賢者「お互い…大変だね」ハハ…
悪魔娘「そうですね。…その…貴方をストーキングしている方というのは、やはり…」
賢者「うん。君の主の魔王さん。昨日なんて一日中付け回されて…」
賢者「“魔王からは逃げらぬぞっ☆”ってハァハァ言いながら満面の笑顔でウィンクしたがら迫られました」
悪魔娘「いつも魔王様がご迷惑をおかけしてすみません…帰って来たらあの痴女を【ピー】しときますね」ゴゴゴ…
賢者「あ…うん。ほどほどにね。…ところでさ、君を追い掛け回してるのって、もしかしてウチの…」
悪魔娘「そうなんですっ!このところ背後から気配がするなぁって思って振り返ると必ずそこに勇者様がいらっしゃるんです!」ウル…
賢者「うわぁ…」
悪魔娘「それで、やめて下さいって言ったら、“僕は勇者なんだ!これは正義の行動なんだっ★”って…」
悪魔娘「とても…とても眩しい、少年のような真っ直ぐな瞳で見つめられるので…いつもそれ以上何も言えなくて…」フルフル…
賢者「勇者…そんなことしてたのか…ごめんね悪魔娘さん。あのバカにはウチの武闘家に嫌というほど【アッ‐】させとくよ」ギラッ…
悪魔娘「あ…あのあの!…手荒な真似は…」オロオロ…
勇者「やめろ!…武闘家だけはやめろぉッ!…シャレにならん!!」バッ!
悪魔娘「ひぃ!…また後ろから…!」ビビクン!
勇者「やぁ!悪魔娘ちゃん!こんにちは。今日も綺麗だねっ☆」キラキラ…
賢者「ハァ…お前なぁ、いつからそこにいたんだ…」ヤレヤレ…
勇者「さっきからずっと後ろから見ていたさ!」ドンッ!
悪魔娘「け、賢者さぁん…」ガシ…ピト…
賢者「よしよし…大丈夫大丈夫。あの生き物はただバカなだけで全然怖くないんだよ~…バカなだけなんだよ~」ナデリナデリ…
勇者「バカじゃない!勇者だ!それより何やってんの賢者!…僕の前で悪魔娘ちゃんとイチャイチャするんじゃないよ!!」ワナワナ…
賢者「俺は別にイチャイチャなんてしてない。そもそもこうなったのはお前が原因だろうが…」
…ガチャ…バタン…
魔王「今帰ったぞ悪魔むす…!…」
魔王「け、賢者…///…そうか…そうなのだな!とうとうお前から余に会いに来て…」モジモジ…
賢者「違います(棒)」キッパリ
悪魔娘(即答!?)
勇者「出たな!痴女!」ズビシッ!
魔王「おい!バカ勇者!余を指さすではないわッ!…それから次に賢者の前で痴女とか言ったらコ【ピー】スぞ」ゴゴゴ…
勇者「バカ勇者じゃない!勇者だ!…何度も言わせんな!バカって言うヤツがバカなんだ!」
悪魔娘『勇者様にバカは禁句なんですか?』ボソ…
賢者『うん…でも君が言うと喜ぶと思うからどんどん言ってあげてね』ヒソヒソ…
悪魔『…?…は…はい…』ヒソ…
魔王「バカにバカと言って何が悪いんぢゃ」ニヤ…
勇者「あーッ!言ったな!てめぇまた言いやがったな!…この年増王がッ!」
魔王「ほう…この魔界の撫子と言われる余に向かって年増王とな…?」ピキピキ…
賢者『魔界の…撫子?』ボソ…
悪魔娘『黙っていれば…という事です。つまり残念美人ですね。』ヒソヒソ…
賢者『あぁ…そういうことか。黙ってれば確かに美人さんだよね』ヒソヒソ…
勇者「今日こそここで決着にしてやるぜ!」スッ…
魔王「面白い!練り雲雀にしてくれるわ!」スッ…
悪魔娘『…賢者さん…今のうちに…』ヒソヒソ…
賢者『うん…逃げよう』ボソ…
賢者・悪魔娘「「ルーラ!」」バシュウー
勇者「!!」
魔王「!!」
勇者「…と、言いたいところだったが…用事ができてしまった」チャキン…
魔王「奇遇ぢゃな…余も急用を思い出したわ」スッ…
勇者「また…賢者を追うんだろ?」ニッ…
魔王「お前こそ悪魔娘の所に行くんぢゃろ?」ニッ…
勇者「…健闘を祈る」グッ!
