【ステラグロウ】アルト「みんなの下着がない? (30)

ネタバレ全開注意
ED後

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間違ってエンタキーおしちまってタイトルミスった……
見逃してくれるとありがたいです



~騎士団宿舎 中庭~



アルト「ふっ、はっ!イチ、ニッ!」ザンッ

アルト「……ふぅ……うん。今日の鍛錬はこんなところでいいかな」

アルト「もう戦いなんて来ないだろうけど、それでも魔物はいるし、やっぱり鍛えておかないとな……」

アルト「……やっぱり、もう1セット素振りを……」

ラスティ「アルト! こんなとこにいたのかお前ー!」グイッ

アルト「う、うぉお! 急に引っ張るなよラスティ! びっくりしただろ!」

ラスティ「すまんすまん、ちょっと気が急いでてな」

アルト「気が急ぐって……どうしたんだよ」

ラスティ「……ふっふっふ、聞いて驚くなよ。アルト」



ラスティ「お前の部屋で、男子全員で親睦会するぞ!」





~アルトの部屋~



ダンテ「なんで俺まで……」

ラスティ「親睦会だからな。当然参加してもらうぞ」

キース「……くだらん。だが俗を経験し、民の気持ちを理解するのもまた王の務め、か……」

アーチボルト「……アルト、少し」コソッ

アルト「……? アーチボルト、どうしたんだ」コソッ

アーチボルト「……ラスティの奴、この間、手痛く振られたらしい。それで俺たち全員を巻き込んで憂さを晴らしたいのだろう」

アルト「……はは。それは……何て言ったらいいか迷うな」

アーチボルト「呆れるのも無理はない……だが、アルトさえよければ付き合ってやってくれないか。あれでも、俺たち調律騎士団の仲間、だからな」

アルト「さすがに、いきなり俺の部屋って言われた時はびっくりしたけど。俺は別に構わないさ。それに、他のみんなもそんなに嫌な顔してないみたいだぜ?」


ユアン「……はぁ、もう諦めました。それで、親睦会と言うからには何をするんですか?」

ラスティ「よく言った! それはこのレグナントで流行っているこのカードゲームだ! これをみんなでやるぞ!」

ユアン「……ああ、これですか。これならルールも簡単ですし、すぐできますね」

ダンテ「下らねェ……一回だけだぞ。俺は飽きたら帰るからな」

キース「ハァ。これも王の務め、か……」



アルト「……ほら、な。なんだかんだみんな付き合うんだよ」

アーチボルト「……ふっ。俺たちは、いい友を持った」

アルト「……あー、でも遊ぶ前に俺、風呂には入りたいかな……剣の鍛錬してたところだし」

アーチボルト「それならば問題はあるまい。俺からラスティたちには伝えておくから、さっさと行って来い」ニッ

アルト「ああ、ありがとな。それじゃパッと浴びてくるから!」





~騎士団宿舎 風呂~



アルト「……ふぅ、いいお湯だ……」

アルト「まったく、本当に突然なんだもんな。まぁ、悪い気はしないけどさ」

アルト「なんだかんだ、みんなもいい奴だよなぁ……アーチボルトも言うとおり、ラスティもいい仲間を持ったな」チャプ

アルト「……仲間、か……」

アルト「フランジスカ、ミリー、カエデ、ウクナ……ゼノ」

アルト「千年前のみんなも、全員いいやつだったけど、こんな風に浮かれたことしてる暇なんて、なかったみたいだからなぁ……」

アルト「……天使、天使、天使、ずっと続く戦いの記憶……。あくまでエルクレストの記憶だから、俺が記憶を遡っても、まるで紙芝居見てるような感覚であんまり身近には感じないんだけど……」

