ヴァルバトーゼ「幻想郷?」 (39)
ヴァルバトーゼ「ここは……何処だ」
>気が付くと見知らぬ景色があった。
ヴァルバトーゼ「確かプリニーの教育計画を書類に書いて……」
ヴァルバトーゼ「それからが思い出せん」
ヴァルバトーゼ「瘴気の薄さからして魔界ではないようだが……」
ヴァルバトーゼ「とりあえず歩くとするか」
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>しばらく歩いて行くと紅い屋敷が見えた
ヴァルバトーゼ「紅い屋敷?」
ヴァルバトーゼ「懐かしいな。昔、似た屋敷があったが……」
ヴァルバトーゼ「あの吸血鬼姉妹は、健やかに育っているだろうか」
>昔の事を思い出しながら紅い屋敷に向かう。
ヴァルバトーゼ「……」
>紅い屋敷の前では、中国服を着た女が立ったまま寝ている。
ヴァルバトーゼ「いつまで狸寝入りをするつもりだ」
美鈴「……。良く見破りましたね。咲夜さんにも見破られた事がなかったのに」
ヴァルバトーゼ「当然だ!プリニー教育係の俺にかかれば、造作もない」
ヴァルバトーゼ「それに貴様の狸寝入りはプリニーに比べると、月とスッポン程の差がある」
美鈴「プリニー?」
ヴァルバトーゼ「罪を犯した人間の魂をヌイグルミに封じた物だ」
ヴァルバトーゼ「奴らは隙があれば直ぐにサボろうとするからなーー」
ヴァルバトーゼ「だからこそ教育のやり甲斐があるのだがな。クッククク」
美鈴「た、大変ですね」
ヴァルバトーゼ「……ところで此処はどこだ?」
美鈴「幻想郷です。ーーもしかして外から来られたんですか?」
ヴァルバトーゼ「外?」
美鈴「ここは結界により隔離された世界なんです。外と云うのは人間たちが住んでいる世界のことです」
ヴァルバトーゼ「外が人間界の事なら違うな。俺が居たのは地獄だ」
美鈴「地獄?」
ヴァルバトーゼ「ああ。気が付くと、あそこの森にいた」
美鈴(……妖怪の賢者の仕業でしょうか。私が考えた所で図りかねますが)
美鈴「地獄の行き方なら、教えれます。案内してあげたいのは山々なんですが」
ヴァルバトーゼ「気にするな。門番が門を離れる訳にはいかないだろう」
>美鈴は地獄への行き方を教えた。
ヴァルバトーゼ「なるほど。了解した」
美鈴「いえ。あ、名前、教えて貰って良いですか?」
ヴァルバトーゼ「名乗ってなかったな。俺の名はヴァルバトーゼだ」
美鈴「ヴァルバトーゼさん、ですね。私は紅美鈴です」
ヴァルバトーゼ「美鈴か。機会があればまた会おう」
美鈴「はい!」
>ヴァルバトーゼは去っていった
咲夜「あら、珍しく起きているわね」
美鈴「ハ、ハハハ。そんな珍しい、なんて」
レミリア「……」
美鈴「そんな事よりも、お嬢様をお連れしてると言うことは、お出かけですか?」
咲夜「ええ。霊夢の所に行きたいらしくて」
レミリア「……美鈴。さっき誰かと話していたようだけど」
咲夜「気になるのですか?」
レミリア「ええ。知っている魔力に似てたから」
美鈴「さっきまで話していたのは、ヴァルバトーゼさんって方です」
レミリア「は?」
レミリア「美鈴……もう一度名前を教えてくれるかしら?」
美鈴「ヴァルバトーゼさんです」
咲夜「お嬢様?」
レミリア「~~~!なんで引き止めなかったの!」
美鈴「え?え?」
レミリア「何百年振りに逢える機会だっとのに!」
美鈴「お嬢様の知り合いだったんですか?」
レミリア「し、知り合いよ。機会があればそれ以上の関係にも……(ブツブツ」
咲夜「お嬢様。ヴァルバトーゼと言う方は、どんな方なのですか?」
レミリア「え、あっ」
レミリア「ヴァルバトーゼ様は、私達、吸血鬼族の王よ」
レミリア「圧倒的なカリスマと無限の魔力から『暴君』とまで呼ばれ畏怖畏敬され君臨されてたわ」
美鈴「……そんな方には見えなかったんですが」
レミリア「それは貴女の目が節穴だからでしょう
」
レミリア「咲夜!まだ遠くには言ってないはずよ。追いかけるわ!!」
咲夜「全てはお嬢様のお心のままに 」
>レミリアと咲夜はヴァルバトーゼを追いかけた
一方で魔界は慌ただしかった。
フーカ「ヴァルっちが行方不明?」
アルティナ「はい。職務室から忽然と姿を消したみたいで……」
アルティナ「あの吸血鬼さんが、狼男さんにすら何も告げずに居なくなるとは考えられません」
