男「俺のクラスには二次から飛び出したようなお嬢様がいる」(158)

行くぜッ!

―――

男「やっぱお嬢様の至高はツンデレだと思う訳よ」

メガネ「誰もあなたの嗜好は聞いていませんがね」クイッ

友「いきなり何言いだしてんだこいつ?」

男「ヒドゥィィイッ!」ギチギチ

メガネ「ハンカチを噛むという表現の仕方はもう廃れたかと」

友「ははは」

男「良いじゃねぇか! 飯時野郎語り合いタイムだ!」

友「お前早食いだから暇なだけだろ……」

メガネ「ダディの"はふはふっ、はむっ!"というaaとかなり酷似する食べ方でしたね」

男「ハムはフッはむっ!」

友「うるさい」

男「相手してくれよぉー」シクシク

メガネ「……」ムシッ

友「……」パクパク

男「……」

男「よろしいっ! それなら拙者……とっておきの一発芸を披露する所存――」

友「だぁぁうるせぇぇぇ!!」バキッ

男「あぶぅ!!」

男「親父にもぶたれたことないのにィ!」エグエグ

友「…ったく、そんなにお嬢様が好きならよー」チラッ

~女子の輪~

女子「っへー! そんな事があったんだーっ」

お嬢様「いい迷惑ですわよまったく……」

ブス「でもこれでナンパ何回めー? お嬢様今度あたしにもいいおとこ紹介してよー」

チンパン女「あんだにおどごなんがでぎるわぎぇねぇじ! えふっえぶっえふっwwww」(拍手

友「お嬢様ちゃん何かお前のストライクじゃね――」

男「ぬぅっ!!?」

友「でた…」

メガネ「説明しましょう」スチャッ

メガネ「男の『ぬぅっ!!?』とは……可愛い女の子を見つけたトキや、驚いた時に発っせられる、特殊な鳴き声です」

メガネ「その時の顔は、『男塾』等の筋骨隆々な男が出てくる漫画等で、肉ダルマが驚いた時の顔を思い浮かべて頂ければ解りやすいと思います」キリッ

男「結婚してぇぇ」ボソッ

友「なんだかんだ告白とかしないよな、お前」

男「……彼女は俺の様なヘドロウンコが触れていい存在じゃない……、神秘的な存在なんだ」

友「本音は?」

男「振られるのが怖い」

メガネ「まずは二次元なんかに逃避せず、彼女だけ見たらどうですか?」

男「それは……」(目逸らし

友「お前よくお嬢様ちゃんの為なら命だってかけられるとか言ってるけど、それも嘘っぽいよな……」ハァ

男「何ッ!? それは聞き捨てならぬ!!」ガタッ

友・メガネ「!?」ビクッ

男「本当に愛している者の為なら命だってかけられるんだぁぁっ!!」バーン

教室「 」シーン

チンパン女「ぎゃばばwwあのブサ男また言ってるじww」(天に向かって拍手


ブス「またお嬢様ちゃんの事ー?w 身の程を知りなさいよねーwww」

dqn「ぎゃははははははwww」

ゲラゲラゲラゲラ!

友「男……、座れよ」

男「ぐぬっ……」ガタン

メガネ「気にする事はありませんよ、あなたは漢です」

女子「お嬢様ちゃん、いい加減はっきり言ったほうがいいよ? ああいうのメーワクじゃん」

お嬢様「…………」フゥ

男(なっ?! お嬢様ちゃん、呆れたような目……)ガーン

男「 」サラサラサラサラ

メガネ「男が砂に……」

友「オーパーツコマンダー(男の厨二設定)としての力を使い過ぎたようだな……」

お嬢様「……」フンッ

………

よく頑張ったが夜勤の休憩の終わりの時が来たようだなぁ……。

続きは帰ってから書くぜ!!

男「はぁ……」

友「そう気を落とすなよ。ほら、もう放課後だ。ゲーセンでも寄って行こーぜ?」

メガネ「確か格ゲーの新台が出たらしいですね」クイッ

友「おうよ! さ、今日は日が落ちるまで新台の攻略だ!」

男「……悪い、パス」ドゥーン…

友「……」

メガネ「……」

友「先に行っちまったよ」

メガネ「相当参っているようですね」

友「ま、明日には直ってるだろーさ」

――…

男「はー……」トボトボ

男(お嬢様ちゃんという女神を失ったら……"ソウルモード"の力が押さえきれなくなり、俺は破壊天使になってしまうだろう……)

男「……む」ピタッ

男(……いい直線の坂道だな……)

ぼすっ

男(久々に走ってみるか)

カチャカチャ …ギュッ

男(ローラースケート、……昔から好きなんだよな)

ガーー…

男(大体五十メートルはあるかな? ……これだけありゃ終着点でバク転する技は決められんだろ)

男「よしっ……」

ジャカッ

男「行くぜ!!」

ガーーーーッ!!

男(イケるか……?)

男(終着っ!)

バッ

男「fuuuuuu!!」クルクルッ

スタッ

男「空中ニ回転……決まったぜ。やはり天才ッ」ニヤッ

男「なーはっはっはっ!!」ガーーッ

翌日

男「友よーっ」ガッ

友・メガネ「うわっ!」

男「聞けよっ、昨日な? 坂道みっけたから久々転がしてみたんだけどよ!」ペラペラペラ

友・メガネ「……」

友(…な?)アイコンタクツ

メガネ(ええ…)ヤレヤレ

男「したらこうっ、びょーん! みたいな? やっぱ俺様最強! って感じでさー!」ペラペラ

友「ストップ、男」

男「ぬ? おのれ友の分際で我の話を妨げるとは――」

メガネ「そんな口を聞いてられるのも今の内ですよ」クイッ

友「刮目せよっ!」バッ!

男「……なんだ? このバッグ」

友「お前、まだイッコ前の……自分で転がすヤツ使ってんだろ?」

男「ローラースケートの事か?」

メガネ「ええ。男も自動式のローラースケートの事は知ってますね?」

男「ああ……。ヒコーキ? なんちゃらっちゅーめちゃ高いヤツだろ?」

友「まーあれは高いよなー、一高校生には手が出せないよなー」

メガネ「フフフ……」

男「…で、何だよ?」ウズッ

友「そのバッグ、開けてみな」

男「あん? ……」スッ…

男「 」

友「どうよ!」ドヤッ

メガネ「どうですか!」ドヤッ

男「これは今話してた空跳ぶお靴サマ……」キラキラ

友「そのとおり……最安値でも10万はするあれだ」

メガネ「その名も飛行靴。今や最も有名な技術、そしてスポーツの為の必需品と言えましょう」

男「ぬああ……」ガクガク

男の顔(めっちゃ欲しい)

友「これは俺達からのプレゼントだ……受け取れ、男」

男「いいのかっ!?」ンバッ

メガネ「勿論です、感謝してくださいよ?」

友(ホントは俺等のジャンクパーツから組んだポンコツだけど)

メガネ(最安値の市販品にも劣りそうですね……)

男「な、なぜこんなイイ物を俺に……? ついに我が下僕としての意識が目覚めたか……?」

友「ちゃんと理由はあるさ」

メガネ「お嬢様さん……どうやら彼女はこの飛行靴を使ったスポーツ、いえ、技が相当好きなようで」

友「つまりお前がこいつを猛練習してお嬢様さんに見せれば……?」

男「よっしゃぁぁぁ!! 今日は早退するぜっ!!」

マッチョ「駄目だ」バゴッ

男「ホゲッ!? ……」チーン

友(担任のマッチョ・ウ穂田……)

キーン コーン カー…

男「よっしゃ学校終わりだうりりりりぃ!!」バッ

ビューン

友「……あっという間に見えなくなったな」

メガネ「……さて、塾の時間です」

☆彡☆彡☆彡

男「バックスピン!」バッ!

