中は勝手に色々持ち出してるようだしな……」

佐山「非常に参考になった。感謝する」


コトダマゲット!
【十中井の証言】
マーケットからは防犯グッズ以外にも蛍光塗料、クーラーボックス、ワイングラス、万年筆などが無くなっている。

蛍光塗料が持ち出されていた、か。
もう一度旧館を調べる必要がありそうだ。

佐山「僕は旧館に戻ろうと思う。君はどうする」

十中井「……見落としがないかどうか、もう少しここを調べていく」

佐山「ああ。では何かあったらまた」

十中井「……待て。餞別、だ」

彼が渡してきたのは先程の懐中電灯だった。

十中井「……電池、入れておいた」

頷いて感謝を示すと、商品棚の方へと戻っていった。

急ごう。
捜査時間に限りがあるとすれば、残された猶予は少ないはずだ。

《ホテル旧館 事務室》


六波羅「佐山君。児玉さんの検死が終わりました」

事務室に戻るなり六波羅君が話を切り出してきた。

佐山「結果は?」

六波羅「児玉さんの後頭部に打撲痕が一つありました。おそらくは現場に散らばっている花瓶……これで殴られたんだと思います」

赤羽「髪の隙間から破片も見つかりましたから、間違いないと思います」

六波羅「それと児玉さんの喉を貫いた凶器ですが……」

六波羅「傷口をみるに幅2、3㎝程の鋭い刃物のようなもので一突き、刺されたようです」

佐山「なるほど……」

ファイルを読むと致命傷はあくまで喉の傷となっている。
だが後頭部の傷も事件に無関係ではないだろう。


コトダマゲット!
【検死結果】
後頭部に打撲痕あり。被害者の喉は幅2、3㎝程の凶器で刺されたらしい。

佐山「少し実験したい事があるのだが。一度この館全体の照明を落として捜査したい」

赤羽「まあ。真っ暗になってしまいますよ」

佐山「懐中電灯なら持っている」

六波羅「事件時の再現という訳ですか。でもボク達は現場の保全がありますし、佐山君一人に捜査を任せる訳には……」

クロワ「ならワタシも同行させろ」

いつの間にかクロワ君が事務室に来ていたらしい。

クロワ「暗闇状態で捜査するんだろう。ワタシも必要だと思っていたところだ。ホラ」

佐山「?」

クロワ君が手をこちらに向けて差し出してきた。
訳も分からずこちらも手を伸ばすと触れる直前にそこそこの強さで叩かれた。

クロワ「何を勘違いしている。懐中電灯を渡せ」

佐山「………………」

赤羽「お二人なら安心ですね。お任せします」

六波羅「あははは……。頑張ってください」

六波羅「ではブレーカーを落とします」

辺りは完全に闇に包まれた。
これで事件当時と同じ状況になった事になる。

クロワ「…………。ここは問題ないようだな」

光と共に視界が広がる。クロワ君が懐中電灯の電源を点けたらしい。

クロワ「では行くぞ」

返事をしようとすると、それも待たずに光源が遠ざかっていく。
見失ったら完全に取り残されそうだ。実際、彼女は待たないだろう。

                :
                :

《ホテル旧館 大広間》


事務室、入り口、トイレと順に巡っていったが特に見つかるものはなかった。

クロワ「次はここだ。扉を開けろ」

言われるままに扉を開けると、彼女が懐中電灯で照らし部屋の中に入っていく。


クロワ「……………。なんだ?」

佐山「何か発見でも?」

クロワ「今何か動いたような……わあっ!?」


クロワ君の悲鳴とともに明かりが消えた。

佐山「なっ……」

暗闇になる一瞬、誰かがクロワ君に近づき懐中電灯を奪ったのが見えた。
襲撃? 捜査時間中に?

まずい。どうするべきだ……

突然、明かりが顔に向けられる。
眩しさに目を背けると、襲撃者が口を開いた。


 「あれ? 佐山だったのか」


佐山「…………。神風君?」

神風「ああ。こっちは?」

そのまま神風君が足元を照らすと、クロワ君が倒れていた。

クロワ「……!」

照らされている事に気づくと、彼女は急いで立ち上がりドレスの汚れを払う。
そのまま物凄い剣幕で睨みつけ、

クロワ「何をする!」

神風「うお、悪い……。敵かと思った」

クロワ「よくも足を払いのけてくれたな! 悪いで済むものか!」

神風「ゴメン」

クロワ「ナメているのかキサマ!」

佐山「……神風君は一体ここで何を?」

神風「こっちが聞きてえよ。いきなり部屋が真っ暗になってさ」

神風「また事件が起きんのかと思ったら本当に誰かが部屋に入ってきたから」

とりあえず襲い掛かったという訳か……。
そういえば捜査中の人がまだ館内にいた可能性を失念していた。

佐山「事件当時の状況を再現して捜査をしていたのだよ。確認せず消灯した事は謝る」

神風「ふうん? そういう事だったのか」

クロワ「未だにこんな所に残っているグズが悪い!」

神風「なんか涙目になってないか?」

クロワ「なるか!」

佐山「……とりあえずあらためて謝ってはどうか」

神風「ええと、すっ転ばしたのは悪かったよ。なんでもするから許してくれ」

クロワ「……フン! 日本人は都合が悪くなるとスグに出来もしない事を言う」

クロワ「今は捜査時間が惜しい。だがそのコトバは覚えておけよ」

神風「………………」

怒りつつも状況を忘れない辺りクロワ君は冷静らしい。
ともかく神風君に懐中電灯を任せて捜査を続ける事になった。

《旧館ホテル 厨房前廊下》


大広間にも新しい手掛かりはなかった。
そもそも大広間には停電時に人がいた。何かあればその時に誰かが気づいただろう。
同じく厨房も期待はできなさそうだ。

神風「? そこ……光ってる」

クロワ「何?」

神風君が廊下の隅を照らすが特に変わった様子はない。

佐山「………………」

クロワ「……ライトを消せ!」

神風「あ、そっか」

明かりが消えると神風君が気づいたものが露わになった。

廊下の隅に続いている蛍光色の点々……。

神風「これって……?」

佐山「蛍光塗料……だ」

蛍光塗料の点を辿ると、どうやら厨房前の廊下から倉庫まで続いている。

クロワ「フン。なるほどな」

この目印があれば暗闇でも道を辿る事ができる。
この先にあるもの、それはきっと……


【蛍光塗料の目印】
厨房と倉庫の間の廊下の端に蛍光塗料が点々と塗られていた。

《ホテル旧館 倉庫》


血痕の残ったテーブルクロスはここで見つかった。
事件の核心に触れるものがまだ眠っているはずだ。

佐山「神風君。ライトを消してくれたまえ」

神風「ああ」

暗闇に目を凝らし、わずかな光を探り出す。


………………!


クロワ「……そこだ。上から二つ目の段ボール」

クロワ君が言うのと同時に懐中電灯の光が段ボールに向けられた。
どうやら三人同時に気づいたらしい。

段ボールの中には蛍光塗料が点けられたスーパー袋が入っていた。
これが箱の隙間から漏れていたという訳か。

クロワ「中を調べろ」

佐山「ああ。……っ」

神風「どうした?」

佐山「……いや。気のせいだったようだ」

中を探った瞬間、鋭い痛みを感じたような。だが手元が暗くてよく分からない。
とりあえず中にあった物を取り出さなければ。


………………。


クロワ「……フフッ」

佐山「暗視ゴーグルと、蛍光塗料のビン……」

クロワ「殺人鬼の忘れ物だ」

マーケットから無くなったもう一つのゴーグル……
完全に繋がった。


コトダマゲット!
【倉庫のスーパー袋】
倉庫で発見したスーパー袋の中には暗視ゴーグルと蛍光塗料のビンが入っていた。

『キーン、コーン……カーン、コーン』

                :
                :

モノクマ『はーい、そこまで。捜査時間は終了ー』

モノクマ『さていよいよお待ちかねの学級裁判!』

モノクマ『中央の島にあるボクの愛くるしい顔が彫られた岩山……その名もモノクマロックの前に集合してくださーい!』

モノクマ『そこから裁判場へご招待するよ!』

                :
                :

モノクマのアナウンス……捜査はここまでか。


神風「おっ。電気ついたな」

佐山「六波羅君達がブレーカーを戻したんだろう」

しかしモノクマロックとは。中央の島にそんなものがあっただろうか。
そもそもあの辺りに裁判場のような建造物も……

《中央の島 モノクマロック》


佐山「………………」

ジーク「なんだよありゃあ!」

確かに言った通りにモノクマをかたどった岩山があった。いつの間に……。

六波羅「ボク達が捜査してる間に用意したんでしょうか?」

無位「スケールの大きいバカは嫌いじゃないって言ったけど、どんだけ暇なんだよ」

四水「この件には大きい組織が関わってるっていう話。本当……っぽいね」

都村『ううむ……。敵は強大かつ卑劣なる悪の組織っ! 間違いなし!』

黒須「……モノクマ! 見ているなら出てこい。全員集まったぞ!」

黒須君がモノクマロックの方に向かって毅然として叫ぶ。
反応してかアナウンスが鳴り響いた。

モノクマ『ひいふうみい……あれ? 15人? 一人足りなくない?』

モノクマ『あ、そっか児玉さんは殺されちゃったんだね。こら失礼!』

黒須「貴様ァ!」

十中井「……安い挑発だ。高く買うな」

モノクマ『ではでは全員揃ったところで、裁判場にご招待ー!』

ゴゴゴゴゴゴゴ……!


