みく「Pチャンがまたちひろさんにバラを渡してる…」 (116)


・モバマスSS


・プロダクションやプロデューサーに独自設定あり


・ある作品に強く影響をうけていますが気にしないでください


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438517138

美波「どうしたの?みくちゃん」


みく「あれ、あれを見るにゃ!」


茜「みくちゃんのプロデューサーとちひろさんですね! ふたりとも楽しそうです!」


美波「ちひろさんの手にバラ…プロデューサーさんが?」


みく「そうにゃ!Pチャンまたちひろさんにバラをわたしてるのにゃ!」


美波「また? ああ、3周年パーティの時?」


茜「そういえば準備期間からずっとちひろさんにバラを渡してましたね!」


美波「あれは物々交換だった気もするけどなぁ」


みく「少しは担当してるニャンコたちの事もかまうにゃ!ふこーへーにゃ!」

みく「そういえば、美波チャンと茜チャンはみくのPチャンと話したことあったっけ?」


茜「ええ!!お仕事で一緒になったこともありますし! 3周年のパーティのときは大ッ変お世話になりました!!」


美波「あの時はみくちゃんのプロデューサーさんの予定が空いてたからパーティ準備から監督をしてもらったの」


みく「…パーティのとき、ふたりもPチャンにバラ渡してにゃかった?」


茜「それはですね!パーティの後に私たちのプロデューサーにバラをプレゼントしようという話になってまして!」


みく「それで事務所でいちばん植物にくわしく、バラの似合うみくのPチャンにいろいろ聞いていたと にゃるほど にゃるほど」


茜「この事務所でバラといえばあの人しかいませんからね!バラをくわえて颯爽と歩くその姿、いやぁ!カッコイイですね!!」


みく「…うーん 似合ってるとは思うけど、街歩いてても平気でくわえててすっごい目立つから、みく的にはやめてほしいんだけどにゃあ…」

美波「けど、予想してた通り花についての知識も技術も一級品」


茜「パーティの後で頂いたバラのお茶も絶品でしたが、それ以上に…」


美波「うん、あのバラ園…素敵だったなぁ」


茜「はい!!」


みく「担当アイドル以外は滅多に入る事が許されないPチャンのバラ園に!?」


美波「そ、そんなにすごい事なんだ…」


茜「あのとき頂いたバラはっ!お守りとして常に持ち歩いています!!」

みく「……うん?」


みく「…え? 茜チャン、Pチャンからバラもらったの?」


茜「ええ!モチロンです!!」


美波「パーティの後に「準備を取り仕切った3人に」って、私たちと美穂ちゃんに」


茜「すごいんですよ!全然枯れませんし、なにより!とても情熱的な!赤なんですよ!見てるだけでこうッ!体が熱くなるんですッ!!」


みく「へ、へぇー そ、そうなんだー へー」


美波「……!」


美波(みくちゃんの背後に全身の毛を逆立てた猫が見える!これは…みくちゃんの逆鱗に触れてしまった!?)

茜「見ますか!?今日も持ってきてますよ!お守りですからね!」


みく「……ぃぃ」


美波「みくちゃん…もしかして」


みく「……そーだよ …みくは…みくはPチャンと…いっちばんつき合いが長いのに…まだ、まだ! Pチャンからバラを貰ったことがないのにゃッ!!」


茜・美波「!!」


美波(…やっぱり)


茜「そうだったんですか!す、すみませんでしたッ!!」

みく「…みくはショセン、ひとりきりのロンリーキャットにゃ …ふふふ」


美波(やってしまった…みくちゃんはこの後お仕事が控えているのに…こんな状態じゃ…」




?「なんだか楽しそうな話をしていますね?」


?「ふわぁー…」


みく・茜・美波「!!」




みく「に…にゃにい おまえたちは!!」

みく「こずえチャン!!」


茜「慶! ルーキートレーナーの慶!!」


こずえ「こずえだよー」


ルキトレ「おつかれさまですー こずえちゃんのレッスンが終わったので、送りついでに遊びにきちゃいました」


みく「こずえチャンお帰りにゃ!レッスンどうだったにゃ?」


こずえ「みくにゃん…れっすん…がんばった…にゃー」


ルキトレ「ええ、とっても頑張ってましたよ」


こずえ「とーっても…つかれたのー…ふわぁ」


美波(よかった こずえちゃんたちが帰ってきてくれたおかげで、みくちゃんが元気に…)

ルキトレ「さっきは何の話をしてたんですか?」


茜「みくちゃんのプロデューサーさんについて話してました!!」


ルキトレ「あ、みくちゃんの…すごいですよね はじめて見たとき、女の人かと勘違いしましたもん」


みく「もともと女顔だし、髪も長いし勘違いするのも無理ないにゃ」


美波「香水をつけてるのもあるんじゃないかな」

こずえ「おはなの…かおりー」


みく「たしかに! もうバラの香水=Pチャン っていうのが頭にできちゃったくらいにゃ」


美波「どんな香水つかってるのかな」


茜「自分で作ってたりするかもしれませんね!」


みく「まーさか 確かにPチャンはバラバカだけど、そこまで…」


みく「…ありえる?…かにゃ?」


茜「ありえますか!すごいです!!」


ルキトレ(今度会ったら香水のこと聞いてみようかな)