男「クイックターン!」ギャギャギャッ

男「最強帝王超無敵トリックーッ!」ズザザー

男「き、決まった……」ウルウル

男「これでお嬢様ちゃんは俺の嫁……!」ジーン

男「……」

男「さて……もういっちょやる――」

「オイ! 誰にもつけられてねぇだろうな?!」

男「――…ぬ?」

男「……」コソッ

大男「まぁ、段取りはこんなもんだ」

子分「随分念入りに準備するでヤンスね?」

大男「人、一人攫うんだからな。準備はすればするだけいい」

子分2「……でも、ヤッさんじゃあるまいし……相手は大金持ちの令嬢ですよ?」

大男「うるせぇっ! 俺がやると言ったらやるんだ! 今日はもう解散だ、解散っ!! 元々エリア以外で集まるのも危険なんだからな」

子分「北高は最近、縄張り争いが激しいでヤンスからねぇ……」

男(……)

大男「次集まるのは決行日前日だ。覚えとけ」

集団「「「yo!」」」ババッ

男「まずっ……」サッ

男「……」

男「……行ったか……」

男「北高……? ウチじゃん。……あんなやついたっけ?」

男「でよ、何かソイツら人攫うとか言っててさー」

メガネ「物騒ですね……」

友「金持ちの令嬢って事は……身代金目的とか?」

メガネ「いやいや、もしかしたら単に自分のものにしたいだけかも……」

ガララッ

女子「お嬢様ちゃん! どこ行ってたの?」

お嬢様「……」

チンパン「ンー?」ジーッ

ブス「あっ。また告白されたとか!?」

ザワッ

男「ぬ……?」

友・メガネ「……」

お嬢様「ええ……」

女子「だれだれ!? イケメンだった!!?」

チンパン「ぢょーぎになるじー、えふっえぶっww」パチパチ

ブス「だれだれだれよー?」

お嬢様「……五組の」

三女「…あー……」

ブス「"また"あいつ? しつこいねー…」

チンパン「あのデヴっじょ?」ケタケタ

男「…」ピクッ

女子「今度はすっぱり断ったんでしょうね?」

お嬢様「えぇ……」

チンパン「じょーじきかんがえで、あんなデヴお嬢様に合わないっしょ!」

ブス「ほんとだよねーwもっとスラッとしててイケメンじゃなきゃさw」

お嬢様「……」



友「なぁ……その、今話してた奴らの主犯格って、デブだったんだろ?」

男「……」

メガネ「五組……でしたね」クイッ

友「見に行くか? 男」

男「……」

バリッ!

男「憤怒ーッ!! おのれ勝手に人の妻をーっ!!」

友「おおう、ワイシャツがビリビリ……」

男「いやん///」パッ

メガネ「……」

☆彡

五組

男子「え? デブのクラスメイト? ……五組はデブ、いっぱいいるからなぁ……」

友「つーかてめぇもデブだな」

男「……」ジッ

メガネ「いますか? 男」

男「いや…」

男子「今日は欠席が多いからね……デブの」

友「……なんか、ひっかかるな」

メガネ「ええ……」

男「……」

昼休み・屋上

友・メガネ「正義の騎士作戦?」

男「おう。てめぇらも付き合え」

友「……大体想像できるけど、作戦の内容は?」

男「一日中お嬢様ちゃんを尾行して悪辣野郎から守る。以上」

メガネ「ストーカーじゃないですか……僕は塾があるから無理ですし」

男「なにっ!? キサマそれでも男軍団の下僕か!?」

メガネ「違いますから」

友「まぁ、俺は少しくらいなら付き合うぜ」

男「それでこそ友! どれ、君主の熱い抱擁をくれてやろう」

友「いらねぇよっ!! ……まぁ、俺も……結構前からお前の事応援してきたからな」

男「うむっ、では結構は今日の放課後からじゃ!」ビシッ

メガネ「まったく……プランa、スルーに限りますね」

―――

放課後…

お嬢様「ご苦労様、じいや」スッ…

じいや「ははっ……お帰りなさいませ、お嬢様……」パッ

友「おいおい……エスコートされてでかい車に乗ったぜ……まじお嬢様じゃん」

男「なんだ、知らなかったのか? 彼女は週三回、ああやってリムジンで送迎されてるんだ、習い事があるそうだよ」キリッ

友「マジスカ……」

バタム

男「追うぞ友!」ガッサー!

女生徒「きゃあああああああ!?」

友(まぁ突然茂みの中からギリースーツ並の手作りスーツ着た奴がでてきたらこうなるわな)

男「一秒脱衣!」ババッ

男「フォームチェンジ! 友ッ、飛行靴は持ってきたな!?」

友「あらほらさっさー……」ハキハキ

男「モーターブロック――解除!!」

友(このクツは……"圧力"を車輪に受ける事で、車輪がまわる……)

男「うっ、ひょおおお!」ジャカッ!

友(つまり、走らなくても車を追えるって事だ。便利だな)ジャカッ

男「見ろよ友! 始めて数日でもう"走れる"んだぜ!? やはり天才ッ!」

友「まだまだ……」ギュンッ!

男「!?」

友「飛行靴の走り……runのスピードはこんなもんじゃないぜ?」

男「ぐぬっ……、友のくせにぃ!」ジャッ!