アルト「あんなことは、もう起こらない……ようやく、終わったんだ。 エルクたちのためにも、この平和を絶対に続けていかないとな」

アルト「……って、なんで風呂入って一人でしめっぽくなってるんだ俺! 早くあがってラスティたちと合流しよう」ザバァ




~アルトの部屋~



ラスティ「まだだ……まだ俺はここで終わるわけにはいかねぇ……!」

ユアン「ラスティ……あなたは甘いんです。自分では隠してるつもりでしょうが、僕にはわかります……こっちが、僕を勝利に導く札です!」シュバッ

ラスティ「あぁぁああああ!! また負けたぁああああ!!」

ユアン「よし! やりました! 僕の勝ちです!」

アーチボルト「キース1位、ユアン2位、ラスティ3位。順位は動かんな。いい加減諦めたらどうだラスティ」

ラスティ「まだだ! 負けっぱなしは性に合わねェ!」

ユアン「……審判のアーチボルト。僕、ラスティ、キースでこのゲームを回してボクがずっと2番手ってのも納得がいかないですが」

キース「当たり前だ。王は常に導く存在でなければならないからな。敗北など許されない」

アルト「……まだやってたのか」

ユアン「あ、アルト。お帰りなさい」

ラスティ「アルトぉおお! 勝てねェ!あの二人に勝てねぇ……!」

アルト「素直に引けばいいのに……ほら、次はラスティ入ってこいよ」

ラスティ「嫌だ! 俺はひかねぇ! もう一度勝負だ、ユアン、キース!」

キース「……断りたいところであるが、王が退くわけにもいかんしな」

ユアン「……キースさんがそういうなら僕もやらなきゃいけないじゃないですか……」

アーチボルト「なら、風呂は俺が先に……」

ラスティ「逃がすか! お前は見届け人だ! 俺がこいつらに勝つ姿をしっかりとその眼に刻みやがれ!」

アーチボルト「……はぁ、仕方ない。こうなってはラスティはきかん。これで負けず嫌いだからな」

アルト「はは……アーチボルトも苦労するな。 ところで、ダンテは?」

ユアン「食堂でみんなの分の夜食作ってるらしいです。どうせ長く起きるだろって」

アルト「ダンテ……。まぁ、風呂はまた温めなおせばいいし、気のすむまでやればいいさ」

ラスティ「なに上から見下してやがる!風呂から上がったならお前も参戦だ! 来いアルト!」

アルト「俺もかよ……はぁ、まぁ仕方ないな……」







アルト「ラスティ、本当に弱いな……」

ラスティ「アルトにも負けるのかよぉ! ちくしょう!」








………

………………



……カチ、コチ、カチ、コチ……




……カチ、コチ、カチ、コチ……




……カチ、コチ、カチ、コチ……



………………

………









アルト「……Zzz」グゥー

ユアン「……スゥ」コックリ

ラスティ「……あれ、二人寝ちまった?」

アーチボルト「当たり前だ。何時だと思っている。俺たちもいい加減退散するぞラスティ」

ラスティ「うぇー……まぁ、十分遊んだしな。うん。楽しかったし、美味い夜食も食えたしいうことはない」

ダンテ「俺は言いたいことだらけだがな、無駄に一食作らされたようなもんだ」

キース「……ユアンは俺が運んでおこう。アルトは、自分の部屋だ。もうそこらへんに転がしておけばいいだろう」

ラスティ「……まっ、季節もあったかいし大丈夫か。一応、布団だけかけておいて……よし、退散すっか」

アーチボルト「結局、一勝もできなかったなラスティ」

ラスティ「うるせぇ。次は絶対に勝ってみせっからな……!」バタン




……オウハダレノチョウセンデモ……ツギハダンテモヤルゾ!……ザコニキョウミネェ……





アルト「……Zzz……」スゥー








………

………………



……カチ、コチ、カチ、コチ……




……カチ、コチ、カチ、コチ……




……カチ、コチ、カチ、コチ、カチ……



………………

………










???「……」ヌッ



アルト「……うへへー、らぐな、ぶれいくー……」グゥー



???「…………」スッ



バサッ、バサササッ……



アルト「……おれの、かちだぁ……Zzz……」スゥー






……カチ、コチ、カチ、コチ……





……カチ、コチ、カチ、コチ……





……カチ、コチ、カチ、コチ、カチ……







次の日



バタタタタ……


アルト「……Zzz……」

リゼット「……アルト! アルト、大変!」バタン!

リゼット「事件……な、の……?」

アルト「……んあ……リゼット。起こしに来てくれたのか……? うー、俺、床出て寝てたのか、体いてー」モゾ

リゼット「……ア、アルト、そ、そそそ……それ……なに?」

アルト「……それ? それってなんだよ」

リゼット「……アルト……それは、それだよ……?」

アルト「んー……?そういえば、なんか俺の周りになんかいろいろおちてるよ……う、な……!?」ピキッ

ポポ「リゼットー! アルト起きてた? ……どうしたのリゼット、扉の前で固まって……」ヒョコ

ポポ「…………」コウチョク

アルト「ポ、ポポ、これは、ちが、違うんだ……」ワナワナ

ポポ「……ア、アルト……」



ポポ「……なんで、アルトの周りに、無くなったポポたちの下着が落ちてるの……?」




アルト「……は、ははは……」





アルト「な、なんじゃこりゃぁぁぁああ!!」








~食堂~



アルト「…………」

リゼット「…………」フイッ

ポポ「……アルト」ギュッ

ののか「あわわ、アルトさんがそんな……」

ドロシー「……殺っちゃおう。たぶんそれが一番だよ。うん」

ヴェロニカ「青春爆発っすなー。越えちゃいけないライン軽々越えちゃっていけるその若さが羨ましいっす」ケタケタケタ

アルト「違う……俺はやってない……」

サクヤ「……一応、あんたにもちゃんと説明するわ。今朝の騒ぎを」

サクヤ「今朝、リゼットが自分の下着がないって私たちに告げて来たの。それが始まり、確認してみたら私たちの下着もなくてね。探したけど見つからなくて、これは大変だってことで、リゼットがあんたの所へ呼びに行ったの」