-補足-


みく・こずえ

美波・茜

でそれぞれ違うプロデューサーです

こずえ「ばらー…」


みく「どしたの?こずえチャン?」


こずえ「ばらー…こずえー…もらったことあるのー…まっしろのー」


みく「ふにゃっ!!」


美波「エッ!こずえちゃんも貰ったことあるの?」


茜「仲間ですね!」


こずえ「なかま?…ふわぁ」


みく「きーてない~ きーてないにゃぁ~」


ルキトレ「いつもらったんですか?」


こずえ「えーとねー…あいどるに…なるまえ…かなー?」


― 半年ほど前 ―


こずえ「…ここ…どこ?」


こずえ「みたこと…ない…きれーな…おしろー」


こずえ「おほしさまも…たくさん…きれー」


こずえ「ふわぁ…」

モバP(以下P)「君、そこの君」


こずえ「…んー?こずえのことー?」


P「そう、君だ少し待ちたまえ」


こずえ「はぁい…ふわぁ」


P「……どこから迷い込んだのか」


こずえ「…あなた、だぁれぇ?」

P「私はシンデレラプロジェクトを担当しているプロデューサーさ」


P「聞いた事はあるかな?お嬢さん」


こずえ「…しんでれらのー…おねーさん?」


P「フフッ、私はお姉さんではないよ。れっきとしたお兄さんさ」


こずえ「…へー…きれーなのにー?おにーさん?」


こずえ「ふーん」


P「フッ…それでは君にもわかるよう、一から説明しよう」


― 説明中 ―

こずえ「あいどる?」


P「ああ、そうだ 私達は君のようなアイドルの原石を求めているのさ」


こずえ「おにーさんみたいに…きれーに…なれるのー?」


P「フ…それは君次第だ ただ素質はかなりのもの、と言っておこう」


こずえ「そしつ?」


P「才能のことさ つまり…すごい力を持つアイドルになれるかもしれない、と言ったところか」


こずえ「こずえ…すごい…あいどる」


P「まぁ、焦ることもない 家に帰って親御さんとゆっくり話し合ってから…」


こずえ「んー?…いいよー…やるぅー…」


P「…即決かね、ますます気に入った」

P「君ほどの素質を持つ者ならば、笑顔だけで万人を虜とできるだろう」


こずえ「わらうのー?かんたんー…ふわぁ」


P「フフ…」




P「そうだ、これも渡しておこう」


こずえ「…しろい…おはなー?…きれいー…」


P「君への贈り物だ 何にも染まらぬ無垢な白薔薇が君には相応しい」


こずえ「ぷれぜんとー?…ありがとー」


P「フッ… これからもよろしく頼む あぁ名前は…」


こずえ「…こずえだよーよろしく…ねー」


P「こずえ か、いい名前だ 私は……」


………

こずえ「そうやってー…もらったのー…ふわぁ」


美波(どこで会ったんだろう)


茜「お…おぉふ、す、素敵な…ロマンチックですね!」


みく「みくは年端もいかない子を口説いてたPチャンにビックリにゃ」


みく「ホントに節操無いにゃPチャンは それなのに…なんでみくだけ」


ルキトレ「? みくちゃん、Pさんからバラを貰ったことないんです?」

ルキトレ「…それでしたら、ひとつ思い当たることが」


みく「にゃ?」


ルキトレ「みくちゃんは自主的に移籍してきたから、じゃないでしょうか?」


茜「デビューしたての凛ちゃんにLIVEで負けて、追いすがるようにこの事務所に移籍したという…例のうわさ!」


みく「…そのあたりはみくのアイドル史において語られることはないにゃ」

みく「それで、それが何の関係があるの?」


ルキトレ「聞いた話によると、みくちゃんのPさんはどうやら名刺代わりにバラを配っているみたいなんです」


茜「つまり!?」


美波「みくちゃんが自分の意思でここに移籍したから渡す機会がなかった。ってこと?」


ルキトレ「そういうことですね」

みく「そっかそっか、Pチャン お仕事の道具としてバラを使ってたんだね だったら安心、安心 みくが貰えてないのも、とーぜんにゃ」


美波「……」


茜「納得ですね!」


みく「…笑止、それじゃあみくは納得しないよ!」


みく「大体さっきの美波チャンたちの話を聞いた限りでは、Pチャン誰にでもサラッと渡してそうなイメージだし!」


みく「みくが一番つき合いが長いのにっ!それなのにバラの一本も貰えない…はッ!! 『飼った猫に餌をあげない』!!」


ルキトレ(釣った魚に~ のネコ版?)

みく「とにかく、このままではダメにゃ!」


美波「どうするの?」


みく「もちろんPチャンからバラを貰うのにゃ!それも みくからお願いするんじゃなく、Pチャンが渡したくなるように仕向けるの!」


茜「おお!なんだかカッコイイです!!」


こずえ「みくにゃんー…おとなー」


みく「今こそ燃え上がるにゃ!みくの女子力!!」


茜「燃え上がりましょう!! ボンバァーーーーーッ!!」

?「なに馬鹿をやっている、みく」


ルキトレ「バ…」


茜「バカな!」


みく「お…おまえは!」

みく「Pチャン!」
茜「みくちゃんのプロデューサー!!」


P「日野茜、きみは相変わらず声が大きいな」


茜「はい! ありがとうございます!!」


こずえ「ぷろでゅーさー…」


P「あぁ、こずえも帰ってきていたのか」


こずえ「かえったよー…えへー…」


ルキトレ「おじゃましてまーす」

美波「ピンクのYシャツに高級感漂う純白のスーツ…」


ルキトレ「胸元に深紅のバラ…」


みく「いつものPチャンのカッコだよ」


茜「今日もイカしてますね!!」


P「フッ、そうだろうとも」


茜「さすが、天と地のはざま~のプロデューサーです!」


P「フッ…フフフフ」
茜「はっはっはっはっはっ」


みく(あれ?このふたり意外と仲いい?)