神風「うお、揺れてるぞ……」

川澄「地震かこれ!?」

一体何が……。


やがて震動が収まると……モノクマロックの内の一体の口が開きエスカレーターが飛び出してきた。

無位「…………。かがくのちからってすげー」

直木「いやいやいやいやいや!」

早家町「うわぁ、帰りたい帰りたい帰りたい……!」

クロワ「……フン。これが移動経路という訳か」

未々咲「こう言って良いのか分かんないけど……アトラクションみたいだね!」

ジーク「間違いなく悪いから黙ってろ! クッソ、乗るしかねーのか……」

意を決した者から順に乗り込んでいく。
怯えたところでもう逃げ場がない事は誰もが理解し始めていた。

全員が中に入ったところで、モノクマロックは降下を始める。
どうやらこの岩自体がエレベーターになっていたらしい。
エレベーターは深く深く、潜り続ける……

行きつく先が天国ではなく地獄だと言われても、誰も疑わないだろう。

《裁判場》


モノクマ「ようこそ、学級裁判場へ!」

六波羅「ここが裁判場なんですか? 実際のものとはかなり違うような……」

黒須「悪趣味な……!」

モノミ「ミ、ミナサン! 来てしまったんでちゅね……」

未々咲「あ、モノミちゃん!」

頭上から聞き覚えのある声がすると思ったら、モノミ君が鎖で縛られて吊り下げられていた。

早家町「何かのオブジェかと思った……」

モノクマ「うぷぷ、モノミがどうしても裁判に参加したいっていうんで特別席を用意しました!」

ジーク「ヒデェな……。扱いも画ヅラも」

モノミ「うう……」

赤羽「席が円形に並んでいますね……。あら? 名前が書いてあります」

モノクマ「そう! 自分の名前が書いてある席に立って議論を行います。さあ、レッツゴー!」

モノクマに促され、全員が自分の席に向かっていく。


六波羅「裁判が……始まる」

十中井「………………」

クロワ「フフッ。楽しませてもらおうか」

早家町「ううう、ヤダなあ、帰りたいなあ……」

都村『児玉隊員の命を奪った怪人……許すまじっ!』


……席に立てば、地位も立場も才能も記憶も関係ない。
何者だろうが、条件は同じ。


神風「よし。やるか」

四水「……この緊張感。ちょっと似てる」

無位「やれやれ。人ってのは争わなきゃ生きられない生き物なんだねえ」

川澄「やるしかないねんな……。気合い入れてこ!」

黒須「ふうううぅぅぅ……。行くぞ!」


求められるのは、真実を見つけ出すか、それとも隠し通せるか。
それだけだ。


直木「……円形の裁判場に立つ僕達を待ち受けるのは果たして生還かそれともしょしょしょ処刑か……」

赤羽「皆様のお顔がよく見えますね。でも少し怖い、ような……」

ジーク「ゼッテー生き延びてやる……」

未々咲「……うん。皆、頑張ろ!」

佐山「………………」


今この場では僕が何者かなんてどうでもいい。
ただ知りたい……児玉君を殺した犯人。その手口。そして動機が。

心の中で皆に続く。



始めよう、学級裁判を。

[コトダマリスト]

【モノクマファイル】
被害者は児玉和音。死因は喉の外傷による失血死。

【割れた花瓶】
事務室で割れていたガラス製の花瓶。
粉々に割れていて死体の周りに破片が落ちている。

【暗視ゴーグル】
死体の近くに落ちていた。未々咲達が用意していた防犯グッズの一つだったらしい。

【数取器】
死体の手の中で強く握られていた。数字は14を示している。

【故障したエアコン】
大広間と事務室のエアコンは電波式のリモコンで操作する。
故障なのか作動はしない。メーカーはそれぞれトーワ製とフリョーナ製。

【懐中電灯】
黒須がホテル受付から持ってきた。事件当時、電池は切れていた。

【サバイバルナイフ】
入り口で唯一回収された川澄の私物。鍵のかかったケースに入っていた。

【厨房の包丁】
厨房にある包丁の内の一本は血が拭い取られた跡があった。

【倉庫のアイロン】
倉庫には三台のアイロンが置いてあり、少し熱が残っていた。

【テーブルクロス】
倉庫のランドリーボックスから血が付いた状態で発見。返り血対策に使ったとみられる。

【十中井の証言】
マーケットからは防犯グッズ以外にも蛍光塗料、クーラーボックス、ワイングラス、万年筆などが無くなっている。

【検死結果】
後頭部に打撲痕あり。被害者の喉は幅2、3㎝程の凶器で刺されたらしい。

【蛍光塗料の目印】
厨房と倉庫の間の廊下の端に蛍光塗料が点々と塗られていた。

【倉庫のスーパー袋】
倉庫で発見したスーパー袋の中には暗視ゴーグルと蛍光塗料のビンが入っていた。

本日はここまで。次回いよいよ裁判ですが更新日は未定です

更新まで日が空くかもしれませんが、裁判自体は中開けずにやります
もしくは切りどころが難しいので一日で終わらせるかもしれません
よろしくお願いします。

明日夜ごろ裁判開始します

22時から始めます

あと細かい事ですが、いくつかコトダマの呼称をちょっと変えます。原作だとこっちが正しいようでした
・暗視ゴーグル→暗視スコープ
・蛍光塗料→夜光塗料

コトダマリストはそのままですが脳内変換でよろしくお願いします。

【裁判準備】

コトダマリスト>>783

【発言力/集中力】……【 5.0 / 5.0 】

[スキル]
『お調子ストライカー』……論破に成功したり、正解の選択肢を選ぶと発言力が少し回復する。
『ラヴ・イリュージョン』……らーぶらーぶポイントがより多く手に入る。


【裁判場 席順】

            佐山  児玉×

      クロワ             十中井

    早家町                 未々咲

     都村                  ジーク

     神風                  赤羽

      四水               直木

        無位           六波羅

            川澄   黒須
           
              モノクマ


パーティーの準備中、暗闇の中で行われた殺人。
無残にも被害者となったのは全員から疑われていた児玉だった。
クロを引き摺り出せるか、それともシロから逃げ果せるか。
今、学級裁判が幕を開ける……

【学級裁判 開廷!】


モノクマ「では、最初に学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

モノクマ「学級裁判では『誰が犯人か?』を議論し、その結果を投票によって決定します」

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおきですが、もし間違った人物を指摘した場合は……」

モノクマ「クロ以外の全員はおしおきされ、クロだけにこの島からを出る権利が与えられます!」

モノミ「な、なんて残酷なルールでちゅか……!」

未々咲「この中に犯人がいるって本当なの? 本当の本当に?」

モノクマ「そらそうよ。ここまで来て、いないってなったらびっくらこきまろナリよ!」

川澄「キャラ不安定すぎるやろ……。というかそれより、あの写真……」

僕の隣の裁判席には児玉君の写真が用意されていた。
死亡を表しているのだろう、赤い×印を刻まれて……

早家町「も、もしかして遺影って事……?」

無位「……粋な演出、してくれるじゃねえの」

モノクマ「でしょ? ちなみに裁判は100%公正に行われます」

モノクマ「ではでは、さっそく議論を始めましょーう!」

赤羽「とおっしゃいますが……一体どうすればよいのでしょう」

川澄「うーん。アヤシイ思う奴言うてったらええんとちゃう?」

無位「怪しい奴ねえ。殺人事件が起きた時、まず疑うべきは第一発見者」

佐山「……僕の事か」

無位「なんだってよ。俺のダチがよく言ってたのさ」

ジーク「ソイツ何者だよ……」

黒須「確かに俺が発見した時は佐山一人だったが、それだけでは……」

川澄「それ言うなら、最後にカズさんと一緒におった黒須の方が怪しいんと違うか?」

黒須「……何、俺が!? ちょっと待て。天地神明、森羅万象、魑魅魍魎に誓って断じて否だッ!」

川澄「またエライ色んなモンに誓ったな!」

四水「結論急ぎ過ぎ。そんなんじゃ犯人見つからないと思うけど」

早家町「え、ええと……。そうだ、六波羅さんは何か意見は? こういうのってまさに本業なんじゃ」

未々咲「そうだ、プロファイラーじゃん、専門家じゃん。フェッショナルじゃん!」

早家町「犯人像の分析とか、してくれれば助かるかも……」

六波羅「…………。すみませんがそれは控えさせてもらいます」

早家町「えっ? どうして」

六波羅「判断材料が少ない為、大した事が言えないのも理由なんですが……」

六波羅「ボクの肩書きは……もしかすると皆さんの印象、意見を左右してしまうかもしれません」

十中井「……あぶねえ、か」

六波羅「だからそれ以外で。ボクが思うにこの事件のポイントは二つ、『暗闇』と『凶器』です」

未々咲「『暗闇』?」

早家町「『凶器』……」

六波羅「児玉さんの死因は喉の刺し傷。ですが現場からは凶器らしきものは見つかってません」

都村『ふむふむ』

六波羅「そして事件当時は旧館全体は停電……完全に暗闇だったんです」

ジーク「その場にいなかったから知らねえが、そんなに見えないモンかよ」

佐山「あの中を明かり無しで動くには、かなりの制限がかかると思ってくれていい」

直木「それでも被害者の児玉氏が事件現場に行けたのは、暗視スコープなるものを使ったとか。しかし……」

六波羅「犯人の方はどうやって暗闇の中で事件を起こしたのか?という疑問が残っています」

十中井「………………」

都村『なるほどザ・ワールドッ! 最大の謎は凶器と暗闇……あなわかり易し!』

六波羅「ですから、まずはあのとき起こった停電について話し合いましょう」

赤羽「皆様が得た情報を持ち寄れば何かわかるかもしれませんね」

クロワ「……フゥ。まったくワズラワシイ」

川澄「なんやねん、急に?」

クロワ「凡人に理解させるには手順が要るのだと思ってな。サヤマ、適当に進めろ」

佐山「………………」

川澄「なーんか意味深やな……」


いよいよ議論が始まる。
気づいた事があれば積極的に発言していこう。

[議論 開始!]