☆彡

男「今日は直帰か……」

友「でけぇ屋敷……ってか、来たトキあんのかよ」

男「何度かな」

友「……。で、どうするよ。今日はもう帰るか?」

男「いや……、これからお嬢様ちゃんはダンスレッスンに行くのだ。尾行を続行する」

友「……はいよ」ヤレヤレ

―――

友「もー今日はでかけねぇだろ……」ゼヒゼヒ

男「うむ……」

友「じゃー俺帰るわ、姉ちゃんに怒られちまう」

男「おう。ありがとな、友」

友「いーや。じゃ、また明日な」

ガーーー

男「…………」

男「心配だが……」チラッ

ガードマン「…」

男「俺も早く帰らねぇと肉ダルマに潰されちまうぜ……」

☆彡☆彡☆彡

メガネ「本当に尾行したんですか……」

男「実に有意義な時だった」

友「疲れたぜー…」

男「どれ……俺がポカリを奢ってやろう」

友「ちょっちオセーな、ってか別にいいよ。お前ウルトラボンビーじゃんか」

男「気にするな、王の気概というものをだな……」プルプル

メガネ「硬化を持つ手が震えてますよ」

男「ぐむっ……」

友「いーっての! それよか今度さ、技の練習に付き合ってくれたらそれでいいからさ」

男「……そうか?」

―――

尾行・二日目

友「なんだ、今日はお前も来んのか」

メガネ「僕だけ仲間外れというのはいけすかないですからね」

男「よかよか。……ほれ、極上の尻が来たぞ」

友「今日はいつもの取り巻きと帰る日か」

男「うむ。街をめぐりつつ帰るようだな」

メガネ「……君って人は……」

友「今日は飛行靴は必要ねぇな」

男「……名残惜しいが」

友「お前、それあげてからずっと履いてねーか?」

メガネ「ただでさえ足臭がキツいのに……」

男「もはや一心同体さ」

友「そりゃ嬉しいこって……おっ、角曲がったぞ」

男「ぬっ!」

メガネ「どうやらここで解散のようですね」

友「意外とはぇえな?」

男「うん……?」

お嬢様「……~♪」スタスタ

メガネ「何だかご機嫌ですね?」

男「それはきっと俺の事を考えて――」

友「無い」スパッ

男「……」

メガネ「ん…? テレビ屋さんでしょうか」

友「何でテレビ屋?」

―テレビ内―

実況『決めたーッ! 五番織斑、タァーッチダゥーン!!』

解説『いやぁ決めましたね織斑選手。これでゼブラヘッズ、準決勝進出ですね』

―――

お嬢様「~~~っ♪」キャッキャッ

男「ぬぐぅっ!?」ズォォォ!

メガネ「……あまりの可愛さにマリクがゴッドハンドクラッシャーを受けた時の様な衝撃を受けているようですね」クイッ

友「……。それにしても、テレビ屋に来たのはアレ見る為だったんだな、そいや今飛行靴アメフトの時期か」

男「お、俺だってあれくらいできるし…」

友「嘘つけ」

メガネ「ですがやはり……飛行靴を極めればお嬢様さんに近づけるという僕の推測に間違いは無かったようですね」キリッ

男「褒めてつかわす」アッパレ

友「そうと決まりゃ、明日は練習すっぜ。休日だし、お嬢様さんが出かけなかったらさ」

男「……そうだな。…ふふふ……ようやくお嬢様ちゃんが俺のお嫁さんになる時が来たようだな……!」

メガネ「相変わらず気が早い」

そして休み明け……

お嬢様の周辺に異常は起きなかった。

友「やっぱ早とちりだったんじゃねーの? そのデヴだってウチの生徒だって確認したわけじゃないんだろ?」

男「……」

メガネ「まぁ、どちらも早計という奴でしょう。…僕から言わせれば、五組の欠席がまだ続いているのは怪しい。もう少し様子を見るべきです」

友「……そーだな」

男(お嬢様ちゃん……)

男(きっとあの豚に彼女が攫われたら……)

モワモワモワーン

デヴ『ぐへへ、ここか、ここがいいんか!』

お嬢様『いやーん!』

男(許せないっ……!)ギリッ

男のムスコ「俺のドリルは天を突くドリルだ!(裏声」ギュンギュン!

バシッ!

教師「元気があるのはよろしい! だが今は授業中だ」

男「……はい」

ギャハハハハハハ!!

男「……」

男(お嬢様ちゃん可愛いすぎワロタ)ウヘヘ

メガネ(懲りてませんね……)

友(鳥頭は使いようっ、てな)

――…

友「あれ? 男は?」

メガネ「姉に呼ばれてと言ってました。恐らくまた店の手伝いでしょう、『行かなきゃ家追い出される後は頼んだぞ下僕ーズ』……伝言です」

友「……しゃーねぇなぁ」ポリポリ

メガネ「これでまた、貸し一つです」

キュッ …キュッ ……キュッ

友「おっ? 何か音響くな?」

メガネ「…………」

友「ん? どした?」

メガネ「……人が」

シーン

友「……なんだ?」

メガネ「この時間帯の校内って、こんなに静かでしたっけ?」

友「…………いや」

ズン

メガネ「……」

友「メガネ……飛行靴出せ」

ズンッ ズンッ

友「なんだってんだ畜生!?」

ズン! ズン! ズン!

「yoooooo!!」

ザザザザザッ!

仮面集団「「「yo!」」」

デヴ「……よぉ」

メガネ「……?!」

友(囲まれた!? 訳わかんね……!)

デヴ「……」ギュィィィーー!!

仮面集団「「「……」」」ザッ ドンッ!

メガネ「こいつら全員飛行靴を……!?」

友「飛行靴を履いた……集団……」

友「!!」

デヴ「…邪魔なんだよねェー、君達」

メガネ「まさか……本当に!」

友「聞いた事ある、飛行靴を履いた暴走集団がいるって……!」

デヴ「正解だよォ友クン。……ったくよぉガッコの女一人攫えばチームの支援も金も手に入るっつー簡単な儲け話だったっつーのに」

手下「味見もして良いって言われましたしね!」

ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!

メガネ「こいつら……!」

デヴ「冥土の土産に教えてあげるよ、ファッキン男の金魚のクソ君達」

使いこなせば車と同等のスピードを出せるモータースケート。

これを"駆り"集団は族を名乗る。その集まりがチーム、縄張りがエリア。

何しろ羽のついた車を履いているようなものなのだ、その能力を全て"喧嘩"にまわした不良集団は……。

デヴ「じゃっ、とっとと片付けちゃって。お偉いさんをこれ以上待たすのはまずい」

スポーツや遊びに飛行靴を使う人間とは比べものにならない程凶悪な存在である。

友・メガネ「――!」

―――

男「あーっ疲れた、なぁ姉ちゃん今の時給どんくらい? 一万円くらい?」

姉「……ふざけてると、折るよ」

男「(どこを!?)へ、へぇ……冗談でさぁ……」ペシッ

pipipipipi!!

ガチャッ

姉「はいもしもし――…」

男(さて……、じゃあ今日も練習すっかな。お嬢様ちゃんをゲッツする為に)グヘヘ

姉「お、男っ!!」

男「へ?」

バタバタバタッ!

男「友っ! メガネっ!」バァン!

看護婦「しっ!」

男「あっ、すいませ……!」

友・メガネ「……」

男「どうしたんだよ……その怪我…」

友父「喧嘩だよ」

男「うおっ!?(いたのか…)喧嘩…?」

友父「ああ、学校の不良共と派手にどんぱちしたみてぇでな……」

看護婦「さっきやっと寝付いたばかりなのよ……」

男(は…? 何でこいつら大怪我して……意味、わかんね……)

友父「友からだ」スッ

男「……?」パサッ

手紙『ごめんしくった、あと たのむ』

男「……」

看護婦「指が……その、折られてたから。口で書いて……。あと、うわごとで『おじょ……きょ』とか、なんとか」

男「おじょ……きょ?」

友父「じょう、きょう。じゃなかったか?」

男「じょう……きょう……」

男(おじょう…今日? ……ん?)