P「そろそろ時間だ 雑談は切りあげて収録へ向かうぞ」


美波「がんばってね!みくちゃん」


ルキトレ「バラをもらったら見せてくださいね」


茜「ガッツですよ!とにかく熱く!攻めて攻めるんです!」


こずえ「みくにゃん…がんばー」


みく「うん!いってくるにゃ!!」

― 事務所 玄関 ―


みく「今日のお仕事はかな子チャンたちとバラエティの収録だったよね?」


P「ああ、三村かな子たちが同プロダクションのアイドルを招き、そのアイドルの特技や趣味を生かしたトークやミニコーナーを行う番組だ」


みく「幸子チャンたちの142's回は伝説だったよねぇ みくもあれぐらいのツメ痕を番組残すことができたらにゃあ…」


P「…フフッ あれはそうそう真似できるようなものではないな」


みく「冒頭から幸子チャンがーって あれ?あの番組のゲストっていつも2、3人いたよね?」


P「そのことだが…」




?「フフ…あたしを呼んだかしら?」


みく「あっ…ああ…あなたは!」

みく「早苗さん! おっはにゃー!」


早苗「やっほー みくちゃーん」


P「今回は彼女の本格的なメディア露出もかねている」


みく「一緒にお仕事ははじめてにゃ!よろしく、早苗さん!」


早苗「よろしくー …あたし、TVの仕事って初めてなのよね 深夜帯とはいえ、いきなし全国ネットでしょ…すっごい不安なんだけど」


みく「心配ないよ、みくが一緒だもん!」


P「フフ… その通りだ みくが一緒ならば問題はない」

P「…かな子たちは、まだ来ていないようだな」


みく「前の収録が長引いてたり…」


P「少なくとも、かな子の予定はなかったと思うが…」


早苗「!? みくちゃんあれは!?」


みく「あの圧倒的なアダルティオーラ!」


早苗「だれかがこちらへやってくる!」


みく「あ…ああ… あいつはーーっ!?」


みく「《ミッドナイトレイヴ》の奏!!」


奏「フッ…みくちゃん、プロデューサーさん、お久しぶり それと早苗さんはじめまして」


みく「お久にゃ!」


早苗「よろしくね!」


P「バレンタインのイベント以来だな あとの二人は?」


奏「あとのふたりは、ロビーで見たからもうすぐ来るんじゃないかな?」


P「ふむ」


?「すみませーん、ちょっと遅くなっちゃいましたー」


早苗「暴力的なまでの量のドーナッツ!あの娘は!」


法子「《ドーナッツ☆マーメイド》の法子 ドーナッツを買ってきた!」


P「相変わらずの量だな ひとりで食べるつもりか?」


法子「まっさかー こっちの袋がーみんなで食べる用で、この袋が今日あたしが摂取する分のドーナッツだよ」ドサッ


みく「自分用の袋の方がおっきい気がするのは目の錯覚なのかにゃ?」


早苗「…見てるだけで胸やけしそうね」


法子「今日はみくちゃんとお仕事ということで、こんなの買ってきちゃった」


みく「おお、ネコチャンのドーナッツ! どこで買ってきたの法子チャン」


法子「へへーん 近所のドーナッツ屋さんにお願いして作ってもらったんだー」

法子「早苗さんにはコレー お近づきのしるしのスペシャルドーナッツ!!」


早苗「すっごいわね どういう形状なの?これ」


法子「奏さんにはこっちでー みくちゃんのプロデューサーにはこのドーナッツ!」


奏「ありがと、法子ちゃん」


P「……マズいな」


早苗「どしたの? Pくん」


法子「プロデューサー、いま聞き捨てならないこと言わなかった?」


P「いやドーナツのことではなく…」

みく「ああっ…これは!」


早苗「こ…今度はバケットいっぱいのお菓子!」


みく「それもひとつやふたつではない!」


P「くっ…やはりか!」


かな子「差し入れを作ったのは私です! この《メルティスイート》のかな子がな!」


かな子「Pさん 人数の変更があるなら、もっと早目に教えてくれてもよかったのに」


P「なに?」

かな子「本来ならPさんを合わせて5人だと聞いていたのに、ひとりふえているじゃないですか」


かな子「奏ちゃんが早目に教えてくれたからよかったものの、ヒヤヒヤしました!」


P「ム…すまない」


P(異常な量の菓子を作ってくるとわかっていたから、あえて黙っていたのだが…)


みく「作戦失敗だね、Pチャン」


奏「ごめん、このこと忘れてた」


かな子「?」

早苗「ね、ね、みくちゃん ちょっと質問なんだけど」


早苗「あたしたちの担当のPくん、奏ちゃんたちと面識があるみたいだけど、他のプロデューサーと一緒に仕事をするってことはあるの?」


みく「このプロダクションは12人の精鋭プロデューサーによって200人ちかくのアイドルが管理されているのにゃ」


早苗「うんうん 少数精鋭よねー」


みく「今日みたいな大きなお仕事にはその12人の中からプロデューサーが派遣されて、現場のアイドルの指揮をするにゃ」


早苗「へー じゃあ、いっつもPくんと一緒ってわけじゃないのね 他にはどんなプロデューサーがいるの?」


みく「えーと たしか…かな子チャンのPさんは武士みたいなひとでー 奏チャンのPさんはチョイ悪さんだったかにゃあ?」


早苗「アイドルだけじゃなくてプロデューサーの層も厚いのねぇ ここ…」


みく「ま、みくのPチャンが一番だけどね!」

かな子「奏ちゃんと法子ちゃん、それとみくちゃんのプロデューサーさん…」


法子「あと有香ちゃんと伊吹ちゃんがいたらバレンタインのときのお仕事メンバーがそろうんだけどなぁ」


奏「あのときのプロデューサーさん、私たちと話すたびにバラの花束を渡してきてね」


法子「そうそう、料理の腕があがったかなー?ってプロデューサーに聞いたらバラの花束くれたり…」


法子「ちょっと眠いかなーって言ってもバラの花束くれたり…」


奏「最初は嬉しかったけど…単なるあいさつくらいで渡してくるんだもの、少し安っぽく思えちゃった」


みく「Pチャーン?」


P「いや…あれは …そう!まだアイドルのプロデュース業に慣れていなかったせいだ」

みく「慣れてないからって、アイドルにバラの花束配ってまわる?フツーじゃないよ」


P「ああ、それは途中で反省した それからはみだりに渡すことはしていない」


みく「ホント?」


奏「そう?途中で香水とかローズティーとかバラをつかったものに変えていっただけじゃない」


法子「バラドーナッツはおいしかったよね! あたしまた食べたいなぁ」


早苗「あたしも食べてみたーい」


みく「プンッ…にゃ」プイッ


P「……フッ」


― 移動中 ―


かな子(うぅ… 出がけに話題にでたバレンタインの話から、みくちゃんとPさんが目に見えてギクシャクしてる)


P「……」ションボリ


かな子(いつもは仲良しさんなのに… 今日はお仕事の確認事項以外、お互いに話そうともしてないし)


みく「……」プイッ


かな子(みくちゃんはPさんに目もあわせようとしない… 周りのみんなもそれに気づいてなんとなく静か… 空気が重いなぁ)


かな子(…悪い空気を変えなきゃ このメルティスイートのかな子が!)


