清麿「第2の術ッ!! 岩山両斬波ッ!!」 (240)
清麿「」
水野「はい、高峰くん! あーん♡」
金山「このマスクメロン、うめえな!」ガツガツムシャムシャ
岩島「バナナの早食いなら誰にも負けない気がするや」ヒュポンヒュポン
山中「こ、このナースコール押したらさっきの美人ナースが来るのかな……///」ハァハァ ピンポーン
清麿「おい……」
エド&ウィンリィ戦で入院をして……。
水野「あ、そーだ! 皆で千羽鶴おったんだ! 正確には950羽で疲れちゃったから、950羽鶴なんだけどね♡」ガサガサ
金山「こっちの夕張メロンもうめえな!」ガツガツムシャムシャ
岩島「あ、ちょっと屋上でUFO呼んでくる」タタタ
看護師長「呼びました?」
山中「うわ、ババアが来た……」ズーン
清麿「お前ら、何しに来た……?」
早くも1週間である……。
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水野「何ってお見舞いだけど?」
清麿「うん、お前はいい。ちゃんとお見舞いらしいことをしてくれているし、むしろ居てくれると助かる。……問題はオイ、お前らだ」
金山「んが?」ムシャムシャ
山中「ん?」ショボン
清麿「一体何しに来たんだ! お見舞いのフルーツか!? 美人ナースか!? 岩島に至っては何なんだアイツ!! 公園でやってろよ!!」ンガアアアアアアアアア
明らかに冷やかしに来た連中に対する怒りが一気に込み上げてくる。
こちとらトイレに行くのだってやっとって時に、こうも自由に振る舞われりゃ怒りたくもなる。
金山「まぁそんな怒んなよ……。これでも一応心配してやってんだからよ」
山中「そうだぞ。それよりあのババアじゃない方の看護師さんは何て名前なんだ?」
清麿「知るかッ!! もう帰れッ!!!!」
ケンシロウ「おい清麿……せっかく来てくれた友人に対して無礼だぞ……」ピコピコ
清麿「お前も何のためにずっとここにいんだ!! 一日中ベッドに腰掛けてゲームやりやがって!!」
――せめて入院中くらいは静かに過ごさせてほしい……。
しかし、そんな心の叫びは誰にも届くことは無かった……。
シャッ!!!!!
清麿「!?」ビクッ
突如、隣で寝ている入院患者側のカーテンが開いた。
お見舞いに来ていたと思われる少女がこちらを睨みつけている。
???「……うるさい。非常に迷惑」
清麿「あ、すみません……」
シャッ!!!!!
再びカーテンが閉じられる。
しまった……。
騒ぎ過ぎたようだ……。
水野(怒られちゃった……)ヒソヒソ
金山(なんかおっかねぇな、隣の人……)
山中(もう声は出さないようにしよう……)ピンポンピンポンピンポン
清麿(いいからお前らはもう帰れ! 怒鳴ったことは謝るから)
看護師長「呼びました?」
山中(ババア来ちゃったよ……)ズーン
***
???「ちゃんと黙らせておいた……」
???「いや、気持ちは嬉しいけどさ……。あんな言い方はねえだろ!」
???「……ごめんなさい」
ケンシロウ以外が帰ってしばらくした後、隣のベッドの会話がカーテン越しに聞こえてきた。
そう言えば今朝救急病棟から移ってきたらしいが、案外元気なようだ……。
ケンシロウ(今日の新聞だ。三面記事を見てみろ)ポンッ
清麿「?」
ケンシロウが本日付の新聞を手渡す。
訝しみながら開いてみる。
清麿(男子中学生、ダンプカーにはねられて意識不明の重体……?)
目に留まったのはかなり大きな事故の記事。
しかも搬送先はここの病院になっている……。
ケンシロウ(ちなみに昨日の急患は一人だけだそうだ……)
清麿(それってつまり……)
ケンシロウ(ああ、隣の奴だ……)
たまたま当たり所が良かったのだろうか……?
まぁこれだけ大きな事故なら、騒がれて怒るのは当然かもしれない。
だが……しかし……。
ミカサ「……そう言えば着替えを持ってきた。すぐに退院できるとは思うけど、一応1週間分ある……」
エレン「おう、サンキュー。まぁ完治しても精密検査とかですぐには出られないかもしれないけどな」
ミカサ「それから、持って帰って洗うから、昨日から着てる奴を脱いで」
エレン「今か?」
ミカサ「うん」
エレン「……なら、ちょっと後向いててくれねえか?」
ミカサ「無理」
エレン「何でだよ……」
清麿(兄妹かな……?)
盗み聞きしてるようで悪いのだが、自然に耳に入ってきてしまう。
ただの同級生ではなさそうだが、ああやって心から心配してくれるってのはいいもんだ。
清麿はクラスのアホ男3人を思い出し、苦虫を噛み潰したような顔になった。
エレン「あ痛ててて……」ズキッ
ミカサ「無理に動こうとしちゃだめ。私が脱がす」
エレン「だっ大丈夫だって!! やめろよ!! なんか恥ずかしいんだよッ!! ///」
ミカサ「パートナー相手に今さら恥ずかしがる必要なんてない。どこにもない。そのパンツを抑えている手をどけて」グイッ
清麿「」
エレン「いい加減にしろって! ちょッ! 看護師さんッ!! ナースコール!! ナースコールはどこ行ったッ!? ///」
ミカサ「ナースコールの残骸ならここ」
エレン「何してんだミカサッ!! 看護師さん呼べなくなっちゃっただろ!!」
ミカサ「他の女を呼ぶ必要なんかない。いつも私が傍にいる」
エレン「お前は洗濯物もって帰るんだろうがッ!!」
ミカサ「帰る気なんか毛頭なかった。選択する気も無い。ただ脱がせた下着をハスハスしたかっただけ」
エレン「こっこいつ頭おかしいぞッ!? 看護師さーん! かんgもがあああああああ!!! ///」
ミカサ「さぁ、今からエレンのパンツを……////」ハァハァ
清麿「」ピンポーン
清麿はとりあえずナースコールを押した。
前スレ見ました。この文章とEDで締める終わり方どっかで見たことあるなと思ったけどもしかしてカンクロウSSの人かな?
