佐久間まゆ・渋谷凛『寝るな!』 (30)

凛「まゆ、起きて!」

まゆ「ふがっ……ね、寝てないですよ?」

凛「いや、寝てたよね? 船漕いでた」

まゆ「寝てません」

凛「寝てた。エナドリかけてもいい」

まゆ「じゃあまゆは寝てないに鍵クロかけます」

凛「……」

まゆ「……」

凛「…………」

まゆ「……ちょっと寝ました」

凛「やっぱり」

まゆ「黙って作業してると眠くなるから……何かお話しましょう」

凛「ん……じゃあ、ちょっと変なこと訊くけど」

まゆ「はい?」

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凛「その、まゆって……私のこと好き?」

まゆ「……凛ちゃん、そういう趣味だったんですか?」

凛「いや友達として」

まゆ「ああ……そうですねぇ、好きですよ」

凛「そうだよね……少なくともファンの前で嫌ってるような素振り見せたこと無いよね」

まゆ「ファンの前で?」

凛「一部のファンの間で不仲説が噂されてるらしくてさ」

まゆ「へぇ~、でもそれって……」

凛「……」

まゆ「…………」

凛「それって?」

まゆ(スヤスヤ)

凛「……っ!」ビシッ ←デコピン

まゆ「いたぁっ!!」

凛「起きた?」

まゆ「お、起きてましたよ?」

凛「寝てたよ。完全に目閉じてたよ」

まゆ「目を休めてただけですからっ」

凛「ふーん……」

まゆ「……」

凛「まあいいや。で、それってなに?」

まゆ「え?」

凛「だから、不仲説があるって言ったら、それってって言いかけたじゃない」

まゆ「……何でしたっけ」

凛「私が知るわけないでしょ」

まゆ「ともかく、不仲説なんて初めて聞いたんですけど」

凛「うーん、あくまで一部が言ってるだけみたいだから……」

凛「アイドルとして目標でありライバル、みたいに言ったのが尾ひれ付いたのかも」

まゆ「あ、それですね」

凛「なにが?」

まゆ「さっき私が言いかけたこと」

凛「まあ、ちょっとした一言を妙な拡大解釈されたりとか、あるよね」

凛「私が中二病だとか……」

まゆ「えっ?」

凛「えっ?」





まゆ「普段何時に寝てます?」

凛「んー、10時~11時くらいかな。まゆは?」

まゆ「私はだいたい10時くらいには寝ますねぇ」

凛「今は……もうすぐ2時か。かなり眠いでしょ?」

まゆ「凛ちゃんこそ。でも、今日しか時間無いですし……」

凛「もっと早くから始めてればね……」

まゆ「眠気覚ましにコーヒー淹れますね」

凛「あ、うん」



まゆ(コーヒー淹れて戻ってきてみれば凛ちゃんが寝てる……)

凛(スヤスヤ)

まゆ(さっきデコピンで起こされましたからねぇ……うふふ)

まゆ「もう~、凛ちゃん。よいしょ。寝たら、ダメ、でしょう~」グググ

凛「……いたたた! ちょ、まゆ! ギブギブ! 股が裂ける!!」

まゆ「目覚めました?」

凛「はぁはぁ……寝てないしっ!」

まゆ「寝てなかったら、私が開脚させてる時点で何か言いますよねぇ?」

凛「くっ……!」

凛「というか、開脚の痛みで起こすってどうなの?」

凛「今度まゆが寝たらお返しするよ?」

まゆ「良いですよ。私、身体柔らかいですから。ほら」ペターン

凛「うわ、すごい……」

凛「もし寝たらお互いどんなことをしても起こす、とは言ったけど」

凛「正直、まゆがあんなアグレッシブな手段を取るとは思わなかったよ」

まゆ「言われてみればそうですねぇ……眠くておかしなテンションになってるのかもしれません」

まゆ「あ、そうそう。はい、コーヒーどうぞ」

凛「ありがと。砂糖入ってる?」

まゆ「いえ。眠気覚ましだからブラックが良いかと思って」

凛「そ、そうだね……」

まゆ「もしかしてブラックは飲めませんでした?」

凛「飲めなくはない……と思う。あえてブラックで飲もうと思ったことはないけど」

凛「まゆは飲めるの?」

まゆ「ええ、一応。砂糖入れることが多いですけどね。入れますか?」

凛「いや、いいよ。多分大丈夫」ゴク

凛「ゴホッ、ゴッホ、ゲホッ!」

まゆ「大丈夫?」サスサス

凛「あ、ありがと……ブラックコーヒーがこんなに苦いとは思わなかった」

凛「一応でもまゆは飲めるんだね、すごい……。私、まだまだ味覚が子供なのかな」

まゆ「そんなに苦いですかぁ?」ゴク

まゆ(にがぁ~~っ!! 炭みたい。もしかして、寝ぼけて分量間違えた……?)