かな子「あのー 早苗さん」


早苗「なぁに?かな子ちゃん」

かな子「そのー そういえば、早苗さんがアイドルになった理由って何なんですか?」


みく「あ、それみくも気になってた」


奏「たしか、前は警察官だったって聞いてるけど」


みく「うんうん」


法子「早苗さん婦警さんだったんだー ぜんぜんそんな風にみえないけどなぁ」


早苗「それは、お姉さんが新たな可能性に目覚めたからよ」


かな子「可能性?」


法子「なんかカッコイイはなしになりそう!」


みく(なんとなくイヤな予感がするにゃ 天丼に天丼を重ねてくるような…そんにゃ予感が)


早苗「そう…あれはあたしが、まだ前職に励んでたころ… ある、ひとりの男との出会いがきっかけだったわ…」


― 3か月前 ―


早苗「はーい そこのお兄さん、お昼から女子高生捕まえて何をしてるのカナー?」


P「これは…職質!?」


アイドル候補生「!」ダッ


P「まちたまえ!」


早苗「…」


P「…候補生に逃げられてしまったではないか」


早苗「なんの候補よ、まったく」


早苗「とにかく!女の子を食いものにする悪質なスカウトは許さない」


早苗「この、やりすぎお姉さんの早苗がな!」

P「…! ……フッ」


早苗「ふーん、だんまり? まぁ、いいわ続きは署でしましょうか」


早苗「受けろ!片桐早苗最大の拳!」



早苗『DANGEROUS-ADARUTELI !!』



P「フ…笑止な、君のくりだすひとつひとつの拳がまるでスローモーションのように見えるぞ」


P「このプロデューサーにはな!」

早苗「な…なにい!?」


早苗「バ、バカな! D・A(デンジャラス・アダルティ)がヤツの体をすりぬけていくだと!」


P「筋はいい、だが所詮くちばしの黄色いヒヨコにすぎん」


早苗「こ、これは…一体」


P「君たち一般人や候補生の攻守合計はせいぜい7000CGW、シンデレラでさえ30000CGWから40000CGWほど…」


P「どうあがいてもある一定の域からでることはできない…だがプロデューサーは違う!」


P「プロデューサーはおよそ30万CGW…つまり君たちの40倍ちかい力をもっている!」

早苗「バ…バカな あたしの40倍だって…?」


早苗「だ、だめだ…どうさかだちしたって敵いっこない…」


P「…フッ わかったようだなプロデューサーとの歴然とした実力の差が…」


早苗「くッ!」


P「しかし、私も運がいい 君の様な人材を求めていたのだよ」


早苗「なにい!?」


P「せっかくだ、名乗らせてもらおう 私はシンデレラプロジェクトのプロデューサーがひとり」

早苗「シンデレラプロジェクト… まさか!」


P「公務員の君でも名前くらいは聞いたことがあるだろう?」


早苗「年齢、人種、経歴をも問わない究極のアイドル発掘企画…シンデレラプロジェクト!!」


早苗「目の前にいるこの男が、そのシンデレラプロジェクトのプロデューサーだというのか!?」


P「先ほどの候補生より数段輝くものを持っている 精神も…肉体もな」


早苗「なにが…言いたいの?」


P「単刀直入に言おう 君をスカウトしたい」


早苗「なっ!?あ、あんまりお姉さんをからかうもんじゃないわよ」


P「フッ、冗談ではないさ」

早苗「言っておくけどダンスとか歌とか全然…」


P「問題はない ほとんどの人間が未経験から始めている」


早苗「…公務員なんで副業とかよくないんだけど」


P「問題ない 君の気質的にはこちらの方が適している 公務員は…辞めたまえ」


早苗「お酒大好きだし、酔ったらいろいろ歯止めがきかないかもだし!」


P「問題ない 勝手に集まり酒盛りしているアイドルもいるぐらいだ」


早苗「へー …いいかも」


早苗「いやいや、ダメダメ 惑わされちゃ」

早苗「…歳とか」


P「問題ない 君が手に入るならどれも些細なことだ」


早苗「!!」


P「フッ」


早苗「あたしを誑かそうたって!片桐早苗を舐めるんじゃない!!」


早苗「受けろ、もう一度!D・A(デンジャラス・アダルティ)を!!」


P「笑止! プロデューサーに同じアピールは通用しない、業界では既に常識!」



早苗『DANGEROUS-ADARUTELI !!』


早苗「バ…バカな! か、体が動かん…」


P「きみの周囲を見たまえ」


早苗「こ、これは!」


早苗「バラだ!バラがあたしの周囲に!?」


早苗「バラの香気が防壁となって、この早苗の侵入を防いでいるだと!」


P「フッ…それでは、今日のところはここで退散させてもらおう」


早苗「ま、待て!」

P「それと、先ほど言ったことに偽りはない 全て本気だ」


P「きみに今より高みに上り詰めたいと思う覚悟があるのならば、この名刺にある住所を訪ねたまえ 歓迎するよ」フワァ


早苗「花霞に溶け込むように消えてしまった…」




早苗「…迂闊に動いていれば、この程度ではすまなかったのかもしれない」


早苗「ベルばらみたいな見た目のクセして…あたしを手玉にとるとか… しかも多分年下…だよねぇ 随分濃かったけど」


早苗「…アイドル、か 面白いじゃない」バラクシャ


………

早苗「こうしてあたしはアイドルを志しました。と こんなかんじ」


法子「へぇー なんかすごいですね!「宿命」っていうか」


かな子「やっぱりアイドルになる理由って人それぞれなんですねー」


奏「…アクション映画?」


みく「それでアイドルになろうとしたのは確かにすごい覚悟にゃ」


早苗「でしょー 女は度胸!って言うしね こんなチャンスは二度とないとも思ったし」

法子「でも、まさかみくちゃんのプロデューサーがバラを操る特技まで使えるなんて…」


法子「夕美ちゃんや凛ちゃんもそういうことできるのかな?」