魔王「お前もな」グッ!
勇者・魔王「「ルーラ!」」バシュウゥー!
訂正…
>>1の賢者の四つ目のセリフに二つもミスが…
魔王からは逃げらぬぞっ×
魔王からは逃げられぬぞっ○
ウィンクしたがら×
ウィンクしながら○
すみませぬ
東の大陸…
山岳都市…
賢者「よっと…とりあえずここまでくれば安心だろう」スタッ…
悪魔娘「だといいんですが…」スタッ…キョロキョロ…
???(ん?あれは…)
???「お~い!賢者ク~ン!悪魔娘サ~ン!!」フリフリ…
賢者「武闘家…どうしてここに?」
武闘家「どうしても何も…この街はボクの故郷だよ」
悪魔娘「お久しぶりです」
武闘家「二人ともホント久しぶりだね~!」
武闘家「こんなとこで立ち話もなんだし…ボクの家に寄ってきなよ。ちょうどそこだからついてきて~」スタスタ…
悪魔娘「武闘家さん…今、私達は…。あ…行っちゃいました」オロオロ…
賢者「はは…相変わらず人の話を聞かないなぁ武闘家は…とりあえず俺らも武闘家の屋敷に行こっか」スタスタ…
悪魔「え…えぇ。それにしても武闘家さん。また随分お綺麗になられましたね」スタスタ…
賢者「男なのにね…」
武闘家の屋敷…
武闘家「お待たせ~。賢者クンはコーヒー。悪魔娘サンは紅茶だよね~」スッ…コト…コト…
賢者「ありがとう。頂くよ」スッ…
悪魔娘「わぁ…とってもいい香りがしますね」
武闘家「でしょ~!どっちもボク自慢のオリジナルブレンドなんだよ!おかわりもあるからゆっくりしてってね~」ニパ!
悪魔娘「はぁ~…とっても落ち着きますぅ」ポケー
賢者「そうだね。ここにいると追い掛けられてることを忘れそうになるよ」
武闘家「ほぇ?追い掛けられてるって…もしかして勇者クンと魔王サンに?」
賢者「うん…」
悪魔娘「え…えぇ…」
武闘家「あはは…あの二人も相変わらずだね~」ニャハハ…
賢者「笑い事じゃないよ…」ハァ…
武闘家「でも、いいじゃない。平和になって。…そういえばもうあれから二年も経つんだよね~」シミジミ…
賢者「そう…だね」ズズ…
悪魔娘「もうそんなになるんですね。」
武闘家「こうやってボクらがのんびりお茶したりできるのも…あの時みんなで頑張ったからだよね…」
今から二年と少し前…
魔王城 最上階 回廊…
武闘家「いよいよ…だね。」
勇者「あぁ…この長い回廊の向こうに魔王がいる。みんな…準備はいいか?」
賢者「…」スタスタ…クルリ…
…スッ…
勇者「なんのつもりだ?賢者」
賢者「それはこっちのセリフだよ。勇者…君も薄々は気付いてるはずだろ?」
武闘家「賢者…クン…」
賢者「俺達はここに辿り着くまで…人間界から魔界にかけて長い旅をしてきた。」
賢者「けどその旅の中で見てきたものはどうだった?」
賢者「人間界では確かに行く先々の街や村で魔物が暴れ回っていたよね」
勇者「…」
賢者「暴れていた魔物達の長は皆、何者かに強制的に操られているようだった」
賢者「だからあの頃は、魔王ってのは自分の配下すらも道具のように扱う暴君だと思ってたよ。けど最近じゃ、それは間違いだと思ってる…」
