勇者「な、なんだって!」
宰相「まさかそんな!」
貴族「わ、私はやってないぞ!」
聖女「ああ……安らかに眠りたまえ……」
傭兵「金さえくれればなんでもするぜ」
王女「あれ、お母様の死体が消えた!」
勇者「くっ、出てこい卑怯ものが!俺が八つ裂きにしてやる!」
宰相「落ち着きなされ勇者どの。まずはその血で濡れた剣をしまうのじゃ」
貴族「女王が死んだから権力使ってやりたい放題できるぜ!」
聖女「貴族様、どうかそのようなことはお控えになってください」
傭兵「次は誰殺そっかなー」
王女「傭兵さん、怪しい書類を眺めながら不吉なことを呟くのは怖いからやめて!」
ギャーギャーワーワー
宰相「みなのもの、静粛に!!」
勇者(てめえが一番うるせえよデブ)
貴族(しゃしゃりでてくんなハゲ)
宰相「騒いでいても犯人は見つからぬ。冷静に話し合うのが最善じゃ」
聖女「そうですわね。それでは傭兵さん、一つ質問があるのですが」
傭兵「おう、なんだ」
聖女「なぜこのなかに犯人がいるとわかったのですか?」
傭兵「特定魔法でパパッと」
聖女「それは頼もしいですね」
貴族「聖女さん、そのくらいなら私でもできます!」
王女「ところで宰相、お母様の死体が行方不明なの!」
宰相「たぶん、この中の誰かがどこかに隠したんじゃろうな」
勇者「なぁ、俺思うんだけどさー」
勇者「普通に考えて犯人傭兵じゃね?」
貴族「あ、それわかるわー」
宰相(おまえらが言うな)
聖女「――傭兵様だけはありえません!」
勇者「え、え? なんで……?」
聖女「……傭兵様は女王様にたいそう気に入られておりました。それなのにわざわざ女王様を殺害するはずがないではありませんか」
宰相「まぁ、確かにそうじゃな。殺す理由がない」
傭兵「え? いや、金積まれたら誰であろうと殺すけど?」
聖女「……」
勇者「……」
王女「傭兵さん、お母様の仇なの……?」
傭兵「お金払ってくれたら、教えてあげるよ」ニコ
宰相「……」
貴族「ふん。なにはともかく、とりあえずそこの勇者と傭兵を斬首刑にすれば解決だろう」
勇者「はぁ!?なんで俺まで!」
貴族「血濡れた剣を持っていることがなによりの証拠だ。その剣でいったい誰を斬ったのか、言ってみろよ」
勇者「これは魔物の血だ! そういうおまえこそ、女王を殺す理由がありすぎるじゃないか! 女王を亡きものにして、やりたい放題やるつもりだったんだろう!
」
貴族「貴様……言わせておけば!この脳たりんが!」
勇者「なんだとナルシスト!」
貴様「やんのかバカ野郎!」
ギャーギャーワーワー
× 貴様「やんのかバカ野郎!」
o 貴族「やんのかバカ野郎!」
傭兵「落ち着け、罵りあってても仕方ないだろ」
宰相「傭兵どのの言う通りじゃ」
勇者「けっ。じゃあどうやって犯人を見つけるっていうんだ?」
聖女「女王様が殺害されたのは今日のことですから、今日一日自分が何をしていたか話し合うというのはどうでしょうか」
貴族「それは素晴らしいですね! 流石聖女さん!」
勇者(うぜえ)
王女「ねえ宰相、なぜ貴族さんは聖女さんに話しかけるときテンションが高くなるの?」
宰相「ワシが女王様を前にしてキョドってしまうのと同じ理屈じゃ」
王女「ああ……」
貴族「それではまず、私のプライベートから紹介しよう。そこの勇者とは違い、なにもやましいことはないからすぐに話せるぞ」
勇者「けっ」
――回想――
朝
貴族「今日の私はいつにも増して上品でエレガントだ……」
貴族「おっと、いけないな。私としたことが自分に見惚れていた。日課の散歩に出かけるとしよう」
・
・
・
貴族「そこの婦人、財布を落としましたよ」
主婦「あらまあ、いつ落としたのかしら。ありがとうございます」
貴族「いえいえ、では、私はこれにて」ニコ
主婦「」ドキ
主婦「貴族様、お待ちになってください」
貴族「はい、なんでしょう」
主婦「よかったら財布のお詫びに、朝食をご馳走させてくださいな」
貴族「……ええ、喜んで」
・
・
・
貴族「それでは、ご馳走様でした」
主婦「はい、財布を拾ってくれてありがとうございました」