かな子「あはは、さすがにそれは難しいんじゃないかな」


奏「プロデューサーだからできることもあるからね」


P「フッ…」


みく「…バラ」

早苗「まー沢山あったし、一本くらいねぇ いいかなと思ってさ」


みく「…まさか、早苗さんにまで しかもアイドルになる前…」


かな子「どうしたの? みくちゃん」


みく「もう、みくはPチャンが信じられないよ…」


P「…… …?」


P「い、いきなりどうした!?みく!」


みく「ぅ……」ポロポロ


P「泣くな、なんだというのだ一体!」


………

かな子(…そのあとの収録もみくちゃんはいつもの調子の戻ることはありませんでした)


かな子(天真爛漫さは影をひそめ、空元気で無理にお仕事をなんとかこなして…)


かな子(結局、事務所に帰るまで重く苦しい空気は変わることはなかったのです…)


― 事務所 ―

早苗「お、みくちゃん 探してたのよ」


かな子「大丈夫? みくちゃん」


みく「早苗さん…みんな…今日はゴメン」


みく「早苗さんは今日がはじめてのテレビ収録だったのに…事務所のセンパイであるみくがひっぱらなきゃいけなかったのに…」


早苗「ぜーんぜん気にしてないわ、それよりP君になにされたのかお姉さんに言いなさい シメたげるから」


みく「エ?」


みく「いや、べつにみくはPチャンには何もされてないよ! ほんとにゃ!」


奏「何も言わなくていいよ、わかってるから」

早苗「P君がほかの女の子にプレゼントしてたって話をしてたら、ムスッとしてP君にらみつけてたわよね?」


早苗「みくちゃん…P君から本当に欲しいものをプレゼントされたことないんでしょ? 例えば…バラとか」


みく「それは…」


早苗「お姉さんが気づかないと思った? ま、P君は気づいてないでしょうけど」


みく「えへへ…バレバレだったんだ、みく」


法子「それじゃ急がないと!みくちゃんのプロデューサー、明日からのユッコちゃんたちの海外ロケについていくって言ってたし」


みく「にゃっ!? そんなの聞いてにゃい!」


かな子「えっ…帰りに言ってなかったっけ?」


みく「…上の空できいてませんでした…にゃ」


………

奏「女子寮の門限もわずか1時間」


早苗「誰でもいいから とにかくP君探し出して、みくちゃんの前まで引きずってくのよ」


みく「みんな…みくのワガママにつき合わせてゴメン」


かな子「困ったときはお互いさま、絶対に見つけようね!」


法子「みんなで力を合わせてがんばろー! 終わったらドーナッツパーティだ!」


かな子「わたしもお菓子いっぱいつくるからね!」


みく「ありがとう…ありがとう、みんな」





この先どんなことがあっても決して諦めない!


この果しなき、数多の想いがうずまく芸能界で


おなじ時代をわかちあって生まれてきた


熱き血潮の仲間たちよ!!




こずえ『ぷろでゅーさー…? こっち…きて…ないよ?』


美波『プロデューサーさんがいない? わかったわ、こっちでも探しておくね』


杏『えー、杏が知ってるわけないじゃん …そっちも杏のプロデューサー知らない?どっかで座禅組んでると思うんだけど』




みく(事務所のあちこちを5人で手分けして探しても見つからないにゃ)


みく(もう帰ったわけでも、外出したわけでもない… だったら、あそこしか…)


みく(Pチャンはバラ園の最奥にいる!)

― 事務所 バラ園前 ―


みく(Pチャンオリジナルの不思議な品種のバラがたくさんある、Pチャンだけのバラ園…)


みく(事務所の敷地内に存在し、大きなお屋敷の庭を思わせるほどの広大なスペースにところせましとバラが並んでいるにゃ)


みく(その中には血を吸って花弁が赤く染まる白バラや、トゲがかするだけで毒がまわり死に至らしめてしまうバラなど、危険ものもたくさんあるにゃ)


みく(ユッコチャンがうっかり毒バラに触って、サイキック・ショック症状になったのは記憶に新しいにゃ… 下手したらみくも二の舞に…)


みく(…けど、時間がない ちょっと危ないけど…近道しなきゃ)


みく(この小道を…バラに触らないように…と)


みく「急ぐにゃ 前川みく!」

みく「ハァ…ハァ… なんとか…バラに触ることなくバラ園の奥までたどりついたにゃ」


みく「Pチャンは…」



P「しばらく日本を離れるからな… また相葉夕美にここの薔薇の世話を頼まなければ…」




みく「いた!やっぱりバラのお世話してたにゃ!」



………

― 事務所 ロビー ―


かな子「あ、茜ちゃーん!」


茜「かな子ちゃん!? どうしました!? まさか…ランニングですか! それならば私も一緒に走りますよ!」


かな子「ち、ちが…はぁ… 時間が…ないから はぁ…やっぱりちょっと待って…息整えるから…」


茜「はい!」

茜「みくちゃんのプロデューサーですか…うーん、見ていませんね」


かな子「そっか…もし見つけたら、みくちゃんに教えてほしいの」


茜「わかりました!微力ながら力になりましょう!この《バーニングハート》の茜がな!!」


…プルルルルル


かな子「あれ?着信……みくちゃんからだ!」


茜「これは…もしかして、もしかするとですね!」


?「……?」

かな子「みくちゃん! Pさん見つかったの? …うん バラ園に …うん」


かな子「ついに…やるんだね、みくちゃん がんばって! 応援してるよ!」


茜「今の電話は、もしかして!」


かな子「みくちゃん、Pさん見つかったんだって!」


かな子「それで…今から想いを告げる、って」


茜「おぉ!!告白ですね!これで目的達せ…」


?「ふーん その話、くわしく聞かせてよ」


茜「なっ…?」


?「…」カッ!