サクヤ「……その下着は、さっき見つかったわ。あんたの部屋で、正確にはアルト、あんたの体の上でね!」

アルト「誤解だ! 俺は知らない!」

サクヤ「下着に包まれながら眠るとかいい根性してるわね……!」

アルト「話を聞いてくれ!」

ラスティ「……だけど待ってくれよ。その犯行は本当にアルトなのか? 俺はそう思えないな」スッ

アーチボルト「俺もそれに賛成だ、このアルトの顔を見ろ。これが盗人の顔に見えるか?」スッ

アルト「ラスティ、アーチボルト……!」

ラスティ「それに、アルトは俺たちと昨日遅くまで遊んでたんだ。アリバイはあるぜ」

サクヤ「それは、本当にアリバイになるの? 一晩中一緒にいたとでもいうつもり?」

ラスティ「そ、それはだな……いや、一晩中一緒にいたわけじゃないが……」

サクヤ「じゃあ、アリバイにはならないわよ」

ラスティ「だけどな……」

サクヤ「なによ。そんな必死なってかばうってことは、あんたたち共犯なの?」ギロ

ラスティ「……共犯、か……すまん。アルト、俺にはお前を助けられない……」サッ

アルト「そんな! 諦めないでくれよラスティ! ラスティー!」







アーチボルト「待ってほしいサクヤ殿。アリバイを抜いても、やはり、俺にはアルトがこのようなことをするとは……」

サクヤ「……それを確かめるために今からいろいろ聞くんでしょうが。これ以上邪魔するならライブ出禁にするわよ」ギロッ

アーチボルト「……すまない、アルト。無事を祈っている……」

アルト「アーチボルトォ! ……くそ、俺一人か……!」

ののか「サクヤ様……落ち着いてください」

サクヤ「……落ち着く? ふふ……これが落ち着いていられるかぁ! 下着よ! 下着なのよ! 乙女の秘密、それが盗まれたのよ! しかもあげくアルトの周りに散らばってたとか! そんなん落ち着けるわけないじゃないのよぉー!」ガァー

ののか「うぅ……サクヤさまの感情がアマツの火山のように燃えたぎっていますぅ……」

ポポ「アルト、ポポ、気にしないよ! ……その、恥ずかしいけどポポのパンツでよければ」

アルト「いらない! いらないからな!! まず俺が犯人みたいな扱いをやめてくれ! 絶対俺じゃない、真犯人がいるはずなんだ!」

サクヤ「なら誰が私たちの下着盗ってくっていうのよ! アーチボルトはありえないし、ラスティは……うん、なんか違う気がする」

ののか「ユアンさんやキースさんも……ないと思います」

ヴェロニカ「ダンテは論外っすなー」

ジゼル「外部班は……立地的にありえないでしょう」

リゼット「……つまり残るは」フイッ

アルト「待ってくれ! なぜそこで犯人が俺になるんだ!」

サクヤ「あんたの部屋に私たちの下着があったからよ!」

アルト「だから、本当にそのことについては何も知らないんだって! 証拠は俺の部屋に下着があったことだけだろ! だったら真犯人が俺に罪をかぶせようとした隠ぺい工作だって線も」




ヒルダ「……証拠なら、もう一つあるわ」




ドロシー「ヒルダ! 見なかったけどどうしたの?」トコトコ

ヒルダ「……ごめんなさい、風に当たっていたの。話は聞いていたわ。そう……そんなことがあったの」

サクヤ「そんなことって、あんた把握してなかったの?」

ヒルダ「昨日から少し風に当たっていて……でも、これで納得できたわ。昨日のこと」

リゼット「……何かあったの?」

ポポ「それに、証拠って? 本当にアルトが犯人なの、ヒルダ……?」



タイトルミスったのがすごく悔しい
続きはまた明日投下で……




ヒルダ「……昨日の夜は、アルトがなにをしていたのかわからなかったけれども、話を聞いた今ならわかるわ」

アルト「俺が? 昨日の夜? 一体、何を言ってるんだヒルダ……?」

ヒルダ「とぼけないでアルト。私とアルトは昨日、会っている筈よ」



アルト「……は?」





~ヒルダ回想~


シュンッ!

ヒルダ「ふぅ、ずいぶんと遅くなってしまったわ……ファーレンハイトの復興の目途がついたというから行ってみたのだけれども……ちょっと見て帰るつもりがこんな時間になってしまったわ」

ヒルダ「……次からは見つからないようにしないと駄目ね。まさかもてなされるとは思ってなかったわ。私がしたことを忘れたわけでもないでしょうに……」フイッ

ヒルダ「……もう、部屋に帰って眠りましょう」

……ゴソッ……

ヒルダ「? ……あれは?」


???「……」コソッ


ヒルダ「……アルト? こんな時間になにをしているのかしら」


???「……誰だ!」カッ


ヒルダ「……!」ビクッ

ヒルダ「……ア、アルト? どうしたのこんな夜に」ドキドキ

???「ヒルダ、か……いや、なんでもない。すまない、怒鳴ってしまって」

ヒルダ「……いえ、大丈夫。少し驚いただけ」

???「こんな時間まで起きていると体に悪いぞ。早く眠るんだな」

ヒルダ「ええ、私もすぐ寝るつもり……アルト、その大荷物はどうしたの?」

???「……なんでもない、ヒルダには関係ないさ。気にしないでくれ」

ヒルダ「そう……それなら、いいのだけれども」

ヒルダ「……さすがに、疲れてしまったわ。おやすみなさい、アルト。いい夢を」クルッ

???「ああ。お休みヒルダ。また明日……」

???「……ヒルダには、この姿を見られたくなかったな」

ヒルダ「……? それってどういう」クルッ

ヒルダ「アルト? ……もう行ってしまったみたいね」

ヒルダ「……? なにか落ちてる? アルトが落として言ったのかしら」ヒョイ


女性用の下着


ヒルダ「」

ヒルダ「……そうね、きっと、疲れてるんだわ。もしくは幻覚ね……風でも浴びてきましょう」フラフラ



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ヒルダ「……これが、昨日の出来事、アルト、忘れたとは言わせないわ」