武闘家「こっちに来てから色々あったもんねぇ…」
賢者「うん。魔界は、幼い頃から聞かされてきたような陰湿な場所どころか、俺達の世界と何ら変わらない…違うのはそこに住んでいる種族くらい。それ以外は驚くほど同じだった…」
賢者「…ご丁寧に世界各所で魔物が暴れてるとこまでも同じ…」
勇者「…それは…」
武闘家「魔界の街や村の魔族達はみんな、理性を失って暴れる魔物に魔王は心を痛めてるって言ってた…」
勇者「………」
賢者「魔王は本当は良いヤツなのかもしれない…むしろ怪しいのは…」
武闘家「…どう考えても聖教会だよね…こっちに来てから神官の服を着た人が魔物と一緒にいるところ何度も見ちゃったし…」
勇者「………」ワナワナ…
賢者「魔王とは一度話してみる必要こそあれ…なにも戦うこはないと思…」
勇者「…分かってんだよ!そんなこと!!」
勇者「それでも僕は勇者なんだ!ガキの頃からずっと魔物を戦うすべを叩き込まれ…魔王を倒せと言われ続けてきたんだ!それを今さら…!!」
武闘家「勇者クン…」
勇者「それに、教会の事を悪く言うな!大司教様は幼くして両親を魔族に殺され、身寄りのなかった僕を引き取って育ててくれたんだ!」
賢者「…」
勇者「教会の神官が魔物と一緒だったのも、僕らを騙す為に、魔王の命令で魔族が神官に化けてたのかもしれないじゃないか!!」
勇者「僕は…二人が何と言おうと魔王と戦う!」キッ…!
賢者「お前はやっぱりバカみたいに真っ直ぐだな。…初めて会った時から何も変わってない」ヤレヤレ…
賢者(今でこそやっと差別はなくなったけど、当時、忌み嫌われる存在であるハーフエルフの俺と平等に接してくれたのは君だけだったよな。)ハハ…
賢者「それにまぁ…勇者ならそう言うと思ってたしね…じゃあ行こっか」スタスタ…
勇者「けどお前らは…」
賢者「勇者が魔王と戦うと決めたのなら俺達はそれに従うさ。俺と武闘家はあくまで一意見を言っただけだよ。」スタスタ
武闘家「……そうですね。ボクも勇者クンがそう言うなら着いていきますよ~」ニパ!
勇者「…ありがとう。二人とも。それから、賢者…」
賢者「なに?」
勇者「バカって言うな…」スタスタ…
魔王城 玉座の間 …
『魔王様…』
魔王「その声は悪魔娘か」
…ヴゥーン…スッ…
悪魔娘「間もなく勇者達がこの玉座の間にやって来ます…」
魔王「分かっておる。余もこの水晶で一部始終を見ておったからな」
悪魔娘「魔王様は……。」
魔王「なんぢゃ?言いたい事があるなら申してみよ」
悪魔娘「本当に勇者達と一戦交えるおつもりですか?」
悪魔娘「あの者達は魔界の住民達を虐げるどころか…我々も手をやいていた魔物達から守ってくれました」
悪魔娘「それに先程の勇者達のやりとりも見ておられたのでしょう?…ちゃんと話し合えばきっと…!」
魔王「そうぢゃな…」
悪魔娘「…!…それじゃあ…」
魔王「見ておったからこそ、余計ひくに引けなくなったわ」
悪魔娘「…え?」