>>21
そうです。
***
ミカサ(看護師を呼んだ奴は誰……? 許さない……絶対に許さない……)ブツブツ
エレン(助かった……)
清麿に呼ばれてやって来た看護師は、エレンが見舞客に襲われているのを見てすぐに助けに入った。
注意されて謝罪するミカサだったが、看護師が去ったと同時に病室に響き渡るレベルの舌打ちをかましていた。
ちなみに清麿はナースコールを押してすぐに病室から逃げ出している。
エレン「……ちょっと俺、ロビーの方行ってくるわ」
ミカサ「私も行く」
エレン「来んな。しばらく一人にしてくれ」
ミカサ「……。……分かった」
エレンもまた、車いすに乗って病室をあとにした……。
***
清麿「はぁ……。なんか大変なのと相部屋になっちゃったな……」
松葉づえに寄りかかり、自販機で買った100%メロンジュースをグビリと飲む。
モダンな造りのこの病院は採光に気を遣っていて、ロビーにいるだけでも少し気分が晴れる。
周りにもちらほらと入院中の爺さんや婆さんがソファに腰掛けているのが見える。
清麿「この足も、いつ完治するのかわかんねぇもんな……」
自分の足も結構複雑に折れていたりするわけで、彼らとは長い付き合いになるかもしれない……。
エレン「あ、どうも……」キコキコ
清麿「……?」
車いすに乗った少年が、自分の近くに空いているスペースを見つけてやって来た。
見たところ、どうやら日本人じゃないらしい……。
それにしてもこの声はまさか……。
清麿「……あ、その声……もしかしてお隣のベッドの……?」
エレン「え?」
清麿「俺、103号室に入院してる高峰です」
そう言って清麿は笑いかける。
こっちの少年の方は多分大丈夫だ。
頭おかしくない方だからきっと大丈夫だ……。
エレン「あぁ! お隣の! イェーガーです。エレン=イェーガー。あ……さっきはホントすみません……。うちのが失礼なこと言ったみたいで……」
丁寧な態度で挨拶をしてくる。
よかった……。
常識人で本当によかった……。
清麿「いえ、別に気にしてはいないんですが……。……妹さんですか?」
エレン「へ? あ、いやまぁその……複雑な関係でなんて言っていいのか分かんないんですが……」
清麿「大丈夫、分かりますその気持ち。俺にもそういう関係の大男がいますから……」
エレン「そうですか。そりゃあ良かった! ハハハハハハ」
清麿「ハハハハハハハハハ」
エレン「ハハハハハハハハハハハハ」
清麿「ハハハハハハハハハハハハ」
清麿「ハァ……。……大変ですね、色々……」ズーン
エレン「えぇ……まぁ……。分かります? この苦労……」ズーン
清麿「いや俺、パンツ脱がされて臭い嗅がれそうになった経験無いんで……」ズーン
エレン「はは……そりゃそうか……」ポロポロ
エレンはあまりのやるせなさにポロポロと涙をこぼした……。
***
清麿「へぇ、ダンプカーに……」
エレン「えぇ……道歩いてたら突然後ろから猛スピードで。自分はそこで意識が途絶えたんですけどね……」
清麿「で、そのダンプカーは?」
エレン「なんか逃げようとしていたみたいです。ミカサが犯人二人を取り押さえて警察に引き渡したそうなんですが、まだ自分は見てないです……」
清麿「それはひどい……」
エレンの話を聞いたところ、やはりダンプにはねられた急患というのは彼のことだったようだ。
普通なら即死でもおかしくない状況だが、きっと運が良かったのだろう。
今は車いすに乗っているが、随分と痛みは引いてきたらしい。
清麿「それにしてもミカサさん、物凄い人ですね。二人も取り押さえるなんて……」
エレン「もしかしたらアイツのデマカセかもしんないですけどね」
清麿「ハハハ! だとしたら可愛いですね。この際自分の株あげちゃえ、みたいな」
エレン「ハハハ!」
……このとき清麿はまだ知らなかった。
ダンプカーで襲ってきたのが魔物とその本の持ち主で、凄惨なバトルが繰り広げられていたということを……。
先生!高峰ではなく高翌嶺だと思います!
>>53
確認したところ、高峰ではなく高嶺でした。
すみません。
――――――――――――
――――――――――
――――――――
ブ――――――――――――ン……
ドガアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!
エレン「ぎゃあああああああああッ!!!!?」ドヒューン
ミカサ「エレンッ!?」
???「魔物は片づけたじゃ~ん……」
???「パートナーの方はただの女だ。本を奪うくらいわけない」
ミカサ「エレンッ!! しっかりしてッ!! エレンッ!!!!」ウワアアアアアアアア
カンクロウ「残念だったな。そいつは二度と目を覚ますことはねぇ。大人しく魔本をよこすじゃん?」ゲラゲラ
バキ「カンクロウ、ダンプカーとはいいアイディアだったな!」サッ
カンクロウ「ああ。ウンコみたいな術しかない俺でも、ようやく魔界の王の座が見えてきた」ガシッ
10分後
ミカサ「」バキバキッ! ゴカッ! ゴカッ!!
カンクロウ「がああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!! 燃やしてくれぇえええええええええええ!!!!!!!!!!! 本を燃やしてくれぇええええええええええええ!!!!!!」
バキ「ごめんなざいッ!!!! ごめんなざいぃぃぃ!!!!!!!!!!!」
10分後
カンクロウ「こここコンクリートはだめじゃん!? 殺人じゃんッ!?」ビクビク ジョバババババババババ
バキ「カンクロウはどうなってもいいッ!! 俺だけはッ!! 俺だけはッ!!!!!」ウアアアアアアアアア
カンクロウ「バキてめッ!! おい女ッ!! コイツから先にこぼごががががががが……」
――――――――
――――――――――
――――――――――――
エレン「だから俺はアイツの事、信頼してるんです。……たまに奇行に走りますけど」
清麿「……大丈夫です。また襲われてたらナースコール押しますから」ハハハ
本当にいい関係なのだろう。
俺もケンシロウと、こんな風になれるだろうか……。
エレン「高嶺さんだったんですね……。さっき助けてくれたの……」
清麿「……清麿」
エレン「?」
清麿「清麿って呼んでくれないか? 入院してる若い奴は俺たちだけだし、あまり他人行儀にするのも結構疲れる」
エレン「……。ああ、分かったぜ清麿」ニッ
どちらからともなく手が差し延ばされ、握手をする。
先ほど知り合ったばかりだと言うのに、何故かこいつとはあらゆる点で気が合う。
清麿は暖かな心の交流を感じた。
***
ミカサ「エレン」
エレン「!」ビクッ
清麿「!」ビクッ
いつの間にか背後に先ほどの少女がいた。
二人とも突然声をかけられてびくりとする。
ミカサ「そろそろお昼ご飯の時間。病室に戻った方が良い……」
エレン「お、そうか……。悪いな、わざわざ……」
エレンはそう言って車いすに手をかける。
エレン「じゃあ俺は先に戻る。清麿、暇ならあとで将棋でも指そうぜ?」
清麿「ああ。言っとくが、俺は強いぞ?」
エレン「ハハ、楽しみにしとく」
ミカサ「エレン、押そうか?」
エレン「いや、こうやって手を動かすのもリハビリになる」
ミカサ「そう……」
去っていく後姿を見ながら、いい友達ができたもんだ……と思う……。
カリリリリ……
清麿「!?」
突如、のど元に何か冷たいものが当たる。
何だコレ……。
しかもあのカリリって音……。
かかかカッターナイフッ!!?