アルト「ち、違う……俺は何も知らない……」

リゼット「アルト……私、信じてたのに……」

アルト「リゼット! 頼むから俺を信じてくれ!」

サクヤ「もう、観念しなさい……ネタは、もう上がってるのよ……」

ポポ「アルト……ポポね、アルトのことずっとずっと、待ってるから……」

ジゼル「……アルト、楽になりましょう。正直に認めれば、罪は軽くなるはずです」

アルト「誤解だ!! 犯人は俺じゃない! 俺がみんなの嫌がることをするわけないじゃないか!」

ドロシー「もうなんでもいいよ☆ とりあえずアルトをバラバラにしよっ? そしたらすべて解決じゃーん★」

アルト「やめろドロシー! それは何の解決にもなってない!」

ヒルダ「…………」スッ

アルト「ヒ、ヒルダ! 頼む! 信じてくれ!」

ヒルダ「……千年待ったんだもの。あなたが罪を償う、あと少しぐらい……私は、待つから、アルト……」

アルト「うわぁあああ! もう嫌だぁぁぁぁあ!!」ダダダダ

ポポ「あっ、アルト行っちゃった……」

サクヤ「……はぁ、なんだかどっと疲れたわ。放っておきなさい……」

リゼット「……ねぇ、サクヤ。さっきはアルトにあんなこといっちゃったけど、やっぱり私……」

サクヤ「……リゼットの言いたいこともわかるわ。私も、なんか釈然としない。証拠だけ見れば、犯人は確定的なのに」

ヒルダ「……ええ、そうね。私も彼が犯人である証拠をあげたけれども、彼の様子を見ていると……」

サクヤ「…………」

ヒルダ「…………」





~街道~


アルト「ちくしょう……俺が何をしたっていうんだ……」

アルト「もしかして、俺は夜に徘徊し動き回るような病気に……? いや、そんなこと今までなかったはず……でも、気づかなかっただけでもしかすると……」

レナ「……アルト、どうしてうつむいてるの?」

マリー「それに、さっきからなにか呟いてる……アルト、疲れてるの?」

アルト「っと……マリー、レナ。 そりゃ、あんなことがあったら……」

アルト(……っと、そっか、マリー達は外にいたから知らないのか)

アルト「ま、まぁ、俺のことは置いておいて! 二人とも何でここに……」

マリー「マリーね、レナと一緒にお買いものしてたの!」

レナ「うん! ビアンカさんのところで、かわいいもの探してたんだ! それでね、これ見つけたんだよ!」E.ブレスレット 

マリー「マリーも買ったの! レナとお揃いだよ! アルト、似合う?」E.ブレスレッド

アルト「……ああ、二人とも似合うよ。二人は本当に仲良しだな」

マリー「うん! レナとマリーはね、親友なんだ!」

レナ「……えへへ、そんなこと言われたら照れちゃうよ、マリー……//」

マリー「昨日もね、レナとモルディで一緒に遊んだんだよ!」

アルト「……モルディと? へぇ、珍しいな」

マリー「モルディがね、マリーたちの前でいろんな人形作ってくれてとっても楽しかったよ!」

レナ「それに、レナはモルディさんといろいろお話したんだ! すっごく盛り上がって楽しかったよ!」

アルト「モルディと、話が盛り上がる……? はは、それは俺も見て見たかったな」

マリー「レナもモルディ、すっごく楽しそうだったよ!……人形とかオーブとか、話が難しくて、マリーはよくわかんなかったけど」

レナ「えへへ、二人で盛り上がっちゃってごめんねマリー……次は三人でおままごとしようね!」

マリー「うん!」

アルト「……平和だ。すごく平和だ」ジーン

レナ「……あっ! そうだアルト、これ!」スッ

アルト「? なんだこれ」ピラッ

レナ「パパのオーブの請求書! いつでもいいけど、近いうちに払いに来てね!」

アルト「ああ、なるほど。わかったよ。今度払いに行くな」ニコッ

レナ「うん! ……それじゃアルト、またね!」

マリー「アルト、今度宿舎に帰るから、ポポやモルディたちによろしくね!」

アルト「ああ、二人とも気をつけろよー」



ツギハドコニーイクー? マリースイーツタベタイ! イイヨーイコマリー!