貴族「では、私はこれにて。また機会があれば、次は私が奢りますよ」
主婦「……あぁ、行ってしまわれた」
店員「お会計、よろしいですか?」
主婦「え?あ、ごめんなさいね、ちょっと待ってください」ゴソゴソ
主婦「あれ?財布のなかにお金が一つもない……?」
主婦「その代わりに知らない紙が入ってるわね……なになに」
『スリに朝食奢ってくれてありがとうwwwwwww by貴族』
主婦「……」ストン
店員「お客様!?どうかされましたか!?」
貴族「あの絶望した表情。これだから辞められねえんだよなぁ」
――回想終了――
貴族「この後は貴様らの知る通り、召喚状をみて王城に馳せ参じた次第だ」
勇者「おまえ罪人じゃねえか!」
貴族「失敬な、金銭はちゃんと後で返している。なにも問題はないだろう」
聖女「そのような非道な行為をなされていたんですね……」
貴族「な、聖女さんまで人の趣味を侮辱するのですか!」
王女「ねえ宰相、わたし、もう貴族さんは窃盗罪で処刑した方がいいと思うの」
宰相「あれでなかなか市場に影響力を持っていてな……なかなか手が出せないのじゃ」
傭兵「よし、俺に任せろ!」
宰相「姫様、こやつこそ殺人罪で処刑するべきでは? というかなぜ今まで処刑されていなかったのじゃ?」
王女「傭兵さんはいいの! お母様のお気に入りだから!」
宰相(解せぬ)
勇者「じゃ、次は俺の番な」
勇者「といっても、特に話すことはないんだけど」
勇者「朝起きて、魔王倒しに行く旅に出かけるかどうかで一時間ほど悩んで、結局そのまま二度寝した。それから呼ばれて城に来た。説教じゃなくて安心した。終わり」
貴族「貴様まだ魔王を倒していなかったのか!」
傭兵「こいつが旅に出ないせいで何人のやつが魔物の餌食になったことやら。とんだ大罪人だな」
宰相「とりあえずこの件が解決したら勇者どのは一刻も早く魔王退治に出向くのじゃ」
勇者「えー、だって体怠いし魔物きもいし死ぬかもしれないし行きたくねーよー」
王女「勇者さん、がんばって!」
勇者「……帰ってきたあと王女ちゃんが結婚してくれるなら行く」
貴族「うわロリコンかよ」
傭兵「最低だな」
王女「結婚は……ちょっと……ごめんね?」
勇者「」
宰相「……なんと。ワシは姫様は勇者どのと結婚するものとばかり」
傭兵「そんなことはいいから、犯人捜し続けようぜ。聖女、おまえの話を聞かせてくれよ」
聖女「は、はい。今日の私は――」
――回想――
女の子「聖女さまあああああ!!」
聖女「まあ……こんな朝早くに泣きながら訪ねてくるなんて、なにがあったのですか?」
女の子「ぐすっ……男の子がね、『おまえはブスだから一生結婚なんかできねえよ』って言ってきたの……。鏡みてから言えばいいのにね……」
聖女「だ、大丈夫ですよ。二人とも端麗な容姿をしています」
女の子「聖女さまは優しいからそう言うけど、男の子の顔は見るに耐えないの……それに、わたしだって……男の子の八百倍はマシだけど綺麗じゃないし……」
聖女「安心してください。貴女はとてもかわいらしいですし、そもそも恋愛においては容姿がすべてではないですから」
女の子「でも、第一印象は顔でしょ?」
聖女「そ、それはそうかもしれませんが……」
女の子「それに、聖女さまだって傭兵さんといるとき幸せそうだよ?」
聖女「え、ええっ?」
女の子「傭兵さん、性格は最悪だけど顔はかっこいいもんね……」
聖女「確かに傭兵様は俗物じみたところもありますが良いところも多くて素敵だと――って、そうじゃなくてですね」
聖女「男性というのは好きな女性をからかいたくなる生き物なのです。きっと、男の子も本心でそう言っている訳ではありませんよ」
女の子「そうかなぁ」
聖女「そうなのです。ですから、そういうことを言われても真に受けずに、すべて愛情の裏返しだと思えばいいのですよ」
女の子「うん!ありがとう、聖女さま! ……また来てもいい?」
聖女「はい、いつでもお待ちしております」
――回想終了――
聖女「このような感じですね」
宰相「勇者や貴族とは比べ物にならないほどの輝くような生活じゃな」