コトダマ>>783
【懐中電灯】
【暗視スコープ】
【倉庫のスーパー袋】


ジーク「停電について喋れっつってもよ。オレは参加してねえから知らねえぞ」

川澄「とにかく暗すぎてなんも見えんかった。明かりあらへんと歩くのも無理やって!」

六波羅「ですが事務室で事件が起きた以上、犯人は暗闇の中を動けたはず」

六波羅「一体どうやって……」

赤羽「ううん……。あの停電は本当に突然の事でしたね」

黒須「まったくだ。最初は何が起きたのかわからなかったぞ」

未々咲「ちょうど事件の時に【偶然停電が起きる】なんて……きっと犯人は運が悪い人だよ!」


安価↓1 [【】を論破しろ!]

答える形式が合っていなかったので下2を採用。
わかりづらいようなら様子みて勝手に安価形式変えます、ご了承ください


【偶然停電が起きた】←【倉庫のスーパー袋】 正解!

佐山「それは違うのだよ」 論破!


未々咲「わ! 何、佐山クン?」

佐山「あの停電は偶然起こったものではない。犯人による意図的な工作だよ」

四水「随分言い切る。けど根拠は?」

佐山「倉庫である物を見つけてね。殺人鬼の忘れ物だ」

クロワ「……フン」

早家町「これって……暗視スコープだ。それに夜光塗料も?」

佐山「僕とクロワ君、神風君で捜査終了直前に発見した。犯人が置いていったものだろう」

黒須「ちょっと待て。用意していたのは児玉が持っていった一つだけだったんだぞ」

十中井「……マーケットからはもう一つ、消えてやがった」

黒須「何!?」

佐山「そう。犯人はあらかじめ別の暗視スコープを用意していた事になる」

佐山「旧館が暗闇になる事を見越していたのだよ」

黒須「いつの間にそんな物を。持ち物検査に抜かりはなかったはず……」

佐山「推測でしかないが……おそらくは昼頃、君達が説明をして回っていた頃だ」

佐山「入り口で持ち物検査がある事を知って、前もって旧館に隠しておいたんだろう」

クロワ「マッタク、考えが浅い。検査など抜き打ちでやっておけばいいものを」

クロワ「事件の準備をするなら今しかないと、教えて回っていたようなものだ」

未々咲「あ……」

黒須「ぐっ……!」

無位「……そいつはどうかな」

クロワ「ハア?」

無位「わざわざ対策を説明してたのはパーティーの安全性をアピールする意味もあったんだろ」

無位「その結果、半分以上は児玉達を信じて参加した。無駄なんかじゃなかったのさ」

黒須「お前……」

無位「まあ俺行かなかったけど」

黒須「貴様ァッ!」

未々咲「台無しだよー!」

川澄「そこうるっさい! それよりあの停電、ワザと起こした言うんか?」

佐山「そのはずだ」

神風「へえ。でも本当にそんな事できんのか?」

ジーク「……確か事務室にブレーカーがあったんだろ。そこに行きゃあ……」

未々咲「じゃあ次の議題は、どうやって犯人が停電を起こしたか!だね」

直木「なんだか、それっぽくなってきましたねえ……」

モノクマ「それはなにより。ニョホホホホ……」

佐山「………………」


停電を意図的に起こす方法……
察しはついているが、問題はこの時点でどこまで追求するか。

……とにかく、停電が起こった原因は示さなければならない。

[議論 開始!]

コトダマ>>783
【モノクマファイル】
【懐中電灯】
【倉庫のアイロン】


ジーク「単純に、《事務室でブレーカーを落とした》って事じゃねえのかよ」

ジーク「逆にそれ以外に方法あんのか?」

四水「《電気の使い過ぎ》でもブレーカーは落ちる」

川澄「調理ん時、そないに使うてたかな?」

十中井「……節電には気ぃつけたつもり、だったが」

早家町「《ブレーカー自体に仕掛けがあった》のかも……」

赤羽「あら、そうですわ。《電気会社にお願いした》というのはどうでしょう」

早家町「さ、さすがにスケール大きすぎるんじゃないかな……」


安価↓1 [《》に同意しろ!]

《電気の使い過ぎ》←【倉庫のアイロン】 正解!

佐山「それに賛成だ」 同意!


佐山「四水君の言うとおり、停電の原因は電気の使い過ぎだよ」

未々咲「えー、でも厨房でそこまで電気使ってなかったと思うけど」

佐山「電力が主に消費されていたのは倉庫だ」

佐山「倉庫には三台のアイロンがあったのだが、調べるとどれも熱が残っていた」

未々咲「アイロン……なーる! 犯人はそれでわざと電気を使い過ぎにしたんだ!」

六波羅「熱が残っていた? でも、だとすると……」

六波羅「アイロン自体は電源が点いてからしばらく作動していたって事になりますよね」

六波羅「それだけだと停電を起こせなかったのでは?」

佐山「その通りだ。停電の引き金は別の何かだと考えられる」

神風「停電の引き金っつーと……あ、もしかして」

クロワ「……ともかく明らかになったのは、事件時の停電は意図的に引き起こされたという事だ」

クロワ「停電の事は一旦置いて、次は凶器について議論するぞ」

神風「えっ」

六波羅「? 構いませんが」

神風「あの、ちょっと」

ジーク「つーかなんでお前が仕切ってんだよ?」

クロワ「何か文句があるのか? 凶器の正体、そしてその出所は犯人を特定する上で重要な意味を持つ」

クロワ「凶器について議論させたくない特別な事情が、オマエにない限りはな……」

ジーク「な、そういうワケじゃねーよ!」

クロワ「なら黙っていろ、議論の邪魔だ」

ジーク「じゃっ……」

クロワ「フン。無駄口を叩かない上に食べられる分、まだニワトリの方がマシだぞ」

ジーク「…………お、オレそこまで悪い事言ったか!?」

無位「凶器を発見したぜ。たった今ジークが刺された」

モノクマ「正論のナイフでメッタ刺しってヤツだね。モノミもよくやるヤツだ」

モノミ「やんないよ!? 誤解を招くような事言わないでくだちゃい!」

神風「…………うーん」

佐山「…………?」

直木「我々の業界ではご褒美なんですが……。あ、いえいえ、実際の凶器の話でしたか? 喉を刺したっていう」

六波羅「え、ええ。検死した結果、幅は2㎝ほどの鋭い刃物だと思われます」

直木「割と細いですねえ……。現場にそれらしいのがなかったとなると別の場所に?」

川澄「そんなんあった?」

クロワ「………………」

佐山「あるかないかで言えばあった。幅2㎝ほどの凶器が」

黒須「本当か!?」

佐山「事件で使われたとみてまず間違いない」


クロワ君にも凶器の正体がわかっているのだろう。
先程強引に議題を変えた事といい、ここで話を切り出したのは何か考えがあるのか……

今回の事件の凶器、それは……


安価↓1 [コトダマリスト>>783から証拠を提示しろ!]

【厨房の包丁】 正解!