アルト「…………」

アルト「癒しだ……普通に接してくれるって、こんなに嬉しいことだったんだな……」ホロリ

アルト「……でも、俺、こんな請求されるほどオーブ買ったっけ? ちょっと料金が多いような……」

アルト「……なんて、今そんな場合じゃないよな。はぁ、どうしよう……」ドンヨリ

ダンテ「どうもこうもあるか。……ったく、急に出ていきやがって」

アルト「……ダンテ? 俺を探しに来てくれたのか?」

ダンテ「んなわけねぇだろうが。俺の向かう先にテメェがいただけだ。ちょうどいいからついてこい」ガシッ

アルト「え、ちょ、ぐぇ、し、絞まってる! 絞まってるって! そこ持つのはやめろ!」ギュゥゥゥ

ダンテ「くだらねぇこといってんな。ほら、行くぞ」ズルズル

アルト「ぐぇ……ダ、ダンテ、せめて首、首を楽に、絞めないようなやりか……たで……」ギュゥゥゥ

ダンテ「うるせぇ、黙ってついて来い」ズルズル





~カヤジの酒場~



カヤジ「……ほら、サービスだ。今日は飲めよ。アルト……」

アルト「うっ……俺が何をしたって……」

ラスティ「……災難だったな、アルト。まぁそう気を落とすなよ。生きてりゃこういうこともあるさ」

アルト「一番初めに逃げた人が言うセリフかよ……」

アーチボルト「アルト。俺はお前が犯人ではないと信じているぞ」

アルト「二番目に逃げた人が言うセリフかよ……」

ユアン「まぁまぁ……ここは気を取り直して、ほら、商会の伝手で手に入れたいい食材があります」

ダンテ「けっ、いつまでもしけた面してんな……ちょっと待ってろ、ユアン、その食材よこせ。俺が調理してやる」スクッ

アルト「ユアン、ダンテ……」ホロリ

キース「で、何故こんなことをしたのだアルトよ。あんな布きれの何がいいのだ? あんなもの盗る価値なぞないだろう」

アルト「うわぁああああ!!だから俺じゃないって言ってるだろぉおお!!」

キース「冗談だ。本気にするな」

ラスティ「……まぁ、実際お前にそんなことできるかって言われたら」

アーチボルト「まぁ、無理であろうな。魔女たちもああは言っているが、もう少ししたらアルトが犯人ではないとわかるはずだ。今は少し気が動転しているだけにすぎん」

アルト「ラスティ……アーチボルト……!」ジーン

ラスティ「そんな根性こいつにはない」

アーチボルト「まったくだ」

アルト「もう怒ったぞ。入団試験のやり直しだ。表に出ろラスティ、アーチボルト」




ユアン「まぁまぁ落ち着いて……ですが、実際のところヒルダさんの証言があります。これが謎です。ヒルダさんがあれはアルトで間違いないとまで証言していますから」

キース「ふん、あの女が嘘の証言をするとは思えんしな。だがアルトがそのようなことをすると思えん」

ダンテ「まぁ、本当にアルトがやったって説を信じるのが一番自然だけどな」

アルト「そんなぁ……ダンテまで……」

ダンテ「……けっ、お前がやったとは言ってねーだろうが。なんにせよ証拠もなにもかもたりねぇ。もう一度話をまとめたらどうだ?」

アルト「話……といってもな、女性陣の話はさっき全員聞いたし」

ラスティ「俺たち男組もなぁ……昨日は集まってゲームしてただろ? その後アルトが眠ってからの行動を知ってるやつはいるか?」

ユアン「いえ、たぶん誰も……」

アーチボルト「……アルトの無罪を主張することは、難しいな……」

アルト「うぅ……なんなんだよ一体……俺がいったいを何をしたって……」

キース「……本当に全員か?」

ラスティ「? なに言ってるんだ。キース」

キース「言葉通りの意味だ。本当に全員に話を聞いたのか? と言っている」

ユアン「といっても……女性陣の皆の話も、僕たちの話も……」

サクヤ「……あー、ごほん」

アルト「!? さ、サクヤ!? どうしてここに……まさか俺を粛清しようと……」

サクヤ「ち、違うわよ! そ、その……あんたに対する疑いが晴れたわけじゃないけど……やっぱり、あんたがそんなことをするやつとは思えないのよ……だから、謝りに来たの。その、一方的に悪かったわね」

ポポ「ポポも! アルトはやっぱりみんなが嫌がるようなことをするような人じゃないよ! ……アルト、ひどいことたくさん言ってごめんね」ショボン

アルト「み、みんな……!」

リゼット「というか、アルトにそんな度胸、絶対ないよね?」ニコッ

アルト「ぐふっ……」

サクヤ「キース、あんた面白い話してるわね……私もさっき、それに気が付いたわ」

ユアン「気が付く? 一体、さっきから一体何を……」

キース「……ハァ、教えてやれ、サクヤ。その役目をお前に譲ろう」

サクヤ「あんたにそんな風に言われるのは癪だけど……まぁいいわ」





サクヤ「……まだ私たちのだれも、モルディを見てないの。あの子の話を誰も聞いてないわ」






~モルディの部屋~



アルト「モルディ!」バターン

モル「……ここには誰もいない。私は布団。布団の魔女」

サクヤ「つまらない嘘ついてるんじゃないわよ」バサッ

モル「あう……」

アルト「モルディ、正直応えてくれ。お前が今日、食堂に来なかったのはただめんどくさかったからか? それとも何かあったのか?」

モル「……」フイー

サクヤ「目を背けるんじゃない」グイッ

モル「うー……ちょっとめんどくさい事が起きて、現実逃避してた……」

アルト「めんどくさいこと? それって、もしかしてモルディも下着を?」

モル「……? なんのことか、私はわからない。第一、下着の確認なんていちいちしない」

リゼット「あはは……モルディらしいね」

アルト「じゃあ、めんどくさいことって? 教えてくれ、モルディ! 今、俺はとても危ない状況なんだ! 本当! 助けると思って頼むモルディ!」

ポポ「アルト……そんなに必死に……」

モル「あぅ……説明するのは、盛らない……でも、説明、する……」



モルディ「……これで全部。喋るの、疲れた」

アルト「……今の話が本当なら、もしかすると……」

ヴェロニカ「話を聞く限り、たぶんアルトの考えてることで間違いなさそうっすねー。ヒルダとアルトの話の食い違いの話の筋も通るっす。論理もなにもかもあったもんじゃないっすけど」