魔王「先程勇者は…あやつは魔族に両親を殺されたと言っておった…」
悪魔娘「ですがそれは魔王様とは何の関係も…!」
魔王「お前の言うように話し合えば分かりあえるやもしれん。しかし頭では分かっても納得できん事もある…」
魔王「ましてや幼少の頃より余を悪そのものだと教えられて来たのなら尚更ぢゃろうて」
悪魔娘「そう…でしょうか…」
魔王「なにより、魔族の者があやつの親を殺めたのは余の監督不行き届きぢゃ」
魔王「故に余はその責を負わねばならぬ…」スッ…
悪魔娘「責って…。…魔王様は真面目すぎます。いえ…不器用すぎですっ!」
魔王「まったく…肩書きとは時に面倒極まりないものよな」クク…
…カツーン…コツーン…カツーン…コツーン…
悪魔娘「…ッ!」
…ガチャ…ギイィ…バタン!…
魔王「よくここまで来たな…」
勇者「…」チャキ…
魔王「…勇者よ」
賢者「あれが魔王か」
武闘家「女の人だったんだ…」
勇者「魔王…僕はお前を倒しに来た」スッ…
魔王「面白い…ならばやってみよ」クク…
…ツカツカツカ…
悪魔娘「ここは私が…」スッ…
魔王「お前は手を出すな…これは命令ぢゃ」ギロ…
悪魔娘「………承知致しました」スッ…
勇者「大した余裕だな。一人で僕達の相手をするつもりか?」
魔王「そのつもりぢゃが?」ニヤ…
勇者「随分と舐められたものだな。……賢者。武闘家」
賢者・武闘家「なに?」・「どーしたの?」
勇者「二人とも…手を出さないでくれ」
悪魔娘「!?」
賢者「そうか。あまり無茶はするなよ」スッ…
武闘家「分かった。頑張ってね~」スッ…
魔王「お前こそ大した余裕ではないか。それともただ単に阿呆なのか?」
勇者「…いいからさっさと構えろ」
武闘家(あ…勇者クン“阿呆”には反応しないんだ…)
魔王「ふん…ではいくぞ…」ゴゴゴゴ…
賢者(魔王が詠唱を始めたな…凄まじい魔力だ…)
勇者「させるかよ!」
…タッタッタツタツタッ…バッ!…
勇者「くらぇ!」ズアァ…ッ
魔王「フッ…」スッ…
武闘家(魔王が詠唱をやめて…両手を広げた…?)
勇者「…!…お前…何のつもりだ!!」
悪魔娘(魔王様…あなたはやはり最初から…!!)
悪魔娘「やめてぇー!!」
勇者「くそ!…間に合わ…」ズアァ…
賢者「……」
悪魔娘「魔王様ーー!!」
…ザシュ!…
勇者「!?」
魔王「!?」
武闘家「!?」
悪魔娘「!?」
賢者「転移術が…なんとか…間に合った…ね」ゼェゼェ…
勇者「賢…者…」カラン…
魔王「なぜ…余をかばった?」
賢者「なんでって…二人とも…とても見てられかった…から…かな」ゼェ…ゼェ…
賢者「さっき魔王…さん…勇者のに斬られる…直前に凄く寂しそうな…達観したような顔で…笑ってたから…」ヨロ…
魔王「…」
賢者「男だったら…あんな悲しい顔した…女の人を…放っとけ…ないよ」ハハ…
魔王「この…このたわけが!」ウル…
賢者「勇者も…君の事だから…今魔王さんを斬り伏せていたら…一生後悔してただろうし…ね…」フラ…
勇者「この…バカ野郎が!」ガシッ!