男(手紙の隅に……こわ……つやて……?)

男(お嬢、今日。これ、使って?)

男「おじさんっ! この手紙の近くに……何かありませんでしたか!?」

友父「おっ!? おう…確かこいつが…」

男(友とメガネの飛行靴! ……それに、やけにゴツイ飛行靴の、パーツ?)

「次集まるのは決行日前日だ。覚えとけ」

ジャカッ!

男(そういやあいつら、飛行靴を履いてたような……)

男(緑、の……)

男「これっ! 借りてきます!!」バッ

友父「お、おい!?」

―――

お嬢様の邸宅

お嬢様(あら?)

お嬢様(私としたことが……明日提出のプリントを……)ガサガサ

お嬢様(……学校に忘れてきたみたいですわ)ハァ

ギィィ…

じいや「本当にお一人で…?」

お嬢様「ちょっと学校に行くだけよ……過保護ね。恥ずかしいから黙っていて頂戴」

タッタッ

お嬢様(骨折り損ですわ……)

………

ジャカッ!

デヴ「……警告、のつもりだったんだけどねェー」

男「……」

デヴ「帰れないよ? 君」

男「帰すつもりもねぇよ…」

ザザザザザッ!

仮面集団「「「…」」」

デヴ「この戦力差、分かってる? 君の取り巻き二人は戦闘不能♪ 君は足ブル弱虫絶対絶命♪ yo!」

男「どれだけボコされようと、お嬢様に触れさせるものか!」

デヴ「君……分かってないみたいだねぇ。あのね、もうこれは子供の喧嘩の話じゃないの。僕らはお金を貰って、仕事をしてる……」

デヴ「僕らに出資してくれる予定の企業はかなり大きな所さ、もう一度言う、君……死ぬかもよ」

男「……っ」

ザッ!

デヴ「! ……いい、いいよ君。今まで僕が食らってきた他のチームの連中とは骨の入りようが違う」

デヴ「一歩踏み出した君を称して、僕から譲歩しよう」

"レース"だ。

デヴ「僕達飛行靴の暴走族は、縄張り争いの時、ある手法をとるんだ」

ハードルレース

デヴ「校舎をハードルに見立てたレースだよ。君も知っての通り、こっから一番遠い目印は……」

ザッ

手下「位置について――」

千本桜の木の下に先に辿り着いた方の勝利。

デヴ「キミが勝てば僕らは彼女から手を引く……かもしれないね」

手下「スタート!」

ガカッ!

男(なんで俺……レースなんかしてんだ。なんで族の決闘受けてんだ……)

男(コイツを始めたのはお嬢様に好いて欲しいって理由からだけだったろ……、友やメガネと一緒に技磨いて……いつか披露して……)

男(半分ふざけで始めた探偵ゴッコでこんな事に巻き込まれて……勝ち目が無いから? 恐いから……?)

デヴ「……」ガーッ!

男(いや、そうじゃない……男ならつべこべ言うな! 勝てば仇もうてる! 好きな子も守れる!)

男「勝つ!!」

デヴ「…」ニヤッ

男(壁を四階分……一気に越えて! 勝つ!)

サッ…

男(抜いたっ! 壁登り……!)バッ

バキッ!

男「がっ!」ズシャ…

デヴ(始めて一月も経ってないニュービーがっ! この僕に勝てると思ってたの!?)

デヴ「壁の登り方……教えてやるよ! ニュービー(初心者)!」

ギャキャキャッ!

デヴ「yo! yo! yooo!」

デヴ「……前輪後輪摩擦を使い分けメートルを越えるこの"ウォールライド"の技……僕は始めて一週間でマスターしたよ」

デヴ「君にできるかい……?」

男「ぐくっ……!」

寝ます。腕痛

デヴ「……なんだ。ただの思い過ごしか――」

ガシャッ

デヴ「!?」

男「追いついたぜ……」

デヴ「馬鹿な!? 一体どうやって……」

男「昔からジャンプ系の技は得意だったからな」スタッ

男(校舎脇から出たヘリに捕まって壁を登ってきたが……死ぬかと思ったぜ)

デヴ「ちっ!」

男「逃がさんっ!」

デヴ(壁の"降り"なら体重のある僕の方に分がある! それに……)

デヴ「初心者にこの高さが下りられるものか!」

キキィッ!

デヴ「!?」

男「ふっ……」ギャランドゥー

デヴ「壁に…張り付いて…?!」

男(ラウンドトラクション・ヒル! 前後で違う大きさのホイールを使うことによってでこぼこ道を乗り越えられれようにした機構だが…)

『これ使ってくれ』

男(友とメガネのパーツを組み合わせた事で、偶然同じ効果が得られた)

男「こいつが無かったら即死だった、ぜっ!」

デヴ「ファッキンビッツ!!」

男「ハッハ! 抜いたぜ! これでお嬢様ちゃんには指一本触れさせねぇ――」

デヴ「そんな甘い事があると思ったの?」

西校舎裏……ヘリ無しの壁面。

デヴ「健闘した君には特等席を用意してあげるよ……君の大切な彼女が凌辱される、特等席をね!」

デヴ「ウォールライド! 三百六十度!!」

男「っ――!」

ジャッ!

デヴ「……いつ食っても美味しいよ、人の希望を奪う瞬間は」

男(千本枝の桜は……この壁の向こうすぐ……)

男(ヘリは無い…成功しなきゃ、お嬢様ちゃんは!)

男「この俺様をっ……!」

男(迷うな!)

男「舐めるなぁぁっ!」

いくらローラースケートでも壁を登る事はできない。しかしホイールを急停止、急加速できる飛行靴ならば。

前後のホイールで停止、加速を繰り返し…

男(足りない部分は身体をひねって、その遠心力で……!)

男「ウォールライドッ!」バババッ

デヴ「ンナァァッ!?」

男(素早く下り……!)

デヴ「待てぇぇぇ!!」

男「うおおっ!」

ガッ!

男「…千本桜、俺が先に着いたな」

デヴ「ぐぐ……」

手下「デヴくん、そろそろお嬢様が来る時間ですぜ」

デヴ「…手筈通りにやれ」

手下「へっ…」

男「待て! 話が違うぞ!?」

デヴ「僕は考えるって言っただけだからね……」

ザザザッ

仮面集団「「「…」」」

デヴ「君には口封じとして、"喉つぶし"させて貰おうかな」

男「…上ッ等だコラァッ!!」

―――

男(結局……人数にゃ勝てなかったか……)

男(なんも聞こえねぇ……俺、情けねぇ……)

男(お嬢様ちゃん……)



警察「お前らかっ! 乱闘騒ぎを起こしてたって連中は!!」

デヴ「何ィ!? お前らっ! 見張っとけっただろうがっ!!」

警察「動くな!!」



男(なんか……騒がしい……)

グイッ

?「……」

男(……誰だ?)