貴族「当然だ、聖女さんは並のお方ではないからな」
勇者「なんかもうこの人は帰してもいい気がしてきた」
王女「わたしも、聖女さんがお母様を殺したとは思えないなぁ」
傭兵「だってさ。俺もおまえはもう帰ってもいいと思うぞ」
聖女「いいえ、私も特定魔法に引っ掛かったものの一人です。それならば、この事件が解決するまではここを離れる訳にはいきません。それに王女様のためにも、必ずや犯人を見つけ出してみせます」
王女「聖女さん……!」
貴族「あぁ……貴女は女神のようだ……!」
宰相「それで、残るはワシ、王女、傭兵の三人じゃな」
傭兵「問い詰めたいこともあるが、まずは全員が話を終えることの方を優先した方がいいだろうな」
宰相「それでは、傭兵どのの話を聞かせていただこう」
傭兵「ん?なぜ俺が先なんだ?」
宰相「ワシと王女は今日は一日中一緒にいたのじゃよ。使用人たちもそのことを知っておる。だからわざわざ話すこともあるまいて」
傭兵「……そうか」
勇者(一日中王女ちゃんと一緒とか羨ましすぎる)
傭兵「それなら俺の話で最後だな。俺は――」
――回想――
傭兵「で、用事ってのはなんだ?」
女王「まず、最前線の状況ですね。諜報員から報告は来ていますが、やはり戦闘員の方の話も聞いておきたいので」
傭兵「ひっきりなしに魔物どもの襲来が続いてる感じだな。おそらくこのまま魔王を倒さなければ勢力は強くなる一方だろう」
女王「……そうですか」
傭兵「勇者はまだ動かないのか?」
女王「はい。いくら勇者であろうと人の子ですから、命をなくす危険性がある旅に出るのは怖いのでしょう」
傭兵「だがこのままなら、近い内にこの国は滅ぶ」
女王「重々承知しています」
傭兵「いざとなれば、俺が行ってもいい。もちろん金はたんまり貰うがな」
女王「……そうですね。本当に危なくなれば、貴方に頼むことになるかもしれません」
女王「ですが、それとは別に貴方には依頼を受けてもらいたいのです」
傭兵「女王直々の依頼か。内容は?」
女王「依頼内容は――――です。頼めますか?」
傭兵「おまえ――いや、いいだろう。その依頼、確かに引き受けた」
女王「ありがとうございます。くれぐれもよろしくお願いします」
――回想終了――
傭兵「確か、こんな感じだったな」
「……」
傭兵(全員驚いてる。当然だろう、この話だと俺は事件直前に女王と面会していたということになるのだから。――だが、宰相の驚き具合は他のやつとは異質なもののように感じる)
勇者「おまえ……」
傭兵「――と、まぁ今の話は嘘だ」
貴族「は?」
傭兵「おまえらの反応を見て犯人を割り出そうかと思ってな。まぁ、結果は分からずじまいだが」チラ
宰相「……」
聖女「それでは本当のところは……」
傭兵「起きてからすぐ傭兵仲間と魔物退治さ。朝は魔物の動きが鈍いからな、稼ぎ時だ」
貴族「ふん。それではこれで、全員の話が終わったな」
聖女「特に怪しい人物はいませんでしたね」
傭兵「そうか? 俺はそうとは思わなかったぞ」
王女「お母様を殺した犯人、わかったの!?」
傭兵「いいや、そういう訳じゃない」
傭兵「ただひとつだけ言えるのは、このなかで一人だけ――勇者だけ、アリバイがないってことだ」
勇者「なっ、俺を疑ってるのか!」
傭兵「俺や聖女、貴族、宰相、王女にはそれぞれ今日一日の行動を証明してくれる人物が誰かしらいる。だが、おまえが本当に自宅にいたという証明は、誰にもできない。違うか」
勇者「俺は殺してない! そういうおまえこそ、まずいと思って真実だった最初の話を嘘だなんて言ったんじゃないのか!」
傭兵「おいおい、冷静になれよ。俺が後から話したことが嘘だとしたら、傭兵仲間とやらのことを問い詰められたらご破算だぜ」
宰相「二人とも、睨み合うのはそこまでじゃ。そもそも、勇者どのにアリバイがないというだけで、犯人ということにはならないじゃろう」
傭兵「まぁ、そうだな。とりあえず、俺の言いたいことは終わりだ。他のやつはなにかあるか?」
「……」
貴族「誰も何もないようだな。それでは日も落ちてきたことだし、今日の話し合いはここまでにしないか? それぞれ考える時間があった方がいいだろう」