まゆ「私も基本的には砂糖入れて飲むんですよぉ」ドサドサ

まゆ(これくらい砂糖入れれば飲めるかしら)

まゆ(なんだか尊敬の眼差しで見られてるし、凛ちゃんには黙っておきましょう)





まゆ「――その人は頭に赤い洗面器をのせていました」

まゆ「洗面器にはたっぷりの水。こぼさないようにゆっくりゆっくり歩いてきました」

まゆ「Aちゃんは勇気を出して『どうしてあなたは赤い洗面器をのせて歩いているんですか?』と訊いてみました」

凛「ごくり……それで?」

まゆ「……」

凛「…………」

まゆ(スヤスヤ)

凛「……ちょっと! ここで寝る!?」

まゆ(スヤスヤ)

凛「もう~っ! 絶対起こして続きを聞かせてもらうからね」

凛(さて、どうやって起こそう……)

凛(洗面器……そうだ)

凛「まゆ、お風呂はいろうか」

まゆ「むにゃ……」

凛(服は……脱がせなくて良いか。まゆの部屋だし、着替えはあるはず)

凛(濡れたらマズイものは身につけてないかな)サワサワ

まゆ「いやん、だめですよぉ、プロデューサーさぁん……」

凛(どんな夢見てるんだろ)

凛(バスタブに座らせて……よし)

凛「蒼の嵐を受けよ! アイオライトストーム!!(訳:冷水シャワー)」

シャアアア!!

まゆ「きゃっ、冷たっ!! 凛ちゃん、やめて!」

凛「目覚めるでしょ?」

まゆ「寝てませんから! ってちょっと待って、なんで服着たままなんですかぁ!」

凛「面倒だったから」

まゆ「もおおお!!」

凛「うわっ、やめて! 濡れる!!」



ギャーギャー



凛「あーあ、もう。ずぶ濡れだよ。着替え無いのに……」

まゆ「どの口が言うんですかねぇ……自業自得ですよ」

凛「は……はくしょんっ」

まゆ「熱いシャワー浴びて温まらないと風邪ひきそうですね。凛ちゃん、お先にどうぞ」

凛「待ってる間にまゆの身体冷えちゃうでしょ? 女同士なんだし一緒で良いよ」

シャアアア…

凛「こんなに間近でまゆの裸見たの初めてかも」

まゆ「凛ちゃんは実家暮らしですからねぇ。寮生なら大浴場で一緒になることも多いですけど」

凛「そういえば大浴場あるのに個室にもお風呂あるんだ」

まゆ「大浴場は利用時間が決まってますから」

凛「なるほど」

まゆ「ところで、一つのシャワーを二人で使うってやっぱり無理があるような……」

まゆ「なかなか全身に当たらないし」

凛「それじゃあ……えいっ」ダキッ

まゆ「きゃっ」

凛「こうすれば二人ともシャワーの真下にこれるよね?」

まゆ「そ、そうですけどさすがにちょっと恥ずかしい……」

まゆ「…………凛ちゃん、レズじゃないですよねぇ?」

凛「プロデューサーを好きなこと知ってるくせに」

まゆ「じゃあバイ?」

凛「それも違うって」

凛「きっと……徹夜でおかしなテンションになってるのかな」

まゆ「徹夜のテンションじゃ……仕方ないですね」

凛「うん、仕方ない」

凛「あ、着替え貸してくれる? Tシャツかワンピースあたりで」

まゆ「ええ、良いですよ」

凛「それと赤い洗面器の話、続き教えてよ」

まゆ「続きはですねぇ……」





凛(スヤスヤ)

まゆ(凛ちゃん、寝てしまいましたね……今度はどうやって起こしましょうか)

まゆ(キョロキョロ)

まゆ(うふ……これですね)

まゆ(ヘッドホンを凛ちゃんにセットして……私のスマホに接続)

まゆ(曲は輝子ちゃんに教えてもらったデスメタル? にしましょう)

まゆ(ああそれから、せっかくだから一曲終わりまで聞いて欲しいですよねぇ)

まゆ(すぐヘッドホンを取られないように、リボンで腕を縛って……これで良し)

まゆ(音量を最大にして……)