ヒルダ「……」ギュッ

アルト「じゃあ、今回の事件の犯人は……」


メディア「……あら、指揮者アルト。何故ここにいるのかしら?」

ポポ「メディアさん! どうしてこんなところに?」

メディア「ちょっと、荷物のもち運びで……おかしいわね、さっき館の前にアルトがいると思ったのだけれども……気のせいだったかしら?」

アルト「……いや、メディアさん。それは気のせいなんかじゃない」

アルト「行こう。この事件を終わらせるんだ」





~調律ノ館前~






???「……来たか」

アルト「…………」




アルト「……モルディから聞いた、お前のこと」

???「そうか、ならばもう潮時と言う事だろうな。影から見ていたが、なかなかに滑稽だった。狼狽えるお前の姿を見るのはなかなかに面白かった」

アルト「どうして、こんなことを?」

???「……なぜ、なのだろうな。俺にもわからない。俺自身には下着に対する執着などはないしな。ただ、そう動かざるを得ないような気がしてならなかったのだ」

アルト「……じゃあ、俺の部屋に下着を置いたのは」

???「……前半は、お前に悪戯をしたくなったのだ、ということにしておいてくれ」

アルト「……そっか」

???「それで、答え合わせといこう、といっても、もうわかりきった答えではあるが……そうだな、解説を願おうか。指揮者よ」

アルト「……そうだな、全部終わらせよう」



アルト「始まりは、モルディの泥人形だ」




アルト「モルディは新作の泥人形を自分の部屋で作ろうとしていた。たぶん、ちょっとした興味だったんだろうな。レナと前日に話した議題について気になったんだろう」

???「その議題というのは?」

アルト「……議題、っていうほどの難しいものでもないな。子供らしい純粋な疑問、っていったほうが正しい。ずばり、【泥人形にオーブを混ぜたらどうなるか】」

???「…………」

アルト「昼にオーブの料金を迫ってきたレナに対して、いつ買ったものかわからなくて少しもやっとしたけど、これはモルディの買ったオーブの代金の請求だったんだ。確認を取ってみたらやっぱりそうだった」

アルト「準備が整ったモルディは、気になっていたそれを実行に移そうとした。それがこの事件の始まりだ」



???「……土人形は、土の魔女の言うことを聞く、純朴な存在ではないのか? まさか土の魔女が下着を盗むように指示したわけではないだろう」

アルト「一概にそうとも限らないさ。俺は、確かな自己と意思を持った土人形を知っている」

???「だが、それは普通の条件下では作られまい。きっとその土人形は土の魔女にとって特別な存在であったのだろう。だが、俺は本当にそうか?」

アルト「……そうだな。確かに、普段ならこんなことになったりはしないだろう。だからたぶん、今回は【三つ目の材料】も大切なんだ」

???「……三つ目の材料、か」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



サクヤ「……だんだん、見えてきたわね。今回の事件のこと」

ヒルダ「……もしかして、あれは……」ギュッ

ポポ「モルディすごい!それ、どんな材料でできてるの!?」

モルディ「土人形の材料は、土と、今回はオーブ……と」

アルト「……と?」

モルディ「……オーブを入れて作るって発想に、気持ちが、盛ってた……」

モルディ「だから、普段は使わない、特別な材料を盛った……」

ポポ「特別な材料、それは……!?」

モルディ「砂漠じゃ、使えなかった材料……」





モルディ「お風呂場の水、適量で、より泥っぽく」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




アルト「昨日の風呂場の水……本人がどっちからとってきたか覚えてないっていうから、仮に男風呂からとってきたと仮定しよう。昨日は俺が一番風呂で、入ったあとに次の奴が入るまでにかなりのタイムラグがあったんだ。たぶん、その間にモルディが適当に取ってきたんだと思う」

アルト「その水を使って、モルディはオーブの入った泥人形を作り、塗りこんだ水が乾くまでドロシーは寝ることにしたらしい」

アルト「そして……次の日、その泥人形は忽然と姿を消したそうだ。めんどくさいことになったとモルディは、俺達が行くまで布団と一体化していたよ」

アルト「土人形、オーブ、普段使わない水という新材料……これは、そのすべてが奇妙に一致したことで生まれた事件だったんだ」

アルト「……今回の騒動は全てこの土人形。つまりお前の仕業なんだ」






アルト「……そうなんだろ、エルクレスト」





???「……そうだ、さすがは【俺】だな」




エルクレスト「その通り、俺が、今回の事件の犯人だ」






ヒルダ「……エルクレスト……」

リゼット「すごい、ほんとにアルトにそっくり……!」

ラスティ「それはそれとして、長かったなぁ……」

アーチボルト「……少し、肩が凝ったな……」

ドロシー「いくらカッコつけてもこれ下着ドロを巡った話だからね。そりゃあしまらないよね☆」





エルク「なるほど……俺が出てきたのは、お前の体液が混ざった水……いや、この場合はそれだけの話ではないな。お前は、きっとその風呂場で俺のことでも考えていたのかもしれない。もしくは他にも原因が。なんにせよ、その水が土人形にエルクレストとしての自我を与えたのだろう」