佐山「これで証明する」


未々咲「包丁……?」

佐山「厨房の包丁の中に一つだけあったのだよ。血の跡が残った包丁が……」

都村『血の跡……! 凶器に間違いなしっ!』

川澄「ウソやろ!? そんなんあった?」

佐山「包丁は収納されていた上、血痕も拭き残ししかなかった。気づかないのも無理はないだろう」

クロワ「そしてそれは犯人にとっても同じだった……。フフ、これで容疑者は絞られた訳だ」

川澄「へ?」

クロワ「事件当時厨房にいた人物……ミミサキ、カワスミ、トナカイ、ロクハラ」

クロワ「犯人はオマエラの中にいる!」

未々咲「え……えええええええっ!」

六波羅「……!」

十中井「………………」

無位「おいおい、凶器が厨房にあったからって乱暴な話じゃねえか。包丁握るからってコックは殺人鬼じゃないんだぜ」

佐山「だが今回に関してはそうだったはずだ」

モノクマ「ちなみに熊も爪があるからって敵を襲うワケじゃないよ。熊の爪は実は求愛行動の為に発達したんだ。……嘘だけど」

モノミ「嘘なんだ! 途中まで感心してたのに!」

未々咲「佐山クンも私達が犯人だって思ってる訳?」

佐山「ああ」

川澄「ああ。ちゃうわ! なんでやねん、おかしいやろ!」

佐山「……どうしろと」

六波羅「本当にその包丁が凶器なんですか?」

佐山「間違いないと思うよ。児玉君が持っていた数取器に『14』とあった」

川澄「あ。それ一応、ウチのやねんけど……」

佐山「僕と児玉君は事件前に厨房の備品の数をチェックしていた。そのときに14本あったのが……」

ジーク「包丁ってワケか……!」

赤羽「児玉様は、今わの際に凶器の正体を示そうとしたのですね……」

六波羅「………………」

佐山「この事件を起こせたのは厨房にいた人物だけだ」

佐山「『暗闇』、そして『凶器』。二つのポイントをクリア出来たのは……」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

未々咲「ちょーっと、待ったー!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【反論!】━━━━━


未々咲「おかしいよそれ! うん、おかしい!」

佐山「何か問題でも?」

未々咲「厨房にいたら事件なんて起こせないって事! ていうか、事件を起こすにはあの場所にいないといけないはず……」

未々咲「犯人は、旧館のあの倉庫に隠れてたんだって! 私達じゃないよ!」

佐山「反論という訳かね」

未々咲「まいった、って言わせてやるんだから!」

佐山「……いいだろう。かかってきたまえ」

早家町「なんか、佐山君が怖いような……」


倉庫にいなければ事件を起こす事ができなかった……?
そんな事はない。厨房でも犯行は可能だったはずだ。

未々咲君の反論、徹底的に打ち崩そう。

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>783
【暗視スコープ】
【夜光塗料の目印】
【懐中電灯】


未々咲「停電が起きたとき、厨房にはちゃんと4人全員揃ってたんだ」

未々咲「でも暗視スコープは倉庫にあったんでしょ?」

未々咲「あんな真っ暗な中、【厨房から倉庫に行くのなんて無理】だよ!」

未々咲「犯人は最初から倉庫にいないと事件を起こせないはず!」

未々咲「それとも、4人の中の誰かが暗視スコープを隠し持ってたっていうの?」

未々咲「私が選んだから知ってるけど、あんな大きい物……」

未々咲「体のおっきな十中井クンでも、【隠すのは無理】だからね!」


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀しろ!]

助太刀 クロワ 不正解


佐山「クロワ君、何か意見は……」

クロワ「……あると思うか?」

……物凄い視線で睨まれてしまった。

[発言力 5.0 → 4.0 ]


未々咲君の主張はつまり、『停電している状態で厨房から倉庫まで行く事はできない』と言う事。
これを崩すには、暗闇でも厨房から倉庫までの道が『見えた』事を示せばいい。
暗視スコープは未々咲君が既に否定している。なら……


[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>783
【暗視スコープ】
【夜光塗料の目印】
【懐中電灯】


未々咲「停電が起きたとき、厨房にはちゃんと4人全員揃ってたんだ」

未々咲「でも暗視スコープは倉庫にあったんでしょ?」

未々咲「あんな真っ暗な中、【厨房から倉庫に行くのなんて無理】だよ!」

未々咲「犯人は最初から倉庫にいないと事件を起こせないはず!」

未々咲「それとも、4人の中の誰かが暗視スコープを隠し持ってたっていうの?」

未々咲「私が選んだから知ってるけど、あんな大きい物……」

未々咲「体のおっきな十中井クンでも、【隠すのは無理】だからね!」


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀しろ!]

【厨房から倉庫に行くのなんて無理】←【夜光塗料の目印】 正解!

佐山「その言葉、斬らせてもらおうか」 論破!
[ 発言力 4.0 → 4.5 ]


佐山「暗闇の中でも厨房から倉庫に行く事は不可能ではなかったのだよ。その逆も」

未々咲「どういうコト?」

佐山「さっき見せた倉庫で発見したスーパー袋の中には暗視スコープの他に夜光塗料もあったのを覚えているだろうか」

早家町「そういえば確かに……。あっ、これも犯人が用意したって事は」

佐山「当然使われたという事だ。それも……厨房から倉庫までの、床にね」

未々咲「や、夜光塗料って……」

四水「床に夜光塗料……なるほど」

神風「床に夜光塗料……うん。教えてくれ」

佐山「犯人は厨房から倉庫までの道筋が暗闇でも見えるように、夜光塗料で目印をつけておいたのだよ」

佐山「あとは入り口の位置さえ覚えていれば、暗闇でも厨房の外に出られる」

佐山「そこからは夜光塗料の印を辿り、倉庫に着いたら夜光塗料を塗ったスーパー袋から……」

佐山「暗視スコープを取り出せば、暗闇の中を自由に動くことが可能になる」

佐山「犯行が済んだら逆の手順で戻ればいい。倉庫から厨房までの道は、暗闇でも移動できる唯一の経路だった」

未々咲「む、むむむ……」

佐山「これで未々咲君の言う矛盾は解消されたと思うが?」

未々咲「そんな……。う、うーん……」

主張を打ち砕かれ、狼狽えている。
やがて諦めたように未々咲君はうつむき、首にかけているヘッドホンを被って目を閉じてしまった。

黒須「おい。裁判中だぞ!」

未々咲「………………」

彼女は必死になってすがるように、流れる音に耳を傾けている……

直木「げ、現実逃避ですか……?」

無位「ここにも正論のナイフを持つ奴がいたか……」

佐山「………………」



 「……うん。やっぱり……」



未々咲「それは違うよ」


真っ直ぐな視線が突き刺さってくる。
顔を上げた未々咲君の瞳は、僕の顔を焦点として定めて動かない。

佐山「……違うとは?」

未々咲「停電の時の事なんだけど……あの時、厨房に入って来た人がいたと思うんだ。外から」

佐山「外から……?」

未々咲「実はね。停電中、厨房の扉が開く音がしたんだ。真っ暗だったのにだよ?」

未々咲「犯人はきっと、その時に厨房から包丁を取って行っちゃったんだ!」

十中井「音……か」

川澄「扉の開く音……? あ、あったような気もする……?」

六波羅「………………」

クロワ「フン。オマエの他にハッキリと覚えているヤツはいないようだが?」

四水「勘違いって事は……ないの」

未々咲「ううん。証拠だってあるんだから!」

ジーク「証拠ってなんだよ……。暗闇だったんだろ? 録音でもしてたっつーのかよ」

未々咲「うん。してたよ」

ジーク「は?」

未々咲「ほらコレ!」

彼女がポケットから取り出したのは、ヘッドホンのアンプが繋がっている先……
小型の機械だ。レコーダーのようにも見える。

未々咲「私、これで皆の会話ずっと録音してたんだ。ね、証拠になるでしょ!」

佐山「………………」


 「………………」



 「「「………………」」」



場の空気が固まった。

早家町「録音って……い、一体いつから?」

未々咲「この島に来た時からずっと。さすがにデータは一日分くらいしか保存できないけど」

赤羽「あのう。今までそのヘッドホンでお聞きになっていたのは皆様との会話だったのですか?」

未々咲「うん」

ジーク「いっ、いや……おかしいだろ! なんでそんな事してんだよ!?」

未々咲「なんでって……ヤダなあ、それは言えないよー!」

ジーク「いやそういう恥ずかしがるテンションじゃねえぞ今!」

黒須「まさかとは思うが、犯罪目的では……!」


未々咲君が投下した爆弾……突然の事実に全員が動揺している。
議論の流れがおかしくなる前に一度落ち着かせた方がいいか……

[議論 開始!]

コトダマ>>783
【十中井の証言】
【サバイバルナイフ】
【故障したエアコン】


川澄「会話を録音してたって……ええ!?」

都村『未々咲隊員がそんな素敵装備を持っていたとは!』

直木「も、もしや誰かの後を尾けてあれやこれやナニやする……いわゆるストーカーの方とか?」

未々咲「ええ? 違うよ!」

無位「クレイジーサイコストーカー未々咲って訳か。やるねえ」

神風「強そうだなそれ」

未々咲「だからストーカーじゃないって!」

黒須「【犯罪に使う】つもりだったんじゃないだろうな!?」

未々咲「そんな事しないよ!」

ジーク「つーか怪しいだろ実際……わざわざ事件の時も録音してたって」

ジーク「本当は犯人で、【アリバイ作りのため】なんじゃねーのか!?」

未々咲「違うってば! 誰かと一緒にいるときは録音してるの。おかしくないって!」

四水「……いや、おかしいでしょ」


安価↓1 [【】を論破 or 一喝しろ!]

一喝 【犯罪に使う】【アリバイ作りのため】 完全正解!