茜・かな子「…う、うわぁーっ!!」


 ドシャ


かな子「う…」


茜「うう…」


?「さっき話してたことを教えてほしいんだけど…」


?「みくが…バラ園で…なんだっけ もしかして…私には言えない?」


かな子「う…うう…まるで悪鬼!」


茜「眠れる雌獅子が…ついに目覚めた…」


?「教えてくれないならLIVEバトルで白黒つけるまで……手加減はしないよ」


茜・かな子「なっ…なにぃーっ!!」

美波「……」ガシッ


?「…美波 なんで邪魔するの?」


美波「みくちゃんは自分の力でプロデューサーさんへの想いと決着をつけるつもりなの」


?「…ふーん」


美波「私たちにはこれ以上何もすることはできないわ」


?「…? なんで?」


美波「ここは…みくちゃんを信じて待つのも必要なんじゃないかな」


?「思慮深いのは結構… でも同胞が苦しんでるのを知りながら、何の行動も起こせないような奴は真のアイドルとは呼べない!」

美波「…やはりムダか」


?「だから、私はみくのところへ行くよ じゃあね」ダッ




かな子「た、助かりました…美波ちゃん」


美波「クールではあるけどとても熱い性格で、人の話を聞かずにまっすぐ行ってしまう あれじゃあまるで…」


茜「私たちのプロデューサーみたいですね!」


美波「…うん、本当に似てきてると思う」


………

みく「かな子チャンたちに連絡はすんだ…あとはPチャンに想いを告げるだけ…」


みく「うう…緊張で体の動きが鈍いようにゃ…」


みく「いや、そんな弱気じゃだめにゃ!」


みく「……よし 覚悟はきめたにゃ、今こそPチャンと決着をつけるとき!」


みく「Pチャン!」


P「みく、どうしてここに? もう帰ったのではなかったのか」


みく「Pチャンに…話したいことがあって…それでここまで来ちゃったにゃ」


P「そうか…私も明日の仕事の前に、きみと会っておきたいと思っていたところだ」


P「そこの椅子に掛けたまえ、いま紅茶を準備する」


みく「いらない、のんびりお茶を飲んでる余裕はいまのみくにはないにゃ」


P「……?」


みく「…Pチャンに聞いておきたいことがあるの、Pちゃんにとっては大したことじゃないかもしてないけど…」


みく「みくにとっては、すっごく重要なことなの! …だから!」


P「…わかった、話を聞こう」

みく「…Pチャンはみくのことどう思ってるの?」


P「…? なんの話だ?」


みく「いいから、はやくこたえてよ」


P「…そうだな パートナー、妹分…愛弟子 どれも似ているようで、ちがう」


P「とても一言では言い表すことはできない」


みく「みくは…みくはPチャンのこと、とっても大切に思ってるよ アイドルのプロデューサーだからってわけじゃない」


みく「ほんとのみくをわかってくれた人だから… みくの夢を叶えてくれた人だから…」

P「フ…「まだ」、夢が実現したわけではないだろう?」


P「きみの夢は誰もが認める究極の猫アイドル…そしてそこまで導くのがわたしの使命であり、望みだ」


みく「Pチャン…」


P「だから、本当は何を悩んでいるのか その胸の内を私に聞かせてくれないか」


みく「…そ、それ…ぁ…? ………!?」(声が…出ない!?)

みく(声も出ず…目もかすみ… 耳も遠くなってきている…にゃ)


みく(まさか!Pチャンの育てている毒バラに触ってしまっていた!?)


みく(これじゃPチャンがどこにいるのかさえも分からにゃい… いや、Pチャンからバラを貰うことはおろか、まともに話すことさえ…)


P「…聞かせてはもらえないか きみにも言いたくないことはある、分かっているさ」


みく(このままでは全てがおわりにゃ!)


みく(も…もう一度、もう一度みくに力を貸してくれ!)


みく(仲間たちよ! みくの女子力よ!!)


P「なにい!! こ…これは!!」




P「まつ毛が触れるほどの急接近! わたしは夢か幻でもみているのか!?」


みく「ぴ…Pチャン!!」


みく(もうすぐ女子寮の門限…時間がない…)


みく(このタイミングを逃せば…すべてが終わりにゃ…)

みく「…Pチャ…ば……りゃ」


P「突然抱きついてどうした… 寂くなったのか、みく?」


みく「………ば……ら…ぉ」


P「…そういえば、最近はきみとゆっくり話すこともなかったな …今度の海外ロケが終わったら機会を設けよう」


みく(だ…だめにゃ… 伝わって…にゃ……ぁい…)


みく「にゃっ…」ドサァ…


………



早苗「今の感覚は… まさか…みくちゃん!」



………


かな子「美波ちゃん!」


茜「こ…これは!」


美波「…ふたりとも感じたの?」


かな子「みくちゃんの女子力が一瞬おおきくはじけて…」


茜「そのあと完全に消えてしまいました!」


かな子「ま…」


茜「まさか!!」


かな子・茜・美波「まさか、みくちゃんの命が燃えつきた!?」


みく(もう…もうみくには…どうする事も… 立ち上がる…気力すらも…)


P「む、毒性の弱い魔宮薔薇にやられているようだなな もしや今日の不調もこれのせいだったのか?」


P「心配はしなくていい、毒抜きをして寮へ送り届けてあげよう」


みく(こ…このままでは 何もできないまま…わかってもらえないまま…Pチャンと…)


?「待って」


P「なにい!?」


P「誰だ!わたしの薔薇園に無断で入りこんでいるのは!」



P「うっ な、なにい… お…おまえはーー!!」




P「《シンデレラガール》渋谷凛! 何故ここに!?」


みく(…!)