?「…」ナデナデ

男(…………)



男「……」

警察「君、通報ありがとう。もう危ないから帰りなさい。その子は我々の方で病院まで届けるから」

?「…」フルフル

?「付き添いますわ」

―――

男「……!」

姉「あ……」

男(ここは…病院? …! お嬢様ちゃん!)ガバッ

男「いぎっ…!!」

姉「こら! 動いちゃだめよ! 骨折までしてるんだから……」

男「お嬢様ちゃんは!? 俺と喧嘩してた連中はどうなったんだ! 姉ちゃん!!」

姉「落ち着きなさい。…喧嘩相手は警察の人が連行したみたいよ。そのお嬢様ちゃんって子は……」

男「お嬢様って子は……?」

姉「多分、私が来るまであんたに付いててくれた子かしらね? 少し前、帰ったわよ」

男「そ、そっか……」ヘタ

姉「まったく……いつの間にこんな不良になったのかしら? 乱闘騒ぎを起こすなんて……」

男(いや、自分の目で確認するまで安心できない。お嬢様ちゃんが無事かどうか……)

姉「ちょっと、聞いてるの?」

男「姉ちゃん、電話貸してくれよ」

姉「電話……? まぁ、いいけど……」ゴソッ

男(お嬢様ちゃん……)ピポパ

―――

一週間後

ガララ

男「……」ヒョコッ

友「男! なんだ……包帯だらけだな?」

男「骨折しまくりんぐだっつの……」

メガネ「でも、その代償に手に入れた物は大きい」クイッ

男「……おうっ」

ザワザワ…

チンパン「え"っ? 何あいづおおげげじてるじwwwウケるw」ゲバッゲバッ

ブス「階段から落ちたんじゃねww?」ゲラゲラ

男(お嬢様ちゃん……)

お嬢様「……」

男(無事だった……、良かった。……あぁ、君の姿を見るだけで頑張った甲斐があったってもんだよ……)

友「ほら、席まで肩貸すぜ」

男「わりぃな」

メガネ「僕は松葉杖を預かりましょう」サッ

友「いくぞ?」グイッ

男「痛ぇ!!」

友「わ、悪い……脇腹も怪我してんのか……」

男「満身創痍だ」

友「じゃあ今度こそ」

ガッ

男・友「いっ!?」

ズデデッ

メガネ「コントですか……、足下には気をつけてください、友」

友「すまん……」

男「つつ……」タラ…

メガネ「血がでてますよ? 男」

男「おっ…? 傷口が開いたなこりゃ……」

友「うわっ! すまん!! っと…タオルタオル……」

男「…立てねぇ」

グイッ

男「お、済まねぇ友……起こしてく」

お嬢様「ひとまず、壁によりかかりなさいな」

男「お…お?」ドッキーン!

男(な、なんだなんだ!?)

お嬢様「失礼します」フキフキ

男「ア……オジョサマのハンカチフ……」

お嬢様「ちゃんと洗ってありますわよ?」

男「イヤ、チガ……」

お嬢様「出血は拭き取りましたわ。メガネさん、男さんを支えてくださる?」

メガネ「は、はいっ」

お嬢様「私は救急箱を持ってきますから、席までつれていってくださいな」スタスタ

男「……」

メガネ「予想外の展開ですね、男。……男?」

男「 」

メガネ「幸せ過ぎて死んでる……!!」

☆彡☆彡☆彡

友「男っ! 待たせたな!!」

男「……」

メガネ「遅いですよ、友」

友「あれ、もう座ってる……って、ハンカチ持ってたのか、タオル意味ねぇじゃん」

メガネ「いや、これはお嬢様さんのハンカチですよ」

友「何? ……で、男は何やってんの?」

メガネ「今から起こるイベントに備えて心頭滅却中です」

ガッショォォォン!!

男(悟!)

男(お嬢様ちゃんを近くにしても乱れぬよう……精神統一を図るのだ)

ガラッ

お嬢様「お待たせしました」

友「!?」

男「ァ…ゥ…」

お嬢様「結構血が出てしまっていますわね……、今手当てしますから」

友「……」

友「いったい、どういう事だ!?」

メガネ「僕にも分かりませんよ」

お嬢様「……これでよし。痛みますか?」

男「いや…ダイジョブ」

男(お嬢様ちゃんのにほひでマイサンが痛いぜ……)

お嬢様「そう。じゃ、救急箱は返してきますわね?」

男「……」

ガラガラ…

友「オイッ!? いったいいつのまにそーいう関係になったんだよ!?」

男「どういう関係?」

メガネ「まるで恋人同士の様でしたからね……」スチャ

ザワッ!

男「いや……それはまだだ。もし恋人同士なら、俺は既にお嬢様ちゃんにアンナコトやコンナコトを……!」グブブ

友「……」

男「多分、"アノ"事知ってんだと思う、お嬢様ちゃんは」

メガネ「アノ事……? ああ、そういえば…この学校を縄張りにしていた飛行靴のチームが消滅したそうですね」

友「そいや、見舞いに行ったトキ、誰かが助けてくれたって言ってたよなお前」

男「それがお嬢様ちゃんだろう。何より、その匂いを俺が間違えるはずがない」

友・メガネ「……」

―――

放課後

男「帰るかー…」

友「そだな」

メガネ「僕も休んでいた分の遅れを取り戻さないといけませんからね」クイッ

男「あー…、家まで遠いなー。足折れてなきゃロラスケでスグなのによ」

友「しばらくおあずけだな」

男「つまんねー」

ガタガタ

男「ん?」

メガネ「どうしました?」

男「いや……何か手紙が……」

友「下駄箱に手紙……もしや!?」

男「ま、まぁ待ちたまえ……まだ決まった訳じゃない」ドキンコドキンコ

メガネ「……」スチャ

男「ぬぅっ!? まさかッ!?」

友「どしたっ?!」

メガネ「差出人……お嬢様さんのようですね……っ」

男「シャアッ!」ガサガサ

友「おいおいマジかよ……!?」

『手紙

少しだけ見直しました。

ハンカチは返さなくて結構です。

お嬢様より』

男「この世の春がキター!?」

友・メガネ「……」

男「ウオオーーッ!」

友(これ……遠回しに拒絶されてね?)

メガネ(……黙っておきましょう。今の状態からおとしたら、本当に死ぬかもしれませんから)

―――

男「そらっ!」

ガガーッ

友「うおっ……中々やるじゃねぇか」

男「まぁなっ! 始めて一週間で壁登りを会得した男ですから!」

友「今日まで成功したの一度きりだけどな」

男「ぬぐっ……」

友「ほら、せめて壁走りくらいはできねーとお嬢様さんは振り向いてくれないぜ?」

男「……。見てろっ!」ダッ

ガーーッ

友(でも実際、前からローラースケートやってただけあって上達が早ぇな)

男「ぐへっ」ズッシャー

友(多分……靴がもう少し増しだったら、俺よかいいセン行くんじゃねぇか?)