フーカ「確かにね~」
デスコ「今は、プリニーを使って探してるんデスよね」
アルティナ「はい」
フーカ「ヴァルっちが教育したプリニーでもまだ見つけられないって事は、魔界に居ないんじゃないの?」
デスコ「デスコもそう思うデス」
アルティナ「……魔法使いさん達に魔力探知して貰ったんですが、見つかりませんでした」
フーカ「それ。もうこの魔界以外を探した方が良くない?」
アルティナ「そうなると、余りにも探す場所が多くて……」
フーカ「取り敢えず身近から潰して行くわよ」
アルティナ「身近、から?」
フーカ「まずはこの魔界と隣接している――人間界からよ」
再び幻想郷
ヴァルバトーゼは美鈴に教えられた通りに歩いていた。
ヴァルバトーゼ「……」
???「――」
ヴァルバトーゼ「……」
???「――」
ヴァルバトーゼ「ハァ。何か用か?」
???「……」
ヴァルバトーゼ(この魔力は覚えがある。確かに――)
ヴァルバトーゼ「姿をを見せたらどうだ。フラン。フランドール=スカーレット!!」
フランドール「お久しぶり。ヴァルバトーゼさま」
ヴァルバトーゼ「お前が居ると言うことは、あの屋敷は紅魔館だったか」
フランドール「そうだよ。と、言っても咲夜が来てから改装してるけどね」
ヴァルバトーゼ「そうか――」
ヴァルバトーゼ「それで俺を付けて来て何か用か?」
フランドール「アハ♪それはね?」
フランドールが掌を握りしめると、ヴァルバトーゼの腕が吹き飛んだ
ヴァルバトーゼ(……あの能力は健在か)
フランドール「やっぱりヴァルバトーゼさま……弱くなってる」
フランドール「私の能力が通じる事がその証明!」
フランドール「今なら!私が勝てる!?」
ヴァルバトーゼ「……」
ヴァルバトーゼ「クッククク。相変わらずだな」
ヴァルバトーゼ「だが、能力に過信し過ぎるなと警告したはずだが」
フランドール「ふんっだ!ヴァルバトーゼさまは!今日!私に負けるの!だから、説教される気は!ない!!」
ヴァルバトーゼ「説教をするつもりはない。それをするのは、レミリアの役目だ」
フランドール「――!いま!ヴァルバトーゼさまの前に居るのは、アイツじゃない!!私だよ!!」
ヴァルバトーゼ「?当然だ。何を言っている」
フランドール「~~~!!」
フランドールはヴァルバトーゼに攻撃をして、それをヴァルバトーゼは巧みに防ぐ。
だが次の瞬間。場所が一転。
見知らぬ場所にヴァルバトーゼ達はいた。
ヴァルバトーゼ「――。ずっと視ているヤツの仕業か」
ヴァルバトーゼ「む」
フランドール「余所見しないで!そんなんだと……直ぐに壊すよ!」
炎の如く果敢に攻めてくるフランドール。
幻想郷にあるルール(弾幕)ではなく本気での攻撃。
ヴァルバトーゼはフランドールの本気を感じ、本気を出す事を決めた
――魔奥義:悪夢のツェペシュ――
フランドール「――え?」
暴君ヴァルバトーゼ「どうした……フランドール。来ないのならコチラから征くぞ」
フランドール「――!!」
圧倒的な魔力で吹き飛ばされた。
フランドール(……そうだ。これが、これこそが、ヴァルバトーゼさま!!)
フランドール「ハアアァぁぁぁぁ!!」
最強の吸血鬼と最恐の吸血鬼がぶつかり合ったり
戦いは一瞬で決着した。
フランドール「――やっぱり、強いなぁ」
暴君ヴァルバトーゼ「フラン。強くなったな」
フランドール「でも、勝てなかった……」
暴君ヴァルバトーゼ「鍛錬をしていけば俺を超える事は夢ではない」
暴君ヴァルバトーゼ「お前達にはその可能性がある」
フランドール「……」
フランドール「――ヴァルバトーゼさま。一つ約束してくれる?」
暴君ヴァルバトーゼ「なんだ?」
フランドール「もし私がヴァルバトーゼさまを超える吸血鬼になったら、一つ願い事を聞いてほしい」
暴君ヴァルバトーゼ「いいだろう!俺を超えた時は、願い事を叶えよう」
暴君ヴァルバトーゼ「――」
フランドール「ヴァルバトーゼさま?」
暴君ヴァルバトーゼ「いや。やはり姉妹だな、と思っただけだ。レミリアも同じ事を言ってきたからな」
フランドール「…………」
暴君ヴァルバトーゼ「?どうした」
フランドール「ううん。なんでもない」
フランドール(アイツの願い事は、たぶん私と同じに決まってる)
フランドール(絶対に負けないんだから!!)