アルト「ああ、確かに言われてみれば風呂場の中で、エルク、お前のことを考えていたよ……」

エルク「といっても、私は本物ではない。エルクの記憶を継いだけの偽物であるのはまちがいないがな」

アルト「…………」

エルク「……どこから気づいた?」

アルト「……はは、俺は頭はよくないからな。仲間がいなかったらたぶん、まだわかってない」

エルク「ふっ、それは、いい仲間に恵まれたな」

アルト「ああ、本当にいい仲間に恵まれたよ。俺の自慢だ。今日一日でその仲間にかなり心折られたけどな」

エルク「ふふ……それで、アルト。お前は俺をどうする?」

アルト「……たぶんだけど、お前がみんなに下着を盗んだのなんて、自分の意思じゃないんだろ?」

エルク「…………」

アルト「さっき、お前自身が少し触れてたけど、その行動はたぶんお前の中に仕組まれたもの……たぶん、オーブが原因なんだ。お前の中にある小さな思いに反応して、それに過剰な反応をとらせている……違うか?」

エルク「……ああ、恐らくその通りだ。恥ずかしい話だが、旅では禁欲そのものだったからな。平和な暮らしをみて少し性欲が暴走してしまったのかもしれない……だが、よくわかったな」

アルト「お前がそんなことをしないのは、俺が一番わかるさ」

エルク「なら、俺がお前に罪をなすりつけようとしたのも……アルト、お前ならわかるだろう?」

アルト「……ああ、そうだな。俺には分かるよ」

エルク「…………」

アルト「…………」

エルク「……俺が経験したわけじゃない、が。お前がこの件で狼狽え、狼狽する。そんな【平和】な光景、楽しませてもらった」

アルト「エルクレスト……」

エルク「ばれたなら、もう消える頃合いだろう。それに、世界を救う英雄などではない、【平和を脅かす小さな事件の黒幕】という滑稽な役になることもできたしな。悔いはない」

エルク「……だから、もう十分だ」




ドロシー「かっこいいこと言ってるけど、あれ下着ドロの真犯人とその冤罪ふっかけられた人のけっちゃもぎゅぅ……」

ダンテ「黙ってなドロシー」






アルト「……モルディ、泥人形の解除はできるよな?」

モルディ「問題、ない」

ヴェロニカ「……いやー、懐かしい顔に会えてうれしかったすよ? 偽物っすけど。まぁ冥土でもよくやってくださいっす」

ヴェロニカ「あ、別に返答とかいらないっすよ。というか何もしゃべらなくていいっす。自分今これ以上話したらたぶん爆笑しておかしなことなっちゃうんで」

エルクレスト「……ふっ、ヴェロニカはかわらないな……」

ヒルダ「……エルク」

エルク「……ヒルダ。 俺は……キミに呪いをかけてしまった」

ヒルダ「いいの。後悔はないわ……。それに、またあなたに会えて、私も嬉しい」

エルク「……俺はもう過去であり、ここにいるものは偽物だ。幸せにな、ヒルダ」

ヒルダ「……ありがとう、エルクレスト」

エルク「……こちらこそ、ありがとうヒルダ……さようならだ」


エルク「……手間をかけてすまない。さぁ、私を土に還してくれ」

アルト「エルクレスト……」

エルク「ありがとう、アルト。千年前にはなかった平和な世界を感じることができたんだ。悔いはないさ。上等」

アルト「……この平和は必ず続けて見せる。だから、安心してくれ」





モルディ「……盛る」スッ













ドロシー「というかさ、何か消す流れになってるけど。別に今消す必要もないんじゃない?」






アルト「……え?」

エルク「……何?」

ドロシー「なーんか、消える流れになってるけど、下着盗んだのは自分の意思じゃないんでしょー? だったら別にそんな急いで消える必要なくない?」

エルク「……だが、俺はもういてはならないはずの人間だ。それに迷惑もかけている。こんな平和を体験できただけで」

ドロシー「平和ってどこがどこが? こんなん出てきてオーブ?のせいで下着盗んだだけじゃーん。平和を感じることができたとか言われてもわけわかんないし」

ヴェロニカ「……気持ちはわかるっすが、ドロシー、おすすめはできないっすよ。エルクを知る者、そしてオーブシステムの開発者として言わせてもらうっスけど、今のエルクは危険っす。最悪暴走する危険すらあるっすよ」