清麿「え、ちょ、は!?」
ミカサ「今夜またナースコールを押そうもんなら……殺す……」
清麿「」コクコクコクコク
汗をダラダラ流しながら、懸命に頷く清麿。
それを確認したミカサは、無言のまま立ち去った……。
***
ケンシロウ「オアタッ!!」ピシッ
エレン「二歩だ」
ケンシロウ「ほあッ!?」
昼食をとった後、将棋を始めた清麿たち。
清麿とエレンではあまりに実力差がありすぎるため、しばらくエレンはケンシロウと刺すことにしたのだが……。
ケンシロウ「オアタッ!!」ピシッ
エレン「二歩だ」
ケンシロウ「ほあッ!?」
ケンシロウ「オアタッ!!」ピシッ
エレン「二歩だ」
ケンシロウ「ほあッ!?」
ケンシロウ「オアタッ!!」ピシッ
エレン「二歩だ」
ケンシロウ「ほおおおおおおおおう……」ショボン
清麿「いい加減ルール覚えろよッ!!」
エレンとケンシロウの実力差はいかんともし難いものだった……。
***
ミカサ「エレン、そろそろ体を休めないとダメ」
エレン「ちょっと待て、今いいとこなんだ」
ケンシロウ「ほおあああああああ……」プルプル
オセロに切り替えてからはある程度、勝負らしくはなってきた。
と言ってもケンシロウは既に角をすべてとられ、今にも泣き出しそうな顔になっているが……。
ミカサ「エレン!」
エレン「うるせえなぁ……。お前は俺の母さんかよッ!」
ミカサ「」ギロリ
ミカサが清麿を睨む。
途端に胃が縮み上がりそうになる。
きっとそろそろ二人だけの時間が欲しくなってきたのだろう……。
清麿「みみみミカサさんの言う通りだぞエレン? 今日はこの辺にししししておいてだな!」ガタガタ ポタポタ
噛みまくる清麿。
エレンには清麿の目がなんとなくSOSを訴えているように見えた……。
エレン「? まぁ清麿がそういうなら……」
渋々オセロを片づけるエレンとケンシロウ。
ケンシロウは安堵の表情を浮かべている。
シャッ!!!!
片づけが済むと同時に、ミカサは厳しい表情のままカーテンを勢いよく閉めた。
***
一方、魔物の中にはまだパートナーを見つけ出せないでいるものもいた。
ヒソカ「そろそろパートナーを見つけとかないと、獲物がどんどんいなくなっちゃうな♠」
てっきり人間界に降り立てば、自然に巡り合うものだと思い込んでいた。
しかしどれだけ捜しまわっても、まったく本の持ち主に会えない。
こんなに数多くの人間がいる中で、どうやって見つけ出せと言うのだろう……♣
このボクにビンビンくるような子が、ほんとにいるんだろうか……♢
……ん?
ヒソカ(……95点!!)ピクッ
途方に暮れていたそのとき。
ヒソカの研ぎ澄まされた感覚が、金の卵を捉えた。
ヒソカ(……彼か♡)
ヒソカの視線の先には、一人の男がいた……。
***
カイジ「くうううううううううう!!!!!!!!!」ポロポロ
カイジ(無いッ……! あるはずが無いッ……!! ここからの起死回生の逆転劇が起こる可能性は……ッ!! 限りなくゼロ……ッ!!!!)ポロポロ
利根川「カイジ君……早く引くんだ……。地下王国が君を待っとるぞ」ニヤニヤ
地下王国での強制労働130年がかかった大勝負。
ポーカーで負けがかさんだカイジにとって、強制労働はほぼ確定したようなものだった。
あと、100万ほどあれば……ッ!!
もう一度チャンスが訪れるかもしれないのに……ッ!!
大粒の涙がひたすらこぼれ続ける……。
ヒソカ「たまには裏カジノも覗いてみるもんだな♠ こんなにおいしそうなキミに出会えた♣」
カイジ「!?」ハッ
利根川「な、何だお前はッ!? 邪魔だッ!! あっちへ行けッ!!」
突如カイジの前に現れた、奇術師ヒソカ。
彼はペロリと舌なめずりをした……。
カイジ「アンタッ!!! 頼むッ!!! 100万貸してくれッ!!!! 必ず勝って返すからさ!!!! 頼むッ!! 頼むよッ!!!! 頼むううううううううう……ッ!!!」ガバッ
すぐさま土下座を始めるカイジ。
しかしヒソカはそんな姿に目もくれない。
ヒソカ「悪いけど、ボクはキミには興味ないんだ♢」
カイジ「はぁ!?」
ヒソカ「興味があるのはそう……キミさ♡」
そう言ってヒソカは利根川を指さした。
利根川「意味が分からん! おい、そこのお前らッ!! コイツをつまみ出せッ!!!」
数人の黒服が一斉に掴みかかる。
しかしヒソカはそれを瞬く間にのしてしまった……。
利根川「……ッ!?」
ヒソカ「きっとキミなら読めると思うんだけどね♠」
ずいっと利根川の前に魔本を差し出す。
利根川はまったく理解できないまま、パラパラと数ページめくった。
ヒソカ「どうかな♣」
利根川「ど、どうって聞かれても……読めん……」
ヒソカ「1ページも?」
利根川「……1ページも」
ヒソカ「……そう♢ ならいいや、バイバイ♡」
利根川(な、何だったんだ……?)
ヒソカはそう言って立ち去った……。
利根川「……さぁカイジくん、引きたまえ」ニヤニヤ
カイジ「くううううううううううう~……!!」ポロポロ
ヒソカ「またハズレか……残念♠」スタスタ
***
モガアアアアアアアアア!!!!!
ヤメロ!!
キモチワルイダロオイ!!!!
ケンシロウ(清麿……先ほどの将棋で分かったことがある……)
夕食を食べ終えた清麿に、ケンシロウはヒソヒソと話しかけた。
清麿(何がだ? お前が馬鹿だということか?)
ケンシロウ(違う……。隣のベッドに寝ている男……。あいつは魔物だ……)
清麿「はぁ!?」
突然の申告に思わず声をあげる。
ケンシロウは静かに人差し指を口元に持っていく。
シャッ!!!!!
清麿「!」
またもやカーテンが勢いよく開かれる。
ミカサが口をくっちゃくっちゃさせながら、不機嫌そうな顔でこちらを睨んでくる。
清麿「あ……すいません……」
ミカサ「……エレンは今食事中。静かにしてほしい」クッチャクッチャ
エレン「清麿ッ!! 助けを呼んでくれッ!! 頭おかしいんだコイツッ!!! こいつ俺のご飯をクッチャクッチャ噛んで、それを俺nもがっ!!!」
シャッ!!!!!!
ケンシロウ(とにかく奴は魔物だ……。隙を狙って攻撃をかけるぞ……)
清麿(そんな話、信じられるかよ……ッ!)
ケンシロウ(俺は奴を知っている……。巨人化する魔物だ……。あの回復力を見ろ。普通の人間が猛スピードのダンプにはねられて、元気に食事なんかできるか?)
ミカサッ!!
ムリダッ! イヤダッ!!