暴君ヴァルバトーゼ「そろそろいいか」
シュウウウゥゥ
フランドール「あ。戻った」
ヴァルバトーゼ「暴君モードは魔力消費が過多だからな」
フランドール「そう言えば、なんでヴァルバトーゼさまはそんなじょうなの?」
ヴァルバトーゼ「お前達と別れてから色々とあった。それだけの事だ」
ヴァルバトーゼ「それよりも此処はどこだ?」
フランドール「分らない。私、紅魔館からあまり出られないから」
ヴァルバトーゼ「……そうか。ならば、場所が分かるまで一緒に行動するか?」
フランドール「うん!」
フランドール「あー、また戻ってきた!!」
ヴァルバトーゼ「これで三度目か」
ヴァルバトーゼ「……どうやら異空間に閉じ込めらたみたいだな」
ヴァルバトーゼ「どこかにある術の起点を壊せば出られるハズだ」
フランドール「起点って言われても分からないよ」
ヴァルバトーゼ「可能性としては、ループしている地点が起点だと考えられる」
ヴァルバトーゼ「だいたいの検討は付いている。こっちだ」
ヴァルバトーゼに促されてフランドールは付いていく
ヴァルバトーゼ「ここだ」
フランドール「??どこにも変な所は無さそうだけど?」
ヴァルバトーゼ「空間系術特有の僅かに空間のズレを感じる」
フランドール「……目玉が分かんない」
グーパーしなからフランドールは言う
ヴァルバトーゼ「――起点さえ分かれば……後は力技だ!!」
フランドール「え?」
ヴァルバトーゼは拳に魔力を込めて思いっきり空間を殴った
フランドール「う……そ」
ヴァルバトーゼ「ハァ!!」
空間に亀裂が奔り、そして砕け散った
ヴァルバトーゼ「どうやら元の空間に戻ったようだな」
フランドール「……」
ヴァルバトーゼ「どうした?」
フランドール「魔力を失っているのに、なんでこんな事が出来るの?」
ヴァルバトーゼ「なんだ。そんなことか」
ヴァルバトーゼ「強魚(イワシ)の力だ!!」
フランドール「…………え?」
フランドール「え……。イワシ?……――え?」
ヴァルバトーゼ「この国ではニシン科のマイワシとウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシ計3種を指す」
ヴァルバトーゼ「人間共は愚かにも陸に揚げると直ぐに弱ってしまうからと、魚に弱と書いて鰯と漢字にしてしまったが――」
ヴァルバトーゼ「栄養満点であり、魔除けのアイテムにもされるイワシが、弱いはずがない!!」
ヴァルバトーゼ「故に!魚編に強いと書いて『魚強(イワシ)』と呼ぶのが正しいのだ」
ヴァルバトーゼ「分かったかフランドール」
フランドール「――(ポカーン」
フランドール「う、うん。わ……分かった?」
フランドール(再会してから一番イキイキしてたよヴァルバトーゼ様)
???「相変わらずのイワシバカよねー」
ヴァルバトーゼ「その声はエトナか」
フランドール「……」
エトナ「久しぶりに行ったら行方不明って言われて探したわよ」
ヴァルバトーゼ「よく居場所が分かったな」
エトナ「そりゃ、発信――女の感よ」
ヴァルバトーゼ「そうか」
エトナ「それよりも――そのガキ誰?」
フランドール「ヴァルバトーゼ様、その女だれ?」
ヴァルバトーゼ「魔神エトナ。俺がいる魔界とは別の魔界にいる」
ヴァルバトーゼ「最近――元魔王のクリチェフスコイの一件以来、なぜかよく地獄に来るようになったな」
エトナ「……」
フランドール「……」
ヴァルバトーゼ「フランドール。吸血鬼で昔、世話をしたことがある。今回、たまたま出会った。――妹のような存在だ」
フランドール「……」
エトナ「……」
フランドール「苦労、してるんだ」
エトナ「あんたもね」
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