賢者「はは…まさか…お前からバカ呼ばわり…される日が来る…なんてね…」ヒュー…ヒュー…
悪魔娘「賢者さん…」
武闘家「いい人って短命って言うもんね…」グス…
魔王「賢者ぁ!死んじゃ嫌ぢゃあ!!」
賢者「人を勝手に殺さないでよ…あの時死んでたら俺、今ここにいないから…あと魔王さん、いつの間にこちらに…」
現在…
山岳都市 武闘家の屋敷 …
魔王「うむ。今来た」ムフー
ギュ…
賢者「そうですか…どうでもいいですけど、俺の後ろから抱きつかないで下さい。頭に胸が当たっています」
魔王「フフン…当てとるんぢゃ☆」タユン…
悪魔娘「魔王様…賢者さんをつかまえて嬉しさのあまり我を忘れるのもいいですが…そんな事ばかりしていては嫌われてしまいますよ…」
魔王「そ、それは困るな…」ヒョイ…
賢者「はぁ…やっと解放された…」
賢者(あぁ…おっぱいが離れてていく…って俺は今考えて…!?)ハッ!
武闘家「魔王サンはあの時から賢者クンが気になり出したんだよね~」
魔王「うむ!そして今では賢者一筋ぢゃ!」ピト…
賢者「…///」
賢者「少し外に出て風に当たってくるよ」スタスタ…
武闘家「あ、うん…いってらっしゃ~い」
…ガチャ…バタン…
魔王「では余も一緒に行こうかの」フンフン♪
悪魔娘「魔王様。今は行かれない方が…って聞いてませんね…」
…ガチャ…バタン…
『わ!…魔王さん!?…ちょ…何するんですか!?やめ…』
『ふふふ…良いでわないか~良いでわないか~』ピト…スリスリ…
『や、やめてくださ…///…あ~!もう!!…ルーラ!』バヒューン!
『まったく賢者ったらウブなんぢゃから……ルーラ!』バヒューン!
武闘家「…魔王サン…あんな人だったっけ?」
悪魔娘「えぇ…近頃は賢者さんの前だとああなるんですよ。28**歳の大年増がまるで乙女のようです…あんな痴女が主だなんて恥ずかしい…あぁ、恥ずかしい…」ブツブツ…
武闘家(どうしよう…悪魔娘チャン…なんか変なスイッチ入っちゃった…)アセアセ…
悪魔娘(ハッ!…私ったらまた…)
悪魔娘「うぅ…すみません。お恥ずかしい所を…少し取り乱してしまいました…」
武闘家「あはは…気にしない気にしな~い。こんな時こそスマイルだよ~!ほらほら笑って笑ってぇ」ニパ!
悪魔娘「ふふ…そうですね」ニコ…
勇者「あぁ!なんて眩しい笑顔なんだッ!」バッ!…
悪魔娘「ひえぇ!またうしろから…!」ビビクン!
勇者「悪魔娘さん!僕はッ…」
武闘家「勇者ク~ン…あんまりそんなことばっかりしてると…【アッー】しちゃうゾ☆」ゴゴゴ…
勇者(殺気…!?)ズザザ…
勇者「武闘家…頼むから【アッー】だけはやめ…」ズザザ…
勇者「…あっ…」ポロ…
…ゴトッ…コロコロコロ…
武闘家「!!」
悪魔娘「!!」
勇者「き、傷とかついてないよな…」ヒョイ…ジー…
勇者「ふぅ…大丈夫みたいだ」ホッ…
武闘家「ハァ…びっくりさせないでよ~。まぁ並大抵の事でソレに傷がついたりしないとは思うけど…」
悪魔娘「少し不用心すぎますっ!勇者様にとってソレはとても大切な物なんですから!」
勇者「ごめん…気を付けるよ」シュン…
悪魔娘「分かって頂ければそれでいいんですよ」ニコ…
武闘家「でもホントに扱いには気を付けなよ~?ソレはボク達が勝ち取った平和の象徴みたいなものなんだからね…」
勇者「そう…だな」シミジミ…
悪魔娘「勇者様…」
武闘家「なんか…改めてソレを見てるとなんか色々と思い出しちゃうな~」ウンウン…
武闘家「お城の一件でボクらが和解した後、皆で話し合って魔物の陰で暗躍する神官達をなんとしよう!ってことになって…」
武闘家「…魔界で捕えた神官達に誰の命令でやったのかを尋問したらとんでもない事が分かっちゃったんだよね」
悪魔娘「えぇ…。彼らに命令を下したのは聖教会の長たる大司祭ではなく“神”そのものだと聞いた時は正直自分の耳を疑いました。」
武闘家「みんなホントに驚いたもんね~…でもあの時勇者クンだけはすごく落ち着いてたよね?」
勇者「落ち着いてたっていうか…僕はその話を聞いた時、なんていうかこう…安心したんだよ」ズズ…
武闘家(あー!勇者クンったら悪魔娘チャンの紅茶を勝手に飲んで…)めっ!