ウエッ……ナマアッタケエ……。
清麿(……。元気に食事をしてるかはさておき……確かに普通じゃないかもしれん……)
ケンシロウ(正面から戦いを挑んだら、まず間違いなくやられる……。夜中に本を燃やせれば、それが一番理想的だな……)
珍しくケンシロウが自信なさげに語る。
それだけ、相手の能力は恐ろしいのだろう……。
清麿(……いや待て。俺はアイツと友達なんだ……。話次第では仲間になる可能性だって……)
ケンシロウ(一人の王を決める戦いで仲間を作るのか……?)
清麿(……)
ここで清麿は黙ってしまう。
確かに最終的には一人に絞られるのだ。
ケンシロウ(いつかは戦わねばならん相手と組んだとき、一番恐ろしいのはどのタイミングで裏切られるかが分からんことだ……。背中を守ってもらうつもりが、常に背中を刺されかねん状況に陥るはめになる……)
清麿(……)
ケンシロウ(……違うか?)
清麿(……その通りだ……)
ケンシロウに諭され、反論できなくなってしまった清麿。
もしケンシロウとエレンが目指す王の姿が一致していれば、こんなに悩むことはない……。
……がしかし、「厳しい王様になるのだ」などとのたまっている彼の思想と相いれる魔物はそうはいないだろう。
ちなみに清麿はこの考えに賛同している。
――ルールがゆるゆるだから、こうして相手の肉体を内側から破壊するような魔物の参戦がまかり通っているのだ。
――1000年に1度、魔物同士のバトルロワイアルが行われるのは恒例の行事らしいから仕方ない。
――だがもっと人間社会に害を及ぼさないような魔物に限るなど、厳格なルールが必要なはずだ……。
こういった望みを、ルールを無視する張本人にかけている……。
ケンシロウ(決まりだ……奴らが寝静まったら本を捜す……)
清麿(……)コクッ
清麿はエレンに悪いと思いながらも、遂に覚悟を決めた……。
***
PM11時
ミカサ「エレン、そろそろ寝る時間……。寝る前におしっこしておいた方がいい」
エレン「そうだな。よっこい……あ痛ててて……」
ミカサ「動かなくても大丈夫。ここに尿瓶がある。……ので、これでするべき」サッ
エレン「やだよ、そんなん。恥ずかしいし」
ミカサ「だからこそ尿瓶ですべき」
エレン「は?」
ミカサ「羞恥心のあまり泣きそうになりながら放尿するエレンなんて、滅多に拝めるもんじゃない……///」ハァハァ
エレン「……。……は?」
清麿「……」
ケンシロウ「……」
***
PM12:00
エレン「え、お前俺のベッドで寝るの……?」
ミカサ「当然」スルリ
エレン「いや、流石に狭いだろ……」アツクルシィ……
ミカサ「好都合。むしろ好都合」
エレン「……まぁいいや……。おやすみ……」
ミカサ「おやすみエレン」カチッ
エレン「……。あの……」
ミカサ「もう寝るべき。おしゃべりはまた明日」サワサワサワサワ
エレン「ケツ撫で回すのやめて貰っていいか……?」
ミカサ「触ってない。おやすみエレン」サワサワサワサワ
清麿「……」
ケンシロウ「……」
***
AM1:00
エレン「ぐお~……しゅぴぃ~……」zzzz
ミカサ「クンクンクンクンクンハスハスハスハスハスハスハスハス……/////」サワサワサワサワ
清麿(早く寝ろよ……)
ケンシロウ(……)
***
AM5:00
エレン「ぐおおおお……しゅぴぃいい……」zzzz
ミカサ「しゅぴぃいい……しゅぴぃいい……」zzzz
ケンシロウ(やっと寝たか……)
清麿(2時から4時半までの激しい音は何だったんだろうな……)
ケンシロウ(子供はまだ知らなくていい……)
夜中に決行する予定だったのに、気がつけば朝になってしまった。
半開きの窓から白んだ空が覗いている。
だが待った甲斐あって、隣の2人はぐっすりと眠りこけていた……。
ケンシロウ(では探ってくる……。大丈夫だとは思うが、とりあえず魔本を開いて戦闘準備だけはしておけ……)
清麿(ああ。気をつけろ……)
ケンシロウはそぉっとカーテンを開いた……。
ケンシロウ「ッ!」
ムアッと立ち込める汗の香り。
何が行われていたのかなんて今さら野暮な話だが、よくもまぁこんなところで……と素直に感心せざるを得ない。
グルリと辺りを見回してみる。
昼間のときとほとんど変わってはいないらしい……。
変わったことと言えば、ミカサがベッドから転がり落ちて寝息を立て、エレンが尻まるだしでイビキをかいているくらいだ。
ケンシロウ(どこだ……)キョロキョロ
おそらく簡単に見られたりしないところにしまってあるのだろう。
そうなると鞄の中というのが一番怪しいのではないだろうか……。
ケンシロウ(……! この中か……)
ケンシロウはベッドの下から、ミカサのものと思われる、古ぼけた茶色い鞄を見つけた。
清麿(……ケンシロウ……どうだ?)
ケンシロウ(鞄を見つけた……。……中を調べる)
清麿(了解……)
ドキンドキンと心臓が高鳴る……。
鞄の中にあれば……勝負はついたも同じだ……。
ケンシロウはそっと鞄のかぶせに手をかけた……。
ピリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ケンシロウ「ッ!?」
清麿「!!?」
エレン「な、何だ!?」
ミカサ「ッ!!」
かぶせを開けた瞬間、病室に響き渡る大音量の警報。
見ればかぶせの先に、安全ピンのようなものがつながっている。
開ければ防犯ブザーが鳴る仕組みになっていたのだ。
清麿「それを持って離れろッ!!」
咄嗟に指示を飛ばす清麿。
魔本さえこっちの手にあれば、少なくとも相手に術を使われることはない。
……が。
ケンシロウ「ダ、ダミーだと……ッ!?」
その鞄の中には三省堂の中学科国語教科書3年と、新しい保健体育が入っていた……。
ミカサ「!!」ガッ!!!
床に転がっていたミカサが瞬間的に開脚回転。
そのまま片手で宙に跳び、もう一方の手を振り回してベッドの天板とマットの間に差し入れる。
ケンシロウ「ッ!!!」
まさに一瞬の出来事。
その一瞬の間に、肌色の魔本はミカサの手の中に現れた。
ミカサ「ギガノ……」ビカアアアアア
ケンシロウ「逃げるぞッ!!! 清麿ッ!!!!!!」ダッ
清麿「ッ!!!!!!」
ケンシロウはカーテンを突き破って清麿を抱える。
ミカサ「タイタヌルクッ!!!!!!」カッ!!!!!!!!!!!!!!!
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!!!!