[ 発言力 4.5 → 5.0 ]

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 佐山「冷静になるんだ!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【一喝!】━━━━━


佐山「待ちたまえ。この際未々咲君がどういう意図なのかは関係ない」

佐山「重要なのは実際に停電中の様子を録音していたかどうかだ」

未々咲「そうそう、そうだよ。それが言いたかったの!」

早家町「で、でも……なんか不安というか、気になるなあ……」

十中井「……聞かない事には、始まらねえ」

早家町「は……はい、聞きます! だから睨まないで……」

十中井「……睨んでは、ねえんだが」

未々咲「えっとね。停電の時の事、自分でも聞き返してたんだけど、誰がどの声なのかイマイチわからなくて……」

未々咲「ジーククン、ちょっと聞きとってくれないかな」

ジーク「お、オレが?」

未々咲「超高校級のロッカーのジーククンならきっと聞き分けられるよ。どうせ耳いいでしょ」

ジーク「なんだそのどうせって! ……わーったよ、それ貸せ」

ジーク君がレコーダーを受け取り、停電が起きてからの記録を再生させる。

全員が流れてくる音に集中する。
静寂に包まれた裁判場で、ゆっくりと当時の状況が浮かび上がってきた……


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                :
                :

川澄「そっち切り終わったー?」

未々咲「バッチリ! あとは……」


バチン!


未々咲「あれ? 何これ!?」

六波羅「停電……ですね」

川澄「ア、アカン。何も見えん……」

未々咲「えー、ちょっと! うわーヤダなあ……」

十中井「……火は」

六波羅「あっ、火……消えてます。ガスも電気で制御されてるんでしょうか」

未々咲「でもそのせいで明かりないんだ……」


………………。

未々咲「暗いな、早く明かりつかないかなー……」

六波羅「黒須君達が事務室に近いでしょうし、多分向かっていると思いますよ」

川澄「マナティー、暗闇ニガテなん?」

未々咲「や、暗闇が苦手ってワケじゃないんだけど……」

ガチャッ

未々咲「あれ? 今……」

川澄「? なんか音した?」

未々咲「ううーん……。ヤダな、見えないと不安になる……」

川澄「あはは、やっぱ苦手やんか」


………………。


ガシャーン!

キャアッ!

未々咲「え、何? 外から……」

十中井「……今のは」

川澄「ひ、悲鳴……? 誰かすっころんだんとちゃうか?」


………………。


未々咲「うう、ああもう! まだ明かりつかないのかなー……」

川澄「ちょ、ちょい落ち着きぃな。にしても長いな……」

未々咲「うううん……」


………………。


未々咲「あ! 明るくなった! 良かったー!」

川澄「まぶしっ。無事に戻ってよかったよかった。さ、はよ料理作らな!」

六波羅「あの悲鳴……大丈夫なんでしょうか? 何か起きたんじゃ……」

十中井「……様子見に、行ってくる」

                :
                :

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジーク「……途中で沈黙もあるが、誰が発言してるかはこれで間違いねえ」

ジーク「それに物音も。確かに未々咲の言うとおり、途中でドアが開いた音が聞こえた」

未々咲「でしょ。合ってたでしょ!」

ジーク「にしてもオマエうるせえ! うんうん唸ってるし、文句ばっかだしよ!」

川澄「ホンマにドアが開く音がしたって事は……誰か厨房に来たのもホンマなんか!? うわあ、怖っ!」

佐山「………………」

クロワ「……フフ。なるほど」

未々咲「これでわかったでしょ。やっぱり犯人は……」

佐山「……ああ、わかった。君のおかげでよくわかった」

佐山「今回の事件の犯人……その最有力候補が」

未々咲「えっ?」


今の録音は、ある可能性を示している。
あの人物が犯行を行なっていた事を……!


安価↓1 [怪しい人物を指定しろ!]

六波羅 正解!

佐山「君しか、いない」


佐山「六波羅君。君は事件当時……」

佐山「本当に厨房にいたのかね」

六波羅「…………。どういう事ですか?」

佐山「厨房のドアは停電の最中、確かに開いた……」

佐山「だがそれが、『誰かが入って来たから』ではなく『誰かが出て行ったから』だとしたら?」

六波羅「…………!」

未々咲「え……ちょっと待って? 恵ちゃんが出て行ったって、どういう事?」

佐山「録音中の会話、特にドアが開いてからの発言を聞けばわかる」

佐山「停電から復旧するまで、六波羅君の発言だけ残っていない事が」

六波羅「なんですって……」

ジーク「た、確かに……ねえ。ソイツの発言は明かりがついてからだ!」

六波羅「……違います! ボクが黙っていたのは、周りの音に集中して警戒していたからです」

六波羅「ドアが開いた音がした辺りから、少し不穏に思ったので……」

クロワ「それにしても、そこから一度も発言していないのは不自然だ。そうは思わないのか?」

六波羅「なっ……」

佐山「凶器があったのは厨房……必然、容疑者も厨房にいた人物に限られる」

佐山「厨房にいた君なら、包丁を持ち出して事務室に向かい児玉君を殺害する事ができた」

六波羅「………………」

川澄「ま、まさかケイさん……!」

一旦ここまでで

長く間が空いてしまってすみませんでした、そして参加ありがとうございました。
今日の夜に再開予定です

申し訳ないですが今日は更新できません
ちょっとミスを見つけたので微修正します

明日には再開出来ると思うのでご容赦を…

前作もそうだったけどここのスレのキャラ一人一人が個性的で愛着が持てる

遅い時間ですが再開します。

>>861
ありがとうございます、キャラ気に入ってもらえるのはなにより嬉しいです


ちょっとコトダマ【テーブルクロス】を修正

【テーブルクロス】
倉庫のランドリーボックスから血が付いた状態で発見。
何かを握りこんだようなシワを中心に血痕が多く付着している。返り血対策に使ったとみられる。

六波羅「……待ってください。まだ犯行の中で明らかにされていない事があったはずです」

六波羅「停電の引き金……その具体的な正体についてはまだわかっていません」

早家町「停電が起きたのって……確か消費電量の超過が原因だよね?」

六波羅「犯人は倉庫のアイロンの他に、別の物で電気を消費させて停電を引き起こしたんです」

直木「厨房なら何かしら電化製品があったのでは?」

十中井「……いや。そんなモン使ってたら、気づく」

直木「さ、左様ですか……」

黒須「だがそれなら一体何が停電を引き起こしたんだ……?」

六波羅「……捜査時間中に赤羽さんから聞きました。停電が起きる直前に……」

六波羅「大広間で、何か起動音のようなものがしたそうですね」

佐山「………………」

神風「……あ!」

六波羅「大広間にあるエアコン……。あれが起動した事で停電は起こったんじゃないですか?」

神風「そう、そうだよエアコンだ! ずっと言いたかった!」

四水「……確かに。そんなような音はした」

黒須「だとすると……停電を引き起こせたのは、大広間にいた人物という事になるぞ!」

赤羽「あら? ではわたくし達が容疑者なのですか?」

神風「……マジか?」

モノクマ「あーあ、墓穴掘っちゃった! ボケっちゃった!」

佐山「……確かにあの時、大広間のエアコンの起動音がした。間違いなくそれが引き金だろう」

佐山「だがそれは僕達が起動した訳ではない。というよりも……それは出来なかったんだ」

六波羅「出来なかった……?」


その証拠は……

安価↓1 [コトダマリスト>>783から証拠を提示しろ!]

【故障したエアコン】 正解!

佐山「これが答えだ」


佐山「事件の直前に話題になったのだが、大広間でリモコンを操作してもエアコンはまったく反応しなかったのだよ」

六波羅「どういう事です……。反応しなかった?」

赤羽「はい。何度押してもまったく……。電池が切れた訳ではなかったようなのですが」

未々咲「あれ? でもエアコンは間違いなく起動したって言ったよね?」

佐山「ああ。エアコンが停電の引き金になったのは確かだろう」

佐山「それでも、あのリモコンではエアコンを操作できなかった……」

その理由はおそらく……


安価下1
1.リモコンがすり替えてあった
2.エアコンが故障していた
3.強力な磁場が発生していた

選択 2 不正解

佐山「………………」

いや……これは示したい事には繋がらない。

未々咲「ダンマリしちゃってどうしたの?」

無位「もしかして故障中か?」

……不良品扱いされる前に答えを出そう。

[発言力 5.0 → 4.0 ]



佐山「それでも、あのリモコンではエアコンを操作できなかった……」

その理由はおそらく……


安価下1
1.リモコンがすり替えてあった
×2.エアコンが故障していた
3.強力な磁場が発生していた

選択3 不正解


佐山「………………」

強力な磁場……そんな訳はないだろう。

ジーク「……オイ、心配になるからそろそろ何か喋れ!」

心配されてしまった……。

[発言力 4.0 → 3.0 ]


という事は……これで間違いない。

佐山「大広間だけではなく、事件現場である事務室にもエアコンがあった」

早家町「事務室にもエアコン……まさか、そっちが本当の引き金?」

佐山「いいや。ただ……二つのリモコンはすり替えられていたと考えられる」

佐山「二つのエアコンはそれぞれフリョーナ製とトーワ製の物。メーカーが異なる」

佐山「メーカ―が違うリモコンで操作しても、当然反応はしないからね」

十中井「……そういう事か。トーワ製がそう簡単に故障するとは、思えねえ」

モノクマ「100年使っても、ダイジョーブ!」

モノミ「頑丈すぎるよ! 物置じゃないんでちゅから!」

四水「……だからすり替えられていたって? どうしてそんな事」

佐山「犯人が任意のタイミングで停電を引き起こせるようにする為だろう。実際、神風君がエアコンをつけようとしていた」

神風「犯人のせいでつかなかったのか。なんか……この裁判、やる気出てきたぞ」

無位「そこかよ、やる気スイッチ」

六波羅「……ですが、すり替えたリモコンを持っていれば停電を引き起こせたんじゃないですか?」

六波羅「リモコン程度の大きさなら、服の中に隠し持つのも可能です」

六波羅「それに……エアコンがあったのは大広間。リモコンも同じ部屋でしか操作できないはずです!」

佐山「……もう一つ。このエアコンには重要な点がある」


その点というのが……

安価↓1~2
1.片方がトーワ製のエアコンであること
2.電波式だということ
3.大広間と事務室にしか設置されていないこと

選択 2 正解

佐山「これで示す」
[発言力 3.0 → 3.5 ]