男「うおおおっ!」

友「おーいっ! そろそろ休憩しようぜーっ」

―――

友「そういやもうそろ運動会の時期だな」

男「男様覇王祭か……今年も楽勝だな」

友「お前運動神経いいもんな……(馬鹿だけど…)」

男「で、なんだよ突然?」

友「いや、せっかくこうして練習してるわけだし……そろそろ披露したいじゃん?」

男「マイ・ハニーにか」

友「ああ。(スルー)それでさ、いい案があるんだけど…」

男「なんだ?」

友「ウチの学校にアクロバティック部ってあるじゃん。そこでさ、今年から飛行靴を使った芸もやるみたいなんだよね」

男「なぬ……?」

友「でも人足りてねーみてぇでさぁ。そこでお前が助っ人として参加してだな……」

―――

男「頼もうっ!!」ババーン!

アクロ部員「何奴ッ!?」

男「神だ」

アクロ部員「そうか…」

男「運動会の助っ人として部に参加したい」

アクロ部員「いいぞぉ!」ビシッ

男「ウッシャァッ!」

友「……」

アクロ部員「では練習を始めるか」

男「おうッ!」

友「……超スピードとかチャチな(ry」

―――

アクロ部員「じゃっ、今日は練習終わりだよ」

男「っス!」ペコッ

友「おつかれ」サッ

男「おお、ありがと……残ってたのか?」パシッ

友「まぁな……」チラッ

男「ん……?」

チア部三人娘『おつかれさまでしたー!』

男「ぬぅっ!??」

友「……///」

男「友? …なるほど…なんだあのエロケツは……、それだけならお嬢様ちゃんに匹敵するかもしれん……」

友「ケツ? ……ってよか胸だろ?」

男「何?」

顧問「気をつけて帰るのよー」

男「なる……」

友「ああ……揉みしだきてぇ……」

男(年増好きだったのか……コイツ……)

―――

翌日・学園

メガネ「へぇ、アクロ部に助っ人ですか……中々いい案ですね」クイッ

友「俺が考えたんだぜー!」エッヘン

男「フ……ま、この帝王たる俺様は、1日でマスターしたぜ(段取りを)」

友「今日も練習か?」

男「おうよ。運動会まで一月きってるからな」

放課後

チア部『フレーッ!』フリフリ

野郎共「うほおぉ……」ゴクッ

アクロ部員「今日はチア部に合同練習を頼まれてな。気合いを入れろよ、お前たち」

ウオオオーッ!

男「……俺様の技術レベルを上げる新たな"技"……、試す時がきたようだな……」

キュイイン!

男(チア部員達の裸をイッメ~~ジ!!)ズオオッ

アクロ部員「おお! 男の技のキレが増している!」

☆彡

アクロ部員「今日はここまで!」

男「ふぃぃ~…疲れたぁ~……」

チア部「あ、あのっ」

男「ぬ?」

チア部「タオルですっ、その……よかったら……」

男「あ、ああ……ありがとう……」

チア部「っ!」タッタッタッ

男(……なるほど、練習後にタオルを渡す練習(?)か……。でもそれってマネージャーの仕事じゃね?)

男「あ~…」フキフキ

ガヤガヤ

男「ん?」



チア部「うえぇ……」

顧問「泣くほど嫌だったか……分かった、もうこういう事はしないから泣き止め」ヨシヨシ

チア部「ひっぐ……ひぐ……」シクシク

男「……」エー…

男「…」チラッ

チア部2「先輩っ! どうぞ!」

チア部3「ドリンクもあります!」

アクロ部「いやぁはっは。ありがとう」

キャイキャイ!

男「……」ズーン

男「ま、いいさ……帰れば妻のお嬢様ちゃんが待ってる……(妄想)」

男「帰ろ……」

―――

友「で、どうよ? 練習の方は」

メガネ「練習? …ああ、アクロ部に入ったんでしたっけ」

男「捗ってない……」

友「そりゃまたどうして…」

男「最近san値が削れる事が多くてな……(イケとブサの差)」

友「ははは……」

メガネ「男のsan値が削れる事なんて日常茶飯事じゃないですか」

男「……まぁな」

アクロ部「失礼、男はいるかな?」

チンパン「ギャアアアアwwせ"ん"は"い"ぃ"ぃ"ぃ"い"www男になんどよぼでずがぁぁぁ↑?!?」

ブス「ちょwww男ならあっちにいますよw」

メガネ「おや」

アクロ部「ありがとう……やぁ、男。昼休み中に悪いね」

男「どうしたんですか?」

アクロ部「ちょっと頼みたい事があってね」

男「頼み?」

アクロ部「君、演技以外でも……技やなんかもつかえるんだろう? 飛行靴で。……実はさ」

―――

アクロ部「気をつけるんだよ! 男クン!」

男「…」…ザッ

チア部「あたしのブレスー!」



アクロ部「実はチア部ちゃんのアクセサリーが三階校舎のヘリにひっかかってしまってね、男くんはウォールライドとかはできるのかな? できれば僕の代わりにチア部ちゃんのアクセをとってあげて欲しい」



男(やれやれだぜ……ってセリフが一番合うなこりゃ)

男「…」キッ

男(できるのか……? あの技をもう一度。デヴと戦ったトキ以来、一度も成功した事の無いあの技を)

ザワザワザワッ

男(野次どもが……アクロ部が"とる"予定だから集まったんだな? ……やりにき――)ぬっ!?」

お嬢様「……」

男(お嬢様ちゃん!? ぬぐぐ……これは絶対失敗できなくなってしまった……)

アクロ部「じゃあ男クン、頼むよ」

男(急かすなっつの)

男「……」グッ

ジャカッ

男(大丈夫……ヘリがあるさ)

ガキッ…

男「おわっ!?」ズリッ

ザワッ!

アクロ部「男クン!?」

男「はっ!」キュイィィイ!

男(ウォールライド技、スピンサウザン――)

男「帝王スペシャルゥ!!」パシッ!