鼓膜が破れるような野太い咆哮と共に現れた、15Mはあるかという巨人。
その肩にはミカサがマフラーをたなびかせて立っている……。
もちろん病院は崩れ去り、すやすやと眠っていた入院中の爺さん婆さんは安らかに眠った……。
……などということは無い。
エレンが術の発動と同時に反射的に窓を蹴破って外に出たため、巨人化による死傷者はゼロ。
あえて負傷者を挙げるなら、ケンシロウが清麿を抱えて逃げる際、誤って思い切り顔面を踏みつけてしまった婆さん位のものだった。
清麿「油断していたッ!! あのミカサさん、ただの変な人かと思っていたがかなり戦い慣れしてるぞッ!!」
ケンシロウ「身のこなしも並の人間じゃない……。正直言ってそこいらの魔物よりもよっぽど強い……」
清麿「そ、その上……」
ケンシロウ「ああ……」
実際に目の前にしてみて足に震えがくる。
なるほど、ケンシロウが危ぶんでいた理由がはっきりと分かる。
エレン「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!」コオオオオオオオオオオオオオオオオ……
ケンシロウ「魔物の方は最強クラスだ……」
異常な戦力差があるのに加え、こっちは清麿が思うように動けないという最悪な状況。
……そしてケンシロウが離れれば、まず間違いなく清麿はミカサに殺されてしまう。
清麿「本の持ち主だけを攻撃するか……。本さえ燃やせばこの戦いは勝てるんだ」
ケンシロウ「あの女だけなら殺すことは簡単だ……。しかし魔物の攻撃を避けながらとなると、ほとんど不可能に近い。……あいつは確か、格闘技の才もあったはずだ」
清麿「……」
ケンシロウ「それに魔物の方が清麿を狙って来ればこちらの負けは確定的といえる。だから巨人だけは俺が食い止めなくてはならん……」
ズシン……
清麿「……なら俺をおぶってもらうってのは?」
ケンシロウ「大きなハンデだな。そんな状態で二人も相手にできん……」
ズシン……
清麿「ひとまず逃げるってのはどうだ……?」
ケンシロウ「巨人のスピードには勝てん……」
なかなか活路が見いだせない二人。
ズシン……
こうしてる間も、巨人がこちらに向けて一歩ずつ近づいて来る。
清麿「……どうすれば二人いっぺんに相手にできる?」
ケンシロウ「今の俺の技量では難しい。それこそ、頭の後ろに目がついてなければ……」
清麿「……それでいこう」
ズシン……
***
ミカサ(奴ら、私たちが寝ているうちに本を燃やそうとしていた……。許さない……)ブツブツ
エレン「……」ゴガアアア
清麿たちが作戦を練る少し前、巨人となったエレンは複雑な気持ちで立っていた。
全く望まない戦いが今、始まろうとしている。
相手は昨日知り合った友達……。
それと将棋がクソ弱い馬鹿……。
きっと負けることはないだろう。
ただ……。
ミカサ「……エレン、敵はあそこにいる。心配ない。私たちなら楽にやれる」
エレン「……ギオアオ(清麿)……」コオオオオオオオオオオ
ミカサ「……エレン。奴はあなたを裏切った。躊躇う必要なんてない」
エレン「……」
俺は……。
裏切られた……。
ミカサ「下手をすればもう燃やされていたかもしれない。それでもあなたはあの男を見過ごす気?」
エレン「……」
ミカサ「エレンッ!!!!」
エレン「……ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!」
ズシンッ!!!!
叫びと共に情を振り払った巨人は、敵に向けて一歩を踏みしめた……。
***
ケンシロウ「ホオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!」ズタタタタタタタタタタタタッ!!!!!!!!!!!
清麿「うぐっ!? 腹が締まって苦しいッ!!」グフゥ
結局二人が選んだのはケンシロウと清麿を背中合わせで結ぶというもの。
動きにくさで言えばおんぶ以上に大きなハンデなのだが、死角をなくすことでそれを補う作戦だった。
ただし敵の方向を口で伝えられても反応に時間がかかるため、攻撃が右から来れば右の尻を、左から来れば左の尻をつねるという非常にカッコ悪い要素を含んでいる。
ちなみに作戦名を清麿は「背合わせ攻守作戦」と名付けたかったのだが、ケンシロウが「お尻つねり作戦がいい。お尻つねり作戦でなきゃ嫌だ」などと言ってきかないので、結局「お尻つねり作戦」に落ち着いてしまった。
エレン「ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」ズシンズシンズシンズシンッ!!!!!!!!!
ミカサ「殺すッ!!」
ケンシロウ「オオアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」シュタタタタタタタタ
清麿「第7の術ッ!!! 奥義ッ!! 転龍呼吸法ッ!!!!」
ケンシロウ「あおッ!!」ビリィッ
巨人に近づいた頃合を見測らい、清麿は強化系呪文を唱えた。
背中越しに、ケンシロウの闘志がみなぎってくるのを感じる。
清麿「痛あッ!?」
おまけに筋肉が膨らんで、更に結び目が腹に食い込んで痛い。
ヒュンッ!!!!!!!
ケンシロウ「」シュッ!!!!
清麿「危ねッ!?」
巨大な拳が地面に向かって振り下ろされる。
デカい分動きが緩慢かと思いきや、全然そんなことはない。
ケンシロウでなければ絶対に避けられないぐらい速いのだ。
シュウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!!!!!
ミカサ「清麿……。あなたの肉を削ぐ……」カリリリッ
振り下ろされた腕を滑り下りてくるミカサ。
カッターナイフを手にして、狙いを清麿に絞る。
ケンシロウ「オオオオッ!!!」ダンッダンッダンッダンッ
ケンシロウもほぼ地面に対して垂直な腕を駆け登る。
ミカサ「ッ!!!」
ケンシロウ「オアアアッ!!!!」
両者は肘のあたりで衝突した。
ミカサ「フッ!!!!」ダンッ!!
ケンシロウ「アタッ!!!!」ビュッ!!!!!
ケンシロウが腕を大きく振り、ミカサの頭部を狙ってハイキックをかます。
が、一瞬早くミカサが跳んだために、その丸太のような足は空を切った。
エレン「ッ!!」ブンッ
直後、エレンはケンシロウと清麿を狙ってもう一方の腕で殴りかかる。
ケンシロウはそれを屈んでかわした。
清麿「ひいっ!!?」
背合わせに繋がれている清麿の顔面スレスレを巨拳が高速で通り過ぎ、思わず小便がちびりそうになる。
ミカサ「もらった」ヒュゴオオオオオオオオオオオッ!!!!!
清麿「ッ!?」
先ほど落下したはずのミカサが、振り子運動で清麿目がけて戻ってきた。
見れば腰のベルトに命綱が結んである。
おそらく綱の先は巨人の歯の隙間にでもつながっているのだろう。
おまけに腰元にハンディタイプの自動巻き取り機を装備。
つまり巨人の体周辺ならミカサの攻撃範囲となる……。
清麿「ケンシロウッ!!! 後ろだッ!! 真後ろだッ!!!」
ケンシロウ「尻をつねってもらわんと正確な方向が分からんッ!! 尻をつねれッ!!」
清麿は右の尻と左の尻を同時に勢いよくつねった。
ケンシロウ「ッ!! ホアッ!!!」バキィッ!!!!!