P「この薔薇園には花粉を吸っただけで命を落とす猛毒の魔宮薔薇も植えられている…」


P「ここに訪れるのに少しでも道を間違えれば命を落としかねないというのに…きみは!」


凛「この程度、シンデレラガールの凛には造作もないよ」


P(《射手座の愛梨》、《牡羊座の蘭子》に次ぐ3代目シンデレラガール…激情をその胸に秘めた雌獅子《獅子座の凛》!)


P(先ほどから感じていた鋭く攻撃的な女子力は彼女のものだったのか…)


P「フッ…いくらきみがシンデレラだとしても、ここまで無断で入ってくるとは…礼儀がなっていないのではないかな?」


凛「…その美しさは12人の精鋭プロデューサーの中でも随一といわれる、天と地の狭間に輝きを誇る美のプロデューサー」


凛「アンタの事、尊敬してたんだよ?」

P「…なに?」


凛「あんな芸術品みたいなバラを育てることができる人は、繊細で人の心の機微に敏感だと思ってた」


凛「けど、アンタはみくの想いを踏みにじった 最低だよ」


P「みくの…想い?」


凛「私がそれを教えてあげるよ!」



凛『星々の輝きから逃れられる? エトワールプリズム!!』カッ



P「フッ、なにがエトワールプリズムだ 君の細腕でしかけたアピールなど私に通用…」


P「な…なにい!? これは…ストリーム(気流)!?」


P「渋谷凛の女子力がストリーム(気流)を巻き起こしているだと!?」


P「うおっ!!」ドシャアッ



凛(これでみくのプロデューサーはしばらく動けない… 今のうちに)

凛「しっかりして、みく!」


凛「みく、あの人にまだ話せていないことがあるでしょ」


みく(!)


凛「本当に大切なことは、言葉にしなくちゃ伝わらないよ」


みく(しぶにゃん…)


凛「ふふっ…けど、そうだよね プロデューサーって人種はみんなそうだもんね」


みく(……?)

凛「私の担当プロデューサーは仁・智・勇をそなえたプロデューサーの鑑のような男だけど、女心はまるでわかってない朴念仁だし」


凛「本当はいい人だしそれも分かってるけど、すごく不器用だしそれに強面でしょ? 必要以上に話さないからよく勘違いもされちゃうし…」


凛「裏で脳筋とか言われてるけど、そんなこと全然ないし むしろ逆で…本当の彼を知ってるのは私とお義兄さんだけだから…放ってはおけないよ」


凛「そうでしょ?みく」


みく(な…何のはなしにゃあ)


凛「だから、みくと私は同じなんだ…」


みく(おなじ…?)


凛「みくがプロデューサーに想いを告げるのなら…私はその力になる」



シ…しぶにゃん…


ああ…しぶにゃんよ…


お…思えば 今まで何人の友が助けてくれたのだろう…


みくをここまでたどりつかせるため…


Pチャンからバラを貰うために…それなのに…みくは…



凛「立って!みく」


P「無駄だ、彼女は魔宮薔薇の香気を大量に吸いこんでいる 毒を抜かなければ立ち上がることはおろか、話すことすら不可能だ」


凛「エトワールプリズムをくらって何事もなかったように立ち上がるなんて…」


凛「不死身か…」


P「フッ…笑止な いくら君がシンデレラだとしても、プロデューサーには敵わん それがわからない訳ではあるまい?」

凛「そんなこと…やってみなくちゃ分からないよ」


P「ふん、わからんやつだ」



凛『エトワールプリズムーーッ!!』パァァァ



凛「な…なにい!?」


凛「エトワールプリズムの威力がみくのプロデューサーを避けていく!」


P「…だから言っただろう、プロデューサーには敵わないと」


P「さあ、お引き取り願おうか!」


凛「諦めない…」


凛「みくがアンタに想いを告げるまで…ここは通さない!」



そ…そうにゃ みくは諦めてなんていられにゃい…


みくの心の炎が燃えつきない限り


たとえどんな手をつかってでも


Pチャンにみくの想いを告げなければ…


みんなの想いが無になってしまうにゃ…


 ググッ!


凛「みく!」


P「何をしている? 無理はやめ…!?」


P(な…なにい、女子力!? 五感をことごとく失ったみくから女子力を感じる…)


P(それも、いつもの比ではない強烈な女子力を!!)



…そう


たとえみくの五感がすべて失われたとしても


みくの命の炎は燃えている!仲間との絆は繋がっている!


も…もう一度、最後にもう一度だけでいい…


進め乙女…もっと先へ! 磨き上げた女子力よ奇跡をおこせ!



『みく!』              『みくさん!』

     『みくちゃん!』

  『みくちゃん!』  『前川ァ!!』

      『ミク!』

『みく!』           『前川さん!』

   『みくにゃん!』          『みく!』



き…聞こえる


友の声が… 仲間の声が… Pチャンの声が…


みんなの声がみくのカラダに響いてくる…


だから 何度だって立ち上がる!


夢のために みんなの想いに応えるために!!


凛「みくが立ちあがった!」


P「馬鹿な、あの状態から立ち上がるだと!」


P「しかもなんだ、みくの後ろに浮かんだオーラは!」


凛 「これはにゃんこ!!」


P「いや、にゃんこだけでは無い! みくの後ろに無数のアイドルが浮かんでいる!」



…いまのみくは五感を絶たれ何も見えないし聞くこともできない


けど…今はそれらの感覚を超越して、いつも以上に周りのものを感じることができるにゃ!!