佐山「赤外線式ではなく……電波式なのだよ。このエアコンは」

六波羅「電波、式……」

未々咲「? それって何が違うの?」

都村『赤外線式と電波式の違いは壁越しでも操作できるかどうか、でありますね! 電波は壁を透過しますから!』

佐山「その通りだ。勿論、電波式といってもエアコンの近くでなければ操作はできないだろう」

佐山「上面図(>>712)で確認してほしい。犯人がリモコンを操作したのはエアコンの周辺」

佐山「そして、電波は壁を透過する……」

都村『……むっ! となると!』

赤羽「これは……エアコンが設置されている壁の向こうに厨房が?」

六波羅「……まさか!」

佐山「そう。この電波式のエアコンなら、リモコンさえあれば厨房からでも操作できる」

佐山「『暗闇』と『凶器』……二つクリアだ」

六波羅「…………!」

クロワ「……厨房にいる人間が犯人でないなら、停電を引き起こしたのは大広間の連中」

クロワ「オマエはそう主張せざるを得なかった。だがまさに思い通りだったという訳だ」

クロワ「反論が無ければ、この場にいる全員は問題なくオマエに投票するだろう」

六波羅「ぐっ……!」

佐山「………………」


停電の引き金の議論をわざと先送りにしたのはこれが目的か……。
反論が起こる争点を予想して、機会を待ち、最善のタイミングで打ち崩す。

学級裁判は多数決投票……犯人の印象を強めるには確かに効果的だ。


黒須「ま……まさか、本当にッ!」

クロワ「そろそろ認めたらどうだ……。ロクハラ!」

六波羅「く……!」

佐山「六波羅君。この事件の犯人は……」

佐山「児玉君を殺害したのは、君だね」

六波羅「っ……!」


疑惑の目が容疑者を囲んだ。
本人に議論の時の勢いは既になく、肩を震わせながら身を守るように自身を抱きすくめている。


六波羅「………………」

佐山「………………」

六波羅「……わ、私、が……」

未々咲「け、恵ちゃん……?」

 「…………うふっ」



突然、漏れ出たような声が裁判場によく響いた。

黒須「? 今、誰か……」


 「……ふ」


六波羅「……ふ、ふふ……」

直木「わ……笑って、るんですか? 六波羅氏……」

六波羅「ふ、くくく……」

都村『おや? 六波羅隊員の様子が……』

六波羅「うふっ、ふふふ……あはっ」

六波羅「あはは、アハハハハハッ……」

早家町「怖い怖い怖い怖い……!」

モノミ「ろ、六波羅さん……!」

モノクマ「……うぷぷぷぷ」

佐山「…………!」


彼女は抑えが利かなくなったように、上気した顔で場違いな声を漏らす。
その様子は異様で……狂気を孕んでいた。

六波羅「アハ、はあ……ふう。失礼しました」

川澄「う、うへえ……。へ、変な霊でも乗り移ってたん?」

十中井「……何が、そんなにおかしい」

六波羅「いやあ……。どう考えてもボクが犯人にしかみえない、と思いまして」

早家町「え?」

六波羅「犯罪者になれた気分がして……。少し嬉しくなってしまって」

黒須「な…………」

ジーク「ぐっ……。頭イッてるヤツ多すぎんだろこのクラス!」

未々咲「確かに、変な子多いなって前から思ってたかも……」

六波羅「あはは、そういう目で見られるのは覚悟してたんですけど……。それよりも」

佐山「!」

六波羅君の視線がこちらに向き直る。
先程よりも強い意志を、その瞳に宿して。

六波羅「なるほど、考えれば考える程ボクが犯人としか思えない。流石は超高校級……」

六波羅「こんなに綿密に計画された事件には、中々立ち会えません」

佐山「……どういう意味だね。君は実際に罪を犯した」

佐山「児玉君の、殺害を」

六波羅「……いいえ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

六波羅「それは違いますよ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【反論!】━━━━━


六波羅「議論している間に気づいたんです。別の凶器の可能性に」

クロワ「別の可能性だと?」

六波羅「ボクが犯人でない以上、あの包丁は凶器ではあり得ません」

直木「で、ですけど血痕が残っていたんじゃあ……?」

佐山「……君の反論、聞かせてもらおうか」


児玉君を殺害した凶器……。
あの包丁が厨房にいた人物を疑うきっかけになった。

その前提を崩されては、おそらく逃げ切られてしまう。
必ず迎え討つ……!


【反論ショーダウンの新要素について】

反論ショーダウンでも『一喝』と同じく『一閃』が使えるようになりました。
論破できる箇所が見つからない場合、ノンストップ議論の時と同じようにウィークポイントを全部指摘して議論を発展させる事が出来ます。

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>783
【モノクマファイル】
【テーブルクロス】
【検死結果】


六波羅「凶器が厨房にあったから、厨房にいたボク達に疑いがかけられた」

六波羅「逆に考えれば、他の場所から凶器が見つかれば……」

六波羅「【ボク達以外にも犯人がいる可能性がある】という事」

六波羅「包丁に付着していた血痕は……」

六波羅「拭き残し程度にしか、残っていなかったんですよね?」

六波羅「なら、【簡単に偽装できる】はずですよ」

六波羅「例えば、牧場にいるニワトリの血を使って拭き残したような痕を残すとか……ですね」

六波羅「こうすれば、疑いの目を厨房にいた人物に向けられる……」

六波羅「実際、犯人は昼の間に旧館で犯罪の用意をしていったようですし」

六波羅「ともかく、【凶器は包丁以外にも存在した】んですよ」

六波羅「血にまみれた、凶器が……」


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀 or 一閃しろ!]

【ボク達以外にも犯人がいる可能性はある】【簡単に偽装できる】【凶器は包丁以外にも存在した】 正解!

[発言力 3.5 → 4.0 ]

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 佐山「認める訳にはいかない!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【一閃!】━━━━━


佐山「確かに血痕を偽装する事自体は出来たかもしれない」

佐山「だが現場からは凶器になる物は他に見つからなかったはずだ」

佐山「君が言う、包丁以外の凶器とは……!」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 六波羅「あはっ、流石ですね……!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【発展!】━━━━━

[反論ショーダウン 発展]
コトノハ>>783
【割れた花瓶】
【テーブルクロス】
【検死結果】


六波羅「事務室には割れた花瓶の破片が散乱していた……」

六波羅「実はその【破片こそが凶器だった】んです」

六波羅「あの花瓶が割れていた理由……今まで不可解でした」

六波羅「でも今考えれば……当初は【あの花瓶で撲殺するつもりだった】のかもしれません」

六波羅「犯人は児玉さんの後に事務室に入り……」

六波羅「花瓶を持って、後ろから頭をめがけて襲いかかった!」

六波羅「ですが、それでも殺しきれなかった犯人は……」

六波羅「トドメを刺すために、【花瓶の破片を拾って急所である喉に突き刺した】んです!」

六波羅「……これが事件の真相です」


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀 or 一閃しろ!]

【割れた花瓶】→【花瓶の破片を拾って急所である喉に突き刺した】 不十分!


佐山「花瓶の破片は粉々だった……。突き刺すには大きさが足りないはずだ」

六波羅「そうでしょうか。殺害に使った後、再度破片を砕いたんだと思いますよ」

六波羅「そもそも、ただ殴りつけただけで花瓶があそこまで粉々に砕けていたのは不自然です」

六波羅「犯人が真の凶器を隠したという根拠……と言えるのではないでしょうか」

佐山「くっ……」

押し返されたか……。


花瓶の破片が凶器……その説自体は覆せるのか?

彼女は犯人の行動を推理しているが、違和感がある……
その部分を突いた方がいいのかもしれない。

[発言力にダメージはありません]


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀 or 一閃しろ!]

【花瓶の破片を拾って急所である喉に突き刺した】←【検死結果】 不正解!

……いや、もう一度考えよう。


[発言力 4.0 → 3.0 ]


………………。

犯人が最初から撲殺するつもりだったのなら……
アレを用意していたのには……少しだけ、違和感がある。


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀 or 一閃しろ!]