ミカサ「ぐッ!?」ゴハァッ
巨人の薙ぎ払いをジャンプでかわしながら、真後ろに迫るミカサの脇腹に裏肘を叩き込む。
秘孔をつくわけではないが、それでもかなりの破壊力なのだろう。
清麿はあばらが折れるような音を聞いた。
エレン「がああああッ!!!!!!!!!!!!!」バチイイイイイイイイイイイイインッ!!!!!!!!!!!!!!1
それを見て激昂したエレン。
首元まで登ってきたケンシロウたちを、まるで蚊を叩き潰すかのように平手で打った。
ケンシロウ「オオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」シュッ!!!!!!!!
間一髪、指の隙間に入り込んでケンシロウは避けた。
いや、正確には避けきれなかった。
指の端が当たったケンシロウの左足首から先は、ブラブラとおかしな方向に曲がっている。
ケンシロウ「ほおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああ……」コオオオオオオオオオオオオオオオ
それでも片足で驚異の跳躍を見せ、エレンの眉間の前まで迫る。
ケンシロウ「今だッ!! 清麿ッ!!!!!」ギュッ!!!!!!
清麿「痛だだだだだあああああああああああああああ!!!!!!!!! 第9の術ッ!!! 北斗壊骨拳ッ!!!!」ビカアアアアアアアアアアアアア
ピッ!!!!!!
ケンシロウの拳が眉間をつく。
エレン「……?」
何をされたのか分からず、エレンの動きが一瞬止まった……。
エレン「ぎがあああ……おげあ……ッ!!!!?」メリッ メリッ
徐々に苦悶の表情に変わるエレン。
背中のあたりから膨らんでいく。
清麿「な、何が起こってるんだ?」
ケンシロウ「見ない方がいい……」
エレン「げげあッ!!!! へべえッ!!!!」ボコオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!
全身の骨が体を突き破って飛び出した。
体を支えるものが無くなった巨大な肉の塊は、ズシャリと地面に倒れ込む……。
ケンシロウ「勝負はついた……。あとは本を燃やすだけだ……」クルッ
敵に背を向けるケンシロウ。
清麿「ッ!!!? おぶぉえっ!!!!」ビチチチチチチチチ
見ない方がいいと言っておきながら、もろにその惨状を清麿に見せてしまい、清麿は吐いた。
***
ミカサ「……」ハァハァ
ケンシロウ「……魔物は死んだ。本をよこせ……。死にたくなければな……」スタッ スタッ
ゆっくりとミカサに近づく。
ミカサはあばらを押さえながらうずくまっていた。
ミカサ「……ディオガ……タイタフォジオ」
ケンシロウ「無駄だ。魔物が死んでいては、呪文など何の意味も持たん。……本を燃やす必要も本当はないのかもしれんがな……」
恐れていた敵だったが、このお尻つねり作戦が功を奏し、案外早く片付いた。
いつの間にか清麿も俺も、成長していたのだろう……。
ミカサ「……」
ケンシロウ「……。殺すしかないようだな……」
清麿「ッ!!!!!!!!?」ギュウウウウウウウウッ!!!!!!!!!!!!!
ケンシロウ「……清麿……。こいつを生かしておけば、いずれお前は殺されてしまうぞ……」
清麿「」ガタガタガタガタガタガタ ギュウウウウウウウウッ!!!!!!!!!!!!
ケンシロウ「……お前の言いたいことは分かる……。だがな……」スッ……
ケンシロウ「……コイツの目には、まだ闘志が宿っている……」
清麿「違えよ馬鹿ッ!!!! 後ろだッ!!!!!!!!!!」
ケンシロウ「ッ!!!?」
ガシッ!!!!!!!!!!!!
清麿が叫ぶのと時を同じくして、巨大な手が背後からケンシロウと清麿を掴んだ。
バキャッ!!!!!!!!!!!!
ケンシロウ「ヌオオッ!!?」
清麿「ぐっふぅあああああああああああッ!!!!!!!!!!」
桁外れの握力。
体を強引に潰され、思わず白目になる。
エレン「ガアアア……」ビュンッ
軽いトス。
軽いと言っても巨人のトスだ。
5、6Mは飛んだだろうか……。
エレン「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!」ズガンッ!!!!!!!!!!!!!!!
ケンシロウ「」ブシャアアアアアアアアアアアアアア
清麿「」ブシュウウウウウウウウウ
炸裂した右ストレートは、彼らをはるか彼方へぶっ飛ばした。
エレン「ぎがが……。ががいがいげ……」
ミカサに向かって口を大きく開くエレン。
意図を汲み取り、彼女はそのなかへ入った。
ググググググ……
エレンのとるクラウチングスタートの姿勢。
全身の筋肉がきしむかのような音がする。
ダッ!!!!!!
土が掘り起こされる豪快な一歩。
巨人は先ほど殴り飛ばした男たちに向かって走り始めた。
ミカサ「エレンの口の中エレンの口の中久しぶりのエレンの口の中……///」ハァハァハァハァハァハァ
エレン「……?」
巨人は自分の舌がなめ回されているような、へんな感覚を味わった。
***
ケンシロウ「清麿ッ!! 奴がまだ生きていると何故言わんッ!!」ハァハァ
清麿「お尻つねったろうがッ!!!」ゲホ グフッ
ケンシロウ「つねられただけで分かるかッ!!!! 口で言えッ!!!」ハァハァ
清麿「ビビりすぎて声が出なかったんだよッ!!!! おぶぅっ!!!」ビチチッ
全身をズタボロにされ、清麿は起き上がることもできない。
内臓も傷ついているらしい。
――これ以上動かせば、間違いなく死ぬ。
……そう判断したケンシロウは二人を結びつけていた紐を解いた。
ケンシロウもまた、流血、全身打撲、複雑骨折、捻挫、ささくれ、魚の目と、まさに傷だらけだった。
まだなんとか戦うことはできそうだが、あまり長くはもたないだろう……。
ズシンズシンズシンズシンッ!!!!!!!!
ケンシロウ「……奴らがくるぞ」
清麿「……」
二人の顔に恐怖の色が浮かんだ……。
***
エレン「があああああああああああッ!!!!!!」ズガンズガンズガンズガンッ
ケンシロウ「ッ!!」シュンッ シュンッ
清麿から遠く離れて巨人を迎え撃つケンシロウ。
敵のパートナーも負傷している以上、分散して俺と清麿を狙うことは無いだろう……というケンシロウの予想通り、今は1対1で戦っている。
激しいスタンピングの雨をかいくぐり、チャンスをひたすら待つ……。
ケンシロウ「……ッ」ハァッハァッ……
清麿「……」
清麿はケンシロウの疲弊具合が気がかりだった。
***
エレン「ッガアアッ!!!」ビュッ
膝をついて、正確に拳でケンシロウを仕留めに来たエレン。
清麿はその瞬間を見逃さなかった。
清麿「第5の術ッ! 五指烈弾ッ!!!!!!」ビカアアアアアアアアアアアアア
ケンシロウ「アァタアッ!!!!!!!!!!!」ピッ
かわしながら拳の秘孔をつく。
バキャッ!!!!!