しぶにゃんの不器用な優しさも… Pチャンが本当にみくのこと大事に想ってくれていることも…




P「これは…みくの声が直接頭に響いてくる!」


凛「まさか…みくがアイドルとして新たなステージに!?」



今、みんながみくに勇気と力を与えてくれた


みくはみんなの希望なのにゃ!


みくの女子力よ にゃんこパワーよ


今こそ究極まで燃え上がれ!!




みく「そして今こそ告白する!」


みく「これがみくのホントの気持ち!!」



みく「みくにも!バラちょうだいぃいーーー!!」


P「!!」





みく(い…言ってしまった…にゃ!!)




凛「…え? あれ? 想いを告げるって…告白って…そういう?」



P「今朝からなにやら悩んでいたと思っていたが… そういうことか」


みく「…今日ね、美波チャンや茜チャン こずえチャンに早苗さん…みんなPちゃんからバラを貰ってたってことを聞いたの」


みく「でも…でも!みくはPチャンからバラをもらった事ないから…なんかすごく悔しくってって、苦しくって…」


P「…みく」



凛(私もこの人から蒼いバラをもらった事があるのは黙っていよう)

みく「悔しかったんだよ…ホントに…」


みく「みくにとってPチャンは特別でも、Pチャンにとってみくは特別じゃない…」


みく「そう思っただけで…泣いちゃうくらい悔しかったんだから!」


P「…すまない 君の気持ちを見誤っていた どうやら、私も君を特別扱いしすぎていたようだな」


P「君なら、何も言わなくとも私の真意を理解してくれるだろうと、そんな甘えがあったようだ」


みく「Pチャン…」


P「もちろん、用意はしている 君に渡すための究極の薔薇…君だけの『シンデレラ・ローズ』を!」


みく「エ?」


P「今までに彼女たちに渡したバラは、言わば『シンデレラ・ローズ』の試作品のようなものだ」


みく「…今日、ちひろさんに渡してたものも?」

P「いや、あれは違う あの女に渡していたのはそれとは別の新作だ」


凛(露骨に話したくなさそうな顔してる)


みく「新作って、あのバラのこと?」


P「催眠作用があってね 通常 (プロデューサー)10-1(ちひろ)のところを(プロデューサー)1-10(ちひろ)に逆転させて物々交換させる薔薇だ」


みく「えっ… なんでそんにゃこと」


P「私は自分の育てたものに誇りを持っている」


P「だが、あの女はその価値を知りながら10本ひとまとめで粗末なバッチや玩具のコインと交換しようと詰め寄ってくる」


凛(すっごい怒ってる)

みく「ちひろさんもPチャンのバラが大好きにゃんだよ、きっと」


P「…過去、千川ちひろが裏のルートで大量に薔薇を流しているのをプロデューサーのひとりが目撃している」


凛「…ちひろさん」


みく「なにやってるのかにゃあ…あのひと」


P「彼女の再教育の一環で渡していただけだ それ以上も以下もない」


みく「あはは、そう…だったんだ よかった」


P「フッ…そうでもなければ、私があの女に薔薇を渡すことはない 安心したまえ、みく」

凛「そういえばみく、体は大丈夫? バラの毒で体がボロボロだったんじゃないの? 普通に話してるけど」


みく「は?」


みく「ほ…本当にゃ! いつの間に…」


P「みくは先ほどシンデレラの域まで女子力を高めた…」


P「それによるなんらかの奇跡的変化により体内の毒素は取り除かれたようだ」


みく「…そういうモノなの?」


凛「…さあ?」

凛「ま、とにかくよかったね 体が完璧によくなって」


みく「しぶにゃん、アリガトにゃ!」


凛「みくがを満足してるのならそれでいいよ」


凛 「じゃあ私はこっちのプロデューサーのところに戻るから じゃあね」




凛(幸せそうなみくの顔を見てたら私も我慢できなくなっちゃった)


凛「はやく…帰らなきゃ 待ってて…プロデューサー」


みく「さてと…Pチャン!」


みく「バラ!はやく!はやくよこすのにゃ!」


P「ム…シンデレラ・ローズなのだが …まだ渡すことはできないのだ」


みく「えっ、なんで!?」


P「本来、アレは君がシンデレラになったときのサプライズとして開発してきたもの」


P「渡すような時期でもないし、まだ十分納得できるレベルにまで至ってもいないのだ」


みく「…サプライズとかみく本人に言っちゃっていいの?」


P「もう黙っていられる訳ではなさそうだからな、問題ないさ」

P「だが、約束する きみがシンデレラガールとなった暁には、私の最高傑作のシンデレラ・ローズを贈ると」


P「…受け取ってもらえるだろうか」


みく「もちろんにゃ…Pチャン!」


P「フッ…フッフフフフ」
みく「にゃははははは… ふぅ」


みく「Pチャンの考えはわかったし、ちゃんと準備してくれてることはわかったにゃ けど!それはそれとして…」


P「ム…?」


みく「そーいうことはもっと早くに言うにゃあぁぁぁ!!」


P「仕方ないだろう! サプライズには順序というものが…」


みく「言い訳無用!くらうにゃっ!みくのねこぱんちぃーー!!」





   シンデレラガールズの活躍は まだ終わりを告げていない


   この大宇宙の中から見れば ほんの小さなかけらにしか過ぎない地球の

   地上の愛と希望のために 戦い続けたシンデレラのプロデューサーたち


   瞬きほどの時間かもしれない 一瞬の青春を熱く激しく戦い駆け抜けた

   アイドルたちに…   GOD BLESS YOU…




                           ~おわり~


☆最後まで見ていただき どうもありがとうございました

 懐かしい小宇宙を感じていただけたなら幸いです

 あとデンジャラスアダルティは特技じゃないすね

同僚には 杏・きらり・まゆたちをプロデュースする『最も神に近いプロデューサー』とよばれる乙女座Pとか

しぶりん・美波・茜・ありす・拓海たちをプロデュースする『仁・智・勇をそなえたプロデューサーの鑑のような男』とよばれる獅子座Pがいます

獅子座すげー激戦区ですわ

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