女「リストラされた」(22)

女「これからどう生きていけと」

女は一人嘆息した

貯金残高も、一ヶ月切り詰めて生活できるかどうかというほどしかなかった。

大学を出て適当に入社先を選んだことを後悔した

何故に薄給の中企業を選んだのだろう

そこそこの給料がもらえる小企業の方が良かったに違いないのに

今さら後悔しても遅いと首を大きく左右に振って意識を切り替えようとした。

しかし、リストラされたことに変わりはなく気分はますます憂鬱になった。

「メランコリー」

彼女は一人呟いた。

何故、憂鬱を英語で言ったのかは彼女ですら分からないのであろう。

なにも考えずに言ったのであろうから。

実家に帰ることは出来なかった。

そもそも彼女には身寄りがない。

彼女は孤児だった。

一番古い記憶ですらも孤児院で生活している頃のものだ。

人間が自我を持って行動し始めるのが3歳からだと言われている。

つまり、彼女は三歳以前から孤児院に居たことは間違いないと思われる。

「はぁ。。。」

溜め息をはいて座椅子にもたれ掛かる。

目の前にあるリモコンでテレビの電源を付けた。

昼過ぎだからか女性向けのスイーツ特集をやっていた。

美味しそうに甘味を食する女芸人を見て、更に憂鬱な気分になった。

テレビを消してラジオをつける。

ラジオの向こうから女の笑い声が聞こえ更に憂鬱になった。

私には味方はいないのか。

そんなことを彼女は思った。

ラジオの電源を消し、ノートパソコンの電源を入れた。

画面の向こうには私と同じような弱者が居るのではないか。

そんな屑のような思考で行った行動であることは否定できないだろう。

気がつけばネットサーフィンをはじめて3時間になろうとしていた。

彼女の気分は幾分かましになったようだった。

ブログの広告に目が止まった。

《Hey you!!! Do you want to go to new warld? 》

そこの君! 新世界に行きたくないかい?という旨の広告だった。

あとお前、世界はWarldじゃなくてWorldだ。

ツアー会社辺りの旅行券でも当たるのだろうか。

そんなことを思いながら広告をクリックする。

ポップアップした新しいタブにはこんな事が書かれていた。

《Really?》

直訳すると、本当に?か。

七面倒臭いサイトだなぁと思いつつ《Yes!!》を押す。

すると。。。

dmmの広告エロすぎ

抜いてこよ

画面に黒い藻が現れた。

なんだこれ

そう思い、クリックする。

藻がピクピク動いた。

可愛いなあ

そう思い、時間の経つのも忘れて藻をクリックするのだった。

気がつけば藻が始めの十倍ほどの大きさになっていた。

時間はもう夜になっていた。

夕御飯を作ろうと思い冷蔵庫のなかを物色する。

な、何もない

調味料が少しばかりあるだけだった。

ジャージのままで財布を持って家からでる。

目指すはスーパーだ。

マンションの五階から階段を使い降りていく。

「健康の為なんだ、ダイエットじゃないもん。。」そう呟き数分歩く。

目的地のスーパーで幾つかの野菜と袋麺を買う。

会計を済ませ、また自宅に戻る。

数分歩き、エレベーターで5階へ登り、両手が塞がっているので肘でドアを開ける。

冷蔵庫に買ったものを詰め込んで、また黒藻をクリックしようとノートパソコンへ向かう。

画面から黒藻が飛び出していた。

妄想でも何でもなく、実際に黒藻が飛び出していた。

触ってみる。

濡れてはおらず、耳掻きの後ろ側についている丸い綿のような触感だった。

つつくとビクビク震えた。

夕御飯をつくって食べ、また触ろうとする。

また大きくなってないか。。?

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