エレン「ッ!!!!!」
エレンの全ての指が骨もろとも砕け散った。
ミカサ「ディオガ・タイタフォジオ」
エレン「……」シュウウウウウウウウウウ
ケンシロウ「何ッ!?」
清麿「やはり超回復かッ!!」
吹き飛ばされたばかりの指が、煙を上げてみるみるうちに再生していく。
回復系に優れた魔物も中にはいるが、この術の回復力は異常と言える……。
骨を奪っても、砕いても、破裂させても、この術の前では無力だ。
一体、どうやって倒せというのだ……?
巨人化以上に危険な術をもつエレンの前に、清麿は涙を浮かべた……。
***
清麿「頼む……もうやめてくれ……」
ズガンッ!! ズガンッ!!
ケンシロウ「ぐふっ!! ガ八ッ!!!」
それから20分間、ケンシロウは術を使わずにひたすら巨人に攻撃を与え続けた。
が、ある程度攻撃すれば超回復。
相手の心のエネルギーが切れるのを待っているのだが、あのミカサとかいう女……底知れない容量をもっていやがる……。
最初はすべて避けていた敵の拳も、次第に避けきれなくなってきた。
1発が2発、2発が3発と、ケンシロウが受けるダメージは着実に蓄積されていく。
きっと殺すまで続ける気だろう……。
こっちも殺すつもりだったんだ。
当然のことだ……。
打つ手がなくなり、清麿はただ見ていることしかできない。
――お願いだ……これ以上苦しめないでくれ……。
ズシイイイイイイイイイイイイイイイイン……
プシュウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!
エレン「!?」
ミカサ「!?」
ケンシロウ「!?」
清麿「……?」
突然巨人が地に倒れ、蒸発し始めた。
ミカサは投げ出され、巨人のうなじの辺りに元の姿のエレンが現れる。
清麿「い、一体……?」
ミカサ「じ、時間切れ……」
ミカサはヘタリと座り込んだ。
……絶対的な力を持つ巨人化だが、これは大きな制約も抱えていた。
発動時間は40分。
次の発動までには24時間のインターバル。
長時間は戦えない、そんな魔物だったのだ……。
ケンシロウ「今度こそ……終わりのようだな……」ユラリ
血をドバドバ吐きながら、ケンシロウが立ち上がった。
足を引きずり、ミカサとエレンに歩み寄る。
ミカサ「本は……渡さない……」
エレンの傍に座ったまま、カッターナイフをケンシロウに向けるミカサ。
しかしケンシロウは動じることなく、ゆっくりと親指をミカサのこめかみに近づける。
ミカサ「殺すなら殺せッ!! でも本は渡さないッ!! 絶対に渡さないッ!!!」
ケンシロウ「……」
ケンシロウはミカサの目に、覚悟の光を見た。
それはとても哀しく、しかし美しく輝いていた。
エレン「ミカサ……大人しく本を渡せ……。どうしたって俺たちの負けだ……」ハァハァ
体力を使い果たし、ほとんど動けないエレン。
こんな状況では、もう逃げることさえできない……。
ミカサ「嫌だッ!! 渡すもんかッ!!! 私はエレンと初めて出会ったあの日、あなたを王にすると決めたッ!!!! だから死んでもこの本を自分から渡すことはしないッ!!」
エレン「ミカサッ!!! どうせ燃やされるのに、死ぬことに意味なんかあるかッ!!! 犬死だろうがッ!!!!」
ミカサ「嫌だあああああああああああああああ!!!!!!!!」ウワアアアアアアアアアア
エレン「いい加減にしろッ!!!」
最後の力を振り絞って、ミカサに頭突きをかますエレン。
しかしあまりの固さにエレンは一瞬気を失った。
エレン「――。痛だだだ……。……魔界に帰ったら、必ず手紙を出す。だから死なれたら困んだよ……」
ミカサ「……」ヒック……グスッ…… コクッ
エレン「……ありがとな」
ケンシロウ「……」スッ
静かにこめかみから手を離すケンシロウ。
ミカサ「……」
ミカサは魔本を手渡した……。
清麿「……すまない」
清麿はエレンたちと目を合わせることができなかった。
こちらが手を出さなければ、こんな悲しい結末にはならなかったのだ……。
エレン「この裏切りもんがぁッ!!」
清麿「!」ビクッ!!!!!
エレン「ハハハ! なんてな! 仕方ねえよ、こういう戦いだ。まぁ、まさか俺たちが負けるとは思わなかったけどな!」
清麿「エ、エレン……」グスッ……
ミカサ「この裏切り者が……」
清麿「」ビクウッ!!!
清麿はドロドロとした殺意を感じ、寿命が縮んだような気がした。
ケンシロウ「最後に一つ聞いておく……」
エレン「なんだ?」ハァハァ
ケンシロウはエレンをじっと見据える。
ケンシロウ「お前はどのような王になるつもりだった……?」
あまり他人には興味を持たないケンシロウだったが、この男にはそれを聞く価値があると思ったのだ。
エレン「俺は……自由な王様になりたかった……」
ケンシロウ「自由……?」
エレン「ああ。俺はこうして人間界に来て、世界はまだまだ広いんだってことを知った。まだまだ冒険できるんだって知ったよ……」
清麿「……」
ミカサ「……」
エレン「今はまだ魔物と人間の交流はこの1000年に1度の戦いでしか認められていない。だから自由な王様になって、もっと魔物と人間が分かり合えるような……」
ケンシロウ「ふん……くだらんな……。やはり貴様とは分かり合えん……」シュボッ
魔本「」メラメラ
エレン「」
ミカサ「」
清麿「」
***
ミカサ「手紙は毎日出すこと」
エレン「毎日かよ……多いな……」スゥー
ミカサ「電話は朝、昼、晩の3回」
エレン「通じるかわかんねぇぞ……?」スゥー
ミカサ「隙を見計らってクーデターを起こし、人間界に自由に行き来できるようにすること」
エレン「おい、近くに魔王候補者がいんだけど……」スゥー
ミカサ「他の女には絶対に近づかないこと」
エレン「えぇ……俺一生独身かよ……」スゥー
ミカサ「……もうあなたは既婚者みたいなもの///」ブチュウッ
エレン「ちょ……ッ! ///////」ブチュウッ スゥー……
ミカサ「……」ポロポロポロポロ
エレンが消えたあと、ミカサは再び涙をこぼした……。
***
清麿「行くか……」
ぽつりと清麿がつぶやく。
遠くにたたずんでいるミカサを残して去るのもなんだか非常な気がするが、かけてあげられる言葉が見つからない。
……見つかるわけがない。
ケンシロウ「いや……まだ一仕事残っている……本を見てみろ……」
清麿「ん?」
手元を見れば、いつも血の色をしている魔本が金色に輝いていた……。
清麿「は? なんだコレ?」ビカアアアアアアアアアアアアア
ケンシロウ「きっと今、最も必要な術が反応しているのだろう。……読んでみろ」
清麿「だ、だが……」ビカアアアアアアアアアアアアア
ケンシロウ「大丈夫だ。攻撃系じゃない……そんな気がする……」
清麿「……。そうだな……」ビカアアアアアアアアアア
清麿「第11の術ッ!!! 北斗ッ!! 虚無指弾ッ!!!!」
ケンシロウ「……」ピシッ!!