まゆ「ゴートゥーヘール!!」ポチ

凛「うわああああっ!! なにこれ!? うるさいいい!!」

凛「えっ、腕が!? なにしてくれちゃってンのおおお!!」

まゆ「深夜なんだから大声出しちゃダメですよぉ。……って聞こえてます?」

凛「ヘッドホン外して!!」

まゆ「結構切ない歌詞なんですよ。凛ちゃんも気に入ってくれると嬉しいです」

凛「ふっ! ふっ! このっ、外れろ!」←自力で外そうとしている

まゆ「もう、凛ちゃんたら。今ワンピース一枚しか着てないんですから」

まゆ「そんなに動いたら大事なところが見えちゃいますよ」



凛「あああ~……まだ頭の中に音が響いてる……」

まゆ「目覚めましたよね?」

凛「寝てないってば……」





まゆ(ウトウト)

凛「まゆ?」

まゆ「……」

凛「まーゆー」

まゆ(スヤスヤ)

凛「あーあー、寝たね? うん、仕方ないね、どんなことをしても起こすって約束だからね」

まゆ「ん……?」

凛(起きた!?)

まゆ「寝ちゃだめ……寝ちゃ……」

凛「……」

まゆ「…………」

凛(今度こそ寝た……?)

まゆ(スヤスヤ)

凛(じゃあ起こしてあげないとね、ふふふ)

凛(今度はどうやって起こそう……)

凛(うーん)

凛(まゆの寝顔って本当に可愛い)

凛(……よし)

凛(まずは起こさないように床に寝かせて……こんな感じかな)

凛(せっかくだからサービスで服をはだけさせて)

凛(あ、ブラチラしてる。うわぁエロい)

凛(うん、良い構図)カシャ

凛(あとはこれをTwitterに投稿して……できた)

凛「まゆ起きて。まゆ」

まゆ「んぅ……」

凛「起きた?」

まゆ「寝てませんよ……って、なんで服脱ぎかけなんですかぁ?」

凛「寝てたんじゃない」

まゆ「凛ちゃん、やっぱりそういう趣味が……」

凛「違うって、写真撮りたかったら脱がせたの。ほら」

まゆ「Twitter……」

まゆ「…………!?」

まゆ「ちょっと、何してるんですかぁっ!!」

凛「寝姿がエロかったから、つい」

凛(エロくしたのは私だけどね)

凛「あ、見てよ。もうこんなにRTとお気に入りが」

まゆ「そんなこと良いから早く消してっ!」

凛「消すのは良いけど、見た人はすでに自分のスマホやパソコンに保存してるんじゃないかなぁ」

まゆ「それでも良いから早くぅ!」

凛「分かった分かった、ほら消した。削除したよ」

まゆ「はぁ、もう……あんな無防備な寝顔を投稿するなんてひどい」

凛(本人は恥ずかしいだろうけど、ファンにとってはお宝写真なんだよなぁ)

まゆ「お互いどんなことをしても起こすって約束したけど……やって良いことと悪いことがあるんじゃないですかねぇ」

凛「でも目は覚めたでしょ?」

まゆ「も う 絶 対 寝 ま せ ん」





凛「で、出来たぁ~……」

まゆ「なんとか……なりましたねぇ~……」

凛「すっかり明るくなってる……寝よう」

まゆ「ええ……凛ちゃん、ベッドにどうぞ」

凛「悪いよ、まゆの部屋なのに」

まゆ「お客様ですから」

凛「いや、でも」

まゆ「気にしないで」

凛「問答してる時間すら惜しい……一緒に寝る?」

まゆ「じゃあそうします……ちょっと狭いですね」

凛「もともと一人用でしょ、このベッド。あ、でも……」

凛「やわらかくて、あたたかくて……よく、ねむれそう…………」

凛「すう……すう……」

まゆ「ふふ、おやすみ……なさい…………」

~数時間後~

まゆ「プロデューサーさん」

凛「プロデューサー」

まゆ・凛『お誕生日おめでとうございます!』

凛「これ、プレゼント」

まゆ「二人で手作りしたんですよぉ、うふふ」

凛「なかなか時間がとれなくて徹夜しちゃったけど……喜んでもらえたら嬉しいな」


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From:渋谷凛
To:プロデューサー

ついでにプレゼント
徹夜中に撮ったまゆの寝顔
クラウドって便利だよね
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From:佐久間まゆ
To:プロデューサーさん

まゆのベッドで熟睡してる凛ちゃんを撮ったので差し上げます
実はワンピースの下はノーブラノーパンです
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おわり

遠慮無くいたずらできるほど仲の良いまゆりん推し

ちょっと説明不足だったので訂正

>>19
誤 凛「分かった分かった、ほら消した。削除したよ」
正 凛「分かった分かった、ほら消した。スマホからも削除したよ」

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