宰相「そうじゃな、賛成じゃ。ただし、この場の誰一人として王城から出ることは許さん。事件が解決するまではこの城で過ごしてもらおう」
勇者「……わかった」
傭兵「仕方ねえな」
宰相「それでは使用人、皆さんを部屋に案内しなさい」
使用人「かしこまりました」
・
・
・
深夜
個室
傭兵(第二の殺人事件が起きるとしたらこの時間だろうな)
コンコン
傭兵「……! 誰だ?」
宰相「ワシじゃ」
傭兵「入れ」
キィー
傭兵「……こんな夜更けに、何の用だ?」
宰相「傭兵どのに、折り入って頼みがあるのじゃ」
傭兵「金を払うなら、大概の依頼は受けてやるよ」
傭兵(決意したように、こちらに少しだけ近付いてくる)
宰相「頼みというのは他でもない。……此度の殺人犯から、姫様を守ってくだされ!」
傭兵(宰相は、勢いよく床に額をつけた)
宰相「恥ずかしい話、年老いたワシには姫様を守るだけの力がない。そこで、傭兵どのに頼みに来た次第じゃ」
傭兵「……わからねえな。俺を犯人だとは思わないのか」
宰相「……傭兵どのは嘘だと言ったが、女王様と面会したときの話、まるっきり作り話という訳ではないじゃろう」
宰相「あの話は、昨晩のことのはずじゃ」
傭兵「まさか、聞いていたのか」
宰相「いや、ワシは女王様が傭兵どのと面会しているのを見ていただけじゃ。最初から、最後まで。じゃから、傭兵どのと女王様が話の後、情事に及んだことも知っておる」
傭兵「……盗み見とは趣味が悪いな」
宰相「そのことには、弁解の余地もない。……話を戻すと、ワシは傭兵どのと女王様が愛し合っていたことを知っていた。じゃから傭兵どのが女王様を殺害することは、ありえないと推察した、ということじゃ」
傭兵「それで、さっきの依頼か。……悪いが、断らせてもらう。兵士にでも頼むんだな」
宰相「頼む! 傭兵どの以上に腕が立つ兵士などおらんのじゃ! 金なら言い値で払う! ワシにできることならなんだってする!」
傭兵「くどい」
宰相「姫様が殺されることだけは、なんとしても回避せねばならぬ……姫様まで殺されてしまったら、ワシは冥界で女王様に会わせる顔がない……」
傭兵「……安心しろよ、きっと笑って出迎えてくれるさ。さぁ、早く部屋に戻った方がいいんじゃないか。この間にも犯人に襲われてるかもしれないぞ」
宰相「……そうじゃな。気が変わったら、いつでも言ってくれ」
キィー バタン
傭兵「……」
傭兵(犯人は宰相ではない、のか……?)
傭兵(いや、まだそうと決まったわけじゃないか)
傭兵(聖女と王女はありえないとして、まぁ宰相もあの様子だと可能性は薄いだろう。勇者と貴族のどちらかだろうな)
コンコン
傭兵(また来客か)
傭兵「入れ」
キィー バタン
聖女「こ、こんばんは」
傭兵「なんだ、聖女か。なんの用だ?」
傭兵(俺は聖女から目を離して問う)
聖女「その……実は……」
傭兵(距離を詰めてくる。咄嗟に反応しようとしたが、遅かった)
傭兵(聖女が、倒れこむように俺に抱きついてきた。腹部に、痛みが――)
傭兵(聖女が、俺に抱きついてきた。腹部に、痛みが走る)
傭兵「ぐっ……! おまえ……!」
聖女「よ、傭兵様! すみません、護身用に小刀を持っていたことを忘れていました!」
傭兵「……まぁ、それなら仕方ないな。次から気を付けろよ」
聖女「はい……誠に申し訳ありません……」
傭兵「傷は浅いし、あんまり気にするな」
聖女「そうですか、それはよかったです!」
傭兵「で、結局なんの用だったんだ?」
聖女「その……お恥ずかしい限りなのですが、殺人犯が近くにいると思うと一人では眠れなくて……。傭兵様の部屋で寝ても構いませんか? もちろん、私は床で寝させてもらいます」
傭兵「まぁ、それくらいなら。別にベッド使っていいぞ」
聖女「ありがとうございます!」ダーイブ
傭兵(あー腹いてえ。聖女のドジっ子ぐあいにも困ったもんだ)
翌日
勇者「傭兵えええええ!」
貴族「死にさらせええええ!」
傭兵「落ち着け」
勇者(馬鹿な……!勇者である俺の剣技をいとも簡単に避けただと……!?)