ケンシロウは静かに空をはじく。
ミカサ「!!」
ミカサ「……?」
特別何かが起こったというわけでもなさそうだ。
ミカサは相変わらず立ち尽くして泣いている……。
清麿「……今の術は何だ?」
ケンシロウ「おそらく、俺たちとの戦いの記憶を消し去った……。魔物はダンプにはねられ、その後感動的な別れをしてから魔界に帰った……という風に記憶がつながっているはずだ……」
清麿「なんでそんな……」
ケンシロウ「……あの女の執着心は脅威だ。いつお前を殺しに来てもおかしくないほどにな……」
清麿「……なるほど」
ケンシロウは動けない清麿をおぶって背を向ける。
きっとまた長いこと入院しなければならんのだろう……。
AM6:00過ぎ。
朝焼けの空がいつもより綺麗に見えた。
ケンシロウ「北斗神拳は……無敵だ……」
EDテーマ『美しき残酷な世界』
トゥルル……トゥルル……トゥルル……トゥルル……
トゥルルルン……
トゥトゥル……トゥルル……トゥルル……(フィ――……ユォ――ン……))
トゥル ルトゥトゥトゥ――ン……
ル――ン……ドゥ――ン……
・そのゆーめはぁ ・ここーろぉの
いーばしょー……
・いのちぃよりー…… ・こわーれぇやーすーきーものー……(タラララララララ……)
・なんどーでもぉ ・すてーてぇは
見ーつけー……
やす・らかに さーあ――……
眠れ――……
,r、、、) ̄ヽr"(ー 、、、
,ノヽY"("r"iiit;;;t、 从ヽ`)'"ヽ
、 ,r("' "、、、 "''"t;;;ヽ匁、、ー、、))〉;;;;;;;;三彡"
_ソ"从 了ミミi ,,`ヽ、;;;;ヽ、、、、ーヽ;;、''''-、ノt,,,,,
it( (;;ノ (;;;;|、t シヽ;;;;ヽ、、)、 ヽ;;;;;;;jjj'|ii、"""ノ
、,,t,`レ 从ii|ヽ、ー''"iii、ヽ;;;;;リ|;;;;从i 、、、从、、t;;;;ヽ'ー、ヽ 前 死 次
メ''""/;;;;;从,,、、 、 i;i||j;;;;r"t;;;( ソ、t;;;;ヽ |;;;;;tヽミ 、), に に に
、ゝイ |;;;;ij|从;;;;ヽ|;;i |、",,,,iiii、,,,,、i、ソi t;;;;|ヽ;;;;;ヽ、 ヽ''''" で た
t、,女 t(ツ||i;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ツ;;;i、、、i;、~'-、;;;;;、)) ろ い
、、ノ(iツM;;;;|;;;;;;;;;;;;ii;;;;|i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、;;;;;;;|;;;i |;;;t'ヽ三彡 ! ! .や
// り";;;;;;;;;;;;;iヽ;;;;;;;;tiii;;;;;;;;i|;||;;;;ii;;;;itソ;;;;リ;;;;"ヽ;;;;;ir'" つ
ヽツキ;;;;;;;;;;;;;;;;;;ミ人、、、ミ;;;;;;;;tヽ、;;ヽ二リ;-、t;;;;;;;レ;;;;|''"
ー7;;i|、;;;;;;r、ミr'";;;;;;;;;;;;;;;~~' リヽ|i";;;;;;;;;;;;;;;シi;;;;;;、i|)
リ;;;;||t;;;;〈 ミ 彡=モ丐ァ、r;;; "リ、zモチテzー' リ;;;;ii|j
(;;|;;;ヽ、;;;;i `~ '''' "::: |~::''- ̄ー リ; イ
フ;;;;;ヽ;;;i, "" | ,'r';;;i
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::: イ ,,、r'- '''""ノ;r" :::::::/ t:::::::: ,r" 三//' /'" /;;;;t r'┏━━┓ ヽ、、、、-ー''''"
"~ ,、- ''"ヽ、::: :::::::/ ~''- 、,,,,,,,, / 三/'"// /r //ヽt ┃、, ┃
ツツストゥース…… ドゥンッ!
・脈打つ しょーおどーおにぃ――……(ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ!)
(バァブァープァー……)
ドゥンッ!
・願いは おー・かーされ――……(ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ!)
(バパァー……パァー……)
ドゥンッ!
・忘れて しーまうーほど――……(ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ!)
(フィイイイイイイイイイイイイイイン……)
また 思い出ぁーすぅーよぉ――……(ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥンッ! ドゥ――ン……)
ト, ノ!
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わ 何 V'//////////////////////////,>、 { ハ |
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ね て j///l/-┬==‐-l/ / -┬==ニ !/小リ } ハ |
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や か .ノゝ!/{ j/ハ. }. ! ! {
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タタスタラタ……
こーのォ! (ギュイユァッ!!)
美しきぃ! 残酷なぁ! せーかいーでは――!!
(フィイイイイイイイイイイイイイイイイ……トゥルルルンッ!!)
まだ 生きている―こと―!
なーぜー と問うば・かーりでぇ!!!
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嗚呼!!
ボクたちはぁ! この強さ! ・よわーさで――!!!!
(フィイイイイイイイイイイイイイイイイ……トゥルルルンッ!!)
なーにぃ を護るのーだろ――……
……もぅ理性などー……(ギイアアアアアアアア!!!)
無ーいならば――……(ドゥーンドゥーン! ……ドゥーンドゥーントゥ――ン……)
フィイイイイイイイイイイイイイイン……
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カンクロウ「くっそォ……コンクリートが固まって全然抜け出せねぇじゃん……」
バキ「殺されなかっただけマシだと思え……」
カンクロウ「まぁな……。冷徹な女かと思ったけど、『ここで2,3日頭を冷やすといい。二度とあんな卑怯なマネはするな』ってんだからな……。きっとそのうち出してくれるはずだ」
ギイイイ……
バキ(噂をすれば……来たぞ……)シッ
カンクロウ「おーい!! 悪かった! もう二度とあんなことはしねえからよ、早くここから出して欲しいじゃん!!」
バキ「本当に反省してるんだ! すまなかった!!」
カンクロウ「まさか相手が超回復巨人のエレンだとは思わなかったんじゃん!!」
バキ「も、もう魔物の方は元気になったんだろ? だから許してくれないだろうか……?」
ミカサ「お前たちのせいで……エレンが……」ワナワナワナワナ ポロポロポロポロ
カンクロウ&バキ「「へ?」」
つづく
このSSまとめへのコメント
カンクロウたちの命は続かない件・・・