【テーブルクロス】→【あの花瓶で撲殺するつもりだった】

佐山「その推理、断ち切る」 論破!
[発言力 3.0 → 3.5 ]


佐山「最初は花瓶で撲殺するつもりだった……そうとは思えない」

佐山「犯人は刃物を使って殺害する明確な意思があったはずだ。その証拠が……」

六波羅「これは……テーブルクロス?」

佐山「倉庫にあったものだ。血痕が付着しているのがわかると思う」

佐山「血痕の量や布のシワから推理すると、これで凶器を握りこんで返り血対策に使ったとみるのが自然だ」

早家町「そ……そうだね。刃物で刺したりしたら普通、血が噴き出るから……」

六波羅「…………!」

佐山「君の言うとおり犯人は計画的だったんだろう。わざわざ返り血対策にこんな物まで用意していた」

佐山「そう、刺殺するためにだ」

六波羅「っ……」

クロワ「血痕が付着している以上、犯人はソレを事件現場に持っていき使ったはずだ」

クロワ「トドメを刺す為にやむなく刺殺したというのは考えにくい……」

六波羅「だ……だったら。襲撃後に一度倉庫に戻ったとしたらどうでしょう」

佐山「一度戻った……?」

六波羅「ガラスの破片をそのまま掴んで殺害するのは傷や血痕が残ってしまいます」

六波羅「だから児玉さんを花瓶で襲った後、倉庫に取りに行ったんですよ。そのテーブルクロスを……」

黒須「な、なるほど。筋は通っているのか……?」

未々咲「うーん……。じゃあもう一回確認してみない?」

赤羽「確認とおっしゃいますと……先程の録音の事でしょうか?」

未々咲「もしかしたら、犯人が戻ってきた足音とか残ってるかも! ジーククン!」

ジーク「つっても足音だろ? 声なら余裕だが、んな小さい音……」

未々咲「はいはい、聞く聞く!」

六波羅「ボクからも。ぜひお願いします」

ジーク「わ。わーったよ……」

レコーダーが再生され、裁判場は再び静けさに包まれた。
ジーク君だけではない、全員が集中して記録から手がかりを探している……



ジーク「……あ?」

都村『むっ! 音波的な何かを、キャッチ! しましたかっ!?』

ジーク「いやうるせえ! んな事より、ここの花瓶が割れて悲鳴がした部分……」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ガシャーン!

キャアッ!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


川澄「カズさんが花瓶で襲われて、悲鳴あげた声ちゃうの?」

ジーク「ずっとそう思ってたけど、よく聞くとこの悲鳴……」



ジーク「……児玉の声じゃ、ねえ」

クロワ「何?」

直木「……え。それは一体どういう……?」

無位「みなまで言ってくれよ。その声の主は誰なんだよ?」

ジーク「……この声は……」

ジーク「………………」

早家町「だ、だ、誰……?」

十中井「………………」





ジーク「四水……か?」

四水「………………」

赤羽「四水様? 児玉様の悲鳴ではなく?」

神風「四水……? うーん? ………………」

ジーク「……間違いねえ。俺の耳に誓って言わせてもらう。この声は……!」

四水「そうだけど」

ジーク「…………。最後まで言わせろよ!」

六波羅「……しかしどうして四水さんの悲鳴が?」

四水「別に。突然割れる音が聞こえたから驚いただけ」

六波羅「…………?」

黒須「しかし、だとしてもだぞ。肝心の児玉の悲鳴が聞こえないのはおかしいと思うんだが……」

神風「……じゃあ、逆だったんじゃないか?」

十中井「……逆?」

神風「ああ。四水と児玉、逆だったんだよ」

ジーク「……は? 意味分かんねえぞ」

四水「………………」

神風「だからさあ。襲われた方が悲鳴出すよな?」

神風「四水は襲われたから悲鳴出したんだよ。児玉は襲ったから悲鳴を出してないんだ。うん? だよな」

川澄「な……」

早家町「え……」

黒須「……何ッ!?」

都村『そ、それではつまり……四水隊員が襲われたのでありますかっ! 児玉隊員にっ!』

無位「でも死んだのは児玉だぞ。つまりさあ、これ……決まっちゃったか?」

四水「……っ!」

未々咲「じゃあクロって……ええええ!?」


神風君の推理による突然の告発……裁判場が色めき立っている。
……流されず、真偽を冷静に見極めよう。

[議論 開始!]

コトダマ>>783
【モノクマファイル】
【割れた花瓶】
【検死結果】


神風「【殴られたのは四水の方だった】んだよ。たぶん」

四水「……違うけど。【あたしは事務室に行ってない】」

ジーク「だがこの悲鳴は、お前の声で間違いねえ」

ジーク「どういう事だよコイツは!」

四水「……だから。驚いただけ」

川澄「けど、そんなんであんな声出るんか……?」

赤羽「しかし四水様が児玉様に襲われて、結果として児玉様が死んでいたとなると……」

直木「クロは四水氏ですか……!?」

四水「………………」


安価↓1 [【】を論破しろ!]

【殴られたのは四水の方だった】→【検死結果】 正解!

佐山「それは違うのだよ」 論破!


佐山「神風君。花瓶で殴られたのは児玉君の方で間違いないはずだ」

神風「マジか?」

佐山「六波羅君と赤羽君が検死した結果、児玉君の後頭部に打撲痕、ガラスの破片もあったのだよ」

佐山「あの割れた音がした瞬間……間違いなく児玉君が襲われているんだ」

佐山「よって四水君は襲われて悲鳴を上げた訳ではない」

神風「あー……そうか。そうなるな……うん。悪かった、四水」

四水「……ふう」

ジーク「ちょっと待てよ。じゃあなんでコイツは悲鳴を上げたんだ? そこおかしいだろ!」

四水「だから。驚いただけって言ったでしょ」

未々咲「眞寄ちゃんも驚くとああいう声出すんだね!」

直木「ギャップ萌え、ですねぇ!」

四水「………………」

ジーク「はあ? そう……なのか?」

四水「……驚いて悲鳴を上げちゃ、悪い?」

ジーク「……わ、悪かねえけど……ニラむなよっ!」

無位「やれやれ。結局この議論、無駄足かよ」

未々咲「あれ? でもちょっと待って。襲われたのはカズちゃんで間違いないんだよね……」

未々咲「……どうして悲鳴がないの?」

六波羅「………………」

都村『む? むむむ……はて?』

クロワ「……そうか。フフ……」

六波羅「…………ま」

クロワ「答えは決まっている」

クロワ「花瓶で殴られた時、コダマは既に声を出せる状況になかったという事だ」

六波羅「まさか……!」

クロワ「そうだ。ノドを貫かれて、な」

佐山「…………!」

黒須「あの物音の時点で児玉は刺されていたのか……!?」

クロワ「ロクハラ。オマエはあの花瓶の破片が凶器だと主張したが……そんな事はありえない」

クロワ「なぜなら、あの花瓶が割れた時にコダマは凶器で刺されていたんだからな」

六波羅「なんですって……!」

クロワ「オマエの推理は崩れた……。凶器はあの包丁以外には、ナイ」

六波羅「…………!」

佐山「という事は……当然、君しかいなかった事になる」

佐山「停電を起こし、あの包丁を使って児玉君を殺害できたのは」

六波羅「……違う、ありえない、……でも、……? 割った理由は……」

彼女はこちらも見ずに、口に手を当てている。
必死に思考を巡らしているようだが……もう、反論の余地はない。

モノクマ「……うぷぷ。そいじゃあ、そろそろいきますか? 投票タァーイム」

六波羅「……待ってください! まだ……まだ!」

モノクマ「ええ~?」

黒須「だがもう疑問は残っていないと思うが……」

六波羅「……犯人が、花瓶を割った理由が不明です」

六波羅「佐山君達の推理通りなら……児玉さんを刺した後に、花瓶で殴った事になります」

六波羅「それは、おかしいはず……!」

クロワ「フン、何かと思えば……。仮にもプロファイラーを名乗るならわかっているんじゃないのか?」

クロワ「犯罪者は往々にして犯行中に不合理な行動をするものだ。殺害後に殴ったのもその範疇だろう」

佐山「あるいは、君自身の信用を勝ち取るためだったとも考えられる」

六波羅「え……?」

佐山「捜査が始まれば検死が行われる事は予想がつく。その時君が担当する事も」

佐山「そこで被害者にわかりやすい傷が残っていた方が都合がいいはずだ」

六波羅「くっ……!」

六波羅「………………」

モノクマ「うぷぷ、議論の結論が出たようですね。それでは投票タイムと参りましょうか!」

モノクマ「では、オマエラはお手元のスイッチを押して、投票してくださーい!」

六波羅「……あは」

佐山「…………?」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰なのか!?」

モノクマ「その答えは……正解なのか不正解なのかーッ!?」

モノクマ「うぷぷぷ!それではいきましょう!投票ターイム!」



六波羅「…………終わった……」



━━【VOTE】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

               ジャラララララ……


             ┃ロクハラ┃ロクハラ┃ロクハラ┃


              チャララララララララ……!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ダン!


【学級裁判 閉廷!】

モノクマ「おやおや。投票の結果、クロに選ばれたのは……」

モノクマ「14票獲得! 六波羅さんでしたーい! イエーイ!」

モノミ「そ、そんな……六波羅さん……」

六波羅「………………」



モノクマ「が、残念! 不正解でーす! イーエイ!」



モノミ「……えっ?」

佐山「…………。何?」

……今、モノクマはなんと言った?