貴族(馬鹿な……!最強の魔法士と謳われた私の魔法をいとも簡単に避けただと……!?)
宰相「なんの騒ぎじゃ?」
王女「なにかあったの?」
聖女「二人とも、なぜ傭兵様に武器を向けているのですか!」
勇者「……昨夜、王女になぜ結婚できないのか聞きにいったんだ!そしたら、『傭兵さんとセッ○スしちゃったからわたしは傭兵さんのお嫁さんになるの!』と言われた!」
貴族「私も同じだ!昨夜、聖女さんに求婚しに行ったら『私はもう傭兵様と肉体関係を持っているんです……ごめんなさい』と言われた!」
宰相「なんと!? 傭兵キサマ、女王様だけでなく聖女どのや姫様とまで情事に及んでいたのか!」
王女「」
聖女「」
傭兵「待て、落ち着け。これにはちゃんと理由があってだな――」
王女「そ、そうだよ!きっと傭兵さんは優しいからみんなのことを放っておけなくて――」
傭兵「――俺は金と女以外には興味がないんだ!だから女に会ったらとりあえず口説くし、金をくれるならなんだってやる!」
王女「」
勇者(あれ、かっこいい……?)
貴族「ハッ、最低のクズではないか。聖女さん、こんな男には見切りをつけて、私と交際しましょう」
聖女「ごめんなさい……それでも私、傭兵様が好きなんです! それに貴族様より傭兵様の方が容姿端麗ですから……」
勇者「そういや傭兵、気になってたんだけど腹の傷どうしたんだ?」
傭兵「聖女に刺された」
勇者「」
宰相「そのまま殺されておればよかったものを……」
王女「宰相、しっかりして! 今大切なのはお母様の仇を見つけることだよ!」
勇者「まさか聖女が殺人犯だったなんて……」
傭兵「ん? いや、聖女は殺人犯じゃないぞ、たぶん。俺を刺してきたのは単にあいつがドジっ子だからだ」
聖女「そうです、私は昨日この小刀を持っていたことを忘れたまま傭兵様に抱きついてしまって……」チャキ
傭兵「おいやめろ鞘から抜くな」
貴族「抱きついた、だと!?」
聖女「きゃっ! もう貴族様、驚かせないでください。小刀を吹っ飛ばしてしまったじゃないですか」
勇者「吹っ飛んだ小刀が傭兵の頭に突き刺さったな」
王女「よ、傭兵さあああああん!」
女王「こら王女!騒がしいですよ!」
王女「あれお母様。生きてたんだ」
女王「あっ。生きてません死んでます」
貴族「なんだ、女王は生きてたのか」
聖女「それなら傭兵様の特定魔法とはいったい……」
宰相「女王様の死体が消えたのは特定魔法を使用したあと。つまり、『このなか』には女王様も含まれていたんじゃろうな」
勇者「なんだそうだったのか!これにて一件落着だな!」
女王「そうですね!」
その翌日、貴族と聖女は付き合いだし、勇者と王女は結婚し、宰相と女王は肉体関係を持った。
そしてその一週間後、国は魔物に攻められて壊滅。人間は滅んだ。
fin
最後までご愛読頂きありがとうございました!伏線を張りすぎてちゃんと全部回収できるかどうか不安だったのですが、無事にすべての伏線を回収することができて、作者としてはこれ以上の喜びはありません!
それでは、最後にこの方の名言で締めさせていただきます
伊達政宗「まともではない人間の相手をまともにすることはない」
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