ドロシー「それが何か問題? そっちは一人、こっちは16、負けるはずないじゃん☆」

ヴェロニカ「だが、しかし……」

エルク「……くく、そうか。俺一人が暴走しようが、問題ないというわけか」

ドロシー「そそ、英雄とか知らないし、ドロシーたちはみんなで戦えば神様すら倒しちゃうんだよ? 負けるわけないじゃーん」

ポポ「……確かに! エルク! もっとゆっくりしていきなよ! なんだかアルトのお兄さんみたいでポポわくわくするよ!」

リゼット「……なんだか、エルクレストが消えるっていったら自然に消える流れになってる辺り、やっぱり英雄の威厳って凄いね……」

サクヤ「……下着ドロでもあんなに堂々とふるまえるだから大したもんね。次私の前でそんなことしたら20枚に下してやるわ」

ヴェロニカ「……だが長期間はおすすめできないっす」

ドロシー「だったらあと一日ぐらい、ゆっくりしていけばいいじゃん☆」

ヴェロニカ「はぁ……わかったっす。エルク、二度もヒルダを泣かせないようにするっすよ」

エルク「……はは、これは驚いたな。アルトの中で見ていたよりもすごいんだな。調律騎士団と言うのは」

アルト「……ああ、俺も驚いたよ。本当に自慢の仲間たちだ」



………………

………





ダンテ「……とりあえず、飯でも作るか」

ラスティ「それは名案だぜダンテ! 英雄さまにうまいものたらふく食わせてやろうぜ!」

ユアン「だが食べるだけでは……何か余興も用意したほうが……」

ラスティ「それだったら昨日のカードゲームの続きだ! 次は野郎だけじゃねぇ! 全員でやるぞ!」

ユアン「ラスティ、あなたって人は……」

ポポ「なにそれ? ポポにもできるかな?」

キース「案ずるな。王の器たるお前がお前を勝利へと導いてやる」

ポポ「ほんと!? ありがとうキース!」

サクヤ「それに、積もる話もあるしね……なんで盗んだとかなんで盗んだとか……」

リゼット「はは……もう許してあげなよサクヤ……」

サクヤ「駄目よ。たとえオーブのせいとしても私が納得するまで徹底追及。乙女の秘密はそれだけ重いのよ……」

ののか「サクヤさま……流石です! そうです、乙女の秘密はとっても重たいのです!えへん!」

リゼット「うーん、ののかがそれ言っても説得力が薄いかな……」

エルク「……これは、また楽しめそうだな」クスッ

アルト「……はは、暴走しないようにしてくれよ?」

ツギハマケネーカラナァ! トリアエズオマエラタベタイモノ…サクヤサマサスガデス!





ヴェロニカ「…………」

ヒルダ「……?」




………………

………





ヴェロニカ「…………」

ヒルダ「……ヴェロニカ、みんなはもう行ってしまったけれども」

ヴェロニカ「……くっくっく……あーっはっはっは! いやー、笑いを抑えるのに苦労したっす。もうヒルダしかいないっすから笑うっすけど、こんなのおかしいっすよ。くく……」

ヴェロニカ「ドロシーの空気のよめなさも大概に面白かったっすけど……それ以上に」

ヴェロニカ「はぁーぁ……エルクレスト、やっぱすげーやつっすよ」

ヒルダ「……どういうこと?」

ヴェロニカ「いやいや、全てっすよ。まず前提として、たかが体液の混ざった水であそこまでの自我を持つことが、理解不能っす。仮説を立てるなら、アルトの持つクオリアが関係しているのかもしれないぐらいっすよ。なんにせよ間違いなく偶然の産物。研究したい気もするっすけどそこは我慢。自分が高笑ったのはそれはまた全然違う理由っすよ」

ヒルダ「……というと?」

ヴェロニカ「さっきも言ったっすけど、オーブの理論を組み立てたのはウチっすよ」

ヴェロニカ「あれは、武器に組み込むからいいんすよ。それでちょうどいい。武器を伝わって、オーブに呼応した持ち主の思いの強さを引出し、能力を上げる。いいっすね。わかりやすいっす」

ヴェロニカ「……でもっすね、体に無理やり組み込むなんてありえないっすよ。そんなことしたら暴走するっす。開発者である自分が断言するっす」

ヒルダ「……? だから、実際に暴走してたじゃない」

ヴェロニカ「下着ドロ? そんなの暴走なんて呼ぶに値しない。オーブが体に組み込まれ、下手をすると心の代用品がオーブそのものなんだ。1の思いが100に増幅されたっておかしくない。あれだけの自我を私の前で晒し、被害がその程度で済んだなんて笑わせる」

ヴェロニカ「といっても、もちろん泥人形の体だから、初戦は偽物だから、とかの特殊な理由で軽減された可能性もあるから、一概にはいえないっすけどねー。でも、もし後者の考え方をしたらって考えたら、おかしくて涙が出るっす」

ヒルダ「……後者?」

ヴェロニカ「1の気持ちを100増幅されたら、その94を無理やり自分で抑え込んだかって考え方っすよ」

ヒルダ「……あなたのなかでは、たった5の段階であのエルクが下着を盗むという結論に至るのね」

ヴェロニカ「開発者っすからね。断言できるっすよ。あの生真面目なエルクが下着ドロをするのが5っす。それだけ、エルクは自分の気持ちを抑えるのが得意だったのかもしれないって考えたら、おかしくて涙がでるっすね」

ヒルダ「…………」ギュッ

ヴェロニカ「……にしても改めて聞くとあのエルクが下着ドロっすか。それも笑えるっすねー……」

ヒルダ「……ええ、そうね。本当に笑える話だわ」

ヴェロニカ「……フランジスカもミリーも」

ヒルダ「カエデも、ウクナも……全員信じないでしょうね」

ヴェロニカ「…………」

ヒルダ「…………」

ヴェロニカ「……まー、こうなったのも何かの縁っす。今日は楽しむっすよー」

ヒルダ「……ええ、彼を送り出すためにも」





………

………………

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