―――

アクロ部「いやぁ、ありがとう男クン、助かったよ」

男「いえ」

チア部「きゃー! ありがとうございます先輩っ!」バシッ

男(いっ! ……無理矢理奪いとるなよ……)ヒリヒリ

アクロ部「いや、とったのは男クン……」

チア部「さー屋上でお昼の続きしましょー!」グイグイ

アクロ部「あっこら……。じゃあ男クン、放課後にね!」

男「ハイ(棒)」

男(……いいさ、俺には帰ったら(ry)ガリガリ

男のsan値(正気度)■■■■■

男のsan値(正気度)■□□□□ガリリッ

☆彡☆彡☆彡

友「……結局放課後になっても男帰ってこねぇし」

メガネ「マッチョ教師が沸騰してましたね……ん? あれ男じゃないですか?」

友「ほんとだ、おーい男!」


男「……」ユラユラ


友「あれ? …男ってばよ!」

メガネ「これは……」

男「かゆ……」ガリガリ

友「……」タラッ

メガネ「どうやらsan値が削れきってノン・プレイヤーキャラクター化してしまったようですね」クイッ

男「……」ユラ

友「あっ! お嬢様が男を好きだって!!」

男「何ィィッ!?」

メガネ「相変わらず単純な復活条件ですね……」

―――

男「――と、言うことがあってだな」

友「あー……」

メガネ「それはひどい。…しかし…」

友「女子に嫌われてるのは自業自得だろ?」

メガネ「……ストーカーから笛舐め、椅子の臭いをかいだり、エトセトラ……お嬢様さん限定ですが」

友「男は変態だってのがこのガッコの共通認識だしな」

男「ひどぉい! ただ俺は燃えたぎるエナジィを解放しただけなのにっ!」

友「反省の色、無しと……」

メガネ「まったく……」

男「そんな事はどうでもいい! それよかさっさとお嬢様ちゃんの尾行を再開するのだ!」

友・メガネ「……」

☆彡☆彡☆彡

友「今日は普通に帰る日だったか、じゃあ解散だなー」

メガネ「おつ」

男「くそぉ……つまらん」



男(あれからお嬢様ちゃんの事を考え続けてはや三時間。あのでけぇ門は開く素振りもみせないぜ)

男(フフフ……筋肉ダルマガードマン、すでに貴様の視覚は見切った。ここなら存分にお嬢様ちゃんを見張る事ができる)

男(ぬっ?!)

お嬢様「では、いってきますわね」

じいや「―……――…」

男(どこかに出かけるのか……(我が能力、お嬢様ちゃんイヤーによって、お嬢様ちゃんの言葉は聞き逃す事は無い))

お嬢様「……」スタスタ

男(繁華街の方へ行くのか…? っさ~て、可愛いお尻をおいかけるとしますかぁ!)ウキキーッ!

~~~

繁華街

男(ふむ……俺の様な人種とは無縁の場所だな)

女子「~~~! …――」

チンパン「ほぎゃっ!ww ほぎゃっ!ww」

男(……。友達と約束してたんだな、ヴフフ)

お嬢様「待ちました?」

女子「……――~」フルフル

お嬢様「そう、よかった」

男(俺は三時間も待ったよお嬢様ちゃん)

お嬢様「じゃあ行きましょうか」

ブス「…――!」ブンッ

男(危ないブス! 腕を振りますな!! 可愛いお嬢様ちゃんに傷がついたらどうする!!)

四人娘『~~…』ゾロゾロ

男(さ、邪魔者はいるけどお出かけの時間だよ? お嬢様ちゃん♪)

―――

ナンパ男「いいじゃんいいじゃん、君俺とデートしようよー」

お嬢様「嫌だと言っているでしょう!」

チンパン「ぢょっと、マジ迷惑なんでずけど! あば!!」

ブス「あたしはちょうど暇かなー?」ギャビッ

チャラ男「おまえらに用ねーっての!」シッシッ

男(……ムシケラ共がぁ! 勝手に人の妻をォ!)

お嬢様「……失礼します!」

優男「待てよ」ガシッ

女子「ちょっと!」

優男「勝負できめようぜ、フェアによ」

お嬢様「はい?」

優男「コイントスでも何でもいい、かけに負けたら俺等は素直に引く。……いいよな? お前等」

ナンパ男「お、おう」

チャラ男「しょうがねぇな」

女子「何勝手な事言ってんのよ!」

男(そうよそうよ!!)

お嬢様「……はぁ、その"勝負"とやらに負ければ、帰ってくれますのね?」

優男「そうこなくちゃ」

女子・男「(ちょい!?」)

お嬢様「それで……勝敗は何で決めるんです?」

優男「コイントス。さっきちょうど言ったしな」

お嬢様「……」

優男「いいな?」

男(イカン……これはイカンですよ~?!)ダダダッ

女子「お嬢様ちゃん!? やめなよ!」

お嬢様「……いいですわ」

優男「それじゃあ……」ゴソゴソ

チャラ男(でたなww優男のインチキ勝負w)

ナンパ男(よっしゃぁw超可愛い子ちゃんゲットww)

優男(クク……このコインは両面同じ……裏表はない)

優男「じゃあ表がでたら俺の勝ちだ、……こっちが表だな。で、裏がこっち」

優男(んで、すりかえますww)サッ

お嬢様「私が裏ですわね」

優男「じゃあ投げるよ?」

キンッ …パシッ!

女子「……」ゴクッ

優男「はい表~っww俺の勝ちだねw」

ナンパ男・チャラ男「ウェ~イww」

お嬢様「っ……」

?「そこまでだ! 悪党め!」

優男「何奴ッ!」

?「はっ!」バッ

クルクル… スタッ!

ナンパ男「な、なんだ……?」

チャラ男「仮面とマントつけた……露出狂?」

?「ちがぁぁう!」

?「俺の名は月の騎士!! お嬢様を守るナイトダ!!」

月の騎士「月の騎士ッ! 参上ォォォォ!!」ババーン!

全員「……」

シーン…

月の騎士(男)(決まった……! 恐ろしい程に……ッ!)ジーン

優男「…誰だかしんねーが、もう勝負は決まったんだよ。……消えろや」

月の騎士「ふっ、お前はすでに死んでいる……」ビシッ

優男「…ア?」

ピーン!

月の騎士「……このコイン……両面同じのインチキコインだ」パシッ

優男「ンナっ!? い、いつの間に……!?」ドギャァァ~ン

月の騎士「さ、消えろ。ぶっ飛ばされんうちにな」

チャラ男「おぉ? やんのか?」

ナンパ男「コラッ!」

優男「まぁ待て……確かに、俺ァインチキをした。だが月の騎士とやら、お前が俺のナンパに介入する権利は無いはずだぜ?」

月の騎士「あるわぁ! お嬢様ちゃんが嫌がってるじゃないか!」

優男「だがそこの子は勝負は受けた、だがお前が邪魔をしたから今のはノーカンだぜ」

月の騎士「はぁ?」

優男「ノーカン! ノーカン! ハイッ?!」

優・ナンパ・チャラ「ノーカン! ノーカン!」

月の騎士「……」

優男「勝負だ、月の騎士。お前が勝ったら二度とその子には近づかないと約束しよう」

月の騎士「何言ってやがる……」

ギュイイイイ!

月の騎士(飛行靴の音!?)

優男「見たトコお前も族みてぇだし……ここは一つ、走りでケリつけようぜ?」

―――

勝負形式"run"!!

より早くゴールへ辿り着いた者の勝利である。

優男「……この坂は、ここいらじゃ一番急な場所だ」

月の騎士「……」

優男「ゴールは坂の終着……俺の連れが立ってる間を抜けたらだ」

女子「よーい……」

ピンッ!

優男「……」キッ

月の騎士(こいつ……強い! …とか言ってみる)

キーン!

女子「スタートッ!」

ジャカカッ!

月の騎士(…こいつ…マジつえぇ!!)

優男「…」ガーッ!

月の騎士(走りの音に"切れ"が無いのは一直線に走れてる証拠……)

優男(チ……。変なナリだから楽勝かと思ったら、この俺にぴったりついてきやがる……)

優男(だが、ここでのrunはそう簡単じゃねえぜ!?)

月の騎士「!!」

優男「クク……」

月の騎士(この坂……このまま加速してったら、最後の最後でクラッシュしちまう!)

月の騎士「……」チラッ

優男「……」ニヤニヤ

月の騎士(多分……先にブレーキをかけた方が負ける! …つまりっ)

月の騎士(根比べのチキンレース!!)

女子「…勝てるかな……男くん」

チンパン「あ、やっばあの中おどご?」

お嬢様「……」

チャラ男「いやー無理っしょww」

ブス「エ?」

ナンパ男「あの坂……飛行靴をやる連中の間じゃちょっとした有名スポットなんだよ」

チャラ男「デビルズ・エイティー・エイト。……88メートルのあの坂、少しでもブレーキのタイミングを見誤れば、即・おだぶつだ」

ナンパ男「実際死人でまくりだもんなww」

チャラ男「プロでも60メートルが限界だ。そんくらいでブレーキをかけちまう、まぁ、かけなきゃ死ぬからなw」

ナンパ男「つまり、チキン野郎じゃ勝ち目はねぇってこった。仮面で顔を隠してるやつなんかじゃな」

―――

月の騎士「……」ゴォォォ!

優男「…」ゴォォ

優男(初めてで40までブレーキかけねぇとは……中々やりやがる)

優男(どこだ……どこで止める!?)

月の騎士(くっ……そろそろ止めねーとまずいか? ……だが奴の力量が分からねぇ。…俺が負けたらお嬢様ちゃんが…)

月の騎士「……」

月の騎士「…よしっ」

優男(オイ……? 55過ぎたぞ……?!)

月の騎士「……」

優男(そろそろ止めねぇと……)

月の騎士「…」ググッ

優男「なっ!?」

優男(身を屈めて……加速だと!?)


ッメ~ジ……


月の騎士(イッメ~~ジ!)

月の騎士(あそこにあんのは堅いコンクリじゃねぇ……っ!)

月の騎士(あそこに、"居ん"のは~~ッ!)

月の騎士「裸エプロンでベッドインしてる、新妻のお嬢様ちゃん!!」ズウッ!

優男「う、そ、だ…ろ ぉ ぉ ぉ ……!」

月の騎士「おらっ!」

空中技 エア・トリック・ストーム4!

月の騎士「俺をとめるのは風で十分だぜ!」ギュラララ

ガーー…

優男「空中四回転……ま、負けた……」

ジャカッ!

月の騎士「うっし! 帝王!!」

―――

月の騎士(それにしても……坂道と平坦な道の境目をジャンプで越える技、決まって良かったぜ……)

優男「約束だからな……、だが今度は勝つ!」クルッ

チャラ男「わけわかんね……」

ナンパ男「しらけたわ~」

ゾロゾロ

月の騎士「フッ……では、わたしも失礼するよ、お嬢さん…」キリッ

シュバッ

女子「……で、結局何だったの? アレ等」

お嬢様「さぁ?」

―――

男「って感じでぇ、俺様の超無敵技が決まった訳よ」

友「いや……わけわからんし……結局どうやってブレーキ無しでいったんだよ」

男「だからお嬢様ちゃんをイッメ~ジしてだな」

友「……」

メガネ「……つまり、道路をお嬢様さんに見立てて集中力を上げ、ホイールでブレーキをかけるかわりにジャンプからのロールで勢いを殺したと?」

男「そうっ! さぁすがメガネ!」

友「あぁ……なるほど。マジgjだ」

メガネ「慣れましたから」スチャ

男「と、言う訳で大分お嬢様ちゃんの中で俺の評価があがったと思うんだ!」

友「いや……お前、なんだ…その、月の騎士? とかいうので正体隠してたから意味ないんじゃあ……」

男「!! しまった!?」

友(むしろその変態行為で評価が下方修正されたかもしれない事は黙っておこう……)

メガネ「まぁ、どちらにせよ。後少しで体育祭です。アクロ部の催しでアピールすればよいでしょう」クイッ

男「そっか!!」

友「まぁ……がんばれ」

男「おうっ!」

―――

アクロ部「よし、じゃあ次は噴水(飛行靴で部員が次々飛び上がる技)でもやろうか」

部員達「ウス!」

バババッ

女生徒「キャー! 先輩達カッコイイーっ! 男ゴキブリは死ね!!」

男「えー……」

アクロ部「気にするな、君が一番うまいんだから」ニカッ

腐女子「ふほほ! アクロ先輩×男……アリね」ニタッ

男「 」ゾクッ



アクロ部「よし、今日はここまでにしよう」

部員達「お疲れーッス!」

男「……随分疲れた(精神的な意味で)……、早く帰って休もう……」

友「おつかれ」

男「ぬ…、友? まだいたのか」

友「あぁ……まぁな」

メガネ「……」クイッ

男「メガネまで、どしたん?」

友「あー…」ドヨヨン

メガネ「深い事情があるんです……、男。今日は久しぶりにゲームセンターにでも行きませんか?」

男「いいけど、……何があったんだ? あのいつもケツからバナナを撃っている事で有名な友が」

友「……なに、大したことじゃない……」

男「?」

友「チア部の顧問先生にふられた……」

男「……そりゃ……」

友「何も言うなッ! ……ちきしょう目から汗がでやがるぜ……」

男・メガネ「……」