悪魔娘「安心…ですか?」キョトン
武闘家(あれ?スルー?今勇者クンが紅茶飲んだの見てたよね?)フム…
勇者「あぁ。僕は聖教会を疑いたくなかったから、彼らの話を聞いて…」
勇者「…聖教会は大司祭様も含めて“神”の命令で仕方なくやらされていたという可能性が出てきて少しホッとしたんだ」
勇者「今思えば神官達の話の真偽を確かめず鵜呑みにするなんて我ながらバカだよな」
悪魔娘「ふふ…そんなことないです。勇者様はバカではなくていつでも真っ直ぐなんですよ」ニコ…
勇者「そう…なのかな///…ま、まぁそんな僕の一存で聖教会の大聖殿には行かずに…」
勇者「…神官達から聞いた本当に実在するかも分からない天上界に通じる塔を直接目指す事になったんだよな」
二年前…
人間界 北の孤島…
天上界へと続く塔 近辺…
悪魔娘「やっと…辿り着きました…」ハァ…
武闘家「この島に上陸してから随分探したもんね~」
魔王「ご丁寧に結界で塔の近くに来るまで見えぬように細工までされておるとはの…」ヤレヤレ…
勇者「こんな巨大な塔が今までほとんど知られてなかったのも納得だな」
賢者「そうだね…けど船でこの島に近付いても何も見えなかった時は神官達に騙されたかと思ったよ」ハハ…
魔王「そうぢゃそうぢゃ…もしこの島に何もなかったらどうするつもりだったんぢゃ?ん?」ニヤ…
悪魔娘「ま…魔王様…」
勇者「う、うるせーな…見付かったから別にいいだろ…」タジ…
魔王「まぁ確かにそうぢゃな。…とりあえず行くとするか」スタスタ…
武闘家「れっつごー!」スタスタ…
???「待て!貴様らッ!」ザッ…
大神官「ここから先へは行かせんッ!!」
魔王「随分と威勢がいのう…ぢゃが我々を相手にお前一人では役不足ぢゃな」クク…
武闘家「そうだねぇ。多勢に無勢で悪いけど通してもらうよ~」
大神官「フン…誰が俺だけで相手をすると言った?」パチン!
…ザッザッザッザッザッ!…
勇者「そんな…彼らは…」
賢者「聖教会の騎士団か!?」
聖騎士達「「「…」」」チャキ…
悪魔娘「囲まれてしまいましたね…」
大神官「ハナから俺だけで貴様らを相手にできるなどとは考えておらんよ」
勇者「………」
賢者(勇者…)
大神官「おい!そこのお前…島の外で待機してる船団にも増援を要請してこい!!」
聖騎士「はっ!」ダダッ…
悪魔娘「まだ増えるの!?」
賢者「みんな…ここは俺に任せて先に行って!」
武闘家「賢者クン!?」
悪魔娘「賢者さん!?」
勇者「…」
魔王「…」
賢者「この様子じゃどうも“神”の所へ行っても話し合いだけで済まなさそうだ…」
賢者「そうと分かった以上こんなとこで必要以上に消耗するわけにはいかない!」
賢者「こいつらと後から来る増援は俺が食い止める!」
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