モノクマ「あーあ。まさか最初の事件で逃げ切り勝ちしちゃうとはね。いやそれはそれでいいんだけど……」

モノクマ「こっちとしては大不満足なんですけど!」


佐山「……待って、くれ」

自分で出したはずの声が遠くに聞こえる。


 「…………えっ?」

 「は?」

 「いやいや……ちょ、ちょっと待てよ……」

 「……! ……!」


視界が黒ずんでいく。
喧噪が遠のく。
自分で立っている感覚が失われていく――

……そんな状態でもモノクマの、心をざわつかせる声だけが響いて、届く。



モノクマ「では約束通り。クロの方にはこの島から出る権利を!」

モノクマ「そして、クロを見つけ出せなかったおバカさん達には……」



 「…………や、やだ! ……!」

 「嘘……」

 「出して、くれよ……! ……!」



………………。

僕は間違えたのか……?

児玉君を殺害した犯人を見つけられなかった。

そして、真実を追えないままここで終わる……


……この感覚は。

事務室で児玉君の死体を見つけた時と同じ……





ああ、これが――




モノクマ「オ・シ・オ・キ、ターイム!」





――絶望。









今回はここまで……にしようか、どうしよう。
もう少し続ける予定でしたが、ここで切ってもよさそうな気がしたので切ります
というか書き溜めがありません、すみません


続きは今日の夜に再開予定。

再開します。……が、ちょっと気力が残ってないので……
昨日ここまでやろうと思ってたところまでを投下します、短いです
安価はありません。





――――――。





………………。





「………………。………………」

「……! …………」



…………?

これは……声……か?


「………………。…………!」



………………。

僕は――



「……佐山!」

佐山「――――!」

現実に、引き戻されていく感覚――。



視界に光が満ちていく。
五感が、徐々にその機能を取り戻していく――。

ここ、は……



佐山「…………っ」



裁判場――?

生きている――


 「……どうした。佐山」



佐山「!」


無位「極楽にでも行ってきた、って顔してるぜ」

六波羅「………………」


佐山「君、達は……」


無位君に、六波羅君……。いや、彼等だけではない。
円形の裁判場には児玉君の空席を除いて、全員が生きて、立っている――。


モノクマ「………………」

モノミ「ううう……」


モノミも、それにあの――僕達を冷酷無比に処刑したはずの張本人、モノクマも。
裁判の時と変わらず特別席に鎮座している。


オシオキは……裁判は?
あの後、どうなってしまった。

佐山「これ、は……」

未々咲「佐山クン。何かあるの?」

佐山「…………っ?」

未々咲君の言葉の意味を掴みきれず、見返す。
気がつけば、なぜか全員の視線はこちらに集まっていた。

佐山「一体……今はどういう状況なんだね」

未々咲「え? 状況って、裁判中でしょ?」

佐山「……違う、だろう。僕達は、間違えて……だが、生きて……」

思考が中々進まない。頭の中の言葉を上手く紡ぐ事ができない。
寝起きの感覚に近いもどかしさ――。

オシオキは中止されたのか?
ならどうしてまた裁判場に……





六波羅「……佐山君」



六波羅「この事件の犯人は……」



六波羅「児玉さんを殺害したのは、キミですね」


佐山「…………何?」



その時、気づいた。
全員から集まる視線に共通して含まれている、ある感情。



これは――――不審、そして敵意だ。

佐山「……意味が、まるでわからない。何故僕が……」

クロワ「ハァ? 今までの議論でさんざん話し尽くしただろうが」

クロワ「犯行が可能だったのはサヤマ。オマエしか、イナイ」

佐山「なっ……」


……どうしてだ。
誰も、異議を唱えない……。

彼女達の発言は明らかに、矛盾している。
どう考えても、異質な――


佐山「何を、言っているのかね。今までの議論はすべて……」

佐山「六波羅君が、クロだという議論、だった……!」

六波羅「………………」

未々咲「佐山クン……」

佐山「…………っ!」



異質、なのは――




未々咲「……何、言ってるの?」




僕の方なのか――?


【学級裁判 中断!】

今回はここまで。
中断とありますがもう裁判自体はもう終盤です

次回、裁判決着。
明日の夜に予定、ダメなら金曜の夜になると思います

金曜来なくてすみませんでした。
22時から裁判後編始めます

このスレだとちょっとオーバーしそうなので新スレ立ててそっちでやります

スレの残り埋めに料理の腕コンマとります。
コンマが偏ったら補正するかもしれません(本編には特に影響しませんが)

ちなみに既に決まっている4人はこちら
川澄……99
佐山……57
直木……37
六波羅……14


という訳でまずは男子から。

↓1 神風
↓2 黒須
↓3 ジーク
↓4 十中井
↓5 早家町
↓6 無位

神風……70
黒須……77
ジーク……00
十中井……19
早家町……69
無位……79


全体的に優秀だ……
コンマ00が出たら多数決で決める事にします

【ジークの料理の腕前は?】
1.希望の100
2.絶望の0

↓1~3多数決で

ジークは100に決定
おそらくどっちでもオイシイと思います


では次にむしろこっちが本番かもしれない、女子の腕前コンマをお願いします

↓1 赤羽
↓2 クロワ
↓3 児玉
↓4 四水
↓5 都村
↓6 未々咲

赤羽……22
クロワ……38
児玉……91
四水……45
都村……45
未々咲……90


男子のしわ寄せがきた…と思ったら前作も女子陣は結構ズタボロでした
そして何の因果か未々咲が高め。

参加ありがとうございました!
これで小ネタを書くかは分かりませんが、設定に加えて参考にしていきます


残りはよければですが、適当に埋めてください。
一章で気に入ったキャラがいたら教えて欲しいです(まだ一章終わってませんが)
埋まりきらなかったら小ネタに設定でものっけときます


では本編の続きは次スレで。後日更新します

佐山「児玉の数取器の14は、君の女子力を示していたのだよ、六波羅くん」

埋めます

【朝の集合早い順(左から右に早い順)】
早め……川澄、十中井、赤羽、黒須、六波羅
普通……四水、佐山、児玉、早家町、ジーク
遅め……未々咲、無位、都村、クロワ、直木
フリーダム……神風


【足の速さ】
神風>>>黒須>佐山>川澄>無位、ジーク>六波羅>四水、クロワ、十中井>>児玉、未々咲、直木>都村、赤羽>早家町

※無位、ジークの場所が高校生男子の平均、児玉、未々咲、直木の場所が高校生女子の平均
※割と適当です

【戦闘力(男子)】
神風>>>>十中井>>黒須>佐山、無位>ジーク>>直木>>早家町


【クロワの名前】
クロワの名前の初期案:クロワール・グラトン

生徒からはニックネームでクロワと呼ばれる予定でした。
ファーストネームに関しては単語の意味とかは特に意図せず語感で決めてます。
という訳でクロワッサンが元ネタではなかったりします。


でも呼び方はクロワちゃんでもワッさんでもクロワッサンでもお好きに

【裁判時の頭の良さ】
※あくまで目安であり、クロになったら二段階くらい跳ね上がります

・ポイントゲッター
佐山……推理力は読者依存。
六波羅……過去の刑事事件に精通しており議論にも積極的。
クロワ……深く先を読む思考力を持ち、議論の流れを誘導する力強さもある。

・次点、事件解明に役立つ知識を持つ
直木……博学だが議論には消極的で下関係でふざける事も多い。
早家町……医学、薬学に明るく推理力もあるが発言は控えがち。

・平均的な層
黒須……議論には積極的だが柔軟な思考に欠ける。
四水……発言は少なめ、基本的に何事も疑ってかかる。
十中井……発言はかなり少ないが推理にはちゃんと参加している。
無位……裁判中ほぼふざけるか茶化した態度だが、流れがまずそうな時はマジメに参加する。
児玉……生きていれば議論に真面目に参加してたでしょう。
未々咲……積極的に発言する。割と頭が悪い訳ではない。
赤羽……ずれた発言も多いが理解力は早い。
ジーク……割と真面目に裁判に取り組んでいる。
川澄……思った事はとりあえず発言する。

・おバカ
神風……わからない事には基本口を出さない。前提や常識にとらわれない推理を披露する。
都村……有効な発言は少ないが化学、工学系の知識はある。

【小ネタ】
>>991から


六波羅「……えっ? 何を言ってるんですか佐山君」

佐山「料理の腕前、すなわち君の女子力は数値にして14という事だよ」

六波羅「いや違うでしょう! 児玉さんはなんでそんな数を!?」

児玉「いやー、無意識に連打してたら押しちゃったのかなー」

川澄「あー、あるある」

六波羅「あるんですか! わ、私14なんですか? 100点満点中ですよね?」

未々咲「ちなみに私達三人は90以上! やったね!」

六波羅「ぐっ! 他の女子は? ……全員私より上ですね」

六波羅「……私の女子力、低すぎ……?」

無位「つーか男子含めても女子力一番低いの六波羅じゃね」

六波羅「」

ウサミ「うふふふ。議論の結論が出たみたいでちゅね!」

六波羅「……あは」

佐山「…………?」

ウサミ「それでは投票を行いまーちゅ!!」





六波羅「……(女として)終わった……」

佐山「………………」


━━【VOTE】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             ┃ロクハラ┃ロクハラ┃ロクハラ┃

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ダン!


【学級裁判 閉廷!】




佐山(……一体これは何の裁判だったんだ)


終わり

終わってない六波羅さんは本編で。
では次スレでもよろしくお願いします

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