~~~

姉「男ー? ご飯よー!」

シーン

姉「男!?」

…イマイクー

姉「……何よ、随分おとなしいわね……」

男(……俺も……お嬢様ちゃんにふられたら……)

男(そう思うと、今だに告白できないんだよな……)

男「……一万年とニ千年前(小学校時代)からあ・い・し・て・るぅ~♪」テクテク

男「お嬢様ちゃんに絶体絶命浴びせたい♪ 生命のっ! エナジィィ~♪」トントン

姉「相変わらず最低な歌ね……」

―体育祭当日。

ブルマがーっ! 好きやーっ!!

お嬢様「…誰ですの? 不埒な事を叫んでいるのは」

女子「大体……ってか見当つくわ」


友「毎回だな、それ」

男「個人的には筋の入った薄いハーフパンツなんかも好きです」

友「知らんがな」

メガネ「僕はスパッツが一番だと思いますけどね」スチャ

男「ぬ…、でたなスパッツ党……」

メガネ「フフ……、ブルマ党には負けませんよ」

男「違うな、間違っているぞメガネ」

メガネ「…なんですって?」クイッ

男「俺は下半身全裸党員なのだ……」

メガネ「……」

友「あぁ…そういや、そういう運動会を熱く語ってきたトキがあったな」

男「お嬢様ちゃんと運動合体っ! ゴウッ! アクエリオーンッ!」キュピーン

友「そゆこと叫ぶから……」

女子達「……」サササッ…

メガネ「まさに身からでた錆ですね」

―――

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月29日 (火) 01:14:39   ID: PPZjH3LB

エアギアやんww

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